JP3848206B2 - 新規なポリヒドロキシアルカノエート及びその製造方法、該ポリヒドロキシアルカノエートを含有する荷電制御剤、トナーバインダー並びにトナー、該トナーを用いた画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents

新規なポリヒドロキシアルカノエート及びその製造方法、該ポリヒドロキシアルカノエートを含有する荷電制御剤、トナーバインダー並びにトナー、該トナーを用いた画像形成方法及び画像形成装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規なポリヒドロキシアルカノエート(PHA)及びその製造方法に関する。更に、本発明は、電子写真法、静電記録法、磁気記録法等を利用した記録方法に用いられる荷電制御剤、トナーバインダー、静電荷像現像トナー、該トナーを使用する画像形成方法及び画像形成装置に関する。特には、予め静電潜像担持体(以下、単に像担持体と呼ぶ)上にトナー像を形成後、被転写材上に転写させて画像を形成する、複写機、プリンター、ファックス等の電子写真、静電記録、静電印刷に用いられる荷電制御剤、トナーバインダー、静電荷像現像トナー、画像形成方法及び画像形成装置に関する。更に詳しくは、負帯電性の電荷制御剤、それを用いたトナーバインダー、静電荷像現像トナー、該トナーを使用する画像形成方法及び画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
これまで、多くの微生物がポリ-3-ヒドロキシ酪酸(PHB)あるいはその他のPHAを生産し、菌体内に蓄積することが報告されてきた(「生分解性プラスチックハンドブック」,生分解性プラスチック研究会編,(株)エヌ・ティー・エス,P178-197(1995))。これらのポリマーは従来のプラスチックと同様に、溶融加工等により各種製品の生産に利用することができる。さらに、生分解性であるがゆえに、自然界で微生物により完全分解されるという利点を有しており、従来の多くの合成高分子化合物のように自然環境に残留して汚染を引き起こすことがない。また、生体適合性にも優れており、医療用軟質部材等としての応用も期待されている。
【0003】
このような微生物産生PHAは、その生産に用いる微生物の種類や培地組成、培養条件等により、様々な組成や構造のものとなり得ることが知られており、これまで主に、PHAの物性の改良という観点から、このような組成や構造の制御に関する研究がなされてきた。
【0004】
[1]まず、3-ヒドロキシ酪酸(以下、3HBと略す)をはじめとする比較的簡単な構造のモノマーユニットを重合させたPHAの生合成としては、次のものが挙げられる。
【0005】
(a)3HBと3-ヒドロキシ吉草酸(以下3HV)を含むもの
特公平6-15604号公報、特公平7-14352号公報、特公平8-19227号公報等;特開平5-7492号公報
(b)3HBと3-ヒドロキシヘキサン酸(以下3HHx)を含むもの
特開平5-93049号公報、及び特開平7-265065号公報
(c)3HBと4-ヒドロキシ酪酸(以下4HB)を含むもの
特開平9-191893号公報
(d)炭素数6から12までの3-ヒドロキシアルカノエートを含むもの
特許公報第2642937号
(e)単一の脂肪酸を炭素源とした生合成。生産物は(d)とほぼ同様
Appl.Environ.Microbiol,58(2),746(1992)
等が挙げられる。これらはいずれも微生物による炭化水素等のβ酸化や糖からの脂肪酸合成により合成された、いずれも側鎖にアルキル基を有するモノマーユニットからなるPHA、即ち、「usual PHA」である。
【0006】
[2]しかし、このような微生物産生PHAのより広範囲な応用、例えば機能性ポリマーとしての応用を考慮した場合、アルキル基以外の置換基を側鎖に導入したPHA「unusual PHA」が極めて有用であることが期待される。置換基の例としては、芳香環を含むもの(フェニル基、フェノキシ基、ベンゾイル基など)や、不飽和炭化水素、エステル基、アリル基、シアノ基、ハロゲン化炭化水素、エポキシドなどが挙げられる。これらの中でも、特に、芳香環を有するPHAの研究が盛んになされている。
【0007】
(a)フェニル基もしくはその部分置換体を含むもの
Makromol.Chem.,191,1957-1965(1990)及びMacromolecules,24,5256-5260(1991)には、5-フェニル吉草酸を基質として、シュードモナス オレオボランス(Pseudomonas oleovorans)が3-ヒドロキシ-5-フェニル吉草酸をユニットとして含むPHAを生産することが報告されている。
【0008】
Macromolecules,29,1762-1766(1996)には、5-(4'-トリル)吉草酸を基質として、シュードモナス オレオボランス(Pseudomonas oleovorans)が3-ヒドロキシ-5-(4'-トリル)吉草酸をユニットとして含むPHAを生産することが報告されている。
【0009】
Macromolecules,32,2889-2895(1999)には、5-(2',4'-ジニトロフェニル)吉草酸を基質として、シュードモナス オレオボランス(Pseudomonas oleovorans)が3-ヒドロキシ-5-(2',4'-ジニトロフェニル)吉草酸及び3-ヒドロキシ-5-(4'-ニトロフェニル)吉草酸をユニットとして含むPHAを生産することが報告されている。
【0010】
(b)フェノキシ基もしくはその部分置換体を含むもの
Macromol.Chem.Phys.,195,1665-1672(1994)には、11-フェノキシウンデカン酸を基質として、シュードモナス オレオボランス(Pseudomonas oleovorans)が3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸と3-ヒドロキシ-9-フェノキシノナン酸のPHAコポリマーを生産することが報告されている。
【0011】
特許公報第2989175号には、3-ヒドロキシ、5-(モノフルオロフェノキシ)ペンタノエート(3H5(MFP)P)ユニットあるいは3-ヒドロキシ、5-(ジフルオロフェノキシ)ペンタノエート(3H5(DFP)P)ユニットからなるホモポリマー、少なくとも3H5(MFP)Pユニットあるいは3H5(DFP)Pユニットを含有するコポリマー;これらのポリマーを合成するシュードモナス・プチダ;シュードモナス属を用いた前記のポリマーの製造法に関する発明が開示されており、その効果として、置換基をもつ長鎖脂肪酸を資化して、側鎖末端が1から2個のフッ素原子が置換したフェノキシ基をもつポリマーを合成することができ、融点が高く良い加工性を保持しながら、立体規則性、撥水性を与えることができるとしている。
【0012】
この様なフッ素基置換体以外に、シアノ基やニトロ基の置換体の研究もなされている。
【0013】
Can.J.Microbiol.,41,32-43(1995)及び Polymer International,39,205-213(1996)には、シュードモナス オレオボランス(Pseudomonas oleovorans)ATCC 29347株及びシュードモナス プチダ(Pseudomonas putida)KT 2442株を用いて、オクタン酸とp-シアノフェノキシヘキサン酸或いはp-ニトロフェノキシヘキサン酸を基質として、3-ヒドロキシ-p-シアノフェノキシヘキサン酸或いは3-ヒドロキシ-p-ニトロフェノキシヘキサン酸をモノマーユニットとして含むPHAの生産が報告されている。
【0014】
これらの報告は側鎖がアルキル基である一般的なPHAとは異なり、いずれもPHAの側鎖に芳香環を有しており、それに由来する物性を有するポリマーを得る上で有益である。
【0015】
[3]また新たなカテゴリーとして、単に物性の変化に留まらず、側鎖に適当な官能基を有するPHAを生産し、その官能基を利用して新たな機能を生み出そうとする研究も行なわれている。
【0016】
例えばMacromolecules,31,1480-1486(1996)及び、Journal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry,36,2381-2387(1998)などでは、側鎖の末端にビニル基を持つユニットを含むPHAを合成した後、酸化剤によりエポキシ化し、側鎖末端に反応性の高いエポキシ基を含むPHAを合成出来たと報告されている。
【0017】
またビニル基以外にも、高い反応性が期待されるチオエーテルを持つユニットを含むPHAの合成例として、Macromolecules,32,8315-8318(1999)においては、シュードモナス プチダ(Pseudomonas putida)27N01株が 11-(フェニルスルファニル)吉草酸を基質とし、3-ヒドロキシ-5-(フェニルスルファニル)吉草酸及び3-ヒドロキシ-7-(フェニルスルファニル)吉草酸のPHAコポリマーを生産することが報告されている。
【0018】
また、本発明における電子写真法は、現在までに多数の方法が提案されているが、一般的には、光導電性物質を利用し、種々の手段によって像担持体(感光体)上に電気的潜像を形成し、次いで該潜像をトナーで現像して可視像とし、必要に応じて紙等の被転写材にトナー像を転写した後、熱及び/または圧力等により被転写材上にトナー画像を定着して複写物を得るものである。電気的潜像を可視化する方法としては、カスケード現像法、磁気ブラシ現像法、加圧現像方法等が知られている。更には、磁性トナーと中心に磁極を配した回転現像スリーブを用いて、現像スリーブ上から感光体上へと磁性トナーを磁界にて飛翔させる方法も用いられている。
【0019】
静電潜像を現像する際に用いられる現像方式には、トナーとキャリアとからなる二成分系現像剤を使用する二成分現像方式と、キャリアを使用しないトナーのみからなる一成分系現像剤を用いる一成分現像方式とがある。
【0020】
ここで、一般にトナーと称される着色微粒子は、バインダー樹脂と着色材とを必須成分とし、その他必要に応じ磁性粉等から構成されている。トナーに電荷を付与する方法としては、荷電制御剤を用いることなくバインダー樹脂そのものの帯電特性を利用することもできるが、それでは帯電の経時安定性、耐湿性が劣り良好な画質を得ることが出来ない。従って通常トナーの電荷保持、荷電制御の目的で荷電制御剤が加えられる。
【0021】
今日、当該技術分野で知られている公知の荷電制御剤としては、例えば、負摩擦帯電性としては、アゾ染料金属錯体、芳香族ジカルボン酸の金属錯体、サリチル酸誘導体の金属錯体等がある。また、正荷電制御剤としてはニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、各種4級アンモニウム塩、ジブチル錫オキサイド等の有機スズ化合物等が知られている。
【0022】
近年、環境保護の観点からも、より一層の廃棄物の削減と環境汚染の防止が世界的に望まれている。このような課題は、電子写真の分野においても同様であり、イメージング装置の広い普及にともない、印刷された用紙、使用済みの廃トナー、複写紙の廃棄量が年ごとに増大しており、地球環境の保全の見地から、より一層の廃棄物の削減と環境に配慮した物質の使用が望まれている。
【0023】
上記の課題を解決する手段として、無色で重金属を含まない化合物や高分子系の荷電制御剤が検討されている。このような例として、USP 4480021、USP 4442189、USP 4925765、特開昭60-108861号公報、特開昭61-3149号公報、特開昭63-38958号公報、特開昭63-88564号公報などの化合物が挙げられるが、これらの化合物は荷電制御剤としての十分な性能を有しておらず、帯電量、帯電の立ち上がり特性、経時安定性、環境安定性等に課題がある。一般にトナーに負帯電性を発揮させる場合の高分子荷電制御剤としては、スチレン及び/またはα-メチルスチレンと、スルホン酸基を有するアルキル(メタ)アクリレートエステル或いアルキル(メタ)アクリレートアミドとの共重合体(特開平7-72658号公報、特開平8-179564号公報、特許2114410号公報、特許2623684号公報、特許2807795号公報)が用いられる例が多い。このような材料は、無色である点では有利であるが、目的とする帯電量を得るためには大量の添加が必要となり、また、スルホン酸基がアニオン性官能基であり、吸湿性を有していることは明らかであり、耐湿性という意味で問題があると考えられる。更に、基本的には非イオン性である結着樹脂(バインダー)との相溶性にも問題が生じることが考えられる。
【0024】
環境保護の観点から、微生物等の作用により経時的に分解可能な樹脂、すなわち、生分解性の樹脂の開発が進められており、例えば、多くの微生物がポリエステル構造を有する生分解性樹脂(PHA)を生産し、菌体内に蓄積することが報告されているのは上記に示した通りである。このようなPHAは、その生産に用いる微生物の種類や培地組成、培養条件等により、様々な組成や構造のものとなり得ることが知られており、これまで主に、物性の改良という観点から、産生されるPHAの組成や構造の制御に関する研究がなされている。
【0025】
電子写真の分野においても、特にトナーの製造においてバインダー樹脂への生分解性樹脂の応用が提案されている。例えば、USP 5004664 には生分解性樹脂、特にはポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ吉草酸、これらの共重合体あるいはブレンド体をその組成物としてなるトナーが開示されている。また、特開平6-289644号公報には、少なくともバインダー樹脂が、植物系ワックスと、生分解性樹脂(例えば、微生物生産のポリエステル、植物-または動物-由来の天然高分子材料等)とを含有し、前記植物系ワックスが、前記バインダー樹脂中に5〜50質量%の量で添加されていることを特徴とする、特に熱ロール定着用の電子写真用トナーが開示されている。また、特開平7-120975号公報には、乳酸系樹脂をバインダー樹脂として含有することを特徴とする電子写真用トナーが開示されている。さらに、特開平9-274335号公報には、乳酸及び3官能以上のオキシカルボン酸を含有する組成物を脱水重縮合して得られたポリエステル樹脂及び着色剤を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナーが開示されている。また、特開平8-262796号公報には、バインダー樹脂及び着色剤を含む電子写真用トナーであって、前記バインダー樹脂が生分解性樹脂(例えば、脂肪族ポリエステル樹脂等)よりなり、そして前記着色剤が非水溶性色素よりなることを特徴とする電子写真用トナーが開示されている。さらに、特開平9-281746号公報には、ポリ乳酸を3官能以上の多価イソシアナートにより架橋して得られるウレタン化ポリエステル樹脂及び着色剤を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナーが開示されている。以上説明した電子写真用トナーのいずれについても、そのバインダー樹脂として生分解性樹脂を使用しており、環境の保全等に寄与する効果があると理解される。
【0026】
上記の生分解性樹脂をバインダー樹脂として用いた電子写真用トナーのいずれについても、荷電制御剤は、クロム、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、鉄などの重金属が含まれている。一方、荷電制御剤に生分解性樹脂を使用している例の報告は未だ知られておらず更なる環境への配慮した材料の提供が望まれている。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】
これらのうち、3-ヒドロキシ-ω-(フェニルスルファニル)アルカン酸ユニットを含むPHAに注目した場合、スルファニル基(-S-)の反応性の高さから、機能性PHAを開発していく上で今後益々研究がなされていくものと予想される。しかし、この様な種類のPHAに関しては上に挙げた1例の報告があるに過ぎない。更に上記の方法は、炭素鎖長が長いカルボン酸を原料とし、微生物中で2炭素づつ短縮していくβ酸化系を利用し、原料よりも炭素鎖の短い3-ヒドロキシアルカン酸をポリマーのユニットとして取り込ませているため、ポリマー構造の制御が困難であるという問題があった。
【0028】
この問題を解決するために、発明者らは既に新規な、側鎖にスルファニル構造(-S-)を有するユニットを含む新規なポリヒドロキシアルカノエートそのもの、およびその製造方法についての発明を行なっている。
【0029】
これらの構造はいずれもポリヒドロキシアルカノエート分子中に硫黄原子がスルファニル(-S-)の形で存在している。本発明の目的は、ポリヒドロキシアルカノエートを更なる広範囲な用途に対応せしむべく、ポリヒドロキシアルカノエートの物理化学的性状を更に改善しうる新たな構造およびその製造方法を提供するものである。
【0030】
また、本発明は上記の課題を解決すべく、機能面においては無着色で金属類を含まず、かつ高性能(高帯電量、帯電の立ち上がりが早い、経時安定性に優れる、環境安定性が高い、の少なくともいずれか一つ)で分散性の改良された負帯電性の荷電制御剤、該荷電制御剤を含有してなるトナーバインダー、該荷電制御剤を含有してなる静電荷像現像トナー、さらには該静電荷像現像トナーを用いた画像形成方法を提供するものである。
【0031】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記のような目的の元にポリヒドロキシアルカノエートの開発を鋭意行なった結果、以下に示すような発明に至った。即ち、本発明の第一は、化学式(1)及び(2)に示されるユニットと、化学式(3),(4),(5),(6)に示される4種類のユニットのうちの少なくとも1種類以上とを分子中に含むことを特徴とするポリヒドロキシアルカノエートそのものである。
【0032】
【化19】
Figure 0003848206
【0033】
但し、Rは「H、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R”、CH3基、C25基、CH3CH2CH2基、(CH3)2CH基、(CH3)3C基
(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)」
から任意に選択される。
また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
【0034】
【化20】
Figure 0003848206
【0035】
但し、Rは「H、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R”、CH3基、C25基、CH3CH2CH2基、(CH3)2CH基、(CH3)3C基
(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)」
から任意に選択される。
また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
【0036】
【化21】
Figure 0003848206
【0037】
但し、Rは「H、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R”、CH3基、C25基、CH3CH2CH2基、(CH3)2CH基、(CH3)3C基
(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)」
から任意に選択される。
また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
【0038】
【化22】
Figure 0003848206
【0039】
但し、Rは「H、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R”、CH3基、C25基、CH3CH2CH2基、(CH3)2CH基、(CH3)3C基
(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)」
から任意に選択される。
また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
【0040】
【化23】
Figure 0003848206
【0041】
但し、Rは「H、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R”、CH3基、C25基、CH3CH2CH2基、(CH3)2CH基、(CH3)3C基
(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)」
から任意に選択される。
また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
【0042】
【化24】
Figure 0003848206
【0043】
但し、Rは「H、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R”、CH3基、C25基、CH3CH2CH2基、(CH3)2CH基、(CH3)3C基
(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)」
から任意に選択される。
また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
【0044】
本発明の新規なポリヒドロキシアルカノエートのうちでも特に、例えば以下に示す3種類のポリヒドロキシアルカノエートを挙げることができる。
【0045】
本発明におけるポリヒドロキシアルカノエートの第一の例としては、化学式(9)で表される3-ヒドロキシ-5-(フェニルスルフィニル)吉草酸ユニット、化学式(10)で表される3-ヒドロキシ-5-(フェニルスルホニル)吉草酸ユニット、化学式(11)で表される5-クロロ-3-ヒドロキシ-5-(フェニルスルフィニル)吉草酸ユニット、化学式(11)で表される5-クロロ-3-ヒドロキシ-5-(フェニルスルホニル)吉草酸ユニット、化学式(12)で表される5,5-ジクロロ-3-ヒドロキシ-5-(フェニルスルフィニル)吉草酸ユニット、化学式(13)で表される5,5-ジクロロ-3-ヒドロキシ-5-(フェニルスルホニル)吉草酸ユニットのうち化学式(9)及び(10)に示されるユニットと、化学式(11),(12),(13),(14)に示される4種類のユニットのうちの少なくとも1種類以上とを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートである。
【0046】
【化25】
Figure 0003848206
【0047】
本発明におけるポリヒドロキシアルカノエートの第二の例としては、化学式(15)で表される3-ヒドロキシ-4-(フェニルスルフィニル)酪酸ユニット、化学式(16)で表される3-ヒドロキシ-4-(フェニルスルホニル)酪酸ユニット、化学式(17)で表される4-クロロ-3-ヒドロキシ-4-(フェニルスルフィニル)酪酸ユニット、化学式(18)で表される4-クロロ-3-ヒドロキシ-4-(フェニルスルホニル)酪酸ユニット、化学式(19)で表される4,4-ジクロロ-3-ヒドロキシ-4-(フェニルスルフィニル)酪酸ユニット、化学式(20)で表される4,4-ジクロロ-3-ヒドロキシ-4-(フェニルスルホニル)酪酸ユニットのうち化学式(15)及び(16)に示されるユニットと、化学式(17),(18),(19),(20)に示される4種類のユニットのうちの少なくとも1種類以上とを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートである。
【0048】
【化26】
Figure 0003848206
【0049】
本発明におけるポリヒドロキシアルカノエートの第三の例としては、化学式(21)で表される3-ヒドロキシ-5-[(4-フルオロフェニル)スルフィニル]吉草酸ユニット、化学式(22)で表される3-ヒドロキシ-5-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]吉草酸ユニット、化学式(23)で表される5-クロロ-3-ヒドロキシ-5-[(4-フルオロフェニル)スルフィニル]吉草酸ユニット、化学式(24)で表される5-クロロ-3-ヒドロキシ-5-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]吉草酸ユニット、化学式(25)で表される5,5-ジクロロ-3-ヒドロキシ-5-[(4-フルオロフェニル)スルフィニル]吉草酸ユニット、化学式(26)で表される5,5-ジクロロ-3-ヒドロキシ-5-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]吉草酸ユニットのうち、少なくとも化学式(21)及び(22)に示されるユニットと、化学式(23),(24),(25),(26)に示される4種類のユニットのうちのの少なくとも1種類以上とを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートである。
【0050】
【化27】
Figure 0003848206
【0051】
本発明のポリヒドロキシアルカノエートは、化学式(1),(2),(3),(4),(5),(6)に示されるユニット以外に、化学式(7)及び(8)に示されるユニットをそれぞれ独立に或いは両方含んでいてもよい。
【0052】
【化28】
Figure 0003848206
【0053】
y及びzは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、化学式(1),(2),(3),(4),(5),(6)で示すユニットと独立してユニット毎に違う値をとり得る。
【0054】
本発明のポリヒドロキシアルカノエートは、その数平均分子量が 1000 から 500000 の範囲である。
【0055】
加えて、本発明は、上記する本発明のPHAを製造する方法の発明をも提供しており、すなわち、本発明のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法は、上記するいずれかの構成を有するポリヒドロキシアルカノエートの製造方法であって化学式(27)で示される化合物または、下記化学式(29)で示される化合物を少なくとも一種類以上含む培地中で微生物を培養する工程(工程1)、培養した微生物により生産されたポリヒドロキシアルカノエートを次亜塩素酸ナトリウムで処理する工程(工程2)を含むことを特徴とする本発明で示したポリヒドロキシアルカノエートの製造方法である。
