JP2014100840A - 低温収縮性オーバーラップ包装用フィルム - Google Patents

低温収縮性オーバーラップ包装用フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】包装時の容器変形や割れが起こらず、底シール性が良好であり、包装後の変形回復性にも優れ、タイトな包装体を得ることが可能な低温収縮性オーバーラップ包装用フィルムを提供する。
【解決手段】エチレン−酢酸ビニル共重合体を50質量%以上含む両表面層2、3と、密度が0.880〜0.939g/cmのエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)を20〜90質量%、融解ピーク温度が120℃以下であるエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(B)を5〜40質量%、190℃における溶融張力が60〜200mNのポリオレフィン系樹脂(C)を5〜40質量%含む芯層1と、の少なくとも3層から構成された低温収縮性オーバーラップ包装用フィルム。
【選択図】図1

Description

本発明は、低温収縮性オーバーラップ包装用フィルムに関する。
従来、収縮包装(シュリンク包装)は被包装物の形状や大きさによらず、同時に複数個の製品を迅速かつタイトに包装するために使用されている。また、得られた包装物の外観が美しく、内容物を衛生的に保ち、視覚による品質管理が容易なことから、食品などの包装に利用されている。
また、食料品を覆う包装方法として、例えば、家庭用ラップ包装、オーバーラップ包装、ひねり包装、袋詰め包装、スキン包装、シュリンク包装、ストレッチ包装、ピロー包装などが挙げられる。特に、オーバーラップシュリンク包装やピロー包装、トップシール包装の連続包装機は近年高速化の開発傾向にある。それに伴って連続包装で使用されるフィルムへの要求特性に対し、種々の層構成、樹脂組成からなるフィルムが開発され提案されている。
中でも、肉や魚などの生鮮食品を包装する方法として、発泡ポリスチレントレー(以下「PSPトレー」と記す場合がある)等に精肉や鮮魚等の被包装物を入れて、包装機で覆うオーバーラップシュリンク包装が広く使われている。
しかしながら、近年は環境に対する意識の高まりから、発泡ポリスチレンの発泡倍率を増加させて、使用原料を削減したトレー等が使われるようになっている。その結果、トレーそのものの剛性や耐熱性が低下し、包装時にトレーが変形したり潰れたりする場合がある。
例えば、特許文献1には、生産性、且つ透明性・光沢性・ヒートシール性・防曇製・熱収縮性の向上を目的としたフィルムが開示されている。
また、例えば、特許文献2には、異なる密度範囲を有するエチレン−α−オレフィンランダム共重合体とエチレン−α−オレフィンブロック共重合体とを特定の含有量にて、ヒートシール層が積層される層として用いることにより、熱収縮性と収縮包装後の変形回復性を両立させることを目的とした収縮包装用多層フィルムが開示されている。
特許4919620号 特許5074303号
しかしながら、特許文献1に開示されたフィルムを用いて汎用のオーバーラップ用包装機でPSPトレーを包装すると、収縮包装後の変形回復性に劣り、例えば冷凍した水練製品を包装した後に、解凍して内容物の体積が減少するような場合、体積変化にフィルムが追随出来ずに、シワとなって残ってしまう場合がある。
また、特許文献2に開示されたフィルムでは、表面層にエチレン−α−オレフィンランダム共重合体を用いており、シール時の圧力が低い場合は底シールする前に、フィルムの収縮性により、折込部が収縮し、めくれ上がってしまうため、十分な底シール性が得られない場合がある。
本発明が解決しようとする課題は、上述したような従来技術における問題点を解決し得る、包装時の容器変形や割れが起こらず、底シール性が良好であり、包装後の変形回復性にも優れ、タイトな包装体を得ることが可能な低温収縮性オーバーラップ包装用フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決する為鋭意検討した結果、特定の物性を有する複数のエチレン系共重合体等を含む芯層と、両表面層とを備える低温収縮性オーバーラップ包装用フィルムが、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の低温収縮性オーバーラップ包装用フィルムを提供する。
[1]エチレン−酢酸ビニル共重合体を50質量%以上含む両表面層(I)と、密度が0.880〜0.939g/cmのエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)を20〜90質量%、融解ピーク温度が120℃以下であるエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(B)を5〜40質量%、190℃における溶融張力が60〜200mNのポリオレフィン系樹脂(C)を5〜40質量%含む芯層(II)と、の少なくとも3層から構成された低温収縮性オーバーラップ包装用フィルム。
[2]上記ポリオレフィン系樹脂(C)は、酢酸ビニル含有量が5〜40%のエチレン酢酸ビニル共重合体及び高圧法低密度ポリエチレンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、[1]に記載の低温収縮性オーバーラップ包装用フィルム。
