JP3497476B2 - 中抜き屠体のハービング方法とその装置 - Google Patents

中抜き屠体のハービング方法とその装置

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    • AHUMAN NECESSITIES
    • A22BUTCHERING; MEAT TREATMENT; PROCESSING POULTRY OR FISH
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食鳥等の中抜き屠
体の懸吊状態での前半身と後半身とに分離するための中
抜き屠体のハービング方法とその装置に関する
【0002】
【従来の技術】前記食鳥中抜き屠体ハービング法として
は、例えば特開平5−15299号公報に開示されてい
る、屠殺されている家禽の前上半身と下半身とに分離す
る方法は、図6に見るように、コンベア52中に脚部5
3でぶら下っている屠体が、脚部53及び背中の一部を
含む下半身50と、肋骨を含む胸部54と背中の残りの
部分を含む上半身55とに、横に分割する方法であっ
て、a、脚部53が搬送方向Aから見て屠体の残りの上
半身55より先行するように搬送方向に対して前記上半
身55を斜め後方の位置に置く段階、b、本質的に下方
に向けられた力を上半身55の両側に加えて脚部53に
対して下方に倒し、横分割の作業が行なわれる平面を腿
51より下、胸部54より上にする段階、c、家禽屠体
50をコンベア52から下がっている下半身50と上半
身55とに分割する段階、前記a、b、cの段階を経て
分割行なうようにしてあって、前記段階aはガイド手段
56を介して行なうようにし、段階bにより切断位置の
位置決めが行なわれ、段階cで水平カッタ90で分割を
行なうようにしたものである。
【0003】前記上半身55と下半身50とを分割する
方法においては、前記ガイド手段56を使用して上半身
と下半身を分離しようとするため、下記問題を内蔵して
いる。1、下半身と上半身を分割するカットスペースを
胸肉のヤゲン部分と腿肉との間に作るためには、下半身
と上半身とにそれぞれ相反する方向に力が掛かるような
ガイド、またはそれに相当する装置を設ける必要があ
る。2、前記第1項目の作業が行なわれても、確実にカ
ットスペースが形成されるとは限らずヤゲン部分を切断
する問題がある。3、則ち、前記第1項記載のガイドは
カットするための前準備として中抜き屠体の上下半身が
相反する方向に動くようなガイドが必要である。
【0004】また、従来より行なわれている下半身ワー
クのレッグプロセッサには、例えば特公平7−9386
1号公報記載の発明がある。前記公報の記載によれば、
図7(A)に示すように、下半身屠体50の腹側50b
を上にして頭部側50cを先頭に装置内に導入し、歯付
きコンベア57の歯部57aでワークを保持して移動さ
せる間に丸刃58で背側50aに縦筋入りを行なう。つ
いで図7(A)、(B)に示すように、第1固定ガイド
59を両股の間に挿入し歯付きコンベア57との間で上
下動、横ずれを防止したなかで、第1ナイフ59aで大
腿骨付け根に切り込み(内股筋入れ)を入れ、更に大腿
骨付け根の腱を第2ナイフ60で切断している。つい
で、図8に示す後段に移行し、図の(A)に示すように
坐骨61は反転ガイド63により反転され頭部側50c
が進行方向に対し後尾に回され、大腿骨頭部で捻られた
ままで進行する。前記反転により大腿骨62aは挫骨6
1から脱臼し(関節外し)、図の(B)に示すように坐
骨61と腿肉62を分離させている。
【0005】前記腿肉引き剥がし装置においては、坐骨
と腿肉との間の股関節屈折区域の結合組織の切断の場
合、ガイド等による坐骨内側への型嵌がない。そのた
め、坐骨部分の湾曲形状は中抜き屠体のワークのサイ
ズ、形により異なるがこれらの形状差異に対する別段の
考慮を払う事無く第1ナイフによる腿肉付け根の切り込
みを入れるだけで終始している。また、腰骨と腿を分離
させるため脚部の主要な腱(関節筋)の切断は第2ナイ
フで行なっているが、それぞれの最も適当とする切断面
による切断は行なわれていない。そのため、股関節屈折
部区域の結合組織(坐骨の筋)と関節筋カットレベルの
異なるものを同一軌跡上での刃物に使用になり、坐骨部
