JP5084353B2 - 熱収縮性多層フィルム - Google Patents

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本発明は、包装機にて包装され、主にトレーパック等の食品包装分野に使用することができる熱収縮性多層フィルムに関する。特に、盛り上がりのある食品トレーパック品を冷凍、冷蔵温度下で輸送、保管、陳列が必要なオーバーラップシュリンク包装用途に最適な熱収縮性多層フィルムに関する。
食品包装分野ではオーバーラップシュリンク包装やピローシュリンク包装に使用するフィルムが多用されている。その中でもオーバーラップシュリンク包装求められる主な特性には、下記のようなものがある。
1)タイトに美麗に仕上がること。
2)フィルムのカット性が良く、ノッチがはいっても縦方向に引裂き伝播しないこと。
3)冷蔵の際でも水滴で曇らず視認性が良いこと。
4)硬い鋭利な部分を持つトレー、容器、被包装物の包装の際に破れないこと。
5)シール性が良いこと。
6)残留張力によりトレーを変形させないこと。
7)包装後の変形回複性に優れていること。
8)低温収縮性に優れること。
このうち、2)の特性は連続包装機の高速化により必要となってきた特性である。特にオーバーラップシュリンク包装においては、ASTM−D−1992に準じて測定された引裂強度において、フィルムの縦方向の引裂強度が横方向の引裂強度よりも大きいことが重要となる。この際、引裂強度の縦方向、横方向のバランスで横方向より縦方向の方が弱い場合にはフィルムが縦方向に裂けるトラブルが発生し易くなり、好適に使用することが困難である。この場合のフィルムの縦方向というのは、包装機においての走行方向(MD方向)を意味する。横方向というのは、走行方向に対して直角の方向(TD方向)を意味する。フィルムに置きかえると連続包装機の走行方向というのは成膜する際の流れ方向と同じとなるのが一般的である。フィルムの縦方向の引裂強度が弱いとノッチが入った場合に縦方向に伝播し続けて、連続包装は中断されてしまう。また、横方向にカッター刃でカットすることが多く、その際にカット性が悪いと、切れずにつながっていたり、伸びきったフィルム屑が多発したりして使用が非常に困難となるので、横方向の引裂強度は小さい方が好ましい。
また、5)の特性は、ヒートシール方式の包装、例えばストレッチ包装、ストレッチシュリンク包装の連続包装機の高速化に伴い、必要となってきた特性である。
さらに6)の特性は近年の省資源を目的としたトレーの薄肉化または高発泡倍率化によるトレー自体の剛性低下の影響により、高い残留張力を有する熱収縮性フィルムで包装する場合、トレーが変形する問題が発生してきていることにより必要となってきたものである。汎用的に用いられている四角形状のトレーの場合、フィルムの残留張力があるとトレーの側面が内側に向かって大きく反ったり、対向するトレー上面の縁が平行を保たない湾曲した形状となる。こうした状態が生じると次の2つの問題が発生する。
問題の一つは外観の悪化である。これには、包装直後において単にトレーが変形することによる外観悪化と、このような変形した包装体を段積み輸送した場合、僅かな揺れや振動で包装体が移動しやすく、包装体に衝撃や荷重が繰り返し長時間加えられ、結果として、フィルムにユルミやシワが発生し、外観がさらに悪化する場合とがある。
もう一つはフィルムの破れの問題である。変形したトレーをダンボールやコンテナーに段積みして、輸送する場合、トレー変形があるとトレーとトレーの間により多くの隙間が生じ、振動や荷重の影響を受け易くなって、包装体同士または外装のダンボールやコンテナーとの擦れ破れが発生しやくなる。また、トレー変形によりトレー側辺部の接触対象物に対する接触面積が小さくなり、その結果振動や衝撃がその部分に集中するため、接触部での擦れ破れが発生しやすくなる。
一方、商品性の視点から、ボリューム感を演出するために浅いトレーを用いて内容物が盛り上がった状態にした包装品が増えてきており、包装機で包装した直後の包装品の外観は言うまでもなく、段積みして輸送された後の包装品の外観も、包装品の商品性の点から、一層重要視されるようになっている。このようなことから7)の特性が求められるようになってきている。
上記のような包装体を段積み輸送する場合、包装体にかかる衝撃や荷重により、包装体内容物が包装体内で移動したり、変形したりするため、フィルムにユルミやシワが発生しやすくなる。また、冷凍品を包装後、チルド温度で流通させる場合、内容物が解凍されることで包装体が変形を生じ、その結果として包装フィルムにユルミやシワが発生することもある。従ってユルミやシワを抑制するために、包装に使用するフィルムには一旦これらが生じてもできるだけ短時間でそれを解消するだけの変形回復性が求められる。
8)の特性は、広く普及しているシュリンク包装の中のひとつであるオーバーラップシュリンク包装によって、内容物がトレーまたは容器から盛り上がった状態で、かつ冷凍温度あるいは冷蔵温度の場合に必要とされる特性である。
オーバーラップシュリンク包装では、トレーや容器の開口部をフィルムで一旦覆い、次いでトレーや容器の底面にフィルムの端部が折り込まれた状態で、一次包装がなされる。その後、熱シール板により、トレーや容器の底部のフィルムの折込み部分が熱シールされて、さらにトンネル内で熱風によりシュリンクされ、タイトな包装に仕上がる。食品包装分野で食品をシュリンク包装する場合、包装機のトンネル温度としては、低い温度として100℃から、高い温度として140℃、場合によってはもっと高い温度で包装されているのが実情である。
このようなオーバーラップシュリンク包装において近年、食品の安全性、鮮度保持といった視点から流通におけるコールドチェーンが充実し、冷凍温度域での包装品の輸送が急増しており、内容物の低温状態をなるべく維持したまま包装したい、また、シュリンクトンネル温度を低くして消費電力を抑制したいとのニーズから、包装フィルムに低温収縮性が求められている。具体的には、良好な包装仕上がりを維持しつつ、包装体への加熱を最小限にするために、シュリンク包装のトンネル温度としては最も低いレベルにある100℃で包装することが望まれている。しかしながら、100℃で包装した場合に、引き裂き強度、突き刺し強度に優れ、仕上がり、ヒートシール性が良く、低残留張力のためトレー変形が少なく、かつ市場の要求する高い変形回復性を併せ持つフィルムは、従来の技術では不可能であった。
さらにこれらの特性に加えて、連続包装機の高速化に伴い、より生産性の高いシュリンク包装用フィルムが求められている。これらオーバーラップシュリンク包装に使用するフィルムとしては、ポリオレフィン系樹脂の多層フィルムが知られている。例えば、特許第3606611号公報(特許文献1)には芯層にポリプロピレン系共重合体樹脂、両表面層にエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、中間層に密度が特定されたエチレン−α−オレフィン共重合体からなる多層フィルムが開示されている。このフィルムは薄肉でも強度や底シール性に優れ、低温収縮性が良好である。
