JP5142458B2 - 標的物質捕捉分子、標的物質捕捉用の素子、これらを用いた標的物質検出用の装置及びキット、並びに、標的物質の検出方法 - Google Patents

標的物質捕捉分子、標的物質捕捉用の素子、これらを用いた標的物質検出用の装置及びキット、並びに、標的物質の検出方法 Download PDF

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Description

本発明は、標的物質を捕捉するための標的物質捕捉分子、及びそれを用いた標的物質検出方法、検査キット等に関する。
標的物質と特異的に結合する生体分子、または生体分子を標的分子とする低分子化合物は、その標的物質との特異的結合機能に基づいて生体内で有効な生理活性を発揮する医薬品候補物質そのものとして、あるいはバイオセンサの標的物質捕捉分子としての産業上の利用が期待されている。
上記のような生体高分子の一例として抗体を挙げることができる。抗体は、動物が自らの体液中に侵入する様々な、異物を免疫系により無毒化させる自己防御機構の中で機能するタンパク質の一つである。すなわち、免疫系により異物表面の種々の構造が認識され、これに特異的に結合する抗体が産生し、抗体が異物に特異的に結合することによって生体内の免疫システムにより無毒化が行われる。その機構を効果的に発揮する為に、抗体は分子多様性(様様な異物に結合する為の違ったアミノ酸配列を持つ抗体数)を有しており、動物1個体あたり107乃至108種と見積もられている。このような抗原認識における特異性及び抗原との高い結合能、また分子多様性が医薬候補物質または標的物質捕捉分子としての抗体の用途が期待される所以となっている。
抗体は、長短二本ずつのポリペプチド鎖から形成される構造を有している。長い方のポリペプチド鎖は重鎖、短い方のポリペプチド鎖は軽鎖とそれぞれ呼ばれる。これら重鎖及び軽鎖はそれぞれ可変領域と定常領域を有している。軽鎖は、一つの可変領域(VL)および一つの定常領域(CL)の二ドメインから構成されるポリペプチド鎖である。重鎖は一つの可変領域(VH)と三つの定常領域(CH1乃至CH3)の四ドメインから構成されるポリペプチド鎖である。
抗体の各々のドメインは、アミノ酸約110個からなり筒状の構造をとり、逆平行の向きに配置されたβシート群による層状構造が形成され、この層状構造が更にSS結合により互いに結合しており、非常に安定した構造体を形成している。
また、抗体の多様な抗原種への結合は可変領域(VHまたはVL)がそれぞれ有する三つの相補的決定領域(complementarity determining region:CDR)のアミノ酸配列の多様性に起因するものであることが知られている。CDRは、VHまたはVLにそれぞれ3つあり、フレームワーク領域により分離されて配置され、対象物の空間配置を認識することにより、より高度な特異的な分子認識を可能としている。CDRの多様性は、骨髄幹細胞が抗体産生細胞であるBリンパ細胞へ分化する際に、抗体遺伝子座で生じるDNA再編成に発揮される。重鎖ではVH遺伝子断片、D遺伝子断片、JH遺伝子断片から構成され部分、軽鎖ではVλまたはVκ遺伝子断片、JλまたはJκ遺伝子断片から構成される部分でDNA再編成を起こすことによって生じることが知られている。これらの遺伝子組換え工程により抗体は分子多様性を可能にしている。
上記のような特定物質に結合することのできる抗体は、従来、上記のように動物が有する免疫系における抗体産生機構を利用して人為的に作製され、様様な産業分野で利用されている。作製方法の一例としては、目的の抗原物質をアジュバンドと共に被免疫動物(ウサギ、ヤギ、マウス等)に一定間隔で免疫し、その血清中に生じる抗体を回収する方法がある。このようにして得られた抗体は、免疫に用いた抗原物質の表面に存在する様々な構造を認識する複数の抗体の混合物である。このようにひとつの抗原に結合する複数の抗体を含む血清はポリクローナル抗体と呼ばれる。
一方、上述したDNA再編成はB細胞毎に独立に起こるため、ひとつのB細胞は1種類の抗体しか産生しない。単一の抗体を得る為に、特定の抗体を産出するB細胞を株化した腫瘍細胞と融合し、ハイブリドーマ細胞を作製する方法が確立されている。このようなハイブリドーマから作製された単一抗体は、モノクロナール抗体と呼ばれる。
さらに、上記のような抗体をある種のタンパク質分解酵素で処理して得られる抗体断片、Fab、Fab’、F(ab’)2も親となる抗体と同じ抗原に対して結合能を持つことが知られている標的物質捕捉分子としても十分利用できることが知られている。
上述のようにこのような抗体、抗体断片は、バイオセンサにおける標的分子の標的物質捕捉分子として広く利用することが可能であり、抗体、抗体断片を基板上に固定して用いることが一般的である。抗体、抗体断片の固定方法として、物理吸着法、または化学架橋法が選択されることが一般的に用いられる。物理吸着により固定化する方法では、基板上への物理吸着に際してタンパク質側の吸着に係わる部位を任意に選択することができない、また、架橋反応による化学的結合を利用する固定化方法では、架橋剤に対するタンパク質側の反応に係わる官能基を任意に設定できない場合が多い。さらには、反応可能な官能基が複数存在する際には、その間での選択性が極めて低い。つまり、物理吸着や架橋反応による化学的結合による基板への結合においては、一般的には、タンパク質側の結合に関与する部位は無作為に選択されるため、標的物質に対するタンパク質の結合能に直接的に関与する部位もしく間接的に関係している部位が、基板表面への結合にも関与する部位と一致あるいは重複すると、基板上に結合した際、タンパク質の標的物質との結合能が著しく低下することが懸念される。
また、抗体の認識部位である重鎖可変領域(VH)、軽鎖可変領域(VL)、もしくはそれをより安定化するための定常領域CH1、CLを含むFab、Fab`、ラクダ重鎖抗体可変領域(VHH)、VH及びVLを、リンカーと呼ばれるアミノ酸を介して融合させた一本鎖抗体(scFv)を遺伝子工学的に作製し、標的物質捕捉分子として応用する研究も最近盛んに行われてきている。
このような抗体断片を基板上に固定化する方法としては、遺伝子工学的に作製できるという特徴を活かして、基板親和性ペプチドまたは基板上に固定した化合物に親和性がある酵素等の生体化合物を抗体断片中に遺伝子工学的に融合する方法が検討されている。当該方法によれば、作製する抗体断片分子のアミノ末端(N末)、もしくはカルボキシ末端(C末)に所望の抗原結合能に影響ないよう選択して融合することができるため、基板上に結合する抗体断片にある程度配向性を期待することができる。
基板親和性ペプチドとしては、例えば、ヒスチジン残基が複数個(通常5以上)連続して結合しているHisタグが挙げられる。このHisタグを用いる方法によれば、基板表面にNiイオンを保持できるようなコーティングを施すことにより、NiイオンとHisタグの静電的な結合を利用して所望の標的物質捕捉分子を基板上へ配置することが可能である。
Anal. Chem. 2004, 76, pp5713-5720においては、ニワトリ卵白リゾチーム(HEL)に対するscFvのN末端またはVHHのC末端にCutinaseを融合した融合タンパクの利用が開示されている。この融合タンパクの基板への固定は、金基板上にCutinaseの自殺基質を提示するトリエチレングリコールサルファイドからなるSAM膜を形成し、自殺基質とCtinaseとの不可逆的な結合を介して基板上に目的の抗体断片を固定することがで行なわれる。更に、この文献は、この方法で固定化された抗体断片が所望の結合能を発揮することも併せて開示している。
上記のような遺伝子工学的に作製し得る抗体もしくは抗体断片を取得(生産)する方法としては、大腸菌に代表される原核生物等を宿主として利用した生産設備への投資、生産設備を運転する際の工程管理等を考慮して、トータルで安価となる製造方法や製造システムが採用されることが期待される。しかしながら、前述の原核生物でヒトをはじめとする高等生物由来タンパク質を、所望の機能を保持した活性型として生産することは難しく、一般的な方法は確立されていない場合が多い。scFv、Fabに代表される抗体断片を大腸菌にて作製する方法としては、pelB等の分泌シグナルをN末に配置し、内膜輸送する機構を利用して活性型抗体断片をペリプラズム、もしくは培地上清への分泌する方法が選択されることが多い。しかしながら、これらの方法においても、目的とする抗体の種類によっては抗体断片を分泌タンパク質として得ることができない場合がある。例えば、所望の抗体断片が菌体内に不溶性画分の凝集体として生産され、分泌されない場合がある。この場合、得られた凝集体を塩酸グアニジン等の変性剤で可溶化した後に希釈法もしくは段階透析法等により活性型構造へタンパク質の構造を巻き戻す(リフォールディング)工程が必要となり、作業的にも煩雑であり、活性型タンパク質を得る収率においても満足できない場合がある。
一方で、上述した遺伝子工学的に得られる抗体断片を分泌性タンパク質に融合し、融合タンパクとして効率的に得る方法が知られている。特許第3176917号明細書には、上記のような抗体断片を、ファージ、特に繊維状ファージのコートタンパク質に融合してファージの表面に発現させて提示した構造を有するファージ抗体として利用する技術が知られている。