位に多くの肉が残ることになり歩留まり低下の一因を形
成している。
【0006】また、従来の腿肉引き剥がし装置には、尻
皮カット(腰骨下端部周辺のカット)がないため、腿肉
を坐骨カット側から腸骨側に引き剥がす際、尻皮カット
部位の背脂が骨に残ることが多く、また、引き剥がしの
際の皮の突っ張りにより引き剥がされた後の腿肉のカッ
ト部分の皮が伸び薄くなるため、歩留まり低下の原因を
形成している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、食鳥等の中
抜き屠体を腿肉及び背中の一部を含む下半身と、肋骨を
含む胸部と背中の残りの部分を含む上半身とに分割する
場合、屠体の大小に関係なく脚部の懸吊搬送中の屠体に
対し、胸肉のヤゲン部分を切断することなく、股の付け
根付近より背側の腸骨端で切断するようにしたハービン
グ方法とその装置の提供を目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明の中抜き
屠体のハービング方法は、コンベアにより脚部を懸吊し
た食鶏等の中抜き屠体の搬送過程での前半身と後半身と
に分離する方法において、懸吊姿勢での胸肉のヤゲン部
位と腿肉との間の腹膜に切れ目を入れる腹膜カットを行
い、ついでガイドにより上半身を上方に起し脚部が胸部
に先行する傾斜姿勢を取らせ、腿肉付け根のくびれ部位
を左右両側より斜めに挟持して、屠体差に関係なく胸肉
と腿肉との間の前記腹膜切れ目より刃物を侵入させ、腿
の付け根部位より腸骨端までの切り込みにより上半身と
下半身とを分離するようにしたことを特徴とする。
【0009】これは、食鳥等の中抜き屠体の腿肉及び背
中の一部である腸骨の末端を含む下半身と、肋骨やヤゲ
ンを含む胸部と背中の残りの部分を含む上半身とに分割
する方法において、屠体の大小の差異の影響を受けるこ
となく、且つヤゲンガイドの付設によりヤゲンを破砕す
ることなく、腿付け根より前記腸骨の末端への切断面を
形成するようにしたものである。そのためには、先ず脚
部による懸吊状態にある屠体のワークに対し、腿付け根
より上の下腹部の腹膜に斜め下方に向け腹膜切れ目を入
れ、該切れ目とワークの腿肉付け根のくびれ部位を挟持
する斜め上向きガイドにより下記手順にしたがって前記
切断面を形成させるようにしてある。
【0010】即ち、上記腹膜切れ目による切断面の形成
は、下記のようにして行なう。前記切断面の形成には、
先ず、ガイドにより胸部を上側に起し、懸吊脚部が胸部
に先行して移動する傾斜姿勢を取らせる。ついで、腿肉
付け根のくびれ部位を左右両側より斜めに挟持して、露
出されたヤゲン部分にヤゲンガイドを侵入させ、ヤゲン
を拾い、水平カッタの下側に引っ張り込みながら前記腹
膜切れ目より水平カッタを挿入すると、該挿入により屠
体差に関係なく前記腿付け根より背中側の腸骨末端への
切断面をワークの大小の差異による影響を受ける事無く
設定でき、且つ前記切断面はその切り込み口が前記した
ようにヤゲンとの接触を防止する構成にしてあるため、
ヤゲンの破砕を発生することなくその砕片の肉部混入を
防止する。
【0011】また、前記請求項1記載の腹膜カットは、
懸吊姿勢をコンベア進行方向に対し横向き姿勢を採ら
せ、且つ二段ガイドにより脚部から腹部及び胸部に至る
線を鉛直状に保持させ、コンベア進行方向に正対させた
斜向カッタとコンベアの走行に伴う屠体の移動により斜
め下方向の切れ目を入れるようにするのがよい。
【0012】前記請求項2記載の発明は、請求項1記載
の腹膜カットについて記載したもので、腹膜カットをワ
ークをコンベア進行方向に対し横向き姿勢にを採らせ、
カッタはコンベア進行方向に正対させ且つ斜め下向きの
斜向カッタを用意するとともに、ワークの尻部と胸部に
当接させる上下二段のコンベア走行方向に平行のガイド
を設け、ワークの腿、腹部及び胸部表面が略鉛直線にな
る鉛直姿勢採らせ、前記斜向カッタをワークの腿付け根
とヤゲンとの間に腹膜切れ目を入れるようにしたもので
ある。
【0013】そして前記中抜き屠体のハービング方法を
使用した中抜き屠体のハービング装置は、コンベアによ
り脚部を懸吊した食鶏等の中抜き屠体の搬送の過程での
前半身と後半身とに分離するハービング装置において、