【0056】
【化29】
Figure 0003848206
【0057】
但し、Rは「H、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R”、CH3基、C25基、CH3CH2CH2基、(CH3)2CH基、(CH3)3C基
(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)」
から任意に選択される。
また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数である。
【0058】
【化30】
Figure 0003848206
【0059】
但し、R1は芳香環への置換基を示し、R1はH原子、ハロゲン原子、CN基、NO2基、CH3基、C25基、CH3CH2CH2基、(CH3)2CH基、(CH3)3C基から任意に選択される。また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数である。
【0060】
また、本発明の製造方法における工程1と工程2の間に、培養された微生物細胞からポリヒドロキシアルカノエートを分離する工程を有していてもよい。培養された微生物細胞からポリヒドロキシアルカノエートを分離する工程は、微生物細胞を破砕する工程を含む工程であっても良いし、微生物細胞からポリヒドロキシアルカノエートが可溶な溶媒でポリヒドロキシアルカノエートを抽出する工程であっても良い。微生物細胞を破砕する工程は、超音波破砕法、ホモジナイザー法、圧力破砕法、ビーズ衝撃法、摩砕法、擂潰法、凍結融解法のいずれかの方法を用いることができる。また、微生物細胞からポリヒドロキシアルカノエートが可溶な溶媒でポリヒドロキシアルカノエートを抽出する工程は、溶媒としてクロロホルム、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトンから選択される溶媒を用いることができる。
【0061】
加えて、本発明のPHAの製造方法では、工程1における培地中にポリペプトンが含まれていることを特徴とする製造方法である。
【0062】
また、工程1における培地中に酵母エキスが含まれていることを特徴とする製造方法である。
【0063】
或いは、工程1における培地中に糖類が含まれていることを特徴とする製造方法である。その際には、前記糖類は、グリセロアルデヒド、エリトロース、アラビノース、キシロース、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、グリセロール、エリトリトール、キシリトール、グルコン酸、グルクロン酸、ガラクツロン酸、マルトース、スクロース、ラクトースからなる群から選ばれる1つ以上の化合物であることが好ましい。
【0064】
更には、工程1における培地中に有機酸或いはその塩が含まれていることを特徴とする製造方法である。この場合には、前記有機酸またはその塩は、ピルビン酸、リンゴ酸、乳酸、クエン酸、コハク酸またはそれらの塩からなる群から選ばれる1つ以上の化合物であることが好ましい。
【0065】
また、工程1における培地中にアミノ酸或いはその塩が含まれていることを特徴とする製造方法である。その時、前記アミノ酸またはその塩は、グルタミン酸、アスパラギン酸、またはそれらの塩からなる群から選ばれる1つ以上の化合物であることが好ましい。
【0066】
或いは、工程1における培地中に炭素数4から 12 の直鎖アルカン酸或いはその塩が含まれていることを特徴とする製造方法である。
【0067】
工程1において、化学式(29)で示される化合物を少なくとも一種類以上含む培地中で、微生物を培養する場合、その微生物がアルカンモノオキシゲナーゼを有していることが好ましい。その際、アルカン酸化系を効果的に誘導するため、工程1においてジシクロプロピルケトンを含む培地中で微生物を培養する工程を更に有するとよい。
【0068】
また、本発明のPHAの製造方法では、前記工程1における微生物の培養は、工程(工程1)において、化学式(27)で示される化合物を少なくとも一種類以上、及びポリペプトンを含む培地中で微生物を培養する工程(工程1-1)と、これに続く、化学式(27)で示される化合物を少なくとも一種類以上と有機酸或いはその塩とを含む培地中で、工程1-1で培養された微生物を更に培養する工程(工程1-2)を行なうことを特徴とする製造方法である。この形態では、工程1-2で利用する培地中に含有される前記有機酸またはその塩が、ピルビン酸、リンゴ酸、乳酸、クエン酸、コハク酸またはそれらの塩からなる群から選ばれる1つ以上の化合物であることが好ましい。その際、工程1-2で利用する培地は、窒素源を含んでいないことがより好ましい。
【0069】
【化31】
Figure 0003848206
【0070】
但し、Rは「H、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R”、CH3基、C25基、CH3CH2CH2基、(CH3)2CH基、(CH3)3C基
(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、
OCH3、OC25)」から任意に選択される。
また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数である。
【0071】
或いは、工程(工程1)において、化学式(27)で示される化合物を少なくとも一種類以上、及び糖類を含む培地中で微生物を培養する工程(工程1-3)と、これに続く、化学式(27)で示される化合物を少なくとも一種類以上と糖類とを含む窒素源を含まない培地中で、工程1-3で培養された微生物を更に培養する工程(工程1-4)を行なうことを特徴とする製造方法である。この形態において、前記糖類が、グリセロアルデヒド、エリトロース、アラビノース、キシロース、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、グリセロール、エリトリトール、キシリトール、グルコン酸、グルクロン酸、ガラクツロン酸、マルトース、スクロース、ラクトースからなる群から選ばれる1つ以上の化合物であることが好ましい。その際、工程1-4で利用する培地は、窒素源を含んでいないことがより好ましい。
【0072】
【化32】
Figure 0003848206
【0073】
但し、Rは「H、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R”、CH3基、C25基、CH3CH2CH2基、(CH3)2CH基、(CH3)3C基
(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)」
から任意に選択される。
また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数である。
【0074】
本発明の新規なポリヒドロキシアルカノエートは、モノマーユニットとなるヒドロキシアルカン酸がスルフィニル(-SO-)、スルホニル(-SO2-)構造を有しており、且つその硫黄原子のα位のメチレン位部分がクロロ基に置換された構造を有している。この構造によりこれまでに知られている微生物生産ポリヒドロキシアルカノエートとは著しく異なった物理化学的性質を有している。このポリヒドロキシアルカノエートは、ポリヒドロキシアルカノエート生産能力を有する微生物を、該ヒドロキシアルカン酸と増殖用炭素源を含んだ培地中で培養する工程と、培養された微生物細胞により生産されたポリヒドロキシアルカノエートを次亜塩素酸ナトリウムにより処理する工程とにより製造されるものである。
【0075】
以上の構成を有する本発明のPHAの製造方法では、工程1に利用する前記微生物は、シュードモナス(Pseudomonas)属に属する微生物であることが好ましい。例えば、工程1に利用する前記微生物は、化学式(27)で示される化合物を少なくとも1種類以上含む培地中で培養を行なう場合、シュードモナス・チコリアイ YN2株(Pseudomonas cichorii YN2;FERM BP-7375)、シュードモナス・チコリアイ H45株(Pseudomonas cichorii H45、FERM BP-7374)、シュードモナス・ジェッセニイ P161株(Pseudomonas jessenii P161、FERM BP-7376)のいずれが1つ以上の株であることがより好ましい。
【0076】
化学式(29)で示される化合物を少なくとも1種類以上含む培地中で培養を行なう場合、シュードモナス・チコリアイ YN2株(Pseudomonas cichorii YN2;FERM BP-7375)であることがより好ましい。
【0077】
また、本発明者らは、高性能でかつ、実質的に無色で金属を使用する必要のない荷電制御剤を開発すべく鋭意検討したところ本発明に到達した。
【0078】
すなわち、本発明は、下記一般式(1):
【0079】
【化33】
Figure 0003848206
【0080】
但し、Rは「H、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R”、CH3基、C25基、CH3CH2CH2基、(CH3)2CH基、(CH3)3C基
(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)」
から任意に選択される。
また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
【0081】
【化34】
Figure 0003848206
【0082】
但し、Rは「H、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R”、CH3基、C25基、CH3CH2CH2基、(CH3)2CH基、(CH3)3C基
(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)」
から任意に選択される。
また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
【0083】
【化35】
Figure 0003848206
【0084】
但し、Rは「H、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R”、CH3基、C25基、CH3CH2CH2基、(CH3)2CH基、(CH3)3C基
(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)」
から任意に選択される。
また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
【0085】
【化36】
Figure 0003848206
【0086】
但し、Rは「H、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R”、CH3基、C25基、CH3CH2CH2基、(CH3)2CH基、(CH3)3C基
(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)」
から任意に選択される。
また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
【0087】
【化37】
Figure 0003848206
【0088】
但し、Rは「H、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R”、CH3基、C25基、CH3CH2CH2基、(CH3)2CH基、(CH3)3C基
(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)」
から任意に選択される。
また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
【0089】
【化38】
Figure 0003848206
【0090】
但し、Rは「H、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R”、CH3基、C25基、CH3CH2CH2基、(CH3)2CH基、(CH3)3C基
(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)」
から任意に選択される。
また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
【0091】
更に該PHAは、化学式(1),(2),(3),(4),(5),(6)に示されるユニット以外に、化学式(7)及び(8)に示されるユニットをそれぞれ独立に或いは両方含んでいてもよい。
【0092】
【化39】
Figure 0003848206
【0093】
y及びzは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、化学式(1),(2),(3),(4),(5),(6)で示すユニットと独立してユニット毎に違う値をとり得る。
【0094】
また、本発明の荷電制御剤中に含有されるPHAの数平均分子量は 1,000〜500,000 の範囲である。
【0095】
更に本発明は、本発明の該荷電制御剤を含有してなるトナーバインダーである。
【0096】
更に本発明は、少なくとも、バインダー樹脂と着色剤と、本発明の該荷電制御剤を含有してなる静電荷像現像トナーである。
【0097】
また、本発明は、外部より帯電部材に電圧を印加して静電潜像担持体に帯電を行なう工程と、帯電された静電潜像担持体に静電荷像を形成する工程と、該静電荷像を静電荷像現像トナーにより現像してトナー像を静電潜像担持体上に形成する現像工程と、静電潜像担持体上のトナー像を被記録材へ転写する転写工程と、被記録材上のトナー像を加熱定着する定着工程とを少なくとも有する画像形成方法において、少なくとも、バインダー樹脂と、着色剤と、本発明の該荷電制御剤を含有してなる静電荷像現像トナーを使用することを特徴とする画像形成方法である。
【0098】
更に本発明は、外部より帯電部材に電圧を印加して静電潜像担持体に帯電を行なう工程と、帯電された静電潜像担持体に静電荷像を形成する工程と、該静電荷像を静電荷像現像トナーにより現像してトナー像を静電潜像担持体上に形成する現像工程と、静電潜像担持体上のトナー像を中間の転写体に転写する第1の転写工程と、該中間の転写体上のトナー像を被記録材に転写する第2の転写工程と、被記録材上のトナー像を加熱定着する定着工程とを少なくとも有する画像形成方法において、少なくとも、バインダー樹脂と着色剤と、本発明の該荷電制御剤を含有してなる静電荷像現像トナーを使用することを特徴とする画像形成方法である。
【0099】
更に本発明は、本発明の該荷電制御剤を含有してなる静電荷像現像トナーを用いて画像を形成することを特徴とする画像形成装置である。
【0100】
更に詳しくは、外部より帯電部材に電圧を印加して静電潜像担持体に帯電を行なう手段と、帯電された静電潜像担持体に静電荷像を形成する手段と、該静電荷像を静電荷像現像トナーにより現像してトナー像を静電潜像担持体上に形成する現像手段と、静電潜像担持体上のトナー像を被記録材へ転写する転写手段と、被記録材上のトナー像を加熱定着する定着手段とを少なくとも有する画像形成装置において、
少なくとも、バインダー樹脂と、着色剤と、本発明の該荷電制御剤を含有してなる静電荷像現像トナーを使用することを特徴とする画像形成装置であり、外部より帯電部材に電圧を印加して静電潜像担持体に帯電を行なう手段と、帯電された静電潜像担持体に静電荷像を形成する手段と、該静電荷像を静電荷像現像トナーにより現像してトナー像を静電潜像担持体上に形成する現像手段と、静電潜像担持体上のトナー像を中間の転写体に転写する第1の転写手段と、該中間の転写体上のトナー像を被記録材に転写する第2の転写手段と、被記録材上のトナー像を加熱定着する定着手段とを少なくとも有する画像形成装置において、少なくとも、バインダー樹脂と着色剤と、本発明の該荷電制御剤を含有してなる静電荷像現像トナーを使用することを特徴とする画像形成装置である。
【0101】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について、より詳細に説明する。
【0102】
本発明の新規なポリヒドロキシアルカノエートは、含まれるヒドロキシアルカン酸のモノマーユニット中に、スルホキシド構造(-SO-)及びスルホン構造(-SO2-)を有し、且つその硫黄原子のα位のメチレン位部分がクロロ基に置換された構造を有している。
【0103】
本発明のポリヒドロキシアルカノエートは、PHA生産能力を有する微生物を、原料となるω-[ (置換フェニル)スルファニル]アルカン酸または1-(置換フェニルスルファニル)アルカンに加えて、増殖用炭素源を含んだ培地中で培養する工程、この培養工程において微生物により生産され、その細胞内に蓄積される、側鎖末端に置換フェニルスルファニル基を有するユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを次亜塩素酸ナトリウムにより処理する工程、この二段階の工程を経て製造されるものである。
【0104】
すなわち、本発明のPHAの製造方法では、中間原料として、側鎖末端に置換フェニルスルファニル基を有するユニットを含むPHAを微生物を用いて生産させ、そのスルファニル基(-S-)を次亜塩素酸ナトリウムを利用して酸化処理を施し、目的とするスルホキシド構造(-SO-)、スルホン構造(-SO2-)、およびその硫黄原子のα位のメチレン位部分がクロロ基に置換された構造を有するPHAに変換している。
【0105】
以下、各製造方法について、詳細に説明する。
【0106】
(ω-[ (置換フェニル)スルファニル]アルカン酸を原料としてPHAを製造する方法)
以下にω-[ (置換フェニル)スルファニル]アルカン酸を原料として本発明に係るPHAを製造する方法について詳細に説明する。
【0107】
(カルボン酸誘導体)
本発明で用いるω-[ (置換フェニル)スルファニル]アルカン酸は、一般式(27)で示される化合物である。
【0108】
【化40】
Figure 0003848206
【0109】
但し、Rは「H、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R”、CH3基、C25基、CH3CH2CH2基、(CH3)2CH基、(CH3)3C基
(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)」
から任意に選択される。
また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数である。
【0110】
この化合物は、例えば一般式(28)で示される化合物
【0111】
【化41】
Figure 0003848206
【0112】
(但し、Rは式(27)のRと同じ)と、ω-ブロモアルカン酸エステルを反応させて、ω-[ (置換フェニル)スルファニル]アルカン酸エステルを合成した後、エステルを加水分解することにより得ることができる。
【0113】
本発明の方法で用いる微生物は、化学式(27)で示される化合物を含む培地中で該微生物を培養することにより生産されるポリヒドロキシアルカノエートが、次亜塩素酸ナトリウムにより処理を施すことにより本発明で述べたポリヒドロキシアルカノエートの前駆体となるポリヒドロキシアルカノエートを生産するような微生物であれば如何なるものであってもよいが、その一例としては、シュードモナス(Pseudomonas)属に属する微生物が挙げられる。さらに詳しくは、微生物がシュードモナス・チコリアイ YN2株(Pseudomonas cichorii YN2;FERM BP-7375)、シュードモナス・チコリアイ H45株(Pseudomonas cichorii H45、FERM BP-7374)、シュードモナス・ジェッセニイP161株(Pseudomonas jessenii P161 、FERM BP-7376)が挙げられる。これら3種の微生物は経済産業省 産業技術総合研究所 生命工学工業技術研究所に寄託されており、特願平11-371863号(特開2001-178484号公報)に記載されている微生物である。
【0114】
以下にYN2株、H45株及びP161株についての詳細を示す。
<YN2株の菌学的性質>
(1)形態学的性質
細胞の形と大きさ :桿菌、0.8μm×1.5〜2.0μm
細胞の多形性 :なし
運動性 :あり
胞子形成 :なし
グラム染色性 :陰性
コロニー形状 :円形、全縁なめらか、低凸状、表層なめらか、光沢、半透明
(2)生理学的性質
カタラーゼ :陽性
オキシダーゼ :陽性
O/F試験 :酸化型(非発酵性)
硝酸塩の還元 :陰性
インドールの生成 :陽性
ブドウ糖酸性化 :陰性
アルギニンジヒドロラーゼ :陰性
ウレアーゼ :陰性
エスクリン加水分解 :陰性
ゼラチン加水分解 :陰性
β-ガラクトシダーゼ :陰性
King'sB寒天での蛍光色素産生:陽性
4%NaClでの生育 :陽性(弱い生育)
ポリ-β-ヒドロキシ酪酸の蓄積 :陰性(*)
Tween 80 の加水分解 :陽性
* nutrient agar培養コロニーをズダンブラックで染色することで判定。
(3)基質資化能
ブドウ糖 :陽性
L-アラビノース :陽性
D-マンノース :陰性
D-マンニトール :陰性
N-アセチル-D-グルコサミン :陰性
マルトース :陰性
グルコン酸カリウム :陽性
n-カプリン酸 :陽性
アジピン酸 :陰性
dl-リンゴ酸 :陽性
クエン酸ナトリウム :陽性
酢酸フェニル :陽性
<H45株の菌学的性質>
(1)形態学的性質
細胞の形と大きさ :桿菌、0.8μm×1.0〜1.2μm
細胞の多形性 :なし
運動性 :あり
胞子形成 :なし
グラム染色性 :陰性
コロニー形状 :円形、全縁なめらか、低凸状、表層なめらか、光沢、クリーム色
(2)生理学的性質
カタラーゼ :陽性
オキシダーゼ :陽性
O/F試験 :酸化型
硝酸塩の還元 :陰性
インドールの生成 :陰性
ブドウ糖酸性化 :陰性
アルギニンジヒドロラーゼ :陰性
ウレアーゼ :陰性
エスクリン加水分解 :陰性
ゼラチン加水分解 :陰性
β-ガラクトシダーゼ :陰性
King'sB寒天での蛍光色素産生 :陽性
4%NaClでの生育 :陰性
ポリ-β-ヒドロキシ酪酸の蓄積 :陰性
(3)基質資化能
ブドウ糖 :陽性
L-アラビノース :陰性
D-マンノース :陽性
D-マンニトール :陽性
N-アセチル-D-グルコサミン :陽性
マルトース :陰性
グルコン酸カリウム :陽性
n-カプリン酸 :陽性
アジピン酸 :陰性
dl-リンゴ酸 :陽性
クエン酸ナトリウム :陽性
酢酸フェニル :陽性
<P161株の菌学的性質>
(1)形態学的性質
細胞の形と大きさ :球状、φ0.6μm
桿状、0.6μm×1.5〜2.0μm
細胞の多形性 :あり(伸長型)
運動性 :あり
胞子形成 :なし
グラム染色性 :陰性
コロニー形状 :円形、全縁なめらか、低凸状、表層なめらか、淡黄色
(2)生理学的性質
カタラーゼ :陽性
オキシダーゼ :陽性
O/F試験 :酸化型
硝酸塩の還元 :陽性
インドールの生成 :陰性
ブドウ糖酸性化 :陰性
アルギニンジヒドロラーゼ :陽性
ウレアーゼ :陰性
エスクリン加水分解 :陰性
ゼラチン加水分解 :陰性
β-ガラクトシダーゼ :陰性
King'sB寒天での蛍光色素産生:陽性
(3)基質資化能
ブドウ糖 :陽性
L-アラビノース :陽性
D-マンノース :陽性
D-マンニトール :陽性
N-アセチル-D-グルコサミン :陽性
マルトース :陰性
グルコン酸カリウム :陽性
n-カプリン酸 :陽性
アジピン酸 :陰性
dl-リンゴ酸 :陽性
クエン酸ナトリウム :陽性
酢酸フェニル :陽性
(培養工程)
本発明にかかるポリヒドロキシアルカノエートの製造方法に用いる微生物の通常の培養、例えば、保存菌株の作成、ポリヒドロキシアルカノエートの生産に必要とされる菌数や活性状態を確保するための増殖などには、用いる微生物の増殖に必要な成分を含有する培地を適宜選択して用いる。例えば、微生物の生育や生存に悪影響を及ぼすものでない限り、一般的な天然培地(肉汁培地、酵母エキスなど)や、栄養源を添加した合成培地など、いかなる種類の培地をも用いることができる。温度、通気、攪拌などの培養条件は、用いる微生物に応じて適宜選択する。
【0115】
前記したようなポリヒドロキシアルカノエート生産微生物を用いて、目的とするポリヒドロキシアルカノエートを製造するためには、ポリヒドロキシアルカノエート生産用の原料として、該モノマーユニットに対応する、上記化学式(27)で示される化合物と、微生物の増殖用炭素源とを少なくとも含んだ無機培地などを用いることができる。
【0116】
上記化学式(27)で示される化合物は、培地あたり 0.01%から1%(w/v)、更に好ましくは 0.02%から 0.2%の割合で含有していることが望ましい。水溶性は必ずしも良好ではないが、本発明に示す微生物を用いれば、懸濁された状態であっても何ら問題は無い。また、場合によっては1-ヘキサデセンや n-ヘキサデカンのような溶媒に溶解或いは懸濁された形で培地中に含有されることも可能である。この場合、該溶媒の濃度は培地溶液に対して3%以下にすることが必要である。
【0117】
増殖用炭素源としては、酵母エキスやポリペプトン、肉エキスといった栄養素を用いることが可能であり、更に、糖類、TCA回路中の中間体として生じる有機酸及びTCA回路から一段階ないしは二段階の生化学反応を経て生じる有機酸或いはその塩、アミノ酸或いはその塩、アルカン酸或いはその塩等から用いる菌株に対する基質としての有用性で適宜選択することができる。
【0118】
これらのうち、糖類としては、グリセロアルデヒド、エリトロース、アラビノース、キシロース、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトースといったアルドース、グリセロール、エリトリトール、キシリトール等のアルジトール、グルコン酸等のアルドン酸、グルクロン酸、ガラクツロン酸等のウロン酸、マルトース、スクロース、ラクトースといった二糖等から選ばれる1つ以上の化合物が好適に利用できる。
【0119】
また、有機酸或いはその塩としては、ピルビン酸、リンゴ酸、乳酸、クエン酸、コハク酸或いはその塩から選ばれる1つ以上の化合物が好適に利用できる。
【0120】
また、アミノ酸或いはその塩としては、グルタミン酸、アスパラギン酸或いはその塩から選ばれる1つ以上の化合物が好適に利用できる。
