JP2003034716A - 側鎖にフェニルスルフィニル構造及び/或いはフェニルスルホニル構造を有する新規ポリヒドロキシアルカノエートおよびその製造方法、該ポリヒドロキシアルカノエートを含有する荷電制御剤、トナーバインダーならびにトナー、及び該トナーを用いた画像形成方法および画像形成装置 - Google Patents

側鎖にフェニルスルフィニル構造及び/或いはフェニルスルホニル構造を有する新規ポリヒドロキシアルカノエートおよびその製造方法、該ポリヒドロキシアルカノエートを含有する荷電制御剤、トナーバインダーならびにトナー、及び該トナーを用いた画像形成方法および画像形成装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スルフィニルまたはスルホニル基を含む、生分解性を有す
る新規なホ゜リヒト゛ロキシアルカノエート(PHA)と、その製造方法の提
供。また、環境の保全等への寄与がより高く,かつ高性能
(高帯電量、帯電の立ち上がりが早い,経時安定性に優れ
る、環境安定性が高い)で分散性の改良された,静電荷像
現像トナーに用いられる該荷電制御剤を提供する。 【解決手段】 ω-(置換フェニルスルファニル)アルカン酸を原料とす
る3-ヒト゛ロキシ-(置換フェニルスルファニル)アルカン酸ユニットを含むPHAの微
生物生合成に続いて、過酸化化合物によりスルファニル基を酸
化して得られる(1),(2)のいずれかに属するユニットを含むP
HAとその製造方法。さらに該PHAを含有してなる荷電制
御剤,トナーハ゛インタ゛ー,静電荷像現像トナー,さらには該静電荷像
現像トナーを用いた画像形成方法ならびに画像形成装置。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な構成ユニッ
トを含むポリヒドロキシアルカノエート(PHA)と、そ
の製造方法に関する。より具体的には、側鎖末端に、置
換フェニルスルフィニル基、または、置換フェニルスル
ホニル基を置換基として有する3-ヒドロキシアルカン
酸ユニットを含む新規なPHAを、PHA生産能を有す
る微生物を培養して、対応する置換フェニルスルファニ
ル基を置換基として有する3-ヒドロキシアルカン酸ユ
ニットを含むPHAを生産し体内に蓄積させ、このPH
A中のスルフィド型イオウを選択的に酸化処理して、ス
ルフィニル基またはスルホニル基に変換して、生分解性
の当該PHAを製造する方法に関する。
【0002】また本発明は、電子写真法、静電記録法、
磁気記録法等を利用した記録方法に用いられる荷電制御
剤、トナーバインダー、静電荷像現像トナー、該トナー
を使用する画像形成方法及び画像形成装置に関する。特
には、予め静電潜像担持体(以下、単に像担持体と呼ぶ)
上にトナー像を形成後、被転写材上に転写させて画像を
形成する、複写機、プリンター、ファックス等の電子写
真、静電記録、静電印刷に用いられる荷電制御剤、トナ
ーバインダー、静電荷像現像トナー及び画像形成方法に
関する。更に詳しくは、人体/環境に対してより安全性
の高い負帯電性の電荷制御剤、それを用いたトナーバイ
ンダー、静電荷像現像トナー、該トナーを使用する画像
形成方法及び画像形成装置に関する。
【0003】
【従来の技術】これまで、多くの微生物がポリ-3-ヒド
ロキシ酪酸(PHB)あるいはその他のPHAを生産し、
菌体内に蓄積することが報告されてきた(「生分解性プ
ラスチックハンドブック」,生分解性プラスチック研究
会編,(株)エヌ・ティー・エス,P178-197(1995))。これ
らのポリマーは従来のプラスチックと同様に、溶融加工
等により各種製品の生産に利用することができる。さら
に、生分解性であるがゆえに、自然界で微生物により完
全分解されるという利を有しており、従来の多くの合成
高分子化合物のように自然環境に残留して汚染を引き起
こすことがない。また、生体適合性にも優れており、医
療用軟質部材等としての応用も期待されている。
【0004】このような微生物産生PHAは、その生産
に用いる微生物の種類や培地組成、培養条件等により、
様々な組成や構造のものとなり得ることが知られてお
り、これまで主に、PHAの物性の改良という観点か
ら、このような組成や構造の制御に関する研究がなされ
てきた。
【0005】[1]まず、3-ヒドロキシ酪酸(以下、3H
Bと略す)をはじめとする比較的簡単な構造のモノマー
ユニットを重合させたPHAの生合成としては、次のも
のが挙げられる。
【0006】(a)3HBと3-ヒドロキシ吉草酸(以下3
HV)を含むもの 特公平6-15604号公報、特公平7-14352号公報、特公平
8-19227号公報等、特開平5-7492号公報 (b)3HBと3-ヒドロキシヘキサン酸(以下3HHx)を
含むもの 特開平5-93049号公報、及び特開平7-265065号公報 (c)3HBと4-ヒドロキシ酪酸(以下4HB)を含むもの 特開平9-191893号公報 (d)炭素数6から 12 までの3-ヒドロキシアルカノエー
トを含むもの 特許第2642937号公報 (e)単一の脂肪酸を炭素源とした生合成。生産物は(d)と
ほぼ同様 Appl.Environ.Microbiol,58(2),746(1992) 等が挙げられる。これらはいずれも微生物による炭化水
素等のβ酸化や糖からの脂肪酸合成により合成された、
いずれも側鎖にアルキル基を有するモノマーユニットか
らなるPHA、即ち、「usual PHA」である。
【0007】[2]しかし、このような微生物産生PHA
のより広範囲な応用、例えば機能性ポリマーとしての応
用を考慮した場合、アルキル基以外の置換基を側鎖に導
入したPHA「unusual PHA」が極めて有用であるこ
とが期待される。置換基の例としては、芳香環を含むも
の(フェニル基、フェノキシ基、など)や、不飽和炭化水
素、エステル基、アリル基、シアノ基、ハロゲン化炭化
水素、エポキシドなどが挙げられる。これらの中でも、
特に、芳香環を有するPHAの研究が盛んになされてい
る。
【0008】(a)フェニル基もしくはその部分置換体を
含むもの Makromol.Chem.,191,1957-1965(1990)及びMacro
molecules,24,5256-5260(1991)には、5-フェニル吉
草酸を基質として、シュードモナス オレオボランス(P
seudomonas oleovorans)が3-ヒドロキシ-5-フェニル
吉草酸をユニットとして含むPHAを生産することが報
告されている。
【0009】Macromolecules,29,1762-1766(1996)に
は、5-(4'-トリル)吉草酸を基質として、シュードモ
ナス オレオボランス(Pseudomonas oleovorans)が3-
ヒドロキシ-5-(4'-トリル)吉草酸をユニットとして含
むPHAを生産することが報告されている。
【0010】Macromolecules,32,2889-2895(1999)に
は、5-(2',4'-ジニトロフェニル)吉草酸を基質とし
て、シュードモナス オレオボランス(Pseudomonas ol
eovorans)が3-ヒドロキシ-5-(2',4'-ジニトロフェ
ニル)吉草酸及び3-ヒドロキシ-5-(4'-ニトロフェニ
ル)吉草酸をユニットとして含むPHAを生産すること
が報告されている。
【0011】(b)フェノキシ基もしくはその部分置換体
を含むもの Macromol.Chem.Phys.,195,1665-1672(1994)に
は、11-フェノキシウンデカン酸を基質として、シュー
ドモナス オレオボランス(Pseudomonas oleovorans)
が3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸と3-ヒドロキシ
-9-フェノキシノナン酸のPHAコポリマーを生産する
ことが報告されている。
【0012】特許公報第2989175号には、3-ヒドロキ
シ、5-(モノフルオロフェノキシ)ペンタノエート(3H
5(MFP)P)ユニットあるいは3-ヒドロキシ、5-(ジ
フルオロフェノキシ)ペンタノエート(3H5(DFP)
P)ユニットからなるホモポリマー、少なくとも3H5
(MFP)Pユニットあるいは3H5(DFP)Pユニット
を含有するコポリマー;これらのポリマーを合成するシ
ュードモナス・プチダ;シュードモナス属を用いた前記
のポリマーの製造法に関する発明が開示されており、そ
の効果として、置換基をもつ長鎖脂肪酸を資化して、側
鎖末端が1から2個のフッ素原子が置換したフェノキシ
基をもつポリマーを合成することができ、融点が高く良
い加工性を保持しながら、立体規則性、撥水性を与える
ことができるとしている。
【0013】この様なフッ素基置換体以外に、シアノ基
やニトロ基の置換体の研究もなされている。
【0014】Can.J.Microbiol.,41,32-43(1995)及
び Polymer International,39,205-213(1996)には、
シュードモナス オレオボランス(Pseudomonas oleovo
rans)ATCC 29347株及びシュードモナス プチダ(Ps
eudomonas putida)KT 2442株を用いて、オクタン酸
とp-シアノフェノキシヘキサン酸或いはp-ニトロフェノ
キシヘキサン酸を基質として、3-ヒドロキシ-p-シアノ
フェノキシヘキサン酸或いは3-ヒドロキシ-p-ニトロフ
ェノキシヘキサン酸をモノマーユニットとして含むPH
Aの生産が報告されている。
【0015】これらの報告は側鎖がアルキル基である一
般的なPHAとは異なり、いずれもPHAの側鎖に芳香
環を有しており、それに由来する物性を有するポリマー
を得る上で有益である。
【0016】[3]また新たなカテゴリーとして、単に物
性の変化に留まらず、側鎖に適当な官能基を有するPH
Aを生産し、その官能基を利用して新たな機能を生み出
そうとする研究も行なわれている。
【0017】例えばMacromolecules,31,1480-1486(1
996)及び、Journal of PolymerScience:Part A:
Polymer Chemistry,36,2381-2387(1998)などで
は、側鎖の末端にビニル基を持つユニットを含むPHA
を合成した後、酸化剤によりエポキシ化し、側鎖末端に
反応性の高いエポキシ基を含むPHAを合成出来たと報
告されている。
【0018】またビニル基以外にも、高い反応性が期待
されるチオエーテル(-S-;スルファニル結合)を持つユ
ニットを含むPHAの合成例として、Macromolecule
s,32,8315-8318(1999)においては、シュードモナス プ
チダ(Pseudomonas putida)27N01 株が 11-チオフェ
ノキシウンデカン酸(11-(フェニルスルファニル)ウンデ
カン酸)を基質とし、3-ヒドロキシ-5-チオフェノキシ
吉草酸(3-ヒドロキシ-5-(フェニルスルファニル)吉草
酸)及び3-ヒドロキシ-7-チオフェノキシヘプタン酸
(3-ヒドロキシ-7-(フェニルスルファニル)ヘプタン
酸)のPHAコポリマーを生産することが報告されてい
る。
【0019】また、本発明における電子写真法としては
従来より多数の方法が提案されているが、一般的には、
光導電性物質を利用し、種々の手段によって像担持体
(感光体)上に電気的潜像を形成し、次いで該潜像をトナ
ーで現像して可視像とし、必要に応じて紙等の被転写材
にトナー像を転写した後、熱及び/または圧力等により
被転写材上にトナー画像を定着して複写物を得るもので
ある。電気的潜像を可視化する方法としては、カスケー
ド現像法、磁気ブラシ現像法、加圧現像方法等が知られ
ている。更には、磁性トナーと中心に磁極を配した回転
現像スリーブを用いて、現像スリーブ上から感光体上へ
