JP6612917B2 - ポリエチレン系架橋シュリンクフィルム - Google Patents

ポリエチレン系架橋シュリンクフィルム Download PDF

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Description

本発明は、ポリエチレン系架橋シュリンクフィルムに関する。
包装用の収縮フィルム(シュリンクフィルム)は、被包装物の形状や大きさに依らず、同時に複数個の製品を迅速かつタイトに包装することができる。また、得られた包装物は外観が美しく、ディスプレイ効果を発揮し、商品価値を高め、内容物を衛生的に保ち、視覚による品質確認が容易なことから、食品や雑貨等の包装に多用されている。
かかる包装用収縮フィルムを用いた包装方法としては、フィルムに若干の余裕を持たせて内容物を一次包装した後、熱風等によりフィルムを熱収縮させる方法が一般的であり、ピローシュリンク包装がその代表例である。この方法は、一般的には、容器やトレーに収納された食品等の被包装物をフィルムで筒状に覆い、次に回転ローラー式等のセンターシール装置にて被包装物の裏面にシール線がくるように合掌ヒートシールする。続いて該筒状フィルムの両開放端をヒートシールして袋状とし、シュリンクトンネルと呼ばれるボックス内で熱風によって加熱処理をして、あらかじめ付設した孔より内部の空気を脱気しながらこれを加熱収縮させる。このピローシュリンク包装には上記以外にも三方シール、及び四方シールした袋状フィルムを加熱する方法等がある。
このようなピローシュリンク包装を施す被包装体の主な例として、弁当や惣菜を入れた蓋付きのポリスチレン製やフィラー入りポリプロピレン(PP)製等の耐熱容器、肉や魚を入れた蓋の無い発泡ポリスチレン製、PP製、紙製等のトレー等が挙げられ、いずれの場合も容器やトレーを、余裕を持たせてゆったり包装し、その後に熱風を吹き付けて収縮させることで、角残りの少ない美麗な包装体が得られる。
近年は、炭酸ガスの排出の削減や包装ラインの速度アップによる経費削減等のために、シュリンク包装時の加熱温度の低温化が望まれており、シュリンクフィルムの収縮特性としては、なるべく低い温度で高収縮することが好ましい。
しかし、前述の弁当や惣菜といった被包装体の包装においては、包装後に電子レンジでの再加熱が行われることが多く、温度によっては、容器が熱により軟らかくなる場合がある。そのため、熱収縮性フィルムを用いて包装された包装物を電子レンジで再加熱すると、フィルムの収縮によって容器が変形することがある。
また、容器やトレーは省資源の観点から薄肉化が進んでいるため、再加熱による容器変形が起こりやすくなっている。そのため、容器変形を防止する観点から、包装用フィルムの収縮特性としては、再加熱時の温度を考慮して100℃以下において低収縮である方がよい。
一方、フィルム自体の薄肉化も望まれており、従来厚みのフィルム同等の包装機適性(シール性や耐ピンホール性)と輸送適性(耐擦れ破れ性)とが要求されている。
弁当・惣菜等の包装をピロー包装で行う場合、一般に用いられるピロー包装機は、被包装体を1次包装する際にフィルムの両端を10%程度幅方向に引っ張りながら、被包装体の底部にフィルム端部を誘導し、一対の熱ローラーで挟んで連続的に加熱し、合掌シール(包装体の内側となる面同士でシール)する。このため、熱ローラーへのフィルムの溶融巻付きを防止する点でフィルムが架橋されていることが望ましい。
例えば、特許文献1及び2には、エチレン−α−オレフィン共重合体を用いた架橋多層シュリンクフィルムが開示されている。
特許第5025412号 特開2007−118576号公報
ところで、薄肉フィルム(例えばフィルムの厚みが9μm未満)で包装する場合、フィルムの厚みが薄いほど、1次包装において、包装体底部に誘導される際にフィルム外面(包装体の外側となる面)が金属部品と擦られて微小な傷が付くがことが多く、後の収縮工程において、その傷を起点として溶融穴開きが生じ、ピンホール化する現象が発生し易くなる。
したがって、薄肉フィルムを用いて、ピロー包装を行う場合に包装体の内面側は安定したヒートシール性が要求され、外面側となる面は耐摩耗性と耐熱性とが要求されるという難しい課題解決が求められる。
耐摩耗性や耐熱性を得るためには、例えばポリエチレン系樹脂に架橋処理を施すことが挙げられる。一方、分子間に架橋を生じさせると、シール時に分子の流動性が低下するため、ヒートシール性が低下する可能性がある。
ここで、上記特許文献1のフィルムでは、電子線照射時の加速電圧が高く、ヒートシール面となる側の表面の架橋度と、耐摩耗性及び耐熱性が要求されるもう一方の表面の架橋度とが同程度になることが予想される。そのため、例えば9μm未満の薄肉フィルムを用いた場合には、ヒートシール面のシール性と反対面の耐摩耗性及び耐熱性とを両立することが困難である。一方、上記特許文献2に開示されているフィルムの原反厚みと加速電圧との関係では、加速電圧が低く、ヒートシール面側の表面がほぼ非架橋となり、両表面の架橋度の配向差によってフィルムがカールしてしまい、包装時の搬送不良の原因になると考えられる。
