JP4906085B2 - ストレッチシュリンク積層フィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は、
(1)少なくとも3層から構成される積層フィルムであって、両表面層がエチレン系重合体である(A)成分を主成分とし、中間層がアイオノマー系樹脂組成物である(B)成分を主成分とし、かつ、下記(α)、(β)、(γ)の特性を備えたことを特徴とするストレッチシュリンク積層フィルム。
(α)80℃オイルバス中10秒浸漬した時の縦方向及び横方向の熱収縮率の合計値が30%以上であり、かつ、100℃オイルバス中10秒浸漬した時の縦方向及び横方向の熱収縮率の合計値が100%以上
(β)収縮応力値の最大値が縦方向及び横方向ともにそれぞれ1MPa以下
(γ)43℃雰囲気下にて48時間放置した時の横方向の収縮率が5%以下
(2)示差走査熱量測定により、10℃/minの冷却速度にて冷却したときの(A)成分の結晶化ピーク温度が(B)成分の結晶化ピーク温度よりも低い関係にあることを特徴とする(1)記載のストレッチシュリンク積層フィルム。
(3)エチレン系重合体である(A)成分が、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体及びエチレン−メタクリル酸エステル共重合体の中から選ばれる少なくとも1種のエチレン系重合体であることを特徴とする(1)または(2)に記載のストレッチシュリンク積層フィルム。
(4)エチレン系重合体である(A)成分が、酢酸ビニル含量が8〜30質量%で、メルトフローレート(JIS K7210、190℃、荷重:21.18N)が0.2〜10g/10分のエチレン−酢酸ビニル共重合体であることを特徴とする(1)または(2)に記載のストレッチシュリンク積層フィルム。
(5)アイオノマー系樹脂組成物である(B)成分が不飽和カルボン酸含量が10〜30質量%、金属イオンによる中和度が15〜80%のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体であることを特徴とする(1)から(4)のいずれかに記載のストレッチシュリンク積層フィルム。
(6)アイオノマー系樹脂組成物である(B)成分が下記に示す(C)成分70〜30質量%と、(D)成分30〜70質量%とを含む混合樹脂組成物であることを特徴とする(1)から(4)のいずれかに記載のストレッチシュリンク積層フィルム。
(C)不飽和カルボン酸含量が10〜30質量%、金属イオンによる中和度が30〜80%のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体
(D)不飽和カルボン酸含量が5〜15質量%でメルトフローレート(JIS K7210、190℃、荷重:21.18N)が0.2〜5g/10分のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体
なお、本発明における数値範囲の上限値及び下限値は、本発明が特性する数値範囲内から僅かに外れる場合であっても、当該数値範囲内と同様の作用効果を備えている限り本発明の均等範囲に包含するものである。また、本発明における主成分とは、最も多量に含有されている成分のことであり、通常50質量%以上、好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上含有する成分のことである。
(C)不飽和カルボン酸含量が10〜30質量%、金属イオンによる中和度が30〜80%のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体
(D)不飽和カルボン酸含量が5〜15質量%でメルトフローレート(JIS K7210、190℃、荷重:21.18N)が0.2〜5g/10分のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体
ここで、本発明における収縮応力とは、以下の測定方法によって求められる応力値を指す。すなわち、熱応力歪み測定装置(TMA)(セイコー電子工業(株)製、TMA/SS150C)とこれに連動した記録装置を用い、試料を断面積が0.2〜0.5mm2の範囲になるように、サンプル幅を3mmにて切り出し、チャック間が5mmの長さとなるように両端を挟み込んでTMAにセットし、試料に9.8kN/m2の初期期荷重をかけ、30℃〜160℃までの温度範囲を走査速度(昇温スピード)が3℃/minとなるように測定する。ここで試料より発生する応力を記録計で記録し、試料断面積から応力値を算出する。
得られたフィルムから、縦方向及び横方向からそれぞれ長さ140mm×幅10mmの短冊状にフィルムを切り出し、その中間に長さ100mm間隔の標線を記入した試験片を、80℃、及び100℃のオイルバスに10秒間浸漬し、取り出した後の標線間の長さを測定し、オイルバス浸漬前後の標線間の長さから熱収縮率を%値で求めた。なお、測定は各10回行い、その平均値を算出し、少数第一位を四捨五入した値を記載した。
(2)熱収縮率(43℃雰囲気下)