と磁性トナーを磁界にて飛翔させる方法も用いられてい
る。
【0020】静電潜像を現像する際に用いられる現像方
式には、トナーとキャリアとからなる二成分系現像剤を
使用する二成分現像方式と、キャリアを使用しないトナ
ーのみからなる一成分系現像剤を用いる一成分現像方式
とがある。
【0021】ここで、一般にトナーと称される着色微粒
子は、バインダー樹脂と着色材とを必須成分とし、その
他必要に応じ磁性粉等から構成されている。トナーに電
荷を付与する方法としては、荷電制御剤を用いることな
くバインダー樹脂そのものの帯電特性を利用することも
できるが、それでは帯電の経時安定性、耐湿性が劣り良
好な画質を得ることが出来ない。従って通常トナーの電
荷保持、荷電制御の目的で荷電制御剤が加えられる。
【0022】今日、当該技術分野で知られている公知の
荷電制御剤としては、例えば、負摩擦帯電性としては、
アゾ染料金属錯体、芳香族ジカルボン酸の金属錯体、サ
リチル酸誘導体の金属錯体等がある。また、正荷電制御
剤としてはニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染
料、各種4級アンモニウム塩ジブチル錫オキサイド等の
有機スズ化合物等が知られているが、これらを荷電制御
剤として含有したトナーは、その組成によっては帯電
性、経時安定性等トナーに要求される品質特性を必ずし
も充分に満足させるものではない場合がある。
【0023】例えば負荷電制御剤として知られるアゾ染
料金属錯体を含有したトナーは、帯電量の高さについて
は一応の水準を有するものの、アゾ染料金属錯体は低分
子の結晶であるため、組み合わせるバインダー樹脂の種
類によっては分散性が劣る場合がある。その場合はバイ
ンダー樹脂中に負荷電制御剤が均一に分布せず、得られ
たトナーの帯電量分布も極めてシャープさに欠けるもの
であり、得られる画像は階調が低く画像形成能に劣るも
のである。更に、アゾ染料金属錯体は固有の色調をもつ
ため、黒を中心とした限定された色相のトナーにのみ使
用されているのが現状であり、カラートナーとして使用
する場合には、色調に対する要求性の高い画像を得るた
めに必要とされる着色剤の鮮明さを有しないという点が
大きな課題である。
【0024】また、無色に近い負荷電制御剤の例として
芳香族ジカルボン酸の金属錯体が挙げられるが、やはり
完全な無色ではないという点、及び低分子の結晶である
ゆえの低分散性が問題となる場合がある。
【0025】一方、正帯電制御剤として知られるニグロ
シン系染料や、トリフェニルメタン系染料は、それ自体
着色しているため、黒を中心とした限定された色相のト
ナーにのみ使用されているのが現状であり、また、トナ
ーの連続複写に対する経時安定性が良好でない場合があ
る。また、従来の4級アンモニウム塩は、トナー化した
場合耐湿性が不十分である場合があり、その場合は経時
安定性が劣り、繰り返し使用で良質な画像を与えない場
合がある。
【0026】また近年、環境保護の観点からも、廃棄物
の削減と廃棄物の安全性の向上が世界的に問題視されて
いる。このような問題は、電子写真の分野においても同
様である。すなわち、イメージング装置の広い普及にと
もない、印刷された用紙、使用済みの廃トナー、複写紙
の廃棄量が年ごとに増大しており、地球環境の保全の見
地から、そのような廃棄物の安全性も重要な課題であ
る。
【0027】このような点を考慮して高分子系の荷電制
御剤が検討されている。例えば、USP 4480021、US
P 4442189、USP 4925765、特開昭60-108861号公
報、特開昭61-3149号公報、特開昭63-38958号公報、特
開昭63-88564号公報などの化合物が挙げられる。
【0028】その中でも、一般にトナーに正帯電性を発
揮させる場合の高分子荷電制御剤としては、スチレン及
び/またはα-メチルスチレンとアルキル(メタ)アクリレ
ートの4級アンモニウム塩との共重合体(特開平8-2208
09号公報、特公平8-3658号公報、特許2552133号公報、
特許2807796号公報)や、ジカルボン酸単位とグリコール
単位から構成されるポリエステル樹脂の構成成分の一部
として2価以上の多価アミンを用いた、ポリサミド変性
ポリエステル重合体(特公平4-46424号公報)といった、
アンモニウム塩系の官能基を有する高分子化合物が用い
られる例が多い。このような材料は、無色である点では
有利であるが、目的とする帯電量を得るためには大量の
添加が必要となり、また、窒素原子が熱的に不安定であ
り、加熱混練時に酸化を受けたり熱分解したりすること
により悪臭、着色の原因となる場合がある。
【0029】このような問題を解決するために、特公平
7-120080号公報には、スチレンおよびビニルベンジル
ハライドのホスホニウム塩共重合体からなる正帯電高分
子荷電制御剤が開示されている。
【0030】しかし、これらは何れも正電荷を有するカ
チオン性官能基であり、吸湿性を有していることは明ら
かであり、耐湿性という意味で問題があると考えられ
る。更に、基本的には非イオン性である結着樹脂(バイ
ンダー)との相溶性にも問題が生じることが考えられ
る。
【0031】この様に、これらの化合物は荷電制御剤と
しての十分な性能を有しておらず、帯電量、帯電の立ち
上がり特性、経時安定性、環境安定性等に課題がある。
また機能面のみならず、人体および環境に与える影響を
考えた場合、合成に用いる化合物や有機溶媒について
も、より安全な化合物、より安全かつ温和な合成プロセ
ス、有機溶媒の使用量の低減等を実現可能な荷電制御剤
が強く望まれる。
【0032】環境保護の観点から、微生物等の作用によ
り経時的に分解可能な樹脂、すなわち、生分解性の樹脂
の開発が進められており、例えば、多くの微生物がポリ
エステル構造を有する生分解性樹脂(PHA)を生産し、
菌体内に蓄積することが報告されているのは上述の通り
である。このようなPHAは、その生産に用いる微生物
の種類や培地組成、培養条件等により、様々な組成や構
造のものとなり得ることが知られており、これまで主
に、物性の改良という観点から、産生されるPHAの組
成や構造の制御に関する研究がなされ、その応用につい
ても、特に医用材料の分野ではすでにかなりの実績があ
る。農業の分野でも、マルチファイル、園芸資材等に、
そして徐放性の農薬、肥料等に生分解性樹脂が用いられ
ている。レジャー産業の分野でも、釣り糸、釣り用品、
ゴルフ用品等に生分解性樹脂が用いられている。
【0033】しかしながら、プラスチックとしての幅広
い応用を考えた場合、物性的に未だ十分であるとは言え
ないのが現状である。PHAの利用範囲をさらに拡大し
ていくためには、物性の改良をより幅広く検討していく
ことが重要であり、そのためにはさらに多様な構造のモ
ノマーユニットを含むPHAの開発、探索が必須であ
る。一方、置換基を側鎖に導入したタイプのPHAは、
導入した置換基を所望とする特性等に応じて選択するこ
とで、導入した置換基の特性等に起因する、極めて有用
な機能や特性を具備した「機能性ポリマー」としての展
開も期待できる。すなわち、そのような機能性と生分解
性とを両立可能であるような優れたPHAの開発、探索
もまた重要な課題である。
【0034】電子写真の分野においても、特にトナーの
製造においてバインダー樹脂への生分解性樹脂の応用が
提案されている。例えば、USP 5004664 には生分解
性樹脂、特にはポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ吉
草酸、これらの共重合体あるいはブレンド体をその組成
物としてなるトナーが開示されている。また、特開平6
-289644号公報には、少なくともバインダー樹脂が、植
物系ワックスと、生分解性樹脂(例えば、微生物生産の
ポリエステル、植物-または動物-由来の天然高分子材料
等)とを含有し、前記植物系ワックスが、前記バインダ
ー樹脂中に5〜50 質量%の量で添加されていることを
特徴とする、特に熱ロール定着用の電子写真用トナーが
開示されている。
【0035】また、特開平7-120975号公報には、乳酸
系樹脂をバインダー樹脂として含有することを特徴とす
る電子写真用トナーが開示されている。さらに、特開平
9-274335号公報には、乳酸及び3官能以上のオキシカ
ルボン酸を含有する組成物を脱水重縮合して得られたポ
リエステル樹脂及び着色剤を含有することを特徴とする
静電荷像現像用トナーが開示されている。
【0036】また、特開平8-262796号公報には、バイ
ンダー樹脂及び着色剤を含む電子写真用トナーであっ
て、前記バインダー樹脂が生分解性樹脂(例えば、脂肪
族ポリエステル樹脂等)よりなり、そして前記着色剤が
非水溶性色素よりなることを特徴とする電子写真用トナ
ーが開示されている。さらに、特開平9-281746号公報
には、ポリ乳酸を3官能以上の多価イソシアナートによ
り架橋して得られるウレタン化ポリエステル樹脂及び着
色剤を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー
が開示されている。
【0037】以上説明した電子写真用トナーのいずれに
ついても、そのバインダー樹脂として生分解性樹脂を使
用しており、環境の保全等に寄与する効果があると理解
される。
【0038】しかしながら、荷電制御剤に生分解性樹脂
を使用している例の報告は未だ知られておらず、環境の
保全等への寄与についてはさらなる向上の余地がある。
【0039】
【発明が解決しようとする課題】これら側鎖上に官能基
を有するPHAのうち、3-ヒドロキシ-ω-(フェニルス
ルファニル)アルカン酸ユニットを含むPHAに注目す
ると、そのスルフィド型イオウ(-S-)は反応性が高く、
機能性PHAを開発していく際、スルフィド型イオウ(-
S-)を有するPHAの種々の誘導体等に関して、今後益
々研究がなされていくものと予想される。しかし、この
様な、芳香環とスルフィド型イオウ(-S-)とを有するP
HAの生合成に関しては、上に挙げた1例の報告がある
に過ぎない。更に、上記の3-ヒドロキシ-ω-(フェニル
スルファニル)アルカン酸ユニットを含むPHAの生産
方法は、目的とするモノマーユニットと比較して、炭素
鎖長が長いω-(フェニルスルファニル)アルカン酸を原
料とし、微生物中でその炭素鎖を二炭素づつ短縮してい
くβ酸化系を利用し、原料よりも炭素鎖の短い3-ヒド
ロキシアルカン酸をポリマーのユニットとして取り込ま
せているため、ポリマー構造の制御が困難であるという
課題を有している。
【0040】この課題を解決するために、本発明者ら
は、原料とするω-(フェニルスルファニル)アルカン酸
の炭素鎖長を保持する3-ヒドロキシ-ω-(フェニルスル
ファニル)アルカン酸ユニットを主に含むPHAの生産
方法を既に開発しており、側鎖にスルフィド(-S-)構造
を有するユニットを含む新規なポリヒドロキシアルカノ
エートと、その効率的な製造方法についての特許出願を
行なった。具体的には、微生物を利用して、原料と対応
する炭素鎖を有し、その側鎖末端に、フェニルスルファ
ニル基、あるいは、置換フェニルスルファニル基を有す
るユニット構造主な成分とするPHA分子が得られ、い
ずれも、分子中に反応性の高いスルフィド型イオウ(-S
-)がそのまま存在している。これら反応性の高いスルフ
ィド型イオウ(-S-)を含む構造から、その反応性を利用
して、物理化学的性状の異なる、有用なPHAへと変換
する手段の提案、ならびに、かかる手段を用いて作製さ
れる新規なPHAの提案が待たれるものである。
【0041】本発明は前記の課題を解決するもので、本
発明の目的は、側鎖中にスルフィド型イオウ(-S-)を有
するユニットを含むPHAに代えて、かかるPHAを更
