JPH11348205A - 多層シュリンクフィルム - Google Patents

多層シュリンクフィルム

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JPH11348205A
JPH11348205A JP10160611A JP16061198A JPH11348205A JP H11348205 A JPH11348205 A JP H11348205A JP 10160611 A JP10160611 A JP 10160611A JP 16061198 A JP16061198 A JP 16061198A JP H11348205 A JPH11348205 A JP H11348205A
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JP
Japan
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film
layer
ethylene
resin
weight
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Application number
JP10160611A
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English (en)
Inventor
Teiichi Sato
禎一 佐藤
Masayuki Yoshino
正行 吉野
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 底シール性、低温収縮性等を維持しつつ、同
一のダイで生産できる厚みの範囲の広い優れた多層フィ
ルムの提供。 【解決手段】 120℃以下の融点を有するポリオレフ
ィン系樹脂の表層(A)と、内層として特定の密度、メ
ルトフローレートを有するエチレンα−オレフィン共重
合体および高圧法低密度ポリエチレンを75:25〜9
5:5で混合してなる混合樹脂を含有する層(B)、及
びポリプロピレン系樹脂層(C)を有する、少なくとも
4層からなる多層フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、包装材料として収
縮(「シュリンク」と同義語として使用する。)包装に
適した特性を有しており、主として食品包装の用途に使
用される多層フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、収縮包装フィルムは、その特徴と
して、被包装物の形状や大きさによらず、同時に複数個
の製品を迅速かつタイトに包装することができる。ま
た、得られた包装物は外観が美しく、ディスプレイ効果
を発揮し、商品価値を高め、内容物を衛生的に保ち、視
覚による品質管理が容易なことから食品、雑貨等の包装
に使用されている。
【0003】かかる収縮包装には、フィルムに少し余裕
をもたせて内容物を一次包装した後熱風等によりフィル
ムを熱収縮させる方法や従来のストレッチ包装のように
フィルムをある程度緊張状態で包装し、フィルムの端を
被包装物の底部に折り込んで、この折り込み部でのフィ
ルムの重なり部を熱板上で密着(この密着方法を以下、
底シールと記す)させた後、同様に加熱収縮処理を施し
て局部的なフィルムのタルミやシワを除去する(以下、
ストレッチシュリンクと記す)等の方法があり、いずれ
もタイトで美しい仕上がりが得られる。
【0004】これらの用途のフィルムに必要な特性とし
ては、まずシール性、特にストレッチシュリンクにあっ
ては、底シール性が重要であり、通常底シール温度範囲
の広いものが要求される。ここで底シール温度範囲と
は、適正に底シール可能なシール温度範囲をいい、範囲
の広いことが大切となる。底シール温度範囲を外れると
様々なトラブルを生じる。その具体例を挙げると、例え
ば底シール温度が低すぎると密着(ここでは表面層の溶
融による熱接着も含む)せず、また一見密着しているよ
うでも熱収縮時に容易に密着部が剥がれてしまい、取り
扱い中(例えば、輸送中)に密着部が剥がれてしまう等
のトラブルを生じる。一方、底シール温度が高すぎると
フィルムに穴が開いたり、フィルムが白化してしまう等
のトラブルを生じる。
【0005】また、収縮包装フィルムには低温収縮性も
要求される。これは一般に被包装物が熱を嫌う場合が多
いためである。収縮包装フィルムに要求される他の特性
としては、耐引き裂き性や耐突き破れ性および落錘衝撃
強度等の機械的強度、透明性、光沢、防曇性等があり、
さらに包装後のフィルムに加わる種々の変形に対して生
じる歪み(輸送中の振動、段積みされた時に下段の包装
物に加わる荷重や、環境温度の変化等による内容物の変
形、および指で押したりした場合等により生じるフィル
ムのタルミやシワ、さらには局部的な凹み)が速やかに
回復する変形回復性、また包装時においては内容物の温
度に影響されない安定した包装仕上がりを発揮する性能
等があり、これらを総合的に満たすフィルムが強く望ま
れていた。
【0006】そして、この要望を満たすフィルムとし
て、特開平8−80565号公報には、エチレン系共重
合体樹脂からなる表層と、内部層に特定のエチレン−α
−オレフィン共重合体層と、特定のポリプロピレン樹脂
層とを含む4層以上の多層フィルムであって、特定の熱
収縮特性を有するフィルムが開示されている。このフィ
ルムは延伸安定性に優れ、薄肉でも耐引き裂き性や耐突
き破れ性、耐衝撃性等の機械的特性に優れ、低温収縮性
や透明性を兼ね備えたフィルムであり、更にヒートシー
ル性、特にストレッチシュリンク包装における底シール
性、およびシール部の仕上がりが収縮包装後においても
極めて良好であり、包装仕上がりの良さと優れた変形回
復性に加え、容易に防曇性を発揮することが可能なた
め、包装用フィルム、特に収縮包装用フィルムとしては
従来にはない極めて総合的にバランスのとれた高性能な
フィルムである。
【0007】上記フィルムの製法は、該公報に記載して
ある通り、公知の数々の方法を採用しうるが、中でも一
般にダブルバブル法乃至チューブラー法と呼ばれる方法
で作られている。これは各層を構成する樹脂をそれぞれ
の押出機で溶融して、多層の環状ダイで共押出し急冷固
化して延伸用原反を得た後、この原反を加熱して配向を
付与するのに適当な温度条件下で中空のバブルを形成し
て延伸を行うものである。
【0008】しかしながら収縮包装の対象となる被包装
物は形状、大きさ、重量が様々であり、その包装用フィ
ルムはその対象によって厚みを変えて使用されている。
すなわち被包装物が鋭い突起等を有していたり、大型で
あったり、重量物である場合には、大きな機械的強度が
要求されるので、フィルムを厚くしたり、逆に被包装物
がなめらかな形状で小型で軽量である場合には、要求さ
れる機械的強度が小さいので、コスト、省資源、省エネ
ルギー、廃棄物削減の点からフィルムを薄くしたりして
いる。このように、同一の構成でなるフィルムであって
も、用途に応じて厚みが異なる商品を揃えることが求め
られ、例えば、特開平8−80565号公報記載のフィ
ルムにおいては、その厚みは5〜80μm、より好まし
い範囲で7〜40μmであり、最大/最小の厚み比はよ
り好ましい範囲で約6とされている。
【0009】一般に、延伸フィルムの製法においてフィ
ルムの厚みを変更するには、フィルムの物性を保持する
ために、延伸倍率を変えないで延伸用原反の厚みを変更
する方法をとるのである。ところが、該公報のフィルム
の場合、同一の環状ダイで成形できる延伸用原反は、最
大/最小の厚み比が約2と狭いのである。この範囲より
薄い方に外れるとドローレゾナンスによる原反の厚み変
動が生じ、厚い方に外れると以降の延伸工程で延伸が不
安定になるなどの問題があり、厚みを自由に変えられな
い状況がある。
【0010】ドローレゾナンスとは、一般に合成繊維の
溶融紡糸工程において、周期的な持続振動により紡出さ
れた糸条の断面積が変動し、いわゆる糸斑が発生する現
象を指す。そしてドローレゾナンスは、ドラフト比(巻
き取り速度とノズル点での線速度の比)が大きくなれば
糸条の断面積の変動の振幅および周期がより大きくなる
ことが知られている。この現象は上記延伸用原反を得る
工程においても発生し、該公報のフィルムではドラフト
比がおおよそ12を越えると延伸用原反厚みの変動が品
質上問題となる程度まで大きくなるのである。すなわ
ち、以降の延伸工程で、例えば延伸開始点の変動や延伸
斑等の延伸不安定現象を引き起こし、結果として得られ
るフィルムの品質が大きくバラツクなどして実用上問題
となるのである。なお、ここでドラフト比は本来、冷却
固化後の延伸用原反の搬送速度(V)とダイ出口部での
樹脂の線速度(Vo)の比(V/Vo)で表されるが、
本発明においては便宜上ダイ出口部流路の断面積(S
o)と冷却固化後の延伸用原反の断面積(S)の比(S
o/S)で表している。(以下同様である)。
【0011】また、該公報のフィルムではドラフト比が
おおよそ6以下となると以降の延伸工程において延伸不
安定となり、これは溶融した樹脂がダイより出た後冷却
固化されるまでの伸張により発生する樹脂の分子の配向
が、延伸工程で微妙に影響するからである。従って、同
一の環状ダイで成形できる延伸用原反は、ドラフト比が