特開平9−226069号公報(特許文献2)には芯層にポリプロピレン系共重合体樹脂とポリブテン−1系樹脂の混合樹脂、両表面層にエチレン−酢酸ビニル共重合体、中間層に密度が特定されたエチレン−α−オレフィン共重合体からなる多層フィルムが開示されている。このフィルムは、薄肉でも引き裂き強度や突き刺し強度や底シール性、低温収縮性に優れ、包装時の破断防止効果を有し、突起物の包装にも利用が可能である。
特開2003−260764号公報(特許文献3)には、内部層に特殊な低結晶化度のポリプロピレン系共重合体樹脂を用いた、少なくとも3層以上で構成されたシュリンクフィルムが開示されている。このフィルムは柔軟性を有した樹脂を用いており、0℃前後のチルド域から−10℃前後の冷凍域での変形回復性が優れているとの記載がある。
特許第3526860号公報(特許文献4)には、芯層がポリプロピレン系樹脂と非晶性ポリプロピレン系共重合体との混合物あるいはポリプロピレン系樹脂と特定密度のエチレン−α−オレフィン共重合体との混合物からなり、両表面層がエチレン−酢酸ビニル共重合体、中間層が特定密度の線状低密度ポリエチレン樹脂からなる多層フィルムが開示されている。このフィルムは、フィルムのカット性、防曇性、光学特性、底シール性が良好である。
特開2007−30445号公報(特許文献5)、特開2007−30446号公報(特許文献6)には、結晶性プロピレン系重合体と非晶性または低結晶性α−オレフィン系重合体とからなる内部層を有する多層フィルムが開示されている。
しかしながらこれらの多層熱収縮性フィルムでは、いずれも高速連続包装機適性と収縮包装後の変形回複性、特に冷凍、冷蔵食品に多く見られる重量の大きい内容物を包装して段積み輸送した後の変形回複性を両立させることが困難であった。
特許第3606611号明細書 特開平9−226069号公報 特開2003−260764号公報 特許第3526860号明細書 特開2007−30445号公報 特開2007−30446号公報
本発明の課題は、突き刺し強度、ヒートシール性、低温収縮性等に加えて、良好な引き裂き強度により、良好な包装機適性を有し、低残留張力により、剛性の低いトレーにおいてもシュリンク包装時の変形を小さく抑えることが可能で、高速連続包装機適性と収縮包装後の変形回複性、特に重量の大きい内容物(冷凍、冷蔵食品)を包装して段積み輸送した後の変形回複性に優れる熱収縮性フィルムを提供することである。
本発明者らは、上記課題を達成する為に鋭意検討した結果、本発明の目的を達成するフィルムを発明するにいたった。すなわち、本発明は下記の通りである。
1.両表面層と少なくとも1層の芯層からなる熱収縮性多層フィルムであって、前記芯層が結晶性プロピレン系重合体20〜80重量%と非晶性プロピレン系重合体80〜20重量%とからなり、前記非晶性プロピレン系重合体が下記(a)〜(c)を満たすことを特徴とする熱収縮性多層フィルム。
(a)エチレン由来の単量体単位を有し、該単量体単位の含有量が5重量%を超え、12重量%未満。
(b)密度が0.870〜0.885g/cm3
(c)ショアーA硬度が90〜100。
2.前記表面層がエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体から選ばれる少なくとも1種の樹脂からなることを特徴とする前記1.に記載の熱収縮性多層フィルム。
3.前記表面層が、密度が0.850〜0.915g/cm3、メルトフローレートが0.2〜7.0g/10分であるエチレン−α−オレフィン共重合体を40重量%以上含むことを特徴とする前記1.または2.に記載の熱収縮性多層フィルム。
4.前記表面層と前記芯層との間に少なくとも一つの中間層を含み、該中間層が、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体とエチレン−酢酸ビニル共重合体との混合物、エチレン−α−オレフィン共重合体とエチレン−酢酸ビニル共重合体とプロピレン系重合体との混合物、のいずれかであって、かつ、前記エチレン−α−オレフィン共重合体の密度が0.850〜0.925g/cm3で、メルトフローレートが0.2〜7.0g/10分であり、さらにフィルム全体の厚みが5〜30μmであることを特徴とする前記1.〜3.のいずれかに記載の熱収縮性多層フィルム。
本発明の熱収縮性多層フィルムは、芯層として結晶性プロピレン系重合体と非晶性プロピレン系重合体からなる特定混合層を少なくとも一層含むことにより、高速化された連続包装機においてもカット性に優れ、縦裂伝播等の問題も無く好適に使用可能であり、優れた突き刺し強度、ヒートシール性、低温収縮性、低残留張力等を発現するばかりでなく、収縮包装時のトレー変形が少なく、収縮包装後においても変形回複性に優れる熱収縮性多層フィルムを提供出来、特に盛り上がった冷蔵包装品や冷凍包装品が流通において段積みして輸送される時に最も下に積まれる包装品のフィルムに発生する緩みやシワを抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。熱収縮性多層フィルムは、結晶性プロピレン系重合体20〜80重量%と非晶性プロピレン系重合体80〜20重量%からなる特定混合樹脂層を少なくとも一層、芯層として含んでいる。特定混合樹脂層中の結晶性プロピレン系重合体の組成割合は、好ましくは20〜70重量%、より好ましくは30〜60重量%、さらに好ましくは30〜50重量%である。結晶性プロピレン系重合体の割合が20重量%以上の場合はフィルムの腰や耐熱性を満足し、包装機械適性が向上して包装スピードが上げられ、ヒートシール性が完全になり、80重量%以下の場合は収縮包装後のフィルムに変形回復性が得られ、包装時にトレーまたは容器の変形を生じず、高い商品価値が得られる。
結晶性プロピレン系重合体としては、ホモのポリプロピレン、プロピレン含量が70重量%以上のプロピレンと、エチレンあるいは炭素原子数4〜20のα−オレフィンから選ばれる1種または2種以上との共重合体が好ましい。炭素原子数4〜20のα−オレフィンとしては、C4〜C8のα−オレフィンが好ましい。結晶性プロピレン系重合体に含まれるエチレンあるいはC4〜C8のα−オレフィンの含量は2〜10重量%が好ましく、4〜7重量%がより好ましい。
結晶性プロピレン系重合体の、X線回折法によって測定した結晶化度は30〜80%であることが好ましく、より好ましくは45〜80%、さらに好ましくは55〜80%である。また、DSC法による主融解ピーク温度が、120〜170℃の範囲であるものを使用するのが好ましい。結晶性プロピレン系重合体の融点が120℃以上の場合はフィルムに適度な耐熱性と腰を付与できる。耐熱性やヒートシール上限温度を高くできる点から、より好ましい融点は135〜170℃であり、更に好ましくは145〜165℃である。
結晶性プロピレン系重合体のJIS−K−7210に準じて測定されるメルトフローレートの値(条件:温度230℃、荷重2.16kg、後述する結晶性プロピレン系重合体についても同条件)は、延伸性の点で0.1〜7.0g/10分が好ましく、0.5〜4.0g/10分がより好ましい。
