JP6967871B2 - 液体包装用積層体 - Google Patents
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Description
〔1〕 下記のエチレン・α−オレフィン共重合体(X)を含む中間層(B)とシーラント層(C)とが少なくとも一部で接触していることを特徴とする積層体:
前記エチレン・α−オレフィン共重合体(X)は、下記(x1)〜(x3)の特性を有するエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンの共重合体;
(x1)190℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR2.16)が1〜50g/10分であり、
(x2)密度が900〜925kg/m3であり、
(x3)DSC測定により求められる融解ピークの、120℃以上の融解熱量が10J/g以上である。
〔2〕 前記中間層(B)に、さらに、基材層(A)が少なくとも一部で接触しており、
前記シーラント層(C)が、下記要件(y1)〜(y2)を満たす、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンの共重合体であるエチレン・α−オレフィン共重合体(Y)を含むことを特徴とする〔1〕に記載の積層体:
(y1)190℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR2.16)が1〜50g/10分であり、
(y2)密度が880〜920kg/m3である。
〔3〕 前記基材層(A)が、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン系樹脂またはそれらの延伸物、金属箔、無機酸化物蒸着フィルム、紙、及び不織布から選ばれる少なくとも1種を基材として含むことを特徴とする〔2〕に記載の積層体。
〔4〕 前記基材層(A)が、その少なくとも一部に、ポリウレタン、イソシアネート化合物、ポリエステルまたはポリオールとイソシアネート化合物との混合物および反応生成物から選ばれる1種以上の接着剤を基材に積層して含有していることを特徴とする、〔2〕又は〔3〕に記載の積層体。
〔5〕 上記積層体を包装材料として用いた液体包装袋。
ところが、中間層樹脂をシーラント層樹脂の融点よりも高く、融点分布の狭い樹脂を使用する場合、中間層自体の樹脂密度が高くなってしまい、剛性が高すぎて充填時のシワや、半折部のシール不良につながってしまうため充填不良が発生する。
そこで、中間層として使用しているポリエチレン系樹脂を融点分布の広い樹脂にすることで、中間層樹脂の剛性をあまり上げずに中間層部分の吸熱量を減少させシーラント層への伝熱量を増やすことが可能となる。
本発明において、積層体とは中間層(B)とシーラント層(C)を最小の必須構成単位として含み、さらに基材層(A)をシーラント層(C)が形成される面と反対の面の中間層(B)上に積層することで、多層包装フィルムを構成できるものである。以下、実施形態例として多層包装フィルムからなる包装材料について説明するが、本発明の積層体は多層包装フィルムのみに限定されるものではない。
本実施形態の包装材料は、少なくとも基材層(A)、中間層(B)の積層体あるいはさらにシーラント層(C)を積層した多層包装フィルムである。中間層(B)は基材層(A)とシーラント層(C)の間に全て形成されていてもよく、袋状とする場合にヒートシールする部分近傍の一部に形成されていてもよい。
本実施形態において、基材層(A)を構成する基材とは包装材料の一外面となる比較的大きな剛性、強度を有する材料である。具体的には、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、アクリル系樹脂等の熱可塑性樹脂またはそれらの延伸物、無機酸化物蒸着フィルム、金属蒸着フィルムセラミック蒸着フィルム又は金属箔、紙、不織布さらにこれらの積層体から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
中間層(B)は、下記(x1)〜(x3)の特性を有するエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンの共重合体(エチレン・α−オレフィン共重合体(X)又は共重合体(X)という)を含む。
(x1)190℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR2.16)が1〜50g/10分であり、
(x2)密度が900〜925kg/m3であり、
(x3)DSC測定により求められる融解ピークの、120℃以上の融解熱量が10J/g以上である。