【0121】
これらの基質は通常培地あたり 0.1%から5%(w/v)、更に好ましくは 0.2%から2%の割合で含有していることが望ましい。
【0122】
微生物にポリヒドロキシアルカノエートを生産・蓄積させる方法としては、一旦十分に増殖させて後に、塩化アンモニウムのような窒素源を制限した培地へ菌体を移し、目的ユニットの基質となる化合物を加えた状態で更に培養すると生産性が向上する場合がある。具体的には、前記の工程を複数段接続した多段方式の採用が挙げられる。
【0123】
例えば、化学式(27)で示される化合物、及びポリペプトンを含む培地中で微生物を培養する工程(工程1-1)を対数増殖後期から定常期の時点まで続け、菌体を遠心分離等で回収したのち、これに続く、化学式(27)で示される化合物と有機酸或いはその塩とを含み、窒素源を含まない培地中で、工程1-1で培養された微生物を更に培養する工程(工程1-2)を行なう方法、あるいは、化学式(27)で示される化合物、及び糖類を含む培地中で微生物を培養する工程(工程1-3)を対数増殖後期から定常期の時点まで続け、菌体を遠心分離等で回収したのち、これに続く、化学式(27)で示される化合物と糖類とを含み、窒素源を含まない培地中で、工程1-3で培養された微生物を更に培養する工程(工程1-4)を行なう方法等である。
【0124】
培養温度としては上記の菌株が良好に増殖可能な温度であれば良く、例えば15〜40℃、好ましくは 20〜35℃、更に好ましくは 20℃〜30℃程度が適当である。
【0125】
培養は液体培養、固体培養等該微生物が増殖し、ポリヒドロキシアルカノエートを生産する培養方法ならいかなる培養方法でも用いることができる。さらに、バッチ培養、フェドバッチ培養、半連続培養、連続培養等の種類も問わない。液体バッチ培養の形態としては、振とうフラスコによって振とうさせて酸素を供給する方法、ジャーファーメンターによる攪拌通気方式の酸素供給方法がある。
【0126】
上記の培養方法に用いる無機培地としては、リン源(例えば、リン酸塩など)、窒素源(例えば、アンモニウム塩、硝酸塩など)等、当該微生物の増殖に必要な成分を含んでいるものであればいかなるものでも良く、例えば、MSB培地、M9培地等を挙げることができる。
【0127】
本発明の一方法に用いた無機塩培地(M9培地)の組成を以下に示す。
【0128】
[M9培地]
Na2HPO4 6.2g
KH2PO4 3.0g
NaCl 0.5g
NH4Cl 1.0g
(培地1リットル中、pH 7.0)
更に、良好な増殖及びポリヒドロキシアルカノエートの生産のためには、上記の無機塩培地に以下に示す微量成分溶液を 0.3%(v/v)程度添加する必要がある。
【0129】
[微量成分溶液]
ニトリロ三酢酸: 1.5 g ;MgSO4: 3.0 g ;
MnSO4: 0.5 g ;NaCl: 1.0G ;FeSO4: 0.1 g ;
CaCl2: 0.1 g ;CoCl2: 0.1 g ;ZnSO4: 0.1 g ;
CuSO4: 0.1 g ;AlK(SO4)2: 0.1 g ;
3BO3: 0.1 g ;Na2MoO4: 0.1 g ;NiCl2: 0.1 g
(溶液1リットル中、pH 7.0)
(1-[ (置換フェニル)スルファニル]アルカンを原料物質として製造する方法)また、本発明に係るポリヒドロキシアルカノエートは、化学式(29)で示される化合物である1-[ (置換フェニル)スルファニル]アルカンを含む培地中で微生物を培養することにより本発明の前駆体であるポリヒドロキシアルカノエートを生産し、該ポリヒドロキシアルカノエートを次亜塩素酸ナトリウムにより処理を施すことにより製造することができる。
【0130】
【化42】
Figure 0003848206
【0131】
(但し、R1は芳香環への置換基を示し、R1はH原子、ハロゲン原子、CN基、NO2基、CH3基、C25基、CH3CH2CH2基、(CH3)2CH基、(CH3)3C基から任意に選択される。また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数である。)
この場合において用いられる微生物は、化学式(29)で示される化合物を培地中で該微生物を培養することにより生産されるポリヒドロキシアルカノエートが、次亜塩素酸ナトリウムにより処理を施すことにより、本発明で述べたポリヒドロキシアルカノエートの前駆体となるポリヒドロキシアルカノエートを生産するような微生物であれば如何なるものであってもよい。本発明では、少なくとも化学式(29)で示されるアルカンを対応するアルカン酸に変換する能力が必要であり、更にはアルカン酸から本発明で述べたポリヒドロキシアルカノエートの前駆体となるポリヒドロキシアルカノエートを生産する能力を有する微生物を用いて製造される。この場合、アルカンをアルカン酸に変換する能力は通常アルカンモノオキシゲナーゼを初発酵素とする一群の酵素系を有することにより発現される。このような酵素系を有する微生物の一例としてシュードモナス(Psudomonas)属に属する微生物が挙げられる。さらに詳しくは、前記記載のシュードモナス チコリアイ YN2株が挙げられる。
【0132】
(培養工程)
この培養工程に利用する微生物の通常の培養、例えば、保存菌株の作製、ポリヒドロキシアルカノエートの生産に必要とされる菌数や活性状態を確保するための増殖などには、用いる微生物の増殖に必要な成分を含有する培地を適宜選択して用いる。例えば、微生物の生育や生存に悪影響を及ぼすものでない限り、一般的な天然培地(肉汁培地、酵母エキスなど)や、栄養源を添加した合成培地など、いかなる種類の培地をも用いることができる。温度、通気、攪拌などの培養条件は、用いる微生物に応じて適宜選択する。
【0133】
一方、培養工程において、前記したようなポリヒドロキシアルカノエート生産微生物を用いて、目的とするポリヒドロキシアルカノエートを製造するためには、ポリヒドロキシアルカノエート生産用の原料として、該モノマーユニットに対応する、上記一般式(29)で示されるアルカン化合物より選ばれた少なくとも一種に加えて、微生物の増殖用炭素源とを少なくとも含んだ無機培地などを用いることができる。原料の一般式(29)で示されるアルカン化合物は、培地あたり 0.01%〜1%(v/v)の範囲、より好ましくは、0.02%〜0.2%(v/v)の範囲に初期の含有率を選択することが望ましい。
【0134】
また、培養工程において、アルカン酸化系誘導物質であるジシクロプロピルケトンの存在下で微生物を培養する工程を、その生産工程に含んでいても良い。一般に、アルカン酸化系は、その代謝経路の基質である直鎖アルカン、例えばオクタン、ノナン等の直鎖アルカンにより効果的に誘導がかかることが知られている。しかしながら、誘導物質として前記に例示したような直鎖アルカンを用いる場合、生産されてくるポリヒドロキシアルカノエート中の中鎖脂肪族ポリヒドロキシアルカノエートのユニット比率が増加することに留意する必要がある。これは直鎖アルカンがアルカン酸化系により直鎖アルカン酸に変換され、β酸化系を経由しPHAのモノマー基質となるためである。
【0135】
本発明の原料として利用される一般式(29)で示されるアルカン化合物についても、アルカン酸化系を誘導することが可能であり、前記直鎖アルカン同様にポリヒドロキシアルカノエートのモノマーユニットとして取り込まれる。ここで、アルカン酸化系はもともと直鎖アルカンの代謝系として進化しており、本発明における一般式(29)で示されるアルカン化合物においては、アルカン酸化系の誘導が不十分な場合もある。
【0136】
ジシクロプロピルケトンは、アルカン酸化系において誘導物質として機能するが、その酸化系の基質とはならない(アルカンモノオキシゲナーゼにより酸化されない)、所謂、非代謝性誘導物質として知られている(Journal of Bacteriology,123,546-556(1975))。このため、本発明の製造方法において、アルカン酸化系の誘導が不十分、あるいはさらなる活性の向上が望ましく、また、目的とするPHAにおいて中鎖脂肪族PHAユニットの組成比が低いことが望まれるときに、ジシクロプロピルケトンをアルカン酸化系の好適な誘導物質として用いることができる。この場合、ジシクロプロピルケトンにより効果的にアルカン酸化系の誘導がかかるとともに、その基質代謝は全て本発明の置換アルカンの変換に充てられる。その結果、一般式(29)で示されるアルカン化合物由来のモノマーユニットが効果的に生産され、ポリヒドロキシアルカノエートの収率ならびに一般式(29)で示されるアルカン化合物由来のモノマーユニット組成比の向上を達成することが可能である。
【0137】
ジシクロプロピルケトンは、本発明に用いる一般式(29)で示されるアルカン化合物とともに培地に添加しても良く、またジシクロプロピルケトン単独で培地に添加しても良い。これらの場合、培地中の増殖用基質の種類、置換アルカンの有無ならびに濃度、1段階培養あるいは多段階培養であるか、多段階培養の何段階目であるか、等の条件により、その含有率を適宜選択すれば良いが、通常、培地あたり 0.001%〜1%(v/v)の範囲、より好ましくは、0.01%〜0.1%(v/v)の範囲にその含有率を選択することが望ましい。
【0138】
原料の一般式(29)で示されるアルカン化合物は、一般に疎水性であるため、その水溶性は必ずしも良好ではないが、上記する微生物は、この化合物を基質として利用できる特性を有するので、培養当初、その溶解度を超える部分は、部分的に懸濁された状態であっても、培養を継続する間に微生物が徐々にその細胞内に取り込む結果、順次培地に溶解するので何ら問題とはならない。また効率的な取り込みのために微生物そのものが界面活性剤様の物質を分泌し、基質である置換アルカンを取り込み易くする場合も見受けられる。
【0139】
なお、原料の一般式(29)で示されるアルカン化合物は、分散性を高めるため、場合によっては、1-ヘキサデセンやn-ヘキサデカンのような溶媒に溶解、あるいは、微細な懸濁物とした形状で培地中に添加することも可能である。その際には、利用する1-ヘキサデセンやn-ヘキサデカンのような溶媒の添加濃度は、培地に対して、その濃度は3%(v/v)以下にすることが必要である。
【0140】
培地には、微生物が増殖に利用する増殖用基質を別途添加する。この増殖用基質は、酵母エキスやポリペプトン、肉エキスといった栄養素を用いることが可能である。更に、糖類、TCA回路中の中間体として生じる有機酸ならびにTCA回路から一段階ないしは二段階の生化学反応を経て生じる有機酸またはその塩、アミノ酸またはその塩、炭素数4〜12 の直鎖アルカン酸またはその塩などから、用いる菌株に応じて、炭素源としての有用性を考慮して、適宜選択することができる。
【0141】
これら種々の増殖用基質のうち、糖類としては、グリセロアルデヒド、エリスロース、アラビノース、キシロース、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトースといったアルドース、グリセロール、エリスリトール、キシリトール等のアルジトール、グルコン酸等のアルドン酸、グルクロン酸、ガラクツロン酸等のウロン酸、マルトース、スクロース、ラクトースといった二糖等から選ばれる1つ以上の化合物が好適に利用できる。
【0142】
また、有機酸あるいはその塩としては、ピルビン酸、リンゴ酸、乳酸、クエン酸、コハク酸またはそれらの塩からなる群から選ばれる1つ以上の化合物が好適に利用できる。一方、アミノ酸またはその塩としては、グルタミン酸、アスパラギン酸あるいはそれらの塩からなる群から選ばれる1つ以上の化合物が好適に利用できる。
【0143】
一般に、これら種々の増殖用基質の中でも、ポリペプトンや糖類を用いるのがより好ましく、また、糖類の中では、グルコース、フルクトース、マンノースからなる群から選択される少なくとも一つを用いることがさらに好ましい。これらの増殖用基質は、通常、培地あたり 0.1%〜5%(w/v)の範囲、より好ましくは、0.2%〜2%(w/v)の範囲にその含有率を選択することが望ましい。
【0144】
微生物にポリヒドロキシアルカノエートを生産・蓄積させる培養工程における別の方法としては、一旦十分に増殖させた後に、塩化アンモニウムのような窒素源を制限した培地へ菌体を移し、目的ユニットの基質となる化合物を加えた状態でさらに培養すると生産性が向上する場合がある。例えば、前記の異なる培養条件からなる工程を複数段接続した多段方式の採用が挙げられる。
【0145】
より具体的には、(工程1-A)として、一般式(29)で示されるアルカン化合物、ならびに炭素源となるポリペプトンを含む培地中で微生物を培養する工程を対数増殖後期から定常期の時点まで続け、一旦菌体を遠心分離等で回収した後、これに続き、(工程1-B)として、一般式(29)で示されるアルカン化合物、ならびに炭素源となる有機酸またはその塩とを含み、窒素源を含まない培地中で、前段の工程1-Aで培養・増殖した微生物の菌体をさらに培養する工程を行なう二段階培養方法、あるいは、(工程1-C)として、一般式(29)で示されるアルカン化合物、ならびに炭素源となるグルコースを含む培地中で微生物を培養する工程を対数増殖後期から定常期の時点まで続け、一旦菌体を遠心分離等で回収した後、これに続き、(工程1-D)として、一般式(29)で示されるアルカン化合物、ならびに炭素源となるグルコースを含み、窒素源を含まない培地中で、前段の工程1-Cで培養・増殖した微生物の菌体をさらに培養する工程を行なう二段階培養方法、さらには、(工程1-E)として、一般式(29)で示されるアルカン化合物、ならびに炭素源となるポリペプトンを含む培地中で微生物を培養する工程を対数増殖後期から定常期の時点まで続け、一旦菌体を遠心分離等で回収した後、これに続き、(工程1-F)として、一般式(29)で示されるアルカン化合物、ならびに炭素源となる糖類とを含み、窒素源を含まない培地中で、前段の工程1-Eで培養・増殖した微生物の菌体をさらに培養する工程を行なう二段階培養方法、等を利用することが一層好ましい。
【0146】
この二段階培養方法では、前段において、一般式(29)で示されるアルカン化合物から、この出発物質に対応するポリヒドロキシアルカノエートを生産させつつ、菌体の増殖を予め行ない、後段では、窒素源を含まない培地中で、既に培養された菌体に、主にポリヒドロキシアルカノエートの生産を行なわせる培養形態とすることで、細胞内に蓄積されるポリヒドロキシアルカノエート量をさらに高くすることができる。
【0147】
また、アルカンモノオキシゲナーゼを初発酵素とするアルカン酸化経路の効果的な誘導物質であるジシクロプロピルケトンを、工程1-Aあるいは工程1-Bの少なくとも1工程に、また同様に工程1-Cあるいは工程1-Dの少なくとも1工程に、さらに同様に工程1-Eあるいは工程1-Fの少なくとも1工程に含有せしむことで、置換アルカン群の対応する置換アルカン酸への代謝が効果的に行なわれ、ポリヒドロキシアルカノエートの収量ならびに目的ポリヒドロキシアルカノエートのモノマーユニットの構成比を高くすることも可能である。
【0148】
さらに、工程1-A、工程1-Cおよび工程1-Eにおいては、置換アルカン群の代わりに、ジシクロプロピルケトンを単独で用いることで、アルカン酸化系の誘導を主目的とした1段階目の培養方法とすることも可能である。
【0149】
このような培養工程における温度は、上記の菌株が良好に増殖可能な温度であればよく、例えば、15〜40℃、好ましくは 20〜35℃の範囲、より好ましくは 20℃〜30℃の範囲に選択することが適当である。
【0150】
培養は、液体培養、固体培養など、利用する微生物が増殖し、培地中に含有される一般式(29)で示されるアルカン化合物より選ばれた少なくとも一種から、この出発物質に対応するモノマーユニットを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートを生産する培養方法ならば、いかなる培養方法をも用いることができる。さらには、原料、炭素源、さらには酸素の供給が適正に行なわれるならば、バッチ培養、フェドバッチ培養、半連続培養、連続培養などの種類も問わない。例えば、液体バッチ培養の形態としては、振とうフラスコによって振とうさせて酸素を供給する方法、ジャーファーメンターによる攪拌通気方式の酸素供給方法がある。
【0151】
上記の培養方法に用いる無機培地としては、リン源(例えば、リン酸塩など)、窒素源(例えば、アンモニウム塩、硝酸塩など)等、微生物の増殖に必要な成分を含んでいる培地であればいかなるものでも良く、例えば、上記したMSB培地、M9培地等を挙げることができる。
【0152】
(次亜塩素酸ナトリウム処理工程)
本発明に用いる微生物はこのような培養方法により、側鎖にフェニルスルファニル構造を有するポリヒドロキシアルカノエートを生産する。本発明のポリヒドロキシアルカノエートは、このようにして生産されたポリヒドロキシアルカノエートを次亜塩素酸ナトリウム処理することで製造することができる。
【0153】
最も簡便な次亜塩素酸ナトリウム処理方法は、前記条件で培養し、本発明に記載のポリヒドロキシアルカノエートの前駆体であるポリヒドロキシアルカノエートを蓄積した微生物細胞をそのまま次亜塩素酸ナトリウム水溶液に懸濁し、攪拌して不溶成分を回収する方法である。次亜塩素酸ナトリウム水溶液の濃度が比較的高い場合、或いは反応温度が比較的高い場合は本発明のPHAほぼ純粋な形で回収されるが、分子量低下などが起こる場合がある。一方、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の濃度が低い場合は菌体細胞由来成分が残留する場合がある。
【0154】
このような場合には、培養微生物細胞を破砕し、本発明に記載のポリヒドロキシアルカノエートの前駆体であるポリヒドロキシアルカノエートを粗製で回収した後に、次亜塩素酸ナトリウムで処理する方法がある。この方法であると、比較的温和な条件でも純度の高いポリヒドロキシアルカノエートが回収される。
【0155】
更にもう一つの方法としては、培養工程の後、ポリヒドロキシアルカノエート蓄積微生物細胞から、クロロホルムやアセトンといった蓄積ポリヒドロキシアルカノエートの可溶溶媒によりポリヒドロキシアルカノエートのみを抽出・単離した後、得られたポリヒドロキシアルカノエートを次亜塩素酸ナトリウムにより処理する方法がある。この方法は、微生物細胞から抽出・回収されたポリヒドロキシアルカノエートは、水性媒体中で塊状になる場合があり、その場合処理効率が著しく低下するといった操作上の困難を伴う場合が多い。その点先に述べた2つの方法は、ポリヒドロキシアルカノエートが微生物細胞中に微粒子上で存在し、その状態のまま水懸濁状態で処理し得ることから操作上も簡便である。
【0156】
本発明の方法で用いる次亜塩素酸ナトリウムは、本発明の目的即ちスルファニル基(-S-)の酸化及びメチレン基の塩素化に寄与し得るものであれば如何なるものも用いることが可能である。
【0157】
本発明の方法における次亜塩素酸ナトリウムの処理条件としては、処理されるポリヒドロキシアルカノエートの状態(菌体成分の有無、塊状か微粒子状か等)により異なるが概ね以下の通りである。
【0158】
次亜塩素酸ナトリウムの濃度は、処理液中の有効塩素濃度として、0.5%から 12.0%、望ましくは 1.5%から 5.0%程度に設定するのが良い。また、細胞の乾燥重量1gに対して、50mLから 300mL程度の液量で処理することが望ましい。その際の処理温度は、室温(20℃程度)以上になるとポリヒドロキシアルカノエートの分子量低下をまねく恐れがあるため、0℃から 20℃程度、望ましくは0℃から 10℃程度に設定するのが良い。また、反応時間は、通常1時間から5時間程度、望ましくは2時間程度とするのが良い。
【0159】
このような処理条件により、上記条件で培養されることにより微生物菌体に蓄積されたポリヒドロキシアルカノエートは以下に示す化学式(1),(2),(3),(4),(5),(6)に示されるユニットのうち化学式(1)及び(2)に示されるユニットと、化学式(3),(4),(5),(6)に示される4種類のユニットのうちの少なくとも1種類以上とを分子中に含むポリヒドロキシアルカノエートとなる。
【0160】
【化43】
Figure 0003848206
【0161】
但し、Rは「H、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R”、CH3基、C25基、CH3CH2CH2基、(CH3)2CH基、(CH3)3C基
(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)」
から任意に選択される。
また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
【0162】
【化44】
Figure 0003848206
【0163】
但し、Rは「H、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R”、CH3基、C25基、CH3CH2CH2基、(CH3)2CH基、(CH3)3C基
(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)」
から任意に選択される。
また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
【0164】
【化45】
Figure 0003848206
【0165】
但し、Rは「H、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R”、CH3基、C25基、CH3CH2CH2基、(CH3)2CH基、(CH3)3C基
(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)」
から任意に選択される。
また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
【0166】
【化46】
Figure 0003848206
【0167】
但し、Rは「H、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R”、CH3基、C25基、CH3CH2CH2基、(CH3)2CH基、(CH3)3C基
(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)」
から任意に選択される。
また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
【0168】
【化47】
Figure 0003848206
【0169】
但し、Rは「H、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R”、CH3基、C25基、CH3CH2CH2基、(CH3)2CH基、(CH3)3C基
(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)」
から任意に選択される。
また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
【0170】
【化48】
Figure 0003848206
【0171】
但し、Rは「H、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R”、CH3基、C25基、CH3CH2CH2基、(CH3)2CH基、(CH3)3C基
(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)」
から任意に選択される。
また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
【0172】
上記の工程の終了後の、処理液中のポリヒドロキシアルカノエート粒子を回収する工程としては、ポリヒドロキシアルカノエート粒子を、共存する可溶化成分から効果的に分離精製し得る方法であれば、いかなる方法をも用いることができる。例えば、遠心分離法を用いることができる。また、次亜塩素酸ナトリウム由来の塩素が、ポリヒドロキシアルカノエート粒子に残存する可能性がある場合には、遠心分離法で回収したポリヒドロキシアルカノエート粒子を精製水などで洗浄する工程を加えても良いし、更に、該ポリヒドロキシアルカノエートの物理化学的性質が変わらない範囲で残留塩素を除去し得る薬剤を用いて、洗浄する工程を加えても良い。
【0173】
本発明の新規なポリヒドロキシアルカノエートは、モノマーユニットとなるヒドロキシアルカン酸がスルフィニル(-SO-)、スルホニル(-SO2-)構造を有しており、且つその硫黄原子のα位のメチレン位部分がクロロ基に置換された構造を有している。このような、特異な構造を有していることで、分子内に於いて電子の局在化が起こり、例えば光機能性材料やデバイス材料といった、通常のポリヒドロキシアルカノエートとは、大きく異なった領域での材料展開が可能である。
【0174】
また、本発明において製造されたPHAが荷電制御剤としてきわめて優れた特性を有し、かつ、該荷電制御剤を含有する静電荷像現像用トナー及び該静電荷像現像用トナーを一定の現像システムを有する画像形成装置に使用した場合に著しい効果があることを見出し本発明を完成した。
【0175】
即ち、本発明は、下記一般式(1)及び(2)に示されるユニットと、一般式(3),(4),(5),(6)に示される4種類のユニットのうちの少なくとも1種類のユニットとを、分子中に有するポリヒドロキシアルカノエートを含有してなることを特徴とする荷電制御剤である。
【0176】
【化49】
Figure 0003848206
【0177】
但し、Rは「H、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R”、CH3基、C25基、CH3CH2CH2基、(CH3)2CH基、(CH3)3C基
(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、
OCH3、OC25)」
から任意に選択される。
また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
【0178】
【化50】
Figure 0003848206
【0179】
但し、Rは「H、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R”、CH3基、C25基、CH3CH2CH2基、(CH3)2CH基、(CH3)3C基
(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、
