JP2006333825A - 標的物質捕捉用タンパク質の製造方法及びその構成材料の選択方法 - Google Patents

標的物質捕捉用タンパク質の製造方法及びその構成材料の選択方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2006333825A
JP2006333825A JP2005164550A JP2005164550A JP2006333825A JP 2006333825 A JP2006333825 A JP 2006333825A JP 2005164550 A JP2005164550 A JP 2005164550A JP 2005164550 A JP2005164550 A JP 2005164550A JP 2006333825 A JP2006333825 A JP 2006333825A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
target substance
polypeptide chain
polypeptide
complex
library
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2005164550A
Other languages
English (en)
Inventor
Satoru Hatakeyama
哲 畠山
Hidenori Shiozuka
秀則 塩塚
Takeshi Nomoto
毅 野本
Masaru Kaieda
優 海江田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2005164550A priority Critical patent/JP2006333825A/ja
Priority to US11/444,387 priority patent/US20060275811A1/en
Publication of JP2006333825A publication Critical patent/JP2006333825A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/10Processes for the isolation, preparation or purification of DNA or RNA
    • C12N15/1034Isolating an individual clone by screening libraries
    • C12N15/1037Screening libraries presented on the surface of microorganisms, e.g. phage display, E. coli display
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/005Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies constructed by phage libraries
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/40Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against enzymes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/10Processes for the isolation, preparation or purification of DNA or RNA
    • C12N15/1034Isolating an individual clone by screening libraries
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/60Immunoglobulins specific features characterized by non-natural combinations of immunoglobulin fragments
    • C07K2317/62Immunoglobulins specific features characterized by non-natural combinations of immunoglobulin fragments comprising only variable region components
    • C07K2317/622Single chain antibody (scFv)
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/90Immunoglobulins specific features characterized by (pharmaco)kinetic aspects or by stability of the immunoglobulin
    • C07K2317/92Affinity (KD), association rate (Ka), dissociation rate (Kd) or EC50 value

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Plant Pathology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、従来の高親和性分子創出のためのタンパク質ディスプレーによる選択方法において、高結合活性(avidity)効果を利用した標的物質(群)に対するニ以上の異なる結合部位の組合せを簡便にかつ体系的に創出することができる高親和性分子の選択方法であり、更に標的物質結合部位の組合せが最終的な高親和性分子(高結合活性分子)の分子構成をベースに選択できる効果的かつ実用的な方法を提供するものである。
【解決手段】本発明は、新生タンパク質を二以上の機能性ポリペプチド鎖から構成し、各々の機能性ポリペプチド鎖が互いに異なる部分の標的物質(群)へ結合する部位と機能性ポリペプチド鎖間で互いに会合する部位を有することにより、結合活性(Avidity)効果を利用して、新生タンパク質集団から簡便に且つ体系的に高親和性分子を、標的物質に対する最終的な分子構成を基盤として選択することを特徴とする、高親和性新生タンパク質創出のための選択方法に関する。
【選択図】図1

