JP2009240235A - 融合タンパク質、遺伝子、融合タンパク質の製造方法、並びに、抗原タンパク質の検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】固相抗体の配向性がよく、より高感度で高精度な免疫学的測定が行える技術を提供する。
【解決手段】融合タンパク質6は、フジツボ由来接着タンパク質7と抗体特異的結合タンパク質8とが連結された構造を有する。融合タンパク質6を担体1に接触させると、フジツボ由来接着タンパク質7側が担体1の表面に結合する。一方、抗体特異的結合タンパク質8側は担体1とは無関係な開放された状態となる。ここに固相抗体となる抗体2を添加すると、Fc領域5が抗体特異的結合タンパク質8に結合し、Fab領域3が一律に外側を向いて配向される。この固相抗体を用いて固相免疫測定法を行うことにより、抗原タンパク質をより高感度かつ高精度に検出することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、融合タンパク質、遺伝子、融合タンパク質の製造方法、並びに、抗原タンパク質の検出方法に関し、さらに詳細には、フジツボ由来接着タンパク質と抗体特異的結合タンパク質とが連結された融合タンパク質、当該融合タンパク質をコードする遺伝子、当該融合タンパク質の遺伝子工学的製造方法、並びに、当該融合タンパク質を用いた抗原タンパク質の検出方法に関する。
従来より、担体に固定化された抗体(固相抗体)をもって所望の抗原タンパク質を捕捉し、捕捉された抗原タンパク質を検出する免疫学的測定法(固相免疫測定法)が行われている(例えば、特許文献1)。固相免疫測定法を行う際には、所望の抗原タンパク質に対する抗体が固定化された担体が必要である。これまで、抗体を担体に固定化する手法として、抗体と担体との間の疎水的相互作用を利用した物理的吸着法が広く採用されている。
固相免疫測定法においては、担体に固定化される固相抗体の配向性が、その精度や感度に大きな影響を与える。すなわち、抗体の定常領域側が担体に結合し、抗原結合部位側が開放されて外側を向くような配向性をもって抗体が担体に固定化され、固相抗体が構成されていることが理想的である。
特開2000−065828号公報
しかし実際には、従来の物理的吸着法による抗体の固定化方法では、抗体と担体との間で非特異的吸着が起こり、必ずしも上記した理想的な配向性をもって抗体が固定化されない。すなわち固相抗体がIgGに属するものである場合を例にとると、図3(a)に示すように、抗体12は抗原との特異的結合部位を含むFab領域13と、定常領域で構成されるFc領域15とからなるが、担体11の表面に固定化されるときに、その配向が無秩序に行われ、図3(b)のようにFab領域13が一律には外側を向かないことがしばしばある。このような固相抗体を用いて免疫測定を行うと、測定対象となる抗原タンパク質と固相抗体との結合性に支障が生じる。その結果、感度や精度の面で大きな問題となり、その改善策が求められている。
本発明の目的は、固相抗体の配向性がよく、より高感度で高精度な免疫学的測定が行える技術、並びに、当該技術に有用な各種のツールを提供することにある。
本発明者らは、海洋生物の一種であるフジツボ由来の接着性を有するタンパク質(フジツボ由来接着タンパク質)に着目し、当該接着タンパク質を抗体の固定化に応用するべく鋭意検討を行った。その結果、フジツボ由来接着タンパク質と抗体特異的結合タンパク質とが連結された融合タンパク質を介して抗体を担体に固定化すると、抗体が配向性よく担体に固定化され、より高感度かつ高精度に固相免疫測定を行うことができることを見出した。そして、当該融合タンパク質の遺伝子工学的な製造方法を確立し、本発明を完成した。すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
請求項1に記載の発明は、フジツボ由来接着タンパク質と抗体特異的結合タンパク質とが連結されてなり、かつ接着性と抗体特異的結合性とを有する融合タンパク質である。
本発明は融合タンパク質にかかるものであり、フジツボ由来接着タンパク質と抗体特異的結合タンパク質とが連結されてなり、かつ接着性と抗体特異的結合とを有する。本発明の融合タンパク質は、接着タンパク質部分が担体等の支持体に結合でき、一方、抗体特異的結合タンパク質部分が抗体に結合できる。そのため、本発明の融合タンパク質を介して所望の抗体を担体に固定化すると、抗体の抗原結合部位側が一律に外側を向くように配向される。その結果、固相抗体と抗原タンパク質とが効率的に結合でき、より高感度かつ高精度に固相免疫測定法を行うことが可能となる。すなわち本発明の融合タンパク質は、固相免疫測定法における固相抗体を固定化する際に有用である。
フジツボは、セメントと呼ばれる物質を基盤に分泌して、海水中で強く付着することができる。セメントの主成分は接着性を有するタンパク質である。当該タンパク質は難溶解性複合体であるが、その可溶化法がすでに開発されている(Kamino, K. et al. J. Biol. Chem. (2000) 275, 27360-27365)。本発明における「フジツボ由来接着タンパク質」とは、フジツボが分泌するセメントを構成する接着性を有するタンパク質をいう。フジツボ由来接着タンパク質については、タンパク質自体やコードする遺伝子がいくつか単離されており、例えば、特開平7−265081号公報、特開平9−47288号公報、特開平9−299089号公報、特開平10−327867号公報、特開平11−332572号公報、特開平11−33257号公報、特開2004−105143号公報、等に記載されている。