OCH3、OC25)」
から任意に選択される。
また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
【0180】
【化51】
Figure 0003848206
【0181】
但し、Rは「H、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R”、CH3基、C25基、CH3CH2CH2基、(CH3)2CH基、(CH3)3C基
(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、
OCH3、OC25)」
から任意に選択される。
また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
【0182】
【化52】
Figure 0003848206
【0183】
但し、Rは「H、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R”、CH3基、C25基、CH3CH2CH2基、(CH3)2CH基、(CH3)3C基
(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、
OCH3、OC25)」
から任意に選択される。
また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
【0184】
【化53】
Figure 0003848206
【0185】
但し、Rは「H、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R”、CH3基、C25基、CH3CH2CH2基、(CH3)2CH基、(CH3)3C基
(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)」から任意に選択される。
また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
【0186】
【化54】
Figure 0003848206
【0187】
但し、Rは「H、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR'、SO2R”、CH3基、C25基、CH3CH2CH2基、(CH3)2CH基、(CH3)3C基
(R':H、Na、K、CH3、C25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)」から任意に選択される。
また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
【0188】
更に該PHAは、下記一般式(7)及び(8)に示されるユニット(y及びzは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)で示すユニットと独立してユニット毎に違う値をとり得る。)の少なくともいずれか一つを更に有するPHAを含有してなる荷電制御剤である。
【0189】
【化55】
Figure 0003848206
【0190】
更には該荷電制御剤を含有してなる静電荷像現像用トナーである。また、上記の静電荷像現像用トナーを、外部より帯電部材に電圧を印加し、静電潜像担持体を均一に帯電させる帯電工程と、静電潜像担持体上にトナー像を形成する現像工程と、静電潜像担持体上のトナー像を中間の転写体を介して、または、介さずに被転写材へ転写する転写工程と、被転写材上のトナー像を熱によって定着する加熱定着工程とを有する画像形成方法であり、更には、上記の静電荷像現像トナーを用いて被記録材へ画像を形成することを特徴とする画像形成装置である。
【0191】
ここで、本発明で示す化合物は生分解性樹脂としての基本骨格を有しており、環境等に悪影響を及ぼさない効果が期待できる。本発明で示す化合物は、従来のプラスチックと同様、溶融加工等により各種製品の生産に利用することができるとともに、石油由来の合成高分子とは異なり、生物により分解されうるという際立った特性を有している。従って、廃棄した際、本発明で示す化合物は生分解されることにより、自然界の物質循環に取り込まれるので、従来利用されていた、多くの合成高分子化合物のように自然環境に残留して汚染を引き起こすことがない。また、クロム、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、鉄などの重金属を使用する必要がないため、従来の荷電制御剤に比較して環境への負担がさらに少ない。さらに、生分解処理を行なうことで、燃焼処理を行なう必要もないため、大気汚染や地球温暖化を防止するという観点でも有効な材料であり、環境保全を可能とするプラスチックとして利用することができる。
【0192】
本発明の静電荷像現像用トナーに使用する帯電制御剤として好適な、本発明で示す化合物について具体的に説明する。
【0193】
本発明で使用する化合物は、3-ヒドロキシアルカノエートをモノマー単位とするポリエステル樹脂であって、側鎖に芳香環及びスルフィニル構造或いはスルホニル構造を有するユニットを含み、それ以外のユニットとして芳香環及びスルフィニル構造或いはスルホニル構造を有し、更にそのα位のメチレンがクロル置換されている構造を有するユニットを含んでいる。さらに本発明の化合物は、先に示したユニット以外に直鎖の3-ヒドロキシアルカノエート及び側鎖に不飽和結合を含んだ3-ヒドロキシアルケノエートを同時に或いは独立して含んでいても良い。
【0194】
ここで、このような化合物を微生物により生産せしめる工程を含んだ方法で製造した場合、本発明で示す化合物はR体のみからなるアイソタクチックなポリマーとなるが、物性/機能の両面において本発明の目的を達成しうるならば、特にアイソタクチックなポリマーである必要はなく、アタクチックなポリマーについても利用することが可能である。また、ラクトン化合物の開環重合などを利用した化学合成法により本発明で示す化合物を得ることも可能である。
【0195】
本発明の方法のうち、本発明で示す化合物を微生物により生産せしめる工程を含んだ方法で製造する場合には、上に詳述した通りである。
【0196】
本発明において重要なことは、本発明の荷電制御剤に含有されているポリヒドロキシアルカノエートが、側鎖に芳香環及びスルフィニル構造若しくはスルホニル構造を有するユニットを含み、それ以外のユニットとして芳香環及びスルフィニル構造或いはスルホニル構造を有し、更にそのα位のメチレンがクロル置換されている構造を有しているユニットを含んでいることである。これらの構造により分子内で電子の局在化が起こり、本発明の荷電制御剤は優れた負帯電性を有するものとなる。
【0197】
また、これらの構造を有するユニットの比率を変化させることにより、帯電の立ち上がりをコントロールすることが可能である。更に、これらのユニット比の制御により、さらに環境依存性を少なくすることも可能である。
【0198】
本発明の荷電制御剤に含有されているポリヒドロキシアルカノエートは、製造上、側鎖に芳香環を含み且つ、スルフィニル構造或いはスルホニル構造を有するユニット、即ち上記化学式(1)及び(2)に示されるユニットを必然的に含んでいる場合が多いが、本発明の荷電制御剤の帯電性能に対する寄与面から考えると、必ずしも必須というわけではなく、芳香環及びスルフィニル構造或いはスルホニル構造を有し、更にそのα位のメチレンがクロル置換されている構造を有しているユニット、即ち上記化学式(3)、(4)、(5)、(6)に示されるユニットのうち少なくとも1種類のユニットを含んでいることが、本発明の荷電制御剤の帯電性能に多大に寄与しているものと考えられる。
【0199】
これらの構造を有するユニットはポリマー中に1mol%以上含まれていれば良く、その割合は、その他のユニットとの比率、望む帯電性を考慮して選択すれば良いが、十分な帯電性を発揮するためには、5mol%以上含まれていることがより好ましい。また、含まれるユニットの上限については、選択するバインダー樹脂の種類およびその他のユニットとのを考慮すれば良く、バインダー樹脂に対する相溶性を損なわない範囲であれば良い。
【0200】
本発明で示した化合物はバインダー樹脂に対する相溶性が良好であり、特にはポリエステル系のバインダー樹脂に対する相溶性がきわめて良好である。この本発明で示した化合物を含有せしめたトナーは比帯電量が高く、その経時安定性も良好であることから、トナーを長時間保存しても静電記録の画像形成において安定して鮮明な画像を与え、また、無色の負の帯電性能をもつため、黒色の負帯電トナーおよびカラートナー何れについても製出することが出来る。
【0201】
さらに、本発明で示した化合物を構成するモノマーユニットの種類/組成比を適宜選択することにより、幅広い相溶性の制御が可能である。ここで、荷電制御剤がトナーバインダー中でミクロ相分離構造をとるよう樹脂組成を選択すると、トナーの電気的連続性が生じないため安定に電荷を保持することが可能となる。また、本発明で示した化合物は重金属を含まないため環境に対する安全性がきわめて高い。また、懸濁重合法や乳化重合法でトナーを作成する際には、含金属の荷電制御剤で見られるような重金属による重合禁止作用がないので、安定してトナーを製出することが出来る。
【0202】
(PHAのトナーへの添加)
本発明において、上記した化合物をトナーに含有させる方法としては、トナーに内添する方法とトナーに外添する方法がある。内添する場合の添加量は、トナーバインダーと該荷電制御剤の質量割合として、通常 0.1〜50 質量%、好ましくは 0.3〜30 質量%、さらに好ましくは 0.5〜20 質量%の範囲で使用するのがより好ましい。0.1 質量%よりも少ないと、トナーの帯電性における改良の度合いが顕著にみられず好ましくない。一方、50 質量%を超えると、経済的な観点から好ましくない。また、外添する場合には、トナーバインダーと該荷電制御剤の質量割合は 0.01〜5質量%とすることが好ましく、特に、メカノケミカル的にトナー表面に固着させるのが好ましい。更に、本発明で上記した化合物は、公知の荷電制御剤と組み合わせて使用することもできる。
【0203】
本発明で上記した化合物の数平均分子量は、通常 1,000〜500,000 であり、好ましくは 1,000〜100,000 である。1,000 未満ではトナーバインダーに完全相溶し不連続なドメインを形成しにくくなるために帯電量不足となるとともに、トナーの流動性に悪影響を与える。また、500,000 を超えるとトナー中に分散させるのが困難となる。
【0204】
本発明で示される化合物の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した。具体的なGPCの測定方法としては、予め本発明で示される化合物を 0.1 質量%LiBr含有ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し多サンプルを同様の移動相で測定し、標準ポリスチレン樹脂の検量線から分子量分布を求めた。
【0205】
また、本発明においては、上記のようにして測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比率(Mw/Mn)が、1〜10 の範囲内にある本発明で上記した化合物を使用することが好ましい。
【0206】
本発明において、本発明で上記した化合物は 20〜150℃、特に 40〜150℃の融点を持つか、または融点は持たないが 20〜150℃、特に 40〜150℃のガラス転移点を持つことが好ましい。上記融点が 20℃未満または融点を持たずガラス転移点が 20℃未満の場合は、トナーの流動性や、保存性に悪影響を与えやすい。また、融点が 150℃を超えるかまたは融点を持たずガラス転移点が 150℃を超える場合は、荷電制御剤をトナー中に混練することが困難になり、帯電量分布が広くなりやすい。
【0207】
この場合における融点Tmおよびガラス転移点Tgの測定には、例えば、パーキンエルマー社製のDSC-7のような高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計を用いて測定を行なえばよい。
【0208】
本発明のトナーバインダーおよび静電荷像現像トナーにおいて、トナーバインダーと該荷電制御剤の質量割合は、通常 0.1〜50 質量%、好ましくは 0.3〜30 質量%、さらに好ましくは 0.5〜20 質量%である。本発明の静電荷像現像トナーの組成比は、トナー質量に基づき、通常、前記荷電制御剤が 0.1〜50 質量%、トナーバインダーが 20〜95 質量%、着色材料が0〜15 質量%であり、必要により磁性粉(鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性金属の粉末もしくはマグネタイト、ヘマタイト、フェライトなどの化合物)を着色材料としての機能を兼ねて 60 質量%以下含有していてもよい。さらに種々の添加剤(滑剤(ポリテトラフルオロエチレン、低分子量ポリオレフィン、脂肪酸、もしくはその金属塩またはアミドなど)および他の荷電制御剤(ニグロシン誘導体、ナフテン酸金属、アルコキシル化アミン、四級アンモニウム塩など)を含有させることができる。また、トナーの流動性改良のために疎水性コロイダルシリカ微粉末等を用いることもできる。これら添加剤の量はトナー質量に基づき通常 10 質量%以下である。
【0209】
本発明のトナーにおいては、トナーバインダーの少なくとも一部が連続相を形成しており、荷電制御剤の少なくとも一部が不連続なドメインを形成していることが好ましい。不連続なドメインを形成せずにトナーバインダー中に荷電制御剤が完全相溶する場合と比較して、添加した荷電制御剤がトナー表面に露出しやすくなり、少量の添加で効果を発現する。また、該ドメインの分散粒径は、好ましくは 0.01〜4μmであり、さらに好ましくは 0.05〜2μmである。4μmを超えると分散性が不充分であり、帯電量分布が広くなるとともに、トナーの透明性が悪くなる問題が生じる。また、分散粒径が 0.01μm未満では、不連続なドメインを形成せずにトナーバインダー中に完全相溶する場合と同様であり、多量の荷電制御剤の添加が必要となる。前記荷電制御剤の少なくとも一部が不連続なドメインを形成していること、およびその分散粒径は、透過型電子顕微鏡などでトナーの切片を観察することで確認できる。界面を明瞭に観察するために、四酸化ルテニウム、四酸化オスニウムなどでトナー切片を染色した後に電子顕微鏡観察をすることも有効である。
【0210】
また、本発明で上記した化合物が形成する不連続なドメインの粒径を小さくする目的で、本発明で上記した化合物に対して相溶性を有しかつトナーバインダーに対しても相溶性を有する重合体を相溶化剤として含有させることもできる。相溶化剤としては、本発明で示される化合物の構成単量体と実質的に同じ構造を有する単量体を 50 モル%以上含有する重合体鎖と、トナーバインダーの構成単量体と実質的に同じ構造を有する単量体を 50 モル%以上含有する重合体鎖がグラフト状またはブロック状に結合した重合体などが挙げられる。相溶化剤の使用量は本発明で示される化合物に対して、通常 30 質量%以下であり、好ましくは1〜10 質量%である。
【0211】
<他の構成材料>
以下、本発明の静電荷像現像用トナーを構成するその他の構成材料について説明する。
【0212】
(バインダー樹脂)
先ず、バインダー樹脂としては、通常、トナーを製造する際に用いられているものであればいずれも使用することができ、特に限定されない。また、本発明の荷電制御剤は、トナーとする前にバインダー樹脂とあらかじめ混合し、荷電制御能をもつ本発明のトナーバインダー組成物として用いることができる。例えば、バインダー樹脂としては、スチレン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、エポキシ系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマーおよびポリウレタン系ポリマーなどが挙げられ、単独または混合して使用することができる。
【0213】
スチレン系ポリマーとしては、スチレンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体およびこれらと共重合可能な他の単量体の共重合体、スチレンとジエン系単量体(ブタジエン、イソプレンなど)との共重合体およびこれらと共重合可能な他の単量体の共重合体などが挙げられる。ポリエステル系ポリマーとしては芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールのアルキレンオキサイド付加物との重縮合物などが挙げられる。エポキシ系ポリマーとしては芳香族ジオールとエピクロルヒドリンとの反応物およびこれの変性物などが挙げられる。ポリオレフィン系ポリマーとしてはポリエチレン、ポリプロピレンおよびこれらと他の共重合可能な単量体との共重合体鎖などが挙げられる。ポリウレタン系ポリマーとしては芳香族ジイソシアネートと芳香族ジオールのアルキレンオキサイド付加物との重付加物などが挙げられる。
【0214】
本発明において用いられるバインダー樹脂の具体例としては、以下に挙げる重合性単量体の重合体、または、これらの混合物、或いは、以下に挙げる重合性単量体を2種類以上使用して得られる共重合生成物が挙げられる。このようなものとしては、具体的には、例えば、スチレン-アクリル酸共重合体、或いはスチレン-メタクリル酸系共重合体などのスチレン系ポリマー、さらにはポリエステル系ポリマー、エポキシ系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマーおよびポリウレタン系ポリマー等が挙げられ、好ましく使用できる。
【0215】
重合性単量体の具体例としては、例えば、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-フェニルスチレン、p-クロルスチレン、3,4-ジクロルスチレン、p-エチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-n-ブチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレンの如きスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きエチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、弗化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n-オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα-メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n-オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2-クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N-ビニルピロール、N-ビニルカルバゾール、N-ビニルインドール、N-ビニルピロリドンの如きN-ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸若しくはメタクリル酸誘導体;前述のα,β-不飽和酸のエステル、二塩基酸のジエステル類;マレイン酸、マレイン酸メチル、マレイン酸ブチル、マレイン酸ジメチル、フタル酸、コハク酸、テレフタル酸などのジカルボン酸類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA等のポリオール化合物;p-フェニレンジイソシアネート、p-キシリレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート等のイソシアネート類;エチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、1,4-ジアミノベンゼン、1,4-ジアミノブタン、モノエタノールアミン等のアミン類;ジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物等が挙げられる。
【0216】
(架橋剤)
本発明において使用するバインダー樹脂を形成する場合、必要に応じて下記に挙げるような架橋剤を用いることもできる。例えば、2官能の架橋剤として、ジビニルベンゼン、ビス(4-アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,5-ペンタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール #200、#400、#600 の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート(MANDA日本化薬)、及び以上のアクリレートをメタクリレートに変えたもの等が挙げられる。
【0217】
2官能以上の多官能の架橋剤としては、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びそのメタクリレート、2,2-ビス(4-メタクリロキシ、ポリエトキシフェニル)プロパン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルアソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリールクロレンデート等が挙げられる。
【0218】
(重合開始剤)
また、本発明において使用するバインダー樹脂を形成する場合には、下記に挙げるような重合開始剤を必要に応じて用いることができる。例えば、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、クミンパーピバレート、t-ブチルパーオキシラウレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,4-ビス(t-ブチルパーオキシカルボニル)シクロヘキサン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)オクタン、n-ブチル4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バリレート、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン、1,3-ビス(t-ブチルパーオキシ-イソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ-t-ブチルジパーオキシイソフタレート、2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、ジ-t-ブチルパーオキシα-メチルサクシネート、ジ-t-ブチルパーオキシジメチルグルタレート、ジ-t-ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ-t-ブチルパーオキシアゼラート、ジエチレングリコール-ビス(t-ブチルパーオキシカーボネート)、ジ-t-ブチルパーオキシトリメチルアジペート、トリス(t-ブチルパーオキシ)トリアジン、ビニルトリス(t-ブチルパーオキシ)シラン等が挙げられる。これらが単独或いは併用して使用できる。その使用量はモノマー 100 質量部に対し、0.05 質量部以上(好ましくは 0.1〜15 質量部)の濃度で用いられる。
【0219】
(他の生分解性プラスチック)
さらに本発明においては、生分解性プラスチックについても好ましく使用できる。生分解性プラスチックとしては、「エコスター」「エコスタープラス」(萩原工業)「バイオポール」(アイ・シー・アイ・ジャパン)「アジコート」(味の素)「プラクセル」「ポリカプロラクトン」(ダイセル化学)「ショーレックス」「ビオノーレ」(昭和電工)「ラクティ」(島津製作所)「レイシア」(三井化学)「ユーペック」(三菱瓦斯化学)等が挙げられる。
【0220】
これらのバインダー樹脂と本発明の荷電制御剤の組合せは、バインダー樹脂の高分子の構造と荷電制御剤のポリマー鎖の高分子構造とができるだけ類似していることが好ましい。バインダー樹脂の高分子構造と荷電制御剤のポリマー鎖の高分子構造が大きく異なるとバインダー樹脂中への荷電制御剤の分散が不十分になりやすい。
【0221】
本発明の荷電制御剤をバインダー樹脂に内添する質量割合は、通常 0.1〜50 質量%、好ましくは 0.3〜30 質量%、さらに好ましくは、0.5〜20 質量%である。ここで、内添する荷電制御剤の質量割合が 0.1 質量%未満であると、帯電量が低く、50 質量%を超えるとトナーの帯電安定性が悪くなる。
【0222】
(着色剤)
本発明の静電荷像現像用トナーを構成する着色剤としては、通常、トナーを製造する際に用いられているものであればいずれも使用でき、特に限定されるものではない。例えば、カーボンブラック、チタンホワイト、その他あらゆる顔料及び/または染料を用いることができる。例えば、本発明の静電荷像現像用トナーを磁性カラートナーとして使用する場合には、着色剤としては、例えば、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド 30、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー 15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6等がある。顔料としては、黄鉛、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等を使用することができる。
【0223】
また、本発明の静電荷像現像用トナーを二成分フルカラー用トナーとして使用する場合には、着色剤として次の様なものを使用することができる。例えば、マゼンタ色トナー用の着色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、49、50、51、52、53、54、55、57、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、163、202、206、207、209、C.I.ピグメントバイオレット 19、C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35 等が挙げられる。
【0224】
