JP2007152570A - 熱収縮性積層フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】特定融点を持つポリプロピレン系共重合体樹脂からなる一方の表面層、エチレン−α−オレフィン系共重合体樹脂からなる他方の表面層、バリア性中間層としてエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂層、及びその両側に特定の接着性樹脂層を設けた少なくとも5層からなる延伸フィルムであり、特定の熱収縮率及び熱収縮応力を兼ね揃えている積層フィルムである。
【選択図】なし
Description
近年、食品類の包装において、プラスチック製の発泡トレーや成型トレー等に精肉類、魚介類、和菓子類、惣菜等を詰めて包装されており、特に食品の長期保存、常温保存を目的としたガスパック包装機のメーカーも多くある。
これらの連続包装機では、まず、被包装体を筒状に覆う工程があり、次に回転ローラー式のセンターヒートシール装置にて、被包装体の裏面にシール線がくるように合掌シールをしながら筒にして送る。続いて、被包装体を包んでいるそのフィルム筒の前後をノコ刃状のカッターでカットしながら、フィルム筒の前後を閉じるようにヒートシールする工程がある。そのシールをする直前に、窒素ガスや炭酸ガスのように食品の保存、鮮度保持を目的として、その食品等に応じた混合ガスを吹き込む装置があり、包装体系内のガス置換を行う。最近では、混合ガスを吹き込む前、或いは同時に包装系内を吸引(バキューム)し、系内の残酸素量をより減らして効率良く置換できるように工夫された包装機も考えられている。
バリアフィルムの開発では、バリア性の良い樹脂とヒートシール性の良い樹脂を積層した場合に、それぞれの樹脂の好適な延伸温度で延伸できないために、積層フィルムの延伸性が悪く、特に高倍率延伸できず、生産に向いていなかった。低倍率にしか延伸できないため、連続包装機での熱風シュリンクトンネルでは熱収縮性も非常に悪くなりタイトな仕上りが得られなかった。
したがって、ガスパック連続包装機、特にピロー包装シュリンク型の包装機に使用するフィルムに求められる主な特性は、下記のようなものが挙げられる。
1)ガスバリア性があること。
2)高熱収縮性でタイトに美麗に仕上り、適度な熱収縮応力で内容物を変形させないこと。
3)ヒートシールにおいて漏れなく気密性があること。
4)トレーパック用途において冷蔵の際でも水滴で曇らず内容物の視認性が良いこと。
例えば、特許文献1には、エチレン−ビニルアルコール共重合体からなるガスバリア層が、接着性樹脂層を介しポリオレフィン系樹脂と積層してなる延伸フィルムが開示されている。このフィルムについては、熱収縮性を付与するための延伸性については非常に優れており、好ましい熱収縮性に調整し易いが、エチレン−ビニルアルコール共重合体層が表面層に配置されている為、シール性が問題となる。
また、特許文献2には、ガスバリア層は特定せず、接着層を介して特定分子量分布のポリオレフィン層が積層されているフィルムが開示されている。このフィルムのような分子量分布(Mw/Mnで表現される)が低いポリオレフィン系樹脂は、一般的にシングルサイト系の触媒で重合されているものが多く、それらは強靭さやシール強度、透明性に優れ非常に好ましいが、逆に分子量分布が低いと溶融張力の観点からは延伸性に劣る傾向にあり、ポリアミド系樹脂やエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂のような延伸し難い樹脂との共押出しには大きな障害となる。特にエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂は高ガスバリア性ではあるが、非常に延伸し難い樹脂であり、上記2)の条件である適度な熱収縮性を持たせるために必要な延伸性が非常に悪く、それを補う延伸補助的な樹脂層を積層した好適な熱収縮性のフィルムはこれまでなかった。
すなわち、本発明は下記の通りである。
1.一方の表面層がポリプロピレン系共重合体樹脂、他方の表面層がエチレン−α−オレフィン系共重合体樹脂からなり、ガスバリア性中間層としてエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂、その両側には接着性樹脂層が配置された少なくとも5層からなり、以下の(1)〜(6)を特徴とする熱収縮性積層フィルム。
(1)140℃におけるフィルムの熱収縮率が40〜80%であること。
(2)140℃におけるフィルムの最大熱収縮応力が0.5〜3.0MPaであること。