また、抗体をコートタンパク質表面に提示したファージの生産には、上述の特許第3176917号明細書を始めとして、WO088/06630号パンフレット、特開2003−159086公報におけるように、抗体断片クローンを選択する方法が利用されている。しかしながら、これらの文献には、ファージマイナーコートタンパク質pIII(以下、pIII)への目的とする抗体の融合方法(抗体提示方法)が開示されているだけであって、その他のコートタンパクに対する抗体提示方法について具体的な記載はされていない。一方、特開2004−221号公報は、ファージメジャーコートタンパク質pVIII(以下、pVIII)に所望タンパク質を提示する具体的な方法を開示している。この文献には、pIIIに提示された抗体タンパク質は標的物質と不可逆的な反応を生じるとの見解がなされており、この文献によって、pVIIIに所望のタンパク質提示する技術及びその効果が公開されているといえる。
しかしながら、上記いずれの文献も、pIII及びpVIIIに抗体もしくは所望タンパク質を提示するための技術を開示しているに過ぎず、これら抗体断片融合ファージを特定基板上に固定化すること、または固定化したファージに機能を持たせてセンシングデバイスとして利用することに関しての示唆となる記述はこれら文献のいずれにも見当たらない。
一方で、Chemistry & Biology, Vol.11, pp1081-1091は、繊維状ファージの異なるコートタンパク質(pIII及びpVIII)に異なる2つのペプチド鎖を提示し、pIIIに提示したペプチド鎖(RGD−4C:CDCRGDCFC)を細胞上に固定化した標的物質(インテグリン)と結合させることにより、ファージを細胞(KS1767)上に固定化し、同時に前記ファージのpVIII上にストレプトアビジン結合性ペプチド(R5C2:ANRLCHPQFPCTSHE)を提示し、前記細胞上において標識ストレプトアビジンを検出できたことを開示している。また、同文献はストレプトアビジンコート基板に前記ファージを結合させ、前記細胞を検出することも開示している。
特許第3176917号明細書 国際公開第WO088/06630号パンフレット 特開2003−159086公報 特開2004−221号公報 Anal. Chem. 2004, 76, pp5713-5720 Chemistry & Biology, Vol.11, pp1081-1091
しかしながら、Chemistry & Biology, Vol.11, pp1081-1091には、KS1767細胞との結合においてRGD−4/R5C2ペプチド提示ファージとR5C2提示ファージとの差異が小さいことが示されている。これは、提示されたRGD−4ペプチドの標的物質に対する認識(結合)能の低さを示すものである。基板上での特定物質を特異的に検出するバイオセンシングデバイスという観点においては未だ改善の余地がある。
優れたバイオセンサデバイスを作製し、産業上で利用する為には、標的物質に対して特異性の高い結合分子(例えば抗体等)を高い収率にて生産し、更に活性を保持した状態にて基体等に固定することが最も重要な技術となる。
本発明の目的は、捕捉もしくは検出対象としての標的物質に対する特異的結合能を維持しつつ、かつ基体などの固相に効果的に固定可能であり、バイオセンサ等に好適に適用し得る標的物質捕捉分子を提供することにある。本発明の他の目的は、かかる標的物質捕捉分子を基体に固定した標的物質捕捉用の素子及びその製造方法、並びにかかる素子を用いた標的物質検出装置及び検出用キットを提供することにある。
本発明の標的物質捕捉分子は、可溶性タンパク質からなる基部と、異なる標的物質と結合し得る二以上の機能性分子と、を有し、
前記二以上の機能性分子が、金結合性断片と、金と異なる標的物質を捕捉するための機能性分子とからなり、
前記金結合性断片が、以下の配列番号:60のアミノ酸配列からなることを特徴とする。
(配列番号:60)
Gln Val Gln Leu Val Glu Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Ala Gly Glu
Ser Leu Lys Ile Ser Cys Lys Gly Ser Gly Tyr Ser Phe Pro Ser Tyr
Trp Ile Asn Trp Val Arg Gln Met Pro Gly Lys Gly Leu Glu Trp Met
Gly Met Ile Tyr Pro Ala Asp Ser Asp Thr Arg Tyr Ser Pro Ser Phe
Gln Gly His Val Thr Ile Ser Ala Asp Lys Ser Ile Asn Thr Ala Tyr
Leu Gln Trp Ala Gly Leu Lys Ala Ser Asp Thr Ala Ile Tyr Tyr Cys
Ala Arg Leu Gly Ile Gly Gly Arg Tyr Met Ser Arg Trp Gly Gln Gly
Thr Leu Val Thr Val Ser Ser Ala。
また、本発明の標的物質捕捉用の素子は、基体と、上記構成の標的物質捕捉分子と、を有する標的物質捕捉用素子であって、
前記基体の一部に少なくとも金が含まれており、この金からなる部分が前記金結合性断片と結合しており、前記と異なる標的物質を捕捉するための機能性分子はその捕捉機能を維持している
ことを特徴とする。
本発明の標的物質検出装置は、検体に含まれる検出対象としての標的物質を検出するための検出装置であって、上記構成の素子と、該素子の有する検出対象標的物質捕捉用の機能性分子への標的物質の結合を検出するための検出手段と、を有することを特徴とする。
本発明の標的物質検出用のキットは、検体に含まれる検出対象としての標的物質を検出するためのキットであって、上記構成の素子と、該素子の有する検出対象標的物質捕捉用の機能性分子への標的物質の結合を検出するための検出手段と、を有することを特徴とする。
また、本発明の標的物質の検出方法は、検体中の検出対象としての標的物質を検出する方法において、上記構成の素子と、検出対象としての標的物質を反応させる工程と、前記素子の機能性分子への前記検出対象標的物質の結合を検出する工程と、を有することを特徴とする。
本発明により得られる効果について以下に述べる。
本発明の標的物質捕捉分子は、基部としての可溶性タンパク質と、異なる標的物質と結合する二以上の機能性分子と、を有して構成されることを特徴とする。これにより、可溶性タンパク質を足場(基部)とする為に、この標的物質捕捉分子に、水溶液に懸濁あるいは可溶化しやすい特徴を付与することができる。更に、異なる標的物質異と結合する機能性分子から構成されることで、一つの分子で異なる二以上の分子を捕捉できる。
本発明の標的物質捕捉分子は、二以上の異なる前記機能性分子がぞれぞれ異なる可溶性タンパク質に融合してなる融合タンパク質から構成されるタンパク質複合体として調製することができ、このような融合タンパク質であることにより、可溶性タンパク質の可溶化能を有効に利用できる。
可溶性タンパク質としてシグナルペプチドを有する、あるいはシグナルペプチドを機能的に付加可能なものを採用することにより、可溶性タンパク質を宿主細胞内で生産し、細胞質外へ分泌させる膜輸送工程を経た標的物質捕捉分子の生産が可能となる。それにより、ジスルフィド結合の形成等安定なタンパク質立体構造保持に必要な翻訳後修飾を宿主菌体内製造工程で行うことができる。
また、可溶性タンパク質が二以上の構成ユニットからなるタンパク質であり、更には異なる標的物質と結合する二以上の機能性分子がそれぞれ異なる前記構成ユニットに融合されてもよい。これにより機能性分子融合タンパク質の発現条件を緩和することが可能である。また、同一タンパク質に由来する複数の構成ユニットは自己会合的な能力を有する為、会合後は一分子として機能できる為、何ら捕捉分子として不都合となることはない。
また、可溶性タンパク質がファージコートタンパク質の中から選択されるもことによって、異なる機能性分子を所望の機能を失うことなく標的物質捕捉分子をファージ表面に安定に提示することが可能となり、簡易な生産方法な方法により目的の標的物質捕捉分子を得ることができる。
上記構成の標的物質捕捉分子の有する二以上の機能性分子に、基体を標的とする機能性分子を含ませることで、この標的物質捕捉分子を基体上に特定の配向にて固定化することが可能となる。これにより、従来の標的物質捕捉分子の物理吸着または化学架橋による固定方法で問題であった捕捉能低下を抑制することができる。
本発明の素子は標的物質捕捉分子を基体に固定した構成を有し、その基体として、その表面の少なくとも一部を金で構成したものを用い、標的物質捕捉分子に金結合能を有する機能性分子を保持させることで、標的物質捕捉分子と検出対象標的物質との結合の検出を、散乱光量測定だけでなく、増強ラマンや局在プラズモンの原理を応用した光学的測定に加え、その電気特性を利用した電気測定によって行うことが可能となる。さらに、本発明にかかる標的物質捕捉分子と基体とを有する素子を用いた検出対象標的物質の検出方法によれば、従来のようにブローブや標的物質への反応前における標識の導入をせずに、反応後に標識することも可能である。その結果、従来の標識方法で問題となっていた標識物質を結合した際に生じる被標識物質の機能低下、例えば、素子と試料との反応前における試料中に含まれる検出対象としての標的物質への標識による標的物質とその捕捉分子とのこれらの反応時における結合性の低下を防ぐことができる。更に、本発明の方法によれば標識の選択範囲を広げることができ、標的物質に対して最適である標識を選択し、標的物質/本発明にかかる素子/標識物質を、同時または任意の時点にこれら反応を行なうことが可能な検出方法及び検出手段を提供することができる。