[3]100℃における加熱収縮応力が250g/cm以下である[1]又は[2]に記載の低温収縮性オーバーラップ包装用フィルム。
[4]少なくとも一つの層が架橋されている[1]〜[3]のいずれか一つに記載の低温収縮性オーバーラップ包装用フィルム。
本発明によれば、包装時の容器変形や割れが起こらず、底シール性が良好で、包装後も変形回復性に優れ、タイトな包装体を得ることが可能な低温収縮性オーバーラップ包装用フィルムを提供することができる。
本発明の一実施形態である低温収縮性オーバーラップ包装用フィルムの模式断面図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、本実施の形態という。)について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施の形態の低温収縮性オーバーラップ包装用フィルム(以下、単に「フィルム」と略記する場合がある。)は、両表面層(I)と、芯層(II)を備える。両表面層(I)は、エチレン−酢酸ビニル共重合体を50質量%以上含む。芯層(II)は、密度が0.890〜0.939g/cmのエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)を20〜90質量%、融解ピーク温度が120℃以下であるエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(B)を5〜40質量%、190℃における溶融張力が60〜200mNのポリオレフィン系樹脂(C)を5〜40質量%含むフィルムである。
以下、両表面層(I)及び芯層(II)について詳述する。
図1は、本発明の一実施形態である低温収縮性オーバーラップ包装用フィルムの模式断面図である。図1に示すように、低温収縮性オーバーラップ包装用フィルム10は、上表面及び下表面に両表面層(I)2,3と、その間に挟まれた芯層(II)1とを備える。
[両表面層(I)]
本実施の形態において、両表面層(I)は、エチレン−酢酸ビニル共重合体を50質量%以上含めばよい。エチレン−酢酸ビニル共重合体は酢酸ビニルに由来するヒートシール性、防曇剤の保持性に優れており、表面層に使用するのに好適である。
特に本実施の形態においては、エチレン−酢酸ビニル共重合体を50質量%以上を含有することで、ヒートシール性や防曇性がより良好となることから好ましく、60質量%以上を含有することで、ヒートシール性や防曇性がさらに良好となることからより好ましい。なお、エチレン−酢酸ビニル共重合体の含有割合の上限値は好ましくは100質量%である。
エチレン−酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニル含有量は、1〜40質量%が好ましく、ヒートシール性と、防曇性の両立させる観点から、より好ましくは5〜30質量%、更に好ましくは10〜20質量%である。
酢酸ビニル含有量は、JIS K 7192に準じて、試料をキシレン中に溶解し、水酸化カリウムのアルコール溶液で酢酸基を加水分解する。過剰の硫酸又は塩酸を加え、フェノールフタレインを指示薬として、標準水酸化ナトリウム溶液で酸を逆滴定することにより、測定できる。
両表面層(I)には、50質量%を超えない範囲で、その他の柔軟性樹脂や改質樹脂を含んでもよい。柔軟性樹脂としては、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体や高圧法低密度ポリエチレン等が挙げられ、融点が60〜120℃以下のものを用いると、ヒートシール性や包装機走行性の観点から好ましく、より好ましくは70〜115℃、更に好ましくは80〜110℃である。
[芯層(II)]
本実施の形態において、芯層(II)は、密度が0.880〜0.939g/cmのエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)を20〜90質量%、融解ピーク温度が120℃以下であるエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(B)を5〜40質量%、かつ190℃における溶融張力が60〜200mNのポリオレフィン系樹脂(C)を5〜40質量%含んでなる。
本実施の形態において、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)を20〜90質量%含むことで、フィルムの引張強度や引裂強度等の機械的強度が改良される。エチレン−α−オレフィンランダム共重合体は、エチレンとC3〜C18のα−オレフィンの共重合体である。α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどから選ばれるものが好ましい。
エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)の密度は、フィルムの剛性が包装フィルムとして適度な高さとなるため、0.880〜0.939g/cmである。フィルムの腰や収縮性の観点から、より好ましくは0.890〜0.925g/cmであり、更に好ましくは0.895〜0.920g/cmである。
エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)のメルトフローレートは、0.1〜10g/10分であることが好ましい。メルトフローレートが0.1g/10分以上では良好なフィルム強度が得られる点で好ましく、10g/10分以下では生産工程での安定性が得られる点で好ましい。より好ましくは0.2〜5.0g/10分、更に好ましくは0.5〜2.5g/10分である。
エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)は気相法や溶液法、高圧法によって製造されるが、用いる重合触媒は特に限定はされず、マルチサイト触媒やシングルサイト触媒等のいずれでもよい。
本実施の形態において、「密度」とは、JIS K 6922に準じて測定される値を意味する。密度の測定方法として、具体的には、JIS K 6922に準じて、密度勾配管により密度を測定することができる。
本実施の形態において、メルトフローレート(MFR)は、溶融時の流動性を示す指標であり、JIS K 7210に準じて測定される値を意味する。MFRの測定方法として、具体的には、JIS K 7210に準じて、メルトインデクサーによりMFRを測定することができる。
本実施の形態において、エチレン−α−オレフィンブロック共重合体(B)を5〜40質量%含むことで、良好な変形回復性が付与できる。
エチレン−α−オレフィンブロック共重合体(B)の融点(融解ピーク温度)は、フィルムの耐熱性や延伸安定性の観点から120℃以下である。また、フィルムへの剛性付与の観点から80℃以上であることが好ましい。
エチレン−α−オレフィンブロック共重合体(B)は、(x)第1のオレフィン重合触媒と、(y)同等の重合条件下で第1のオレフィン重合触媒によって、調整されるポリマーとは化学的性質が異なるポリマーを調整可能な第2のオレフィン重合触媒と、(z)鎖シャトリング剤とを組み合わせて得られる混合物、または反応性生物を含む組成物の存在下のもと、エチレンとα−オレフィンを重合することで形成されるブロック共重合体である。
本実施の形態において、190℃における溶融張力が60〜200mNのポリオレフィン系樹脂(C)を含有することにより、延伸前原反に十分な配向を与えることが出来るようになるため、低い照射線量での架橋処理でも生産工程で安定なフィルムとなる。
ポリオレフィン系樹脂(C)としては、繰り返し単位のエチレンがランダムに分岐を持って結合し、長鎖分岐を有するポリエチレン重合体が延伸安定性向上の点から好ましく、フィルムに腰を与えたい場合は高圧法低密度ポリエチレンが好ましい。フィルムに柔軟性を与えたい場合はエチレン−酢酸ビニル共重合体があげられ、熱収縮前の一次包装段階での容器変形を抑えたい場合は、(C)としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましい場合がある。
エチレン−酢酸ビニル共重合体は酢酸ビニル含有量の増加に伴い、樹脂の融点は低下し、柔軟となる。
本実施の形態において、柔軟性と熱安定性などの点から、好ましい酢酸ビニル含有量は5〜40質量%、より好ましくは5〜30質量%、更に好ましくは7〜20質量%である。
フィルムに柔軟性を与えるためのエチレン−酢酸ビニル共重合体のメルトフローレートは、0.1〜1.8g/10分であることが好ましく、より好ましくは0.2〜1.5g/10分である。メルトフローレートが0.1g/10分以上ではフィルム強度が得られる点で好ましく、1.8g/10分以下では生産工程での安定性が得られる点で好ましい。
本実施の形態において、(C)としての高圧法低密度ポリエチレンの密度は0.910〜0.929g/cmであることが好ましく、より好ましくは0.915〜0.925g/cmである。高圧法低密度ポリエチレンの密度が0.910g/cm以上であることにより、フィルムに剛性を付与しフィルムの弛みを抑制しやすくなる。高圧法低密度ポリエチレンの密度が0.929g/cm以下であることにより、フィルムの曇り度の実用レベルを維持しやすくなる。
高圧法低密度ポリエチレンの製造方法は、一般に公知の方法が使用できる。一般に100〜300℃、100〜350MPaの高温高圧下でパーオキサイドなどの遊離基発生剤の存在下でエチレン及びα−オレフィンをオートクレーブ又はチューブリアクターなどで重合することにより、高圧法低密度ポリエチレンを製造することができる。
本実施の形態において、高圧法低密度ポリエチレンのメルトフローレートは、押出安定性および延伸安定性の点で、0.1〜1.8g/10分であることが好ましく、より好ましくは0.2〜1.5g/10分である。メルトフローレートが0.1g/10分以上ではフィルム強度が得られる点で好ましく、1.8g/10分以下では生産工程での安定性が得られる点で好ましい。
芯層(II)の、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)、エチレン−α−オレフィンブロック共重合体(B)、190℃における溶融張力が60〜200mNのポリオレフィン系樹脂(C)の含有量は、延伸安定性や変形回復性が良好になるため、(A)が20〜90質量%、(B)が5〜40質量%、(C)が5〜40質量%の範囲である。
(添加剤)
本実施の形態において、滑り性や防曇性を改善する観点で、添加剤としてグリセリン系脂肪酸エステルを両表面層(I)及び/又は芯層(II)に配合することが好ましい。
本実施の形態において、グリセリン系脂肪酸エステルとは、グリセリンと脂肪酸とのエステルである。グリセリン系脂肪酸エステルをフィルム表面に存在させることにより、フィルムに防曇性を付与することができる。