なる広範囲な用途に対応可能なものできる、具体的に
は、PHAの物理化学的性状を更に改善しうる新たな構
造のPHA、およびその製造方法を提供することにあ
る。より具体的には、本発明の目的は、微生物により産
生される3-ヒドロキシ-ω-(フェニルスルファニル)ア
ルカン酸ユニットを主に含むPHA、ならびに3-ヒド
ロキシ-ω-(置換フェニルスルファニル)アルカン酸ユニ
ットを主に含むPHAを中間原料として、そのスルフィ
ド型イオウ(-S-)部分を、他のイオウを含む基へと変換
することで得られる新規な構造のPHA、ならびに、そ
の製造方法を提供することにある。
【0042】また本発明は前記の課題を解決すべく、機
能面においては環境の保全等への寄与がより高く、かつ
高性能(高帯電量、帯電の立ち上がりが早い、経時安定
性に優れる、環境安定性が高い)で分散性の改良された
負帯電性の荷電制御剤、該荷電制御剤を含有してなるト
ナーバインダー、該荷電制御剤を含有してなる静電荷像
現像トナー、さらには該静電荷像現像トナーを用いた画
像形成方法ならびに画像形成装置を提供するものであ
る。
【0043】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく、鋭意研究を進めたところ、微生物によ
り産生される3-ヒドロキシ-ω-(フェニルスルファニ
ル)アルカン酸ユニットを主に含むPHA、ならびに3-
ヒドロキシ-ω-(置換フェニルスルファニル)アルカン酸
ユニットを主に含むPHAを中間原料として、そのスル
フィド型イオウ(-S-)部分を選択的に過酸化化合物を利
用して酸化すると、スルホニル基(-SO 2-)ならびにス
ルフィニル基(-SO-)へと変換でき、得られるPHA
は、新規な構造のPHAであり、PHAの物理化学的性
状を更に改善し得るものとなることを見出した。加え
て、本発明者らは、中間原料とする3-ヒドロキシ-ω-
(フェニルスルファニル)アルカン酸ユニットを主に含む
PHA、ならびに3-ヒドロキシ-ω-(置換フェニルスル
ファニル)アルカン酸ユニットを主に含むPHAを、原
料とするω-(フェニルスルファニル)アルカン酸から、
微生物に産生させた後、一旦、溶媒抽出により分離・精
製する工程を経て、回収した後、前記酸化処理を行う代
わりに、微生物の細胞内に蓄積されるPHAを細胞を破
砕して分離を図った後、過酸化化合物を利用して酸化す
ることによっても、目的とするスルホニル基(-SO2-)
ならびにスルフィニル基(-SO-)を有するユニットを含
むPHAの製造が可能であることも見出した。本発明者
らは、以上の知見に基づき、本発明を完成するに至っ
た。
【0044】すなわち、本発明のポリヒドロキシアルカ
ノエートは、下記一般式(1):
【0045】
【化38】
【0046】(式中、Rは、H、ハロゲン原子、CN、
NO2、COOR'、SO2R”(なお、R'は、H、Na、
K、CH3、C25のいずれかを表し、R”は、OH、
ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25のいず
れかを表す)から任意に選択される基であり、また、x
は、1〜7から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う
値をとり得る。)で示される3-ヒドロキシ-(置換フェニ
ルスルフィニル)アルカン酸ユニット、あるいは、下記
一般式(2):
【0047】
【化39】
【0048】(式中、Rは、H、ハロゲン原子、CN、
NO2、COOR'、SO2R”(なお、R'は、H、Na、
K、CH3、C25のいずれかを表し、R”は、OH、
ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25のいず
れかを表す)から任意に選択される基であり、また、x
は、1〜7から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う
値をとり得る。)で示される3-ヒドロキシ-(置換フェニ
ルスルホニル)アルカン酸ユニットのうち、少なくとも
1種類のユニットをポリマー分子中に含むことを特徴と
するポリヒドロキシアルカノエートである。
【0049】本発明のPHAにおいては、ポリマー分子
中に含まれるユニットとして、前記一般式(1)または一
般式(2)で示されるユニットに加えて、下記一般式
(3):
【0050】
【化40】
【0051】(式中、Rは、H、ハロゲン原子、CN、
NO2、COOR'、SO2R”(なお、R'は、H、Na、
K、CH3、C25のいずれかを表し、R”は、OH、
ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25のいず
れかを表す)から任意に選択される基であり、また、x
は、1〜7から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う
値をとり得る。)で示される3-ヒドロキシ-(置換フェニ
ルスルファニル)アルカン酸ユニットの少なくとも1種
類をポリマー分子中に含んでもよい。
【0052】さらには、ポリマー分子中に含まれるユニ
ットとして、前記一般式(1)、一般式(2)あるいは一般
式(3)で示されるユニットに加えて、下記一般式(4):
【0053】
【化41】
【0054】(式中、yは、0〜8から選ばれた整数であ
り、ユニット毎に違う値をとり得る。)で示される3-ヒ
ドロキシ-アルカン酸ユニット、あるいは、下記一般式
(5):
【0055】
【化42】
【0056】(式中、zは、3および5から選ばれた整数
であり、ユニット毎に違う値をとり得る。)で示される
3-ヒドロキシ-アルカ-5-エン酸ユニットのうち、少な
くとも1種類をポリマー分子中に含んでもよい。
【0057】上記する構成の本発明のPHAでは、ポリ
マー分子の数平均分子量は、1000〜500000 の範囲であ
ることを特徴とするポリヒドロキシアルカノエートとす
ることができる。なお、本発明のPHAは、それを構成
する3-ヒドロキシアルカン酸ユニットは、その3位の
炭素は不斉炭素であり、それに伴い光学異性体が存在す
る。すなわち、3位の炭素の絶対配置により、R体、S
体、あるいは、ラセミ体をとることもできるものの、後
に述べる本発明の製造方法を用いると、全てのユニット
について、同一の絶対配置、具体的には、生分解性を示
すR体となり、より好ましいものとなる。
【0058】本発明のPHAは、その一つの形態は、下
記化学式(6):
【0059】
【化43】
【0060】で示される3-ヒドロキシ-5-(フェニルス
ルフィニル)吉草酸ユニットまたは、下記化学式(7):
【0061】
【化44】
【0062】で表される3-ヒドロキシ-5-(フェニルス
ルホニル)吉草酸ユニットのうち、少なくとも1種類を
ポリマー分子中に含むことを特徴とするポリヒドロキシ
アルカノエートである。
【0063】その際、前記化学式(6)または(7)化学式
で表されるユニットに加えて、下記化学式(8):
【0064】
【化45】
【0065】で表される3-ヒドロキシ-5-(フェニルス
ルファニル)吉草酸ユニットをポリマー分子中に含んで
いてもよい。
【0066】本発明のPHAは、さらに、その一つの形
態は、下記化学式(9):
【0067】
【化46】
【0068】で表される3-ヒドロキシ-4-(フェニルフ
ィニル)酪酸ユニットまたは、下記化学式(10):
【0069】
【化47】
【0070】で表される3-ヒドロキシ-4-(フェニルス
ルホニル)酪酸ユニットのうち、少なくとも1種類をポ
リマー分子中に含むことを特徴とするポリヒドロキシア
ルカノエートである。
【0071】その際、前記化学式(9)または化学式(10)
で表されるユニットに加えて、下記化学式(11):
【0072】
【化48】
【0073】で表される3-ヒドロキシ-4-(フェニルス
ルファニル)酪酸ユニットを含んでいてもよい。
【0074】本発明のPHAは、さらなる、その一つの
形態は、下記化学式(12):
【0075】
【化49】
【0076】で表される3-ヒドロキシ-5-[(4-フルオ
ロフェニル)スルフィニル]吉草酸ユニットまたは、下記
化学式(13):
【0077】
【化50】
【0078】で表される3-ヒドロキシ-5-[(4-フルオ
ロフェニル)スルホニル]吉草酸ユニットのうち、少なく
とも1種類をポリマー分子中に含むことを特徴とするポ
リヒドロキシアルカノエートである。
【0079】その際、前記化学式(12)または化学式(13)
で表されるユニットに加えて、下記化学式(14):
【0080】
【化51】
【0081】で表される3-ヒドロキシ-5-[(4-フルオ
ロフェニル)スルファニル]吉草酸ユニットを含んでいて
もよい。
【0082】本発明のPHAは、さらなる、その一つの
形態は、下記化学式(15):
【0083】
【化52】
【0084】で表される3-ヒドロキシ-5-[(3-フルオ
ロフェニル)スルフィニル]吉草酸ユニットまたは、下記
化学式(16):
【0085】
【化53】
【0086】で表される3-ヒドロキシ-5-[(3-フルオ
ロフェニル)スルホニル]吉草酸ユニットのうち、少なく
とも1種類をポリマー分子中に含むことを特徴とするポ
リヒドロキシアルカノエートである。
【0087】その際、前記化学式(15)または化学式(16)
で表されるユニットに加えて、下記化学式(17):
【0088】
【化54】
【0089】で表される3-ヒドロキシ-5-[(3-フルオ
ロフェニル)スルファニル]吉草酸ユニットを含んでいて
もよい。
【0090】加えて、本発明は、上記する本発明のPH
Aを製造する方法の発明をも提供しており、すなわち、
本発明のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法は、
上記するいずれかの構成を有するポリヒドロキシアルカ
ノエートの製造方法であって、(工程1) 下記一般式(1
8):
【0091】
【化55】
【0092】(式中、Rは、H、ハロゲン原子、CN、
NO2、COOR'、SO2R”(なお、R'は、H、Na、
K、CH3、C25のいずれかを表し、R”は、OH、
ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25のいず
れかを表す)から任意に選択される基であり、また、x
は、1〜7から選択される整数である)で示されるω-
(置換フェニルスルファニル)アルカン酸の少なくとも一
種類以上を含む培地中で微生物を培養する工程と、(工
程2) 工程1において培養した微生物により生産され
るポリヒドロキシアルカノエートを、過酸化化合物で処
理する工程とを含むことを特徴とするポリヒドロキシア
ルカノエートの製造方法である。
【0093】かかる方法においては、一般式(18)で示さ
れる原料化合物から、製造されるPHA中に含まれる一
般式(1)、(2)、ならびに(3)で示される各ユニット
は、以下のような対応関係を有するものである。第1
に、一般式(18)の原料化合物におけるベンゼン環上の置
換基Rは、実質的に保持され、一般式(1)、(2)、なら
びに(3)で示される各ユニットにおいて、そのベンゼン
環上の置換基Rとなる。第2に、一般式(1)と(2)のユ
ニットは、工程1で作製されるPHA中に含まれる一般
式(3)のユニットから変換されるもので、その三種のユ
ニットにおける側鎖炭素数xは、互いに等しいものとな
っている。第3は、工程1で作製されるPHA中に含ま
れる一般式(3)のユニットは、一般式(18)で示される原
料化合物からβ-酸化過程により生成されるもので、一
般式(18)中のxと比較し、生成される一般式(3)のユニ
ット中のxは、等しいか、あるいは、β-酸化過程に伴