(3)一方の表面層を構成するポリプロピレン系共重合体樹脂は、JIS−K7121に準拠して示差走査式熱量計(DSC)で測定した最大融解ピーク温度(Tm)が130〜155℃であること。
(4)他方の表面層を構成するエチレン−α−オレフィン系共重合体樹脂は、JIS−K7121に準拠して示差走査式熱量計(DSC)で測定した最大融解ピーク温度(Tm)が85〜125℃であること。
(5)ガスバリア層と、ポリプロピレン系共重合樹脂からなる一方の表面層との間に、接着性樹脂層として、変性ポリプロピレン系接着性樹脂層が配置されていること。
(6)ガスバリア層と、エチレン−α−オレフィン系共重合体樹脂からなる他方の表面層との間に、接着性樹脂層として、変性ポリエチレン系接着性樹脂層が配置されていること。
2.ポリプロピレン系共重合体樹脂からなる一方の表面層には脂肪酸アミド系滑剤が0.05〜0.50重量%添加され、エチレン−α−オレフィン系共重合体樹脂からなる他方の表面層にはグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤が0.5〜5.0重量%添加されていることを特徴とする1.に記載の熱収縮性積層フィルム。
本発明は、一方の表面層はポリプロピレン系共重合体樹脂、他方の表面層はエチレン−α−オレフィン系共重合体樹脂からなり、ガスバリア性中間層としてエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂、その両側には特定の変性ポリオレフィン系接着性樹脂層が配置された少なくとも5層からなる積層フィルムである。
一方の表面層は、JIS−K7121に準拠して示差走査式熱量計(DSC)で測定した最大融解ピーク温度(Tm)が、130〜155℃のポリプロピレン系共重合体樹脂からなる。この層は、ガスバリア層であるエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂と積層して特定の熱収縮特性を得る為の延伸に及ぼす影響が大きい。そのため、ポリプロピレン系共重合体樹脂の最大融解ピーク温度が130〜155℃であると、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂と積層した場合に高熱収縮率のフィルムが得られ、130〜140℃であると、低熱収縮応力で高熱収縮率のフィルムが得られるので好ましい。
ポリプロピレン系共重合体樹脂中のプロピレンの含有量は60〜90重量%が好ましい。更に、ポリプロピレン系共重合体樹脂が3元共重合体であり、プロピレン含有量が60〜80重量%、エチレン含有量が10〜30重量%、ブテン含有量が5〜20重量%のものは熱収縮性が良くなるのでより好ましい。
ポリプロピレン系共重合体樹脂のJIS−K−7210に準じて測定されるメルトフローレートの値(230℃、2.16kgf:以下、ポリプロピレン系共重合体樹脂については同条件)は、高熱収縮性が得られる点から0.5〜9.0が好ましく、2.0〜6.0がより好ましい。
ポリプロピレン系共重合体樹脂からなる一方の表面層の全層に対する厚み比率は、フィルムカールを抑制し易い、高熱収縮性を得易い等の理由で20〜60%が好ましく、40〜50%がより好ましい。
ポリプロピレン系共重合体樹脂からなる一方の表面層には、脂肪酸アミド系滑剤が0.05〜0.50重量%添加されると、包装体の外側の滑り性が良好となり、梱包や、トレー輸送の際の集合箱の内側、例えばダンボールやプラスチック等との摩擦による破れがなくなるので好ましく、0.10〜0.20重量%添加された場合、透明性が損なわれないのでより好ましい。
連続包装機で使用されるシュリンクトンネルのような熱収縮工程では、短時間で強固に熱溶着するヒートシール性が必須となる。ヒートシール性の観点から、エチレン−α−オレフィン系共重合体の密度の範囲は0.900〜0.920g/cm3が好ましく、ヒートセット時の融着もなく、気密ヒートシール性を一層向上させる上で0.910〜0.918g/cm3がより好ましい。
エチレン−α−オレフィン系共重合体のJIS−K−7210に準じて測定されたメルトインデックスの値(190℃、2.16kgf:以下、ポリエチレン系樹脂については同条件)としては、高熱収縮性が得られる点から0.5〜7.0が好ましく、1.0〜4.0がより好ましい。
他方の表面層の全層に対する厚み比率は、フィルムカールを抑制し易い、高熱収縮性を得易い等の理由で30〜60%が好ましく、40〜50%がより好ましい。30%以上ある場合、気密シール性が良好となる。
