JP3592306B2 - 側鎖にフェニルスルファニル構造を有するユニットを含む新規なポリヒドロキシアルカノエート、およびその製造方法、新規なポリヒドロキシアルカノエートを含有する荷電制御剤、トナーバインダーならびにトナー、及び該トナーを用いた画像形成方法および画像形成装置 - Google Patents

側鎖にフェニルスルファニル構造を有するユニットを含む新規なポリヒドロキシアルカノエート、およびその製造方法、新規なポリヒドロキシアルカノエートを含有する荷電制御剤、トナーバインダーならびにトナー、及び該トナーを用いた画像形成方法および画像形成装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なポリヒドロキシアルカノエート(以下、PHAと略す)に関する。また、PHAを生産し菌体内に蓄積する能力を有する微生物を用いたPHAの生産工程を含む当該PHAの製造方法に関する。
【0002】
さらに本発明は、電子写真法、静電記録法、磁気記録法等を利用した記録方法に用いられる荷電制御剤、トナーバインダー、静電荷像現像トナー、該トナーを使用する画像形成方法、及びその画像形成装置に関する。特には、予め静電潜像担持体(以下、単に像担持体と呼ぶ)上にトナー像を形成後、被転写材上に転写させて画像を形成する、複写機、プリンター、ファックス等の電子写真、静電記録、静電印刷に用いられる荷電制御剤、トナーバインダー、静電荷像現像トナー、該トナーを使用する画像形成方法、及びその画像形成装置に関する。更に詳しくは、人体/環境に対してより安全性の高い負帯電性の電荷制御剤、それを用いたトナーバインダー、静電荷像現像トナー、該トナーを使用する画像形成方法、及びその画像形成装置に関する。
【0003】
【背景技術】
これまで、多くの微生物がポリ−3−ヒドロキシ酪酸(PHB)あるいはその他のPHAを生産し、菌体内に蓄積することが報告されてきた(「生分解性プラスチックハンドブック」,生分解性プラスチック研究会編,(株)エヌ・ティー・エス,P 178−197(1995))。これらのポリマーは従来のプラスチックと同様に、溶融加工等により各種製品の生産に利用することができる。さらに、生分解性であるがゆえに、自然界で微生物により完全分解されるという利を有しており、従来の多くの合成高分子化合物のように自然環境に残留して汚染を引き起こすことがない。また、生体適合性にも優れており、医療用軟質部材等としての応用も期待されている。
【0004】
このような微生物産生PHAは、その生産に用いる微生物の種類や培地組成、培養条件等により、様々な組成や構造のものとなり得ることが知られており、これまで主に、PHAの物性の改良という観点から、このような組成や構造の制御に関する研究がなされてきた。
【0005】
[1]まず、3−ヒドロキシ酪酸(以下、3HBと略す)をはじめとする比較的簡単な構造のモノマーユニットを重合させたPHAの生合成としては、次のものが挙げられる。
【0006】
(a)3HBと3−ヒドロキシ吉草酸(以下3HV)を含むもの
特公平6−15604号公報、特公平7−14352号公報、特公平8−19227号公報等、特開平5−7492号公報
(b)3HBと3−ヒドロキシヘキサン酸(以下3HHx)を含むもの
特開平5−93049号公報、及び特開平7−265065号公報
(c)3HBと4−ヒドロキシ酪酸(以下4HB)を含むもの
特開平9−191893号公報
(d)炭素数6から 12 までの3−ヒドロキシアルカノエートを含むもの
特許公報第2642937号
(e)単一の脂肪酸を炭素源とした生合成。生産物は(d)とほぼ同様
Appl.Environ.Microbiol,58(2),746(1992)
等が挙げられる。これらはいずれも微生物による炭化水素等のβ酸化や糖からの脂肪酸合成により合成された、いずれも側鎖にアルキル基を有するモノマーユニットからなるPHA、即ち、「usual PHA」である。
【0007】
[2]しかし、このような微生物産生PHAのより広範囲な応用、例えば機能性ポリマーとしての応用を考慮した場合、アルキル基以外の置換基を側鎖に導入したPHA「unusual PHA」が極めて有用であることが期待される。置換基の例としては、芳香環を含むもの(フェニル基、フェノキシ基、など)や、不飽和炭化水素、エステル基、アリル基、シアノ基、ハロゲン化炭化水素、エポキシドなどが挙げられる。これらの中でも、特に、芳香環を有するPHAの研究が盛んになされている。
【0008】
(a)フェニル基もしくはその部分置換体を含むもの
Makromol.Chem.,191,1957−1965(1990)及びMacromolecules,24,5256−5260(1991)には、5−フェニル吉草酸を基質として、シュードモナス オレオボランス(Pseudomonas oleovorans)が3−ヒドロキシ−5−フェニル吉草酸をユニットとして含むPHAを生産することが報告されている。
【0009】
Macromolecules,29,1762−1766(1996)には、5−(4’−トリル)吉草酸を基質として、シュードモナス オレオボランス(Pseudomonas oleovorans)が3−ヒドロキシ−5−(4’−トリル)吉草酸をユニットとして含むPHAを生産することが報告されている。
【0010】
Macromolecules,32,2889−2895(1999)には、5−(2’,4’−ジニトロフェニル)吉草酸を基質として、シュードモナス オレオボランス(Pseudomonas oleovorans)が3−ヒドロキシ−5−(2’,4’−ジニトロフェニル)吉草酸及び3−ヒドロキシ−5−(4’−ニトロフェニル)吉草酸をユニットとして含むPHAを生産することが報告されている。
【0011】
(b)フェノキシ基もしくはその部分置換体を含むもの
Macromol.Chem.Phys.,195,1665−1672(1994)には、11−フェノキシウンデカン酸を基質として、シュードモナス オレオボランス(Pseudomonas oleovorans)が3−ヒドロキシ−5−フェノキシ吉草酸と3−ヒドロキシ−9−フェノキシノナン酸のPHAコポリマーを生産することが報告されている。
【0012】
特許公報第2989175号には、3−ヒドロキシ、5−(モノフルオロフェノキシ)ペンタノエート(3H5(MFP)P)ユニットあるいは3−ヒドロキシ、5−(ジフルオロフェノキシ)ペンタノエート(3H5(DFP)P)ユニットからなるホモポリマー、少なくとも3H5(MFP)Pユニットあるいは3H5(DFP)Pユニットを含有するコポリマー;これらのポリマーを合成するシュードモナス・プチダ;シュードモナス属を用いた前記のポリマーの製造法に関する発明が開示されており、その効果として、置換基をもつ長鎖脂肪酸を資化して、側鎖末端が1から2個のフッ素原子が置換したフェノキシ基をもつポリマーを合成することができ、融点が高く良い加工性を保持しながら、立体規則性、撥水性を与えることができるとしている。
【0013】
この様なフッ素基置換体以外に、シアノ基やニトロ基の置換体の研究もなされている。
【0014】
Can.J.Microbiol.,41,32−43(1995)及び Polymer International,39,205−213(1996)には、シュードモナス オレオボランス(Pseudomonas oleovorans)ATCC 29347株及びシュードモナス プチダ(Pseudomonas putida)KT 2442株を用いて、オクタン酸とp−シアノフェノキシヘキサン酸或いはp−ニトロフェノキシヘキサン酸を基質として、3−ヒドロキシ−p−シアノフェノキシヘキサン酸或いは3−ヒドロキシ−p−ニトロフェノキシヘキサン酸をモノマーユニットとして含むPHAの生産が報告されている。
【0015】
これらの報告は側鎖がアルキル基である一般的なPHAとは異なり、いずれもPHAの側鎖に芳香環を有しており、それに由来する物性を有するポリマーを得る上で有益である。
【0016】
[3]また新たなカテゴリーとして、単に物性の変化に留まらず、側鎖に適当な官能基を有するPHAを生産し、その官能基を利用して新たな機能を生み出そうとする研究も行なわれている。
【0017】
例えばMacromolecules,31,1480−1486(1996)及び、Journal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry,36,2381−2387(1998)などでは、側鎖の末端にビニル基を持つユニットを含むPHAを合成した後、酸化剤によりエポキシ化し、側鎖末端に反応性の高いエポキシ基を含むPHAを合成出来たと報告されている。
【0018】
またビニル基以外にも、高い反応性が期待されるチオエーテル(−S−;スルファニル結合)を持つユニットを含むPHAの合成例として、Macromolecules,32,8315−8318(1999)においては、シュードモナス プチダ(Pseudomonas putida)27N01株が 11−(フェニルスルファニル)ウンデカン酸を基質とし、3−ヒドロキシ−5−(フェニルスルファニル)吉草酸及び3−ヒドロキシ−7−(フェニルスルファニル)ヘプタン酸のPHAコポリマーを生産することが報告されている。
【0019】
また、本発明における電子写真法としては従来より多数の方法が提案されているが、一般的には、光導電性物質を利用し、種々の手段によって像担持体(感光体)上に電気的潜像を形成し、次いで該潜像をトナーで現像して可視像とし、必要に応じて紙等の被転写材にトナー像を転写した後、熱及び/または圧力等により被転写材上にトナー画像を定着して複写物を得るものである。電気的潜像を可視化する方法としては、カスケード現像法、磁気ブラシ現像法、加圧現像方法等が知られている。更には、磁性トナーと中心に磁極を配した回転現像スリーブを用いて、現像スリーブ上から感光体上へと磁性トナーを磁界にて飛翔させる方法も用いられている。
【0020】
静電潜像を現像する際に用いられる現像方式には、トナーとキャリアとからなる二成分系現像剤を使用する二成分現像方式と、キャリアを使用しないトナーのみからなる一成分系現像剤を用いる一成分現像方式とがある。
【0021】
ここで、一般にトナーと称される着色微粒子は、バインダー樹脂と着色材とを必須成分とし、その他必要に応じ磁性粉等から構成されている。トナーに電荷を付与する方法としては、荷電制御剤を用いることなくバインダー樹脂そのものの帯電特性を利用することもできるが、それでは帯電の経時安定性、耐湿性が劣り良好な画質を得ることが出来ない。従って通常トナーの電荷保持、荷電制御の目的で荷電制御剤が加えられる。
【0022】
今日、当該技術分野で知られている公知の荷電制御剤としては、例えば、負摩擦帯電性としては、アゾ染料金属錯体、芳香族ジカルボン酸の金属錯体、サリチル酸誘導体の金属錯体等がある。また、正荷電制御剤としてはニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、各種4級アンモニウム塩ジブチル錫オキサイド等の有機スズ化合物等が知られているが、これらを荷電制御剤として含有したトナーは、その組成によっては帯電性、経時安定性等トナーに要求される品質特性を必ずしも充分に満足させるものではない場合がある。
【0023】
例えば負荷電制御剤として知られるアゾ染料金属錯体を含有したトナーは、帯電量の高さについては一応の水準を有するものの、アゾ染料金属錯体は低分子の結晶であるため、組み合わせるバインダー樹脂の種類によっては分散性が劣る場合がある。その場合はバインダー樹脂中に負荷電制御剤が均一に分布せず、得られたトナーの帯電量分布も極めてシャープさに欠けるものであり、得られる画像は階調が低く画像形成能に劣るものである。更に、アゾ染料金属錯体は固有の色調をもつため、黒を中心とした限定された色相のトナーにのみ使用されているのが現状であり、カラートナーとして使用する場合には、色調に対する要求性の高い画像を得るために必要とされる着色剤の鮮明さを有しないという点が大きな課題である。
【0024】
また、無色に近い負荷電制御剤の例として芳香族ジカルボン酸の金属錯体が挙げられるが、やはり完全な無色ではないという点、及び低分子の結晶であるゆえの低分散性が問題となる場合がある。
【0025】
一方、正帯電制御剤として知られるニグロシン系染料や、トリフェニルメタン系染料は、それ自体着色しているため、黒を中心とした限定された色相のトナーにのみ使用されているのが現状であり、また、トナーの連続複写に対する経時安定性が良好でない場合がある。また、従来の4級アンモニウム塩は、トナー化した場合耐湿性が不十分である場合があり、その場合は経時安定性が劣り、繰り返し使用で良質な画像を与えない場合がある。
【0026】
また近年、環境保護の観点からも、廃棄物の削減と廃棄物の安全性の向上が世界的に問題視されている。このような問題は、電子写真の分野においても同様である。すなわち、イメージング装置の広い普及にともない、印刷された用紙、使用済みの廃トナー、複写紙の廃棄量が年ごとに増大しており、地球環境の保全の見地から、そのような廃棄物の安全性も重要な課題である。
【0027】
このような点を考慮して高分子系の荷電制御剤が検討されている。例えば、USP 4480021、USP 4442189、USP 4925765、特開昭60−108861号公報、特開昭61−3149号公報、特開昭63−38958号公報、特開昭63−88564号公報などの化合物が挙げられる。更に、一般にトナーに負帯電性を発揮させる場合の高分子荷電制御剤としては、スチレン及び/またはα−メチルスチレンと、スルホン酸基を有するアルキル(メタ)アクリレートエステル或いアルキル(メタ)アクリレートアミドとの共重合体(特開平7−72658号公報、特開平8−179564号公報、特許2114410号公報、特許2623684号公報、特許2807795号公報)が用いられる例が多い。このような材料は、無色である点では有利であるが、目的とする帯電量を得るためには大量の添加が必要となる。
【0028】
この様に、これらの化合物は荷電制御剤としての十分な性能を有しておらず、帯電量、帯電の立ち上がり特性、経時安定性、環境安定性等に課題がある。また機能面のみならず、人体および環境に与える影響を考えた場合、合成に用いる化合物や有機溶媒についても、より安全な化合物、より安全かつ温和な合成プロセス、有機溶媒の使用量の低減等を実現可能な荷電制御剤が強く望まれる。
【0029】
環境保護の観点から、微生物等の作用により経時的に分解可能な樹脂、すなわち、生分解性の樹脂の開発が進められており、例えば、多くの微生物がポリエステル構造を有する生分解性樹脂(PHA)を生産し、菌体内に蓄積することが報告されているのは上述の通りである。このようなPHAは、その生産に用いる微生物の種類や培地組成、培養条件等により、様々な組成や構造のものとなり得ることが知られており、これまで主に、物性の改良という観点から、産生されるPHAの組成や構造の制御に関する研究がなされ、その応用についても、特に医用材料の分野ではすでにかなりの実績がある。農業の分野でも、マルチファイル、園芸資材等に、そして徐放性の農薬、肥料等に生分解性樹脂が用いられている。レジャー産業の分野でも、釣り糸、釣り用品、ゴルフ用品等に生分解性樹脂が用いられている。
【0030】
しかしながら、プラスチックとしての幅広い応用を考えた場合、物性的に未だ十分であるとは言えないのが現状である。PHAの利用範囲をさらに拡大していくためには、物性の改良をより幅広く検討していくことが重要であり、そのためにはさらに多様な構造のモノマーユニットを含むPHAの開発、探索が必須である。一方、置換基を側鎖に導入したタイプのPHAは、導入した置換基を所望とする特性等に応じて選択することで、導入した置換基の特性等に起因する、極めて有用な機能や特性を具備した「機能性ポリマー」としての展開も期待できる。すなわち、そのような機能性と生分解性とを両立可能であるような優れたPHAの開発、探索もまた重要な課題である。
【0031】
電子写真の分野においても、特にトナーの製造においてバインダー樹脂への生分解性樹脂の応用が提案されている。例えば、USP 5004664 には生分解性樹脂、特にはポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ吉草酸、これらの共重合体あるいはブレンド体をその組成物としてなるトナーが開示されている。また、特開平6−289644号公報には、少なくともバインダー樹脂が、植物系ワックスと、生分解性樹脂(例えば、微生物生産のポリエステル、植物−または動物−由来の天然高分子材料等)とを含有し、前記植物系ワックスが、前記バインダー樹脂中に5〜50質量%の量で添加されていることを特徴とする、特に熱ロール定着用の電子写真用トナーが開示されている。
【0032】
また、特開平7−120975号公報には、乳酸系樹脂をバインダー樹脂として含有することを特徴とする電子写真用トナーが開示されている。さらに、特開平9−274335号公報には、乳酸及び3官能以上のオキシカルボン酸を含有する組成物を脱水重縮合して得られたポリエステル樹脂及び着色剤を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナーが開示されている。
【0033】
また、特開平8−262796号公報には、バインダー樹脂及び着色剤を含む電子写真用トナーであって、前記バインダー樹脂が生分解性樹脂(例えば、脂肪族ポリエステル樹脂等)よりなり、そして前記着色剤が非水溶性色素よりなることを特徴とする電子写真用トナーが開示されている。さらに、特開平9−281746号公報には、ポリ乳酸を3官能以上の多価イソシアナートにより架橋して得られるウレタン化ポリエステル樹脂及び着色剤を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナーが開示されている。
【0034】
以上説明した電子写真用トナーのいずれについても、そのバインダー樹脂として生分解性樹脂を使用しており、環境の保全等に寄与する効果があると理解される。
【0035】
しかしながら、荷電制御剤に生分解性樹脂を使用している例の報告は未だ知られておらず、環境の保全等への寄与についてはさらなる向上の余地がある。
【0036】
【本発明が解決しようとする課題】
ここで、3−ヒドロキシ−(フェニルスルファニル)アルカン酸ユニットを含むPHAに注目した場合、−S−;スルファニル結合の反応性の高さから、機能性PHAを開発していく上で今後益々研究がなされていくものと予想される。しかし、この様な種類のPHAに関しては上に挙げた1例の報告があるに過ぎない。更に上記の方法は、炭素鎖長が長いカルボン酸を原料とし、微生物中で2炭素づつ短縮していくβ酸化系を利用し、原料よりも炭素鎖の短い3−ヒドロキシアルカン酸をポリマーのユニットとして取り込ませているため、ポリマー構造の制御が困難であるという問題があった。
また、このようなユニットを含むPHAの用途を拡大していくためには、用途に応じた物理化学的性質を有する必要がある。そのためには、芳香環部分に様々な機能性置換基を有する3−ヒドロキシ−(フェニルスルファニル)アルカン酸ユニットを含むPHAの開発が必要であるが、そのようなPHAはこれまで報告されていなかった。
【0037】
本発明の目的は、側鎖にフェニルスルファニル構造を有する3−ヒドロキシ−(フェニルスルファニル)アルカン酸ユニットを含む新規なポリヒドロキシアルカノエート、さらには芳香環部分に機能性置換基を有する3−ヒドロキシ−(フェニルスルファニル)アルカン酸ユニットを含む新規なポリヒドロキシアルカノエート、およびその製造方法を提供することにある。更には、その原料である、芳香環部分に機能性置換基を有する(フェニルスルファニル)アルカン酸、およびその製造方法を提供することにある。
【0038】
また本発明は、電子写真法における前記の課題を解決すべく、上述の芳香環部分に機能性置換基を有する3−ヒドロキシ−(フェニルスルファニル)アルカン酸ユニットを含む新規なポリヒドロキシアルカノエートを利用することで、機能面においては環境の保全等への寄与がより高く、かつ高性能(高帯電量、帯電の立ち上がりが早い、経時安定性に優れる、環境安定性が高い)で分散性の改良された負帯電性の荷電制御剤、該荷電制御剤を含有してなるトナーバインダー、該荷電制御剤を含有してなる静電荷像現像トナー、さらには該静電荷像現像トナーを用いた画像形成方法ならびに画像形成装置を提供するものである。
【0039】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは、デバイス材料や医療用材料等の先端技術分野の材料として有用であると考えられる、側鎖にフェニルスルファニル構造を有する3−ヒドロキシ−(フェニルスルファニル)アルカン酸ユニットを含む新規なポリヒドロキシアルカノエート、さらには芳香環部分に機能性置換基を有する3−ヒドロキシ−(フェニルスルファニル)アルカン酸ユニットを含む新規なポリヒドロキシアルカノエートの開発をめざして鋭意研究を重ねてきた結果、以下に示すような発明に至った。即ち本発明の概要は以下の通りである。
【0040】
本発明は、化学式(1)に示すユニットを分子中に含むことを特徴とするポリヒドロキシアルカノエートに関するものである。
【0041】
【化61】
Figure 0003592306
但し、Rは「水素原子、ハロゲン原子、CN、NO、COOR’、SOR”、(R’:H、Na、K、CH、C;R”:OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH、OC)、CH、C、C、C(CHH、C(CH」から任意に選択される。
また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
ここでRが水素原子であり、かつxが2および4の2つのユニットが分子鎖中に同時に存在し、かつこれらの2つのユニットのみからなるポリヒドロキシアルカノエートを除く。
【0042】
その中でも特に、化学式(4)に示す、3−ヒドロキシ−5−フェニルスルファニル吉草酸ユニットを含むポリヒドロキシアルカノエート、
【0043】
【化62】
Figure 0003592306
化学式(5)に示す、3−ヒドロキシ−4−フェニルスルファニル酪酸ユニットを含むポリヒドロキシアルカノエート、
【0044】
【化63】
Figure 0003592306
化学式(6)に示す、3-ヒドロキシ-5-[(4-メチルフェニル)スルファニル]吉草酸ユニットを含むポリヒドロキシアルカノエート、
【0045】
【化64】
Figure 0003592306
化学式(7)に示す、3−ヒドロキシ−5−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]吉草酸ユニットを含むポリヒドロキシアルカノエート、
【0046】
【化65】
Figure 0003592306
化学式(8)に示す、3−ヒドロキシ−4−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]酪酸ユニットを含むポリヒドロキシアルカノエート、
【0047】
【化66】
Figure 0003592306
化学式(9)に示す、3−ヒドロキシ−5−[(4−スルホフェニル)スルファニル]吉草酸ユニットを含むポリヒドロキシアルカノエート、
【0048】
【化67】
Figure 0003592306
化学式(10)に示す、3−ヒドロキシ−8−[(4−カルボキシフェニル)スルファニル]オクタン酸ユニットを含むポリヒドロキシアルカノエート、
【0049】
【化68】
Figure 0003592306
化学式(11)に示す、3−ヒドロキシ−6−[(4−カルボキシフェニル)スルファニル]ヘキサン酸ユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートに関するものである。
【0050】
【化69】
Figure 0003592306
その中でも特に、化学式(10)に示す、3−ヒドロキシ−8−[(4−カルボキシフェニル)スルファニル]オクタン酸ユニットを含むポリヒドロキシアルカノエート、あるいは化学式(11)に示す、3−ヒドロキシ−6−[(4−カルボキシフェニル)スルファニル]ヘキサン酸ユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートは、化学式(10)、化学式(11)以外に、化学式(12)に示す、3−ヒドロキシ−5−フェニル吉草酸ユニットを含んでいても良い。
【0051】
【化70】
Figure 0003592306
また、新規化合物である、化学式(13)に示す、5−(4−フルオロフェニルスルファニル)吉草酸に関するものである。
【0052】
【化71】
Figure 0003592306
さらに、化学式(14)に示す化合物を少なくとも一種類以上含む培地中で微生物を培養することを特徴とする、化学式(1)に示すユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法に関するものである。ここでは、化学式(1)に示すユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートにおいて、Rが水素原子であり、かつxが2および4の2つのユニットが分子鎖中に同時に存在し、かつこれらの2つのユニットのみからなるポリヒドロキシアルカノエートを除く。
【0053】
【化72】
Figure 0003592306
但し、Rは「水素原子、ハロゲン原子、CN、NO、COOR’、SOR”、(R’:H、Na、K、CH、C;R”:OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH、OC)、CH、C、C、C(CHH、C(CH」から任意に選択される。
また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数である。
【0054】
更に本発明は、化学式(14)で示される化合物及びポリペプトンを含む培地中で微生物を培養することを特徴とする、化学式(1)で示すユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法である。ここでは、化学式(1)に示すユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートにおいて、Rが水素原子であり、かつxが2および4の2つのユニットが分子鎖中に同時に存在し、かつこれらの2つのユニットのみからなるポリヒドロキシアルカノエートも含む。
【0055】
更に本発明は、化学式(14)で示される化合物及び酵母エキスを含む培地中で微生物を培養することを特徴とする、化学式(1)で示すユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法である。ここでは、化学式(1)に示すユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートにおいて、Rが水素原子であり、かつxが2および4の2つのユニットが分子鎖中に同時に存在し、かつこれらの2つのユニットのみからなるポリヒドロキシアルカノエートも含む。
【0056】
更に本発明は、化学式(14)で示される化合物及び糖類を含む培地中で微生物を培養することを特徴とする、化学式(1)で示すユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法である。ここでは、化学式(1)に示すユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートにおいて、Rが水素原子であり、かつxが2および4の2つのユニットが分子鎖中に同時に存在し、かつこれらの2つのユニットのみからなるポリヒドロキシアルカノエートも含む。
【0057】
更に本発明は、化学式(14)で示される化合物、及び有機酸或いはその塩を含む培地中で微生物を培養することを特徴とする、化学式(1)で示すユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法である。ここでは、化学式(1)に示すユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートにおいて、Rが水素原子であり、かつxが2および4の2つのユニットが分子鎖中に同時に存在し、かつこれらの2つのユニットのみからなるポリヒドロキシアルカノエートも含む。
【0058】
更に本発明は、化学式(14)で示される化合物、及びアミノ酸或いはその塩を含む培地中で微生物を培養することを特徴とする、化学式(1)で示すユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法である。ここでは、化学式(1)に示すユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートにおいて、Rが水素原子であり、かつxが2および4の2つのユニットが分子鎖中に同時に存在し、かつこれらの2つのユニットのみからなるポリヒドロキシアルカノエートも含む。
【0059】
更に本発明は、化学式(14)で示される化合物、及び炭素数4から 12 の直鎖アルカン酸或いはその塩を含む培地中で微生物を培養することを特徴とする、化学式(1)で示すユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法である。ここでは、化学式(1)に示すユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートにおいて、Rが水素原子であり、かつxが2および4の2つのユニットが分子鎖中に同時に存在し、かつこれらの2つのユニットのみからなるポリヒドロキシアルカノエートも含む。
【0060】
またさらに、化学式(14)に示す化合物を少なくとも一種類以上含み、かつポリペプトンを含む培地中で微生物を培養する工程(工程1−1)と、これに続く、化学式(14)に示す化合物を少なくとも一種類以上含み、かつ有機酸或いはその塩とを含む培地中で、工程1−1で培養された微生物を更に培養する工程(工程2−1)を行なうことを特徴とする、化学式(1)に示すユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法に関するものである。工程2−1の培養工程を、窒素源濃度が低い、あるいは窒素源を含まない培養工程とすることもできる。ここでは、化学式(1)に示すユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートにおいて、Rが水素原子であり、かつxが2および4の2つのユニットが分子鎖中に同時に存在し、かつこれらの2つのユニットのみからなるポリヒドロキシアルカノエートも含む。
【0061】
加えて、化学式(14)に示す化合物を少なくとも一種類以上含み、かつ糖類を含む培地中で微生物を培養する工程(工程1−2)と、これに続く、化学式(14)に示す化合物を少なくとも一種類以上含み、また糖類を含む培地中で、工程1−2で培養された微生物を更に培養する工程(工程2−2)を行なうことを特徴とする、化学式(1)に示すユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法に関するものである。工程2−2の培養工程を、窒素源濃度が低い、あるいは窒素源を含まない培養工程とすることもできる。ここでは、化学式(1)に示すユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートにおいて、Rが水素原子であり、かつxが2および4の2つのユニットが分子鎖中に同時に存在し、かつこれらの2つのユニットのみからなるポリヒドロキシアルカノエートも含む。
【0062】
とりわけ、化学式(15)に示す5−フェニルスルファニル吉草酸を含む培地中で微生物を培養し、化学式(4)に示す3−ヒドロキシ−5−フェニルスルファニル吉草酸ユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産すること、
【0063】
【化73】
Figure 0003592306
【0064】
【化74】
Figure 0003592306
とりわけ、化学式(16)に示す4−フェニルスルファニル酪酸を含む培地中で微生物を培養し、化学式(5)に示す3−ヒドロキシ−4−フェニルスルファニル酪酸ユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産すること、
【0065】
【化75】
Figure 0003592306
【0066】
【化76】
Figure 0003592306