本発明の融合タンパク質においては、接着性と抗体特異的結合性とを有する限り、フジツボ由来接着タンパク質と抗体特異的結合タンパク質との連結方向に限定はない。すなわち、フジツボ由来接着タンパク質がN末端側に、抗体特異的結合タンパク質がC末端側に位置する融合タンパク質と、逆に、フジツボ由来接着タンパク質がC末端側に、抗体特異的結合タンパク質がN末端側に位置する融合タンパク質の両方が、本発明の融合タンパク質に含まれる。さらに、フジツボ由来接着タンパク質と抗体特異的結合タンパク質とが直接連結されている融合タンパク質のみならず、リンカー等を介して間接的に連結されている融合タンパク質も、接着性と抗体特異的結合性とを有する限り、本発明の融合タンパク質に含まれる。またさらに、そのN末端及び/又はC末端に適宜のタグや修飾が付加された融合タンパク質も、接着性と抗体特異的結合性とを有する限り、本発明の融合タンパク質に含まれる。
なお本明細書においては、複数のアミノ酸残基がペプチド結合を介して連結した化合物を全て「タンパク質」と称することとし、アミノ酸残基の数によってタンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチド、ペプチド等と必ずしも区別しない。
フジツボ由来接着タンパク質は、以下の(a)〜(c)のいずれかのタンパク質である構成が推奨される(請求項2)。
(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、
(b)配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ接着性を有するタンパク質。
(c)(a)又は(b)の一部からなり、かつ接着性を有するタンパク質。
なお、(a)はアカフジツボのセメントに含まれている19kDaの接着タンパク質である。(b)は(a)と同一視できる接着タンパク質、(c)は(a)又は(b)の部分タンパク質でかつ接着性を有するタンパク質である。
請求項3に記載の発明は、抗体特異的結合タンパク質は、プロテインA、プロテインG、又はこれらの一部からなりかつ抗体特異的結合性を有するタンパク質である請求項1又は2に記載の融合タンパク質である。
本発明の融合タンパク質では、抗体特異的結合タンパク質がプロテインA、プロテインG、又はこれらの一部からなりかつ抗体特異的結合性を有するタンパク質である。本発明の融合タンパク質によれば、プロテインAあるいはプロテインGと抗体との強固な特異的結合性を利用して、抗体を担体に優れた配向性をもって固定化することができる。「プロテインA又はプロテインGの一部からなりかつ抗体特異的結合性を有するタンパク質」の例としては、プロテインAの部分ペプチドであるZZドメイン(ZZタグ)が挙げられる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の融合タンパク質をコードする遺伝子である。
本発明は遺伝子にかかるものであり、上述の融合タンパク質をコードする。本発明の遺伝子を用いることにより、本発明の融合タンパク質を効率的に取得することができる。
請求項4に記載の遺伝子にストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ接着性と抗体特異的結合性とを有するタンパク質をコードする遺伝子(請求項5)は、請求項4に記載の遺伝子と同一視できる遺伝子であり、同様の作用を有する。
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の遺伝子が導入された組換え体を培養し、該組換え体の培養物から、フジツボ由来接着タンパク質と抗体特異的結合タンパク質とが連結された融合タンパク質を取得する融合タンパク質の製造方法である。
本発明は上述した本発明の融合タンパク質の遺伝子工学的な製造方法に係り、組換え体の培養物から融合タンパク質を取得する。かかる構成により、本発明の融合タンパク質を大量かつ簡便に製造することができる。
請求項4又は5に記載の遺伝子を無細胞抽出液中で発現させることにより、フジツボ由来接着タンパク質と抗体特異的結合タンパク質とが連結された融合タンパク質を取得することもできる(請求項7)。
請求項8に記載の発明は、担体に固定化された固相抗体をもって所望の抗原タンパク質を担体上に捕捉し、捕捉された抗原タンパク質を検出する抗原タンパク質の検出方法であって、固相抗体は請求項1〜3のいずれか1項に記載の融合タンパク質を介して前記担体に固定化されており、前記融合タンパク質のフジツボ由来接着タンパク質側が前記担体に結合し、抗体特異的結合タンパク質側が前記固相抗体に結合している抗原タンパク質の検出方法である。
