JP2015147302A - 熱収縮多層フィルム及びそれを用いた包装袋 - Google Patents

熱収縮多層フィルム及びそれを用いた包装袋 Download PDF

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太一 水谷
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Abstract

【課題】自動包装機適性及びカット性に優れ、収縮包装が可能であり、電子レンジ加熱時にヒートシール部が開口し、蒸気を逃がすことで加熱時の膨張を適度に抑えることが可能な包装袋を実現可能にする、熱収縮多層フィルムを提供すること。【解決手段】基材層と該基材層に積層された少なくとも一層のヒートシール層とを備える熱収縮多層フィルムであって、シール温度110℃でヒートシールしたときのヒートシール強度が100〜1200gf/30mm巾であり、前記熱収縮多層フィルムの流れ方向及び該流れ方向に垂直な垂直方向において、ASTM D2732に準拠した110℃における熱収縮率が10%以下、且つ140℃における熱収縮率が30%以上であり、前記流れ方向及び前記垂直方向における引裂強度がいずれも1.0〜8.0gfであり、ゲル分率が15〜60質量%である、熱収縮多層フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、易カット性の熱収縮多層フィルム及びそれを用いた包装袋に関する。
従来、飲食料品、医薬品、化粧品、産業部材、化成品、その他の物品を充填包装するために、様々な形態のプラスチック製包装容器が開発され提案されている。プラスチック製包装容器を充填包装するために、プラスチック製包装容器の開口部をフィルムによりシールする必要がある。そして、飲食料品など内容物の品質の保護及び保存期間の延長などの要望により、開口部をシールするフィルムがヒートシール性に優れることが要求されている。また、充填包装に用いるフィルムが内容物を完全に密封することも要求されている。
また、食料品を覆う包装方法として、例えば、家庭用ラップ包装、オーバーラップ包装、ひねり包装、袋詰め包装、スキン包装、シュリンク包装、ストレッチ包装、ピロー包装などが挙げられる。特に、シュリンク包装やピロー包装、トップシール包装の連続包装機は近年高速化の開発傾向にある。それに伴って連続包装で使用されるフィルムへの要求特性に対し、種々の層構成、樹脂組成からなるフィルムが開発され提案されている。
中でも、うどんやラーメンなどの冷凍麺や冷蔵麺の包装体においては、電子レンジで加熱調理する場合の火傷を防止する為、剛性を有し、電子レンジ加熱による収縮が無く、任意の方向に易カットできる直進カット性に優れたフィルムが要求されている。
例えば、特許文献1には、剛性を有し、熱収縮特性に優れたフィルムとして、中間層に中高密度ポリエチレンを使用し、表面層にヒートシール層として、エチレン−α−オレフィン共重合体を用いた、熱収縮性多層シュリンクフィルムが開示されている。
特開2010−094967号公報
しかしながら、特許文献1に開示されたフィルムを用いて汎用の包装機で冷凍麺をヒートシールした場合、包装体を電子レンジで加熱した際に、包装体内部の蒸気が膨張して大きく膨らみ、破裂する場合がある。
本発明が解決しようとする課題の一つは、自動包装機適性及びカット性に優れ、上述したような従来技術における問題点を解決し得る、収縮包装が可能であり、電子レンジ加熱時にヒートシール部が開口し、蒸気を逃がすことで加熱時の膨張を適度に抑えることが可能な、包装袋を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする課題の一つは、上述のような包装袋を実現可能にする、熱収縮多層フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決する為鋭意検討した結果、特定のヒートシール強度、熱収縮率、引裂強度及びゲル分率を有する熱収縮多層フィルムによって、上記課題を解決し得る包装袋を実現し得ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の熱収縮多層フィルム及び包装袋を提供する。
[1]基材層と該基材層に積層された少なくとも一層のヒートシール層とを備える熱収縮多層フィルムであって、
シール温度110℃でヒートシールしたときのヒートシール強度が100〜1200gf/30mm巾であり、
前記熱収縮多層フィルムの流れ方向及び該流れ方向に垂直な垂直方向において、ASTM D2732に準拠した110℃における熱収縮率が10%以下、且つ140℃における熱収縮率が30%以上であり、
前記流れ方向及び前記垂直方向における引裂強度がいずれも1.0〜8.0gfであり、
ゲル分率が15〜60質量%である、熱収縮多層フィルム。
[2]前記基材層が、高密度ポリエチレン65〜95質量%と高圧法低密度ポリエチレン5〜35質量%とを含有する第一の樹脂組成物を架橋処理してなる架橋組成物を含み、
前記ヒートシール層が、高圧法低密度ポリエチレン55〜95質量%と線状低密度ポリエチレン5〜45質量%とを含有する第二の樹脂組成物を含む、[1]に記載の熱収縮多層フィルム。
[3][1]又は[2]に記載の熱収縮多層フィルムを用いた包装袋。
[4]冷凍麺又は冷蔵麺包装用である、[3]に記載の包装袋。
[5][1]又は[2]に記載の熱収縮多層フィルムを用いて被包装物を包装してなる、包装体。
本発明によれば、冷凍又は冷蔵下での保管又は輸送における実用的なシール強度を有しながらも、電子レンジ加熱時には適度に蒸気を逃がして包装体の膨張を抑えることが可能であり、且つ、低引裂強度でカット性に優れた包装袋を提供することができる。また、本発明によれば、上述の包装袋を実現可能な熱収縮多層フィルムを提供することができる。