とりわけ、化学式(17)で示される5−[(4−メチルフェニル)スルファニル]吉草酸を含む培地中で微生物を培養し、化学式(6)で示される3−ヒドロキシ−5−[(4−メチルフェニル)スルファニル]吉草酸ユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産すること、
【0067】
【化77】
Figure 0003592306
【0068】
【化78】
Figure 0003592306
とりわけ、化学式(13)に示す5−(4−フルオロフェニルスルファニル)吉草酸(以下、3HFTPxVと略す場合もある)を含む培地中で微生物を培養し、化学式(7)に示す3−ヒドロキシ−5−(4−フルオロフェニルスルファニル)吉草酸ユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産すること、
【0069】
【化79】
Figure 0003592306
【0070】
【化80】
Figure 0003592306
あるいは、化学式(18)に示す4−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]酪酸(以下、3HFTPxBと略す場合もある)を含む培地中で微生物を培養し、化学式(8)に示す3−ヒドロキシ−4−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]酪酸ユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産すること
【0071】
【化81】
Figure 0003592306
【0072】
【化82】
Figure 0003592306
を特徴とする前記記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法に関するものである。
【0073】
また加えて、前記微生物細胞からポリヒドロキシアルカノエートを回収する工程を含む前記記載の方法に関するものである。
【0074】
本発明はまた、化学式(1)に示すユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートの中でも特に、化学式(20)に示す3−ヒドロキシ−[(4−スルホフェニル)スルファニル]アルカン酸ユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法において、化学式(19)に示す3−ヒドロキシ−(フェニルスルファニル)アルカン酸ユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートをクロロ硫酸によりスルホン化する工程を有することを特徴とする、化学式(20)に示すユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法に関するものである。
【0075】
【化83】
Figure 0003592306
(xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。)
【0076】
【化84】
Figure 0003592306
(但し、R”は「OH、ONa、OK」から任意に選択される。
また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。)
この場合、化学式(19)に示す3−ヒドロキシ−(フェニルスルファニル)アルカン酸ユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートは、化学式(21)に示す(フェニルスルファニル)アルカン酸の少なくとも一種類以上を含む培地中で微生物を培養する工程を含む方法で製造することも可能である。
【0077】
【化85】
Figure 0003592306
(xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数である。)
その中でも特に、化学式(4)に示す3−ヒドロキシ−5−(フェニルスルファニル)吉草酸ユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートをクロロ硫酸によりスルホン化する工程を有する方法により、化学式(9)に示す、3−ヒドロキシ−5−[(4−スルホフェニル)スルファニル]吉草酸ユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法に関するものである。
【0078】
【化86】
Figure 0003592306
【0079】
【化87】
Figure 0003592306
本発明はまた、化学式(22)に示す、3−ヒドロキシ−ω−ブロモアルカン酸ユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートと、化学式(23)に示す、置換ベンゼンチオールを反応させる工程を有することを特徴とする、化学式(1)に示すユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法に関するものである。
【0080】
【化88】
Figure 0003592306
(xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。)
【0081】
【化89】
Figure 0003592306
但し、Rは「水素原子、ハロゲン原子、CN、NO、COOR’、SOR”、(R’:H、Na、K、CH、C;R”:OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH、OC)、CH、C、C、C(CHH、C(CH」から任意に選択される。
【0082】
【化90】
Figure 0003592306
但し、Rは「水素原子、ハロゲン原子、CN、NO、COOR’、SOR”、(R’:H、Na、K、CH、C;R”:OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH、OC)、CH、C、C、C(CHH、C(CH」から任意に選択される。
また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
ここでRが水素原子であり、かつxが2および4の2つのユニットが分子鎖中に同時に存在し、かつこれらの2つのユニットのみからなるポリヒドロキシアルカノエートを除く。
【0083】
この場合、化学式(22)に示す、3−ヒドロキシ−ω−ブロモアルカン酸ユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートは、化学式(24)に示すω−ブロモアルカン酸の少なくとも一種類以上を含む培地中で微生物を培養する工程を含む方法で製造することも可能である。
【0084】
【化91】
Figure 0003592306
(xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数である。)
その中でも特に、化学式(25)に示す、3−ヒドロキシ−8−ブロモオクタン酸ユニット、化学式(26)に示す、3−ヒドロキシ−6−ブロモヘキサン酸ユニットの少なくとも一方を含むポリヒドロキシアルカノエートと、化学式(27)に示す、4−メルカプト安息香酸を反応させる工程を有する方法により、化学式(10)に示す、3−ヒドロキシ−8−[(4−カルボキシフェニル)スルファニル]オクタン酸ユニット、化学式(11)に示す、3−ヒドロキシ−6−[(4−カルボキシフェニル)スルファニル]ヘキサン酸ユニットの少なくとも一方を分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートのポリヒドロキシアルカノエートの製造方法に関するものである。
【0085】
【化92】
Figure 0003592306
【0086】
【化93】
Figure 0003592306
【0087】
【化94】
Figure 0003592306
本発明はまた、化学式(28)に示す、3−ヒドロキシ−ω−アルケン酸ユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートと、化学式(23)に示す、置換ベンゼンチオールを反応させる工程を有することを特徴とする、化学式(29)に示すユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法に関するものである。
【0088】
【化95】
Figure 0003592306
(pは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。)
【0089】
【化96】
Figure 0003592306
但し、Rは「水素原子、ハロゲン原子、CN、NO、COOR’、SOR”、(R’:H、Na、K、CH、C;R”:OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH、OC)、CH、C、C、C(CHH、C(CH」から任意に選択される。
【0090】
【化97】
Figure 0003592306
但し、Rは「水素原子、ハロゲン原子、CN、NO、COOR’、SOR”、(R’:H、Na、K、CH、C;R”:OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH、OC)、CH、C、C、C(CHH、C(CH」から任意に選択される。
また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
ここでRが水素原子であり、かつxが2および4の2つのユニットが分子鎖中に同時に存在し、かつこれらの2つのユニットのみからなるポリヒドロキシアルカノエートを除く。
【0091】
この場合、化学式(28)に示す、3−ヒドロキシ−ω−アルケン酸ユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートは、化学式(30)に示すω−アルケン酸の少なくとも一種類以上を含む培地中で微生物を培養する工程を含む方法で製造することも可能である。
【0092】
【化98】
Figure 0003592306
(pは化学式中に示した範囲から選ばれた整数である。)
本発明の新規なポリヒドロキシアルカノエートは、モノマーユニットとなる3−ヒドロキシアルカン酸自体が芳香環及びチオエーテル(スルファニル)構造を有する新規なものであり、この構造により高い反応性を有している。また、芳香環部位の置換基が様々な物理化学的性質に寄与している。このポリヒドロキシアルカノエートは、PHA生産能力を有する微生物により、対応する(フェニルスルファニル)アルカン酸あるいは[(置換フェニル)スルファニル]アルカン酸と増殖用炭素源を含んだ培地から直接生産せしめることによって、或いは3−ヒドロキシ−(フェニルスルファニル)アルカン酸の芳香環部分を化学的に修飾することによって、或いは3−ヒドロキシ−ω−ブロモアルカン酸または3−ヒドロキシ−ω−アルケン酸と置換ベンゼンチオールを反応させることによって得られるものである。
【0093】
本発明の新規なポリヒドロキシアルカノエートは数平均分子量として 1,000〜500,000 の範囲の分子量を有するものである。
【0094】
さらに本発明者らは、環境の保全等への寄与が高く、かつ高性能である荷電制御剤を開発すべく鋭意検討したところ本発明に到達した。
【0095】
即ち、本発明は、化学式(1)に示すユニットのうちの少なくとも1種類のユニットを有するポリヒドロキシアルカノエートを含有してなる荷電制御剤である。
【0096】
【化99】
Figure 0003592306
(但し、Rは「COOR’(R’:H、Na、K、CH、C)、SOR”(R”:OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH、OC)」から任意に選択される。
また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。)
本発明の荷電制御剤中に含有されるポリヒドロキシアルカノエートは、化学式(1)に示すユニット以外に、化学式(2)及び(3)に示すユニットをそれぞれ独立に或いは両方含んでいてもよい。
【0097】
【化100】
Figure 0003592306
(y及びzは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、(1)で示すユニットと独立してユニット毎に違う値をとり得る。)
本発明の荷電制御剤中に含有されるポリヒドロキシアルカノエートの数平均分子量は、1,000 から 500,000 の範囲である。
【0098】
また本発明は、上記のポリヒドロキシアルカノエートを有する荷電制御剤を含有してなるトナーバインダーである。
【0099】
更に本発明は、少なくとも、バインダー樹脂と着色剤と、上記のポリヒドロキシアルカノエートを有する荷電制御剤を含有してなる静電荷像現像トナーである。
【0100】
更に本発明は、外部より帯電部材に電圧を印加して静電潜像担持体に帯電を行なう工程と、帯電された静電潜像担持体に静電荷像を形成する工程と、該静電荷像を静電荷像現像トナーにより現像してトナー像を静電潜像担持体上に形成する現像工程と、静電潜像担持体上のトナー像を被記録材へ転写する転写工程と、被記録材上のトナー像を加熱定着する加熱定着工程とを有する画像形成方法において、少なくとも、バインダー樹脂と、着色剤と、上記のポリヒドロキシアルカノエートを有する荷電制御剤を含有してなる静電荷像現像トナーを使用することを特徴とする画像形成方法である。
【0101】
本発明の画像形成方法における、「静電潜像担持体上のトナー像を被記録材へ転写する転写工程」は、「静電潜像担持体上のトナー像を中間の転写体に転写する」第1の転写工程と、「該中間の転写体上のトナー像を被記録材に転写する」第2の転写工程を含んでいても良い。
【0102】
また更に本発明は、外部より帯電部材に電圧を印加して静電潜像担持体に帯電を行なう手段と、帯電された静電潜像担持体に静電荷像を形成する手段と、該静電荷像を静電荷像現像トナーにより現像してトナー像を静電潜像担持体上に形成する現像手段と、静電潜像担持体上のトナー像を被記録材へ転写する転写手段と、被記録材上のトナー像を加熱定着する加熱定着手段とを有する画像形成装置において、少なくとも、バインダー樹脂と、着色剤と、上記のポリヒドロキシアルカノエートを有する荷電制御剤を含有してなる静電荷像現像トナーを使用することを特徴とする画像形成装置である。
【0103】
本発明の画像形成装置における、「静電潜像担持体上のトナー像を被記録材へ転写する転写手段」は、「静電潜像担持体上のトナー像を中間の転写体に転写する」第1の転写手段と、「該中間の転写体上のトナー像を被記録材に転写する」第2の転写手段を含んでいても良い。
【0104】
【発明の実施の形態】
〔PHAの製造〕
(微生物)
本発明の方法で用いる微生物は、化学式(14)に示す化合物を含む培地中で培養することにより化学式(1)に示すユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートを生産しうる微生物であれば如何なる微生物であってもよいが、その一例としては、シュードモナス(Pseudomonas)属に属する微生物が挙げられる。さらに詳しくは、微生物がシュードモナス・チコリアイ YN2株(Pseudomonas cichorii YN2;FERM BP−7375)、シュードモナス・チコリアイ H45株(Pseudomonas cichorii H45、FERM BP−7374)、シュードモナス・ジェッセニイ P161株(Pseudomonas jessenii P161、FERM BP−7376)、シュードモナス・プチダ P91株(Pseudomonas putida P91、FERM BP−7373)が挙げられる。これら4種の微生物は独立行政法人 産業技術総合研究所(旧 経済産業省 工業技術院)生命工学工業技術研究所に寄託されており、特願平11−371863号(特開2001−178484号公報)に記載されている微生物である。
【0105】
(培養工程)
本発明にかかるPHAの製造方法に用いる微生物の通常の培養、例えば、保存菌株の作成、PHAの生産に必要とされる菌数や活性状態を確保するための増殖などには、用いる微生物の増殖に必要な成分を含有する培地を適宜選択して用いる。例えば、微生物の生育や生存に悪影響を及ぼすものでない限り、一般的な天然培地(肉汁培地、酵母エキスなど)や、栄養源を添加した合成培地など、いかなる種類の培地をも用いることができる。温度、通気、攪拌などの培養条件は、用いる微生物に応じて適宜選択する。
【0106】
前記したようなPHA生産微生物を用いて、目的とするポリヒドロキシアルカノエートを製造するためには、PHA生産用の原料として、該モノマーユニットに対応する、上記化学式(14)に示す化合物と、微生物の増殖用炭素源とを少なくとも含んだ無機培地などを用いることができる。上記化学式(14)に示す化合物は、培地あたり 0.01%から1%(w/v)、更に好ましくは 0.02%から 0.2%の割合で含有していることが望ましい。水溶性は必ずしも良好ではないが、本発明に示す微生物を用いれば、懸濁された状態であっても何ら問題は無い。また、場合によっては1−ヘキサデセンや n−ヘキサデカンのような溶媒に溶解或いは懸濁された形で培地中に含有されることも可能である。この場合、該溶媒の濃度は培地溶液に対して3%以下にすることが必要である。
【0107】
増殖用基質としては、酵母エキスやポリペプトン、肉エキスといった栄養素を用いることが可能であり、更に、糖類、TCA回路中の中間体として生じる有機酸、或いはTCA回路から更に1段階ないしは2段階の生化学反応により得られる有機酸或いはその塩、アミノ酸或いはその塩、炭素数4から 12の直鎖アルカン酸或いはその塩等、から用いる菌株に対する基質としての有用性で適宜選択することができる。
【0108】
これらのうち、糖類としては、グリセロアルデヒド、エリスロース、アラビノース、キシロース、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトースといったアルドース、
グリセロール、エリスリトール、キシリトール等のアルジトール、
グルコン酸等のアルドン酸、
グルクロン酸、ガラクツロン酸等のウロン酸、
マルトース、スクロース、ラクトースといった二糖等
から選ばれる1つ以上の化合物が好適に利用できる。
【0109】
また、有機酸或いはその塩としては、ピルビン酸、リンゴ酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、オキサロ酢酸、イソクエン酸、ケトグルタル酸、フマル酸或いはその塩から選ばれる1つ以上の化合物が好適に利用できる。
【0110】
また、アミノ酸或いはその塩としては、グルタミン酸、アスパラギン酸或いはその塩から選ばれる1つ以上の化合物が好適に利用できる。
【0111】
これらの中では、ポリペプトンや糖類を用いるのが好ましく、また糖類の中ではグルコース、フルクトース、マンノースからなる群から選択される少なくとも一つであることがより好ましい。これらの基質は通常培地あたり 0.1%から5%(w/v)、更に好ましくは 0.2%から2%の割合で含有していることが望ましい。
【0112】
微生物にPHAを生産・蓄積させる方法としては、一旦十分に増殖させて後に、塩化アンモニウムのような窒素源を制限した培地へ菌体を移し、目的ユニットの基質となる化合物を加えた状態で更に培養すると生産性が向上する場合がある。具体的には、前記の工程を複数段接続した多段方式の採用が挙げられる。
【0113】
例えば、化学式(14)に示す化合物、及びポリペプトンを含む培地中で微生物を培養する工程(工程1−1)を対数増殖後期から定常期の時点まで続け、菌体を遠心分離等で回収したのち、これに続く、化学式(14)に示す化合物と有機酸或いはその塩とを含む培地中で、工程1−1で培養された微生物を更に培養する工程(工程2−1)を行なう方法、
あるいは、化学式(14)に示す化合物、及び糖類を含む培地中で微生物を培養する工程(工程1−2)を対数増殖後期から定常期の時点まで続け、菌体を遠心分離等で回収したのち、これに続く、化学式(14)に示す化合物と糖類とを含む培地中で、工程1−2で培養された微生物を更に培養する工程(工程2−2)を行なう方法等である。
【0114】
これらの培養方法の場合、2段階目の培養(工程2−1及び2−2)に用いる培地は、窒素源となる化合物を著しく制限するか、或いは含有しない状態にすることにより、該ポリヒドロキシアルカノエートの生産量を増大せしめることが可能な場合もある。
【0115】
培養温度としては上記の菌株が良好に増殖可能な温度であれば良く、例えば 15〜40℃、好ましくは 20〜35℃、更に好ましくは 20℃から 30℃程度が適当である。
【0116】
培養は液体培養、固体培養等該微生物が増殖し、PHAを生産する培養方法ならいかなる培養方法でも用いることができる。さらに、バッチ培養、フェドバッチ培養、半連続培養、連続培養等の種類も問わない。液体バッチ培養の形態としては、振とうフラスコによって振とうさせて酸素を供給する方法、ジャーファーメンターによる攪拌通気方式の酸素供給方法がある。
【0117】
上記の培養方法に用いる無機培地としては、リン源(例えば、リン酸塩など)、窒素源(例えば、アンモニウム塩、硝酸塩など)等、当該微生物の増殖に必要な成分を含んでいるものであればいかなるものでも良く、例えば、MSB培地、M9培地等を挙げることができる。
【0118】
本発明の一方法に用いた無機塩培地(M9培地)の組成を以下に示す。
【0119】
[M9培地]
NaHPO 6.2g
KHPO 3.0g
NaCl 0.5g
NHCl 1.0g
(培地1リットル中、pH 7.0)
更に、良好な増殖及びPHAの生産のためには、上記の無機塩培地に以下に示す微量成分溶液を 0.3%(v/v)程度添加する必要がある。
【0120】
[微量成分溶液]
ニトリロ三酢酸: 1.5g ;MgSO: 3.0g ;
MnSO: 0.5g ;NaCl: 1.0g ;FeSO: 0.1g ;
CaCl: 0.1g ;CoCl: 0.1g ;ZnSO: 0.1g ;
CuSO: 0.1g ;AlK(SO: 0.1g ;
BO: 0.1g ;NaMoO: 0.1g ;NiCl: 0.1g
(溶液1リットル中)
(分離工程)
本発明において、上記のように培養された微生物細胞から目的のPHAを分離する方法としては、通常行なわれている方法を適用することができる。例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、アセトンなどの有機溶媒による抽出が最も簡便ではあるが、それ以外にジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリルが用いられる場合もある。また、有機溶媒が使用しにくい環境中においては、SDS等の界面活性剤による処理、リゾチーム等の酵素による処理、EDTA等の薬剤による処理によって、或いは超音波破砕法、ホモジナイザー法、圧力破砕法、ビーズ衝撃法、摩砕法、擂潰法、凍結融解法のいずれかの方法を用いて微生物細胞を物理的に破砕することによって、PHA以外の菌体成分を除去して、PHAを回収する方法を用いることもできる。
【0121】
なお、本発明の微生物の培養、本発明の微生物によるPHAの生産と菌体への蓄積、並びに、本発明における菌体からのPHAの回収は、上記の方法に限定されるものではない。
【0122】
また、本発明のPHAの製造方法として、その前駆体となるPHAを化学的に処理する方法がある。以下その方法について述べる。
【0123】
(スルホン化法)
本発明のPHAのうち、特に化学式(20)に示す3−ヒドロキシ−[(4−スルホフェニル)スルファニル]アルカン酸ユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートを製造する方法としては、化学式(19)に示す3−ヒドロキシ−(フェニルスルファニル)アルカン酸ユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートを、クロロ硫酸によりスルホン化する工程を用いる方法がある。
【0124】
【化101】
Figure 0003592306
(xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。)
【0125】
【化102】
Figure 0003592306
(但し、R”は「OH、ONa、OK」から任意に選択される。
また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。)
具体的には、化学式(12)に示す3−ヒドロキシ−(フェニルスルファニル)アルカン酸ユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートをクロロホルム等の溶媒に溶解し、氷冷中でクロロ硫酸を滴下することにより3−ヒドロキシ−(フェニルスルファニル)アルカン酸ユニットの芳香環4位(パラ位)を選択的にスルホン化することができる。更に反応が進めば、2位或いは6位(オルト位)にもスルホン基が導入される可能性がある。
【0126】
この場合、クロロ硫酸の滴下量としては、ポリマー1gあたり 0.5mLから5mL程度が好ましい。反応温度は、前記したように−20 から 20℃程度で行なうことが好ましく、−10 から 10℃程度で行なうことがより好ましい。
【0127】
本法において、化学式(19)に示す3−ヒドロキシ−(フェニルスルファニル)アルカン酸ユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートは、化学式(21)に示す(フェニルスルファニル)アルカン酸の少なくとも一種類以上を含む培地中で微生物を培養する工程を含む方法で製造することも可能である。
【0128】
【化103】
Figure 0003592306
(xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数である。)
本法で用いる微生物、微生物の培養、微生物によるPHAの生産と菌体への蓄積、並びに、菌体からのPHAの回収方法は、上記の方法と同様である。この様な方法で、例えば、化学式(4)に示す3−ヒドロキシ−5−(フェニルスルファニル)吉草酸ユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートから、化学式(9)に示す、3−ヒドロキシ−5−[(4−スルホフェニル)スルファニル]吉草酸ユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造することが可能である。
【0129】
【化104】
Figure 0003592306
【0130】
【化105】
Figure 0003592306
(ブロモ基、ビニル基とベンゼンチオールとの反応)
化学式(1)に示すユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法として、化学式(22)に示す、3−ヒドロキシ−ω−ブロモアルカン酸ユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートと、化学式(23)に示す、置換ベンゼンチオールを反応させる工程を含む方法がある。
【0131】
【化106】
Figure 0003592306
(xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。)
【0132】
【化107】
Figure 0003592306
但し、Rは「水素原子、ハロゲン原子、CN、NO、COOR’、SOR”、(R’:H、Na、K、CH、C;R”:OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH、OC)、CH、C、C、C(CHH、C(CH」から任意に選択される。
【0133】
【化108】
Figure 0003592306
但し、Rは「水素原子、ハロゲン原子、CN、NO、COOR’、SOR”、(R’:H、Na、K、CH、C;R”:OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH、OC)、CH、C、C、C(CHH、C(CH」から任意に選択される。
また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。。
ここでRが水素原子であり、かつxが2および4の2つのユニットが分子鎖中に同時に存在し、かつこれらの2つのユニットのみからなるポリヒドロキシアルカノエートを除く。
【0134】
反応は塩基性の条件下で行なうことが好ましく、より詳細には、化学式(22)に示す、3−ヒドロキシ−ω−ブロモアルカン酸ユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートの溶液をアセトンに溶解し、炭酸カリウムの存在下、より好ましくは更にヨウ化ナトリウムの共存下で化学式(23)に示す、置換ベンゼンチオールを反応させる方法、或いは化学式(22)に示す、3−ヒドロキシ−ω−ブロモアルカン酸ユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートの溶液をジメチルホルムアミド(以下DMFと略す場合もある)に溶解し、ジエチルアミンの存在下で化学式(23)に示す、置換ベンゼンチオールを反応させる方法がある。
【0135】
この場合、反応させる置換ベンゼンチオールの量は3−ヒドロキシ−ω−ブロモアルカン酸ユニットと等モル量から2倍モル量相当が適当である。反応温度は 15℃から 30℃程度が好ましい。
【0136】
本法において、化学式(22)に示す、3−ヒドロキシ−ω−ブロモアルカン酸ユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートは、化学式(24)に示すω−ブロモアルカン酸の少なくとも一種類以上を含む培地中で微生物を培養する工程を含む方法で製造することも可能である。
【0137】
【化109】
Figure 0003592306
(xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数である。)
本法で用いる微生物、微生物の培養、微生物によるPHAの生産と菌体への蓄積、並びに、菌体からのPHAの回収方法は、上記の方法と同様である。
【0138】
この様な方法で、例えば、化学式(25)に示す、3−ヒドロキシ−8−ブロモオクタン酸ユニット、化学式(26)に示す、3−ヒドロキシ−6−ブロモヘキサン酸ユニットの少なくとも一方を含むポリヒドロキシアルカノエートと、化学式(27)に示す、4−メルカプト安息香酸から、化学式(10)に示す、3−ヒドロキシ−8−[(4−カルボキシフェニル)スルファニル]オクタン酸ユニット、化学式(11)に示す、3−ヒドロキシ−6−[(4−カルボキシフェニル)スルファニル]ヘキサン酸ユニットの少なくとも一方を分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートの製造が可能となる。
【0139】
【化110】
Figure 0003592306
【0140】
【化111】
Figure 0003592306
【0141】
【化112】
Figure 0003592306
更に、化学式(29)に示すユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法として、化学式(28)に示す、3−ヒドロキシ−ω−アルケン酸ユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートと、化学式(23)に示す、置換ベンゼンチオールを反応させる工程を含む方法がある。
【0142】
【化113】
Figure 0003592306
(pは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。)
【0143】
【化114】
Figure 0003592306
但し、Rは「水素原子、ハロゲン原子、CN、NO、COOR’、SOR”、(R’:H、Na、K、CH、C;R”:OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH、OC)、CH、C、C、C(CHH、C(CH」から任意に選択される。
【0144】
【化115】
Figure 0003592306