本発明は抗原タンパク質の検出方法に係り、担体に固定化された固相抗体をもって捕捉された所望の抗原タンパク質を検出する、いわゆる固相免疫測定法に属するものである。そして、本発明の抗原タンパク質の検出方法では、固相抗体が本発明の融合タンパク質を介して固定化された担体を用い、かつ当該担体においては、融合タンパク質のフジツボ由来接着タンパク質側が担体に結合し、抗体特異的結合タンパク質側が前記固相抗体に結合している。換言すれば、本発明において、固相抗体は「担体−フジツボ由来接着タンパク質−抗体特異的結合タンパク質−抗体」の順に結合することにより構成されている。本発明の抗原タンパク質の検出方法では、固相抗体が前述のような構成をもって担体に固定化されているので、抗体の定常領域側が抗体特異的結合タンパク質に結合し、抗原結合部位側が開放されて一律に外側を向くように配向している。その結果、固相抗体と抗原タンパク質とが効率的に結合でき、より高感度かつ高精度に抗原タンパク質の検出を行うことができる。
請求項9に記載の発明は、捕捉された抗原タンパク質に標識抗体を結合させ、当該標識抗体の標識を指標として抗原タンパク質を検出する請求項8に記載の抗原タンパク質の検出方法である。
かかる構成により、より高感度かつ高精度なサンドイッチ法による抗原タンパク質の検出方法が提供される。
本発明の融合タンパク質によれば、抗体を担体に固定化する際に抗体の抗原結合部位側が一律に外側を向くように配向される。その結果、固相抗体と抗原タンパク質とが効率的に結合でき、より高感度かつ高精度に固相免疫測定法を行うことが可能となる。
本発明の遺伝子によれば、本発明の融合タンパク質を効率的に取得することができる。
本発明の融合タンパク質の製造方法によれば、本発明の融合タンパク質を大量かつ簡便に製造することができる。
本発明の抗原タンパク質の検出方法によれば、固相抗体の抗原結合部位が一律に外側を向くように配向しているので、固相抗体と抗原タンパク質とが効率的に結合でき、より高感度かつ高精度に抗原タンパク質の検出を行うことができる。
本発明の第1の様相は、フジツボ由来接着タンパク質と抗体特異的結合タンパク質とが連結されてなり、かつ接着性と抗体特異的結合性とを有する融合タンパク質である。すなわち、本発明の融合タンパク質は、「フジツボ由来接着タンパク質」と「抗体特異的結合タンパク質」の2つの主要な構成を有する。
接着タンパク質の由来となるフジツボとしては特に限定はなく、接着タンパク質を主成分とするセメントを分泌するものであればよい。例えば、アカフジツボ(Megabalanus rosa)、タテジマフジツボ(Balanus amphitrite)、シロスジフジツボ(Balanus albicostatus)が挙げられる。その他の例として、Megabalanus volcano、Balanus rostratus、Balanu eburneus、Balanus improvisus、Balanus reticulates、Balanus improvisus、Balanus reticulates、Balanus kondakovi、Balanus trigonus、Semibalanus cariosus、Tetraclita japonica、Tetraclita squamosa、Tetraclita formosana、Chthamalus challengeri、Chthamalus dalli、Chthamalus malayensis、Euraphia pilsbryi、Euraphia intertexa、などの各フジツボが挙げられる。
好ましい実施形態では、フジツボ由来接着タンパク質が配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質である。この接着タンパク質はアカフジツボのセメントに含まれている19kDaの接着タンパク質(Mrcp19k)であり、特に接着性に優れている。なお、配列番号1は当該接着タンパク質のアミノ酸配列と遺伝子のDNA配列、配列番号2はアミノ酸配列のみを示している。
さらに、配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ接着性を有するタンパク質も、好ましく採用される。当該タンパク質は、アカフジツボ由来19kDa接着タンパク質と同一視できる接着タンパク質である。そのような接着タンパク質は、自然界で普通に起こる突然変異によって得られることもあるし、部位特異的変異導入法によって人為的に遺伝子の変異を導入することによって得ることもできる。
またさらに、上記したフジツボ由来接着タンパク質の全長のみならず、その一部からなり、かつ接着性を有するタンパク質も好ましく採用される。そのような接着タンパク質は全長からなる接着タンパク質よりも分子量が小さいので、融合タンパク質の分子量も小さくなる。その結果、融合タンパク質を遺伝子工学的に生産することが容易となる。また、精製等を行う際にも分子量が小さいので取扱いが容易となる。
一方、抗体特異的結合タンパク質としては特に限定はなく、抗体分子としてのイムノグロブリンに特異的に結合するタンパク質であれば全て採用できる。好ましい実施形態では、抗体特異的結合タンパク質がプロテインA又はプロテインGである。この好ましい実施形態によれば、クラスがIgGである抗体のFc領域に結合することができる。また、ZZドメイン(ZZタグ)のような、プロテインAやプロテインGの一部からなりかつ抗体特異的結合性を有するタンパク質も好ましく採用される。そのような抗体特異的結合タンパク質は全長からなる抗体特異的結合タンパク質よりも分子量が小さいので、融合タンパク質の分子量も小さくなる。その結果、融合タンパク質を遺伝子工学的に生産することが容易となる。また、精製等を行う際にも分子量が小さいので取扱いが容易となる。