Description

本発明は、標的物質の検出、単離や阻害、あるいはタンパク質同士の相互作用についての各種検討に有用な標的物質捕捉用タンパク質を製造するための方法及びその製造に用いるポリペプチドの選択方法に関する。
抗体−抗原、レセプター−リガンド、酵素−基質などに代表されるタンパク質−タンパク質相互作用は、全ての生物における生命現象をつかさどる重要な役割を果たしており、タンパク質−タンパク質相互作用による特異的な認識および結合について理解することは生化学研究や細胞内伝達研究において一つの焦点となっている。特に抗体関連については古くより研究が行われ多くの知見が得られている。得られた知見から、完全型の抗体が抱える低生産性、低親和性、高分子サイズなどに基づくデメリットを克服し、より機能的な新規抗体の創出や、抗体以外の構造をベースにした、抗体が苦手とする環境での各種用途での利用や、分子認識を目指した様々な機能性タンパク質の創出、更にはそれら機能性タンパク質のスクリーニング(ディスプレー)方法、選択方法が鋭意検討されている。このように、タンパク質−タンパク質相互作用への理解からより機能的な分子を効率良く且つ体系的に創出、選択する技術は、抗体医薬、診断用デバイス、バイオテクノロジー、およびその他の種々の分野での研究において新しい解決策となる可能性が最も高く、ますます重要になりつつある。
以下、タンパク質−タンパク質相互作用を利用して標的物質捕捉を行うための標的物質捕捉用のタンパク質(ポリペプチド)に関連する技術について項目を挙げて説明する。
(1)標的物質に対する結合部位としての抗体の使用
標的物質捕捉用のタンパク質の代表例として、抗体を挙げることができる。中でも、モノクローナル抗体は、単一の標的物質を認識し、これに結合する機能を有し、ヒトの癌の診断や病原菌、食中毒菌の検出等、医療や食品衛生の分野で広く実用化されている。モノクローナル抗体とは、単一クローン由来のハイブリドーマによって産生される抗体であり、ハイブリドーマは、抗原を免疫した動物の脾臓のB細胞と骨髄腫細胞(ミエローマ)との細胞融合から構築される。このハイブリドーマは、B細胞に由来する抗体生産能力と、ミエローマに由来する無限増殖性の両能力を有する細胞である。これをクローン化することにより、目的とする抗原に特異的で均質なモノクローナル抗体を産生することができる。
最も簡単な抗体(IgG)の構造は四つのポリペプチド鎖、即ちジスルフィド結合により相互連結されるニ本の重(H)鎖及びニ本の軽(L)鎖から成る。L鎖はカッパー(k)、ラムダ(λ)と呼ばれる2つの異なる形態で存在する。各鎖は不変部(C)及び可変部(V)を有する。各鎖は一連のドメイン中に組織化される。L鎖は一方がC部に対応し他方がV部に対応する二つのドメインを有する。H鎖は一つがV部に、そして三つがC部にある四つのドメインを有する。抗体は二つの同じユニット(各ユニットはFab部にある)を有し、各々が相互に関連したVL及びVH部を有する。ある抗体が他の抗体と異なるのはV部のこの対(VL及びVH)に由来し、ともに抗原を認識し抗原結合部位(ABS)を提供することに関与する。
さらに詳細に言えば、各V部は四つのフレームワーク領域(FR)で分離される三つ相補性決定領域(CDR)から成る。CDRは可変部の最も変動し易い部分であり、それらは重大な抗原結合機能を成し遂げる。CDR領域は組換え、突然変異及び選択を含めた複雑な工程を経て多数の潜在的な再構築系列配列から得られる。
(2)標的物質に対する結合部位としての抗体断片の使用
種々の抗体断片が開発される背景として、従来のハイブリドーマ法により取得されるモノクローナル抗体の有する問題点が挙げられる。一つは、モノクローナル抗体の産生には非常に大掛かりな設備を要しコストがかかる点である。もう一つは、モノクローナル抗体の親和性は生体免疫システムが基盤であるためにある種の抗体では高親和性分子を得ることが困難であったり、B細胞を得るための動物宿主において自己免疫原性を有する分子はモノクロール抗体生産用の抗原から排除されるなどといった束縛が挙げられる。
そこで、標的物質への結合部位への抗体断片の利用が検討されてきた。抗体断片の例としては、(i)VL、VH、CL及びCH1ドメインから成るFab断片;(ii)VH及びCH1ドメインから成るFd断片;(iii)抗体の単一アームのVL及びVHドメインから成るFv断片;(iv)VHドメインから成るdAb断片;(v)単離CDR領域及び(vi)F(ab')2断片、即ちヒンジ部でのジスルフィド架橋により結合されるニつのFab断片から成る二価断片が挙げられる。
(3)抗体及び抗体断片の標的物質への結合性の改善
標的物質として捕捉対象となる物質の種類の広がりに応じて、標的物質の種類によっては、抗体や抗体断片を標的物質への結合部位として利用しようとした場合に、所望とする標的物質の特異的認識性や、標的物質との結合強度などが得られない場合が生じてきた。
このような問題に対処する方法として、多価結合分子の創出が挙げられる。この多価結合分子は、標的物質への結合部位を複数有することにより、標的物質への親和性(結合力)の向上、In vivoやIn vitroアッセイでのパフォーマンスの改良、更にはIn vivoでの標的物質のターゲット能や選択的局在化、半減期の増大などへの効果が期待さているものである。このような多価結合分子としては、例えば、scFv断片をヒンジ領域とオリゴマー化ドメインで連結したミニ抗体(Andreas Pluckthun et al., JBC Vol. 276, No. 17, 14385-14392(2001))や短いリンカーを持ったscFvの自発的なダイマー化によるDiabody、あるいは化学的修飾により連結した抗体断片などが知られている(Peter Pack et al, Immunotechnology 3, 83‐105(1997))。
更に、標的物質に対する結合力が強い(親和性が高い)標的物質捕捉用の分子を抗体断片やその誘導体から創製するための手法として、抗体断片やその誘導体のドメインに人工的な変異を導入し、進化的に抗原に対して親和性が向上した分子を選択取得する方法と、抗体断片やその誘導体を組み合わせて結合活性(Avidity)効果により、分子全体としての標的物質に対する親和性を向上させた分子を取得する方法がある。
前者を取得する方法としては、ファージ提示法やmRNA提示法を用いて体系的に目的とする分子を選択する手法が確立されている。
後者に関しては既知の抗原結合部位をリンカーなどで連結して取得する方法がある。例えば、Greg Winter et al., J.Mol. Biol. 246, 367‐373(1995)には、予め結晶構造解析により抗原と抗体の認識結合部位に関して詳細な情報を得た上で、同一標的物質(抗原)の有する異なるエピト―プを認識する抗体断片(scFv)を最適化したリンカーで連結した単一ポリペプチド鎖(scFv-scFv)の構築について開示されている。ここでは、標的物質への親和性を各scFv単独に対して2桁から3桁向上したことが実証されている。
(4)抗体及び抗体断片以外の標的物質捕捉用分子
動物の免疫系自体や、免疫系を利用して得られる情報を利用せずに標的物質に対する特異的な認識性及び結合力を獲得した新たなタンパク質の創生についての検討が行われている。このような非免疫系の標的物質捕捉分子では、分子サイズ、大腸菌などによる大量培養能、構造的安定性、ジスルフィド結合の有無、無作為化可能部位数の最適設計などにかかる事項について、構築段階から所望の設計を行えることが見込まれ、また、抗体やその断片が認識することが困難な低分子などを標的とすることが可能であり、抗体や抗体断片に替わる標的物質捕捉分子として充分期待できる。
非免疫系の標的物質捕捉分子としてのタンパク質の構築方法としては、基礎となるタンパク質の結晶構造情報を得た上で、構造維持に関与する領域(足場領域)を同定し、主に構造維持に関与しない表面に露出したアミノ酸残基を無作為化して、その中から標的物質を特異的に認識し、結合する機能を有する構造を選択する方法がある。
Andreas Pluckthun et al., FEBS Lett. 539, 2‐6(2003)には、足場構造としてアンキリンファミリータンパク質群より相同領域を同定し、繰り返し構造のモジュール化とパッキング、更に可溶性向上や安定化のためにキャップ構造を付与するなどして、基礎構造を改良し最適化した標的物質結合タンパク質について開示している。また、抗体の複数のCDRループ領域を介した抗原認識様式とは異なるβシートやヘリックス−ターン−へリックス領域を介して結合する新規結合タンパク質についても開示され、抗体を超える親和性や抗体が認識できない分子認識などが期待される(アンキリン(Andreas Pluckthun et al., Nature Biotechnology Vol22, No.5, 575-582(2004))、アフィリン(Sci Protein社)、アフィボディー(Per-Ake Nygren et al., Proteins:Structure,Function, and Genetics 48, 454‐462(2002)))。
新規抗体断片や新規結合タンパク質を創出する最も有望な戦略は、限定されたライブラリーを作製し、所望の特性によるスクリーニングまたは選択を効率よく、簡便に且つ体系的に行えることである。
(5)動物免疫系を利用しない標的物質捕捉分子の取得
動物免疫系によらずに抗体や抗体断片を得る方法として、ファージ選択法やmRNA選択法がある。国際公開第92/01047号パンフレット及び特許第3176917号明細書には、In vivoあるいはIn vitroによりランダム変異を誘発した特異的結合対(sbp)の多数の構成員をバクテリオファージ粒子表面に提示し、相補的sbp構成員との結合親和性を指標にファージの選択と増殖を繰り返し、最終的に相補的sbp構成員に親和性の高い選択されたバクテリオファージ粒子がもつ表面に提示されたsbp構成員をコードしている核酸情報を取得できることが開示されている
これらの文献における特異的結合対(sbp)構成員は抗体(また抗体断片)に限らず、レセプター、酵素などがこれに含まれる。これらの文献は、ファージ選択系により選択したCDRループを、抗体と類似した構造をもつTIM(トリオースホスフェートイソメラーゼ)酵素などにグラフトし新規結合タンパク質の創出が可能であることを示唆している。これらの文献は、更なる突然変異の誘発により異なる遺伝的集団を作製し、そして選択をかけることで、新規結合タンパク質の創出が可能であることも示唆している。
また、これらの文献は、sbpが多量体からなることを明示しており、第一ポリペプチド鎖と第二ポリペプチド鎖の少なくとも一つがランダム化した核酸ライブラリーとしてこのファージ選択系に適用可能であることを示し、バクテリオファージ粒子表面上に各ポリペプチド鎖よりなる多量体を形成することがができることを開示している。
米国特許第6482596号明細書には、既知のVLを担体に固定し、抗原の存在下でVL/抗原/VHの三者の結合による最安定化を期待してランダム変異を導入したVHを表面に提示したファージの選択を行うオープンサンドウィッチ法が開示されている。
ファージ選択法に替わるIn vitro選択法としてmRNA提示法が特表2002-500514号公報に開示されている。この方法は、タンパク質またはペプチドの提示と選択、それらをコードする遺伝物質の回収に関する方法であり、真核リボソームとタンパク質(またはペプチド)をコードするmRNAと、を有する複合体として、タンパク質(またはペプチド)をリボソームに提示することを特徴としている。この複合体をリボソーム上で抗原などと接触させて、その親和性を指標にランダム化した新生タンパク質やペプチドが選択される。同文献には、scFvをmRNA提示法により選択する実施例の開示がある。
(5)標的物質への結合部位のマルチ化
先に述べたように、標的物質の異なる複数の箇所を特異的に認識して結合する複数の標的物質結合部位を有する分子を用いることで、標的物質捕捉用の分子全体としての標的物質に対する結合力(Avidity)の向上を図ることができる。
複数の標的物質結合部位を連結する方法としては、先に挙げたscFv-scFvにおけるリンカーを用いる方法、コイルドコイルの人工的変異を導入したライブラリーからヘテロ会合能の違いにより体系的にコイルドコイルへテロ会合体を選択する方法(Andreas Pluckthun et al., J. Mol. Biol. 295, 627-639(2000)、国際公開第01/00814号パンフレット)が知られている。
国際公開第92/01047号パンフレット 特許第3176917号明細書 米国特許第6482596号明細書 特表2002-500514号公報 国際公開第01/00814号パンフレット Andreas Pluckthun et al., JBC Vol. 276, No. 17, 14385‐14392(2001) Peter Pack et al, Immunotechnology 3, 83‐105(1997) Greg Winter et al., J.Mol. Biol. 246, 367‐373(1995) Andreas Pluckthun et al., FEBS Lett. 539, 2‐6(2003) Andreas Pluckthun et al., Nature Biotechnology Vol22, No.5, 575-582(2004) Structure,Function, and Genetics 48, 454‐462(2002) Andreas Pluckthun et al., J. Mol. Biol. 295, 627‐639(2000)
標的物質を特異的に認識し、これと結合することで標的物質を捕捉する標的物質捕捉分子を、種々の標的物質に応じて設計して提供するための技術は、各種の分析方法の開発、医薬、診断用デバイス、バイオテクノロジー、およびその他の種々の分野での機能性分子の開発において極めて有用である。
多種多様な標的物質の構造に対応する上で、免疫系に限らない標的物質捕捉分子の選択方法の確立が求められている。また、標的物質との結合部位をマルチ化した標的物質捕捉分子の各結合部位を標的物質の構造に応じて適宜選択できる方法の確立も重要である。
標的物質捕捉用分子を選択する方法として、先に述べたようにファージ選択法やmRNA選択法などがある。しかしながら、これら選択法は標的分子に対して一点での結合力(親和性)を向上させることが可能であるが、親和性の向上には限界がある。
一方、標的物質との結合部位をマルチ化した標的物質捕捉分子の創生に関しては、先に挙げたscFv-scFvが知られている。このscFv-scFvでは、各Fvが標的物質の種類に応じて種々選択されるが、抗原(標的物質)内の標的とする2つのエピトープの空間的な配置により、選択されるscFv-scFvごとにリンカーの最適化を行うことが必要となる。更に、このscFv-scFvでは、Fvにより認識できない物質を標的として利用できない。
一方、コイルドコイル構造を利用して二以上の機能タンパク質からなる新規へテロ会合体を得る方法では、二以上の機能タンパク質を予め標的物質に応じて選択しておいてから、へテロ会合体の形成が行なわれるので、多くの候補から進化的、体系的に標的物質と特異的に結合する分子を選択する方法とはなっていない。
