JP7257193B2 - ピロー包装体 - Google Patents

ピロー包装体 Download PDF

Info

Publication number
JP7257193B2
JP7257193B2 JP2019044173A JP2019044173A JP7257193B2 JP 7257193 B2 JP7257193 B2 JP 7257193B2 JP 2019044173 A JP2019044173 A JP 2019044173A JP 2019044173 A JP2019044173 A JP 2019044173A JP 7257193 B2 JP7257193 B2 JP 7257193B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
seal portion
heat
tray
pillow package
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019044173A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020147296A (ja
Inventor
友紀 黒須
直樹 高木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Corp filed Critical Asahi Kasei Corp
Priority to JP2019044173A priority Critical patent/JP7257193B2/ja
Publication of JP2020147296A publication Critical patent/JP2020147296A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7257193B2 publication Critical patent/JP7257193B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Bag Frames (AREA)
  • Packages (AREA)

Description

本発明は、ピロー包装体に関する。
従来より、例えばスーパーマーケット、コンビニエンスストア等において、生鮮食品等の内容物を包装するための包装体として、熱収縮性のフィルムをシュリンク(熱収縮)させて包装するシュリンク包装体が用いられている。このシュリンク包装体は、内容物を保持するトレーと、それらを密着して包み込むフィルム(熱収縮後)とを備えており、原反フィルム(熱収縮前)で内容物を保持するトレーを包み、所定の方法でシールを施した後、熱収縮させることで得られる。また、原反フィルムのシール方式も種々用いられているが、シールの容易性からピロー方式が多用されている(例えば特許文献1参照)(以下、シュリンク包装体の中でもピロー方式でシールされるものをピロー包装体と称す)。
特開2009-173340号公報
ところで、生鮮食品等の内容物を包装し保持するピロー包装体においては、それらの鮮度維持又は購買促進のために、フィルムとしてガスバリア性を備えるものを用いて、原反フィルム(熱収縮前のフィルム)をシールするときに、包装体の内部に不活性ガスや酸素ガスを封入することが行われている。ガスの封入により、生鮮食品等の呼吸や生理活性を制御し、内容物の鮮度保持及び発色効果等を高めることが可能となる。
具体的には、ピロー包装体は、例えば、図1に示すように連続的に内容物を包装して形成することができる。すなわち、内容物を保持したトレー1を、原反フィルム2を用いて、トレー1に対して内容物側から被せ、原反フィルム2の端部21同士(ピロー包装体の進行方向に直交する方向の両側の端部21)をトレー1の裏面側で重ね合わせつつヒートシールしてセンターシール部CSを形成させる。次いで、筒状になったフィルムを、トレー1の前方側(ピロー包装体の進行方向の前方側)の位置でヒートシールするとともに切断する。これにより、当該包装体についての前方側(ピロー包装体の進行方向の前方側)のトップシール部TSと、当該包装体の1つ先に形成された包装体についての後方側(ピロー包装体の進行方向の後方側)のトップシール部TSを一緒に形成する。また、同時に、トップシール部TSの中間で切断されて先の包装体を切り離す。続けて、前方側のトップシール部TSが形成された包装体は、後方側のトップシール部TSを形成することで、熱収縮工程前のピロー包装体4が製造される(当該包装体の後方の包装体についての前方側のトップシール部TSも形成される)。なお、フィルム2にセンターシール部CSやトップシール部TSを形成する際に不活性ガス等のガスを内部に注入することでガスを封入する。次いで、熱収縮工程前のピロー包装体4を、所定の温度に加熱されたシュリンクトンネル5を通過させることで、熱収縮させて、ピロー包装体6を得ることができる。
このようにしてピロー包装体が製造されるが、従来のピロー包装体では、ピロー包装体のトップシール部においてピンホールが存在することがあり、それにより内封したガスがリークすることがあった。
そこで、本発明は、確実にシールされたピロー包装体を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究し、実験を重ねた結果、ピロー包装体のフィルムの動摩擦係数を所定の範囲にするとともに、ピロー包装体のセンターシール部CSとトップシール部TSとの重なり部分における厚さに着目して所定の範囲にすることにより、前記課題を解決することができることを見出して本発明に至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]トレーと、当該トレーを包装する、バリア層を有するフィルムとを備えるピロー包装体であって、
前記フィルムのセンターシール部とトップシール部とが重なる部分における厚さt1(μm)の、トップシール部における厚さt2(μm)に対する比(t1/t2)が、3.0未満であり、
前記フィルムの引張弾性率が200~449MPaである、
ことを特徴とする、ピロー包装体。
[2]前記フィルムの酸素透過度が50~500cc/m・day・MPaである、上記[1]のピロー包装体。
[3]前記フィルムの動摩擦係数が0.01~0.65である、上記[1]又は[2]のピロー包装体
本発明によれば、確実にシールされたピロー包装体を提供することができる。
ピロー包装体の製造方法の一例を示す概略図である。 本発明の一実施形態に係るピロー包装体を示す、ピロー包装体の裏面側から観た図である。
以下、本発明の実施形態(以下、「本実施形態」という。)を詳細に説明するが、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
本実施形態のピロー包装体は、トレーと、当該トレーを包装する、バリア層を有するフィルムとを備えている。