中抜き屠体のワークの脚部を懸吊して搬送するコンベア
ラインと、前記脚部を把持懸吊するとともに、コンベア
進行方向に対し正対より横向き姿勢に、横向きより正対
姿勢へと回動させそれぞれの回動停止位置で固定する、
回動機構及び停止固定機構とを持つ足首シャックルと、
前記ワークの横向き姿勢において腿肉より腹部、胸部に
掛け鉛直姿勢を採らせる二段ガイドと、前記鉛直姿勢の
胸肉のヤゲン部位と腿肉との間の腹膜部位より屠体背側
の腸骨末端部位にハービング切断面の腹膜切り込み部を
形成する斜向カッタと、よりなる腹膜切り込み機構と、
コンベアラインの走行方向に正対させたワークの腿肉付
け根のくびれ部位を斜めに挟持して前記腹膜切り込み部
より形成されるハービング切断面を水平に維持する後倒
姿勢をとらせるワーク進行方向に対し斜め上向きガイド
と、上半身末端を上方へ押し上げる押上プッシャと、前
記ハービング切断面形成用の水平カッタと、該カッタに
よる破砕を回避すべくヤゲンをガイドするヤゲンガイド
と、よりなるワーク切断機構とよりなるワーク切断機構
と、から構成されていることを特徴とする。
【0014】前記請求項3記載の発明によれば、ワーク
を懸吊搬送するコンベアラインと、ワークを懸吊しコン
ベア走行方向に対しワークを横向きまたは正対姿勢を採
らせるとともに、それぞれの位置に回動させる回動機構
と回動位置に停止固定させる停止固定機能を持つ足首シ
ャックルと、斜め上向きガイドと、腹膜切り込み機構
と、ワーク切断機構とより構成されており、前記腹膜切
り込み機構は、腿肉付け根のくびれ部位を挟持する斜め
上向きガイドとともに、ワーク切断の際の水平カッタに
よるヤゲンの破砕を防ぐために設けた補助手段で、ワー
ク切断機構により、ワークの腿肉付け根のくびれ部位を
挟持する斜め上向きガイドによりワーク大小の差異に左
右されることなく、ワーク切断の際の水平カッタの挿入
位置を決め、且つ付設したヤゲンガイドによりヤゲンを
破砕することなく、前記腹膜切れ目より腸骨末端に指向
ハービング切断面を形成するようにしてある。
【0015】また、前記請求項3記載の二段ガイドは、
尻部と胸部対応部位に設けたコンベアラインに平行の上
下二段のガイド、または前記コンベアラインと同一速度
で尻部と胸部を押圧走行する走行ベルトと、より構成
るのがよい
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図に示した実施例
を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載され
る構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特
に特定的記載が無い限り、この発明の範囲をそれのみに
限定する趣旨ではなく単なる説明例に過ぎない。図1は
本発明の中抜き屠体のハービング装置の概略構成を示す
図で、図2の(A)は図1の腹膜カット部の概略の構成
を示す図で、(B)はワーク切断部の概略の構成を示す
図で、図3は本発明のハービング装置の下流工程で使用
される屠体下半身の腿肉引き剥がし装置の概略の構成を
示す図で、図4は腰骨と腿肉との位置関係を示す概略図
で、図5は坐骨カットの状況を示す図である。
【0017】図1には、本発明である中抜き屠体のハー
ビング装置の概略構成が示してある。図に見るように、
本発明の中抜き屠体のハービング装置は、コンベアライ
ン20aと、腹膜カット部11と、90度反転部12と
ワーク切断部13とより構成する。足首シャックル14
を介してコンベアライン20aに懸吊した中抜き屠体1
0を矢印A方向に走行させ、腹膜カット部11より90
度反転部12へ移行させ、90度反転部12よりワーク
切断部13へ走行させる。前記腹膜カット部11では、
足首シャックル14に設けた回動機構により横向き姿勢
に回動させ、同じく内蔵する固定機構により前記横向き
位置に停止固定させ、コンベア走行方向に対し横向き姿
勢をとる中抜き屠体10に腹膜切り込み機構を介して腹
膜切り込み部15aを形成させる。ついで、90度反転
部12では、足首シャックル14に設けた回動機構によ
り中抜き屠体10の姿勢を横向き姿勢より回動させコン
ベア走行方向に対し正対姿勢を取らせた後固定機構によ
り正対姿勢を固持させる。ついで、ワーク切断部13で