(標的物質捕捉分子)
本発明における標的捕捉分子とは、可溶性タンパク質と、異なる標的物質と結合する二以上の機能性分子とを有して構成されることを特徴とするものである。つまり、可溶性タンパク質を基部(足場)に、異なる標的物質と結合する機能性分子を有する分子である。可溶性タンパク質を足場とする為に水溶液に懸濁、可溶化しやすい特徴を有する。更に、異なる標的物質と結合する機能性分子の2以上を有することにより一つの標的物質捕捉分子で異なる二以上の標的物質を捕捉できる。
以下、本発明の標的物質捕捉分子、それを用いた素子等の構成に好適な材料についての詳細を述べる。
(可溶性タンパク質)
本発明で用いる可溶性タンパク質は前述のように標的物質を捕捉するための機能性分子を保持する基部(足場)として機能するとともに、標的物質捕捉分子の安定生産性を得るための骨格部分としての役割も担う。可溶性タンパク質としては、従来既知のタンパク質を用いることが可能であるが、機能性分子が安定に機能を発揮する為の構造をとりやすい環境(例えば、細胞質内またはペリプラズム画分を含む細胞質外)で安定に存在するタンパク質が特に好ましい。例えば、細胞質内で安定に存在するタンパク質の例としては、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、リボソーム、β―ガラクトシダーゼ等が挙げられる。
例えば、β―ガラクトシダーセは4量体からなる酵素である。各サブユニットは、3つの領域(N末端からα領域、中間領域、C末端がω領域)からなる。これらをそれぞれの断片として別途に発現した場合でも、自発的に会合することが知られている。例えば、α領域を含む欠損体/第一の捕捉分子、ω領域を含む欠損体/第二の捕捉分子をそれぞれ作製し、混在させることにより上述したように上記二分子が会合し、一機能性分子として機能することも可能である。
一方で、ペリプラズムに安定するタンパク質としては、ペリプラズム局在ジスルフィド結合形成酵素(DsbA)、ジスルフィド結合異性化酵素(DsbC)、ペプチジィルプロリルイソメラーゼ(PPI)などを更に挙げることができ、これらに機能性分子を融合することも可能である。また、下記に詳細に説明する従来既知のファージ、特に繊維状ファージのコートタンパク質に機能性分子を提示(融合)することも可能である。
なお、本発明の標的物質捕捉分子の基部に用いる可溶性タンパク質としては、所定の機能を有する可溶性タンパク質全体を用いても良いし、可溶性を維持し、かつ基部としての機能を果たすことができるものであればそのタンパク質の全部でなくで一部を用いても良い。また、上記のような複数のユニットが複合してなるタンパク質の場合、全ユニットからなるタンパク質を基部の構成に用いても、ユニットを選択して単独で可溶性タンパク質として用いても良い。
更に、基部は、1つの可溶性タンパク質から構成しても良いし、複数の可溶性タンパク質から構成しても良い。
(繊維状ファージ)
標的物質捕捉分子に可溶性タンパク質を供給し得るファージとして、繊維状ファージが挙げられる。具体的には、f1、fd、M13、If1、Ike、Xf、Pf1、及びPf3等が挙げられる。中でも、fd、M13ファージが生活環を始めとして、遺伝子構造、ビリオンの構造とともに公知であり、遺伝子工学的に取り扱い易く、所望の特性を持たせる上で比較的改良し易く好ましい。ファージを可溶性タンパク質供給材料として用いる場合は、ファージ表面、つまりファージ外殻を構成する主要コートタンパク質およびマイナーコートタンパク質から選択された一以上に、異なる標的物質に特異的に結合する二以上のタンパク質からなる標的物質捕捉用の機能分子が提示されている構造が好ましい。
以下、本発明に好ましく用いられるファージの一例としてM13について本発明と特に関係のある箇所について詳細に説明する。
(主要コート・タンパク質:pVIII)
M13の主要コート・タンパク質VIII(pVIII)は「遺伝子VIII」(gVIII)と呼ばれる部分によってコードされ、50個のアミノ酸からなる。pVIIIは、大腸菌に感染したファージミドのgVIII部分からまず、アミノ酸73個のpVIII前駆体として菌体内において宿主のタンパク合成酵素群を利用して合成される。pVIII前駆体N末端の23個のアミノ酸は、合成されたpVIII前駆体ポリペプチドを細胞膜(内膜)内に輸送するための分泌シグナルペプチドであることが知られている。シグナル配列が切断された後のpVIIIはそのN末端が内膜に埋め込まれた形態で配置される。
(pVIII/機能性分子融合タンパク質)
pVIIIに、抗体断片をはじめとする所望の機能性分子をその機能を十分に発揮できるように融合し、ファージ表面に提示する方法としては、例えば、特開2004−000221号公報に開示された技術及びそれを参考にした技術に基づいて、発現用遺伝子を構築し、ファージ表面へのタンパク発現を行なう方法を好適に利用可能である。具体的には、
(1)内膜を通過して表面に目的タンパク質を導くためのシグナル配列をコードするDNA、
(2)所望の機能性分子をコードするDNA、
(3)gVIIIもしくはN末端を欠損させたpVIIIをコードするDNA、
を、必要に応じてベクター部分と共に、所望の発現が得られるように機能的に組み合わせてファージミド(組換え遺伝子)を作製し、これを用いてファージ表面にpVIIIと機能性分子の融合タンパク質を提示するか、あるいはこの融合タンパク質をファージから分離した状態で取得する。
導入される機能性分子としては、遺伝子配列が従来既知であり、かつ機能性分子としての所望の標的物質捕捉機能を有するタンパク質を選択して用いることができる。なかでも好適な機能性分子として抗体断片を挙げることができる。提示される機能性分子の分子サイズは、好ましくはアミノ酸250残基程度であり、より好ましくは120残基程度である。機能性分子の提示に用いるpVIIIはアミノ酸約50残基程度の小さなタンパク質である為、提示する機能性分子が大き過ぎるとpVIIIとの融合タンパク質が形成されず、機能性分子がファージに取り込まれ、pVIIIとともにファージ表面に提示されることが困難となる。
(マイナー・コート・タンパク質pIII)
pIIIは、遺伝子III(gIII)がコードするファージ外殻タンパク質のひとつである。gIIIへ目的の機能性分子をコードするDNAを挿入することとにより、所望の機能性分子がpIIIと共にファージ表面に発現され、ファージ表面に現れることが種々の文献等で示されている。
(pIII/機能性分子融合タンパク質)
pIIIと機能性分子の融合タンパク質は、先に説明したpVIIIと同様にこれらをコードするファージミドを作製し、宿主大腸菌に形質転換することによって供給される。しかし、ファージに宿主への感染能を要求する際、pIIIのN末端部と宿主大腸菌のF繊毛との結合が必要となる。この場合、ファージ構成タンパクをコードするファージゲノムを、ヘルパーファージにて共感染させることにより、機能性分子をpIIIに提示し、且つ感染能を有するファージを作製できることが知られている。つまり、ファージが有する5つのpIIIタンパク質を野生型と融合型の不均一にすることが可能である。この際、ヘルパーファージゲノムには通常IG(intergenic)領域に多少の欠損を与えて複製効率を減少させてる方法が知られている。大多数は内部に抗体遺伝子断片をコードしたファージミドを有し遺伝型と表現型が1対となったファージ抗体が分泌されることが知られている。機能性分子/pIII融合タンパク質をコードするDNAは、Science,1985,228,1315−1317等の文献を参考に、発現する機能性分子の機能を鑑みて選択し、作製することが可能である。
(機能性分子)
機能性分子としては、2以上の異なる標的物質捕捉用のものが用いられる。例えば、2以上の異なる機能性分子として、基体を標的として捕捉する機能性分子と、検出対象としての標的物質を捕捉する機能性分子を組み合わせて用いることで、基体に固定したバイオセンサーとしての機能を標的物質捕捉分子に付与することができる。本発明では、標的物質捕捉分子の有する二以上の機能性分子が、金結合性断片と、金と異なる標的物質を捕捉するための機能性分子とから構成される。機能性分子は、標的物質の捕捉用として機能し、可溶性タンパク質とともに宿主で発現可能であり、遺伝子工学的な手法用いることで設計・作製することができるものが好適に用いられる。例えば、従来既知の酵素、抗体等のタンパク質、または機能性ペプチド鎖からその用途に応じて選択して用いることができる。これらの中では、抗体、特に抗体断片が望ましい。抗体または抗体断片は、非常に構造が安定で、且つ標的物質との結合能が強いものを選択すること可能である。しかし、抗体全分子の場合、遺伝子工学的に扱い難く、特に大腸菌を用いた簡易な生産系には現在の技術では未だ解決すべき課題が多い。このような生産性を鑑みた場合、本発明の好ましい形態は前記抗体分子の標的結合領域である可変領域(VH、VL)もしくは定常領域(CH1、CL)を含む、あるいはこれらからなる抗体断片である。また、機能性分子はこれらの抗体断片として全てのアミノ酸配列または構造を保持している必要はなく、所望の機能を有する為に最低限に必要なアミノ酸および構造を有するものであれば構わない。特に、pVIIIに融合する場合は、低分子であることが望ましいことは前述したとおりである。本発明に用いられる機能性分子の大きさとしては、5乃至300残基からなることが好ましい。5以上であれば、特定物質に結合能を有することが知られている。300残基以下であれば可溶性を維持しつつ発現することが可能である。