本発明においては、上記に挙げた顔料を単独で使用しても構わないが、染料と顔料とを併用して、その鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。その場合に使用し得るマゼンタ用染料としては、C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27、C.I.ディスパースバイオレット1等の油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40、C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28 等の塩基性染料が挙げられる。
【0225】
その他の着色顔料としては、シアン用着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー2、3、15、16、17、C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー 45、または、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料等が挙げられる。
【0226】
イエロー用着色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、65、73、83、C.I.バットイエロー1、3、20 等が挙げられる。
【0227】
上記したような染料及び顔料は、単独で使用してもよく、さもなければ、所望とするトナーの色調を得るために任意に混合して使用してもよい。なお、環境保全や人体に対する安全性などを考慮した場合には、各種の食用色素を好適に使用できる。上記したような着色剤のトナー中の含有量は、所望とする着色効果などに応じて広く変更することが可能である。通常、最も良好なトナー特性を得るため、すなわち、印字の着色力、トナーの形状安定性、トナーの飛散などを考慮した場合、これらの着色剤は、通常、バインダー樹脂 100 質量部に対して、0.1〜60 質量部好ましくは 0.5〜20 質量部程度の割合で使用される。
【0228】
(トナーの他の成分)
本発明の静電荷像現像用トナー中には、上記したバインダー樹脂及び着色剤成分の他に、本発明の効果に悪影響を与えない範囲で(バインダー樹脂成分の含有量より少ない割合で)以下の化合物を含有させてもよい。例えば、シリコーン樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、低分子量ポリエチレンまたは低分子量ポリプロピレンの如き脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、及び、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等である。これらの中でも好ましく用いられるワックス類としては、具体的には、低分子量ポリプロピレン及びこの副生成物、低分子量ポリエステル及びエステル系ワックス、脂肪族の誘導体が挙げられる。これらのワックスから、種々の方法によりワックスを分子量により分別したワックスも本発明に好ましく用いられる。また、分別後に酸価やブロック共重合、グラフト変性を行なってもよい。
【0229】
特に、本発明の静電荷像現像用トナーにおいては、上記したようなワックス成分を含み、しかも透過型電子顕微鏡(TEM)を用いてトナーの断層観察を行なった場合に、これらのワックス成分が、バインダー樹脂中に実質的に球状及び/または紡錘形の島状に分散されている場合に優れた特性のトナーとなる。
【0230】
(トナーの作成方法)
上記のような構成を有する本発明の静電荷像現像用トナーを作製する具体的な方法としては、従来公知の方法をいずれも用いることができる。本発明の静電荷像現像用トナーは、例えば、下記の工程によってトナーを得る、所謂粉砕法によって作製できる。即ち、具体的には、先に説明した本発明で示される化合物と、バインダー樹脂等の樹脂類、その他、必要に応じて添加されるワックスを、ヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合器により充分混合してから、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融混練して樹脂類をお互いに相溶せしめた中に、着色剤としての顔料、染料、または磁性体、必要に応じて添加される金属化合物等の添加剤を分散または溶解せしめ、冷却固化後、ジェットミル、ボールミル等の粉砕機により固化物を粉砕した後、分級を行なって所望の粒径を有する本発明の静電荷像現像用トナーを得ることができる。尚、上記分級工程においては、生産効率上、多分割分級機を用いることが好ましい。
【0231】
また、バインダー樹脂と本発明で示される化合物を溶剤(トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、クロロホルム、エチレンジクロライドなどのハロゲン化物、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトンおよびジメチルホルムアミドなどのアミドなど)を用い、溶液混合し、攪拌処理後、水中に投じて再沈澱せしめ、濾過、乾燥後、ジェットミル、ボールミル等の粉砕機により固化物を粉砕した後、分級を行なって所望の粒径を有する本発明の静電荷像現像用トナーを得ることもできる。尚、上記分級工程においては、生産効率上、多分割分級機を用いることが好ましい。
【0232】
また、本発明の静電荷像現像用トナーは、下記のような所謂重合法によって作製することもできる。即ち、この場合には、本発明で示される化合物と、重合性単量体、着色剤としての顔料、染料、または磁性体、必要に応じて、架橋剤、重合開始剤、ワックス、その他の添加剤等の材料を混合分散し、界面活性剤等の存在下、水系分散媒体中で懸濁重合することにより重合性着色樹脂粒子を合成し、得られた粒子を固液分離した後、乾燥し、必要に応じて分級を行なって本発明の静電荷像現像用トナーを得ることができる。
【0233】
さらには、荷電制御剤を含まない着色微粒子を上記方法により調製し、次いで本発明で示される化合物を単独もしくはコロイダルシリカ等の外添剤と供にメカノケミカル的な方法等により粒子表面に固着添加することも出来る。
【0234】
(シリカ外添剤)
本発明においては、上記のような方法によって作製されたトナーに、帯電安定性、現像性、流動性、耐久性向上のため、シリカ微粉末を外添することが好ましい。この際に用いられるシリカ微粉末としては、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が 20m2/g以上(特に 30〜400m2/g)の範囲内のものが良好な結果を与える。この場合のシリカ微粉末の量としては、トナー粒子 100 質量部に対して、シリカ微粉体を 0.01〜8質量部、好ましくは 0.1〜5質量部程度使用することが好ましい。この際に使用するシリカ微粉末としては、必要に応じて、疎水化及び帯電性コントロールの目的で、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他の有機ケイ素化合物の如き処理剤で処理されたものを使用することが好ましい。これらの処理剤は混合して使用してもよい。
【0235】
(無機粉体)
また、トナーの現像性及び耐久性を向上させるために、次に挙げるような無機粉体を添加することも好ましい。例えば、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、セリウム、コバルト、鉄、ジルコニウム、クロム、マンガン、ストロンチウム、錫、アンチモンの如き金属の酸化物;チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ストロンチウムの如き複合金属酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウムの如き金属塩;カオリンの如き粘土鉱物;アパタイトの如きリン酸化合物;炭化ケイ素、窒化ケイ素の如きケイ素化合物;カーボンブラックやグラファイトの如き炭素粉末が挙げられる。これらの中でも、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化コバルト、二酸化マンガン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグルシウムの微粉体を使用することが好ましい。
【0236】
(滑剤)
更に、下記に挙げるような滑剤粉末をトナーに添加してもよい。例えば、テフロン、ポリフッ化ビニリデンの如きフッ素樹脂;フッ化カーボンの如きフッ素化合物;ステアリン酸亜鉛の如き脂肪酸金属塩;脂肪酸、脂肪酸エステルの如き脂肪酸誘導体;硫化モリブデン等が挙げられる。
【0237】
(キャリアについて)
上記のような構成を有する本発明の静電荷像現像用トナーは、単独で非磁性一成分現像剤として使用されたり、磁性キャリアとともに磁性二成分現像剤を構成したりする非磁性トナーや、単独で磁性一成分トナーとして使用される磁性トナー等の、従来公知の種々のトナーに適用することができる。ここで二成分現像方法に用いる場合のキャリアとしては、従来知られているものをいずれも使用することができる。具体的には、表面酸化または未酸化の鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、希土類の如き金属及びそれらの合金または酸化物で形成される平均粒径 20〜300μmの粒子を、キヤリア粒子として使用できる。また、本発明において用いるキャリアは、上記したキャリア粒子の表面が、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル樹脂の如き物質によって付着または被覆されているものであることが好ましい。
【0238】
(磁性トナー)
本発明の静電荷像現像用トナーは、磁性材料をトナー粒子中ら含有させ磁性トナーとしてもよい。この場合には、磁性材料に、着色剤の役割を兼ねさせることもできる。この際に使用される磁性材料としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライトの如き酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルのような金属或いはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属との合金及びその混合物が挙げられる。本発明において用いることのできるこれらの磁性材料としては、平均粒子径が2μm以下、好ましくは 0.1〜0.5μm程度のものが好ましい。トナー中に含有させる量としては、バインダー樹脂 100 質量部に対し 20〜200 質量部、特に好ましくは、バインダー樹脂 100 質量部に対して 40〜150 質量部とすることが好ましい。
【0239】
更に、高画質化を達成するためには、より微小な潜像ドットを忠実に現像することを可能にする必要があり、そのためには、例えば、本発明の静電荷像現像用トナー粒子の重量平均径が4μm〜9μmの範囲内となるように調整することが好ましい。即ち、重量平均径が4μm未満のトナー粒子では、転写効率の低下が生じ、感光体上に転写残トナーが多く残り易く、カブリ・転写不良に基づく画像の不均一ムラの原因となり易く、好ましくない。また、トナー粒子の重量平均径が9μmを超える場合には、文字やライン画像の飛び散りが生じ易い。
【0240】
本発明において、トナーの平均粒径及び粒度分布は、コールターカウンターTA-II型或いはコールターマルチサイザー(コールター社製)等を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びPC 9801 パーソナルコンピューター(NEC製)を接続して測定した。その際に使用する電解液として、1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。電解液としては、例えば、市販の ISOTON R-II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)を使用することもできる。具体的な測定法としては、上記電解水溶液 100〜150 ml中に、分散剤として界面活性剤(好ましくは、アルキルベンゼンスルフォン酸塩を使用する)を 0.1〜5mL加え、更に、測定試料を2〜20mg加えて測定用試料とする。測定の際には、この測定試料が懸濁された電解液を超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行なった後、前記コールターカウンターTA-II型によりアパーチャーとして 100μmアパーチャーを用いて、2μm以上のトナーの体積、個数を測定し、体積分布と個数分布とを算出した。それから、本発明に係わる体積分布から求めた体積基準の重量平均粒径(D4)、個数分布から求めた個数基準の長さ平均粒径(D1)を求めた。
【0241】
(帯電量)
また、本発明の静電荷像現像用トナーは、単位質量あたりの帯電量(二成分法)が-10〜-80μC/g、より好ましくは-15〜-70μC/gであることが、電圧を印加した転写部材を用いる転写方法において転写効率を向上させる上で好ましい。
【0242】
本発明において使用した二成分法による帯電量(二成分トリボ)の測定法を以下に示す。測定には、図7に示した帯電量測定装置を使用した。先ず、一定環境下、キャリアとしてEFV 200 / 300(パウダーテック社製)を用い、該キャリア 9.5 gに対して、測定対象のトナー 0.5 gを加えた混合物を、50〜100 ml容量のポリエチレン製の瓶に入れ、振幅を一定にした振とう機に設置して、振とう条件を、振幅 100mm、振とう速度1分間 100回往復に設定し、一定時間振とうする。次いで、図7に示した帯電量測定装置の、底に 500 メッシュのスクリーン 43のある金属製の測定容器 42 に、前記混合物 1.0〜1.2 gを入れて、金属製のフタ 44 をする。この時の測定容器 42 全体の質量をはかりW1(g)とする。次に、不図示の吸引機(測定容器 22 と接する部分は少なくとも絶縁体)で吸引口 47 から吸引し、風量調節弁 46 を調節して真空計 45 の圧力が 2450Pa(250mmAq)になるようにする。この状態で一分間吸引を行なって、トナーを吸引除去する。この時の電位計 49 の電位をV(ボルト)とする。ここで 48 はコンデンサーであり容量をC(μF)とする。また、吸引後の測定機全体の質量を秤かりW2(g)とする。トナーの摩擦帯電量(μC/g)は、これらの測定値から、下式によって計算される。
摩擦帯電量(μC/g)=C×V/(W1-W2)
(バインダー樹脂の分子量分布)
また、本発明の静電荷像現像用トナーの構成材料に用いられるバインダー樹脂としては、特に、粉砕法で作製した場合に、GPCによる分子量分布において、低分子量領域におけるピークが 3,000〜15,000 の範囲にあるようにすることが好ましい。即ち、低分子量領域におけるGPCピークが 15,000 を超えると、転写効率の向上が充分なものが得られ難くなる場合がある。また、低分子量領域におけるGPCピークが 3000 未満のバインダー樹脂を用いると、表面処理時に融着を生じ易くなるので、好ましくない。
【0243】
本発明において、バインダー樹脂の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した。具体的なGPCの測定方法としては、予めトナーをTHF(テトラヒドロフラン)溶剤でソックスレー抽出器を用いて 20時間抽出を行なったサンプルを測定用に用い、カラム構成は、昭和電工製A-801、802、803、804、805、806、807 を連結し標準ポリスチレン樹脂の検量線を用い分子量分布を測定した。また、本発明においては、上記のようにして測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比率(Mw/Mn)が、2〜100 の範囲内にあるバインダー樹脂を使用することが好ましい。
【0244】
(トナーのガラス転移点)
更に、本発明のトナーは、適宜な材料を用いることによって、定着性、保存性の観点から、そのガラス転移点Tgが、40℃〜75℃、更に好ましくは、52℃〜70℃となるように調製されることが好ましい。この場合におけるガラス転移点Tgの測定には、例えば、パーキンエルマー社製のDSC-7のような高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計を用いて測定を行なえばよい。測定方法としては、ASTM D 3418-82 に準じて行なう。本発明においては、ガラス転移点Tgを測定する場合に、測定試料を1回昇温して全履歴をとった後、急冷し、再度、温度速度 10℃/min、温度0〜200℃の範囲で昇温させたときに測定されるDSC曲線を用いるとよい。
【0245】
(画像形成方法)
上記で説明した構成を有する本発明の静電荷現像用トナーは、少なくとも、外部より帯電部材に電圧を印加して、静電潜像担持体に帯電を行なう帯電工程と、帯電された静電潜像担持体に静電荷像を形成する工程と、該静電荷像をトナーにより現像してトナー像を静電潜像担持体上に形成する現像工程と、静電潜像担持体上のトナー像を被記録材へ転写する転写工程と、被記録材上のトナー像を加熱定着する加熱定着工程とを有する画像形成方法、或いは、転写工程が、静電潜像担持体上のトナー像を中間の転写体に転写する第1の転写工程と、該中間の転写体上のトナー像を被記録材に転写する第2の転写工程とからなる画像形成方法に適用することが特に好ましい。
【0246】
【実施例】
以下に実施例を挙げ、本発明を詳細に説明する。これら実施例は、本発明の最良の実施形態の一例ではあるものの、本発明は、これら実施例により限定されうるものではない。
【0247】
なお、本発明に係るPHAに含まれる化学式(1)〜(6)で示される各ユニットは、Xの範囲が0から7であるが、0から6であってもよい。
【0248】
まず、以下の実施例1〜3には、原料の5-(フェニルスルファニル)吉草酸を含む培地中でPHA生産菌を培養し、その後、PHA生産菌が生産したPHAに対して、次亜塩素酸ナトリウムによる処理を施すことによって、上記化学式(9)の3-ヒドロキシ-5-(フェニルスルフィニル)吉草酸ユニット及び(10)の3-ヒドロキシ-5-(フェニルスルホニル)吉草酸ユニットに加えて、化学式(11)の5-クロロ-3-ヒドロキシ-5-(フェニルスルフィニル)吉草酸ユニット、化学式(12)の5-クロロ-3-ヒドロキシ-5-(フェニルスルホニル)吉草酸ユニット、化学式(13)の5,5-ジクロロ-3-ヒドロキシ-5-(フェニルスルフィニル)吉草酸ユニット、化学式(14)の5,5-ジクロロ-3-ヒドロキシ-5-(フェニルスルホニル)吉草酸ユニットの4種類のうち、少なくとも1種類のクロロ置換体ユニットとをポリマー分子中に含むPHAを製造した例を示す。
【0249】
(実施例1)
ポリペプトン 0.5%(w/v)を含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、500mL振とうフラスコ中で 30℃、125 ストローク/分の条件下で振とう培養した。72時間後、前記培養液2mLを、ポリペプトン 0.5%(w/v)と5-(フェニルスルファニル)吉草酸 0.1%(w/v)とを含むM9培地 1000mLに添加し、2000mL振とうフラスコ中で 30℃、125 ストローク/分の条件下で 23時間振とう培養した。
【0250】
上記培養液を遠心分離(78000m/s2(=8000G)、4℃、10分間)により微生物細胞を回収した。
【0251】
得られた細胞は、精製水 40mLに懸濁し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(キシダ化学(株)製、有効塩素濃度5%以上) 20mLを添加した。これを4℃、2時間振とうし、PHA以外の細胞構成成分を可溶化すると共に、ポリヒドロキシアルカノエートの酸化及び塩素化を行なった。反応終了後、遠心分離(29400m/s2(=3000G)、4℃、30分間)により粗製ポリヒドロキシアルカノエートを回収した。
【0252】
得られた粗製ポリヒドロキシアルカノエートは、精製水 70mLに懸濁し、遠心分離(29400m/s2(=3000G)、4℃、30分間)により精製度のより高いポリヒドロキシアルカノエートを回収する操作を3回繰り返して水洗浄を行なった。次に、このポリヒドロキシアルカノエートは、精製水 10mLに懸濁して凍結乾燥し、精製ポリヒドロキシアルカノエート粒子を 470mg得た。
【0253】
得られたポリヒドロキシアルカノエートは、以下の条件でNMR分析を行なった。
<測定機器>FT-NMR:Bruker DPX 400
共鳴周波数:1H=400MHz
<測定機器> 測定核種:1
使用溶媒:CDCl3
reference:キャピラリ封入TMS/CDCl3
測定温度:室温
図8に、測定された1H-NMRスペクトルチャートを示し、表1に同定結果に基づき、含有されるモノマーユニットの含有比率(モル%)を算出した結果を示す。
【0254】
以上の結果、化学式(9)の3-ヒドロキシ-5-(フェニルスルフィニル)吉草酸ユニット及び(10)の3-ヒドロキシ-5-(フェニルスルホニル)吉草酸ユニットに加えて、化学式(11)の5-クロロ-3-ヒドロキシ-5-(フェニルスルフィニル)吉草酸ユニット、化学式(12)の5-クロロ-3-ヒドロキシ-5-(フェニルスルホニル)吉草酸ユニット、化学式(13)の5,5-ジクロロ-3-ヒドロキシ-5-(フェニルスルフィニル)吉草酸ユニット、化学式(14)の5,5-ジクロロ-3-ヒドロキシ-5-(フェニルスルホニル)吉草酸ユニットを含み、それ以外のユニットとして、化学式(7)で示される炭素数4〜12 までの直鎖3-ヒドロキシアルカン酸ユニットまたは化学式(8)で示される直鎖3-ヒドロキシアルケン酸ユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートであることが確認された。(なお、表1中において、化学式(7)で示される炭素数4〜12 までの直鎖3-ヒドロキシアルカン酸または化学式(8)で示される直鎖3-ヒドロキシアルケン酸は、3HAとして併せて示す。)
【0255】
【表1】
Figure 0003848206
【0256】
なお、化学式(9)及び化学式(10)に示すユニット、化学式(11)及び化学式(12)に示すユニット、化学式(13)及び化学式(14)に示すユニットは、その個別の量比を1H-NMRから算出することは困難であったが、NMR分析に加え、赤外吸収スペクトル分析、熱分解GC-MS分析の結果から総合的に判断し、ポリマー中には、上記6種類のユニットがいずれも含まれているとの結論を得た。
【0257】
得られたポリヒドロキシアルカノエートについて、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により分子量測定を行なった。GPCの条件は、装置:東ソーHLC-8020;カラム:ポリマーラボラトリーPlgel MIXED-C(5μm)×2本;移動層溶媒: 0.1 重量%LiBr含有DMF;ポリスチレン換算である。その結果、数平均分子量(Mn): 14900、重量平均分子量(Mw):31100、Mw/Mn: 2.1 であった。
【0258】
(実施例2)
ポリペプトン 0.5%(w/v)を含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・H45株を植菌し、500mL振とうフラスコ中で 30℃、125 ストローク/分の条件下で振とう培養した。72時間後、前記培養液2mLを、ポリペプトン 0.5%(w/v)と5-(フェニルスルファニル)吉草酸 0.1%(w/v)とを含むM9培地 1000mLに添加し、2000mL振とうフラスコ中で 30℃、125 ストローク/分の条件下で 23時間振とう培養した。
【0259】
菌体を遠心分離により回収し、上記培養液を遠心分離(78000m/s2(=8000G)、4℃、10分間)により微生物細胞を回収した。得られた細胞は、実施例1と同様の条件で次亜塩素酸ナトリウム処理を行ない、ポリヒドロキシアルカノエート粒子を 351mg得た。
【0260】
(実施例3)
ポリペプトン 0.5%(w/v)を含むM9培地 200mLに、シュードモナス・ジェッセニイP161株を植菌し、500mL振とうフラスコ中で 30℃、125 ストローク/分の条件下で振とう培養した。72時間後、前記培養液2mLを、ポリペプトン 0.5%(w/v)と5-(フェニルスルファニル)吉草酸 0.1%(w/v)とを含むM9培地 1000mLに添加し、2000mL振とうフラスコ中で 30℃、125 ストローク/分の条件下で 23時間振とう培養した。
【0261】
菌体を遠心分離により回収し、上記培養液を遠心分離(78000m/s2(=8000G)、4℃、10分間)により微生物細胞を回収した。得られた細胞は、実施例1と同様の条件で次亜塩素酸ナトリウム処理を行ない、ポリヒドロキシアルカノエート粒子を 311mg得た。
【0262】
実施例2及び3において得られたポリヒドロキシアルカノエートは、実施例1と同様の条件でNMR分析及び分子量測定を行なった。結果を表2及び表3に示す。(表2中の3HAとは、化学式(7)及び(8)に示される炭素数4〜12 までの直鎖3-ヒドロキシアルカン酸もしくは3-ヒドロキシアルケン酸を表す)
【0263】
【表2】
Figure 0003848206
【0264】
【表3】
Figure 0003848206
【0265】
以下の実施例4〜9には、原料の4-(フェニルスルファニル)酪酸を含む培地中でPHA生産菌を培養し、その後、PHA生産菌が生産したPHAに対して、次亜塩素酸ナトリウムによる処理を施すことによって、上記化学式(15)の3-ヒドロキシ-4-(フェニルスルフィニル)酪酸ユニット及び(16)の3-ヒドロキシ-4-(フェニルスルホニル)酪酸ユニットに加えて、化学式(17)の4-クロロ-3-ヒドロキシ-4-(フェニルスルフィニル)酪酸ユニット、化学式(18)の4-クロロ-3-ヒドロキシ-4-(フェニルスルホニル)酪酸ユニット、化学式(19)の4,4-ジクロロ-3-ヒドロキシ-4-(フェニルスルフィニル)酪酸ユニット、化学式(20)の4,4-ジクロロ-3-ヒドロキシ-4-(フェニルスルホニル)酪酸ユニットの4種類のうち、少なくとも1種類のクロロ置換体ユニットとをポリマー分子中に含むPHAを製造した例を示す。
【0266】
(実施例4)