特定混合樹脂層中の非晶性プロピレン系重合体の組成割合は、変形回復性及びヒートシール性の点から、20〜80重量%であり、好ましくは30〜80重量%、より好ましくは40〜70重量%、さらに好ましくは50〜70重量%である。特定混合樹脂層中の非晶性プロピレン系重合体の量が80重量%以下の場合は耐熱性が向上し、シール温度範囲が広くなり、前述の如く熱収縮後の包装体が変形しないので実用上好ましい。20重量%以上の場合は、優れた変形回復性が得られる。
非晶性プロピレン系重合体としては、プロピレンと、エチレンまたは炭素原子数4〜20のα−オレフィンとから得られる共重合体が好ましい。非晶性プロピレン系重合体に含まれる該エチレンまたは炭素原子数4〜20のα−オレフィンの含有量としては6〜30重量%が好ましい。
ここで炭素原子数4〜20のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコサン等が挙げられる。非晶性プロピレン系重合体は、マルチサイト系触媒、シングルサイト系触媒、その他、いずれの触媒を用いて重合されたものでもよい。さらにポリマーの結晶/非晶構造(モルフォロジ−)をナノオーダーで制御したプロピレン系共重合体を使用することもできる。
非晶性プロピレン系重合体は、ショアーA硬度で90〜100のものを選択して用いる。フィルムに高い引張弾性率を付与する点と引裂強度の縦方向と横方向のバランスを調整する点から、ショアーA硬度が90以上であることを要する。ショアーA硬度が100以下でフィルムのゴム弾性が良好で回復性が確保される。
非晶性プロピレン系重合体は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)で測定される分子量分布(Mw/Mn)が、耐熱性と製膜安定性の点から、5以下であるものを選択して用いることが好ましく、より好ましくは4以下、更に好ましくは3以下である。
非晶性プロピレン系重合体に含まれるエチレン由来の単量体単位の含有量は4重量%を超え、12重量%未満である。エチレン由来の単量体単位の含有量が4重量%を上回ると、フィルムの製膜が安定し、フィルムの柔軟性が付与されることから好ましい。エチレン由来の単量体単位の含有量が12重量%未満であれば、冷凍、冷蔵食品に多く見られる、特に重量の大きい内容物を包装して段積み輸送した後の変形回複性が向上することから好ましい。また、非晶性プロピレン系重合体の密度は0.870〜0.885g/cm3である。非晶性プロピレン系重合体の密度が0.870g/cm3以上であると非晶性プロピレン系重合体の剛性が上がり、フィルムの引張弾性率を調整しやすいことから好ましく、非晶性プロピレン系重合体の密度が0.885g/cm3以下であると非晶性プロピレン系重合体のゴム弾性が良好となり、フィルムの変形回復性を調整しやすいことから好ましい。非晶性プロピレン系重合体は、単独でもよく、また、特性が異なる非晶性プロピレン系重合体の複数種を混合した物であってもよい。混合物の場合、混合物の物性値(エチレン由来の単量体単位の含有量、密度、ショアーA硬度)は混合した各非晶性プロピレン系重合体の重量比率から計算される平均値となる。
熱収縮多層フィルムの厚みに対する該特定混合樹脂層の占める厚みの比率としては、10〜80%が好ましく、10〜60%がより好ましく、さらに好ましくは20〜50%の範囲である。
上記特定混合樹脂層にはその本来の特性を損なわない範囲でその他の樹脂や添加剤を50重量%以下の範囲で配合してもよい。その他の樹脂としては、ポリブテン系樹脂、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、高圧法低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、結晶性1、2−ポリブタジエン等が挙げられる。ポリブテン系樹脂としては、ホモのポリブテン−1、ブテン−1含有量が70重量%以上のブテン−1とエチレンまたはプロピレンとの共重合体等が用い得る。
熱収縮性多層フィルムは、その両側表面に表面層が設けられている。表面層にはヒートシール性を有した樹脂を用いるのが好ましく、ヒートシール性を付与させるためにエチレン−酢酸ビニル共重合体及び、エチレン−α−オレフィン共重合体から選ばれる少なくとも1種の樹脂を使用することが好ましい。また、両表面層の組成は異なっていてもよい。防曇性を効果的に発現させるために各表層に少なくとも20重量%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体を使用するのがより好ましく、30重量%以上使用するのが更に好ましい。
両表面層に用いることができるエチレン−酢酸ビニル共重合体としては、その酢酸ビニル成分が5〜25重量%のものが好ましい。酢酸ビニル成分が5重量%以上ならばシール性が向上し、25重量%以下ならばフィルムの臭いの問題が無く、樹脂組成物をリサイクルした場合に熱安定性が向上するため、好ましい。
両表面層にエチレン−α−オレフィン共重合体を用いる場合、エチレン−α−オレフィン共重合体の密度は、0.850〜0.915g/cm3であることがヒートシール性の点で好ましい。メルトフローレートの値としては、0.2〜7.0g/10分が好ましい。メルトフローレートの値が0.2以上だと押出成形時の押出動力が上昇しないことや押し出された原反の表面平滑性が低下しないことから、また7.0以下だと延伸の安定性が保たれ、押出加工性が良好となることから好ましい。両表面層に用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体の量としては、良好な引き裂き強度、突き刺し強度を得る上で、40重量%以上使用することが好ましい。また、良好な防曇性及び底シール性を得る点から、エチレン−α−オレフィン共重合体を60重量%以下で、エチレン−酢酸ビニル共重合体を40重量%以上で使用することが望ましい。
使用されるエチレン−α−オレフィン共重合体はマルチサイト触媒、シングルサイト触媒、その他、いずれで重合されたものでもよいが、中でもメタロセン系触媒を用いて重合したエチレン−α−オレフィン共重合体は、ダイに付着する樹脂の分解物あるいは滞留物であるメヤニの発生量を抑制する上で好ましい。エチレン−α−オレフィン共重合体は、一般的にはエチレンと炭素数が3〜18のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種類の単量体との共重合体であり、α−オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、ドデセン−1等が挙げられ、さらに上記の単量体の他にポリエン構造を有する炭化水素、例えばジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、ノルボルネン系単量体(例えば、エチリデンノルボルネン)等を共重合してもよい。
熱収縮性多層フィルムは、表面層と芯層との間に少なくとも一つの中間層を含むことが好ましい。中間層は、1)引き裂き強度や突き刺し強度を向上させる強度付与層として、2)延伸の安定性を保つための延伸補助層として、さらに3)防曇性を持続させるための防曇剤の保持層として、また4)表層と芯層との接着性を向上させ、層間剥離を抑制するため、といった理由から設けることが好ましい。