グリセリンの重合度、脂肪酸の種類、及び/又はエステル化度を変えることにより親水性と親油性を調節することができる。グリセリン系脂肪酸エステルとしては、グリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、トリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられ、例えば、ジグリセリンオレート、ジグリセリンラウレート、グリセリンモノオレート、又はそれらの混合物等など主成分としたものが、フィルムの滑り性、光沢度の観点で、使い勝手がよいので好ましい。
上記した以外のグリセリン系脂肪酸エステルとしては、グリセリンのモノ脂肪酸エステル、ジ脂肪酸エステル、トリ脂肪酸エステル、ポリ脂肪酸エステルなどが挙げられ、炭素原子数が8〜18の飽和または不飽和脂肪酸のモノグリセリンエステル、ジグリセリンエステル、トリグリセリンエステル、テトラグリセリンエステルなどが挙げられる。
具体的には、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノミリステート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンジパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、グリセリンジオレート、グリセリントリオレート、グリセリンモノリノレート、ジグリセリンミリステート、ジグリセリンパルミテート、ジグリセリンステアレート、ジグリセリンリノレート、トリグリセリンラウレート、トリグリセリンオレート、トリグリセリンステアレート、テトラグリセリンラウレート、テトラグリセリンオレート、テトラグリセリンステアレートなどが挙げられる。
本実施の形態において、グリセリン系脂肪酸エステルをフィルム表面に存在させるには、押出機の温度設定を190℃以上とし、高せん断速度で、両表面層(I)又は芯層(II)を構成する樹脂と混練することが好ましく、混練する際にグリセリン系脂肪酸エステルを微分散させることが好適である。ブリードアウトについては、その量や存在の仕方によって効果が異なる重要な因子である。存在の仕方としては、フィルムの表面にグリセリン系脂肪酸エステルが液滴状ではなく層状で、すなわちほぼ連続した状態で存在することが好ましい。
一般的に芯層に含まれるグリセリン系脂肪酸エステルは隣接する両表面層へ移行し、ブリードアウトを促進させるとともに、グリセリン系脂肪酸エステル自体も表面へブリードアウトすると考えられている。また、グリセリン系脂肪酸エステルが、フィルム表面に移行(ブリードアウト)することにより良好な防曇性をフィルムに付与することができると考えられている。
グリセリン系脂肪酸エステルの親水性と親油性を調整することによりフィルムの防曇性を高めることができるので、親水性の高いグリセリン系脂肪酸エステルを用いることが好ましく、また、グリセリン系脂肪酸エステルの添加量を増やすことによってもフィルムの防曇性を高めることができる。
本実施の形態において、防曇性の観点から両表面層(I)に、グリセリン系脂肪酸エステルを2.0〜5.0質量%含有することが好ましい。
また、本実施の形態において、防曇性及び包装機械とフィルムとの滑り性の観点から、芯層(II)にグリセリン系脂肪酸エステルを0.1〜2.0質量%含有することが好ましい。
本実施の形態において、良好な防曇性と滑り性を付与するために両表面層(I)と芯層(II)に下記の添加剤を含んでもよい。添加剤としては多価アルコールの脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステルなどが挙げられる。
本実施の形態において、両表面層(I)及び/又は芯層(II)は、流動パラフィンを含有していてもよい。流動パラフィンとしては、JIS K2283に準拠して測定される40℃における動粘度が、通常10〜10000(mm/s)であるものが挙げられる。また、流動パラフィンとしては、動粘度が50〜3000(mm/s)であり、かつ両表面層(I)又は芯層(II)を構成する樹脂組成物と相溶性のよい流動パラフィンであることが好ましい。
流動パラフィンは、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。両表面層(I)又は芯層(II)への流動パラフィンの添加は、フィルム成形性及び防曇性付与に有効である。
なお、両表面層(I)及び芯層(II)には上記添加剤の他に、タルクや脂肪酸アミド等を添加し、フィルム同士の密着防止を行っても良い。
本実施の形態の低温収縮性オーバーラップ包装用フィルムにおいて、熱収縮時の加熱によるトレーの軟化変形を抑制するためには、出来るだけ低温で収縮して、タイトな仕上がりを得る必要があるため、100℃におけるTD方向の収縮率が10%以上であることが好ましく、トレーの割れを抑制するために60%以下が好ましい。
また、自動包装機での熱収縮時に、被包装物であるPSPトレー等の変形を防止する点で、100℃におけるTD方向の熱収縮応力が250g/mm以下であることが好ましく、タイトな収縮性を得るためには100g/mm以上であることが好ましい。