本発明の好適な実施形態について以下に説明する。
以下、本発明を実施するための一形態(以下、本実施の形態という。)について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施の形態の熱収縮多層フィルム(以下、単に「フィルム」と略記する場合がある)は、基材層(I)と、該基材層(I)に積層された少なくとも一層のヒートシール層(II)とを備える。
本実施の形態の熱収縮多層フィルムは、シール温度110℃でヒートシールしたとき、100〜1200gf/300mm巾のヒートシール強度を示すものである。このようなヒートシール強度によれば、包装後の保管時や輸送時におけるシールパンクが十分に抑制される。また、電子レンジ加熱時には適度に蒸気を逃して包装体の膨張を抑制することが可能となる。
熱収縮多層フィルムの、シール温度110℃でヒートシールしたときのヒートシール強度は、好ましくは200〜1200gf/30mm巾であり、更に好ましくは300〜1000gf/30mm巾である。
本実施の形態の熱収縮多層フィルムは、その流れ方向(MD)及びそれに垂直な垂直方向(TD)における110℃での熱収縮率が、いずれも10%以下である。なお、本明細書中、熱収縮率は、ASTM D2732に準拠した熱収縮率である。110℃における熱収縮率が10%以下であることで、ヒートシール時のシール部分の収縮を抑制することができる。MD及びTDにおける110℃での熱収縮率は、好ましくは8%以下、より好ましくは5%以下である。
本実施の形態の熱収縮多層フィルムは、MD及びTDにおける140℃での熱収縮率が、いずれも30%以上である。140℃における熱収縮率が30%以上であることで、収縮包装用フィルムとして好適に用いることができる。MD及びTDにおける140℃での熱収縮率は、好ましくは35%以上、より好ましくは40%以上である。なお、MD及びTDにおける140℃での熱収縮率は、好ましくは90%以下であり、70%以下であってよく、60%以下であってもよい。140℃での熱収縮率が90%を超えると、収縮包装した場合にシール部がパンクする可能性がある。
本実施の形態の熱収縮多層フィルムは、MD及びTDにおける引裂強度が、いずれも1.0〜8.0gfである。MD及びTDにおける引裂強度が1.0gf以上であることで、包装時及び輸送時のフィルム破れが十分に抑制され、また引裂強度が8.0gf以下であることで開封性に優れた包装袋を得ることができる。MD及びTDにおける引裂強度は、好ましくは1.5〜6.0gfであり、より好ましくは2.0〜4.0gfである。
本実施の形態の熱収縮多層フィルムは、ゲル分率が15〜60質量%である。ゲル分率が15〜60質量%であることで、適度なヒートシール強度を維持しつつ、耐熱性に優れたフィルムが実現される。ゲル分率は、好ましくは20〜55質量%、より好ましくは25〜50質量%である。
[基材層(I)]
本実施の形態において、基材層(I)は、高密度ポリエチレン65〜95質量%と高圧法低密度ポリエチレン5〜35質量%とを含有する第一の樹脂組成物に架橋処理を施してなる、架橋組成物を含むことが好ましい。
基材層(I)は、フィルムに十分な剛性を付与すること、またフィルムの製造時の延伸が容易であることが求められる。上記架橋組成物によれば、このような所望の特性を有する基材層(I)が得られる。
また、本実施の形態においては、第一の樹脂組成物が、第一の樹脂組成物の総量基準で65〜95質量%の高密度ポリエチレンを含有することで、フィルムに剛性が付与され、電子レンジ加熱時の収縮が十分に防止されたフィルムを得ることができる。また、第一の樹脂組成物が、第一の樹脂組成物の総量基準で5〜35質量%の高圧法低密度ポリエチレンを含有することにより、生産工程で安定なフィルムとすることができ、またフィルムの曇り度の実用レベルを維持することができる。
ポリエチレンはJIS K 6922で密度により分類される。当該分類において、密度が0.942g/cm以上のポリエチレンが、高密度ポリエチレン(HDPE)とされ、密度が0.930g/cm以上0.942g/cm未満のポリエチレンが、中密度ポリエチレン(MDPE)とされ、密度が0.910g/cm以上0.930g/cm未満のポリエチレンが、低密度ポリエチレン(LDPE)とされる。
なお、ポリエチレンは、エチレン単独の重合体、又は、エチレン及び炭素数4〜6のα−オレフィンの共重合体を示す。α−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ヘキセンなどが挙げられる。
また、本実施の形態において「密度」は、JIS K 6922に準じて測定される値を意味する。密度の測定方法として、具体的には、JIS K 6922に準じて、密度勾配管により密度を測定する方法がある。
高密度ポリエチレンとしては、良好な剛性を有し、電子レンジ加熱時の収縮が一層防止される観点から、密度0.942〜0.970g/cmのポリエチレンが好ましく、密度0.945〜0.966g/cmのポリエチレンが好ましく、密度0.950〜0.960g/cmのポリエチレンがより好ましい。
高密度ポリエチレンのメルトフローレート(以下、単に「MFR」と略記する場合がある。)は、0.2〜7.0g/10分であることが好ましく、より好ましくは0.5〜6.0g/10分である。高密度ポリエチレンのメルトフローレートが0.2g/10分以上であるとフィルムの強度が一層良好となる点で好ましく、7.0g/10分以下であると生産工程での一層の安定性が得られる点で好ましい。