但し、Rは「水素原子、ハロゲン原子、CN、NO、COOR’、SOR”、(R’:H、Na、K、CH、C;R”:OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH、OC)、CH、C、C、C(CHH、C(CH」から任意に選択される。
また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
ここでRが水素原子であり、かつxが2および4の2つのユニットが分子鎖中に同時に存在し、かつこれらの2つのユニットのみからなるポリヒドロキシアルカノエートを除く。
【0145】
本反応の進行には、過酸化ジアシル化合物のような遊離基重合開始剤が必要であり、より詳細には、化学式(28)に示す、3−ヒドロキシ−ω−アルケン酸ユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートをクロロホルム等の溶媒に溶解し、過酸化ベンゾイル(以下BPOと略す場合もある)の存在下で化学式(23)に示す、置換ベンゼンチオールを反応させる方法がある。
【0146】
この場合、反応させる置換ベンゼンチオールの量は3−ヒドロキシ−ω−ブロモアルカン酸ユニットと等モル量から2倍モル量相当が適当である。反応温度は溶媒が還流される温度、例えばクロロホルムの場合では 70℃程度が好ましい。
【0147】
本法において、化学式(28)に示す、3−ヒドロキシ−ω−アルケン酸ユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートは、化学式(30)に示すω−アルケン酸の少なくとも一種類以上を含む培地中で微生物を培養する工程を含む方法で製造することも可能である。
【0148】
【化116】
Figure 0003592306
(pは化学式中に示した範囲から選ばれた整数である。)
本法で用いる微生物、微生物の培養、微生物によるPHAの生産と菌体への蓄積、並びに、菌体からのPHAの回収方法は、上記の方法と同様である。
【0149】
〔電荷像現像用トナー用荷電制御剤への応用〕
また本発明者らは、環境の保全等への寄与が高く、かつ高性能である荷電制御剤を開発すべく鋭意検討を行なった結果、上記のポリヒドロキシアルカノエートが荷電制御剤としてきわめて優れた特性を有し、かつ、人体や環境に対する安全性が高いことを見出し、さらには、該荷電制御剤を含有する静電荷像現像用トナー及び該静電荷像現像用トナーを一定の現像システムを有する画像形成装置に使用した場合に著しい効果があることを見出し本発明が完成した。
【0150】
即ち、本発明は上記のポリヒドロキシアルカノエートを含有してなる荷電制御剤であり、更には該荷電制御剤を含有してなる静電荷像現像用トナーである。更には上記の静電荷像現像用トナーを、外部より帯電部材に電圧を印加し、静電潜像担持体を均一に帯電させる帯電工程と、静電潜像担持体上にトナー像を形成する現像工程と、静電潜像担持体上のトナー像を中間の転写体を介して、または、介さずに被転写材へ転写する転写工程と、被転写材上のトナー像を熱によって定着する加熱定着工程とを有する画像形成方法であり、また該方法の各工程に対応する各手段、すなわち帯電手段、現像手段、転写手段、加熱定着手段を有する画像形成装置である。
【0151】
ここで、本発明で使用するポリヒドロキシアルカノエートは生分解性樹脂としての基本骨格を有しており、それゆえ、従来のプラスチックと同様、溶融加工等により各種製品の生産に利用することができるとともに、石油由来の合成高分子とは異なり、生物により分解され、自然界の物質循環に取り込まれるという際立った特性を有している。そのため、燃焼処理を行なう必要もなく、大気汚染や地球温暖化を防止するという観点でも有効な材料であり、環境保全を可能とするプラスチックとして利用することができる。
【0152】
(適したPHA)
本発明の静電荷像現像用トナーに使用する、帯電制御剤として好適なポリヒドロキシアルカノエートについて具体的に説明する。
【0153】
本発明において使用するポリヒドロキシアルカノエートは、3−ヒドロキシアルカノエートをモノマー単位とするポリエステル樹脂であって、化学式(1)に示すユニットのうちの少なくとも1種類のユニットを有するポリヒドロキシアルカノエートである。更に、化学式(1)に示すユニット以外に、直鎖の3−ヒドロキシアルカノエート及び側鎖に不飽和結合を含んだ3−ヒドロキシアルケノエートを同時に或いは独立して含んでいても良い。
【0154】
【化117】
Figure 0003592306
(但し、Rは「COOR’(R’:H、Na、K、CH、C)、SOR”(R”:OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH、OC)」から任意に選択される。
また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。)
ここで、このような化合物を微生物により生産する工程を含んだ方法で製造した場合、上記ポリヒドロキシアルカノエートはR体のみからなるアイソタクチックなポリマーであるが、物性/機能の両面において本発明の目的を達成しうるならば、特にアイソタクチックなポリマーである必要はなく、アタクチックなポリマーについても利用することが可能である。また、ラクトン化合物の開環重合などを利用した化学合成を工程に含んだ方法によって上記ポリヒドロキシアルカノエートを得ることも可能である。
【0155】
また、本発明の荷電制御剤として用いるポリヒドロキシアルカノエートの製造方法例については上述の通りである。
【0156】
本発明において使用するポリヒドロキシアルカノエートの構造で重要なことは、化学式(1)に示すモノマーユニットのように側鎖にフェニルスルファニル構造を有し、芳香環部分にスルホン酸或いはその誘導体、カルボン酸或いはその誘導体が置換された構造を有していることである。これらアニオン性或いは電子吸引性の官能基を有するユニットが、負帯電性をさらに向上させるためには好ましく、実際、本発明の荷電制御剤は優れた負帯電性を有するものである。
【0157】
本発明において使用するポリヒドロキシアルカノエートはバインダー樹脂に対する相溶性が良好であり、特にはポリエステル系のバインダー樹脂に対する相溶性がきわめて良好である。本発明のポリヒドロキシアルカノエートを含有せしめたトナーは比帯電量が高く、その経時安定性も良好であることから、トナーを長時間保存しても静電記録の画像形成において安定して鮮明な画像を与え、また、無色の負の帯電性能をもつため、黒色の負帯電トナーおよびカラートナー何れについても製出することが出来る。
【0158】
さらに、本発明のポリヒドロキシアルカノエートを構成するモノマーユニットの種類/組成比を適宜選択することにより、幅広い相溶性の制御が可能である。ここで、荷電制御剤がトナーバインダー中でミクロ相分離構造をとるよう樹脂組成を選択すると、トナーの電気的連続性が生じないため安定に電価を保持することが可能となる。また、本発明のポリヒドロキシアルカノエートは重金属を含まないため、懸濁重合法や乳化重合法でトナーを作成する際には、含金属の荷電制御剤で見られるような重金属による重合禁止作用がないので、安定してトナーを製出することが出来る。
【0159】
<PHAのトナーへの添加>
本発明において、上記した化合物をトナーに含有させる方法としては、トナーに内添する方法とトナーに外添する方法がある。内添する場合の添加量は、トナーバインダーと該荷電制御剤の質量割合として、通常 0.1〜50質量%、好ましくは 0.3〜30質量%、さらに好ましくは 0.5〜20質量%の範囲で使用するのがより好ましい。0.1質量%よりも少ないと、トナーの帯電性における改良の度合いが顕著にみられず好ましくない。一方、50質量%を超えると、経済的な観点から好ましくない。また、外添する場合には、トナーバインダーと該荷電制御剤の質量割合は 0.01〜5質量%とすることが好ましく、特に、メカノケミカル的にトナー表面に固着させるのが好ましい。更に、本発明のポリヒドロキシアルカノエートは、公知の荷電制御剤と組み合わせて使用することもできる。
【0160】
本発明のポリヒドロキシアルカノエートの数平均分子量は、通常 1,000〜500,000 であり、好ましくは 1,000〜300,000 である。1,000 未満ではトナーバインダーに完全相溶し不連続なドメインを形成しにくくなるために帯電量不足となるとともに、トナーの流動性に悪影響を与える。また、500,000 を超えるとトナー中に分散させるのが困難となる。
【0161】
本発明のポリヒドロキシアルカノエートの分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した。具体的なGPCの測定方法としては、予め上記ポリヒドロキシアルカノエートを 0.1質量%LiBr含有ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し多サンプルを同様の移動相で測定し、標準ポリスチレン樹脂の検量線から分子量分布を求めた。
【0162】
また、本発明においては、上記のようにして測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比率(Mw/Mn)が、1〜10 の範囲内にある上記ポリヒドロキシアルカノエートを使用することが好ましい。
【0163】
本発明において使用するポリヒドロキシアルカノエートは、20〜150℃、特に 40〜150℃の融点を持つか、または融点は持たないが 20〜150℃、特に 40〜150℃のガラス転移点を持つことが好ましい。上記融点が 20℃未満または融点を持たずガラス転移点が 20℃未満の場合は、トナーの流動性や、保存性に悪影響を与えやすい。また、融点が 150℃を超えるかまたは融点を持たずガラス転移点が 150℃を超える場合は、荷電制御剤をトナー中に混練することが困難になり、帯電量分布が広くなりやすい。
【0164】
この場合における融点Tmおよびガラス転移点Tg の測定には、例えば、パーキンエルマー社製のDSC−7のような高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計を用いて測定を行なえばよい。
【0165】
本発明のトナーバインダーおよび静電荷像現像トナーにおいて、トナーバインダーと該荷電制御剤の質量割合は、通常 0.1〜50質量%、好ましくは 0.3〜30質量%、さらに好ましくは 0.5〜20質量%である。本発明の静電荷像現像トナーの組成比は、トナー質量に基づき、通常、前記荷電制御剤が 0.1〜50質量%、トナーバインダーが 20〜95質量%、着色材料が0〜15質量%であり、必要により磁性粉(鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性金属の粉末もしくはマグネタイト、ヘマタイト、フェライトなどの化合物)を着色材料としての機能を兼ねて 60質量%以下含有していてもよい。さらに種々の添加剤(滑剤(ポリテトラフルオロエチレン、低分子量ポリオレフィン、脂肪酸、もしくはその金属塩またはアミドなど)および他の荷電制御剤(含金属アゾ染料、サリチル酸金属塩など)など)を含有させることができる。また、トナーの流動性改良のために疎水性コロイダルシリカ微粉末等を用いることもできる。これら添加剤の量はトナー質量に基づき通常 10質量%以下である。
【0166】
本発明のトナーにおいては、トナーバインダーの少なくとも一部が連続相を形成しており、荷電制御剤の少なくとも一部が不連続なドメインを形成していることが好ましい。不連続なドメインを形成せずにトナーバインダー中に荷電制御剤が完全相溶する場合と比較して、添加した荷電制御剤がトナー表面に露出しやすくなり、少量の添加で効果を発現する。また、該ドメインの分散粒径は、好ましくは 0.01〜4μmであり、さらに好ましくは 0.05〜2μmである。4μmを超えると分散性が不充分であり、帯電量分布が広くなるとともに、トナーの透明性が悪くなる問題が生じる。また、分散粒径が 0.01μm未満では、不連続なドメインを形成せずにトナーバインダー中に完全相溶する場合と同様であり、多量の荷電制御剤の添加が必要となる。前記荷電制御剤の少なくとも一部が不連続なドメインを形成していること、およびその分散粒径は、透過型電子顕微鏡などでトナーの切片を観察することで確認できる。界面を明瞭に観察するために、四酸化ルテニウム、四酸化オスニウムなどでトナー切片を染色した後に電子顕微鏡観察をすることも有効である。
【0167】
また、本発明のポリヒドロキシアルカノエートが形成する不連続なドメインの粒径を小さくする目的で、本発明のポリヒドロキシアルカノエートに対して相溶性を有しかつトナーバインダーに対しても相溶性を有する重合体を相溶化剤として含有させることもできる。相溶化剤としては、本発明のポリヒドロキシアルカノエートの構成単量体と実質的に同じ構造を有する単量体を 50モル%以上含有する重合体鎖と、トナーバインダーの構成単量体と実質的に同じ構造を有する単量体を 50モル%以上含有する重合体鎖がグラフト状またはブロック状に結合した重合体などが挙げられる。相溶化剤の使用量は本発明のポリヒドロキシアルカノエートに対して、通常 30質量%以下であり、好ましくは1〜10質量%である。
【0168】
<他の構成材料>
以下、本発明の静電荷像現像用トナーを構成するその他の構成材料について説明する。
【0169】
(バインダー樹脂)
先ず、バインダー樹脂としては、通常、トナーを製造する際に用いられているものであればいずれも使用することができ、特に限定されない。また、本発明の荷電制御剤は、トナーとする前にバインダー樹脂とあらかじめ混合し、荷電制御能をもつ本発明のトナーバインダー組成物として用いることができる。例えば、バインダー樹脂としては、スチレン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、エポキシ系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマーおよびポリウレタン系ポリマーなどが挙げられ、単独または混合して使用することができる。
【0170】
スチレン系ポリマーとしては、スチレンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体およびこれらと共重合可能な他の単量体の共重合体、スチレンとジエン系単量体(ブタジエン、イソプレンなど)との共重合体およびこれらと共重合可能な他の単量体の共重合体などが挙げられる。ポリエステル系ポリマーとしては芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールのアルキレンオキサイド付加物との重縮合物などが挙げられる。エポキシ系ポリマーとしては芳香族ジオールとエピクロルヒドリンとの反応物およびこれの変性物などが挙げられる。ポリオレフィン系ポリマーとしてはポリエチレン、ポリプロピレンおよびこれらと他の共重合可能な単量体との共重合体鎖などが挙げられる。ポリウレタン系ポリマーとしては芳香族ジイソシアネートと芳香族ジオールのアルキレンオキサイド付加物との重付加物などが挙げられる。
【0171】
本発明において用いられるバインダー樹脂の具体例としては、以下に挙げる重合性単量体の重合体、または、これらの混合物、或いは、以下に挙げる重合性単量体を2種類以上使用して得られる共重合生成物が挙げられる。このようなものとしては、具体的には、例えば、スチレン−アクリル酸共重合体、或いはスチレン−メタクリル酸系共重合体などのスチレン系ポリマー、さらにはポリエステル系ポリマー、エポキシ系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマーおよびポリウレタン系ポリマー等が挙げられ、好ましく使用できる。
【0172】
重合性単量体の具体例としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの如きスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きエチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、弗化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸若しくはメタクリル酸誘導体;前述のα,β−不飽和酸のエステル、二塩基酸のジエステル類;マレイン酸、マレイン酸メチル、マレイン酸ブチル、マレイン酸ジメチル、フタル酸、コハク酸、テレフタル酸などのジカルボン酸類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA等のポリオール化合物;p−フェニレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート等のイソシアネート類;エチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、1,4−ジアミノベンゼン、1,4−ジアミノブタン、モノエタノールアミン等のアミン類;ジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物等が挙げられる。
【0173】
(架橋剤)
本発明において使用するバインダー樹脂を形成する場合、必要に応じて下記に挙げるような架橋剤を用いることもできる。例えば、2官能の架橋剤として、ジビニルベンゼン、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600 の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート(MANDA日本化薬)、及び以上のアクリレートをメタクリレートに変えたもの等が挙げられる。
【0174】
2官能以上の多官能の架橋剤としては、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びそのメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシ、ポリエトキシフェニル)プロパン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルアソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリールクロレンデート等が挙げられる。
【0175】
(重合開始剤)
また、本発明において使用するバインダー樹脂を形成する場合には、下記に挙げるような重合開始剤を必要に応じて用いることができる。例えば、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クミンパーピバレート、t−ブチルパーオキシラウレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,4−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バリレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、ジ−t−ブチルパーオキシα−メチルサクシネート、ジ−t−ブチルパーオキシジメチルグルタレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼラート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジエチレングリコール−ビス(t−ブチルパーオキシカーボネート)、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、トリス(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、ビニルトリス(t−ブチルパーオキシ)シラン等が挙げられる。これらが単独或いは併用して使用できる。その使用量はモノマー 100質量部に対し、0.05質量部以上(好ましくは 0.1〜15質量部)の濃度で用いられる。
【0176】
(他の生分解性プラスチック)
さらに本発明においては、生分解性プラスチックについても好ましく使用できる。生分解性プラスチックとしては、「エコスター」「エコスタープラス」(萩原工業)「バイオポール」(アイ・シー・アイ・ジャパン)「アジコート」(味の素)「プラクセル」「ポリカプロラクトン」(ダイセル化学)「ショーレックス」「ビオノーレ」(昭和電工)「ラクティ」(島津製作所)「レイシア」(三井化学)等が挙げられる。
【0177】
これらのバインダー樹脂と本発明の荷電制御剤の組合せは、バインダー樹脂の高分子の構造と荷電制御剤のポリマー鎖の高分子構造とができるだけ類似していることが好ましい。バインダー樹脂の高分子構造と荷電制御剤のポリマー鎖の高分子構造が大きく異なるとバインダー樹脂中への荷電制御剤の分散が不十分になりやすい。
【0178】
本発明の荷電制御剤をバインダー樹脂に内添する質量割合は、通常 0.1〜50質量%、好ましくは 0.3〜30質量%、さらに好ましくは、0.5〜20質量%である。ここで、内添する荷電制御剤の質量割合が 0.1質量%未満であると、帯電量が低く、50質量%を超えるとトナーの帯電安定性が悪くなる。
【0179】
<着色剤>
本発明の静電荷像現像用トナーを構成する着色剤としては、通常、トナーを製造する際に用いられているものであればいずれも使用でき、特に限定されるものではない。例えば、カーボンブラック、チタンホワイト、その他あらゆる顔料及び/または染料を用いることができる。
【0180】
例えば、本発明の静電荷像現像用トナーを磁性カラートナーとして使用する場合には、着色剤としては、例えば、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド 30、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー 15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6等がある。顔料としては、黄鉛、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等を使用することができる。
【0181】
また、本発明の静電荷像現像用トナーを二成分フルカラー用トナーとして使用する場合には、着色剤として次の様なものを使用することができる。例えば、マゼンタ色トナー用の着色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、49、50、51、52、53、54、55、57、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、163、202、206、207、209、C.I.ピグメントバイオレット 19、C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35 等が挙げられる。
【0182】
本発明においては、上記に挙げた顔料を単独で使用しても構わないが、染料と顔料とを併用して、その鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。その場合に使用し得るマゼンタ用染料としては、C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27、C.I.ディスパースバイオレット1等の油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40、C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28 等の塩基性染料が挙げられる。
【0183】
その他の着色顔料としては、シアン用着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー2、3、15、16、17、C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー 45、または、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料等が挙げられる。
【0184】
イエロー用着色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、65、73、83、C.I.バットイエロー1、3、20 等が挙げられる。
【0185】
上記したような染料及び顔料は、単独で使用してもよく、さもなければ、所望とするトナーの色調を得るために任意に混合して使用してもよい。なお、環境保全や人体に対する安全性などを考慮した場合には、各種の食用色素を好適に使用できる。上記したような着色剤のトナー中の含有量は、所望とする着色効果などに応じて広く変更することが可能である。通常、最も良好なトナー特性を得るため、すなわち、印字の着色力、トナーの形状安定性、トナーの飛散などを考慮した場合、これらの着色剤は、通常、バインダー樹脂 100質量部に対して、0.1〜60質量部好ましくは 0.5〜20質量部程度の割合で使用される。
【0186】
<トナーの他の成分>
本発明の静電荷像現像用トナー中には、上記したバインダー樹脂及び着色剤成分の他に、本発明の効果に悪影響を与えない範囲で(バインダー樹脂成分の含有量より少ない割合で)以下の化合物を含有させてもよい。例えば、シリコーン樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、低分子量ポリエチレンまたは低分子量ポリプロピレンの如き脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、及び、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等である。これらの中でも好ましく用いられるワックス類としては、具体的には、低分子量ポリプロピレン及びこの副生成物、低分子量ポリエステル及びエステル系ワックス、脂肪族の誘導体が挙げられる。これらのワックスから、種々の方法によりワックスを分子量により分別したワックスも本発明に好ましく用いられる。また、分別後に酸価やブロック共重合、グラフト変性を行なってもよい。
【0187】
特に、本発明の静電荷像現像用トナーにおいては、上記したようなワックス成分を含み、しかも透過型電子顕微鏡(TEM)を用いてトナーの断層観察を行なった場合に、これらのワックス成分が、バインダー樹脂中に実質的に球状及び/または紡錘形の島状に分散されている場合に優れた特性のトナーとなる。
【0188】
<トナーの作成方法>
上記のような構成を有する本発明の静電荷像現像用トナーを作製する具体的な方法としては、従来公知の方法をいずれも用いることができる。本発明の静電荷像現像用トナーは、例えば、下記の工程によってトナーを得る、所謂粉砕法によって作製できる。即ち、具体的には、上記ポリヒドロキシアルカノエートと、バインダー樹脂等の樹脂類、その他、必要に応じて添加されるワックスを、ヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合器により充分混合してから、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融混練して樹脂類をお互いに相溶せしめた中に、着色剤としての顔料、染料、または磁性体、必要に応じて添加される金属化合物等の添加剤を分散または溶解せしめ、冷却固化後、ジェットミル、ボールミル等の粉砕機により固化物を粉砕した後、分級を行なって所望の粒径を有する本発明の静電荷像現像用トナーを得ることができる。尚、上記分級工程においては、生産効率上、多分割分級機を用いることが好ましい。
【0189】
また、バインダー樹脂と上記ポリヒドロキシアルカノエートを溶剤(トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、クロロホルム、エチレンジクロライドなどのハロゲン化物、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトンおよびジメチルホルムアミドなどのアミドなど)を用い、溶液混合し、攪拌処理後、水中に投じて再沈澱せしめ、濾過、乾燥後、ジェットミル、ボールミル等の粉砕機により固化物を粉砕した後、分級を行なって所望の粒径を有する本発明の静電荷像現像用トナーを得ることもできる。尚、上記分級工程においては、生産効率上、多分割分級機を用いることが好ましい。
【0190】
また、本発明の静電荷像現像用トナーは、下記のような所謂重合法によって作製することもできる。即ち、この場合には、上記ポリヒドロキシアルカノエートと、重合性単量体、着色剤としての顔料、染料、または磁性体、必要に応じて、架橋剤、重合開始剤、ワックス、その他の添加剤等の材料を混合分散し、界面活性剤等の存在下、水系分散媒体中で懸濁重合することにより重合性着色樹脂粒子を合成し、得られた粒子を固液分離した後、乾燥し、必要に応じて分級を行なって本発明の静電荷像現像用トナーを得ることができる。
【0191】
さらには、荷電制御剤を含まない着色微粒子を上記方法により調製し、次いで上記ポリヒドロキシアルカノエートを単独もしくはコロイダルシリカ等の外添剤と供にメカノケミカル的な方法等により粒子表面に固着添加することも出来る。
【0192】
(シリカ外添剤)
本発明においては、上記のような方法によって作製されたトナーに、帯電安定性、現像性、流動性、耐久性向上のため、シリカ微粉末を外添することが好ましい。この際に用いられるシリカ微粉末としては、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が 20m/g以上(特に 30〜400m/g)の範囲内のものが良好な結果を与える。この場合のシリカ微粉末の量としては、トナー粒子 100質量部に対して、シリカ微粉体を 0.01〜8質量部、好ましくは 0.1〜5質量部程度使用することが好ましい。この際に使用するシリカ微粉末としては、必要に応じて、疎水化及び帯電性コントロールの目的で、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他の有機ケイ素化合物の如き処理剤で処理されたものを使用することが好ましい。これらの処理剤は混合して使用してもよい。
【0193】
(無機粉体)
また、トナーの現像性及び耐久性を向上させるために、次に挙げるような無機粉体を添加することも好ましい。例えば、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、セリウム、コバルト、鉄、ジルコニウム、クロム、マンガン、ストロンチウム、錫、アンチモンの如き金属の酸化物;チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ストロンチウムの如き複合金属酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウムの如き金属塩;カオリンの如き粘土鉱物;アパタイトの如きリン酸化合物;炭化ケイ素、窒化ケイ素の如きケイ素化合物;カーボンブラックやグラファイトの如き炭素粉末が挙げられる。これらの中でも、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化コバルト、二酸化マンガン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグルシウムの微粉体を使用することが好ましい。
【0194】
(滑剤)
更に、下記に挙げるような滑剤粉末をトナーに添加してもよい。例えば、テフロン、ポリフッ化ビニリデンの如きフッ素樹脂;フッ化カーボンの如きフッ素化合物;ステアリン酸亜鉛の如き脂肪酸金属塩;脂肪酸、脂肪酸エステルの如き脂肪酸誘導体;硫化モリブデン等が挙げられる。
【0195】
<キャリアについて>
上記のような構成を有する本発明の静電荷像現像用トナーは、単独で非磁性一成分現像剤として使用されたり、磁性キャリアとともに磁性二成分現像剤を構成したりする非磁性トナーや、単独で磁性一成分トナーとして使用される磁性トナー等の、従来公知の種々のトナーに適用することができる。ここで二成分現像方法に用いる場合のキャリアとしては、従来知られているものをいずれも使用することができる。具体的には、表面酸化または未酸化の鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、希土類の如き金属及びそれらの合金または酸化物で形成される平均粒径 20〜300μmの粒子を、キヤリア粒子として使用できる。また、本発明において用いるキャリアは、上記したキャリア粒子の表面が、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル樹脂の如き物質によって付着または被覆されているものであることが好ましい。