本実施の形態の低温収縮性オーバーラップ包装用フィルムにおいて、その特性を損なわない範囲で、両表面層(I)と芯層(II)との間に、中間層(III)を備えていてもよい。中間層(III)は、(i)防曇性を持続させるための防曇剤の保持層として、(ii)両表面層と芯層との接着性を向上させ、層間剥離を抑制するため、(iii)回収した樹脂を押出機で再ペレット化したものを入れる、フィルムの回収層といった理由から設けると好ましく、上記(i)、(ii)、(iii)の理由からその本来の特性を損なわない範囲で、両表面層(I)、芯層(II)に使用される樹脂以外の他の樹脂や添加剤などを60質量%以下で配合してもよい。
回収した樹脂としては、フィルムを製造する際に回収される樹脂であれば特に限定されないが、本実施の形態のフィルムを再度溶融させて得られる樹脂などが挙げられる。
本実施形態のフィルムに対する中間層(III)の厚み比率は、特性を損なわない範囲で特に限定されるものではないが、40%以下であることが好ましく、より好ましくは30%以下であり、さらに好ましくは25%以下である。中間層の厚み比率が40%以下である場合、延伸安定性の観点で好ましい。
本実施の形態において、両表面層(I)と芯層(II)の配置としては、両表面層(I)の間に芯層(II)が積層されている配置であれば、特に限定されるものではないが、例えば、(I)と、(II)からなる3層の場合:(I)/(II)/(I)、中間層(III)を1層用いる全4層からなる場合:(I)/(III)/(II)/(I)、中間層を2層用いる全5層である場合:(I)/(III)/(II)/(III)/(I)、両表面層がまた、中間層(III)と異なる中間層(IV)を併用することも可能であり、7層や8層、及びそれ以上の層からも構成することができる。
本実施の形態の低温収縮性オーバーラップ包装用フィルムにおいて、厚みは、好ましくは5〜40μm、より好ましくは8〜30μmである。厚みが5〜40μmの範囲であれば重量物や突起物を有する被包装物に対しても破れが生じにくく、かつ安定して生産することが可能である。フィルムの厚みは、製造時の各層押出機の吐出量又は延伸倍率などによって所望の値に調整することができる。
本実施の形態において、芯層(II)の厚み比率は、フィルムの強度の観点で、50〜90%であることが好ましく、より好ましくは60〜85%である。
熱収縮多層フィルムにおいて、両表面層(I)の厚み比率は、安定したヒートシール強度を発現させる点で、50〜10%であることが好ましく、より好ましくは40〜15%である。
[低温収縮性オーバーラップ包装用フィルムの製造方法]
本実施の形態の低温収縮性オーバーラップ包装用フィルムの製造方法としては、ダイレクトインフレーション法、ダブルバブルインフレーション法、トリプルバブルインフレーション法、テンター法が挙げられる。
インフレーション法においては、所定の樹脂を加熱した押出機を用い溶融混練して環状ダイスから押し出し、冷却水にて急冷して無延伸状態の原反を採取する。押出は特に制限されるものではなく、多層のTダイや多層のサーキュラーダイを用いた方法で得ることができるが、多層のサーキュラーダイを用いた方法が好ましい。
次に、この原反に架橋処理を施し、続いて熱風による伝熱加熱あるいはインフラヒーター等の輻射加熱により原反を融点以上に加熱した後、原反を2組のニップロール間で速度比をつけ流れ方向(MD)に延伸しつつチューブ内にエアーを注入して垂直方向(TD)にも、延伸する。
本実施の形態の低温収縮性オーバーラップ包装用フィルムは、延伸安定性の付与のため、両表面層(I)及び芯層(II)において、少なくとも一つの層が架橋処理されていることが好ましい。
本実施の形態における低温収縮性オーバーラップ包装用フィルムの製造方法において、架橋方法には、一般に公知の方法が使用できる。例えば、架橋剤を添加して架橋剤の分解温度以上に加熱して架橋を施す方法やα線、β線、γ線、中性子線、電子線等の電離性放射線を照射する方法が挙げられる。
架橋処理を施すことにより、フィルムの収縮後の曇り度、光沢度を改良することができる。また、フィルムを構成する樹脂の融点以上に加熱して収縮させる場合に、フィルムの溶融による破れ等を防ぐ狙いもある。
本実施の形態の低温収縮性オーバーラップ包装用フィルムは、適度に架橋されることによって、フィルムを構成している樹脂の融点以上の温度で安定した延伸を行うことができ、熱収縮率の高いフィルムとすることができることから好ましい。すなわち、架橋することによって、延伸温度と延伸倍率の調節が容易になり、高い収縮性を持ちながら熱収縮応力が低いフィルムを製造することができる。
本実施の形態において、電離性放射線の照射の程度は、フィルム全体でゲル分率が1〜60質量%になるように照射することが好ましく、機械的なムラも考慮すると照射線量は30〜90kGyが好ましい。フィルムの熱収縮後の曇り度、光沢度の点より照射線量は35kGy以上がより好ましく、また熱収縮応力の点より照射線量80kGy以下がより好ましい。
樹脂の種類によっては照射の程度と架橋の程度の関係が異なり、架橋処理を行うことで延伸性が向上し、包装後の変形回復性も良好となるが、過度な架橋処理を施すと底シール性が損なわれる場合がある。
フィルム全体のゲル分率は延伸安定性と包装時の底シール性、容器変形防止、包装後の変形回復性付与等の点で、3〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜45質量%である。
なお、ゲル分率は、後述の方法により測定することができる。
[包装体]
本実施の形態において、自動包装機による包装工程の一例について説明する。