(抗体断片)
本発明で述べる抗体断片とは、モノクローナル抗体の一部分の領域を意味し、具体的には、Fab’、Fab、Fd、Fv(variable fragment of antibody)、scFv(single chain Fv)、dsFv(disulphide stabilised Fv)あるいは可変領域(VH)または軽鎖可変領域(VL)からなる単ドメインdAb(single domain antibody)等が挙げられる。更には、ラクダ重鎖抗体の可変領域(VHH)、サメ抗体様分子(IgNAR:Immunogloblin New Antigen Receptor)等も適応することが可能である。
ここで、「F(ab’)2」及び「Fab’」とは、抗体を、定法によりタンパク分解酵素で
あるペプシンあるいはパパイン等で処理することにより得ることができる断片である。すなわち、抗体のヒンジ領域で2本の重鎖(H鎖)間に存在するジスルフィド結合の前後で消化されて生成される抗体フラグメントである。
また、抗体断片は、VHとCH1を結合したFd断片であっても構わない。さらには、抗体断片は、抗体の可変領域部(Fv)またはその一部であってもよく、例えばFvを構成する重鎖可変領域(VH)や軽鎖可変領域(VL)またはその一部であってもよい。一方、VHまたはVLを一本鎖ポリペプチド中に配置した複合体としては、VH及びVLの一方のカルボキシ末端と他方のアミノ末端を連結した一本鎖Fv(single chain Fv:scFv)を利用することもできる。scFvを形成するVH/VL間(順不同)に一以上のアミノ酸からなるリンカーを設けることが望ましい。アミノ酸リンカーの残基長については、VHまたはVLと抗原との結合に必要な構造形成を妨げるような拘束力を持たないように設計することが重要である。具体的な例としては、アミノ酸リンカー長は、5乃至18残基が一般的で、15残基が最も多く用いられ検討されている。これら断片は遺伝工学的な手法により得ることが可能である。
更には、VH及びVLのいずれかが、単ドメインdAbであっても構わないが、単ドメイン構造は一般的に不安定であることが多いので、不安定な場合にはPEG修飾等の化学修飾による安定化を施すと良い。
(基板結合抗体断片)
ファージ表面に提示される機能性分子、例えば抗体や抗体断片のターゲットは固相を形成する基板であってもよい。例えば、金基板に対して結合性を示す抗体断片としては、配列番号:1乃至配列番号:57の一以上を含んでなるものが我々の検討により明らかになった。配列番号:1乃至配列番号:57を有するVHの具体例を配列番号:58乃至配列番号:74に、VLの具体例を配列番号:75乃至配列番号:77に示す。本発明においては配列番号:60のアミノ酸からなる抗体断片が、金基板に対して結合性を示す機能性分子として用いられる。また、アミノ酸配列において、一もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列であっても金結合性を発揮できる配列であれば何ら本発明において問題はない。以下、配列番号:78乃至配列番号:96に金結合性タンパク質の塩基配列の一例を示す。
更に、金結合性タンパク質において、金結合部位を形成するVH、VLの組み合わせにおいてその結合能に影響の大きくない部分の一部を遺伝的に改変して、VH/VL界面にてSS結合を形成できるようにVH、VLに所望の部位にシステイン残基を導入することも可能である。また、前記リンカー内に二つのシステインを設けることにより、VH/VL複合体を形成しやすくすることも可能である。
(その他:マイナー・コート・タンパク質)
導入された結合ドメイン又はエピトープは繊維状ファージ上にキメラマイナーコートタンパク質の一部として提示することもできる。これらは「遺伝子III、VI、VII、及びIX」によってコードされ、それぞれはビリオンあたり約5個のコピーが存在し、形態形成又は感染に係わっている。対照的に、主要コート・タンパク質は一つのビリオンあたり2500個以上のコピーが存在する。「遺伝子III、VI、VII、及びIX」タンパク質はビリオンの端に存在する。
(標的物質)
本発明においては、抗原抗体反応を用いた各手法によって抗原となり得る物質であれば如何なる分子も捕捉対象としての標的物質として用いることが可能である。
本発明の標的物質は、非生体物質と生体物質に大別される。非生体物質として産業上利用価値の大きいものとしては、環境汚染物質としての塩素置換数/位置の異なるPCB類;同じく塩素置換数/位置の異なるダイオキシン類:及びいわゆる環境ホルモンと呼ばれる内分泌撹乱物質(例:ヘキサクロロベンゼン、ペンタクロロフェノール、2,4,5−トリクロロ酢酸、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、アミトロール、アトラジン、アラクロール、ヘキサクロロシクロヘキサン、エチルパラチオン、クロルデン、オキシクロルデン、ノナクロル、1,2−ジブロモ−3−クロロプロパン、DDT、ケルセン、アルドリン、エンドリン、ディルドリン、エンドスルファン(ベンゾエピン)、ヘプタクロル、ヘプタクロルエポキサイド、マラチオン、メソミル、メトキシクロル、マイレックス、ニトロフェン、トキサフェン、トリフルラリン、アルキルフェノール(炭素数5〜9)、ノニルフェノール、オクチノニルフェノール、4−オクチルフェノール、ビスフェノールA、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ジエチル、ベンゾ(a)ピレン、2,4ージクロロフェノール、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、ベンゾフェノン、4−ニトロトルエン、オクタクロロスチレン、アルディカーブ、ベノミル、キーポン(クロルデコン)、マンゼブ(マンコゼブ)、マンネブ、メチラム、メトリブジン、シペルメトリン、エスフェンバレレート、フェンバレレート、ペルメトリン、ビンクロゾリン、ジネブ、ジラム、フタル酸ジペンチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジプロピル)等が挙げられる。
生体物質としては、核酸、タンパク質、糖鎖、脂質及びそれらの複合体から選択される生体物質が含まれ、更に詳しくは、核酸、タンパク質、糖鎖、脂質から選択される生体分子を含んでなるものであり、具体的には、DNA、RNA、アプタマー、遺伝子、染色体、細胞膜、ウイルス、抗原、抗体、レクチン、ハプテン、ホルモン、レセプタ、酵素、ペプチド、スフィンゴ糖、スフィンゴ脂質の何れかから選択された物質を含むものであれば、如何なる物質にも本発明を適用することができる。更には、前記の「生体物質」を産生する細菌や細胞そのものも、本発明が対象とする「生体物質」として標的物質となり得る。
具体的なタンパク質としては、いわゆる疾病マーカーが挙げられる。例としては、胎児期に肝細胞で産生され胎児血中に存在する酸性糖蛋白であり、肝細胞癌(原発性肝癌)、肝芽腫、転移性肝癌、ヨークサック腫瘍のマーカーとなるα−フェトプロテイン(AFP);肝実質障害時に出現する異常プロトロンビンであり、肝細胞癌で特異的に出現することが確認されるPIVKA−II;免疫組織化学的に乳癌特異抗原である糖蛋白で、原発性進行乳癌、再発・転移乳癌のマーカーとなるBCA225;ヒト胎児の血清、腸および脳組織抽出液に発見された塩基性胎児蛋白であり、卵巣癌、睾丸腫瘍、前立腺癌、膵癌、胆道癌、肝細胞癌、腎臓癌、肺癌、胃癌、膀胱癌、大腸癌のマーカーである塩基性フェトプロテイン(BFP);進行乳癌、再発乳癌、原発性乳癌、卵巣癌のマーカーとなる糖鎖抗原であるCA15−3;膵癌、胆道癌、胃癌、肝癌、大腸癌、卵巣癌のマーカーとなる糖鎖抗原であるCA19−9;卵巣癌、乳癌、結腸・直腸癌、胃癌、膵癌のマーカーとなる糖鎖抗原であるCA72−4;卵巣癌(特に漿液性嚢胞腺癌)、子宮体部腺癌、卵管癌、子宮頸部腺癌、膵癌、肺癌、大腸癌のマーカーとなる糖鎖抗原であるCA125;上皮性卵巣癌、卵管癌、肺癌、肝細胞癌、膵癌マーカーとなる糖蛋白であるCA130;卵巣癌(特に漿液性嚢胞腺癌)、子宮体部腺癌、子宮頸部腺癌のマーカーとなるコア蛋白抗原であるCA602;卵巣癌(特に粘液性嚢胞腺癌)、子宮頸部腺癌、子宮体部腺癌のマーカーとなる母核糖鎖関連抗原であるCA54/61(CA546);大腸癌、胃癌、直腸癌、胆道癌、膵癌、肺癌、乳癌、子宮癌、尿路系癌等