具体的には、ピロー包装体は、トレー上に例えば生鮮食品等の内容物が載置され、収縮した後のフィルムによって張力が張った状態で覆われており、そのトレーへのフィルムの包装態様がピロー式となっている。また、ピロー包装体は、内容物の鮮度維持又は購買促進のために、その内部の雰囲気が不活性ガス(例えば二酸化炭素等)や酸素ガスで置換されている。
〈フィルム〉
本実施形態において、フィルム7は、図2に示すように、トレー1と内容物等を覆うフィルム本体部71と、センターシール部CSと1対のトップシール部TSとを有しており、センターシール部CSの延在方向と交差するように(図示の例では略直交するように)トップシール部TSが、センターシール部CSの一部(図示の例では両端)と重なるように位置している。なお、センターシール部CS及びトップシール部TSは、フィルム7が重なって形成され、すなわち、2層構造となっている。また、センターシール部CS及びトップシール部TSは、フィルム7のうちヒートシールして形成された溶着部分を含むが、例えば、フィルム7の端部よりも若干内側でヒートシールされたとき(フィルム7の端部がヒートシールされていないとき)には、センターシール部CS及びトップシール部TSは、当該ヒートシールして形成された溶着部分だけでなく、ヒートシールされなかったフィルム7の端部も含む部分である。
また、センターシール部CSとトップシール部TSは、トレーに保持された内容物が良好に視認されるように、トップシール部TSがトレーの開口面の外周側又はトレーの側壁部の外側に位置し、センターシール部CSがトレーの底部の外側(ピロー包装体6の裏面側)に位置している。本実施形態においては、このように各シール部CS、TSが位置するようにシールされることにより、ピロー式の包装がなされている。
なお、フィルム7のセンターシール部CS側の端部(センターシール部CSの延在方向に直交する方向に位置する1対の端部のうち、フィルム本体部分71と連結するセンターシール部CSの端部とは逆側の端部)は、フィルム本体部71との接着を形成せずに、フィルム本体部71の表面に沿うように位置している。
そして、本実施形態において、センターシール部CSとトップシール部TSとが重なる部分OSにおける厚さを厚さt1(μm)とし、トップシール部TSにおける厚さを厚さt2(μm)とするとき、厚さt1(μm)の厚さt2(μm)に対する比(t1/t2)が3.0未満である。厚さt1(μm)の厚さt2(μm)に対する比を上記のようにすることで、ピロー包装体6の形成過程で、トップシール部TSにピンホールが発生することなく、確実にシールされたピロー包装体6を得ることができる。具体的には、厚さt1の厚さt2に対する比が3.0以上となる場合には、センターシール部CSとトップシール部TSとが重なる部分OSが相対的に厚くなるが、当該比が3.0以上となり重複部分が厚くなると、トップシール部TSを形成する際、トップシール部TSに、十分にシールされる程度の熱が伝わりにくくなる部分が生じ、トップシール部TSにピロー包装体6の内外を貫通するようなピンホールが形成される恐れがある。
ここで、厚さt1、t2の測定は、まずピロー包装体のフィルム7をセンターシール部CSの中間の位置でセンターシール部CSの延在方向に直交する方向に切断して、マイクロスコープを用いて行う。そして、厚さt1は、センターシール部CSとトップシール部TSとが重なる部分OSの1対(センターシール部CSの熱溶着部分とトップシール部TSの熱溶着部分)をそれぞれ1箇所測定し、その算術平均とする。また、厚さt2は、トップシール部TSの延在方向に沿って、トップシール部TS(トップシール部TSの熱溶着部分)の両端、中間部分の3箇所をそれぞれ1対のトップシール部について測り、その算術平均とする。
なお、当該厚さt1の厚さt2に対する比は、好ましくは、2.9以下であり、より好ましくは2.6以下である。また、当該比の下限値は特に限定されないが、フィルム7の積層により1.1以上とすることができる。
本実施形態において、厚さt1の厚さt2に対する比は、ピロー包装体6を形成するために用いる原反フィルムとして厚さが薄いものを用いること、原反フィルムでトレーを覆う際(センターシール部CSを設ける際)、原反フィルムの余剰が少なくなるようにすること、原反フィルムのヒートシール層の樹脂として融点が低いものを用いること、原反フィルムとして熱収縮率及び熱収縮応力が低いものを用いること、フィルムの動摩擦係数を低くすること、フィルムの引張弾性率を所定の範囲にすること、等により所定の範囲になるようにすることができる。
ここで、本実施形態において、センターシール部CSとトップシール部TSとが重なる部分OSにおけるセンターシール部CSの幅は、特に限定されないが、皺の発生の低減及び気密シール性の観点から、5.0~25.0mmであることが好ましい。また、トップシール部の幅は、特に限定されないが、気密シール性の観点から、3.0~15.0mmであることが好ましく、より好ましくは3.5~10.0mmであり、さらに好ましくは4.0~8.0mmである。
なお、センターシール部CSとトップシール部TSとが重なる部分OSにおけるセンターシール部CSの幅は、1対の部分OSにおける幅の算術平均であり、1つの部分OSについて幅は、センターシール部CSの延在方向に直交する方向に沿って測った長さのうち最大の長さである。また、トップシール部TSの幅は、延在方向に直交する方向に沿って測った長さであり、任意の5箇所の幅の算術平均値である。
本実施形態において、ピロー包装体のフィルムはバリア層を有している。具体的には、フィルムは、特に限定されないが、フィルムの外表面を形成する基材層と、当該基材層よりも内表面側に位置するバリア層と、ピロー包装体のフィルムの内表面を形成するヒートシール層と、の3層を少なくとも備えることができる。また、フィルムは、さらに、これらの層の他に接着層等を含むことができる。
なお、フィルムについて外表面、内表面とは、ピロー包装体の状態(トレーをフィルムが覆った状態)で、ピロー包装体の外部側に位置するフィルムの表面を「外表面」とし、ピロー包装体の内部側(内容物が収容される側)に位置するフィルムの表面を「内表面」とする。
-バリア層-
本実施形態のフィルムのバリア層は、ガスバリア性を有していればそれを構成する樹脂としては特に限定されず、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)、塩化ビニリデン系樹脂(PVDC)、ポリアミド系樹脂(PA)、ポリビニルアルコール共重合体(PVA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等を含有することが好ましく、より好ましくはエチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物を含有する。これにより、フィルムのガスバリア性を向上させることができる。