約6〜12の範囲であり、その最大/最小の厚み比は約
2となる。
【0012】そこで、該公報のフィルムにおいて、より
好ましい厚み範囲である7〜40μmのフィルムを全て
作り分けるためだけでも、3種類の環状ダイが必要とな
り、生産するフィルムの厚みに合わせてダイの交換が避
けられないのである。このダイの交換作業には多大な労
力と時間が必要であり、フィルムの生産性を大きく下げ
る原因となるのである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような問
題を解決し、上記特開平8−80565号公報の熱収縮
包装用フィルムが有する優れた性能を維持しつつ、同一
のダイで生産できる厚みの範囲の広い優れた多層フィル
ムを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を達成するために鋭意検討した結果、本発明をなすに至
った。すなわち、本発明は下記の通りである。 1)120℃以下の融点を有するポリオレフィン系樹脂
の表層(A)と、内層としてエチレンα−オレフィン共
重合体層(B)、及びポリプロピレン系樹脂層(C)を
それぞれ少なくとも1層有する、少なくとも4層からな
る多層フィルムにおいて、該層(B)がエチレンα−オ
レフィン共重合体と高圧法低密度ポリエチレン25〜1
5重量%を混合したものであり、該エチレンα−オレフ
ィン共重合体は密度が0.860〜0.935g/cm
3 であって、190℃、荷重2.16kgfにおけるメ
ルトフローレートが0.2〜5.0g/10分であり、
該高圧法低密度ポリエチレンは190℃、荷重2.16
kgfにおけるメルトフローレートが0.1〜5.0g
/10分であり、かつ該エチレンα−オレフィン共重合
体と該高圧法低密度ポリエチレンとの混合重量比が7
5:25〜95:5であることを特徴とする多層シュリ
ンクフィルム。
【0015】2)上記層(A)のポリオレフィン系樹脂
が、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−脂肪族
不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カ
ルボン酸エステル共重合体、密度が0.860〜0.9
15g/cm3 であるエチレンα−オレフィン共重合体
からなる群より選ばれる少なくとも1種の共重合体であ
り、上記層(C)がポリプロピレン系樹脂50〜90重
量%と軟質ポリオレフィン系樹脂10〜50重量%を混
合したものであり、軟質ポリオレフィン系樹脂の示差走
査型熱量計(DSC)測定による100℃以上の結晶融
解熱量が60J/g以下である上記1)の多層シュリン
クフィルム。以下、本発明につき詳細に説明する。
【0016】本発明が従来技術と相違するところは、従
来技術が層(B)にエチレンα−オレフィン共重合体を
使用しているのに対し、本発明は層(B)に特定のエチ
レンα−オレフィン共重合体と特定の高圧法低密度ポリ
エチレンを特定の割合で混合した樹脂を使用することで
ある。そして、その役割は、同一のダイによって生産可
能な厚みの範囲が広い優れた多層フィルムを提供するこ
とである。
【0017】まず、本発明のフィルムの表層(A)は、
120℃以下の融点を有するポリオレフィン系樹脂から
なる。本発明におけるポリオレフィン系樹脂とは、樹脂
の主鎖骨格がオレフィンの重合体からなるものであり、
例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、
ポリブテン系樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1系樹
脂、ポリブタジエン系樹脂、またこれら樹脂を酸変性等
により改質したもの、アイオノマー樹脂、石油樹脂、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−脂肪族不飽和
カルボン酸共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン
酸エステル共重合体等が挙げられる。ポリオレフィン系
樹脂の融点が120℃以下である理由は、良好に底シー
ルできるようにフィルムの底シール温度範囲を充分広く
するためである。ポリオレフィン系樹脂の融点が120
℃を超えると、フィルムの底シール温度範囲の下限が著
しく上昇することにより、底シールが困難となるレベル
まで底シール温度範囲が狭くなる。該樹脂の融点の下限
は、特に限定されるのではないが、一般的に70℃であ
る。本発明でいう融点は、示差走査型熱量計(以下DS
Cと略す)によって得られる融解熱曲線の最も高いピー
クを示す温度である。またDSCによる融解熱曲線の測
定は、パーキンエルマー社製示差走査型熱量計DSC−
7を用いて、樹脂(8〜10mg)を200℃において
30分保持後降温速度10℃/分で0℃まで降温し、0
℃で1分間保持後昇温速度10℃/分で200℃まで昇
温して行なっている。
【0018】層(A)に使用するポリオレフィン系樹脂
は、より好ましくはエチレン−酢酸ビニル共重合体や、
エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体や、エチレ
ン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体や、密度
が0.860〜0.915g/cm3 であるエチレンα
−オレフィン共重合体等から選ばれる少なくとも1種の
共重合体樹脂である。以上の樹脂を使用することによ
り、より優れた透明性、光沢を有したフィルムを提供す
ることができる。
【0019】本発明の層(A)に使用し得る上記エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体は、エチレンと酢酸ビニルを共
重合した樹脂であり、これを部分的にケン化したもので
もよく、さらにその他の成分を加えた3成分以上の多元
共重合体であってもよい。また、上記エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体は、酢酸ビニル基含有量が5〜26重量%
のものが、べたつき現象の発生を防ぎ、透明性のより優
れたフィルムとするためにより好ましい。酢酸ビニル基
含有量が5重量%未満であるとフィルムの透明性がやや
悪いことがある。一方、酢酸ビニル基含有量が26重量
%を越えるとべたつき現象が生じて包装作業時にトラブ
ルが発生しやすくなることがある。さらに好ましい酢酸
ビニル基含有量は、7〜20重量%である。また、19
0℃、荷重2.16kgfにおけるメルトフローレート
(以下、MFRともいう)は0.3〜10g/10分の
ものが、押出成型時の押出動力上昇の問題を防ぐと共
に、ホットタック性等のシール強度のより優れたフィル
ムとするためにより好ましい。MFRが0.3g/10
分未満では、押出成型時の押出動力が上昇する等の押出
加工性に問題が生じる場合がある。一方、MFRが10
g/10分を越えると、ホットタック性等のシール強度
が低下する場合がある。さらに好ましいMFRの範囲は
0.5〜6g/10分である。なお、本発明でいうMF
Rとは、JIS−K−7210に従って測定される該条
件での値である。
【0020】本発明の層(A)に使用し得る上記エチレ
ン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体には、例えばエチ
レン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共
重合体、これらのカルボン酸基の少なくとも一部分をア
イオノマー化したもの等が挙げられる。また、上記エチ
レン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体の例と
してはエチレン−アクリル酸エステル(メチル、エチ
ル、プロピル、ブチル等のC1〜C8のアルコールの成
分より選ばれる)共重合体、エチレン−メタクリル酸エ
ステル(メチル、エチル、プロピル、ブチル等のC1〜
C8のアルコールの成分より選ばれる)共重合体、これ
らを部分的にケン化したもの等が挙げられる。
【0021】また、上記エチレン−脂肪族不飽和カルボ
ン酸共重合体又はエチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エ
ステル共重合体は、これらの共重合体のカルボン酸また
はカルボン酸エステル基の含有量は3〜35重量%が、
べたつき現象を防ぎ、透明性の優れたフィルムとするた
めにより好ましい。含有量が3重量%未満であるとフィ
ルムの透明性がやや悪いことがある。一方、含有量が3
5重量%を越えるとべたつき現象が生じて包装作業時に
トラブルが発生しやすくなることがある。また、そのM
FR(190℃、2.16kgf)は0.3〜10g/
10分が、押出成型時の押出動力上昇の問題を防ぐと共
に、ホットタック性等のシール強度の優れたフィルムと
するためにより好ましい。MFRが0.3g/10分未
満では、押出成型時の押出動力が上昇する等の押出加工
性に問題が生じる場合がある。一方、MFRが10g/
10分を越えると、ホットタック性等のシール強度が低
下する場合がある。さらに好ましいMFRの範囲は0.