オーバーラップ包装としては、例えば、以下の方法が挙げられる。フィルムの両端を合掌し、筒状とする。被包装物(PSPトレーに収められた精肉や鮮魚等)を筒の中に入れ前後をカットながら、前後を底側に折り込んで、一つ一つの包装体を得る。予め80℃〜140℃に温度調節されている熱風シュリンクトンネル内でフィルムを熱収縮させることで、包装体上部の皺を除去し、フィルムに張りを与え、タイトな包装体とすることが出来る。
近年の高速連続包装機における包装スピードは、1分間に約80〜120個包装するものである。そのため包装フィルムには、その包装スピードに対応できる適性、例えば、滑り性、底シール性、熱収縮特性が強く求められる。
底シールの方法の一例としては、フィルムを底側に折り込んだ後に、スポンジ製の抑えベルトで抑えながら、予め加熱した熱板上を通過させ、底シールを行うことが好ましい。
包装後に加熱収縮処理を行う場合には、熱風、蒸気、熱水等を使用できるが熱風を用いることが好ましい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
以下に本実施の形態を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本実施の形態はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、本実施の形態に用いられる評価方法は以下のとおりである。
[ゲル分率]
沸騰p−キシレン中で試料を12時間抽出し、不溶解部分の割合を次式により計算により求めた。フィルムの架橋度の尺度として用いた。
ゲル分率(質量%)=(抽出後の試料の質量/抽出前の試料の質量)×100
[100℃の熱収縮率]
ASTM D2732に準拠して熱収縮率を測定した。フィルムを流れ(MD)方向、幅(TD)方向にそれぞれ10cm×10cmとなるようにサンプリングを行い、100℃に設定した熱風乾燥機を用いて、30分間自由収縮させた。3回測定を行い、TDの熱収縮率を各3回測定し、平均値を求めた。
[100℃の最大熱収縮応力]
ASTM D2838に準拠して最大熱収縮応力(加熱収縮応力)を測定した。フィルムを幅10mm、長さ50mmのサイズに切り出し、100℃で保温されたオイルバス中に浸漬し、TD方向の最大熱収縮応力を各3回測定し、平均値を求めた。
[自動包装機適性]
得られたフィルムを380mm巾にスリットし、大森機械工業株式会社製の「STC−N2(商品名)」を用いて、PSPトレー(株式会社エフピコ製 エコFLB−A15−35 W)に、鶏肉(200g)を入れたものを各30個包装した。
(1)カットバック性
フィルム切断時のカットバック性の評価として、フィルムカット部が綺麗に折り畳まれて密着しているものを○、先端が捲れているものを△、フィルムカット部が大きく捲れ上がっているものを×とした。
(2)底シール性
底シール性の評価として、包装後にフィルムカット部のめくれがないもののみを抑えベルトで抑えながら、150℃まで加熱した熱板上を通過させて、底シールを行った。完全シール出来ているものを○、部分的にシール出来ているものを△、容易に剥がせるものを×とした。
(3)トレー変形評価
底シールまで完了した包装体を115℃の温度に設定した熱風シュリンクトンネルに1.5秒間、通過させたのち、トレーが割れていないか評価した。トレーが割れておらず、トレーの幅に対して、トレーの変形量が5%未満のものを○、トレーが割れていないが変形量が5%以上のものを△、トレーが割れているものを×とした。
[自動包装機適性の総合評価]
上記評価の全てが○であったものをA、△が1つ以上あったものをB、×が1つ以上あったものをCとして、総合評価した。
[包装体の変形回復性]
前記自動包装機適性の評価で得られた包装体の中央に、直径15mmの金属丸棒(先端が半径7.5mmの半球)をトレー上面から、20mmの深さまで、1000mm/minの一定速度で押込み、同速度で引き抜いた。引き抜いた直後から押込みによって生じた押し痕が消えるのに要した時間を復元時間とした。なお、内容物は押込みの妨げとならないよう、粘土をトレーの角へ入れたものを用いた。
30秒以内に押込み痕が消えたものを○、30秒〜300秒で押込み痕が消えたものを△、300秒以上経過しても皺が消えないものを×とした。
実施例及び比較例で用いた樹脂、添加剤、フィルム製造方法は以下の通りである。
[両表面層(I)]
「エチレン−酢酸ビニル共重合体」
・EVA1 NUC3758 (酢酸ビニル含有量=15質量%、MFR=2.2g/cm)(日本ユニカー社製)
「エチレン−α−オレフィンランダム共重合体」
・LLDPE1 ユメリット0520F (α−オレフィンコモノマー=ヘキセン、密度=0.905g/cm、MFR=2.0g/10分)(宇部丸善ポリエチレン製)
[芯層(II)]
エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)
・LLDPE2 エチレン−α−オレフィンランダム共重合体 (α−オレフィンコモノマー=ヘキセン、密度=0.903g/cm、MFR=1.0g/10分)(プライムポリマー社製 エボリューSP0510(商品名))
・LLDPE3 エチレン−α−オレフィンランダム共重合体 (α−オレフィンコモノマー=オクテン、密度=0.905g/cm、MFR=0.8g/10分)(ダウケミカル社製 アテイン4203(商品名))