ここで、本実施形態では、バリア層を構成する樹脂がエチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物を含有することが好ましいところ、エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物は、エチレン含有量が多くなるほど結晶性と融点が低下し、熱収縮させる前の原反フィルムの延伸性が向上する傾向があるため、効率よくピロー包装体を得ることができる。なお、一般にエチレン含量が32mol%の場合の融点は183℃、38mol%の場合の融点は173℃、44mol%の場合の融点は163℃である。
本実施形態において、好適なエチレン含有量は30mol%以上かつ40mol%以下であり、31mol%以上かつ39mol%以下であることがより好適であり、32mol%以上かつ38mol%以下であることがさらに好適である。エチレン含有量が前記の範囲であると、原反フィルムが延伸性とガスバリア性に優れたものになり、効率よくピロー包装体を得ることができる。
-基材層-
本実施形態において、基材層は、フィルムに耐熱性を付与する層であり、好適にはフィルムの最外層(ピロー包装体の状態でのフィルムの外表面側の最外層)に位置する。
本実施形態において、基材層は、フィルムに耐熱性を付与するという観点から、融点130℃以上の熱可塑性樹脂を含むことが好ましく、例えば、ポリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル類;ポリアミド6、ポリアミド12、ポリアミド66等の脂肪族ポリアミド重合体;ポリアミド6/66、ポリアミド6/12等の脂肪族ポリアミド共重合体;MXD6(ポリメタキシレンアジパミド)等の芳香族ポリアミド重合体、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン系樹脂等を含有することが好ましく、これらの内少なくとも1種以上が選択されることが好ましい。
また、融点160℃以下の熱可塑性樹脂を含むことが好ましく、ポリプロピレン系樹脂を含有することがより好ましい。これにより、原反フィルムに熱収縮性を付与し、ピロー包装体を効率よく得ることができる。
前記基材層の内、好適にはポリプロピレン系樹脂を50質量%以上の割合で含有し、より好適には60質量%以上の割合で、さらに好適には70質量%以上の割合で含有する。
ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独共重合体及び/又はプロピレン系共重合体を好適に使用でき、例えば、ポリプロピレン、プロピレン-α-オレフィン共重合体、プロピレンとエチレンとα-オレフィンとの3元共重合体等を好適に使用できる。
プロピレン単独共重合体とは、プロピレンのみを重合して得られる重合体である。プロピレン系共重合体としては、プロピレンと、エチレン及び炭素数4~20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種との共重合体を好適に用いることができる。より好ましくは、プロピレンと、エチレン及び炭素数4~8のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種との共重合体である。
α-オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-へキセン、1-オクテン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
プロピレン-α-オレフィン共重合体としては、プロピレンと、エチレンコモノマー、ブテンコモノマー、ヘキセンコモノマー及びオクテンコモノマーから選ばれる少なくとも1種のコモノマーとの共重合体が、一般に入手が容易であり、好適に使用できる。
ポリプロピレン系樹脂は、シングルサイト系触媒、マルチサイト系触媒等の公知の触媒を用いて重合されたものであってよく、透明性に一層優れる観点からは、シングルサイト系触媒を用いて重合されたものであることが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂は、チーグラー・ナッタ触媒のような触媒で重合された樹脂であっても、メタロセン系触媒等で重合された樹脂であってもよい。すなわち、ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、シンジオタクチックポリプロピレン、アイソタクティックポリプロピレン等も使用できる。
ポリプロピレン系樹脂としては、結晶/非晶構造(モルフォロジ-)をナノオーダーで制御したポリプロピレン系樹脂を使用することもできる。
ポリプロピレン系樹脂は単独、又は混合して用いることができ、ポリプロピレンとプロピレン-α-オレフィン共重合体とを混合すると、基材層の結晶性が低下し熱収縮性が向上する傾向にあるため好ましい。
基材層は、上記熱可塑性樹脂以外の成分を含有していてもよい。例えば、その特性を損なわない範囲で、熱可塑性樹脂、各種界面活性剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、無機フィラー等の任意の添加剤を含んでいてもよい。
本実施形態において、フィルムに防曇性を付与するため、基材層に界面活性剤としてグリセリン系脂肪酸エステルを添加することができる。グリセリン系脂肪酸エステルを添加する場合、その含量は、基材層を基準として0.1質量%以上かつ5.0質量%以下であることが好ましい。
グリセリン系脂肪酸エステルとしては、グリセリンのモノ脂肪酸エステル、ジ脂肪酸エステル、トリ脂肪酸エステル、ポリ脂肪酸エステル等が挙げられ、炭素数が8~18の飽和又は不飽和脂肪酸のモノグリセリンエステル、ジグリセリンエステル、トリグリセリンエステル、テトラグリセリンエステル等が挙げられる。その中でもジグリセリンオレート、ジグリセリンラウレート、グリセリンステアレート、グリセリンモノオレート、又はそれらの混合物を主成分としたものが、フィルムの滑り性や光学特性を阻害し難いため好ましい。さらに、エチレンオキサイド付加物を添加し水滴の表面張力を下げることで良好な防曇性付与することができる。エチレンオキサイド付加物としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられる。
-ヒートシール層-
本実施形態において、ヒートシール層は、フィルムにヒートシール性を付与する層であり、好適にはフィルムの最外層(ピロー包装体の状態でのフィルムの内表面側の最外層)に位置する。
ヒートシール層を構成する樹脂は、特に限定されないがポリエチレン系樹脂を含有することが好ましい。ポリエチレン系樹脂としては、ポリエチレン、エチレン-α-オレフィン共重合体等が挙げられる。
ポリエチレンとしては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレンが挙げられる。超低密度ポリエチレンとしては、例えば、線状超低密度ポリエチレン(「VLDPE」、「ULDPE」と称される)が挙げられる。