本発明は、一方の表面がヒートシール性、他方の表面が耐摩耗性及び耐熱性に優れる、薄肉でも十分実用的な剛性及び耐熱性を有するポリエチレン系架橋シュリンクフィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を達成する為に鋭意検討した結果、ポリエチレン系架橋シュリンクフィルムにおいて、一方のフィルム表面が低架橋であれば、原子間力顕微鏡により観察される表面粗さが大きくヒートシール性に優れ、他方の表面が高架橋であれば表面粗さが小さく、平滑な表面状態となり耐摩耗性に優れることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は下記の通りである。
[1]少なくとも1層からなり、一方の最表面である表面Aと、他方の最表面である表面Bとを有するポリエチレン系架橋シュリンクフィルムであって、原子間力顕微鏡によって観察される表面Aの表面粗さをRaA、表面Bの表面粗さをRaBとしたとき、RaAが4.0〜10.0、RaBが3.0〜5.0であり、かつ、RaAとRaBとの関係が下記式(1)を満たす、ポリエチレン系架橋シュリンクフィルム。
1.1≦RaA/RaB≦3.0 (1)
[2]少なくとも3層からなり、表面Aを有する表面層SAのゲル分率が0.5〜5.0質量%、表面Bを有する表面層SBのゲル分率が5.0〜15.0質量%である、[1]のポリエチレン系架橋シュリンクフィルム。
[3]フィルム全体のゲル分率が10〜35質量%である、[1]又は[2]のポリエチレン系架橋シュリンクフィルム。
[4][1]〜[3]のいずれかのポリエチレン系架橋シュリンクフィルムの製造方法であって、延伸前の原反に対し、下記式(2)及び(3)を満たす加速電圧で電子線を照射し、架橋処理する工程と、前記原反を構成する樹脂又は樹脂組成物の融解ピーク温度以上で原反の延伸を行う工程と、を備える、製造方法。
T×D=α (2)
α+10≦V≦α+70 (3)
[上記式(2)、(3)中、Tは原反の厚み(μm)、Dは原反の平均密度(g/cm)、Vは加速電圧(kV)を示す]
[5]表面Aが内側となるように、[1]〜[3]のいずれかのポリエチレン系架橋シュリンクフィルムを折り返し、互いに対向する表面A同士を少なくとも3方以上合掌シールし、内容物を収縮包装してなる包装体。
本発明のポリエチレン系架橋シュリンクフィルムによれば、一方の表面がヒートシール性に優れ、他方の表面が耐摩耗性及び耐熱性に優れる、薄肉でも十分実用的な剛性及び耐熱性を有するポリエチレン系架橋シュリンクフィルムを提供することができる。また、本発明によれば、フィルムの薄肉化が可能となるため、廃棄物を削減することができ、環境適性に優れ、地球温暖化対策にも有効である。
本実施形態のポリエチレン系架橋シュリンクフィルム(1層)の模式断面図である。 本実施形態のポリエチレン系架橋シュリンクフィルム(3層)の模式断面図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、本実施形態という。)について、説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施形態に係るポリエチレン系架橋シュリンクフィルムは、少なくとも1層からなり、一方の最表面である表面Aと、他方の最表面である表面Bとを有するポリエチレン系架橋シュリンクフィルムであって、原子間力顕微鏡によって観察される表面Aの表面粗さをRaA、表面Bの表面粗さをRaBとしたとき、RaAが4.0〜10.0、RaBが3.0〜5.0であり、かつ、RaAとRaBとの関係が下記式(1)を満たすフィルムである。
1.1≦RaA/RaB≦3.0 (1)
図1は、フィルムが1層であるときの、本実施形態のポリエチレン系架橋シュリンクフィルムの模式断面図である。図1に示すように、ポリエチレン系架橋シュリンクフィルム1は、一方の最表面である表面A(2a)及び他方の最表面である表面B(3a)を有する。
本実施形態のポリエチレン系架橋シュリンクフィルム1は、表面A側はシール面として用いられるため、低架橋である。また、表面A側を表面とした場合に裏面となる表面B側は、ポリエチレン系架橋シュリンクフィルム1を包装体とした場合に外側になるように用いられるため、表面A側よりも高架橋である。
原子間力顕微鏡は、カンチレバーの先端に取り付けられた探針で、試料の表面を走査し、カンチレバーの上下方向への変位を測定することで、試料表面の凹凸形状を評価することができる。架橋され、延伸されたフィルムの表面は、原子間力顕微鏡を用いて観察した場合に、網目状の分子配向様な形状が観察されるが、高架橋であるほど分子配向様なネットワークが緻密であり、低架橋であるほど緻密ではなく粗いネットワークとして観察される。
この時、高さ方向の情報を表面粗さパラメータ(Ra)として、表すことができるが、高架橋であるほど、緻密なネットワークが延伸によって、均されて平坦となり、Ra値としては小さくなる。また、低架橋であるほど延伸の影響を受けにくいため、表面が均されにくく、Ra値としては大きくなる。即ち、Ra値はポリエチレン系架橋シュリンクフィルム表面の架橋度の指標として、用いることができる。