い、2の倍数ずつ減少した整数値となる場合もある。ま
た、一般式(3)のユニット中のxに依存する、一般式
(1)と(2)のユニット中のxも、一般式(18)中のxと等し
いか、あるいは、2の倍数ずつ減少した整数値となる場
合もある。
【0094】本発明のPHAの製造方法においては、前
記工程2に用いる過酸化化合物は、過酸化水素、過炭酸
ナトリウム、メタクロロ過安息香酸、過蟻酸、過酢酸か
らなる群から選ばれる一種類以上の過酸化化合物である
ことを特徴とする製造方法とすることが好ましい。
【0095】また、本発明のPHAの製造方法では、前
記工程1と工程2の間に、工程1において培養された微
生物細胞から、微生物が産生したポリヒドロキシアルカ
ノエートを分離する工程を設けることができる。
【0096】加えて、前記微生物細胞からポリヒドロキ
シアルカノエートを分離する工程中に、微生物細胞を破
砕する工程を含むことを特徴とする製造方法とすること
ができる。なお、前記微生物細胞を破砕する工程におい
て、細胞の破砕手段として、超音波破砕法、ホモジナイ
ザー法、圧力破砕法、ビーズ衝撃法、摩砕法、擂潰法、
凍結融解法のいずれかの方法を選択することができる。
【0097】あるいは、前記微生物細胞からポリヒドロ
キシアルカノエートを分離する工程中に、ポリヒドロキ
シアルカノエートが可溶な溶媒を用いて、微生物細胞か
らポリヒドロキシアルカノエートを抽出する工程を含む
ことを特徴とする製造方法とすることもできる。その
際、ポリヒドロキシアルカノエートが可溶な溶媒とし
て、クロロホルム、ジクロロメタン、ジオキサン、テト
ラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトンからなる群
から選択される1種類以上の溶媒を用いることができ
る。
【0098】一方、本発明のPHAの製造方法において
は、前記工程1で用いる培地は、ポリペプトンを含有し
ている培地とすることが好ましい。また、前記工程1で
用いる培地は、酵母エキスを含有している培地とするこ
とも好ましい。
【0099】あるいは、前記工程1で用いる培地は、糖
類を含有している培地とすることも好ましい。その場
合、培地中に含有される糖類は、グリセロアルデヒド、
エリトロース、アラビノース、キシロース、グルコー
ス、ガラクトース、マンノース、フルクトース、グリセ
ロール、エリトリトール、キシリトール、グルコン酸、
グルクロン酸、ガラクツロン酸、マルトース、スクロー
ス、ラクトースからなる群から選択される1種類以上の
化合物であることがより好ましい。
【0100】その他、前記工程1で用いる培地は、有機
酸またはその塩を含有している培地とすることも好まし
い。その場合、培地中に含有される有機酸またはその塩
は、ピルビン酸、リンゴ酸、乳酸、クエン酸、コハク
酸、あるいはこれらの塩からなる群から選択される1つ
以上の化合物であることがより好ましい。
【0101】また、前記工程1で用いる培地は、アミノ
酸またはその塩を含有している培地とすることも好まし
い。その場合、培地中に含有されるアミノ酸またはその
塩は、グルタミン酸、アスパラギン酸あるいはこれらの
塩からなる群から選択される1つ以上の化合物であるこ
とが望ましい。
【0102】加えて、前記工程1で用いる培地は、炭素
数4〜12 の直鎖アルカン酸あるいはその塩を含有して
いる培地とすることもできる。
【0103】本発明のPHAの製造方法では、前記工程
1において、微生物の培養は、(工程1-1) 前記一般
式(18)で示されるω-(置換フェニルスルファニル)アル
カン酸の少なくとも一種類以上ならびにポリペプトンを
含有する培地中で微生物を培養する工程と、これに続
く、(工程1-2) 前記一般式(18)で示されるω-(置換
フェニルスルファニル)アルカン酸の少なくとも一種類
以上ならびに有機酸またはその塩を含有する培地中で、
前記工程1-1で培養された微生物を更に培養する工程
とを有する、少なくとも二段階以上の培養で行うことを
特徴とする製造方法とすることができる。その際にも、
前記工程1-2で用いる培地中に含有される有機酸また
はその塩は、ピルビン酸、リンゴ酸、乳酸、クエン酸、
コハク酸あるいはこれらの塩からなる群から選択される
1つ以上の化合物であることが好ましい。
【0104】また、本発明のPHAの製造方法では、前
記工程1において、微生物の培養は、(工程1-3) 前
記一般式(18)で示されるω-(置換フェニルスルファニ
ル)アルカン酸の少なくとも一種類以上ならびに糖類を
含有する培地中で微生物を培養する工程と、これに続
く、(工程1-4) 前記一般式(18)で示されるω-(置換
フェニルスルファニル)アルカン酸の少なくとも一種類
以上ならびに糖類を含有する培地中で、前記工程1-3
で培養された微生物を更に培養する工程とを有する、少
なくとも二段階以上の培養で行うことを特徴とする製造
方法とすることもできる。その際にも、前記工程1-3
ならびに工程1-4で用いる培地中に含有される糖類
は、グリセロアルデヒド、エリトロース、アラビノー
ス、キシロース、グルコース、ガラクトース、マンノー
ス、フルクトース、グリセロール、エリトリトール、キ
シリトール、グルコン酸、グルクロン酸、ガラクツロン
酸、マルトース、スクロース、ラクトースからなる群か
ら選択される1つ以上の化合物であることが好ましい。
【0105】なお、先に述べた二段階の培養工程を採用
する際には、その二段目の培養工程、具体的には、前記
工程1-2、ならびに、工程1-4において利用する培地
は、窒素源を含まないことが好ましい。つまり、工程1
において、二段階以上の培養工程を設ける製造方法とす
る際には、後段の培養工程、例えば、第二段目の培養工
程で用いる培地について、窒素源を制限することによっ
て、微生物によるPHAの生産性の向上が図ることが可
能である。
【0106】本発明のPHAの製造方法は、その一つの
形態として、下記化学式(19):
【0107】
【化56】
【0108】で表される5-(フェニルスルファニル)吉
草酸を含む培地中で微生物を培養する工程と、培養され
た微生物により生産されたポリヒドロキシアルカノエー
トを、過酸化水素、過炭酸ナトリウム、メタクロロ過安
息香酸、過蟻酸、過酢酸からなる群から選ばれる一種類
以上の過酸化化合物で処理する工程とを有し、下記化学
式(6):
【0109】
【化57】
【0110】で表される3-ヒドロキシ-5-(フェニルス
ルフィニル)吉草酸ユニットまたは、下記化学式(7):
【0111】
【化58】
【0112】で表される3-ヒドロキシ-5-(フェニルス
ルホニル)吉草酸ユニットのうち、少なくとも1種類以
上をポリマー分子中に含み、さらに、下記化学式(8):
【0113】
【化59】
【0114】で表される3-ヒドロキシ-5-(フェニルス
ルファニル)吉草酸ユニットをポリマー分子中に含むこ
ともあるポリヒドロキシアルカノエートの製造方法とす
ることができる。
【0115】また、本発明のPHAの製造方法は、その
一つの形態として、下記化学式(20):
【0116】
【化60】
【0117】で表される4-(フェニルスルファニル)酪
酸を含む培地中で微生物を培養する工程と、培養された
微生物により生産されたポリヒドロキシアルカノエート
を、過酸化水素、過炭酸ナトリウム、メタクロロ過安息
香酸、過蟻酸、過酢酸からなる群から選ばれる一種類以
上の過酸化化合物で処理する工程とを有し、下記化学式
(9):
【0118】
【化61】
【0119】で表される3-ヒドロキシ-4-(フェニルフ
ィニル)酪酸ユニットまたは、下記化学式(10):
【0120】
【化62】
【0121】で表される3-ヒドロキシ-4-(フェニルス
ルホニル)酪酸ユニットのうち、少なくとも1種類以上
をポリマー分子中に含み、さらに、下記化学式(11):
【0122】
【化63】
【0123】で表される3-ヒドロキシ-4-(フェニルス
ルファニル)酪酸ユニットを含むこともあるポリヒドロ
キシアルカノエートの製造方法とすることもできる。
【0124】さらには、本発明のPHAの製造方法は、
その一つの形態として、下記化学式(21):
【0125】
【化64】
【0126】で表される5-[(4-フルオロフェニル)ス
ルファニル]吉草酸を含む培地中で微生物を培養する工
程と、培養された微生物により生産されたポリヒドロキ
シアルカノエートを、過酸化水素、過炭酸ナトリウム、
メタクロロ過安息香酸、過蟻酸、過酢酸からなる群から
選ばれる一種類以上の過酸化化合物で処理する工程とを
有し、下記化学式(12):
【0127】
【化65】
【0128】で表される3-ヒドロキシ-5-[(4-フルオ
ロフェニル)スルフィニル]吉草酸ユニットまたは、下記
化学式(13):
【0129】
【化66】
【0130】で表される3-ヒドロキシ-5-[(4-フルオ
ロフェニル)スルホニル]吉草酸ユニットのうち、少なく
とも1種類以上をポリマー分子中に含み、さらに、下記
化学式(14):
【0131】
【化67】
【0132】で表される3-ヒドロキシ-5-[(4-フルオ
ロフェニル)スルファニル]吉草酸ユニットを含むことも
あるポリヒドロキシアルカノエートの製造方法とするこ
ともできる。
【0133】さらには、本発明のPHAの製造方法は、
その一つの形態として、下記化学式(22):
【0134】
【化68】
【0135】で表される5-[(3-フルオロフェニル)ス
ルファニル]吉草酸を含む培地中で微生物を培養する工
程と、培養された微生物により生産されたポリヒドロキ
シアルカノエートを、過酸化水素、過炭酸ナトリウム、
メタクロロ過安息香酸、過蟻酸、過酢酸からなる群から
選ばれる一種類以上の過酸化化合物で処理する工程とを
有し、下記化学式(15):
【0136】
【化69】
【0137】で表される3-ヒドロキシ-5-[(3-フルオ
ロフェニル)スルフィニル]吉草酸ユニットまたは、下記
化学式(16):
【0138】
【化70】
【0139】で表される3-ヒドロキシ-5-[(3-フルオ
ロフェニル)スルホニル]吉草酸ユニットのうち、少なく
とも1種類以上をポリマー分子中に含み、さらに、下記
化学式(17):
【0140】
【化71】
【0141】で表される3-ヒドロキシ-5-[(3-フルオ
ロフェニル)スルファニル]吉草酸ユニットを含むことも
あるポリヒドロキシアルカノエートの製造方法とするこ
ともできる。
【0142】本発明のPHAの製造方法においては、工
程1においてポリヒドロキシアルカノエートを生産する
微生物が、シュードモナス(Pseudomonas)属に属する
微生物であることを特徴とする製造方法とすると好まし
い。その際、例えば、前記シュードモナス(Pseudomon
as)属に属する微生物が、シュードモナス・チコリアイ
YN2株(Pseudomonas cichorii YN2; FERM
BP-7375)、シュードモナス・チコリアイ H45株(Pse
udomonas cichorii H45; FERM BP-7374)、シ
ュードモナス・ジェッセニイ P161株(Pseudomonas j
essenii P161; FERM BP-7376)のうちから選択
される微生物であるとより好ましい。
【0143】また本発明者らは、高性能でかつ、実質的
に無色である荷電制御剤を開発すべく鋭意検討したとこ
ろ本発明に到達した。
【0144】すなわち本発明は、(1)、(2)で表される
モノマーユニットのうち少なくとも1種類のユニットを
有するポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含有し
てなる荷電制御剤である。
【0145】
【化72】
【0146】但し、Rは「H、ハロゲン原子、CN、N
2、COOR'、SO2R"(R':H、Na、K、CH3