シーラント層(C)は、従来公知のシーラント層を用いることができるが、下記要件(y1)〜(y2)を満たす、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンの共重合体であるエチレン・α−オレフィン共重合体(Y)を使用することが好ましい。
(y1)190℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR2.16)が1〜50g/10分であり、
(y2)密度が880〜920kg/m3である。
なお、より低温でのヒートシール性を考慮すると、シーラント層(C)を構成するエチレン・α−オレフィン共重合体(Y)は、中間層(B)を構成するエチレン・α−オレフィン共重合体(X)よりも低い融点を有することが好ましい。
本発明では、前記基材層(A)に、前記中間層(B)を、溶融状態で接触させることで積層体を形成することで、基材層(A)と中間層(B)との接着性に優れた積層体を得ることができる。溶融状態で前記中間層(B)を接触させるには、基材に中間層を溶融押出成形することにより行うことができる。また、多層包装フィルムとする場合、前記中間層およびシーラント層に使用される樹脂組成物を別々に、あるいは同時に溶融押出して成形して製造することができる。
本発明の包装材料は、液体又は粘体を充填する液体包装袋として特に有用であり、上記の基材層(A)/中間層(B)/シーラント層(C)の順に積層された積層体(多層包装フィルム)の1片もしくは2片を常法のヒートシール機で、二方シール、三方シールまたは四方シールして袋状としたものである。袋の形状としては、一般的には矩形であるが、任意の形状とすることができる。
表1に示すエチレン-αオレフィン共重合体を用意した。
<液体包装袋の成膜方法>
積層体フィルムは押出ラミネート加工法により作成した。口径60mmφの押出機のTダイスから押し出される樹脂の温度が295℃になるように設定した押出しラミネート装置を用い製膜を行った。冷却ロール表面温度30℃、ダイス幅500mm、ダイリップ開度0.9mmで加工を行い、加工速度が80m/分の場合に被覆厚みが25μmになるように押出量を調整した。これを、幅500mm、厚み15μmの二軸延伸ナイロンフィルム(東洋紡製、「ハーデン(登録商標) ONY#15」)上に、ポリウレタン系アンカーコート剤(三井化学製、ポリオール成分:「タケラック(登録商標)A−3210」、イソシアネート成分:「タケネート(登録商標)A−3075」)をグラビアロールにて塗工し、そこへラミネート部にてオゾン吹きつけを行いながら中間層材料としてPE−1を、引き取り速度80m/分、被覆厚み25μmで押出しラミネート加工を行った。さらにこの上に同じ押出ラミネート装置を用い、株式会社プライムポリマー製 商品名「エボリューP SP05156C」(MFR:12g/10分、密度:904kg/m3)を押出樹脂温度295℃、引き取り速度80m/分、被覆厚み25μmで押出ラミネート加工を行い、積層を行った。加工後の積層フィルムを40℃のオーブン内にて24時間のエージングを行い、その後幅150mmにスリットすることで評価用の包装フィルムを得た。
中間層樹脂の物性及び、得られた包装フィルムについて液体充填適性を評価した。結果を表2に示す。
中間層樹脂として、PE−1とPE−2を50:50の質量比で使用した以外は、実施例1と同様にブレンド樹脂の物性及び、得られた包装フィルムについて液体充填適性を評価した。結果を表2に示す。
中間層樹脂として、それぞれ、PE−3,PE−4を使用した以外は、実施例1と同様にブレンド樹脂の物性及び、得られた包装フィルムについて液体充填適性を評価した。結果を表2に示す。
JIS K7210−1に準拠し、190℃、2.16kg荷重の条件下で測定した。
JIS K7112に準拠し、MFR測定時に得られるストランドを100℃で1時間熱処理し、更に室温で1時間放置した後に密度勾配管法で測定した。
結晶融点はJIS K7121に従って、示差走査熱量計(DSC、パーキンエルマー社製(Diamond DSC))を用いて下記測定条件にて測定を行うことにより求めることができる。なお、下記測定条件で測定を行った際の、第3stepにおける吸熱ピークの頂点を結晶融点(Tm)と定義した。吸熱ピークが複数ある場合はピークの高さが最大となる吸熱ピーク頂点を結晶融点(Tm)と定義する。
(測定条件)
測定環境:窒素ガス雰囲気
サンプル量 : 5mg
サンプル形状 : プレスフィルム(230℃成形、厚み400μm)
サンプルパン : 底が平面のアルミ製サンプルパン
第1step : 0℃より10℃/minで200℃まで昇温し、10min間保持する。
