JP3496002B2 - 新規なポリヒドロキシアルカノエートを含有するバインダー樹脂、該バインダー樹脂を含むトナー;該トナーを用いた画像形成方法および画像形成装置 - Google Patents

新規なポリヒドロキシアルカノエートを含有するバインダー樹脂、該バインダー樹脂を含むトナー;該トナーを用いた画像形成方法および画像形成装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、静電荷像現像用ト
ナーに用い得るバインダー樹脂、静電荷像現像用トナ
ー、該トナーを使用する画像形成方法および該トナーを
使用する画像形成装置に関する。特には、予め静電潜像
担持体(以下、単に像担持体と呼ぶ)上にトナー像を形成
後、被転写材上に転写させて画像を形成する、複写機、
プリンター、ファックス等の電子写真、静電記録、静電
印刷に用いられるバインダー樹脂、静電荷像現像トナ
ー、画像形成方法および画像形成装置に関する。さらに
詳しくは、生分解性を有するとともに定着性(低温定着
性、定着温度、耐オフセット性)、耐ブロッキング性に
優れ、また、現在の脱墨システムをそのまま利用できる
加水分解性、生分解性を有する脱墨し易く、かつ廃棄物
処理の容易なバインダー樹脂、該バインダー樹脂を含ん
でなる静電荷像現像用トナー、画像形成方法および画像
形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真法としては多数の方法が
知られているが、一般的には、光導電性物質を利用し、
種々の手段によって像担持体(感光体)上に電気的潜像を
形成し、次いで該潜像をトナーで現像して可視像とし、
必要に応じて紙等の被転写材にトナー像を転写した後、
熱及び/または圧力等により被転写材上にトナー画像を
定着して複写物を得るものである。電気的潜像を可視化
する方法としては、カスケード現像法、磁気ブラシ現像
法、加圧現像方法等が知られている。さらには、磁性ト
ナーと中心に磁極を配した回転現像スリーブを用いて、
現像スリーブ上から感光体上へと磁性トナーを磁界にて
飛翔させる方法も用いられている。
【0003】静電潜像を現像する際に用いられる現像方
式には、トナーとキャリアとからなる二成分系現像剤を
使用する二成分現像方式と、キャリアを使用しないトナ
ーのみからなる一成分系現像剤を用いる一成分現像方式
とがある。
【0004】ここで、一般にトナーと称される着色微粒
子は、バインダー樹脂と着色材とを必須成分とし、その
他必要に応じ磁性粉等から構成されている。ここで、バ
インダー樹脂はトナーの大部分を占めており、そのため
バインダー樹脂の物性が、トナーの物性に大きく影響す
る。例えば、バインダー樹脂には微妙な硬度及び熱溶融
特性が要求され、着色剤等が分散されたバインダー樹脂
を粉砕・分級して得られるトナーは、現像器内の撹拌に
よる機械的衝撃に対して微粉を発生することなく、ま
た、トナー自体が凝集することなく良好な流動性を示す
ことが必要であり、また、定着時には低温で速やかに溶
融すること、そして溶融時に溶融トナーが凝集性を示す
ことが必要である。つまり、バインダー樹脂の物性を制
御することにより、トナーの物性を制御することが可能
である。
【0005】従来、バインダー樹脂としては、スチレン
-アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル樹脂、エ
ポキシ樹脂、オレフィン系樹脂等が使用されてきたが、
中でもポリエステル樹脂は溶融した際、カーボンブラッ
ク等のトナー用添加剤の分散や転写紙への濡れが良好
で、定着性にも優れているといった利点を有している等
の理由で現在加熱ロール定着用トナー用樹脂として幅広
く利用されている。
【0006】また、近年、環境保護の観点から、資源の
リサイクル、廃棄物の削減、廃棄物の安全性の向上等が
世界的に意識されている。このような課題は、電子写真
の分野においても例外ではない。すなわち、複写機やプ
リンターの広い普及にともない、紙面上の定着されたト
ナー、使用済みの廃トナー、印刷された紙等の廃棄量が
年ごとに増大している。ここで従来のトナーは、その構
成成分がいずれも安定な人工化合物であるが故に難分解
性であり、土中、水中などのあらゆる環境下において長
期間残存する場合がある。さらに、資源のリサイクルを
行っていくためには普通紙を再生、再利用することが重
要な課題のひとつであるが、従来のスチレン系を中心と
するバインダー樹脂では、アルカリ加水分解による脱墨
が困難であり、普通紙をリサイクルする際の課題のひと
つとなっている。また、地球環境の保全や人体に対する
影響の見地から、廃棄物の安全性も重要な課題である。
【0007】このような状況下において、人体に対して
無害であり、かつ微生物等の作用により分解可能な樹
脂、すなわち、生分解性樹脂の開発が進められており、
例えば、多くの微生物がポリエステル構造を有する生分
解性樹脂(ポリヒドロキシアルカノエート:以下略記する
場合はPHAと記載する。)を生産し、菌体内に蓄積す
ることが報告されている(「生分解性プラスチックハン
ドブック」、生分解性プラスチック研究会編、(株)エヌ
・ティー・エス発行、P 178-197、1995)。このような
PHAは、その生産に用いる微生物の種類や培地組成、
培養条件等により、様々な組成や構造のものとなり得る
ことが知られており、これまで主に、物性の改良という
観点から、産生されるPHAの組成や構造の制御に関す
る研究が行われてきている。このような生分解性樹脂の
利用については、医用材料の分野ではすでにかなりの実
績があり、また、農業分野でも、マルチファイル、園芸
資材、徐放性農薬、肥料等に実用化されており、さら
に、レジャー分野においても、釣り糸、釣り用品、ゴル
フ用品等に生分解性樹脂が用いられている。その他、日
用品の包装材料として、生活用品の容器等で実用化され
ている。しかしながら、プラスチックとしての幅広い応
用を考えた場合、物性的に未だ十分であるとは言えない
のが現状であり、例えば、PHAの利用範囲をさらに拡
大していくためには、物性の改良をより幅広く検討して
いくことが重要であり、そのためには、さらに多様な構
造のモノマーユニットを含むPHAの開発、探索が必須
である。
【0008】電子写真の分野においても、環境を汚染す
ることなく廃棄し得るトナーを実現する方法として、バ
インダー樹脂に生分解性樹脂を用いる方法が提案されて
いる。例えば、特開平6-289644 号公報には、少なくと
もバインダー樹脂が、植物系ワックスと、生分解性樹脂
(例えば、微生物生産のポリエステル、植物-または動物
-由来の天然高分子材料等)とを含有し、前記植物系ワッ
クスが、前記バインダー樹脂中に5〜 50 質量%の量で
添加されていることを特徴とする、特に熱ロール定着用
の電子写真用トナーが開示されている。また、特開平8
-262796 号公報には、バインダー樹脂及び着色剤を含む
電子写真用トナーであって、前記バインダー樹脂が生分
解性樹脂(例えば、脂肪族ポリエステル樹脂等)よりな
り、そして前記着色剤が非水溶性色素よりなることを特
徴とする電子写真用トナーが開示されている。さらに、
USP 5004664 にはポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロ
キシ吉草酸、これらの共重合体あるいはブレンド体をそ
の組成物としてなるトナーが開示されている。これらの
技術においては、バインダー樹脂が生分解性であるた
め、埋没による場合、土中でトナーは確かに分解され得
るが、トナーの耐久性が低い、さらには吸湿性が大きい
ため帯電が安定しないなど、バインダー樹脂としての本
質的な機能において課題があった。例えばPHBは、融
点 180 ℃、結晶化度 50 〜 70 %、ヤング率 3.5 GP
a、破壊伸び5%の性質をもった硬くて脆い材料であっ
て、トナーのバインダー樹脂として用いるには、実用
上、不十分である。
【0009】また、生分解性を有するとともに、アルカ
リ加水分解において効率よく分解され、そのため紙のリ
サイクルにも有用であるとして、ポリ乳酸系脂肪族ポリ
エステルを主成分とするトナーが提案されている。例え
ば特開平7-120975 号明細中には乳酸ホモポリマーをト
ナー化する方法が提案されており、その代表例として開
環重合法により得られたポリ乳酸があげられている。
【0010】開環重合法では、乳酸をいったん脱水反応
によりオリゴマー化し、これを解重合することにより環
状二量体のラクチドへと導き、さらにこれを開環重合す
るという手法がとられている。このような煩雑な工程を
たどるため、得られたポリ乳酸をトナー用樹脂として使
用するには非常に高価なものとなる。
【0011】また、その開環重合がカチオン開環重合で
あることから、使用する溶媒の無水化、重合停止剤とな
るイオン種の除去等が必要で、製造効率が悪い上に、ポ
リエステル製造時に使用可能なモノマー種は環状エステ
ルに限定されるため、トナー用樹脂として必要な物性を
制御することは容易では無く、また分解性と物性のバラ
ンスを制御するために種々のモノマーとの共重合を行う
ことも困難である。この点で、安価かつ容易にその物性
を制御し得るような分解性ポリエステルが求められてい
る。また、ポリ乳酸をそのままトナー化した場合、トナ
ーの保存性、耐オフセット性にも課題があり、未だ実用
化には到っていない。
【0012】さらに、特開平9-274335 号公報には、乳
酸及び3官能以上のオキシカルボン酸を含有する組成物
を脱水重縮合して得られたポリエステル樹脂及び着色剤
を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナーが開
示されている。しかしながら、乳酸のアルコール基とオ
キシカルボン酸中のカルボン酸基との脱水重縮合反応を
通じてポリエステル樹脂を形成しているため、得られる
樹脂の分子量が大きくなりやすく、したがって、生分解
性が低下するものと考察される。また、特開平7-12097
5 号と同様に、トナーの保存性、耐オフセット性に課題
がある。
【0013】また、代表的なヒドロキシカルボン酸の単
独重合体であるポリカプロラクトンは、低い融点及び低
いガラス転移点を持ち、各種の樹脂との相溶性に優れて
いるものの、融点が 60 ℃と低いため単独ではバインダ
ー樹脂として適さない。また、ポリ乳酸は、高いガラス
転移点(60 ℃)を持ち、結晶性のものは、高い融点(180
℃付近)を有する熱可塑性高分子であるが、上に記した
ようにバインダー樹脂としては未だ実用化されていな
い。さらに、従来の分解性ポリエステルからなるトナー
用樹脂は一般的にその粉砕性が悪く、粒径 10 μm程度
のトナーの 90 %を占めるバインダー樹脂として使用す
ることは困難である等、トナーのバインダー樹脂として
の実用化を考えた場合、その物性の改善が強く望まれて
いた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記課題を解
決するものであり、生分解可能で自然環境の保全等への
寄与がより高く、また、従来実施されているアルカリを
使用した脱墨プロセスでの脱墨を容易とすることで使用
済み複写紙の再利用を促進し、かつトナーとしての諸特
性、例えばキャリアスペント、カブリ、帯電安定性およ
び耐久性、保存安定性、粉砕性、コスト等、を満足し得
るバインダー樹脂および該バインダー樹脂を含んでなる
静電荷像現像用トナー、さらには該トナーを使用する画
像形成方法ならびに画像形成装置を提供することをその
目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、本発明者
らは上記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、下記
式(1)で表されるモノマーユニット組成を有するポリヒ
ドロキシアルカノエートを含有してなるバインダー樹脂
が、バインダー樹脂としてきわめて優れた特性を有し、
かつ、人体や環境に対する安全性が高いことを見出し、
さらには、該バインダー樹脂を含有する静電荷像現像用
トナーおよび該静電荷像現像用トナーを一定の現像シス
テムを有する画像形成装置に使用した場合に著しい効果
があることを見出して本発明を完成した。
【0016】すなわち、本発明のバインダー樹脂は、下
記式(1)で表されるモノマーユニット組成を有するポリ
ヒドロキシアルカノエートを含有してなることを特徴と
する。 Am(1-m) (1) (ただし、Aは下記式(2)で表されるモノマーユニット
から選択された少なくとも1種であり、Bは下記式(3)
及び(4)で表されるモノマーユニットから選択される少
なくとも1種であり、mは0.01以上、1以下であ
る。)
【0017】
【化3】
【0018】(上記式中、nは0〜 10 であり、kは3ま
たは5であり、Rは下記式(5)から(8)で表される基か
ら選択されるいずれかの基である。)
【0019】
【化4】
【0020】(式(5)中、R1は、水素原子(H)、フッ
素原子から選択され、qは、1〜8の整数から選択され
る;式(6)中、R2は、水素原子(H)、フッ素原子から
選択され、rは、1〜8の整数から選択される;式(7)
中、R3は、水素原子(H)、フッ素原子から選択され、
sは、1〜8の整数から選択される;式(8)中、R4は、
水素原子(H)、フッ素原子から選択され、tは、1〜8
の整数から選択される。)さらに、本発明にかかる静電
荷像現像トナーは、上記の構成のバインダー樹脂を含有
することを特徴とするものである。
【0021】また、本発明にかかる画像形成方法は、外
部より帯電部材に電圧を印加して静電潜像担持体に帯電
を行う工程と、帯電された静電潜像担持体に静電荷像を
形成する工程と、該静電荷像を静電荷像現像トナーによ
り現像してトナー像を静電潜像担持体上に形成する現像
工程と、静電潜像担持体上のトナー像を被記録材へ転写
する転写工程と、被記録材上のトナー像を加熱定着する
定着工程とを少なくとも有する画像形成方法において、
上記の静電荷像現像トナーを使用することを特徴とする
画像形成方法である。
【0022】また、本発明にかかる画像形成方法の他の
態様は、外部より帯電部材に電圧を印加して静電潜像担
持体に帯電を行う工程と、帯電された静電潜像担持体に
静電荷像を形成する工程と、該静電荷像を静電荷像現像
トナーにより現像してトナー像を静電潜像担持体上に形
成する現像工程と、静電潜像担持体上のトナー像を中間
の転写体に転写する第1の転写工程と、該中間の転写体
上のトナー像を被記録材に転写する第2の転写工程と、
被記録材上のトナー像を加熱定着する定着工程とを少な
くとも有する画像形成方法において、上記の静電荷像現