原子間力顕微鏡によって観察される表面Aの表面粗さであるRaAは、シール性の観点から4.0以上であり、透明性の観点から10.0以下である。RaAは、好ましくは4.5〜9.5であり、より好ましくは4.5〜9.0であり、さらに好ましくは5.0〜8.5である。
原子間力顕微鏡によって観察される表面Bの表面粗さであるRaBは、延伸性の観点から3.0以上、擦れ破れを抑制する観点から5.0以下である。RaBは、好ましくは3.3〜4.8であり、より好ましくは3.5〜4.7であり、さらに好ましくは3.7〜4.6である。
また、フィルムの表裏の架橋度に差が大きすぎる場合は、フィルムの配向バランスが悪化するため、配向の弱い側(低架橋側)に対しフィルムがカールしてしまう。このフィルムのカールを防止する観点から、RaBに対するRaAの比であるRaA/RaBの上限値は、3.0以下である。また、表面Aのシール性及び表面Bの耐擦れ破れ性の観点から、RaA/RaBの下限値は1.1以上である。RaA/RaBは、好ましくは1.15〜2.9であり、より好ましくは1.2〜2.8であり、さらに好ましくは1.25〜2.7である。
本実施形態のポリエチレン系架橋シュリンクフィルム1は、密度が0.900〜0.930g/cmのポリエチレン系樹脂を含む樹脂又は樹脂組成物を膜状に成型したものであることが好ましい。
ポリエチレン系樹脂の中でも、エチレン−α−オレフィン共重合体が機械的強度に優れるため好適である。エチレン−α−オレフィン共重合体の密度は、0.900g/cm以上であれば、フィルムの腰が上がり、包装機での走行性が向上する傾向にあることから好ましく、0.930g/cm以下であれば、110℃付近以上における収縮率が向上するする傾向にあることから好ましい。エチレン−α−オレフィン共重合体の密度は、より好ましくは0.907〜0.928g/cm、さらに好ましくは0.910〜0.926g/cmであり、最も好ましくは0.910〜0.920g/cmである。
ここで、エチレン−α−オレフィン共重合体とは、エチレンと、炭素数が3〜18のα−オレフィンと、から選ばれる少なくとも1種の単量体が共重合した共重合体をいう。
エチレン−α−オレフィン共重合体の単量体として用いられるα−オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチル−ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、ドデセン−1等が挙げられる。
エチレン−α−オレフィン共重合体を製造するのに用いられる重合触媒は、特に限定されないが、例えば、マルチサイト触媒やシングルサイト触媒等が挙げられる。
エチレン−α−オレフィン共重合体は上記規定の密度範囲内であれば、目的に応じて、1種又は2種以上の密度やコモノマー種の異なるものを混ぜて用いてもよい。一般的にエチレン−α−オレフィン共重合体は溶融張力が低いため、未延伸チューブ又はシートの押出安定性の観点から、層構成材料として単独での使用は困難であると考えられており、溶融張力の高い高圧法低密度ポリエチレンやエチレン−酢酸ビニル共重合体と混ぜ合わせて、層構成材料の溶融張力を調整することが行われている。しかしながら、高圧法低密度ポリエチレンやエチレン−酢酸ビニル共重合体は、エチレン−α−オレフィン共重合体に比べ、引裂強度が低いので、高圧法低密度ポリエチレンの配合比が高くなるほど、層構成材料の引裂強度は低下する傾向にある。
本実施形態においては、ポリエチレン系架橋シュリンクフィルム1を構成する樹脂又は樹脂組成物が、エチレン−α−オレフィン共重合体を50〜95重量%含むことが好ましい。エチレン−α−オレフィン共重合体の含有割合の下限値は好ましくは60重量%、さらに好ましくは70重量%である。かかる含有割合で用いることにより、押出性、押出成形性及び延伸安定性が得られる他、引裂強度が向上して包装時の裂け伝播等のトラブルが減少する傾向にある。
また、ポリエチレン系架橋シュリンクフィルム1を構成する樹脂又は樹脂組成物の0〜30重量%の範囲であれば、フィルムの透明性を損なわない限り、ポリプロピレン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリブテン系樹脂、エチレン系樹脂等の任意の他の樹脂を含んでもよい。
本実施形態に係るポリエチレン系架橋シュリンクフィルムは、少なくとも3層からなる多層フィルムとしてもよい。図2は、フィルムが3層であるときの、本実施形態のポリエチレン系架橋シュリンクフィルムの模式断面図である。図2の多層ポリエチレン系架橋シュリンクフィルム10は、表面A(2b)を有する表面層SA(4)と、表面B(3b)を有する表面層SB(5)と、表面層SAと表面層SBとの間に内部層6と、を備える。
本実施形態において、表面層SAのゲル分率は0.5〜5.0質量%、表面Bを有する表面層SBのゲル分率は5.0〜15.0質量%であることが好ましい。