5〜6g/10分である。
【0022】これらは、さらにその他の成分を加えた3
成分以上の多元共重合体(例えば、エチレンと脂肪族不
飽和カルボン酸および同エステルより自由に選ばれる3
元以上の共重合体等あるいは変性されたもの)であって
もよい。本発明の層(A)に使用し得る上記エチレンα
−オレフィン共重合体としては線状低密度ポリエチレ
ン、超低密度ポリエチレン(VLDPE、ULDPEと
呼ばれているもの)等があり、これらはエチレンとプロ
ピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチル−ペン
テン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等の炭素数が3
〜18のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種類
の単量体との共重合体である。これには、チーグラー触
媒等の従来のマルチサイト触媒を用いて得られた重合体
の他に、メタロセン系触媒等のシングルサイト触媒を用
いて得られた、分子量分布が従来の方法で重合されたも
のよりシャープな重合体(例えば、重量平均分子量Mw
/数平均分子量Mnで表される値が1.5〜3.5のも
の、より好ましくは1.5〜3.0のもの)、あるいは
両者を混合したものでもよく、これらから少なくとも1
種が用いられる。
【0023】上記シングルサイト触媒で重合されたエチ
レンα−オレフィン共重合体には、上記α−オレフィン
に加え、極性基を有する単量体やスチレン系モノマー等
のその他の単量体が共重合されたものであっても良い。
エチレンα−オレフィン共重合体の密度は、べたつき現
象や臭いの発生といった食品衛生上の問題を防ぎ、底シ
ール性が優れたフィルムとするためには、0.860〜
0.915g/cm3がより好ましい。密度が0.86
0g/cm3 未満であると、樹脂中の低分子量成分が多
くなるためべたつき現象が生じ包装作業時にトラブルが
発生する他、該低分子量成分の溶出や、該低分子量成分
による臭いの発生といった食品衛生上の問題が発生する
場合があり、一方、密度が0.915g/cm3 を越え
ると、底シール性が悪化してしまう場合がある。さらに
好ましい密度の範囲は0.880〜0.910g/cm
3 、さらにより好ましくは0.885〜0.905g/
cm3 である。
【0024】また、上記エチレンα−オレフィン共重合
体は、190℃、荷重2.16kgfにおけるMFRが
0.5〜10g/10分であることが、押出成型時の押
出動力上昇の問題を防ぐと共に、延伸製膜安定性により
優れたフィルムとするためにより好ましい。MFRが
0.5g/10分未満では、押出成形時の押出動力が上
昇する等の溶融加工性に問題が生じる場合がある。一
方、MFRが10g/10分を越えると、延伸製膜安定
性が低下する場合がある。さらに好ましいMFRの範囲
は0.7〜4g/10分である。本発明のフィルムにお
いては、内層の少なくとも1層として、特定のエチレン
α−オレフィン共重合体と特定の高圧法低密度ポリエチ
レンを特定の割合で混合した樹脂を使用することが重要
である。
【0025】本発明のフィルムにおいて、層(B)は、
フィルムに収縮性と機械的強度、変形回復性を付与する
役割を担っている。そして、特定されたエチレンα−オ
レフィン共重合体に特定された高圧法低密度ポリエチレ
ンを特定された量混合することにより、上記の優れた特
性を損なうことなく、エチレンα−オレフィン共重合体
を単独で用いた場合に比べ、延伸用原反成形工程におい
てドローレゾナンスが発生しない限界のドラフト比が約
25以下と、従来の約12以下に対して2倍以上まで大
幅に拡大できたのである。そして、さらに延伸工程にお
ける延伸安定性が良好であるドラフト比が約4以上と、
従来の約6以上に対して約2/3まで小さくできたこと
で、適正なドラフト比の範囲が約4〜25と、従来の約
6〜12に比べ大幅に改良できたのである。これによ
り、同一の環状ダイで成形できる延伸用原反厚みの最大
と最小の比、さらには生産できるフィルム厚みの最大と
最小の比を、従来の約2から約6以上と大幅に拡大で
き、例えばフィルム厚みのより好ましい範囲である7〜
40μm全てを同一のダイで生産可能になり、多大な労
力と時間を要するダイ交換作業を大幅に減らすことがで
き、生産性が格段に向上した優れたフィルムを提供する
に至ったのである。
【0026】本発明のフィルムの層(B)に使用するエ
チレンα−オレフィン共重合体としては、線状低密度ポ
リエチレン、超低密度ポリエチレン(VLDPE、UL
DPEと呼ばれているもの)等があり、これらはエチレ
ンとプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチ
ル−ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等の炭
素数が3〜18のα−オレフィンから選ばれる少なくと
も1種類の単量体との共重合体であるが、引き裂き強度
や突き刺し強度、落錘衝撃強度等の機械的強度および延
伸性の点から、α−オレフィンとしては4−メチル−ペ
ンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1がより好まし
い。これには、チーグラー触媒等の従来のマルチサイト
触媒を用いて得られた重合体の他に、メタロセン系触媒
等のシングルサイト触媒を用いて得られた、分子量分布
が従来の方法で重合されたものよりシャープな重合体
(例えば、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnで表
される値が1.5〜3.5のもの、より好ましくは1.
5〜3.0のもの)、あるいは両者を混合したものでも
よく、これらから少なくとも1種が用いられる。上記シ
ングルサイト触媒で重合されたエチレンα−オレフィン
共重合体には、上記α−オレフィンに加え、極性基を有
する単量体やスチレン系モノマー等のその他の単量体が
共重合されたものであっても良い。
【0027】層(B)に使用する上記エチレンα−オレ
フィン共重合体の密度は0.860〜0.935g/c
3 である。密度が0.860〜0.935g/cm3
である理由は、フィルムの延伸性を良好とすると共に、
透明性、収縮後の変形回復性、底シール性が優れたフィ
ルムとするためである。密度が0.935g/cm3
越えると透明性が低下したり、延伸性(特に、低温延伸
性)が低下する他、収縮後の透明性が悪化する。一方、
密度が0.860g/cm3 未満であると、収縮後の変
形回復性が低下する他、底シール温度範囲が狭くなる。
エチレンα−オレフィン共重合体のより好ましい密度
は、0.870〜0.930g/cm3 、さらに好まし
くは0.900〜0.925g/cm3 である。本発明
でいう密度とは、JIS−K−7112に従って測定さ
れる23℃の値である。また、エチレンα−オレフィン
共重合体の190℃、荷重2.16kgfにおけるMF
Rは0.2〜5.0g/10分である。MFRが0.2
〜5.0g/10分である理由は、押出成形時の押出動
力上昇の問題や押し出された原反の表面平滑性低下の問
題を防ぎ、フィルムの延伸性を良好とすると共に、引き
裂き強度、突き刺し強度等の機械的特性が優れたフィル
ムとするためである。MFRが0.2g/10分未満で
は、押出成形時の押出動力が上昇する問題点と、押し出
された原反の表面平滑性が低下する問題点が生ずる。一
方、MFRが5.0g/10分を越える場合は、延伸そ
のものが困難になるか、延伸の安定性が低下する。ま
た、フィルムが得られても引き裂き強度、突き刺し強度
等の機械的特性に劣るものしか得られない。より好まし
いMFRの範囲は、0.3〜4.0g/10分、さらに
好ましくは0.5〜3.0g/10分である。
【0028】本発明のフィルムにおいて、高圧法低密度
ポリエチレンとは、一般にエチレンを高圧下で重合した
分岐度の高いポリエチレンで、密度が0.910〜0.