【0196】
<磁性トナー>
本発明の静電荷像現像用トナーは、磁性材料をトナー粒子中に含有させ磁性トナーとしてもよい。この場合には、磁性材料に、着色剤の役割を兼ねさせることもできる。この際に使用される磁性材料としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライトの如き酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルのような金属或いはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属との合金及びその混合物が挙げられる。本発明において用いることのできるこれらの磁性材料としては、平均粒子径が2μm以下、好ましくは 0.1〜0.5μm程度のものが好ましい。トナー中に含有させる量としては、バインダー樹脂 100質量部に対し 20〜200質量部、特に好ましくは、バインダー樹脂 100質量部に対して 40〜150質量部とすることが好ましい。
【0197】
更に、高画質化を達成するためには、より微小な潜像ドットを忠実に現像することを可能にする必要があり、そのためには、例えば、本発明の静電荷像現像用トナー粒子の重量平均径が4μm〜9μmの範囲内となるように調整することが好ましい。即ち、重量平均径が4μm未満のトナー粒子では、転写効率の低下が生じ、感光体上に転写残トナーが多く残り易く、カブリ・転写不良に基づく画像の不均一ムラの原因となり易く、好ましくない。また、トナー粒子の重量平均径が9μmを超える場合には、文字やライン画像の飛び散りが生じ易い。
【0198】
本発明において、トナーの平均粒径及び粒度分布は、コールターカウンターTA−II型或いはコールターマルチサイザー(コールター社製)等を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びPC−9801 パーソナルコンピューター(NEC製)を接続して測定した。その際に使用する電解液として、1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。電解液としては、例えば、市販のISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)を使用することもできる。具体的な測定法としては、上記電解水溶液 100〜150mL中に、分散剤として界面活性剤(好ましくは、アルキルベンゼンスルフォン酸塩を使用する)を 0.1〜5mL加え、更に、測定試料を2〜20mg 加えて測定用試料とする。測定の際には、この測定試料が懸濁された電解液を超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行なった後、前記コールターカウンターTA−II型によりアパーチャーとして 100μmアパーチャーを用いて、2μm以上のトナーの体積、個数を測定し、体積分布と個数分布とを算出した。それから、本発明に係わる体積分布から求めた体積基準の重量平均粒径(D4)、個数分布から求めた個数基準の長さ平均粒径(D1)を求めた。
【0199】
<帯電量>
また、本発明の静電荷像現像用トナーは、単位質量あたりの帯電量(二成分法)が−10〜−80μC/g、より好ましくは−15〜−70μC/gであることが、電圧を印加した転写部材を用いる転写方法において転写効率を向上させる上で好ましい。
【0200】
本発明において使用した二成分法による帯電量(二成分トリボ)の測定法を以下に示す。測定には、図26 に示した帯電量測定装置を使用した。先ず、一定環境下、キャリアとしてEFV 200 / 300(パウダーテック社製)を用い、該キャリア 9.5gに対して、測定対象のトナー 0.5gを加えた混合物を、50〜100mL 容量のポリエチレン製の瓶に入れ、振幅を一定にした振とう機に設置して、振とう条件を、振幅 100mm、振とう速度1分間当たり100回往復に設定し、一定時間振とうする。次いで、図7に示した帯電量測定装置の底に 500メッシュのスクリーン 43 のある金属製の測定容器 42 に、前記混合物 1.0〜1.2gを入れて、金属製のフタ 44 をする。この時の測定容器 42 全体の質量を秤かりW1(g)とする。次に、不図示の吸引機(測定容器 22 と接する部分は少なくとも絶縁体)で吸引口 47 から吸引し、風量調節弁 46 を調節して真空計 45 の圧力が 2450Pa(250mmAq)になるようにする。この状態で一分間吸引を行なって、トナーを吸引除去する。この時の電位計 49 の電位をV(ボルト)とする。ここで 48 はコンデンサーであり容量をC(μF)とする。また、吸引後の測定機全体の質量を秤かりW2(g)とする。トナーの摩擦帯電量(μC/g)は、これらの測定値から、下式によって計算される。
摩擦帯電量(μC/g)=C×V/(W1−W2)
<バインダー樹脂の分子量分布>
また、本発明の静電荷像現像用トナーの構成材料に用いられるバインダー樹脂としては、特に、粉砕法で作製した場合に、GPCによる分子量分布において、低分子量領域におけるピークが 3,000〜15,000 の範囲にあるようにすることが好ましい。即ち、低分子量領域におけるGPCピークが 15,000 を超えると、転写効率の向上が充分なものが得られ難くなる場合がある。また、低分子量領域におけるGPCピークが 3000 未満のバインダー樹脂を用いると、表面処理時に融着を生じ易くなるので、好ましくない。
【0201】
本発明において、バインダー樹脂の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した。具体的なGPCの測定方法としては、予めトナーをTHF(テトラヒドロフラン)溶剤でソックスレー抽出器を用いて 20時間抽出を行なったサンプルを測定用に用い、カラム構成は、昭和電工製A−801、802、803、804、805、806、807 を連結し標準ポリスチレン樹脂の検量線を用い分子量分布を測定した。また、本発明においては、上記のようにして測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比率(Mw/Mn)が、2〜100 の範囲内にあるバインダー樹脂を使用することが好ましい。
【0202】
<トナーのガラス転移点>
更に、本発明のトナーは、適宜な材料を用いることによって、定着性、保存性の観点から、そのガラス転移点Tg が、40℃〜75℃、更に好ましくは、52℃〜70℃となるように調製されることが好ましい。この場合におけるガラス転移点Tgの測定には、例えば、パーキンエルマー社製のDSC−7のような高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計を用いて測定を行なえばよい。測定方法としては、ASTM D 3418−82 に準じて行なう。本発明においては、ガラス転移点Tgを測定する場合に、測定試料を1回昇温して全履歴をとった後、急冷し、再度、温度速度 10℃/min、温度0〜200℃の範囲で昇温させたときに測定されるDSC曲線を用いるとよい。
【0203】
<画像形成方法>
上記で説明した構成を有する本発明の静電荷現像用トナーは、少なくとも、外部より帯電部材に電圧を印加して、静電潜像担持体に帯電を行なう帯電工程と、帯電された静電潜像担持体に静電荷像を形成する工程と、該静電荷像をトナーにより現像してトナー像を静電潜像担持体上に形成する現像工程と、静電潜像担持体上のトナー像を被記録材へ転写する転写工程と、被記録材上のトナー像を加熱定着する加熱定着工程とを有する画像形成方法、或いは、転写工程が、静電潜像担持体上のトナー像を中間の転写体に転写する第1の転写工程と、該中間の転写体上のトナー像を被記録材に転写する第2の転写工程とからなる画像形成方法に適用することが特に好ましい。
【0204】
以下に実施例を示す。なお、以下における「%」は特に標記した以外は重量基準である。
【0205】
【実施例】
<無置換>
まず、5−フェニルスルファニル吉草酸を含む培地でPHA生産菌を培養して3−ヒドロキシ−5−(フェニルスルファニル)吉草酸ユニットを主成分とするPHAを製造した例を挙げる(実施例1〜9)。
【0206】
[実施例1]
ポリペプトン 0.5%及び5−フェニルスルファニル吉草酸 0.1%を含むM9培地 200mLに、寒天プレート状のYN2株のコロニーを植菌し、500mL容振とうフラスコで 30℃、30時間培養した。培養後、遠心分離により菌体を収穫し、メタノールで洗浄した後凍結乾燥した。乾燥菌体を秤量後、アセトンを加え、室温(約23℃)で 72時間攪拌することによりポリマーを抽出した。ポリマーが抽出されたアセトンをろ過し、エバポレーターにより濃縮した後、冷メタノールで沈殿固化した部分を集め、減圧乾燥して、目的とするポリマーを得た。乾燥菌体の重量は 215mg、得られたポリマーの重量は 76mgであった。
【0207】
得られたポリマーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した(東ソー HLC−8220 GPC、カラム:東ソー TSK−GEL SuperHM−H、溶媒:クロロホルム、ポリスチレン換算)。その結果、得られたポリマーはMn=150000,Mw=390000 であった。
【0208】
得られたポリマーの構造決定は、H−NMR及び 13C−NMRによって行なった(FT−NMR:Bruker DPX 400;H共鳴周波数: 400MHz;測定核種:H及び 13C;使用溶媒:CDCl;reference:キャピラリ封入TMS/CDCl;測定温度:室温)。H−NMR及び 13C−NMRスペクトルチャートをそれぞれ図1及び図2に示す。また、下記式(31)に示す各H及びC原子の帰属を、表1(H−NMR)及び表2(13C−NMR)に示す。
【0209】
【化118】
Figure 0003592306
【0210】
【表1】
Figure 0003592306
【0211】
【表2】
Figure 0003592306
H−NMRの帰属の結果、3−ヒドロキシ−5−(フェニルスルファニル)吉草酸ユニットは全体の少なくとも 93%以上は導入されていることが示された。
【0212】
[実施例2]
グルコース 0.5%及び5−フェニルスルファニル吉草酸 0.05%を含むM9培地 200mLに、寒天プレート状のYN2株のコロニーを植菌し、500mL容振とうフラスコで 30℃、45時間培養した。培養後、遠心分離により菌体を収穫し、NHCl成分を含まないM9培地に、グルコース 0.5%及び5−フェニルスルファニル吉草酸 0.05%を加えて調製した培地に菌体を移し、30℃、48時間培養した。培養後、遠心分離により菌体を収穫し、メタノールで洗浄した後凍結乾燥した。乾燥菌体を秤量後、クロロホルムを加え、60℃で 24時間ポリマーを抽出した。ポリマーが抽出されたクロロホルムをろ過し、エバポレーターにより濃縮した後、冷メタノールで沈殿固化した部分を集め、減圧乾燥して、目的とするポリマーを得た。乾燥菌体の重量は 400mg、得られたポリマーの重量は 220mgであった。
【0213】
得られたポリマーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した(東ソー HLC−8220 GPC、カラム:東ソー TSK−GEL SuperHM−H、溶媒:クロロホルム、ポリスチレン換算)。その結果、Mn=170000,Mw=560000 であった。
【0214】
得られたポリマーの構造決定は、H−NMRによって行なった(FT−NMR:Bruker DPX 400;H共鳴周波数: 400MHz;測定核種:H;使用溶媒:CDCl;reference:キャピラリ封入TMS/CDCl;測定温度:室温)。その結果、3−ヒドロキシ−5−(フェニルスルファニル)吉草酸ユニットは全体の少なくとも 84%以上は導入されていることが示された。
【0215】
[実施例3]
菌株をH45株とした以外は実施例1と同様の方法でポリマーを得た。乾燥菌体の重量は 180mg、得られたポリマーの重量は 78mgであった。得られたポリマー 10mgを2mLのクロロホルムに溶解し、3%硫酸を含むメタノール2mLを加えて 100℃で3時間半還流することによりポリマーのメチル化分解を行なった。反応後、蒸留水を加えて攪拌し、有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水した後、ガスクロマトグラフィー−質量分析計(GC−MS;Shimadzu QP−5050A;カラム:DB−WAXETR(J&W);カラム温度: 80℃→昇温5℃/分→200℃:注入及びインターフェース温度: 230℃)で分析を行なった。結果(トータルイオンクロマト(TIC)及びマススペクトル)を図3に示す。85分付近のピークのマススペクトルより、本ピークが3−ヒドロキシ−5−(フェニルスルファニル)吉草酸メチルエステルであることが確認された。ポリヒドロキシアルカノエートのモノマーユニット由来のピークはこれ以外に 11分付近の3−ヒドロキシ吉草酸メチルエステルのみであり、3−ヒドロキシ−5−(フェニルスルファニル)吉草酸メチルエステルの割合は約97%であった。
【0216】
[実施例4]
菌株をP161株とした以外は実施例1と同様の方法でポリマーを得た。乾燥菌体の重量は 160mg、得られたポリマーの重量は 69mgであった。得られたポリマー 10mgを2mLのクロロホルムに溶解し、3%硫酸を含むメタノール2mLを加えて 100℃で3時間半還流することによりポリマーのメチル化分解を行なった。反応後、蒸留水を加えて攪拌し、有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水した後、ガスクロマトグラフィー−質量分析計(GC−MS;Shimadzu QP−5050 A;カラム:DB−WAXETR(J&W);カラム温度: 80℃→昇温5℃/分→200℃:注入及びインターフェース温度: 230℃)で分析を行なった。結果(トータルイオンクロマト(TIC)及びマススペクトル)を図3に示す。85分付近のピークのマススペクトルより、本ピークが3−ヒドロキシ−5−(フェニルスルファニル)吉草酸メチルエステルであることが確認された。ポリヒドロキシアルカノエートのモノマーユニット由来のピークはこれ以外に 11分付近の3−ヒドロキシ吉草酸メチルエステルのみであり、3−ヒドロキシ−5−フェニルスルファニル吉草酸メチルエステルの割合は約95%であった。
【0217】
[実施例5]
グリセロール 0.5%及び5−フェニルスルファニル吉草酸 0.1%を含むM9培地 200mLに、予めポリペプトン 0.5%を含むM9培地で 20時間培養したYN2株の培養液を1mL加え、500mL容振とうフラスコで 30℃、24時間培養した。培養後、遠心分離により菌体を収穫し、NHCl成分を含まないM9培地に、グリセロール 0.5%及び5−フェニルスルファニル吉草酸 0.1%を加えて調製した培地に菌体を移し、30℃、23時間培養した。培養後、遠心分離により菌体を収穫し、メタノールで洗浄した後凍結乾燥した。乾燥菌体を秤量後、クロロホルムを加え、60℃で 24時間ポリマーを抽出した。ポリマーが抽出されたクロロホルムをろ過し、エバポレーターにより濃縮した後、冷メタノールで沈殿固化した部分を集め、減圧乾燥して、目的とするポリマーを得た。乾燥菌体の重量は 267mg、得られたポリマーの重量は 191mgであった。
【0218】
得られたポリマーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した(東ソー HLC−8220 GPC、カラム:東ソー TSK−GEL SuperHM−H、溶媒:クロロホルム、ポリスチレン換算)。その結果、Mn=80000,Mw=220000 であった。
【0219】
得られたポリマー 10mgを2mLのクロロホルムに溶解し、3%硫酸を含むメタノール2mLを加えて 100℃で3時間半還流することによりポリマーのメチル化分解を行なった。反応後、蒸留水を加えて攪拌し、有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水した後、ガスクロマトグラフィー−質量分析計(GC−MS;Shimadzu QP−5050A;カラム:DB−WAXETR(J&W);カラム温度: 80℃→昇温5℃/分→200℃:注入及びインターフェース温度: 230℃)で分析を行なった。結果(トータルイオンクロマト(TIC)及びマススペクトル)を図5に示す。85分付近のピークのマススペクトルより、本ピークが3−ヒドロキシ−5−(フェニルスルファニル)吉草酸メチルエステルであることが確認された。それ以外のユニットである3−ヒドロキシアルカン酸メチルエステルを含め、TICのピーク面積より求めた割合を表3に示す。
【0220】
【表3】
Figure 0003592306
[実施例6]
実施例5のグリセロールの代わりにリンゴ酸ナトリウムを用い、実施例5と同様の方法で目的とするポリマーを得た。乾燥菌体の重量は 298mg、得られたポリマーの重量は 215mgであった。
【0221】
得られたポリマーの分子量は、同様にGPCにより測定した。その結果、Mn=180000,Mw=550000 であった。得られたポリマーを実施例5と同様の方法で更に同様にGC−MS分析を行なった。結果(トータルイオンクロマト(TIC)及びマススペクトル)を図6に示す。85分付近のピークのマススペクトルより、本ピークが3−ヒドロキシ−5−(フェニルスルファニル)吉草酸メチルエステルであることが確認された。それ以外のユニットである3−ヒドロキシアルカン酸メチルエステルを含め、TICのピーク面積より求めた割合を表4に示す。
【0222】
【表4】
Figure 0003592306
[実施例7]
実施例5のグリセロールの代わりに乳酸ナトリウムを用い、実施例5と同様の方法で目的とするポリマーを得た。乾燥菌体の重量は 430mg、得られたポリマーの重量は 298mgであった。
【0223】
得られたポリマーの分子量は、同様にGPCにより測定した。その結果、Mn=130000,Mw=430000 であった。
【0224】
得られたポリマーを実施例5と同様の方法で更に同様にGC−MS分析を行なった。結果(トータルイオンクロマト(TIC)及びマススペクトル)を図7に示す。85分付近のピークのマススペクトルより、本ピークが3−ヒドロキシ−5−(フェニルスルファニル)吉草酸メチルエステルであることが確認された。それ以外のユニットである3−ヒドロキシアルカン酸メチルエステルを含め、TICのピーク面積より求めた割合を表5に示す。
【0225】
【表5】
Figure 0003592306
[実施例8]
酵母エキス(Difco社)0.5%及び5−フェニルスルファニル吉草酸 0.1%を含むM9培地 200mLに、寒天プレート状のYN2株のコロニーを植菌し、500mL容振とうフラスコで 30℃、21時間培養した。培養後、遠心分離により菌体を収穫し、メタノールで洗浄した後凍結乾燥した。乾燥菌体を秤量後、アセトンを加え、室温(約23℃)で 72時間攪拌することによりポリマーを抽出した。ポリマーが抽出されたアセトンをろ過し、エバポレーターにより濃縮した後、冷メタノールで沈殿固化した部分を集め、減圧乾燥して、目的とするポリマーを得た。乾燥菌体の重量は 255mg、得られたポリマーの重量は 40mgであった。GPC測定結果より得られたポリマーの分子量は、Mn=61000,Mw=110000 であった。
【0226】
得られたポリマーを実施例5と同様の方法で更に同様にGC−MS分析を行なった。結果(トータルイオンクロマト(TIC)及びマススペクトル)を図8に示す。85分付近のピークのマススペクトルより、本ピークが3−ヒドロキシ−5−(フェニルスルファニル)吉草酸メチルエステルであることが確認された。それ以外のユニットは 25分付近の3−ヒドロキシデカン酸メチルエステルのみであり、割合も 0.1%以下であった。このことより、本ポリマーは 99.9%以上3−ヒドロキシ−5−(フェニルスルファニル)吉草酸ユニットからなるポリヒドロキシアルカノエートであることが示された。
【0227】
[実施例9]
菌株をYN2株からH45株に変更した以外は実施例8と同様の操作を行ない、ポリマーを得た。乾燥菌体の重量は 177mg、得られたポリマーの重量は 39mgであった。GPC測定結果より得られたポリマーの分子量は、Mn=67000,Mw=120000 であった。
【0228】
得られたポリマーを実施例5と同様の方法で更に同様にGC−MS分析を行なった。結果(トータルイオンクロマト(TIC)及びマススペクトル)を図9に示す。85分付近のピークのマススペクトルより、本ピークが3−ヒドロキシ−5−(フェニルスルファニル)吉草酸メチルエステルであることが確認された。それ以外のユニットは 25分付近の3−ヒドロキシデカン酸メチルエステルのみであり、割合も 0.1%以下であった。このことより、本ポリマーは 99.9%以上3−ヒドロキシ−5−(フェニルスルファニル)吉草酸ユニットからなるポリヒドロキシアルカノエートであることが示された。
【0229】
次に、4−フェニルスルファニル酪酸(以下、TPxBAと略する場合もある)を含む培地でPHA生産菌を培養して3−ヒドロキシ−4−(フェニルスルファニル)酪酸(以下、3HTPxBと略する場合もある)ユニットを主成分とするPHAを製造した例を挙げる(実施例10〜19)。
【0230】
[実施例10]
D−グルコース 0.5%、TPxBA 0.1%とを含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。50時間後、菌体を遠心分離により回収し、D−グルコース 0.5%、TPxBA 0.1%を含む、窒素源(NHCl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。47時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。
【0231】
この凍結乾燥ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブランフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノールで再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを 52mg得た。得られたPHAは、以下の条件でNMR分析を行なった。
Figure 0003592306
H−NMR、13C−NMRスペクトルチャートをそれぞれ図10、図11に、その同定結果を表6、表7にそれぞれ示す。
【0232】
【表6】
Figure 0003592306
【0233】
【表7】
Figure 0003592306
表6及び表7に示す通り、当該PHAは3−ヒドロキシ−4−(フェニルスルファニル)酪酸をモノマーユニットとして含む、下記式(32)で表されるPHAであることが確認された。
【0234】
【化119】
Figure 0003592306
また、得られたPHAの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;東ソーHLC−8220、カラム;東ソー TSK−GEL SuperHM−H、溶媒;クロロホルム、ポリスチレン換算)により評価した結果、Mn=25100、Mw=53100 であった。
【0235】
[実施例11]
D−グルコース 0.5%、TPxBA 0.1%とを含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・H45株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。50時間後、菌体を遠心分離により回収し、D−グルコース 0.5%、TPxBA 0.1%を含む、窒素源(NHCl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。47時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。
【0236】
この凍結乾燥ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブランフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノールで再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを 25mg得た。得られたPHAは、実施例10 と同様の条件でNMR分析を行なった結果、得られたPHAは、3−ヒドロキシ−4−(フェニルスルファニル)酪酸のモノマーユニットを 87.3mol%含むことがわかった。
【0237】
[実施例12]
D−グルコース 0.5%、TPxBA 0.1%とを含むM9培地 200mLに、シュードモナス・ジェッセニイ・P161株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。50時間後、菌体を遠心分離により回収し、D−グルコース 0.5%、TPxBA 0.1%を含む、窒素源(NHCl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。47時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。
【0238】
この凍結乾燥ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブランフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノールで再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを 25mg得た。得られたPHAは、実施例10 と同様の条件でNMR分析を行なった結果、得られたPHAは、3−ヒドロキシ−4−(フェニルスルファニル)酪酸のモノマーユニットを 85.6mol%含むことがわかった。
【0239】
[実施例13]
ポリペプトン 0.5%、TPxBA 0.1%とを含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離により回収し、ピルビン酸ナトリウム 0.5%、TPxBA 0.1%を含む、窒素源(NHCl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。
【0240】
この凍結乾燥ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブランフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノールで再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを 118mg得た。得られたPHAは、実施例10 と同様の条件でNMR分析を行なった結果、得られたPHAは、3−ヒドロキシ−4−(フェニルスルファニル)酪酸のモノマーユニットを 92.6mol%含むことがわかった。
【0241】
[実施例14]
ポリペプトン 0.5%、TPxBA 0.1%とを含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・H45株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。47時間後、菌体を遠心分離により回収し、ピルビン酸ナトリウム 0.5%、FTPxBA 0.1%を含む、窒素源(NHCl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。47時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。
【0242】
この凍結乾燥ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブランフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノールで再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを 24mg得た。
【0243】
得られたPHAは、実施例10 と同様の条件でNMR分析を行なった結果、得られたPHAは、3−ヒドロキシ−4−(フェニルスルファニル)酪酸のモノマーユニットを 91.2mol%含むことがわかった。
【0244】
[実施例15]
ポリペプトン 0.5%、TPxBA 0.1%とを含むM9培地 200mLに、シュードモナス・ジェッセニイ・P161株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離により回収し、ピルビン酸ナトリウム 0.5%、FTPxBA 0.1%を含む、窒素源(NHCl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。47時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。
【0245】
この凍結乾燥ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブランフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノールで再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを 40mg得た。
【0246】
得られたPHAは、実施例10 と同様の条件でNMR分析を行なった結果、得られたPHAは、3−ヒドロキシ−4−(フェニルスルファニル)酪酸のモノマーユニットを 89.3mol%含むことがわかった。
【0247】
[実施例16]
グルタミン酸ナトリウム 0.5%、TPxBA 0.1%とを含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。
【0248】
この凍結乾燥ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブランフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノールで再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを 41mg得た。
【0249】
得られたPHAは、実施例10 と同様の条件でNMR分析を行なった結果、得られたPHAは、3−ヒドロキシ−4−(フェニルスルファニル)酪酸のモノマーユニットを 94.5mol%含むことがわかった。
【0250】
[実施例17]
酵母エキス 0.5%、TPxBA 0.1%とを含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。
【0251】
この凍結乾燥ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブランフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノールで再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを9mg得た。
【0252】
得られたPHAは、実施例10 と同様の条件でNMR分析を行なった結果、得られたPHAは、NMRより3−ヒドロキシ−4−(フェニルスルファニル)酪酸のモノマーユニットを 82.6mol%含むことがわかった。
【0253】
[実施例18]
n−ノナン酸 0.1%、TPxBA 0.1%とを含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。
【0254】
この凍結乾燥ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブランフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノールで再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを 40mg得た。
【0255】
