JP5025412B2 - 熱収縮性フィルム - Google Patents
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1.両表面層と、内部層の少なくとも3層からなる多層フィルムにおいて、内部層が、密度が0.900〜0.925g/cm3のエチレン−α−オレフィン共重合体を50〜95重量%と、270℃における溶融張力が60〜200mNである高圧法低密度ポリエチレン5〜50重量%からなり、両表面層が、前記内部層におけるエチレン−α−オレフィン共重合体の密度より0.001g/cm3以上0.015g/cm3未満大きい密度を有するエチレン−α−オレフィン共重合体を主体とする樹脂組成物からなることを特徴とする熱収縮性フィルム。
1.内部層の材料
本発明の熱収縮性フィルムは、その内部層が、密度が0.900〜0.925g/cm3のエチレン−α−オレフィン共重合体を50〜95重量%と、270℃における溶融張力が60〜200mNの高圧法低密度ポリエチレン5〜50重量%からなる。
エチレン−α−オレフィン共重合体の単量体として用いられるα−オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチル−ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、ドデセン−1等が挙げられる。
該共重合体を製造するのに用いられる重合触媒は特に限定されないが、例えば、マルチサイト触媒やシングルサイト触媒等が挙げられる。
一般的にエチレン−α−オレフィン共重合体は溶融張力が低いため、未延伸チューブまたはシートの押出安定性の観点から、層構成材料として単独での使用は困難であると考えられており、溶融張力の高い高圧法低密度ポリエチレンやエチレン−酢酸ビニル共重合体と混ぜ合わせて、層構成材料の溶融張力を調整することでは行われている。しかしながら、高圧法低密度ポリエチレンやエチレン−酢酸ビニル共重合体は、エチレン−α−オレフィン共重合体に比べ、引裂強度が低いので、高圧法低密度ポリエチレンのブレンド比が高くなるほど、層構成材料の引裂強度は低下する傾向にある。
ここで、融解主ピーク温度とは、共重合体を温度0℃から10℃/分で200℃まで昇温し(1st.融解挙動)、200℃で1分間保持した後、10℃/分で0℃まで降温し、次いで再び10℃/分で200℃まで昇温(2nd.融解挙動)したときに示す吸熱ピークのうち、最も大きいピーク値を示すものを指す。
本発明の熱収縮性フィルムは、その両表面層が、前述した内部層におけるエチレン−α−オレフィン共重合体よりも密度が0.001g/cm3以上、0.015g/cm3未満大きい密度を有するエチレン−α−オレフィン共重合体を主体とする樹脂組成物からなるものである。包装収縮後の透明性や包装仕上がり等の観点、特に密度差が大きすぎると、高収縮部においては白化が起こる為、前記内部層におけるエチレン−α−オレフィン共重合体よりも密度が好ましくは0.001g/cm3以上0.012g/cm3未満大きいものが良く、より好ましくは0.001g/cm3以上0.01g/cm3未満大きいものが良い。
表面層を形成するエチレン−α−オレフィン共重合体を主体とする樹脂組成物は、エチレン−α−オレフィン共重合体単独で構成されていても、他の重合体との混合物であってもよい。他の重合体との混合物である場合には、他の重合体の含有量は、エチレン−α−オレフィン共重合体100重量部に対して50重量部以下であることが好ましく、より好ましくは30重量部以下、さらに好ましくは20重量部以下である。
本発明の熱収縮性フィルムの製造方法に特に限定はなく、各層を別々に形成し、その後貼り合わせることにより製造してもよいが、溶融押出法で共押出して製造するのが好ましい。例えば、各層を構成する樹脂又樹脂組成物をそれぞれの押出機で溶融して、多層サーキュラダイ等で共押出しすることができる。
架橋処理の好ましい照射線量の範囲は40〜200kGyであり、ヒートシール性と延伸安定性の観点から50〜120kGyがより好ましい。
ゲル分率(重量%)=(抽出後の試料重量/抽出前の試料重量)×100
表面層のゲル分率が1重量%以上であると、フィルムの透明性が向上し、20重量%以下であるとヒートシール性が向上し、低圧力でシールしても十分な強度のシール性が得られる。
なお、本発明において、流れ方向とは、フィルム形成時の押出方向をいい、巾方向とは押出方向に直交する方向をいう。
収縮率(%)={(収縮前の長さ−収縮後の長さ)/収縮前の長さ}×100