の腫瘍関連のマーカー抗原として現在、癌診断の補助に最も広く利用されている癌胎児性抗原(CEA);膵癌、胆道癌、肝細胞癌、胃癌、卵巣癌、大腸癌のマーカーとなる糖鎖抗原であるDUPAN−2;膵臓に存在し、結合組織の弾性線維エラスチン(動脈壁や腱などを構成する)を特異的に加水分解する膵外分泌蛋白分解酵素であり、膵癌、膵嚢癌、胆道癌のマーカーとなるエラスターゼ1;ヒト癌患者の腹水や血清中に高濃度に存在する糖蛋白であり、肺癌、白血病、食道癌、膵癌、卵巣癌、腎癌、胆管癌、胃癌、膀胱癌、大腸癌、甲状腺癌、悪性リンパ腫のマーカーとなる免疫抑制酸性蛋白(IAP);膵癌、胆道癌、乳癌、大腸癌、肝細胞癌、肺腺癌、胃癌のマーカーとなる糖鎖抗原であるNCC−ST−439;前立腺癌のマーカーとなる糖蛋白質であるγ−セミノプロテイン(γ−Sm)、ヒト前立腺組織から抽出された糖蛋白であり、前立腺組織のみに存在し、それゆえ前立腺癌のマーカーとなる前立腺特異抗原(PSA);前立腺から分泌される酸性pH下でリン酸エステルを水解する酵素であり、前立腺癌の腫瘍マーカーとして用いられる前立腺酸性フォスファターゼ(PAP);神経組織及び神経内分泌細胞に特異的に存在する解糖系酵素であり、肺癌(特に肺小細胞癌)、神経芽細胞腫、神経系腫瘍、膵小島癌、食道小細胞癌、胃癌、腎臓癌、乳癌のマーカーとなる神経特異エノラーゼ(NSE);子宮頸部扁平上皮癌の肝転移巣から抽出・精製された蛋白質であり、子宮癌(頸部扁平上皮癌)、肺癌、食道癌、頭頸部癌、皮膚癌のマーカーとなる扁平上皮癌関連抗原(SCC抗原);肺腺癌、食道癌、胃癌、大腸癌、直腸癌、膵癌、卵巣癌、子宮癌のマーカーとなる糖鎖抗原であるシアリルLeX−i抗原(SLX);膵癌、胆道癌、肝癌、胃癌、大腸癌のマーカーとなる糖鎖抗原であるSPan−1;食道癌、胃癌、直腸・結腸癌、乳癌、肝細胞癌、胆道癌、膵癌、肺癌、子宮癌のマーカーであり、特に他の腫瘍マーカーと組み合わせて進行癌を推測し、再発予知・治療経過観察として有用である単鎖ポリペプチドである組織ポリペプタイド抗原(TPA);卵巣癌、転移性卵巣癌、胃癌、大腸癌、胆道系癌、膵癌、肺癌のマーカーとなる母核糖鎖抗原であるシアリルTn抗原(STN);肺の非小細胞癌、特に肺の扁平上皮癌の検出に有効な腫瘍マーカーであるシフラ(cytokeratin;CYFRA);胃液中に分泌される蛋白消化酵素であるペプシンの2種(PG I・PG II )の不活性型前駆体であり、胃潰瘍(特に低位胃潰瘍)、十二指腸潰瘍(特に再発、難治例)、ブルンネル腺腫、ゾーリンガーエリソン症候群、急性胃炎のマーカーとなるペプシノゲン(PG);組織障害や感染により、血漿中で変化する急性相反応蛋白であり、急性心筋梗塞等により心筋に壊死が起こると、高値を示すC−反応性蛋白(CRP)、組織障害や感染により、血漿中で変化する急性相反応蛋白である血清アミロイドA蛋白(SAA);主に心筋や骨格筋に存在する分子量約17500のヘム蛋白であり、急性心筋梗塞、筋ジストロフィー、多発性筋炎、皮膚筋炎のマーカーとなるミオグロビン、骨格筋,心筋の可溶性分画を中心に存在し、細胞の損傷によって血液中に遊出する酵素であって、急性心筋梗塞、甲状腺機能低下症、進行性筋ジストロフィー症、多発性筋炎のマーカーとなるクレアチンキナーゼ(CK)(骨格筋由来のCK−MM型,脳,平滑筋由来のCK−BB型;心筋由来のCK−MB型の3種のアイソザイム及びミトコンドリア・アイソザイムや免疫グロブリンとの結合型CK(マクロCK))、横紋筋の薄いフィラメント上でトロポニンI,Cとともにトロポニン複合体を形成し,筋収縮の調節に関与している分子量39,000の蛋白であり、横紋筋融解症、心筋炎、心筋梗塞、腎不全のマーカーとなるトロポニンT;骨格筋・心筋いずれの細胞にも含まれる蛋白であり,測定結果の上昇は骨格筋,心筋の障害や壊死を意味するため、急性心筋梗塞症、筋ジストロフィー、腎不全のマーカーとなる心室筋ミオシン軽鎖I;及び近年ストレスマーカーとして注目されてきているクロモグラニンA、チオレドキシン、8−OhdG、等が挙げられる。
(基体)
本発明に係る基体としては、本発明の目的を達成し得るものであれば、材質、形状のものも利用可能である。本発明では、その表面の少なくとも一部に金が配置された基体が用いられる。
本発明に用いる基体の材質は、本発明の構造体を形成しうるものであればいかなる材質でもよく、金属、金属酸化物、無機半導体、有機半導体、ガラス類、セラミクス、天然高分子、合成高分子、プラスチックから選ばれる何れか1以上或いはその複合体を含んでなる材質である。
本発明に用いる基体の形状は、本発明の構造体を形成しうるものであればいかなる形状でもよく、板状、粒子状、多孔体状、突起状、繊維状、筒状、網目状から選ばれる何れか1以上の形状を含んでなる形状である。
有機高分子化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2、4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンなどのスチレン系重合性モノマー、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートなどのアクリル系重合性モノマー、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートなどのメタクリル系重合性モノマー、メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルなどのビニルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトン等のビニルケトン類などのビニル系重合性モノマー、からなる群より選択された重合性モノマーを重合させて製造された有機高分子化合物を挙げることができる。
また、無機系固形物としては、例えばカオリナイト、ベントナイト、タルク、雲母等の粘土鉱物;アルミナ、二酸化チタン、酸化亜鉛、マグネタイト、フェライト、NbTa複合酸化物、WO3、In23、MoO3、V25、SnO2、等の金属酸化物;シリカゲル、ヒドロキシアパタイト、リン酸カルシウムゲル等の不溶性無機塩;金、銀、プラチナ、銅等の金属;GaAs,GaP,ZnS、CdS、CdSe、等の半導体化合物、ガラス、シリコン、或いはこれらの複合体などを用いることができるが、勿論、これらに限定されるものではない。
基体は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ジアセテート、トリセテート、セロハン、セルロイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリビニルクロライド、ポリビニリデンクロライド、ポリアクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなどのプラスチックからなるフィルム、ポリビニルクロライド、ポリビニルアルコール、アセチルセルロース、ポリカーボネート、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、テフロン等からなる多孔性高分子膜、木板、ガラス板、シリコン基板、木綿、レーヨン、アクリル、絹、ポリエステルなどの布、上質紙、中質紙、アート紙、ボンド紙、再生紙、バライタ紙、キャストコート紙、ダンボール紙、レジンコート紙などの紙を用いて、膜状やシート状とすることもできるが、勿論、これらに限定されるものではない。なお、これら膜状やシート状の材料は、滑らかなものであっても、凹凸のついたものであっても良い。
基体の例としては、更に、シリコンやシリカ、ガラス、石英ガラス等の基板及びそれらの基板にフォトリソグラフィーやエッチング、サンドブラスト等の手法で施された微小流路やホール(孔)、或いはそれらの表面に金や銀、白金の薄膜が施されたもの、PDMS(ポリジメチルシロキサン)やPMMA(ポリメチルメタクリレート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)PC(ポリカーボネート)PS(ポリスチレン)等の基板及び成型技術により施された微小流路やホール(孔)、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、フラーレンダイアモンド或いはそれらの集合体、アルミナ、カーボン、フラーレン、ZnO等からなるナノウイスカー、SiO2、アルミノシリケート、その他のメタロシリケート、TiO2、SnO2、Ta25等からなるメソポーラス薄膜、微粒子、及びモノリス構造体、金、銀、銅、白金等の微粒子、マグネタイト、フェライト、ヘマタイト、ガンマ・ヘマタイト、マグヘマイト等の鉄酸化物微粒子、アルミニウムシリコン混合膜及びそれを陽極酸化したシリコン酸化物ナノ構造体、ポーラスアルミナ薄膜、アルミナナノホール構造体、シリコンナノワイヤー等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(素子の用途)