43℃に温度管理した熱風循環型オーブン中に、幅400mm×長さ1000mで巻いた長尺サンプルを48時間放置した後、室温下にて十分保管してから、幅方向のフィルムの長さを測定し、当該処理前後の幅方向のフィルムの長さから熱収縮率を%値で求めた。なお、測定は各10回行い、その平均値を算出し、少数第一位を四捨五入した値を記載した。
熱応力歪み測定装置(TMA)(セイコー電子工業(株)製、TMA/SS150C)とこれに連動した記録装置を用い、試料を断面積が0.2〜0.5mm2の範囲になるように、サンプル幅を3mmにて切り出し、チャック間が5mmの長さとなるように両端を挟み込んでTMAにセットし、試料に9.8kN/m2の初期期荷重をかけ、30℃〜160℃までの温度範囲を走査速度(昇温スピード)が3℃/minとなるように測定した。ここで試料より発生する応力を記録計で記録し、試料断面積から応力値を算出して、その最大値を求めた。
幅400mmのフィルムを用い、横ピロー型包装機(大森機械(株)製S−5000A HS)を用いシュリンクトンネル条件を熱風設定温度:120℃、通過時間:3秒)とし、200gの粘度(厚み10mm)を入れた通常の透明ポリスチレン製の蓋ツキ容器(長さ75mm、幅50mm、高さ100mm)を包装した場合の溶断シール性を溶断シール部について以下の基準で評価した。
(◎):フィルムの溶解や伸び等が全く無く十分シールされている
(○):フィルムの溶解や伸び等がほとんどなく、シールも実用上問題ないレベル
(×):フィルムの溶解や伸びが見られ、シールが十分できていない
溶断シール性評価時と同様の包装条件で収縮包装した場合の包装仕上がり性を以下の基準で評価した。
(◎):フィルムにシワやたるみや収縮残りがなく、包装容器の変形がないもの
(○):フィルムにシワやたるみや収縮残りがほどんどなく、包装容器の変形がないもの
(×):フィルムにシワやたるみや収縮残りが発生したり、包装容器が変形してしまった
エチレン系重合体である(A)成分として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(日本ポリエチレン(株)製:LV−440、酢酸ビニル含量:15質量%、MFR:2.2g/10分、融点:95℃)、(以下A−1と略する)100質量部に、防曇剤としてジグリセリンモノオレート5.0質量部を押出設定温度180〜200℃で溶融混練した樹脂組成物を両表面層とし、また、アイオノマー系樹脂組成物である(B)成分として、(C)成分となるアイオノマー(1)(三井・デュポンポリケミカル(株)製:ハイミラン1706、ベースポリマー:エチレン・メタクリル酸共重合体、メタクリル酸含量:15質量%、中和金属イオン種:亜鉛、中和度:59%、MFR:0.7g/10分、融点:88℃)(以下C−1と略する)を押出設定温度180〜200℃で溶融混練した樹脂組成物を中間層とし、それぞれ別々の押出機から合流させ、環状三層ダイ温度185℃、リップギャップ1.2mm、ブローアップ比5.0で共押出インフレーション成形して、総厚み13μm(厚み比:1/2/1)のストレッチシュリンク積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表1に示す。
実施例1において、アイオノマー系樹脂組成物である(B)成分を、(C)成分としてC−1が20質量%と、(D)成分としてエチレン・不飽和カルボン酸共重合体となるエチレン・アクリル酸共重合体(三井・デュポンポリケミカル(株)製:ニュクレルAN4221C、アクリル酸含量:12質量%、MFR:3.0g/10分、融点:94℃)(以下D−1と略する)80質量%とした以外は同様の方法にてストレッチシュリンク積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表1に示す。
実施例2において、アイオノマー系樹脂組成物である(B)成分を、(C)成分としてアイオノマー(2)(三井・デュポンポリケミカル(株)製:ハイミラン1707、ベースポリマー:エチレン・メタクリル酸共重合体、メタクリル酸含量:15質量%、中和金属イオン種:ナトリウム、中和度:57%、MFR=1.0g/10分、融点89℃)(以下C−2と略する)が40質量%と、(D)成分としてD−1が60質量%とした以外は同様の方法にてストレッチシュリンク積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表1に示す。
実施例1において、アイオノマー系樹脂組成物である(B)成分を、(C)成分としてC−2が50質量%と、(D)成分としてエチレン・不飽和カルボン酸共重合体となるエチレン・アクリル酸共重合体(日本ポリエチレン(株)製:レクスパールA−210K、アクリル酸含量:7質量%、MFR:3.0g/10分、融点:98℃)(以下D−2と略する)を50質量%とし、ブローアップ比を10.0、厚み比を1/3/1とした以外は同様の方法にてストレッチシュリンク積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表1に示す。
実施例1において、アイオノマー系樹脂組成物である(B)成分を、(C)成分としてC−1が50質量%と、(D)成分としてD−2を50質量%とし、ブローアップ比を10.0、厚み比を1/3/1とした以外は同様の方法にてストレッチシュリンク積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表1に示す。