ゲル分率は、架橋度の尺度として用いられ、例えば沸騰パラキシレンに試料を12時間浸漬した後、溶解しないで残存している部分の割合であり、以下の式により表される。
ゲル分率(重量%)=(抽出後の試料重量/抽出前の試料重量)×100
表面Aを有する表面層SA側は低架橋側となるため、包装体とする場合の内面にヒートシール面として用いられる。多層ポリエチレン系架橋シュリンクフィルム10においては、表面層SAのみを削り出し、ゲル分率を測定することが可能である。表面層SAのゲル分率はより好ましくは1〜4重量%であり、さらに好ましくは1.5〜3.9重量%である。
表面Bを有する表面層SB側は高架橋側となるため、包装体とする場合の外面に用いられることで耐摩耗性及び耐熱性の向上が期待できる。多層ポリエチレン系架橋シュリンクフィルム10における表面層SBのゲル分率の下限値としてはより好ましくは6.0質量%以上であり、さらに好ましくは7.0重量%以上である。また、ゲル分率が高すぎる場合は包装時の溶断カット性が低下するため、ゲル分率の上限値としてはより好ましくは13.0質量%以下であり、さらに好ましくは14.0重量%以下である。
また、本実施形態におけるポリエチレン系架橋シュリンクフィルムにおいて、少なくとも1層又は少なくとも3層の全層(フィルム全層)のゲル分率は、フィルムの延伸性や耐熱性の観点からで10〜35質量%の範囲であることが好ましく、15〜30質量%の範囲であることがより好ましい。
表面層SA及び/又は表面層SBには、ヒートシール強度を付与するためにエチレン−α−オレフィン共重合体を用いることが好適である。エチレン−α−オレフィン共重合体の密度は0.900g/cm〜0.930g/cm、より好ましくは0.907/cm〜0.928g/cm、更に好ましくは0.910〜0.926g/cmであり、最も好ましくは0.910〜0.920g/cmである。
表面層SA及び/又は表面層SBを形成するエチレン−α−オレフィン共重合体は、密度やメルトインデックスが異なる2種類以上を配合することで密度を調整してもよい。
表面層SA及び/又は表面層SBを形成するエチレン−α−オレフィン共重合体を主体とする樹脂又は樹脂組成物は、エチレン−α−オレフィン共重合体単独で構成されていても、他の重合体との混合物であってもよい。他の重合体との混合物である場合には、他の重合体の含有量は、エチレン−α−オレフィン共重合体100重量部に対して50重量部以下であることが好ましく、30重量部以下であることがより好ましく、20重量部以下であることがさらに好ましい。
他の重合体として、密度が0.930g/cm以下の高圧法低密度ポリエチレンをエチレン−α−オレフィン共重合体100重量部に対し、好ましくは1〜25重量部、より好ましくは5〜20重量部添加すると、ホットタックシール性や透明性が向上するので好ましい。
内部層6は、表面層SA及び/又は表面層SBと同様に、エチレン−α−オレフィン共重合体を用いてもよく、他の重合体を添加してもよく、例えば密度が0.930g/cm以下の高圧法低密度ポリエチレンをエチレン−α−オレフィン共重合体に添加させてもよい。
また、本実施形態における内部層6には、リサイクル原料を使用することができる。リサイクル原料とは、所定の幅にスリットする際などに余ったフィルム等を、粉砕処理したものを溶融押出して、ペレット化したものである。これらのリサイクル原料は、非リサイクル原料と比べて、架橋処理などにより分子量が増大し、溶融粘度が高くなっていることがあり、これを表面層に用いると、非リサイクル原料との粘度差によりフィルム表面が荒れて透明性が低下することもある。しかし、内部層に用いると、表面荒れは起こりにくく、フィルムの透明性が保持できるので、省資源等の観点から好ましい。
本実施形態のポリエチレン系架橋シュリンクフィルムの製造方法は、延伸前の原反に対し、特定の条件の加速電圧で電子線を照射し、架橋処理する工程と、原反を構成する樹脂又は樹脂組成物の融解ピーク温度以上で原反の延伸を行う工程とを備える製造方法である。ここで、延伸前の原反を得る方法については特に限定はなく、多層フィルムとする場合は、溶融押出法で共押出して製造するのが好ましい。例えば、各層を構成する樹脂又は樹脂組成物をそれぞれの押出機で溶融して、多層サーキュラダイ等で共押出しすることでポリエチレン系架橋シュリンクフィルムの原反が得られる。
本実施形態のポリエチレン系架橋シュリンクフィルムの製造方法においては、フィルムの両表面にそれぞれの特性を付与するために、延伸前の原反に対し、電子線により架橋処理を行う。
電子線による架橋処理の好適な条件としては、ポリエチレン系架橋シュリンクフィルムの原反厚みT(単位:μm)及び原反の平均密度D(単位:g/cm)から、下記式(2)、(3)を満たす加速電圧V(単位:kV)に設定し、照射処理を行う。加速電圧が式(3)の下限(α+10)を下回る場合は、ヒートシール面側の架橋度が低くなりすぎ、フィルムがカールし、取扱いにくくなる傾向がある。また、式(3)の上限(α+70)を上回る場合は、ヒートシール面側の架橋度が高くなりすぎ、ヒートシール性を阻害する傾向がある。