中間層としては、特に上記1)及び2)の理由により、エチレン−α−オレフィン共重合体を40重量%以上使用する層であることが好ましく、より好ましくは40〜90重量%、更に好ましくは50〜80重量%である。
中間層には、その本来の特性を損なわない範囲でその他の樹脂や添加剤等を60重量%以下で配合してもよい。その他の樹脂としては、ポリブテン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタアクリル酸共重合体、アイオノマー樹脂、高圧法低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、これら樹脂を酸変性等により改質したもの、結晶性1、2−ポリブタジエン、非晶性のポリプロピレン系樹脂等が挙げられる。中間層に配合するポリブテン系樹脂として、ホモのポリブテン−1、ブテン−1含有量が70重量%以上のブテン−1とエチレンまたはプロピレンとの共重合体等を用いてもよい。中間層に配合する非晶性のポリプロピレン系樹脂として、プロピレンホモポリマーであって、かつアタクチックのポリプロピレンで結晶性が10〜30%の樹脂を用いてもよい。 また中間層には、一般にリサイクル原料と呼ばれる再加工ペレットを樹脂の一部として配合してもよい。特に、中間層の樹脂がエチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体とエチレン−酢酸ビニル共重合体との混合物、エチレン−α−オレフィン共重合体とエチレン−酢酸ビニル共重合体とプロピレン系重合体との混合物、のいずれかであることは好ましい
中間層に使用するエチレン−α−オレフィン共重合体としては、透明性、耐衝撃強度等に優れる点から、メタロセン系触媒を用いて重合したエチレン−α−オレフィン共重合体を使用することが好ましい。中間層に使用するエチレン−α−オレフィン共重合体の密度は、0.850〜0.925g/cm3のものがフィルムの安定性の付与及び変形回復性をより向上させる点で好ましい。熱収縮性多層フィルムの引張弾性率が240MPa以上を達成する上で、0.900g/cm3以上のものがより好ましい。また、低残留張力を損なわないのであれば、熱収縮性多層フィルムの変形回復性の点から、エチレン−α−オレフィン共重合体の密度は、0.910〜0.925g/cm3のものが更に好ましい。
また、中間層に使用するエチレン−α−オレフィン共重合体としては、密度が0.900〜0.910g/cm3のものと0.910〜0.925g/cm3のものを混合して使用してもよい。エチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレートの値としては、0.2〜7.0g/10分が好ましい。メルトフローレートの値が0.2g/10分以上なら押出成形時の押出動力が上昇しないことや押し出された原反の表面平滑性が低下しないことから、また7.0g/10分以下なら延伸の安定性が保たれることから、押出加工性が良好である。
熱収縮性多層フィルムに良好な防曇性と滑り性を付与する目的で、各層に添加剤等を配合してもよい。添加剤を配合する層として好ましい層は表面層であり、中間層が存在する場合は中間層にも加えることが好ましい。各層の樹脂への添加方法としてはマスターバッチだけでなく、工程が簡単な液体注入による添加でもよい。
使用される添加剤としては、多価アルコールの脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられる。多価アルコールの脂肪酸エステルとしては、炭素原子数が8〜18の飽和または不飽和脂肪酸のモノグリセリンエステル、ジグリセリンエステル、トリグリセリンエステル、テトラグリセリンエステル、ソルビタンエステルが好ましく、より好ましくは炭素原子数が12〜18の飽和または不飽和脂肪酸のモノグリセリンエステル、ジグリセリンエステル、トリグリセリンエステル、テトラグリセリンエステル、ソルビタンエステルである。
具体的には、モノグリセリンラウレート、モノグリセリンミリステート、モノグリセリンパルミテート、モノグリセリンステアレート、モノグリセリンオレート、モノグリセリンリノレート、ソルビタンラウレート、ソルビタンミリステート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレート、ソルビタンオレート、ソルビタンリノレート、ジグリセリンラウレート、ジグリセリンミリステート、ジグリセリンパルミテート、ジグリセリンステアレート、ジグリセリンオレート、ジグリセリンリノレート、トリグリセリンラウレート、トリグリセリンオレート、トリグリセリンステアレート、テトラグリセリントリグリセリンラウレート、テトラグリセリンオレート、テトラグリセリントリグリセリンステアレート等が挙げられるが、特にラウリン酸またはオレイン酸のモノエステルと、ラウリン酸またはオレイン酸のジエステルを併用することが防曇性と滑り性を両立するために好ましい。
多価アルコールの脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル以外の界面活性剤、酸化防止剤、帯電防止剤、石油樹脂、ミネラルオイル等の液体添加剤は、フィルムが防曇性を損なわない程度に各層に添加してもよい。
熱収縮性多層フィルムの厚みは5〜30μmが好ましい。8〜20μmの厚みのものが光学特性も良くコスト的に安価にかつ安定して生産できるのでより好ましい。
熱収縮性多層フィルムの引張弾性率は240MPa以上であることが好ましい。引張弾性率が240MPa以上で、重量が大きい冷凍包装品または冷蔵包装品の段積み輸送後のフィルムの回復性が良好となるので好ましい。また、高速包装時のフィルムの連続カット性や連続折込性も良好となり、高速連続包装機適性が向上するので好ましい。また、熱収縮性多層フィルムの引張弾性率は400MPa以下であることが好ましい。熱収縮性多層フィルムの厚みにもよるが、引張弾性率が400MPa以下で、トレーの変形が小さい範囲に留まりやすく好ましい。
熱収縮性多層フィルムの引裂強度は、ASTM−D−1992に準じて測定された値が、縦方向、横方向共に0.05〜2.00Nであることが好ましい。この範囲であれば、一般にフィルムの縦方向の引裂強度が横方向の引裂強度より1.5〜20倍強くなることと相まって、高速化された連続包装機でも好適に使用が可能である。引裂強度が0.05N以上で、縦裂けし難くなり好ましい。引裂強度が2.00N以下で、カット性が良好となり好ましい。包装品を容易に開封することや製造し易さ等考慮すると、引裂強度が0.1〜1.00Nで、かつフィルムの縦方向の引裂強度が横方向の引裂強度より2〜5倍強いフィルムが好ましい。