また、ファージ選択法やmRNA選択法は、多くの候補から進化的、体系的に標的物質と特異的に結合する分子を選択する方法としての可能性を有するものであるが、標的物質との結合部位をマルチ化した標的物質捕捉分子を得るには、選択された複数の分子を目的とする機能を有するように最適化して連結するプロセッシングが必要となる。更に、プロセッシング後の分子において再度標的物質(抗原)に対する親和性を確認する必要が生じる場合もある。
種々の標的物質に対応した標的物質捕捉分子を創出する最も有望な戦略は、標的物質結合分子の候補の多数からなる限定されたライブラリーを作製し、所望の特性によるスクリーニングまたは選択を効率よく、簡便に且つ体系的に行える標的物質結合分子の確立にある。更に、標的対象としての物質の種類やそれらを取り扱う分野の拡大にともなって、標的物質に対する特異的選択性及び結合性(Avidity)を、標的物質の種類に適宜対応して獲得することのできる標的物質との結合部位がマルチ化された標的物質捕捉分子を簡便に選択できる方法の確立も重要である。しかしながら、標的物質との結合部位がマルチ化された標的物質捕捉分子を、各結合部位を、候補分子からなるライブラリーから選択し、かつ所望とする機能を発揮できる配置でのこれらの連結状態を、進化的、体系的に得ることのできる方法については従来技術には見当たらない。
本発明の目的は、複数の標的物質結合部位を有する標的物質捕捉タンパク質の各標的物質結合部位となるプリペプチド鎖を、標的物質に対する結合位置が適正化された状態でポリペプチドライブラーから体系的に選択できる標的物質捕捉用タンパク質を形成するためのポリペプチド鎖の選択方法を提供することにある。本発明の他の目的は、この選択方法により選択されたポリペプチド鎖の情報に基づいて、複数の標的物質結合部位を有する標的物質捕捉タンパク質を製造する方法を提供することにある。
本発明の標的物質結合部位用ポリペプチド鎖の核酸配列選択方法の第1の態様は、複数の標的物質結合部位を有する標的物質捕捉用タンパク質の各標的物質結合部位に用いるポリペプチド鎖の組合せをポリペプチド鎖ライブラリーを利用して選択する方法であって、
(1)標的物質に既知の標的物質結合部位を有する第1のポリペプチド鎖を反応させて、該標的物質に特異的に結合する第1のポリペプチド鎖と該標的物質とからなる第1の複合体を得る工程と、
(2)第1の複合体に、各ポリペプチド鎖が第1のポリペプチド鎖と会合する部位を有する、第2のポリペプチド鎖のライブラリーを反応させて、該ライブラリーに含まれる該標的物質に特異的に結合する第2のポリペプチド鎖が該第1の複合体内の標的物質に結合している第2の複合体を得る工程と、
(3)前記第2の複合体を洗浄して、第1のポリペプチド鎖と第2のポリペプチド鎖が会合し且つ前記標的物質に両ポリペプチド鎖が結合している第3の複合体を得る工程と、
(4)前記第3の複合体から第2のポリペプチド鎖の核酸配列を得る工程と、
を有することを特徴とする標的物質捕捉用タンパク質の形成用ポリペプチド鎖の選択方法である。
上記第1の態様において、標的物質結合部位が3以上の場合は、各ライブラリーのそれぞれから選択されたポリペプチド鎖が会合部を有して互いに会合可能である第1〜第n(nは3以上の整数)のポリペプチド鎖のライブラリーを用意し、既知の標的物質結合部位を有する第1ポリペプチド鎖と第2のポリペプチド鎖を用いて前記(1)〜(3)の工程を行って得られた前記第3の複合体に対して、第3〜第nのポリペプチド鎖のライブラリーを順次用いて前記(2)及び(3)の工程を繰り返し行ってから、前記工程(4)を行い、各ライブラリーから選択されたn個のポリペプチド鎖の会合体が標的物質に結合した複合体を得た後、各ライブラリーから前記標的物質上に互いに会合した状態で選択されたポリペプチド鎖の核酸配列を得ることができる。
本発明の標的物質結合部位用ポリペプチド鎖の核酸配列選択方法の第2の態様は、複数の標的物質結合部位を有する標的物質捕捉用タンパク質の各標的物質結合部位に用いるポリペプチド鎖をポリペプチド鎖ライブラリーから選択する方法であって、
(1)標的物質に第1のポリペプチド鎖ライブラリーを反応させて、該標的物質に特異的に結合する第1のポリペプチド鎖と該標的物質とからなる第1の複合体を得る工程と、
(2)第1の複合体に、各ポリペプチド鎖が第1のポリペプチド鎖と会合する部位を有する、第2のポリペプチド鎖ライブラリーを反応させて、該ライブラリーに含まれる該標的物質に特異的に結合する第2のポリペプチド鎖が該第1の複合体内の標的物質に結合する第2の複合体を得る工程と、
(3)前記第2の複合体を洗浄して、第1のポリペプチド鎖と第2のポリペプチド鎖が会合し且つ前記標的物質に両ペプチド鎖が結合している第3の複合体を得る工程と、
(4)前記第3の複合体から第1のポリペプチド鎖と第2のポリペプチド鎖の核酸配列を得る工程と、
を有することを特徴とする標的物質捕捉用タンパク質の形成用ポリペプチド鎖の選択方法である。
上記の第2の態様において、各ライブラリーのそれぞれから選択されたポリペプチド鎖が会合部を有して互いに会合可能である第1〜第m(mは3以上の整数)ポリペプチド鎖のライブラリーを用意し、第1ポリペプチド鎖ライブラリー及び第2のポリペプチド鎖ライブラリーを用いて前記(1)〜(3)の工程を行って得られた前記第3の複合体に対して、第3〜第mのポリペプチド鎖ライブラリーを順次用いて前記(2)及び(3)の工程を繰り返し行い、各ライブラリーから選択されたm個のポリペプチド鎖の会合体が標的物質に結合した複合体を得た後、行ってから、前記工程(4)を行い、各ライブラリーから選択されたn個のポリペプチド鎖の会合体が標的物質に結合した複合体を得た後、各ライブラリーから前記標的物質上に互いに会合した状態で選択されたポリペプチド鎖の核酸配列を得ることができる。
本発明にかかる標的物質捕捉タンパク質の製造方法は、
(I)標的物質の異なる部位に特異的に結合し且つ互いに会合し得る2以上のポリペプチド鎖を上記の方法により選択する工程と、
(II)前記2以上のポリペプチド鎖を製造する工程と、
(III)製造された2以上のポリペプチド鎖を連結して、前記標的物質の異なる部位のそれぞれに特異的に結合する複数の結合部位を有する標的物質捕捉タンパク質を得る工程と
を有することを特徴とする標的物質捕捉用タンパク質の製造方法である。
本発明にかかるポリペプチド鎖セットの第1の態様は、第1及び第2〜第k(kは3以上の整数)の標的物質結合部位(ただし、第1及び第2の2つのみの場合も含む)を有する標的物質捕捉用タンパク質の標的物質結合部位を有するポリペプチド鎖を供給するためのポリペプチド鎖のセットであって、
(1)第1の標的物質結合部位用の既知のポリペプチド鎖と、
(2)第2標的物質結合部位の候補を有するポリペプチドライブラリー、あるいは第2〜第kのそれぞれの標的物質結合部位の候補ごとに区分した第2〜第kのポリペプチドライブラリーと、を有し、
前記第1のポリペプチド及び各ライブラリーから選択されたポリペプチド鎖が会合可能である
ことを特徴とするポリペプチド鎖セットである。すなわち、このポリペプチド鎖セットは、第1及び第2の標的物質結合部位を有する標的物質捕捉用タンパク質用として、第1の標的物質結合部位用の既知のポリペプチド鎖と第2のポリペプチドライブラリーのみから構成することができる。
本発明にかかるポリペプチド鎖セットの第2の態様は、第1〜第p(pは2以上の整数)の標的物質結合部位を有する標的物質捕捉用タンパク質の標的物質結合部位を形成するポリペプチド鎖を供給するためのポリペプチド鎖のセットであって、
第1〜第pのそれぞれの候補を有する第1〜第nのポリペプチド鎖ライブラリーからなり、
前記第1のポリペプチド及び各ライブラリーから選択されたポリペプチド鎖が会合可能である
ことを特徴とするポリペプチド鎖セットである。
本発明の核酸セットは、上記のポリペプチド鎖セットを構成する各ポリプチド鎖をコードする核酸からなる核酸セットである。
本発明の発現用ベクターセットは、上記の核酸セットに含まれる核酸のそれぞれを個々に有する発現ベクターからなる発現用ベクターセットである。
本発明の標的物質捕捉用タンパク質製造のためのポリペプチド鎖を選択するためのキットの第1の態様は、上記のポリペプチド鎖セットと、標的物質とポリペプチド鎖セットとの反応、複合体の洗浄及び複合体から目的とする複合体の取得のための試薬と、を有することを特徴とするポリペプチド鎖選択用キットである。
本発明の標的物質捕捉用タンパク質製造のためのポリペプチド鎖を選択するためのキットの第2の態様は、上記の核酸セットと、該核酸セットを用いてポリペプチド鎖セットを得るための試薬と、標的物質とポリペプチド鎖セットとの反応、複合体の洗浄及び複合体から目的とする複合体の取得のための試薬と、を有することを特徴とするポリペプチド鎖選択用キットである。
標的物質捕捉用タンパク質製造のためのポリペプチド鎖を選択するためのキットの第3の態様は、上記の発現ベクターセットと、該発現ベクターセットを用いてポリペプチド鎖セットを得るための試薬と、標的物質とポリペプチド鎖セットとの反応、複合体の洗浄及び複合体から目的とする複合体の取得のための試薬と、を有することを特徴とするポリペプチド鎖選択用キットである。
本発明の効果について下記に列挙する。
第一に、新生タンパク質を、標的物質との結合部位を形成するポリペプチド鎖の2以上を有する構成とし、これらのポリペプチド鎖が互いに会合する部位で連結することによって、結合活性(Avidity)効果を利用した高親和性分子を従来提示法の改良型として取得する選択が可能である。第二に、標的物質との結合部位を形成するポリペプチド鎖の会合部の結合力を選択時に調整することと標的物質に対する結合活性(Avidity)効果を利用することで、高結合活性を有する新生タンパク質を効率よく選択することが可能である。第三に、標的物質との結合部位を形成するポリペプチド鎖の少なくとも一つの標的物質結合部位に人工的変異を入れることで、進化的に高親和性(高結合活性)新生タンパク質を選択することが可能である。第四に、新生タンパク質を構成する標的物質結合部位形成用のポリペプチド鎖の標的物質結合部位に抗体断片、新型結合タンパク質、あるいは混成を設定することで、更なる高親和性(高結合活性)新生タンパク質を選択することが可能である。
第五に、既知の標的物質結合部位を、少なくとも一つのポリペプチド鎖に設定した場合に、既知の特異性を維持した親和性分子の更なる親和性向上を可能にする。第六に、機能性ポリペプチド鎖を二つ以上にして選択をすることにより、更なる高結合活性新生タンパク質を選択することができる。第七に、最終的な新生タンパク質の分子構成で選択をすることができるので、簡便かつ実用的に選択することが可能である。
本発明の選択方法では、標的物質捕捉用タンパク質として複数の標的物質結合部位を配置した構造を得るため、各標的物質結合部位を選択する際に、標的物質上で適正配置されたポリペプチド鎖を、ポリペプチド鎖のライブラリーから選択して配置していくので、標的物質に結合する際のこれらの結合部位の配置に関する情報を取り込んだ状態でこれらの結合部位に用い得るポリペプチド鎖の核酸配列を選択することができる。したがって、標的物質結合部位の個数に応じて用意したポリペプチド鎖ライブラリーから標的物質結合部位に必要なポリペプチド鎖を選択し、全てのポリペプチド鎖が標的物質上に選択された時点で、各ポリペプチド鎖によって認識される標的物質の各位置が特定されている状態となり、これらのポリペプチド鎖の連結配置も適正化されていることになる。これらのポリペプチド鎖を用いることで、複数の標的物質結合部位を有する標的物質捕捉用のタンパク質を標的物質に応じて体系的に得ることが可能となる。
以下、本発明を更に詳細に説明する。本発明のポリペプチド鎖の選択方法は、
(A)標的物質結合部位を有する既知のポリペプチド鎖と、少なくとも1つのポリペプチドライブラリーとの組合せを用いる方法、及び
(B)少なくとも2つのポリペプチドライブラリーの組合せを用いる方法、
の2つの態様を有する。
まず、標的物質結合部位の個数に応じた個数のポリペプチド鎖のライブラリーを用意する。上記方法(A)では、ライブラリー数は、(標的物質結合部位の個数−1)となり、上記方法(B)では、ライブラリー数は標的物質結合部位の個数と同じである。
各ポリペプチド鎖ライブラリーを構成する標的物質結合部位の候補となるポリペプチド鎖は、体系的にアミノ酸配列や鎖長を変化させた多数のポリペプチド鎖として形成しておく。このポリペプチド鎖ライブラリーの形成にあたっては、標的物質の構造の解析結果を参照して、標的物質の有する認識領域となり得る部分の情報に基づいて特異的な認識及び結合が可能と予測されるアミノ酸配列や二次構造を考慮して、ライブラリーを構成する各ポリペプチド鎖を体系的に構成することもできる。
上記方法(B)、すなわち後者の第1ポリペプチド鎖ライブラリーを反応させる場合において、該ライブラリーに標的物質と特異的に結合する第1のポリペプチド鎖が存在すると、標的物質と第1のポリペプチド鎖とが結合した第1の複合体が形成される。反応系から、標的物質に結合しなかったポリペプチド鎖を除去したのち、第1の複合体に対して第2のポリペプチド鎖ライブラリーを反応させる。第2のポリペプチド鎖ライブラリーに標的物質を特異的に認識し、結合し得るポリペプチド鎖が存在すると、標的物質上に第1及び第2のポリペプチドの両方が結合した第2の複合体が形成される。ここで、標的物質上に結合している第1のポリペプチドと第2のポリペプチドが標的物質上で、両ポリペプチド鎖の会合部を介した会合体の形成が可能な位置関係で隣接、あるいは近接して配置されている場合に、標的物質上で互いに会合した第1のポリペプチドと第2のポリペプチドの会合体が標的物質に結合した第2の複合体が得られる。この第2の複合体上から、会合していない第1及び/または第2のポリペプチドを、洗浄により除去することで、標的物質に会合体のみが結合した第3の複合体が得られる。所望とする標的物質結合部位が2であれば、この第3の複合体の有する第1ポリペプチドと第2のポリペプチドの会合体は、標的物質の異なる2の領域のそれぞれに特異的に結合する2つのポリペプチド鎖が標的物質との結合部位以外に設けられた会合部を介して会合した構造を有し、標的物質への結合部位を複数有する標的物質捕捉用タンパク質の所望とする構成を有している。そこで、この会合体を構成する第1及び第2のポリペプチドの核酸配列を特定し、その情報に基づいて所望とする構造を有する標的物質捕捉用タンパク質の製造が可能となる。
また、第一のポリペプチド鎖のライブラリーを、上記方法(A)で用いる既知のポリペプチド鎖を選択するためのものとして用意してもよい。この場合、第一のポリペプチド鎖のライブラリーを標的物質に反応させて、第一の複合体を形成した後、反応系から標的物質に結合しなかったポリペプチド鎖を除去し、標的物質に特異的に結合しているポリペプチド鎖の核酸配列を特定する。その情報に基づいてポリペプチド鎖を作製して、上記方法(A)における既知の標的物質結合部位を有するポリペプチド鎖として用いることができる。この方法(方法(C))の場合、第一のポリペプチド鎖のライブラリーから、上記方法(A)で用いる既知ポリペプチド鎖を選択するので、結果的に、全体のライブラリー数は標的物質結合部位の個数と同数となる。