930g/cm3 のものを指す。層(B)に使用する高
圧法低密度ポリエチレンの190℃、荷重2.16kg
fにおけるMFRは0.1〜5.0g/10分である。
MFRが0.1〜5.0g/10分である理由は、押出
成形時の押出動力上昇の問題や押し出された原反の表面
平滑性低下の問題を防ぎ、同一のダイで生産できるフィ
ルムの厚みの範囲を拡大すると共に、引き裂き強度や変
形回復性が優れたフィルムとするためである。MFRが
0.1g/10分未満では、押出成形時の押出動力が上
昇したり、押し出された原反の表面平滑性が低下する場
合がある。また、MFRが5.0g/10分を越える場
合は、同一のダイで生産できるフィルムの厚みの範囲を
拡大する効果が極端に低下する他、引き裂き強度や変形
回復性に乏しいフィルムとなる場合がある。好ましいM
FRの範囲は、0.2〜3.0g/10分である。
【0029】層(B)におけるエチレンα−オレフィン
共重合体と高圧法低密度ポリエチレンの混合比は75:
25〜95:5である。混合比が75:25〜95:5
である理由は、同一のダイで生産できるフィルムの厚み
の範囲を拡大すると共に、機械的強度や変形回復性が優
れたフィルムとするためである。高圧法低密度ポリエチ
レンの混合量がこの範囲より少ないと、同一のダイで生
産できるフィルムの厚みの範囲を拡大する効果が大幅に
低下してしまう。一方、高圧法低密度ポリエチレンの混
合量がこの範囲より多いと、フィルムの機械的強度が不
充分となると共に、収縮包装後に実用上十分な変形回復
性を与えにくくなることがある場合がある。
【0030】本発明のフィルムの層(C)に使用するポ
リプロピレン系樹脂としては、ホモのポリプロピレン、
プロピレン含有量が70重量%以上のプロピレンと他の
α−オレフィン(エチレンの他、炭素数4〜8のもの)
の1種または2種以上との共重合体等が挙げられ、これ
には、チーグラー・ナッタ触媒のような従来の触媒を用
いて重合されたもの以外に、メタロセン系触媒等で重合
された分子量分布が狭い(通常、重量平均分子量Mw/
数平均分子量Mnで4以下のもの)シンジオタクチック
ポリプロピレンやアイソタクチックポリプロピレン等も
含まれ、さらにポリプロピレン系樹脂に50重量%まで
の高濃度のゴム成分を均一微分散したものでもよく、こ
れらのうち少なくとも1種が用いられる。
【0031】本発明のフィルムの層(C)は、ポリプロ
ピレン系樹脂50〜90重量%と軟質ポリオレフィン系
樹脂10〜50重量%の混合樹脂からなることがより好
ましい。層(C)に使用する軟質ポリオレフィン系樹脂
としては、例えばポリブテン−1系樹脂、ブテン−1と
エチレン及びプロピレンとの三元共重合体、低分子量ポ
リブテン樹脂とポリプロピレン系樹脂の混合樹脂等があ
るが、好適にはポリブテン−1系樹脂が挙げられる。上
記のポリブテン−1系樹脂としては、ホモのポリブテン
−1、ブテン−1含有量が70重量%以上のブテン−1
とエチレンないしプロピレンとの共重合体が好適に用い
られる。該軟質ポリオレフィン系樹脂は、DSCによる
融解熱曲線測定において100℃以上の結晶融解熱量が
60J/g以下の値を有するものである。これには、非
結晶性の樹脂で、DSCによる融解熱曲線測定において
ピークを示さず結晶融解熱量が0J/gの値となるもの
も含む。層(C)中のポリプロピレン系樹脂の含有量が
50〜90重量%であり、軟質ポリオレフィン系樹脂の
含有量が10〜50重量%であることが好ましい理由
は、ポリプロピレン系樹脂の実用的な耐熱性や透明性を
低下させることなく、収縮フィルムの弾性率の調整や引
き裂き強度、突き刺し強度、落錘衝撃強度等の機械的強
度の改良、さらには収縮包装後の変形回復性を改良する
ためである。
【0032】層(C)中のポリプロピレン系樹脂の含有
量が50重量%未満となると、フィルムの耐熱性が低下
するため、ヒートシール性、特に底シール温度範囲が狭
まり、また、フィルムの腰が低下する場合があり、包装
作業性が悪化してしまうことがある。軟質ポリオレフィ
ン系樹脂の含有量が10重量%未満となると、上記機械
的特性や、収縮包装後の変形回復性の改良効果が得にく
いことがある。ポリプロピレン系樹脂の含有量が90重
量%を越えると、軟質ポリオレフィン系樹脂の含有量が
10重量%未満となるため、機械的特性や、収縮包装後
の変形回復性の改良効果が得にくいことがある。また、
軟質ポリオレフィン系樹脂の含有量が50重量%を越え
ると、ポリプロピレン系樹脂の含有量が50重量%未満
となり、フィルムの耐熱性が低下するため、ヒートシー
ル性、特に底シール温度範囲が狭まり、また、フィルム
の腰が低下する場合があり、包装作業性が悪化してしま
うことがある。
【0033】本発明のフィルムにおいて、層(C)に使
用する上記ポリプロピレン系樹脂は、230℃、荷重
2.16kgfにおけるMFRが0.1〜10g/10
分であることが、押出成型時の押出動力上昇の問題を防
ぐと共に、延伸製膜安定性に優れ、機械的強度や変形回
復性により優れたフィルムとするためにより好ましい。
MFRが0.1g/10分未満では、押出成型時の押出
動力が上昇したり、押し出された原反の表面平滑性が低
下する場合がある。一方、MFRが10g/10分を越
える場合は、延伸の安定性が低下して偏肉の大きなフィ
ルムになってしまったり、引き裂き強度、突き刺し強
度、落錘衝撃強度等の機械的特性が低下したり、収縮包
装後の変形回復性が劣る場合がある。さらに好ましいM
FRの範囲は0.5〜6g/10分である。
【0034】本発明においては全層に占める各層の厚み
比率が、表層(A)が両面合わせて10〜60%、層
(B)が15〜80%、層(C)が10〜60%がより
好ましい。層(A)の比率が10%未満であると、防曇
性やシール強度が低下する場合がある。一方、60%を
越えると引き裂き強度や突き刺し強度、落錘衝撃強度等
の機械的強度が低下する場合がある。また、層(B)の
比率が15%未満であると、延伸性が低下したり、機械
的強度や収縮後の変形回復性が大幅に劣化する場合があ
る。一方、80%を越えると、得られたフィルムの収縮
力が強くなり過ぎる傾向にあり、シール作業時にシール
部を含めてその周辺が極端に収縮したりして、包装仕上
がりを極端に悪くしたり、シール方法が底シールによる
場合には収縮時にシール部が剥がれてしまったりするこ
とがある。また、層(C)の比率が10%未満である
と、底シール温度範囲が狭くなる場合がある。一方、層
(C)の比率が60%を越えると、延伸性が低下した
り、延伸温度の上昇をもたらして結果として低温収縮性
が失われることがあるほか、他の層の取り得る層比率が
低下し、防曇性やシール性、引き裂き強度等の機械的強
度、収縮後の変形回復性等が不十分となる場合がある。
ただし、層(C)の比率が10%以上であっても、該層
の厚みそのものが0.5μm以上でないと担っている役
