JP2002017368A - プロテインaを細胞表層に提示する形質転換酵母 - Google Patents

プロテインaを細胞表層に提示する形質転換酵母

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JP2002017368A
JP2002017368A JP2000206689A JP2000206689A JP2002017368A JP 2002017368 A JP2002017368 A JP 2002017368A JP 2000206689 A JP2000206689 A JP 2000206689A JP 2000206689 A JP2000206689 A JP 2000206689A JP 2002017368 A JP2002017368 A JP 2002017368A
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protein
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渥夫 田中
Atsumi Ueda
充美 植田
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豊 寺西
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プロテインA又はその断片を細胞表層に発現
及び提示させることができる酵母を提供すること。 【解決手段】 プロテインA又はその断片をコードする
DNAを有する酵母用発現ベクターを酵母に形質転換す
ることにより得られる、プロテインA又はその断片を細
胞表層に提示する形質転換酵母。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プロテインA又は
その断片を細胞表層に提示する形質転換酵母、並びにそ
れを用いたIgGのFc部分の分析方法に関する。より詳細
には、本発明は、IgGのFc部分と親和性を有するプロテ
インA又はその断片を含む酵母用発現ベクターを酵母に
導入して得られる該プロテインAまたはその断片を細胞
表層に発現する形質転換酵母、並びにそれを用いたIgG
のFc部分の分析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】遺伝子組換え技術を応用した異種タンパ
ク質の生産は様々な産業に用いられており、その宿主と
して主に大腸菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞等が用いら
れている。異種タンパク質、特に真核生物由来のタンパ
ク質を生産するためには、真核微生物である酵母が好適
であると考えられている。酵母は大量培養方法が確立し
ており、これまでに種々の酵母を宿主とした発現系が開
発されてきた。酵母を宿主として使用した場合、生産さ
れてくるタンパク質のアセチル化、リン酸化および糖鎖
の付加などの翻訳後修飾も動物細胞の場合と似ていると
考えられている。このため、動物細胞由来のタンパク質
を発現させる宿主としては、酵母を用いた異種タンパク
質生産法を用いることが有利である。これに対して、大
腸菌などの原核生物を用いる方法では必ずしも全てのタ
ンパク質について有効であるわけではなく、真核生物由
来のタンパク質の複雑な翻訳後修飾あるいは天然体と同
じ立体構造を再現することは必ずしも容易ではない。ま
た大腸菌には特有のエンドトキシンが存在し、最終製品
の夾雑物になる可能性がある。一方、動物細胞ないし昆
虫細胞を用いる方法は、取扱が微生物より難しく、培養
にコストがかかり、かつ生産効率も悪い。そこで、酵母
を宿主とした蛋白質ディスプレイ法を確立することがで
きれば、所望の機能又は新たな機能を有する蛋白質のス
クリーニングなどにおいて非常に有用である。
【0003】グラム陽性菌Staphylococcus aureus のプ
ロテインAは、液性免疫における産生抗体IgGのFc部分
と選択的かつ特異的に強い親和性を有する。従って、プ
ロテインAを細胞表層に発現することができる酵母を作
製することができれば、コンビナトリアル抗体ライブラ
リーやFcをもつ抗体成分の特異的吸着、並びに興味深い
活性を持つ触媒抗体の安定供給などを行うことが可能に