像トナーを使用することを特徴とする画像形成方法であ
る。
【0023】また、本発明にかかる画像形成装置は、外
部より帯電部材に電圧を印加して静電潜像担持体に帯電
を行う手段と、帯電された静電潜像担持体に静電荷像を
形成する手段と、該静電荷像を静電荷像現像トナーによ
り現像してトナー像を静電潜像担持体上に形成する現像
手段と、静電潜像担持体上のトナー像を被記録材へ転写
する転写手段と、被記録材上のトナー像を加熱定着する
定着手段とを少なくとも有する画像形成装置において、
上記の静電荷像現像トナーを使用することを特徴とする
画像形成装置である。
【0024】本発明にかかる画像形成装置の他の態様
は、外部より帯電部材に電圧を印加して静電潜像担持体
に帯電を行う手段と、帯電された静電潜像担持体に静電
荷像を形成する手段と、該静電荷像を静電荷像現像トナ
ーにより現像してトナー像を静電潜像担持体上に形成す
る現像手段と、静電潜像担持体上のトナー像を中間の転
写体に転写する第1の転写手段と、該中間の転写体上の
トナー像を被記録材に転写する第2の転写手段と、被記
録材上のトナー像を加熱定着する定着手段とを少なくと
も有する画像形成装置において、上記の静電荷像現像ト
ナーを使用することを特徴とする画像形成装置である。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態について説明する。
【0026】本発明にかかるバインダー樹脂は、先に記
載した式(1)で示されるモノマーユニット組成を有す
るPHAを少なくとも含むものである。なお、バインダ
ー樹脂には異なるモノマーユニット組成のPHAの2種
以上を組み合せて用いることもできる。更に、このバイ
ンダー樹脂は、ポリカプロラクトン及びポリ乳酸等の生
分解性樹脂の1種以上をさらに含んでなるバインダー樹
脂であっても良い。
【0027】ポリ乳酸は、市販のもの、例えば、株式会
社島津製作所製のラクティ(商品名)などが好適に使用さ
れる他、各種重合法により得られたものも使用すること
ができる。
【0028】他の生分解性樹脂を併用する場合、他の生
分解性樹脂の混合割合はバインダー樹脂全体に対し、生
分解およびバインダー樹脂としての物性を考慮すれば、
90質量%以下であることが好ましい。
【0029】PHAは、数平均分子量が 30 万程度以下
ではポリカプロラクトンあるいはポリ乳酸のそれぞれと
の相溶性が良く、無色透明な熔融ポリマーブレンド体が
得られるので好ましい。他方、この数平均分子量が 50
万以上のように比較的大きい場合には、相溶性がそう大
きくならず、得られる熔融ポリマーブレンド体の色相も
よくない。しかし、この場合でも、たとえば、高剪断力
下での混合によりその分子量を 30 万以下までに低下さ
せることにより、相溶性は向上し、無色透明な熔融ポリ
マーブレンド体が得られる。
【0030】また、本発明のバインダー樹脂の数平均分
子量は2,000 以上、300,000 以下であることが好まし
く、さらには、本発明のバインダー樹脂のガラス転位点
は 30 〜 80 ℃、軟化点は 60 〜 170 ℃であることが
バインダー樹脂としての機能発現のためには好ましい。
【0031】ここで、PHAは生分解性樹脂としての基
本骨格を有しており、それゆえ、従来のプラスチックと
同様、溶融加工等により各種製品の生産に利用すること
ができるとともに、石油由来の合成高分子とは異なり、
生物により容易に分解され、自然界の物質循環に取り込
まれるという際立った特性を有している。そのため、燃
焼処理を行う必要もなく、大気汚染や地球温暖化を防止
するという観点でも有効な材料であり、環境保全を可能
とするプラスチックとして利用することができる。
【0032】また、PHAは、アルカリ性水の存在によ
り容易に加水分解される。このため、コピーされた紙か
らカーボンブラック等の色素を含むトナーを効率的に除
去できるという利点がある。
【0033】本発明の静電荷像現像用トナーに使用する
バインダー樹脂として好適な、式(1)のモノマー組成を
有するPHAについて具体的に説明する。本発明におい
て使用するPHAは、3-ヒドロキシアルカノエートを
モノマー単位とするポリエステル樹脂であって、置換基
としてフェニル、フェノキシ、シクロヘキシル、ベンゾ
イルの何れかの置換基を少なくとも1種類以上含むもの
である。ここで、このような化合物を微生物を利用して
生産した場合、該ポリエステル樹脂はR体のみからなる
アイソタクチックなポリマーであるが、物性/機能の両
面において本発明の目的を達成しうるならば、特にアイ
ソタクチックなポリマーである必要はなく、アタクチッ
クなポリマーについても利用することが可能である。ま
た、ラクトン化合物を有機金属系触媒(例えば、アルミ
ニウム、亜鉛、スズ等を含む有機触媒)を用いて開環重
合を行う化学合成法によりPHAを得ることも可能であ
る。
【0034】本発明において重要なことは、式(5)〜
(8)で表される側鎖構造について、R1〜R4は水素原
子、フッ素原子からなる群から選ばれる1種以上の原子
を選択することが可能な点である。ここで、式(5)〜
(8)で表される側鎖構造について、R1〜R4をフッ素
原子により置換された芳香環とすることにより、環境依
存性をさらに少なくすることも可能である。フッ素原子
で置換する場合、フッ素原子を含むモノマーユニットが
ポリマー中に1mol%以上含まれていても良く、その割
合は、望む環境依存性を考慮して選択すれば良い。
【0035】また、R1〜R4の置換位置については、
オルト、メタあるいはパラ位の何れにおいても対応する
モノマーユニットからなるポリヒドロキシアルカノエー
トを取得することが可能であるが、機能性、物性などが
何れの異性体においても大きな相違が無い場合、収率あ
るいはポリマー中への取り込まれ易さにおいてメタ位あ
るいはパラ位における置換体を好適に用い得る。
【0036】ここで、本発明のPHAを微生物を用いて
生産する場合、前記の各種モノマーユニットを含み得る
が、必要とするポリマーの機能性、物性などを考慮の
上、適当数を含むように設計すると良い。一般には前記
の6種類程度までのモノマーユニットを含むことで本発
明の目的を十分に達成することが期待できるが、微妙な
機能性、物性の制御を望む場合、より多くの種類のモノ
マーユニットで構成することも可能である。
【0037】本発明のPHAのガラス転移温度は 30 〜
80 ℃であることが好ましく、特に好ましくは 40 〜 8
0 ℃、更に好ましくは 50 〜 70 ℃である。30 ℃より
低い値では、ブロッキング性が悪くなり、また 80 ℃以
上になると定着性が悪くなる傾向にある。また、本発明
におけるPHAの軟化点は、60 〜 170 ℃が好ましい。
特に好ましくは 80 〜 140 ℃である。60 ℃以下では耐
オフセット性の悪化が見られ、170 ℃以上では定着温度
が高くなる傾向にある。
【0038】これら所望の物性のPHAは、本発明にお
けるPHAを合成可能な微生物の培養条件等を選択する
ことによって得られる。例えば、培養時間等の制御によ
り、数平均分子量の制御が可能である。また、溶媒抽
出、再沈殿などの手段を用いた低分子量成分の除去によ
り、数平均分子量の制御が可能である。ここで、ガラス
転移温度、軟化点はPHAの分子量と相関関係を有す
る。また、PHA中のモノマーユニットの種類/組成比
を制御することでガラス転移温度、軟化点を制御するこ
とも可能である。
【0039】本発明のPHAは、重量平均分子量Mwが
好ましくは 4000 〜 30 万であり、数平均分子量Mnが
好ましくは 2000 〜 15 万、特に好ましくは 5000 〜 1
0 万である。Mnが、2000 未満ではガラス転移温度が著
しく低下し、耐ブロッキング性が悪くなり、また 15 万
を超えると溶融時における粘度が高くなり、低温定着性
が悪化する。
【0040】<PHAの例示とその製造方法について>
式(1)のモノマーユニット組成を有するPHAを得る具
体的方法としての生合成は、式(2)〜(4)を含むポリヒ
ドロキシアルカノエートを対応するアルカン酸から製造
し得る微生物を、該対応するアルカン酸を含んだ培地中
で培養することで可能となる。培養方法等については後
述する。
【0041】例えば、下記式(10)で表される5-フェニ
ル吉草酸(PVA)から、下記式(9)で表される3-ヒド
ロキシ-5-フェニル吉草酸(3HPV)モノマーユニット
を含むポリヒドロキシアルカノエートを製造し得る微生
物を培養することにより、3HPVモノマーユニットを
含むポリヒドロキシアルカノエートを製造することが可
能である。
【0042】
【化5】
【0043】また、下記式(12)で表される5-(4-フル
オロフェニル)吉草酸(FPVA)から、下記式(11)で表
される3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェニル)吉草酸
(3HFPV)モノマーユニットを含むポリヒドロキシア
ルカノエートを製造し得る微生物を培養することによ
り、3HFPVモノマーユニットを含むポリヒドロキシ
アルカノエートを製造することが可能である。
【0044】
【化6】
【0045】また、下記式(14)で表される4-フェノキ
シ酪酸(PxBA)から、下記式(13)で表される3-ヒドロ
キシ-4-フェノキシ酪酸(3HPxB)モノマーユニット
を含むポリヒドロキシアルカノエートを製造し得る微生
物を培養することにより、3HPxBモノマーユニット
を含むポリヒドロキシアルカノエートを製造することが
可能である。
【0046】
【化7】
【0047】また、下記式(16)で表される5-フェノキ
シ吉草酸(PxVA)から、下記式(15)で表される3-ヒド
ロキシ-5-フェノキシ吉草酸(3HPxV)モノマーユニ
ットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造し得る
微生物を培養することにより、3HPxVモノマーユニ
ットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造するこ
とが可能である。
【0048】
【化8】
【0049】また、下記式(18)で表される4-(4-フル
オロフェノキシ)酪酸(FPxBA)から、下記式(17)で表
される3-ヒドロキシ-4-(4-フルオロフェノキシ)酪酸
(3HFPxB)モノマーユニットを含むポリヒドロキシ
アルカノエートを製造し得る微生物を培養することによ
り、3HFPxBモノマーユニットを含むポリヒドロキ
シアルカノエートを製造することが可能である。
【0050】
【化9】
【0051】また、下記式(20)で表される4-シクロヘ
キシル酪酸(CHBA)から、下記式(19)で表される3-
ヒドロキシ-4-シクロヘキシル酪酸(3HCHB)モノマ
ーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造
し得る微生物を培養することにより、3HCHBモノマ
ーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造
することが可能である。
【0052】
【化10】
【0053】また、下記式(22)で表される4-(4-フル
オロシクロヘキシル)酪酸(FCHBA)から、下記式(2
1)で表される3-ヒドロキシ-4-(4-フルオロシクロヘ
キシル)酪酸(3HFCHB)モノマーユニットを含むポ
リヒドロキシアルカノエートを製造し得る微生物を培養
することにより、3HFCHBモノマーユニットを含む
ポリヒドロキシアルカノエートを製造することが可能で
ある。
【0054】
【化11】
【0055】また、下記式(24)で表される5-ベンゾイ
ル吉草酸(BzVA)から、下記式(23)で表される3-ヒ
ドロキシ-5-ベンゾイル吉草酸(3HBzV)モノマーユ
ニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造し得
る微生物を培養することにより、3HBzVモノマーユ
ニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造する
ことが可能である。
【0056】
【化12】
【0057】また、下記式(26)で表される5-(4-フル
オロベンゾイル)吉草酸(FBzVA)から、下記式(25)
で表される3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロベンゾイル)
吉草酸(3HFBzV)モノマーユニットを含むポリヒド
ロキシアルカノエートを製造し得る微生物を培養するこ
とにより、3HFBzVモノマーユニットを含むポリヒ
ドロキシアルカノエートを製造することが可能である。
【0058】
【化13】
【0059】さらには、下記式(12)で表される5-(4-
フルオロフェニル)吉草酸(FPVA)および下記式(28)
で表される5-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸(FPxV
A)から、下記式(11)で表される3-ヒドロキシ-5-(4-
フルオロフェニル)吉草酸(3HFPV)および下記式(2
7)で表される3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェノキ
シ)吉草酸(3HFPxV)モノマーユニットを含むポリヒ
ドロキシアルカノエートを製造し得る微生物を培養する
ことにより、3HFPVおよび3HFPxVモノマーユ
ニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造する
ことが可能である。
【0060】
【化14】
【0061】
【化15】
【0062】また、下記式(30)で表される7-フェノキ
シヘプタン酸(PxHpA)から、下記式(29)で表される3
-ヒドロキシ-7-フェノキシヘプタン酸(3HPxHp)お
よび下記式(15)で表される3-ヒドロキシ-5-フェノキ
シ吉草酸(3HPxV)モノマーユニットを含むポリヒド
ロキシアルカノエートを製造し得る微生物を培養するこ
とにより、3HPxHpおよび3HPxVモノマーユニッ
トを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造すること
が可能である。
【0063】
【化16】
【0064】
【化17】
【0065】より具体的な方法について、ここでは一般
的な事項について述べる。個別的には、実施例に述べ
る。
【0066】<微生物>本発明の方法で用いる微生物
は、化学式(2)〜(4)に示されるユニットを含むポリヒ