割が充分発揮できにくい場合もあるため、より好ましく
は層(C)の厚みの下限は0.5μmである。全層に占
める層(A)のより好ましい厚み比率は、15〜50
%、さらに好ましくは20〜40%である。また、層
(B)のより好ましい層比率は、20〜70%、さらに
好ましくは25〜60%である。同様に、層(C)のよ
り好ましい層比率は、15〜50%、さらに好ましくは
20〜40%である。
【0035】本発明のフィルムは、表層を形成する層
(A)および内層である層(B)、層(C)の合計少な
くとも4層から構成されるが、層の配置としては、例え
ば4層の場合:A/B/C/A、5層の場合:A/C/
B/C/A、A/B/C/B/A、A/B/A/C/A
等、7層の場合:A/C/B/A/B/C/A、A/C
/A/B/A/C/A、A/C/B/C/A/C/A、
A/B/A/C/A/C/A、A/B/A/B/A/C
/A、A/B/C/A/B/C/A、A/B/C/B/
A/C/A、A/C/B/C/B/C/A、A/B/C
/B/C/B/A等が挙げられる。他に、6層、8層お
よびそれ以上の場合も含むものとする。
【0036】層(A)または層(B)または層(C)を
それぞれ2層以上有する場合は、それらの層を構成する
樹脂は、それぞれ同一であっても、また異なっていても
よい。また、層(A)はそれぞれ単量体成分が同一また
は異なる樹脂の多層、例えばA1/A2等であってもよ
く、層(B)または層(C)についても同様である。ま
た、本発明のフィルムには、その本来の特性を損なわな
い範囲で、更に内層として、本発明の(A)、(B)、
(C)の各層に使用可能な樹脂の他、公知の熱可塑性樹
脂で構成される別の層を配してもよい。この追加される
層には、回収層として、フィルム各層に使用されている
樹脂からなる混合組成物層も含まれる。
【0037】層(A)には、その本来の特性を損なわな
い範囲内で必要に応じて別の樹脂を混合してもよく、混
合する樹脂の例として、エチレン−酢酸ビニル共重合体
の部分ケン化物、アイオノマー樹脂、高圧法低密度ポリ
エチレン、高密度ポリエチレン、上記のエチレンα−オ
レフィン共重合体とは異なるX線法による結晶化度が3
0%以下のα−オレフィン共重合体よりなる軟質樹脂、
遷移金属触媒によって重合された高分岐度エチレンポリ
マー(分岐度:5〜110基/1000炭素)、ポリプ
ロピレン系樹脂、ポリブテン−1系樹脂、スチレン−共
役ジエン共重合体(ブロック、ランダム)および該ブロ
ック共重合体の少なくとも一部を水添したもの、またこ
れら樹脂を酸変性等により改質したもの、結晶性1、2
−ポリブタジエンの他、前述の石油樹脂等が挙げられ、
これらは50重量%を上回らない範囲で、より好ましく
は40重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下で
適宜使用してもよい。
【0038】層(B)は、一般にエチレンα−オレフィ
ン共重合体と高圧法低密度ポリエチレンの混合樹脂を5
0重量%以上含有するものであり、その本来の特性を損
なわない範囲で、他の1種又は2種以上の樹脂を含有し
てもよい。エチレンα−オレフィン共重合体と高圧法低
密度ポリエチレンの混合樹脂含有量は、より好ましくは
60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上であ
る。混合するその他の樹脂の例としては、エチレンー酢
酸ビニル共重合体およびその部分ケン化物、エチレンー
脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、エチレンー脂肪族不
飽和カルボン酸エステル共重合体、アイオノマー樹脂、
遷移金属触媒によって重合された高分岐度エチレンポリ
マー(分岐度:5〜110基/1000炭素)、スチレ
ンー共役ジエン共重合体(ブロック、ランダム)および
該ブロック共重合体の少なくとも一部を水添したもの、
またこれら樹脂を酸変性等により改質したもの、結晶性
1,2−ポリブタジエン、ポリブテン−1系樹脂、水添
ポリジシクロペンタジエン、水添ポリテルペン等の石油
樹脂等が挙げられるが、該(B)層以外の層に実際に使
用される樹脂そのものも含まれる。
【0039】層(C)には上記したポリプロピレン系樹
脂や軟質ポリオレフィン系樹脂の他に、機械的強度や耐
熱性等に支障のない範囲で、他の1種又は2種以上の樹
脂を40重量%未満含有してもよい。混合するその他の
樹脂の例としては、前述した層(B)に対して例示した
ものに加えて、低圧法高密度ポリエチレン、エチレンα
−オレフィン共重合体、そして層(C)以外の層に実際
に使用される樹脂そのものが挙げられる。
【0040】本発明のフィルムは、特に食品包装用途に
用いられる場合は、少なくとも層(A)の1つが、防曇
剤を0.1〜5重量%(添加する層に対する重量%)含
有することがより好ましい。0.1重量%未満では防曇
効果が不十分であり、5重量%を越えるとオーバーブリ
ードにより被包装物を汚染したり、場合によってはシー
ル性を低下させる原因となることもある。さらに好まし
い含有量は0.3〜4重量%である。使用される防曇剤
の例としては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン
脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸コハク酸エステル、
ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタンーグリセリ
ン系縮合脂肪酸エステル、ソルビタンージグリセリン系
縮合脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エス
テル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステルなどの多
価アルコール部分脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン
アルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニ
ルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオ
キシエチレングリセリン脂肪酸エステルなどのエチレン
オキサイド付加物、さらにソルビトールにプロピレンオ
キサイドとエチレンオキサイドを付加した後にエステル
化して得られるソルビトール誘導体、アルキルアミン、
アルキルアミド、アルキルエタノールアミン、脂肪酸ジ
エタノールアミドなどのアミン、アミド類およびそれら
のエチレンオキサイド付加物、ポリアルキレングリコー
ル、さらに公知の防曇剤があり、これらの少なくとも1