T×D=α (2)
α+10≦V≦α+70 (3)
[T:原反厚み(μm)、D:原反の平均密度(g/cm)、V:加速電圧(kV)]
本実施形態において、加速電圧Vは300〜450kVに設定すると、効果的に目的とする架橋処理を施すことができる傾向にある。
上記の加速電圧で電子線を例えば高架橋化したい側(例えば表面B側)から照射することによって、原反の厚み方向で架橋度の勾配が生じ、一方の表面(例えば表面A側)が低架橋、もう一方の表面(例えば表面B側)を高架橋とすることが可能である。
好ましい照射線量の範囲は40〜200kGyであり、ヒートシール性及び延伸安定性の観点から60〜150kGyがより好ましい。
本実施形態におけるポリエチレン系架橋シュリンクフィルムは、未延伸(延伸前)の原反に架橋処理を行い、延伸開始温度として、構成する樹脂組成物の融解ピーク温度より10℃以上高い温度で流れ方向(MD)及び幅方向(TD)に、それぞれ5倍以上の逐次二軸延伸又は同時二軸延伸を行うことが好ましい。フィルムの最終厚みを9μm以下に設定する場合の延伸倍率としては、流れ方向に5〜9倍が好ましい。5倍以上だと延伸が安定し、9倍以下だと延伸中にフィルム切れが起こりにくくなる。より好ましくは5.5〜8.5倍である。幅方向の延伸倍率はフィルムの厚み制御と延伸安定性の観点から5〜8倍の範囲が好ましい。
延伸処理を行うには、特にダブルバブルインフレーション法が用いられることが好ましい。融解ピーク温度以上の結晶が存在しない温度域で延伸するため、架橋延伸の効果を最大限発揮し、より高度な分子配向の様子が原子間力顕微鏡によって観察され、耐摩耗性及び耐熱性を向上させると考えられる。
一方、構成する樹脂組成物の融解ピーク温度以下の温度域で延伸した場合、結晶を残したままの延伸となるため、原子間力顕微鏡の観察において、結晶と思われる部分から派生する中程度の配向の様子が観察されることから、耐摩耗性や耐熱性の向上が十分なされていないと考えられる。
本実施形態におけるポリエチレン系架橋シュリンクフィルムの製膜において、具体的には、押出機を用いた多層フィルムの場合には、各層を構成する樹脂組成物を溶融押出し、1層ずつ環状ダイ内で順次合流させるか、環状ダイ内で1度に合流させるかして、多層のチューブ状未延伸原反を得ることが好ましい。このとき、1層につき1台の押出機を使用してもよいし、1台の押出機から環状ダイに樹脂組成物が流入するまでに2つ以上に分割して、複数の層としてもよい。これを急冷固化したものを延伸機内に誘導し、延伸開始点を樹脂組成物の融解ピーク温度以上、かつ融解ピーク温度+40℃以下までの範囲に加熱しながら、速度差を設けたニップロール間でエアー注入を行うことが好ましい。
このように、上記式(3)を満たす架橋処理条件と上記延伸方法とを組み合わせることで、本実施形態に係るポリエチレン系架橋シュリンクフィルムの両表面のRa(表面粗さ)は本実施形態における特定の数値(RaAが4.0〜10.0、RaBが3.0〜5.0)とすることが可能となる。
本実施形態のポリエチレン系架橋シュリンクフィルムの厚みは、省資源とフィルムの実用性との観点から、5〜9μmであることが好ましい。より好ましくは6〜8.5μm、更に好ましくは7〜8μmである。
本実施形態のポリエチレン系架橋シュリンクフィルムを多層フィルムとする場合、全体の厚さに対する表面層SA及び表面層SBの厚み比率は、押出成形性、シール性及び透明性等の観点から、フィルム全体に対して、好ましくは5〜50%であり、より好ましくは8〜30%、さらに好ましくは10〜20%である。
本実施形態のポリエチレン系架橋シュリンクフィルムの収縮率は、一般に、100℃においては、0%以上30%未満であり、110℃においては、15%以上95%以下、より好ましくは35%以上95%以下である。また、120℃においては、50%以上95%以下であり、より好ましくは60%以上95%以下である。
本実施形態において収縮率とは、以下の式で示される値をいい、フィルムの収縮率とは、フィルムの流れ方向の収縮率と幅方向の収縮率の平均値をいう。
収縮率(%)={(収縮前の長さ−収縮後の長さ)/収縮前の長さ}×100
本実施形態のポリエチレン系架橋シュリンクフィルムの収縮率が上記範囲であると、電子レンジ加熱等による再加熱時の容器変形の抑制と、低温包装との両立が可能となることから好ましい。ここでいう低温包装には、収縮トンネルの設定温度の低温化や、トンネル内の通過時間の短縮、収縮小皺の抑制、包装体前後のシール線の位置を下げる等、を含む。
また、ピロー包装をする場合、ポリエチレン系架橋シュリンクフィルムが縦方向(流れ方向)に裂けやすいと、角が鋭利な被包装体等を熱収縮性フィルムで一時包装する際、被包装体との接触部分からフィルムが裂け、その裂けが熱収縮性フィルムの繰出部付近まで伝播してしまうことがある。このような場合、フィルム通しを最初から行う必要が生じ、大きなロスとなる場合がある。
得られたポリエチレン系架橋シュリンクフィルムは、所定のサイズにスリット加工し、包装に用いることができる。ヒートシールバーは、包装機により異なるが110〜120℃に設定し、フィルムのヒートシール部にメルトホールやシール切れを生じない範囲で実用上問題のないシール強度が得られる温度に設定する。
