JP4721931B2 - ストレッチシュリンク積層フィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は、
(1)少なくとも3層から構成される積層フィルムであって、両表面層がエチレン系重合体である(A)成分を主成分とし、また、中間層が下記(a)〜(c)を満足するアイオノマー系樹脂である(B)成分を主成分とし前記(A)成分との混合組成物であり、かつ、中間層のフィルム全体の厚みに対する厚み比が35〜90%であることを特徴とするストレッチシュリンク積層フィルム。
(a)JIS K−7121に基づく示差熱分析法により降温速度10℃/minにて測定した降温結晶化熱量(ΔHc)が下式の関係にある。
20J/g<ΔHc<80J/g
(b)JIS K−7244−6に基づく動的粘弾性測定法による周波数10Hz、ひずみ0.5%、降温速度3℃/minにて測定した、160℃における貯蔵弾性率(G’160)、および100℃における貯蔵弾性率(G’100)の値がそれぞれ下式の関係にある。
0.4MPa<3*G’160<0.8MPa
1MPa<3*G’100<3MPa
(c)ひずみ0.1%、周波数100rad/sにおける200℃の複素粘度(η* 200)が下式の関係にある。
1000Pa・s<η* 200<3000Pa・s
(2)エチレン系重合体である(A)成分が、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体およびエチレン−メタクリル酸エステル共重合体の中から選ばれる少なくとも1種のエチレン系重合体であることを特徴とする(1)に記載のストレッチシュリンク積層フィルム。
(3)エチレン系重合体である(A)成分が、酢酸ビニル含量が8〜30質量%で、メルトフローレート(JIS K7210、190℃、荷重21.18N)が0.2〜10g/10分のエチレン−酢酸ビニル共重合体であることを特徴とする(1)に記載のストレッチシュリンク積層フィルム。
(4)エチレン系重合体である(A)成分の融点が、65℃〜100℃であることを特徴とする(1)に記載のストレッチシュリンク積層フィルム。
(5)中間層が上記(A)成分と(B)成分との混合組成物であり、(A)成分と(B)成分の混合質量比が、(A)/(B)=1〜50/99〜50であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のストレッチシュリンク積層フィルム。
(6)80℃オイルバス中10秒浸漬したときの縦方向及び横方向の熱収縮率の合計値40〜120%であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のストレッチシュリンク積層フィルム。
(7)溶融押出された樹脂を一旦冷却固化することなく、環状ダイから円筒状に押出し、この円筒の中にエアを吹き込み、溶融円筒を膨らませる方式であるインフレーション法で製造されたことを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のストレッチシュリンク積層フィルム。
なお、本発明における数値範囲の上限値及び下限値は、本発明が特性する数値範囲内から僅かに外れる場合であっても、当該数値範囲内と同様の作用効果を備えている限り本発明の均等範囲に包含するものである。また、本発明における主成分とは、最も多量に含有されている成分のことであり、通常50質量%以上、好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上含有する成分のことである。
0.4MPa<3*G’160<0.8MPa
1MPa<3*G’100<3MPa
ここで、さらに120℃における貯蔵弾性率(G’120)の値が、下式の関係を有していることが好ましい。
1MPa<3*G’120<3MPa
本発明の食品包装用フィルムは前述したようにインフレーション成形のような溶融状態からの冷却過程中での延伸加工によってシュリンク包装用途に好適な熱収縮特性を付与できるものであり、フィルムを構成する樹脂組成物のレオロジー的性質も重量な要素となる。インフレーション成形については詳しくは後述するが、インフレーション成形とは溶融樹脂を環状(多層)ダイより円筒状に押出し、この円筒状の溶融膜内に、一定量の空気を入れて加圧し、膨張させてから冷却装置で冷却させて、円筒状のフィルムを連続的に得る成形法である。フィルムを構成する樹脂組成物の溶融状態からの冷却過程での貯蔵弾性率の温度依存性がかかる範囲内にあることで溶融状態からの冷却過程中での延伸加工によってシュリンク包装用途に好適な熱収縮特性を付与することが可能となる。具体的には200℃〜100℃における上記温度の貯蔵弾性率(3*G’)の値がかかる範囲内であれば、溶融押出時の負荷が高くなりすぎることがなく、インフレーション成形時の溶融樹脂膜内の内圧をある程度高めることができる。
2MPa<3*G’80<10MPa
かかる範囲内であれば溶融樹脂膜内の内圧を高めると同時にシュリンク包装用途に好適な熱収縮特性を有するために最適な延伸ひずみを付与することが可能となる。
パーキンエルマー社製、示差熱走査型熱量計DSC−7型を用い、アイオノマー系樹脂組成物をDSC測定用アルミパンに約10mgを精秤し、10℃/minの走査速度にて200℃まで昇温、2分間等温にて保持した後、同速度にて室温まで冷却した。冷却過程における発熱ピークとして観測されるアイオノマー系樹脂組成物の結晶化熱量を測定した。
得られたアイオノマー組成物からなるペレットを100tプレス機を用いて、設定温度200℃にて、10分間プレス後、冷却することにより1.5mm厚みの板を作製した。ついでこの板よりΦ25mmの円筒状の試験片を切り出した。この試験片を動的粘弾性測定装置(TAインスツゥールメント株式会社(旧レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー社製)商品名:RDA−2)を用いて実施した。測定条件は周波数1Hz、ひずみ0.5%にて、200℃から40℃までの温度範囲において、降温速度3℃/minにて貯蔵弾性率(G’)を測定し、測定値を3倍して(3*G’)の値を求めた。200℃から100℃までの貯蔵弾性率の傾きは指数近似により算出した。