ここで、ポリエチレンはJIS K 6922に基づいて密度により分類することができる。具体的には、密度が0.942g/cm3以上のものを高密度ポリエチレンといい、密度が0.930g/cm3以上かつ0.942g/cm3未満のものを中密度ポリエチレンといい、密度が0.910g/cm3以上かつ0.930g/cm3未満のものを低密度ポリエチレンといい、密度が0.910g/cm3未満のものを超低密度ポリエチレンという。
エチレン-α-オレフィン共重合体とは、エチレンと前述のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種との共重合体である。また、上記エチレン-α-オレフィン共重合体は、共重合体を構成する全モノマー中のα-オレフィンの割合(仕込みモノマー基準)が5質量%以上かつ30質量%以下である軟質の共重合体であることが好ましい。
また、上記エチレン-α-オレフィン共重合体としては、エチレンと、プロピレンコモノマー、ブテンコモノマー、ヘキセンコモノマー及びオクテンコモノマーから選ばれる少なくとも1種類のコモノマーとの共重合体が、一般に入手が容易であり、好適に使用できる。
ポリエチレン系樹脂は、シングルサイト系触媒、マルチサイト系触媒等の公知の触媒を用いて重合されたものであってよく、透明性に一層優れる観点からは、シングルサイト系触媒を用いて重合することが好ましい。
ポリエチレン系樹脂は、低温でのヒートシール性が一層良好になる観点から、密度が0.860g/cm以上かつ0.925g/cm以下であると好ましく、0.870g/cm以上かつ0.920g/cm以下であるとより好ましく、0.880g/cm以上かつ0.915g/cm以下であるとさらに好ましい。ポリエチレン系樹脂の密度が低いほど低温でのヒートシール性は向上する傾向にあり、密度が0.925g/cm以下であれば、ヒートシール性が向上する傾向にある。
ポリエチレン系樹脂は単独、又は混合して用いることができ、ポリエチレンとエチレン-α-オレフィン共重合体とを混合すると、原反フィルムにおいて、ヒートシール層の結晶性が低下し熱収縮性が向上する傾向があり、それによりピロー包装体をより効率よく得ることができるため好ましい。
ヒートシール層は、ポリエチレン系樹脂以外の成分を含有していてもよい。例えば、その特性を損なわない範囲で、熱可塑性樹脂、各種界面活性剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、無機フィラー等の任意の添加剤を含んでいてもよい。
本実施形態において、フィルムに防曇性を付与するため、ヒートシール層に界面活性剤として前述のグリセリン系脂肪酸エステルを添加することができる。
-接着層-
本実施形態において、フィルムは接着層を例えば上記の基材層、バリア層、及びヒートシール層の間に設けることができる。接着層としては、公知の接着性樹脂を含有する樹脂組成物から形成することができる。
接着性樹脂は、ポリオレフィン系樹脂と、α,β-不飽和カルボン酸及びその誘導体から選択される少なくとも一種とをグラフト重合してなる変性ポリオレフィン系樹脂を好適に用いることができる。
変性ポリオレフィン系樹脂としては、接着性及び耐熱性に優れる観点から、変性プロピレン系樹脂、又は/及び変性ポリエチレン系樹脂が好適である。変性プロピレン系樹脂としては、例えば,ポリプロピレン、プロピレン-α-オレフィン共重合体、プロピレンとエチレンとα-オレフィンとの3元共重合体等のポリプロピレン系樹脂に、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸又はその酸無水物を、グラフト共重合した変性重合体が好適であり、ポリプロピレン、プロピレン-α-オレフィン共重合体、プロピレンとエチレンとα-オレフィンとの3元共重合体等に、無水マレイン酸をグラフト共重合した変性重合体がより好適である。変性ポリエチレン系樹脂としては、例えばポリエチレン単独重合体、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-α-オレフィン共重合体等のポリエチレン系樹脂に、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸又はその酸無水物を、グラフト共重合した変性重合体が好適であり、エチレン単独共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-α-オレフィン共重合体に、無水マレイン酸をグラフト共重合した変性重合体がより好適である。
本実施形態において、接着層を単層で有していてもよく、接着層を2層以上有していてもよい。例えば、ヒートシール層及びガスバリア層の間に設けられた第一の接着層と、ガスバリア層及び基材層の間に設けられた第二の接着層と、を含んでよい。
接着層は、変性ポリオレフィン系樹脂を単独、又は混合して用いることができる。また、結晶性を低下させ熱収縮性を向上させるために、変性ポリオレフィン系樹脂と他の熱可塑性樹脂とを混合して用いることもできる。他の熱可塑性樹脂としては、例えば、前述のポリプロピレン系樹脂、及び/又はポリエチレン系樹脂を混合して用いることができる。
また、層構成の例としては、基材層/変性ポリプロピレン/EVOH/変性ポリプロピレン/ヒートシール層、基材層/変性ポリプロピレン/PVA/変性ポリプロピレン/ヒートシール層、基材層/変性ポリプロピレン/PA/変性ポリプロピレン/ヒートシール層、基材層/EVA/PVDC/EVA/ヒートシール層、基材層/EVA/PET/EVA/ヒートシール層、基材層/EVOH/変性ポリエチレン/ヒートシール層、基材層/変性ポリエチレン/PA/変性ポリプロピレン/ヒートシール層等が挙げられ、この他にも上記樹脂を接着性樹脂やバリア性樹脂を順次積層して6層以上としてもよく、本発明の目的を損なわない範囲であれば、ポリメチルペンテン、ポリウレタン系樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリ乳酸等を積層してもよい。
-フィルムの物性-
本実施形態において、ピロー包装体のフィルムの引張弾性率は、100~600MPaであることが好ましく、より好ましくは、120~580MPaであり、さらに好ましくは、160~550MPaである。フィルムの引張弾性率が100MPa以上であることにより、ピロー包装体を製造する工程のうち、原反フィルムを熱収縮させる工程において、当該収縮に十分に耐え得、具体的には、各シール部とフィルム中のフィルム本体部とが接続する部分において、当該熱収縮時に応力が集中しやすいが、応力が集中してもフィルムが裂ける等することがない。また、フィルムの引張弾性率が600MPa以下であることにより、皺の発生を抑制し、美麗な包装体を得ることができる他、包装体を積み重ねて運搬する際、包装体同士が接触することによる包装体の傷つきを抑制することができる。
なお、フィルムの引張弾性率は、原反フィルムの厚みや構成する樹脂の種類を調整することにより上記の範囲にすることができる。また、フィルムの引張弾性率は、原反フィルムの引張弾性率を指し、具体的には、後述する実施例で説明する方法により測定することができる。