得られた熱収縮性フィルムは所定のサイズにスリット加工し、包装に用いることができる。
以下に実施例・比較例において用いた測定方法を記す。
(1)フィルム厚みの均一性の評価
フィルムの全巾にわたり、30mm間隔でフィルムの厚みを測定した。フィルム厚みは最小単位が1μmのダイヤルゲージを用いて0.5μmまで値を読み取った。このようにして測定したフィルム厚みの最大値と最小値との差をフィルム厚みの均一性とした。
環状ダイより押出した500μmの厚さの未延伸チューブを水冷固化し、駆動しているニップロールで挟んで、平坦化した後、その巾を10cm間隔で2mにわたって測定し、最大値と最小値との差を最大値で割り返し、変動率として押出し安定性の評価とした。
未延伸チューブを延伸機内に誘導し、延伸開始点の温度を樹脂の融点より30℃高い温度まで上げ、巾方向に7倍の延伸倍率で延伸した時の、流れ方向の延伸倍率を測定した。
○:流れ方向に7倍以上の倍率で安定した延伸が可能であるもの。
△:流れ方向に5倍以上、7倍未満の倍率で安定した延伸が可能であるもの。
×:流れ方向に5倍未満の倍率でしか、安定した延伸が出来ないもの。
沸騰パラキシレン中で試料を12時間抽出し、不溶解分の割合を次式により表示したものをゲル分率とし、フィルムの架橋度の尺度として用いた。
ゲル分率(重量%)=(抽出後の試料重量/抽出前の試料重量)×100
540mm巾にスリットし紙管に巻いたフィルムを、株式会社フジキカイ製「FW−3451A−αV(商品名)」にセットする。次いで、フィルムを流れ方向に引き出しながら針孔装置(ロール面からの針突出長2mm)に通して、巾方向に15mm間隔に5個、且つ流れ方向に20mm間隔の針孔を開ける。その後、流れ方向に2個、巾方向に5個、計10個の開いた針孔がサンプルの中央になるようにフィルムの流れ方向に30mm間隔で切り取り、短冊状サンプルとする。これを23℃の室温で、チャック間距離100mm、引張速度1000mm/分の条件で引張り、破断した時の最大伸びを測定し、針孔破断伸度(%)とする。
○:針孔伸度が25%以上であり、針孔からの裂けに対し、優れた抵抗レベルにある。
△:針孔伸度が20%以上、25%未満であり、実用的な抵抗レベルである。
×:針孔伸度が20%未満であり、針孔からの裂けに対し、実用上問題のあるレベル。
100mm角のフィルムを所定の温度(100,110,120℃)に設定したエアーオーブン式高温槽に入れ、1分間熱処理を行い、各温度におけるフィルムの流れ方向、幅方向の収縮量を測定し、収縮前の寸法、すなわち100mm、で割った値の百分率比を、それぞれ、流れ方向、巾方向の収縮率とし、これらの平均値をフィルムの収縮率とした。
フィルムを500mm巾にスリットし、株式会社フジキカイ製の「FW−3451A−αV(商品名)」を用いて、株式会社エフピコ製の「ES−新丼(中)(商品名)」に20℃の米飯を約200g入れたもの各30パックをピロー包装し、それぞれのフィルムが、最も良好に仕上がるようにトンネル温度と通過時間を設定して、熱処理を行い、以下の基準に従って、包装仕上りの評価を行った。
○:包装体前後のシール周辺の小皺や角残りは無く、空気溜りが残っていないもの。
△:包装体前後のシール周辺の小皺は残っているが、角残りも無く、空気溜りが残っていないもの。
×:フィルムが収縮しきらずに、空気溜りが残っているもの。
ヘイズ:(8)で得た包装体の上部を切り出し、ASTM D−1003に従い、収縮後のヘイズとした。
グロス:(8)で得た包装体の上部を切り出し、ASTM D−2457に従い、収縮後のグロスとした。
高収縮部である、角および包装体前後のシール線から1cm以内の部分が透明であるものを○、白化して不透明であるものを×として、目視評価にて白化の評価とした。
以下の樹脂を表層及び内部層の材料として用いた。
・LL1:エチレン−α−オレフィン共重合体(シングルサイト系触媒で重合されたもの)、密度=0.913g/cm3、MI=2.0g/10分、融解主ピーク温度=113℃、宇部丸善ポリエチレン株式会社製ユメリット1520F(商品名)
・LL2:エチレン−α−オレフィン共重合体(シングルサイト系触媒で重合されたもの)、密度=0.926g/cm3、MI=2.5g/10分、融解主ピーク温度=118℃、宇部丸善ポリエチレン株式会社製ユメリット2525F(商品名)
・LL3:エチレン−α−オレフィン共重合体(シングルサイト系触媒で重合されたもの)、密度=0.916g/cm3、MI=2.3g/10分、融解主ピーク温度=114℃、住友化学株式会社製スミカセンE FV201(商品名)