なり、新規な機能分子のスクリーニング等に有用であ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、プロテインA又はその断片を細胞表層に発
現及び提示させることができる酵母を提供することであ
る。本発明が解決しようとする別の課題は、プロテイン
A又はその断片を細胞表層に発現及び提示させることが
できる酵母を用いてIgGのFc部分を検出又は単離する方
法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討し
た結果、ある一定の酵母用発現ベクターを用いてプロテ
インAのZZドメインをコードする遺伝子を酵母に形質
転換することにより、該プロテインAのZZドメインを
酵母の細胞表層に発現及び提示できることを見出し、本
発明を完成するに至った。即ち、本発明によれば以下の
発明が提供される。
【0006】(1) プロテインA又はその断片を細胞
表層に提示する形質転換酵母。 (2) プロテインA又はその断片がIgGのFc部分
と親和性を有する部分である、(1)に記載の形質転換
酵母。 (3) プロテインA又はその断片が少なくともZZド
メインを含む断片である、(1)又は(2)に記載の形
質転換酵母。 (4) プロテインA又はその断片をコードするDNA
を有する酵母用発現ベクターを酵母に形質転換すること
により得られる、(1)から(3)の何れかに記載の形
質転換酵母。
【0007】(5) 酵母用発現ベクターが、プロモー
ター、分泌シグナル配列、プロテインA又はその断片を
コードするDNA、酵母由来のアグルチニン遺伝子又は
その断片をこの順序で5’から3’方向に含むことを特
徴とする、(4)に記載の形質転換酵母。 (6) 酵母用発現ベクターがマルチコピー型プラスミ
ド又は染色体組み込み型プラスミドである、(4)又は
(5)に記載の形質転換酵母。 (7) プロモーター、分泌シグナル配列、プロテイン
A又はその断片をコードするDNA、酵母由来のアグル
チニン遺伝子又はその断片をこの順序で5’から3’方
向に含む酵母用発現ベクター。 (8) (1)から(6)の何れかに記載の形質転換酵
母の作製における、(7)に記載の酵母用発現ベクター
の使用。
【0008】(9) (1)から(6)の何れかに記載
の形質転換酵母とIgGのFc部分又はそれを含む蛋白質断
片を含む試料とを混合することにより、IgGのFc部分を
該形質転換酵母の表層に提示されたプロテインA又はそ
の断片に結合させることを含む、IgGのFc部分を検出又
は単離する方法。 (10) IgGのFc部分又はそれを含む蛋白質断片を含
む試料がコンビナトリアル抗体ライブラリーである、
(9)に記載の方法。 (11) IgGのFc部分又はそれを含む蛋白質断片が標
識されている、(9)又は(10)に記載の方法。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施方法及び実施
態様について詳細に説明する。グラム陽性菌Staphyloco
ccus aureus のプロテインAは、液性免疫における産生
抗体IgGのFc部分と選択的かつ特異的に強い親和性を有
する。本発明者が開発した酵母表層発現ベクターを用い
ることにより、このプロテインAのIgGのFc部分と反応
する部分をコードする領域ZZドメインを、酵母の細胞表
層に提示させることに今回初めて成功した。このプロテ
インAの領域ZZドメインを酵母細胞の表層に提示するこ
とにより、コンビナトリアル抗体ライブラリーやFcをも
つ抗体成分の特異的吸着、並びに興味深い活性を持つ触
媒抗体の安定供給などを行うことが可能になり、新規な
機能分子のスクリーニング等に有用である。また、本発
明の技術は、Fcを持たせた分泌タンパク質を用いた新し
い分離精製法の確立などにも応用が可能である。本発明
の酵母は、プロテインA又はその断片をコードするDN
Aを有する酵母用発現ベクターを酵母に形質転換するこ
とにより得られる形質転換酵母である。本発明の酵母
は、プロテインA又はその断片を細胞表層に提示するこ
とができる。
【0010】本発明で用いる発現ベクターは、酵母由来
のアグルチニン遺伝子又はその断片を含む。アグルチニ
ン遺伝子を取得するための酵母としては、例えば、長谷
川武治編著「微生物の分類と同定」(学会出版センタ
ー、1975年)に酵母として記載されている微生物群が挙
げられる。なかでも、好適な酵母はサッカロミセス属に
属する酵母であり、例として、サッカロミセス セレビ