第2step : 10℃/minで0℃まで降温する。
第3step : 10℃/minで200℃まで昇温する。
<融解熱量の測定方法について>
それぞれの融解熱量曲線における135℃から160℃の領域にてベースラインを引き、融解熱量曲線からそのベースラインの値を引いて残りの面積を融解熱量とする。
融解ピークの全融解熱量を融解熱量A、120℃以上における融解熱量を融解熱量Bとし、B/A比を求めた。
高速自動充填包装機(大成ラミック株式会社製 DANGAN TYPE−III)を用いて、次の条件で液体を充填し、液体充填小袋を得た。
シール温度:(縦)190℃、(横)140〜185℃の範囲で5℃刻み
包装形態:三方シール
袋寸法:幅75mm×縦85mmピッチ
充填物:23℃の水
充填量:約24cc
充填速度:25m/分
得られた液体充填小袋の横シール部の外観観察および耐圧試験を行い、以下の基準で評価した。
横シール部が発泡し始める最低温度で評価した。発泡開始温度は高い方が望ましい。
○:大きなポリ溜りや発泡の発生なし
△:シール部液漏れあり
×:大きなポリ溜りや発泡多い
[耐圧テスト条件:低温充填適性(最低耐圧温度)の判定基準]
耐圧テスター(小松製作所製)にて充填後の袋に100kgの荷重を1分間掛け、耐圧試験を行い、破袋、又は水洩れの発生しない最低温度で評価した。最低耐圧温度は低い方が望ましい。
○:耐圧100kg、1分間問題なし
△:半折部より液漏れあり
×:横シールの後退発生
Claims (5)
- 下記のエチレン・α−オレフィン共重合体(X)を含む中間層(B)とシーラント層(C)とが少なくとも一部で接触していることを特徴とする積層体:
前記エチレン・α−オレフィン共重合体(X)は、下記(x1)〜(x3)の特性を有するエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンの共重合体;
(x1)190℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR2.16)が1〜50g/10分であり、
(x2)密度が900〜925kg/m3であり、
(x3)下記条件でDSC測定による結晶融点(Tm)の吸熱ピークを含む融解熱量曲線から求められる、120℃以上の融解熱量が10J/g以上である。
(測定条件)
測定環境 :窒素ガス雰囲気
サンプル量 :5mg
サンプル形状:プレスフィルム(230℃成形、厚み400μm)
サンプルパン:底が平面のアルミ製サンプルパン
第1step:0℃より10℃/minで200℃まで昇温し、10min間保持する。
第2step:10℃/minで0℃まで降温する。
第3step:10℃/minで200℃まで昇温する。
上記測定条件で測定を行った際の、第3stepにおける吸熱ピークの頂点を結晶融点(Tm)と定義し、吸熱ピークが複数ある場合はピークの高さが最大となる吸熱ピーク頂点を結晶融点(Tm)と定義する。前記融解熱量は、それぞれの融解熱量曲線における135℃から160℃の領域にてベースラインを引き、融解熱量曲線からそのベースラインの値を引いて残りの面積を融解熱量とする。 - 前記中間層(B)に、さらに、基材層(A)が少なくとも一部で接触しており、
前記シーラント層(C)が、下記要件(y1)〜(y2)を満たす、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンの共重合体であるエチレン・α−オレフィン共重合体(Y)を含むことを特徴とする請求項1に記載の積層体:
(y1)190℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR2.16)が1〜50g/10分であり、
(y2)密度が880〜920kg/m3である。 - 前記基材層(A)が、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン系樹脂またはそれらの延伸物、金属箔、無機酸化物蒸着フィルム、紙、及び不織布から選ばれる少なくとも1種を基材として含むことを特徴とする請求項2に記載の積層体。
- 前記基材層(A)が、その少なくとも一部に、ポリウレタン、イソシアネート化合物、ポリエステルまたはポリオールとイソシアネート化合物との混合物および反応生成物から選ばれる1種以上の接着剤を基材に積層して含有していることを特徴とする、請求項2又は3に記載の積層体。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の積層体を包装材料として用いた液体包装袋。
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