本実施の形態において、メルトフローレート(MFR)は、溶融時の流動性を示す指標であり、JIS K 7210に準じて測定される値を意味する。MFRの測定方法として、具体的には、JIS K 7210に準じて、メルトインデクサーによりMFRを測定する方法がある。
第一の樹脂組成物における高密度ポリエチレンの含有量は、第一の樹脂組成物の総量基準で65質量%以上であることが好ましい。また、第一の樹脂組成物における高密度ポリエチレンの含有量は、第一の樹脂組成物の総量基準で95質量%以下であることが好ましい。
高圧法低密度ポリエチレンは、高圧法で製造された低密度のポリエチレンであり、繰り返し単位のエチレンがランダムに分岐を持って結合し、長鎖分岐を有するポリエチレンである。
高圧法低密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.910〜0.929g/cmであり、より好ましくは0.915〜0.929g/cmである。高圧法低密度ポリエチレンの密度が上記下限値より大きいと、フィルムに剛性を付与しやすく、フィルムの弛みを一層抑制することができる。また、高圧法低密度ポリエチレンの密度が上記上限値より小さいと、フィルムの曇り度を実用レベルに十分に維持することができる。
高圧法低密度ポリエチレンの製造方法は、一般に公知の方法が使用できる。一般に100〜300℃、100〜350MPaの高温高圧下でパーオキサイドなどの遊離基発生剤の存在下でエチレン及びα−オレフィンをオートクレーブ又はチューブリアクターなどで重合することにより、高圧法低密度ポリエチレンを製造することができる。
高圧法低密度ポリエチレンのメルトフローレートは、0.1〜5.0g/10分であることが好ましく、より好ましくは0.2〜4.0g/10分である。メルトフローレートが0.1g/10分以上ではフィルムの強度が一層良好となる点で好ましく、5.0g/10分以下では生産工程での一層の安定性が得られる点で好ましい。
第一の樹脂組成物における高圧法低密度ポリエチレンの含有量は、第一の樹脂組成物の総量基準で10質量%以上であることが好ましい。また、第一の樹脂組成物における高圧法低密度ポリエチレンの含有量は、第一の樹脂組成物の総量基準で、好ましくは30質量%以下であることが好ましい。
基材層(I)のゲル分率は、15〜60質量%であることが好ましい。基材層(I)のゲル分率が15質量%以上であることにより、優れた生産性が得られるとともに、フィルム強度及び耐熱性に優れたフィルムが得られる傾向にある。また、ゲル分率が60質量%以下であることで、フィルムに良好な靭性を付与でき、自動包装機等に供した際のフィルムの破れ等を一層抑制することができる。基材層(I)のゲル分率は、より好ましくは20〜50質量%であり、さらに好ましくは25〜40質量%である。本実施の形態においては、ゲル分率が上記数値範囲内となるように第一の樹脂組成物を架橋処理して、基材層(I)を得ることができる。
なお、ゲル分率は、沸騰p−キシレン中で試料を12時間抽出し、不溶解部分の割合を次式により計算により求めて得ることができる。
ゲル分率(質量%)=(抽出後の試料の質量/抽出前の試料の質量)×100
本実施の形態においては、基材層(I)に30質量%以下のポリプロピレン系樹脂をブレンドしてもよい。ポリプロピレン系樹脂はポリエチレン系樹脂と比較し、融点が高く、剛性にも優れる為、フィルムに耐熱性やコシを付与することが出来る。
[ヒートシール層(II)]
本実施の形態において、ヒートシール層(II)は、高圧法低密度ポリエチレン55〜95質量%と線状低密度ポリエチレン5〜45質量%とを含有する第二の樹脂組成物を含むことが好ましい。このようなヒートシール層によれば、冷凍又は冷蔵下における保管及び輸送において実用的なシール強度を有しながらも、電子レンジ加熱時には適度に蒸気を逃がし、包装体の膨張を抑えることが可能な熱収縮多層フィルムを実現することができる。ヒートシール層(II)は、より好ましくは第二の樹脂組成物からなる層である。
第二の樹脂組成物における高圧法低密度ポリエチレン及び線状低密度ポリエチレンの合計量は、第二の樹脂組成物の総量基準で、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましい。
本実施の形態において、電子レンジ加熱時の蒸気解放と冷凍又は冷蔵下での保管及び輸送における実用的なシール強度とをより高水準で達成するため、第二の樹脂組成物における高圧法低密度ポリエチレンの含有量は、第二の樹脂組成物の総量基準で、好ましくは60〜95質量%であり、より好ましくは70〜90質量%である。また、第二の樹脂組成物における線状低密度ポリエチレンの含有量は、第二の樹脂組成物の総量基準で、好ましくは5〜40質量%であり、より好ましくは10〜30質量%である。
高圧法低密度ポリエチレンとしては、第一の樹脂組成物を構成する高圧法低密度ポリエチレンとして上述したものと同様のものを用いることができる。第一の樹脂組成物と第二の樹脂組成物とで同種の高圧法低密度ポリエチレンを配合してもよく、異なる高圧法低密度ポリエチレンを配合してもよい。
本実施の形態において、線状低密度ポリエチレンは、エチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンとの共重合体であることが好ましい。α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどから選ばれるものが好ましい。
線状低密度ポリエチレンの密度は、0.900〜0.939g/cmであることが好ましく、0.910〜0.920g/cmであることがより好ましい。線状低密度ポリエチレンの密度が上記範囲であると、フィルムの剛性が包装フィルムとしてより好適となり、且つ、適度なフィルムの表面荒れによってフィルム同士の密着を防止できる。なお、フィルム同士の密着性が低いと、例えば、自動包装機におけるシール部が皺なく綺麗に仕上がる点で好ましい。