以上、標的物質結合部位が2つある場合におけるポリペプチド鎖の選択について述べたが、3以上の標的物質結合部位用のポリペプチド鎖を選択する場合は、以下の各態様をとることができる。
(1)上記方法(A)において、既知のポリペプチド鎖と2以上のライブラリーとを用いる。
(2)上記方法(B)において、3以上のライブラリーを用いる。
(3)上記方法(C)において、3以上のライブラリーを用いる。
すなわち、上記の方法(A)〜(C)のいずれかの方法を用いて、2つのポリペプチド鎖の会合体が両方のポリペプチド鎖で標的物質上に結合している複合体(第3の複合体)を得た後、必要数用意したライブラリーを順次用いて、複合体とポリペプチド鎖ライブラリーを反応させて複合体を得る工程と、この反応で得られた複合体の洗浄による所望のポリペプリド鎖数の会合体が標的物質に結合している複合体を取得する工程と、を繰り返し行い、各ライブラリーから選択されたポリペプチド鎖の核酸配列を得ることで、所望とする標的物質捕捉用タンパク質の構造を得ることができる。
すなわち、方法(B)及び(C)の場合は、所望とする標的物質との結合部位の数が3であれば、第3のポリペプチド鎖のライブラリーを用意して、上記と同様にして、第3の複合体にこれを反応させて、第1〜第3のポリペプチド鎖の会合体を標的物質上に形成した第4の複合体を得る。更に、4以上のN個までの標的物質結合部位が必要の場合は、第4〜第Nのペプチド鎖ライブリーを用意しておき、上記と同様の反応及び洗浄を、各ペプチド鎖ライブラリーごとに繰り返すことで、N個のポリペプチド鎖が会合し、各ポリペプチド鎖がそれぞれ異なる標的物質の領域を認識、結合する会合体としての標的物質捕捉タンパク質を得ることができる。
第4の複合体(以降)を形成した時点で、所望とする会合体を有する各複合体を形成するポリペプチド鎖の核酸配列を獲得し、その情報に基づいて第1鎖ポリペプチド鎖を作製して本発明により明らかになった既知の標的物質結合部位を有する第1のポリペプチド鎖群として標的物質に反応させる方法(方法(D))とすることもできる。例えば、第1のライブラリーを反応させて、第1のポリペプチドの核酸配列を得て、そのポリペプチドを作製し、既知の標的物質結合部位を有する第1のポリペプチドとして標的物質に反応させ、第2のライブラリーを選択する。次に、第2のライブラリーから標的物質上に選択された第2のポリペプチドの核酸配列を特定し、第2ポリペプチド鎖を作製する。そして、第1と第2のポリペプチド鎖を既知の標的物質結合部位を有するポリペプチド鎖群として反応させることもできる。更に、必要に応じて第3以降のライブラリーを用いて、ライブラリー数に応じた個数(全ライブラリー数−1)の既知のポリペプチドの群を作成して、これを標的物質に反応させて、最終のライブラリーと反応させて所望の全ライブラリー数に対応した個数の標的物質結合部位用のポリペプチド鎖の各塩基配列を得る。この方法(D)におけるポリペプチド鎖群は、方法(A)における既知の第1のポリペプチド鎖に相当する。各既知ポリペプチド鎖を順次反応、洗浄に用いても会合体として与えてもよい。
ライブラリーから標的物質上に選択されたポリペプチド鎖の核酸配列は、例えばファージディスプレー法を用いた場合、標的物質により選択したポリペプチド鎖を提示しているファージを分離し、ファージの所有する選択されたポリペプチド鎖をコードする核酸情報を得る。また、mRNA提示法の場合、標的物質により選択したポリペプチド鎖に対応し結合するmRNAから核酸配列を直接得ることができる。また、得られた核酸情報から標的物質捕捉タンパク質を発現し、精製することは、各種の精製方法(例えば、ポリペプチド鎖の末端に配置したタグ配列を利用したアフィニティー精製、標的物質によるアフィニティー精製、分子量やチャージなどの違いによるクロマトグラフィー精製、これらの精製方法の組合せ)により行うことができる。
以下、上記方法(A)の一例について図面を参照しつつ説明する。なお、上記(B)〜(D)の方法もこの方法を利用して行うことができる。
既知の標的物質結合部位を有する第1のポリペプチド鎖を標的物質に反応させる場合ついて図1を使って説明する。図1(I)において、担体(96穴プレート)115上にある固定化した標的物質(標的分子)114(例えば抗原)に既知の標的分子結合部位(例えば前記抗原に対する抗体断片scFv)103を持つ第1のポリペプチド鎖を含む溶液を添加した状態を示す。第1のポリペプチド鎖は標的分子結合部位(scFv)103以外に第2のポリペプチド鎖と会合する部位101(例えばヘテロコイルドコイルの片鎖WinZipA1)と上記103と101をつなぐリンカー部位102(例えば(G4S)3ペプチドリンカー)から構成される。操作1で抗原に結合していない余分な第1のポリペプチド鎖を洗浄することにより図1(II)の状態を得る。
第2のポリペプチド鎖集団(ライブラリー)108は、種々の候補抗原結合部位(105〜107)と前記101に相補的な会合部位104(例えばWinZipB1)とリンカー部位102から構成される分子を多数含んだものを示し、個々の第2のポリペプチド鎖(例えば105、106、107を含むポリペプチド鎖)は各々のポリペプチドをコードする核酸配列(110、113、112(対応順))を所有するM13ファージ109のコートタンパク質(g3p)111と融合した状態でファージ表面に提示されていることを示している。操作2はライブラリー108を図1(II)の状態へ添加し結合させる工程を示す。図1(III)において、同一担体115上に固定されている例えば二つの同抗原114に結合する第2のポリペプチド鎖の状態を示す。図1(III-1)は、第1のポリペプチド鎖の会合部位101に第2のポリペプチド鎖の会合部位104が相補的に会合し、且つ抗原114に二箇所103、105で結合している状態を示す。図1(III-2)は、第1のポリペプチド鎖の会合部位101と104で第2のポリペプチド鎖が会合しているが、標的分子結合部位106が抗原114に結合していない状態を示し、さらに第1のポリペプチド鎖の会合部位101に会合せず、抗原114と107で結合している第2のポリペプチド鎖を示す。
操作3において、図1(II)の状態である抗原−第1のポリペプチド鎖複合体に対する第2のポリペプチド鎖の親和性の違いを利用して複合体に対して一箇所で会合あるいは結合している親和性の低い第2のポリペプチド鎖を洗浄により取り除く工程を示している。結果として、図1(IV)に示すような第1のポリペプチド鎖と会合し且つ抗原114に対して103とは異なる部位で結合している第2のポリペプチド鎖を有する提示ファージのみが残っている状態を示している。
操作4は、第2のポリペプチド鎖の会合部位ペプチド117とフリーの抗原116を含むアフィニティー溶出用溶液118を添加することにより、抗原114と結合している第2のポリペプチド鎖提示ファージを溶出する工程を表している。つまり、図1(V)において、会合部位ペプチド117がファージの提示する第2のポリペプチド鎖の会合部位104と競合的に第2のポリペプチド鎖の会合部位101に結合することと、フリーの抗原116が、固定されている抗原114と競合的に第一、第2のポリペプチド鎖の標的分子結合部位103、107と結合することにより、第2のポリペプチド鎖提示ファージを抗原114から溶出している状態を示している。
結果として、高結合活性を有する、第1のポリペプチド鎖と会合し且つ抗原114に対して103とは異なる部位で結合している第2のポリペプチド鎖を有する提示ファージを獲得することができ、同提示ファージが所有する第2のポリペプチド鎖をコードする核酸配列110を得る。
各ポリペプチド鎖の有する会合部は、標的物質との結合性を低下させない位置に設けられる。また、各会合部は、同一ライブラリーに属するポリペプチド鎖間での会合が生じないか、あるいは、会合が生じても同一ライブラリーに属するポリペプチド鎖同士の会合力より、既知の第1のポリペプチド鎖が有する会合部あるいは他のライブラリーに属するポリペプチド鎖の会合部との間での会合力が高くなるように設計し、各会合部を選択することで、所望の会合状態を標的物質上に得ることが可能となる。
複合体上から不要なポリペプチドを除去する洗浄工程は、標的物質上で会合しているポリペプチド鎖と会合していないポリペプチド鎖の標的物質への結合強度の差を利用し得る洗浄条件を選択して、会合しているポリペプチド鎖を残し、会合していなポリペプチド鎖を標的物質から離すことにより行うことができる。また、標的物質上に形成された会合体の会合強度を向上させる工程を更に追加することで、会合体の強度と結合強度を高め、会合体をより安定化させることができる。
また、異なる種類の標的物質を基板上の所定位置に固定して、上記の各ライブラリーとの反応、複合体の洗浄などの工程を行うことで、各標的物質ごとに目的とする標的物質捕捉用タンパク質の構造を得ることができる。また、各種類の標的物質に特異的な第1のポリペプチド鎖を反応させて、複合体の洗浄などの工程を行うことでも標的物質捕捉溶タンパク質の構造を得ることができる。
各ライブラリーを構成するポリペプチド鎖は、抗体、抗体断片、抗体以外の構成により標的物質を認識結合するものから所望の目的に応じて選択したものを単一で、あるいは混同して用いることができる。なお、ライブラリー中のポリペプチド鎖に、免疫グロブリン構造またはその誘導体が含まれることが望ましい。好ましくは、第1ポリペプチド鎖の標的分子結合部位が免疫グロブリン構造またはその誘導体が含まれることがさらに望ましい。
さらに、各ポリペプチド鎖の有する会合部は所望に応じて設けたリンカーを介して会合させてもよい。好ましくはリンカー配列の設計とリンカー長を調節することができることを含む。
標的物質としては、抗体-抗原、基質-酵素、リガンド-レセプター、細胞表面上の複数分子、ホモ多量体、ヘテロ多量体などから選択されたものが利用できる。
例えば、標的物質が抗体-抗原複合体の場合、ポリペプチド鎖の少なくとも一つが抗体と結合し、それ以外のポリペプチド鎖が抗原と結合するものであってもよい。また、例えば、細胞表面上の複数分子の場合、細胞表面に複数存在する同分子の少なくとも一つに、少なくとも一つのポリペプチド鎖が結合し、同分子の上記結合された分子以外に、上記以外のポリペプチド鎖が結合する構成としてもよい。図3に標的物質への結合形態の代表例を示す。例えば図3、A.(I)において、301は標的分子(例えば抗原)を示し、302と303は標的分子上の新生タンパク質と相互作用する部位を表す。この302に新生タンパク質の例えば第1のポリペプチド鎖の標的分子結合部位307が結合し、リンカー306で連結された同鎖の会合部位304が第2のポリペプチド鎖の会合部位305に相補的に会合している。さらにその第2のポリペプチド鎖の結合部位308が、標的分子上で302とは異なる303と結合している状態を示す。
図3、A.(II)において、図3、A.(I)の307にあたる領域が二つのドメインからなることを表し、309と310の両ドメインが相補性を有し、(例えば抗体断片Fv)、さらにリンカー311で両ドメインが連結されていること(例えばscFv)を示している。つまり、この309と310の両ドメインは標的分子上の一つの結合部位とみなし、新生タンパク質としては一つの標的分子に対して302と303の異なる二点で結合していることを示している。
図3、A.(III)は、標的分子上の新生タンパク質と相互作用する部位(例えば抗原決定基)302に相補性を有するドメイン309と310(例えば抗体断片FvのVH、VL)で結合していることを示し、ドメイン309は第2のポリペプチド鎖の標的分子結合部位であり、310は第2のポリペプチド鎖の標的分子結合部位であることを表し、一つの標的分子に対して302領域内で新生タンパク質が異なる二つの部位で各ポリペプチド鎖が結合していることを示している。
図3、A.(II)と(III)に示すようにポリペプチド鎖間の会合以外に、標的分子結合部位で会合していてもよい。また、図3、B.(I)において、一つの標的分子内の異なる三点で新生タンパク質が結合していることを示し、本新生タンパク質は三つのポリペプチド鎖が相補的に会合する部位(ヘテロ三量体コイルドコイル)を有し、例えば第1のポリペプチド鎖会合部位312、第2のポリペプチド鎖会合部位313、第3のポリペプチド鎖314を示し、第3のポリペプチド鎖が標的分子結合部位316で標的分子301の新生タンパク質と相互作用する第三の部位315と結合していることを表す。つまり、一つの標的分子上で異なる三つの部位で新生タンパク質が結合している状態を表している。
また、図3、B.(II)は会合部位を構成するペプチドの本数と標的分子結合部位の数が同一でない状態を示している。また、図3、B.(III)は会合部位がリンカー317により連結されている状態を示している。図3、B.(II)と(III)とももちろん一つの標的分子に対して異なる二つの部位で結合し、かつ新生タンパク質を構成するポリペプチド鎖間で会合していることを示す。
さらに、標的物質が、抗体−抗原、基質−酵素、リガンド−レセプター、細胞表面上の複数分子、ホモ多量体、ヘテロ多量体の場合、例えば図3、C.(I)において、標的分子301がホモニ量体で構成される標的分子群318を形成していることを示し、一つの標的分子(例えば単量体)301上の新生タンパク質と相互作用する部位302に例えば第1のポリペプチド鎖の標的分子結合部位307が結合し、リンカー306で連結された同鎖の会合部位304が第2のポリペプチド鎖の会合部位305に相補的に会合している。その第2のポリペプチド鎖は第1のポリペプチド鎖と同じ結合部位307を有し、ホモ二量体を形成するもう一つの標的分子301の相互作用部位302と結合している状態を示している。つまり、新生タンパク質は、ホモ二量体で構成される標的分子群318の各単量体の同部位302の二箇所で結合し、本発明における異なる部位を表す。
例えば図3、C.(II)において、図3、C.(I)に説明する第2のポリペプチド鎖の標的分子結合部位が第1のポリペプチド鎖と異なる結合部位308を有し、ホモ二量体を形成するもう一つの標的分子301の相互作用部位303と結合している状態を示している。つまり、新生タンパク質は、ホモ二量体で構成される標的分子群318の各単量体の異なる部位302と303の二箇所で結合し、本発明における異なる部位を表す。
例えば図3、D.において、標的分子301が標的分子322と相互作用することによりヘテロニ量体で構成される標的分子群319を形成していることを示し、一つの標的分子(例えば単量体)301上の新生タンパク質と相互作用する部位303に例えば第1のポリペプチド鎖の標的分子結合部位308が結合し、リンカー306で連結された同鎖の会合部位304が第2のポリペプチド鎖の会合部位305に相補的に会合している。その第2のポリペプチド鎖は標的分子322上の相互作用部位320に結合する部位321を有していることを示している。つまり、新生タンパク質は、ヘテロ二量体で構成される標的分子群319の各単量体の異なる部位303、320の二箇所で結合し、本発明における異なる部位を表す。