なお上述したように、本発明の融合タンパク質においては、フジツボ由来接着タンパク質と抗体特異的結合タンパク質の結合方向については特に限定はない。また、フジツボ由来接着タンパク質と抗体特異的結合タンパク質との間にリンカー等が介在してもよい。さらに、融合タンパク質の末端に適宜のタグや標識が付与されていてもよい。
本発明の第2の様相は、本発明の融合タンパク質をコードする遺伝子である。本発明の遺伝子を作製する方法としては、例えば、フジツボ由来接着タンパク質をコードする遺伝子と抗体特異的結合タンパク質をコードする遺伝子とをライゲーション反応により連結すればよい。フジツボ由来接着タンパク質をコードする遺伝子や抗体特異的結合タンパク質をコードする遺伝子については、常法により取得することができる。例えば、精製したタンパク質のアミノ酸配列情報からプローブを作成し、ハイブリダイゼーションによりクローニングすることができる。また同様のアミノ酸配列情報からプライマーを作成し、PCR等の遺伝子増幅技術によってクローニングすることもできる。その他、公知の類似遺伝子の塩基配列情報を元にプローブやプライマーを設計し、同様の手法を用いてクローニングすることもできる。化学合成により遺伝子を作製することも可能である。
本発明の遺伝子には、上記した遺伝子にストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ接着性を有するタンパク質をコードする遺伝子も含まれる。ここで「ストリンジェントな条件」とは、「0.1×SSC溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM塩化ナトリウム、15mMクエン酸ナトリウム)、1%SDS、65℃、24時間」の条件をいう。
本発明の第3の様相は、本発明の遺伝子が導入された組換え体を培養し、該組換え体の培養物から、フジツボ由来接着タンパク質と抗体特異的結合タンパク質とが連結された融合タンパク質を取得する融合タンパク質の製造方法である。組換え体の作製については高知の方法がそのまま適用でき、例えば、本発明の遺伝子が組み込まれた適宜のベクターを宿主細胞に導入して作製することができる。組換え体の培養についても、公知の方法がそのまま適用でき、例えば、作製した組換え体に適した液体培地を選択し、通気撹拌して培養すればよい。遺伝子がベクター上の誘導可能なプロモーター下流に組み込まれている場合には、培養途中で所望の誘導操作(誘導物質の添加、培養温度の変更など)を行ってもよい。
培養物から融合タンパク質を取得する方法についても公知の方法がそのまま適用できる。宿主細胞が大腸菌のような菌体内に発現産物を蓄積するものである場合には、回収した菌体を超音波処理等により破砕して細胞抽出液を得て、タンパク質精製の工程に供すればよい。一方、枯草菌、酵母、動物細胞のような細胞外に発現産物を分泌するものである場合には、細胞分離した後の培地をタンパク質精製の工程に供すればよい。
大腸菌等を宿主細胞として選択した場合には、発現産物が不溶性の封入体として得られることがある。このような場合でも、封入体を界面活性剤等で可溶化し、リフォールディングすることにより融合タンパク質を可溶性の状態で得ることができる。
融合タンパク質の精製についても、各種クロマトグラフィー、塩析、透析、膜分離等の公知のタンパク質精製技術をそのまま適用することができる。そして、これらの技術を単独あるいは組み合わせて使用することにより、本発明の融合タンパク質を精製することができる。
一方、本発明の融合タンパク質の製造方法は、組換え体を用いるのではなく、無細胞翻訳系によって融合タンパク質の遺伝子を発現させ、融合タンパク質を取得する方法も含む。無細胞翻訳系で用いる無細胞抽出液は、大腸菌、小麦胚芽、昆虫細胞、ウサギ網状赤血球等から調製することができる。そして、これらの無細胞抽出液に本発明の遺伝子を添加し、さらに、RNAポリメラーゼ、各種ヌクレオチド三リン酸(ATP、UTP、GTP、CTP)、各種アミノ酸、各種tRNA、リボゾームフラクション、各種リン酸化酵素等を添加して、本発明の遺伝子を発現させればよい。その後の精製については、組換え体を使用する場合と同様である。
本発明の第4の様相は、担体に固定化された固相抗体をもって所望の抗原タンパク質を担体上に捕捉し、捕捉された抗原タンパク質を検出する抗原タンパク質の検出方法であって、固相抗体は本発明の融合タンパク質を介して前記担体に固定化されており、前記融合タンパク質のフジツボ由来接着タンパク質側が前記担体に結合し、抗体特異的結合タンパク質側が前記固相抗体に結合している抗原タンパク質の検出方法である。本発明の抗原タンパク質の検出方法では、固相抗体が本発明の融合タンパク質を介して担体に固定化されている。そして、融合タンパク質のフジツボ由来接着タンパク質側が担体に結合し、抗体特異的結合タンパク質側が固相抗体に結合している。ここで、図1を参照しながら、本発明の抗原タンパク質の検出方法における固相抗体の状態を配向性の観点から説明する。