ドロキシアルカノエートの生産を、対応するアルカン酸
を含む培地中で培養することにより行ないうる微生物で
あれば如何なる微生物であってもよいが、その一例とし
ては、シュードモナス(Pseudomonas)属に属する微生物
が挙げられる。さらに詳しくは、シュードモナス・チコ
リアイ YN2株(Pseudomonas cichorii YN2;FER
M BP-7375)、シュードモナス・チコリアイ H45株(P
seudomonas cichorii H45、FERM BP-7374)、シ
ュードモナス・プチダ・P91株(Pseudomonas putida
P91、FERM BP-7373)、シュードモナス・ジェッ
セニイ P161株(Pseudomonas jessenii P161、FER
M BP-7376)が挙げられる。これら4種の微生物は経
済産業省生命工学工業技術研究所特許微生物寄託センタ
ーに寄託されており、特願2000-359789に記
載されている微生物である。なお、これらの菌株以外の
ものでも、当該アルカノエートを基質とした培養によっ
て、例えば Pseudomonas 属に属する細菌のスクリーニ
ングを行うことで、本発明のPHAの製造方法に利用し
得る微生物を得ることも可能である。
【0067】以下にYN2株、H45株、P91株及びP161
株についての詳細を示す。
【0068】<YN2株の菌学的性質> (1)形態学的性質 細胞の形と大きさ :桿菌、0.8μm×1.5〜2.0μm 細胞の多形性 :なし 運動性 :あり 胞子形成 :なし グラム染色性 :陰性 コロニー形状 :円形、全縁なめらか、低凸状、表
層なめらか、光沢、半透明 (2)生理学的性質 カタラーゼ :陽性 オキシダーゼ :陽性 O/F試験 :酸化型(非発酵性) 硝酸塩の還元 :陰性 インドールの生成 :陽性 ブドウ糖酸性化 :陰性 アルギニンジヒドロラーゼ :陰性 ウレアーゼ :陰性 エスクリン加水分解 :陰性 ゼラチン加水分解 :陰性 β-ガラクトシダーゼ :陰性 King'sB寒天での蛍光色素産生:陽性 4%NaClでの生育 :陽性(弱い生育) ポリ-β-ヒドロキシ酪酸の蓄積 :陰性(*) Tween80の加水分解 :陽性 * nutrient agar培養コロニーをズダンブラックで染
色することで判定。 (3)基質資化能 ブドウ糖 :陽性 L-アラビノース :陽性 D-マンノース :陰性 D-マンニトール :陰性 N-アセチル-D-グルコサミン :陰性 マルトース :陰性 グルコン酸カリウム :陽性 n-カプリン酸 :陽性 アジピン酸 :陰性 dl-リンゴ酸 :陽性 クエン酸ナトリウム :陽性 酢酸フェニル :陽性 <H45株の菌学的性質> (1)形態学的性質 細胞の形と大きさ :桿菌、0.8μm×1.0〜1.2μm 細胞の多形性 :なし 運動性 :あり 胞子形成 :なし グラム染色性 :陰性 コロニー形状 :円形、全縁なめらか、低凸状、表
層なめらか、光沢、クリーム色 (2)生理学的性質 カタラーゼ :陽性 オキシダーゼ :陽性 O/F試験 :酸化型 硝酸塩の還元 :陰性 インドールの生成 :陰性 ブドウ糖酸性化 :陰性 アルギニンジヒドロラーゼ :陰性 ウレアーゼ :陰性 エスクリン加水分解 :陰性 ゼラチン加水分解 :陰性 β-ガラクトシダーゼ :陰性 King'sB寒天での蛍光色素産生:陽性 4%NaClでの生育 :陰性 ポリ-β-ヒドロキシ酪酸の蓄積 :陰性 (3)基質資化能 ブドウ糖 :陽性 L-アラビノース :陰性 D-マンノース :陽性 D-マンニトール :陽性 N-アセチル-D-グルコサミン :陽性 マルトース :陰性 グルコン酸カリウム :陽性 n-カプリン酸 :陽性 アジピン酸 :陰性 dl-リンゴ酸 :陽性 クエン酸ナトリウム :陽性 酢酸フェニル :陽性 <P91株の菌学的性質> (1)形態学的性質 細胞の形と大きさ :桿菌、0.6μm×1.5μm 細胞の多形性 :なし 運動性 :あり 胞子形成 :なし グラム染色性 :陰性 コロニー形状 :円形、全縁なめらか、低凸状、表
層なめらか、光沢、クリーム色 (2)生理学的性質 カタラーゼ :陽性 オキシダーゼ :陽性 O/F試験 :酸化型 硝酸塩の還元 :陰性 インドールの生成 :陰性 ブドウ糖酸性化 :陰性 アルギニンジヒドロラーゼ :陽性 ウレアーゼ :陰性 エスクリン加水分解 :陰性 ゼラチン加水分解 :陰性 β-ガラクトシダーゼ :陰性 King'sB寒天での蛍光色素産生:陽性 (3)基質資化能 ブドウ糖 :陽性 L-アラビノース :陰性 D-マンノース :陰性 D-マンニトール :陰性 N-アセチル-D-グルコサミン :陰性 マルトース :陰性 グルコン酸カリウム :陽性 n-カプリン酸 :陽性 アジピン酸 :陰性 dl-リンゴ酸 :陽性 クエン酸ナトリウム :陽性 酢酸フェニル :陽性 <P161株の菌学的性質> (1)形態学的性質 細胞の形と大きさ :球状、φ0.6μm 桿状、0.6μm×1.5〜2.0μm 細胞の多形性 :あり(伸長型) 運動性 :あり 胞子形成 :なし グラム染色性 :陰性 コロニー形状 :円形、全縁なめらか、低凸状、表
層なめらか、淡黄色 (2)生理学的性質 カタラーゼ :陽性 オキシダーゼ :陽性 O/F試験 :酸化型 硝酸塩の還元 :陽性 インドールの生成 :陰性 ブドウ糖酸性化 :陰性 アルギニンジヒドロラーゼ :陽性 ウレアーゼ :陰性 エスクリン加水分解 :陰性 ゼラチン加水分解 :陰性 β-ガラクトシダーゼ :陰性 King'sB寒天での蛍光色素産生:陽性 (3)基質資化能 ブドウ糖 :陽性 L-アラビノース :陽性 D-マンノース :陽性 D-マンニトール :陽性 N-アセチル-D-グルコサミン :陽性 マルトース :陰性 グルコン酸カリウム :陽性 n-カプリン酸 :陽性 アジピン酸 :陰性 dl-リンゴ酸 :陽性 クエン酸ナトリウム :陽性 酢酸フェニル :陽性 <培養基質>本発明の方法におけるアセチルCoAある
いはエネルギー源及び炭素源を効果的に供給し得る基質
としては、酵母エキスやポリペプトン、肉エキス(例え
ばビーフエキス)、カザミノ酸などの天然物由来の培地
用成分を用いることが可能であり、更に、糖類、TCA
回路中の中間体として生じる有機酸及びTCA回路から
一段階ないしは二段階の生化学反応を経て生じる有機酸
或いはその塩、アミノ酸或いはその塩など、β酸化系を
経ずにアセチルCoAあるいはエネルギー源及び炭素源
を供給し得る化合物であれば、いかなる化合物でも用い
る菌株に対する基質としての有用性で適宜選択すること
ができる。
【0069】また、目的とするバルキーなモノマーの割
合が低くてもよい場合は、炭素数4から12の直鎖アル
カン酸或いはその塩等を基質として用いてもよい。但し
この場合は直鎖で置換基のない単純なモノマー(以下mc
lと略する)の割合が高くなることに留意する必要があ
る。
【0070】これらのうち、糖類としては、グリセロア
ルデヒド、エリスロース、アラビノース、キシロース、
グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース
といったアルドース、グリセロール、エリスリトール、
キシリトール等のアルジトール、グルコン酸等のアルド
ン酸、グルクロン酸、ガラクツロン酸等のウロン酸、マ
ルトース、スクロース、ラクトースといった二糖等から
選ばれる1つ以上の化合物が好適に利用できる。
【0071】また、有機酸或いはその塩としては、ピル
ビン酸、オキサロ酢酸、クエン酸、イソクエン酸、ケト
グルタル酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、乳酸など
がその例であり、或いはその塩から選ばれる1つ以上の
化合物が好適に利用できる。
【0072】また、アミノ酸或いはその塩としては、グ
ルタミン酸、アスパラギン酸或いはその塩から選ばれる
1つ以上の化合物が好適に利用できる。
【0073】これらの中では、ポリペプトンや糖類を用
いるのが好ましく、また糖類の中ではグルコース、フル
クトース、マンノースからなる群から選択される少なく
とも一つであることがより好ましい。これらの基質は通
常培地あたり 0.1%から5%(w/v)、更に好ましくは
0.2%から2%の割合で含有していることが望ましい。
【0074】<培養 一般>これらの微生物を所望とす
るモノマーユニット導入用のアルカノエートと本発明の
増殖用基質を含む培地で培養することで、目的とするP
HAを生産することができる。このようなPHAは、一
般にR-体のみから構成され、アイソタクチックなポリ
マーである。
【0075】本発明のPHAの生産方法に用いる微生物
の通常の培養、例えば、保存菌株の作成、菌数や活性状
態の確保のための培養などには、微生物の生育や生存に
悪影響を及ぼすものでない限り、一般的な天然培地や栄
養源を添加した合成培地等、いかなる種類の培地をも用
いることができる。温度、通気、撹拌などの培養条件は
用いる微生物に応じて適宜選択する。
【0076】一方、微生物を用いてPHAを生産・蓄積
させる場合は、PHA生産用の培地として、所望とする
モノマーユニット導入用のアルカノエートを含む無機培
地などが用いられる。
【0077】上記の培養方法に用いる無機培地として
は、リン源(例えば、リン酸塩等)、窒素源(例えば、ア
ンモニウム塩、硝酸塩等)等、微生物が増殖し得る成分
を含んでいるものであればいかなるものでも良く、例え
ば無機塩培地としては、MSB培地、E培地(J.Biol.C
hem.,218,97-106(1956))、M9培地等を挙げるこ
とができる。
【0078】なお、本発明における実施例で用いるM9
培地の組成は以下の通りである。
【0079】Na2HPO4: 6.2g KH2PO4 : 3.0g NaCl : 0.5g NH4Cl : 1.0g (培地1リットル中、pH7.0)培養条件としては、例え
ば 15〜40℃、好ましくは 20〜35℃で、好気条件下での
振盪培養や撹拌培養が挙げられる。
【0080】培養工程は、バッチ式、流動バッチ式、半
連続培養、連続培養、リアクター形式など、通常の微生
物の培養に用いるいかなる方法をも用いることができ、
これらの工程を複数段接続した多段方式を採用してもよ
い。
【0081】以下、本発明の増殖基質それぞれについ
て、具体的な培養工程を説明する。
【0082】<培養 mcl-アルカノエート>例えば、
2段階の培養工程を含む方法としては、1段階目では、
増殖用基質として、例えばオクタン酸やノナン酸等の炭
素数6〜12のアルカノエートを 0.1質量%から 0.2
質量%程度、及び、所望とするモノマーユニット導入用
のアルカノエートを 0.01 質量%から 0.5 質量%程度
含んだ無機培地等で対数増殖後期から定常期の時点まで
培養し、2段階目では、1段階目での培養終了後の菌体
を遠心分離等で回収したのち、当該アルカノエートを
0.01 質量%から 0.5 質量%程度含んだ、窒素源が存在
しない無機培地で更に培養し、培養終了後、菌体を回収
して所望のPHAを抽出する方法がある。
【0083】また、例えばオクタン酸やノナン酸等の炭
素数6〜12のアルカノエートを 0.1 質量%から 0.2
質量%程度、及び、所望とするモノマーユニット導入用
のアルカノエートを 0.01 質量%から 0.5 質量%程度
与えて培養し、対数増殖後期から定常期の時点で菌体を
回収して所望のPHAを抽出する方法もある。
【0084】ここで、これら増殖用基質として、mcl-
アルカノエートを培地に添加する方法では、取得される
PHAは、増殖用基質として添加したmcl-アルカノエ
ートに由来するモノマーユニットが多量に混在している
PHAとなっている。このようなPHAは、一般にR-
体のみから構成され、アイソタクチックなポリマーであ
る。
【0085】<培養 糖類>例えば、2段階の培養工程
を含む方法としては、1段階目では、増殖用基質として
糖類(例えばグルコース、マンノース、フルクトース等)
を 0.1 質量%から2.0 質量%程度、及び、所望とする
モノマーユニット導入用のアルカノエートを0.01 質量
%から 0.5 質量%程度含んだ無機培地等で対数増殖後
期から定常期の時点まで培養し、2段階目では、1段階
目での培養終了後の菌体を遠心分離等で回収したのち、
増殖用基質として糖類(例えばグルコース、マンノー
ス、フルクトース等)を 0.1 質量%から 2.0 質量%程
度、当該アルカノエートを 0.01質量%から 0.5 質量%
程度含んだ、窒素源が存在しない無機培地で更に培養
し、培養終了後、菌体を回収して所望のPHAを抽出す
る方法がある。
【0086】また、増殖用基質として糖類(例えばグル
コース、マンノース、フルクトース等)を 0.1 質量%か
ら 2.0 質量%程度、及び、所望とするモノマーユニッ
ト導入用のアルカノエートを 0.01 質量%から 0.5 質
量%程度与えて培養し、対数増殖後期から定常期の時点
で菌体を回収して所望のPHAを抽出する方法もある。
【0087】このように、培地に添加する糖類(例えば
グルコース、マンノース、フルクトース等)の濃度は、
所望とするモノマーユニット導入用のアルカノエートの
種類、微生物の属種、菌体密度、あるいは培養方法に応
じて適宜選択するものであるが、通常、培地中の含有率
を 0.1 質量%から 2.0 質量%程度に選択して、添加す
るとよい。一方、原料となる当該アルカノエートの濃度
も、微生物の属種、菌体密度、あるいは培養方法に応じ
て適宜選択するものであるが、通常、培地中の含有率を
0.01 質量%から 0.5 質量%程度に選択して、添加す
るとよい。このように、糖類(例えばグルコース、マン
ノース、フルクトース等)と当該アルカノエートとを含
む培地で微生物を培養することによって、目的外のモノ
マーユニットの混在が少ない、あるいは全くない、所望
のPHAが生産・蓄積される。このようなPHAは、一
般にR-体のみから構成され、アイソタクチックなポリ
マーである。
【0088】<培養 ポリペプトン>例えば、2段階の
培養工程を含む方法として、1段階目では、増殖用基質
としてポリペプトンを 0.1 質量%から 2.0 質量%程
度、及び、所望とするモノマーユニット導入用のアルカ
ノエートを 0.01 質量%から 0.5 質量%程度含んだ無
機培地等で対数増殖後期から定常期の時点まで培養し、
2段階目では、1段階目での培養終了後の菌体を遠心分
離等で回収したのち、当該アルカノエートを 0.01 質量
%から 0.5 質量%程度含んだ、窒素源が存在しない無
機培地で更に培養し、培養終了後、菌体を回収して所望
のPHAを抽出する方法がある。
【0089】また、ポリペプトンを 0.1 質量%から 2.