本実施形態において、フィルムの酸素透過度は、50~500cc/m・day・MPaであることが好ましく、より好ましくは、50~450cc/m・day・MPaであり、さらに好ましくは、50~400cc/m・day・MPaである。酸素透過度を500cc/m・day・MPa以下にすることにより、ピロー包装体の内部にガスを封入したことによる効果を効果的に得ることができる。また、酸素透過度を50cc/m・day・MPa以上にすることにより、若干の酸素を包装体内に入るようにすることができるので、生鮮食品等の内容物の窒息を防ぐことができる。
なお、酸素透過度は、原反フィルムのバリア層の樹脂の種類及び厚みを調整することにより上記の範囲にすることができる。また、フィルムの酸素透過度はASTM D-3985に準拠して測定することができる。
また、フィルムの酸素透過度は、フィルムのシール部以外のフィルム本体部の酸素透過度を指し、フィルムの酸素透過度は、後述する実施例で説明する方法により測定することができる。
本実施形態において、フィルムの動摩擦係数は0.01~0.65であることが好ましい。また当該動摩擦係数は好ましくは0.03~0.60であり、より好ましくは0.05~0.50である。
動摩擦係数を0.01以上にすることにより、製造過程において適度な摩擦力を発生させることができるのでピロー包装体を効率よく製造することができる。また、動摩擦係数を0.65以下にすることにより、厚さt1の厚さt2に対する比をより好適に満たしやすくすることができる。具体的には、製造過程において過度な摩擦力が発生すると、原反フィルムをシールする際にシール部にシワが発生し、当該厚さの比を大きくする恐れがあるものの、動摩擦係数を0.40以下にすることによりそれを避けることができる。
なお、フィルムの動摩擦係数は、食品等の内容物と接触する側の原反フィルムの表面の動摩擦係数を指し、動摩擦係数は、JIS K7125に準拠して測定することができ、より具体的には、後述する実施例で説明する方法により測定することができる。
本実施形態において、フィルムの動摩擦係数は、フィルムの弾性率を調整すること、フィルムに添加剤として帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤等を配合させたり、またその含有量を調整すること、等により所定の範囲にすることができる。
本実施形態において、フィルムの厚さは10~40μmであることが好ましく、より好ましくは12~35μmであり、さらに好ましくは13~30μmである。フィルムの厚さが10μm以上であることにより、ピロー包装体を製造する工程のうち、原反フィルムを熱収縮させる工程において、当該熱収縮時やピロー包装体搬送時にフィルムが十分に耐え得る。また、フィルムの厚さが40μm以下であることにより、シール部の厚さt1の厚さt2に対する比をより効果的に所定の範囲にしやすくなる。
なお、フィルムの厚さは、ピロー包装体のフィルムのフィルム本体部を切り出して、任意のシール部分を除いた5箇所を測定し、その値の算術平均値である。
〈トレー〉
本実施形態において、トレーは、特に限定されなく、通常、生鮮食品等の内容物を保持するために用いることができるトレーを使用することができる。具体的には、例えば、ポリスチレン系樹脂等からなる発泡トレー、ポリプロピレン系樹脂等からなる透明トレー、パルプモールドトレー、紙トレー等が挙げられる。また、トレーの寸法や形状等についても、特に限定されなく、任意のものを用いることができる。
〈ピロー包装体の製造方法〉
本実施形態において、ピロー包装体は、特に限定されないが、例えば次のような方法により連続的に製造することができる。
本実施形態のピロー包装体6の製造方法では、まず、内容物(図示せず)を保持したトレー1に対して、原反フィルム2を内容物側から被せ、原反フィルム2の端部21同士(ピロー包装体の進行方向に直交する方向の両側の端部21)を、トレー1の裏面側で、製造装置3のローラー31で重ね合わせつつヒートシールしてセンターシール部CSを形成する。なお、この際、ピロー包装体の進行方向に直交する方向から観たとき、内容物を保持したトレー1に対して、原反フィルム2の余剰が少なくなるようにすることが、厚さt1の厚さt2に対する比をより小さくすることに効果的である。すなわち、ピロー包装体において、トレー1の周長と、センターシール部CSが形成された原反フィルム2において、センターシール部CSの延在方向に直交する方向に、原反フィルム2の筒状部分の外表面に沿って測った長さとの差が、20~80mmであることが好ましい。またより好ましくは25~75mmであり、さらに好ましくは、30~70mmである。トレー1の周長は、トレー1の外表面を、フィルムで覆われた際に形成されるセンターシール部CSの延在方向に直交する方向に沿って測った長さであり、また、トレー1の開口部は開口していないものとして測る。
次いで、筒状になった原反フィルム2を、トレー1の前方側(ピロー包装体の進行方向の前方側)の位置で、カッター付きのシーラー32でヒートシールするとともに切断する。これにより、当該包装体についての前方側(ピロー包装体の進行方向の前方側)のトップシール部TSと、当該包装体の1つ先に形成された包装体についての後方側(ピロー包装体の進行方向の後方側)のトップシール部TSが一緒に形成される。また、同時に、トップシール部TSの中間で切断されて先の包装体が切り離される。なお、トップシール部TSが形成される際、センターシール部CSは、筒状の原反フィルム2の表面に沿うように折りたたまれる。
続けて、前方側のトップシール部TSが形成された包装体は、当該包装体の後方の包装体についての前方側のトップシール部TSと一緒に後方側のトップシール部TSが形成され、且つ、原反フィルム2が切断されることで、熱収縮工程前のピロー包装体4が製造される。
なお、原反フィルム2にセンターシール部CSやトップシール部TSを形成する際、不活性ガス等のガスを内部に注入することでガスを封入している(注入箇所は図示せず)。
次いで、熱収縮工程前のピロー包装体4を、所定の温度に加熱されたシュリンクトンネルを通過させることで、熱収縮させて、ピロー包装体6を得ることができる。
ここで、ピロー包装体を形成するために用いる原反フィルムとしては、上述したピロー包装体のフィルムの構成及び樹脂組成を有することができる。
また、原反フィルムは、100℃における熱収縮率が20~50%であることが好ましく、より好ましくは23~47%であり、さらに好ましくは25~45%である。熱収縮率を20%以上とすることにより、ピロー包装体においてフィルムが適切にトレー及び内容物を包装することができ、熱収縮率を50%以下とすることにより、ピロー包装体のトレーが変形することを抑制することができるとともに、シール部の厚さt1の厚さt2に対する比をより効果的に所定の範囲にしやすくなる。なお、熱収縮率は、後述する実施例で説明する方法により測定することができる。また、当該熱収縮率はフィルム延伸倍率により調整することができる。