図1(a)に示すように、本発明の融合タンパク質6は、フジツボ由来接着タンパク質7と抗体特異的結合タンパク質8とが連結された構造を有する。この融合タンパク質6を担体1に接触させると、フジツボ由来接着タンパク質7側が担体1の表面に結合する。これは、フジツボ由来接着タンパク質7が有する強い接着性によるものである。一方、抗体特異的結合タンパク質8側は担体1とは無関係な開放された状態となる。ここに固相抗体となる抗体2を添加すると、図1(b)に示すような状態となる。なお、この例では抗体2としてIgGに属するものを採用しており、抗体2は抗原との特異的結合部位を含むFab領域3と、定常領域で構成されるFc領域5とからなる。図1(b)に示すように、Fc領域5が抗体特異的結合タンパク質8に結合し、Fab領域3が一律に外側を向くように、抗体2が担体1に融合タンパク質6を介して固定化される。従来技術では固相抗体の配向が無秩序に行われてFab領域が一律には外側を向かないことがあった(図3参照)。しかし本発明の抗原タンパク質の検出方法における固相抗体においては、そのような状態とはならず、抗体2が配向性よく担体1に固定化され、抗体結合性部位を含むFab領域3が一律に外側を向いた状態となる。そのため、本発明の抗原タンパク質の検出方法によれば、固相抗体と抗原タンパク質とが効率的に結合でき、より高感度かつ高精度に抗原タンパク質の検出が行える。
好ましい実施形態では、捕捉された抗原タンパク質に標識抗体を結合させ、当該標識抗体の標識を指標として抗原タンパク質を検出する。当該標識の例としては、酵素標識、放射性標識、色素標識等の公知の標識が挙げられる。さらに、ビオチン標識によれば、アビジン−ビオチン複合体の系を利用して抗原タンパク質を検出することができる。
以下に実施例を掲げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
本実施例では、融合タンパク質をコードする遺伝子を作製し、該遺伝子を発現させて融合タンパク質を製造した。
1.フジツボ由来19kDa接着タンパク質(Mrcp19k)とZZタグとの融合タンパク質を発現するプラスミドの構築(1)
配列番号3に示すアミノ酸配列を有するリンカーを付加するためのオリゴヌクレオチドプライマーMr19fEcRVr(配列番号4)を合成した。Mr19fEcRVrにはBamHIサイトも含めた。配列番号1に示す750bpのDNA断片を含むMrcp19kクローニングベクター(フェブス・ジャーナル(FEBS Journal),2007年,第274巻,p4336−4346に記載)を鋳型、RexMrcp19P−1プライマー(配列番号5)とMr19fEcRVrプライマー(配列番号4)をプライマー対とし、ExTaq(タカラバイオ社)を使用して、常法に従ってPCRを行った。PCR産物を1%アガロースゲルにて電気泳動に供し、QIAquick Gel Extraction Kit(キアゲン社)を用いてゲルを切り出し、増幅DNA断片を精製した。得られたDNA断片をNcoIとBamHIで消化し、予めNcoIとBamHIで消化したpET32aプラスミドに挿入した。得られたプラスミドを大腸菌DH5α株に導入し、形質転換を行った。得られた形質転換体のコロニーからプラスミドを調製し、そのDNA配列を解析したところ、所望の配列が挿入されていることが確認された。得られたプラスミドをpET32−Mr19kImと命名した。
一方、IgG-binding domain of staphyrococcal protein A (ZZ-domain)の遺伝子(ZZドメイン遺伝子)を増幅するために、以下の操作を行った。まず、pEZZ18R(GEヘルスサイエンス社)を鋳型、ZZf−EcoRVプライマー(配列番号6)とZZr−EcoRIプライマー(配列番号7)をプライマー対として、常法に従ってPCRを行った。PCR産物を3%アガロースゲルにて電気泳動に供し、QIAquick Gel Extraction Kit(キアゲン社)を用いてゲルを切り出し、増幅DNA断片を精製した。得られたDNA断片をpET32aに挿入した。得られたプラスミドを大腸菌DH5α株に導入し、形質転換を行った。得られた形質転換体のコロニーからプラスミドを調製し、そのDNA配列を解析したところ、所望の配列が挿入されていることが確認された。得られたプラスミドをpT7−ZZと命名した。
pT7−ZZをEcoRVとEcoRIで消化し、ZZドメイン遺伝子を含むDNA断片を切り出した。このDNA断片を、予めEcoRVとEcoRIで消化したpET32−Mr19kImに挿入した。得られたプラスミドを大腸菌DH5α株に導入し、形質転換を行った。得られた形質転換体のコロニーからプラスミドを調製し、そのDNA配列を解析したところ、所望の配列が挿入されていることが確認された。得られたプラスミドをpET32−Mr19kIm−ZZと命名した。pET32−Mr19kIm−ZZによれば、Mrcp19kがN末端側に、ZZドメイン(ZZタグ)がC末端側に位置し、これらがリンカー(配列番号3)を介して連結された融合タンパク質(以下、「Mrcp19k−ZZ」と略記する。)を発現させることができる。
2.フジツボ由来19k接着タンパク質(Mrcp19k)とZZタグとの融合タンパク質を発現するプラスミドの構築(2)