0 質量%程度、及び、所望とするモノマーユニット導入
用のアルカノエートを 0.01 質量%から 0.5 質量%程
度与えて培養し、対数増殖後期から定常期の時点で菌体
を回収して所望のPHAを抽出する方法もある。
【0090】このように、培地に添加するポリペプトン
濃度は、所望とするモノマーユニット導入用のアルカノ
エートの種類、微生物の属種、菌体密度、あるいは培養
方法に応じて適宜選択するものであるが、通常、培地中
の含有率を 0.1 質量%から2.0 質量%程度に選択し
て、添加するとよい。また、ポリペプトンは微生物の培
養などに汎用される市販のポリペプトン何れについても
好適に用いることが可能である。一方、原料となる当該
アルカノエートの濃度も、微生物の属種、菌体密度、あ
るいは培養方法に応じて適宜選択するものであるが、通
常、培地中の含有率を 0.01 質量%から 0.5 質量%程
度に選択して、添加するとよい。このように、ポリペプ
トンと当該アルカノエートとを含む培地で微生物を培養
することによって、目的外のモノマーユニットの混在が
少ない、あるいは全くない、所望のPHAが生産・蓄積
される。このようなPHAは、一般にR-体のみから構
成され、アイソタクチックなポリマーである。
【0091】<培養 TCAサイクルに関与する有機酸
>例えば、2段階の培養工程を含む方法として、1段階
目では、増殖用基質としてTCAサイクルに関与する有
機酸(例えば、乳酸、ピルビン酸、クエン酸、コハク
酸、フマル酸、リンゴ酸等及びその塩)を 0.1 質量%か
ら 2.0 質量%程度、及び、所望とするモノマーユニッ
ト導入用のアルカノエートを 0.01 質量%から 0.5 質
量%程度含んだ無機培地等で対数増殖後期から定常期の
時点まで培養し、2段階目では、1段階目での培養終了
後の菌体を遠心分離等で回収したのち、増殖用基質とし
てTCAサイクルに関与する有機酸(例えば、乳酸、ピ
ルビン酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸等
及びその塩)を 0.1 質量%から2.0 質量%程度、当該ア
ルカノエートを 0.01 質量%から 0.5 質量%程度含ん
だ、窒素源が存在しない無機培地で更に培養し、培養終
了後、菌体を回収して所望のPHAを抽出する方法があ
る。
【0092】また、TCAサイクルに関与する有機酸
(例えば、乳酸、ピルビン酸、クエン酸、コハク酸、フ
マル酸、リンゴ酸等及びその塩)を 0.1 質量%から 2.0
質量%程度、及び、所望とするモノマーユニット導入
用のアルカノエートを 0.01 質量%から 0.5 質量%程
度与えて培養し、対数増殖後期から定常期の時点で菌体
を回収して所望のPHAを抽出する方法もある。
【0093】このように、培地に添加するTCAサイク
ルに関与する有機酸(例えば、乳酸、ピルビン酸、クエ
ン酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸等及びその塩)の
濃度は、所望とするモノマーユニット導入用のアルカノ
エートの種類、微生物の属種、菌体密度、あるいは培養
方法に応じて適宜選択するものであるが、通常、培地中
の含有率を 0.1 質量%から 2.0 質量%程度に選択し
て、添加するとよい。一方、原料となる当該アルカノエ
ートの濃度も、微生物の属種、菌体密度、あるいは培養
方法に応じて適宜選択するものであるが、通常、培地中
の含有率を 0.01質量%から 0.5 質量%程度に選択し
て、添加するとよい。このように、TCAサイクルに関
与する有機酸(例えば、乳酸、ピルビン酸、クエン酸、
コハク酸、フマル酸、リンゴ酸等及びその塩)と当該ア
ルカノエートとを含む培地で微生物を培養することによ
って、目的外のモノマーユニットの混在が少ない、ある
いは全くない、所望のPHAが生産・蓄積される。この
ようなPHAは、一般にR-体のみから構成され、アイ
ソタクチックなポリマーである。
【0094】<培養 ポリペプトン+ピルビン酸あるい
はその塩>例えば、2段階の培養工程を含む方法とし
て、1段階目では、増殖用基質としてポリペプトンを
0.1 質量%から 2.0 質量%程度、及び、所望とするモ
ノマーユニット導入用のアルカノエートを 0.01 質量%
から 0.5 質量%程度含んだ無機培地等で対数増殖後期
から定常期の時点まで培養し、2段階目では、1段階目
での培養終了後の菌体を遠心分離等で回収したのち、増
殖用基質としてピルビン酸あるいはその塩を 0.1 質量
%から 2.0 質量%程度、当該アルカノエートを 0.01
質量%から 0.5 質量%程度含んだ、窒素源が存在しな
い無機培地で更に培養し、培養終了後、菌体を回収して
所望のPHAを抽出する方法がある。
【0095】このように、培地に添加するポリペプトン
濃度及びピルビン酸あるいはその塩の濃度は、所望とす
るモノマーユニット導入用のアルカノエートの種類、微
生物の属種、菌体密度、あるいは培養方法に応じて適宜
選択するものであるが、通常、培地中の含有率を何れに
おいても 0.1 質量%から 2.0 質量%程度に選択して、
添加するとよい。一方、原料となる当該アルカノエート
の濃度も、微生物の属種、菌体密度、あるいは培養方法
に応じて適宜選択するものであるが、通常、培地中の含
有率を 0.01 質量%から 0.5 質量%程度に選択して、
添加するとよい。このように、ポリペプトンと当該アル
カノエートとを含む培地及びピルビン酸あるいはその塩
と当該アルカノエートとを含む培地の2段階で微生物を
培養することによって、目的外のモノマーユニットの混
在が少ない、あるいは全くない、所望のPHAが生産・
蓄積される。このようなPHAは、一般にR-体のみか
ら構成され、アイソタクチックなポリマーである。
【0096】<PHAの回収>本発明にかかる培養液か
らのPHAの取得には、通常行なわれている方法を適用
することができる。PHAが培養液中に分泌される場合
は、培養液からの抽出精製方法が、また、菌体に蓄積さ
れる場合は、菌体からの抽出精製方法が用いられる。例
えば、微生物の培養菌体からのPHAの回収には、通常
行なわれているクロロホルムなどの有機溶媒による抽出
が最も簡便ではあるが、クロロホルム以外にジオキサ
ン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトンが
用いられる場合もある。また、有機溶媒が使用しにくい
環境中においては、SDS等の界面活性剤による処理、
リゾチーム等の酵素による処理、EDTA、次亜塩素酸
ナトリウム、過酸化水素、アンモニア等の薬剤による処
理によってPHA以外の菌体成分を除去して、菌体内成
分を除去することによってPHAのみを回収する方法を
採ることもできる。
【0097】なお、微生物の培養、微生物によるPHA
の生産と菌体内への蓄積、ならびに、菌体からのPHA
の回収は、上記の方法に限定されるものではない。例え
ば、本発明にかかるPHAの生産方法に利用される微生
物は上記の4種の菌株以外でも、これら4種の菌株と同
様の本発明にかかるPHA生産の生産能を有する微生物
を用いることができる。
【0098】<他の構成材料>以下、本発明の静電荷像
現像用トナーを構成するその他の構成材料について説明
する。本発明の静電荷像現像用トナーは、上記バインダ
ー樹脂の他に、着色剤、荷電制御剤、および必要に応じ
て添加されるその他の添加物から構成されている。
【0099】(バインダー樹脂)先ず、バインダー樹脂と
しては、本発明のバインダー樹脂を好適に用いうるが、
本発明のバインダー樹脂に加えて他の熱可塑性樹脂をバ
インダー樹脂として含有させることもできる。例えば、
ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル、スチレン-ア
クリル酸エステル共重合体などのスチレン系ポリマー、
ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂
等の1種または2種以上と混合して使用することも可能
であり、通常、トナーを製造する際に用いられているも
のであればいずれも使用することができ、特に限定され
ない。
【0100】PHA以外のバインダー樹脂として、分解
性を持たない熱可塑性樹脂を併用する場合、他の熱可塑
性樹脂の混合割合はバインダー樹脂全体に対し、80 質
量%以下、特に 50 質量%以下であることが好ましい。
他の熱可塑性樹脂の割合が 80 質量%よりも多いと、他
の結着樹脂の紙表面への結着強度が強すぎることとな
り、脱墨性が低下する。また、生分解性トナーとして使
用する場合には、他の生分解性を持たない熱可塑性樹脂
を混合しないことが好ましい。
【0101】また、本発明においては、上市されている
各種生分解性プラスチックについて好ましく混合して使
用することができる。例えば、「エコスター」「エコス
タープラス」(萩原工業)「バイオポール」(アイ・シー
・アイ・ジャパン)「アジコート」(味の素)「プラクセ
ル」「ポリカプロラクトン」(ダイセル化学)「ショーレ
ックス」「ビオノーレ」(昭和電工)「ラクティ」(島津
製作所)「レイシア」(三井化学)等が挙げられ、これら
の樹脂を混合して用いる場合は、本発明のトナーの特質
である生分解性が損なわれることがない。
【0102】これらの中で、ポリカプロラクトン(即
ち、ε-カプロラクトンの重合体)あるいは前述のポリ乳
酸は、リパーゼ、エステラーゼなどにより完全に容易に
分解される点、そして他の樹脂とのブレンド、または共
重合などによる物理的性質の改変を行いやすい点で特に
好ましい。
【0103】スチレン系ポリマーとしては、スチレンと
(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体およびこれらと
共重合可能な他の単量体の共重合体、スチレンとジエン
系単量体(ブタジエン、イソプレンなど)との共重合体お
よびこれらと共重合可能な他の単量体の共重合体などが
挙げられる。ポリエステル系ポリマーとしては芳香族ジ
カルボン酸と芳香族ジオールのアルキレンオキサイド付
加物との重縮合物などが挙げられる。エポキシ系ポリマ
ーとしては芳香族ジオールとエピクロルヒドリンとの反
応物およびこれの変性物などが挙げられる。ポリオレフ
ィン系ポリマーとしてはポリエチレン、ポリプロピレン
およびこれらと他の共重合可能な単量体との共重合体鎖
などが挙げられる。ポリウレタン系ポリマーとしては芳
香族ジイソシアネートと芳香族ジオールのアルキレンオ
キサイド付加物との重付加物などが挙げられる。
【0104】本発明のバインダー樹脂と混合して用いら
れるバインダー樹脂の具体例としては、以下に挙げる重
合性単量体の重合体、または、これらの混合物、或い
は、以下に挙げる重合性単量体を2種類以上使用して得
られる共重合生成物が挙げられる。このようなものとし
ては、具体的には、例えば、スチレン-アクリル酸共重
合体、或いはスチレン-メタクリル酸系共重合体などの
スチレン系ポリマー、さらにはポリエステル系ポリマ
ー、エポキシ系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマーお
よびポリウレタン系ポリマー等が挙げられ、好ましく使
用できる。
【0105】重合性単量体の具体例としては、例えば、
スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-
メチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-フェニルスチ
レン、p-クロルスチレン、3,4-ジクロルスチレン、p-
エチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-n-ブチル
スチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチ
レン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-
n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレンの如きスチレ
ン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、
イソブチレンの如きエチレン不飽和モノオレフィン類;
ブタジエンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化
ビニリデン、臭化ビニル、弗化ビニルの如きハロゲン化
ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ
酸ビニルの如きビニルエステル酸;メタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタ
クリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリ
ル酸n-オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸
2-エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタク
リル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、
メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα-メチレン
脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、
アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イ
ソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n-オクチ
ル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2-エチルヘキシ
ル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2-クロルエチ
ル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニル
イソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメ
チルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペ
ニルケトンの如きビニルケトン類;N-ビニルピロー
ル、N-ビニルカルバゾール、N-ビニルインドール、N
-ビニルピロリドンの如きN-ビニル化合物;ビニルナフ
タリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ア
クリルアミドの如きアクリル酸若しくはメタクリル酸誘
導体;前述のα,β-不飽和酸のエステル、二塩基酸のジ
エステル類;マレイン酸、マレイン酸メチル、マレイン
酸ブチル、マレイン酸ジメチル、フタル酸、コハク酸、
テレフタル酸などのジカルボン酸類;エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
1、2-プロピレングリコール、1、3-プロピレングリ
コール、1、4-ブタンジオール、1、6-ヘキサンジオ
ール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、
ポリオキシエチレン化ビスフェノールA等のポリオール
化合物;p-フェニレンジイソシアネート、p-キシリレン
ジイソシアネート1、4-テトラメチレンジイソシアネ
ート等のイソシアネート類;エチルアミン、ブチルアミ
ン、エチレンジアミン、1、4-ジアミノベンゼン、
1、4-ジアミノブタン、モノエタノールアミン等のア
ミン類;ジグリシジルエーテル、エチレングリコールジ
グリシジルエーテル、ビスフェノールAグリシジルエー
テル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル等のエポキ
シ化合物等が挙げられる。
【0106】(架橋剤)本発明のバインダー樹脂と混合し
て用いられるバインダー樹脂を形成する場合、必要に応
じて下記に挙げるような架橋剤を用いることもできる。
例えば、2官能の架橋剤として、ジビニルベンゼン、ビ
ス(4-アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、
エチレングリコールジアクリレート、1,3-ブチレング
リコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアク
リレート、1,5-ペンタンジオールジアクリレート、
1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチル
グリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジア
クリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、
テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレ
ングリコール#200、#400、#600 の各ジアクリレー
ト、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロ
ピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジア
クリレート(MANDA日本化薬)、及び以上のアクリレ
ートをメタクリレートに変えたもの等が挙げられる。
【0107】2官能以上の多官能の架橋剤としては、例
えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメ
チロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロ
パントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラ
アクリレート、オリゴエステルアクリレート及びそのメ
タクリレート、2,2-ビス(4-メタクリロキシ、ポリエ
トキシフェニル)プロパン、ジアリルフタレート、トリ
アリルシアヌレート、トリアリルアソシアヌレート、ト
リアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテー
ト、ジアリールクロレンデート等が挙げられる。
【0108】(重合開始剤)また、本発明のバインダー樹
脂と混合して用いられるバインダー樹脂を形成する場合
には、下記に挙げるような重合開始剤を必要に応じて用
いることができる。例えば、t-ブチルパーオキシ-2-エ
チルヘキサノエート、クミンパーピバレート、t-ブチル
パーオキシラウレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラ
ウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイ
ド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルクミルパー
オキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,2′-アゾビ
スイソブチロニトリル、2,2′-アゾビス(2-メチルブ
チロニトリル)、2,2′-アゾビス(2,4-ジメチルバレ
ロニトリル)、2,2′-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジ
メチルバレロニトリル)、1,1-ビス(t-ブチルパーオキ
シ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t
-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,4-ビス(t-ブ
チルパーオキシカルボニル)シクロヘキサン、2,2-ビ
ス(t-ブチルパーオキシ)オクタン、n-ブチル4,4-ビス
(t-ブチルパーオキシ)バリレート、2,2-ビス(t-ブチ
ルパーオキシ)ブタン、1,3-ビス(t-ブチルパーオキシ
-イソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-
ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ
(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5
-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ-t-ブチルジパ
ーオキシイソフタレート、2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチ
ルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、ジ-t-ブチルパ
ーオキシα-メチルサクシネート、ジ-t-ブチルパーオキ
シジメチルグルタレート、ジ-t-ブチルパーオキシヘキ
サヒドロテレフタレート、ジ-t-ブチルパーオキシアゼ
ラート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキ
シ)ヘキサン、ジエチレングリコール-ビス(t-ブチルパ
ーオキシカーボネート)、ジ-t-ブチルパーオキシトリメ
チルアジペート、トリス(t-ブチルパーオキシ)トリアジ
ン、ビニルトリス(t-ブチルパーオキシ)シラン等が挙げ
られる。これらが単独或いは併用して使用できる。その
使用量はモノマー 100 質量部に対し、0.05 質量部以上
(好ましくは 0.1 〜 15 質量部)の濃度で用いられる。
【0109】<着色剤>本発明の静電荷像現像用トナー
を構成する着色剤としては、通常、トナーを製造する際
に用いられているものであればいずれも使用でき、特に
限定されるものではない。例えば、カーボンブラック、
チタンホワイト、モノアゾ系赤色顔料、ジスアゾ系黄色
顔料、キナクリドン系マゼンタ顔料、アントラキノン染
料等、あらゆる顔料及び/または染料を用いることがで
きる。
【0110】より具体的には、本発明の静電荷像現像用
トナーを磁性カラートナーとして使用する場合には、着
色剤としては、例えば、C.I.ダイレクトレッド1、C.
I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.
ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド 30、C.
I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.
I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー 15、C.I.
ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.
モーダントブルー7、C.I.ダイレクトグリーン6、C.
I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6
等がある。顔料としては、黄鉛、カドミウムイエロー、
ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフト
ールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエ
ローNCG、タートラジンレーキ、赤口黄鉛、モリブデ
ンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロン
オレンジ、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、
パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウ
ム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マ
ンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレッ
トレーキ、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレー
キ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、
ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、
クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、
マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリー
ンG等を使用することができる。
【0111】また、本発明の静電荷像現像用トナーを二
成分フルカラー用トナーとして使用する場合には、着色
剤として次の様なものを使用することができる。例え
ば、マゼンタ色トナー用の着色顔料としては、C.I.ピ
グメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、
10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、2
3、30、31、32、37、38、39、40、41、48、49、50、5
1、52、53、54、55、57、58、60、63、64、68、81、8
3、87、88、89、90、112、114、122、123、163、202、2
06、207、209、C.I.ピグメントバイオレット 19、C.