シエ(Saccharomyces cerevisiae)MT8−1などを挙
げることができる。酵母の詳細な性質については、Taji
ma, M. et al., Yeast 1, 67-77(1985)に記載されてい
る。
【0011】前記アグルチニンはa−アグルチニン及び
α−アグルチニンの何れであってもよい。なお、α−ア
グルチニンの分子構造は、N末端から順に、分泌シグナ
ル配列、アグルチニン活性領域、細胞表層内在領域及び
GPIアンカー(グリコシルホスファチジルイノシトー
ル)付着シグナル領域という構成を有する。
【0012】アグルチニン遺伝子領域断片は、酵母の細
胞表層に異種蛋白を発現できる部分(細胞表層内在領域
を含む部分)であればよいが、特に好ましい例として、
サッカロミセス属由来のα−アグルチニンのC末端から
320アミノ酸をコードする遺伝子配列と446塩基か
らなる3’−非翻訳領域とを含むDNA断片を挙げるこ
とができる。このDNA断片にはGPIアンカー付着シ
グナル領域が含まれている。このDNA断片は、Murai,
T. et al. Applied and Environmental Microbiology,
63, 1362-1366(1997)に記載されている該断片を含むプ
ラスミドpGA11を制限酵素により切り出すことによ
って得ることもできる。
【0013】アグルチニン遺伝子又はその断片およびプ
ロテインA又はその断片をコードするDNAを含む本発
明の発現ベクターは、通常酵母で利用する発現ベクター
に前記遺伝子を導入することにより得ることができる。
上記発現ベクターの好適な例として、例えば、pICA
S1(Murai et al., Appl.Environ. Microbiol., 6
4,4857-4861(1998))、pCAS1(Murai et al., Ap
pl.Environ. Microbiol., 64,4857-4861(1998))等を
挙げることができる。
【0014】本発明で用いる発現ベクターは通常、プロ
モーターおよび分泌シグナル配列(例えば、カビ由来の
分泌シグナル配列)を含んでいる。前記プロモーターと
しては、通常酵母での発現に利用されるプロモーターで
あれば特に限定されないが、好適な例として、サッカロ
ミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)のグ
リセロアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPD
H)のプロモーター(Sawani-Hatanaka, H., T. et a
l., Biosci. Biotechnol. Biochem., 59, 1221-1228(19
95))、キャンディダ・トロピカリス(Candida tropica
lis)のイソクエン酸リアーゼ(ICL)のプロモータ
ー(UPR−ICL)(Kanai et al., Appl.Microbio
l.Biotechnology, 44, 759-765 (1996))などを挙げる
ことができる。
【0015】また、前記分泌シグナル配列としては、通
常酵母での発現、分泌に利用されるシグナル領域、例え
ば、リゾプス オリザエ(Rhizopus oryzae)由来のグル
コアミラーゼ遺伝子の分泌シグナル領域を使用できる。
上記プロモーターおよび分泌シグナル配列は、既知の方
法により、例えば、既知配列を基にして作製したプライ
マーを用いて、上記微生物のゲノムDNAを鋳型にして
PCR法を行うことなどから得ることができる。
【0016】本発明においては、プロテインA又はその
断片をコードするDNAを細胞表層に発現及び提示すべ
き蛋白質をコードするDNAとして使用する。プロテイ
ンAとは、グラム陽性菌Staphylococcus aureus (黄色
ブドウ球菌)細胞壁成分の5%を占める分子量約42,
000の蛋白質であり、ヒト、マウス、ウサギなどの免
疫グロブリンG(IgG)のFcフラグメントと特異的
に結合する。プロテインAのこの性質を利用することに
より、適当な担体に結合させ、抗体産生細胞の定量、I
gGの精製、また抗体を結合した細胞の分離などに用い
ることが可能である。
【0017】本発明では、プロテインAの全長から成る
完全蛋白質を使用する場合だけではなく、プロテインA
の断片を使用することもできる。プロテインAを酵母の
細胞表層に効率よく提示させるという観点から言うと、