実施例5において、製膜中に発生したインラインロス11質量%を中間層側に追添した以外は同様の方法にてストレッチシュリンク積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表1に示す。
実施例5において、エチレン系重合体である(A)成分を、エチレン−酢酸ビニル共重合体(日本ポリエチレン(株)製:LV−123、酢酸ビニル含量:4.5質量%、MFR:2.5g/10分、融点:106℃)、(以下A−2と略する)とした以外は同様の方法にてストレッチシュリンク積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表1に示す。
なお、当該比較例2においては、示差走査熱量測定により、10℃/minの冷却速度にて冷却したときのエチレン系重合体である(A)成分の結晶化ピーク温度は、アイオノマー系樹脂組成物である(B)成分の結晶化ピーク温度よりも高くなっていた。
実施例1において、中間層としての(B)成分を、両表面層に用いた樹脂組成物(A−1)に変更し、実質的に(A−1)からなる単層フィルムとした以外は、同様の方法にてストレッチシュリンクフィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表1に示す。
市販の単層ポリエチレンシュリンクフィルム(厚み11μm、電子線架橋品)について同様の評価を実施した。評価した結果を表1に示す。
これに対して、熱収縮特性が不十分な比較例1の態様は包装仕上がりに問題があることが確認できる。
また、中間層用の樹脂組成物を、両表面層に用いた樹脂組成物に変更して実質的に単層フィルムとした場合(比較例2)には、熱収縮性は発現するものの、43℃雰囲気下で48時間放置した後の熱収縮率が大きく、夏場での保管時の寸法安定性に問題があることが確認できる。また、溶断シール適性にも問題がある。
また、収縮応力が高いフィルムで包装した場合(比較例3)には、該包装物の剛性によっては容器が変形してしまうことが確認できる。
Claims (7)
- 少なくとも3層から構成される積層フィルムであって、両表面層がエチレン系重合体である(A)成分を主成分とし、中間層がアイオノマー系樹脂組成物である(B)成分を主成分とし、かつ、下記(α)、(β)、(γ)の特性を備えたことを特徴とするストレッチシュリンク積層フィルム。
(α)80℃オイルバス中10秒浸漬した時の縦方向及び横方向の熱収縮率の合計値が30%以上であり、かつ、100℃オイルバス中10秒浸漬した時の縦方向及び横方向の熱収縮率の合計値が100%以上
(β)収縮応力値の最大値が縦方向及び横方向ともにそれぞれ1MPa以下
(γ)43℃雰囲気下にて48時間放置した時の横方向の収縮率が5%以下 - 示差走査熱量測定により、10℃/minの冷却速度にて冷却したときの(A)成分の結晶化ピーク温度が(B)成分の結晶化ピーク温度よりも低い関係にあることを特徴とする請求項1記載のストレッチシュリンク積層フィルム。
- エチレン系重合体である(A)成分が、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体及びエチレン−メタクリル酸エステル共重合体の中から選ばれる少なくとも1種のエチレン系重合体であることを特徴とする請求項1または2に記載のストレッチシュリンク積層フィルム。
- エチレン系重合体である(A)成分が、酢酸ビニル含量が8〜30質量%で、メルトフローレート(JIS K7210、190℃、荷重:21.18N)が0.2〜10g/10分のエチレン−酢酸ビニル共重合体であることを特徴とする請求項1または2に記載のストレッチシュリンク積層フィルム。
- アイオノマー系樹脂組成物である(B)成分が、不飽和カルボン酸含量が10〜30質量%、金属イオンによる中和度が15〜80%のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のストレッチシュリンク積層フィルム。
- アイオノマー系樹脂組成物である(B)成分が、下記に示す(C)成分70〜30質量%と、(D)成分30〜70質量%とを含む混合樹脂組成物であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のストレッチシュリンク積層フィルム。
(C)不飽和カルボン酸含量が10〜30質量%、金属イオンによる中和度が30〜80%のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体
(D)不飽和カルボン酸含量が5〜15質量%でメルトフローレート(JIS K7210、190℃、荷重:21.18N)が0.2〜5g/10分のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体 - インフレーション成形機により製造することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のストレッチシュリンク積層フィルムの製造方法。
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