この熱収縮性多層フィルムは、低温収縮性に優れ、低残留張力により、剛性の低いトレーにおいてもシュリンク包装時の変形を小さく抑えることが可能である。熱収縮性多層フィルムは、特にオーバーラップシュリンク包装に使用されることが好ましく、オーバーラップシュリンク包装用途に使用した場合の熱収縮性多層フィルムには、連続包装機の包装スピードに対応できる適性、例えば、底シール性、短時間熱収縮特性、滑り性等がある。ここでいう短時間熱収縮特性とは、包装作業現場の省スペース、省力化、生産性の面でコンパクトな熱風シュリンクトンネルを使用する場合や高速で包装される際に、フィルムがシュリンクトンネルを短時間で通過する時間(後述の評価方法では1.5秒)で自由収縮する率のことである。
短時間熱収縮特性の測定方法については後述の4.フィルムの短時間熱収縮率のとおりである。100℃における流れ(MD)方向と幅(TD)方向とを平均した短時間熱収縮率は、10%以上であることが好ましく、より好ましくは15%以上である。上記の熱収縮率が10%以上であれば、得られるフィルムは基本的に低温収縮性に優れ、例え冷凍状態の盛り上がった食品にフィルムの大部分が接触していても熱収縮後によりタイトで仕上がりの良い包装体が得られる。また、この値が15%以上であれば、特に段積み輸送されても輸送後のフィルムにシワや緩みの発生がほとんど抑制されるために好ましい。100℃におけるMD方向あるいはTD方向の熱収縮率の上限は、保管、流通過程における寸法変化(ロール状の巻物の場合、巻き芯と外側での幅寸法の差が問題となる。)に悪影響が生じない範囲であれば制限されないが、70%以下が好ましく、より好ましくは60%以下である。
熱収縮性多層フィルムの100℃におけるフィルムのMD方向とTD方向の平均残留張力は、0.1N/10mm幅以下で0.01N/10mm幅以上であることが好ましい。0.1N/10mm幅以下だと、トレーオーバーラップ包装体の変形が小さく、商品外観上好ましい。より好ましい平均残留張力は0.08N/10mm幅以下である。また、0.01N/10mm幅以上であると輸送後のシワや緩みが抑制される。
熱収縮性多層フィルムの優れた効果は、上記で規定したフィルムの平均短時間熱収縮率及び平均残留張力とともに、前述の特定混合樹脂層との組み合わせにおいて初めて達成されるものである。
オーバーラップシュリンク包装用に使用する場合の熱収縮性多層フィルムの構成は、ヒートシール性を有する両表面層と、少なくとも1層の上記特定混合樹脂層を含む内部層とからなり、表面層と特定混合樹脂層との層関剥離を抑制するために、両表面層と特定混合樹脂層との間に中間層を少なくとも一つ含む多層フィルムであることが好ましい。
層の数としては、層間剥離の抑制や、裏と表を区別して使用しなくても良い点、延伸安定性の点から、5層であることが好ましいが、表面層と上記特定混合樹脂層との中間層を各々2層にして、合計で7層にしてもよい。
次に、熱収縮性多層フィルムの製造方法について説明する。まず各層を構成する樹脂をそれぞれの押出機で溶融して、単層あるいは多層ダイで共押出し急冷固化して、単層あるいは多層フィルム原反を得る。押出法は、Tダイ法、サーキュラー法等が用いることができるが、好ましくは後者がよい。
このようにして得たフィルム原反を加熱して、配向を付与するのに適当な温度条件下で延伸を行なう。好ましい延伸温度は40〜90℃の温度であり、より好ましくは45〜70℃の範囲の温度である。低温収縮性をより重視する場合は45〜60℃で延伸することが更に望ましい。また、熱収縮性多層フィルムの表面層あるいは中間層に使用するエチレン−α−オレフィン共重合体の密度と使用比率に応じて延伸温度を適宜調整すればよい。
延伸方法としては、ロール延伸法、テンター法、インフレ法(ダブルバブル法を含む)等があるが、同時二軸延伸で製膜される方法が延伸性その他合理性等より好ましい。また、延伸は少なくとも1方向に面積延伸倍率で3〜50倍が好ましく、さらに好ましくは4〜40倍で延伸し、用途により必要な熱収縮率等に応じて適宜選択される。また、必要に応じ、後処理、例えば寸法安定性のためのヒートセット、他種フィルム等とのラミネーションが行なわれてもよい。
更に、熱収縮性多層フィルムは、その少なくとも1つの層が架橋されていてもよく、その場合、厚み方向における架橋度がほぼ均一であっても、特定の層が主に架橋されていても、一方の表層が主で厚み方向に漸次変化するケース、両表層が主であっても、また厚み方向に適時分布を有していてもよい。
架橋処理は、延伸製膜を行なう前、後、自由に電子線(例えば、50〜1000kVのエネルギーのもの)、紫外線、X線、α線、γ線等のエネルギー線により片面、両面に照射、また厚み方向に架橋分布、同傾斜(例えば、片側の表層が架橋)が生ずるような照射を行なう等の方法、又はパーオキサイド等(場合により、特定層に架橋助剤、特定層に架橋遅延剤等の併用もよい)の添加後に加熱処理を行なう方法、又は両方法の併用等の他、公知の方法により改質処理を行なってもよく、電子線(例えば、50〜1000kVのエネルギーで透過深度を所定にコントロールして)による方法などを用いることができる。架橋処理により、耐熱性、ヒートシール性、特に高速包装におけるシール性がより向上するため、必要に応じて用いられる。
熱収縮性多層フィルムは、通常の包装機に使用が可能であることは勿論、高速連続包装機にも好適に使用が可能であり、低温収縮性、引き裂き強度、突き刺し強度、ヒートシール性及び収縮包装後の変形回複性に優れ、トレー変形の少ない特徴を有し、流通工程を経ても、シュリンクさせることによりタイトに仕上がった包装体の外観が維持されることから、店頭に陳列された場合も商品性を低下させないシュリンク包装フィルムとして好適である。また、オーバーラップシュリンク包装にも最適である。
ここで、実施例等において、各種物性評価に用いた測定方法及び評価方法をまとめて説明する。
1.密度
JIS−K−7112に従って測定した。
2.メルトフローレート(以下、MFRと記す)
MFRはJIS−K−7210に従って測定した。エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体については温度190℃、荷重2.16kgの条件下で測定した。結晶性プロピレン系重合体、非晶性プロピレン系重合体、熱可塑性エラストマ−のMFRについては温度230℃、荷重2.16kgの条件下で測定した。
3.引張弾性率
ASTM−D−882−81法に従って測定した。
4.フィルムの短時間熱収縮率
70mm角に切ったフィルムの中心において50mmの正方形をマジックペン(油性)で記入し、さらに正方形の各辺の中央に印を記入する。そのフィルムサンプルを長さ180mm×幅120mm×高さ30mm×厚み3mmの発泡ポリスチレン(PSP)トレーの内底中央に自由収縮可能な状態でテープでその端を固定させ、設定温度100℃で運転した協和電気(株)製のC−300型トンネルに通過時間1.5秒間で通過させる。なお、上記PSPトレーにはあらかじめ熱風によって吹き上げられない程度の錘をフィルムサンプルへの障害にならないように取り付ける。
通過後十分冷却された状態で、フィルムに記入した正方形の各辺の中央の印から相対する印同士の距離(MD方向、TD方向)を測定し、0.5mm単位まで読み取って以下の式からMD方向、TD方向各々の熱収縮率を計算する。フィルムのMD方向、TD方向の熱収縮率の平均値を平均短時間熱収縮率とする。