上記構成の標的物質捕捉分子の有する機能性分子として、基体を標的物質し、基体との結合性を有する基体用機能性分子と、試料(検体)中に存在する検出用の標的物質を標的とする検出用機能性分子との組合せを用い、これを基体に基体用機能性分子を利用して結合させた検出用素子を形成し、検出用機能性分子を利用して検出対象標的物質(例えば先に挙げた各種の非生体物質及び生体物質)の検出を行うことができる。また、この素子と、検出用機能性分子と検出対象標的物質との結合を検知し得る検出手段(例えば、光学測定装置や電気測定装置、各種試薬類)とを少なくとも用いて検出装置あるいは検出キットを構成することができる。
検出方法としては、以下の工程を有する方法を挙げることができる。
(1)標的物質捕捉分子をその基体用機能性分子を介して基体表面の少なくと一部に結合させる工程。
(2)基体と検体(試料)を接触させる工程。
(3)基体を洗浄する工程。
(4)標的物質捕捉分子の検出用機能性分子により捕捉された検出対象としての標的物質を検出する工程。
工程(4)の検出には、標的物質捕捉分子または検出対象としての標的物質に特異的に結合し、検出可能な標識を有する物質を用いて光学的に検出する方法(例えば、後述する実施例におけるルミノール反応を利用する方法)、金からなる、あるいは金からなる部分を含む表面を有する基体を用いた場合における増強ラマンや局在プラズモンの原理を応用した光学的測定に加え、その電気特性を利用した電気測定によって行うことができる。なお、上記各工程の具体的な操作は定法に基づいて行なうことができる。
一方、本発明にかかる標的物質捕捉素子は、その捕捉機能を用いた2種の標的物質の結合、基体用機能性分子を利用した基板上に固定して用いた場合における機能性分子による標的物質の基体への固定などの用途に好適に利用し得る。
以下に本発明の実施例を示す。
(実施例1)
<HEL結合scFV融合pIII発現用プラスミドの作製及び発現確認>
pIII融合タンパク発現用として、M13KE(NEW ENGLAND BIOLABS.社製)を用いる。M13KEのマルチクローニングサイトにHEL結合scFv(配列番号:97、98)を挿入する。同社 Technical Bulletinに準拠し、同プラスミドのAcc65I/EagIに挿入する。得られる発現用プラスミドをpM13−HpIIIと
する。pM13−GIIIを前記Technical Bulletinに準じ、大腸菌にエレクトロポーレーションにて形質転換し、HEL結合scFv融合pIII提示ファージの発現を行う。
なお、HEL結合性scFvは、Journal of Biological chemistry、2003、279、pp8979に示されたHEL結合scFvコード遺伝子が導入されたプラスミドを鋳型としたPCRにて、HEL結合性scFvをコードするDNA断片として得る。このPCRには以下のプライマーを使用する。
scFv−f(配列番号:112)
NNNNCCATGCCCGATATCGTCCTGACCCAG
scFv−r(配列番号:113)
AGCTACCGCGGAGACGGTGACGAGGGT
発現確認は、以下のファージELISA法を用いる。
(1)HEL(生化学工業社製)を固定化したアミノ修飾タイタープレートに系列希釈したVH提示ファージ溶液をそれぞれ80μL分注し、シェイカーで緩やかに1時間攪拌する。
(2)ファージ溶液を取り除き、各wellにPBST 90μLを分注して10分間攪拌し、洗浄上清を廃棄する。この作業を3回繰り返す。
(3)HRP結合抗M13抗体/PBST(1/5000)溶液75μlを各wellに分注した後に、シェイカーにて1時間緩やかに攪拌する。
(4)上記上清を廃棄する。次に、PBST 90μL/wellを分注し、10分間攪拌し、洗浄上清を廃棄する。この洗浄作業を3回繰り返す。
(5)detection reagent 1、2(Amasham BIOSIENCE) を各35μL/wellずつ分注し、1分間緩やかに攪拌しながら反応させる。
(6)ルミノールの発光強度を測定する。
比較実験として、pM13−HpIIIの代わりにM13KO7(NEW ENGLAND BIOLABS社製)とした以外は上記とどうような実験を行う。pM13−GpIIIから得られるファージに金結合性VHを提示していることを確認する。
(実施例2)
<SBA−15親和性ペプチド融合pVIII発現ベクターの構築>
pVIII融合タンパク発現用として、f1ベースのファジミドM13mp18(NEW ENGLAND BIOLABS社製)のマルチクローニングサイトBamH1/SpeIを用い
、以下の順になるような遺伝子(配列番号:101)を構築する。
(1)プロモーター配列、(2)シャイン−ダルガルノ(SD)配列、(3)M13−gVIIIシグナル配列コードDNA配列、(4)SBA−15親和性ペプチドコードDNA配列(配列番号:99)、(5)M13−gVIII、(6)複数の停止コドン、(7)転写ターミネーター。
本実施例においては、プロモーター配列はtacプロモーターを使用する。得られるプラスミドをpM13−SpVIIIとする。同社Technical Bulletinに準じ、大腸菌にエレクトロポーレーションにて形質転換し、SBA−15融合pVIII提示ファージの発現を行う。発現確認方法は、以下のファージELISA法を用いる。
(A)1.5mLエッペンドルフチューブにSBA−15 1mg/PBST溶液、ファージ溶液を80μLを順次加え、シェイカーで緩やかに1時間攪拌する。
(B)遠心(15000rpm、10分間)した後に、上清溶液を取り除き、再びPBST 1000μLを分注して10分間攪拌し、洗浄上清を廃棄する。この作業を3回繰り返す。
(C)HRP結合抗M13抗体/PBST(1/5000)溶液500μlを加えた後に、シェイカーにて1時間緩やかに攪拌する。
(D)遠心(15000rpm、10分間)した後に、上清を廃棄する。次に、PBST 1000μLを分注し、10分間攪拌し、洗浄上清を廃棄する。この作業を3回繰り返す。
(E)detection reagent 1、2(Amasham BIOSIENCE) を各35μL/wellずつ分注し、1分間緩やかに攪拌しながら反応させる。
(F)ルミノールの発光強度を測定する。
比較実験として、pM13−SpVIIIの代わりにM13KO7(NEW ENGLAND BIOLABS社製)とした以外は上記とどうような実験を行う。pM13−SpVIIIから得られるファージに金結合性VHを提示していることを確認する。
(実施例3)
<HEL結scFv融合pIII/SBA−15親和性ペプチド融合pVIII同時発現プラスミドの構築>
実施例1で得られるpM13−HpIII及び実施例2で得られるpM13−SpVIIIを用いて金結合性VH融合pIII/SBA−15融合pVIII同時発現プラスミドを構築する。pM13−HpIII及びpM13−SpVIIIをBspHI/BsmI(ともにNEW ENGLAND BIOLABS社製)にてTechnical Bulliten記載の業者推奨の方法にて制限酵素による切断反応を行う。その結果得られる酵素反応溶液をアガロースゲル電気泳動を行う。pM13−HpIII切断反応液のkbp及びpM13−SpVIII反応液のkbpを切り出し、精製キット(Promega社製:商品名Wizard SV Gel and PCR Clean−Up System)にて精製する。次に、上記にて得られたDNA断片をT4−Ligase(Roche社製)にて業者推奨の方法にて2時間ライゲーションを行う。得られるライゲーション溶液を実施例2と同様に、形質転換し、ファージ発現/回収を行う。発現確認は、以下の方法により行う。
(1)1.5mLエッペンドルフチューブにSBA−15 1mg/PBST溶液、ファージ溶液を80μLを順次加え、シェイカーで緩やかに1時間攪拌する。
(2)遠心(15000rpm、10分間)した後に、上清溶液を取り除き、再びPBST 1000μLを分注して10分間攪拌し、洗浄上清を廃棄する。この作業を3回繰り返す。
(3)次に、1μM HEL 1000μLを加え、シェイカーで緩やかに1時間攪拌する。
(4)遠心(15000rpm、10分間)した後に、上清溶液を取り除き、再びPBST 1000μLを分注して10分間攪拌し、洗浄上清を廃棄する。この作業を3回繰り返す。
(5)HRP結合抗HEL抗体/PBST(1/5000)溶液500μlを加えた後に、シェイカーにて1時間緩やかに攪拌する。
(6)遠心(15000rpm、10分間)した後に、上清を廃棄する。次に、PBST 1000μLを分注し、10分間攪拌し、洗浄上清を廃棄する。この作業を3回繰り返す。
(7)detection reagent 1、2(Amasham BIOSIENCE) を各35μL/wellずつ分注し、1分間緩やかに攪拌しながら反応させる。
(8)ルミノールの発光強度を測定する。
実施例1及び2で得られるファージを比較実験として行い、実施例3で得られるファージがルミノール発光強度が最も高いことを確認する。
(実施例4)
<金結合性VH融合pVIII発現ベクターの構築>
pVIII融合タンパク発現用として、f1ベースのファジミドM13mp18(NEW ENGLAND BIOLABS社製)のマルチクローニングサイトBamH1/SpeIを用い
、以下の順になるような遺伝子を構築する(配列番号:102)。
(1)プロモーター配列、(2)シャイン−ダルガルノ(SD)配列、(3)M13−gVIIIシグナル配列コードDNA配列、(4)金結合性VHコードDNA配列(配列番号:80)、(5)M13−gVIII、(6)複数の停止コドン、(7)転写ターミネーター
