JP4095652B2 - 金結合性タンパク質 - Google Patents
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Description
上有し、それぞれの結合部位は互いに独立して被結合物質と結合することにより、従来の
標識方法で問題となっていた標識物質を結合した際に生じる被標識物質の標的物質結合能
の低下が見られない、優れた標的物質を標識できる接続部材を提供することができる。第
二の効果として、生体高分子であること、更にタンパク質であることにより、タンパク質
の複数のアミノ残基と標的物質表面の相互作用に起因する高い結合性が期待できる。第三
の効果として、接続部材が抗体可変領域であることによって、結合部位が高次構造により
規定された立体配置で規定される為高い結合特異性が期待できる。第四の効果として、標
識物質が金を含む物質であることにより、試料に対する散乱光量測定だけでなく、増強ラ
マンや局在プラズモンの原理を応用した光学的測定に加え、その電気特性を利用した電気
測定も可能とすることができる。第五の効果として、前記接続部材を利用することで、標的物質/接続部材/標識物質を同時または任意に加えることが可能な検出方法及び検出キットを提供することができる。
(1)金結合性タンパク質
・抗体
本発明の金結合性タンパク質は、抗体の少なくとも一部を含んでなるものである。本発明の示すところの金との結合のために用いる抗体には、すべての脊椎動物のリンパ系細胞で産出される金に対する結合性を有する抗体、及びそれらのアミノ酸配列におけるアミノ酸の1個または数個が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を有し、その構造・機能において関連を有する、すなわち目的とする金結合性を維持したタンパク質が含まれる。抗体は、その特性(免疫学的または物理学的な)の分類において、IgG、IgM、IgA、IgD、IgEに分類されるが、その何れの分類であってもよい。更には、これらが多量体を形成していてよい。例えば、IgAは2量体、IgMは5量体を形成するが金に結合しうる形状であれば何ら問題はない。また、その使用用途がin vitroである場合は哺乳類に限らず、IgW、IgYであっても問題ない。
本発明の金結合性を示す抗体を取得する方法としては、従来行われてきた抗血清調製技術、および細胞融合によるモノクローン抗体作製技術を適宜選択して行うことができる。例えば、本発明の結合対象となる金微粒子を適当な免疫動物に免疫し、抗体価の上昇を確認したところで血清中から抗体を回収する。前記免疫とは、抗原となる金微粒子を適当な溶媒、例えば生理食塩水などで適当な濃度に希釈し、この溶液を静脈内や腹腔内に投与し、これに必要に応じてフロイント完全アジュバントを併用投与し、動物に1〜2週間間隔で3〜4回程度投与する方法が一般的である。このようにして免疫された動物を最終免疫後3日目に解剖し、摘出した脾臓から得られた脾臓細胞を免疫細胞として使用する。免疫する金微粒子として、10nm以下であることがこのましく、より好ましくは2nm以下である。更には、血清アルブミン等のタンパク質を共有結合させてハプテン化させることが更に好ましい。従来から免疫反応を生じにくい抗原においても、ある種タンパク抗原と複合体とすることによりタンパク質抗原の一部として認識され、産出を誘導されると予想される。
本発明における抗体断片とは、モノクローナル抗体の一部分の領域を意味し、具体的にはF(ab')2、Fab'、Fab、Fd、Fv(variable fragment of antibody)、scFv(single chain Fv)、dsFv(disulphide stabilised Fv)あるいは可変領域(VH)または軽鎖可変領域(VL)からなる単ドメインdAb(single domain antibody)等が挙げられる。
これら断片は遺伝工学的な手法により得ることが可能である。
・酵素処理による取得
また、上記抗体をある種の酵素処理することで、前記抗体の抗原結合部位及び抗原結合能をある程度有した抗体断片を得ることもできる。例えば、前記得られた抗体をパパイン処理することによりFab断片またはその類似体を得るができ、ペプシン処理によってF(ab')2断片またはその類似体が得られる。前記抗体断片は、前記酵素的手法の他に化学的分解して作製する方法もある。これら抗体断片も金に対して結合能を有するものであれば、何ら問題なく使用することができる。
金結合性タンパク質を、所望の制限酵素、例えば上記の例ではNcoI/NheIにより切断して金結合性抗体断片コードDNAを得る。これを宿主細胞に応じた従来公知のタンパク発現用プラスミドに導入することで抗体断片を得ることができる。例えば、大腸菌の場合、菌体外発現またはペリプラズム画分から目的の抗体断片を回収したい場合、前記抗体断片コード遺伝子の上流に従来既知のシグナルペプチドを導入することができる。シグナルペプチドとしては、pelB等が挙げられる。また、発現後、培養上清または菌体画分から目的タンパクの精製を容易にするために、従来既知の精製用タグを融合してもよい。具体的には、ヒスチジン6残基(His×6)やグルタチオン−S−トランスフェラーゼのグルタチオン結合部を導入し、融合タンパクとすることができる。これらは、Hisタグの場合、ニッケル等の金属キレートカラムなどにより精製することが容易にできる。GSTタグの場合は、グルタチオンをセファロース等に担体に固定化したカラムにより精製することが可能である。
金を有する被結合対象物は、少なくともその表面の一部に金を有する物質から種々選択して用いることができる。免疫やパニング等により金結合性タンパク質を選択する際は、金以外の物質に対して吸着するタンパク質の混入を除くために被結合対象物表面は金のみであることがより望ましい。表面以外の内部コア基材となる材料は、金は勿論のことその他既知の種々の材料から選択して用いることができる。更に、粒子状、より好ましくは1乃至100μmφの微粒子にすることにより結合に係わる比表面積が増加して好ましく、またパニング終了時の回収の際も遠心分離により容易に回収することができる。また、下記のように市販の種々のプラスチックプレート、例えば培養シャーレ、96穴タイタープレートに金蒸着して用いてもよい。この場合、金表面の接液面積及び攪拌による分子拡散効果を鑑みて、そのサイズ及びウェル数を決定することが好ましい。
金結合性タンパク質と、表面の少なくとも一部が金から形成されている基体とから各種の用途に使用し得る構造体を得ることができる。この基体は、その表面の少なくとも一部に金を配置されたものであり、構造体を形成しうるものであればいかなる材質、形状のものも利用可能である。構造体に用いる基体の材質は、構造体を形成しうるものであればいかなる材質でもよく、金属、金属酸化物、無機半導体、有機半導体、ガラス類、セラミクス、天然高分子、合成高分子、プラスチックから選ばれる何れか1以上或いはその複合体を含んでなる材質である。基体の形状は、構造体を形成しうるものであればいかなる形状でもよく、板状、粒子状、多孔体状、突起状、繊維状、筒状、網目状から選ばれる何れか1以上の形状を含んでなる形状である。
また、基体の大きさは使用用途に応じて種々選択することが可能である。
・標的物質検出用のキット
本発明にかかる金結合性タンパク質に標的物質との結合性を付加した構成を用いて、標的物質検出用のキットを得ることができる。例えば、上記の構造体を形成するための基体及び金結合性複合タンパク質と、該構造体への標的物質の結合を検出するための検出手段と、を有する標的物質検出用キットを構成することができる。例えば、標的物質への金結合性タンパク質を含むタンパク質への結合は、金結合性タンパク質含むタンパク質が結合した状態の標的物質に対して金または金を含む標識物質を付加して、これを物理的あるいは化学的な手法で検出することによって行うことができる。あるいは、標的物質が金を含むものであれば、金結合性タンパク質の金への結合性を利用して、金結合性タンパク質を金を含む標的物質に結合させ、この結合状態を標識を利用して検出することができる。この場合に用いる標識としては接続部材の説明において後述するものを利用できる。更に、例えば、光学的な変化、電気的な変化、あるいは熱的な変化などにおける物理量の変化によって標的物質と金結合性タンパク質との結合を検出することができる。
なお、金結合性タンパク質を含むタンパク質の金に対する結合は、例えば、従来既知の表面プラズモン共鳴測定装置で定量的に測定することができる。表面プラズモン共鳴は、一般にガラス基板上に設けた金薄膜上の屈折率変化を全反射角以下でガラス側から入射させた光によりガラス/金界面で生じるエバネセント波と金薄膜上の自由電子の共鳴(表面プラズモン共鳴)によって生じる共鳴角変化から測定する方法である。測定された屈折率変化を、被対象タンパク質の金への結合量として換算し、評価できる。
「解離定数(KD)」とは、「解離速度(kd)」値を「結合速度(ka)」値で除して求められる値である。これらの定数は、前記モノクローナル抗体またはそれらの断片が金に対する親和性を表す指標として用いられる。前記定数は、種々の方法に従って解析することができるが、本発明においては、測定機器であるBiacore2000(アマシャムファルマシア社製)を用い、前記装置に添付された解析ソフトに従って、得られた結合曲線から解析して得た。
金結合性複合タンパク質は、2以上のドメインから構成され、1以上のドメインが上記の構成の金結合性タンパク質を有するものである。この複合タンパク質には以下の構成のものが例示できる。
(a)上記構成の金結合性タンパク質を含む第一のドメインと、特定の物質に対する結合部位を有するタンパク質を含む第二のドメインと、を有する複合タンパク質。
(b)上記の第一のドメインと第二のドメインに加えて、第一のドメインと複合体を形成する第三のドメイン及び前記第二のドメインと複合体を形成する第四のドメインの少なくとも一方を更に有する複合タンパク質。
(1)第一のドメインと第二のドメインが一本のポリペプチド鎖を形成している構成。
(2)第一のドメインと第二のドメインが一以上のアミノ酸を介して結合されている構成。
(3)第三のドメインと第四のドメインが一本のポリペプチド鎖を形成する構成。
(4)第三のドメインと第四のドメインが一以上のアミノ酸を介して結合されている構成。