得られたPHAは、実施例10 と同様の条件でNMR分析を行なった結果、得られたPHAは、NMRより3−ヒドロキシ−4−(フェニルスルファニル)酪酸のモノマーユニットを 7.0mol%含むことがわかった。
【0256】
[実施例19]
n−オクタン酸 0.1%、TPxBA 0.1%とを含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。
【0257】
この凍結乾燥ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブランフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノールで再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを 35mg得た。
【0258】
得られたPHAは、実施例10 と同様の条件でNMR分析を行なった結果、得られたPHAは、NMRより3−ヒドロキシ−4−(フェニルスルファニル)酪酸のモノマーユニットを 8.0mol%含むことがわかった。
【0259】
表8は、実施例10〜19 における菌体乾燥重量、ポリマー乾燥重量、ポリマー乾燥重量/菌体乾燥重量及び得られたポリマーの3HTPxBユニットのmol%を示したものである。
【0260】
【表8】
Figure 0003592306
<アルキル置換>
[実施例20]
D−グルコース 0.5%、5−[(4−メチルフェニル)スルファニル]吉草酸(以下、MeTPxVAと略す)0.1%を含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。72時間後、菌体を遠心分離により回収し、D−グルコース 0.5%、MeTPxVA 0.1%を含み、窒素源(NHCl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。また、凍結乾燥された菌体の重量(菌体乾燥重量)を秤量した。
【0261】
この凍結乾燥菌体ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径0.45μmのメンブラン・フィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮した。この濃縮液を、冷メタノール中に加えて、PHAを再沈澱させた。更に、沈澱物のみを回収し、次いで、真空乾燥した後、PHAポリマーの乾燥重量(回収量)を秤量した。本例では、PHA 75mg(乾燥重量)が得られた。
【0262】
得られたPHAの平均分子量を、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC;東ソーHLC−8220、カラム;東ソー TSK−GEL SuperHM−H、溶媒;クロロホルム、ポリスチレン換算)により評価した。その結果、数平均分子量 Mn=60300、重量平均分子量 Mw=131600 であった。
【0263】
また、得られたPHAの構造を特定するため、以下の条件でNMR分析を行なった。
測定装置:Bruker DPX 400 FT−NMR
H共鳴周波数: 400MHz
測定核種:
使用溶媒:CDCl
reference:キャピラリ封入TMS/CDCl
測定温度:室温
図12 に、測定されたH−NMRスペクトルチャートを示し、また、表9に、その同定結果を示す。
【0264】
【表9】
Figure 0003592306
この表9に示すように、このPHAは、3−ヒドロキシ−5−[(4−メチルフェニル)スルファニル]吉草酸(以下、3HMeTPxVと略す)をモノマーユニットとして含んでおり、また、それ以外のモノマーユニットとして、3−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸などの炭素数4〜12 までの直鎖3−ヒドロキシアルカン酸ユニットあるいは、直鎖の3−ヒドロキシアルケン酸ユニットを含んでおり、具体的には、その組成は、下記化学式(33):
【0265】
【化120】
Figure 0003592306
で表されるミックスポリマーPHAであることが確認された。
【0266】
更に、含有されるユニットの含有比率(組成比)を調べるため、得られたPHAは、常法に従ってメタノリシスを行なった後、ガスクロマトグラフィー−質量分析装置(GC−MS、島津QP−5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行なった。図13 に、測定された、GC−MSスペクトルデータを示し、また、表2に、前記ガスクロマトグラフィーのピークエリアに基づき算出した、含有される各ユニットの含有比率(組成比)を示す。この図13 に示す結果からも、当該PHAは下記化学式(6):
【0267】
【化121】
Figure 0003592306
で表される3HMeTPxVのユニットを含むPHAであることが確認された。
【0268】
【表10】
Figure 0003592306
(実施例21)
D−グルコース 0.5%、MeTPxVA 0.1%を含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・H45株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。72時間後、菌体を遠心分離により回収し、D−グルコース 0.5%、MeTPxVA 0.1%を含み、窒素源(NHCl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に、30℃、125 ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。また、凍結乾燥された菌体の重量(菌体乾燥重量)を秤量した。
【0269】
この凍結乾燥菌体ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブラン・フィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮した。この濃縮液を、冷メタノール中に加えて、PHAを再沈澱させた。更に、沈澱物のみを回収し、次いで、真空乾燥した後、PHAポリマーの乾燥重量(回収量)を秤量した。本例では、PHA 71mg(乾燥重量)が得られた。
【0270】
得られたPHAについて、含有されるユニットの含有比率(組成比)を調べるため、実施例20 と同様の条件でメタノリシスを行なった後、ガスクロマトグラフィー−質量分析装置で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行なった。表11 に、測定結果に基づき算出した、含有される各ユニットの含有比率(組成比)示す。その結果、当該PHAも、上記化学式(6)で表される3HMeTPxVのユニットを含むPHAであることが確認された。
【0271】
【表11】
Figure 0003592306
(実施例22)
D−グルコース 0.5%、MeTPxVA 0.1%を含むM9培地 200mLに、シュードモナス・ジェッセニイ・P161株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。72時間後、菌体を遠心分離により回収し、D−グルコース 0.5%、MeTPxVA 0.1%を含み、窒素源(NHCl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。また、凍結乾燥された菌体の重量(菌体乾燥重量)を秤量した。
【0272】
この凍結乾燥菌体ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブラン・フィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮した。この濃縮液を、冷メタノール中に加えて、PHAを再沈澱させた。更に、沈澱物のみを回収し、次いで、真空乾燥した後、PHAポリマーの乾燥重量(回収量)を秤量した。本例では、PHA 52mg(乾燥重量)が得られた。
【0273】
得られたPHAについて、含有されるユニットの含有比率(組成比)を調べるため、実施例20 と同様の条件でメタノリシスを行なった後、ガスクロマトグラフィー−質量分析装置で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行なった。表12 に、測定結果に基づき算出した、含有される各ユニットの含有比率(組成比)示す。その結果、当該PHAも、上記化学式(6)で表される3HMeTPxVのユニットを含むPHAであることが確認された。
【0274】
【表12】
Figure 0003592306
(実施例23)
ポリペプトン(販売元 和光純薬工業)0.5%、MeTPxVA 0.1%を含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。72時間後、菌体を遠心分離により回収し、ピルビン酸ナトリウム 0.5%、MeTPxVA 0.1%を含み、窒素源(NHCl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。また、凍結乾燥された菌体の重量(菌体乾燥重量)を秤量した。
【0275】
この凍結乾燥菌体ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブラン・フィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮した。この濃縮液を、冷メタノール中に加えて、PHAを再沈澱させた。更に、沈澱物のみを回収し、次いで、真空乾燥した後、PHAポリマーの乾燥重量(回収量)を秤量した。本例では、PHA 120mg(乾燥重量)が得られた。
【0276】
得られたPHAについて、含有されるユニットの含有比率(組成比)を調べるため、実施例20 と同様の条件でメタノリシスを行なった後、ガスクロマトグラフィー−質量分析装置で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行なった。表13 に、測定結果に基づき算出した、含有される各ユニットの含有比率(組成比)示す。その結果、当該PHAも、上記化学式(6)で表される3HMeTPxVのユニットを含むPHAであることが確認された。
【0277】
【表13】
Figure 0003592306
(実施例24)
ポリペプトン(販売元 和光純薬工業)0.5%、MeTPxVA 0.1%を含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・H45株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。72時間後、菌体を遠心分離により回収し、ピルビン酸ナトリウム 0.5%、MeTPxVA 0.1%を含み、窒素源(NHCl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。また、凍結乾燥された菌体の重量(菌体乾燥重量)を秤量した。
【0278】
この凍結乾燥菌体ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブラン・フィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮した。この濃縮液を、冷メタノール中に加えて、PHAを再沈澱させた。更に、沈澱物のみを回収し、次いで、真空乾燥した後、PHAポリマーの乾燥重量(回収量)を秤量した。本例では、PHA 57mg(乾燥重量)が得られた。
【0279】
得られたPHAについて、含有されるユニットの含有比率(組成比)を調べるため、実施例20 と同様の条件でメタノリシスを行なった後、ガスクロマトグラフィー−質量分析装置で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行なった。表14 に、測定結果に基づき算出した、含有される各ユニットの含有比率(組成比)示す。その結果、当該PHAも、上記化学式(6)で表される3HMeTPxVのユニットを含むPHAであることが確認された。
【0280】
【表14】
Figure 0003592306
(実施例25)
ポリペプトン(販売元 和光純薬工業)0.5%、MeTPxVA 0.1%を含むM9培地 200mLに、シュードモナス・ジェッセニイ・P161株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。72時間後、菌体を遠心分離により回収し、ピルビン酸ナトリウム 0.5%、MeTPxVA 0.1%を含み、窒素源(NHCl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。また、凍結乾燥された菌体の重量(菌体乾燥重量)を秤量した。
【0281】
この凍結乾燥菌体ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブラン・フィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮した。この濃縮液を、冷メタノール中に加えて、PHAを再沈澱させた。更に、沈澱物のみを回収し、次いで、真空乾燥した後、PHAポリマーの乾燥重量(回収量)を秤量した。本例では、PHA 56mg(乾燥重量)が得られた。
【0282】
得られたPHAについて、含有されるユニットの含有比率(組成比)を調べるため、実施例20 と同様の条件でメタノリシスを行なった後、ガスクロマトグラフィー−質量分析装置で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行なった。表15 に、測定結果に基づき算出した、含有される各ユニットの含有比率(組成比)示す。その結果、当該PHAも、上記化学式(6)で表される3HMeTPxVのユニットを含むPHAであることが確認された。
【0283】
【表15】
Figure 0003592306
(実施例26)
ポリペプトン(販売元 和光純薬工業) 0.5%、MeTPxVA 0.1%を含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。61時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。また、凍結乾燥された菌体の重量(菌体乾燥重量)を秤量した。
【0284】
この凍結乾燥菌体ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブラン・フィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮した。この濃縮液を、冷メタノール中に加えて、PHAを再沈澱させた。更に、沈澱物のみを回収し、次いで、真空乾燥した後、PHAポリマーの乾燥重量(回収量)を秤量した。本例では、PHA5mg(乾燥重量)が得られた。
【0285】
得られたPHAについて、含有されるユニットの含有比率(組成比)を調べるため、実施例20 と同様の条件でメタノリシスを行なった後、ガスクロマトグラフィー−質量分析装置で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行なった。表16 に、測定結果に基づき算出した、含有される各ユニットの含有比率(組成比)示す。その結果、当該PHAも、上記化学式(6)で表される3HMeTPxVのユニットを含むPHAであることが確認された。
【0286】
【表16】
Figure 0003592306
(実施例27)
酵母エキス(Difco製)0.5%、MeTPxVA 0.1%を含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。61時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。また、凍結乾燥された菌体の重量(菌体乾燥重量)を秤量した。
【0287】
この凍結乾燥菌体ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブラン・フィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮した。この濃縮液を、冷メタノール中に加えて、PHAを再沈澱させた。更に、沈澱物のみを回収し、次いで、真空乾燥した後、PHAポリマーの乾燥重量(回収量)を秤量した。本例では、PHA2mg(乾燥重量)が得られた。
【0288】
得られたPHAについて、含有されるユニットの含有比率(組成比)を調べるため、実施例20 と同様の条件でメタノリシスを行なった後、ガスクロマトグラフィー−質量分析装置で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行なった。表17 に、測定結果に基づき算出した、含有される各ユニットの含有比率(組成比)示す。その結果、当該PHAも、上記化学式(6)で表される3HMeTPxVのユニットを含むPHAであることが確認された。
【0289】
【表17】
Figure 0003592306
(実施例28)
グルタミン酸 0.5%、MeTPxVA 0.1%を含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。61時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。また、凍結乾燥された菌体の重量(菌体乾燥重量)を秤量した。
【0290】
この凍結乾燥菌体ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブラン・フィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮した。この濃縮液を、冷メタノール中に加えて、PHAを再沈澱させた。更に、沈澱物のみを回収し、次いで、真空乾燥した後、PHAポリマーの乾燥重量(回収量)を秤量した。本例では、PHA3mg(乾燥重量)が得られた。
【0291】
得られたPHAについて、含有されるユニットの含有比率(組成比)を調べるため、実施例20 と同様の条件でメタノリシスを行なった後、ガスクロマトグラフィー−質量分析装置で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行なった。表18 に、測定結果に基づき算出した、含有される各ユニットの含有比率(組成比)示す。その結果、当該PHAも、上記化学式(6)で表される3HMeTPxVのユニットを含むPHAであることが確認された。
【0292】
【表18】
Figure 0003592306
(実施例29)
ノナン酸 0.1%、MeTPxVA 0.1%を含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。61時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。また、凍結乾燥された菌体の重量(菌体乾燥重量)を秤量した。
【0293】
この凍結乾燥菌体ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブラン・フィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮した。この濃縮液を、冷メタノール中に加えて、PHAを再沈澱させた。更に、沈澱物のみを回収し、次いで、真空乾燥した後、PHAポリマーの乾燥重量(回収量)を秤量した。本例では、PHA 31mg(乾燥重量)が得られた。
【0294】
得られたPHAについて、含有されるユニットの含有比率(組成比)を調べるため、実施例20 と同様の条件でメタノリシスを行なった後、ガスクロマトグラフィー−質量分析装置で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行なった。表19 に、測定結果に基づき算出した、含有される各ユニットの含有比率(組成比)示す。その結果、当該PHAも、上記化学式(6)で表される3HMeTPxVのユニットを含むPHAであることが確認された。
【0295】
【表19】
Figure 0003592306
<フッ素置換>
[実施例30] 5−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]吉草酸の合成
四つ口丸底フラスコに、240mLの脱水アセトンを入れ、炭酸カリウム 15.20g(0.11mol)を加え、窒素雰囲気下で攪拌した。この溶液にヨウ化ナトリウム 9.00g(0.06mol)、4−フルオロベンゼンチオール 8.97g(0.07mol)を加えて、室温、窒素雰囲気下で十分攪拌した。更に、5−ブロモ吉草酸エチル 12.55g(0.06mol)を加え、65℃、18時間加熱還流した。
【0296】
反応終了後、アセトンをロータリーエバポレーターにより留去し、クロロホルムに再溶解し、水を加えて分液し、有機相を無水硫酸マグネシウムにて脱水した後、クロロホルムをロータリーエバポレーターにより留去し、真空ポンプにより乾燥し、粗製の5−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]吉草酸エチルを 14.78g(ガスクロマトグラフィー−質量分析装置(GC−MS、島津QP−5050、EI法によるGC−MSピーク比 93.55%))を得た。
【0297】
ここで得られた粗製の5−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]吉草酸エチルは、精製せず次の加水分解反応を行なった。
【0298】
得られたエステル粗製物 14.78gをエタノール−水(1:9(V/V))混合液 300mLに溶解し、10倍mol量の水酸化カリウムを加えて、氷浴下で4時間反応した。
【0299】
この反応液を 0.1mol/L塩酸水溶液約2L中に注ぎ、沈殿化させ、沈殿物は濾過することで取り出した。ここで得られた反応物は、真空ポンプにより乾燥し、粗製の5−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]吉草酸を得た。
【0300】
ここで得られた粗製の5−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]吉草酸は、少量の熱エタノール−ヘキサン溶媒に溶解させ、徐々に冷却して再結晶し、真空ポンプにより乾燥することで目的の化合物である5−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]吉草酸を得た。
【0301】
ここで得られた5−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]吉草酸の収量は、9.02gであった。
【0302】
また、全収率は、5−ブロモ吉草酸エチル基準で 65.9%であった。
【0303】
得られた化合物は、以下の条件でNMR分析を行なった。
Figure 0003592306
H−NMRスペクトルチャートを図14 に、その同定結果を表20 にそれぞれ示す。
【0304】
この結果から、所望とする化学式(34)に示す新規化合物である5−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]吉草酸が合成された。
【0305】
【化122】
Figure 0003592306
【0306】
【表20】
Figure 0003592306
以下、5−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]吉草酸(以下FTPxVAと略す場合もある)を含む培地でPHA生産菌を培養して3−ヒドロキシ−5−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]吉草酸ユニットを主成分とするPHAを製造した例を挙げる(実施例31〜37)。
【0307】
[実施例31]
ポリペプトン 0.5%、FTPxVA 0.1%とを含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。72時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。
【0308】
この凍結乾燥ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブランフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノールで再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを 86mg得た。
【0309】
得られたPHAは、実施例30 と同様の分析条件でNMR分析を行なった。
【0310】
H−NMRスペクトルを図15 に、その帰属結果を表21 に示す。表21 に示す通り、当該PHAは3−ヒドロキシ−5−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]吉草酸をモノマーユニットとして含む、化学式(35)に示すPHAであることが確認された。
【0311】
【化123】
Figure 0003592306
【0312】
【表21】
Figure 0003592306
更に、得られたPHAは、常法に従ってメタノリシスを行なった後、ガスクロマトグラフィー−質量分析装置(GC−MS、島津QP−5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行なった。その結果を表22に示した。
【0313】
また、このPHAの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;東ソーHLC−8220、カラム;東ソー TSK−GEL SuperHM−H、溶媒;クロロホルム、ポリスチレン換算)により評価した結果、Mn=95600、Mw=291300 であった。
【0314】
【表22】
Figure 0003592306
[実施例32]
ポリペプトン 0.5%、FTPxVA 0.1%とを含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・H45株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。72時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。
【0315】
この凍結乾燥ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブランフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノールで再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを 44mg得た。
【0316】
得られたPHAは、常法に従ってメタノリシスを行なった後、ガスクロマトグラフィー−質量分析装置(GC−MS、島津QP−5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行なった。その結果を表23 に示した。表23 に示す通り、当該PHAは3−ヒドロキシ−5−(4−フルオロフェニルスルファニル)吉草酸をモノマーユニットとして含む、化学式(34)に示すPHAであることが確認された。
【0317】
【表23】
Figure 0003592306
[実施例33]
ポリペプトン 0.5%、FTPxVA 0.1%とを含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・P161株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。72時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。
【0318】
この凍結乾燥ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブランフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノールで再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを 45mg得た。
【0319】
得られたPHAは、常法に従ってメタノリシスを行なった後、ガスクロマトグラフィー−質量分析装置(GC−MS、島津QP−5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行なった。その結果を表24 に示した。24 に示す通り、当該PHAは3−ヒドロキシ−5−(4−フルオロフェニルスルファニル)吉草酸をモノマーユニットとして含む、化学式(34)に示すPHAであることが確認された。
【0320】
【表24】
Figure 0003592306
[実施例34]
D−グルコース 0.5%、FTPxVA 0.1%とを含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。72時間後、菌体を遠心分離により回収し、D−グルコース 0.5%、FTPxVA 0.1%を含む、窒素源(NHCl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。
【0321】
この凍結乾燥ペレットを 20mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブランフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを 180mg得た。
【0322】
得られたPHAは、常法に従ってメタノリシスを行なった後、ガスクロマトグラフィー−質量分析装置(GC−MS、島津QP−5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行なった。その結果を表25 に示した。表25 に示す通り、当該PHAは、3HFTPxVをモノマーユニットとして含む、化学式(34)に示すPHAであることが確認された。
【0323】
【表25】
Figure 0003592306
[実施例35]
D−グルコース 0.5%、FTPxVA 0.1%とを含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・H45株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。72時間後、菌体を遠心分離により回収し、D−グルコース 0.5%、FTPxVA 0.1%を含む、窒素源(NHCl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。
【0324】
この凍結乾燥ペレットを 20mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブランフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを 169mg得た。
【0325】
得られたPHAは、常法に従ってメタノリシスを行なった後、ガスクロマトグラフィー−質量分析装置(GC−MS、島津QP−5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行なった。その結果を表26 に示した。表26 に示す通り、当該PHAは、3HFTPxVをモノマーユニットとして含む、化学式(34)に示すPHAであることが確認された。
【0326】
【表26】
Figure 0003592306
[実施例36]
D−グルコース 0.5%、FTPxVA 0.1%とを含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・P161株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。72時間後、菌体を遠心分離により回収し、D−グルコース 0.5%、FTPxVA 0.1%を含む、窒素源(NHCl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。
【0327】
この凍結乾燥ペレットを 20mLのクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブランフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを 143mg得た。