I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35 等が
挙げられる。
【0112】本発明においては、上記に挙げた顔料を単
独で使用しても構わないが、染料と顔料とを併用して、
その鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点
からより好ましい。その場合に使用し得るマゼンタ用染
料としては、C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、2
4、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121、
C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレ
ット8、13、14、21、27、C.I.ディスパースバイオレ
ット1等の油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、
9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、3
2、34、35、36、37、38、39、40、C.I.ベーシックバイ
オレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28
等の塩基性染料が挙げられる。
【0113】その他の着色顔料としては、シアン用着色
顔料としては、C.I.ピグメントブルー2、3、15、1
6、17、C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー 4
5、または、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル
基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料等が挙げら
れる。
【0114】イエロー用着色顔料としては、C.I.ピグ
メントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、
12、13、14、15、16、17、23、65、73、83、C.I.バッ
トイエロー1、3、20 等が挙げられる。
【0115】上記したような染料及び顔料は、単独で使
用してもよく、さもなければ、所望とするトナーの色調
を得るために任意に混合して使用してもよい。
【0116】なお、環境保全や人体に対する安全性など
を考慮した場合には、各種の食用レーキ等の食用色素を
好適に使用可能であり、例えば、食用赤色 40 号アルミ
ニウムレーキ、食用赤色2号アルミニウムレーキ、食用
赤色3号アルミニウムレーキ、食用赤色 106 号アルミ
ニウムレーキ、食用黄色5号アルミニウムレーキ、食用
黄色4号アルミニウムレーキ、食用青色1号アルミニウ
ムレーキ、食用青色2号アルミニウムレーキなどが挙げ
られる。
【0117】また、上記の非水溶性食用色素は、荷電制
御剤としても機能し得る。その場合、負帯電用として
は、上記のアルミニウムレーキを好適に用い得る。この
ように、非水溶性食用色素が荷電制御剤の機能を有する
場合、トナーの環境安全性が向上するだけでなくトナー
のコストダウンにも寄与し得る。
【0118】上記したような着色剤のトナー中の含有量
は、所望とする着色効果などに応じて広く変更すること
が可能である。通常、最も良好なトナー特性を得るた
め、すなわち、印字の着色力、トナーの形状安定性、ト
ナーの飛散などを考慮した場合、これらの着色剤は、通
常、バインダー樹脂 100 質量部に対して、0.1 〜 60質
量部好ましくは 0.5 〜 20 質量部程度の割合で使用さ
れる。
【0119】(荷電制御剤)荷電制御剤としては、従来使
用されている荷電制御剤を使用できる。具体例として
は、ニグロシン系染料、四級アンモニウム塩、モノアゾ
系の金属錯体塩染料等を挙げることができる。荷電制御
剤の添加量はバインダー樹脂の帯電性、着色剤の添加量
・分散方法を含めた製造方法、その他の添加剤の帯電性
等の条件を考慮した上で決めることができるが、バイン
ダー樹脂 100 質量部に対して 0.1 〜20 質量部、好ま
しくは 0.5 〜 10 質量部の割合で用いることができ
る。この他、金属酸化物等の無機粒子や前記有機物質で
表面処理した無機物質を用いても良い。これら荷電制御
剤は、バインダー樹脂中に混合添加して用いても、トナ
ー粒子表面に付着させた形で用いても良い。
【0120】<トナーの他の成分>本発明の静電荷像現
像用トナー中には、上記したバインダー樹脂及び着色剤
成分の他に、以下の化合物を含有させてもよい。例え
ば、シリコーン樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポ
リアミド、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ロジ
ン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、低分
子量ポリエチレンまたは低分子量ポリプロピレンの如き
脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、
及び、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等であ
る。これらの中でも好ましく用いられるワックス類とし
ては、具体的には、低分子量ポリプロピレン及びこの副
生成物、低分子量ポリエステル及びエステル系ワック
ス、脂肪族の誘導体が挙げられる。これらのワックスか
ら、種々の方法によりワックスを分子量により分別した
ワックスも本発明に好ましく用いられる。また、分別後
に酸価やブロック共重合、グラフト変性を行ってもよ
い。
【0121】特に、本発明の静電荷像現像用トナーにお
いては、上記したようなワックス成分を含み、しかも透
過型電子顕微鏡(TEM)を用いてトナーの断層観察を行
なった場合に、これらのワックス成分が、バインダー樹
脂中に実質的に球状及び/または紡錘形の島状に分散さ
れている場合に優れた特性のトナーとなる。
【0122】<トナーの作成方法>上記のような構成を
有する本発明の静電荷像現像用トナーを作製する具体的
な方法としては、従来公知の方法をいずれも用いること
ができる。本発明の静電荷像現像用トナーは、例えば、
下記の工程によってトナーを得る、所謂粉砕法によって
作製できる。即ち、具体的には、本発明のバインダー樹
脂等の樹脂類、その他、必要に応じて添加される荷電制
御剤、ワックスを、ヘンシェルミキサー、ボールミル等
の混合器により充分混合してから、加熱ロール、ニーダ
ー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融混練
して樹脂類をお互いに相溶せしめた中に、着色剤として
の顔料、染料、または磁性体、必要に応じて添加される
金属化合物等の添加剤を分散または溶解せしめ、冷却固
化後、ジェットミル、ボールミル等の粉砕機により固化
物を粉砕した後、分級を行って所望の粒径を有する本発
明の静電荷像現像用トナーを得ることができる。なお、
上記分級工程においては、生産効率上、多分割分級機を
用いることが好ましい。
【0123】また、バインダー樹脂と荷電制御剤等を溶
剤(トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、クロロ
ホルム、エチレンジクロライドなどのハロゲン化物、ア
セトン、メチルエチルケトンなどのケトンおよびジメチ
ルホルムアミドなどのアミドなど)を用い、溶液混合
し、攪拌処理後、水中に投じて再沈澱せしめ、濾過、乾
燥後、ジェットミル、ボールミル等の粉砕機により固化
物を粉砕した後、分級を行って所望の粒径を有する本発
明の静電荷像現像用トナーを得ることもできる。尚、上
記分級工程においては、生産効率上、多分割分級機を用
いることが好ましい。
【0124】また、本発明の静電荷像現像用トナーは、
下記のような所謂重合法によって作製することもでき
る。即ち、この場合には、本発明におけるバインダー樹
脂の重合性単量体、着色剤としての顔料、染料、または
磁性体、必要に応じて、架橋剤、重合開始剤、ワック
ス、その他の添加剤等の材料を混合分散し、界面活性剤
等の存在下、水系分散媒体中で懸濁重合することにより
重合性着色樹脂粒子を合成し、得られた粒子を固液分離
した後、乾燥し、必要に応じて分級を行って本発明の静
電荷像現像用トナーを得ることができる。
【0125】(シリカ外添剤)本発明においては、上記の
ような方法によって作製されたトナーに、帯電安定性、
現像性、流動性、耐久性向上のため、シリカ微粉末を外
添することが好ましい。この際に用いられるシリカ微粉
末としては、BET法で測定した窒素吸着による比表面
積が 20 m2/g以上(特に 30 〜 400 m2/g)の範囲内の
ものが良好な結果を与える。この場合のシリカ微粉末の
量としては、トナー粒子 100 質量部に対して、シリカ
微粉体を 0.01 〜8質量部、好ましくは 0.1 〜5質量
部程度使用することが好ましい。この際に使用するシリ
カ微粉末としては、必要に応じて、疎水化及び帯電性コ
ントロールの目的で、シリコーンワニス、各種変性シリ
コーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーン
オイル、シランカップリング剤、官能基を有するシラン
カップリング剤、その他の有機ケイ素化合物の如き処理
剤で処理されたものを使用することが好ましい。これら
の処理剤は混合して使用してもよい。
【0126】(無機粉体)また、トナーの現像性及び耐久
性を向上させるために、次に挙げるような無機粉体を添
加することも好ましい。例えば、マグネシウム、亜鉛、
アルミニウム、セリウム、コバルト、鉄、ジルコニウ
ム、クロム、マンガン、ストロンチウム、錫、アンチモ
ンの如き金属の酸化物;チタン酸カルシウム、チタン酸
マグネシウム、チタン酸ストロンチウムの如き複合金属
酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸アル
ミニウムの如き金属塩;カオリンの如き粘土鉱物;アパ
タイトの如きリン酸化合物;炭化ケイ素、窒化ケイ素の
如きケイ素化合物;カーボンブラックやグラファイトの
如き炭素粉末が挙げられる。これらの中でも、酸化亜
鉛、酸化アルミニウム、酸化コバルト、二酸化マンガ
ン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウムの
微粉体を使用することが好ましい。
【0127】(滑剤)さらに、下記に挙げるような滑剤粉
末をトナーに添加してもよい。例えば、テフロン(登録
商標)、ポリフッ化ビニリデンの如きフッ素樹脂;フッ
化カーボンの如きフッ素化合物;ステアリン酸亜鉛の如
き脂肪酸金属塩;脂肪酸、脂肪酸エステルの如き脂肪酸
誘導体;硫化モリブデン等が挙げられる。
【0128】これらの、本発明のバインダー樹脂に混合
して用いるバインダー樹脂、着色剤、電荷制御剤、およ
び、その他必要に応じて添加される添加物のトナー中の
含有量は非常に少ないが、廃棄後のことを考慮して、可
能であれば、生分解性を有するものを使用することがよ
り好ましい。
【0129】<キャリアについて>上記のような構成を
有する本発明の静電荷像現像用トナーは、単独で非磁性
一成分現像剤として使用されたり、磁性キャリアととも
に磁性二成分現像剤を構成したりする非磁性トナーや、
単独で磁性一成分トナーとして使用される磁性トナー等
の、従来公知の種々のトナーに適用することができる。
ここで二成分現像方法に用いる場合のキャリアとして
は、従来知られているものをいずれも使用することがで
きる。具体的には、表面酸化または未酸化の鉄、ニッケ
ル、コバルト、マンガン、クロム、希土類の如き金属及
びそれらの合金または酸化物で形成される平均粒径 20
〜 300 μmの粒子を、キヤリア粒子として使用でき
る。また、本発明において用いるキャリアは、上記した
キャリア粒子の表面が、スチレン系樹脂、アクリル系樹
脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル樹
脂如き物質によって付着または被覆されているものであ
ることが好ましい。
【0130】<磁性トナー>本発明の静電荷像現像用ト
ナーは、磁性材料をトナー粒子中ら含有させ磁性トナー
としてもよい。この場合には、磁性材料に、着色剤の役
割を兼ねさせることもできる。この際に使用される磁性
材料としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト
の如き酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルのような金属或
いはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、
マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、
ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレ
ン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属と
の合金及びその混合物が挙げられる。本発明において用
いることのできるこれらの磁性材料としては、平均粒子
径が2μm以下、好ましくは 0.1 〜 0.5 μm程度のも
のが好ましい。トナー中に含有させる量としては、バイ
ンダー樹脂 100 質量部に対し 20 〜 200 質量部、特に
好ましくは、バインダー樹脂 100 質量部に対して 40
〜 150 質量部とすることが好ましい。
【0131】更に、高画質化を達成するためには、より
微小な潜像ドットを忠実に現像することを可能にする必
要があり、そのためには、例えば、本発明の静電荷像現
像用トナー粒子の重量平均径が4μm〜9μmの範囲内
となるように調整することが好ましい。即ち、重量平均
径が4μm未満のトナー粒子では、転写効率の低下が生
じ、感光体上に転写残トナーが多く残り易く、カブリ・
転写不良に基づく画像の不均一ムラの原因となり易く、
好ましくない。また、トナー粒子の重量平均径が9μm
を超える場合には、文字やライン画像の飛び散りが生じ
易い。
【0132】本発明において、トナーの平均粒径及び粒
度分布は、コールターカウンターTA-II型或いはコー
ルターマルチサイザー(コールター社製)等を用い、個数
分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)
及びPC-9801 パーソナルコンピューター(NEC製)を
接続して測定した。その際に使用する電解液として、1
級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製す
る。電解液としては、例えば、市販のISOTON R-
II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)を使
用することもできる。具体的な測定法としては、上記電
解水溶液 100 〜150 mL中に、分散剤として界面活性剤
(好ましくは、アルキルベンゼンスルフォン酸塩を使用
する)を 0.1 〜5mL加え、更に、測定試料を2〜 20
mg加えて測定用試料とする。測定の際には、この測定
試料が懸濁された電解液を超音波分散器で約1〜3分間
分散処理を行った後、前記コールターカウンターTA-I
I型によりアパーチャーとして 100 μmアパーチャーを
用いて、2μm以上のトナーの体積、個数を測定し、体
積分布と個数分布とを算出した。それから、本発明に係
わる体積分布から求めた体積基準の重量平均粒径(D
4)、個数分布から求めた個数基準の長さ平均粒径(D
1)を求めた。