(5)第一のドメインと第二のドメインを含んでなる第一のポリペプチド鎖と、第三のドメインと第四のドメインを含んでなる第二のポリペプチド鎖とからなる構成。
(6)第一のドメインと第二のドメインを含んでなる第一のポリペプチド鎖と、第三のドメインと第二のドメインを含んでなる第三のポリペプチド鎖とからなる構成。
(7)第一のドメインと第二のドメインを含んでなる第一のポリペプチド鎖と、第一のドメインと第四のドメインを含んでなる第四のポリペプチド鎖と、からなる構成。
(8)少なくとも第一のドメインと第二のドメイン、及び第三のドメインを含んでなる一つのポリペプチド鎖からなる構成。
(9)少なくとも第一のドメインと第二のドメイン、第四のドメインを含んでなる一つのポリペプチド鎖からなる構成。
(10)第一〜第四のドメインを含んでなる一つのポリペプチド鎖からなる構成。
金結合性複合タンパク質の構成要素としてのタンパク質は、少なくとも二以上のアミノ酸が結合して形成されるポリペプチド鎖を少なくとも一以上含んでなり、それらポリペプチド鎖が特定の立体構造を形成するように折り畳まれて、固有の機能(変換、分子認識等)発揮できる分子のことを言う。また、金結合性複合タンパク質は、少なくとも金に対する結合部位を一以上有し、更に金もしくは金以外の物質との結合部位を少なくとも一以上有する、多価または多重特異性の結合性を示す複合タンパク質で、少なくとも以下を含んでなる複合化されたタンパク質である。好ましい構成としては、金に対する結合部位を有し、少なくとも抗体軽鎖可変領域(VL)または重鎖可変領域(VH)の一部を含む第一のドメインと、特定の物質(以下、標的物質)に対する結合部位を有し、少なくともVHまたはVLの一部を含む第二のドメインを有するものを挙げることができる。(以下、金に結合するVH、VLをVH(G)、VL(G)、標的物質に結合するVH、VLをVH(T)、VL(T)とする。)
抗体重鎖可変領域(VH)、抗体軽鎖可変領域(VL)は、前述したように抗体重鎖及び抗体軽鎖が有する可変領域である。抗体重鎖可変領域(VH)、抗体軽鎖可変領域(VL)は、一般的には各々アミノ酸約110個からなり筒状の構造をとり、逆平行の向きに配置されたβシート群による層状構造が形成され、この層状構造をひとつのSS結合により結合し、非常に安定した構造体を形成している。また、前記可変領域(VHまたはVL)は、抗体の多様な抗原への結合を決定する相補的決定領域(complementarity determining region:CDR)と呼ばれる部分を有することが知られている。前記CDRは、VHまたはVLにそれぞれ3つあり、比較的に多様性の少ないアミノ酸配列であるフレームワーク領域により分離されて配置され、対象となる認識部位の官能基の空間配置を認識することにより、より高度な特異的な分子認識を可能としている。
免疫やパニング等により金結合性タンパク質を選択する際に用いる被結合対象物としては、先に金結合性タンパク質の場合に例示したものが利用できる。
・基体
金結合性複合タンパク質は、基体との組み合わせることで種々の用途に利用できる構造体を得ることができる。この用途に利用できる基体としては、先に金結合性タンパク質の場合に例示したものが利用できる。
・標的物質
金結合性複合タンパク質を、金との結合性を有するドメインと、標的物質に対して結合性を有するドメインとが含まれるように構成することで、標的物質検出用の複合タンパク質として利用することが可能となる。この検出対象としての標的物質としては、抗原抗体反応を用いた各手法によって抗原となり得る物質であれば如何なる分子も用いることが可能である。例えば、標的物質は、非生体物質と生体物質に大別される。
金結合性複合タンパク質を用いて標的物質検出用のキットを構成することもできる。例えば、第二ドメイン及び必要に応じて用いられる第四ドメインに標的物質に対して特異的に結合する抗体及びその変異体を用いた金結合性複合タンパク質と、金を含む表面を有する基体と、基体上に金結合性複合タンパク質を介して固定された標的物質を検出するための検出手段と、を含む標的物質検出用のキットを構成することができる。金基体上に金結合性複合タンパク質を介して固定された標的物質の検出には、前述の表面プラズモン共鳴測定装置を用いて測定することが可能である。また、金を少なくとも一部に含んだ基体を標識物質として標的物質を検出方法が利用できる。このような金基板と標的物質、標識物質と標的物質を仲介する物質としては、前述した金結合性複合タンパク質を利用できる。これらの標的物質を認識し、結合する抗体断片を用いて金結合性複合タンパク質を形成することにより本発明に使用することが可能である。
ヒト成人末梢血Bリンパ球由来Fabライブラリーを鋳型として、VHコード遺伝子を以下のprimerを使用してPCR(タカラバイオ、LAキット)にて推奨の方法に準じDNA複製を行う。プライマーは、以下のように設定した。
・back primers
(配列番号:78)
5'−TCGCAACTGCGGCCCAGCCGGCCATGGCCCAGGTGCAGCTGGTGCAGTCTGG−3'
(配列番号:79)
5'−TCGCAACTGCGGCCCAGCCGGCCATGGCCCAGRTYCAGCTGGTGCAGTCTGG−3'
(配列番号:80)
5'−TCGCAACTGCGGCCCAGCCGGCCATGGCCCAGSTRCAGCTGCAGSAGTCRGG−3'
(配列番号:81)
5'−TCGCAACTGCGGCCCAGCCGGCCATGGCCSARGTGCAGKTGGTGGAGTCTGG−3'
(配列番号:82)
5'−TCGCAACTGCGGCCCAGCCGGCCATGGCCCCAGTGTGAGGTGCAGCTGGTGG−3'
(配列番号:83)
5'−TCGCAACTGCGGCCCAGCCGGCCATGGCCCAGGTGCAGCTACAGSAGTGGGG−3'
・forward primers
(配列番号:84)
5'−ATTCTCGACTGCTAGCTGAGGAGACGGTGACCAGGGT GCC−3'
(配列番号:85)
5'−ATTCTCGACTGCTAGCTGAAGAGACGGTGACCATTGT CCC−3'
(配列番号:86)
5'−ATTCTCGACTGCTAGCTGAGGAGACGGTGACCAGGGT TCC−3'
(配列番号:87)
5'−ATTCTCGACTGCTAGCTGAGGAGACGGTGACCGTGGT CCC−3'
(1)上記Fabライブラリーを鋳型とし、上記プライマーを用いてPCRによるVHコード遺伝子の増幅を行う。PCR条件:95℃×10min、(94℃×1min、60℃×2min、72℃×2min)×35cycle、72℃×6min)。
(3)上記PCR産物及び上記プラスミドをNcoI/NheI(それぞれNew England Biolabs)にて推奨の方法により制限酵素による切断を行う。
上記プラスミド制限酵素切断溶液を、スピンカラム 400HR(アマシャムサイエンス)する。
(4)制限酵素により切断したPCR断片溶液を市販のゲル精製キット(SV Gel and PCR Clean−up system: Promega社)を使用して精製する。
(5)上記二つの断片を、市販のT4リガーゼキット(Roche社)を業者推奨の方法にて調合しライゲーションを行う。図12aに示すVHコード遺伝子挿入ベクターを得る。
(6)ライゲーション産物を用いてエレクトロポレーションによる大腸菌DS12S株の形質転換を行った。ラージスケールでプラスミドの調製を行った。
(7)これらプラスミド溶液を系列希釈し、それぞれの溶液をエレクトロポレーションにて大腸菌BL21(DE3)の形質転換を行い、同溶液にLB培地を700μL添加した後に、37℃にて一時間振盪培養した。培養液を6000rpmで5分間遠心した後に、上清650μLを廃棄した。
(8)残りの上清と沈殿画分を懸濁し、LB/Amp.プレートに撒き、37℃にて一晩静置した。その結果、最終的におよそ5×10 5 クローンを含む抗体VHライブラリーを得た。
(9)次に、上記10 3 倍希釈プレート3枚から任意に1000個のコロニーを選択し、以下の工程でタンパク粗抽出液を調整する。各コロニ−をLB/amp. 3mL液体培地に植え継ぎ、28℃にて6時間振盪培養を行う。次に、IPTGを終濃度1mMとなるように添加し、更に12時間振盪培養を行った。
(10)続いて、遠心(10,500rpm×5min)により、培養画分、上清菌体画分を得た。
(11)得られた菌体画分を氷中で冷却したオスモチック溶液(0.5Mスクロース、1M Tris−HCl(pH8.0)、0.5mMEDTA)200μLを加え、懸濁し、氷中で10分間静置する。次に、冷やした滅菌水を1mLを加え、氷中に1時間静置する。遠心(6000rpm×30min)した後、上清を透析バック(MWCO10,000)に入れ、外液をTris+0.1% Tween20溶液(20mM Tris、500mM NaCl)として、6時間毎に外液を交換しながら18時間透析を行う。
金結合性抗体重鎖可変領域(VH)のスクリーニング用基板として、金蒸着(厚み100nm)した96穴タイタープレートを用意した。実施例1で得られた1000のサンプル溶液250μLを各wellに分注し、1時間緩やかに振盪する。上清を廃棄し、プレートを裏返し、紙タオル上で10回叩き、水分を取り除く。洗浄工程として、Tris+0.1%Tween20 200μLを各wellに加え、10分間緩やかに振盪し、この作業を3回繰り返す。HRP結合抗His抗体(インビトロジェン社)を1:10000でTris+0.1%Tween20溶液で希釈した抗体溶液 200μLを各wellに分注し、1時間緩やかに振盪する。続いて、前記洗浄工程と同様の作業を行う。HRP基質および発色材となるDetect Reagent1及び2(アマシャムサイエンス社)各100μLずつを各wellに分注し、1分間緩やかに浸透する。
ルミノールの化学発光量を定量する。
pelB−back
(配列番号:88)5'−ccgct ggatt gttat tactc gc−3' 上記primerを使用し、業者推奨のシークエンス反応キットと反応液組成によりBigDye−PCR反応を行った。温度サイクルは96℃×3min→(94℃×1min→50℃×1min→68℃×4min)×30cycleとする。次に、エタノール沈殿により精製した前記PCR産物をシークエンサー(ABI社製377)により塩基配列を決定した。その結果、配列番号:58乃至配列番号:74の各配列を得た。