(2)で得た1.5mm厚みのプレス板よりΦ25mmの円筒状の試験片を切り出した。この試験片を動的粘弾性測定装置(TAインスツゥールメント株式会社(旧レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー社製)商品名:RDA−2)を用いて実施した。測定条件は、ひずみ0.1%、周波数100rad/sにて、測定温度200℃における複素粘度を測定した。
幅400mmのフィルムを用い、横ピロー型包装機(大森機械(株)製STN7500)+シュリンクトンネル(大森機械(株)製ピロー包装機付属のC−300型、熱風設定温度:85℃、通過時間:3秒)により、200gの粘度(厚み10mm)を入れた通常の発泡ポリスチレントレー(長さ200mm、幅150mm、高さ15mm)を包装し、得られたパックサンプルを下記の基準で評価した。
(◎):トレー上面にシワやたるみがほとんどなく、フィルムの張りも十分あるもの
(○):トレー上面にシワやたるみがほとんどなく、フィルムの張りがあるもの
(×):トレー上面にシワやたるみが発生したり、フィルムの張りがないもの
上記した(4)で得られたパックサンプルを3段に積み重ねた状態で、5℃の恒温槽内に10時間放置後、最下段のパックサンプルの上面の状態を下記の基準で評価した。
(○):トレー上面にたるみがほとんどなく、フィルムの張りも十分あるもの
(×):トレー上面にたるみが発生し、フィルムの張りがないもの
エチレン系重合体である(A)成分にエチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含量:15質量%、MFR=2.2g/min、融点:95℃)、(以下A−1と略する)100質量部に、防曇剤としてジグリセリンモノオレート5.0質量部を設定押出温度180〜200℃で溶融混練した樹脂組成物を用い両表面層とし、また、アイオノマー系樹脂組成物である(B)成分にアイオノマー(1)(ベースポリマー:エチレン・メタクリル酸共重合体、メタクリル酸含量:15質量%、中和金属イオン種:亜鉛、中和度:59%、MFR=0.7g/10分、融点:88℃)(以下C−1と略する)とA−1とを質量部でC−1/A−1=70質量%/30質量%からなる樹脂組成物を用い中間層とし、それぞれ別々の押出機から合流させ、環状三層ダイ温度185℃、リップギャップ1.2mm、ブローアップ比10.0で共押出インフレーション成形して、総厚み13μm(積層比=1/3/1)のストレッチシュリンク積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表1に示す。
実施例1において、表裏層及び中間層ともにA−1のみを用い、積層比を1/2/1とした以外は同様の条件にてストレッチシュリンク積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表1に示す。
実施例1において、中間層にD−1のみを用い、積層比を1/2/1とした以外は同様の条件にてストレッチシュリンク積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表1に示す。
Claims (8)
- 少なくとも3層から構成される積層フィルムであって、両表面層がエチレン系重合体である(A)成分を主成分とし、また、中間層が下記(a)〜(c)を満足するアイオノマー系樹脂である(B)成分を主成分とし前記(A)成分との混合組成物であり、かつ、中間層のフィルム全体の厚みに対する厚み比が35〜90%であることを特徴とするストレッチシュリンク積層フィルム。
(a)JIS K−7121に基づく示差熱分析法により降温速度10℃/minにて測定した降温結晶化熱量(ΔHc)が下式の関係にある。
20J/g<ΔHc<80J/g
(b)JIS K−7244−6に基づく動的粘弾性測定法による周波数10Hz、ひずみ0.5%、降温速度3℃/minにて測定した、160℃における貯蔵弾性率(G’ 160 )、および100℃における貯蔵弾性率(G’ 100 )の値がそれぞれ下式の関係にある。
0.4MPa<3*G’ 160 <0.8MPa
1MPa<3*G’ 100 <3MPa
(c)ひずみ0.1%、周波数100rad/sにおける200℃の複素粘度(η * 200 )が下式の関係にある。
1000Pa・s<η * 200 <3000Pa・s - エチレン系重合体である(A)成分が、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体およびエチレン−メタクリル酸エステル共重合体の中から選ばれる少なくとも1種のエチレン系重合体であることを特徴とする請求項1記載のストレッチシュリンク積層フィルム。
- エチレン系重合体である(A)成分が、酢酸ビニル含量が8〜30質量%で、メルトフローレート(JIS K7210、190℃、荷重21.18N)が0.2〜10g/10分のエチレン−酢酸ビニル共重合体であることを特徴とする請求項1記載のストレッチシュリンク積層フィルム。
- エチレン系重合体である(A)成分の融点が、65℃〜100℃であることを特徴とする請求項1記載のストレッチシュリンク積層フィルム。
- 中間層が上記(A)成分と(B)成分との混合組成物であり、(A)成分と(B)成分の混合質量比が、(A)/(B)=1〜50/99〜50であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のストレッチシュリンク積層フィルム。
- 80℃オイルバス中10秒浸漬したときの縦方向及び横方向の熱収縮率の合計値が40〜120%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のストレッチシュリンク積層フィルム。
- 溶融押出された樹脂を一旦冷却固化することなく、環状ダイから円筒状に押出し、この円筒の中にエアを吹き込み、溶融円筒を膨らませる方式であるインフレーション法で製造されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のストレッチシュリンク積層フィルム。
- インフレーション成形機により製造することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のストレッチシュリンク積層フィルムの製造方法。
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