原反フィルムは、100℃における熱収縮応力が200~400g/mmであることが好ましく、より好ましくは210~380g/mmであり、さらに好ましくは210~350g/mmである。熱収縮応力を200g/mm以上とすることにより、ピロー包装体においてフィルムが適切にトレー及び内容物を包装することができ、熱収縮応力を400g/mm以下とすることにより、ピロー包装体のトレーが変形することを抑制することができる。なお、原反フィルムの熱収縮応力は、後述する実施例で説明する方法により測定することができる。また、当該熱収縮応力はフィルムを構成する樹脂の種類により調整することができる。
原反フィルムの厚さは8~30μmであることが好ましく、より好ましくは9~28μmであり、さらに好ましくは10~25μmである。フィルムの厚さが8μm以上であることにより、原反フィルムを熱収縮させる工程において、当該熱収縮時にフィルムが十分に耐えることができる。また、原反フィルムの厚さが30μm以下であることにより、シール部の厚さt1の厚さt2に対する比をより効果的に所定の範囲にしやすくなる。
なお、原反フィルムの厚さは、任意の原反フィルムの引き出し方向と直交する方向の5箇所を測定し、その値の算術平均値である。
また、原反フィルムは、バリア層を構成する樹脂において、JIS-K-7210に準じて測定された融解ピーク温度(以下、融点という)が160℃以下であることが好ましい。バリア層を構成する樹脂の融点が160℃以下であればピロー包装体を得る際の熱収縮工程に分子配向の緩和が促されるため、収縮用途に適した良好な熱収縮性を発現することができる。
なお、融点は、示差走査熱量測定(DSC)により得られる融解曲線で現れる吸熱反応のピークの頂点における温度である。融解ピークが複数存在する場合は、最も高温側の融解ピーク温度が上記数値範囲内であればよい(すなわち、本明細書中では、最も高温側の融解ピーク温度を融点と見做す)。
さらに、原反フィルムのヒートシール層の融点は、70~130℃であることが好ましく、より好ましくは75~125℃であり、さらに好ましくは80~120℃である。融点が70℃未満であると、シュリンクトンネル通過時にシール部分が溶融し、シール不良が生じやすくなる。融点を130℃以下とすることにより、ヒートシール時にシール部を容易に形成しやすくなり、厚さt1に対する厚さt2の比を所定の範囲にしやすくすることができる。
なお、ヒートシール層の融点は、後述する実施例で説明する方法により測定することができる。
ところで、ピロー包装体のシール部を形成する際、シーラーの温度は、100~150℃とすることができる。この範囲にすることでより適切にシール部を形成することができる。
また、ピロー包装体を熱収縮させる際のシュリンクトンネル内の温度は、80~135℃であることが好ましく、より好ましくは85~133℃であり、さらに好ましくは90~130℃である。この範囲にすることでより適切に熱収縮させることができる。
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明のピロー包装体は、上記の例に限定されることは無く、本発明のピロー包装体には、適宜変更を加えることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例になんら限定されるものではない。
実施例・比較例におけるピロー包装体、原反フィルムの分析、評価方法を以下の通りである。
(1)ヒートシール層の融点
JIS-K7121に準拠して、ヒートシール層の樹脂を7mg計量し、下記温度プログラムを用いて、パーキンエルマー社製Diamond DSC(商品名、入力補償DSC:入力補償示差走査式熱量計)により測定した。
(温度プログラム)
段階1:0℃から200℃まで10℃/minで昇温し、200℃で1分保持
段階2:200℃から0℃まで10℃/minで冷却し、0℃で1分保持
段階3:0℃から200℃まで10℃/minで昇温
※ 段階3(2回目加熱)において測定される融解温度を融点(Tm)とした。なお、複数のピークを有するものについては低温側に生じたピークを融点(Tm)とした。
(2)熱収縮率
ASTM D-2732に準拠して測定した。10cm角のフィルム試料を自由に収縮する状態で100℃の温度に設定した熱風シュリンクトンネルMODEL MS8441(商品名、K&Uシステム(株)製)に通して、通過後のフィルムの縦と横の収縮量を求め、元の寸法で割った値の百分比で表した。なお中央部の最大風速は4.5m/secで、通過時間は10秒とした。
(3)熱収縮応力
ASTM-D2838に準拠して測定した。原反フィルムをMD方向/又はTD方向に90mm(測定長さ50mm+チャックつかみ40mm)、TD方向/又はMD方向に10mmの短冊状にサンプリングし(MD方向のサンプルとTD方向のサンプルを作製し)、100℃の温度のオイルバスに浸漬させた場合の浸漬直後、及び3分間浸漬後の最大熱収縮応力を測定した。
(4)動摩擦係数
原反フィルムの23℃における動摩擦係数をJIS K7125に従って測定した。この動摩擦係数の測定においては、原反フィルム、フィルムの外表面(基材層側の表面)の任意の5箇所で測定しその算術平均値を動摩擦係数とした。
(5)引張弾性率
原反フィルムの引張弾性率の測定は、オートグラフAG-IS(島津製作所製)を使用し、23℃、50%RHの雰囲気中にて評価した。
具体的には、原反フィルムの任意の3つの位置において、その位置でのMD方向、TD方向の試験片を得、それぞれの試験片について、ASTM-D-882に記載の方法に準拠し、5mm/minの引張速度、チャック間距離100mmの条件で2%伸長時の荷重からMD方向、TD方向の試験片についての引張弾性率を測定した。そして、それぞれの引張弾性率を平均した値を、その原反フィルムについての引張弾性率とした。
(6)酸素透過度
MOCON社製の酸素透過分析装置(OX-TRAN(登録商標2/21SH))を用いて、酸素の条件を65%RH、測定温度を23℃として、フィルムのシール部以外のフィルム本体部の酸素透過率を測定し、測定開始3時間経過後の酸素透過率の値により酸素バリア性の評価を行った。
(7)シール部の厚さ
厚さt1、t2はデジタルマイクロスコープ(キーエンス社製、VHX-6000)を用いて測定した。具体性には、センターシール部とトップシール部とが重なる部分の1対をそれぞれ1箇所測定し、その算術平均した値を厚さt1とした。また、トップシール部の延在方向に沿って、トップシール部の両端、中間部分の3箇所をそれぞれ1対のトップシール部について測り、その算術平均した値を厚さt2とした。
(8)原反フィルム筒状部の周長とトレー周長との差
ピロー包装体について、センターシール部の中央の位置において、センターシール部の延在方向に直交する方向にトレーの外表面に沿って測った長さをトレー周長(mm)とした(トレーの開口部は開口していないものとして測った)。また、ピロー包装体の製造において、原反フィルムにセンターシール部を形成した際、原反フィルムが筒状となる部分を、センターシール部の延在方向に直交する方向に原反フィルムの外表面に沿って測った長さを、原反フィルム筒状部の周長(mm)とした。そして、得られた値から原反フィルム筒状部の周長とトレー周長との差(mm)を求めた。