実施例1と同様方法により、ヒト末梢血細胞のFabライブラリーからVL遺伝子ライブラリーを作製する。プライマーは以下のとおり。
・back primer
(配列番号:89)
5'−TCGCAACTGCGGCCCAGCCGGCCATGGCCGMCATYCAGWTGACCCAGTCTCC−3'
(配列番号:90)
5'−TCGCAACTGCGGCCCAGCCGGCCATGGCCGATRTTGTGATGACYCAGWCTCC−3'
(配列番号:91)
5'−TCGCAACTGCGGCCCAGCCGGCCATGGCCGAAATTGTGWTGACGCAGTCTCC−3'
(配列番号:92)
5'−TCGCAACTGCGGCCCAGCCGGCCATGGCCGACATCGWGHTGACCCAGTCTCC−3'
・forward primer
(配列番号:93)
5'−TTCTCGACTTGCGGCCGCACGTTTGATTTCCACCTT GGTCCC−3'
(配列番号:94)
5'−TTCTCGACTTGCGGCCGCACGTTTGATCTCCAGCTTGGTCCC−3'
(配列番号:95)
5'−TTCTCGACTTGCGGCCGCACGTTTGATATCCACTTT GGTCCC−3'
(配列番号:96)
5'−TTCTCGACTTGCGGCCGCACGTTTGATCTCCACCTT GGTCCC−3'
(配列番号:97)
5'−TTCTCGACTTGCGGCCGCACGTTTAATCTCCAGTCG TGTCCC−3'
また、実施例1の(2)におけるタンパク発現用プラスミド作製を作製する際に、NcoI/SacII間のNheIをNotIに変更した以外は同様にしてプラスミドを作製し、用いた。さらに、実施例1の(11)の工程終了時に得られたVLタンパク透析内液を、金結合性抗体軽鎖可変領域(VL)のスクリーニングのサンプルとした。
スクリーニングサンプルを実施例3で得るサンプルとした以外は、実施例2と同様にして金結合性VLのスクリーニングを行なう。その結果、配列番号:75乃至配列番号:77の各配列を得た。
以下の手順により、VL提示ファージライブラリーを作製し、金に結合性を示すファージ群の選択を行なう。
(1)VL提示用ファージミド
ヒト成人末梢血Bリンパ球由来Fabライブラリーを鋳型として、プライマーとして実施例3で用いた配列番号:89乃至配列番号:97を用いてVLコード遺伝子を複製する。更に、M13ファージのコートタンパクであるPIIIタンパクのN末端の一部を欠損させ、更にVLタンパクが融合されて発現されるように作製されたVL提示ファージミド(図12b)のライブラリを使用する。(Biochem Biophys Res Commun. 1996、218,pp682)
(2)VL断片提示ファージライブラリー作製
1)形質転換
上記VLコード遺伝子ライブラリー(350ng/μL)1μLを大腸菌DH12S 40μLにエレクトロポレーション(印加電圧:1.5KV、抵抗:186Ω容量:50μF、)にて形質転換する。次に、以下の手順でVL提示ファージライブラリーを調整する。
2)培養
(i)形質転換後のDH12S溶液にLB培地800μL加え、37℃にて1時間、振盪培養(140rpm)する。
(ii)上記培養液を20mL LB培地+終濃度アンピシリン100μg/mL(LB/amp.)に加え、37℃にて3〜4時間培養する。
(iii)ヘルパーファージであるM13KO7 40μLを加え、更に1時間、100rpmにて振盪培養する。
(iv)50mg/mL カナマイシン溶液を終濃度50μg/mLとなるように加えて、37℃にて振盪培養(100rpm)を行なう。
3)VL提示ファージライブラリーの回収
(i)上記培養液に20%PEG/500mMNaClを5mL加え、氷中に1時間以上放置する。
(ii)遠心(6500rpm×35分間)にて、上清を丁寧に取り除く。
(iii)沈殿をPBSバッファー500μLで懸濁し、VL提示ファージ溶液を得る。
4)VL提示ファージライブラリーのタイター評価
(i)JM109グリセロールストック 10μLをLBに加え、37℃にて振盪培養する。
(ii)上記3)で調整したVL提示ファージ溶液をLB培地により系列希釈溶液を準備する。
(iii)OD600が〜0.5となった(a)培養液750μLに系列(×10-6〜10-10
)希釈液10μLを加え、37℃にて1時間振盪培養する。
(iv)遠心(6000rpm×5min)を行い、培養上清700μLを除く。
(v)残った培地上清と沈殿をピペッティングにて懸濁し、LB/amp.プレートに撒き、37℃にて一晩静置する。
(vi)コロニ−が100以下となる希釈濃度プレート上に生じたコロニーをカウントして、VL提示ファージライブラリー溶液のタイター価とする。
上記作製したファージライブラリー溶液と金微粒子(1.5μmφ:アルドリッチ社製)を用いて以下の方法によるパニング作業を5ラウンド繰り返し、金結合性VLを提示するファージ群を選択することを目的とした。
(i)滅菌済エッペンチューブ(1.5mL)に上記ファージ溶液(溶液中の全ファージ数が1010cfuとなる量)に対して、上記金微粒子溶液(50mg/PBS1mL)10μL、更にPBS+0.1%Tween20(PBST)を全量が1000μLになるように加え、結合反応溶液とした。
(ii)上記結合反応溶液を室温にて緩やかに回転させながら30分間保持した。
(iii)上記(ii)を遠心(10,000rpm×5min)して、溶液上清を丁寧に廃棄する。
2)洗浄(非特異吸着物の洗浄)
(i)上記エッペンチューブ中の金微粒子にPBST500μLを加え、室温にて緩やかに回転させながら10分間保持する。
(ii)遠心(10,000rpm×5min)し、洗浄上清を丁寧に廃棄する。
(iii)上記(i)及び(ii)を10回繰り返す。
3)酸溶出と酸溶出画分のタイター評価
上記2)で得られた金微粒子に吸着したファージタイターの評価を以下の手順にて確認する。
3)−1 酸溶出
(i)先浄後の金微粒子に対して、0.2MGly−HCl(pH2.2)115μL加えた。1分間緩やかに上下に回転させながら保持する。
(ii)遠心(10,000rpm×5min)にて、上清を酸溶出画分として回収する。
(iii)回収した酸溶出画分を1MTris−HCl 15μLを加え、中和する。
(iv)中和後の酸溶出液1μLを系列希釈し、前記タイター評価法によりタイター値を側定する。
(v)残りの酸溶出画分をすばやく金微粒子画分と合わせ、再度懸濁する。
3)−2 タイター評価
(2)―3)、4)と同様にして、タイター評価を行い、以下のような結果を得る。
1ラウンド:9.8×10 2 cfu
2ラウンド:1.0×10 3 cfu
3ラウンド:7.8×10 2 cfu
4ラウンド:1.3×10 3 cfu
5ラウンド:1.1×10 4 cfu
4)再感染及びファージ増幅
4ラウンド目までは、3)で得られた金微粒子に吸着したファージ群を大腸菌に再感染工程を経ることによりファージ数を増幅させて、次パニング用のファージ溶液を準備する。
(i)再感染及びファージ増幅用に大腸菌JM109をLB培地20mLで37℃にて振盪培養(140rpm)する。
(ii)OD600=0.3〜0.5となった(a)の大腸菌培養液に前記3)の金微粒子懸濁液を加え、37℃にて1時間振盪培養(140rpm)を行なう。
(iii)終濃度が100μg/mLになるようにアンピシリンを加え、振盪培養を37℃にて2時間行なう。
(iv)ヘルパーファージM13KO7 40μLを加え、振盪速度を100rpmに落として37℃にて培養を1時間行なう。
(v)終濃度が50μg/mLになるようにカナマイシンを加え、振盪培養を37℃にて終夜培養を行なう。
(vi)(2)―3)、4)と同様の操作により培養上清中のファージを回収し、ファージ溶液を作製する。さらに、タイター値を評価し、増幅されていることを確認する。
以下の増幅後に得られたタイター値を示す。
1ラウンド:2.4×10 9 cfu
2ラウンド:8.1×10 8 cfu
3ラウンド:1.8×10 9 cfu
4ラウンド:1.1×10 10 cfu
(iv)ファージELISA
1)ELISA用金蒸着基板の作製
実施例2と同じ金蒸着(厚み100nm)を行った96穴タイタープレート(BD社、ポリスチレン)を用いて、ファージELISA用の基板とする。
2)VL提示ファージ単クローン調整
前記(3)‐4)の5ラウンド目のタイター評価での×10 4 の希釈プレート上に発現した11個のコロニーをからファージミドを以下の手順により回収する。
(i)各コロニーをLB/amp. 20mLで37℃にて培養する。
(ii)ヘルパーファージM13KO7 40μLを加え、振盪速度を100rpmに落として37℃にて培養を1時間行なう。
(iii)終濃度が50μg/mLになるようにカナマイシンを加え、振盪培養を37℃にて終夜培養を行なう。
(iv)(2)−3)、4)と同様の操作により培養上清中のファージを回収し、ファージ溶液を作製する。さらに、タイター値を評価し、増幅されていることを確認する。
以下の増幅後に得られたタイター値を示す
No.1:3.8×10 9 cfu
No.2:9.0×10 8 cfu
No.3:2.4×10 9 cfu
No.4:1.0×10 9 cfu
No.5:9.7×10 7 cfu
No.6:4.4×10 8 cfu
No.7:6.2×10 9 cfu
No.8:8.9×10 7 cfu
No.9:1.4×10 9 cfu
No.10:1.1×10 10 cfu
No.11:4.9×10 9 cfu
2)ファージ溶液の調整
1)で得られた各ファージ溶液をタイター値が10 9 cfuから順次1/10となるように希釈系列を各200μLを以下の組成で作製する。
VL提示ファージ溶液:xμL
スーパーブロッキングバッファー(PIERCE社):20μL
0.5%Tween20/PBS:x/5μL
PBS:180−(6x/5)μL
3)ELISA
(i)金蒸着タイタープレートに系列希釈したVL提示ファージ溶液をそれぞれ80μL分注し、シェイカーで緩やかに1時間攪拌する。
(ii)ファージ溶液を取り除き、各wellにPBST 90μLを分注して10分間攪拌し、洗浄上清を廃棄する。この作業を3回繰り返す。
(iii)HRP−Anti M13イムノグロブリン/SBB/PBS(1/1000:1:10)溶液75μlを各wellに分注した後に、シェイカーにて1時間緩やかに攪拌する。