他方の表面層で使用するエチレン−α−オレフィン樹脂に30重量%以下の範囲で他の樹脂を混合できる。例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、高圧法低密度ポリエチレン、石油樹脂、水添テルペン系樹脂等が挙げられる。これらを混合する場合、防曇剤等の界面活性剤の混合し易さ、透明性、高熱収縮性、柔軟性等の物性を付与することができ、エチレン−α−オレフィン系共重合体樹脂の量が70重量%以上あれば気密シール性が良好である。
防曇剤を、表面コートのように塗布しただけでは防曇性の持続性に乏しく、フィルム表面に存在する量も調整し難い。フィルムの表面上に防曇剤を層状に所定量分布させるには、防曇剤を添加してブリードアウトさせる方法が、表面量を調整し易い、層状に分布し易い、防曇性の持続性がある等の理由により好ましい。この場合、防曇剤をマスターバッチ法や押出機注入法等で添加するのが好ましく、高温(通常の押出機ミキシングゾーンの設定温度より10〜30℃程高い設定温度)で激しく混練させ、樹脂中に防曇剤を微分散させることが、ブリードアウトした防曇剤が層状に形成し易く、防曇性、滑り性が効率良く発現するので好ましい。押出機は二軸押出機、一軸押出機のどちらを用いても良いが、一軸押出機の場合、スクリューはダルメージスクリュー、クロスダルメージスクリュー等の混練性の良いものが好ましい。
更に上記グリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤以外の界面活性剤、酸化防止剤、帯電防止剤、石油樹脂、ミネラルオイル等の液体添加剤を、防曇性を損なわない程度に添加してもよい。
JIS−K−7210に準じて測定されたエチレン−ビニルアルコール共重合体樹のメルトインデックスの値(190℃、2.16kgf:以下、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂については同条件)は、厚み分布の良いものを形成し易い等の理由により1.0〜5.0が好ましく、1.5〜4.0がより好ましい。
バリア層であるエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂層の全層に対する層厚み比率は、高熱収縮性を得ることが可能であるので5〜25%が好ましく、適度な熱収縮応力が得られるので7〜20%がより好ましい。
本発明の積層フィルムのバリア性は、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂のエチレン含有率や酢酸ビニルのケン化率、バリア層の厚みに大きく影響するが、実使用の尺度として酸素透過率で評価すると、45cc/m2/day以下であれば、内容物によって保存性も異なるが、ミドルバリア包装の流通市場で使用できるので好ましい。25cc/m2/day以下であれば、ハイバリア包装の流通市場で使用できるのでより好ましい。
JIS−K−7210に準じて測定された変性ポリプロピレン系接着性樹脂のメルトインデックスの値(190℃、2.16kgf:以下、接着性樹脂については同条件)は、高熱収縮性が得られる点から1.0〜7.0が好ましく、1.5〜4.0がより好ましい。
メルトインデックスの値は、高熱収縮性、適度な熱収縮応力が得られる点から1.0〜7.0が好ましく、1.5〜4.0がより好ましい。
本発明のフィルムが、包装での好適な熱収縮特性を得るには、一般的なシュリンクトンネルの熱風の設定温度である140℃における熱収縮率が40〜80%であり、かつ最大熱収縮応力が0.5〜3.0MPaであることが重要となる。熱収縮率、及び最大熱収縮応力は、後述する方法により測定された値である。
熱収縮応力は、発泡ポリスチレントレーのような比較的柔らかい容器の包装に用いても、容器の変形を少なくできるため、0.5〜3.0MPaが必要であり、辺が長く反ったりし易い容器でも変形が極めて少ないので0.5〜2.0MPaが好ましい。更にわずかなシュリンクトンネル通過時間で俊敏に収縮し、高速連続包装機で使用した際でもタイトに美麗に仕上がるので1.0〜2.0MPaがより好ましい。
エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂は一般に高ガスバリア性であるが、延伸性が非常に悪い樹脂である。特に高熱収縮率を得ることが非常に困難な樹脂である。近年、延伸性が改質されたエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂も市販されているが、他の素材のフィルムと積層して延伸し、高熱収縮率フィルムを得るには、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の改質だけでは困難なままであり、広範囲に普及するまでには及んでいなかった。