線状低密度ポリエチレンのメルトフローレートは、0.1〜10g/10分であることが好ましく、より好ましくは1.0〜8.0g/10分である。メルトフローレートが0.1g/10分以上ではより良好なフィルム強度が得られる点で好ましく、10g/10分以下では生産工程での安定性が得られる点で好ましい。
線状低密度ポリエチレンを製造する際に用いる重合触媒は特に限定はされず、マルチサイト触媒、シングルサイト触媒等のいずれを用いてもよい。
(添加剤)
本実施の形態において、滑り性や防曇性を改善する観点で、添加剤としてグリセリン系脂肪酸エステルを基材層(I)及び/又はヒートシール層(II)に配合することができる。具体的には、例えば、第一の樹脂組成物及び/又は第二の樹脂組成物に添加剤を含有させることで、基材層(I)及び/又はヒートシール層(II)に添加剤を配合することができる。
本実施の形態において、グリセリン系脂肪酸エステルとは、グリセリンと脂肪酸とのエステルである。グリセリン系脂肪酸エステルをフィルム表面に存在させることにより、フィルムに防曇性を付与することができる。
グリセリンの重合度、脂肪酸の種類、及び/又はエステル化度を変えることにより親水性と親油性を調節することができる。グリセリン系脂肪酸エステルとしては、グリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、トリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられ、例えば、ジグリセリンオレート、ジグリセリンラウレート、グリセリンモノオレート、又はそれらの混合物等など主成分としたものが、フィルムの滑り性、光沢度の観点で、また、使い勝手がよいので好ましい。
上記した以外のグリセリン系脂肪酸エステルとしては、グリセリンのモノ脂肪酸エステル、ジ脂肪酸エステル、トリ脂肪酸エステル、ポリ脂肪酸エステルなどが挙げられ、炭素原子数が8〜18の飽和または不飽和脂肪酸のモノグリセリンエステル、ジグリセリンエステル、トリグリセリンエステル、テトラグリセリンエステルなどが挙げられる。
具体的には、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノミリステート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンジパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、グリセリンジオレート、グリセリントリオレート、グリセリンモノリノレート、ジグリセリンミリステート、ジグリセリンパルミテート、ジグリセリンステアレート、ジグリセリンリノレート、トリグリセリンラウレート、トリグリセリンオレート、トリグリセリンステアレート、テトラグリセリンラウレート、テトラグリセリンオレート、テトラグリセリンステアレートなどが挙げられる。
本実施の形態において、グリセリン系脂肪酸エステルをフィルム表面に存在させるには、押出機の温度設定を250℃以上とし、高せん断速度で、基材層(I)又はヒートシール層(II)を構成する樹脂(第一の樹脂組成物又は第二の樹脂組成物)と混練することが好ましく、混練する際にグリセリン系脂肪酸エステルを微分散させることが好適である。ブリードアウトについては、その量や存在の仕方によって効果が異なる重要な因子である。存在の仕方としては、フィルムの表面にグリセリン系脂肪酸エステルが液滴状ではなく層状で、すなわちほぼ連続した状態で存在することが好ましい。
一般的に基材層(芯層)に含まれるグリセリン系脂肪酸エステルは隣接する層(外層)へ移行し、外層のブリードアウトを促進させるとともに、グリセリン系脂肪酸エステル自体も表面へブリードアウトすると考えられている。また、グリセリン系脂肪酸エステルが、フィルム表面に移行(ブリードアウト)することにより良好な防曇性をフィルムに付与することができると考えられている。
グリセリン系脂肪酸エステルの親水性と親油性を調整することによりフィルムの防曇性を高めることができるので、親水性の高いグリセリン系脂肪酸エステルを用いることが好ましく、また、グリセリン系脂肪酸エステルの添加量を増やすことによってもフィルムの防曇性を高めることができる。
本実施の形態において、防曇性の観点から、第一の樹脂組成物がグリセリン系脂肪酸エステルを0.1〜5.0質量%含有することが好ましい。
また、本実施の形態において、防曇性及び包装機械とフィルムとの滑り性の観点から、第二の樹脂組成物がグリセリン系脂肪酸エステルを0.1〜5.0質量%含有することが好ましい。
なお、基材層(I)及びヒートシール層(II)には上記添加剤の他に、タルク、脂肪酸アミド等を添加することもできる。これらの添加により、フィルム同士の密着防止等の効果を得ることができる。
[中間層]
本実施の形態の熱収縮多層フィルムは、その特性を損なわない範囲で、基材層(I)とヒートシール層(II)との間に、中間層を備えていてもよい。中間層は、(i)防曇性を持続させるための防曇剤の保持層として、(ii)ヒートシール層と基材層との接着性を向上させて層間剥離を抑制するため、といった理由から設けると好ましい。なお、中間層は、例えば、(iii)基材層(I)、ヒートシール層(II)を形成する際に回収された樹脂を押出機で再ペレット化したものを用いて(すなわち、フィルムの回収層として)形成することができる。
中間層としては、(i)、(ii)、(iii)の理由から、基材層(I)及びヒートシール層(II)に使用される樹脂を40質量%以上含有するものであることが好ましい。また、中間層は、基材層(I)及びヒートシール層(II)に使用される樹脂以外の他の樹脂、添加剤等が配合されていてもよく、その配合量は60質量%以下であることが好ましい。