【0328】
得られたPHAは、常法に従ってメタノリシスを行なった後、ガスクロマトグラフィー−質量分析装置(GC−MS、島津QP−5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行なった。その結果を表27 に示した。表27 に示す通り、当該PHAは、3HFTPxVをモノマーユニットとして含む、化学式(34)に示すPHAであることが確認された。
【0329】
【表27】
Figure 0003592306
次に、4−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]酪酸(以下FTPxBAと略す場合もある)を含む培地でPHA生産菌を培養して3−ヒドロキシ−4−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]酪酸ユニットを主成分とするPHAを製造した例を挙げる(実施例37〜47)。
【0330】
[実施例37]
D−グルコース 0.5%、FTPxBA 0.1%とを含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。96時間後、菌体を遠心分離により回収し、D−グルコース 0.5%、FTPxBA 0.1%を含む、窒素源(NHCl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。72時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。
【0331】
この凍結乾燥ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブランフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノールで再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを 64mg得た。
【0332】
得られたPHAは、以下の条件でNMR分析を行なった。
Figure 0003592306
H−NMR、13C−NMRスペクトルチャートをそれぞれ図17、図18 に、その同定結果を表28、表29 にそれぞれ示す。
【0333】
【表28】
Figure 0003592306
【0334】
【表29】
Figure 0003592306
表28 及び表29 に示す通り、当該PHAは3−ヒドロキシ−4−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]酪酸をモノマーユニットとして含む、化学式(36)に示すPHAであることが確認された。また得られたPHAは、NMRより3−ヒドロキシ−4−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]酪酸のモノマーユニットを 79.5mol%含むことがわかった。
【0335】
【化124】
Figure 0003592306
また、得られたPHAの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;東ソーHLC−8220、カラム;東ソー TSK−GEL SuperHM−H、溶媒;クロロホルム、ポリスチレン換算)により評価した結果、Mn=19800、Mw=41500 であった。
【0336】
[実施例38]
D−グルコース 0.5%、FTPxBA 0.1%とを含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・H45株を植菌し、30℃、125 ストローク/分で振盪培養した。96時間後、菌体を遠心分離により回収し、D−グルコース 0.5%、FTPxBA 0.1%を含む、窒素源(NHCl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。72時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。
【0337】
この凍結乾燥ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブランフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノールで再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを4mg得た。
【0338】
得られたPHAは、実施例37 と同様の条件でNMR分析を行なった結果、得られたPHAは、NMRより3−ヒドロキシ−4−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]酪酸のモノマーユニットを 78.9mol%含むことがわかった。
【0339】
[実施例39]
D−グルコース 0.5%、FTPxBA 0.1%とを含むM9培地 200mLに、シュードモナス・ジェッセニイ・P161株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。96時間後、菌体を遠心分離により回収し、D−グルコース 0.5%、FTPxBA 0.1%を含む、窒素源(NHCl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。72時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。
【0340】
この凍結乾燥ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブランフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノールで再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを6mg得た。
【0341】
得られたPHAは、実施例37 と同様の条件でNMR分析を行なった結果、得られたPHAは、NMRより3−ヒドロキシ−4−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]酪酸のモノマーユニットを 73.4mol%含むことがわかった。
【0342】
[実施例40]
ポリペプトン 0.5%、FTPxBA 0.1%とを含むM9培地200mLに、シュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離により回収し、ピルビン酸ナトリウム 0.5%、FTPxBA 0.1%を含む、窒素源(NHCl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。47時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。
【0343】
この凍結乾燥ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブランフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノールで再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを 70mg得た。
【0344】
得られたPHAは、実施例37 と同様の条件でNMR分析を行なった結果、得られたPHAは、NMRより3−ヒドロキシ−4−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]酪酸のモノマーユニットを 65.7mol%含むことがわかった。
【0345】
[実施例41]
ポリペプトン 0.5%、FTPxBA 0.1%とを含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・H45株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離により回収し、ピルビン酸ナトリウム 0.5%、FTPxBA 0.1%を含む、窒素源(NHCl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。47時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。
【0346】
この凍結乾燥ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブランフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノールで再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを6mg得た。
【0347】
得られたPHAは、実施例37 と同様の条件でNMR分析を行なった結果、得られたPHAは、NMRより3−ヒドロキシ−4−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]酪酸のモノマーユニットを 53.7mol%含むことがわかった。
【0348】
[実施例42]
ポリペプトン 0.5%、FTPxBA 0.1%とを含むM9培地 200mLに、シュードモナス・ジェッセニイ・P161株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離により回収し、ピルビン酸ナトリウム 0.5%、FTPxBA 0.1%を含む、窒素源(NHCl)を含まないM9培地 200mLに再懸濁して、更に、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。47時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。
【0349】
この凍結乾燥ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブランフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノールで再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを7mg得た。
【0350】
得られたPHAは、実施例37 と同様の条件でNMR分析を行なった結果、得られたPHAは、NMRより3−ヒドロキシ−4−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]酪酸のモノマーユニットを 35.8mol%含むことがわかった。
【0351】
[実施例43]
グルタミン酸ナトリウム 0.5%、FTPxBA 0.1%とを含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。
【0352】
この凍結乾燥ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブランフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノールで再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを 14mg得た。
【0353】
得られたPHAは、実施例37 と同様の条件でNMR分析を行なった結果、得られたPHAは、NMRより3−ヒドロキシ−4−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]酪酸のモノマーユニットを 18.7mol%含むことがわかった。
【0354】
[実施例44]
ポリペプトン 0.5%、FTPxBA 0.1%とを含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。
【0355】
この凍結乾燥ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブランフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノールで再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを6mg得た。
【0356】
得られたPHAは、実施例37 と同様の条件でNMR分析を行なった結果、得られたPHAは、NMRより3−ヒドロキシ−4−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]酪酸のモノマーユニットを 44.6mol%含むことがわかった。
【0357】
[実施例45]
酵母エキス 0.5%、FTPxBA 0.1%とを含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。
【0358】
この凍結乾燥ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブランフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノールで再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを 10mg得た。
【0359】
得られたPHAは、実施例37 と同様の条件でNMR分析を行なった結果、得られたPHAは、NMRより3−ヒドロキシ−4−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]酪酸のモノマーユニットを 56.8mol%含むことがわかった。
【0360】
[実施例46]
n−ノナン酸 0.1%、FTPxBA 0.1%とを含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。
【0361】
この凍結乾燥ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブランフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノールで再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを 38mg得た。
【0362】
得られたPHAは、実施例37 と同様の条件でNMR分析を行なった結果、得られたPHAは、NMRより3−ヒドロキシ−4−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]酪酸のモノマーユニットを 5.2mol%含むことがわかった。
【0363】
[実施例47]
n−オクタン酸 0.1%、FTPxBA 0.1%とを含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。
【0364】
この凍結乾燥ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブランフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノールで再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを 34mg 得た。
【0365】
得られたPHAは、実施例37 と同様の条件でNMR分析を行なった結果、得られたPHAは、NMRより3−ヒドロキシ−4−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]酪酸のモノマーユニットを 6.0mol%含むことがわかった。
【0366】
表30 は、実施例37〜47 における菌体乾燥重量、ポリマー乾燥重量、ポリマー乾燥重量/菌体乾燥重量及び得られたポリマーの3HTPxBユニットのmol%を示したものである。
【0367】
【表30】
Figure 0003592306
[実施例48]
3−ヒドロキシ−5−[(4−スルホフェニル)スルファニル]吉草酸ユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートの製造
ポリペプトン 0.5%を含むM9培地 200mLに、YN2株を植菌し、500mL振とうフラスコ中で 30℃、125ストローク/分の条件下で振とう培養した。6時間後、前記培養液2mLを、ポリペプトン 0.5%と5−(フェニルスルファニル)吉草酸 0.1%とを含むM9培地 1000mLに添加し、2000mL振とうフラスコ中で 30℃、125ストローク/分の条件下で、2本振とう培養した。48時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。
【0368】
この凍結乾燥ペレットを 20mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブランフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノールで再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してポリヒドロキシアルカノエートを 1070mg得た。得られたポリヒドロキシアルカノエートは、以下の条件でNMR分析を行なった。
Figure 0003592306
その結果、得られたポリヒドロキシアルカノエートは3−ヒドロキシ−5−(フェニルスルファニル)吉草酸ユニットをモノマーユニットとして含み、且つそれ以外のモノマーユニットが3−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸などの炭素数4から 12 までの飽和、不飽和脂肪酸である3−ヒドロキシアルカン酸または3−ヒドロキシアルケン酸を含む、ポリヒドロキシアルカノエートであることが確認された。また、得られたポリヒドロキシアルカノエートは、3−ヒドロキシ−5−(フェニルスルファニル)吉草酸ユニットのモノマーユニットを 94.7mol%含むことがわかった。
【0369】
100mLナスフラスコに上記のようにして得られた3−ヒドロキシ−5−(フェニルスルファニル)吉草酸ユニットを含むポリヒドロキシアルカノエート 500mg とクロロホルム 35mLを予め仕込み、温度を0℃とした。そこへ、クロロ硫酸 1.80mL(27.0mmol)を反応温度0℃に保ちながら、少しずつ滴下した。同温度で2時間攪拌した後、不溶した反応生成物を濾過により取りだした。反応生成物を 300mL氷水中で攪拌した後、濾取し、メタノールにより洗浄を行なった。濾過後、乾燥することでスルホン酸が導入された3−ヒドロキシ−5−[(4−スルホフェニル)スルファニル]吉草酸ユニットを含むポリヒドロキシアルカノエート 230mgを得た。
【0370】
得られた化合物は、以下の条件でNMR分析を行なった。
Figure 0003592306
H−NMRスペクトルチャートの同定結果を表31 に示す。
【0371】
また本PHAを更にフーリエ変換−赤外吸収(FT−IR)スペクトル(Nicolet AVATAR 360 FT−IR)により分析を行なったところ、1169cm−1に新たにスルホン酸による吸収が見られた。この結果から、3−ヒドロキシ−5−[(4−スルホフェニル)スルファニル]吉草酸ユニットを含む化学式(37)に示すPHAであることが確認された。
【0372】
【化125】
Figure 0003592306
【0373】
【表31】
Figure 0003592306
[実施例49]
3−ヒドロキシ−6−[(4−カルボキシフェニル)スルファニル]ヘキサン酸ユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートのポリヒドロキシアルカノエートの製造
n−ノナン酸 0.1%、8−ブロモオクタン酸(東京化成)0.1%とを含むM9培地4Lを2L容振とうフラスコ4本に1Lずつ分け、それぞれにシュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。96時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて一度洗浄して凍結乾燥した。
【0374】
この凍結乾燥ペレットを 100mLクロロホルムに懸濁し、60℃で 20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブランフィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液を冷メタノールで再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを 370mg得た。
【0375】
得られたPHAは、以下の条件でNMR分析を行なった。
Figure 0003592306
H−NMRスペクトルにおいて、3.4ppm付近に側鎖末端−CHBrのプロトンに由来するピークが見られ、その積分比から末端ブロモ基を有するユニットの割合は 32mol%であることがわかった。
【0376】
また、13C−NMRスペクトルにおいて、側鎖末端メチンのピークが、n−ノナン酸から合成される直鎖3−ヒロドキシアルカン酸ユニットに由来するピーク(70.8ppm)以外に、60.8ppm及び 70.6ppmにピークが見られ、それぞれ3−ヒドロキシ−6−ブロモヘキサン酸ユニット及び3−ヒドロキシ−8−ブロモオクタン酸ユニットに由来すると考えられた。
【0377】
以上の結果より、得られたPHAは3−ヒドロキシ−6−ブロモヘキサンユニット酸及び3−ヒドロキシ−8−ブロモオクタン酸ユニットを合わせて 32mol%含むPHAであることが示された。
【0378】
このPHAを3mLのDMFに溶解し、200mgの4−メルカプト安息香酸(東京化成)を1mLのDMFに溶解させた溶液を加え、攪拌しながら 150μLのジエチルアミンを滴下した。室温で 24時間攪拌した後、反応液を氷塊に加え、氷塊がほぼ水になったところで攪拌しながら希塩酸を滴下した。得られた沈殿を遠心分離により回収し、室温で減圧乾燥した後、再度3mLのDMFに溶解し、溶液を氷塊に加え、氷塊がほぼ水になったところで攪拌しながら希塩酸を滴下した。得られた沈殿を遠心分離により回収し(この際、粉体状で析出する未反応の4−メルカプト安息香酸を注意深く除去した)、室温で減圧乾燥した得られたPHAは 260mgであった。
【0379】
得られたPHAを、以下の条件でH−NMR分析した。
Figure 0003592306
7.2ppm及び 7.8ppm付近に芳香環オルト位及びメタ位のプロトンの等価なピークがみられ、また 3.4ppm付近の側鎖末端−CHBrのプロトンに由来するピークが消失し、−S−CH−構造のメチレン部分のプロトンに由来するピークが 2.9ppm付近に出現した。またピークの積分比から芳香環を有するユニットの比率は 35mol%であると計算された。
【0380】
また本PHAを更に実施例48 と同様にFT−IRにより分析を行なったところ、1685cm−1にカルボン酸に由来する吸収が見られた。
以上の結果より、得られたPHAは化学式(10)に示す、3−ヒドロキシ−8−[(4−カルボキシフェニル)スルファニル]オクタン酸ユニット、化学式(11)に示す、3−ヒドロキシ−6−[(4−カルボキシフェニル)スルファニル]ヘキサン酸ユニットを分子中に含んでいることが明らかとなった。
【0381】
【化126】
Figure 0003592306
[実施例50]
振盪フラスコに3−ヒドロキシ−5−フェニル吉草酸を 1.0694 g、8−ブロモオクタン酸(東京化成)を 0.6693 g、ポリペプトンを 5.0gとり、M9培地 1000mLをいれて、バイオシリコで栓をし、120℃で 10分間オートクレーブを用いて加熱滅菌した。
室温まで冷却したのち、準備しておいた菌液(ポリペプトン 0.5%入りM9溶液にシュードモナス・チコリアイP161株を植菌し8時間プレ培養したもの)5mLを加えて、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。72時間後、菌体を遠心分離により回収し、メタノールで洗浄し、真空ポンプで乾燥させた。
【0382】
さらに、この乾燥させた菌体を、適量のクロロホルムに懸濁させて室温で 72時間攪拌することにより、PHAを抽出した。この抽出液を孔径 0.45μmのメンブランフィルターでろ過した後、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮し、濃縮液をメタノール中で再沈殿させた。得られたポリマーを真空乾燥させポリマー収量を測定したところ、254mg/Lであった。
【0383】
得られたPHAは、以下の条件でNMR分析を行なった。
Figure 0003592306
H−NMRスペクトルにおいて、3.4ppm付近に側鎖末端−CHBrのプロトンに由来するピークが見られ、その積分比から末端ブロモ基を有するユニットの割合は7mol%であることがわかった。
【0384】
以上の結果より、得られたPHAは3−ヒドロキシ−6−ブロモヘキサンユニット酸及び3−ヒドロキシ−8−ブロモオクタン酸ユニットを合わせて7mol%含むPHAであることが示された。
【0385】
このPHA 800mgを3mLのDMFに溶解し、73mgの4−メルカプト安息香酸(東京化成)を3mLのDMFに溶解させた溶液を加え、攪拌しながら 49μLのジエチルアミンを滴下した。室温で 63時間攪拌した後、反応液を氷塊に加え、氷塊がほぼ水になったところで攪拌しながら希塩酸を滴下した。得られた沈殿を遠心分離により回収し、室温で減圧乾燥した後、20mLのTHFに溶解し、溶液をメタノールに加えた。得られた沈殿を遠心分離により回収し、室温で減圧乾燥した得られたPHAは 250mgであった。
【0386】
得られたPHAを、以下の条件でH−NMR分析した。
Figure 0003592306
7.2ppm及び 7.8ppm付近に化学式(10)に示す、3−ヒドロキシ−8−[(4−カルボキシフェニル)スルファニル]オクタン酸ユニット、化学式(11)に示す、3−ヒドロキシ−6−[(4−カルボキシフェニル)スルファニル]ヘキサン酸ユニットの芳香環オルト位及びメタ位のプロトンの等価なピークがみられ、また 3.4ppm付近の側鎖末端−CHBrのプロトンに由来するピークが消失し、−S−CH−構造のメチレン部分のプロトンに由来するピークが 2.9ppm付近に出現した。また、7.1ppm及び 7.2ppm付近に3−ヒドロキシ−5−フェニル吉草酸ユニットの芳香環に由来するピークが見られた。
【0387】
また本PHAを更に実施例48 と同様にFT−IRにより分析を行なったところ、1695cm−1にカルボン酸に由来する吸収が見られた。以上の結果より、得られたPHAは化学式(12)に示す、3−ヒドロキシ−5−フェニル吉草酸ユニットを含み、化学式(10)に示す3−ヒドロキシ−8−[(4−カルボキシフェニル)スルファニル]オクタン酸ユニット、もしくは、化学式(11)に示す3−ヒドロキシ−6−[(4−カルボキシフェニル)スルファニル]ヘキサン酸ユニットを分子中に含んでいることが明らかとなった。
【0388】
【化127】
Figure 0003592306
【0389】
【化128】
Figure 0003592306
<CCR>
実施例48、49 のようにして得られた化合物を例示化合物(A)及び(B)とし、実施例51 以降に用いた。
【0390】
次に、本発明の方法から選択される方法で実施例48、49 のように製造された荷電制御剤を用いて各種トナーを製造し、評価を行なった(実施例51〜82)
(実施例51)
先ず、高速撹拌装置TK−ホモミキサーを備えた2リットル用の四つ口フラスコ中に、NaPO水溶液を添加し、回転数を 10,000rpmに調整し、60℃に加温せしめた。ここにCaCl水溶液を徐々に添加していき、微小な難水溶性分散剤Ca(POを含む水系分散媒体を調製した。
【0391】
一方、下記組成をボールミルを用いて3時間分散させた後、離型剤(エステルワックス)10 質量部と、重合開始剤である2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10 質量部を添加して重合性単量体組成物を調製した。
【0392】
・スチレン単量体 82 質量部
・エチルヘキシルアクリレート単量体 18 質量部
・ジビニルベンゼン単量体 0.1質量部
・シアン着色剤(C.I.ピグメントブルー 15) 6質量部
・酸化ポリエチレン樹脂(分子量 3200、酸価 8) 5質量部
・例示化合物(A) 2質量部
次に、上記で得られた重合性単量体組成物を、先に調製した水系分散媒体中に投入し、回転数 10,000rpmを維持しつつ造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、65℃で3時間反応させた後、80℃で6時間重合させて重合反応を終了した。反応終了後、懸濁液を冷却し、酸を加えて難水溶性分散剤Ca(POを溶解した後、濾過、水洗、乾燥して青色重合粒子(1)を得た。得られた青色重合粒子(1)のコールターカウンターマルチサイザー(コールター社製)を用いて測定した粒度は、重量平均粒径 7.0μmで、微粉量(個数分布における 3.17μm以下の粒子の存在割合)は 5.6個数%であった。
【0393】
上記で調製した青色重合粒子(1)100 質量部に対して、流動向上剤としてヘキサメチルジシラザンで処理した疎水性シリカ微粉体(BET: 270 m/g)1.3質量部をヘンシェルミキサーで乾式混合して外添し、本実施例の青色トナー(1)とした。更に、この青色トナー(1)7質量部と樹脂コート磁性フェライトキャリア(平均粒子径: 45μm)93質量部とを混合して、磁気ブラシ現像用の2成分系青色現像剤(1)を調製した。
【0394】
(実施例52)
例示化合物(A)の代わりに、例示化合物(B)を 2.0質量部使用する以外は実施例51 と同様の方法で、実施例52 の青色トナー(2)を得た。これらのトナーの特性を実施例51 と同様に測定し、その結果を表32 に示した。また、これを用いて実施例51 と同様にして、2成分系青色現像剤(2)を得た。
【0395】
(比較例1)
例示化合物を使用しない点以外は実施例51 と同様の方法により、比較例1の青色トナー(3)を得た。このトナーの特性を実施例51 と同様に測定し、その結果を表32 に示した。また、これを用いて実施例51 と同様にして、比較例1の2成分系青色現像剤(3)を得た。
【0396】
<評価>
上記実施例51、52 で得られた2成分系青色現像剤(1)、(2)、および比較例1で得られた2成分系青色現像剤(3)について、常温常湿(25℃、60%RH)、及び高温高湿(30℃、80%RH)のそれぞれの環境下で、先に述べた帯電量の測定方法を用いて、10秒、及び 300秒攪拌後のトナーの帯電量を測定した。そして、2成分ブローオフ帯電量の測定値から少数以下第2位を四捨五入し、下記の基準で評価した。その結果を表32 にまとめて示した。
【0397】
[帯電性]
◎:非常に良好(−20μC/g 以下)
○:良好(−19.9〜−10.0μC/g)
△:実用可(−9.9〜−5.0μC/g)
×:実用不可(−4.9μC/g 以上)
【0398】
【表32】
Figure 0003592306
(実施例53〜54)
例示化合物(1)及び(2)を 2.0質量部を用い、シアン着色剤の代わりにイエロー着色剤(ハンザイエローG)を使用する以外は、実施例51 と同様の方法により、実施例53〜54 のイエロートナー(1)及び(2)をそれぞれ得た。これらのトナーの特性を実施例51 と同様に測定し、その結果を表33 に示した。また、これを用いて実施例51 と同様にして、2成分系イエロー現像剤(1)及び(2)を得た。
【0399】
(比較例2)
例示化合物を使用しない点およびシアン着色剤の代わりにイエロー着色剤(ハンザイエローG)を使用する点以外は実施例51 と同様の方法により、比較例2のイエロートナー(3)を得た。このトナーの特性を実施例51 と同様に測定し、その結果を表33 に示した。また、これを用いて実施例51 と同様にして、比較例2の2成分系イエロー現像剤(3)を得た。
【0400】
<評価>
上記実施例53〜54 で得られた2成分系イエロー現像剤(1)及び(2)と、比較例2で得られた2成分系イエロー現像剤(3)について、常温常湿(25℃、60%RH)、及び高温高湿(30℃、80%RH)のそれぞれの環境下で、先に述べた帯電量の測定方法を用いて、10秒、及び 300秒攪拌後のトナーの帯電量を測定した。そして、2成分ブローオフ帯電量の測定値から少数以下第2位を四捨五入し、下記の基準で評価した。その結果を表33 にまとめて示した。
【0401】
[帯電性]