グルコース 0.5%(w/v)と4-(フェニルスルファニル)酪酸 0.1%(w/v)を含むM9培地 1000mLに、シュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、2000mL振とうフラスコ中で 30℃、125 ストローク/分で振盪培養した。72時間後、菌体を遠心分離により回収し、グルコース 0.5%(w/v)、4-(フェニルスルファニル)酪酸 0.1%(w/v)を含む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 1000mLに再懸濁して、2000mL振とうフラスコ中で、30℃、125 ストローク/分で振盪培養した。48時間後、上記培養液を遠心分離(78000m/s2(=8000G)、4℃、10分間)により微生物細胞を回収した。
【0267】
得られた細胞は、精製水 40mLに懸濁し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(キシダ化学(株)製、有効塩素濃度5%以上)20mLを添加した。これを4℃、2時間振とうし、ポリヒドロキシアルカノエート以外の細胞構成成分を可溶化すると共に、ポリヒドロキシアルカノエートの酸化及び塩素化を行なった。反応終了後、遠心分離(29400m/s2(=3000G)、4℃、30分間)により粗製ポリヒドロキシアルカノエートを回収した。
【0268】
得られた粗製ポリヒドロキシアルカノエートは、精製水 70mLに懸濁し、遠心分離(29400m/s2(=3000G)、4℃、30分間)により精製度のより高いポリヒドロキシアルカノエートを回収する操作を3回繰り返して水洗浄を行なった。次に、このポリヒドロキシアルカノエートは、精製水 10mLに懸濁して凍結乾燥し、精製ポリヒドロキシアルカノエート粒子を 631mg得た。
【0269】
得られた精製ポリヒドロキシアルカノエートは、実施例1と同様の条件でNMR分析を行なった。結果を表4に示す。得られたポリヒドロキシアルカノエートは、化学式(15)の3-ヒドロキシ-4-(フェニルスルフィニル)酪酸ユニット及び(16)の3-ヒドロキシ-4-(フェニルスルホニル)酪酸ユニットに加えて、化学式(17)の4-クロロ-3-ヒドロキシ-4-(フェニルスルフィニル)酪酸ユニット、化学式(18)の4-クロロ-3-ヒドロキシ-4-(フェニルスルホニル)酪酸ユニット、化学式(19)の4,4-ジクロロ-3-ヒドロキシ-4-(フェニルスルフィニル)酪酸ユニット、化学式(20)の4,4-ジクロロ-3-ヒドロキシ-4-(フェニルスルホニル)酪酸ユニットを含み、それ以外のユニットとして、化学式(7)で示される炭素数4〜12 までの直鎖3-ヒドロキシアルカン酸ユニットまたは化学式(8)で示される直鎖3-ヒドロキシアルケン酸ユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートであることが確認された。(なお、表4中において、化学式(7)で示される炭素数4〜12 までの直鎖3-ヒドロキシアルカン酸または化学式(8)で示される直鎖3-ヒドロキシアルケン酸は、3HAとして併せて示す。)
【0270】
【表4】
Figure 0003848206
【0271】
なお、化学式(15)及び化学式(16)に示すユニット、化学式(17)及び化学式(18)に示すユニット、化学式(19)及び化学式(20)に示すユニットは、その個別の量比を1H-NMRから算出することは困難であったが、NMR分析に加え、赤外吸収スペクトル分析、熱分解GC-MS分析の結果から総合的に判断し、ポリマー中には、上記6種類のユニットがいずれも含まれているとの結論を得た。
【0272】
また、実施例1と同様の条件で分子量測定を行なった結果、数平均分子量(Mn): 2200、重量平均分子量(Mw): 5800、Mw/Mn: 2.6 であった。
【0273】
(実施例5)
ポリペプトン 0.5%(w/v)と4-(フェニルスルファニル)酪酸 0.1%(w/v)を含むM9培地 1000mLに、シュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、2000mL振とうフラスコ中で 30℃、125 ストローク/分で振盪培養した。47時間後、菌体を遠心分離により回収し、ピルビン酸ナトリウム 0.5%(w/v)、4-(フェニルスルファニル)酪酸 0.1%(w/v)を含む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 1000mLに再懸濁して、更に、30℃、125 ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離により回収し、上記培養液を遠心分離(78000m/s2(=8000G)、4℃、10分間)により微生物細胞を回収した。得られた細胞は、実施例1と同様の条件で次亜塩素酸ナトリウム処理を行ない、ポリヒドロキシアルカノエート粒子を 531mg得た。
【0274】
(実施例6)
グリセロール 0.5%(w/v)と4-(フェニルスルファニル)酪酸 0.1%(w/v)を含むM9培地 1000mLに、シュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、2000mL振とうフラスコ中で 30℃、125 ストローク/分で振盪培養した。47時間後、菌体を遠心分離により回収し、グリセロール 0.5%(w/v)、4-(フェニルスルファニル)酪酸0.1%(w/v)を含む、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 1000mLに再懸濁して、更に、30℃、125 ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離により回収し、上記培養液を遠心分離(78000m/s2(=8000G)、4℃、10分間)により微生物細胞を回収した。得られた細胞は、実施例1と同様の条件で次亜塩素酸ナトリウム処理を行ない、ポリヒドロキシアルカノエート粒子を 473mg得た。
【0275】
(実施例7)
酵母エキス 0.5%(w/v)と4-(フェニルスルファニル)酪酸 0.1%(w/v)を含むM9培地 1000mLに、シュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、2000mL振とうフラスコ中で 30℃、125 ストローク/分で振盪培養した。48時間後、菌体を遠心分離により回収し、上記培養液を遠心分離(78000m/s2(=8000G)、4℃、10分間)により微生物細胞を回収した。得られた細胞は、実施例1と同様の条件で次亜塩素酸ナトリウム処理を行ない、ポリヒドロキシアルカノエート粒子を 55mg得た。
【0276】
(実施例8)
グルタミン酸 0.5%(w/v)と4-(フェニルスルファニル)酪酸 0.1%(w/v)を含むM9培地 1000mLに、シュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、2000mL振とうフラスコ中で 30℃、125 ストローク/分で振盪培養した。47時間後、菌体を遠心分離により回収し、上記培養液を遠心分離(78000m/s2(=8000G)、4℃、10分間)により微生物細胞を回収した。得られた細胞は、実施例1と同様の条件で次亜塩素酸ナトリウム処理を行ない、ポリヒドロキシアルカノエート粒子を 228mg得た。
【0277】
(実施例9)
ノナン酸 0.1%(v/v)と4-(フェニルスルファニル)酪酸 0.1%(w/v)を含むM9培地 1000mLに、シュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、2000mL振とうフラスコ中で 30℃、125 ストローク/分で振盪培養した。47時間後、菌体を遠心分離により回収し、上記培養液を遠心分離(78000m/s2(=8000G)、4℃、10 分間)により微生物細胞を回収した。得られた細胞は、実施例1と同様の条件で次亜塩素酸ナトリウム処理を行ない、ポリヒドロキシアルカノエート粒子を 189 mg得た。
【0278】
実施例5〜9において得られたポリヒドロキシアルカノエートは、実施例1と同様の条件でNMR分析及び分子量測定を行なった。結果を表5及び表6に示す。(表5中の3HAとは、化学式(7)及び(8)に示される炭素数4〜12 までの直鎖3-ヒドロキシアルカン酸もしくは3-ヒドロキシアルケン酸を表す。)
【0279】
【表5】
Figure 0003848206
【0280】
【表6】
Figure 0003848206
【0281】
以下の実施例10 には、原料の5-[(4-フルオロフェニル)スルファニル]吉草酸を含む培地中でPHA生産菌を培養し、その後、PHA生産菌が生産したPHAに対して、次亜塩素酸ナトリウムによる処理を施すことによって、上記化学式(21)の3-ヒドロキシ-5-[(4-フルオロフェニル)スルフィニル]吉草酸ユニット及び(22)の3-ヒドロキシ-5-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]吉草酸ユニットに加えて、化学式(23)の5-クロロ-3-ヒドロキシ-5-[(4-フルオロフェニル)スルフィニル]吉草酸ユニット、化学式(24)の5-クロロ-3-ヒドロキシ-5-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]吉草酸ユニット、化学式(25)の5,5-ジクロロ-3-ヒドロキシ-5-[(4-フルオロフェニル)スルフィニル]吉草酸ユニット、化学式(26)の5,5-ジクロロ-3-ヒドロキシ-5-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]吉草酸ユニットの4種類のうち、少なくとも1種類のクロロ置換体ユニットとをポリマー分子中に含むPHAを製造した例を示す。
【0282】
(実施例10)
ポリペプトン 0.5%(w/v)と5-[(4-フルオロフェニル)スルファニル]吉草酸 0.1 %(w/v)を含む培地 1000mLに、シュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、2000mL振とうフラスコ中で 30℃、125 ストローク/分で振とう培養した。28時間後、上記培養液を遠心分離(78000m/s2(=8000G)、4℃、10分間)により微生物細胞を回収した。
【0283】
得られた細胞は、精製水 40mLに懸濁し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(キシダ化学(株)製、有効塩素濃度5%以上) 20mLを添加した。これを4℃、2時間振とうし、PHA以外の細胞構成成分を可溶化すると共に、ポリヒドロキシアルカノエートの酸化及び塩素化を行なった。反応終了後、遠心分離(29400m/s2(=3000G)、4℃、30分間)により粗製PHAを回収した。
【0284】
得られた粗製ポリヒドロキシアルカノエートは、精製水 70mLに懸濁し、遠心分離(29400m/s2(=3000G)、4℃、30分間)により精製度のより高いポリヒドロキシアルカノエートを回収する操作を3回繰り返して水洗浄を行なった。次に、このポリヒドロキシアルカノエートは、精製水 10mLに懸濁して凍結乾燥し、精製ポリヒドロキシアルカノエート粒子を 250mg得た。
【0285】
得られた精製ポリヒドロキシアルカノエートは、実施例1と同様の条件でNMR分析を行なった。結果を表7に示す。得られたポリヒドロキシアルカノエートは、化学式(21)の3-ヒドロキシ-5-[(4-フルオロフェニル)スルフィニル]吉草酸ユニット及び(22)の3-ヒドロキシ-5-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]吉草酸ユニットに加えて、化学式(23)の5-クロロ-3-ヒドロキシ-5-[(4-フルオロフェニル)スルフィニル]吉草酸ユニット、化学式(24)の5-クロロ-3-ヒドロキシ-5-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]吉草酸ユニット、化学式(25)の5,5-ジクロロ-3-ヒドロキシ-5-[(4-フルオロフェニル)スルフィニル]吉草酸ユニット、化学式(26)の5,5-ジクロロ-3-ヒドロキシ-5-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]吉草酸ユニットを含み、それ以外のユニットとして、化学式(7)で示される炭素数4〜12 までの直鎖3-ヒドロキシアルカン酸ユニットまたは化学式(8)で示される直鎖3-ヒドロキシアルケン酸ユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートであることが確認された。(なお、表7中において、化学式(7)で示される炭素数4〜12 までの直鎖3-ヒドロキシアルカン酸または化学式(8)で示される直鎖3-ヒドロキシアルケン酸は、3HAとして併せて示す。)
【0286】
【表7】
Figure 0003848206
【0287】
なお、化学式(21)及び化学式(22)に示すユニット、化学式(23)及び化学式(24)に示すユニット、化学式(25)及び化学式(26)に示すユニットは、その個別の量比を1H-NMRから算出することは困難であったが、NMR分析に加え、赤外吸収スペクトル分析、熱分解GC-MS分析の結果から総合的に判断し、ポリマー中には、上記6種類のユニットがいずれも含まれているとの結論を得た。
【0288】
また、実施例1と同様の条件で分子量測定を行なった結果、数平均分子量(Mn):13700、重量平均分子量(Mw): 24800、Mw/Mn: 1.8 であった。
【0289】
以下の実施例11〜19には、原料の1-(フェニルスルファニル)ペンタンを含む培地中でPHA生産菌を培養し、その後、PHA生産菌が生産したPHAに対して、次亜塩素酸ナトリウムによる処理を施すことによって、上記化学式(9)の3-ヒドロキシ-5-(フェニルスルフィニル)吉草酸ユニット及び(10)の3-ヒドロキシ-5-(フェニルスルホニル)吉草酸ユニットに加えて、化学式(11)の5-クロロ-3-ヒドロキシ-5-(フェニルスルフィニル)吉草酸ユニット、化学式(12)の5-クロロ-3-ヒドロキシ-5-(フェニルスルホニル)吉草酸ユニット、化学式(13)の5,5-ジクロロ-3-ヒドロキシ-5-(フェニルスルフィニル)吉草酸ユニット、化学式(14)の5,5-ジクロロ-3-ヒドロキシ-5-(フェニルスルホニル)吉草酸ユニットの4種類のうち、少なくとも1種類のクロロ置換体ユニットとをポリマー分子中に含むPHAを製造した例を示す。
【0290】
(実施例11)
ポリペプトン 0.5%(w/v)を含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、500mL容の振盪フラスコ中で 30℃、125 ストローク/分の条件下で、12時間振盪培養した。グルコース 0.5%(w/v)を含むM9培地 1000mLを調製し、2000mL容の振盪フラスコに入れて、オートクレーブにより滅菌した。フラスコを室温に戻し、フィルター滅菌した1-(フェニルスルファニル)ペンタンを濃度 0.1%(v/v)となるように加えてよく攪拌し、前記培養液2mLを植菌し、30℃、125 ストローク/分で 48時間振盪培養した。
【0291】
上記培養液を遠心分離(78000m/s2(=8000G)、4℃、10分間)により微生物細胞を回収した。
【0292】
得られた細胞は、精製水 40mLに懸濁し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(キシダ化学(株)製、有効エンド濃度5%以上) 20mLを添加した。これを4℃、2時間振盪し、PHA以外の細胞構成成分を可溶化すると共に、ポリヒドロキシアルカノエートの酸化及び塩素化を行なった。反応終了後、遠心分離(29400m/s2(=3000G)、4℃、30分間)により粗製ポリヒドロキシアルカノエートを回収した。
【0293】
得られた粗製ポリヒドロキシアルカノエートは、精製水 70mLに懸濁し、遠心分離(29400m/s2(=3000G)、4℃、30分間)により精製度のより高いポリヒドロキシアルカノエートを回収する操作を3回繰り返して水洗浄を行なった。次に、このポリヒドロキシアルカノエートは、精製水 10mLに懸濁して凍結乾燥し、精製ポリヒドロキシアルカノエート粒子を 425mg得た。
【0294】
得られた粗製ポリヒドロキシアルカノエートは、実施例1と同様の条件でNMR分析を行なった。結果を表8に示す。得られたポリヒドロキシアルカノエートは、化学式(9)の3-ヒドロキシ-5-(フェニルスルフィニル)吉草酸ユニット及び化学式(10)の3-ヒドロキシ-5-(フェニルスルホニル)吉草酸ユニットに加えて、化学式(11)の5-クロロ-3-ヒドロキシ-5-(フェニルスルフィニル)吉草酸ユニット、化学式(12)の5-クロロ-3-ヒドロキシ-5-(フェニルスルホニル)吉草酸ユニット、化学式(13)の5,5-ジクロロ-3-ヒドロキシ-5-(フェニルスルフィニル)吉草酸ユニット、化学式(14)の5,5-ジクロロ-3-ヒドロキシ-5-(フェニルスルホニル)吉草酸ユニットを含み、それ以外のユニットとして、化学式(7)で示される炭素数4〜12 までの直鎖3-ヒドロキシアルカン酸ユニットまたは化学式(8)で示される直鎖3-ヒドロキシアルケン酸ユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートであることが確認された。(なお、表8中において、化学式(7)で示される炭素数4〜12 までの直鎖3-ヒドロキシアルカン酸または化学式(8)で示される直鎖3-ヒドロキシアルケン酸は、3HAとして併せて示す。)
【0295】
【表8】
Figure 0003848206
【0296】
なお、化学式(9)及び化学式(10)に示すユニット、化学式(11)及び化学式(12)に示すユニット、化学式(13)及び化学式(14)に示すユニットは、その個別の量比を1H-NMRから算出することは困難であったが、NMR分析に加え、赤外吸収スペクトル分析、熱分解GC-MS分析の結果から総合的に判断し、ポリマー中には、上記6種類のユニットがいずれも含まれているとの結論を得た。
【0297】
得られたポリヒドロキシアルカノエートについて、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により分子量測定を行なった。GPCの条件は、装置:東ソーHLC-8020 ;カラム:ポリマーラボラトリーPlgel MIXED-C(5μm)×2本;移動層溶媒: 0.1 重量%LiBr含有DMF;ポリスチレン換算である。その結果、数平均分子量(Mn): 13900、重量平均分子量(Mw): 29200、Mw/Mn: 2.1 であった。
【0298】
(実施例12)
ポリペプトン 0.5%(w/v)を含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、500mL容の振盪フラスコ中で 30℃、125 ストローク/分の条件下で、12時間振盪培養した。ポリペプトン 0.5%(w/v)を含むM9培地 1000mLを調製し、2000mL容の振盪フラスコに入れて、オートクレーブにより滅菌した。フラスコを室温に戻し、フィルター滅菌した1-(フェニルスルファニル)ペンタンを濃度 0.1%(v/v)となるように加えてよく攪拌し、前記培養液2mLを植菌し、30℃、125 ストローク/分で 48時間振盪培養した。
【0299】
上記培養液を遠心分離(78000m/s2(=8000G)、4℃、10分間)により微生物細胞を回収した。
【0300】
得られた細胞は、精製水 40mLに懸濁し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(キシダ化学(株)製、有効エンド濃度5%以上)20mLを添加した。これを4℃、2時間振盪し、PHA以外の細胞構成成分を可溶化すると共に、ポリヒドロキシアルカノエートの酸化及び塩素化を行なった。反応終了後、遠心分離(29400m/s2(=3000G)、4℃、30分間)により粗製ポリヒドロキシアルカノエートを回収した。
【0301】
得られた粗製ポリヒドロキシアルカノエートは、精製水 70mLに懸濁し、遠心分離(29400m/s2(=3000G)、4℃、30分間)により精製度のより高いポリヒドロキシアルカノエートを回収する操作を3回繰り返して水洗浄を行なった。次に、このポリヒドロキシアルカノエートは、精製水 10mLに懸濁して凍結乾燥し、精製ポリヒドロキシアルカノエート粒子を 235mg得た。
【0302】
(実施例13)
ポリペプトン 0.5%(w/v)を含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、500mL容の振盪フラスコ中で 30℃、125 ストローク/分の条件下で、12時間振盪培養した。グルタミン酸 0.5%(w/v)を含むM9培地 1000mLを調製し、2000mL容の振盪フラスコに入れて、オートクレーブにより滅菌した。フラスコを室温に戻し、フィルター滅菌した1-(フェニルスルファニル)ペンタンを濃度 0.1%(v/v)となるように加えてよく攪拌し、前記培養液2mLを植菌し、30℃、125 ストローク/分で 48時間振盪培養した。
【0303】
上記培養液を遠心分離(78000m/s2(=8000G)、4℃、10分間)により微生物細胞を回収した。
【0304】
得られた細胞は、精製水 40mLに懸濁し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(キシダ化学(株)製、有効エンド濃度5%以上) 20mLを添加した。これを4℃、2時間振盪し、PHA以外の細胞構成成分を可溶化すると共に、ポリヒドロキシアルカノエートの酸化及び塩素化を行なった。反応終了後、遠心分離(29400m/s2(=3000G)、4℃、30分間)により粗製ポリヒドロキシアルカノエートを回収した。
【0305】
得られた粗製ポリヒドロキシアルカノエートは、精製水 70mLに懸濁し、遠心分離(29400m/s2(=3000G)、4℃、30分間)により精製度のより高いポリヒドロキシアルカノエートを回収する操作を3回繰り返して水洗浄を行なった。次に、このポリヒドロキシアルカノエートは、精製水 10mLに懸濁して凍結乾燥し、精製ポリヒドロキシアルカノエート粒子を 950mg得た。
【0306】
(実施例14)
ポリペプトン 0.5%(w/v)を含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、500mL容の振盪フラスコ中で 30℃、125 ストローク/分の条件下で、12時間振盪培養した。ノナン酸 0.5%(w/v)を含むM9培地 1000mLを調製し、2000mL容の振盪フラスコに入れて、オートクレーブにより滅菌した。フラスコを室温に戻し、フィルター滅菌した1-(フェニルスルファニル)ペンタンを濃度 0.1%(v/v)となるように加えてよく攪拌し、前記培養液2mLを植菌し、30℃、125 ストローク/分で 48時間振盪培養した。
【0307】
上記培養液を遠心分離(78000m/s2(=8000G)、4℃、10分間)により微生物細胞を回収した。
【0308】
得られた細胞は、精製水 40mLに懸濁し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(キシダ化学(株)製、有効エンド濃度5%以上) 20mLを添加した。これを4℃、2時間振盪し、PHA以外の細胞構成成分を可溶化すると共に、ポリヒドロキシアルカノエートの酸化及び塩素化を行なった。反応終了後、遠心分離(29400m/s2(=3000G)、4℃、30分間)により粗製ポリヒドロキシアルカノエートを回収した。
【0309】
得られた粗製ポリヒドロキシアルカノエートは、精製水 70mLに懸濁し、遠心分離(29400m/s2(=3000G)、4℃、30分間)により精製度のより高いポリヒドロキシアルカノエートを回収する操作を3回繰り返して水洗浄を行なった。次に、このポリヒドロキシアルカノエートは、精製水 10mLに懸濁して凍結乾燥し、精製ポリヒドロキシアルカノエート粒子を 322mg得た。
【0310】
(実施例15)
ポリペプトン 0.5%(w/v)を含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、500mL容の振盪フラスコ中で 30℃、125 ストローク/分の条件下で、12時間振盪培養した。酵母エキス 0.5%(w/v)を含むM9培地 1000mLを調製し、2000mL容の振盪フラスコに入れて、オートクレーブにより滅菌した。フラスコを室温に戻し、フィルター滅菌した1-(フェニルスルファニル)ペンタンを濃度 0.1%(v/v)となるように加えてよく攪拌し、前記培養液2mLを植菌し、30℃、125 ストローク/分で 48時間振盪培養した。
【0311】
上記培養液を遠心分離(78000m/s2(=8000G)、4℃、10分間)により微生物細胞を回収した。
【0312】
得られた細胞は、精製水 40mLに懸濁し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(キシダ化学(株)製、有効エンド濃度5%以上)20mLを添加した。これを4℃、2時間振盪し、PHA以外の細胞構成成分を可溶化すると共に、ポリヒドロキシアルカノエートの酸化及び塩素化を行なった。反応終了後、遠心分離(29400m/s2(=3000G)、4℃、30分間)により粗製ポリヒドロキシアルカノエートを回収した。
【0313】
得られた粗製ポリヒドロキシアルカノエートは、精製水 70mLに懸濁し、遠心分離(29400m/s2(=3000G)、4℃、30分間)により精製度のより高いポリヒドロキシアルカノエートを回収する操作を3回繰り返して水洗浄を行なった。次に、このポリヒドロキシアルカノエートは、精製水 10mLに懸濁して凍結乾燥し、精製ポリヒドロキシアルカノエート粒子を 207mg得た。
【0314】
(実施例16)
ポリペプトン 0.5%(w/v)を含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、500mL容の振盪フラスコ中で 30℃、125 ストローク/分の条件下で、12時間振盪培養した。ポリペプトン 0.5%(w/v)を含むM9培地 1000mLを調製し、2000mL容の振盪フラスコに入れて、オートクレーブにより滅菌した。フラスコを室温に戻し、フィルター滅菌した1-(フェニルスルファニル)ペンタンを濃度 0.1%(v/v)となるように加えてよく攪拌し、前記培養液2mLを植菌し、30℃、125 ストローク/分で振盪培養した。600nmでの濁度が 0.1 になった時点で、さらにジシクロプロピルケトンを濃度 0.05%(v/v)となるように加えてよく攪拌し、振盪培養を継続した。