回収した樹脂としては、フィルムを製造する際に回収される樹脂であれば特に限定されず、例えば、フィルムを再度溶融させて得られる樹脂などが挙げられる。
熱収縮多層フィルム全層に対する中間層の厚み比率は、特性を損なわない範囲で特に限定されるものではないが、40%以下であることが好ましく、より好ましくは30%以下であり、さらに好ましくは25%以下である。中間層の厚み比率が40%以下である場合、延伸安定性の観点で好ましい。
本実施の形態において、基材層(I)とヒートシール層(II)の配置としては、基材層(I)にヒートシール層(II)が積層されている配置であれば、特に限定されるものではない。例えば、基材層(I)とヒートシール層(II)からなる2層の場合:(II)/(I)、両表面層が、ヒートシール層(II)からなる3層の場合:(II)/(I)/(II)、中間層(以下、単に(B)と記載する場合がある。)を1層用いる全3層からなる場合:(II)/(B)/(I)、(II)/(I)/(B)、両表面層がヒートシール層(II)からなり、中間層を1層用いる全4層からなる場合:(II)/(B)/(I)/(II)、中間層を2層用いる全4層である場合:(II)/(B)/(I)/(B)、両表面層がヒートシール層(II)からなり、中間層を2層用いる全5層からなる場合:(II)/(B)/(I)/(B)/(II)などが挙げられる。
また、中間層(B)と異なる中間層(以下、単に(D)と記載する場合がある。)を併用することも可能であり、例えば、(II)/(B)/(I)/(D)、(II)/(D)/(I)/(B)、(II)/(D)/(B)/(I)又は(II)/(B)/(D)/(I)からなる4層、(II)/(D)/(B)/(I)/(II)、(II)/(B)/(I)/(D)/(II)又は(II)/(B)/(D)/(I)/(II)からなる5層、(II)/(B)/(D)/(I)/(B)/(II)からなる6層、(II)/(B)/(D)/(I)/(B)/(D)/(II)からなる7層などの層構成が例示できる。また、8層及びそれ以上の層から熱収縮多層フィルムを構成することもできる。
[厚み]
本実施の形態において、熱収縮多層フィルムの厚みは、好ましくは5〜40μm、より好ましくは8〜30μmである。熱収縮多層フィルムの厚みが5〜40μmの範囲であれば、重量物や突起物を含む被包装物に対しても破れが生じにくく、安定して包装体を生産することが可能である。熱収縮多層フィルムの厚みは、製造時の各層押出機の吐出量又は延伸倍率などによって所望の値に調整することができる。
熱収縮多層フィルムにおいて、基材層(I)の厚み比率は、フィルムの強度の観点で、熱収縮多層フィルム全層に対して、50〜90%であることが好ましく、より好ましくは60〜85%である。
熱収縮多層フィルムにおいて、ヒートシール層(II)の厚み比率は、安定したヒートシール強度を発現させる点で、熱収縮多層フィルム全層に対して、50〜10%であることが好ましく、より好ましくは40〜15%である。なお、ヒートシール層(II)が2層以上ある場合、2層の合計の厚み比率が、上記範囲であることが好ましい。
[熱収縮多層フィルムの製造方法]
本実施の形態の熱収縮多層フィルムの製造方法としては、ダイレクトインフレーション法、ダブルバブルインフレーション法、トリプルバブルインフレーション法、テンター法が挙げられる。
インフレーション法では、例えば、押出機を用いて溶融混練した所定の樹脂組成物を環状ダイスで押出し、冷却水にて急冷して無延伸状態の原反を採取する。押出の態様は、特に制限されず、多層のTダイを用いた方法、多層のサーキュラーダイを用いた方法等を採用でき、これらのうち多層のサーキュラーダイを用いた方法が好ましい。
次に、この原反に架橋処理を施し、続いて熱風による伝熱加熱あるいはインフラヒーター等の輻射加熱により原反を樹脂組成物の融点以上に加熱した後、原反を2組のニップロール間で速度比をつけ流れ方向(MD)に延伸しつつチューブ内にエアーを注入して垂直方向(TD)にも、延伸する。
本実施の形態の熱収縮多層フィルムは、電子レンジでの高温条件下で使用できるように耐熱性が必要であるため、基材層(I)及びヒートシール層(II)において架橋処理が施されていることが好ましい。
架橋処理の方法には、一般に公知の方法が使用できる。架橋処理の方法としては、例えば、架橋剤を添加して架橋剤の分解温度以上に加熱して架橋を施す方法、α線、β線、γ線、中性子線、電子線等の電離性放射線を照射する方法が挙げられる。
架橋処理を施すことにより、フィルムの収縮後の曇り度、光沢度を改良することができる。また、架橋処理には、フィルムを構成する樹脂の融点以上に加熱して収縮させる場合に、フィルムの溶融による破れ等を防ぐ狙いもある。
本実施の形態の熱収縮多層フィルムは適度に架橋されているので、フィルムを構成している樹脂の融点以上の温度でも安定した延伸を行うことができ、熱収縮率の高いフィルムとすることができる。すなわち、架橋することによって延伸温度と延伸倍率の調節が容易になり、高熱収縮性を持ちながら熱収縮応力が低いフィルムを製造することができる。また、ヒートシールの温度域で、フィルムの大部分が収縮せず安定したヒートシール性を発現させることができ、かつ熱風シュリンクトンネルの温度域ではシュリンク包装に最適な熱収縮率、熱収縮応力を持たせることが可能になる。
本実施の形態において、架橋処理は、フィルム全体のゲル分率が10〜60質量%になるように実施する。また、架橋処理は、フィルム全体でゲル分率が15〜50質量%になるように実施することが好ましい。