は、前記正対姿勢を取り且つ後倒姿勢を取りつつ走行中
のワークに対し、水平カッタ16を前記腹膜切り込み部
15aより挿入して、後記する腿肉くびれ部位を挟持す
る斜め上向きガイドとヤゲンガイドとにより傾斜姿勢の
ワークを切断する構成にしてある。
【0018】図2(A)には、図1の腹膜カット部11
の腹膜切り込み機構による詳細な構成が示してある。図
に見るように、中抜き屠体10は足首シャックル14を
介してコンベアライン20aの進行方向に対し懸吊横向
き姿勢を固定させる。さらに、前記腹膜切り込み機構を
構成するコンベアラインに平行の二段上ガイド17aと
二段下ガイド17bとによりそれぞれ尻部10bと胸部
10aとを押圧し、腿肉10cと腹膜10dと胸部10
aとで鉛直姿勢をとらせた上、前記二段上下のガイドに
挟持させながら走行させる。そして、前記走行中の鉛直
姿勢の中抜き屠体10に対し、該屠体の腿付け根と胸骨
の先端のヤゲンとの間の腹膜に、コンベアライン20a
に正対させた前記腹膜切り込み機構の斜向カッタ15を
当接させ、腹膜切り込み部15aを形成させる。なお、
前記二段上下ガイド17a、17bは前記コンベアライ
ン20aに平行に走行するベルトラインで形成しても良
い。
【0019】図2(B)には、ワーク切断部13の詳細
な構成が示してある。図に見るように、中抜き屠体10
を足首シャックル14を介して前記正対姿勢で懸吊され
ている図示していないコンベアラインに二組みのコンベ
ア進行方向に対し斜め上向きガイド18a、18aと押
上プッシャ18bと、ヤゲンガイド19とを用意し、該
ガイド18a、18aに中抜き屠体10の腿肉付け根の
くびれ部分を挟持させ後倒姿勢を取らせ、水平カッタ1
6のカットラインを形成させるとともに、ヤゲンガイド
19を介して突出したヤゲンの先端部に挿入させ、前記
水平カッタと干渉を不可能とする下部に位置させる。そ
して、前記水平カッタ16を前記腹膜切り込み部15a
より斜め上向きガイドとヤゲンガイドの助けを借りて挿
入させ、ヤゲンを破砕することなくワークである中抜き
屠体10の切断を行なう。前記腹膜切り込み部15a
は、前記腹膜カット部11で腿肉付け根と胸骨の先端の
ヤゲンとの間に設ける構成にしてあり、且つ前記ヤゲン
ガイド19の助けにより、前記ワーク切断の際に惹起さ
れるヤゲンを破砕したり、その破砕片の肉部混入を完全
に防止できるようにしてある。
【0020】図3には本発明の中抜き屠体のハービング
装置の下流工程で使用される屠体下半身の腿肉引き剥が
し装置の概略の構成が示してある。図に見るように、屠
体下半身の腿肉引き剥がし装置は、矢印B方向に走行す
る歯付きコンベア20bと、該コンベアの下側走行ベル
ト20cの下部に平行に延設した下部平行ガイド板21
と、前記下側走行ベルト20cの両側より下流に向け斜
め下方に傾斜状に下降する傾斜ガイド31a、31aと
該傾斜ガイドに接続し前記下側走行ベルト20cに平行
する平行ガイド31b、31bとより形成した腿肉誘導
ガイドを形成する下降傾斜平行ガイド31、31と、前
記平行ガイド31b、31bの下部に前記下側走行ベル
ト20cの走行速度より大なる走行速度で矢印C方向に
走行する構成とした腿肉引き剥がしコンベア32と、よ
りワークの搬送ラインを構成する。前記搬送ラインの入
り口側より挿入部22、背筋入れ部23、坐骨カット部
24、股関節脱臼部25、関節筋切り部26、尻皮カッ
ト部27、腿肉引き剥がし部28の順に腿肉引き剥がし
処理手段を設ける構成にしてある。
【0021】ワークである屠体下半身10fの腰骨を挿
入部22より、頭を先に背を下側にして前記下側走行ベ
ルト20cと下部平行板21との間に挿入すれば、前記
屠体下半身10fの腰骨10eは下側走行ベルト20c
の走行につれ矢印B方向に移行し、移行の途中で背筋入
れ部23で筋入れカッタ30によりワークの背側の縦筋
入れを行なった後、坐骨カット部24で腿肉の結合組織
をカットする構成にしてある。そして、坐骨カット部2
4を経由後は腿肉10cは結合組織を切断させてフリー
の状態となり下部平行ガイド板21と傾斜ガイド31a
との間に垂れ下り、股関節脱臼部25に至り前記腿肉1
0cの股関節は前記傾斜ガイド31aにより脱臼し、そ
の後関節筋切り部26を経て、前記垂れ下った腿肉10