また、ポリエチレン系架橋シュリンクフィルムは、表面Aが内側となるように折り返し、互いに対向する表面A同士を少なくとも3方以上で合掌シールし、内容物を収縮包装してなる包装体を得ることもできる。なお、3方とは例えば袋における底部や背中部、上部(シール前の開口部)をいう。
本実施形態におけるポリエチレン系架橋シュリンクフィルムを用いた包装体は、シュリンク後もフィルムの透明性が高いことから、内容物の視認性に優れる。視認性の目安として、シュリンク後の透明性(ヘイズ値)が2.5%未満であることが好ましい。2.5%以上でフィルムの曇りにより、視認性が低下し、3.0%以上では更に内容物が見えにくく、商品性が低下する恐れがある。
本実施形態におけるポリエチレン系架橋シュリンクフィルムをもちいた包装体の光沢(グロス値)は、ディスプレイ性の観点から、140%以上であることが好ましい。
本実施形態におけるポリエチレン系架橋シュリンクフィルムは、構成するいずれかの層に界面活性剤や防曇剤が含まれていてもよい。例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、エチレンオキサイド付加物等から選ばれる防曇剤や、可塑剤としての流動パラフィン等の少なくとも1種の添加剤を、各層を構成する樹脂組成物全量に対して0.1〜10.0重量%配合すると、加工性や包装時のフィルムの走行性等が向上するため好ましい。特に、透明性の観点からポリグリセリン脂肪酸エステル等を0.5〜10重量%配合するとより好ましく、帯電防止性及び滑り性の観点も考慮すれば0.8〜6重量%を配合するのがさらに好ましい。
本実施形態におけるポリエチレン系架橋シュリンクフィルムは、構成するいずれかの層に、本来の特性と透明性とを損なわない範囲で滑剤として天然シリカや合成シリカ、飽和脂肪酸アマイドや不飽和脂肪酸アマイド、タルク等を配合してもよい。
さらに、本実施形態におけるポリエチレン系架橋シュリンクフィルムは、構成するいずれかの層に、可塑剤として、粘着付与樹脂や石油系樹脂、例えば、アルコン(商標)、クリアロン(登録商標)、アイマーブ(登録商標)等を含んでもよく、含有量としては各層を構成する樹脂組成物全量に対して0.1〜10重量%とすると収縮性や透明性が向上する傾向がある。
本実施形態におけるポリエチレン系架橋シュリンクフィルムは、コロナ処理、オゾン処理、火炎処理等の表面処理を行うことで、印刷用途にも適したフィルムとすることも可能である。
印刷処理を行う場合には、被印刷面となる表面層の材料にグリセリン脂肪酸エステル等を0.5〜5.0重量%添加し、フィルム形成後、被印刷面にコロナ処理を行ってから、印刷処理を行うのが好ましい。帯電防止性やインク剥がれ防止の観点から、グリセリン脂肪酸エステル等の添加量としては、表面層を構成する樹脂組成物に対して0.8〜3.0重量%であることがより好ましい。
以下、本実施形態を実施例及び比較例によりさらに具体的に説明するが、本実施形態はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本実施形態に用いられた評価方法は以下の通りである。
[1]表面粗さの測定
原子間力顕微鏡「Cypher」(アサイラムリサーチ社製)を使用して、以下の手順で測定を行った。フィルムを任意の場所で5×5mm角程度に切り出し、それらの表面及び裏面(もう一方の表面)をサンプル固定用ディスクに固定した。それらのサンプルを、原子間力顕微鏡(アサイラムリサーチ製、Cypher)を用いて、ACモードイメージング(カンチレバー:オリンパス社製AC200TS、観察視野:2×2μm、分解能:512×512pixels)により表面形態観察を行い、観察像を得た。それぞれのサンプルに対し、任意の3視野の測定を行った。次に、得られた観察画像の形態と、同時に得られる位相像を比較し、構造の違いを確認した。また、表面粗さ評価として一般的に用いられているRa(平均値からの差の絶対値の平均)の計算を行い、それぞれのサンプルの表面粗さの評価を行った。なお、フィルム表面に水分が付着した場合、測定に影響を受けやすいため、厚みが85μmの中性紙にフィルムを挟んで、相対湿度30%以下のデシケーター中で24時間保管し、コンディショニングした。
[2]カール性評価
フィルムを5×5cmのサイズに切り出して、フィルムの両面にフィルム表面を覆う程度にタルクをまぶしてフィルム同士の密着を防止し、5分間ガラス板上に放置し、以下の基準に従い、カール性を評価した。
○:フィルム中央又は端の浮き上がりが5mm未満である。
×:フィルム中央又は端の浮き上がりが5mm以上である。
[3]ゲル分率の測定
140℃に設定した熱風乾燥器中でフィルムを加熱し、200μm以上の厚みまで収縮させたものを100mgの重量でサンプリングし、沸騰パラキシレン中で12時間抽出し、不溶解分の割合を以下の式により表示したものをゲル分率とし、フィルムの架橋度の尺度として用いた。