Mrcp19kクローニングベクターを鋳型、Mr19kfEcoRIプライマー(配列番号8)とExMrcp19k:P−2−rプライマー(配列番号9)をプライマー対とし、ExTaq(タカラバイオ社)を使用して、常法に従ってPCRを行った。PCR産物をアガロースゲル電気泳動に供し、QIAquick Gel Extraction Kit(キアゲン社)を用いてゲルを切り出し、増幅DNA断片を精製した。得られたDNA断片をEcoRIとBamHIで消化し、予めEcoRIとBamHIで消化したpEZZ18R(GEヘルスサイエンス社)に挿入した。これにより、pEZZ18RのマルチクローニングサイトにMrcp19k遺伝子が挿入された。得られたプラスミドを大腸菌DH5α株に導入し、形質転換を行った。得られた形質転換体のコロニーからプラスミドを調製し、そのDNA配列を解析したところ、所望の配列が挿入されていることが確認された。得られたプラスミドをpEZZ−Mr19kと命名した。pEZZ−Mr19kによれば、Mrcp19kとZZドメイン(ZZタグ)との融合タンパク質であって、ZZタグがN末端側に、Mrcp19kがC末端側に位置する融合タンパク質(以下、「ZZ−Mrcp19k」と略記する。)を発現させることができる。
3.ZZドメインを発現するプラスミドの構築
pEZZ18R(GEヘルスサイエンス社)を鋳型、ZZf−NcoIプライマー(配列番号10)とZZr−BamHIRRプライマー(配列番号11)をプライマー対とし、ExTaq(タカラバイオ社)を使用して、常法に従ってPCRを行った。PCR産物をアガロースゲル電気泳動に供し、QIAquick Gel Extraction Kit(キアゲン社)を用いてゲルを切り出し、増幅DNA断片を精製した。得られたDNA断片をNcoIとBamHIで消化し、予めNcoIとBamHIで消化したpET32aに挿入した。得られたプラスミドを大腸菌DH5α株に導入し、形質転換を行った。得られた形質転換体のコロニーからプラスミドを調製し、そのDNA配列を解析したところ、所望の配列が挿入されていることが確認された。得られたプラスミドをpET32−ZZと命名した。pET32−ZZによれば、ZZドメインを単独で発現させることができる。
4.Cysリンカーが付加したZZドメインを発現するプラスミドの構築
pEZZ18R(GEヘルスサイエンス社)を鋳型、ZZf−NcoIプライマー(配列番号10)とZZGGCr−BamHIプライマー(配列番号12)をプライマー対とし、ExTaq(タカラバイオ社)を使用して、常法に従ってPCRを行った。PCR産物をアガロースゲル電気泳動に供し、QIAquick Gel Extraction Kit(キアゲン社)を用いてゲルを切り出し、増幅DNA断片を精製した。得られたDNA断片をNcoIとBamHIで消化し、予めNcoIとBamHIで消化したpET32aに挿入した。得られたプラスミドを大腸菌DH5α株に導入し、形質転換を行った。得られた形質転換体のコロニーからプラスミドを調製し、そのDNA配列を解析したところ、所望の配列が挿入されていることが確認された。得られたプラスミドをpET32−ZZ−GGCと命名した。pET32−ZZ−GGCによれば、pET32を用いた発現系で、ZZドメイン(ZZタグ)のC末端側にトリペプチドリンカーGly−Gly−Cysが付加したタンパク質を発現させることができる。
5.Hisタグが付加したZZドメインを発現するプラスミドの構築
pEZZ18R(GEヘルスサイエンス社)を鋳型、ZZhisf−NdeIプライマー(配列番号13)とZZr−BamHIRRプライマー(配列番号11)をプライマー対とし、ExTaq(タカラバイオ社)を使用して、常法に従ってPCRを行った。PCR産物をアガロースゲルにて電気泳動に供し、QIAquick Gel Extraction Kit(キアゲン社)を用いてゲルを切り出し、増幅DNA断片を精製した。得られたDNA断片をNdeIとBamHIで消化し、予めNdeIとBamHIで消化したpET19プラスミドに挿入した。得られたプラスミドを大腸菌DH5α株に導入し、形質転換を行った。得られた形質転換体のコロニーからプラスミドを調製し、そのDNA配列を解析したところ、所望の配列が挿入されていることが確認された。得られたプラスミドをpET19−ZZと命名した。pET19−ZZによれば、pET19を用いた発現系で、ZZドメイン(ZZタグ)のN末端側にHisタグが付加したタンパク質を発現させることができる。
6.融合タンパク質の精製
上記1で調製したプラスミドpET32−Mr19kIm−ZZを大腸菌E.coli Origami(DE3)に導入し、形質転換体を得た。この形質転換体を50μg/mLアンピシリンを含むLB培地で一昼夜培養し、その培養液8mLを400mLの同じ組成のLB培地に植菌した。そのまま37℃で2時間培養した後、終濃度1mMとなるようにIPTGを添加して、さらに30℃で4時間培養した。培養終了後、菌体を回収した。
得られた菌体を10mLの0.1M Tris−HCl(pH7.9)に懸濁し、氷上で超音波破砕した。破砕物を15,000×gで40分間遠心し、上清画分を回収して無細胞抽出液を得た。