(iv)上記イムノグロブリン溶液の上清を廃棄する。次に、PBST 90μL/wellを分注し、10分間攪拌し、洗浄上清を廃棄する。この洗浄作業を3回繰り返す。
(v)detection reagent 1、2(Amasham BIOSIENCE) を各35μL/wellずつ分注し、1分間緩やかに攪拌しながら反応させる。(vi)ルミノールの発光強度を測定した。発光強度の高いNo.1、No.2、No.3を金結合性VL提示ファージクローンとする。
(1)ファージミドの回収
実施例5(3)‐4)の5ラウンド目のタイター評価での×10 4 の希釈プレート上に発現した前記No.7に相当するコロニーからファージミドを以下の手順により回収した。
(i)各コロニーをLB/amp. 1.6mLで37℃にて終夜培養する。
(ii)Minipreps SV plus DNA Purification system(promega)を用い、業者推奨の方法にてファージミドを回収する。
(2)発現ベクター作製
上記3種のVLタンパクを発現する発現ベクターを以下の構成で構築する。実施例1の図11に示すpRA−XX及上記(1)で得られたファージミドを各々のNcoI及びNotIを用いて制限酵素反応により切断する。得られたVL断片をpRA−XXに挿入し、VLコード核酸を融合タンパクとして発現されるプラスミドpRA−VLNo,n(n:クローン番号)を作製する。(図13)
(3)タンパク発現及び精製
以下、上記で得られた3つのVLタンパク発現用ベクターを用いてVLタンパクを発現させる。
1)形質転換
上記発現ベクターを用いて、BL21(DE3)コンピテントセル40μLを形質転換する。形質転換は、ヒートショックを氷中→42℃×90sec→氷中の条件でおこなう。
ヒートショックにより形質転換した上記BL21溶液にLB培地750μLを加え、一時間37℃にて振盪培養を行なう。その後、6000rpm×5分間遠心を行い、培養上清650μLを廃棄し、残った培養上清と沈殿となった細胞画分を攪拌し、LB/amp.プレートに撒き、一晩37℃にて静置する。
2)予備培養
プレート上のコロニーを無作為に選択し、3.0mL LB/amp.培地にて28℃にて一晩振盪培養を行なう。
3)本培養
上記予備培養溶液を2×YT培地 750MLに植え継ぎ、更に培養を28℃にて継続する。OD600が0.8を越えた時点で、終濃度が1mMとなるようにIPTGを加え、更に28℃にて終夜培養を行なう。
4)精製
(i)硫安沈殿
3)で得られた培養液を6000rpm×30min遠心し、培養上清を得た。
得られた培養上清重量を計測し、培養上清重量の60%の硫酸アンモニウムを徐々に加える。一晩4℃にて攪拌する。
(ii)脱塩
(i)液を8000rpm×20minで遠心し、上清を廃棄する。得られた沈殿を20mM Tris/500mM NaCl(以下、Tris溶液)15mLを加え、4℃にて一晩浸し、溶解させる。次に、得られた上記溶解液を透析用セルロースチューブ(三光純薬製)に入れ、外液をTris溶液として4℃にて透析を行い、脱塩を行なう。(外液は6時間毎に交換した)
(iii)金属キレートカラム
金属キレートカラム担体として、His−Bind(Novagen社製)を用いる。カラム調整やサンプル負荷、及び洗浄工程は、前記業者の推奨方法に準拠し、4℃にて行った。目的であるHisタグ融合のVLタンパク溶出は500mMイミダゾール/Tris溶液にて行なう。
溶出液のSDS−PAGE(アクリルアミド15%)の結果、単一バンドであり、精製されていることを確認する。上記溶出液に対して、外液をTris溶液として再び透析を行い、溶出液中のイミダゾールの除去を行なう。更に、外液をリン酸バッファー(以下、PBS)に替え、バッファー置換を行い、SPR用VLタンパク溶液とする。
実施例6で得られたVLタンパク質の金に対する結合性をSPRにて測定した。SPR測定装置として、BIAcore2000(BIAcore社製)を使用し、被結合物の金基板としては同社のSIA−kit Auの金蒸着ガラス基板を使用する。
以下の条件において測定を行なう。
ランニングバッファー:PBST
温度:25℃
流速:20μL/min
サンプル:VLタンパク/PBST
インジェクション量:20μL
結合性が確認される結合カーブを得る(図9)。
上記で得られたVL No,7のDNA配列を以下の方法にて配列を決定した。
シークエンス用プライマーは、VLコード遺伝子上流に位置するpelB配列部に設定した。シークエンス用のprimerは以下のとおり。実施例2と同様に、
pelB−back
(配列番号:88)
5'−ccgct ggatt gttat tactc gc−3'
のprimerを使用し、業者推奨のシークエンス反応キットと反応液組成によりBigDye−PCR反応を行った。温度サイクルは96℃×3min→(94℃×1min→50℃×1min→68℃×4min)×30cycle→4℃とする。次に、エタノール沈殿により精製した前記PCR産物をシークエンサー(ABI社製377)により塩基配列を決定する。以下の結果を得る。No.7は実施例12の配列番号:76と同じ塩基配列である。
以下の手順により、VH提示ファージライブラリーを作製し、金に結合性を示すファージ群の選択を行なう。
(1)VH提示用ファージミド
実施例1と同様にヒト成人末梢血Bリンパ球由来Fabライブラリーを鋳型として、プライマーは実施例1と同様に配列番号:80乃至配列番号:89を使用する。VHコード遺伝子を複製した。更に、M13ファージのコートタンパクであるPIIIタンパクのN末端の一部を欠損させ、更にVHタンパクが融合されて発現されるように作製されたVH提示ファージミド(図12a)のライブラリを使用する。
(2)VH提示ファージライブラリー作製
以下、(1)を用いたことを除いては実施例5(2)と同様にしてVH提示ファージライブラリーを作製する。得られるVH提示ファージライブライリー溶液: 1×10 9 cfu/μL
(3)金微粒子を用いたVHパニング
上記(2)で作製したファージライブラリー溶液を用いた以外は、実施例5(3)と同様に金結合性VHを提示するファージ群を選択するパニングを行なう。
1)結合実験
以下、実施例5と同様の2)洗浄、3)酸溶出及びタイター評価を行った。
1ラウンド:9.8×10 2 cfu
2ラウンド:1.0×10 3 cfu
3ラウンド:7.8×10 2 cfu
4)再感染及びファージ増幅
実施例5と同様の方法で行った。以下の増幅後に得られたタイター値を示す。
1ラウンド:2.4×10 9 cfu
2ラウンド:8.1×10 8 cfu
(4)ファージELISA
(1)EISA用金蒸着基板の作製
実施例5と同様ファージELISA用の基板とした。
2)VH提示ファージ単クローン調整
前記VHパニング作業の3ラウンド目のタイター評価での×10 4 の希釈プレート上に発現した20個のコロニーからファージミドを実施例1と同様にして回収した。以下の得られたVH提示ファージ単クローン溶液のタイター値を示す。
No.1:3.8×10 9 cfu
No.2:9.0×10 8 cfu
No.3:2.4×10 9 cfu
No.4:1.0×10 9 cfu
No.5:9.7×10 7 cfu
No.6:4.4×10 8 cfu
No.7:6.2×10 9 cfu
No.8:8.9×10 7 cfu
No.9:1.4×10 9 cfu
No.10:1.1×10 10 cfu
No.11:4.9×10 9 cfu
No.12:9.0×10 8 cfu
No.13:2.4×10 9 cfu
No.14:1.0×10 9 cfu
No.15:9.7×10 7 cfu
No.16:4.4×10 8 cfu
No.17:6.2×10 9 cfu
No.18:8.9×10 7 cfu
No.19:1.4×10 9 cfu
No.20:1.1×10 10 cfu
2)ファージ溶液の調整
1)で得られた各ファージ溶液をタイター値が10 9 cfuから順次1/10となるように希釈系列を各200μLを以下の組成で作製した。
VH提示ファージ溶液:xμL
可溶化VL溶液(50ng):1μL
スーパーブロッキングバッファー(PIERCE社):20μL
0.5%Tween20/PBS: x/5μL
PBS:179−(6x/5)μL
3)ファージELISA
実施例1と同様の作業にてファージELISAを行った。
比較であるVHライブラリー溶液よりも発光強度の高い3クローンを金結合性VH提示ファージクローンとした。(No.2、4、6)
実施例10(金親和性VHタンパクの取得)
上記3ファージクローンよりファージミドを単離し、それらの発現ベクターを作製した後にタンパクを発現させて表面プラズモン共鳴(SPR)金基板上に結合性を確認する。更にそれらの金結合性VHの塩基並びにアミノ酸配列を明らかにする。
(1)ファージミドの回収
3ラウンド目のタイター評価での×10 4 の希釈プレート上に発現した15クローンに対応するコロニーからファージミドを以下の手順により回収した。
(a)各コロニーをLB/amp. 1.6mLで37℃にて終夜培養した。
(b)Minipreps SV plus DNA Purification system(promega)を用い、業者推奨の方法にてファージミドを回収した。
(2)発現ベクター作製
上記3種のVHタンパクを発現する発現ベクターを以下の構成で構築する。
PET−15b(Novagen社)のマルチクローニングサイトを変更し、pUT−XXとする。前記pUT−XX及上記(1)で得られたファージミドを各々のNcoI及びNheIを用いて制限酵素反応により切断する。得られたVH断片をpUT−XXに挿入し、VHコード核酸を融合タンパクとして発現されるプラスミドpRA−7sn,(n:上記ファージクローン番号)を作製する。(図14)
(3)タンパク発現及び精製
上記(発現ベクターを、個別の系において以下に記すタンパク発現及び精製工程で処理を行い、3種類(7s2、7s4、7s6)のVHとして取得する。
1)形質転換
上記2つの発現ベクターを、それぞれ異なるBL21(DE3)コンピテントセル溶液 40μLを形質転換する。形質転換は、ヒートショックを氷中→42℃×90sec→氷中の条件でおこなう。ヒートショックにより形質転換した上記BL21溶液にLB培地750μLを加え、一時間37℃にて振盪培養を行った。その後、6000rpm×5分間遠心を行い、培養上清650μLを廃棄し、残った培養上清と沈殿となった細胞画分を攪拌し、LB/amp.プレートに撒き、一晩37℃にて静置する。