フィルムのゲル分率は、フィルムの製膜安定性付与の観点からは、より好ましくは20質量%以上であり、更に好ましくは25質量%以上である。また、フィルムのゲル分率は、包装時の破れ防止の観点からは、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。
架橋処理を電離性放射線の照射により行う場合、機械的なムラも考慮すると、照射線量は40〜120kGyが好ましい。フィルムの熱収縮後の曇り度、光沢度がより良好になる傾向にあるため、照射線量40kGy以上が好ましく、また熱収縮応力がより実用に適した応力となる傾向にあるため、照射線量120kGy以下が好ましい。なお、樹脂の種類によって照射の程度と架橋の程度の関係が異なるため、照射線量、照射電圧は上述の好適なゲル分率が得られるように適宜調整することが望ましい。
[包装袋、包装体]
本実施の形態の包装袋は、上述の熱収縮多層フィルムを用いて形成された包装袋である。また、本実施の形態の包装体は、上述の熱収縮多層フィルムを用いて被包装物を包装してなるものである。
本実施の形態の包装袋及び包装体は、100〜1200gf/30mm巾のヒートシール強度を有するヒートシール部を備えることが好ましい。本実施の形態では、上述の熱収縮多層フィルムを用いて、このようなヒートシール強度を有する包装袋及び包装体を容易に形成することができる。また、このようなヒートシール部を有する包装袋及び包装体では、電子レンジ加熱時にヒートシール部が開口して加熱時の膨張が適度に抑制されるという効果がより顕著に奏される。
本実施の形態の熱収縮多層フィルムを包装フィルムとして用いて包装袋及び包装体を得るための工程の一例について説明する。被包装物をフィルムで覆う方式には、ピロー包装又はストレッチ包装等様々あり、いずれを選んでも支障はないがここではピロー包装で連続包装する方法について説明する。
被包装物は特に制限されないが、本実施の形態の熱収縮多層フィルムは、ラーメンやうどん等の冷凍麺又は冷蔵麺を被包装物とした包装袋に特に好適である。
ピロー包装としては、例えば、以下の方法が挙げられる。フィルムの両端を合掌シールし、筒状とする。被包装物を筒の中に入れ前後をシールしながら、切り離して一つ一つの包装体を得る。これを収縮させて、タイトな包装体とする場合は、予め140℃〜170℃に温度調節されている熱風シュリンクトンネルでフィルムを熱収縮させることでタイトに仕上がった包装体を得ることができる。
連続包装機の包装スピードは、1分間に約20個包装する速度であったが、近年の高速の連続包装機になると1分間に約30〜100個包装するものである。そのため包装フィルムには、その包装スピードに対応できる適性、例えば、滑り性、ヒートシール性、熱収縮特性が強く求められる。本実施の形態の熱収縮多層フィルムは、包装フィルムとして、滑り性、ヒートシール性、熱収縮特性に優れるフィルムである。
シールの方法は、インパルスシール、ヒートシール、溶断シール等の方法があり、一般に使用されている方法ならば、フィルムの用途に合わせていずれを選択してもよい。また、これらのシール方法を適時組み合わせて用いても良い。なお、高速連続包装機においては、短時間のヒートシールでシールする方法を採用することが多い。
ヒートシールは、上述の好適なヒートシール部が形成される条件であることが好ましい。ヒートシールの条件は、フィルムの厚み、シール方法等に応じて適宜調整でき、例えば、シール温度100〜130℃、シール圧力0.1〜3.0MPa、シール時間0.1〜1.0秒とすることができる。
なお、包装後に加熱収縮処理を行う場合には、包装フィルムに予め空気抜きの小孔を、針や熱針あるいはレーザー等のいずれかを用いて開けておくと、熱収縮時に包装フィルム袋内の空気が逃げてタイトに仕上がったシュリンク包装体を得ることができる。包装フィルムの熱収縮には、熱風、蒸気、熱水等を使用できるが熱風を用いることが好ましい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
以下に本実施の形態を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本実施の形態はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、本実施の形態に用いられる評価方法は以下のとおりである。
[ゲル分率]
沸騰p−キシレン中で試料を12時間抽出し、不溶解部分の割合を次式により計算により求めた。フィルムの架橋度の尺度として用いた。
ゲル分率(質量%)=(抽出後の試料の質量/抽出前の試料の質量)×100
[ヒートシール強度]
テスター産業株式会社製ヒートシーラー TP−701−Bを用いて、ヒートシール強度測定用の試料を作成した。
(ヒートシール条件)
・シールバー:巾5mm、長さ300mm(表面に凹凸のないものを使用)
・シール温度:110℃
・シール時間:0.3秒
・シール圧力:0.65MPa
・試験片幅 :30mm
上記条件で作成した試料を30mm幅の寸法に切り出し、島津製作所製 オートグラフ(商品名)AG−Iで、チャック間10mmの長さの中央部に上記試験片のシール部分がくるように試料を取り付けて、200mm/minの引張速度でシール部の剥離を行い、最も強い強度をシール強度として求めた。
(評価基準)
A:ヒートシール強度が100gf/30mm巾以上、1200g/30mm巾以下。
C:ヒートシール強度が100gf/30mm巾未満、もしくは1200g/30mm巾を超える。
[引裂強度]
JIS−K−7128に準じて、東洋精機社製 軽荷重引裂試験機を用いて、フィルムの流れ方向(MD)と幅方向(TD)の各々について引裂伝播強度を測定した。
[110℃又は140℃の熱収縮率]