【0133】<帯電量>また、本発明の静電荷像現像用
トナーは、単位質量あたりの帯電量(二成分法)が -10〜
-80 μC/g、より好ましくは -15〜 -70 μC/gである
ことが、電圧を印加した転写部材を用いる転写方法にお
いて転写効率を向上させる上で好ましい。
【0134】本発明において使用した二成分法による帯
電量(二成分トリボ)の測定法を以下に示す。測定には、
図7に示した帯電量測定装置を使用した。先ず、一定環
境下、キャリアとしてEFV 200 / 300(パウダーテッ
ク社製)を用い、該キャリア 9.5 gに対して、測定対象
のトナー 0.5 gを加えた混合物を、50 〜 100 mL容量
のポリエチレン製の瓶に入れ、振幅を一定にした振とう
機に設置して、振とう条件を、振幅 100 mm、振とう
速度1分間 100 回往復に設定し、一定時間振とうす
る。次いで、図7に示した帯電量測定装置の、底に 500
メッシュのスクリーン 43 のある金属製の測定容器 42
に、前記混合物 1.0 〜 1.2 gを入れて、金属製のフタ
44 をする。この時の測定容器 42 全体の質量を秤かり
W1(g)とする。次に、不図示の吸引機(測定容器 22 と
接する部分は少なくとも絶縁体)で吸引口 47 から吸引
し、風量調節弁 46 を調節して真空計 45 の圧力が 245
0 Pa(250 mmAq)になるようにする。この状態で一分
間吸引を行って、トナーを吸引除去する。この時の電位
計 49 の電位をV(ボルト)とする。ここで 48 はコンデ
ンサーであり容量をC(μF)とする。また、吸引後の測
定機全体の質量をはかりW2(g)とする。トナーの摩擦
帯電量(μC/g)は、これらの測定値から、下式によって
計算される。 計算式:摩擦帯電量(μC/g)=C×V/(W1-W2) <バインダー樹脂の分子量測定方法>本発明において、
バインダー樹脂の分子量は、GPC(ゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィー)により測定した。具体的なG
PCの測定方法としては、予めトナーをTHF(テトラ
ヒドロフラン)溶剤でソックスレー抽出器を用いて 20時
間抽出を行ったサンプルを測定用に用い、カラム構成
は、昭和電工製A-801、802、803、804、805、806、807
を連結し標準ポリスチレン樹脂の検量線を用い分子量
分布を測定した。また、本発明においては、上記のよう
にして測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量
(Mn)との比率(Mw/Mn)が、2〜 100 の範囲内にある
バインダー樹脂を使用することが好ましい。
【0135】<トナーのガラス転移点>さらに、本発明
のトナーは、適宜な材料を用いることによって、定着
性、保存性の観点から、そのガラス転移点Tgが、30 ℃
〜 80 ℃、更に好ましくは、50℃〜 70 ℃となるように
調製されることが好ましい。この場合におけるガラス転
移点Tgの測定には、例えば、パーキンエルマー社製の
DSC-7のような高精度の内熱式入力補償型の示差走
査熱量計を用いて測定を行えばよい。測定方法として
は、ASTM D 3418-82 に準じて行う。本発明にお
いては、ガラス転移点Tgを測定する場合に、測定試料
を1回昇温して全履歴をとった後、急冷し、再度、温度
速度 10 ℃/min、温度0〜 200 ℃の範囲で昇温させた
ときに測定されるDSC曲線を用いるとよい。
【0136】<画像形成方法及び装置>上記で説明した
構成を有する本発明の静電荷現像用トナーは、少なくと
も、外部より帯電部材に電圧を印加して、静電潜像担持
体に帯電を行う帯電工程と、帯電された静電潜像担持体
に静電荷像を形成する工程と、該静電荷像をトナーによ
り現像してトナー像を静電潜像担持体上に形成する現像
工程と、静電潜像担持体上のトナー像を被記録材へ転写
する転写工程と、被記録材上のトナー像を加熱定着する
加熱定着工程とを有する画像形成方法、あるいは、転写
工程が、静電潜像担持体上のトナー像を中間の転写体に
転写する第1の転写工程と、該中間の転写体上のトナー
像を被記録材に転写する第2の転写工程とからなる画像
形成方法に適用することが特に好ましい。
【0137】また、この方法で用いられる装置は、それ
ぞれの工程に対応した手段、すなわち、帯電手段、静電
荷像形成手段、現像手段、転写手段、加熱定着手段をそ
なえていることが好ましい。
【0138】
【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更
に詳細に説明する。また、以下の配合における部数は全
て質量部である。
【0139】(実施例1)D-グルコース 0.5 %と、5-
フェニル吉草酸(PVA)0.1 %とを含むM9培地 20 L
にシュードモナス・チコリアイ・YN2株(Pseudomon
as cichorii YN2、FERM BP-7375)を植菌し、3
0 ℃、80 回転/分、通気量 2.5 L/分で通気攪拌培養し
た。48 時間後、菌体を遠心分離によって回収し、D-グ
ルコース0.5 %と、PVA 0.1 %とを含み、窒素源(N
H4Cl)を含まないM9培地 20Lに再懸濁して、更に 3
0 ℃、80 回転/分、通気量 2.5 L/分で通気攪拌培養し
た。48 時間後、菌体を遠心分離によって回収し、回収
した湿菌体より分析評価用に1gを分取、冷メタノール
で一度洗浄の後、凍結乾燥して凍結乾燥ペレットを得
た。
【0140】残りの湿菌体については、約 1.7 %の次
亜塩素酸ナトリウム水溶液 500 mLに懸濁し、約4℃で
2時間振盪してPHAを抽出した。遠心分離によりPH
Aを回収し乾燥した結果、培地液量1L当たり 0.41 g
のPHAが得られた。このPHAをPHA1とし、バイ
ンダー樹脂として用いた。
【0141】この凍結乾燥ペレットを 20 mLのクロロ
ホルムに懸濁し、60 ℃で 20 時間攪拌してPHAを抽
出した。抽出液を孔径 0.45 μmのメンブレンフィルタ
ーでろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮
し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿の
みを回収して真空乾燥してPHAを得た。
【0142】得られたPHAの組成は以下のようにして
分析した。すなわち、約 10 mgのPHAを 25 mL容ナ
ス型フラスコに入れ、クロロホルム2mLに溶解させ、
3%硫酸を含むメタノール溶液2mLを加えて、100 ℃
で還流しながら 3.5 時間反応させた。反応終了後、脱
イオン水 10 mLを加えて激しく 10 分間振盪した後
に、2層に分離した下層のクロロホルム層を取り出し、
硫酸マグネシウムで脱水したのち、このクロロホルム層
をガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS、
島津QP-5050、カラム:DB-WAX(J&W社、0.32 m
m× 30 m)、EI法)にかけて、PHAモノマーユニッ
トのメチルエステル化物の同定を行った。その結果、P
HAモノマーユニットとしては、98 %が3-ヒドロキシ
-5-フェニル吉草酸(3HPV)であり、2%が3-ヒド
ロキシ酪酸のユニットであり、PVAに由来する所望の
モノマーユニットである3HPVモノマーユニットの比
率が高いPHAが高収率で得られた。
【0143】また、このPHAの分子量をゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィー(GPC;東ソー HLC-8
020、カラム;ポリマーラボラトリーPLgel MIXED
-C(5μm)、溶媒;(クロロホルム、ポリスチレン換
算)により評価した結果、Mn= 85,200、Mw= 213,00
0 であった。
【0144】(実施例2)PVAの替わりに5-(4-フル
オロフェニル)吉草酸(FPVA)を用いた以外は実施例
1と全く同じ条件で、3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロ
フェニル)吉草酸(3HFPV)モノマーユニットを含む
PHAを合成したところ、培地液量1L当たり 0.87 g
のPHAが得られた。このPHAをPHA2とし、バイ
ンダー樹脂として用いた。
【0145】得られたPHAについて実施例1と同様に
分析評価を行ったところ、PHAモノマーユニットとし
ては、96 %が3HFPVであり、4%が3-ヒドロキシ
酪酸のユニットであり、FPVAに由来する所望のモノ
マーユニットである3HFPVモノマーユニットの比率
が高いPHAが高収率で得られた。また、分子量はMn
= 71,500、Mw= 158,000 であった。
【0146】(実施例3)PVAの替わりに4-フェノキ
シ酪酸(PxBA)を用いた以外は実施例1と全く同じ条
件で、3-ヒドロキシ-4-フェノキシ酪酸(3HPxB)モ
ノマーユニットを含むPHAを合成したところ、培地液
量1L当たり 0.15 gのPHAが得られた。このPHA
をPHA3とし、バインダー樹脂として用いた。
【0147】得られたPHAについて実施例1と同様に
分析評価を行ったところ、PHAモノマーユニットとし
ては、95 %がPxBAであり、5%が3-ヒドロキシ酪
酸のユニットであり、PxBAに由来する所望のモノマ
ーユニットである3HPxBモノマーユニットの比率が
高いPHAが高収率で得られた。また、分子量はMn=7
1,500、Mw= 158,000 であった。
【0148】(実施例4)PVAの替わりに5-フェノキ
シ吉草酸(PxVA)を用いた以外は実施例1と全く同じ
条件で、3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸(3HPx
V)モノマーユニットを含むPHAを合成したところ、
培地液量1L当たり 0.55 gのPHAが得られた。この
PHAをPHA4とし、バインダー樹脂として用いた。
【0149】得られたPHAについて実施例1と同様に
分析評価を行ったところ、PHAモノマーユニットとし
ては、97 %がPxVAであり、3%が3-ヒドロキシ酪
酸のユニットであり、PxVAに由来する所望のモノマ
ーユニットである3HPxVモノマーユニットの比率が
高いPHAが高収率で得られた。また、分子量はMn=6
9,500、Mw= 160,000 であった。
【0150】(実施例5)シュードモナス・チコリアイ・
YN2株を、D-グルコース 0.5 %を含むM9培地 200
mLに植菌し、30 ℃、125 ストローク/分で 72 時間振
盪培養した。この培養菌体を、D-グルコース 0.5 %と
FPxBA 0.1 %とを含むM9培地 20Lに加え、引き
続き 30 ℃、80 回転/分、通気量 2.5 L/分で通気攪拌
培養した。48 時間後、菌体を遠心分離によって回収
し、D-グルコース 0.5 %とFPxBA 0.1 %を含むM
9培地(無機窒素源のNH4Clを含まない)20 Lに再懸
濁して、更に 30 ℃、80 回転/分、通気量 2.5 L/分で
通気攪拌培養した。48 時間後、菌体を遠心分離によっ
て回収し、回収した湿菌体より分析評価用に1gを分
取、冷メタノールで一度洗浄の後、凍結乾燥して凍結乾
燥ペレットを得た。
【0151】残りの湿菌体については、約 1.7 %の次
亜塩素酸ナトリウム水溶液 500 mLに懸濁し、約4℃で
2時間振盪してPHAを抽出した。遠心分離によりPH
Aを回収し乾燥した結果、培地液量1L当たり 0.24 g
のPHAが得られた。このPHAをPHA5とし、バイ
ンダー樹脂として用いた。
【0152】得られたPHAについて実施例1と同様に
分析評価を行ったところ、PHAモノマーユニットとし
ては、75 %が3-ヒドロキシ-4-(4-フルオロフェノキ
シ)酪酸(3HFPxB)であり、25 %が3-ヒドロキシ酪
酸、3-ヒドロキシヘキサン酸、3-ヒドロキシオクタン
酸、3-ヒドロキシデカン酸、3-ヒドロキシドデカン
酸、3-ヒドロキシドデセン酸のうち1種以上のユニッ
トであり、FPxBAに由来する所望のモノマーユニッ
トである3HFPxBモノマーユニットの比率が高いP
HAが高収率で得られた。また、分子量はMn= 45,20
0、Mw= 97,200であった。
【0153】また、このPHAについて、以下の測定条
件でNMR分析を行い、得られたPHAが、3HFPx
Bユニットを主成分とすることを確認した。
【0154】<測定機器> FT-NMR:Bruker DPX 400 <測定条件> 共鳴周波数 :1H 400 MHz: 13C 100 MHz 測定核種 :1H、13C 使用溶媒 :CDCl3 reference :キャピラリ封入TMS/CDCl3 測定温度 :室温 測定された1H-NMRスペクトルチャートを図8に示
す。表1に、図8に示すNMRスペクトルの主要ピーク
各信号の解析結果(帰属)を示す。
【0155】
【表1】
【0156】(実施例6)PVAの替わりに4-シクロヘ
キシル酪酸(CHBA)を用いた以外は実施例1と全く同
じ条件で、3-ヒドロキシ-4-シクロヘキシル酪酸(3H
CHB)モノマーユニットを含むPHAを合成したとこ
ろ、培地液量1L当たり 0.79 gのPHAが得られた。
このPHAをPHA6とし、バインダー樹脂として用い
た。
【0157】得られたPHAについて実施例1と同様に
分析評価を行ったところ、PHAモノマーユニットとし
ては、98 %が3HCHBであり、2%が3-ヒドロキシ
酪酸のユニットであり、CHBAに由来する所望のモノ
マーユニットである3HCHBモノマーユニットの比率
が高いPHAが高収率で得られた。また、分子量はMn
= 92,200、Mw= 218,000 であった。
【0158】(実施例7)PVAの替わりに4-(4-フル
オロシクロヘキシル)酪酸(FCHBA)を用いた以外は
実施例1と全く同じ条件で、3-ヒドロキシ-4-(4-フ
ルオロシクロヘキシル)酪酸(3HFCHB)モノマーユ
ニットを含むPHAを合成したところ、培地液量1L当
たり 0.69 gのPHAが得られた。このPHAをPHA
7とし、バインダー樹脂として用いた。
【0159】得られたPHAについて実施例1と同様に
分析評価を行ったところ、PHAモノマーユニットとし
ては、88 %が3HFCHBであり、12 %が3-ヒドロ
キシ酪酸のユニットであり、FCHBAに由来する所望
のモノマーユニットである3HFCHBモノマーユニッ
トの比率が高いPHAが高収率で得られた。また、分子
量はMn= 71,500、Mw= 158,000 であった。
【0160】(実施例8)PVAの替わりに5-ベンゾイ
ル吉草酸(BzVA)を用いた以外は実施例1と全く同じ
条件で、3-ヒドロキシ-5-ベンゾイル吉草酸(3HBz
V)モノマーユニットを含むPHAを合成したところ、
培地液量1L当たり0.52gのPHAが得られた。このPH
AをPHA8とし、バインダー樹脂として用いた。
【0161】得られたPHAについて実施例1と同様に
分析評価を行ったところ、PHAモノマーユニットとし
ては、82%が3HBzVであり、18%が3-ヒドロキシ
酪酸のユニットであり、BzVAに由来する所望のモノ
マーユニットである3HBzVモノマーユニットの比率
が高いPHAが高収率で得られた。また、分子量はMn
=305,000、Mw=1,150,000であった。
【0162】また、このPHAについて、実施例5と同
じ測定条件でNMR分析を行い、得られたPHAが、3
HBzVユニットを主成分とすることを確認した。1H-
NMRスペクトルおよび13C-NMRスペクトルを図9
及び10に、その帰属結果を表2に示す。
【0163】
【表2】
【0164】(実施例9)PVAの替わりに5-(4-フル
オロベンゾイル)吉草酸(FBzVA)を用いた以外は実
施例1と全く同じ条件で、3-ヒドロキシ-5-(4-フル
オロベンゾイル)吉草酸(3HFBzV)モノマーユニッ