・LL5:エチレン−α−オレフィン共重合体(シングルサイト系触媒で重合されたもの)、密度=0.937g/cm3、MI=4.0g/10分、融解主ピーク温度=126℃、宇部丸善ポリエチレン株式会社製 ユメリット4040F(商品名)
・LL6:エチレン−α−オレフィン共重合体(シングルサイト系触媒で重合されたもの)、密度=0.944g/cm3、MI=4.0g/10分、融解主ピーク温度=128℃、宇部丸善ポリエチレン株式会社製 ユメリット4540F(商品名)
・VL2:エチレン−α−オレフィン共重合体(シングルサイト系触媒で重合されたもの)、密度=0.909g/cm3、MI=2.0g/10分、株式会社プライムポリマー エボリューSP1020(商品名)
・LD2:高圧法低密度ポリエチレン、密度=0.921g/cm3、MI=0.4g/10分、270℃における溶融張力=55mN、旭化成ケミカルズ株式会社製サンテックLD M2004
表1および3に示す組成の樹脂組成物に、ジグリセリンオレートとグリセリンモノオレートの1:1の混合物を2.0重量%添加したものを環状ダイより多層(3層)原反として押出した後、冷水にて冷却固化して、折り巾120mm、厚さ500μmのチューブ状多層原反を作成した。これを電子線照射装置に誘導し、500kVに加速した電子線を照射し、吸収線量として80kGyになるように架橋処理を行った。これを延伸機内に誘導して再加熱を行い、2対の差動ニップロール間に通して、エアー注入によりバブルを形成し、延伸開始点の加熱温度を140℃に設定し、流れ方向に8倍、巾方向に7倍の倍率でそれぞれ延伸を行い、平均厚みが9μm、表面層/内部層/表面層の各厚み比率(%)がそれぞれ、15/70/15のシュリンクフィルムを得た。 このようにして得られたフィルムについて、押出安定性、高倍率延伸性、フィルム厚みの均一性、フィルム全体のゲル分率、フィルムの針孔破断伸び、ループステフネス、収縮率を評価し、包装試験を行った。
表2に示す組成の樹脂組成物を用い、同様に中間層を加えた5層原反として、表面層/中間層/内部層/中間層/表面層の各厚み比率(%)がそれぞれ15/17.5/35/17.5/15になるように押出した以外は、実施例1〜5と同様の操作を行い、平均厚みが9μmのフィルムを得た。このようにして得られたフィルムについて、押出安定性、高倍率延伸性、フィルム厚みの均一性、フィルム全体のゲル分率、フィルムの針孔破断伸び、ループステフネス、収縮率を評価し、包装試験を行った。
特に、実施例2と比較例5との比較から、内部層の高圧法低密度ポリエチレンの溶融張力の違いによって、押出し安定性に差があることが、確認できた。
比較例2は内部層に高圧法低密度ポリエチレンを含まないため、未延伸チューブの製膜自体が困難なため、評価用のフィルムが得られなかった。
比較例3では内部層と表層のLLの密度差が大きすぎて、内部層の収縮に表層組成が追随出来ずに包装後の特に高収縮部が白化する結果となった。
比較例4では内部層の高圧法低密度ポリエチレンの量が多すぎることにより、配向がかかり過ぎて、流れ方向に4.5倍までの延伸が限度であったため、目標である9μmのフィルムが得られなかった。また、フィルムが厚いにも関わらず、針孔破断伸びが低くいため、包装時の破れが発生した。
比較例6では内部層のLLの密度が高すぎる為、十分な収縮が出来ず、しわが多く仕上がりの悪い包装体しか得られなかった。また、内部層および表面層のLLの密度が高すぎる為、収縮後のヘイズおよびグロスも良好ではなかった。
Claims (3)
- 両表面層と、内部層の少なくとも3層からなる多層フィルムにおいて、
内部層が、密度が0.900〜0.925g/cm3のエチレン−α−オレフィン共重合体を50〜95重量%と、190℃におけるメルトインデックス(荷重=2.16kgf)が、0.05g/10分以上、0.40g/10分未満であり、且つ、270℃における溶融張力が60〜200mNである高圧法低密度ポリエチレン5〜50重量%からなり、
両表面層が、前記内部層におけるエチレン−α−オレフィン共重合体の密度より0.001g/cm3以上0.015g/cm3未満大きい密度を有するエチレン−α−オレフィン共重合体を主体とする樹脂組成物からなる
ことを特徴とする熱収縮性フィルム。 - フィルム厚みが5〜15μmである請求項1に記載の熱収縮性フィルム。
- ゲル分率が10〜50重量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱収縮性フィルム。
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