ASTM D2732に準拠して、110℃又は140℃の温度にて収縮させて測定した。具体的には、縦120mm×120mmの大きさのフィルムに、流れ方向(MD)に50mm間隔で3点の印を付けた。次いでこれらの各点を始点に幅方向(TD)に50mm間隔で2点の印を付けた。このフィルムを上記温度に保たれた熱風乾燥機中に1分間熱処理後、各点間の長さを測定して熱収縮率を計算した。
[包装袋の直進カット性評価]
得られたフィルムを所定の幅にスリットし、フィルムの流れ方向(MD)と、重量が200gの冷凍うどんの長手方向を合わし、ヒートシーラーでフィルムをシールし、センターシール部を作成し、筒状の包装袋を得た。センターシール部と直角になるように、冷凍うどんの短手方向にヒートシールを行い、エンドシール部を両端に作成し、3方シール包装袋を得た。得られた3方シール包装袋を、−40℃の冷凍庫に4時間保存し、電子レンジ(National製、NE−EH21A)を出力500W、2分30秒に設定し、加熱を行った。加熱後の包装袋のセンターシール部を手前にし、センターシール部から右に4cmの部分を左手親指と人差指でつまんで、すぐ際を右手の親指と人差指でつまみ、右手を手前下方へ引いて、包装袋を開封した。
(評価基準)
A:引裂き伝播距離が包装袋の1/2以上で、加熱したうどんを取り出すために十分な開口部が得られた。
C:引裂き伝播距離が包装袋の1/2未満で、加熱したうどんを取り出すために十分な開口部が得られなかった。
[自動包装機適性]
得られたフィルムを300mm巾にスリットし、茨木精機株式会社製の「FSP−1561N(商品名)」を用いて、100個/分の速度で、冷凍うどん(200g)を各30個包装した。
1.フィルム破れの評価として、フィルムの蛇行や破れずに自動包装機を用いて連続包装できたものをA、フィルムの蛇行又は破れが生じて連続包装できなかったものをCとして評価した。
2.シールパンクの評価として、正常にヒートシールが可能であったものをA、包装後にシールパンクしたものをCとして評価した。
3.シール部の収縮評価として、前後シール部の収縮が10%未満のものをA、10%以上のものをCとして評価した。
[電子レンジ加熱時の蒸気解放性]
電子レンジ(National製、NE−EH21A)の出力を500W、加熱時間を3分30秒に設定し、上記の自動包装機適性評価と同じ手順で作成した包装袋をそれぞれ加熱した。
(評価基準)
A:加熱時に発生する水蒸気の圧力によって、2分未満で包装袋のシール部が剥離し、蒸気解放が行われた。
B:加熱時に発生する水蒸気の圧力によって、2分以上、3分未満で包装袋のシール部が剥離し、蒸気解放が行われた。
C:3分以上、シール部の剥離が起こらず、包装袋が膨張し、十分な蒸気解放が行われなかった。
実施例及び比較例で用いた樹脂及び添加剤は、以下のとおりである。
(基材層(I))
・HD1:高密度ポリエチレン(密度=0.952g/cm、MFR=0.8g/10分)、融点=133℃
・HD2:高密度ポリエチレン(密度=0.944g/cm、MFR=0.45g/10分)、融点=127℃
・MD1:中密度ポリエチレン(密度=0.939g/cm、MFR=2.1g/10分)、融点=126℃
・LD1:高圧法低密度ポリエチレン(密度=0.922g/cm、MFR=0.2g/10分)、融点=110℃
(ヒートシール層(II))
・LL1:シングルサイト系線状低密度ポリエチレン(α−オレフィンコモノマー=1−ヘキセン、密度=0.913g/cm、MFR=2.0g/10分)、融点=112℃
・LD2:高圧法低密度ポリエチレン(密度=0.920g/cm、MFR=2.0g/10分)、融点=110℃
(添加剤1)
・Ad1:グリセリンモノオレート
・Ad2:ジグリセリンオレート
実施例及び比較例において、フィルムは以下の方法で製造した。
[フィルムの製造方法]
基材層(I)の押出機に、基材層(I)を形成するための樹脂を供給し、ヒートシール層(II)の押出機に、ヒートシール層(II)を形成するための樹脂を供給し、各押出機において、所定の添加剤を注入ポンプで所定量注入しながら混合溶融を行った。この混合溶融された樹脂組成物をそれぞれ環状ダイに供給し、このダイで積層化し共押出しした。環状ダイ直下で、ダイから吐出された溶融樹脂は第1バブルを形成しながら、冷却水で急冷された。急冷後、ピンチロールでピンチし、無延伸状の原反を採取した。
この原反は所望の厚み、層比率になるように調整した。この原反に加速電圧500kVの電子線照射装置を用いて架橋処理を施した。この時、各層のゲル分率が、所望の値内に入るように調整を行った。この処理が施された原反を170℃の雰囲気温度に保たれた加熱炉で加熱し、2組のニップロール間の速度比により流れ方向に5〜7倍に延伸し、また、チューブ内にエアーを注入することにより機械の流れ方向と垂直方向に5〜7倍に延伸した。延伸後、バブルの最大径の部分にエアーリングより冷風をあて冷却を行った。その後、折りたたんで5〜40μmの厚みの熱収縮多層フィルムを得た。
以下に、各実施例及び比較例について詳述する。
[実施例1]
HD1を79質量%、LD1を20質量%、添加剤としてAd1とAd2とを1:1の割合で混合した添加剤1を1.0質量%含有する樹脂組成物を基材層(I)を形成するための第一の樹脂組成物とした。また、LD2を69質量%、LL1を30%、及びAd1とAd2とを1:1の割合で混合した添加剤1を1.0質量%含有する樹脂組成物を、ヒートシール層(II)を形成するための第二の樹脂組成物とした。これら第一の樹脂組成物及び第二の樹脂組成物を用いて、ヒートシール層(II)/基材層(I)/ヒートシール層(II)の各層厚み比率が15%/70%/15%となるように環状ダイを用いて押出した。