プロテインAの断片を使用することが好ましい。本発明
で使用できるプロテインAの断片は好ましくは、、少な
くともIgGのFc部分と親和性を有する部分を含む。より
具体的には、IgGのFc部分と反応する部分をコードする
領域としてはZZドメインが挙げられる。
【0018】本発明で用いる発現ベクターの好ましい態
様では、プロモーター、分泌シグナル配列、プロテイン
A又はその断片をコードするDNA、酵母由来のアグル
チニン遺伝子又はその断片(例えば、α−アグルチニン
のC末端断片をコードするDNA断片)をこの順序で有
している。
【0019】このような発現ベクターは、例えば、前記
したプラスミドベクターに、前記プロモーター、分泌シ
グナル配列、マルチクローニングサイト及びアグルチニ
ン遺伝子又はその断片を、この順に配列するように導入
した後、前記マルチクローニングサイトにプロテインA
又はその断片をコードするDNAを導入することにより
構築できる。このような組換え発現ベクターの構築には
慣用の組換えDNA技術を利用できる。また、本発明で
用いる発現ベクターには抗生物質耐性遺伝子などの選択
マーカー遺伝子が含まれていてもよい。
【0020】本発明において、上記した組換えベクター
による形質転換の対象とされる酵母としては、例えば、
長谷川武治編著「微生物の分類と同定」(学会出版セン
ター、1975年)に酵母として記載されている微生物群が
挙げられる。酵母の種類は特には限定されず、例えば、
サッカロミセス属、シゾサッカロミセス属、キャンディ
ダ属、ピキア属、ハンセヌラ属などが挙げられる。本発
明では、サッカロミセス属に属する酵母を使用すること
が好ましく、好ましい具体例としては、サッカロミセス
・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)などを挙げ
ることができる。酵母の詳細な性質については、Tajim
a, M. et al., Yeast 1, 67-77(1985)に記載されてい
る。
【0021】発現ベクターによる酵母の形質転換は、慣
用の手法により行うことができ、例えば、酢酸リチウム
法、電気パルス法又はプロトプラスト法等によって形質
転換体を得ることができる。形質転換体の培養方法もま
た公知であり、例えば、「M.D. Rose et al.,"Methods
In Yeast Genetics",Cold SpringHarbor LaboratoryPre
ss (1990)」等に記載されている。
【0022】本発明によれば、上記した本発明の酵母を
用いる蛋白質のスクリーニング方法が提供される。本発
明の酵母は細胞表層にプロテインA又はその断片を提示
することができるため、提示されたプロテインA又はそ
の断片と相互作用する任意の物質(例えば、IgGのFc部
分など)をスクリーニングすることができる。具体的に
は、本発明のプロテインA又はその断片を細胞表層に提
示できる形質転換酵母とIgGのFc部分又はそれを含む蛋
白質断片を含む試料(例えば、コンビナトリアル抗体ラ
イブラリーなど)を混合することにより、IgGのFc部分
を該形質転換酵母の表層に提示されたプロテインA又は
その断片に結合させ、結合したIgGのFc部分を検出した
り、あるいは結合したIgGのFc部分を単離することがで
きる。試料中のIgGのFc部分又はそれを含む蛋白質断片
を標識しておくことにより、酵母細胞表層のプロテイン
A又はその断片に結合したIgGのFc部分を容易に検出す
ることが可能である。
【0023】蛋白質断片の標識の種類及び標識方法は当
業者に知られているものから適宜選択することができ
る。標識として酵素を使用する場合には、例えば、西洋
ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、グ
ルコースオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコ
アミラーゼ、炭酸アンヒドラーゼ、アセチルコリンエス
テラーゼ、リゾチーム、マレートデヒドロゲナーゼ、グ
ルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ等を標識
として使用することができる。標識として酵素を使用す
る場合、上記の標識酵素の基質を作用させて発色等で反
応を測定することによって標識抗体を検出することがで
きる。例えば、ペルオキシダーゼで標識される場合に