種または2種以上を併用して用いられる。上記防曇剤
は、押出の際に表層樹脂に練り込む他に、適当量をコー
ティング法でフィルム表面に保有させてもよい。
【0041】さらに、本発明の(A)、(B)、(C)
の各層は、それぞれその本来の特性を損なわない範囲
で、可塑剤、酸化防止剤、界面活性剤、着色剤、紫外線
吸収剤、滑剤、アンチブロッキング剤、無機フィラー等
を含んでもよく、また本発明のフィルムの表面の片面あ
るいは両面が、防曇性、帯電防止性、滑性および密着性
等を付与するために、コーティング処理が施されてもよ
い。コーティングに用いられる処理剤としては、既に記
述した各種防曇剤の他、ショ糖エステル、各種シリコー
ンエマルジョン、シリコーンオイル、グラニジン誘導
体、含リン酸陰イオン活性剤、スルホン酸塩誘導体、第
4アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリン誘導
体、ポリビニルアルコール、アクリル酸系の親水性ポリ
マー、ピロリジウム環を主鎖に有するポリマー、さらに
はシリカゾル、アルミナゾル等の他、ミネラルオイル、
液状ポリブテン、上記に含まれない油脂類、他に粘性液
体(100センチポイズ以上)等、さらに各種処理剤が
あり、これらの少なくとも1つまたは2つ以上を組み合
わせて使用されるが、適当な溶媒(例えば、水やアルコ
ール等)に希釈して使用してもよい。
【0042】また、上記の(A)、(B)、(C)の各
層は、石油樹脂、水添石油樹脂、天然ロジン類、エステ
ル化ロジン類、テルペン系樹脂(含同水添樹脂)等を混
合して、高分子可塑化効果、延伸性、表面特性、その他
性質等を改良してもよい。さらに上記の層(A)にはコ
ロナ処理、プラズマ処理等の表面処理も可能であり、上
記コーティング処理とは別に、または組み合わせて用い
られる。
【0043】本発明の熱収縮性多層フィルムの厚みは、
通常5〜80μm、好ましくは6〜60μm、より好ま
しくは7〜40μmである。5μm未満では、フィルム
の腰が不足し、シール性も低下する等、包装時の作業性
に問題を生じる。また、80μmを越えるとフィルムの
腰が強くなりすぎ、収縮包装時の包装後のフィット性が
悪くなる他、収縮の応答性が悪くなったり、全体の収縮
が強くなりすぎて、トレーや容器が変形して仕上がりが
損なわれやすくなる。また、機械的強度等の性能が過剰
となる。
【0044】本発明のフィルムの製法は、公知の数々の
方法を採用しうるが、中でも一般にダブルバブル法又は
チューブラー法と呼ばれる方法がよい。この方法につい
て以下に述べると、まず、(A)、(B)、(C)各層
および必要に応じて用いられるその他の層を構成する樹
脂をそれぞれの押出機で溶融して、環状多層ダイで共押
出し急冷固化して、多層の延伸用原反を得て、つぎにこ
の原反を加熱して、配向を付与するのに適当な温度条件
下で中空のバブルを形成して延伸を行い、再び冷却固化
してフィルムを得るものである。延伸温度は、一般に、
フィルムの延伸開始点(バブルとして膨張開始する位
置)における表面温度で通常120℃以下、好ましくは
110℃以下である。ただし、延伸温度の下限は、延伸
後のフィルムの寸法安定性の点から40℃がよい。ま
た、延伸は少なくとも1方向に面積延伸倍率で3〜50
倍、好ましくは4〜40倍で延伸し、用途により必要な
熱収縮率等に応じて適宜選択される。また、必要に応じ
ての後処理、例えば寸法安定性のためのヒートセット、
他種フィルム等とのラミネーションが行われてもよい。
【0045】さらに、本発明のフィルムは、その少なく
とも1つの層が架橋されていてもよく、厚み方向におけ
る架橋度がほぼ均一の場合、特定の層が主に架橋されて
いる場合、表層から厚み方向に架橋度が漸次変化する場
合、両表層が主として架橋していて厚み方向に適時分布
をもつ場合であってもよい。この架橋処理は、延伸製膜
を行う前および/または後に、電子線(例えば、50〜
1000kVのエネルギーのもの)、紫外線、X線、α
線、γ線等のエネルギー線により片面、両面照射、また
厚み方向に架橋の分布が(例えば、片面の表層が架橋)
生ずるような照射を行うか、またはパーオキサイド等
(場合により、特定層に架橋助剤、特定層に架橋遅延剤
等の併用もよい)の添加後に加熱処理を行う方法、また
は両方法の併用等の他、公知の方法により改質処理を行
ってもよく、好ましくは電子線(例えば、50〜100
0kVのエネルギーで透過深度を所定にコントロールし
て)による方法がクリーンでよい。架橋処理により、耐
熱性、ヒートシール性、特に高速包装におけるシール性
の向上、および延伸製膜安定性(ネッキングの抑制、厚
みの均一性、延伸倍率の向上、延伸温度条件幅の拡大
等)を向上させることも可能であって、必要に応じて用
いられる。
【0046】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例にて更に詳
しく説明する。実施例、比較例において使用した樹脂及
び層構成は、表1〜3の通りである。また、実施例、比
較例における物性の測定法、評価法は下記の通りであ
る。 (1)原反安定製膜性の評価及び原反安定製膜可能なド
ラフト比の最大値(H)の測定法 安定して製膜出来るとは、原反の厚み斑が平均の厚みに
対して±10%以内であることを指す。厚み斑の測定方
法としては、各条件のチューブ状原反を流れ方向(MD
方向)に5m採取し、ピンチして折り畳まれた延伸用原
反の幅方向の中央位置において、MD方向に直線的に厚
みを測定した。厚みの測定は、アンリツの連続式厚み測
定機(THICKNESS TESTER KG601
A)で行った。各条件におけるドラフト比(H)は下記
の式に基づいて求めた。 H=So/S ただし、So(cm2 )は使用したダイのスリット開口
部断面積、S(cm2 )は延伸用原反の断面積である。
また、延伸用原反の断面積(S)は下記の式に基づいて
求めた。 S=M/(L×ρ) ただし、M(g)は延伸用原反の重量、L(cm)は延
伸用原反の長さ、ρ(g/cm3 )は延伸用原反の平均
密度(計算値)である。そして、ドラフト比が1づつ変
化するように、原反の引き取り速度を変化させて、測定
用のサンプルを採取した。各サンプルの厚みを上述した
方法で測定し、厚み斑が±10%以内であった最大のド
ラフト比を原反安定製膜性可能なドラフト比の最大値
(H)とした。
【0047】(2)フィルム安定延伸製膜性の評価及び
フィルム安定延伸製膜可能なドラフト比の最小値(L)
の測定法 延伸製膜が安定とは、フィルムの延伸開始位置がほぼ一
定でバブルの揺れがほとんどなく連続安定性が良好な状
態であり、かつ出来上がったフィルムの厚み斑が±10
%以内であることを指す。また、フィルムの厚み斑はダ
イヤルゲージを用いてフィルムの全幅(ヨコ)方向に、
等間隔で最低25点、およびタテ方向に5cm間隔で最