2)予備培養
プレート上のコロニーを無作為に選択し、3.0mL LB/amp.培地にて28℃にて一晩振盪培養を行う。
3)本培養
上記予備培養溶液を2×YT培地 750MLに植え継ぎ、更に培養を28℃にて継続した。OD600が0.8を越えた時点で、終濃度が1mMとなるようにIPTGを加え、更に28℃にて終夜培養を行う。
4)精製
目的のポリペプチド鎖を不溶性顆粒画分から以下の工程により精製する。
(i)不溶性顆粒の回収
上記3)で得られた培養液を6000rpm×30minにて遠心し、沈殿を菌体画分として得る。得られた菌体をトリス溶液(20mM トリス/500mM NaCl)15mlに氷中にて懸濁する。得られた懸濁液をフレンチプレスにて破砕し、菌破砕液を得る。
次に、菌破砕液を12,000rpm×15minで遠心を行い、上清を除き、沈殿を不溶性顆粒画分として得る。
(ii)不溶性顆粒画分の可溶化
(a)で得られた不溶性画分を6M 塩酸グアニジン/トリス溶液 10mLを加えて、一晩浸漬する。次に、12,000rpm×10minで遠心し、上清を可溶化溶液として得る。
(iii)金属キレートカラム
金属キレートカラム担体として、His−Bind(Novagen社製)を用いる。カラム調整やサンプル負荷、及び洗浄工程は、前記業者の推奨方法に準拠し、室温(20℃)にて行う。目的であるHisタグ融合のポリペプチドの溶出は60mMイミダゾール/Tris溶液にて行う。溶出液のSDS−PAGE(アクリルアミド15%)の結果、単一バンドであり、精製されていることを確認する。
(iv)透析
上記溶出液に対して、外液を6M 塩酸グアニンジン/Tris溶液として4℃にて透析を行い、溶出液中のイミダゾールの除去を行い、上記それぞれのポリペプチド鎖溶液を得る。
(v)リフォールディング
上記と同様にして、VHg−VLh及びVHh−VLgのそれぞれのポリペプチド鎖溶液を以下の工程により別個に、脱塩酸グアニンジンを透析(4℃)にて行いながらタンパク質のリフォールディングを行う。
a) 6M 塩酸グアニジン/Tris溶液を用い、それぞれのポリペプチド鎖の盛る急行係数とΔO.D.(280nm−320nm)値から濃度7.5μMのサンプル(希釈後体積10ml)を調整する。次にβ−メルカプトエタノール(還元剤)を終濃度375μM(タンパク濃度50倍)になるよう添加、室温、暗所で4時間還元を行う。このサンプル溶液を透析バック(MWCO:14,000)に入れ、透析用サンプルとする。
b)透析外液を6M塩酸グアニンジン/トリス溶液として、透析サンプルを浸漬し、緩やかに攪拌しながら6時間透析する。
c)外液の塩酸グアニジン濃度を3M、2Mと段階的に下げる。それぞれの外液濃度において、6時間透析する。
d)酸化型グルタチオン(GSSG)を終濃度375μM、L−Argを 終濃度0.4M)となるようにトリス溶液に加え、上記3)の2Mの透析外液を加え、塩酸グアニジン濃度が1Mとし、pHをNaOHで、pH8.0(4℃)に調整した溶液にて、12時間緩やかに攪拌しながら透析する。
e)d)と同様の作業にて塩酸グアニジン濃度0.5Mの含L−Arg トリス溶液を調製し、更に12時間透析する。
f)最後にトリス溶液にて12時間透析する。7)透析終了後、10000rpmで約20分遠心分離し凝集体と上清を分離する。
実施例10で得られたVHタンパク質の金に対する結合性を実施例15と同様にしてSPRにて測定した。7s2、7s4、7s6とも結合性が確認される結合カーブを得た。図10に代表例を示す)。カーブフィッティングによって以下のKDを得た。7s2:KD=5.0×10M-8
7s4:KD=8.0×10M-9
7s6:KD=3.0×10M-7
実施例12(VHタンパクの塩基及びアミノ酸配列の決定)
上記で得られた3つのVH提示ファージミドのDNA配列を実施例2と同様の方法にて配列を決定した。シークエンス用プライマーは、VHコード遺伝子上流に位置するpelB配列部に設定した。実施例2と同様のシークエンス用primerを用い、同様の手順にて解析を行ない、異なる3配列を得た。それらが実施例10で得られる配列番号:59乃至配列番号:61で同じ配列である。
実施例6で得たVLクローン:No.7と実施例10で得たVHクローン:7s2を各50nMPBST溶液を調整した。4℃にて一日間保存した。上記混合溶液を用いて、実施例7と同様にしてSPR測定を行った。その結果、実施例7または実施例11に比べ低濃度で金との結合性を確認できた。混合することにより複合体(Fv)形成され構造安定化による結合性向上が示唆された。(図3)
実施例14(金結合性scFvの取得)
実施例6で得たVLクローン:No.7と実施例10で得たVHクローン:7s4からなるscFvを以下の手順にて作製した。
(1)発現ベクター作製
VL(No.7)コード遺伝子、リンカー(GGGGS)×3、VH(7s4)コード遺伝子、His×6(以下、Hisタグ)連続して翻訳され、融合タンパクとして発現されるような発現ベクターを作製した。
具体的な作製方法については、図15に記す。
プライマーとしては以下を用いる。
scFv−B(配列番号:117)
5'−NNNNNCCATGGCCGGGGGCGGGGGCAGCGGGGGCGGGGGCAGCGGGGGCGGGGGCAGCCAGGTGCAGTTGGTGGAGTCT−3'
scFv−F(配列番号:118)
5'−NNNNNCCGCGGAACCATTCAGATCCTCTTCT−3'
(2)タンパク発現及び精製
以下、上記で得られたscFvタンパク発現用ベクターを用いてscFvタンパクを発現・精製した。
1)タンパク発現
上記発現ベクターを大腸菌BL21(DE3)を形質転換し、培養は2xYT培地を用い28℃で行う。O.D.600=約0.8となったところで、終濃度1mMのIPTGにより発現を誘導し、一晩振盪培養する。菌体を6000rpm×20minにて遠心を行い、培養上清画分と菌体画分を得た。これらサンプルを既知の方法によりSDS−PAGEにより電気泳動を行い、目的のタンパクの発現量を確認した。その結果、培養上清画分への分泌は非常に少ないことがわかった。そこで目的タンパクを菌体画分から精製する為に以下の手順でサンプルを調製した。まず、菌体をPBS 15mLで再懸濁し、さらにPBS 25mLをえ、フレンチプレスによる菌体破砕を行った。得られた破砕液を12000rpm×15minで遠心を行い、沈殿画分を不溶性顆粒として得た。得られた不溶性顆粒を6M塩酸グアニジン/Tris溶液で一晩浸漬し、可溶化し、金属キレートカラム用サンプルとした。
2)金属キレートカラム精製
ランニングバッファーを6M塩酸グアニジン/5mMイミダゾール/Tris溶液とし、溶出時のイミダゾール濃度を100mM、展開温度を室温(20℃)とした以外は実施例2と同様にして精製を行った。
3)透析
2)で得られた溶出画分を透析用セルロースチューブ(三光純薬製)に入れ、外液を6M塩酸グアニンジン/1mMEDTA/Tris溶液として4℃にて透析を行い、イミダゾール除去を行った。(外液は6時間毎に交換した)
3)タンパク質の再構築
2)で得たscFv溶液をTris溶液で7.5μMに調整し、サンプルとした。上記溶液に対して、外液の塩酸グリシン濃度を段階的に下げることにより、内液中の塩酸グアニジン濃度を下げるとともにscFv構造の再構成を行った。
(a) 6M 塩酸グアニジン/Tris溶液を用い、目的タンパクのアミノ酸配列から概算されるモル吸光係数とO.D.(280nm)か7.5μMのサンプルを調整した。(b) 次にβ−メルカプトエタノール(還元剤)を終濃度375μMになるよう添加、室温、暗所で4時間静置した。
(c) サンプルを前記と同様の透析膜に入れ、外液(6M 塩酸グアニジン/Tris溶液)に加え、4℃で約6時間透析する。
(d) 以降、6時間毎に外液を2回交換した。その際に、外液の塩酸グアニジン濃度は3M→2Mと段階的に下げながら透析を行った。
(e) 次に、酸化型グルタチオン(GSSG)を終濃度375μM、L−Argを 終濃度0.4M)となるようにTris溶液に加え、更に上記(d)の透析外液(2M)を加えることで塩酸グアニジン濃度を1Mとして、pHをNaOHで、pH8.0(at 4℃)に調整した外液を用いて4℃で約12時間透析する。
(f) (e)と同様の作業にて0.5M塩酸グアニジン/Tris溶液を作製し、4℃で約12時間透析する。
(g) 最後に、外液をTris溶液に交換して4℃で約12時間透析する。
(h) 透析終了後、10000rpmで約20分遠心分離し凝集体画分と上清画分を分離する。上清画分をSDS−PAGE電気泳動で確認したところ、上清画分に目的のタンパクが可溶化されていることを確認した。VLに前記No.7クローンを配し、VHに7s2を配したscFvを取得した。
実施例14で得られたscFvタンパク質の金に対する結合性を実施例3と同様にしてSPRにて測定した。金結合性を示す結合カーブが得られた。(図17)
実施例16(Au特異性の確認)
実施例15で得られたscFvタンパク質の金特異性を確認した。確認用の基板として、3mm×5mmのシリコン基板上に70μmφの大きさの円形パターニングを金蒸着(厚さ 50nm)する。上記基板表面をイソプロピルアルコール、アセトン、塩酸と順次10分間浸漬して表面洗浄する。(溶液を替える毎に純水にて洗浄、乾燥する。)上記基板を実施例6で得られたscFv溶液を1μMに調整した溶液に1時間浸漬する。続いて、PBSTにて10分間緩やかに攪拌しながら洗浄する。この作業を3回繰り返し、洗浄液を捨てる。次に、上記基板を100nM 抗Hisタグ抗体/PBST溶液に1時間緩やかに攪拌しながら浸漬する。続いて、PBSTにて10分間緩やかに攪拌しながら洗浄する。この作業を3回繰り返し、洗浄液を捨てる。更に、上記基板を100μM ロドプシン結合抗IGg抗体/PBST溶液に1時間緩やかに攪拌しながら浸漬する。続いて、PBSTにて10分間緩やかに攪拌しながら洗浄する。この作業を3回繰り返し、洗浄液を捨てる。その後、蛍光顕微鏡にて基板を観察した。その結果、金蒸着した円形部のみに蛍光が観察され、シリコン部には蛍光は見られなかった。実施例15で得られたscFvの金特異性が確認できた。