は、基質として過酸化水素、発色試薬としてジアミノベ
ンジジンまたはO−フェニレンジアミンと組み合わさっ
て褐色または黄色を生じる。グルコースオキシダーゼで
標識される場合には、基質として、たとえば2,2’
−アシド−ジ−(3−エチルベンゾチアゾリン−6−ス
ルホン酸(ABTS)等を用いる。
【0024】標識として蛍光色素を使用する場合には、
例えば、FITC(フルオレセインイソチオシアネー
ト)又はTRITC(テトラメチルローダミンBイソチ
オシアネート)等の蛍光色素で抗体又はその断片を標識
することができる。標識として呈色標識物質を使用する
場合には、例えば、コロイド金属および着色ラテックス
などを標識として使用できる。コロイド金属の代表例と
しては、金ゾル、銀ゾル、セレンゾル、テルルゾルおよ
び白金ゾルなどのそれぞれの分散粒子である金属コロイ
ド粒子を挙げることができる。コロイド金属の粒子の大
きさは、通常は、直径3〜60nm程度とされる。また、
着色ラテックスの代表例としては、赤色および青色など
のそれぞれの顔料で着色されたポリスチレンラッテクス
などの合成ラテックスを挙げることができる。ラテック
スとして天然ゴムラテックスのような天然ラッテクスを
使用することができる。着色ラテックスの大きさは、直
径数十nm〜数百nm程度から選択することができる。こ
れらの呈色標識物質は市販品をそのまま使用することが
できるが、場合によりさらに加工し、または、それ自体
公知の方法で製造することもできる。
【0025】なお、標識としては、上記以外にもアフィ
ニティー標識(例えば、ビオチン等)、又は、同位体標
識(例えば、125I等)等を使用することもできる。あ
るいは、IgGのFc部分又はそれを含む蛋白質断片と蛍光
蛋白質(例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)または
その変異体)とから成る融合蛋白質を使用することもで
きる。
【0026】上記したような標識抗体を用いた酵素抗体
法、免疫組織染色法、免疫ブロット法、直接蛍光抗体法
又は間接蛍光抗体法等の分析は当業者に周知の方法で行
なうことができ、その実験条件も当業者ならば適宜選択
することができる。以下の実施例により本発明を具体的
に説明するが、本発明は実施例によって限定されること
はない。
【0027】
【実施例】実施例1:プロテインAのIgGのFc部分に特
異的親和性を示すZZドメインの増幅と細胞表層発現プラ
スミドの構築 常法に従って増殖させたプラスミドpEZZ18(アマ
ーシャムファルマシア社製、図1)を保持した大腸菌か
ら、プラスミドpEZZ18を単離し、これを鋳型にし
てPCRを行い、ZZドメインを作製した。即ち、5'-gaa
ttcatgcaactgttcaatttgcc-3'(配列番号1)と5'-cttgt
taaatcagtagtggttgag-3'(配列番号2)をプライマーと
して、20μmolのdNTP混合液、50pmolの各プライマー、1
ngの鋳型プラスミドDNAとpfuポリメラーゼ(スト
ラタジーン社製)とPCRpfuポリメラーゼのバッファ
ーからなる100μlの反応系により、94℃で1分;55℃で
1分;72℃で30秒の30サイクル反応によりPCR反応を
行った。このようにして増幅させたZZドメインをコード
する遺伝子(図2又は配列番号3)をSacIIとXhoIで切
断した後、電気泳動で精製し、さらに、QIAEXII (QIAGE
N Co.)ゲル抽出キットで抽出した。
【0028】次に、本発明者が開発した酵母Saccharomy
ces cerevisiaeのGAPDHプロモーターとRhizopus oryzae
のグルコアミラーゼの分泌シグナルをコードする遺伝子
とマルチクローニングサイトとαーアグルチニンをコー
ドする遺伝子の3'−末端からなる遺伝子を含む細胞表
層発現用マルチコピー型プラスミドpCAS1(Murai
et al., Appl.Environ. Microbiol., 64,4857-4861(1
998))と染色体組み込み型プラスミドpICAS1(Mu
rai et al., Appl.Environ. Microbiol., 64,4857-48
61(1998))をSacIIとXhoIで切断した(図3)。それぞ
れの断片を電気泳動で精製した後、QIAEXII (QIAGEN C
o.)ゲル抽出キットで抽出した。
【0029】先に得たZZドメインをコードする遺伝子