【0315】
48時間後、上記培養液を遠心分離(78000m/s2(=8000G)、4℃、10分間)により微生物細胞を回収した。
【0316】
得られた細胞は、精製水 40mLに懸濁し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(キシダ化学(株)製、有効エンド濃度5%以上)20mLを添加した。これを4℃、2時間振盪し、PHA以外の細胞構成成分を可溶化すると共に、ポリヒドロキシアルカノエートの酸化及び塩素化を行なった。反応終了後、遠心分離(29400m/s2(=3000G)、4℃、30分間)により粗製ポリヒドロキシアルカノエートを回収した。
【0317】
得られた粗製ポリヒドロキシアルカノエートは、精製水 70mLに懸濁し、遠心分離(29400m/s2(=3000G)、4℃、30分間)により精製度のより高いポリヒドロキシアルカノエートを回収する操作を3回繰り返して水洗浄を行なった。次に、このポリヒドロキシアルカノエートは、精製水 10mLに懸濁して凍結乾燥し、精製ポリヒドロキシアルカノエート粒子を 282mg得た。
【0318】
(実施例17)
ポリペプトン 0.5%(w/v)を含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、500mL容の振盪フラスコ中で 30℃、125 ストローク/分の条件下で、12時間振盪培養した。グルコース 0.5%(w/v)を含むM9培地 1000mLを調製し、2000mL容の振盪フラスコに入れて、オートクレーブにより滅菌した。フラスコを室温に戻し、フィルター滅菌した1-(フェニルスルファニル)ペンタンを濃度 0.1%(v/v)となるように加えてよく攪拌し、前記培養液2mLを植菌し、30℃、125 ストローク/分で 90時間振盪培養した。
【0319】
上記培養液を遠心分離(78000m/s2(=8000G)、4℃、10分間)により微生物細胞を回収した。
【0320】
次いで、ピルビン酸ナトリウム 0.5%(w/v)を含み、窒素源であるNH4Clを含まないM9培地 1000mLを調製し、2000mL容の振盪フラスコに入れて、オートクレーブにより滅菌した。フラスコを室温に戻し、フィルター滅菌した1-(フェニルスルファニル)ペンタンを濃度 0.1%(v/v)となるように加えてよく攪拌し、回収された菌体を培地中に再懸濁して、30℃、125 ストローク/分で 90時間振盪培養した。
【0321】
上記培養液を遠心分離(78000m/s2(=8000G)、4℃、10分間)により微生物細胞を回収した。
【0322】
得られた細胞は、精製水 40mLに懸濁し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(キシダ化学(株)製、有効エンド濃度5%以上)20mLを添加した。これを4℃、2時間振盪し、PHA以外の細胞構成成分を可溶化すると共に、ポリヒドロキシアルカノエートの酸化及び塩素化を行なった。反応終了後、遠心分離(29400m/s2(=3000G)、4℃、30分間)により粗製ポリヒドロキシアルカノエートを回収した。
【0323】
得られた粗製ポリヒドロキシアルカノエートは、精製水 70mLに懸濁し、遠心分離(29400m/s2(=3000G)、4℃、30分間)により精製度のより高いポリヒドロキシアルカノエートを回収する操作を3回繰り返して水洗浄を行なった。次に、このポリヒドロキシアルカノエートは、精製水 10mLに懸濁して凍結乾燥し、精製ポリヒドロキシアルカノエート粒子を 602mg得た。
【0324】
(実施例18)
ポリペプトン 0.5%(w/v)を含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、500mL容の振盪フラスコ中で 30℃、125 ストローク/分の条件下で、12時間振盪培養した。グルコース 0.5%(w/v)を含むM9培地 1000mLを調製し、2000mL容の振盪フラスコに入れて、オートクレーブにより滅菌した。フラスコを室温に戻し、フィルター滅菌した1-(フェニルスルファニル)ペンタンを濃度 0.1%(v/v)となるように加えてよく攪拌し、前記培養液2mLを植菌し、30℃、125 ストローク/分で 90時間振盪培養した。
【0325】
上記培養液を遠心分離(78000m/s2(=8000G)、4℃、10分間)により微生物細胞を回収した。
【0326】
次いで、グルコース 0.5%(w/v)を含み、窒素源であるNH4Clを含まないM9培地 1000mLを調製し、2000mL容の振盪フラスコに入れて、オートクレーブにより滅菌した。フラスコを室温に戻し、フィルター滅菌した1-(フェニルスルファニル)ペンタンを濃度 0.1%(v/v)となるように加えてよく攪拌し、回収された菌体を培地中に再懸濁して、30℃、125 ストローク/分で 90時間振盪培養した。
【0327】
上記培養液を遠心分離(78000m/s2(=8000G)、4℃、10分間)により微生物細胞を回収した。
【0328】
得られた細胞は、精製水 40mLに懸濁し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(キシダ化学(株)製、有効エンド濃度5%以上)20mLを添加した。これを4℃、2時間振盪し、PHA以外の細胞構成成分を可溶化すると共に、ポリヒドロキシアルカノエートの酸化及び塩素化を行なった。反応終了後、遠心分離(29400m/s2(=3000G)、4℃、30分間)により粗製ポリヒドロキシアルカノエートを回収した。
【0329】
得られた粗製ポリヒドロキシアルカノエートは、精製水 70mLに懸濁し、遠心分離(29400m/s2(=3000G)、4℃、30分間)により精製度のより高いポリヒドロキシアルカノエートを回収する操作を3回繰り返して水洗浄を行なった。次に、このポリヒドロキシアルカノエートは、精製水 10mLに懸濁して凍結乾燥し、精製ポリヒドロキシアルカノエート粒子を 610mg得た。
【0330】
(実施例19)
ポリペプトン 0.5%(w/v)を含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、500mL容の振盪フラスコ中で 30℃、125 ストローク/分の条件下で、12時間振盪培養した。ポリペプトン 0.5%(w/v)を含むM9培地 1000mLを調製し、2000mL容の振盪フラスコに入れて、オートクレーブにより滅菌した。フラスコを室温に戻し、フィルター滅菌した1-(フェニルスルファニル)ペンタンを濃度 0.1%(v/v)となるように加えてよく攪拌し、前記培養液2mLを植菌し、30℃、125 ストローク/分で 48時間振盪培養した。
上記培養液を遠心分離(78000m/s2(=8000G)、4℃、10分間)により微生物細胞を回収した。
【0331】
次いで、グルコース 0.5%(w/v)を含み、窒素源であるNH4Clを含まないM9培地 1000mLを調製し、2000mL容の振盪フラスコに入れて、オートクレーブにより滅菌した。フラスコを室温に戻し、フィルター滅菌した1-(フェニルスルファニル)ペンタンを濃度 0.1%(v/v)となるように加えてよく攪拌し、回収された菌体を培地中に再懸濁して、30℃、125 ストローク/分で 90時間振盪培養した。
【0332】
上記培養液を遠心分離(78000m/s2(=8000G)、4℃、10分間)により微生物細胞を回収した。
【0333】
得られた細胞は、精製水 40mLに懸濁し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(キシダ化学(株)製、有効エンド濃度5%以上)20mLを添加した。これを4℃、2時間振盪し、PHA以外の細胞構成成分を可溶化すると共に、ポリヒドロキシアルカノエートの酸化及び塩素化を行なった。反応終了後、遠心分離(29400m/s2(=3000G)、4℃、30分間)により粗製ポリヒドロキシアルカノエートを回収した。
【0334】
得られた粗製ポリヒドロキシアルカノエートは、精製水 70mLに懸濁し、遠心分離(29400m/s2(=3000G)、4℃、30分間)により精製度のより高いポリヒドロキシアルカノエートを回収する操作を3回繰り返して水洗浄を行なった。次に、このポリヒドロキシアルカノエートは、精製水 10mLに懸濁して凍結乾燥し、精製ポリヒドロキシアルカノエート粒子を 587mg得た。
【0335】
実施例12〜19 において得られたポリヒドロキシアルカノエートは、実施例1と同様の条件でNMR分析及び分子量測定を行なった。結果を表9及び表10 に示す。(表9中の3HAとは、化学式(7)及び(8)に示される炭素数4〜12 までの直鎖3-ヒドロキシアルカン酸もしくは3-ヒドロキシアルケン酸を表す)
【0336】
【表9】
Figure 0003848206
【0337】
【表10】
Figure 0003848206
【0338】
以下の実施例20 には、原料の1-[(4-メチルフェニル)スルファニル]ペンタンを含む培地中でPHA生産菌を培養し、その後、PHA生産菌が生産したPHAに対して、次亜塩素酸ナトリウムによる処理を施すことによって、化学式(30)の3-ヒドロキシ-5-[(4-メチルフェニル)スルフィニル]吉草酸ユニット及び化学式(31)の3-ヒドロキシ-5-[(4-メチルフェニル)スルホニル]吉草酸ユニットに加えて、化学式(32)の5-クロロ-3-ヒドロキシ-5-[(4-メチルフェニル)スルフィニル]吉草酸ユニット、化学式(33)の5-クロロ-3-ヒドロキシ-5-[(4-メチルフェニル)スルホニル]吉草酸ユニット、化学式(34)の5,5-ジクロロ-3-ヒドロキシ-5-[(4-メチルフェニル)スルフィニル]吉草酸ユニット、化学式(35)の5,5-ジクロロ-3-ヒドロキシ-5-[(4-メチルフェニル)スルホニル]吉草酸ユニットの4種類のうち、少なくとも1種類のクロロ置換体ユニットとをポリマー分子中に含むPHAを製造した例を示す。
【0339】
(実施例20)
ポリペプトン 0.5%(w/v)を含むM9培地 200mLに、シュードモナス・チコリアイ・YN2株を植菌し、500mL容の振盪フラスコ中で 30℃、125 ストローク/分の条件下で、12時間振盪培養した。グルコース 0.5%(w/v)を含むM9培地 1000mLを調製し、2000mL容の振盪フラスコに入れて、オートクレーブにより滅菌した。フラスコを室温に戻し、フィルター滅菌した1-[(4-メチルフェニル)スルファニル]ペンタンを濃度 0.1%(v/v)となるように加えてよく攪拌し、前記培養液2mLを植菌し、30℃、125 ストローク/分で 90時間振盪培養した。
【0340】
上記培養液を遠心分離(78000m/s2(=8000G)、4℃、10分間)により微生物細胞を回収した。
【0341】
次いで、グルコース 0.5%(w/v)を含み、窒素源であるNH4Clを含まないM9培地 1000mLを調製し、2000mL容の振盪フラスコに入れて、オートクレーブにより滅菌した。フラスコを室温に戻し、フィルター滅菌した1-[(4-メチルフェニル)スルファニル]ペンタンを濃度 0.1%(v/v)となるように加えてよく攪拌し、回収された菌体を培地中に再懸濁して、30℃、125 ストローク/分で 90時間振盪培養した。
【0342】
上記培養液を遠心分離(78000m/s2(=8000G)、4℃、10分間)により微生物細胞を回収した。
【0343】
得られた細胞は、精製水 40mLに懸濁し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(キシダ化学(株)製、有効エンド濃度5%以上)20mLを添加した。これを4℃、2時間振盪し、PHA以外の細胞構成成分を可溶化すると共に、ポリヒドロキシアルカノエートの酸化及び塩素化を行なった。反応終了後、遠心分離(29400m/s2(=3000G)、4℃、30分間)により粗製ポリヒドロキシアルカノエートを回収した。
【0344】
得られた粗製ポリヒドロキシアルカノエートは、精製水 70mLに懸濁し、遠心分離(29400m/s2(=3000G)、4℃、30分間)により精製度のより高いポリヒドロキシアルカノエートを回収する操作を3回繰り返して水洗浄を行なった。次に、このポリヒドロキシアルカノエートは、精製水 10mLに懸濁して凍結乾燥し、精製ポリヒドロキシアルカノエート粒子を 348mg得た。
【0345】
得られた粗製ポリヒドロキシアルカノエートは、実施例1と同様の条件でNMR分析を行なった。結果を表11 に示す。得られたポリヒドロキシアルカノエートは、化学式(30)の3-ヒドロキシ-5-[(4-メチルフェニル)スルフィニル]吉草酸ユニット及び化学式(31)の3-ヒドロキシ-5-[(4-メチルフェニル)スルホニル]吉草酸ユニットに加えて、化学式(32)の5-クロロ-3-ヒドロキシ-5-[(4-メチルフェニル)スルフィニル]吉草酸ユニット、化学式(33)の5-クロロ-3-ヒドロキシ-5-[(4-メチルフェニル)スルホニル]吉草酸ユニット、化学式(34)の5,5-ジクロロ-3-ヒドロキシ-5-[(4-メチルフェニル)スルフィニル]吉草酸ユニット、化学式(35)の5,5-ジクロロ-3-ヒドロキシ-5-[(4-メチルフェニル)スルホニル]吉草酸ユニットを含み、それ以外のユニットとして、化学式(7)で示される炭素数4〜12 までの直鎖3-ヒドロキシアルカン酸ユニットまたは化学式(8)で示される直鎖3-ヒドロキシアルケン酸ユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートであることが確認された。(なお、表11 中において、化学式(7)で示される炭素数4〜12 までの直鎖3-ヒドロキシアルカン酸または化学式(8)で示される直鎖3-ヒドロキシアルケン酸は、3HAとして併せて示す。)
【0346】
【表11】
Figure 0003848206
【0347】
なお、化学式(30)及び化学式(31)に示すユニット、化学式(32)及び化学式(33)に示すユニット、化学式(34)及び化学式(35)に示すユニットは、その個別の量比を1H-NMRから算出することは困難であったが、NMR分析に加え、赤外吸収スペクトル分析、熱分解GC-MS分析の結果から総合的に判断し、ポリマー中には、上記6種類のユニットがいずれも含まれているとの結論を得た。
【0348】
得られたポリヒドロキシアルカノエートについて、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により分子量測定を行なった。GPCの条件は、装置:東ソーHLC-8020 ;カラム:ポリマーラボラトリーPlgel MIXED-C(5μm)×2本;移動層溶媒: 0.1 重量%LiBr含有DMF;ポリスチレン換算である。その結果、数平均分子量(Mn): 8200、重量平均分子量(Mw): 16300、Mw/Mn: 2.0 であった。
【0349】
【化56】
Figure 0003848206
【0350】
以上の実施例1、4、10 で得られた化合物を表12に示すように例示化合物(1)〜(3)とし実施例21 以降に用いた。
【0351】
【表12】
Figure 0003848206
【0352】
製造された荷電制御剤を用いて各種トナーを製造し、評価を行なった(実施例21〜60)
(実施例21)
先ず、高速撹拌装置TK-ホモミキサーを備えた2リットル用の四つ口フラスコ中に、Na3PO4水溶液を添加し、回転数を 10,000 rpmに調整し、60℃に加温せしめた。ここにCaCl2水溶液を徐々に添加していき、微小な難水溶性分散剤Ca3(PO4)2を含む水系分散媒体を調製した。
【0353】
一方、下記組成をボールミルを用いて3時間分散させた後、離型剤(エステルワックス)10 質量部と、重合開始剤である2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)10 質量部を添加して重合性単量体組成物を調製した。
【0354】
・スチレン単量体 82 質量部
・エチルヘキシルアクリレート単量体 18 質量部
・ジビニルベンゼン単量体 0.1 質量部
・シアン着色剤(C.I.ピグメントブルー 15) 6質量部
・酸化ポリエチレン樹脂(分子量 3200、酸価8) 5質量部
・例示化合物(1) 2質量部
次に、上記で得られた重合性単量体組成物を、先に調製した水系分散媒体中に投入し、回転数 10,000 rpmを維持しつつ造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、65℃で3時間反応させた後、80℃で6時間重合させて重合反応を終了した。反応終了後、懸濁液を冷却し、酸を加えて難水溶性分散剤Ca3(PO4)2を溶解した後、濾過、水洗、乾燥して青色重合粒子(1)を得た。得られた青色重合粒子(1)のコールターカウンターマルチサイザー(コールター社製)を用いて測定した粒度は、重量平均粒径 7.1μmで、微粉量(個数分布における 3.17μm以下の粒子の存在割合)は 5.5 個数%であった。
【0355】
上記で調製した青色重合粒子(1)100 質量部に対して、流動向上剤としてヘキサメチルジシラザンで処理した疎水性シリカ微粉体(BET: 270m2/g)1.3 質量部をヘンシェルミキサーで乾式混合して外添し、本実施例の青色トナー(1)とした。更に、この青色トナー(1)7質量部と樹脂コート磁性フェライトキャリア(平均粒子径: 45μm)93 質量部とを混合して、磁気ブラシ現像用の2成分系青色現像剤(1)を調製した。
【0356】
(実施例22 及び 23)
例示化合物(1)の代わりに、例示化合物(2)及び(3)をそれぞれ 2.0 質量部使用する以外は実施例21 と同様の方法で、実施例22 及び 23 の青色トナー(2)及び(3)を得た。これらのトナーの特性を実施例21 と同様に測定し、その結果を表13 に示した。また、これを用いて実施例21 と同様にして、2成分系青色現像剤(2)及び(3)をそれぞれ得た。
【0357】
(比較例1)
例示化合物を使用しない点以外は実施例21 と同様の方法により、比較例1の青色トナー(4)を得た。このトナーの特性を実施例21 と同様に測定し、その結果を表13 に示した。また、これを用いて実施例21 と同様にして、比較例1の2成分系青色現像剤(4)を得た。
【0358】
<評価>
上記実施例21〜23 で得られた2成分系青色現像剤(1)〜(3)、および比較例1で得られた2成分系青色現像剤(4)について、常温常湿(25℃、60%RH)、及び高温高湿(30℃、80%RH)のそれぞれの環境下で、先に述べた帯電量の測定方法を用いて、10秒、及び 300秒攪拌後のトナーの帯電量を測定した。そして、2成分ブローオフ帯電量の測定値から少数以下第2位を四捨五入し、下記の基準で評価した。その結果を表13 にまとめて示した。
【0359】
[帯電性]
◎:非常に良好(-20μC/g以下)
○:良好(-19.9〜-10.0μC/g)
△:実用可(-9.9〜-5.0μC/g)
×:実用不可(-4.9μC/g以上)
【0360】
【表13】
Figure 0003848206
【0361】
(実施例24〜実施例26)
例示化合物(1)〜(3)を 2.0 質量部を用い、シアン着色剤の代わりにイエロー着色剤(ハンザイエローG)を使用する以外は、実施例21と同様の方法により、実施例24〜26 のイエロートナー(1)〜(3)をそれぞれ得た。これらのトナーの特性を実施例21 と同様に測定し、その結果を表14 に示した。また、これを用いて実施例21 と同様にして、2成分系イエロー現像剤(1)〜(3)を得た。
【0362】
(比較例2)
例示化合物を使用しない点およびシアン着色剤の代わりにイエロー着色剤(ハンザイエローG)を使用する点以外は実施例21 と同様の方法により、比較例2のイエロートナー(4)を得た。このトナーの特性を実施例21 と同様に測定し、その結果を表14 に示した。また、これを用いて実施例21 と同様にして、比較例2の2成分系イエロー現像剤(4)を得た。
【0363】
<評価>
上記実施例24〜26 で得られた2成分系イエロー現像剤(1)〜(3)、および比較例2で得られた2成分系イエロー現像剤(4)について、常温常湿(25℃、60%RH)、及び高温高湿(30℃、80%RH)のそれぞれの環境下で、先に述べた帯電量の測定方法を用いて、10秒、及び 300秒攪拌後のトナーの帯電量を測定した。そして、2成分ブローオフ帯電量の測定値から少数以下第2位を四捨五入し、下記の基準で評価した。その結果を表14 にまとめて示した。
【0364】
[帯電性]
◎:非常に良好(-20μC/g以下)
○:良好(-19.9〜-10.0μC/g)
△:実用可(-9.9〜-5.0μC/g)
×:実用不可(-4.9μC/g以上)
【0365】
【表14】
Figure 0003848206
【0366】
(実施例27〜実施例29)
例示化合物(1)〜(3)を 2.0 質量部使用し、シアン着色剤の代わりにカーボンブラック(DBP吸油量 110mL/ 100g)を使用する以外は、実施例21 と同様の方法により、実施例27〜29 の黒色トナー(1)〜(3)をそれぞれ得た。これらのトナーの特性を実施例21 と同様に測定し、その結果を表15 に示した。また、これを用いて実施例21 と同様にして、2成分系黒色現像剤(1)〜(3)を得た。
【0367】
(比較例3)
例示化合物を使用しない点およびシアン着色剤の代わりにカーボンブラック(DBP吸油量 110mL/ 100G)を使用する点以外は実施例21 と同様の方法により、比較例3の黒色トナー(4)を得た。このトナーの特性を実施例21 と同様に測定し、その結果を表15 に示した。また、これを用いて実施例21 と同様にして、比較例3の2成分系黒色現像剤(4)を得た。
【0368】
<評価>
上記実施例27〜29 で得られた2成分系黒色現像剤(1)〜(3)、および比較例3で得られた2成分系黒色現像剤(4)について、常温常湿(25℃、60%RH)、及び高温高湿(30℃、80%RH)のそれぞれの環境下で、先に述べた帯電量の測定方法を用いて、10秒、及び 300秒攪拌後のトナーの帯電量を測定した。そして、2成分ブローオフ帯電量の測定値から少数以下第2位を四捨五入し、下記の基準で評価した。その結果を表15 にまとめて示した。
【0369】
[帯電性]
◎:非常に良好(-20μC/g以下)
○:良好(-19.9〜-10.0μC/g)
△:実用可(-9.9〜-5.0μC/g)
×:実用不可(-4.9μC/g以上)
【0370】
【表15】
Figure 0003848206
【0371】
(実施例30)
・スチレン-ブチルアクリレート共重合樹脂
(ガラス転移温度 70℃) 100 質量部
・マゼンタ顔料(C.I.ピグメントレッド 114) 5質量部
・例示化合物(1) 2質量部
上記組成を混合し、二軸エクストルーダー(L/D=30)で溶融混練した。この混練物を冷却後、ハンマーミルで粗粉砕し、ジェットミルで微粉砕した後に分級して、粉砕法によってマゼンタ着色粒子(1)を得た。このマゼンタ着色粒子(1)の粒度は、重量平均粒径 7.1μm、微粉量は 5.0 個数%であった。
【0372】
このマゼンタ着色粒子(1) 100 質量部に対して、流動向上剤として、ヘキサメチルジシラザンで処理した疎水性シリカ微粉体(BET: 250m2/g) 1.5 質量部をヘンシェルミキサーで乾式混合して、本実施例のマゼンタトナー(1)を得た。更に、得られたマゼンタトナー(1)7質量部と樹脂コート磁性フェライトキャリア(平均粒子径: 45μm) 93 質量部とを混合して、磁気ブラシ現像用の2成分系マゼンタ現像剤(1)を調製した。
【0373】
(実施例31 及び実施例32)
例示化合物(1)の代わりに、例示化合物(2)及び(3)をそれぞれ 2.0 質量部使用する以外は実施例30 と同様の方法で、実施例31 及び 32 のマゼンタトナー(2)及び(3)を得た。これらのトナーの特性を実施例21 と同様に測定し、その結果を表16 に示した。また、これを用いて実施例30 と同様にして、2成分系マゼンタ現像剤(2)及び(3)をそれぞれ得た。
【0374】
(比較例4)
例示化合物を使用しない点以外は実施例30 と同様の方法により、比較例4のマゼンタトナー(4)を得た。このトナーの特性を実施例21 と同様に測定し、その結果を表16 に示した。また、これを用いて実施例30 と同様にして、比較例4の2成分系マゼンタ現像剤(4)を得た。
【0375】
<評価>
上記実施例30〜32 で得られた2成分系マゼンタ現像剤(1)〜(3)、および比較例4で得られた2成分系マゼンタ現像剤(4)について、常温常湿(25℃、60%RH)、及び高温高湿(30℃、80%RH)のそれぞれの環境下で、先に述べた帯電量の測定方法を用いて、10秒、及び 300秒攪拌後のトナーの帯電量を測定した。そして、2成分ブローオフ帯電量の測定値から少数以下第2位を四捨五入し、下記の基準で評価した。その結果を表16 にまとめて示した。
【0376】
[帯電性]
◎:非常に良好(-20μC/g以下)
○:良好(-19.9〜-10.0μC/g)
△:実用可(-9.9〜-5.0μC/g)
×:実用不可(-4.9μC/g以上)
【0377】
【表16】
Figure 0003848206
【0378】
(実施例33〜35)
例示化合物(1)〜(3)を 2.0 質量部使用し、マゼンタ顔料の代わりにカーボンブラック(DBP吸油量 110mL/ 100g)を使用する以外は、実施例30 と同様の方法により、実施例33〜35 の黒色トナー(5)〜(7)をそれぞれ得た。これらのトナーの特性を実施例21 と同様に測定し、その結果を表17 に示した。また、これを用いて実施例30 と同様にして、2成分系黒色現像剤(5)〜(7)を得た。
【0379】
(比較例5)
例示化合物を使用しない点およびマゼンタ顔料の代わりにカーボンブラック(DBP吸油量 110mL/ 100G)を使用する点以外は実施例30 と同様の方法により、比較例5の黒色トナー(8)を得た。このトナーの特性を実施例21 と同様に測定し、その結果を表17 に示した。また、これを用いて実施例30 と同様にして、比較例5の2成分系黒色現像剤(8)を得た。
【0380】
<評価>
上記実施例33〜35 で得られた2成分系黒色現像剤(5)〜(7)、および比較例5で得られた2成分系黒色現像剤(8)について、常温常湿(25℃、60%RH)、及び高温高湿(30℃、80%RH)のそれぞれの環境下で、先に述べた帯電量の測定方法を用いて、10秒、及び 300秒攪拌後のトナーの帯電量を測定した。そして、2成分ブローオフ帯電量の測定値から少数以下第2位を四捨五入し、下記の基準で評価した。その結果を表17 にまとめて示した。