熱収縮率(%)=100×(元の長さ50mm−熱収縮後の長さmm)/50mm
5.低温収縮性
上記4の方法により測定される熱収縮率を使用して、以下の基準で評価する。
〔評価基準〕
◎:100℃における平均短時間熱収縮率が15%以上:100℃以下の低温収縮包装において、美麗にシュリンク包装体が得られるレベル。
○:100℃における平均短時間熱収縮率が10%以上かつ15%未満:100℃以下の低温収縮包装において、好ましいレベル。
△:100℃における平均短時間熱収縮率が5%以上かつ10%未満:100℃以下の低温収縮包装において、小じわが出たりして使用が困難なレベル。
×:100℃における平均短時間熱収縮率が5%未満:包装仕上がりが悪く、100℃以下の低温収縮包装のフィルムとしての使用ができないレベル。
6.フィルムの残留張力(トレー変形抑制効果)
以下の方法で100℃の温度にてMD、TDについて各測定n数を5として測定し、その平均値を各温度、各方向(MD、TD)の残留張力とする。
フィルム試料を測定方向(MD、TD)に長さ70mm、幅10mmの寸法に切り取る。両端各10mmはフィルム装着に使用する。実測の長さ(チャック間距離)は50mmとした。フィルムサンプルを100℃に保持されたシリコンオイルに2.0秒間浸漬した後、発生している熱収縮力の測定が維持された状態で直ちに引き上げて約23℃の雰囲気下に置いた。引き上げてから2分経過後の熱収縮力を残留張力とする。MD方向、TD方向の熱収縮力の平均値を100℃における平均残留張力とする。熱収縮力の測定はASTM D−2838に準拠して測定する。
7.トレー変形抑制
上記6の方法により測定される残留張力を使用して、以下の基準で評価する。
〔評価基準〕
◎:100℃における平均残留張力が0.01N/10mm幅以上、かつ0.08N/10mm幅未満:剛性の低い軟弱トレーにおいても変形が発生しにくく、商品性に優れる。
○:100℃における平均残留張力が0.08N/10mm幅以上で0.10N/10mm幅未満:トレー変形が発生しにくく、商品性が良好。
△:100℃における平均残留張力が0.10N/10mm幅以上で0.13N/10mm幅未満:トレー変形が発生しやすいレベル。
×:100℃における平均残留張力が0.13N/10mm幅以上:トレー変形が大きく問題となるレベル。
8.フィルムの押込回復性
100gの粘土を入れた長さ195mm×幅155mm×高さ35mmのPSPトレーを直線式包装機(STC−N2:大森機械工業製)と共和電気(株)製のシュリンクトンネル(C−300型トンネル)とフィルムを用いて、設定温度100℃×通過時間1.5秒のトンネル条件でオーバーラップシュリンク包装する。包装物の中央に1000mm/分の一定速度で直径15mmの金属の丸棒(先端が半径7.5mmの半球)を25mmの深さまで押込み、引き抜いた直後(丸棒がフィルムに接触してから3秒後)から、押込みによって生じた押し跡がなくなるのに要する時間を測定する。この時、フィルムを押込む位置は、トレーの開口部の中央(MD及びTD方向の真中)と開口部のひとつの角の間に線を引いたときの中間の位置になるようにした。また、中の粘土は、押込み時にフィルムに接触しないようにする。トレー側面4箇所の内、2つの側面に直径2mmの穴を1個空けて、中の空気の出入りができるようにし、包装時に空気が入って膨れることで測定値に影響が出ないようにする。
〔評価基準〕
◎:20秒以下:包装後の変形回複性に大変優れ、段積み輸送や冷凍品包装においてもユルミやシワが発生しにくいレベル。
○:20秒を超え35秒以下:包装後の変形回複性に優れるが、条件によっては段積み輸送や冷凍品包装においてユルミやシワが発生するレベル。
△:35秒を超え60秒以下:包装後の変形回複性が良好でなく、段積み輸送や冷凍品包装においてユルミやシワが発生するレベル。
×:60秒を超える:包装後の変形回複性が期待できず、段積み輸送や冷凍品包装において大きなユルミやシワが発生し、概観が著しく低下するレベル。
9.曇り度
フィルムの押込回復性と同様な方法と条件で、オーバーラップシュリンク包装した包装体の上面のフィルムを切り出して、ASTM D−1003に準拠して測定する。
10.光沢度
フィルムの押込回復性と同様な方法と条件で、オーバーラップシュリンク包装した包装体の上面のフィルムを切り出して、ASTM D−2457に準拠して測定する。
11.光学特性
上記9及び10の方法により測定される曇り度と光沢度を使用して、以下の基準で評価する。
〔評価基準〕
◎:熱収縮後の曇り度が2.5%以下でかつ、光沢度が140%以上:高級感があり、極めて商品価値が高いレベル。
○:熱収縮後の曇り度が2.5%を越えて3%以下。あるいは光沢度が130%以上140%未満:美麗に仕上がり、商品価値が認められるレベル。
△:熱収縮後の曇り度が3%を越えて5%以下。あるいは光沢度が110%以上130%未満:商品性に劣り、使用がかなり困難なレベル。
×:熱収縮後の曇り度が5%を越える。あるいは光沢度が110%未満:実用レベルになく、商品価値が無いと判断されるレベル。
12.動摩擦係数
ASTM D−1894に基づいて測定し、その測定に用いるライダーを500gの梨地金属製のものにして測定した場合の動摩擦係数を測定する。
13.滑り性
上記12の方法により測定される動摩擦係数を使用して、以下の基準で評価する。
〔評価基準〕
◎:0.35以下:滑り起因の包装機トラブルが発生しない、良好なレベル。
○:0.35を越えて0.40以下:実用レベル。
△:0.40を越えて0.50以下:フィルム破れが多発する場合があり、使用が困難なレベル。
×:0.50を越える:フィルム破れが多発する場合があり、実用レベルでない。
14.引裂強度
ASTM−D−1992に準拠して測定した。軽荷重引き裂き試験器(東洋精機製)を用いて、縦方向と横方向の引き裂き強度を測定する。
15.カット性
上記14の方法により測定される引裂強度を使用して、以下の基準で評価する。
〔評価基準〕
◎;横方向の引き裂き強度が0.1N以下:カット性が良好なレベル。
○;横方向の引き裂き強度が0.1Nを超え0.3N以下:カット性が実用レベル。
△;横方向の引き裂き強度が0.3Nを超え0.4N以下:カット起因のトラブルが多発する場合があり、使用が困難なレベル。
×;横方向の引き裂き強度が0.4Nを超える。:カット起因のトラブルが多発し、実用レベルでない。
16.ノッチ伝播性
上記14の方法により測定される引裂強度を使用して、以下の基準で評価する。
〔評価基準〕
◎;縦方向の引き裂き強度が0.2N以上:縦に裂けるトラブルが発生しない。
○;縦方向の引き裂き強度が0.1N以上〜0.2N未満:フィルムが縦に裂けるトラブルがほとんど発生しない実用レベル。
△;縦方向の引き裂き強度が0.02N以上〜0.1N未満:フィルムを張りすぎるとフィルムが縦に裂けるトラブルが場合があり、使用が困難なレベル。
×;縦方向の引き裂き強度が0.02N未満:フィルムが縦に裂けるトラブルやカット起因のトラブルが多発し、実用レベルでない。
17.高速連続包装機適性