を、マルチコピー型プラスミドpCAS1と染色体組み
込み型プラスミドpICAS1をSacIIとXhoIで切断し
た断片にライゲーションして、ZZドメインの細胞表層発
現マルチコピープラスミドpCZZと染色体組み込みプ
ラスミドpICZZを構築した(図3)。
【0030】実施例2:プロテインAのZZドメインを細
胞表層に提示した酵母の作製 pCZZとpICZZは、それぞれ酵母Saccharomyces
cerevisiae MT8-1に酢酸リチウム法で導入した。SD-Trp
固体培地(0.03%Leu, 0.02%His, 0.02%Ade, 0.02%Ura,
6.7%Yeast nitrogen base, 2%glucose,2%agar)でTrp+
となる形質転換体を得た。導入された遺伝子の宿主細胞
内における存在は、PCRならびにサザンブロット法に
より確認した。これらの形質転換体をSD-Trp液体培地
で、30℃で24時間培養した後、PBSバッファーで洗浄
し、次に、3.7%ホルムアルデヒドで固定した。この試料
にラビットIgG(ジャクソンイムノリサーチラボラトリ
ー社製)とフルオレセイン標識したヤギの抗ラビットIg
G(モレキュラープローブ社製)を用いて、細胞表層に
提示されたプロテインAのZZドメインを蛍光顕微鏡によ
り検出した。
【0031】実施例3:プロテインAのZZドメインを細
胞表層に提示した酵母を用いた分泌Fc融合Green Fluore
scent Protein (GFP)の分離回収 GAPDHプロモーターとRhizopus oryzaeのグルコアミラー
ゼの分泌シグナルをコードする遺伝子、さらに、GFPを
コードする遺伝子とヒトIgG1のFcをコードする断片遺
伝子(図4、三菱化学より供与)を含むマルチコピー型プ
ラスミドpCGFP−Fc(図5)を作製し、これを酵
母Saccharomyces cerevisiae MT8-1に酢酸リチウム法で
導入した。
【0032】このGFP-Fc融合タンパクを分泌する細胞
と、実施例2で作製したZZドメインを細胞表層に提示し
た酵母とを混合培養した場合、並びに、分泌GFP-Fc融合
タンパク質を含む溶液に実施例2で作製したZZドメイン
を細胞表層に提示した酵母細胞を浸漬した場合の2通り
の場合において、ZZドメイン提示細胞の表層に分泌GFP-
Fc融合タンパクが特異的に、かつ選択的に吸着したこと
を、GFPの蛍光を蛍光顕微鏡で捉えて確認できた。
【0033】
【発明の効果】本発明の形質転換酵母は、プロテインA
の領域ZZドメインを酵母細胞の表層に提示することがで
き、コンビナトリアル抗体ライブラリーやFcをもつ抗体
成分の特異的吸着、並びに興味深い活性を持つ触媒抗体
の安定供給などを行う際に有用であり、例えば、新規な
機能分子のスクリーニング等に有用である。また、本発
明の形質転換酵母は、Fcを持たせた分泌タンパク質を用
いた新しい分離精製法の確立などにも応用が可能であ
る。
【0034】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> GenCom <120> A transformed yeast capable of presenting Protein A on its cell su rface <130> A01317MA <160> 3
【0035】 <210> 1 <211> 26 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA <400> 1 gaattcatgc aactgttcaa tttgcc 26
【0036】 <210> 2 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA <400> 2 cttgttaaat cagtagtggt tgag 24