His−Bind kit(ノバジェン社)を用いて、得られた無細胞抽出液から目的の融合タンパク質を精製した。具体的には、まず1.5mLのHis−Bind resinに7.5mLのCharge buffer(50mM NiSO4)を加え、ニッケルイオンを固定化させた。4.5mLのBinding buffer(5mM イミダゾール、500mM NaCl、50mM Tris−HCl、pH7.9)でカラムを平衡化した後、無細胞抽出液をアプライした。さらに、15mLのBinding bufferと9mLのWash buffer(60mM イミダゾール、500mM NaCl、50mM Tris−HCl、pH7.9)にてカラムを洗浄した。最後に9mLのElute buffer(1M イミダゾール、500mM NaCl、50mM Tris−HCl、pH7.9)を添加した。溶出画分を回収し、Enterokinase cleavage buffer(20mM Tris−HCl、pH7.4、50mM NaCl、2mM CaCl2)に対して透析した。透析後のタンパク質溶液を濃縮した。
Hi−trap Chelating HP(ファルマシア社)にCharge buffer(50mM NiSO4)を加え、ニッケルイオンを固定化させた(ニッケル固定化カラム)。一方、濃縮したタンパク質溶液の一部を取り、recombinant enterokinase(ノバジェン社)を添加して、20℃で2時間インキュベートした。インキュベート終了後、10mLのBinding buffer(5mM イミダゾール、500mM NaCl、50mM Tris−HCl、pH7.4)で平衡化したニッケル固定化カラムにアプライした。3mLのBinding bufferでカラムを洗浄し、非吸着画分を回収した。この非吸着画分を1倍濃度のPBSで平衡化したゲルろ過カラムTSKgel G3000SWXL(東ソー社)に供し、Mrcp19k−ZZ融合タンパク質を含む画分を回収した。これにより、精製されたMrcp19k−ZZ融合タンパク質が得られた。
同様の手順により、精製されたZZ−Mrcp19k融合タンパク質を得た。
7.ZZドメインの精製
pET32−Mr19kIm−ZZの代わりに上記3で構築したpET32−ZZを使用し、上記6と同じ手順で、形質転換体の作製と培養、無細胞抽出液の調製、His−Bind kit(ノバジェン社)による精製、透析、およびHi−trap Chelating HP(ファルマシア社)へのアプライを行った。3mLのBinding bufferでカラムを洗浄し、非吸着画分を回収した。回収した非吸着画分をBinding bufferに対して透析し、同緩衝液で平衡化したカラムに供した。2mLのBinding bufferでカラムを洗浄し、非吸着画分を回収した。この非吸着画分を1倍濃度のPBSで平衡化したゲルろ過カラムTSKgel G3000SWXL(東ソー社)に供し、ZZドメインを含む画分を回収した。これにより、精製されたZZドメインが得られた。
本実施例では、実施例1で調製した融合タンパク質を用いた固相免疫測定の系(サンドイッチEIAの系)を構築し、その作用効果を調べた。検出対象となるモデル抗原タンパク質として、α−フェトプロテイン(AFP)を採用した。
まず、本実施例で用いた試薬類、機器類を以下にまとめて示す。
(1)融合タンパク質
実施例1で調製したMrcp19k−ZZ融合タンパク質を含む画分
(2)標準抗原
α-Fetoprotein Human Serum Standard(DAKO社、Lot.Ch-B.020(801))
(3)固相抗体
α-Fetoprotein Rabbit Polyclone Anti-α-Fetoprotein Human(DAKO社、Lot.Ch-B.051(101))
(4)酵素標識抗体
α-Fetoprotein Rabbit Polyclone Anti-Human パーオキシダーゼ標識(DAKO社、Lot.Ch-B.068(601))
(5)酵素基質
TMB Substrate-Chromogen S1599(DAKO社、Lot.122175)
(6)緩衝液・洗浄液
PBS(pH7.4)
(7)ELISA用プレート(担体)
96穴マイクロタイタープレート(住友ベークライト社)
(8)プレート洗浄装置
Columbus Washer(TECAN社)
(9)プレートリーダー
Microplate Reader Model550(バイオラッド社)
1.融合タンパク質のプレートへの固定化
融合タンパク質を10μLの緩衝液に溶解させて100μg/mLの溶液を調製し、これを元に、10μg/mL、5μg/mL、2.5μg/mL、および0μg/mLの希釈列を作製した。これらの融合タンパク質溶液をELISA用プレートの各穴に100μLずつ分注し、水浴槽にて37℃で2時間インキュベートした。インキュベート後、プレートを取り出し、プレート洗浄装置を用いて洗浄液300μLで3回洗浄した。これにより、融合タンパク質がプレートに固定化された。
比較例として、融合タンパク質の固定化を行わないプレートも設定した。
2.固相抗体の固定化
固相抗体を緩衝液で200倍に希釈し、上記1で作製した融合タンパク質固定化プレートの96穴それぞれに100μLずつ分注し、水浴槽にて37℃で2時間インキュベートした。インキュベート後、プレートを取り出し、プレート洗浄装置を用いて洗浄液300μLで3回洗浄した。これにより、固相抗体が融合タンパク質を介してプレートに固定化された。
3.抗原タンパク質の添加
標準抗原を緩衝液にて50000倍に希釈し、それを元に、各濃度の抗原タンパク質溶液を調製した。各抗原タンパク質溶液を上記2で作製したプレートに100μLずつ分注し、水浴槽にて37℃で2時間インキュベートした。インキュベート後、プレートを取り出し、プレート洗浄装置を用いて洗浄液300μLで3回洗浄した。