・LLDPE4 エチレン−α−オレフィンランダム共重合体 (α−オレフィンコモノマー=オクテン、密度=0.926g/cm3、MI=2.0g/10分)(ダウケミカル社製 ダウレックス2032(商品名))
・B−LLDPE エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(バイオマス) (α−オレフィンコモノマー=ブテン/ヘキセン、密度=0.918g/cm、MFR=1.0g/10分)(Braskem社製 Green Polyethylene Biopolymer SLH118(商品名))
・VLDPE1 エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(α−オレフィンコモノマー=オクテン、密度=0.868g/cm3、MI=0.5g/10分)(ダウケミカル社製 アフィニティ EG8150(商品名))
エチレン−α−オレフィンブロック共重合体(B)
・OBC1 エチレン−α−オレフィンブロック共重合体(オレフィンブロックコポリマー) (α−オレフィンコモノマー=オクテン、密度=0.866g/cm3、MFR=0.5g/10分、融点=120℃)(ダウケミカル社製 Infuse D9000(商品名))
・OBC2 エチレン−α−オレフィンブロック共重合体(オレフィンブロックコポリマー) (α−オレフィンコモノマー=オクテン、密度=0.866g/cm3、MFR=1.0g/10分、融点=120℃)(ダウケミカル社製 Infuse D9107(商品名))
ポリオレフィン系樹脂(C)
・LD1 高圧法低密度ポリエチレン(密度=0.922g/cm、MFR=0.2g/10分、190℃における溶融張力=175mN)(旭化成ケミカルズ社製 サンテックLD M2102(商品名))
・LD2 高圧法低密度ポリエチレン(密度=0.921g/cm、MFR=1.5g/10分、190℃における溶融張力=80mN)(旭化成ケミカルズ社製 サンテックLD M2115(商品名))
・EVA1 エチレン−酢酸ビニル共重合体 (酢酸ビニル含有量=15質量%、MFR=2.2g/cm3、190℃における溶融張力=55mN)(日本ユニカー社製 NUC3758(商品名))
・EVA2 エチレン−酢酸ビニル共重合体 (酢酸ビニル含有量=15質量%、MFR=1.0g/cm3、190℃における溶融張力=115mN)(ダウケミカル社製 NUC8452D(商品名))
溶融張力の測定は以下のとおり行った。株式会社東洋精機製作所製キャピログラフ1C(商品名)のバレル先端に8.0mmの長さと2.095mmのノズル径を有するキャピラリーを取り付け、バレル温度を190℃に設定し、試料のペレットを数回に分けて充分に空気を抜きながらバレル内に充填し、溶融させた。ピストン速度を10mm/minに設定してキャピラリーより溶融した樹脂をストランド状に押出し、このストランドをキャピラリー下面60cm真下に設置した直径5mmの張力検出用プーリーに掛けて一定の巻取速度で巻き取った。巻取速度を1,3,5,10,20,30m/分と段階的に上げ、それぞれの巻取速度で張力が定常状態になった段階で20秒間データを取り込んだ。それぞれの巻取速度において、同様の測定を3回実施し、平均値をその巻取速度での張力とし、得られた張力のうちで最大の張力を溶融張力とした。巻取速度が30m/分に達する前にストランドが切断した場合は、そこで測定を終了し、得られた最大の張力を溶融張力として採用した。
[添加剤1]
・Ad1/Ad2=1/1
・Ad1 グリセリンモノオレート(理研ビタミン社製 リケマール(登録商標)OL−100)
・Ad2 ジグリセリンオレート(理研ビタミン社製 リケマール(登録商標)O−71D)
[添加剤2]
・Ad1/Ad2/Ad3=4/5/1
・Ad1 グリセリンモノオレート(理研ビタミン社製 リケマール(登録商標)OL−100)
・Ad2 ジグリセリンオレート(理研ビタミン社製 リケマール(登録商標)O−71D)
・Ad3 ポリオキシエチレンアルキルエーテル(理研ビタミン社製 リケマール(登録商標)B−205)
[フィルムの製造方法]
実施例及び比較例における低温収縮性オーバーラップ包装用フィルムは、下記の方法により製造した。すなわち、両表面層(I)の押出機には、両表面層(I)を形成するための樹脂を供給し、芯層(II)の押出機には、芯層(II)を形成するための樹脂を供給し、各押出機において、所定の添加剤を注入ポンプで所定量注入しながら混合溶融を行った。この混合溶融された樹脂をそれぞれ環状ダイに供給し、このダイで積層化し共押出しした。環状ダイ直下で、ダイから吐出された溶融樹脂は第1バブルを形成しながら、冷却水で急冷したあとピンチロールでピンチし、無延伸状の原反を採取した。
この原反は所望の厚み、層比率になるように調整した。この原反に加速電圧500kVの電子線照射装置を用いて架橋処理を施した。この時、各層のゲル分率が、所望の値内に入るように調整を行った。この処理が施された原反を150℃の雰囲気温度に保たれた加熱炉で加熱し、2組のニップロール間の速度比により流れ方向に5〜7倍、チューブ内にエアーを注入することにより機械の流れ方向と垂直方向に5〜7倍延伸し、バブルの最大径の部分にエアーリングより冷風をあて冷却を行った。その後、折りたたんで5〜40μmの厚みのフィルムを得た。
以下に、各実施例及び比較例について詳述する。
[実施例1]