市販の底シール型であり、オーバーラップシュリンクタイプの包装機である直線型ストレッチシュリンク包装機(大森機械社製STN−8600等)と協和電気(株)製のシュリンクトンネル(C−300型トンネル)にて1分間に80個の速度で100個連続包装を行い、非常に高速で過酷な評価包装機での不良個数%と包装仕上りを以下のように評価を行った。その時のトレーはPSPトレーを用い、内容物は角がある約200gの直方体の樹脂の塊を用いた。包装機での不良とは、例えば、破れ、シール不良等であり、再包装が必要となるものは特に市場では問題になる。特に引裂強度のバランスが縦方向の引裂強度の方が弱い場合には縦裂き伝播が発生し連続的に不良となった。この実験では樹脂の塊の角で破れるものもあった。又、包装品の仕上り評価とは、白化、艶、容器変形、フィルム弛み等の美麗を損なう要因について評価を行った。これらはシュリンクトンネル等の条件による影響が大きく、それぞれのフィルムにおいて、一番仕上り状態の良い最適条件にて評価を行った。
〔評価基準〕
◎:包装機での不良個数%が0%であり高速包装機適性良好であるレベル:包装仕上りも高品質レベル
○:包装機での不良個数%が0%を超えて10%以下であり高速包装機適性があるレベル:包装仕上りも問題無いレベル
△:包装機での不良個数%が10%を超えて50%以下であり、高速包装機にはかかるが、ロスが多く問題が残るレベル:或いは、白化、艶等光学特性を損なっていたり、容器変形していたり、フィルムが弛んでいたりしており、仕上りが満足され難いレベル。
×:包装機での不良個数%が50%を超えており、高速包装機適性が無いレベル。
18.突き刺し強度
農林規格第10条に準じて、フィルムを内寸法で125mm×125mmの木枠に固定し、その中心部に直径1.0mm、先端形状0.5mmRの針を50±5mm/分の速度で突き刺し、針が貫通するまでの最大荷重を測定し、その値を突き刺し強度とする。
19.ヒートシール性
100gの粘土を入れた長さ195mm×幅155mm×高さ35mmのPSPトレーを、直線式包装機(STC−N2:大森機械工業製)と共和電気(株)製のシュリンクトンネル(C−300型トンネル)とフィルムとを用いて、1分間に50個の速度でオーバーラップシュリンク包装する。底シール温度は165℃にして、ヒータートンネル条件は設定温度100℃で、通過時間1.5秒とする。この包装品を目視に低下の評価基準に従って評価した。
〔評価基準〕
◎;底ヒートシール部分の剥離が無く、無理に剥離しようとするとフィルムが伸びたり、破れたりする程に十分溶着している。
○;底ヒートシール部分の剥離は無いが、部分的なめくれや収縮による凹凸が発生
している。
△;底ヒートシール部分を剥離しようとするとフィルムが伸びたり、破れることなく、ヒートシール部を剥離できる
20.フィルムの防曇性
500mlのビーカーに20℃に調節した水を入れ、ビーカーの口をフィルムで密閉する。そのビーカーを2℃に調整した冷蔵ショーケースに保管し、120分後フィルムについた水滴の状態や視認性にて5点が良好満点として防曇性の評価を行う。
〔評価基準〕
○:全く曇りがない。
△:部分的に曇りがある。
×:全面的に曇っている。
21.包装品の仕上がり
次の方法にて包装品の仕上がりの評価サンプルを作成する。−20℃の冷凍庫で冷凍した水練り品(円盤状の天ぷら×4枚)約240gを載せた長さ198mm×幅113mm×高さ18mmのPSPトレーを、直線式包装機(STC−N2:大森機械工業製)と協和電気(株)製のC−300型トンネルとフィルムとを用いて、設定温度100℃×通過時間1.5秒のトンネル条件でオーバーラップシュリンク包装する。これを目視にて以下の評価基準で評価した。
〔評価基準〕
○:ユルミやシワがなく、良好な外観状態。
△:部分的にユルミやシワがあり、良好でない外観状態。
×:全体的にユルミやシワがあり、極めて悪い外観状態。
22.包装品の輸送後の回復性(小荷重)
−20℃の冷凍庫で冷凍した水練り品(円盤状の天ぷら×4枚)約240gを載せた長さ198mm×幅113mm×高さ18mmのPSPトレーを、直線式包装機(STC−N2:大森機械工業製)と協和電気(株)製のシュリンクトンネル(C−300型トンネル)とフィルムとを用いて、設定温度100℃×通過時間1.5秒のトンネル条件でオーバーラップシュリンク包装する。包装品を3段に積重ねて2列にして、段ボールに入れ、片道約400kmの距離を車で往復輸送させる。輸送時の温度は、冷蔵温度(0〜10℃)とし、段ボール内には、3段積みしたトレーと別の3段積みしたトレーの間には段ボールの板を挿入して、互いに緩衝しないようにする。また、一番上のトレーと段ボールの蓋の間には、隙間が無い程度に緩衝材を入れる。往復輸送後の包装品の状態を目視にて、以下の評価基準に従って評価した。
〔評価基準〕
○:ユルミやシワがなく、良好な外観状態。
△:部分的にユルミやシワがあり、良好でない外観状態。
×:全体的にユルミやシワがあり、極めて悪い外観状態。
23.包装品の輸送後の回復性(大荷重)
0℃の冷凍庫で保管した水練り品(円盤状の天ぷら×12枚)約720gを載せた長さ225mm×幅194mm×高さ25mmのPSPトレーを、直線式包装機(STC−N2:大森機械工業製)と協和電気(株)製のシュリンクトンネル(C−300型トンネル)とフィルムとを用いて、設定温度100℃×通過時間1.5秒のトンネル条件でオーバーラップシュリンク包装する。包装品を3段に積重ねて2列にして、段ボールに入れ、片道約400kmの距離を車で往復輸送させる。輸送時の温度は、冷蔵温度(0〜10℃)とし、段ボール内には、3段積みしたトレーと別の3段積みしたトレーの間には段ボールの板を挿入して、互いに緩衝しないようにする。また、一番上のトレーと段ボールの蓋の間には、隙間が無い程度に緩衝材を入れる。往復輸送後の包装品の状態を目視にて、以下の評価基準に従って評価した。
〔評価基準〕
○:ユルミやシワがなく、良好な外観状態。
△:部分的にユルミやシワがあり、良好でない外観状態。
×:全体的にユルミやシワがあり、極めて悪い外観状態。
以下に本発明を実施例、比較例により具体的に説明する。なお、実施例及び比較例において使用した防曇剤は次のとおりである。
(a)グリセリンモノオレート(理研ビタミン社製、商品名「リケマール(登録商標)OL−100E」)、
(b)ジグリセリンラウレート(理研ビタミン社製、商品名「リケマール(登録商標)L−71−D」)、
(c)ジグリセリンオレート(理研ビタミン社製、商品名「リケマール(登録商標)O−71−D」)、
実施例及び比較例において使用した樹脂は次のとおりである。
(A)エチレン−α−オレフィン共重合体1(シングルサイト触媒で重合されたもの、α−オレフィン=ヘキセン−1、密度=0.904g/cm3、MFR=4.0g/10分)
(B)エチレン−α−オレフィン共重合体2(シングルサイト触媒で重合されたもの、α−オレフィン=ヘキセン−1、密度=0.912g/cm3、MFR=2.0g/10分)
(C)エチレン−α−オレフィン共重合体3(シングルサイト触媒で重合されたもの、α−オレフィン=ヘキセン−1、密度=0.921g/cm3、MFR=2.2g/10分)