一方、本発明の選択方法では、会合部の構造やリンカー長の設計と、選択時の担体固定化標的物質(群)の密度を調節することによって、周辺の標的物質群の影響を抑え所望の特性を有する分子を選択することができる。
以下、第1及び第2のポリペプチドを用い場合を中心として、本発明の選択方法における好ましい態様について更に述べる。
本発明の選択方法では、選択時にポリペプチド鎖が互いに会合する部位の会合力を会合部の選択により調節することができる。更に好ましくは結合(会合)を安定化できる。
本発明の選択方法では、選択(洗浄)工程は、例えば、第1のポリペプチド鎖(第1のポリペプチド鎖は既知のものでもよい)を、担体固定した標的物質に作用させた後、結合していない余分な第1のポリペプチド鎖を洗浄で除去し、次に第2のポリペプチド鎖集団(ライブラリー)を作用させる。次いで温和な条件(標的物質に結合している第1のポリペプチド鎖が解離しせず、且つ会合部のみで第1のポリペプチド鎖に結合している第2のポリペプチド鎖を解離する程度の洗浄条件)で洗浄し、次いで標的物質に結合している第1のポリペプチド鎖と第2のポリペプチド鎖の会合体を選択するため、必要に応じて会合部を安定化する処理をした後に、次いで激しい洗浄条件(結合活性効果が利用できず標的物質(群)に結合している、温和な条件では排除できなかった第2のポリペプチド鎖を解離する程度の洗浄条件)で洗浄する。この洗浄において、第1のポリペプチド鎖と第2のポリペプチド鎖の会合体は、これらの結合活性効果を利用した標的物質に対する高結合活性能を有しているので標的物質上に残存し、会合していない第1のポリペプチド鎖や第2のポリペプチド鎖は標的物質から除去される。
本発明の選択方法では、所望とする標的物質捕捉タンパク質の標的物質結合部位を有する会合したポリペプチド鎖を選択するための洗浄条件を、会合力と標的物質に対する結合活性効果を利用して決定することができる。この洗浄条件により所望の特性をもつ標的物質捕捉タンパク質の構造を選択することができる。
例えば、標的物質が糖鎖または脂質、それらの複合タンパク質である場合、その糖鎖や脂質との結合部位おける第1のポリペプチド鎖の解離定数がKd1×10-6Mの場合、会合部の解離定数としてKd1×10-6Mより大きい方が好ましい。更に好ましくはこの解離定数がKd5×10-6Mより大きい方が望ましい。
一方、標的物質がタンパク質である場合、その結合部位における第1のポリペプチド鎖の解離定数Kd1×10-8Mの場合、会合部の解離定数としてKd1×10-8Mより大きい方が好ましい。更に好ましくは解離定数はKd1×10-7Mより大きい方が望ましい。
解離定数が5〜10倍違うことにより第1のポリペプチドとの会合部のみで結合している第2のポリペプチド鎖を洗浄することができる。さらに好ましくは会合部を、標的物質上に会合体を形成した時点で安定化してもよい。先に述べたとおり、第3〜第Nのポリペプチド鎖を追加的に用いることで、標的物質への更なる結合活性向上を図ることもできる。つまり、場合によっては、第1及び第2のポリペプチド鎖を用いた一工程のみにより標的物質への結合力(親和性)を向上させる必要はなく、より多くのポリペプチドライブラリーとの反応を繰り返すことで多数の標的物質結合部位を有する標的物質捕捉用タンパク質を得ることができる。
本発明の選択方法において、ライブラリーを構成するポリペプチド鎖の結合(会合)は、本発明の目的を達成できるものであれば、どんな結合方法での結合でも良く、共有結合、ジスルフィド結合、配位結合、非共有結合、ポリペプチドを介した高次構造間の相互作用を含んでなる結合を含んでなる。好ましくは、ポリペプチドを介した高次構造間の相互作用を含んでなる結合(コイルドコイル(ロイシンジッパー)、へリックスバンドル、ヘリックス−ターン−ヘリックスによる結合、他の生体分子例えばDNAや糖を介した結合、その他多量体化が可能な結合、酵素−基質結合、リガンドーレセプター結合、上記以外の疎水結合、分子間力、水素結合、イオン結合のいずれか一つまたは複数を含んでなる結合)であることができる。更に好ましくは、ロイシンジッパー、ヘリックス−ターン−ヘリックス、ヘリックスバンドルであることができる。コイルドコイルの構造は、七アミノ酸でニターンになり、七つの位置(abcdefg)が存在し、このヘプタッドの繰り返し構造Nをとる、a、d位置は疎水性コアを、e、g位置は親水/疎水性の境界にあり両方の性質を持つことが知られる(谷澤ら著 タンパク質の分子設計 共立出版(2001))。
本発明の選択方法において、ライブラリーを構成するポリペプチド鎖の会合部におけるポリペプチドの高次構造間の相互作用による結合は、ライブラリーを構成するポリペプチド鎖(集団)間でヘテロ会合性を有していることができる。好ましくは、ホモ会合性とヘテロ会合性の平衡においてヘテロ会合性の方がエネルギー的に安定であることができる。更に好ましくは、完全にヘテロ会合性を有していることができる。例えば、天然では、転写因子などが含まれる。例えばJun/FosやMyc/Maxが含まれる。更に、人工的な設計も可能であり、例えば、WinZipA/WinZipB(Plucthun et al. 前出)やポリペプチド鎖の会合部において繰り返し構造の中央あたりに位置する疎水コアのa位置に二本鎖の場合はAsn、三本鎖の場合はGlnを存在させることでヘテロ会合性を向上することができることを含む。
本発明の選択方法において、ライブラリーを構成するポリペプチド鎖の結合(会合)の安定化は、ジスルフィド結合、金属キレートを介した結合、例えばNi、Cu、共有結合(会合部またはその近傍に修飾アミノ酸を導入した化学修飾基を介した結合)のいずれか一つもしくは複数を用いて行なうことができる。より好ましくは、酸化還元条件を操作することにより結合状態を制御できるジスルフィド結合、キレート剤の添加や金属溶液の添加により結合状態を制御できるHis−Niの金属キレートを介した結合、光架橋性非天然アミノ酸を会合部または近傍に導入し、光照射により架橋できる結合を用いて安定化を行なうことができる。例えば、コイルドコイルのジスルフィド結合による安定化をする場合、二本鎖コイルドコイルのd位置とa位置にCys残基を導入することが好ましい。更に好ましくは、d位置にCys残基を導入することができる。例えば、コイルドコイルの金属キレート結合による安定化をする場合、e、g位置にγ-カルボキシルグルタミン酸を導入することができる。
そして、ランタニドイオンの添加によりコイルドコイルを安定化できる。アミノ酸配列のiとi+4番目の二つの位置にHis残基に金属イオンが結合することができるので、dとa位置に上記のようにHis残基を導入し、ニッケルIIイオンによりコイルドコイルを安定化することができる。三本鎖コイルドコイルでも同様のことができる。例えば、コイルドコイルの光架橋結合による安定化をする場合、コイルドコイルのa,d,e,g位置のどこへでもフォトロイシン、フォトメチオニン(Christoph Thiele et al., Nature Methods Advanced online publication1-7(2005))、p-ベベンゾイルフェニルアラニン (T. Endo et al., PNAS 94:485-490(1997))を導入することができUV照射によりコイルドコイルを安定化できる。更に好ましくは、本安定性の制御は第2のポリペプチド鎖集団から温和な条件で洗浄した後に行うことが望ましい。また、最終的に選択したポリペプチド鎖より高結合活性新生タンパク質を作製する段階で行うことができる。例えば、Cys残基が各会合部の対応する部位に導入されている各ポリペプチド鎖でジスルフィド結合を用いる場合、還元状態で、第2のポリペプチド鎖集団を作用させ、温和な条件での洗浄後、酸化状態にし、安定化することができる。例えば、His残基が各会合部の対応する部位に導入されている各ポリペプチド鎖で金属キレート結合を用いる場合、Niを含む溶液の非存在下で、第2のポリペプチド鎖集団を作用させ、温和な条件での洗浄後、Ni溶液を添加し安定化することができる。例えば、四塩基コドン法(T. Hohsaka et al., Appl Microbial Biotechnol 57:247-281(2001))により導入された、ベンゾフェノングループを官能基に持つ、例えばp-ベンゾイルフェニルAla残基(T. Endoら 前出)が各会合部の対応する部位に導入されている各ポリペプチド鎖で共有結合を用いる場合、まず、第2のポリペプチド鎖集団を作用させ、温和な条件での洗浄後、UV照射により光架橋し安定化することができる。また、光架橋基はアミノ酸に直接導入されていなくてもよく、例えばビオチン化アミノ酸導入後、光架橋基を化学的に付加してもよい。
本発明の選択方法において、コイルドコイルの会合度、疎水コアのa、d位置のアミノ酸残基を変更することにより会合部における会合の強度を調整することができる。例えば、IleとLeuを含んでなる組合せにより二本鎖を三本鎖、四本鎖に高会合にすることができる。
本発明の選択方法におけるライブラリーを構成するポリペプチド鎖の有する標的物質への結合部位の構造は、免疫グロブリン構造、免疫グロブリンから誘導される構造、非免疫グロブリン構造のいずれか一つあるいは複数であることができる。免疫グロブリン構造、免疫グロブリンから誘導される構造は、免疫グロブリンスーパーファミリーに由来する構造であればよく、好ましくは抗体断片で、Fab断片、Fd断片、Fv断片、dAb断片(Ward, E. S. et al., Nature 341,544−546(1989))、VH/k断片であってもよい。より好ましくは、抗体断片が一本鎖であることができ、各抗体断片を有する一本鎖構造のもの、VHH、IgNARを含んでなる一本鎖構造のものも利用できる。更に好ましくは、免疫グロブリン構造を維持し、且つ人工的な変異を導入することができる。非免疫グロブリン構造は、ペプチド、構造タンパク質、機能タンパク質(酵素、レセプターを含む)、それらの断片やその誘導体を含んでなり、更にデノボ設計したペプチドあるいはポリペプチドでもよく、好ましくは足場(scaffold)構造を持つポリペプチド(デノボ設計、既存のタンパク質またはその誘導体)であることができ、更に好ましくは人工的に変異を導入することが可能なポリペプチドであることができる。抗体、アフィリン(ヒトγクリスタリン)、リポカリン、GFP、アンキリン、レクチン、チオレドキシン、Omp(アウターメンブレンタンパク質)など、それらの断片、または誘導体を含んでなることができる。断片は、例えば、抗体の抗原結合部位以外の部分(Fc結合ドメイン;アフィボディー)、誘導体は他の分子、例えば、酵素に融合された標的物質結合部位を有するタンパク質を含んでなることができる。
以上、説明した選択方法により選択した複数のポリペプチド鎖の会合体は、それ自身で、目的とする特性を有する標的物質捕捉用タンパク質として利用できる構造を既に有するものである。さらに、この標的物質捕捉用タンパク質の構造に関する情報(アミノ酸配列や会合部の構造)を利用して標的物質捕捉用タンパク質を製造することができる。例えば、選択されたポリペプチド鎖をコードするDNAを作成して、これを大腸菌などに発現可能な状態で導入し、発現したポリペプチドを会合させた会合体とすることで、標的物質捕捉用タンパク質を得ることができる。更に、これらのポリペプチド鎖を選択する際に用いた会合部を用いずに、複数のポリペプチド鎖をリンカーで結合した一本鎖の状態で標的物質捕捉用タンパク質を大腸菌などで発現させることで、標的物質捕捉用タンパク質を製造することができる。このような場合でも、選択時における会合部の会合状態に関する情報からリンカーの適正化を容易に行うことができる。このように、最終的に生産される標的物質捕捉用タンパク質の会合部は選択工程で用いた会合部の情報に基づいて、修飾や、他の会合様式または同構成の会合力の異なる別の会合部への交換を行って、標的物質捕捉用タンパク質の目的用途に応じた適切な会合部とすることも可能である。
各ポリペプチド鎖ライブラリーを構成するポリペプチドをコードする核酸をライブラリーとして保持して、これらの核酸の遺伝情報に基づいてポリペプチド鎖ライブラリーを形成することができる。また、そのための発現ベクターを発現ベクターライブラリー群として保持しておくこともできる。
更に、少なくとも1つのライブラリーを用いてポリペプチド鎖選択用のキットを構成することができる。これらのキットのとしては、以下の各形態を挙げることができる。
(1)ポリペプチド鎖ライブラリーを含むセットと、標的物質とペプチド鎖セットとの反応、複合体の洗浄及び複合体からの目的とする複合体の取得のための試薬と、を有するポリペプチド鎖選択用キット。
(2)核酸ライブラリーを含むセットと、核酸セットを用いてポリペプチド鎖ライブラリー群を含むポリペプチド鎖セットを得るための試薬と、標的物質とポリペプチド鎖セットとの反応、複合体の洗浄及び複合体からの目的とする複合体の取得のための試薬と、を有するポリペプチド鎖選択用キット。
(3)発現ベクターライブラリーを含む発現ベクターセットと、発現ベクターセットを用いてポリペプチド鎖ライブラリーを含むポリペプチド鎖セットを得るための試薬と、標的物質とポリペプチド鎖セットとの反応、複合体の洗浄及び複合体からの目的とする複合体の取得のための試薬と、を有するポリペプチド鎖選択用キット。
ポリペプチド鎖ライブラリー群を構成するライブラリーは、標的物質に対してファージ選択法を行って選択したポリペプチド鎖や、標的物質に対してmRNA法を行って選択したポリペプチド鎖を基礎として得られた構造のポリペプチド鎖から構成できる。これらの方法によって選択されたポリペプチド鎖に基づいて遺伝的な各種変異を有するポリペプチド鎖や人工的な各種変異を有するポリペプチド鎖をライブラリー中に保持することができる。
ポリペプチド鎖ライブラリーは、ファージ提示法を用いて形成された場合では、ポリペプチド鎖を表層に提示しているファージライブラリーとして提供することができる。mRNA提示法を用いて形成されたものである場合、ポリペプチド鎖をコードするmRNAとポリペプチド鎖の複合体を含んでなる複合体ライブラリーとして提供することができる。
各ポリペプチドをコードする核酸ライブラリーを用いてファージ提示法を利用する場合、ポリペプチド鎖をコードする核酸配列とポリペプチド鎖を表層に提示するための融合タンパク質をコードしている核酸配列と、ファージでの発現や選択に関与する核酸配列を含んでなる核酸ライブラリーとしてこの核酸ライブラーを提供することができる。また、mRNA提示法を利用する場合、ポリペプチド鎖をコードする核酸配列とリボソームによる転写と翻訳を助けるために付与された核酸配列、または転写、翻訳後に複合体を形成することを助ける核酸配列を含んでなる核酸ライブラリーとしてこの核酸ライブラリーを提供することができる。
本発明はまた、上記いずれかの選択方法を行うための核酸ライブラリーを作製するための発現用ベクターのライブラリーとしてポリペプチドライブラリーの情報を保持することもできる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