EVA1を97質量%、添加剤としてグリセリンモノオレートAd1とジグリセリンオレートAd2とを1:1の割合で混合した添加剤1を3.0質量%含有する樹脂組成物を両表面層(I)を形成するための第一の樹脂組成物とした。また、(A)として、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体LLDPE2を59質量%、(B)として、エチレン−α−オレフィンブロック共重合体OBC1を20質量%、(C)として、高圧法低密度ポリエチレンEVA2を20質量%、及び、グリセリンモノオレートAd1とジグリセリンオレートAd2とを1:1の割合で混合した添加剤1を1.0質量%含有する樹脂組成物を、芯層(II)を形成するための第二の樹脂組成物とした。これら第一の樹脂組成物及び第二の樹脂組成物を用いて、表面層(I)/芯層(II)/表面層(I)の各層厚み比率が15/70/15%となるように環状ダイを用いて押出した。
その後冷却水にて冷却固化して幅130mm、厚み550μmの均一な厚み精度のチューブ状延伸原反を採取した。ついでこの延伸原反を500kVの電子線照射装置へ誘導し60kGyの吸収線量で架橋処理を行い、これを2組のニップロール間の速度比により8.0倍、チューブ内にエアーを注入することにより機械の流れ方向(MD)と垂直方向(TD)に6.2倍延伸を行い厚み11μmのフィルムを得た。
得られたフィルムの評価結果を表5及び表6に示す。得られたフィルムは自動包装機適性の評価においても問題なく、総合評価もA評価であった。また変形回復性に優れていた。
[実施例2〜12]
各層を形成するための樹脂、添加剤及びその比率を表1及び表2に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1の条件と同様にして、厚み10〜15μmのフィルムを得た。なお、延伸倍率は実施例1と同一とし、延伸前のチューブ状延伸原反の厚みにより、フィルムの厚みを適宜調整した。
得られたフィルムの評価結果を表5及び表6に示す。得られたフィルムは自動包装機適性の評価においても問題なく、総合評価もA評価であった。また変形回復性に優れていた。
[実施例13〜14]
照射線量を表6記載の条件に変えた以外は、実施例1と同様にして、厚み11μmのフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表6に示す。
[比較例1〜8]
各層を形成するための樹脂及びその比率を表3及び表4に示すとおり変更したこと以外は、実施例1の条件と同様にして11μmのフィルムを得た。なお、比較例5〜8は請求項1と同じ架橋条件では延伸が安定しなかったため、100kGyの照射線量で架橋処理を行った。
得られたフィルムの評価結果を表7及び表8に示す。
比較例1のフィルムは、表層にエチレン−酢酸ビニル共重合体を用いておらず、底シール性が不十分であるため、自動包装機適性に劣るものであった。
比較例2のフィルムは、表層のエチレン−酢酸ビニル共重合体の量が少ないため、底シール性が不十分であるため、自動包装機適性に劣るものであった。
比較例3のフィルムは、芯層のエチレン−α−オレフィンランダム共重合体の密度が低く、100℃における収縮率が高すぎて、底シール時の熱によって、フィルムが収縮を起こし、底シール性が不十分でなく、100℃における収縮率が高く、トレー割れを起こした。
比較例4のフィルムは、(B)のエチレン−α−オレフィンブロック共重合体を用いておらず、包装後の変形回復性に劣る結果となった。また、比較例5〜8のフィルムは、架橋度が高く、底シール性が不十分であった。
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本発明によれば、包装時の容器変形や割れが起こらず、底シール性が良好で、包装後も変形回復性に優れ、タイトな包装体を得ることが可能な低温収縮性オーバーラップ包装用フィルムを提供することができる。
1・・・芯層(II)、2,3・・・両表面層(I)、10・・・低温収縮性オーバーラップ包装用フィルム。

Claims (4)

  1. エチレン−酢酸ビニル共重合体を50質量%以上含む両表面層(I)と、
    密度が0.880〜0.939g/cmのエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)を20〜90質量%、融解ピーク温度が120℃以下であるエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(B)を5〜40質量%、190℃における溶融張力が60〜200mNのポリオレフィン系樹脂(C)を5〜40質量%含む芯層(II)と、の少なくとも3層から構成された低温収縮性オーバーラップ包装用フィルム。
  2. 前記ポリオレフィン系樹脂(C)は、酢酸ビニル含有量が5〜40%のエチレン酢酸ビニル共重合体及び高圧法低密度ポリエチレンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1に記載の低温収縮性オーバーラップ包装用フィルム。
  3. 100℃における加熱収縮応力が250g/cm以下である、請求項1又は2に記載の低温収縮性オーバーラップ包装用フィルム。
  4. 少なくとも一つの層が架橋されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の低温収縮性オーバーラップ包装用フィルム。
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