本発明の熱収縮性積層フィルムを製膜する方法の一連の流れの一例を説明する。
まずペレット状の樹脂を、溶融押出により樹脂の融点以上を目安にして高温で押出し、ポリマーパイプ、ダイスを介してチューブ状に連続押出成形し、これを水冷により冷却固化する。
延伸方法にはテンター法、バブルインフレーション法等様々な延伸方法があるが、バブルインフレーション法による延伸が、透明性が良くなるので好ましい。
延伸温度は、表面を接触式温度計で実測した温度を用いる。本発明の積層フィルムはガスバリア性中間層にエチレン−ビニルアルコール共重合体を使用しており、一般にはその融点より約50℃低い温度、即ち90〜130℃程度の温度で延伸することが多く、その温度範囲ではエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂も軟化しており、結晶化も大きく進んでいない為に高倍率に延伸可能である。また、両表面層もその温度で高倍率延伸可能な融点を持つ樹脂を選択することにより、バブル内圧も低くなるので、熱収縮応力も緩和される条件となり、本発明の熱収縮率が140℃において30〜80%、最大熱収縮応力が0.5〜3.0MPaの物性の積層フィルムを得ることが可能である。
さらに、エチレン−α−オレフィン系共重合体樹脂からなるシール層である他方の表面層が完全に溶融する理想的なヒートシール条件で、ポリプロピレン系共重合樹脂からなる表面層が完全に溶融せず、ヒートシールバーに溶着し難いという利点もある。
本発明の積層フィルムの厚みは、ガスバリア性を得る為には5〜50μmが好ましく、連続包装機等で使用される際の機械的強度面、又は包装された後、開封する際の易開封性を考慮すると10〜30μmがより好ましい。
上記の5層構成以外に他の層を設けても良い。例えば、中間層として、ポリプロピレン系共重合体樹脂の表面層と変性ポリプロピレン系樹脂の接着層との間に、さらに、ポリプロピレン系樹脂、ポリプロピレン系共重合体樹脂、又はポリプロピレン系共重合体樹脂とエチレン−α−オレフィン系共重合体樹脂との混合物等の層を配置してもよい。又、エチレン−α−オレフィン系共重合体樹脂の表面層と変性ポリエチレン系樹脂の層との間に、さらに、ポリエチレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−α−オレフィン系共重合体樹脂、又はそれらの混合物等の層を配置してもよい。例えば、パリソン作成の安定性を上げる目的で、エチレン−α−オレフィン系共重合体樹脂と高圧法低密度ポリエチレンとの混合体等の層を配置してもよい。
本発明の積層フィルムの各樹脂層には、それぞれその本来の目的を損なわない範囲で、酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、無機フィラー、帯電防止剤、酸素や炭酸ガスの吸収剤、ガス吸着剤等を添加してもよく、また層間の接着強度を損なわない範囲で上記添加剤を含んだ層を中間層に設けてもよい。
《熱収縮率の評価》
ASTM D−2732に準拠して測定し、フィルムの流れ方向(MD)、巾方向(TD)共に、100mmの四角に10mm間隔の碁盤の目を描き、140℃の温度(熱風乾燥機)で30分間収縮させた場合の、MDとTDのそれぞれの平均寸法変化を測定し、下記の式により、それぞれの熱収縮率(%)を算出し、評価した。
熱収縮率(%)=(X/100)×100
Xは収縮後の寸法(mm)である。
[評価基準]
◎:60%以上80%以下:丸型容器でも美麗にシュリンク包装体が得られるより
好ましいレベル
○:40%以上60%未満:タイトで美麗なシュリンク包装体が得られる好ましい
レベル
△:15%以上40%未満:収縮不足の部分があり使用が困難なレベル
×:15%未満80%を超える:全体に収縮不足であり、又は層剥離で白化してし
まって使用できないレベル
ASTM D−2838に準拠して測定した。フィルムをTD方向に10mm、MD方向に90mm(測定長さ50mm+チャックつかみ長さ40mm)の短冊状にサンプリングし、140℃の温度(オイルバス)に3分間浸漬させた場合の最大熱収縮応力(MPa)の値で評価した。
[評価基準]
◎:1.0MPa以上2.0MPa以下:短時間のシュリンク時間でも容器変形が
ほとんどなく、より好ましいレベル