実施例16における1μM scFvで金蒸着シリコン基板を処理した以外は、同じ作業にて前記基板を処理した。蛍光顕微鏡による観察の結果、シリコン部のみだけでなく、金蒸着した円形部にも蛍光は確認できなかった。
酸化珪素親和性ペプチドIPHVHHKHPHVを上記実施例scFvのC末端に融合したタンパク質を以下の工程により作製する。
(1)発現ベクター作製
(a)上記(実施例14)で得られたpUT−scFv(VL#No,7×7s4)をテンプレートして以下のプライマーを用い、PCRを行う。
SiscFv−B(配列番号:119)
5'−NNNNNCCATGGCCCAGGTGCAGTTGGTGGAGT−3'
SiscFv−F(配列番号:120)
5'−NNNNNCCGCGGCACGTGGGGGTGCTTGTGGTGCACGTGCATGGGGATAACCATTCAGATCCTCTTCT−3'
尚、PCRは市販のPCRキット(タカラバイオ LA−Taqキット)を使用し、業者推奨のプロトコールに従い行う。
(b)その結果得られたPCR産物を2%アガロース電気泳動を行う。次に、ゲル抽出キット(Promega社)を使用してゲルから粗精製を行い、約400bpのPCR断片を得る。シークエンスの結果、目的の塩基配列を有することを確認する。
(c)pUT−scFv(7s4)及び上記(b)で得られたPCR断片を、NotI/SacIIを用いて、切断する。次いで、アガロース電気泳動を行い、Vector側及びInsert側でそれぞれ目的の断片を精製する。
(d)上記(c)でえら得た精製した核酸断片を、Vector:Insert=1:5となるように混合し、実施例1と同様にしてライゲーション反応を行う。
以下、形質転換、プラスミド回収、挿入断片の確認については実施例6と同様に行う。
上記得られた発現用プラスミドを用いて、実施例10と同様の方法にてタンパク発現及び精製を行い、目的であるタンパク質を得る。
(1)金結合性VHコード核酸断片の調整
金結合性VH:7s4(配列番号:60)の5末端側に制限酵素NcoI切断部位、3'末端側に制限酵素NheIを配置したベクター導入用の金結合性VH(以下、VHg)を作製するために、プライマーとして、
gVH−B(配列番号:121)
5'−NNNNN CCATGG CCGAC CAGG TGCAG TTGGT GGAGT CT−3'
gVH−F(配列番号:122)
5'NNNNN GCTAG C GGAGA CGG TGACCAGGGT−3'
を使用して、市販のPCRキットを当業者の推奨する調合にてPCRを行い、約350bpの塩基対を得る。上記VHB−Fを使用し、市販のシークエンス反応キットと反応液組成によりBigDye−PCR反応を行った。温度サイクルは96℃×3min→(94℃×1min→50℃×1min→68℃×4min)×30cycle→4℃とする目的のVHをコードする塩基配列を有する断片が得られたことを確認する。
(2)金結合性VLコード核酸断片の調整
金結合性VL(配列番号:76)の5末端側に制限酵素NheI部位及びリンカー(GGGGS)をコードする核酸、3'末端側にHis×6に引き続き、制限酵素SacIIを配置したベクター挿入用の金結合性VL(以下、VLg)(配列番号:99)を作製するために、プライマーとして
gVL−B(配列番号:123)
NNNNN GCTAGC GGTGGCGGTGGCTCT GAAATTGTGTTGACGCAGTCT、及び
gVL−F(配列番号:124)
NNNNN CCGCG GCACG TTTAA TCTCC AGTCG TGT
を使用する以外は、(1)と同様にして核酸断片を得て、目的のVLの塩基配列を有することを確認する。
(3)HEL結合性VHコード核酸断片の調整
HEL結合性VH(配列番号:125)の5末端側に制限酵素NcoI切断部位、3'末端側に制限酵素NheIを配置したベクター導入用のHEL結合性VH(以下、VHh)を作製するために、プライマーとして、
hVH−B(配列番号:126)
5'−NNNNN CCATGG CCGAC GATATCCAGCTGCAGGAGTCGGGCCC−3、及び
hVH−F(配列番号:127)
5'NNNNN GCTAG C GGAGA CGG TGACGTCTGT−3
を使用する以外は、(1)と同様にして核酸断片を得て、目的のVHの塩基配列を有することを確認する。
(4)HEL結合性VLコード核酸断片の調整
HEL結合性VL(配列番号:128)の5末端側に制限酵素NheI切断部位及びリンカー(GGGGS)をコードする核酸、3'末端側にHis×6に引き続き、制限酵素SacII切断部位を配置したベクター挿入用のHEL結合性VL(以下、VLh)を作製するために、プライマーとして、
hVL−B(配列番号:129)
NNNNNGCTAGCGGTGGCGGTGGCTCTGATATCGTCCTGAC CCAGAG、及び
hVL−F(配列番号:130)
NNNNN CCGCG GCCTT GATCT CCAGC TTGGT GC
を使用する以外は、(1)と同様にして核酸断片を得て、目的のVLの塩基配列を有することを確認する。
上記4種の核酸断片用いてを2つの発現ベクターを以下の構成で構築する。
(1)VHg−VLh発現用ベクター(pGHEL)の作製 (図15)
(i)VHgの挿入
前記プラスミドpUT−XXを、制限酵素NcoI/NheI(ともにNew England Biolabs社)で切断し、スピンカラム 400HR(アマシャムサイエンス)する。次に、同様に制限酵素NcoI/NheIにて切断したVHgを切断し、切断断片を市販のゲル精製キット(SV Gel and PCR Clean−up system: Promega社)を使用して精製する。上記二つの断片を、市販のT4リガーゼキット(Roche社)を業者推奨の方法にて調合しライゲーションを行う。
得られたプラスミドを、gVH−Fを使用して前記シークエンス方法にて塩基配列を確認したところ、目的の断片が挿入されていることを確認する。
(ii)VLHの挿入
上記1)で得られたプラスミドpUT-VHgを制限酵素NheI/SacIIで切断し、スピンカラム 400HR(アマシャムサイエンス)する。次に、同様に制限酵素NheI/SacIIにて切断したVLhを得る。以下、上記(a)と同様にして、ライゲーション及び目的のVHg−VLH発現用プラスミドpGHELであることを確認する。(確認用プライマーは、hVL−F)
(2)VHh−VLg 発現用ベクター(pHGOLD)の作製(図16)
(iii)VHhの挿入
上記(i)と同様の方法にてVHhをプラスミドpUTに挿入し、得られたプラスミドが目的のプラスミドであることを確認する。(確認用プライマーは、hVH−F)
(iv)VLgの挿入
VLgを上記(iii)で得られたプラスミドに上記(b)と同様の方法にて挿入し、得られたプラスミドが目的のVHH−VLg発現用ベクターpHGOLDであることを1)と同様にして確認する。(確認用プライマーは、gVL−F)
実施例20(タンパク発現及び精製)
上記実施例19の(ii)で得られたVHg−VLh、及び実施例19の(iv)で得られたVHh−VLgのポリペプチドを発現する発現ベクターを、個別の系において以下に記すタンパク発現及び精製工程で処理を行い、それぞれポリペプチド鎖VHg−VLh及びVHh−VLgとして取得する。
1)形質転換
上記2つの発現ベクターを、それぞれ異なるBL21(DE3)コンピテントセル溶液 40μLを形質転換する。形質転換は、ヒートショックを氷中→42℃×90sec→氷中の条件でおこなう。ヒートショックにより形質転換した上記BL21溶液にLB培地750μLを加え、一時間37℃にて振盪培養を行った。その後、6000rpm×5分間遠心を行い、培養上清650μLを廃棄し、残った培養上清と沈殿となった細胞画分を攪拌し、LB/amp.プレートに撒き、一晩37℃にて静置する。
2)予備培養
プレート上のコロニーを無作為に選択し、3.0mL LB/amp.培地にて28℃にて一晩振盪培養を行う。
3)本培養
上記予備培養溶液を2×YT培地 750MLに植え継ぎ、更に培養を28℃にて継続した。OD600が0.8を越えた時点で、終濃度が1mMとなるようにIPTGを加え、更に28℃にて終夜培養を行う。
4)精製
目的のポリペプチド鎖を不溶性顆粒画分から以下の工程により精製する。
(i)不溶性顆粒の回収
上記3)で得られた培養液を6000rpm×30minにて遠心し、沈殿を菌体画分として得る。得られた菌体をトリス溶液(20mM トリス/500mM NaCl)15mlに氷中にて懸濁する。得られた懸濁液をフレンチプレスにて破砕し、菌破砕液を得る。
次に、菌破砕液を12,000rpm×15minで遠心を行い、上清を除き、沈殿を不溶性顆粒画分として得る。
(ii)不溶性顆粒画分の可溶化
上記(i)で得られた不溶性画分を6M 塩酸グアニジン/トリス溶液 10mLを加えて、一晩浸漬する。次に、12,000rpm×10minで遠心し、上清を可溶化溶液として得る。
(iii)金属キレートカラム
金属キレートカラム担体として、His−Bind(Novagen社製)を用いる。
カラム調整やサンプル負荷、及び洗浄工程は、前記業者の推奨方法に準拠し、室温(20℃)にて行う。目的であるHisタグ融合のポリペプチドの溶出は60mMイミダゾール/Tris溶液にて行う。溶出液のSDS−PAGE(アクリルアミド15%)の結果、単一バンドであり、精製されていることを確認する。
(iv)透析
上記溶出液に対して、外液を6M 塩酸グアニンジン/Tris溶液として4℃にて透析を行い、溶出液中のイミダゾールの除去を行い、上記それぞれのポリペプチド鎖溶液を得る。
(v)リフォールディング
上記と同様にして、VHg−VLh及びVHh−VLgのそれぞれのポリペプチド鎖溶液を以下の工程により別個に、脱塩酸グアニンジンを透析(4℃)にて行いながらタンパク質のリフォールディングを行う。
(a) 6M 塩酸グアニジン/Tris溶液を用い、それぞれのポリペプチド鎖のモル吸光係数とΔO.D.(280nm−320nm)値から濃度7.5μMのサンプル(希釈後体積10ml)を調整する。次にβ−メルカプトエタノール(還元剤)を終濃度375μM(タンパク濃度50倍)になるよう添加、室温、暗所で4時間還元を行う。このサンプル溶液を透析バック(MWCO:14,000)に入れ、透析用サンプルとする。(b)透析外液を6M塩酸グアニンジン/トリス溶液として、透析サンプルを浸漬し、緩やかに攪拌しながら6時間透析する。