【0037】 <210> 3 <211> 348 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: DNA of ZZ domein of Protein A <400> 3 gacaacaaat tcaacaaaga acaacaaaac gcgttctatg agatcttaca tttacctaac 60 ttaaacgaag aacaacgaaa cgccttcatc caaagtttaa aagatgaccc aagccaaagc 120 gctaaccttt tagcagaagc taaaaagcta aatgatgctc aggcgccgaa agtagacaac 180 aaattcaaca aagaacaaca aaacgcgttc tatgagatct tacatttacc taacttaaac 240 gaagaacaac gaaacgcctt catccaaagt ttaaaagatg acccaagcca aagcgctaac 300 cttttagcag aagctaaaaa gctaaatgat gctcaggcgc cgaaagtg 348
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はプラスミドpEZZ18の構造を示す図
である。
【図2】図2はZZドメインをコードする遺伝子の配列を
示す。
【図3】図3は、ZZドメインの細胞表層発現マルチコピ
ープラスミドpCZZと染色体組み込みプラスミドpI
CZZの構築を示す図である。
【図4】図4は、ヒトIgG1のFcをコードする断片遺伝
子の配列を示す。
【図5】図5は、マルチコピー型プラスミドpCGFP
−Fcの構造を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 寺西 豊 東京都町田市南大谷11号 株式会社ジェン コム内 Fターム(参考) 4B024 AA11 BA80 CA03 CA07 DA12 EA04 FA02 FA18 GA11 GA19 HA03 HA11 HA20 4B063 QA01 QA05 QQ79 QQ96 QR33 QR48 QR66 QR76 QR80 QS03 QS05 QS32 QX02 4B065 AA53Y AA69Y AA80X AA80Y AB01 AC14 AC20 BA02 CA24 CA46

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プロテインA又はその断片を細胞表層に
    提示する形質転換酵母。
  2. 【請求項2】 プロテインA又はその断片がIgGのF
    c部分と親和性を有する部分である、請求項1に記載の
    形質転換酵母。
  3. 【請求項3】 プロテインA又はその断片が少なくとも
    ZZドメインを含む断片である、請求項1又は2に記載
    の形質転換酵母。
  4. 【請求項4】 プロテインA又はその断片をコードする
    DNAを有する酵母用発現ベクターを酵母に形質転換す
    ることにより得られる、請求項1から3の何れかに記載
    の形質転換酵母。
  5. 【請求項5】 酵母用発現ベクターが、プロモーター、
    分泌シグナル配列、プロテインA又はその断片をコード
    するDNA、酵母由来のアグルチニン遺伝子又はその断
    片をこの順序で5’から3’方向に含むことを特徴とす
    る、請求項4に記載の形質転換酵母。
  6. 【請求項6】 酵母用発現ベクターがマルチコピー型プ
    ラスミド又は染色体組み込み型プラスミドである、請求
    項4又は5に記載の形質転換酵母。
  7. 【請求項7】 プロモーター、分泌シグナル配列、プロ
    テインA又はその断片をコードするDNA、酵母由来の
    アグルチニン遺伝子又はその断片をこの順序で5’から
    3’方向に含む酵母用発現ベクター。
  8. 【請求項8】 請求項1から6の何れかに記載の形質転
    換酵母の作製における、請求項7に記載の酵母用発現ベ
    クターの使用。
  9. 【請求項9】 請求項1から6の何れかに記載の形質転
    換酵母とIgGのFc部分又はそれを含む蛋白質断片を含む
    試料とを混合することにより、IgGのFc部分を該形質転
    換酵母の表層に提示されたプロテインA又はその断片に
    結合させることを含む、IgGのFc部分を検出又は単離す
    る方法。
  10. 【請求項10】 IgGのFc部分又はそれを含む蛋白質断
    片を含む試料がコンビナトリアル抗体ライブラリーであ
    る、請求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】 IgGのFc部分又はそれを含む蛋白質断
    片が標識されている、請求項9又は10に記載の方法。
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