ゲル分率(重量%)=(抽出後の試料重量/抽出前の試料重量)×100
[4]収縮率の測定
100×100mm角のフィルムを所定の温度(100、110、120℃)に設定したエアーオーブン式高温槽に入れ、1分間熱処理を行い、各温度におけるフィルムの流れ方向(MD)、幅方向(TD)の収縮量を測定し、収縮前の寸法、すなわち100mm、で割った値の百分率比を、それぞれ、流れ方向、幅方向の収縮率とし、これらの平均値をフィルムの収縮率とした。
[5]包装機適性評価
フィルムを500mm幅にスリットし、株式会社フジキカイ社製の「FW−3451A−αV(商品名)」を用いて、株式会社エフピコ社製の「ES−新丼(中)(商品名)」に20℃の米飯を約200g入れたもの各30パックをピロー包装し、それぞれのフィルムが、最も良好に仕上がるようにトンネル温度と通過時間とを設定して、熱処理を行い、以下の基準に従って包装機擦れ性、シール性及びシュリンク後の包装品の透明性の評価を行った。
5−1.包装機擦れ性評価:包装後の容器底面を観察した。
○:全く破れやピンホールがないもの。
△:直径1mm未満のピンホールやフィルム破れがあるもの。
×:直径1mm以上のピンホールやフィルム破れがあるもの。
5−2.シール性評価:シールバーの温度を下は120℃、上を140℃、160℃、180℃に変更して、それぞれのシール性について評価した。
○:シュリンクトンネル通過後に、シールパンク(シール部がフィルム界面で剥離)していないもの。
×:シュリンクトンネル通過後に、シールパンクしたもの。
5−3.シュリンク後の透明性評価:シュリンク後の包装体上面の、フィルムの透明性を評価した。
○:透明性が高く、内容物の視認性が良好。
△:フィルムが曇り、見る角度を変えると内容物が曇って見える。
×:フィルム表面が荒れ、内容物が見えづらい。
[6]収縮後の透明性(ヘイズ)及び光沢(グロス)
ヘイズ:(包装機適性評価)で得た包装体の上部を切り出し、ASTM D−1003に従い、収縮後のヘイズとした。
グロス:(包装機適性評価)で得た包装体の上部を切り出し、ASTM D−2457に従い、収縮後のグロスとした。
実施例及び比較例において使用した樹脂、フィルム製造方法は以下の通りである。
以下の樹脂を表層及び内部層の材料として用いた。
・LL1:エチレン−α−オレフィン共重合体(シングルサイト系触媒で重合されたもの、コモノマー=ヘキセン、密度=0.913g/cm、MI=2.0g/10分、融解主ピーク温度=113℃)
・LL2:エチレン−α−オレフィン共重合体(マルチサイト系触媒で重合されたもの、コモノマー=オクテン、密度=0.926g/cm、MI=2.0g/10分、融解主ピーク温度=121℃)
・LL3:エチレン−α−オレフィン共重合体(シングルサイト系触媒で重合されたもの、コモノマー=ヘキセン、密度=0.916g/cm、MI=2.3g/10分、融解主ピーク温度=114℃)
・LL4:エチレン−α−オレフィン共重合体(シングルサイト系触媒で重合されたもの、コモノマー=ヘキセン、密度=0.910g/cm、MI=2.0g/10分、融解主ピーク温度=103℃)
・LL5:エチレン−α−オレフィン共重合体(シングルサイト系触媒で重合されたもの、コモノマー=ヘキセン、密度=0.926g/cm、MI=2.5g/10分、融解主ピーク温度=121℃)
・LD1:高圧法低密度ポリエチレン(密度=0.922g/cm、MI=0.2g/10分、融解主ピーク温度=110℃)
[実施例1]
表1に示す組成の樹脂組成物に、ジグリセリンオレートとグリセリンモノオレートとの1:1の混合物を2.0質量%添加したものを環状ダイより多層(3層)原反として押出した後、冷水にて冷却固化し、折り幅120mm、厚さ400μmのチューブ状多層原反を作成した。これを電子線照射装置(キュアトロン(商品名)、株式会社NHVコーポレーション製)に誘導し、表1に記載の加速電圧及び照射線量に設定して架橋処理を行った。この時の照射線量はチューブ状原反を半分に折り畳んで、片側から照射し、次いで反対面から照射し、これをもう一度繰り返して、計4回に渡って、照射した合計の数値である。これを延伸機内に誘導して再加熱を行い、2対の差動ニップロール間に通して、エアー注入によりバブルを形成し、延伸開始点の加熱温度を140℃に設定し、流れ方向に7.8倍、幅方向に6.4倍の倍率でそれぞれ延伸を行い、平均厚みが8μm、表面層/内部層/表面層の各厚み比率(%)がそれぞれ、15/70/15のシュリンクフィルムを得た。このようにして得られたフィルムについて、原子間力顕微鏡による表面粗さの測定、カール性評価、ゲル分率、収縮率、包装機適性評価(包装機走行性評価(包装機擦れ性)、シール性評価、シュリンク後の透明性評価)、透明性(ヘイズ)、光沢(グロス)を評価した。
[実施例2〜6、比較例1〜6]
フィルムの組成・層構成、原反厚み、架橋条件を表1及び表3の内容に変更した以外は実施例1の手順に従って、平均厚みが8μmのシュリンクフィルムを得た。このようにして得られたフィルムについて、原子間力顕微鏡による表面粗さの測定、カール性評価、ゲル分率、収縮率、包装機適性評価(包装機走行性評価、シール性評価、シュリンク後の透明性評価)、透明性(ヘイズ)、光沢(グロス)を評価した。