トを含むPHAを合成したところ、培地液量1L当たり
0.38gのPHAが得られた。このPHAをPHA9と
し、バインダー樹脂として用いた。得られたPHAにつ
いて実施例1と同様に分析評価を行ったところ、PHA
モノマーユニットとしては、75%が3HFBzVであ
り、25%が3-ヒドロキシ酪酸のユニットであり、FB
zVAに由来する所望のモノマーユニットである3HF
BzVモノマーユニットの比率が高いPHAが高収率で
得られた。また、分子量はMn=275,000、Mw=792,00
0であった。また、このPHAについて、実施例5と同
じ測定条件でNMR分析を行い、得られたPHAが、3
HFBzVユニットを主成分とすることを確認した。
【0165】(実施例10)PVAの替わりに、それぞれ
0.1 %の5-(4-フルオロフェニル)吉草酸(FPVA)お
よび5-(4-フルオロフェノキシ)吉草酸(FPxVA)を
用いた以外は実施例1と全く同じ条件で、3-ヒドロキ
シ-5-(4-フルオロフェニル)吉草酸(3HFPV)モノ
マーユニットおよび3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフ
ェノキシ)吉草酸(3HFPxV)モノマーユニットを含む
PHAを合成したところ、培地液量1L当たり 0.85 g
のPHAが得られた。このPHAをPHA10とし、バイ
ンダー樹脂として用いた。
【0166】得られたPHAについて実施例1と同様に
分析評価を行ったところ、PHAモノマーユニットとし
ては、90 %が3HFPVであり、9%が3HFPxVで
あり、1%が3-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシヘキサ
ン酸、3-ヒドロキシオクタン酸、3-ヒドロキシデカン
酸、3-ヒドロキシドデカン酸、3-ヒドロキシドデセン
酸のうち1種以上のユニットであり、FPVAおよびF
PxVAに由来する所望のモノマーユニットである3H
FPVおよび3HFPxVモノマーユニットの比率が高
いPHAが高収率で得られた。また、分子量はMn= 5
2,500、Mw=127,000 であった。
【0167】(実施例11)PVAの替わりに、7-フェノ
キシヘプタン酸(PxHpA)を用いた以外は実施例1と全
く同じ条件で、3-ヒドロキシ-7-フェノキシヘプタン
酸(3HPxHp)モノマーユニットおよび3-ヒドロキシ-
5-フェノキシ吉草酸(3HPxV)モノマーユニットを含
むPHAを合成したところ、培地液量1L当たり 0.92
gのPHAが得られた。このPHAをPHA11とし、バ
インダー樹脂として用いた。
【0168】得られたPHAについて実施例1と同様に
分析評価を行ったところ、PHAモノマーユニットとし
ては、35 %が3HPxHpであり、60 %が3HPxVで
あり、5%が3-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシヘキサ
ン酸、3-ヒドロキシオクタン酸、3-ヒドロキシデカン
酸、3-ヒドロキシドデカン酸、3-ヒドロキシドデセン
酸のうち1種以上のユニットであり、PxHpAに由来す
る所望のモノマーユニットである3HPxHpおよび3H
PxVモノマーユニットの比率が高いPHAが高収率で
得られた。また、分子量はMn= 65,300、Mw= 132,0
00 であった。
【0169】(実施例12)150 gのポリ乳酸(商品名 ラク
ティ、株式会社島津製作所製、195 ℃における熔融粘度
200,000 ポイズ、重量平均分子量 200,000)と 50
gの実施例1のPHA(PHA1)とを配合、射出成形機
に投入し、温度 195 〜 230 ℃で熔融混練して成形し
た。このようにして得られたポリマーブレンド体をPH
A 12 とし、バインダー樹脂として用いた。
【0170】(実施例13)150 gのポリ乳酸(商品名 ラク
ティ、株式会社島津製作所製、195 ℃における熔融粘度
200,000 ポイズ、重量平均分子量 200,000)と 50
gの実施例4のPHA(PHA4)とを配合、射出成形機
に投入し、温度 195 〜 230 ℃で熔融混練して成形し
た。このようにして得られたポリマーブレンド体をPH
A 13 とし、バインダー樹脂として用いた。
【0171】(実施例14)150 gのポリ乳酸(商品名 ラク
ティ、株式会社島津製作所製、195 ℃における熔融粘度
200,000 ポイズ、重量平均分子量 200,000)と 50
gの実施例6のPHA(PHA6)とを配合、射出成形機
に投入し、温度 195 〜 230 ℃で熔融混練して成形し
た。このようにして得られたポリマーブレンド体をPH
A 14 とし、バインダー樹脂として用いた。
【0172】 (実施例15) ・PHA1(実施例1) 100質量部 ・マゼンタ顔料(C.I.ピグメントレッド 114) 5質量部 ・荷電制御剤(ヘキスト社製:NXVP 434) 2質量部 上記組成を混合し、二軸エクストルーダー(L/D= 30)
で溶融混練した。この混練物を冷却後、ハンマーミルで
粗粉砕し、ジェットミルで微粉砕した後に分級して、粉
砕法によってマゼンタ着色粒子(1)を得た。このマゼン
タ着色粒子(1)の粒度は、重量平均粒径 15.3 μm、微
粉量は 1.2 個数%であった。
【0173】このマゼンタ着色粒子(1) 100 質量部に
対して、流動向上剤として、ヘキサメチルジシラザンで
処理した疎水性シリカ微粉体(BET: 250 m2/g)1.5
質量部をヘンシェルミキサーで乾式混合して、本実施例
のマゼンタトナー(1)を得た。更に、得られたマゼンタ
トナー(1)7質量部と樹脂コート磁性フェライトキャリ
ア(平均粒子径: 45 μm) 93 質量部とを混合して、磁
気ブラシ現像用の2成分系マゼンタ現像剤(1)を調製し
た。
【0174】(実施例 16 〜 28)PHA1の代わりに、
PHA2〜PHA 14 をそれぞれ 100 質量部使用する
以外は実施例 15 と同様の方法で、実施例 16 〜 28 の
マゼンタトナー(2)〜(14)を得た。これらのトナーの特
性を実施例 15 と同様に測定し、その結果を表3に示し
た。また、これを用いて実施例 15 と同様にして、2成
分系マゼンタ現像剤(2)〜(14)をそれぞれ得た。
【0175】(比較例1)PHA1の替わりにスチレン-
ブチルアクリレート共重合樹脂(ガラス転移温度70 ℃)
を 100 質量部使用する以外は実施例 15 と同様の方法
により、比較例1のマゼンタトナー 15 を得た。このト
ナーの特性を実施例 15 と同様に測定し、その結果を表
3に示した。また、これを用いて実施例 15 と同様にし
て、比較例1の2成分系マゼンタ現像剤 15 を得た。
【0176】<評価>上記実施例 15 〜 28 で得られた
2成分系マゼンタ現像剤(1)〜(14)、および比較例1で
得られた2成分系マゼンタ現像剤 15 について、常温常
湿(25 ℃、60%RH)、及び高温高湿(30 ℃、80 %R
H)のそれぞれの環境下で、先に述べた帯電量の測定方
法を用いて、10 秒、及び 300 秒攪拌後のトナーの帯電
量を測定した。そして、2成分ブローオフ帯電量の測定
値から少数以下第2位を四捨五入し、下記の基準で評価
した。その結果を表3にまとめて示した。
【0177】
【表3】
【0178】[帯電性] ◎:非常に良好(-20 μC/g以下) ○:良好(-19.9 〜-10.0 μC/g) △:実用可(-9.9 〜-5.0 μC/g) ×:実用不可(-4.9 μC/g以上) (実施例 29 〜 42)PHA1〜PHA 14 を 100 質量部
使用し、マゼンタ顔料の代わりにカーボンブラック(D
BP吸油量 110 mL/ 100 g)を使用する以外は、実施例
15 と同様の方法により、実施例 29 〜 42 の黒色トナ
ー(1)〜(14)をそれぞれ得た。これらのトナーの特性を
実施例 15 と同様に測定し、その結果を表4に示した。
また、これを用いて実施例 15 と同様にして、2成分系
黒色現像剤(1)〜(14)を得た。
【0179】(比較例2)PHA1の替わりにスチレン-
ブチルアクリレート共重合樹脂(ガラス転移温度70 ℃)
を 100 質量部使用する点およびマゼンタ顔料の代わり
にカーボンブラック(DBP吸油量 110 mL/ 100 g)を
使用する点以外は実施例 15 と同様の方法により、比較
例2の黒色トナー 15 を得た。このトナーの特性を実施
例 15 と同様に測定し、その結果を表4に示した。ま
た、これを用いて実施例 15 と同様にして、比較例2の
2成分系黒色現像剤 15 を得た。
【0180】<評価>上記実施例 29 〜 42 で得られた
2成分系黒色現像剤(1)〜(14)、および比較例2で得ら
れた2成分系黒色現像剤 15 について、常温常湿(25
℃、60 %RH)、及び高温高湿(30 ℃、80 %RH)のそ
れぞれの環境下で、先に述べた帯電量の測定方法を用い
て、10 秒、及び 300 秒攪拌後のトナーの帯電量を測定
した。そして、2成分ブローオフ帯電量の測定値から少
数以下第2位を四捨五入し、下記の基準で評価した。そ
の結果を表4にまとめて示した。
【0181】
【表4】
【0182】[帯電性] ◎:非常に良好(-20 μC/g以下) ○:良好(-19.9 〜-10.0 μC/g) △:実用可(-9.9 〜-5.0 μC/g) ×:実用不可(-4.9 μC/g以上) (実施例43) <脱墨性試験>実施例 29 〜 42、比較例2で得られた
黒色トナー1〜 15 を用いて黒白比6%の試験用画像を
75 g/m2の紙の表面に作像して試験紙を作成した。こ
の試験紙を使って次の条件で評価用手抄シートを作成し
た。
【0183】離解:以下の組成の水分散液を 50 ℃で 20
分間ビーカー中で撹拌して離解する。
【0184】 試験紙 5.0 % NaOH 0.7 % ケイ酸ナトリウム 3.0 % H2O2 1.0 % 脱墨剤(ライオン社製“リプトールS 2800”) 0.2 % 希釈・脱水・ニーダー処理:上の水分散液に水を加え5
%に希釈した後、遠心脱水し、さらにパルプ 20 %、ケ
イ酸ナトリウム 3.0 %、NaOH 0.5 %となるように
パルプ、ケイ酸ナトリウム等を加えニーダーで離解す
る。
【0185】熟成:ニーダー離解物を 50 ℃で2時間熟
成する。
【0186】フローテーション:熟成物に水を加えパル
プ濃度1%の分散液を作成し、分散液中に微細な気泡を
7分間放出し、液中のトナーを気泡に吸着させて水面に
浮上させ、トナーと水を分離する。
【0187】洗浄:脱墨されたパルプ 2.4 gを水各1リ
ットルにより2回洗浄する。
【0188】試験用手抄シートの作成:タッピシートマ
シンにより手抄シート(坪量 100 g/m2)を作成する。
【0189】脱墨性の評価:手抄シート9cm2中に存在
するトナー個数を目視および顕微鏡により 100 μm以
上(目に見える大きさ)と 60 〜 100 μmの2種に分け
て評価する。
【0190】上記試験結果を表5に示す。表中の数値は
残存トナー数を表す。
【0191】
【表5】
【0192】(実施例44) <生分解性試験>赤色トナー1〜 14、黒色トナー1〜
14 および比較用赤色トナー 15 および比較用黒色トナ
ー 15 を厚さ約 50 μmのフィルム状に溶融成形し、土
壌中に6カ月放置した。その結果、赤色トナー1〜11、
黒色トナー1〜11のフィルムはその形状が完全に消失、
赤色トナー 12 〜 14、黒色トナー 12 〜 14 のフィル
ムは大部分が消失していた。これに対し比較用赤色トナ
ー 15 および比較用黒色トナー 15 のフィルムは形状が
そのまま残っていた。
【0193】(実施例 45 〜実施例 72 および比較例3
〜比較例4)先ず、実施例 45 〜実施例 72 および比較
例3〜比較例4の画像形成方法に用いた画像形成装置に
ついて説明する。図1は、本発明の実施例及び比較例の
画像形成方法を実行するための画像形成装置の断面の概
略的説明図である。図1に示した感光体ドラム1は、基
材1b上に有機光半導体を有する感光層1aを有し、矢印
方向に回転するように構成されているが、感光体ドラム
1に対向し、且つ該ドラムと接触回転している帯電部材
である帯電ローラー2によって、その表面が約-600 V
の表面電位に帯電されている。図1に示したように、帯
電ローラー2は、芯金2bの上に導電性弾性層2aが被覆
されて構成されている。
【0194】次に、表面が帯電された感光体ドラム1に
向けて露光3されるが、その際、ポリゴンミラーにより
感光体上にデジタル画像情報に応じてオン-オフさせる
ことで、露光部電位が-100 V、暗部電位が-600 Vの静
電荷像が形成される。続いて、この感光体ドラム1上の
静電荷像は、複数の現像装置4-1、4-2、4-3、4-
4を用いて反転現像されてに顕在化され、感光体ドラム
1上トナー像が形成される。その際、現像剤として、実
施例 15 〜 42 および比較例1〜2で得た2成分系現像
剤をそれぞれ用い、マゼンタトナーまたはブラックトナ
ーでトナー画像を形成した。図2は、その際に用いた二
成分現像剤用の各現像装置4の要部の拡大断面図であ
る。次に、感光体ドラム1上のトナー像は、感光体ドラ
ム1と接触回転している中間の転写体5上に転写され
る。この結果、中間の転写体5上には、四色の色重ね顕
色像が形成される。感光体ドラム1上に転写されずに残
った転写残トナーは、クリーナー部材8によって、残ト
ナー容器9内に回収される。
【0195】中間の転写体5は、図1に示したように、
支持体としての芯金5bと、その上に積層された弾性層
5aとで構成されている。本実施例においては、パイプ
状の芯金5b上に、カーボンブラックを導電付与材料と
し、ニトリル-ブタジエンラバー(NBR)中にこれを充
分に分散させた弾性層5bがコーティングされた中間の
転写体5を使用した。「JIS K-6301 」に準拠して測
定した弾性層5bの硬度は30 度であり、体積抵抗値は、
109 Ω・cmであった。感光体ドラム1から中間の転写
体5への転写に必要な転写電流は約5μAであるが、こ
れは、電源より+500 Vを芯金5bに付与することで得
られた。
【0196】中間の転写体5上に形成された四色のトナ
ーの色重ね顕色像は、転写ローラー7によって、紙等の
被転写材に転写され、その後、加熱定着装置Hによって
定着されて固定される。転写ローラー7は、その外径の
直径が 10 mmの芯金7b上に、カーボンを導電性付与
材料として、エチレン-プロピレン-ジエン系三次元共重
合体(EPDM)の発砲体中に該カーボンが充分な状態で
分散したものがコーティングされた弾性層7aが形成さ
れている。その体積固有抵抗値は、106 Ω・cmであ
り、「JIS K-6301 」に準拠して測定した硬度が 35
度の値を示すのもを用いた。又、この転写ローラー7に
は電圧を印加して、15 μAの転写電流を流した。
【0197】図1に示した装置では、加熱定着装置H
に、図5及び図6に示したようなオイル塗布機構のない
熱ロール方式の定着装置を用いた。このとき、上部ロー
ラー、下部ローラー共にフッ素系樹脂の表面層を有する
ものを使用した。又、ローラーの直径は 60 nmであっ
た。定着の際の定着温度を 160 ℃とし、ニップ幅を7
mmに設定した。尚、クリーニングによって回収された
感光体ドラム1上の転写残トナーは、リユース機構によ
り現像器に搬送し再使用した。
【0198】<評価>以上の条件で、常温常湿(25 ℃、
60 %RH)及び、高温高湿(30 ℃、80 %RH)環境下、
8枚(A4サイズ)/分のプリントアウト速度で、実施例
15 〜 42 のトナーを使用して作製した2成分系現像剤
と、比較例1〜2のトナーを使用して作製した2成分系
現像剤をそれぞれ使用し、逐次補給しながら、単色での
間歇モード(即ち、一枚プリントアウトする毎に 10 秒
間現像器を休止させ、再起動時の予備動作でトナーの劣
化を促進させるモード)でプリントアウト試験を行い、