25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OC
3、OC25)」から任意に選択される。
【0147】また、xは化学式中に示した範囲内から選
ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
【0148】本発明の荷電制御剤中に含有されるPHA
は、上記化学式(1),(2)に示されるユニット以外に化
学式(3)に示されるユニットを含んでいてもよい。
【0149】
【化73】
【0150】但し、Rは「H、ハロゲン原子、CN、N
2、COOR'、SO2R"(R':H、Na、K、CH3
25;R":OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OC
3、OC25)」から任意に選択される。
【0151】また、xは化学式中に示した範囲内から選
ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。
【0152】本発明の荷電制御剤中に含有されるPHA
は、上記化学式(1),(2),及び(3)に示されるユニット
以外に化学式(4)及び(5)に示されるユニットの少なく
とも一方を含んでいてもよい。
【0153】
【化74】
【0154】y及びzは化学式中に示した範囲内から選ば
れた整数であり、(1),(2),(3)で示すユニットと独立
してユニット毎に違う値をとり得る。
【0155】本発明の荷電制御剤中に含有されるポリヒ
ドロキシアルカノエートの数平均分子量は、1000 から
500000 の範囲である。
【0156】さらに本発明は、本発明の該荷電制御剤を
含有してなるトナーバインダーである。
【0157】さらに本発明は、少なくとも、バインダー
樹脂と着色剤と、該荷電制御剤を含有してなる静電荷像
現像トナーである。
【0158】また本発明は、外部より帯電部材に電圧を
印加して静電潜像担持体に帯電を行う工程と、帯電され
た静電潜像担持体に静電荷像を形成する工程と、該静電
荷像を静電荷像現像トナーにより現像してトナー像を静
電潜像担持体上に形成する現像工程と、静電潜像担持体
上のトナー像を被記録材へ転写する転写工程と、被記録
材上のトナー像を加熱定着する定着工程とを少なくとも
有する画像形成方法において、少なくとも、バインダー
樹脂と、着色剤と、該荷電制御剤を含有してなる静電荷
像現像トナーを使用することを特徴とする画像形成方法
である。
【0159】さらに本発明は、外部より帯電部材に電圧
を印加して静電潜像担持体に帯電を行う工程と、帯電さ
れた静電潜像担持体に静電荷像を形成する工程と、該静
電荷像を静電荷像現像トナーにより現像してトナー像を
静電潜像担持体上に形成する現像工程と、静電潜像担持
体上のトナー像を中間の転写体に転写する第1の転写工
程と、該中間の転写体上のトナー像を被記録材に転写す
る第2の転写工程と、被記録材上のトナー像を加熱定着
する定着工程とを少なくとも有する画像形成方法におい
て、少なくとも、バインダー樹脂と着色剤と、該荷電制
御剤を含有してなる静電荷像現像トナーを使用すること
を特徴とする画像形成方法である。
【0160】また本発明は、外部より帯電部材に電圧を
印加して静電潜像担持体に帯電を行う手段と、帯電され
た静電潜像担持体に静電荷像を形成する手段と、該静電
荷像を静電荷像現像トナーにより現像してトナー像を静
電潜像担持体上に形成する現像手段と、静電潜像担持体
上のトナー像を被記録材へ転写する転写手段と、被記録
材上のトナー像を加熱定着する定着手段とを少なくとも
有する画像形成装置において、少なくとも、バインダー
樹脂と、着色剤と、該荷電制御剤を含有してなる静電荷
像現像トナーを使用することを特徴とする画像形成装置
である。
【0161】さらに本発明は、外部より帯電部材に電圧
を印加して静電潜像担持体に帯電を行う手段と、帯電さ
れた静電潜像担持体に静電荷像を形成する手段と、該静
電荷像を静電荷像現像トナーにより現像してトナー像を
静電潜像担持体上に形成する現像手段と、静電潜像担持
体上のトナー像を中間の転写体に転写する第1の転写手
段と、該中間の転写体上のトナー像を被記録材に転写す
る第2の転写手段と、被記録材上のトナー像を加熱定着
する定着手段とを少なくとも有する画像形成装置におい
て、少なくとも、バインダー樹脂と着色剤と、該荷電制
御剤を含有してなる静電荷像現像トナーを使用すること
を特徴とする画像形成装置である。
【0162】
【発明の実施の形態】本発明の新規なポリヒドロキシア
ルカノエートは、含まれるヒドロキシアルカン酸のモノ
マーユニット中に、スルホキシド構造(-SO-)及びスル
ホン構造(-SO2-)のうち少なくとも一種類を有し、こ
の構造によりこれまでに知られている微生物生産ポリヒ
ドロキシアルカノエートとは著しく異なった物理化学的
性質を有している。本発明のポリヒドロキシアルカノエ
ートは、PHA生産能力を有する微生物を、原料となる
カルボン酸誘導体であるω-(置換フェニルスルファニ
ル)アルカン酸に加えて、増殖用炭素源を含んだ培地中
で培養する工程、この培養工程において微生物により生
産され、その細胞内に蓄積される、側鎖末端に置換フェ
ニルスルファニル基を有するユニットを含むポリヒドロ
キシアルカノエートを過酸化化合物により処理する工
程、この二段階の工程を経て製造されるものである。す
なわち、本発明のPHAの製造方法では、中間原料とし
て、側鎖末端に置換フェニルスルファニル基を有するユ
ニットを含むPHAを微生物を用いて生産させ、そのス
ルファニル基(-S-)を過酸化化合物を利用して、選択的
に酸化処理して、目的とするスルホキシド構造(-SO-)
及びスルホン構造(-SO2-)のうち少なくとも一種類を
有するPHAに変換している。
【0163】以下に、本発明について、より詳細に説明
する。
【0164】(カルボン酸誘導体)本発明で用いるω-(置
換フェニルスルファニル)アルカン酸は、一般式(18)で
示される化合物である。
【0165】
【化75】
【0166】(式中、Rは、H、ハロゲン原子、CN、
NO2、COOR'、SO2R”(なお、R'は、H、Na、
K、CH3、C25のいずれかを表し、R”は、OH、
ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25のいず
れかを表す)から任意に選択される基であり、また、x
は、1〜7から選択される整数である)。
【0167】この化合物は、例えば一般式(23)で示され
る化合物
【0168】
【化76】
【0169】(式中、Rは、H、ハロゲン原子、CN、
NO2、COOR'、SO2R”(なお、R'は、H、Na、
K、CH3、C25のいずれかを表し、R”は、OH、
ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25のいず
れかを表す)から任意に選択される基であり、また、x
は、1〜7から選択される整数である)。と、ω-ブロモ
アルカン酸エステルを反応させて、ω-(置換フェニルス
ルファニル)アルカン酸エステルを合成した後、エステ
ルを加水分解することにより得ることができる。
【0170】本発明のPHAの製造方法では、中間原料
とする前駆体PHAの生産に用いる微生物は、原料とす
る一般式(18)で示される化合物を含む培地中で培養した
際、対応する側鎖末端に置換フェニルスルファニル基を
有する3-ヒドロキシアルカン酸ユニットを含むPHA
を生産し、その細胞内に蓄積する微生物であれば、いか
なる微生物であってもよい。例えば、PHA産生能を有
するシュードモナス(Pseudomonas)属に属する微生物
が挙げられる。好適なシュードモナス(Pseudomonas)
属に属する微生物の一例を挙げると、シュードモナス・
チコリアイYN2株(Pseudomonas cichorii YN2;
FERM BP-7375)、シュードモナス・チコリアイ H
45株(Pseudomonas cichorii H45、FERM BP-73
74)、シュードモナス・ジェッセニイ P161株(Pseudo
monas jessenii P161、FERM BP-7376)の三種の
菌株が挙げられる。これら三種の微生物は、寄託者とし
て本願出願人を名義として、先に国内寄託され、その
後、その原寄託よりブタペスト条約に基づく寄託へと移
管され、国際寄託機関としての、経済産業省 産業技術
総合研究所 生命工学工業技術研究所(NIBH)に、それ
ぞれ前記の受託番号を付与され寄託されている。また、
新規なPHA産生能を有する菌株として、既に、特願平
11-371863号(特開2001-178484号公報)に記載されている
微生物である。
【0171】以下に、YN2株、H45株及びP161株に
ついて、その菌学的性質を示す。
【0172】<YN2株の菌学的性質> (1)形態学的性質 細胞の形と大きさ :桿菌、0.8μm×1.5〜2.0μm 細胞の多形性 :なし 運動性 :あり 胞子形成 :なし グラム染色性 :陰性 コロニー形状 :円形、全縁なめらか、低凸状、表
層なめらか、光沢、半透明 (2)生理学的性質 カタラーゼ :陽性 オキシダーゼ :陽性 O/F試験 :酸化型(非発酵性) 硝酸塩の還元 :陰性 インドールの生成 :陽性 ブドウ糖酸性化 :陰性 アルギニンジヒドロラーゼ :陰性 ウレアーゼ :陰性 エスクリン加水分解 :陰性 ゼラチン加水分解 :陰性 β-ガラクトシダーゼ :陰性 King's B寒天での蛍光色素産生:陽性 4%NaClでの生育 :陽性(弱い生育) ポリ-β-ヒドロキシ酪酸の蓄積 :陰性(*) Tween 80 の加水分解 :陽性 * nutrient agar培養コロニーをズダンブラックで染
色することで判定。 (3)基質資化能 ブドウ糖 :陽性 L-アラビノース :陽性 D-マンノース :陰性 D-マンニトール :陰性 N-アセチル-D-グルコサミン :陰性 マルトース :陰性 グルコン酸カリウム :陽性 n-カプリン酸 :陽性 アジピン酸 :陰性 dl-リンゴ酸 :陽性 クエン酸ナトリウム :陽性 酢酸フェニル :陽性 <H45株の菌学的性質> (1)形態学的性質 細胞の形と大きさ :桿菌、0.8μm×1.0〜1.2μm 細胞の多形性 :なし 運動性 :あり 胞子形成 :なし グラム染色性 :陰性 コロニー形状 :円形、全縁なめらか、低凸状、表
層なめらか、光沢、クリーム色 (2)生理学的性質 カタラーゼ :陽性 オキシダーゼ :陽性 O/F試験 :酸化型 硝酸塩の還元 :陰性 インドールの生成 :陰性 ブドウ糖酸性化 :陰性 アルギニンジヒドロラーゼ :陰性 ウレアーゼ :陰性 エスクリン加水分解 :陰性 ゼラチン加水分解 :陰性 β-ガラクトシダーゼ :陰性 King's B寒天での蛍光色素産生 :陽性 4%NaClでの生育 :陰性 ポリ-β-ヒドロキシ酪酸の蓄積 :陰性 (3)基質資化能 ブドウ糖 :陽性 L-アラビノース :陰性 D-マンノース :陽性 D-マンニトール :陽性 N-アセチル-D-グルコサミン :陽性 マルトース :陰性 グルコン酸カリウム :陽性 n-カプリン酸 :陽性 アジピン酸 :陰性 dl-リンゴ酸 :陽性 クエン酸ナトリウム :陽性 酢酸フェニル :陽性 <P161株の菌学的性質> (1)形態学的性質 細胞の形と大きさ :球状、φ0.6μm 桿状、0.6μm×1.5〜2.0μm 細胞の多形性 :あり(伸長型) 運動性 :あり 胞子形成 :なし グラム染色性 :陰性 コロニー形状 :円形、全縁なめらか、低凸状、表