◎:非常に良好(−20μC/g 以下)
○:良好(−19.9〜−10.0μC/g)
△:実用可(−9.9〜−5.0μC/g)
×:実用不可(−4.9μC/g 以上)
【0402】
【表33】
Figure 0003592306
(実施例55〜56)
例示化合物(A)、(B)を 2.0質量部使用し、シアン着色剤の代わりにカーボンブラック(DBP吸油量 110mL / 100g)を使用する以外は、実施例51 と同様の方法により、実施例55〜56 の黒色トナー(1)及び(2)をそれぞれ得た。これらのトナーの特性を実施例51 と同様に測定し、その結果を表34 に示した。また、これを用いて実施例51 と同様にして、2成分系黒色現像剤(1)及び(2)を得た。
【0403】
(比較例3)
例示化合物を使用しない点およびシアン着色剤の代わりにカーボンブラック(DBP吸油量 110mL / 100g)を使用する点以外は実施例51 と同様の方法により、比較例3の黒色トナー(3)を得た。このトナーの特性を実施例51 と同様に測定し、その結果を表34 に示した。また、これを用いて実施例51 と同様にして、比較例3の2成分系黒色現像剤(3)を得た。
【0404】
<評価>
上記実施例55〜56 で得られた2成分系黒色現像剤(1)及び(2)と、比較例3で得られた2成分系黒色現像剤(3)について、常温常湿(25℃、60%RH)、及び高温高湿(30℃、80%RH)のそれぞれの環境下で、先に述べた帯電量の測定方法を用いて、10秒、及び 300秒攪拌後のトナーの帯電量を測定した。そして、2成分ブローオフ帯電量の測定値から少数以下第2位を四捨五入し、下記の基準で評価した。その結果を表34 にまとめて示した。
【0405】
[帯電性]
◎:非常に良好(−20μC/g 以下)
○:良好(−19.9〜−10.0μC/g)
△:実用可(−9.9〜−5.0μC/g)
×:実用不可(−4.9μC/g 以上)
【0406】
【表34】
Figure 0003592306
(実施例57)
・スチレン−ブチルアクリレート共重合樹脂
(ガラス転移温度 70℃) 100質量部
・マゼンタ顔料(C.I.ピグメントレッド 114) 5質量部
・例示化合物(1) 2質量部
上記組成を混合し、二軸エクストルーダー(L/D=30)で溶融混練した。この混練物を冷却後、ハンマーミルで粗粉砕し、ジェットミルで微粉砕した後に分級して、粉砕法によってマゼンタ着色粒子(1)を得た。このマゼンタ着色粒子(1)の粒度は、重量平均粒径 7.0μm、微粉量は 5.1個数%であった。
【0407】
このマゼンタ着色粒子(1) 100質量部に対して、流動向上剤として、ヘキサメチルジシラザンで処理した疎水性シリカ微粉体(BET: 250m/g) 1.5質量部をヘンシェルミキサーで乾式混合して、本実施例のマゼンタトナー(1)を得た。更に、得られたマゼンタトナー(1)7質量部と樹脂コート磁性フェライトキャリア(平均粒子径: 45μm) 93質量部とを混合して、磁気ブラシ現像用の2成分系マゼンタ現像剤(1)を調製した。
【0408】
(実施例58)
例示化合物(1)の代わりに、例示化合物(2)を 2.0質量部使用する以外は実施例57 と同様の方法で、実施例58 のマゼンタトナー(2)を得た。これらのトナーの特性を実施例51 と同様に測定し、その結果を表35 に示した。また、これを用いて実施例57 と同様にして、2成分系マゼンタ現像剤(2)を得た。
【0409】
(比較例4)
例示化合物を使用しない点以外は実施例57 と同様の方法により、比較例4のマゼンタトナー(3)を得た。このトナーの特性を実施例51 と同様に測定し、その結果を表35 に示した。また、これを用いて実施例57 と同様にして、比較例4の2成分系マゼンタ現像剤(3)を得た。
【0410】
<評価>
上記実施例57〜58 で得られた2成分系マゼンタ現像剤(1)及び(2)と、比較例4で得られた2成分系マゼンタ現像剤(3)について、常温常湿(25℃、60%RH)、及び高温高湿(30℃、80%RH)のそれぞれの環境下で、先に述べた帯電量の測定方法を用いて、10秒、及び 300秒攪拌後のトナーの帯電量を測定した。そして、2成分ブローオフ帯電量の測定値から少数以下第2位を四捨五入し、下記の基準で評価した。その結果を表35 にまとめて示した。
[帯電性]
◎:非常に良好(−20μC/g 以下)
○:良好(−19.9〜−10.0μC/g)
△:実用可(−9.9〜−5.0μC/g)
×:実用不可(−4.9μC/g 以上)
【0411】
【表35】
Figure 0003592306
(※赤色はここではマゼンタのこと。)
(実施例59〜60)
例示化合物(A)及び(B)を 2.0質量部使用し、マゼンタ顔料の代わりにカーボンブラック(DBP吸油量 110mL / 100g)を使用する以外は、実施例57 と同様の方法により、実施例59〜60 の黒色トナー(4)及び(5)をそれぞれ得た。これらのトナーの特性を実施例51 と同様に測定し、その結果を表36 に示した。また、これを用いて実施例57 と同様にして、2成分系黒色現像剤(4)及び(5)を得た。
【0412】
(比較例5)
例示化合物を使用しない点およびマゼンタ顔料の代わりにカーボンブラック(DBP吸油量 110mL / 100 g)を使用する点以外は実施例57 と同様の方法により、比較例5の黒色トナー(6)を得た。このトナーの特性を実施例51 と同様に測定し、その結果を表36 に示した。また、これを用いて実施例57 と同様にして、比較例5の2成分系黒色現像剤(6)を得た。
【0413】
<評価>
上記実施例59〜60 で得られた2成分系黒色現像剤(4)及び(5)と、比較例5で得られた2成分系黒色現像剤(6)について、常温常湿(25℃、60%RH)、及び高温高湿(30℃、80%RH)のそれぞれの環境下で、先に述べた帯電量の測定方法を用いて、10秒、及び 300秒攪拌後のトナーの帯電量を測定した。そして、2成分ブローオフ帯電量の測定値から少数以下第2位を四捨五入し、下記の基準で評価した。その結果を表36 にまとめて示した。
【0414】
[帯電性]
◎:非常に良好(−20μC/g 以下)
○:良好(−19.9〜−10.0μC/g)
△:実用可(−9.9〜−5.0μC/g)
×:実用不可(−4.9μC/g 以上)
【0415】
【表36】
Figure 0003592306
(実施例61)
・ポリエステル樹脂 100質量部
・カーボンブラック(DBP吸油量 110mL/ 100g)5質量部
・例示化合物(A) 2質量部
ポリエステル樹脂は次のようにして合成した。ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 751部、テレフタル酸 104部および無水トリメリット酸 167部をジブチルチンオキサイド2部を触媒として重縮合し、軟化点 125℃のポリエステル樹脂を得た。
【0416】
上記組成を混合し、二軸エクストルーダー(L/D=30)で溶融混練した。この混練物を冷却後、ハンマーミルで粗粉砕し、ジェットミルで微粉砕した後に分級して、粉砕法によって黒色着色粒子(7)を得た。この黒色着色粒子(7)の粒度は、重量平均粒径 7.8μm、微粉量は 4.6個数%であった。
【0417】
この黒色着色粒子(7)100質量部に対して、流動向上剤として、ヘキサメチルジシラザンで処理した疎水性シリカ微粉体(BET: 250 m/g)1.5質量部をヘンシェルミキサー(9)7質量部と樹脂コート磁性フェライトキャリア(平均粒子径: 45μm)93質量部とを混合して、磁気ブラシ現像用の2成分系黒色現像剤(7)を調製した。
【0418】
(実施例62)
例示化合物(A)の代わりに、例示化合物(B)を 2.0質量部使用する以外は実施例61 と同様の方法で、実施例62 の黒色トナー(8)を得た。これらのトナーの特性を実施例51 と同様に測定し、その結果を表37 に示した。また、これを用いて実施例61 と同様にして、2成分系黒色現像剤(8)を得た。
【0419】
(比較例6)
例示化合物を使用しない点以外は実施例61 と同様の方法により、比較例6の黒色トナー(9)を得た。このトナーの特性を実施例51 と同様に測定し、その結果を表37 に示した。また、これを用いて実施例61 と同様にして、比較例6の2成分系黒色現像剤(9)を得た。
【0420】
<評価>
上記実施例61〜62 で得られた2成分系黒色現像剤(7)及び(8)と、比較例6で得られた2成分系黒色現像剤(9)について、常温常湿(25℃、60%RH)、及び高温高湿(30℃、80%RH)のそれぞれの環境下で、先に述べた帯電量の測定方法を用いて、10秒、及び 300秒攪拌後のトナーの帯電量を測定した。そして、2成分ブローオフ帯電量の測定値から少数以下第2位を四捨五入し、下記の基準で評価した。その結果を表37 にまとめて示した。
【0421】
[帯電性]
◎:非常に良好(−20μC/g 以下)
○:良好(−19.9〜−10.0μC/g)
△:実用可(−9.9〜−5.0μC/g)
×:実用不可(−4.9μC/g 以上)
【0422】
【表37】
Figure 0003592306
(実施例63〜74 および比較例7〜12)
先ず、実施例63〜74 および比較例7〜12 の画像形成方法に用いた画像形成装置について説明する。図20 は、本発明の実施例及び比較例の画像形成方法を実行するための画像形成装置の断面の概略的説明図である。図20 に示した感光体ドラム1は、基材1b上に有機光半導体を有する感光層1aを有し、矢印方向に回転するように構成されているが、感光体ドラム1に対向し、且つ該ドラムと接触回転している帯電部材である帯電ローラー2によって、その表面が約−600Vの表面電位に帯電されている。図20 に示したように、帯電ローラー2は、芯金2bの上に導電性弾性層2aが被覆されて構成されている。
【0423】
次に、表面が帯電された感光体ドラム1に向けて露光3されるが、その際、ポリゴンミラーにより感光体上にデジタル画像情報に応じてオン−オフさせることで、露光部電位が−100V、暗部電位が−600Vの静電荷像が形成される。続いて、この感光体ドラム1上の静電荷像は、複数の現像装置4−1、4−2、4−3、4−4を用いて反転現像されて顕在化され、感光体ドラム1上トナー像が形成される。その際、現像剤として、実施例51〜62 および比較例1〜6で得た2成分系現像剤をそれぞれ用い、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー又はブラックトナーでトナー画像を形成した。図21 は、その際に用いた二成分現像剤用の各現像装置4の要部の拡大断面図である。
【0424】
次に、感光体ドラム1上のトナー像は、感光体ドラム1と接触回転している中間の転写体5上に転写される。この結果、中間の転写体5上には、四色の色重ね顕色像が形成される。感光体ドラム1上に転写されずに残った転写残トナーは、クリーナー部材8によって、残トナー容器9内に回収される。
【0425】
中間の転写体5は、図20 に示したように、支持体としての芯金5bと、その上に積層された弾性層5aとで構成されている。本実施例においては、パイプ状の芯金5b上に、カーボンブラックを導電付与材料とし、ニトリル−ブタジエンラバー(NBR)中にこれを充分に分散させた弾性層5bがコーティングされた中間の転写体5を使用した。「JIS K−6301」に準拠して測定した弾性層5bの硬度は 30度であり、体積抵抗値は、10Ω・cmであった。感光体ドラム1から中間の転写体5への転写に必要な転写電流は約5μAであるが、これは、電源より+500Vを芯金5bに付与することで得られた。
【0426】
中間の転写体5上に形成された四色のトナーの色重ね顕色像は、転写ローラー7によって、紙等の被転写材に転写され、その後、加熱定着装置Hによって定着されて固定される。転写ローラー7は、その外径の直径が 10mmの芯金7b上に、カーボンを導電性付与材料として、エチレン−プロピレン−ジエン系三次元共重合体(EPDM)の発砲体中に該カーボンが充分な状態で分散したものがコーティングされた弾性層7aが形成されている。その体積固有抵抗値は、10Ω・cmであり、「JIS K−6301」に準拠して測定した硬度が 35度の値を示すのもを用いた。又、この転写ローラー7には電圧を印加して、15μAの転写電流を流した。
【0427】
図20 に示した装置では、加熱定着装置Hに、図24 及び図25 に示したようなオイル塗布機構のない熱ロール方式の定着装置を用いた。このとき、上部ローラー、下部ローラー共にフッ素系樹脂の表面層を有するものを使用した。又、ローラーの直径は 60mmであった。定着の際の定着温度を 160℃とし、ニップ幅を7mmに設定した。尚、クリーニングによって回収された感光体ドラム1上の転写残トナーは、リユース機構により現像器に搬送し再使用した。
【0428】
<評価>
以上の条件で、常温常湿(25℃、60%RH)及び、高温高湿(30℃、80%RH)環境下、8枚(A4サイズ)/分のプリントアウト速度で、実施例51〜62 のトナーを使用して作製した2成分系現像剤と、比較例1〜6のトナーを使用して作製した2成分系現像剤をそれぞれ使用し、逐次補給しながら、単色での間歇モード(即ち、一枚プリントアウトする毎に 10秒間現像器を休止させ、再起動時の予備動作でトナーの劣化を促進させるモード)でプリントアウト試験を行ない、得られたプリントアウト画像を下記の項目について評価した。評価結果を表38 にまとめて示した。
【0429】
[プリントアウト画像評価]
1.画像濃度
通常の複写機用普通紙(75g/m)に、所定枚数のプリントアウトをして、初期の画像に対するプリント終了時における画像の画像濃度維持の程度により評価した。尚、画像濃度はマクベス反射濃度計(マクベス社製)を用い、原稿濃度が 0.00 の白地部分のプリントアウト画像に対する相対濃度を測定し、評価に用いた。
◎:優(終了時の画像濃度が 1.40 以上)
○:良(終了時の画像濃度が 1.35 以上 1.40 未満)
△:可(終了時の画像濃度が 1.00 以上 1.35 未満)
×:不可(終了時の画像濃度が 1.00 未満)
2.画像カブリ
通常の複写機用普通紙(75g/m)に所定枚数のプリントアウトをし、プリント終了時のベタ白画像により評価した。具体的には、下記のような方法で評価した。反射式濃度計(TOKYO DENSHOKU CO.,LTD 社製 REFLECTOMETER ODEL TC−6DS)を用いて測定したプリント後の白地部反射濃度の最悪値をDs、プリント前の用紙の反射濃度平均値をDrとし、これらの値から(Ds−Dr)を求め、これをカブリ量とし、下記の基準で評価した。
◎:非常に良好(カブリ量が0%以上 1.5%未満)
○:良好(カブリ量が 1.5%以上 3.0%未満)
△:実用可(カブリ量が 3.0%以上 5.0%未満)
×:実用不可(カブリ量が 5.0%以上)
3.転写性
通常の複写機用普通紙(75g/m)に、黒ベタ画像を所定枚数プリントアウトをし、プリント終了時の画像の画像抜け量を目視により観察し、下記の基準で評価した。
◎ : 非常に良好(殆ど発生せず)
○ : 良好(軽微)
△ : 実用可
× : 実用不可
また、実施例63〜74 および比較例7〜12 で、5000枚画像出力を行なったときの感光ドラム及び中間転写体表面の傷や残留トナーの固着の発生状況とプリントアウト画像への影響(画像形成装置とのマッチング)を目視で評価したところ、実施例63〜74 の2成分系現像剤を使用した系では、感光ドラム及び中間転写体表面の傷や、残留トナーの固着が全く確認できず、画像形成装置とのマッチングが非常に良好であった。一方、比較例7〜12 の2成分系現像剤を使用した系では、いずれも感光ドラム表面にトナーの固着が認められた。更に、比較例7〜12 の2成分系現像剤を使用した系では、中間転写体表面上にトナーの固着と表面傷が確認でき、画像上にも縦スジ状の画像欠陥を生じるといった、画像形成装置とのマッチングにおいて問題を生じた。
【0430】
【表38】
Figure 0003592306
(実施例75〜80、比較例13〜15)
実施例75〜80、比較例13〜15 の画像形成方法の実施にあたっては、現像剤として、実施例51〜56 および比較例1〜3で得たトナーをそれぞれ用いた。また、画像を形成する手段としては、図22 に示したように、市販のレーザービームプリンターLBP−EX(キヤノン社製)にリユース機構を取り付けて改造し、再設定した画像形成装置を用いた。即ち、図22 に示した画像形成装置では、転写後に感光体ドラム 20 上に残った未転写トナーを、該感光体ドラム 20 に当接しているクリーナー 21 の弾性ブレード 22 により掻き落とした後、クリーナーローラーによってクリーナー 21 内部へと送り、更にクリーナーリユース 23 を経て、搬送スクリューを設けた供給用パイプ 24 によってホッパー 25 を介して現像器 26 に戻し、再度、回収トナーを利用するシステムを取り付けられている。
【0431】
図22 に示した画像形成装置では、一次帯電ローラー 27 により、感光体ドラム 20 の表面の帯電がなされる。一次帯電ローラー 27 には、ナイロン樹脂で被覆された、導電性カーボンが分散されたゴムローラー(直径 12mm、当接圧 50g/cm)を使用し、静電潜像担持体(感光体ドラム 20)上に、レーザー露光(600dpi、不図示)により、暗部電位VD=−700V、明部電位VL=−200Vの静電潜像を形成した。トナー担持体として、その表面に、カーボンブラックが分散された樹脂がコートされている表面粗度Raが 1.1 を呈する現像スリーブ 28 を用いた。
【0432】
図23 に、実施例75〜80、比較例13〜15 で用いた一成分現像剤用の現像装置の要部の拡大断面図を示した。静電潜像を現像する条件としては、該現像スリーブ 28 の速度を、対向する感光ドラム 20 面の移動速度に対して 1.1倍の速さになるように設定し、更に、感光ドラム 20 と現像スリーブ 28 との間隔α(S−D間)を 270μmとした。トナーの層厚規制部材としては、ウレタンゴム製ブレード 29 を当接させて用いた。又、トナー画像を定着させる加熱定着装置の設定温度は 160℃とした。なお、定着装置は、図24 及び図25 に示した定着装置を用いた。
【0433】
以上のようにして、常温常湿(25℃、60%RH)環境下、8枚(A4サイズ)/分のプリントアウト速度で、トナーを逐次補給しながら連続モード(即ち、現像器を休止させることなくトナーの消費を促進させるモード)で、3万枚までプリントアウトを行ない、得られたプリントアウト画像について画像濃度を測定し、その耐久について下記に示した基準で評価した。又、10,000枚目の画像を観察し、画像カブリについて下記の基準で評価した。又、同時に、耐久試験後における画像形成装置を構成している各装置の様子を観察し、各装置と上記の各トナーとのマッチングについても評価した。以上の結果を表39 にまとめて示した。
【0434】
[耐久時の画像濃度推移]
通常の複写機用普通紙(75g/m)に、所定枚数のプリントアウトをして、初期の画像に対するプリント終了時における画像の画像濃度維持の程度により評価した。尚、画像濃度はマクベス反射濃度計(マクベス社製)を用い、原稿濃度が 0.00 の白地部分のプリントアウト画像に対する相対濃度を測定し、評価に用いた。
◎:優(終了時の画像濃度が 1.40 以上)
○:良(終了時の画像濃度が 1.35 以上 1.40 未満)
△:可(終了時の画像濃度が 1.00 以上 1.35 未満)
×:不可(終了時の画像濃度が 1.00 未満)
[画像カブリ]
通常の複写機用普通紙(75g/m)に所定枚数のプリントアウトをし、プリント終了時のベタ白画像により評価した。具体的には、下記のような方法で評価した。反射式濃度計(TOKYO DENSHOKU CO.,LTD 社製 REFLECTOMETER ODEL TC−6DS)を用いて測定したプリント後の白地部反射濃度の最悪値をDs、プリント前の用紙の反射濃度平均値をDrとし、これらの値から(Ds−Dr)を求め、これをカブリ量とし、下記の基準で評価した。
◎:非常に良好(カブリ量が0%以上 1.5%未満)
○:良好(カブリ量が 1.5%以上 3.0%未満)
△:実用可(カブリ量が 3.0%以上 5.0%未満)
×:実用不可(カブリ量が 5.0%以上)
[画像形成装置マッチング評価]
1.現像スリーブとのマッチング
プリントアウト試験終了後、現像スリーブ表面への残留トナーの固着の様子とプリントアウト画像への影響を目視で評価した。
◎ : 非常に良好(未発生)
○ : 良好(殆ど発生せず)
△ : 実用可(固着があるが、画像への影響が少ない)
× : 実用不可(固着が多く、画像ムラを生じる)
2.感光ドラムとのマッチング
感光体ドラム表面の傷や残留トナーの固着の発生状況とプリントアウト画像への影響を目視で評価した。
◎ : 非常に良好(未発生)
○ : 良好(僅かに傷の発生が見られるが、画像への影響はない)
△ : 実用可(固着や傷があるが、画像への影響が少ない)
× : 実用不可(固着が多く、縦スジ状の画像欠陥を生じる)
3.定着装置とのマッチング
定着フィルム表面の様子を観察し、表面性及び残留トナーの固着状況の結果を総合平均化して、その耐久性を評価した。
【0435】
(1)表面性
プリントアウト試験終了後の定着フィルム表面の傷や削れの発生の様子を目視で観察し、評価した。
◎ : 非常に良好(未発生)
○ : 良好(殆ど発生せず)
△ : 実用可
× : 実用不可
(2)残留トナーの固着状況
プリントアウト試験終了後の定着フィルム表面の残留トナーの固着状況を目視で観察し、評価した。
◎ : 非常に良好(未発生)
○ : 良好(殆ど発生せず)
△ : 実用可
× : 実用不可
【0436】
【表39】
Figure 0003592306
(実施例81)
図22 の画像形成装置のトナーリユース機構を取り外し、プリントアウト速度を 16枚(A4サイズ)/分とした以外は実施例75 と同様にし、実施例51 の青色トナー(1)を逐次補給しながら連続モード(即ち、現像器を休止させることなく、トナーの消費を促進させるモード)でプリントアウト試験を行なった。得られたプリントアウト画像評価ならびに用いた画像評価装置とのマッチングを実施例75〜80、比較例13〜15 と同様の項目について評価した。その結果、いずれの項目についても良好な結果が得られた。
【0437】
(実施例82)
トナーの種類を実施例51 の青色トナー(1)から実施例52 の青色トナー(2)に変更し、実施例81 と同様の方法で評価を行なったところ、いずれの項目についても良好な結果が得られた。
【0438】
【発明の効果】
本発明により、側鎖にフェニルスルファニル構造を有するユニット、例えば3−ヒドロキシ−4−(フェニルスルファニル)酪酸、3−ヒドロキシ−5−(フェニルスルファニル)吉草酸、3−ヒドロキシ−5−[(4−メチルフェニル)スルファニル]吉草酸、3−ヒドロキシ−4−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]酪酸、3−ヒドロキシ−5−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]吉草酸、3−ヒドロキシ−5−[(4−スルホフェニル)スルファニル]吉草酸、3−ヒドロキシ−8−[(4−カルボキシフェニル)スルファニル]オクタン酸、3−ヒドロキシ−6−[(4−カルボキシフェニル)スルファニル]ヘキサン酸をモノマーユニットとして含む新規ポリヒドロキシアルカノエートが提供される。また、これらのポリヒドロキシアルカノエートの、微生物を用いて生産する工程を含む製造方法が提供される。
【0439】
また本発明によれば、静電荷像現像用トナー組成中へ荷電制御剤として化学式(1)に示すポリヒドロキシアルカノエートを1種類以上添加することにより、帯電特性に優れ、かつトナー樹脂中への該化合物の分散性、スペント性を向上し、また、画像形成装置での出力時においても、画像カブリを発生せず、転写性に優れ、かつ、電子写真プロセスに高度に適用した静電荷像現像用トナーを提供することが可能となる。また、本発明で使用する荷電制御剤は無色あるいは着色が弱いため、カラートナーに要求される色相に合わせて任意の着色剤を選定することが可能であり、かつ染料、顔料が有する本来の色相を何ら阻害することが無い点も特徴である。加えて本発明の静電荷像現像用トナーは、重金属を含有しないためにきわめて安全性が高く、また生分解性であるために、燃焼処理を行なう必要もなく、大気汚染や地球温暖化の防止といった環境保全の点でも、産業上多大な効果をもたらすものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたポリマーのH−NMRスペクトルを示す。
【図2】実施例1で得られたポリマーの13C−NMRスペクトルを示す。
【図3】実施例3で得られたポリマーのメチル化分解物のGC−MSチャートを示す。
【図4】実施例4で得られたポリマーのメチル化分解物のGC−MSチャートを示す。
【図5】実施例5で得られたポリマーのメチル化分解物のGC−MSチャートを示す。
【図6】実施例6で得られたポリマーのメチル化分解物のGC−MSチャートを示す。
【図7】実施例7で得られたポリマーのメチル化分解物のGC−MSチャートを示す。
【図8】実施例8で得られたポリマーのメチル化分解物のGC−MSチャートを示す。
【図9】実施例9で得られたポリマーのメチル化分解物のGC−MSチャートを示す。
【図10】実施例10 で得られたポリマーのH−NMRスペクトルを示す。
【図11】実施例10 で得られたポリマーの13C−NMRスペクトルを示す。
【図12】実施例20 において得られたPHAのH−NMRスペクトルを示す。
【図13】実施例20 のPHAから、メタノリシスにより得られるモノマーメチルエステル体混合物のGC−MS測定結果であり、上に、混合物のTIC(ガスクロマトグラフィー)、下に、3HMeTPxVのメチルエステル体のMSスペクトルをそれぞれ示す。
【図14】5−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]吉草酸のH−NMRスペクトルチャートである。
【図15】実施例31 により得られたPHAのH−NMRスペクトルチャートである。
【図16】実施例33 により得られたPHAをメタノリシス処理したGC−MSのTIC及び3−ヒドロキシ−5−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]吉草酸メチルのMSスペクトルである。
【図17】実施例37 により得られたPHAのH−NMRスペクトルチャートである。
【図18】実施例37 により得られたPHAの13C−NMRスペクトルチャートである。
【図19】実施例50 により得られたPHAのH−NMRスペクトルチャートである。
【図20】実施例63〜74 および比較例7〜12 に用いた画像形成装置の概略的説明図である。
【図21】実施例63〜74 および比較例7〜12 に用いた二成分現像剤用の現像装置の要部の断面図である。
【図22】実施例75〜80、比較例13〜15 に用いたトナーのリユース機構を有する画像形成装置の概略的説明図である。
【図23】実施例75〜80、比較例13〜15 に用いた一成分現像剤用の現像装置の要部の断面図である。
【図24】本発明の実施例に用いた定着装置の要部の分解斜視図である。
【図25】本発明の実施例に用いた定着装置の非駆動時のフィルム状態を示した要部の拡大断面図である。
【図26】トナーの帯電量を測定するブローオフ帯電量測定装置を示す模式図である。
【符号の説明】
1:感光体(静電潜像担持体)
1a:感光層
1b:基材
2:帯電ローラー
2a:導電性弾性層
2b:芯金
3:露光
4:現像装置(4−1、4−2、4−3、4−4)
5:中間の転写体
5a:弾性層
5b:芯金
6:被転写材
7:転写ローラー
7a:弾性層
7b:芯金
8:クリーナー部材
9:残トナー容器
11:現像剤担持体
13:感光体ドラム
20:感光体ドラム
21:クリーナー
22:弾性ブレード
24:供給用パイプ
25:ホッパー
26:現像器
27:一次帯電ローラー
28:現像スリーブ
30:ステー
31:加熱体
31a:ヒーター基板
31b:発熱体
31c:表面保護層
31d:検温素子
32:定着フィルム
33:加熱ローラー
34:コイルばね
35:フィルム端部規制フランジ
36:給電コネクター
37:絶縁部材
38:入口ガイド
39:出口ガイド(分離ガイド)
42:測定容器
43:スクリーン
44:フタ
45:真空計
46:風量調節弁
47:吸引口
48:コンデンサー
49:電位計

Claims (60)

  1. 化学式(1)に示すユニットを分子中に含むことを特徴とするポリヒドロキシアルカノエート。
    Figure 0003592306
    但し、Rは「水素原子、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R"、(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)、CH3、C25、C37、C(CH3)2H、C(CH3)3」から任意に選択される。
    また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
    ここでRが水素原子であり、かつxが2および4の2つのユニットが分子鎖中に同時に存在し、かつこれらの2つのユニットのみからなるポリヒドロキシアルカノエートを除く。
  2. 化学式(1)に示すユニット以外に、化学式(2)及び(3)に示すユニットの少なくとも一方を含む、請求項1に記載のポリヒドロキシアルカノエート。
    Figure 0003592306
    (y及びzは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、(1)で示すユニットと独立してユニット毎に違う値をとり得る。)
  3. 数平均分子量が1,000から500,000の範囲である請求項1または2に記載のポリヒドロキシアルカノエート。
  4. 化学式(4)に示す、3-ヒドロキシ-5-フェニルスルファニル吉草酸ユニットを含む請求項1から3のいずれかに記載のポリヒドロキシアルカノエート。
    Figure 0003592306
  5. 化学式(5)に示す、3-ヒドロキシ-4-フェニルスルファニル酪酸ユニットを含む請求項1から3のいずれかに記載のポリヒドロキシアルカノエート。
    Figure 0003592306
  6. 化学式(6)に示す、3-ヒドロキシ-5-[(4-メチルフェニル)スルファニル]吉草酸ユニットを含む請求項1から3のいずれかに記載のポリヒドロキシアルカノエート。
    Figure 0003592306
  7. 化学式(7)に示す、3-ヒドロキシ-5-[(4-フルオロフェニル)スルファニル]吉草酸ユニットを含む請求項1から3のいずれかに記載のポリヒドロキシアルカノエート。
    Figure 0003592306
  8. 化学式(8)に示す、3-ヒドロキシ-4-[(4-フルオロフェニル)スルファニル]酪酸ユニットを含む請求項1から3のいずれかに記載のポリヒドロキシアルカノエート。
    Figure 0003592306
  9. 化学式(9)に示す、3-ヒドロキシ-5-[(4-スルホフェニル)スルファニル]吉草酸ユニットを含む請求項1から3のいずれかに記載のポリヒドロキシアルカノエート。
    Figure 0003592306
  10. 化学式(10)に示す、3-ヒドロキシ-8-[(4-カルボキシフェニル)スルファニル]オクタン酸ユニットを含む請求項1から3のいずれかに記載のポリヒドロキシアルカノエート。
    Figure 0003592306
  11. 化学式(11)に示す、3-ヒドロキシ-6-[(4-カルボキシフェニル)スルファニル]ヘキサン酸ユニットを含む請求項1から3のいずれかに記載のポリヒドロキシアルカノエート。
    Figure 0003592306
  12. 化学式(10)に示す、3-ヒドロキシ-8-[(4-カルボキシフェニル)スルファニル]オクタン酸ユニット、あるいは化学式(11)に示す、3-ヒドロキシ-6-[(4-カルボキシフェニル)スルファニル]ヘキサン酸ユニット以外に、化学式(12)に示す、3-ヒドロキシ-5-フェニル吉草酸ユニットを含む請求項10もしくは11の何れかに記載のポリヒドロキシアルカノエート。
    Figure 0003592306
  13. 化学式(14)に示す化合物を少なくとも一種類以上含む培地中で微生物を培養することを特徴とする、化学式(1)に示すユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 0003592306