本選択方法によりポリペプチド鎖の取得が可能であることと新生タンパク質の特徴である高結合活性効果による標的物質への高親和性を実証する。以下の実施例では、標的物質に可溶性鶏卵白リゾチーム(HEL;生化学工業code No.100940)を用いる。また、以下に記す組換えDNA法はSambrookら著書のモレキュラークローニング:実験マニュアル第二版Cold Spring Harbor Laboratory, New York(1989)に基づいて行う。また、ファージ提示法による選択はアマシャム社のRPAS(リコンビナント抗体発現システム;Code No.27-9400-01, 27-9401-01, 27-9402-01)を用いて忠実に行う。
(実施例1)
<機能性ポリペプチド鎖を得るための大腸菌による分泌発現用コンストラクトのデザインおよび構築>
まず、機能性ポリペプチド鎖を下記に示す構成でデザインする。機能性ポリペプチド鎖は標的物質結合部位と機能性ポリペプチド鎖間の会合部、両部位を連結するリンカー部位を有する。標的物質結合部位として抗HEL抗体の断片であるHyHEL10 scFv (Biophysical Journal Vol.83, 2946-2968(2002))とD1.3 scFv (McCafferty et al., Nature 348, 552-554(1990))を、機能性ポリペプチド鎖間の会合部にヘテロ会合性を有するWinZipA1/WinZipB1の組合せ(Andreas Pluckthun et al., J. Mol. Biol. 295, 627-639(2000)) を、連結する部位に(Gly4Ser)3ペプチドを用いる。標的物質結合部位のscFv のVHとVL間も同様に(Gly4Ser)3ペプチドが連結されている(図2)。以下の実施例で用いる第一機能性ポリペプチド鎖として、HyHEL-10 scFvとWinZipA1を有するペプチドHyHEL10scFv-(G4S)3-WinZipA1、第ニ機能性ポリペプチド鎖として、D1.3 scFvとWinZipB1を有するペプチドD1.3scFv-(G4S)3-WinZipB1とする。各部位のDNA配列は公知であるので、例えば合成オリゴヌクレオチドを設計しPCRとライゲーションにより各機能性ポリペプチド鎖をコードするDNA配列を得ることができる(Sambrookら1989、前出)。各部位の順列と配列は図2と図4及び5に示す。上記機能性ポリペプチド鎖をコードするDNA配列は最後の工程として5´末端に制限酵素SfiIサイト、3’末端に制限酵素NotIサイトを導入するためプライマー1,2,3,4(配列;図6)を用いてPCRを行う(プライマー1,2;HyHEL10scFv-(G4S)3-WinZipA1用プライマー、プライマー3,4;D1.3scFv-(G4S)3-WinZipB1用プライマー)。
そしてSfiI制限酵素での切断とNotIでの切断を行う。受けてのベクターには大腸菌分泌シグナルpelBを有するpET-20b(+)ベクター(Novagen社)を修飾して用いる。その修飾は、まずMCS中のEcoRIでの切断後、プライマー5,6(配列;図6)によるPCRで、pET-20b(+)ベクターのMCSにあるNcoIとEcoRVの部位にSfiI制限酵素サイトを導入する(Kunkel法;Kunkel et al., Meth. Enzymol. 154, 367-382(1987))。そして、SfiI/NotIでの切断後、修飾pET-20b(+)ベクター(Novagen社)のSfiI/NotIサイトに各ポリペプチドをコードするDNA断片を連結することによって機能性ポリペプチド鎖の分泌発現コンストラクトを取得する(SfiI/NotI間の機能性ポリペプチド鎖をコードするDNA配列「配列1(配列番号1、2);HyHEL10scFv-(G4S)3-WinZipA1、配列2(配列番号2、3);D1.3scFv-(G4S)3-WinZipB1」;図4及び5)。
(実施例2)
<ファージ提示法に用いるファージミドコンストラクトの構築>
「第二機能性ポリペプチドD1.3scFv-(G4S)3-WinZipB1について」
まず、アマシャム社のリコンビナント抗体発現システム(RPAS)の発現用コンストラクト調製kitであるRPAS Expression Moduleに付属のpCANTAB5EファージミドベクターをSfiI/NotIで切断したものを調製する。実施例1で構築しているD1.3scFv-(G4S)3-WinZipB1コンストラクトをSfiI/NotIで切断し、電気泳動による目的バンドの切り出しを行い、上記pCANTAB5EファージミドベクターのSfiI/NotIサイトに連結して構築する(pCANTAB5E-(D1.3scFv-(G4S)3-WinZipB1)。RPASは、種々のマウス(κ)抗体のscFvをファージgene3protein(g3p)との融合タンパク質としてM13ファージの先端に発現させ、抗原に対して高親和性を有する組換えscFvを選択することができるファージ提示法システムである。
「その他scFv-(G4S)3-WinZipB1集団について」
D1.3scFv-(G4S)3-WinZipB1コンストラクトを鋳型としてプライマー7,8(配列;図6)によりPCRを行い5´末端にNotI、3´末端にSacIIを付与した(G4S)3-WinZipB1断片(NotI‐(G4S)3-WinZipB1‐SacII)を調製する。この過程で、前記D1.3scFv-(G4S)3-WinZipB1の修飾pET-20b(+)への導入時のNotIサイトは含まないようにプライマー8を設計する。RPAS Expression Module(アマシャム;リコンビナント抗体発現システム(RPAS)のkit)に付属のpCANTAB5EファージミドベクターのNotIサイトへ部位特異性突然変異とSacIIサイトの導入をするためプライマー9,10(配列;図4)を設計し、PCRを行い(Kunkel法;前出)、引続きSfiI制限酵素による切断とSacIIによる切断を行い、SfiI/SacII切断pCANTAB5Eファージミドベクターを得る。
RPAS mouse ScFv Module(アマシャム;RPAS発現用コンストラクト調製kit)に記載のプロトコールに従って、マウスハイブリドーマ培養(仕込み細胞数5×107 cells)から種々組換え体scFv断片集団を作製し、ファージミド挿入用SfiI/NotIで切断されている状態で調製する。調製後、先に用意した(G4S)3-WinZipB1断片(NotI‐(G4S)3-WinZipB1‐SacII)と連結し、更にSfiI/SacII切断pCANTAB5Eファージミドベクターへ導入し、その他第二機能性ポリペプチド鎖scFv-(G4S)3-WinZipB1集団とする。
(実施例3)
<D1.3scFvとHyHEL10scFvを有する機能性ポリペプチド鎖の会合によるHELに対する高親和性化(高結合活性)>
実施例1で作製した第一機能性ポリペプチド鎖(HyHEL10scFv-(G4S)3-WinZipA1)と第ニ機能性ポリペプチド鎖(D1.3scFv-(G4S)3-WinZipB1)をコードするコンストラクトを各々大腸菌BL21(DE)株(Cat No.69450-4 Novagen社)に形質転換し、アンピシリン(100μg/ml)選択LB培地中で30℃、16時間培養する。最終濃度1mMのIPTGを添加して更に16時間培養してタンパク質の発現を誘導する。遠心により回収した菌体を浸透圧処理(0.5M ショ糖溶液で菌体混和し、5倍量の純水を添加)し、フレンチプレスにより破砕して、大腸菌のペリプラズムに存在する目的タンパク質を可溶化画分として得る。次にHELカラム(CNBr活性化セファロース4B Code No.17-0430-01(アマシャム)へHELを吸着固定;固定は添付プロトコールに準拠)により機能性ポリペプチド鎖を精製する。機能性ポリペプチド鎖と標的物質(HEL)との結合能の評価はBIAcore(登録商標)X(SPR測定装置)を用いて行える。まず、BIAcore CM5センサーチップに100nMの標的物質(HEL)をアミノカップリング法(アミンカップリングkit;BIAcore社)によりおよそ7000分子/mm2程度の被覆密度(標的物質が疎な状態で固定化され、機能性ポリペプチド鎖が隣接する標的物質群と相互作用しない状態)で固定しからブロッキングまでを行う。次に、第一機能性ポリペプチド鎖(HyHEL10scFv-(G4S)3-WinZipA1)、第ニ機能性ポリペプチド鎖(D1.3scFv-(G4S)3-WinZipB1)、両機能性ポリペプチド鎖の1:1で混合したものをPBS-T(0.1%Tween20)バッファーで機能性ポリペプチド鎖のモル濃度を50nM、100nM、200nMに調整する。各溶液を固定化した標的物質(HEL)に作用させて、各機能性ポリペプチド鎖のHELに対する解離定数を算出する。結果、各機能ポリペプチド鎖のみのHELに対する解離定数より、両機能性ポリペプチド鎖混合物は二桁以上低い値を得て、結合活性効果による高親和性を実証することができる(表1)。
Figure 2006333825
(実施例4)
<ファージ提示法による第二機能性ポリペプチド鎖の選択>
実施例2で作製しているpCANTAB5E-(D1.3scFv-(G4S)3-WinZipB1ファージミドDNAをpCANTAB5E-(その他マウスscFv-(G4S)3-WinZipB1)集団ファージミドDNA総量に対して1:108のモル比になるように添加する。そして、上記ファージミドコンストラクトをRPAS(アマシャム)操作手順のコンピテントセルTG1(E.coli)への形質転換と培養工程以降の操作をおこなう。
上記するRPAS(アマシャム)によるファージ提示法のパニングの流れを簡単に下記に示す。
上記ファージミドコンストラクトをコンピテントセルTG1(E.coli)へ形質転換し、KO7ヘルパーファージの共感染を経て増幅する。HELをアミノカップリング法により架橋固定されている96穴プレートにファージを結合(抗原に対するパニング;ELISAによる検出)、結合していないM13ファージを洗浄、0.2M HELとWinZipB1溶液によるアフィニティー溶出をして、得られるM13ファージを大腸菌(TG1)に感染させ、プレート培養、(2)〜(6)を繰り返す。選択されるM13ファージはファージミドとしてクローニング(大腸菌HB2151)し、タンパク質を発現させ、ウェスタン解析による目的scFvを確認および塩基配列決定する。
M13ファージ表層提示によるパニングを3回繰り返すことで、ファージの結合率は徐々に増加する傾向が見られることから、特異的結合性を持つファージの選択ができていると考えられる。非常に親和性が高いことからアフィニティー溶出工程はHELとWinZipB1ペプチドの両方を用いて行う。WinZipB1ペプチド(配列3(配列番号5);図5)は化学合成(東レリサーチセンター)品を利用する。最終的に選択されるファージから15個をランダムに選ぶ。RPASに添付のプライマー(pCANTAB5 Sequencing Primer set(アマシャム))を用いて15のファージミドのscFv領域について塩基配列を決定する。結果、15のクローン中14クローンがD1.3scFv-(G4S)3-WinZipB1の配列を所有しており、非常に親和性が高いことを示し特異的に選択されていることを裏付ける。
つまり、本実施例は、本結合活性新生タンパク質の構成をもって従来のファージ提示法により非常に簡便且つ効率良く高親和性タンパク質を選択することができることを証明する。本実施例を模倣すると、既知の抗原結合部位を有そうが有しまいが、免疫グロブリン構造であろうが無かろうが、提示法の種類によらず、結合活性効果を利用して、最終的な分子構成を基盤として簡便に且つ体系的に効率良く高結合活性新生タンパク質を選択することが可能になる。
本発明は、標的物質に対する高親和性分子を簡便にかつ体系的に創出することができる選択方法であり、更に最終的な高親和性分子(高結合活性分子)の分子構成を基盤にした効果的かつ実用的な選択ができる手法である。
本発明における機能性ポリペプチド鎖のファージ提示法による選択方法を説明するための図である。 第1と第2ポリペプチド鎖のデザインについて説明するための図である。 第1と第2ポリペプチド鎖の標的物質への種々の結合形態について説明するための図である。 HyHEL10scFv-(G4S)3-WinZipA1におけるDNA配列とアミノ酸配列を示す図である。 D1.3scFv-(G4S)3-WinZipB1におけるDNA配列とアミノ酸配列と、WinZipB1のアミノ酸配列を示す図である。 各種プライマーのDNA配列を示す図である。
符号の説明
101 第一機能性ポリペプチド鎖の会合部位(ヘテロコイルドコイル片鎖WinZipA1)
102 第一機能性ポリペプチド鎖のリンカー部位((G4S)3ペプチド)
103 第一機能性ポリペプチド鎖の標的分子結合部位(既知配列の抗体断片scFv)
104 第二機能性ポリペプチド鎖の会合部位(ヘテロコイルドコイル片鎖WinZipB1)
105 第二機能性ポリペプチド鎖の候補標的分子結合部位
106 第二機能性ポリペプチド鎖の候補標的分子結合部位
107 第二機能性ポリペプチド鎖の候補標的分子結合部位
108 第二機能性ポリペプチド鎖集団
109 M13ファージ
110 105を有する第二機能性ポリペプチド鎖をコードするファージミドDNA
111 ファージ表層提示タンパク質(g3p)
112 106を有する第二機能性ポリペプチド鎖をコードするファージミドDNA
113 107を有する第二機能性ポリペプチド鎖をコードするファージミドDNA
114 固定化抗原
115 担体(96穴プレート)
116 フリーの抗原
117 WinZipB1ペプチド
118 アフィニティー溶出用溶液
301 標的分子
302 標的分子上の新生タンパク質が相互作用する部位
303 標的分子上の新生タンパク質が相互作用する部位
304 第一機能性ポリペプチド鎖の会合部位
305 第二機能性ポリペプチド鎖の304に相補的な会合部位
306 標的分子結合部位と会合部位をつなぐリンカ−部位
307 302で結合する機能性ポリペプチド鎖の標的分子結合部位
308 303で結合する機能性ポリペプチド鎖の標的分子結合部位
309 相補的な二つのドメインよりなる、機能性ポリペプチド鎖の標的分子結合部位の一ドメイン
310 相補的な二つのドメインよりなる、機能性ポリペプチド鎖の標的分子結合部位の309とは異なるもう一つのドメイン
311 二つのドメイン(309,310)をつなぐリンカー
312 会合部位としてヘテロコイルドコイル三量体を構成する一つのコイル
313 会合部位としてヘテロコイルドコイル三量体を構成する312とは異なる一つのコイル
314 会合部位としてヘテロコイルドコイル三量体を構成する312,313とは異なる一つのコイル
315 三つの機能性ポリペプチド鎖からなる新生タンパク質が結合する、標的分子上の一つの部位
316 315で標的分子に結合する機能性ポリペプチド鎖の標的分子結合部位
317 ヘテロコイルドコイル三量体を構成する二つのコイルをつなぐリンカー部位
318 標的分子群(301のホモニ量体)
319 標的分子群(301を含むヘテロニ量体)
320 301とは異なる標的分子上に存在する、新生タンパク質が結合する標的分子群上の一つの部位
321 320で標的分子に結合する機能性ポリペプチド鎖の標的分子結合部位
322 301と相互作用する標的分子