本実施例においては、プロモーター配列はtacプロモーターを使用する。得られるプラスミドをpM13−GpVIIIとする。pM13−GpVIIIを用いて実施例2と同様にして得られるファージを以下の方法にて金結合性を確認する。
(A)金蒸着タイタープレートに系列希釈したVH提示ファージ溶液をそれぞれ80μL分注し、シェイカーで緩やかに1時間攪拌する。
(B)ファージ溶液を取り除き、各wellにPBST 90μLを分注して10分間攪拌し、洗浄上清を廃棄する。この作業を3回繰り返す。
(C)HRP結合抗M13抗体/PBST(1/5000)溶液75μlを各wellに分注した後に、シェイカーにて1時間緩やかに攪拌する。
(D)上記上清を廃棄する。次に、PBST 90μL/wellを分注し、10分間攪拌し、洗浄上清を廃棄する。この洗浄作業を3回繰り返す。
(E)detection reagent 1、2(Amasham BIOSIENCE) を各35μL/wellずつ分注し、1分間緩やかに攪拌しながら反応させる。
(F)ルミノールの発光強度を測定する。
比較実験として、pM13−GVIIIの代わりにM13KO7(NEW ENGLAND BIOLABS社製)とした以外は上記と同様にして実験を行う。pM13−GVIIIから得られるファージに金結合性VHを提示していることを確認する。
(実施例5)
<HEL結scFv融合pIII/金結合VH融合pVIII同時発現プラスミドの構築>
実施例4で得られるpM13−GpIII及び実施例2で得られるpM13−SpVIIIを用いて金結合性VH融合pIII/SBA−15融合pVIII同時発現プラスミドの構築する。
pM13−GpIII及びpM13−SpVIIIをBspHI/BsmI(ともにNEW E
NGLAND BIOLABS社製)にてTechnical Bulliten記載の業者推奨の方法にて制限酵素による切断反応を行う。
その結果得られる酵素反応溶液をアガロースゲル電気泳動を行う。pM13−GpIII切断反応液のkbp及びpM13−SpVIII反応液のkbpを切り出し、精製キット(Promega社製:商品名Wizard SV Gel and PCR Clean−Up System)にて精製する。次に、上記にて得られたDNA断片をT4−Ligase(Roche社製)にて業者推奨の方法にて2時間ライゲーションを行う。得られるライゲーション溶液を実施例2と同様に、形質転換し、ファージ発現/回収を行う。
発現確認は、以下の方法により行う。
(1)金蒸着タイタープレートに系列希釈したVH提示ファージ溶液をそれぞれ80μL分注し、シェイカーで緩やかに1時間攪拌する。
(2)ファージ溶液を取り除き、各wellにPBST 90μLを分注して10分間攪拌し、洗浄上清を廃棄する。この作業を3回繰り返す。
(3)次に、1μM HEL 1000μLを加え、シェイカーで緩やかに1時間攪拌する。
(4)遠心(15000rpm、10分間)した後に、上清溶液を取り除き、再びPBST 1000μLを分注して10分間攪拌し、洗浄上清を廃棄する。この作業を3回繰り返す。
(5)HRP結合抗HEL抗体/PBST(1/5000)溶液500μlを加えた後に、シェイカーにて1時間緩やかに攪拌する。
(6)遠心(15000rpm、10分間)した後に、上清を廃棄する。次に、PBST 1000μLを分注し、10分間攪拌し、洗浄上清を廃棄する。この作業を3回繰り返す。
(7)detection reagent 1、2(Amasham BIOSIENCE) を各35μL/wellずつ分注し、1分間緩やかに攪拌しながら反応させる。
(8)ルミノールの発光強度を測定する。
実施例2及び4で得られるファージを比較実験として行い、実施例3で得られるファージがルミノール発光強度が最も高いことを確認する。
(実施例6)
<DsbA融合金結合VH/HEL結合scFv複合体の作製>
以下の工程により本発明の標的捕捉分子を作製し、評価する。
(1)金結合VH/HEL結合scFvコードDNAの作製
(1−1)金結合VH(配列番号:80)、GGGGSコードDNA配列×3リンカー、HEL結合scFv(配列番号:97)をコードするDNAを作製する。
(1−2)上記DNAをテンプレートとして以下のprimerにてPCRにて増幅する。
7s4−fw−Nco1(配列番号:103):
ACATGCCATGGCCCAGGTGCAGTTGGTGGAGTCTG
HEL−bk−Hind3(配列番号:104):
AATGGCAAGCTTGGCCGTGATGATCAGCTTGGTA
(1−3)上記PCR産物をNcoI/HindIIIにて、pET−39b(Novagen社製)に挿入する。制限酵素(NcoI、HindIII:NEB社製)による切断ならびにライゲーション反応(T4−Ligase:Roche社製)は業者推奨のプロトコールに準じて行う。
(1−4)上記により得られるライゲーション溶液 5μLをJM109コンピテントセル(プロメガ社)50μLに加えて、ヒートショックによる形質転換を行う。
(1−5)その後、LB/カナマイシン(終濃度50μg/mL)プレートに展開し、37℃にて静置する。得られたコローニーから目的の遺伝子が導入されたプラスミドをスクリーニングする。
(2)目的タンパク質の発現
(2−1)上記(1−1)で得られたプラスミドをBL21コンピテントセル(プロメガ社製)に形質転換する。方法は(1−1)と同様にヒートショックにより行い、その後LB/カナマイシン(終濃度50μg/mL)プレートに展開し、28℃にて一晩静置する。
(2−2)プレート上で得られたコローニーをつまようじにて突付き、3mL LB/カナマイシン溶液に移して28℃にて終夜培養する。
(2−3)得られる培養液を、250mL 2×YT培地(トリプトン 16g、酵母エキス 10g、塩化ナトリウム 5g/L)/カナマイシン培地に全量加えて、更に時間培養する。4)OD600=0.8の時点でIPTGを添加し、目的タンパク質の発現誘導を行う。以降、22℃にて終夜培養を行う。
(3)目的タンパク質の回収
(3−1)上記(2)で得られた培養液を6000rpm、30分間遠心を行い、上清を回収する。上清の重量を測定し、4℃にて保存する。
(3−2)上清重量の60wt%分の硫酸アンモニウムを4回に分けて、攪拌しながら添加し、6時間攪拌状態を維持する。
(3−3)得られた懸濁液を8000rpm、20分間遠心する。上清を廃棄し、沈殿をTris緩衝液:20mM Tris/500mM NaCl(pH7.9@4℃) 10mLにて浸漬、一晩静置する。
(3−4)上記(3−3)で得られた溶液を4℃にて透析(MWCO:14000)にて、脱塩を行う。透析外液はTris緩衝液。
(3−5)Niキレートカラムにより精製。担体はHis−Bind(Novagen社)を使用し、業者推奨の方法に準じて4℃にてカラム精製を行う。
(3−6)脱イミダゾールの為の透析を行う。透析チューブ及び外液は(3−4)と同じとする。
得られたタンパク質溶液をSDSPAGEで確認したところ約6.5kDaに単一バンドが確認できる。これをDsbA−VH(G)−scFv(H)として、実施例4と同様にして確認を行ない、金およびHELに結合性のあるタンパク質であることを確認する。
(実施例7)
<β-グルコシダーゼ融合金結合VH/HEL結合scFv複合体の作製>
(1)金結合VH/LacΔα融合タンパク発現ベクターの構築
(1−1)LacΔα断片のクローニング_
Anal.Chem.(2002)74、pp2500−2504の発現ベクター作製方法を参照し行うことができる。LacΔαをE.coli DH5αから以下のprimerによりクローニングする。
LacΔα_fw(配列番号:105):
5’−CCCGGATCCGCGGCCGCCATGACCATGTTACGGAATTCACTGG−3’
LacΔα_bk(配列番号:106)
5’−CCCCCCTCGAGTTATTTTTGACACCAGACCAACTGG−3’
(1−2)pET−32への挿入
得られたPCR断片及びベクターとなるpET−32(Novagen社)をNotI/XhoIにて業者推奨の方法により制限酵素反応を行い、上述と同様の方法にてゲル精製を行う。得られるPCR断片及びDNA断片(約5.9kbp)をT4リガーゼ(Roche社)にてライゲーションを行う。
(1−3)金結合VHコードDNA断片の挿入
上記(1−2)で得られるプラスミドにNcoI/HindIIIにて金結合性VHを挿入する。金結合VHコードDNA断片の増幅は、実施例6の同じくPCRにて行なう。用いるprimerは以下の通り。得られるPCR断片及びプラスミドをNcoI/HindIIIにて制限酵素で切断反応を行い、次いでライゲーションを行い、目的のtrx−金結合VHコードDNA−LacΔαをコードするプラスミドpET−GHΔαを作製する。
7s4−fw−Nco1_2(配列番号:111)
ACATGCCATGGCAGGTGCAGTTGGTGGAGTCTG
HEL−bk−Hind3(配列番号:104)
AATGGCAAGCTTGGCCGTGATGATCAGCTTGGTA
(2)HEL結合scFv/LacΔω融合タンパク発現ベクターの構築
(2−1)LacΔω断片のクローニング