(D)エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含量=15質量%、MFR=2.2g/10分)
(E)エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含量=15質量%、MFR=1.0g/10分)
(F)結晶性ポリプロピレン系樹脂(エチレン含量約4%、融点162℃、MFR=1.8g/10分)
(G)非晶性プロピレン系重合体(I):プロピレン−エチレン共重合体(ダウケミカル日本(株)製Versify2200、エチレン含量約9%、密度=0.876g/cm3、ビカット軟化点(ASTM D−1525)61℃、MFR=2g/10分、ショアーA硬度=95(ASTM D−2240))
(H)非晶性プロピレン系重合体(II):プロピレン−エチレン共重合体(ダウケミカル日本(株)製Versify2300、エチレン含量約12%、密度=0.866g/cm3、ビカット軟化点(ASTM D−1525)30℃、230℃、荷重2.16kgの条件下で測定したMFRが2g/10分))、ショアーA硬度=88(ASTM D−2240))
(J)非晶性プロピレン系重合体(III):プロピレン−エチレン共重合体(ダウケミカル日本(株)製Versify2000、エチレン含量約5%、密度=0.888g/cm3、ビカット軟化点(ASTM D−1525)30℃、230℃、荷重2.16kgの条件下で測定したMFRが2g/10分、ショアーA硬度=96(ASTM D−2240))
(K)非晶性プロピレン系重合体(IV):プロピレン−エチレン共重合体であり、非晶性プロピレン系重合体(I)60重量部と非晶性プロピレン系重合体(II)40重量部とからなる混合物。(エチレン含量約10%、密度=0.872/cm3、MFR=2g/10分、ショアーA硬度=92(STM D−2240))
(L)非晶性プロピレン系重合体(V):プロピレン−エチレン共重合体であり、非晶性プロピレン系重合体(i)70重量部と非晶性プロピレン系重合体(III)30重量部とからなる混合物。(エチレン含量約7%、密度=0.880/cm3、MFR=2g/10分、ショアーA硬度=95(ASTM D−2240))
(M)非晶性プロピレン系重合体(VI):非晶性ポリプロピレン系樹脂(非晶性プロピレン重合体85重量部及び結晶性ポリプロピレン15重量部からなる樹脂組成物、住友化学(株)製 タフセレン(登録商標)T3512、密度=0.86g/cm3、MFR=3.0g/10分、ショアーA硬度=61(ASTM D−2240))
(N)熱可塑性エラストマー(I):TPO:ポリオレフィン系エラストマー(サンアロマー(株)製 T100F、密度=0.89g/cm3、MFR=3.0g/10分、ショアーA硬度=85(ASTM D−2240))
(P)熱可塑性エラストマー(II):スチレンブタジエンブロック共重合体の水素添加物(旭化成ケミカルズ(株)製 タフテック(登録商標)H1221、スチレン−エチレン−ブタジエンのブロック共重合体、密度=0.89g/cm3、MFR=4.5g/10分、ショアーA硬度=42(ASTM D−2240))
[実施例1〜10]
表1、2、3の実施例1〜4、7〜10に示すような樹脂及び添加剤を用いて、3台の押出機を使用し、3種5層の環状ダイスより両表面層、芯層、中間層からなる5層構成のチューブを溶融押出し、水冷リングを用いて急冷却して未延伸チューブ(パリソン)を得た。各層所定の比率となるように、各押出量を設定し、断面観察にて層構成を確認した。防曇剤の添加方法は、表1〜3に示す防曇剤を押出機のスクリューの圧縮部手前に高圧ポンプにて注入する方法を用いた。防曇剤の添加手段としては液体注入法で行った。未延伸チューブ成形用の押出機は一軸のものを用い、スクリューはダルメージスクリューを用いた。表2の実施例5、6については、2種3層の環状ダイスを用い、3層構成のチューブを形成させ、2台の押出機を使用し、上記と同様にして加工した。
得られた未延伸チューブを延伸部に送り、必要に応じて赤外加熱ヒーターも併用し、熱風加熱にて加熱してチューブ内に空気を圧入してバブルを形成し、延伸を行った。MD方向(MD)の延伸倍率は、加熱入りのピンチローラーの速度と巻取機の速度との速比で調整した。デフレーター部で折りたたんだ後、若干のヒートセットを50℃で行って巻取機にて巻き取ってフィルム原反を採取した。この時のフィルムの巾とパリソン巾との比をTD方向(TD)の延伸倍率とした。延伸倍率についてはバブルが一番安定する倍率を用い、所定の厚みとなるよう押出量にて調整した。次いでスリッターにて、ダブルのフィルム原反よりシングルに剥ぎながらスリットを行い、実施例1〜10の多層フィルムを得た。表7、8に評価結果を示す。いずれの評価項目に関しても良好な結果であった。
[比較例1〜7]
表4〜6の比較例1〜7に示す樹脂及び添加剤を用い、実施例1〜4と同様にして比較多層フィルムを得て、評価を行った。表9に評価結果を示す。いずれの比較例もいずれかの評価項目が好ましくない結果となった。
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Claims (4)

  1. 両表面層と少なくとも1層の芯層とからなる熱収縮性多層フィルムであって、前記芯層が結晶性プロピレン系重合体20〜80重量%と非晶性プロピレン系重合体80〜20重量%とからなり、前記非晶性プロピレン系重合体が下記(a)〜(c)を満たすことを特徴とする熱収縮性多層フィルム。
    (a)エチレン由来の単量体単位を有し、該単量体単位の含有量が5重量%を超え、12重量%未満。
    (b)密度が0.870〜0.885g/cm3
    (c)ショアーA硬度が90〜100。
  2. 前記表面層が、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体から選ばれる少なくとも1種の樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の熱収縮性多層フィルム。
  3. 前記表面層が、密度が0.850〜0.915g/cm3、メルトフローレートが0.2〜7.0g/10分であるエチレン−α−オレフィン共重合体を40重量%以上含むことを特徴とする請求項1または2に記載の熱収縮性多層フィルム。
  4. 前記表面層と前記芯層との間に少なくとも一つの中間層を含み、該中間層が、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体とエチレン−酢酸ビニル共重合体との混合物、エチレン−α−オレフィン共重合体とエチレン−酢酸ビニル共重合体とプロピレン系重合体との混合物、のいずれかであって、かつ、前記エチレン−α−オレフィン共重合体の密度が0.850〜0.925g/cm3で、メルトフローレートが0.2〜7.0g/10分であり、さらにフィルム全体の厚みが5〜30μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱収縮性多層フィルム。
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