その後冷却水にて冷却固化して幅130mm、厚み550μmの均一な厚み精度のチューブ状延伸原反を採取した。ついでこの延伸原反を500kVの電子線照射装置へ誘導し100kGyの吸収線量で架橋処理を行い、これを170℃の雰囲気温度に保たれた加熱炉内で加熱し、2組のニップロール間の速度比により流れ方向(MD)に6.0倍、チューブ内にエアーを注入することにより垂直方向(TD)に6.2倍延伸を行い、厚み15μmの熱収縮多層フィルムを得た。
得られたフィルムの評価結果を表1に示す。得られたフィルムは110℃でのヒートシールによって適度なヒートシール強度を示し、電子レンジ加熱における蒸気解放性も良好で、軽荷重で引裂が伝播する良好なカット性を有し、実用性に優れたフィルムであった。
[実施例2〜7]
各層を形成するための樹脂及びその比率並びにフィルムの厚みを表1に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1の条件と同様にして、厚み10〜20μmの熱収縮多層フィルムを得た。なお、延伸倍率は実施例1と同一とし、延伸前のチューブ状延伸原反の厚みを変更することにより、フィルムの最終厚みを適宜調整した。
得られたフィルムの評価結果を表1に示す。得られたフィルムは、いずれも適度なヒートシール強度を示し、電子レンジ加熱における蒸気解放性も良好で、シール部の収縮も小さく、軽荷重で引裂が伝播する良好なカット性を有し、実用性に優れたフィルムであった。
[比較例1]
各層を形成するための樹脂及びその比率を表2に示すとおり変更したこと以外は、実施例1の条件と同様にして厚み15μmのフィルムを得た。
得られたフィルムの評価結果を表2に示す。包装機適性は問題なく、包装中に破れやシールパンクの発生は起こらなかったが、得られた包装袋はヒートシール層に線状低密度ポリエチレンのみを用いたためにシール強度が強すぎる結果となり、電子レンジ加熱中に蒸気解放を行うことができず、包装袋側部より破裂した。
[比較例2]
各層を形成するための樹脂及びその比率を表2に示すとおり変更したこと以外は、実施例1の条件と同様にして厚み15μmのフィルムを得た。
得られたフィルムの評価結果を表2に示す。包装機適性は問題なく、包装中に破れやシールパンクの発生は起こらなかったが、得られた包装袋はヒートシール層に用いた線状低密度ポリエチレンの量が多くシール強度が強すぎる結果となり、電子レンジ加熱中に蒸気解放を行うことができず、包装袋側部より破裂した。
[比較例3]
各層を形成するための樹脂及びその比率を表2に示すとおり変更し、照射線量を140kGyに変更した以外は、実施例1と同様にして厚み15μmのフィルムを得た。
得られたフィルムの評価結果を表2に示す。得られたフィルムは、ゲル分率が高く、引裂強度が低下しすぎたため、包装機適性試験で包装中に破れるものがあった。また、得られたフィルムはゲル分率が高いため、シールが不安定であり、シールパンクするものがあった。さらに、得られた包装袋は、架橋度が上がり過ぎたため、ヒートシール層の流動性が損なわれ、シール強度が低下した。
[比較例4]
各層を形成するための樹脂及びその比率を表2に示すとおり変更し、照射線量を70kGyに変更した以外は、実施例1と同様にして厚み15μmのフィルムを得た。
得られたフィルムの評価結果を表2に示す。包装機適性は問題なく、包装中に破れやシールパンクの発生は起こらなかったが、フィルムのゲル分率が低く、架橋度が下がり過ぎたため、ヒートシール層の流動性が上がり、シール強度が強すぎる結果となり、電子レンジ加熱中に蒸気解放を行うことができず、包装袋側部より破裂した。
[比較例5]
各層を形成するための樹脂及びその比率を表2に示すとおり変更した以外は、実施例1と同様にして15μmのフィルムを得た。
得られたフィルムの評価結果を表2に示す。包装機適性は問題なく、包装中に破れやシールパンクの発生は起こらなかったが、110℃における収縮率が高すぎたため、ヒートシール時の収縮が大きくなる結果となった。
Figure 2015147302
Figure 2015147302
本発明の熱収縮多層フィルムは、自動包装機適正及びカット性に優れ、熱収縮特性のバランスに優れ、さらには電子レンジ加熱時にヒートシール部が開口し、蒸気を逃がすことで加熱時の膨張を適度に抑えることが可能であるため、冷凍麺や冷蔵麺の電子レンジ調理にも対応できる包装材料として、好適に用いることができる。

Claims (5)

  1. 基材層と該基材層に積層された少なくとも一層のヒートシール層とを備える熱収縮多層フィルムであって、
    シール温度110℃でヒートシールしたときのヒートシール強度が100〜1200gf/30mm巾であり、
    前記熱収縮多層フィルムの流れ方向及び該流れ方向に垂直な垂直方向において、ASTM D2732に準拠した110℃における熱収縮率が10%以下、且つ140℃における熱収縮率が30%以上であり、
    前記流れ方向及び前記垂直方向における引裂強度がいずれも1.0〜8.0gfであり、
    ゲル分率が15〜60質量%である、熱収縮多層フィルム。
  2. 前記基材層が、高密度ポリエチレン65〜95質量%と高圧法低密度ポリエチレン5〜35質量%とを含有する第一の樹脂組成物を架橋処理してなる架橋組成物を含み、
    前記ヒートシール層が、高圧法低密度ポリエチレン55〜95質量%と線状低密度ポリエチレン5〜45質量%とを含有する第二の樹脂組成物を含む、請求項1に記載の熱収縮多層フィルム。
  3. 請求項1又は2に記載の熱収縮多層フィルムを用いた包装袋。
  4. 冷凍麺又は冷蔵麺包装用である、請求項3に記載の包装袋。
  5. 請求項1又は2に記載の熱収縮多層フィルムを用いて被包装物を包装してなる、包装体。
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