[実施例7〜9、比較例7]
表2に示す組成の樹脂組成物に、ジグリセリンオレートとグリセリンモノオレートの1:1の混合物を2.0質量%添加したものを環状ダイより単層原反として押出した後、冷水にて冷却固化して、折り幅120mm、厚さ400μmのチューブ状多層原反を作成した。これを電子線照射装置(キュアトロン(商品名)、株式会社NHVコーポレーション製)に誘導し、表2及び表3の条件で架橋処理を行った。これを延伸機内に誘導して再加熱を行い、2対の差動ニップロール間に通して、エアー注入によりバブルを形成し、延伸開始点の加熱温度を140℃に設定し、流れ方向に8倍、幅方向に7倍の倍率でそれぞれ延伸を行い、平均厚みが8μmの単層シュリンクフィルムを得た。このようにして得られたフィルムについて、原子間力顕微鏡による表面粗さの測定、カール性評価、ゲル分率、収縮率、包装機適性評価(包装機走行性評価、シール性評価、シュリンク後の透明性評価)、透明性(ヘイズ)、光沢(グロス)を評価した。
Figure 0006612917
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表1及び表2に示すように、実施例1〜9は、本発明に係る表面粗さ、ゲル分率及び収縮率の規定範囲内であり、カールせず、包装機適性評価における包装機走行性評価、シール性評価、包装仕上り、包装後の透明性(ヘイズ)及び光沢(グロス)に優れるものであった。
一方、表3に示すように、比較例1は、原反厚みに対して電子線照射における加速電圧が高すぎるため、シール面側である表面AのRa(RaA)が小さく、またゲル分率も高いため、高架橋になっていた。そのため、包装時にシールパンクが起こりやすくなったと考えられる。
比較例2は、原反厚みに対して電子線照射における加速電圧が低すぎるため、シール面側である表面AのRa(RaA)が大きく、またゲル分率も低すぎるため、フィルムの表裏の架橋度の配向差が大きくなったと考えられる。また表面荒れが大きいため、透明性及び光沢が低下した。
比較例3は、延伸温度が融解ピーク温度以下であるため、十分な延伸配向をかけることができず、また照射時の加速電圧及び照射線量が低いことで、表面BのRaBが大きくなったため、包装機での擦れ破れが発生しやすかったと考えられる。
比較例4は、原反厚みに対して電子線照射における加速電圧が低いため、シール面側である表面AのRa(RaA)が大きく、またゲル分率も低すぎるため、カールが起こりやすく、透明性及び光沢が低下した。
比較例5は、RaA/RaBが3.0より大きいため、カールしやすいものとなった。
比較例6は、表面A及びBのRa(RaA及びRaB)が3未満であり、架橋度が高くなっていたため、シール性に劣る結果となった。
比較例7は、表面BのRa(RaB)が高いため、包装機擦れ性が十分でなく、また表面AのRa(RaA)が高いため、フィルム表面が荒れすぎて、透明性に劣る結果となった。
本発明のポリエチレン系架橋シュリンクフィルムは、薄肉包装用フィルムとして好適に用いることができる。特に、電子レンジで再加熱する容器の包装に適し、弁当や惣菜等の包装に好適に利用できる。
1…ポリエチレン系架橋シュリンクフィルム、2a、2b…表面A、3a、3b…表面B、4…表面層SA、5…表面層SB、6…内部層、10…多層ポリエチレン系架橋シュリンクフィルム。

Claims (4)

  1. 少なくとも1層からなり、一方の最表面である表面Aと、他方の最表面である表面Bとを有するポリエチレン系架橋シュリンクフィルムであって、
    前記表面A及び前記表面Bの少なくとも一方はエチレン−α−オレフィン共重合体を含み、
    前記エチレン−α−オレフィン共重合体の密度は、0.900g/cm 以上であり、
    原子間力顕微鏡によって観察される前記表面Aの表面粗さをRaA、前記表面Bの表面粗さをRaBとしたとき、
    RaAが4.0〜10.0、RaBが3.0〜5.0であり、
    かつ、RaAとRaBとの関係が下記式(1)を満たす、ポリエチレン系架橋シュリンクフィルム。
    1.25≦RaA/RaB≦2.7 (1)
  2. 少なくとも3層からなり、前記表面Aを有する表面層SAのゲル分率が0.5〜5.0質量%、前記表面Bを有する表面層SBのゲル分率が5.0〜15.0質量%である、請求項1に記載のポリエチレン系架橋シュリンクフィルム。
  3. フィルム全体のゲル分率が10〜35質量%である、請求項1又は2に記載のポリエチレン系架橋シュリンクフィルム。
  4. 前記表面Aが内側となるように、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエチレン系架橋シュリンクフィルムを折り返し、互いに対向する前記表面A同士を少なくとも3方以上合掌シールし、内容物を収縮包装してなる包装体。
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