(c)外液の塩酸グアニジン濃度を3M、2Mと段階的に下げる。それぞれの外液濃度において、6時間透析する。
(d)酸化型グルタチオン(GSSG)を終濃度375μM、L−Argを 終濃度0.4M)となるようにトリス溶液に加え、上記(c)の2Mの透析外液を加え、塩酸グアニジン濃度が1Mとし、pHをNaOHで、pH8.0(4℃)に調整した溶液にて、12時間緩やかに攪拌しながら透析する。
(e)上記(d)と同様の作業にて塩酸グアニジン濃度0.5Mの含L−Arg トリス溶液を整し、更に12時間透析する。
(f)最後にトリス溶液にて12時間透析する。
(g)透析終了後、10000rpmで約20分遠心分離し凝集体と上清を分離する。
(vi)2量化画分の精製
上記(v)で得られた個々の5μM ポリペプチド(VHg−VLh、VHh−VLg)溶液を混合し、4℃にて一晩する。次に、セファデックス75カラム(カラム:バッファー 20mM トリス、500mM NaCl、流速 1ml/min)にて二量体化した60kDa相当(インジェクションから約18分)のフラクションを得る。これをSPR測定用サンプルとする。
実施例20で得られた2量化タンパク質画分の金に対する結合性をSPRにて測定する。SPR測定装置として、BIAcore2000(BIAcore社製)を使用し、被結合物の金基板としては同社のSIA−kit Auの金蒸着ガラス基板を使用した。以下の条件において測定を行う。サンプルとして、実施例15で得た2量化タンパク質画分 500nM(前記と同様にして、吸光度より算出)を使用する。
ランニングバッファー:0.1%Tween20/トリス溶液:TBST
温度:25℃
流速:20μL/min
サンプルインジェクション量:40μL
金に対する結合性を示すが結合カーブを得る(図18)。
実施例21において金結合性をSPR評価したサンプルに引き続き、連続して1μM HEL溶液をインジェクションし、金に結合した2量化タンパク質画分のHELに対する結合性をSPRにて測定する。図に示すHELに対する結合性を示すが結合カーブを得る(図18)。
実施例22で得られた金結合性タンパク質及びHELが結合したSPRチップの金基板を用いて以下の実験を引き続き行った。上記金基板を1μM 抗HEL抗体/PBST溶液をインジェクションする。その後、PBSTにて洗浄する。更に、1μM ロドプシン結合抗IGg抗体/PBST溶液をインジェクションした後に、PBSTで洗浄する。その後、SPR装置から上記SPRチップを取り出し、蛍光顕微鏡にて基板を観察する。その結果、金基板上にSPRの流路上に蛍光が観察される。
未使用の金蒸着基板を用いて、実施例23と同様の作業を行なう。その結果、金基板上に蛍光が観察されない。
実施例20における(i)乃至(v)と同様の工程で得られる巻き戻しポリペプチド鎖VHg−VLhを作製し、5μM VHg−VLh/トリス溶液を得る。
実施例24で得られるVHg−VLh/トリス溶液を500nMにトリス溶液で希釈し、実施例20と同様にして金基板に対する結合性をSPRにより評価する。更に連続して1μM HEL溶液をインジェクションし、金に結合した2量化タンパク質画分のHELに対する結合性をSPRにて測定する。金及びHELに対する結合性を示すが結合カーブを得る。
実施例25において、0.5μM 抗HEL抗体 VL/トリス溶液を共存させた一晩静置してサンプルを調整する。
実施例26で調整したサンプルに対して、実施例15と同様にして金基板に対する結合性をSPRにより評価する。更に、実施例16と同様にして、連続して1μM HELをインジェクションしてHELに対する結合性をSPRにて測定する。結合性を示す結合カーブを得る。
実施例28(HEL検出イムノクロマトグラフィー装置の作製)
検出方法例としてHELを検出するイムノクロマトグラフィー装置を作製する。
1)抗HEL抗体を固相化したイムノクロマトグラフィー用多孔質担体の作製 ニトロセルロースシート(BAS−85、シュライヒャー−シュエル社製)を5 mm×30 mmに切断し、その端より10 mmの位置に抗HEL抗体溶液0.5 mg/mL(日本バイオテスト社製)を直線状に塗布し、検出部位を作製する。室温にて2時間静置させ、液体を乾燥し、抗体をシート状に固着する。1%スキムミルク(ディフコ社製)/PBST溶液で、上記シートを2時間振盪してブロッキングを行った後、室温にて静置してイムノクロマトグラフィー用担体を用意する。
2)金標識抗HEL抗体断片の調整及び保持担体の作製
(i)金標識抗HEL抗体断片の作製
実施例20で作製した金/HEL二重特異性抗体断片を用いて以下の工程で作製する。金微粒子分散溶液(粒子径50 nm、田中貴金属社製)に実施例20で作製した金/HEL二重特異性抗体断片を加え充分混和して、室温、3時間反応を行う。未反応の金/HEL二重特異性抗体断片を除去するため12,000rpm、5分間遠心分離を行い、上清を取り除き、沈降物を得た。得られた沈降物をPBST1.0 mLで懸濁した。更に、上記条件において遠心を行う。得られた沈降物を、1%BSA/PBST1.0 mLに懸濁する。
(ii)金標識抗HEL抗体断片保持担体の作製
上記金標識抗HEL抗体断片溶液5μL及び各種塩基の10%水溶液5μLをベンリーゼ不織布(旭化成社製)5 mm×5 mmに含浸させ風乾し、金標識抗HEL抗体断片保持担体を作製した。
3)試験片型イムノクロマトグラフィー装置の作製
上記1)で作製した上記イムノクロマトグラフィー用担体の一方の端から2.5 mmの位置まで上記2)(ii)金標識抗HEL抗体断片保持担体を重ねた。さらに上記抗体断片保持担体上に液体試料吸収用担体(ろ紙No.526 アドバンテック東洋社製)を重ねた。また、免疫クロマトグラフィー用支持体のもう一方の端から5 mmの位置まで過剰試料吸収部位用担体 (ろ紙No.526)を重ねた。最後に裏側にテープを貼り、全体を固定化して試験片型免疫クロマトグラフィー装置を作製した。標準HEL溶液を用いた試験の結果、抗HEL抗体固定化部が赤色に呈色するのが確認される。
金電極を用いたタンパク質検出法の一例を示す。
1)ガラス基板上に2つの金電極を設ける。電極間の距離は20μmとする。前記ガラス基板の金電極間に、0.1%ポリ−L−リジン(シグマ社)水溶液20μLを滴下し、3時間静置する。
次に、水洗浄を行った後にエタノールで洗浄処理を3回行い、乾燥する。
2)次いで、抗HELポリクローナル抗体(ROCKLAND社)をProteomics、3、pp254(2003)に基づいて上記(a)で得られたガラス基板への固定化を行う。
3)実施例20で作製した金/HEL二重特異性抗体断片 PBST溶液と20nm金ナノ粒子(田中貴金属社製)を反応させる。(比較として、PBST溶液)
4) 1)で得られた抗HEL抗体固定化基板に、1μM HEL/PBS溶液を付加する。
5) 次いで。3)に2)で得られた金結合タンパク質溶液を付加する。
6) 4)で得られた基板をPBS溶液にて3回洗浄する。その後、銀増幅溶液(シグマ・ケミカル社、Silver Enhanceer Solution)中に5分間浸漬し、水で洗浄した。 電極間の電気抵抗が比較サンプルのPBSTのみと比べて低下することが確認される。
(1)NheI−VHh−SacII断片の作製
同じく実施例19にて作製したpHGoldを鋳型に末端にそれぞれNheI/SacIIを有するVHh断片をPCRにて作製する。
プライマーとして以下を用いる。
NheI−VHh_f(配列番号131)
NNNNNGCTAGCCAGGTGCAGTTGGTGGAGTCT
VHh−SacII_r(配列番号132)
NNNNNCCCGCGGATGAGGAGACGGTGACCAGGGTT
上記プライマーを使用し、pfu−turboを当業者推奨方法によりPCRを行う。
得られるPCR反応液をアガロースゲル(2%)電気泳動を行い、約350bpの断片を得ること確認する。
(2)VHg―VHhDNA断片作製
上記実施例19にて作成したpGHELのVLh部分に上記(1)で得られたVHh断片を導入する。上記(1)で得られたPCR断片及びpGHELをNheI/SacII(ともにタカラバイオ株式会社製)にて切断する。制限酵素反応は当業者推奨方法にて行う。得られる反応溶液をそれぞれアガロース電気泳動を行い、ゲル精製を行う。(PCR断片:アガロース2%、pGHEL:アガロース1%とする。)ゲル精製には、上述したゲル精製キットにて行う。上記で得られる制限酵素後のPCR断片が約350bp、プラスミド断片3000bpであることを確認し、以下、実施例19と同様の方法にて新規プラスミドが得られる。得られるプラスミドをシークエンサーにより塩基配列を確認し、目的の塩基配列であることを確認する。(このプラスミドをpHgHhとする。)
(3)酵母発現プラスミドへの挿入
PCRは上記同様の業者推奨方法による。
酵母(Pichia pastris)発現プラスミドとしては、pPCIZαA(インビトロジェン社)を使用する。前記プラスミドのマルチクローニングサイトにあるEcoRI及びSacIIを利用し、目的の遺伝子を導入する。
導入する遺伝子は(2)で得られるpHgHhを鋳型として、PCRにより作製する。
プライマーとして
7s4−fw−EcoR1s(配列番号133)
AAGCTGAATTCCAGGTGCAGTTGGTGGAGTCT
HELVH―SacII―r(配列番号134)
NNNNNCCGCGGAGACGGTGACGAGGGT
得られるPCR断片と上記pPCIZαAをEcoRI及びSacIIにて順次切断し、上述と同様にしてゲル精製にて目的の断片をそれぞれ得る。ライゲーションは上述した方法により行い、上記と同様にしてライゲーション反応液を形質転換して、寒天プレートに撒く。この場合の寒天プレートは、トリプトン10g/酵母エキス5g/NaCl5g/寒天15g/LにZeocinを25μg/Lになるように添加したものである。これにより選択されるコロニーを液体培地(トリプトン10g/酵母エキス5g/NaCl5g、Zeocin 25μg/L)で37℃一晩培養し、プラスミドを回収後、シークエンサーにて配列を確認し、本実施例の目的であるVHg−VHh:VH_gold−linker(GGGGS)―VH_HELを発現するプラスミドを得る。(pPCIZ−αHHとする)
実施例31(VHg−VHhタンパクの発現/精製)