○:0.5MPa以上1.0MPa未満、又は2.0MPaを超えて3.0MPa
以下:容器変形がなく好ましいレベル。
×:3.0MPaを超える:容器変形が大きく使用できないレベル。
MOCON社製の酸素透過分析装置(OX−TRAN(登録商標)200H)を用いて、酸素の条件を65%RH、測定温度23℃として測定し、測定開始3時間経過後の酸素透過率の値において評価を行った。
測定値単位:cc/m2/day(以下、cc、と示す)
[評価基準]
◎:25cc以下:ハイバリア性レベル
○:25ccを超えて45cc以下:ミドルバリア性レベル
△:45ccを超えて100cc以下:ガスパック包装としては用途が限定される
レベル
×:100ccを超える:ガスパック包装としては要冷蔵等の条件が必要になる使
用が困難なレベル
市販のピロー型ヒートシール&カット方式シュリンクガスパック包装機である茨木精機社製、CFP3000にて1分間に30個の速度で50個連続包装を行い、気密シールチェックとしてエージレス(登録商標)(三菱ガス化学社製)シールチェックと、四角型容器包装と丸型容器包装においてシュリンクトンネル通過後のフィルムの収縮不足の弛み状態、容器変形度合い等の包装仕上りを評価した。
◎:シール漏れ不良が0%であり包装機適性良好であるレベル:丸型容器の包装仕
上りも高品質レベル
○:シール漏れ不良が0%であり包装機適性良好であるレベル:四角型容器の包装
仕上りも問題無いレベル
△:シール漏れ不良が1%以上10%以下であるか、或いは、少し容器変形してい
たり、少し弛んでいたりしており、仕上りが満足され難いレベル。
×:包装機での不良個数%が10%を越えてあるか、或いは、容器変形も大きかっ
たり、弛みが酷く、使用できないレベル
[評価基準]
◎:全てが◎であり、好適に使用できるレベル
○:全てが○か◎の評価であり、実用レベル
△:△があり、使用が困難なレベル
×:×があり、実用レベルでない
表1〜3の実施例1〜21に示すような樹脂及び添加剤を用いて、5台(実施例16〜18は6台)の押出機を使用し、表面層、接着層、バリア層、接着層、表面層となるように5種5層構成(実施例16〜18は6種6層構成)のチューブを溶融押出し、水冷リングを用いて約50℃のお湯で冷却しながら未延伸のチューブ(以降パリソンと示す)を得た。
表1〜3に示すような層比率となるように各押出量を調整し、顕微鏡断面観察にて確認し、等間隔8箇所の平均値で所定層構成とした。
添加剤の添加方法としては、予め脂肪酸アミド系滑剤及びグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤(防曇剤)のマスターバッチを作成してドライブレンド法で添加した。
防曇剤のマスターバッチについてはフィルム表面に均一に層状にブリードアウト分布するように2軸押出機を用いて通常の押出機温度より25℃高い条件とし混練性を良くした。
実施例16〜18の押出機の温度設定は、両表面層は180℃、200℃、220℃、220℃、210℃、接着層は180℃、200℃、200℃、200℃、200℃、中間層は180℃、200℃、200℃、200℃、200℃、バリア層は190℃、210℃、230℃、230℃、230℃とした。ダイス、ポリマーパイプの温度設定は全層230℃とした。
その延伸フィルムを連続して85℃にオイル温調の加熱ロール2本を通過させてヒートセットし、冷却ロールを通過させて冷却した後、シワ取りロールでフィルムをフラットにしながらフィルムを巻き取った。フィルムの厚みはこの時測定し、所定の厚みとなるように、極力パリソン厚みで調整したが、延伸性の悪いものについては流れ方向(MD)の延伸倍率を多くとったりして延伸倍率で調整したものもあった。
フィルムの延伸倍率については、MDの延伸倍率は延伸部入りのピンチロールと巻取機ロールとの速比で表現し、TDの延伸倍率はフィルム巾をパリソン折巾で割り算した値で表現した。
それぞれのフィルムを40℃に温度調節したエージングルームで3日間保管した後、《熱収縮率の評価》《熱収縮応力の評価》《酸素透過率の評価》《連続包装機適性》《総合評価》を行った。
その結果、好適な熱収縮率、熱収縮応力の延伸フィルムが得ることができれば、ガスパック連続包装機で容器も大きく変形することなく、また収縮不足で弛みが生じることもなく、タイトに美麗に包装できる事がわかる。
実施例1、6〜8の結果から、両表面層に用いた樹脂の融点が所定の範囲であれば、問題なく延伸、ヒートセットが可能であり、連続包装機適性も良好であることがわかる。