4.標識抗体の添加
酵素標識抗体を緩衝液にて3000倍に希釈し、上記3のプレートの96穴それぞれに100μLずつ分注し、水浴槽にて37℃で2時間インキュベートした。インキュベート後、プレートを取り出し、プレート洗浄装置を用いて洗浄液300μLで3回洗浄した。
5.酵素反応
各穴の駅を完全に除去した後、酵素基質液100μLを分注し、水浴槽にて37℃で15分間インキュベートした。インキュベート後、1N硫酸100μLを分注して反応を停止させた。ただちにプレートリーダーを用いて450nmにおける吸光度を測定した。なお測定はn=4で行い、その平均値を測定値として採用した。
6.測定結果
第1表に得られた測定値を示す。
Figure 2009240235
図2に測定結果をグラフで示す。図2の4つの群(10μg/mL、5μg/mL、2.5μg/mL、および0μg/mL。0μg/mLは比較例。)は固定化に用いた融合タンパク質の濃度、各群の200ng/mL、100ng/mL、50ng/mL、および0ng/mLは、添加した抗原タンパク質溶液の濃度、縦軸は吸光度である。すなわち、いずれの群においても、0〜200ng/mLの範囲のAFP濃度で直線性が保たれており、少なくともこの範囲で抗原タンパク質(AFP)の定量が可能であった。また、各群同士を比較すると、融合タンパク質を用いた方(10μg/mL、5μg/mL、および2.5μg/mL)が比較例(0μg/mL)よりも高い吸光度を示しており、感度が高かった。なお、抗原タンパク質濃度が0ng/mLのときの吸光度には大きな差がないことから、バックグラウンドの上昇は抑えられていた。さらに、融合タンパク質濃度が10μg/mL、5μg/mL、および2.5μg/mLの3群同士を比較すると、より高い濃度の融合タンパク質溶液を用いた方が吸光度が高く、融合タンパク質の濃度を高感度で測定できることが示された。
以上より、実施例1で調製したMrcp19k−ZZ融合タンパク質が接着性と抗体特異的結合性とを有しており、ELISAにおいて、固相抗体をプレートに固定化する前にMrcp19k−ZZ融合タンパク質を予めプレートに固定化しておくことにより、より高感度な固相免疫測定を行えることが示された。
(a)は本発明の融合タンパク質の構造を模式的に表す説明図、(b)は本発明における固相抗体の配向状態を模式的に表す説明図である。 実施例2のELISAの結果を表すグラフである。 (a)は抗体の構造を模式的に表す説明図、(b)は従来技術における固相抗体の配向状態を模式的に表す説明図である。
符号の説明
1 担体
2 抗体
6 融合タンパク質
7 フジツボ由来接着タンパク質
8 抗体特異的結合タンパク質

Claims (9)

  1. フジツボ由来接着タンパク質と抗体特異的結合タンパク質とが連結されてなり、かつ接着性と抗体特異的結合性とを有する融合タンパク質。
  2. フジツボ由来接着タンパク質は、以下の(a)〜(c)のいずれかのタンパク質である請求項1に記載の融合タンパク質。
    (a)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、
    (b)配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ接着性を有するタンパク質。
    (c)(a)又は(b)の一部からなり、かつ接着性を有するタンパク質。
  3. 抗体特異的結合タンパク質は、プロテインA、プロテインG、又はこれらの一部からなりかつ抗体特異的結合性を有するタンパク質である請求項1又は2に記載の融合タンパク質。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の融合タンパク質をコードする遺伝子。
  5. 請求項4に記載の遺伝子にストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ接着性と抗体特異的結合性とを有するタンパク質をコードする遺伝子。
  6. 請求項4又は5に記載の遺伝子が導入された組換え体を培養し、該組換え体の培養物から、フジツボ由来接着タンパク質と抗体特異的結合タンパク質とが連結された融合タンパク質を取得する融合タンパク質の製造方法。
  7. 請求項4又は5に記載の遺伝子を無細胞抽出液中で発現させることにより、フジツボ由来接着タンパク質と抗体特異的結合タンパク質とが連結された融合タンパク質を取得する融合タンパク質の製造方法。
  8. 担体に固定化された固相抗体をもって所望の抗原タンパク質を担体上に捕捉し、捕捉された抗原タンパク質を検出する抗原タンパク質の検出方法であって、固相抗体は請求項1〜3のいずれか1項に記載の融合タンパク質を介して前記担体に固定化されており、前記融合タンパク質のフジツボ由来接着タンパク質側が前記担体に結合し、抗体特異的結合タンパク質側が前記固相抗体に結合している抗原タンパク質の検出方法。
  9. 捕捉された抗原タンパク質に標識抗体を結合させ、当該標識抗体の標識を指標として抗原タンパク質を検出する請求項8に記載の抗原タンパク質の検出方法。
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