    但し、Rは「水素原子、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R"、(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)、CH3、C25、C37、C(CH3)2H、C(CH3)3」から任意に選択される。
    また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数である。
    Figure 0003592306
    但し、Rは「水素原子、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R"、(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)、CH3、C25、C37、C(CH3)2H、C(CH3)3」から任意に選択される。
    また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
    ここでRが水素原子であり、かつxが2および4の2つのユニットが分子鎖中に同時に存在し、かつこれらの2つのユニットのみからなるポリヒドロキシアルカノエートを除く。
  14. 化学式(14)に示す化合物を少なくとも一種類以上およびポリペプトンを含む培地中で微生物を培養することを特徴とする、化学式(1)に示すユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 0003592306
    但し、Rは「水素原子、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R"、(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)、CH3、C25、C37、C(CH3)2H、C(CH3)3」から任意に選択される。
    また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数である。
    Figure 0003592306
    但し、Rは「水素原子、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R"、(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)、CH3、C25、C37、C(CH3)2H、C(CH3)3」から任意に選択される。
    また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
  15. 化学式(14)に示す化合物を少なくとも一種類以上および酵母エキスを含む培地中で微生物を培養することを特徴とする、化学式(1)に示すユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 0003592306
    但し、Rは「水素原子、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R"、(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)、CH3、C25、C37、C(CH3)2H、C(CH3)3」から任意に選択される。
    また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数である。
    Figure 0003592306
    但し、Rは「水素原子、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R"、(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)、CH3、C25、C37、C(CH3)2H、C(CH3)3」から任意に選択される。
    また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
  16. 化学式(14)に示す化合物を少なくとも一種類以上および糖類を含む培地中で微生物を培養することを特徴とする、化学式(1)に示すユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 0003592306
    但し、Rは「水素原子、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R"、(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)、CH3、C25、C37、C(CH3)2H、C(CH3)3」から任意に選択される。
    また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数である。
    Figure 0003592306
    但し、Rは「水素原子、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R"、(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)、CH3、C25、C37、C(CH3)2H、C(CH3)3」から任意に選択される。
    また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
  17. 該糖類がグリセロアルデヒド、エリスロース、アラビノース、キシロース、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、グリセロール、エリスリトール、キシリトール、グルコン酸、グルクロン酸、ガラクツロン酸、マルトース、スクロース、ラクトースから選ばれる1種類以上の化合物である請求項16に記載の方法。
  18. 化学式(14)に示す化合物を少なくとも一種類以上および有機酸あるいはその塩を含む培地中で微生物を培養することを特徴とする、化学式(1)に示すユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 0003592306
    但し、Rは「水素原子、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R"、(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)、CH3、C25、C37、C(CH3)2H、C(CH3)3」から任意に選択される。
    また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数である。
    Figure 0003592306
    但し、Rは「水素原子、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R"、(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)、CH3、C25、C37、C(CH3)2H、C(CH3)3」から任意に選択される。
    また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
  19. 該有機酸あるいはその塩がピルビン酸、リンゴ酸、乳酸、クエン酸、コハク酸あるいはその塩から選ばれる1つ以上の化合物である請求項18に記載の方法。
  20. 化学式(14)に示す化合物を少なくとも一種類以上およびアミノ酸あるいはその塩を含む培地中で微生物を培養することを特徴とする、化学式(1)に示すユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 0003592306
    但し、Rは「水素原子、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R"、(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)、CH3、C25、C37、C(CH3)2H、C(CH3)3」から任意に選択される。
    また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数である。
    Figure 0003592306
    但し、Rは「水素原子、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R"、(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)、CH3、C25、C37、C(CH3)2H、C(CH3)3」から任意に選択される。
    また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
  21. 該アミノ酸あるいはその塩がグルタミン酸、アスパラギン酸、あるいはその塩から選ばれる1つ以上の化合物である請求項20に記載の方法。
  22. 化学式(14)に示す化合物を少なくとも一種類以上および炭素数4から12の直鎖アルカン酸あるいはその塩を含む培地中で微生物を培養することを特徴とする、化学式(1)に示すユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 0003592306
    但し、Rは「水素原子、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R"、(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)、CH3、C25、C37、C(CH3)2H、C(CH3)3」から任意に選択される。
    また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数である。
    Figure 0003592306
    但し、Rは「水素原子、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R"、(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)、CH3、C25、C37、C(CH3)2H、C(CH3)3」から任意に選択される。
    また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
  23. 化学式(14)に示す化合物を少なくとも一種類以上含み、かつポリペプトンを含む培地中で微生物を培養する工程(工程1-1)と、これに続く、化学式(14)に示す化合物を少なくとも一種類以上含み、かつ有機酸あるいはその塩とを含む培地中で、工程1-1で培養された微生物を更に培養する工程(工程2-1)を行なうことを特徴とする、化学式(1)に示すユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 0003592306
    但し、Rは「水素原子、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R"、(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)、CH3、C25、C37、C(CH3)2H、C(CH3)3」から任意に選択される。
    また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数である。
    Figure 0003592306
    但し、Rは「水素原子、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R"、(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)、CH3、C25、C37、C(CH3)2H、C(CH3)3」から任意に選択される。
    また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
  24. 前記工程2-1で利用する培地中に窒素源が含まれていないことを特徴とする請求項23に記載の製造方法。
  25. 該有機酸或いはその塩がピルビン酸、リンゴ酸、乳酸、クエン酸、コハク酸あるいはその塩から選ばれる1つ以上の化合物である請求項23または24に記載の方法。
  26. 化学式(14)に示す化合物を少なくとも一種類以上含み、かつ糖類を含む培地中で微生物を培養する工程(工程1-2)と、これに続く、化学式(14)に示す化合物を少なくとも一種類以上含み、また糖類を含む培地中で、工程1-2で培養された微生物を更に培養する工程(工程2-2)を行なうことを特徴とする、化学式(1)に示すユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 0003592306
    但し、Rは「水素原子、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R"、(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)、CH3、C25、C37、C(CH3)2H、C(CH3)3」から任意に選択される。
    また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数である。
    Figure 0003592306
    但し、Rは「水素原子、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R"、(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)、CH3、C25、C37、C(CH3)2H、C(CH3)3」から任意に選択される。
    また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
  27. 前記工程2-2で利用する培地中に、窒素源が含まれていないことを特徴とする請求項26に記載の製造方法。
  28. 化学式(1)に示すユニット以外のユニットとして、化学式(12)に示すユニットを含む、請求項26または27に記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 0003592306
  29. 該糖類がグリセロアルデヒド、エリスロース、アラビノース、キシロース、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、グリセロール、エリスリトール、キシリトール、グルコン酸、グルクロン酸、ガラクツロン酸、マルトース、スクロース、ラクトースから選ばれる1種類以上の化合物である請求項26から28の何れかに記載の方法。
  30. 化学式(1)に示すユニット以外にのユニットとして、化学式(2)及び(3)に示すユニットの少なくとも一方を含む、請求項13から29の何れかに記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 0003592306
    (y及びzは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、(1)で示すユニットと独立してユニット毎に違う値をとり得る。)
  31. 化学式(15)で示される5-フェニルスルファニル吉草酸を含む培地中で微生物を培養し、化学式(4)で示される3-ヒドロキシ-5-フェニルスルファニル吉草酸ユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産することを特徴とする、請求項13から30の何れかに記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 0003592306
    Figure 0003592306
  32. 化学式(16)で示される4-フェニルスルファニル酪酸を含む培地中で微生物を培養し、化学式(5)で示される3-ヒドロキシ-4-フェニルスルファニル酪酸ユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産することを特徴とする、請求項13から30の何れかに記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 0003592306
    Figure 0003592306
  33. 化学式(17)で示される5-[(4-メチルフェニル)スルファニル]吉草酸を含む培地中で微生物を培養し、化学式(6)で示される3-ヒドロキシ-5-[(4-メチルフェニル)スルファニル]吉草酸ユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産することを特徴とする、請求項13から30の何れかに記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 0003592306
    Figure 0003592306
  34. 化学式(13)に示す5-[(4-フルオロフェニル)スルファニル]吉草酸を含む培地中で微生物を培養し、化学式(7)に示す3-ヒドロキシ-5-[(4-フルオロフェニル)スルファニル]吉草酸ユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産することを特徴とする、請求項13から30の何れかに記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 0003592306
    Figure 0003592306
  35. 化学式(18)に示す4-[(4-フルオロフェニル)スルファニル]酪酸を含む培地中で微生物を培養し、化学式(8)に示す3-ヒドロキシ-4-[(4-フルオロフェニル)スルファニル]酪酸ユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを生産することを特徴とする、請求項13から30の何れかに記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 0003592306
    Figure 0003592306
  36. 化学式(19)に示すユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートをクロロ硫酸によりスルホン化する工程を有することを特徴とする、化学式(20)に示すユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 0003592306
    (xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。)
    Figure 0003592306
    (但し、R"は「OH、ONa、OK」から任意に選択される。
    また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。)
  37. 化学式(19)に示す化合物が、化学式(21)に示す化合物の少なくとも一種類以上を含む培地中で微生物を培養する工程を含む方法で製造される、請求項36に記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 0003592306
    (xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数である。)
  38. 化学式(4)に示す3-ヒドロキシ-5-(フェニルスルファニル)吉草酸ユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートをクロロ硫酸によりスルホン化する工程を有する方法により、化学式(9)に示す、3-ヒドロキシ-5-[(4-スルホフェニル)スルファニル]吉草酸ユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造することを特徴とする、請求項36または37に記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 0003592306
    Figure 0003592306
  39. 化学式(22)に示す、3-ヒドロキシ-ω-ブロモアルカン酸ユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートと、化学式(23)に示す、置換ベンゼンチオールを反応させる工程を有することを特徴とする、化学式(1)に示すユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 0003592306
    (xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。)
    Figure 0003592306
    但し、Rは「水素原子、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R"、(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)、CH3、C25、C37、C(CH3)2H、C(CH3)3」から任意に選択される。
    Figure 0003592306
    但し、Rは「水素原子、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R"、(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)、CH3、C25、C37、C(CH3)2H、C(CH3)3」から任意に選択される。
    また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
    ここでRが水素原子であり、かつxが2および4の2つのユニットが分子鎖中に同時に存在し、かつこれらの2つのユニットのみからなるポリヒドロキシアルカノエートを除く。
  40. 化学式(22)に示す、3-ヒドロキシ-ω-ブロモアルカン酸ユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートが、化学式(24)に示すω-ブロモアルカン酸の少なくとも一種類以上を含む培地中で微生物を培養する工程を含む方法で製造される、請求項39に記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 0003592306
    (xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数である。)
  41. 化学式(25)に示す、3-ヒドロキシ-8-ブロモオクタン酸ユニット、化学式(26)に示す、3-ヒドロキシ-6-ブロモヘキサン酸ユニットの少なくとも一方を含むポリヒドロキシアルカノエートと、化学式(27)に示す、4-メルカプト安息香酸を反応させる工程を有する方法により、化学式(10)に示す、3-ヒドロキシ-8-[(4-カルボキシフェニル)スルファニル]オクタン酸ユニット、化学式(11)に示す、3-ヒドロキシ-6-[(4-カルボキシフェニル)スルファニル]ヘキサン酸ユニットの少なくとも一方を分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートを製造することを特徴とする請求項39または40に記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 0003592306
    Figure 0003592306
    Figure 0003592306
  42. 化学式(28)に示す、3-ヒドロキシ-ω-アルケン酸ユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートと、化学式(23)に示す、置換ベンゼンチオールを反応させる工程を有することを特徴とする、化学式(29)に示すユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 0003592306
    (pは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。)
    Figure 0003592306
    但し、Rは「水素原子、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R"、(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)、CH3、C25、C37、C(CH3)2H、C(CH3)3」から任意に選択される。
    Figure 0003592306
    但し、Rは「水素原子、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R"、(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)、CH3、C25、C37、C(CH3)2H、C(CH3)3」から任意に選択される。
    また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
    ここでRが水素原子であり、かつxが2および4の2つのユニットが分子鎖中に同時に存在し、かつこれらの2つのユニットのみからなるポリヒドロキシアルカノエートを除く。
  43. 化学式(28)に示す、3-ヒドロキシ-ω-アルケン酸ユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートが、化学式(30)に示すω-アルケン酸の少なくとも一種類以上を含む培地中で微生物を培養する工程を含む方法で製造される、請求項42に記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 0003592306
    (pは化学式中に示した範囲から選ばれた整数である。)
  44. 該微生物がシュードモナス(Pseudomonas)属に属する微生物である請求項13から353740、および43の何れかに記載の方法。
  45. 該微生物がシュードモナス・チコリアイ YN2株(Pseudomonas cichorii YN2;FERM BP-7375)、シュードモナス・チコリアイ H45株(Pseudomonas cichorii H45、FERM BP-7374)、シュードモナス・ジェッセニイ P161株(Pseudomonas jessenii P161、FERM BP-7376)、シュードモナス・プチダ P91株(Pseudomonas putida P91、FERM BP-7373)の何れか1つ以上の株である、請求項44に記載の方法。
  46. 該微生物細胞からポリヒドロキシアルカノエートを回収する工程を含む請求項13から353740、および43から45の何れかに記載の方法。
  47. 該ポリヒドロキシアルカノエート回収工程は、微生物細胞中に蓄積されるポリヒドロキシアルカノエートを抽出する工程を含むことを特徴とする請求項46記載の方法。
  48. 微生物が蓄積したポリヒドロキシアルカノエートを抽出する溶媒が、クロロホルム、ジクロロメタン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトンから選択される1種類以上の溶媒であることを特徴とする請求項47に記載の方法。
  49. 該ポリヒドロキシアルカノエート回収工程は、微生物細胞中に蓄積されるポリヒドロキシアルカノエートを分離する工程として、微生物細胞を破砕する工程を含むことを特徴とする請求項46記載の方法。
  50. 微生物細胞を破砕する工程が、超音波破砕法、ホモジナイザー法、圧力破砕法、ビーズ衝撃法、摩砕法、擂潰法、凍結融解法のいずれかの方法で行なわれることを特徴とする請求項49に記載の方法。
  51. 粉粒体の荷電状態を制御する荷電制御剤において、化学式(1)に示すユニットのうちの少なくとも1種類のユニットを有するポリヒドロキシアルカノエートを含有してなることを特徴とする荷電制御剤。
    Figure 0003592306
    (但し、Rは「COOR'(R':H、Na、K、CH3、C25)、SO2R"(R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)」から任意に選択される。
    また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。)
  52. 化学式(1)に示すユニット以外に、化学式(2)及び(3)に示すユニットをそれぞれ独立にあるいは両方含む請求項51に記載の荷電制御剤。
    Figure 0003592306
    (y及びzは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、(1)で示すユニットと独立してユニット毎に違う値をとり得る。)
  53. 前記粉粒体が静電荷像現像トナーである請求項51または52に記載の荷電制御剤。
  54. 前記ポリヒドロキシアルカノエートの数平均分子量が、1,000から500,000の範囲である請求項51から53の何れかに記載の荷電制御剤。
  55. 静電荷像現像トナーで用いられるトナーバインダーにおいて、請求項51から54の何れかに記載の荷電制御剤を含有してなることを特徴とするトナーバインダー。
  56. 静電荷像現像トナーにおいて、少なくとも、バインダー樹脂と着色剤と、請求項51から54の何れかに記載の荷電制御剤を含有してなることを特徴とする静電荷像現像トナー。
  57. 外部より帯電部材に電圧を印加して静電潜像担持体に帯電を行なう工程と、帯電された静電潜像担持体に静電荷像を形成する工程と、該静電荷像を静電荷像現像トナーにより現像してトナー像を静電潜像担持体上に形成する現像工程と、静電潜像担持体上のトナー像を被記録材へ転写する転写工程と、被記録材上のトナー像を加熱定着する定着工程とを少なくとも有する画像形成方法において、
    少なくとも、バインダー樹脂と、着色剤と、請求項51から54の何れかに記載の荷電制御剤を含有してなる静電荷像現像トナーを使用することを特徴とする画像形成方法。
  58. 外部より帯電部材に電圧を印加して静電潜像担持体に帯電を行なう工程と、帯電された静電潜像担持体に静電荷像を形成する工程と、該静電荷像を静電荷像現像トナーにより現像してトナー像を静電潜像担持体上に形成する現像工程と、静電潜像担持体上のトナー像を中間の転写体に転写する第1の転写工程と、該中間の転写体上のトナー像を被記録材に転写する第2の転写工程と、被記録材上のトナー像を加熱定着する定着工程とを少なくとも有する画像形成方法において、
    少なくとも、バインダー樹脂と着色剤と、請求項51から54の何れかに記載の荷電制御剤を含有してなる静電荷像現像トナーを使用することを特徴とする請求項57に記載の画像形成方法。
  59. 外部より帯電部材に電圧を印加して静電潜像担持体に帯電を行なう手段と、帯電された静電潜像担持体に静電荷像を形成する手段と、該静電荷像を静電荷像現像トナーにより現像してトナー像を静電潜像担持体上に形成する現像手段と、静電潜像担持体上のトナー像を被記録材へ転写する転写手段と、被記録材上のトナー像を加熱定着する定着手段とを少なくとも有する画像形成装置において、
    少なくとも、バインダー樹脂と、着色剤と、請求項51から54の何れかに記載の荷電制御剤を含有してなる静電荷像現像トナーを使用することを特徴とする画像形成装置。
  60. 外部より帯電部材に電圧を印加して静電潜像担持体に帯電を行なう手段と、帯電された静電潜像担持体に静電荷像を形成する手段と、該静電荷像を静電荷像現像トナーにより現像してトナー像を静電潜像担持体上に形成する現像手段と、静電潜像担持体上のトナー像を中間の転写体に転写する第1の転写手段と、該中間の転写体上のトナー像を被記録材に転写する第2の転写手段と、被記録材上のトナー像を加熱定着する定着手段とを少なくとも有する画像形成装置において、
    少なくとも、バインダー樹脂と着色剤と、請求項51から54の何れかに記載の荷電制御剤を含有してなる静電荷像現像トナーを使用することを特徴とする請求項59 記載の画像形成装置。
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