得られたプリントアウト画像を下記の項目について評価
した。評価結果を表6にまとめて示した。
【0199】[プリントアウト画像評価] 1.画像濃度 通常の複写機用普通紙(75 g/m2)に、所定枚数のプリン
トアウトをして、初期の画像に対するプリント終了時に
おける画像の画像濃度維持の程度により評価した。尚、
画像濃度はマクベス反射濃度計(マクベス社製)を用い、
原稿濃度が 0.00 の白地部分のプリントアウト画像に対
する相対濃度を測定し、評価に用いた。
【0200】 ◎:優(終了時の画像濃度が 1.40 以上) ○:良(終了時の画像濃度が 1.35 以上 1.40 未満) △:可(終了時の画像濃度が 1.00 以上 1.35 未満) ×:不可(終了時の画像濃度が 1.00 未満) 2.画像カブリ 通常の複写機用普通紙(75 g/m2)に所定枚数のプリント
アウトをし、プリント終了時のベタ白画像により評価し
た。具体的には、下記のような方法で評価した。反射式
濃度計(TOKYO DENSHOKU CO.,LTD
社製REFLECTOMETER ODEL TC-6
DS)を用いて測定したプリント後の白地部反射濃度の
最悪値をDs、プリント前の用紙の反射濃度平均値をDr
とし、これらの値から(Ds-Dr)を求め、これをカブリ
量とし、下記の基準で評価した。
【0201】 ◎:非常に良好(カブリ量が0%以上 1.5 %未満) ○:良好(カブリ量が 1.5 %以上 3.0 %未満) △:実用可(カブリ量が 3.0 %以上 5.0 %未満) ×:実用不可(カブリ量が 5.0 %以上) 3.転写性 通常の複写機用普通紙(75 g/m2)に、黒ベタ画像を所定
枚数プリントアウトをし、プリント終了時の画像の画像
抜け量を目視により観察し、下記の基準で評価した。
【0202】 ◎ : 非常に良好(殆ど発生せず) ○ : 良好(軽微) △ : 実用可 × : 実用不可 また、実施例 45 〜実施例 72 および比較例3〜比較例
4で、5000 枚画像出力を行ったときの感光ドラム及び
中間転写体表面の傷や残留トナーの固着の発生状況とプ
リントアウト画像への影響(画像形成装置とのマッチン
グ)を目視で評価したところ、実施例 45 および 59の2
成分系現像剤を使用した系では、いずれも感光ドラム表
面にトナーの固着が僅かながら認められた。
【0203】上記以外の2成分系現像剤を使用した系で
は、感光ドラム及び中間転写体表面の傷や、残留トナー
の固着が全く確認できず、画像形成装置とのマッチング
が非常に良好であった。
【0204】
【表6】
【0205】(実施例 73 〜実施例 84、比較例5〜比較
例6)実施例 73 〜実施例 84、比較例5〜比較例6の画
像形成方法の実施にあたっては、現像剤として、実施例
31 〜 42 および比較例1〜2で得たトナーをそれぞれ
用いた。また、画像を形成する手段としては、図3に示
したように、市販のレーザービームプリンターLBP-
EX(キヤノン社製)にリユース機構を取り付けて改造
し、再設定した画像形成装置を用いた。即ち、図3に示
した画像形成装置では、転写後に感光体ドラム 20 上に
残った未転写トナーを、該感光体ドラム20 に当接して
いるクリーナー 21 の弾性ブレード 22 により掻き落と
した後、クリーナーローラーによってクリーナー 21 内
部へと送り、更にクリーナーリユース 23 を経て、搬送
スクリューを設けた供給用パイプ 24 によってホッパー
25 を介して現像器 26 に戻し、再度、回収トナーを利
用するシステムを取り付けられている。
【0206】図3に示した画像形成装置では、一次帯電
ローラー 27 により、感光体ドラム20 の表面の帯電が
なされる。一次帯電ローラー 27 には、ナイロン樹脂で
被覆された、導電性カーボンが分散されたゴムローラー
(直径 12 mm、当接圧 50 g/cm)を使用し、静電潜像
担持体(感光体ドラム 20)上に、レーザー露光(600 dp
i、不図示)により、暗部電位VD=-700 V、明部電位
VL=-200 Vの静電潜像を形成した。トナー担持体と
して、その表面に、カーボンブラックが分散された樹脂
がコートされている表面粗度Raが 1.1 を呈する現像ス
リーブ 28 を用いた。
【0207】図4に、実施例 73 〜実施例 84、比較例
5〜比較例6で用いた一成分現像剤用の現像装置の要部
の拡大断面図を示した。静電潜像を現像する条件として
は、該現像スリーブ 28 の速度を、対向する感光ドラム
20 面の移動速度に対して 1.1 倍の速さになるように
設定し、更に、感光ドラム 20 と現像スリーブ 28 との
間隔α(S-D間)を 270 μmとした。トナーの層厚規制
部材としては、ウレタンゴム製ブレード 29 を当接させ
て用いた。又、トナー画像を定着させる加熱定着装置の
設定温度は 160 ℃とした。なお、定着装置は、図5及
び図6に示した定着装置を用いた。
【0208】以上のようにして、常温常湿(25 ℃、60
%RH)環境下、8枚(A4サイズ)/分のプリントアウト
速度で、トナーを逐次補給しながら連続モード(即ち、
現像器を休止させることなくトナーの消費を促進させる
モード)で、3万枚までプリントアウトを行い、得られ
たプリントアウト画像について画像濃度を測定し、その
耐久について下記に示した基準で評価した。又、10,000
枚目の画像を観察し、画像カブリについて下記の基準
で評価した。又、同時に、耐久試験後における画像形成
装置を構成している各装置の様子を観察し、各装置と上
記の各トナーとのマッチングについても評価した。以上
の結果を表7にまとめて示した。
【0209】[耐久時の画像濃度推移]通常の複写機用普
通紙(75 g/m2)に、所定枚数のプリントアウトをして、
初期の画像に対するプリント終了時における画像の画像
濃度維持の程度により評価した。尚、画像濃度はマクベ
ス反射濃度計(マクベス社製)を用い、原稿濃度が 0.00
の白地部分のプリントアウト画像に対する相対濃度を測
定し、評価に用いた。
【0210】 ◎:優(終了時の画像濃度が 1.40 以上) ○:良(終了時の画像濃度が 1.35 以上 1.40 未満) △:可(終了時の画像濃度が 1.00 以上 1.35 未満) ×:不可(終了時の画像濃度が 1.00 未満) [画像カブリ]通常の複写機用普通紙(75 g/m2)に所定枚
数のプリントアウトをし、プリント終了時のベタ白画像
により評価した。具体的には、下記のような方法で評価
した。反射式濃度計(TOKYO DENSHOKU
CO.,LTD社製REFLECTOMETER ODE
L TC-6DS)を用いて測定したプリント後の白地部
反射濃度の最悪値をDs、プリント前の用紙の反射濃度
平均値をDrとし、これらの値から(Ds-Dr)を求め、こ
れをカブリ量とし、下記の基準で評価した。
【0211】 ◎:非常に良好(カブリ量が0%以上 1.5 %未満) ○:良好(カブリ量が 1.5 %以上 3.0 %未満) △:実用可(カブリ量が 3.0 %以上 5.0 %未満) ×:実用不可(カブリ量が 5.0 %以上) [画像形成装置マッチング評価] 1.現像スリーブとのマッチング プリントアウト試験終了後、現像スリーブ表面への残留
トナーの固着の様子とプリントアウト画像への影響を目
視で評価した。
【0212】 ◎ : 非常に良好(未発生) ○ : 良好(殆ど発生せず) △ : 実用可(固着があるが、画像への影響が少ない) × : 実用不可(固着が多く、画像ムラを生じる) 2.感光ドラムとのマッチング 感光体ドラム表面の傷や残留トナーの固着の発生状況と
プリントアウト画像への影響を目視で評価した。
【0213】 ◎ : 非常に良好(未発生) ○ : 良好(僅かに傷の発生が見られるが、画像への影
響はない) △ : 実用可(固着や傷があるが、画像への影響が少な
い) × : 実用不可(固着が多く、縦スジ状の画像欠陥を生
じる) 3.定着装置とのマッチング 定着フィルム表面の様子を観察し、表面性及び残留トナ
ーの固着状況の結果を総合平均化して、その耐久性を評
価した。
【0214】(1)表面性 プリントアウト試験終了後の定着フィルム表面の傷や削
れの発生の様子を目視で観察し、評価した。
【0215】 ◎ : 非常に良好(未発生) ○ : 良好(殆ど発生せず) △ : 実用可 × : 実用不可 (2)残留トナーの固着状況 プリントアウト試験終了後の定着フィルム表面の残留ト
ナーの固着状況を目視で観察し、評価した。
【0216】 ◎ : 非常に良好(未発生) ○ : 良好(殆ど発生せず) △ : 実用可 × : 実用不可
【0217】
【表7】
【0218】(実施例 85 〜実施例 87)図3の画像形成
装置のトナーリユース機構を取り外し、プリントアウト
速度を16 枚(A4サイズ)/分とした以外は実施例 84 と
同様にし、実施例 32、36、37の黒色トナー4、8、9
を逐次補給しながら連続モード(即ち、現像器を休止さ
せることなく、トナーの消費を促進させるモード)でプ
リントアウト試験を行った。得られたプリントアウト画
像評価ならびに用いた画像評価装置とのマッチングを実
施例 73〜実施例 84、比較例5〜比較例6と同様の項目
について評価した。その結果、いずれの項目についても
良好な結果が得られた。
【0219】
【発明の効果】本発明によれば、式(1)のモノマーユニ
ット組成を有するPHAをバインダー樹脂として用いる
ことにより、生分解可能で自然環境の保全等への寄与が
より高く、、また、従来実施されているアルカリを使用
した脱墨プロセスでの脱墨を容易とすることで使用済み
複写紙の再利用を促進し、かつトナーとしての諸特性、
例えばキャリアスペント、カブリ、帯電安定性および耐
久性、保存安定性、粉砕性、コスト等、を満足し得るバ
インダー樹脂および該バインダー樹脂を含んでなる静電
荷像現像用トナー、さらには該トナーを使用する画像形
成方法および画像形成装置を提供することが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例 45 〜実施例 72 および比較例3〜比較
例4に用いた画像形成装置の概略的説明図である。
【図2】実施例 45 〜実施例 72 および比較例3〜比較
例4に用いた二成分現像剤用の現像装置の要部の断面図
である。
【図3】実施例 73 〜実施例 84、比較例5〜比較例6
に用いたトナーのリユース機構を有する画像形成装置の
概略的説明図である。
【図4】実施例 73 〜実施例 84、比較例5〜比較例6
に用いた一成分現像剤用の現像装置の要部の断面図であ
る。
【図5】本発明の実施例に用いた定着装置の要部の分解
斜視図である。
【図6】本発明の実施例に用いた定着装置の非駆動時の
フィルム状態を示した要部の拡大断面図である。
【図7】トナーの帯電量を測定するブローオフ帯電量測
定装置を示す模式図である。
【図8】実施例5のPHAにおける1H-NMRスペクト
ルチャートを示す。
【図9】実施例8のPHAにおける1H-NMRスペクト
ルチャートを示す。
【図10】実施例8のPHAにおける13C-NMRスペ
クトルチャートを示す。
【符号の説明】
1、20:感光体(静電潜像担持体) 2、27:帯電ローラー 3:露光 4、26:現像装置(4−1、4−2、4−3、4−
4) 5:中間の転写体 6:被転写材 7:転写ローラー 13:感光体ドラム 11、28:現像剤担持体 30:ステー 31:加熱体 31a:ヒーター基板 31b:発熱体 31c:表面保護層 31d:検温素子 32:定着フィルム 33:加熱ローラー 34:コイルばね 35:フィルム端部規制フランジ 36:給電コネクター 37:絶縁部材 38:入口ガイド 39:出口ガイド(分離ガイド) 43:スクリーン 45:真空計 47:吸引口 49:電位計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 須川 悦子 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−93049(JP,A) 国際公開92/21708(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 63/00 - 63/91 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】樹脂系粉粒体を形成するバインダー樹脂に
    おいて、下記式(1)で表されるモノマーユニット組成
    を有するポリヒドロキシアルカノエートを含有してなる
    ことを特徴とするバインダー樹脂。 Am(1-m) (1) (ただし、Aは下記式(2)で表されるモノマーュニ
    ットから選択された少なくとも1種であり、Bは下記
    式(3)及び(4)で表されるモノマーユニットから選
    択される少なくとも1種であり、mは0.01以上、
    1以下である。) 【化1】 (上記式中、nは0〜10であり、kは3または5
    であり、Rは下記式(5)〜(8)で表される基から
    選択されるいずれかの基である。) 【化2】 (式(5)中、R1は、水素原子(H)、フッ素原子か
    ら選択され、qは、1〜8の整数から選択される; 式(6)中、R2は、水素原子(H)、フッ素原子から
    選択され、rは、1〜8の整数から選択される; 式(7)中、R3は、水素原子(H)、フッ素原子から
    選択され、sは、1〜8の整数から選択される; 式(8)中、R4は、水素原子(H)、フッ素原子から
    選択され、tは、1〜8の整数から選択される。)
  2. 【請求項2】前記バインダー樹脂が、ポリカプロラクト
    ン及びポリ乳酸の少なくとも一方をさらに含んでなる請
    求項1に記載のバインダー樹脂。
  3. 【請求項3】前記バインダー樹脂の数平均分子量が
    2,000以上、300,000以下である請求項1ま
    たは2に記載のバインダー樹脂。
  4. 【請求項4】前記バインダー樹脂のガラス転位点が
    0〜80℃であり、軟化点が60〜170℃である請
    求項13のいずれか一項に記載のバインダー樹脂。
  5. 【請求項5】前記樹脂系粉粒体が、静電荷像現像トナー
    である請求項14のいずれか一項に記載のバインダー
    樹脂。
  6. 【請求項6】静電荷像現像トナーにおいて、請求項1
    5のいずれか一項に記載されるバインダー樹脂を含有す
    ることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  7. 【請求項7】外部より帯電部材に電圧を印加して静電潜
    像担持体に帯電を行う工程と、帯電された静電潜像担持
    体に静電荷像を形成する工程と、該静電荷像を静電荷像
    現像トナーにより現像してトナー像を静電潜像担持体上
    に形成する現像工程と、静電潜像担持体上のトナー像を
    被記録材へ転写する転写工程と、被記録材上のトナー像
    を加熱定着する定着工程とを少なくとも有する画像形成
    方法において、 請求項6に記載の静電荷像現像トナーを使用すること
    を特徴とする画像形成方法。
  8. 【請求項8】外部より帯電部材に電圧を印加して静電潜
    像担持体に帯電を行う工程と、帯電された静電潜像担持
    体に静電荷像を形成する工程と、該静電荷像を静電荷像
    現像トナーにより現像してトナー像を静電潜像担持体上
    に形成する現像工程と、静電潜像担持体上のトナー像を
    中間の転写体に転写する第1の転写工程と、該中間の転
    写体上のトナー像を被記録材に転写する第2の転写工程
    と、被記録材上のトナー像を加熱定着する定着工程とを
    少なくとも有する画像形成方法において、 請求項6に記載の静電荷像現像トナーを使用すること
    を特徴とする請求項7記載の画像形成方法。
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