(9)皺の本数
3個のピロー包装体について、ピロー包装体のセンターシール部とトップシール部が重なる1対の部分に形成された皺の本数を数え、ピロー包装体1個あたりの皺の本数を皺の本数とした。
(10)リーク率
100個のピロー包装体について、包装体から、フィルムのシール線(溶着部分)を破壊しないようにフィルム本体部を切ってフィルムを得、センターシール部とトップシール部それぞれに、着色した浸透液(イチネンケミカル製、ヒートシールチェッカー)を塗布し、シール線を横断するような線状の着色が見られたものをリークとし、そのリークが見られた包装体を百分率で示し、リーク率とした。
(11)トレー変形
ピロー包装体について、トレーの歪みを目視で確認し、変形の見られたものをトレー変形とした。
原反フィルムの製造に使用した樹脂を以下に記す。
<基材層>
・PP:エチレン-プロピレン共重合体、MFR5.3g/10min(230℃)、融点150℃
・PA:ポリアミド-6,66共重合体、MFR2.6g/10min(230℃)、融点195℃
<バリア層>
・EVOH:エチレン-ビニルアルコール共重合体、MFR4.0g/10min(190℃)、エチレン含量38mol%、融点160℃
・PVDC:塩化ビニリデン-アクリル酸メチル共重合体、95/5質量%、融点166℃
<ヒートシール層>
・LLDPE-1:エチレン-α-オレフィン共重合体、密度0.904g/cm、MFR2.0g/10min(190℃)、融点111℃
・LLDPE-2:エチレン-α-オレフィン共重合体、密度0.902g/cm、MFR3.0g/10min(190℃)、融点99℃
・防曇剤:ポリオキシエチレンアルキルエーテル25質量%、ジグリセリンオレート25質量%、ジグリセリンラウレート25質量%、グリセリンモノオレート25質量%の混合物
<接着層>
・変性ポリプロピレン、MFR7.7g/10min(190℃)、融点140℃
原反フィルムの製造方法を以下に記す。
<製造例1>
表1に示す構成の樹脂を用いて、5台の押出機を使用し、環状ダイスより5層構成のチューブを溶融押出し、そのチューブを水冷リングを用いて急冷し、約560μm厚みの未延伸チューブを得た。なお、基材層及びヒートシール層を形成する樹脂は、予め防曇剤を5.0質量%添加したものを使用した。
得られた未延伸チューブをインフラヒーターにより輻射により未延伸チューブを加熱しバブル形成の直前(バブルネック部)における温度が最高温度になるように調整し、その温度(これを延伸温度とする。)を100℃まで加熱しつつ、管状パリソン内に空気を注入しバブルを形成させタテ方向5倍、ヨコ方向に4.5倍に延伸し、エアリングからバブルに冷却風をあてて冷却した。その後、延伸したフィルムを折りたたんだ後、所定の幅にスリットし表1記載の厚みの原反フィルムF1を得た。
得られた原反フィルムについて、上記の測定方法に基づき各物性を測定し、その結果を表1に示す。
<製造例2>
ヒートシール層をエチレン-α-オレフィン共重合体、密度0.902g/cm、MFR3.0g/10min(190℃)、融点99℃とした以外、製造例1と同様に製造し、原反フィルムF2を得た。得られた原反フィルムについて、上記の測定方法に基づき各物性を測定し、その結果を表1に示す。
<製造例3>
基材層及びヒートシール層へ添加する防曇剤の添加量を2質量%とした以外、製造例1と同様に製造し、原反フィルムF3を得た。得られた原反フィルムについて、上記の測定方法に基づき各物性を測定し、その結果を表1に示す。
<製造例4>
延伸倍率をタテ方向6倍、ヨコ方向5.5倍とした以外、製造例1と同様に製造し、原反フィルムF4を得た。得られた原反フィルムについて、上記の測定方法に基づき各物性を測定し、その結果を表1に示す。
<製造例5>
未延伸チューブの厚みを約400μmとした以外、製造例1と同様に製造し、原反フィルムF5を得た。得られた原反フィルムについて、上記の測定方法に基づき各物性を測定し、その結果を表1に示す。
<製造例6>
未延伸チューブの厚みを約630μmとした以外、製造例1と同様に製造し、原反フィルムF6を得た。得られた原反フィルムについて、上記の測定方法に基づき各物性を測定し、その結果を表1に示す。
<製造例7>
基材層をポリアミド-6,66共重合体、バリア層を塩化ビニリデン-アクリル酸メチル共重合体とするとともに、各層の溶融押出量を調整して表1に示す構成にした以外、製造例1と同様に製造し、原反フィルムF7を得た。得られた原反フィルムについて、上記の測定方法に基づき各物性を測定し、その結果を表1に示す。
<製造例8>
溶融押出量を調整して表1に示すフィルム構成にした以外、製造例7と同様に製造し、原反フィルムF8を得た。得られた原反フィルムについて、上記の測定方法に基づき各物性を測定し、その結果を表1に示す。
Figure 0007257193000001
ピロー包装体の製造方法を以下に記す。
<実施例1~14、比較例1~8>
ピロー包装体を次の方法で、表2に示す条件で連続的に製造した。まず、内容物(100gの粘土)を保持したトレー(寸法:縦195mm、横130mm、高さ30mm、周長280mm、材料:ポリスチレン製)に対して、上記の製造例で製造した原反フィルムを内容物側から被せ、原反フィルムの端部同士を、トレーの裏面側で重ね合わせつつ135℃でヒートシールしてセンターシール部を形成した。
次いで、筒状になった原反フィルムを、トレーの前方側の位置で、カッター付きのシーラーで表に示す温度でヒートシールするとともに切断した。
続けて、前方側のトップシール部が形成された包装体を、当該包装体の後方の包装体についての前方側のトップシール部と一緒に後方側のトップシール部を形成し、且つ、原反フィルムを切断して、熱収縮工程前のピロー包装体を製造した。
なお、原反フィルムにセンターシール部やトップシール部を形成する際、窒素ガスを内部に注入することでガスを封入した。
次いで、熱収縮工程前のピロー包装体を、温度120℃に加熱したシュリンクトンネルを通過させることで、熱収縮させて、ピロー包装体を得た。
Figure 0007257193000002
表2に示すように、比(t1/t2)が3.0未満である実施例1~14は、リーク率が低く、ピロー包装体が確実にシールされていることがわかる。一方、原反フィルム筒状部の周長とトレー周長との差が大きい比較例1~3、5~7は比(t1/t2)が3.0以上となり、リーク率が高かった。また、熱収縮率、熱収縮応力が高い比較例4も比(t1/t2)が3.0以上となり、リーク率が高かった。さらに、引張弾性率が高い比較例8も比(t1/t2)が3.0以上となり、リーク率が高かった。
本発明によれば、確実にシールされたピロー包装体を提供することができる。
1:トレー
2:原反フィルム
21:原反フィルムの端部
3:製造装置
31:ローラー
32:シーラー
4:熱収縮工程前のピロー包装体
5:シュリンクトンネル
6:ピロー包装体
7:フィルム
71:フィルム本体部
CS:センターシール部
TS:トップシール部
OS:センターシール部とトップシール部とが重なる部分