層なめらか、淡黄色 (2)生理学的性質 カタラーゼ :陽性 オキシダーゼ :陽性 O/F試験 :酸化型 硝酸塩の還元 :陽性 インドールの生成 :陰性 ブドウ糖酸性化 :陰性 アルギニンジヒドロラーゼ :陽性 ウレアーゼ :陰性 エスクリン加水分解 :陰性 ゼラチン加水分解 :陰性 β-ガラクトシダーゼ :陰性 King's B寒天での蛍光色素産生 :陽性 (3)基質資化能 ブドウ糖 :陽性 L-アラビノース :陽性 D-マンノース :陽性 D-マンニトール :陽性 N-アセチル-D-グルコサミン :陽性 マルトース :陰性 グルコン酸カリウム :陽性 n-カプリン酸 :陽性 アジピン酸 :陰性 dl-リンゴ酸 :陽性 クエン酸ナトリウム :陽性 酢酸フェニル :陽性 また、シュードモナス属に属する微生物に加えて、アエ
ロモナス属(Aeromonas sp.)、コマモナス属(Comam
onas sp.)、バークホルデリア属(Burkholderia sp.)な
どに属し、前記一般式(18)で表される置換アルカン酸を
原料(基質)として用いて、前記一般式(3)で表される3
-ヒドロキシアルカン酸ユニットを含むPHAを生産す
る微生物を用いることも可能である。
【0173】(培養工程)本発明にかかるPHAの製造方
法の工程1においては、上記するPHA産生能を有する
微生物を利用して、原料の上記一般式(18)に記載される
ω-(置換フェニルスルファニル)アルカン酸から、対応
する前記一般式(3)で表される、側鎖末端に置換フェニ
ルスルファニル基を有する3-ヒドロキシアルカン酸ユ
ニットを含むPHAを生産させる。
【0174】この工程1に利用する微生物の通常の培
養、例えば、保存菌株の作製、PHAの生産に必要とさ
れる菌数や活性状態を確保するための増殖などには、用
いる微生物の増殖に必要な成分を含有する培地を適宜選
択して用いる。例えば、微生物の生育や生存に悪影響を
及ぼすものでない限り、一般的な天然培地(肉汁培地、
酵母エキスなど)や、栄養源を添加した合成培地など、
いかなる種類の培地をも用いることができる。温度、通
気、攪拌などの培養条件は、用いる微生物に応じて適宜
選択する。
【0175】一方、工程1において、前記したようなP
HA生産微生物を用いて、目的とする一般式(3)で表さ
れる、側鎖末端に置換フェニルスルファニル基を有する
3-ヒドロキシアルカン酸ユニットを含むPHAを製造
する際には、培地として、PHA生産用の原料として、
このモノマーユニットに対応する、上記一般式(18)で示
されるω-(置換フェニルスルファニル)アルカン酸類化
合物に加えて、微生物の増殖用炭素源とを少なくとも含
んだ無機培地などを用いることができる。原料の一般式
(18)で示される化合物は、培地あたり0.01%〜1%(w/
v)の範囲、より好ましくは、0.02%〜0.2%(w/v)の範
囲に初期の含有率を選択することが望ましい。原料の一
般式(18)で示されるω-(置換フェニルスルファニル)ア
ルカン酸は、末端に芳香環を有するなどの構造のため、
その水溶性は必ずしも良好ではないが、上記する微生物
は、この化合物を基質として利用できる特性を有するの
で、培養当初、その溶解度を超える部分は、部分的に懸
濁された状態であっても、培養を継続する間に微生物が
徐々にその細胞内に取り込む結果、部分的に懸濁されて
いたものが代わって、培地に溶解するので何ら問題とは
ならない。
【0176】なお、原料の一般式(18)で示される化合物
は、分散性を高めるため、場合によっては、1-ヘキサ
デセンやn-ヘキサデカンのような溶媒に溶解、あるい
は、微細な懸濁物とした形状で培地中に添加することも
可能である。その際には、利用する1-ヘキサデセンやn
-ヘキサデカンのような溶媒の添加濃度は、培地に対し
て、その濃度は3%(v/v)以下にすることが必要であ
る。
【0177】培地には、微生物が増殖の際、炭素源など
として利用する増殖用基質を別途添加する。この増殖用
基質は、酵母エキスやポリペプトン、肉エキスといった
栄養素を用いることが可能である。更に、糖類、TCA
回路中の中間体として生じる有機酸ならびにTCA回路
から一段階ないしは二段階の生化学反応を経て生じる有
機酸またはその塩、アミノ酸またはその塩、炭素数4〜
12 の直鎖アルカン酸またはその塩などから、用いる菌
株に応じて、炭素源としての有用性を考慮して、適宜選
択することができる。
【0178】これら種々の増殖用基質のうち、糖類とし
ては、グリセロアルデヒド、エリトロース、アラビノー
ス、キシロース、グルコース、ガラクトース、マンノー
ス、フルクトースといったアルドース、グリセロール、
エリトリトール、キシリトール等のアルジトール、グル
コン酸等のアルドン酸、グルクロン酸、ガラクツロン酸
等のウロン酸、マルトース、スクロース、ラクトースと
いった二糖等から選ばれる1つ以上の化合物が好適に利
用できる。
【0179】また、有機酸あるいはその塩としては、ピ
ルビン酸、リンゴ酸、乳酸、クエン酸、コハク酸または
それらの塩からなる群から選ばれる1つ以上の化合物が
好適に利用できる。一方、アミノ酸またはその塩として
は、グルタミン酸、アスパラギン酸あるいはそれらの塩
からなる群から選ばれる1つ以上の化合物が好適に利用
できる。
【0180】一般に、これら種々の増殖用基質の中で
も、ポリペプトンや糖類を用いるのがより好ましく、ま
た、糖類の中では、グルコース、フルクトース、マンノ
ースからなる群から選択される少なくとも一つを用いる
ことがさらに好ましい。これらの増殖用基質は、通常、
培地あたり 0.1%〜5%(w/v)の範囲、より好ましく
は、0.2%〜2%(w/v)の範囲にその含有率を選択する
ことが望ましい。
【0181】微生物にPHAを生産・蓄積させる工程1
における、培養方法としては、一旦十分に増殖させた後
に、塩化アンモニウムのような窒素源を制限した培地へ
菌体を移し、目的ユニットの基質となる化合物を加えた
状態でさらに培養すると生産性が向上する場合がある。
例えば、前記の異なる培養条件からなる工程を複数段接
続した多段方式の採用が挙げられる。
【0182】より具体的には、(工程1-1)として、一
般式(18)で示される化合物、ならびに炭素源となるポリ
ペプトンを含む培地中で微生物を培養する工程を対数増
殖後期から定常期の時点まで続け、一旦菌体を遠心分離
等で回収した後、これに続き、(工程1-2)として、一
般式(18)で示される化合物、ならびに炭素源となる有機
酸またはその塩とを含み、窒素源を含まない培地中で、
前段の工程1-1で培養・増殖した微生物の菌体をされ
に培養する工程を行なう二段階培養方法、あるいは、
(工程1-3)として、一般式(18)で示される化合物、な
らびに炭素源となるグルコースを含む培地中で微生物を
培養する工程を対数増殖後期から定常期の時点まで続
け、一旦菌体を遠心分離等で回収した後、これに続き、
(工程1-4)として、一般式(18)で示される化合物、な
らびに炭素源となるグルコースを含み、窒素源を含まな
い培地中で、前段の工程1-3で培養・増殖した微生物
の菌体をされに培養する工程を行なう二段階培養方法等
を利用することが一層好ましい。この二段階培養方法で
は、前段において、原料の上記一般式(18)に記載される
ω-(置換フェニルスルファニル)アルカン酸から、対応
する前記一般式(3)で表される、側鎖末端に置換フェニ
ルスルファニル基を有する3-ヒドロキシアルカン酸ユ
ニットを含むPHAを生産させつつ、菌体の増殖を予め
行い、後段では、窒素源を含まない培地中で、既に培養
された菌体に、主にPHAの生産を行わせる培養形態と
することで、細胞内に蓄積されるPHA量をさらに高く
することができる。
【0183】工程1における培養温度は、上記の菌株が
良好に増殖可能な温度であればよく、例えば、15〜40
℃、好ましくは 20〜35℃の範囲、より好ましくは 20℃
〜30℃の範囲に選択するこのが適当である。
【0184】培養は、液体培養、固体培養など、利用す
る微生物が増殖し、培地中に含有される原料の一般式(1
8)に記載される化合物から、前記一般式(3)で表される
ユニットを含むPHAを生産する培養方法ならば、いか
なる培養方法をも用いることができる。さらには、原
料、炭素源、さらには酸素の供給が適正に行われるなら
ば、バッチ培養、フェドバッチ培養、半連続培養、連続
培養などの種類も問わない。例えば、液体バッチ培養の
形態としては、振とうフラスコによって振とうさせて酸
素を供給する方法、ジャーファーメンターによる攪拌通
気方式の酸素供給方法がある。
【0185】上記の培養方法に用いる無機培地として
は、リン源(例えば、リン酸塩など)、窒素源(例えば、
アンモニウム塩、硝酸塩など)等、微生物の増殖に必要
な成分を含んでいる培地であればいかなるものでも良
く、例えば、MSB培地、M9培地等を挙げることがで
きる。
【0186】例えば、後の述べる実施例において用いた
無機塩培地:M9培地の組成を以下に示す。 [M9培地] Na2HPO4 6.2g KH2PO4 3.0g NaCl 0.5g NH4Cl 1.0g (培地1リットル中、pH7.0) 更に、良好な増殖と、それに伴うPHAの生産のために
は、上記の無機塩培地に、例えば、以下に示す微量成分
溶液を 0.3%(v/v)程度添加して、必須微量元素を補う
必要がある。
【0187】[微量成分溶液] ニトリロ三酢酸 :1.5g; MgSO4 :3.0g; MnSO4 :0.5g; NaCl :1.0g; FeSO4 :0.1g; CaCl2 :0.1g; CoCl2 :0.1g; ZnSO4 :0.1g; CuSO4 :0.1g; AlK(SO4)2 :0.1g; H3BO3 :0.1g; Na2MoO4 :0.1g; NiCl2 :0.1g (溶液1リットル中、pH7.0) (過酸化化合物処理工程)例えば、本出願人により先に出
願された、特願 2001-057145 号及び特願 2001-057142
号に開示されているように、本発明に用いる微生物はこ
のような培養方法により、一般式(3)で示される、側鎖
末端にフェニルスルファニル基または置換フェニルスル
ファニル基として、スルファニル基(-S-)を有するユニ
ットを含むPHAを生産する。本発明のPHAはこのよ
うにして生産されたPHAの硫黄部分、スルファニル基
(-S-)を選択的に酸化することで製造することができ
る。その具体的な例としては、一般式(3)で示されるユ
ニットを含むPHAに、過酸化化合物による酸化処理を
施すことで製造することができる。
【0188】この本発明のPHAの製造方法で用いるこ
とができる過酸化化合物は、本発明の目的、すなわち、
フェニルスルファニル基または置換フェニルスルファニ
ル基として存在するスルファニル基(-S-)の酸化に寄与
し得るものであれば、いかなる種類の過酸化化合物をも
用いることが可能である。その際、酸化効率、PHA主
鎖骨格への影響、処理の簡便さ等を考慮した場合、特
に、過酸化水素、過炭酸ナトリウム、メタクロロ過安息
香酸、過蟻酸、過酢酸からなる群から選択される過酸化
化合物を用いることが好ましい。
【0189】まず、その中でも処理方法が容易な過酸化
水素を利用する処理について述べる。最も簡便な過酸化
水素による処理方法は、前記の培養条件で微生物を培養
し、本発明のPHAの前駆体である、一般式(3)で示さ
れるユニットを含むPHAを蓄積した微生物細胞をその
まま過酸化水素水に懸濁し、場合によっては一定時間加
熱、攪拌して菌体の処理を行った後、不溶成分として、
目的とするPHAを回収する方法である。過酸化水素の
濃度が比較的高い場合、または、反応温度が比較的高い
場合には、菌体細胞由来の不溶成分、例えば、細胞膜な
どは、酸化を受けて、分解・可溶化され、本発明のPH
Aのみが、不溶成分としてほぼ純粋な形で回収される。
一方、温和な条件の場合には、分解・可溶化が十分に果
たされず、一部菌体細胞由来の生体細胞を破砕する工程
が残留する場合がある。
【0190】このような温和な条件を利用する際には、