Claims (15)

  1. 複数の標的物質結合部位を有する標的物質捕捉用タンパク質の各標的物質結合部位に用いるポリペプチド鎖の組合せをポリペプチド鎖ライブラリーを利用して選択する方法であって、
    (1)標的物質に既知の標的物質結合部位を有する第1のポリペプチド鎖を反応させて、該標的物質に特異的に結合する第1のポリペプチド鎖と該標的物質とからなる第1の複合体を得る工程と、
    (2)第1の複合体に、各ポリペプチド鎖が第1のポリペプチド鎖と会合する部位を有する、第2のポリペプチド鎖のライブラリーを反応させて、該ライブラリーに含まれる該標的物質に特異的に結合する第2のポリペプチド鎖が該第1の複合体内の標的物質に結合している第2の複合体を得る工程と、
    (3)前記第2の複合体を洗浄して、第1のポリペプチド鎖と第2のポリペプチド鎖が会合し且つ前記標的物質に両ポリペプチド鎖が結合している第3の複合体を得る工程と、
    (4)前記第3の複合体から第2のポリペプチド鎖の核酸配列を得る工程と、
    を有することを特徴とする標的物質捕捉用タンパク質の形成用ポリペプチド鎖の選択方法。
  2. 各ライブラリーのそれぞれから選択されたポリペプチド鎖が会合部を有して互いに会合可能である第1〜第n(nは3以上の整数)のポリペプチド鎖のライブラリーを用意し、既知の標的物質結合部位を有する第1ポリペプチド鎖と第2のポリペプチド鎖を用いて前記(1)〜(3)の工程を行って得られた前記第3の複合体に対して、第3〜第nのポリペプチド鎖のライブラリーを順次用いて前記(2)及び(3)の工程を繰り返し行ってから、前記工程(4)を行い、各ライブラリーから選択されたn個のポリペプチド鎖の会合体が標的物質に結合した複合体を得た後、各ライブラリーから前記標的物質上に互いに会合した状態で選択されたポリペプチド鎖の核酸配列を得る請求項1に記載の選択方法。
  3. 複数の標的物質結合部位を有する標的物質捕捉用タンパク質の各標的物質結合部位に用いるポリペプチド鎖をポリペプチド鎖ライブラリーから選択する方法であって、
    (1)標的物質に第1のポリペプチド鎖ライブラリーを反応させて、該標的物質に特異的に結合する第1のポリペプチド鎖と該標的物質とからなる第1の複合体を得る工程と、
    (2)第1の複合体に、各ポリペプチド鎖が第1のポリペプチド鎖と会合する部位を有する、第2のポリペプチド鎖ライブラリーを反応させて、該ライブラリーに含まれる該標的物質に特異的に結合する第2のポリペプチド鎖が該第1の複合体内の標的物質に結合する第2の複合体を得る工程と、
    (3)前記第2の複合体を洗浄して、第1のポリペプチド鎖と第2のポリペプチド鎖が会合し且つ前記標的物質に両ペプチド鎖が結合している第3の複合体を得る工程と、
    (4)前記第3の複合体から第1のポリペプチド鎖と第2のポリペプチド鎖の核酸配列を得る工程と、
    を有することを特徴とする標的物質捕捉用タンパク質の形成用ポリペプチド鎖の選択方法。
  4. 各ライブラリーのそれぞれから選択されたポリペプチド鎖が会合部を有して互いに会合可能である第1〜第m(mは3以上の整数)ポリペプチド鎖のライブラリーを用意し、第1ポリペプチド鎖ライブラリー及び第2のポリペプチド鎖ライブラリーを用いて前記(1)〜(3)の工程を行って得られた前記第3の複合体に対して、第3〜第mのポリペプチド鎖ライブラリーを順次用いて前記(2)及び(3)の工程を繰り返し行い、各ライブラリーから選択されたm個のポリペプチド鎖の会合体が標的物質に結合した複合体を得た後、行ってから、前記工程(4)を行い、各ライブラリーから選択されたn個のポリペプチド鎖の会合体が標的物質に結合した複合体を得た後、各ライブラリーから前記標的物質上に互いに会合した状態で選択されたポリペプチド鎖の核酸配列を得る請求項3に記載の選択方法。
  5. 異なる標的物質の複数を担体上の所定位置に配置し、各標的物質のそれぞれに対して特異的な会合体を得る請求項1〜4のいずれかに記載の選択方法。
  6. 前記洗浄工程が、前記複合体内の標的物質に対する会合しているポリペプチド鎖と会合していないポリペプチド鎖の結合強度の差を利用して、会合しているポリペプチド鎖を残し、会合していなポリペプチド鎖を標的物質から離すことができる条件で行われる請求項1〜5のいずれかに記載の選択方法。
  7. 前記会合体の会合強度を向上させる工程を更に含む請求項1〜6のいずれかに記載の選択方法。
  8. 標的物質捕捉タンパク質の製造方法であって、
    (I)標的物質の異なる部位に特異的に結合し且つ互いに会合し得る2以上のポリペプチド鎖を請求項1〜7のいずれかに記載の方法により選択する工程と、
    (II)前記2以上のポリペプチド鎖を製造する工程と、
    (III)製造された2以上のポリペプチド鎖を連結して、前記標的物質の異なる部位のそれぞれに特異的に結合する複数の結合部位を有する標的物質捕捉タンパク質を得る工程と
    を有することを特徴とする標的物質捕捉用タンパク質の製造方法。
  9. 第1及び第2〜第k(kは3以上の整数)の標的物質結合部位(ただし、第1及び第2の2つのみの場合も含む)を有する標的物質捕捉用タンパク質の標的物質結合部位を有するポリペプチド鎖を供給するためのポリペプチド鎖のセットであって、
    (1)第1の標的物質結合部位用の既知のポリペプチド鎖と、
    (2)第2標的物質結合部位の候補を有するポリペプチドライブラリー、あるいは第2〜第kのそれぞれの標的物質結合部位の候補ごとに区分した第2〜第kのポリペプチドライブラリーと、を有し、
    前記第1のポリペプチド及び各ライブラリーから選択されたポリペプチド鎖が会合可能である
    ことを特徴とするポリペプチド鎖セット。
  10. 第1〜第p(pは2以上の整数)の標的物質結合部位を有する標的物質捕捉用タンパク質の標的物質結合部位を形成するポリペプチド鎖を供給するためのポリペプチド鎖のセットであって、
    第1〜第pのそれぞれの候補を有する第1〜第nのポリペプチド鎖ライブラリーからなり、
    前記第1のポリペプチド及び各ライブラリーから選択されたポリペプチド鎖が会合可能である
    ことを特徴とするポリペプチド鎖セット。
  11. 請求項9または10に記載のポリペプチド鎖のセットを構成する各ポリプチド鎖をコードする核酸からなる核酸セット。
  12. 請求項11に記載の核酸のそれぞれを個々に有する発現ベクターからなる発現用ベクターセット。
  13. 標的物質捕捉用タンパク質製造のためのポリペプチド鎖を選択するためのキットであって、
    請求項9または10に記載のポリペプチド鎖セットと、標的物質とポリペプチド鎖セットとの反応、複合体の洗浄及び複合体から目的とする複合体の取得のための試薬と、を有することを特徴とするポリペプチド鎖選択用キット。
  14. 標的物質捕捉用タンパク質製造のためのポリペプチド鎖を選択するためのキットであって、
    請求項11に記載の核酸セットと、該核酸セットを用いてポリペプチド鎖セットを得るための試薬と、標的物質とポリペプチド鎖セットとの反応、複合体の洗浄及び複合体から目的とする複合体の取得のための試薬と、を有することを特徴とするポリペプチド鎖選択用キット。
  15. 標的物質捕捉用タンパク質製造のためのポリペプチド鎖を選択するためのキットであって、
    請求項12に記載の発現ベクターセットと、該発現ベクターセットを用いてポリペプチド鎖セットを得るための試薬と、標的物質とポリペプチド鎖セットとの反応、複合体の洗浄及び複合体から目的とする複合体の取得のための試薬と、を有することを特徴とするポリペプチド鎖選択用キット。
JP2005164550A 2005-06-03 2005-06-03 標的物質捕捉用タンパク質の製造方法及びその構成材料の選択方法 Withdrawn JP2006333825A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005164550A JP2006333825A (ja) 2005-06-03 2005-06-03 標的物質捕捉用タンパク質の製造方法及びその構成材料の選択方法
US11/444,387 US20060275811A1 (en) 2005-06-03 2006-06-01 Method for producing target substance capturing protein and method for selecting component materials thereof