Claims (3)

  1. トレーと、当該トレーを包装する、バリア層を有するフィルムとを備えるピロー包装体であって、
    前記フィルムのセンターシール部とトップシール部とが重なる部分における厚さt1(μm)の、トップシール部における厚さt2(μm)に対する比(t1/t2)が、3.0未満であり、
    前記フィルムの引張弾性率が200~449MPaである、
    ことを特徴とする、ピロー包装体。
  2. 前記フィルムの酸素透過度が50~500cc/m・day・MPaである、請求項1に記載のピロー包装体。
  3. 前記フィルムの動摩擦係数が0.01~0.65である、請求項1又は2に記載のピロー包装体。
JP2019044173A 2019-03-11 2019-03-11 ピロー包装体 Active JP7257193B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019044173A JP7257193B2 (ja) 2019-03-11 2019-03-11 ピロー包装体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019044173A JP7257193B2 (ja) 2019-03-11 2019-03-11 ピロー包装体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020147296A JP2020147296A (ja) 2020-09-17
JP7257193B2 true JP7257193B2 (ja) 2023-04-13

Family

ID=72429231

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019044173A Active JP7257193B2 (ja) 2019-03-11 2019-03-11 ピロー包装体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7257193B2 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006008136A (ja) 2004-06-22 2006-01-12 Okura Ind Co Ltd シュリンク包装体
JP2006103751A (ja) 2004-10-05 2006-04-20 Asahi Kasei Life & Living Corp 収縮包装体
JP2013010199A (ja) 2011-06-28 2013-01-17 Asahi Kasei Chemicals Corp 熱収縮性延伸積層フィルム、並びに、これを備えるトップシール包装体及びピローシュリンク包装体
JP2013185051A (ja) 2012-03-07 2013-09-19 Asahi Kasei Chemicals Corp ポリアミドフィルム及び積層フィルム

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2991526B2 (ja) * 1991-04-16 1999-12-20 呉羽化学工業株式会社 トレイ包装体

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006008136A (ja) 2004-06-22 2006-01-12 Okura Ind Co Ltd シュリンク包装体
JP2006103751A (ja) 2004-10-05 2006-04-20 Asahi Kasei Life & Living Corp 収縮包装体
JP2013010199A (ja) 2011-06-28 2013-01-17 Asahi Kasei Chemicals Corp 熱収縮性延伸積層フィルム、並びに、これを備えるトップシール包装体及びピローシュリンク包装体
JP2013185051A (ja) 2012-03-07 2013-09-19 Asahi Kasei Chemicals Corp ポリアミドフィルム及び積層フィルム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020147296A (ja) 2020-09-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4848020B2 (ja) 延伸積層フィルム及び袋
JP5328464B2 (ja) 熱収縮多層フィルム
JP2013504452A (ja) ガスバリア熱収縮性フィルム
JP5771459B2 (ja) 熱収縮性延伸積層フィルム、並びに、これを備えるトップシール包装体及びピローシュリンク包装体
JPS6040988B2 (ja) 低温熱収縮性多層バリヤ−フイルム
EP3463860A1 (en) Gas-barrier heat-shrinkable film
US20230286199A1 (en) Multilayer, coextruded polyolefin film and manufacture thereof on triple bubble lines
JP2021020421A (ja) ポリオレフィン系多層シュリンクフィルム
JP5041601B2 (ja) 熱収縮性多層フィルムおよびその製造方法
JP2016179648A (ja) 熱収縮性積層フィルム
WO2021198997A1 (en) Multilayer polymer film
JP3751965B2 (ja) ポリオレフィン系多層シュリンクフィルム
JP7257193B2 (ja) ピロー包装体
JP2007152570A (ja) 熱収縮性積層フィルム
JP5705563B2 (ja) 熱収縮性延伸積層フィルム及びその製造方法、並びに、トップシール包装体及びピローシュリンク包装体
US20210009794A1 (en) Resin composition for sealant, multilayer film for sealant, heat-fusible laminated film, and package
JP3188175B2 (ja) 包装フィルム及びそれを用いたシュリンク包装体
JP5545627B2 (ja) ポリオレフィン系薄膜多層シュリンクフィルム
JP6289261B2 (ja) 熱収縮性積層フィルム
JP5429852B2 (ja) 包装体
JP4818169B2 (ja) 熱収縮性多層フィルム
JP2017137110A (ja) シュリンク包装方法、熱収縮フィルム及び包装体
JP7190141B2 (ja) 熱収縮性ガスバリアフィルム
JP7030595B2 (ja) 熱収縮性フィルム
JP6289262B2 (ja) 熱収縮性積層フィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211126

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220915

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220927

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221125

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230328

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230403

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7257193

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150