予め培養微生物細胞を破砕し、菌体細胞由来の不溶成分
を除去して、本発明のPHAの前駆体である、一般式
(3)で示されるユニットを含むPHAを粗製で回収した
後に、過酸化水素水で処理する方法を採用することも可
能である。この予め培養微生物細胞を破砕し、中間原料
(前駆体)のPHAを分離・回収する工程を設ける方法を
とると、比較的温和な条件で、過酸化水素水による処理
を行う際にも、十分に純度の高いPHAが回収される。
【0191】本発明のPHAの製造方法において、前記
の生体細胞を破砕する工程では、超音波破砕法、ホモジ
ナイザー法、圧力破砕法、ビーズ衝撃法、摩砕法、擂潰
法(ガラス粉末やアルミナ粉末等の助剤を加えて乳鉢中
ですり潰す方法)、凍結融解法など、細胞膜の破砕に薬
剤を使用しない手段を用いることが好ましい。生体細胞
を破砕する工程後、更に、分離した不溶成分の再懸濁液
を遠心分離等の方法により固体成分と可溶成分とを分離
し、中間原料となるPHA成分が含まれている固体成分
のみを過酸化水素で処理する。
【0192】更に、もう一つのPHAの分離方法として
は、培養工程の後、PHA蓄積微生物細胞から、クロロ
ホルム、ジクロロメタンやアセトンといった蓄積PHA
の可溶溶媒によりPHAのみを抽出・単離する手段を利
用することもできる。抽出・単離した後、得られたPH
Aのみを過酸化水素により処理する方法である。この溶
媒抽出を利用する方法においては、微生物細胞から抽出
・回収される前駆体PHAは、過酸化水素処理を行う水
系媒体中で塊状になりやすい。前駆体PHAが塊状とな
った場合、過酸化水素などの過酸化化合物との接触の妨
げとなり、場合によっては、この酸化反応の効率を著し
く低下させることもあるなど、操作上の困難さ・煩雑さ
を伴う場合が多い。その観点からは、先に述べた2つの
方法は、前駆体PHAは、本来、微生物細胞中に微粒子
状で存在しており、その状態のまま、微粒子状の前駆体
PHAを水懸濁状態で過酸化水素処理を施すことが可能
であることから、操作上もより簡便な方法である。
【0193】本発明のPHAの製造方法で、酸化剤とし
て利用する過酸化水素は、本発明の目的、すなわち、フ
ェニルスルファニル基または置換フェニルスルファニル
基として存在するスルファニル基(-S-)の酸化を行える
限り、いかなる形態のものをも用いることが可能であ
る。なお、製造工程の制御という観点からは、その濃度
などが、安定した性状の過酸化水素の溶液、例えば、過
酸化水素水など、水系溶媒中に溶解したものを用いるこ
とが望ましい。一例として、工業的に多量に安定生産可
能な、JIS K-8230 に則った過酸化水素水は推奨され
るべきものであり、例えば、三菱瓦斯化学(株)製 過酸
化水素水(31%過酸化水素含有)は、本発明の方法におい
て、好適な過酸化水素の溶液である。
【0194】本発明のPHAの製造方法において、この
過酸化水素を用いる酸化処理の条件は、処理されるPH
Aの状態(菌体成分の有無、塊状か微粒子状か等)により
異なるが、概ね以下の範囲に選択することが好ましい。
一般に、菌体成分の残存量が少ない場合、また、前駆体
PHA形状が微粒子状である場合には、不要な菌体成分
の酸化・可溶化が容易に行え、あるいは、微粒子状のP
HA自体では、より速やかな処理がなされるので、温和
な条件を用いることができる。前記、JIS K-8230 規
格品の過酸化水素水(31%過酸化水素含有)を利用する
際、その希釈条件(濃度)、使用量、処理温度、時間など
は、下記する範囲に選択することができる。処理液中の
酸化水素濃度:反応温度にもよるが、8%(約4倍希釈)
〜31%(原液)、より好ましい濃度範囲としては、16%
(約2倍希釈)〜31%(原液)反応量:前駆体PHA中に含
まれる一般式(3)のユニットの比率にも依存するもの
の、処理前PHA1gに対して、原液過酸化水素水(31%
過酸化水素含有)換算で 30mL〜500mL、より好ましい
反応量は、100mL〜300mLの範囲である。反応温度:処
理液中の濃度にもよるが、30℃〜100℃、より好ましい
温度としては、80℃〜100℃の範囲に選択する。反応時
間:反応温度にもよるが、10分〜180分、より好ましい時
間としては、30分〜120分の範囲である。
【0195】前記する条件の範囲で、過酸化水素処理を
施すことにより、微生物菌体に蓄積されていた、一般式
(3)で示されるユニットを含む前駆体PHAから、以下
に示す一般式(1)ならびに一般式(2)で示されるユニッ
トのうち、少なくとも1種類をポリマー分子中に含むP
HA、あるいは、一般式(1)ならびに一般式(2)で示さ
れるユニットに加えて、中間原料のPHAに由来する一
般式(3)で表されるユニットをなお残すPHAへと変換
できる。その場合、過酸化水素処理の反応条件を選択し
て、酸化の進行速度、反応量を制御することにより、前
記三種の各ユニットの存在比を制御することが可能とな
る。
【0196】
【化77】
【0197】(式中、Rは、H、ハロゲン原子、CN、
NO2、COOR'、SO2R”(なお、R'は、H、Na、
K、CH3、C25のいずれかを表し、R”は、OH、
ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25のいず
れかを表す)から任意に選択される基であり、また、x
は、1〜7から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う
値をとり得る。)
【0198】
【化78】
【0199】(式中、Rは、H、ハロゲン原子、CN、
NO2、COOR'、SO2R”(なお、R'は、H、Na、
K、CH3、C25のいずれかを表し、R”は、OH、
ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25のいず
れかを表す)から任意に選択される基であり、また、x
は、1〜7から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う
値をとり得る。)
【0200】
【化79】
【0201】(式中、Rは、H、ハロゲン原子、CN、
NO2、COOR'、SO2R”(なお、R'は、H、Na、
K、CH3、C25のいずれかを表し、R”は、OH、
ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC25のいず
れかを表す)から任意に選択される基であり、また、x
は、1〜7から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う
値をとり得る。)次に、過酸化化合物として、メタクロ
ロ過安息香酸(MCPBA)を用いる方法について述べ
る。
【0202】MCPBAを用いると、フェニルスルファ
ニル基または置換フェニルスルファニル基として存在す
るスルファニル基(-S-)の酸化は、化学量論的に進行す
るため、一般式(1)ならびに一般式(2)で示されるユニ
ットの含有比率の制御がし易い。また、その反応条件が
温和であるため、PHA主鎖骨格の切断や活性部位の架
橋反応等、不要な副次反応が起こり難い。従って、本発
明のPHAの製造方法において、高い選択性で目的とす
るPHAを製造する上では、メタクロロ過安息香酸(M
CPBA)は、非常に好適な過酸化化合物の一つであ
る。
【0203】一般的な反応条件として、スルファニル基
(-S-)をスルフィニル基(-SO-)まで選択的に酸化する
ためには、中間原料のPHA(前駆体)中のスルファニル
基(-S-)を含むユニットモル量、1モルに対して、MC
PBAを若干過剰量、具体的には、1.1〜1.4 モル量の
範囲に選択し、クロロホルム中、温度を0℃〜30℃の範
囲に選択して、反応せしめる。前記の反応条件範囲にお
いては、反応時間を 10時間程度とすると、理論値のほ
ぼ 90%、20時間程度とすると、理論値のほぼ 100%ま
で、酸化を進行させることができる。
【0204】また、スルファニル基(-S-)を全てスルホ
ニル基(-SO2-)まで酸化するためには、中間原料のP
HA(前駆体)中のスルファニル基(-S-)を含むユニット
モル量、1モルに対して、MCPBAを2モルより若干
過剰量、具体的には、2.1〜2.4 モル量の範囲に選択
し、前記と同様の溶媒、温度、時間条件を選択して、反
応を行えばよい。
【0205】本発明の方法により製造される、微生物産
生のPHAを中間原料とする、PHAポリマーには、ス
ルフィニル構造(-SO-)及びスルホニル構造(-SO2-)
のうち、少なくとも一方を有するユニットが、そのポリ
マー分子中に含まれている。これらの構造は、かかるユ
ニット末端における、分子中の電子の局在化を強力に促
し、その電気的な性質は、従来のPHAと比べ著しく異
なっている可能性がある。また、このような電子の局在
化により、溶媒に対する挙動も、従来のPHAと異なる
ものとなる。一例を挙げると、実施例中にも記載されて
いるように、ジメチルホルムアミド(DMF)のような極
性溶媒にも溶解可能となる。加えて、スルフィニル構造
(-SO-)あるいはスルホニル構造(-SO2-)に起因す
る、このような性質により、イオン交換樹脂相当の機能
を発揮する可能性がある。また、このような極性を示す
ので、生体に対する親和性も高まることが考えられ、生
体適合性材料としての用途も期待される。なお、生分解
性に関しては、含有される3-ヒドロキシアルカン酸ユ
ニットは、元来微生物が産生するPHAを中間原料とす
るもので、同一の光学異性体であり、その生分解性を保
持することは勿論のことである。
【0206】また、本発明PHAが荷電制御剤としてき
わめて優れた特性を有し、かつ、人体や環境に対する安
全性が高いことを見出し、さらには、該荷電制御剤を含
有する静電荷像現像用トナー及び該静電荷像現像用トナ
ーを一定の現像システムを有する画像形成装置に使用し
た場合に著しい効果があることを見出し本発明が完成し
た。
【0207】即ち、本発明は化学式(1)、(2)で表され
るモノマーユニットのうち少なくとも1種類のユニット
を有するポリヒドロキシアルカノエートを含有してな
り、化学式(3)に示されるユニットを含むこともある荷
電制御剤であり、更には該荷電制御剤を含有してなる静
電荷像現像用トナーである。更には上記の静電荷像現像
用トナーを、外部より帯電部材に電圧を印加し、静電潜
像担持体を均一に帯電させる帯電工程と、静電潜像担持
体上にトナー像を形成する現像工程と、静電潜像担持体
上のトナー像を中間の転写体を介して、または、介さず
に被転写材へ転写する転写工程と、被転写材上のトナー
像を熱によって定着する加熱定着工程とを有する画像形
成方法であり、また該方法の各工程に対応する各手段、
すなわち帯電手段、現像手段、転写手段、加熱定着手段
を有する画像形成装置である。
【0208】ここで、上に示す化合物は生分解性樹脂と
しての基本骨格を有しており、それゆえ、従来のプラス
チックと同様、溶融加工等により各種製品の生産に利用
することができるとともに、石油由来の合成高分子とは
異なり、生物により分解され、自然界の物質循環に取り
込まれるという際立った特性を有している。そのため、
燃焼処理を行う必要もなく、大気汚染や地球温暖化を防
止するという観点でも有効な材料であり、環境保全を可
能とするプラスチックとして利用することができる。
【0209】本発明の静電荷像現像用トナーに使用する
帯電制御剤として好適な、上に示す化合物について具体
的に説明する。本発明において使用する化合物は、3-
ヒドロキシアルカノエートをモノマー単位とするポリエ
ステル樹脂であって、側鎖にフェニルスルフィニル構造
を有するユニット、及び側鎖にフェニルスルホニル構造
を有するユニットを少なくとも1種類以上含むものであ