VHg−VHhの発現はEasySelect Pichia Expression Kit Ver.G(インビトロジェン社)を用いて行う。形質転換体作製、タンパク作製及び精製(金属キレートカラム)については当業者推奨方法にて行う。金属キレートカラムにより得られる1Mイミダゾール溶出画分 5mLをTrisバッファー (20mM Tris/200mM NaCl、1mM EGTA:pH7.9)を外液として4℃にて透析を行う。外液交換は6時間毎に3回行う。
実施例32(SPR測定による金結合性評価)
実施例31で得られるタンパク質画分の金に対する結合性をSPRにて測定する。SPR測定装置として、BIAcore2000(BIAcore社製)を使用し、被結合物の金基板としては同社のSIA−kit Auの金蒸着ガラス基板を使用した。以下の条件において測定を行う。サンプルとして、実施例20で得られるタンパク質画分 500nM(前記と同様にして、吸光度より算出)を使用する。実施条件は実施例21と土曜とする。金に対する結合性を示すが結合カーブを得る。(図20)
実施例33(VHg−VHhタンパク変異体作製 ―1)
実施例30の金結合性VHのV37L、G44E、L45RとなるVHg変異体(配列番号:135、136)になるように実施例30で得られるプラスミドpPCIZ−α7s4を鋳型にQCキット(STRATAGENE社製)を使用する。当業者の推奨方法により、以下のプライマーを使用し3度の作業により目的のプラスミドをえる。作業毎に一箇所ずつ変異を順次導入する。
V37F―f(配列番号:137)
TTACTGGATCAACTGGTTCCGCCAGATGCCCGG
V37F−r(配列番号:138)
CCGGGCATCTGGCGGAACCAGTTGATCCAGTAA
2箇所目の変異導入の為のPCRプライマー
G44E−f(配列番号:139)
CAGATGCCCGGCAAAGAACTGGAATGGATGGGG
G44E−r(配列番号:140)
CCCCATCCATTCCAGTTCTTTGCCGGGCATCTG
3箇所目の変異導入の為のPCRプライマー
L45F−f(配列番号:141)
GCCCGGCAAAGAAAGGGAATGGATGGGGATG
L45F−r(配列番号:142)
CATCCCCATCCATTCCCTTTCTTTGCCGGGC
変異導入はシークエンスにて確認する。形質転換以降タンパク質発現までは実施例31と同様の手段にて行う。約25kDaの単量体タンパク質のピークを用いて以下の評価を行う。
実施例33で得られるタンパク質画分の金に対する結合性をSPRにて測定する。SPR測定装置として、BIAcore2000(BIAcore社製)を使用し、被結合物の金基板としては同社のSIA−kit Auの金蒸着ガラス基板を使用した。以下の条件において測定を行う。サンプルとして、実施例33で得られるタンパク質画分 500nM(前記と同様にして、吸光度より算出)を使用する。実施条件は実施例21と土曜とする。金に対する結合性を示すが結合カーブを得る。(図21)
実施例35(VHg−HELscFvタンパク変異体作製)
実施例31のHEL結合性VHの代わりにHEL結合性scFv(配列番号:143、144)融合したタンパク質となるように置換する。HEL結合性scFvは、Journal of Biological chemistry、2003、279、pp8979に示されたHEL結合scFvコード遺伝子を導入されたプラスミドを鋳型にPCRにてHEL結合性scFvをコードするDNA断片を得る。PCRは前述の方法と同様、当業者の推奨方法により、以下のプライマーを使用する。
scFv−f(配列番号:145)
NNNNCCATGCCCGATATCGTCCTGACCCAG
scFv−r(配列番号:146)
AGCTACCGCGGAGACGGTGACGAGGGT
制限酵素反応以降は実施例30と同様な手法により目的のプラスミドを得る。得られるプラスミドをシークエンスにより、目的とした遺伝子配列であることを確認する。また、形質転換以降タンパク質発現までは実施例31と同様の手段にて行う。約39kDaの単量体タンパク質を得る。
実施例35で得られるタンパク質画分の金に対する結合性をSPRにて測定する。SPR測定装置として、BIAcore2000(BIAcore社製)を使用し、被結合物の金基板としては同社のSIA−kit Auの金蒸着ガラス基板を使用した。以下の条件において測定を行う。サンプルとして、実施例31で得られるタンパク質画分 500nM(前記と同様にして、吸光度より算出)を使用する。実施条件は実施例21及び22と同様とする。金に対する結合性を示すが結合カーブを得る。(図22)
実施例37(VHg変異体―VLh発現プラスミド作製)
実施例19で得られる発現用プラスミド(pGHEL)の金結合性VHコード配列に配列番号
:で示されるDNA配列を挿入する。挿入方法は、前記pGHELを鋳型として、上述のQuickChange kit(Stratagene社)を用いて行う。得られるプラスミドが目的の配列であることを確認する。次いで、得られるプラスミドを用いて実施例20と同様にしてタンパク質を発現精製、及びVHh−VLgとニ量化を行う。
Sephadex G75を用いて、分子量約50kDaのタンパク画分を分画する。(図23)
A14P−f(配列番号:147)
GAGCAGAGGTGAAAAAGCCAGGGGAGTCTCTGAAG
A14P−r(配列番号:148)
CTTCAGAGACTCCCCTGGCTTTTTCACCTCTGCTC
実施例38(SPRによる金及びHELの二重結合性評価)
実施例37で得られるタンパク質画分の金に対する結合性をSPRにて測定する。SPR測定装置として、BIAcore2000(BIAcore社製)を使用し、被結合物の金基板としては同社のSIA−kit Auの金蒸着ガラス基板を使用した。以下の条件において測定を行う。サンプルとして、実施例37で得られるタンパク質画分 500nM(前記と同様にして、吸光度より算出)を使用する。実施条件は実施例21と同様とする。金に対する結合性を示すが結合カーブを得る。(図24)
実施例39(VHg−VHgタンパク質発現プラスミドの作製)
実施例30のVHhの代わりにVHgをコードするDNA断片を用いる以外は同じ方法により実施例30とどうような方法によりpPCIZ−αVHg2を作製する。上記で使用するVHgをコードするDNA断片を作製するための鋳型としては実施例10で得るpRA2−7s4を用い、プライマーとしては
VHg−f(配列番号:149)
NNNNNGCTAGC GGCGGGGGCGGTAGC CAGGTGCAGTTGGTGGAGTCT
VHg−r(配列番号:150)
NNNNNCCGCGGATGAGGAGACGGTGACCAGGGTT
を用いる。目的のプラスミドであることをシークエンスにて確認する。
実施例31と同様の手法により目的タンパク質を精製する。分子量約25kDaのVHg−VHgの2量体からなるタンパク質を精製する。(図25)
実施例41(VHg−VLg4量体タンパク質発現プラスミドの作製)
実施例39のVHg−VHgをつなぐリンカーGGGGSをGSと変更した以外は同じ方法により実施例30とどうような方法によりpPCIZ−αVHg4を作製する。上記で使用するVHgをコードするDNA断片を作製するための鋳型としては実施例10で得られるpRA2−7s4を用い、プライマーとしては
VHg4−f(配列番号:151)
NNNNNGCTAGC GGCAGC CAGGTGCAGTTGGTGGAGTCTVHg4−r(配列番号:152)
NNNNNCCGCGGATGAGGAGACGGTGACCAGGGTT
を用いる。目的のプラスミドであることをシークエンスにて確認する。
実施例40、44で得られるタンパク質のそれぞれ500μM/PBST溶液を金微粒子(20nmφ:田中貴金属社製)を室温にてインキュベートする。いずれのタンパク質を用いた場合においても、金微粒子が凝集することが観察される。また、金微粒子/タンパク質混合溶液のスペクトル(λmax)が経時的に変化し、半値幅も拡大することが観察され、金微粒子間の距離が近接していることを示唆する結果を得る(図26)。
(比較例2)
実施例36において、500nM HELの代わりに500nM BSAとした以外は同じとする。BSAの結合は確認できない。実施例35で得られる金基板上に結合するタンパク質はHELを特異的な結合することが示される。(図27)
(比較例3)
抗HEL抗体(Rockland社製)を用いて金基板上に直接固定化された抗体の結合能評価をSPR測定により行う。
(1)10μM 抗HEL抗体/PBS溶液を作製する。
(2)(1)で得られる抗体溶液を1μL/minにて100μLインジェクションする。吸着した抗体分子のシグナルは1907R.Uである。
(3)続いて、1%カゼイン/PBS溶液を(2)と同様な条件にてインジェクションする。
(4)更に、1%カゼイン/PBS溶液 40μLを20μL/minにてインジョクションを行い、金基板上がブロッキングされていることを確認する。
(5)次いで、1μM HEL 40μLを20μL/minにてインジョクションを行い、図28の結果を得る。
一方で、上記実施例で示される本発明は基板上に固定されるタンパク質の約20〜40%以上が標的物質を捕捉することが示される。
更には、センサの捕捉分子となるタンパク質を固定する条件においても、溶液濃度/固定時間においても本発明の実施例は何ら特殊な化学物質や工程を行うことなく、従来既知の物理吸着法に比べ、優れた基板固定方法であることが示唆される結果を得る。
Claims (2)
- 少なくとも抗体重鎖可変領域(VH)もしくは抗体軽鎖可変領域(VL)を有するタンパク質であって、
前記抗体重鎖可変領域(VH)もしくは抗体軽鎖可変領域(VL)が金からなる部分を表面に有する基体の前記金からなる部分に3.0×10 -7 M以下の解離定数にて特異的に結合する部位(ただし該部位が配列番号1に記載の配列である場合を除く)を有することを特徴とするタンパク質。 - 前記タンパク質が抗体重鎖可変領域(VH)および抗体軽鎖可変領域(VL)を有し、
前記抗体重鎖可変領域(VH)および前記抗体軽鎖可変領域(VL)が各々前記前記金からなる部分に3.0×10 -7 M以下の解離定数にて特異的に結合する部位を有することを特徴とする請求項1に記載のタンパク質。
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