cの足首は走行する腿肉引き剥がしコンベア32のチャ
ック32aに補足把持される。補足された足首は腰骨1
0eの送り速度より速い速度で矢印C方向に掃引される
ため、尻皮部にテンションを与え、尻皮カット部27で
背脂と尻皮に容易に刃物での切り込みを可能にしてい
る。前記尻皮カット部27を経由する間に前記チャック
された足首は益々強く矢印C方向に引っ張られ腿肉10
cは腰骨10eより引き剥がされる構成にしてある。
【0022】図4は腰骨と腿肉との概略の位置関係を示
す図で、(A)は腰骨の上から見た斜視図、(B)は腰
骨の側面から見た斜視図である。図の(A)、(B)に
見るように腰骨は左右対称に形成され頭側に腸骨40、
40を有し、略中央部位に股関節の関節窩41、41を
備え、尻側の尾椎周辺部42cと左右に斜め傾斜湾曲面
を有する坐骨42a、42aとより形成されている。そ
して、左右の腿肉10c、10cは、左右の傾斜湾曲面
を形成する坐骨42a、42aと股関節屈折区域の結合
組織で結合されるとともに、腸骨40の略中央の両側面
に設けた関節窩41、41とに図示していない大腿骨頭
と関節筋群とにより結合されている。
【0023】上記構成を持つ腿肉10cを腰骨10eよ
り効率よく引き剥がすためには先ず坐骨部分の股関節屈
折区域の結合組織を坐骨曲面に沿って切断し、その後で
股関節の脱臼を行い、ついで関節窩と大腿骨頭を結ぶ筋
の切断をする必要がある。本発明においては、前記した
ように(図3参照)、先ず下側走行ベルト20cと下部
平行ガイド板21とにより形成された搬送ラインに、頭
側を先に背側を下にした腰骨10eと腿肉を含むワーク
である屠体下半身10fを導入し、該ワークを坐骨カッ
ト部24にまで走行させ到着したとき、ワークの走行は
停止せずに搬送したまま、搬送中に坐骨カットを行う。
該坐骨カットにより少なくとも股関節部位以外の他の部
位である坐骨部位においてはフリーの状態に置き、腿肉
10cは腰骨10eの下側に自重で回動して垂れ下り、
股関節の脱臼の初期の状況を形成する。その後傾斜ガイ
ド31aの助けをかりて股関節脱臼部25での脱臼を行
なうようにしてある。
【0024】前記坐骨カット部24における坐骨42
a、42aと腿肉10cとの間の股関節屈折区域の結合
組織の切断の状況は図5に示してある。図に見るよう
に、搬送中の坐骨42a、42aの内側傾斜面に向け逆
八の字開脚型傾斜ガイド29、29を下側走行ベルト2
0c側より矢印E方向に下降させ、坐骨内側に嵌入当接
して坐骨面を下部平行ガイド板21、21に押圧して坐
骨位置を設定固定する。ついで、前記逆八の字開脚型傾
斜ガイド29、29を基準面として摺動するカッタ24
a、24aにより前記股関節屈折区域の結合組織を高歩
留まりのもとに切断し坐骨部位に結合状態にあった腿肉
をフリーの状態に置く。
【0025】尻皮カット部27における左右腿肉の尾椎
周辺の腰骨背部と腿の接合する尾椎周辺部42cに揺動
するカッタを入れ腿肉の引き剥がしを容易にするととも
に、歩留まりの良い脂採集を可能にしている。
【0026】
【発明の効果】上記本発明により、胸肉のヤゲン部分の
切断を防止するとともに、常に腿の付け根部分で分離で
き、歩留まりの向上に貢献する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明である中抜き屠体のハービング装置の
概略構成を示す図である。
【図2】 (A)は図1の腹膜カット部の概略の構成を
示す図で、(B)はワーク切断部の概略の構成を示す図
である。
【図3】 本発明の中抜き屠体のハービング装置の下流
工程で用いる屠体下半身の腿肉引き剥がし装置の概略の
構成を示す図である。
【図4】 図3の腰骨と腿肉との概略の位置関係を示す
図で、(A)は腰骨の上から見た斜視図、(B)は腰骨
の側面から斜視図である。
【図5】 図3の坐骨カットの状況を示す図である。
【図6】 従来の食鶏屠体のハービング装置の概略の構
成を示す図である。
【図7】 屠体下半身の腿肉引き剥がし装置の従来例に
おいて、大腿骨付け根に切り口を入れる第1ナイフと、
大腿骨付け根の腱及び軟骨を切断する第二ナイフの作動
状況を示す図で、(A)は縦断面図で(B)は第一のナ
イフの作動状況を示す横断面図である。
【図8】 (A)は図7の股関節の脱臼の初期の状況を