低25点、合計50点以上の厚みを測定し、まずその平
均値を算出し、つぎに、最大値と最小値の差の1/2の
値を、先に算出した平均値に対する百分率で表し、これ
に±の符号をつけて表示したものである。また各条件に
おけるドラフト比は、前述の(1)と同様の方法で求め
た。そして、ドラフト比が1づつ変化するように、原反
の引き取り速度を変化させて、フィルム延伸用の原反を
製膜した。これら原反を加熱、延伸したとき、延伸製膜
が安定な状態である最小のドラフト比を原反安定製膜可
能なドラフト比の最小値(L)とした。 (3)引き裂き強度 JIS−P−8116に準じて、軽荷重引き裂き試験機
(東洋精機製)を用いて測定した。値は、タテ方向とヨ
コ方向の引き裂き強度の平均値とした。必要充分な引き
裂き強度は13g以上である。
【0048】(4)突き刺し強度 農林規格第10条に準じて、フィルムを内寸法で125
mm×125mmの木枠に固定し、その中心部に直径
1.0mm、先端形状0.5mmRの針を50±5mm
/分の速度で突き刺し、針が貫通するまでの最大荷重を
測定し、その値を突き刺し強度とした。必要充分な突き
刺し強度は400g以上である。 (5)底シール温度範囲 内部底部に100gの金属板を貼りつけた一般市販のP
P製トレー(概略寸法;タテ150mm、ヨコ115m
m、高さ23mm)のタテ方向に沿って、フィルムを筒
状に折り曲げ、このフィルムで両端のフィルムがダブつ
かずにトレー底部で約半分の面積が2枚重ねになるよう
にトレーを包み込み、続いてトレーのヨコ方向に沿って
折り曲げられないで残つているフィルムの両端をダブつ
かないように折り曲げ、トレー底部で重ね合させた。こ
の時、トレー底部では3枚、5枚重ねの部分ができてい
る。このように準備したトレーを、各温度に調整された
熱板上に2秒間載せて底シールを行った。フィルムのシ
ールされた端部を軽く引っ張って剥離しない温度を下限
として、一ヶ所でもフィルムが溶融して穴が開いたり、
商品性を喪失させる程度の白化が生じたり、フィルムが
収縮してシールそのものが困難になるまでの温度を上限
として、この下限と上限との範囲を底シール温度範囲と
した。必要充分な底シール温度範囲は35℃以上であ
る。
【0049】(6)変形回復性 中がくりぬかれた貫通状態の外寸法が180×180m
mの木枠をフィルム支持台とし、該支持台の中心部に外
寸法が82×82mmの升状の木型を該支持台の各辺が
平行を保たれるようにして、該支持台の下側から該支持
台上面より15mm上に突き出させ、この状態でフィル
ムを該升状の木型に上から覆い被せ、このフイルムの端
をフィルム支持台のへりに両面テープで固定した。この
際、フィルムの張りは最小限で、かつタルミが生じない
ように注意深く固定した。ついでこの状態のままで90
℃の熱風トンネルを3秒間通過させ、フィルムをシュリ
ンクさせた。トンネル通過後、室温(約23℃)で約3
分放置後にフィルム支持台から升状の木型を下側へ抜き
取り、その1分後に該支持台に固定されているフィルム
の表面の状態を観察した。タルミやシワまたは局部的な
凹みがほとんどなく商品性に優れるものを◎、タルミや
シワ、または局部的な凹みがわずかに認められるが商品
性に問題のないものを○、明らかにタルミやシワ、局部
的な凹みが残っており、商品性に問題のあるものを×と
し、○と×の中間レベルのものを△とした。 (7)収縮後HAZE 底シール性の評価で得た包装体のトレー上のフィルムを
切り出し、ASTM−D−1003−52に準じて測定
した。必要充分なHAZEは1.5%以下である。
【0050】
【実施例1〜13】(1)フィルムの安定生産可能なド
ラフト比の範囲 フィルムの安定生産可能なドラフト比すなわち同一のダ
イで生産可能なフィルムの厚み比の範囲を下記の実験よ
り求めた。その結果を表4に示す。まず、原反安定製膜
可能なドラフト比の最大値(H)と層構成との関係につ
いての実験を行った。表2に示したNo.1〜13(実
施例1〜13)の層構成になるように、押出機3台と環
状5層ダイ(直径150mmφ、スリット間隙2.0m
m)を用いて押し出した後、冷水にて急冷固化して折り
幅190mmのチューブ状の延伸用原反を作成した。こ
の際、表層(A)および内層(B)には、ジグリセリン
モノラウレート33重量%とグリセリンモノラウレート
67%の混合物を、各層に対し2重量%各々含有させ
た。このとき、原反の引き取り速度を変化させ、安定し
て製膜出来るドラフト比の最大値を求めた。その結果を
表4に示す。本発明の構成要件を満たす実施例1〜13
は全て、安定して製膜出来るドラフト比の最大値が25
以上と、ドラフト比が大きくても安定して延伸用原反を
製膜出来た。
【0051】次いで、フィルムを安定して延伸製膜可能
なドラフト比の最小値(L)と層構成との関係について
の実験を行った。同様に表2に示したNo.1〜13
(実施例1〜13)の層構成になるように、押出機3台
と環状5層ダイを用いて押し出した後、冷水にて急冷固
化して折り幅190mm、厚み約150〜300μmの
各層とも均一な厚み精度のチューブ状の延伸用原反を作
成した。その際、所定のドラフト比になるように、必要
に応じダイ出口部の流路の間隙を調整するため金型を交
換した。ついで、この原反を2対の差動ニップロール間
に通し、加熱ゾーンで80℃を中心に、上下最大で約4
0℃の温度幅で、加熱条件を種々変更し、各条件で加熱
された原反を、延伸ゾーンで内部に空気を圧入してバブ
ルを形成させて連続延伸を行い、冷却ゾーンで18℃の
冷風を吹きつけて、延伸倍率でタテ4.0倍、ヨコ4.
5倍に同時二軸延伸し厚み約8〜16μmのフィルムを
得た。その際のフィルムの延伸製膜安定性を評価した。
この評価結果を表4に示す。本発明の構成要件を満たす
実施例1〜13は全て、安定して延伸製膜出来るドラフ
ト比の最小値が4とドラフト比が小さくても安定してフ
ィルムを延伸製膜出来た。
【0052】従って実施例1〜13は、原反安定製膜可
能なドラフト比の最大値(H)とフィルムを安定して延
伸製膜可能なドラフト比の最小値(L)の比(H)/
(L)は全て6以上と大きく、同一のダイで生産可能な
厚み範囲が大きいものであった。 (2)フィルム物性の評価 つぎに、得られたフィルムの物性を上述の方法で評価し
た。その結果を表5に示す。表2に示したNo.1〜1
3(実施例1〜13)の層構成になるように、押出機3
台と環状5層ダイを用いて押し出した後、冷水にて急冷
固化して折り幅190mm、厚み約180μmの各層と
も均一な厚み精度のチューブ状原反を作成した。その際
のドラフト比は12である。ついで、この原反を2対の
差動ニップロール間に通し、加熱ゾーンで最も安定と判
断される条件に加熱したあと、延伸ゾーンで内部に空気
を圧入してバブルを形成させて連続延伸を行い、冷却ゾ
ーンで18℃の冷風を吹きつけて、延伸倍率でタテ4.