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005164550A JP2006333825A (ja) 2005-06-03 2005-06-03 標的物質捕捉用タンパク質の製造方法及びその構成材料の選択方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006333825A true JP2006333825A (ja) 2006-12-14

Family

ID=37494589

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005164550A Withdrawn JP2006333825A (ja) 2005-06-03 2005-06-03 標的物質捕捉用タンパク質の製造方法及びその構成材料の選択方法

Country Status (2)

Country Link
US (1) US20060275811A1 (ja)
JP (1) JP2006333825A (ja)

Families Citing this family (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100923828B1 (ko) * 2004-03-31 2009-10-27 캐논 가부시끼가이샤 금-결합성 단백질
US7504086B2 (en) * 2004-03-31 2009-03-17 Canon Kabushiki Kaisha Structure and method for releasing substance therefrom
JP2006204257A (ja) 2005-01-31 2006-08-10 Canon Inc ポリヒドロキシアルカノエート合成酵素遺伝子の破壊されたポリヒドロキシアルカノエート生産菌の同質遺伝子系統、またこれを利用したポリヒドロキシアルカノエート生産方法
JP2006204255A (ja) * 2005-01-31 2006-08-10 Canon Inc アセチル−CoAアシルトランスフェラーゼ遺伝子破壊ポリヒドロキシアルカノエート生産菌、またこれを利用したポリヒドロキシアルカノエート生産方法
US7989219B2 (en) 2005-05-31 2011-08-02 Canon Kabushiki Kaisha Bispecific capturing molecule
WO2006129828A2 (en) 2005-05-31 2006-12-07 Canon Kabushiki Kaisha Target substance capturing molecule
JP5142458B2 (ja) * 2005-06-30 2013-02-13 キヤノン株式会社 標的物質捕捉分子、標的物質捕捉用の素子、これらを用いた標的物質検出用の装置及びキット、並びに、標的物質の検出方法
US20090130776A1 (en) * 2005-09-01 2009-05-21 Canon Kabushiki Kaisha Binding protein molecule
JP2007163268A (ja) * 2005-12-13 2007-06-28 Canon Inc 酵素電極
US7915053B2 (en) * 2005-12-22 2011-03-29 Canon Kabushiki Kaisha Substrate for target substance detecting device, target substance detecting device, target substance detecting apparatus and method using the same, and kit therefor
WO2007077952A1 (en) * 2005-12-28 2007-07-12 Canon Kabushiki Kaisha Method and device for determining a nucleic acid allele or base sequence
US8329011B2 (en) * 2006-06-20 2012-12-11 Canon Kabushiki Kaisha Polymerase-immobilized electrode
JP5247106B2 (ja) * 2006-10-13 2013-07-24 キヤノン株式会社 タンパク質、タンパク質の固定方法、構造体、バイオセンサー、核酸、ベクター及び標的物質検出用キット
US20080241964A1 (en) * 2007-03-27 2008-10-02 Canon Kabushiki Kaisha Material for improving sensitivity of magnetic sensor and method thereof
JP4426600B2 (ja) * 2007-04-27 2010-03-03 キヤノン株式会社 処理溶液の使用方法

Family Cites Families (24)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB9015198D0 (en) * 1990-07-10 1990-08-29 Brien Caroline J O Binding substance
JP3288843B2 (ja) * 1993-06-10 2002-06-04 キヤノン株式会社 汚染土壌水系の生物的浄化方法
EP0646642A3 (en) * 1993-09-30 1995-08-16 Canon Kk Carrier containing microorganism and method for soil remediation using this carrier.
US5981199A (en) * 1996-06-14 1999-11-09 Boehringer Mannheim Corporation Method for measuring antigen concentration
JP3647267B2 (ja) * 1998-05-29 2005-05-11 キヤノン株式会社 面発光レーザーを用いた表面プラズモン共鳴センサ装置
US6864074B2 (en) * 1998-10-30 2005-03-08 Canon Kabushiki Kaisha Dna fragment carrying toluene monooxygenase gene, recombinant plasmid, transformed microorganism, method for degrading chlorinated aliphatic hydrocarbon compounds and aromatic compounds, and method for environmental remediation
EP1006191A3 (en) * 1998-12-03 2002-02-06 Canon Kabushiki Kaisha DNA encoding toluene monooxygenase, method for degrading chlorinated aliphatic hydrocarbons and aromatic compounds and method for environment remediation
JP3720779B2 (ja) * 2001-02-28 2005-11-30 キヤノン株式会社 側鎖にビニルフェニル構造を有する新規なポリヒドロキシアルカノエート型ポリエステル、およびその製造方法
JP3748537B2 (ja) * 2001-03-01 2006-02-22 キヤノン株式会社 ポリヒドロキシアルカノエート及びその製造方法、並びにω−(2−チエニルスルファニル)アルカン酸及びその製造方法
US7153622B2 (en) * 2001-04-27 2006-12-26 Canon Kabushiki Kaisha Electrostatic charge image developing toner, producing method therefor, image forming method and image forming apparatus utilizing the toner, construct and method for making the construct
JP2003015168A (ja) * 2001-04-27 2003-01-15 Canon Inc 電気泳動粒子、電気泳動粒子の製造方法、および電気泳動表示素子
JP5121101B2 (ja) * 2001-04-27 2013-01-16 キヤノン株式会社 顔料インクおよびその製造方法
JP3754936B2 (ja) * 2001-07-10 2006-03-15 キヤノン株式会社 ポリヒドロキシアルカノエート含有構造体およびその製造方法
KR100521526B1 (ko) * 2001-07-10 2005-10-13 캐논 가부시끼가이샤 폴리하이드록시알카노에이트로 이루어진 입상 구조체 및그 제조방법
JP2004069677A (ja) * 2002-06-13 2004-03-04 Canon Inc 免疫学的測定方法、免疫学的測定用試薬及びその製造方法
JP4078247B2 (ja) * 2003-05-02 2008-04-23 キヤノン株式会社 磁性体−生体物質複合体型構造体、磁性体に対して結合能を有するアミノ酸配列を有するペプチド断片及びその遺伝子、ならびに磁性体−生体物質複合体型構造体の製造方法
KR100923828B1 (ko) * 2004-03-31 2009-10-27 캐논 가부시끼가이샤 금-결합성 단백질
US7504086B2 (en) * 2004-03-31 2009-03-17 Canon Kabushiki Kaisha Structure and method for releasing substance therefrom
JP2006204255A (ja) * 2005-01-31 2006-08-10 Canon Inc アセチル−CoAアシルトランスフェラーゼ遺伝子破壊ポリヒドロキシアルカノエート生産菌、またこれを利用したポリヒドロキシアルカノエート生産方法
JP2006204257A (ja) * 2005-01-31 2006-08-10 Canon Inc ポリヒドロキシアルカノエート合成酵素遺伝子の破壊されたポリヒドロキシアルカノエート生産菌の同質遺伝子系統、またこれを利用したポリヒドロキシアルカノエート生産方法
JP2006204256A (ja) * 2005-01-31 2006-08-10 Canon Inc ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子破壊ポリヒドロキシアルカノエート生産菌、またこれを利用したポリヒドロキシアルカノエート生産方法
JP2007163185A (ja) * 2005-12-09 2007-06-28 Canon Inc 酵素電極
JP2007163268A (ja) * 2005-12-13 2007-06-28 Canon Inc 酵素電極
US20070190590A1 (en) * 2006-02-10 2007-08-16 Canon Kabushiki Kaisha Information acquisition apparatus on concentration of thioredoxins in sample, stress level information acquisition apparatus and stress level judging method

Also Published As

Publication number Publication date
US20060275811A1 (en) 2006-12-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2006333825A (ja) 標的物質捕捉用タンパク質の製造方法及びその構成材料の選択方法
JP6409034B2 (ja) 多重特異性多価抗体の生成方法
JP3507073B2 (ja) 特異的結合対の成員の製造方法
DE69132920T2 (de) Methode zur Herstellung von filamentösen, antikörper-präsentierenden Bakteriophagenpartikeln durch Verwendung von Phagemiden und die daduch hergestellten Bakteriophagenpartikel
EP1421117B1 (en) Compositions and methods for generating chimeric heteromultimers
CA2145278C (en) Target binding polypeptide
EP0585287B1 (en) Methods for producing members of specific binding pairs
CA2339889C (en) Identification of specific binding partners binding to (poly)peptides encoded by genomic dna fragments or ests
Plückthun Biotechnological aspects of antibody production in E. coli
CN103539851B (zh) 基于泛素蛋白的人工结合蛋白的生产
KR102290949B1 (ko) 신규 항체 라이브러리 제조방법 및 이로부터 제조된 라이브러리
EP2989203B1 (en) Synthetic library of specific binding molecules
KR100961392B1 (ko) 항체 파지 표면제시 라이브러리 제조방법, 상기 방법에의해 제조된 항체 파지 표면제시 라이브러리, 상기 항체파지 표면제시 라이브러리 유전자를 포함한 파지미드 벡터
Plückthun Escherichia coli producing recombinant antibodies.
Nathan et al. Phage display of recombinant antibodies toward Burkholderia pseudomallei exotoxin
Kubo Random peptide library for ligand and drug discovery
Iba et al. Comparison of strategies for the construction of libraries of artificial antibodies
Leow et al. Monoclonal IgY Antibodies
EP0947582A1 (en) A polypeptide structure for use as a scaffold
CA3011827A1 (en) A method of generating a synthetic antibody library, said library and application(s) thereof
Plückthun Escherichia coil Producing Recombinant Aodtodies
Plückthun 13 Escherichia coli Producing Recombinant Antibodies Andreas Plückthun* Max-Planck-Institut für Biochemie, Martinsried, Germany
WO2022120024A1 (en) Variable heavy chain only libraries, methods of preparation thereof, and uses thereof
Economopoulos The Generation of Affinity Reagents Using High-throughput Phage Display and Building the Foundations of a Novel High-throughput Intrabody Pipeline
Sandström Selection and use of affinity proteins developed by combinatorial engineering

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080121

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20090521