上記と同様にAnal.Chem.(2002)74、pp2500−2504の発現ベクター作製方法を参照し行うことができる。LacΔωをE.coli DH5αから以下のpri
merによりクローニングする。
LacΔω_fw(配列番号:107)
5’−CCCGGATCCGCGGCCGCCATGACCATGATTACGGATTCACTGG−3’
LacΔω_bk(配列番号:108)
5’−CCCCCCTCGAGTTACGGTGCACGGGTGAACTG−3’
(2−2)pET−32への挿入
得られたPCR断片及びベクターとなるpET−32(Novagen社)をNotI/XhoIにて業者推奨の方法により制限酵素反応を行い、上述と同様の方法にてゲル精製を行う。得られるPCR断片及びDNA断片(約5.9kbp)をT4リガーゼ(Roche社)にてライゲーションを行う。
(2−3)HEL結合scFvコードDNA断片の挿入
上記(2−2)で得られるプラスミドにNcoI/HindIIIにて金結合性VHを挿入する。金結合VHコードDNA断片の増幅は、実施例6の通りに行なう。得られるPCR断片及びプラスミドをNcoI/HindIIIにて制限酵素で切断反応を行い、次いでライゲーションを行い、目的のtrx−HEL結合scFvコードDNA−LacΔωをコードするプラスミド
pET−HFΔωを作製する。
scFv(HEL)_fw(配列番号:109)
5’−ACATGCCATGGGATATCGTCCTGACCCAGA−3’
scFv(HEL)_bk(配列番号:110)
5’−AATGGCAAGCTTCGCGGAGACGGTGACGAGGGT−3’
(3)融合タンパク質発現
(3−1)予備培養
上記プラスミドをそれぞれ用いてE.coli Origami B(DE3)pLysS(Novagen社)にて目的タンパク質の発現を行う。業者推奨の方法により形質転換を行う。2×YTプレート(2×YTの組成は上述の通り。寒天:15g/L。更に、抗生物質として50μg/mL アンピシリン、15μg/mL カナマイシン、12.5μg/mL テトラサイクリンを添加)に展開し、プレート上に得られる単一コロニーを5mL 2×YT溶液(上記から寒天を除いた組成)にて37℃にて一晩培養する。
(3−2)本培養
得られる5mL培養液を上記と同じ組成の2×YT培地 400mLに加える。37℃にてOD600が0.8以上になった時点で、終濃度10μMとなるようにIPTGを加え、16℃環境にて12時間培養を続ける。
(3−3)タンパク質の回収
a)菌体破砕
上記(3−2)で得られる培養液を6000rpm、30分間遠心し、上清を廃棄する。沈殿画分、すなわち細胞画分をリン酸緩衝液(2.7mM KCl、1.8mM KHPO3、10mM Na2HPO3、140mM NaCl) 20mLにて懸濁する。続いて、4℃条件下にてフレンチプレスを行なう。得られる菌体破砕溶液を、15000rpm、10分間遠心し、細胞質画分溶液を得る。
b)融合タンパク質精製
以下の操作は全て4℃環境下にて行う。上記で得られる金結合VH−LacΔα含細胞質画分
溶液とHEL結合scFv−LacΔω含細胞質画分溶液を混合する。得られる混合溶液をNP
−Sepharose(biosearchtech社)にてアフィニティカラムクロマトグラフィにより精製する。方法は、業者推奨の方法に準ずる。溶出画分を外液をリン酸緩衝液として透析を行う。外液交換は6時間毎に3回行う。
(4)融合タンパク質の二重結合性確認
上記(3−3)で得られる融合タンパク質に関して、金及びHEL結合性を実施例6と同様の方法にて検査し、二重特異性が示されることを確認する。
本発明は、可溶性タンパク質と、二以上の異なる標的物質と結合する機能性分子とから構成されることを特徴とする標的物質捕捉分子である。更には、可溶性タンパク質と、基体と結合性を有する機能性分子と、基体と異なる標的物質と結合する一以上の機能性分子とから構成される標的物質捕捉分子を、基体に結合した構成を有することを特徴とする素子である。従来、標的物質捕捉分子を産業上で利用していく為に上において課題であった、標的物質に対して特異性の高い結合分子(例えば抗体等)を高い収率にて生産し、更に活性を保持した状態にて固定すること技術を提供することが可能となる。
本発明にかかる標的物質捕捉分子の構成を模式的に示す図である。
符号の説明
100 :本発明に用いられる基体の一例
101 :本発明の一例である標的物質捕捉分子(捕捉分子提示繊維状ファージ)
102 :pVIIIタンパク質
103 :標的物質捕捉分子融合pVIII
104 :pIIIタンパク質
105 :標的物質捕捉分子融合pIII
106 :標的物質

Claims (13)

  1. 可溶性タンパク質からなる基部と、異なる標的物質と結合し得る二以上の機能性分子と、を有し、
    前記二以上の機能性分子が、金結合性断片と、金と異なる標的物質を捕捉するための機能性分子とからなり、
    前記金結合性断片が、以下の配列番号:60のアミノ酸配列からなることを特徴とする標的物質捕捉分子。
    (配列番号:60)
    Gln Val Gln Leu Val Glu Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Ala Gly Glu
    Ser Leu Lys Ile Ser Cys Lys Gly Ser Gly Tyr Ser Phe Pro Ser Tyr
    Trp Ile Asn Trp Val Arg Gln Met Pro Gly Lys Gly Leu Glu Trp Met
    Gly Met Ile Tyr Pro Ala Asp Ser Asp Thr Arg Tyr Ser Pro Ser Phe
    Gln Gly His Val Thr Ile Ser Ala Asp Lys Ser Ile Asn Thr Ala Tyr
    Leu Gln Trp Ala Gly Leu Lys Ala Ser Asp Thr Ala Ile Tyr Tyr Cys
    Ala Arg Leu Gly Ile Gly Gly Arg Tyr Met Ser Arg Trp Gly Gln Gly
    Thr Leu Val Thr Val Ser Ser Ala。
  2. 前記基部が、前記機能性分子の個数(n:n≧2)に対応したn個の可溶性タンパク質を少なくとも有し、前記機能性分子の各々が異なる可溶性タンパク質に融合してなる融合タンパク質を構成したタンパク質複合体である請求項1記載の標的物質捕捉分子。
  3. 前記機能性分子が抗体の少なくとも一部から構成される請求項1または2に記載の標的物質捕捉分子。
  4. 前記可溶性タンパク質が、宿主細胞内で生産可能であり、該宿主内で生産された際に細胞質外へ分泌される為に必要なシグナルペプチドを有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の標的物質捕捉分子。
  5. 前記可溶性タンパク質が二以上の構成ユニットからなるタンパク質である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の標的物質捕捉分子。
  6. 各機能性分子がそれぞれ異なる前記構成ユニットに融合されてなる請求項5に記載の標的物質捕捉分子。
  7. 前記可溶性タンパク質がファージコートタンパク質の中から選択される請求項4に記載の標的物質捕捉分子。
  8. 基体と、請求項1から7のいずれか1項に記載の標的物質捕捉分子と、を有する標的物質捕捉用素子であって、
    前記基体の一部に少なくとも金が含まれており、この金からなる部分が前記金結合性断片と結合しており、前記金と異なる標的物質を捕捉するための機能性分子はその捕捉機能を維持している
    ことを特徴とする標的物質捕捉用の素子。
  9. 前記金と異なる標的物質を捕捉するための機能性分子が、検出対象標的物質の捕捉用である請求項8に記載の素子。
  10. 検体に含まれる検出対象としての標的物質を検出するための検出装置であって、
    請求項9に記載の素子と、
    該素子の有する検出対象標的物質捕捉用の機能性分子への標的物質の結合を検出するための検出手段と、
    を有することを特徴とする検出装置。
  11. 検体に含まれる検出対象としての標的物質を検出するためのキットであって、
    請求項9に記載の素子と、
    該素子の有する検出対象標的物質捕捉用の機能性分子への標的物質の結合を検出するための検出手段と、
    を有することを特徴とする標的物質検出用キット。
  12. 検体中の検出対象としての標的物質を検出する方法において、
    請求項9に記載の素子と、検出対象としての標的物質を反応させる工程と、
    前記素子の機能性分子への前記検出対象標的物質の結合を検出する工程と、
    を有することを特徴とする標的物質の検出方法。
  13. 請求項1に記載の標的物質捕捉分子と基体とを反応させて、該標的物質捕捉分子を該基体に結合して前記素子を調製する工程と更に含む請求項12に記載の検出方法。
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