0倍、ヨコ4.5倍に同時二軸延伸したのち、このフィ
ルムをさらに2対の差動ニップロール間に通し、60℃
に加熱しながら、フィルムのヨコ方向を10%収縮させ
ながら熱固定し、厚み約11μmのフィルムを得た。
【0053】このフィルムの物性を上述の方法で評価し
た。その結果を表5に示す。表5より明らかなように、
本発明の構成要件を満たす実施例1〜13(No.1〜
13)は全て、引き裂き強度は15g以上、突き刺し強
度は450g以上と大きく機械的強度に優れ、底シール
温度範囲は40℃以上あって底シール性にも優れてお
り、包装体の変形回復性も良好で、収縮後のHAZEも
1.3%以下と透明性に優れたフィルムであった。
【0054】
【比較例1〜5】(1)フィルムの安定生産可能なドラ
フト比の範囲 フィルムの安定生産可能なドラフト比すなわち同一のダ
イで生産可能なフィルムの厚み比の範囲を下記の実験よ
り求めた。その結果を表4に示す。まず、原反安定製膜
可能なドラフト比の最大値(H)と層構成との関係につ
いての実験を行った。
【0055】表3に示したNo.14〜18(比較例1
〜5)の層構成になるように、押出機3台と環状5層ダ
イ(直径150mmφ、スリット間隙2.0mm)を用
いて押し出した後、冷水にて急冷固化して折り幅190
mmのチューブ状原反を作成した。この際、表層(A)
および内層(B)には、ジグリセリンモノラウレート3
3重量%とグリセリンモノラウレート67%の混合物
を、各層に対し2重量%各々含有させた。このとき、原
反の引き取り速度を変化させ、安定して製膜出来るドラ
フト比の最大値を求めた。その結果を表4に示す。比較
例1、および比較例3〜7は全て、安定して製膜出来る
ドラフト比の最大値が25以上と、ドラフト比が大きく
ても安定してフィルム原反を製膜出来た。これに対し、
内層(B)に高圧法低密度ポリエチレンを含まない比較
例2は、安定して製膜出来るドラフト比の最大値が12
と小さいドラフト比でしか安定してフィルム原反を製膜
出来なかった。
【0056】次いで、フィルムを安定して延伸製膜可能
なドラフト比の最小値(L)と層構成との関係について
の実験を行った。同様に表3に示したNo.14〜18
(比較例1〜5)の層構成になるように、押出機3台と
環状5層ダイを用いて押し出した後、冷水にて急冷固化
して折り幅190mm、厚み約150〜300μmの各
層とも均一な厚み精度のチューブ状原反を作成した。そ
の際、所定のドラフト比になるように、必要に応じダイ
出口部の流路の間隙を調整するため金型を交換した。つ
いで、この原反を2対の差動ニップロール間に通し、加
熱ゾーンで80℃を中心に、上下最大で約40℃の温度
幅で、加熱条件を種々変更し、各条件で加熱された原反
を、延伸ゾーンで内部に空気を圧入してバブルを形成さ
せて連続延伸を行い、冷却ゾーンで18℃の冷風を吹き
つけて、延伸倍率でタテ4.0倍、ヨコ4.5倍に同時
二軸延伸し厚み約8〜16μmのフィルムを得た。その
際のフィルムの延伸製膜安定性を評価した。この評価結
果を表4に示す。比較例1、5は、いずれも安定して延
伸製膜出来るドラフト比の最小値が5とドラフト比が小
さくても安定してフィルムを延伸製膜出来た。
【0057】これに対し、内層(B)のエチレンα−オ
レフィン共重合体のMFRが7と本発明の構成要件の範
囲よりも大きい比較例3は、どのドラフト比でも延伸状
態が不安定で、バブルの揺れが大きく、またバブルが直
ぐに破裂して連続製膜出来なかった。また、出来上がっ
たフィルムの厚み斑も±30%以上と大きいものであっ
た。また、内層(B)のエチレンα−オレフィン共重合
体の密度が0.937と本発明の構成要件の範囲よりも
大きい比較例4は、どのドラフト比でも延伸状態が不安
定で、バブルの揺れが大きく、また出来上がったフィル
ムの厚み斑も±20%程度と比較的大きいものであっ
た。また、内層(B)に高圧法低密度ポリエチレンを含
まない比較例2は、安定して延伸製膜出来るドラフト比
の最小値が6と、やや大きなドラフト比でしか安定して
フィルムを延伸製膜出来なかった。
【0058】従って比較例1、5は、原反安定製膜可能
なドラフト比の最大値(H)とフィルムを安定して延伸
製膜可能なドラフト比の最小値(L)の比(H)/
(L)は全て5以上と大きく、同一のダイで生産可能な
厚み範囲が大きいものであった。これに対し、比較例
3、4は延伸が不安定で実用に耐えるフィルムが得られ
なかった。また比較例2は(H)/(L)が2.0と小
さいものであった。比較例7も(H)/(L)が3.1
とやや小さいものであった。 (2)フィルム物性の評価 つぎに、得られたフィルムの物性を上述の方法で評価し
た。ただし、延伸が不安定で実用に耐えるフィルムが得
られなかった比較例3、4および(H)/(L)が3以
下の比較例2は、評価しなかった。その結果を表5に示
す。
【0059】表3に示したNo.14、18(比較例
1、5)の層構成になるように、押出機3台と環状5層
ダイを用いて押し出した後、冷水にて急冷固化して折り
幅190mm、厚み約180μmの各層とも均一な厚み
精度のチューブ状原反を作成した。その際のドラフト比
は12である。ついで、この原反を2対の差動ニップロ
ール間に通し、加熱ゾーンで最も安定と判断される条件
に加熱したあと、延伸ゾーンで内部に空気を圧入してバ
ブルを形成させて連続延伸を行い、冷却ゾーンで18℃
の冷風を吹きつけて、延伸倍率でタテ4.0倍、ヨコ
4.5倍に同時二軸延伸したのち、このフィルムをさら
に2対の差動ニップロール間に通し、60℃に加熱しな
がら、フィルムのヨコ方向を10%収縮させながら熱固
定し、厚み約11μmのフィルムを得た。
【0060】このフィルムの物性を上述の方法で評価し
た。その結果を表5に示す。評価したフィルムは全て収
縮後のHAZEが1.5%以下と透明性には優れたフィ
ルムであった。しかし、内層(B)の高圧法低密度ポリ
エチレンの含有量が30%と大きい比較例1(No.1
4)は、引き裂き強度が6g、突き刺し強度が310g
と小さく機械的強度が不十分で、包装体の変形回復性も
劣ったフィルムであった。また、表層(A)のエチレン
α−オレフィン共重合体の融点が124℃と本発明の構
成要件の範囲よりも高く、更に密度が0.917と本発
明の構成要件の好ましい範囲よりも大きい比較例5(N
o.18)は、底シール温度範囲が15℃と底シール性
に劣ったフィルムであった。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】
【表4】
【0065】
【表5】
【0066】
【発明の効果】本発明は上述の構成を有することによっ
て、特開平8ー80565号公報の熱収縮包装用フィル
ムが有する優れた性能を維持しつつ、同一のダイで生産
できる厚みの範囲の広い優れた多層フィルムを提供する
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29K 23:00 B29L 9:00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 120℃以下の融点を有するポリオレフ
    ィン系樹脂の表層(A)と、内層としてエチレンα−オ
    レフィン共重合体層(B)、及びポリプロピレン系樹脂
    層(C)をそれぞれ少なくとも1層有する、少なくとも
    4層からなる多層フィルムにおいて、該層(B)がエチ
    レンα−オレフィン共重合体と高圧法低密度ポリエチレ
    ン25〜15重量%を混合したものであり、該エチレン
    α−オレフィン共重合体は密度が0.860〜0.93
    5g/cm3 であって、190℃、荷重2.16kgf
    におけるメルトフローレートが0.2〜5.0g/10
    分であり、該高圧法低密度ポリエチレンは190℃、荷
    重2.16kgfにおけるメルトフローレートが0.1
    〜5.0g/10分であり、かつ該エチレンα−オレフ
    ィン共重合体と該高圧法低密度ポリエチレンとの混合
    比が75:25〜95:5であることを特徴とする多
    層シュリンクフィルム。
  2. 【請求項2】 上記層(A)のポリオレフィン系樹脂
    が、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−脂肪族
    不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カ
    ルボン酸エステル共重合体、密度が0.860〜0.9
    15g/cm3であるエチレンα−オレフィン共重合体
    からなる群より選ばれる少なくとも1種の共重合体であ
    り、上記層(C)がポリプロピレン系樹脂50〜90重
    量%と軟質ポリオレフィン系樹脂10〜50重量%を混
    合したものであり、軟質ポリオレフィン系樹脂の示差走
    査型熱量計(DSC)測定による100℃以上の結晶融
    解熱量が60J/g以下である請求項1記載の多層シュ
    リンクフィルム。
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