示し、(B)は坐骨剥離の状況を示す図である。
【符号の説明】
10 中抜き屠体 10a 胸部 10b 尻部 10c 腿肉 10d 腹膜 10e 腰骨 10f 屠体下半身 11 腹膜カット部 12 90度反転部 13 ワーク切断部 14 足首シャックル 15 斜向カッタ 16 水平カッタ 17a 二段上ガイド 17b 二段下ガイド 18a 斜め上向きガイド 18b 押上プッシャ 19 ヤゲンガイド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−228022(JP,A) 特開 昭62−262941(JP,A) 特開 平4−237455(JP,A) 特開 平5−316934(JP,A) 特開 平10−150912(JP,A) 特開 平10−210925(JP,A) 特開2000−125754(JP,A) 特開2001−211818(JP,A) 特表2002−540776(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A22C 21/00 A22B 5/20

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンベアにより脚部を懸吊した食鶏等の
    中抜き屠体の搬送過程での前半身と後半身とに分離する
    方法において、 懸吊姿勢での胸肉のヤゲン部位と腿肉との間に腹膜切れ
    目を形成する腹膜カットを行い、ついでガイドにより上
    半身を上方に起し脚部が胸部に先行する傾斜姿勢を取ら
    せ、腿肉付け根のくびれ部位を左右両側より斜めに挟持
    して、胸肉と腿肉との間の前記腹部切れ目より刃物を侵
    入させ、腿の付け根部位より腸骨端までの切り込みによ
    り上半身と下半身とを分離するようにしたことを特徴と
    する中抜き屠体のハービング方法。
  2. 【請求項2】 前記腹膜カットは、懸吊姿勢をコンベア
    進行方向に対し横向き姿勢を採らせ、且つ二段ガイドに
    より脚部から腹部及び胸部に至る線を鉛直状に保持さ
    せ、コンベア進行方向に正対させた斜向カッタとコンベ
    アの走行に伴う屠体の移動により斜め下向の腹膜切れ目
    を入れるようにしたことを特徴とする請求項1記載の中
    抜き屠体のハービング方法。
  3. 【請求項3】 コンベアにより脚部を懸吊した食鶏等の
    中抜き屠体の搬送の過程での前半身と後半身とに分離す
    るハービング装置において、 中抜き屠体のワークの脚部を懸吊して搬送するコンベア
    ラインと、前記脚部を把持懸吊するとともに、コンベア
    進行方向に対し正対より横向き姿勢に、横向きより正対
    姿勢へと回動させそれぞれの回動停止位置で固定する、
    回動機構及び停止固定機構とを持つ足首シャックルと、 前記ワークの横向き姿勢において腿肉より腹部、胸部に
    掛け鉛直姿勢を採らせる二段ガイドと、前記鉛直姿勢の
    胸肉のヤゲン部位と腿肉との間の腹膜部位より屠体背側
    の腸骨末端部位にハービング切断面の腹膜切れ目を形成
    する斜向カッタと、よりなる腹膜切り込み機構と、 コンベアラインの走行方向に正対させたワークの腿肉付
    け根のくびれ部位を斜めに挟持して前記腹膜切り込み機
    構により形成されるハービング切断面を水平に維持する
    後倒姿勢をとらせるワーク進行方向に対し斜め上向きガ
    イドと、上半身末端を上方へ押し上げる押上プッシャ
    と、前記ハービング切断面形成用の水平カッタと、該カ
    ッタによる破砕を回避すべくヤゲンをガイドするヤゲン
    ガイドと、よりなるワーク切断機構と、から構成されて
    いることを特徴とする中抜き屠体のハービング装置。
  4. 【請求項4】 前記二段ガイドは、尻部と胸部対応部位
    に設けたコンベアラインに平行の上下二段のガイド、ま
    たは前記コンベアラインと同一速度で尻部と胸部を押圧
    走行する走行ベルトと、から構成されていることを特徴
    とする請求項3記載の中抜き屠体のハービング装置。
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