実施例1、9〜12の結果から、層構成の違いにより、特にバリア層の厚みにより延伸性や、それによる熱収縮性、バリア性が異なることがわかる。更に、両表面層の厚み比率が所定比率あれば、気密シール性が問題ないことが判る。
実施例16〜18の結果から、中間層に使用する樹脂を接着性樹脂で接着するものであれば、問題なく使用できることがわかる。実施例1及び19〜21の結果から、滑剤、防曇剤を添加しなくても使用できることがわかる。
表4、5の比較例1〜13に示すような樹脂及び添加剤を用いて、実施例と同様にして延伸フィルムを得た。
比較例11、13のように6ナイロンを使用した時、その押出機の温度設定は210℃、230℃、245℃、245℃、245℃、とした。
それぞれのフィルムを40℃に温度調節したエージングルームで3日間保管した後、《熱収縮率の評価》《熱収縮応力の評価》《酸素透過率の評価》《連続包装機適性》《総合評価》を行った。
比較例1の結果から、延伸倍率が低すぎると熱収縮率が足りず、収縮不良で連続包装機の包装体にフィルムの弛みが生じてしまうことがわかる。
比較例2の結果から、一方向だけでも延伸倍率が高すぎると、その過度に延伸された方向の熱収縮応力が高くなり、容器変形が生じてしまうことがわかる。
比較例4の結果から、ポリプロピレン系共重合樹脂からなる表面層に用いる樹脂の融点が高めのポリプロピレン系共重合体を用いた場合、延伸性が不安定で、MD方向の延伸倍率を高くしないとインフレーションバブルが落ち着かず、その結果、熱収縮性のバランスも悪くなってしまうことがわかる。
比較例5の結果から、エチレン−α−オレフィン系共重合体樹脂からなる表面層に用いるエチレン−α−オレフィン系共重合体樹脂の融点が低すぎる(低密度すぎる)と、延伸は可能であるが、バブル折りたたみ時やヒートセット時に内側表面層同士が融着してしまい、強固ではないがスリット等で剥がす際にフィルム表面が荒れてしまい白化することがわかる。
比較例7のように、一方の表面層に、エチレン−α−オレフィン系共重合体樹脂の代わりにポリプロピレン系共重合体樹脂を使用しても、防曇性が悪くなり、気密シール性も著しく悪化することがわかる。
比較例8の結果から、外側表面層に内側表面層より融点の高いエチレン−α−オレフィン系共重合体樹脂を用いた場合でも、延伸性が悪くなり、ヒートセットロールの金属表面と熱で密着して表面を荒らしてしまい、白化してしまうことがわかる。
比較例11〜13の結果から、バリア層にバリア性のある他種の樹脂を使用した場合、熱収縮率が悪くなったり、熱収縮応力が非常に高かったりすることがわかる。高熱収縮率、好適な熱収縮応力を持つハイバリア性の延伸フィルムを得る為には本発明の樹脂構成にすると良いことがわかる。
Claims (2)
- 一方の表面層がポリプロピレン系共重合体樹脂、他方の表面層がエチレン−α−オレフィン系共重合体樹脂からなり、ガスバリア性中間層としてエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂、その両側には接着性樹脂層が配置された少なくとも5層からなり、以下の(1)〜(6)を特徴とする熱収縮性積層フィルム。
(1)140℃におけるフィルムの熱収縮率が40〜80%であること。
(2)140℃におけるフィルムの最大熱収縮応力が0.5〜3.0MPaであること。
(3)一方の表面層を構成するポリプロピレン系共重合体樹脂は、JIS−K7121に準拠して示差走査式熱量計(DSC)で測定した最大融解ピーク温度(Tm)が130〜155℃であること。
(4)他方の表面層を構成するエチレン−α−オレフィン系共重合体樹脂は、JIS−K7121に準拠して示差走査式熱量計(DSC)で測定した最大融解ピーク温度(Tm)が85〜125℃であること。
(5)ガスバリア層と、ポリプロピレン系共重合樹脂からなる一方の表面層との間に、接着性樹脂層として、変性ポリプロピレン系接着性樹脂層が配置されていること。
(6)ガスバリア層と、エチレン−α−オレフィン系共重合体樹脂からなる他方の表面層との間に、接着性樹脂層として、変性ポリエチレン系接着性樹脂層が配置されていること。 - ポリプロピレン系共重合体樹脂からなる一方の表面層には脂肪酸アミド系滑剤が0.05〜0.50重量%添加され、エチレン−α−オレフィン系共重合体樹脂からなる他方の表面層にはグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤が0.5〜5.0重量%添加されていることを特徴とする請求項1に記載の熱収縮性積層フィルム。
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