【0381】
[帯電性]
◎:非常に良好(-20μC/g以下)
○:良好(-19.9〜-10.0μC/g)
△:実用可(-9.9〜-5.0μC/g)
×:実用不可(-4.9μC/g以上)
【0382】
【表17】
Figure 0003848206
【0383】
(実施例36)
・ポリエステル樹脂 100 質量部
・カーボンブラック(DBP吸油量 110mL/ 100G)5質量部
・例示化合物(1) 2質量部
ポリエステル樹脂は次のようにして合成した。ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 751部、テレフタル酸 104部および無水トリメリット酸 167部をジブチルチンオキサイド2部を触媒として重縮合し、軟化点 125℃のポリエステル樹脂を得た。
【0384】
上記組成を混合し、二軸エクストルーダー(L/D=30)で溶融混練した。この混練物を冷却後、ハンマーミルで粗粉砕し、ジェットミルで微粉砕した後に分級して、粉砕法によって黒色着色粒子(9)を得た。この黒色着色粒子(9)の粒度は、重量平均粒径 7.9μm、微粉量は 4.5 個数%であった。
【0385】
この黒色着色粒子(9)100 質量部に対して、流動向上剤として、ヘキサメチルジシラザンで処理した疎水性シリカ微粉体(BET: 250m2/g)1.5 質量部をヘンシェルミキサー(9)7質量部と樹脂コート磁性フェライトキャリア(平均粒子径: 45μm)93 質量部とを混合して、磁気ブラシ現像用の2成分系黒色現像剤(9)を調製した。
【0386】
(実施例37 及び実施例38)
例示化合物(1)の代わりに、例示化合物(2)及び(3)をそれぞれ 2.0 質量部使用する以外は実施例36 と同様の方法で、実施例37 及び 38 の黒色トナー(10)〜(11)を得た。これらのトナーの特性を実施例21 と同様に測定し、その結果を表18 に示した。また、これを用いて実施例36 と同様にして、2成分系黒色現像剤(10)及び(11)をそれぞれ得た。
【0387】
(比較例6)
例示化合物を使用しない点以外は実施例36 と同様の方法により、比較例6の黒色トナー(12)を得た。このトナーの特性を実施例21 と同様に測定し、その結果を表17 に示した。また、これを用いて実施例36 と同様にして、比較例6の2成分系黒色現像剤(12)を得た。
【0388】
<評価>
上記実施例36〜38 で得られた2成分系黒色現像剤(9)〜(11)、および比較例6で得られた2成分系黒色現像剤(12)について、常温常湿(25℃、60%RH)、及び高温高湿(30℃、80%RH)のそれぞれの環境下で、先に述べた帯電量の測定方法を用いて、10秒、及び 300秒攪拌後のトナーの帯電量を測定した。そして、2成分ブローオフ帯電量の測定値から少数以下第2位を四捨五入し、下記の基準で評価した。その結果を表18 にまとめて示した。
【0389】
[帯電性]
◎:非常に良好(-20μC/g以下)
○:良好(-19.9〜-10.0μC/g)
△:実用可(-9.9〜-5.0μC/g)
×:実用不可(-4.9μC/g以上)
【0390】
【表18】
Figure 0003848206
【0391】
(実施例39〜実施例56 および比較例7〜比較例12)
先ず、実施例39〜実施例56 および比較例7〜比較例12 の画像形成方法に用いた画像形成装置について説明する。図1は、本発明の実施例及び比較例の画像形成方法を実行するための画像形成装置の断面の概略的説明図である。図1に示した感光体ドラム1は、基材1b上に有機光半導体を有する感光層1aを有し、矢印方向に回転するように構成されているが、感光体ドラム1に対向し、且つ該ドラムと接触回転している帯電部材である帯電ローラー2によって、その表面が約-600Vの表面電位に帯電されている。図1に示したように、帯電ローラー2は、芯金2bの上に導電性弾性層2aが被覆されて構成されている。
【0392】
次に、表面が帯電された感光体ドラム1に向けて露光3されるが、その際、ポリゴンミラーにより感光体上にデジタル画像情報に応じてオン-オフさせることで、露光部電位が-100V、暗部電位が-600Vの静電荷像が形成される。続いて、この感光体ドラム1上の静電荷像は、複数の現像装置4-1、4-2、4-3、4-4を用いて反転現像されて顕在化され、感光体ドラム1上トナー像が形成される。その際、現像剤として、実施例21〜38 および比較例1〜6で得た2成分系現像剤をそれぞれ用い、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー又はブラックトナーでトナー画像を形成した。図2は、その際に用いた二成分現像剤用の各現像装置4の要部の拡大断面図である。
【0393】
次に、感光体ドラム1上のトナー像は、感光体ドラム1と接触回転している中間の転写体5上に転写される。この結果、中間の転写体5上には、四色の色重ね顕色像が形成される。感光体ドラム1上に転写されずに残った転写残トナーは、クリーナー部材8によって、残トナー容器9内に回収される。
【0394】
中間の転写体5は、図1に示したように、支持体としての芯金5bと、その上に積層された弾性層5aとで構成されている。本実施例においては、パイプ状の芯金5b上に、カーボンブラックを導電付与材料とし、ニトリル-ブタジエンラバー(NBR)中にこれを充分に分散させた弾性層5bがコーティングされた中間の転写体5を使用した。「JIS K-6301」に準拠して測定した弾性層5bの硬度は 30 度であり、体積抵抗値は、109Ω・cmであった。感光体ドラム1から中間の転写体5への転写に必要な転写電流は約5μAであるが、これは、電源より+500Vを芯金5bに付与することで得られた。
【0395】
中間の転写体5上に形成された四色のトナーの色重ね顕色像は、転写ローラー7によって、紙等の被転写材に転写され、その後、加熱定着装置Hによって定着されて固定される。転写ローラー7は、その外径の直径が 10mmの芯金7b上に、カーボンを導電性付与材料として、エチレン-プロピレン-ジエン系三次元共重合体(EPDM)の発砲体中に該カーボンが充分な状態で分散したものがコーティングされた弾性層7aが形成されている。その体積固有抵抗値は、106Ω・cmであり、「JIS K-6301」に準拠して測定した硬度が 35度の値を示すのもを用いた。又、この転写ローラー7には電圧を印加して、15μAの転写電流を流した。
【0396】
図1に示した装置では、加熱定着装置Hに、図5及び図6に示したようなオイル塗布機構のない熱ロール方式の定着装置を用いた。このとき、上部ローラー、下部ローラー共にフッ素系樹脂の表面層を有するものを使用した。又、ローラーの直径は 60mmであった。定着の際の定着温度を 160℃とし、ニップ幅を7mmに設定した。尚、クリーニングによって回収された感光体ドラム1上の転写残トナーは、リユース機構により現像器に搬送し再使用した。
【0397】
<評価>
以上の条件で、常温常湿(25℃、60%RH)及び、高温高湿(30℃、80%RH)環境下、8枚(A4サイズ)/分のプリントアウト速度で、実施例21〜38 のトナーを使用して作製した2成分系現像剤と、比較例1〜6のトナーを使用して作製した2成分系現像剤をそれぞれ使用し、逐次補給しながら、単色での間歇モード(即ち、一枚プリントアウトする毎に 10秒間現像器を休止させ、再起動時の予備動作でトナーの劣化を促進させるモード)でプリントアウト試験を行ない、得られたプリントアウト画像を下記の項目について評価した。評価結果を表19 にまとめて示した。
【0398】
[プリントアウト画像評価]
1.画像濃度
通常の複写機用普通紙(75g/m2)に、所定枚数のプリントアウトをして、初期の画像に対するプリント終了時における画像の画像濃度維持の程度により評価した。尚、画像濃度はマクベス反射濃度計(マクベス社製)を用い、原稿濃度が 0.00 の白地部分のプリントアウト画像に対する相対濃度を測定し、評価に用いた。◎:優(終了時の画像濃度が 1.40 以上)
○:良(終了時の画像濃度が 1.35 以上 1.40 未満)
△:可(終了時の画像濃度が 1.00 以上 1.35 未満)
×:不可(終了時の画像濃度が 1.00 未満)
2.画像カブリ
通常の複写機用普通紙(75g/m2)に所定枚数のプリントアウトをし、プリント終了時のベタ白画像により評価した。具体的には、下記のような方法で評価した。反射式濃度計( 東京電色社製 REFLECTOMETER ODEL TC-6DS)を用いて測定したプリント後の白地部反射濃度の最悪値をDs、プリント前の用紙の反射濃度平均値をDrとし、これらの値から(Ds-Dr)を求め、これをカブリ量とし、下記の基準で評価した。
◎:非常に良好(カブリ量が0%以上 1.5%未満)
○:良好(カブリ量が 1.5%以上 3.0%未満)
△:実用可(カブリ量が 3.0%以上 5.0%未満)
×:実用不可(カブリ量が 5.0%以上)
3.転写性
通常の複写機用普通紙(75g/m2)に、黒ベタ画像を所定枚数プリントアウトをし、プリント終了時の画像の画像抜け量を目視により観察し、下記の基準で評価した。
◎ : 非常に良好(殆ど発生せず)
○ : 良好(軽微)
△ : 実用可
× : 実用不可
また、実施例39〜実施例56 および比較例7〜比較例12 で、5000枚画像出力を行なったときの感光ドラム及び中間転写体表面の傷や残留トナーの固着の発生状況とプリントアウト画像への影響(画像形成装置とのマッチング)を目視で評価したところ、実施例39〜実施例56 の2成分系現像剤を使用した系では、感光ドラム及び中間転写体表面の傷や、残留トナーの固着が全く確認できず、画像形成装置とのマッチングが非常に良好であった。一方、比較例7〜12 の2成分系現像剤を使用した系では、いずれも感光ドラム表面にトナーの固着が認められた。更に、比較例7〜12 の2成分系現像剤を使用した系では、中間転写体表面上にトナーの固着と表面傷が確認でき、画像上にも縦スジ状の画像欠陥を生じるといった、画像形成装置とのマッチングにおいて問題を生じた。
【0399】
【表19】
Figure 0003848206
【0400】
(実施例57〜実施例59、比較例13〜比較例15)
実施例57〜実施例59、比較例13〜比較例15 の画像形成方法の実施にあたっては、現像剤として、実施例21、24、27 および比較例1〜3で得たトナーをそれぞれ用いた。また、画像を形成する手段としては、図3に示したように、市販のレーザービームプリンターLBP-EX(キヤノン社製)にリユース機構を取り付けて改造し、再設定した画像形成装置を用いた。即ち、図3に示した画像形成装置では、転写後に感光体ドラム 20 上に残った未転写トナーを、該感光体ドラム 20 に当接しているクリーナー 21 の弾性ブレード 22 により掻き落とした後、クリーナーローラーによってクリーナー 21 内部へと送り、更にクリーナーリユース 23 を経て、搬送スクリューを設けた供給用パイプ 24 によってホッパー 25 を介して現像器 26 に戻し、再度、回収トナーを利用するシステムを取り付けられている。
【0401】
図3に示した画像形成装置では、一次帯電ローラー 27 により、感光体ドラム 20 の表面の帯電がなされる。一次帯電ローラー 27 には、ナイロン樹脂で被覆された、導電性カーボンが分散されたゴムローラー(直径 12mm、当接圧 50g/cm)を使用し、静電潜像担持体(感光体ドラム 20)上に、レーザー露光(600dpi、不図示)により、暗部電位VD=-700V、明部電位VL=-200Vの静電潜像を形成した。トナー担持体として、その表面に、カーボンブラックが分散された樹脂がコートされている表面粗度Raが 1.1 を呈する現像スリーブ 28 を用いた。
【0402】
図4に、実施例57〜実施例59、比較例13〜比較例15 で用いた一成分現像剤用の現像装置の要部の拡大断面図を示した。静電潜像を現像する条件としては、該現像スリーブ 28 の速度を、対向する感光ドラム 20 面の移動速度に対して 1.1倍の速さになるように設定し、更に、感光ドラム 20 と現像スリーブ 28 との間隔α(S-D間)を 270μmとした。トナーの層厚規制部材としては、ウレタンゴム製ブレード 29 を当接させて用いた。又、トナー画像を定着させる加熱定着装置の設定温度は 160℃とした。なお、定着装置は、図5及び図6に示した定着装置を用いた。
【0403】
以上のようにして、常温常湿(25℃、60%RH)環境下、8枚(A4サイズ)/分のプリントアウト速度で、トナーを逐次補給しながら連続モード(即ち、現像器を休止させることなくトナーの消費を促進させるモード)で、3万枚までプリントアウトを行ない、得られたプリントアウト画像について画像濃度を測定し、その耐久について下記に示した基準で評価した。又、10,000枚目の画像を観察し、画像カブリについて下記の基準で評価した。又、同時に、耐久試験後における画像形成装置を構成している各装置の様子を観察し、各装置と上記の各トナーとのマッチングについても評価した。以上の結果を表20 にまとめて示した。
【0404】
[耐久時の画像濃度推移]
通常の複写機用普通紙(75g/m2)に、所定枚数のプリントアウトをして、初期の画像に対するプリント終了時における画像の画像濃度維持の程度により評価した。尚、画像濃度はマクベス反射濃度計(マクベス社製)を用い、原稿濃度が 0.00 の白地部分のプリントアウト画像に対する相対濃度を測定し、評価に用いた。◎:優(終了時の画像濃度が 1.40 以上)
○:良(終了時の画像濃度が 1.35 以上 1.40 未満)
△:可(終了時の画像濃度が 1.00 以上 1.35 未満)
×:不可(終了時の画像濃度が 1.00 未満)
[画像カブリ]
通常の複写機用普通紙(75g/m2)に所定枚数のプリントアウトをし、プリント終了時のベタ白画像により評価した。具体的には、下記のような方法で評価した。反射式濃度計(東京電色社製 REFLECTOMETER ODEL TC-6DS)を用いて測定したプリント後の白地部反射濃度の最悪値をDs、プリント前の用紙の反射濃度平均値をDrとし、これらの値から(Ds-Dr)を求め、これをカブリ量とし、下記の基準で評価した。
◎:非常に良好(カブリ量が0%以上 1.5%未満)
○:良好(カブリ量が 1.5%以上 3.0%未満)
△:実用可(カブリ量が 3.0%以上 5.0%未満)
×:実用不可(カブリ量が 5.0%以上)
[画像形成装置マッチング評価]
1.現像スリーブとのマッチング
プリントアウト試験終了後、現像スリーブ表面への残留トナーの固着の様子とプリントアウト画像への影響を目視で評価した。
◎ : 非常に良好(未発生)
○ : 良好(殆ど発生せず)
△ : 実用可(固着があるが、画像への影響が少ない)
× : 実用不可(固着が多く、画像ムラを生じる)
2.感光ドラムとのマッチング
感光体ドラム表面の傷や残留トナーの固着の発生状況とプリントアウト画像への影響を目視で評価した。
◎ : 非常に良好(未発生)
○ : 良好(僅かに傷の発生が見られるが、画像への影響はない)
△ : 実用可(固着や傷があるが、画像への影響が少ない)
× : 実用不可(固着が多く、縦スジ状の画像欠陥を生じる)
3.定着装置とのマッチング
定着フィルム表面の様子を観察し、表面性及び残留トナーの固着状況の結果を総合平均化して、その耐久性を評価した。
【0405】
(1)表面性
プリントアウト試験終了後の定着フィルム表面の傷や削れの発生の様子を目視で観察し、評価した。
◎ : 非常に良好(未発生)
○ : 良好(殆ど発生せず)
△ : 実用可
× : 実用不可
(2)残留トナーの固着状況
プリントアウト試験終了後の定着フィルム表面の残留トナーの固着状況を目視で観察し、評価した。
◎ : 非常に良好(未発生)
○ : 良好(殆ど発生せず)
△ : 実用可
× : 実用不可
【0406】
【表20】
Figure 0003848206
【0407】
(実施例60)
図3の画像形成装置のトナーリユース機構を取り外し、プリントアウト速度を 16枚(A4サイズ)/分とした以外は実施例57 と同様にし、実施例21 の青色トナー(1)を逐次補給しながら連続モード(即ち、現像器を休止させることなく、トナーの消費を促進させるモード)でプリントアウト試験を行なった。得られたプリントアウト画像評価ならびに用いた画像評価装置とのマッチングを実施例57〜実施例59、比較例13〜比較例15 と同様の項目について評価した。その結果、いずれの項目についても良好な結果が得られた。
【0408】
【発明の効果】
本発明の方法により化学式(1)及び(2)に示されるユニットと、化学式(3),(4),(5),(6)に示される4種類のユニットのうちの少なくとも1種類以上のユニットとを分子中に含むことを特徴とするポリヒドロキシアルカノエート及びその製造方法が提供された。
【0409】
更には、本発明によれば、静電荷像現像用トナー組成中へ荷電制御剤として本発明で示した化合物を1種類以上添加することにより、帯電特性に優れ、かつトナー樹脂中への該化合物の分散性、スペント性を向上し、また、画像形成装置での出力時においても、画像カブリを発生せず、転写性に優れ、かつ、電子写真プロセスに高度に適用した静電荷像現像用トナーを提供することが可能となる。また、本発明で使用する荷電制御剤は無色あるいは着色が弱いため、カラートナーに要求される色相に合わせて任意の着色剤を選定することが可能であり、かつ染料、顔料が有する本来の色相を何ら阻害することが無い点も特徴である。加えて本発明の静電荷像現像用トナーは、重金属を含有しないためにきわめて安全性が高く、また生分解性であるために、燃焼処理を行なう必要もなく、大気汚染や地球温暖化の防止といった環境保全の点でも、産業上多大な効果をもたらすものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例及び比較例の画像形成方法を実行するための画像形成装置の断面の概略的説明図である。
【図2】図1の二成分現像剤用の各現像装置4の要部の拡大断面図である。
【図3】本発明の実施例及び比較例に用いたトナーのリユース機構を有する画像形成装置の概略的説明図である。
【図4】本発明の実施例及び比較例に用いた一成分現像材用の現像装置の要部の断面図である。
【図5】本発明の実施例に用いた定着装置の要部の分解斜面図である。
【図6】本発明の実施例に用いた定着装置の非駆動時のフィルム状態を示した要部の拡大断面図である。
【図7】トナーの帯電量を測定するブローオフ帯電量測定装置を示す模式図である。
【図8】実施例1で得られた試料の1H-NMRスペクトルチャートを示す図である。
【符号の説明】
1、20 感光体(静電潜像担持体)
2、27 帯電ローラー
3 露光
4、26 現像装置(4-1、4-2、4-3、4-4)
5 中間の転写体
6 被転写材
7 転写ローラー
13 感光体ドラム
11、28 現像剤担持体
30 ステー
31 加熱体
31a ヒーター基板
31b 発熱体
31c 表面保護層
31d 検温素子
32 定着フィルム
33 加熱ローラー
34 コイルばね
35 フィルム端部規制フランジ
36 給電コネクター
37 絶縁部材
38 入口ガイド
39 出口ガイド(分離ガイド)
43 スクリーン
45 真空計
47 吸引口
49 電位計

Claims (7)

  1. ポリヒドロキシアルカノエートであって、
    下記一般式:(1)及び(2)に示されるユニットと、一般式(3),(4),(5),(6)に示される4種類のユニットのうちの少なくとも1種類のユニットとを分子中に含むことを特徴とするポリヒドロキシアルカノエート。
    Figure 0003848206
    但し、Rは「H、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR′、SO2R″、CH3基、C25基、CH3CH2CH2基、(CH32CH基、(CH33C基
    (R′:H、Na、K、CH3、C25;R″:OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)」から任意に選択される。
    また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
    Figure 0003848206
    但し、Rは「H、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR′、SO2R″、CH3基、C25基、CH3CH2CH2基、(CH32CH基、(CH33C基
    (R′:H、Na、K、CH3、C25;R″:OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)」から任意に選択される。
    また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
    Figure 0003848206
    但し、Rは「H、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR′、SO2R″、CH3基、C25基、CH3CH2CH2基、(CH32CH基、(CH33C基(R′:H、Na、K、CH3、C25;R″:OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)」から任意に選択される。
    また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
    Figure 0003848206
    但し、Rは「H、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR′、SO2R″、CH3基、C25基、CH3CH2CH2基、(CH32CH基、(CH33C基(R′:H、Na、K、CH3、C25;R″:OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)」から任意に選択される。
    また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
    Figure 0003848206
    但し、Rは「H、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR′、SO2R″、CH3基、C25基、CH3CH2CH2基、(CH32CH基、(CH33C基(R′:H、Na、K、CH3、C25;R″:OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)」から任意に選択される。
    また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
    Figure 0003848206
    但し、Rは「H、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR′、SO2R″、CH3基、C25基、CH3CH2CH2基、(CH32CH基、(CH33C基(R′:H、Na、K、CH3、C25;R″:OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)」から任意に選択される。
    また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
  2. 前記一般式:(1),(2),(3),(4),(5),(6)に示されるユニット以外に、下記一般式(7)及び(8)に示されるユニットの少なくとも一方を含む請求項1に記載のポリヒドロキシアルカノエート。
    Figure 0003848206
    y及びzは化学式中に示した範囲から選ばれた整数であり、化学式(1),(2),(3),(4),(5),(6)で示すユニットと独立してユニット毎に違う値をとり得る。
  3. ポリヒドロキシアルカノエートの製造方法において、
    (工程1)下記化学式(27)で示される化合物または下記化学式(29)で示される化合物を少なくとも一種類以上含む培地中で微生物を培養する工程と、
    (工程2)工程1において培養した微生物により生産されたポリヒドロキシアルカノエートを次亜塩素酸ナトリウムで処理する工程とを含むことを特徴とするポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
    Figure 0003848206
    但し、Rは「H、ハロゲン原子、CN、NO2、COOR′、SO2R″、CH3基、C25基、CH3CH2CH2基、(CH32CH基、(CH33C基(R′:H、Na、K、CH3、C25;R″:OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25)」
    から任意に選択される。
    また、xは化学式中に示した範囲から選ばれた整数である。
    Figure 0003848206
    但し、R1は芳香環への置換基を示し、R1はH原子、ハロゲン原子、CN基、NO2基、CH3基、C25基、CH3CH2CH2基、(CH32CH基、(CH33C基から任意に選択される。
    また、xは化学式中に示した範囲内から選ばれた整数である。
  4. 前記工程1と工程2の間に、前記工程1において培養された微生物細胞から、かかる微生物が産生したポリヒドロキシアルカノエートを分離する工程を更に有することを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
  5. 該微生物がシュードモナス(Pseudomonas)属に属する微生物である請求項3または4に記載の製造方法。
  6. 該微生物が、シュードモナス・チコリアイ YN2株(Pseudomonas cichorii YN2;FERM BP−7375)、シュードモナス・チコリアイ H45株(Pseudomonas cichorii H45、FERM BP−7374)、シュードモナス・ジェッセニイ P161株(Pseudomonas jessenii P161、FERM BP−7376)のいずれか1つ以上の株である、請求項5に記載の製造方法。
  7. 粉粒体の荷電状態を制御する荷電制御剤において、
    請求項1記載のポリヒドロキシアルカノエートを含有してなることを特徴とする荷電制御剤。
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