る。また、本発明の化合物は、これら2種類のユニット
以外に、側鎖にフェニルスルファニル構造を有するユニ
ットを含んでいても良い。また、これら側鎖の芳香環部
分には、H、ハロゲン原子,CN,NO2,COOR',SO
2R"(R':H,Na,K,CH3,C25;R":OH,ONa、
OK、ハロゲン原子,OCH3,OC25)」から任意に選
択される官能基が置換されていても良い。更に本発明の
化合物は、これら3種類のユニット以外に、直鎖の3-
ヒドロキシアルカノエート及び側鎖に不飽和結合を含ん
だ3-ヒドロキシアルケノエートを同時に或いは独立し
て含んでいても良い。
【0210】ここで、このような化合物を微生物により
生産する工程を含んだ方法で製造した場合、本発明の上
に示す化合物はR体のみからなるアイソタクチックなポ
リマーであるが、物性/機能の両面において本発明の目
的を達成しうるならば、特にアイソタクチックなポリマ
ーである必要はなく、アタクチックなポリマーについて
も利用することが可能である。また、ラクトン化合物の
開環重合などを利用した化学合成法に本発明に示した化
合物を得ることも可能である。
【0211】また、本発明の荷電制御剤に用いるポリヒ
ドロキシアルカノエートの製造方法は、上に詳述したと
おりである。
【0212】本発明において重要なことは、化学式(1)
で示される、側鎖にフェニルスルフィニル構造を有する
ユニット、及び化学式(2)で示される、側鎖にフェニル
スルホニル構造を有するユニットである。これらの構造
により分子内で電子の局在化が起こり、本発明の荷電制
御剤は優れた正帯電性を有するものとなる。これらの構
造を有するユニットを含む本発明の荷電制御剤は、これ
まで開示されてきた正帯電性高分子電荷制御剤とは異な
り、イオン性官能基を含有せず、耐湿性を含めた耐候性
に優れたものである。
【0213】また、側鎖にフェニルスルフィニル構造を
有するユニット、及び側鎖にフェニルスルホニル構造を
有するユニットの比率、或いはそれ以外のユニットとの
比率を変化させることにより、帯電の立ち上がりをコン
トロールすることが可能である。更に、これらのユニッ
ト比の制御により、環境依存性を少なくすることも可能
である。
【0214】これら側鎖にフェニルスルフィニル構造を
有するユニット、及び側鎖にフェニルスルホニル構造を
有するユニットはいずれか一方がポリマー中に1mol%
以上含まれていれば良く、その割合は、その他のユニッ
トとの比率、望む帯電性を考慮して選択すれば良いが、
十分な帯電性を発揮するためには、いずれか一方が5m
ol%以上含まれていることがより好ましい。また、側鎖
にフェニルスルフィニル構造を有するユニット、及び側
鎖にフェニルスルホニル構造を有するユニットの上限に
ついては、選択するバインダー樹脂の種類およびその他
のユニットとの相対比率を考慮すれば良く、バインダー
樹脂に対する相溶性を損なわない範囲であれば良い。
【0215】本発明の化合物はバインダー樹脂に対する
相溶性が良好であり、特にはポリエステル系のバインダ
ー樹脂に対する相溶性がきわめて良好である。この本発
明の化合物を含有せしめたトナーは比帯電量が高く、そ
の経時安定性も良好であることから、トナーを長時間保
存しても静電記録の画像形成において安定して鮮明な画
像を与え、また、無色の正の帯電性能をもつため、黒色
の正帯電トナーおよびカラートナー何れについても製出
することが出来る。
【0216】さらに、本発明の化合物を構成するモノマ
ーユニットの種類/組成比を適宜選択することにより、
幅広い相溶性の制御が可能である。ここで、荷電制御剤
がトナーバインダー中でミクロ相分離構造をとるよう樹
脂組成を選択すると、トナーの電気的連続性が生じない
ため安定に電価を保持することが可能となる。また、本
発明の化合物は重金属を含まないため、懸濁重合法や乳
化重合法でトナーを作成する際には、含金属の荷電制御
剤で見られるような重金属による重合禁止作用がないの
で、安定してトナーを製出することが出来る。
【0217】<PHAのトナーへの添加>本発明におい
て、上記した化合物をトナーに含有させる方法として
は、トナーに内添する方法とトナーに外添する方法があ
る。内添する場合の添加量は、トナーバインダーと該荷
電制御剤の質量割合として、通常 0.1〜50 質量%、好
ましくは 0.3〜30 質量%、さらに好ましくは 0.5〜20
質量%の範囲で使用するのがより好ましい。0.1 質量%
よりも少ないと、トナーの帯電性における改良の度合い
が顕著にみられず好ましくない。一方、50 質量%を超
えると、経済的な観点から好ましくない。また、外添す
る場合には、トナーバインダーと該荷電制御剤の質量割
合は 0.01〜5質量%とすることが好ましく、特に、メ
カノケミカル的にトナー表面に固着させるのが好まし
い。更に、本発明の化合物は、公知の荷電制御剤と組み
合わせて使用することもできる。
【0218】本発明の化合物の数平均分子量は、通常
1,000〜500,000 であり、好ましくは1,000〜300,000 で
ある。1,000 未満ではトナーバインダーに完全相溶し不
連続なドメインを形成しにくくなるために帯電量不足と
なるとともに、トナーの流動性に悪影響を与える。ま
た、500,000 を超えるとトナー中に分散させるのが困難
となる。
【0219】本発明の化合物の分子量は、GPC(ゲル
パーミエーションクロマトグラフィー)により測定し
た。具体的なGPCの測定方法としては、予め本発明の
化合物を 0.1 質量%LiBr含有ジメチルホルムアミド
(DMF)に溶解し多サンプルを同様の移動相で測定し、
標準ポリスチレン樹脂の検量線から分子量分布を求め
た。
【0220】また、本発明においては、上記のようにし
て測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)
との比率(Mw/Mn)が、1〜10 の範囲内にある本発明
の化合物を使用することが好ましい。
【0221】本発明において、本発明の化合物は 20〜1
50℃、特に 40〜150℃の融点を持つか、または融点は持
たないが 20〜150℃、特に 40〜150℃のガラス転移点を
持つことが好ましい。上記融点が 20℃未満または融点
を持たずガラス転移点が 20℃未満の場合は、トナーの
流動性や、保存性に悪影響を与えやすい。また、融点が
150℃を超えるかまたは融点を持たずガラス転移点が 15
0℃を超える場合は、荷電制御剤をトナー中に混練する
ことが困難になり、帯電量分布が広くなりやすい。
【0222】この場合における融点Tmおよびガラス転
移点Tgの測定には、例えば、パーキンエルマー社製の
DSC-7のような高精度の内熱式入力補償型の示差走
査熱量計を用いて測定を行えばよい。
【0223】本発明のトナーバインダーおよび静電荷像
現像トナーにおいて、トナーバインダーと該荷電制御剤
の質量割合は、通常 0.1〜50 質量%、好ましくは 0.3
〜30質量%、さらに好ましくは 0.5〜20 質量%であ
る。本発明の静電荷像現像トナーの組成比は、トナー質
量に基づき、通常、前記荷電制御剤が 0.1〜50 質量
%、トナーバインダーが 20〜95 質量%、着色材料が0
〜15 質量%であり、必要により磁性粉(鉄、コバルト、
ニッケルなどの強磁性金属の粉末もしくはマグネタイ
ト、ヘマタイト、フェライトなどの化合物)を着色材料
としての機能を兼ねて 60 質量%以下含有していてもよ
い。さらに種々の添加剤(滑剤(ポリテトラフルオロエチ
レン、低分子量ポリオレフィン、脂肪酸、もしくはその
金属塩またはアミドなど)および他の荷電制御剤(ニグロ
シン誘導体、ナフテン酸金属、アルコキシル化アミン、
四級アンモニウム塩など)を含有させることができる。
また、トナーの流動性改良のために疎水性コロイダルシ
リカ微粉末等を用いることもできる。これら添加剤の量
はトナー質量に基づき通常 10 質量%以下である。
【0224】本発明のトナーにおいては、トナーバイン
ダーの少なくとも一部が連続相を形成しており、荷電制
御剤の少なくとも一部が不連続なドメインを形成してい
ることが好ましい。不連続なドメインを形成せずにトナ
ーバインダー中に荷電制御剤が完全相溶する場合と比較
して、添加した荷電制御剤がトナー表面に露出しやすく
なり、少量の添加で効果を発現する。
【0225】また、該ドメインの分散粒径は、好ましく
は 0.01〜4μmであり、さらに好ましくは 0.05〜2μ
mである。4μmを超えると分散性が不充分であり、帯
電量分布が広くなるとともに、トナーの透明性が悪くな
る問題が生じる。また、分散粒径が 0.01μm未満で
は、不連続なドメインを形成せずにトナーバインダー中
に完全相溶する場合と同様であり、多量の荷電制御剤の
添加が必要となる。
【0226】前記荷電制御剤の少なくとも一部が不連続
なドメインを形成していること、およびその分散粒径
は、透過型電子顕微鏡などでトナーの切片を観察するこ
とで確認できる。界面を明瞭に観察するために、四酸化
ルテニウム、四酸化オスミウムなどでトナー切片を染色
した後に電子顕微鏡観察をすることも有効である。
【0227】また、本発明の化合物が形成する不連続な
ドメインの粒径を小さくする目的で、本発明の化合物に
対して相溶性を有しかつトナーバインダーに対しても相
溶性を有する重合体を相溶化剤として含有させることも
できる。相溶化剤としては、本発明の化合物の構成単量
体と実質的に同じ構造を有する単量体を 50 モル%以上
含有する重合体鎖と、トナーバインダーの構成単量体と
実質的に同じ構造を有する単量体を 50 モル%以上含有
する重合体鎖がグラフト状またはブロック状に結合した
重合体などが挙げられる。相溶化剤の使用量は本発明の
化合物に対して、通常 30 質量%以下であり、好ましく
は1〜10 質量%である。
【0228】<他の構成材料>以下、本発明の静電荷像
現像用トナーを構成するその他の構成材料について説明
する。
【0229】(バインダー樹脂)先ず、バインダー樹脂と
しては、通常、トナーを製造する際に用いられているも
のであればいずれも使用することができ、特に限定され
ない。また、本発明の荷電制御剤は、トナーとする前に
バインダー樹脂とあらかじめ混合し、荷電制御能をもつ
本発明のトナーバインダー組成物として用いることがで
きる。例えば、バインダー樹脂としては、スチレン系ポ
リマー、ポリエステル系ポリマー、エポキシ系ポリマ
ー、ポリオレフィン系ポリマーおよびポリウレタン系ポ
リマーなどが挙げられ、単独または混合して使用するこ
とができる。
【0230】スチレン系ポリマーとしては、スチレンと
(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体およびこれらと
共重合可能な他の単量体の共重合体、スチレンとジエン
系単量体(ブタジエン、イソプレンなど)との共重合体お
よびこれらと共重合可能な他の単量体の共重合体などが
挙げられる。ポリエステル系ポリマーとしては芳香族ジ
カルボン酸と芳香族ジオールのアルキレンオキサイド付
加物との重縮合物などが挙げられる。エポキシ系ポリマ
ーとしては芳香族ジオールとエピクロルヒドリンとの反
応物およびこれの変性物などが挙げられる。ポリオレフ
ィン系ポリマーとしてはポリエチレン、ポリプロピレン
およびこれらと他の共重合可能な単量体との共重合体鎖
などが挙げられる。ポリウレタン系ポリマーとしては芳
香族ジイソシアネートと芳香族ジオールのアルキレンオ
キサイド付加物との重付加物などが挙げられる。
【0231】本発明において用いられるバインダー樹脂
の具体例としては、以下に挙げる重合性単量体の重合
体、または、これらの混合物、或いは、以下に挙げる重
合性単量体を2種類以上使用して得られる共重合生成物
が挙げられる。このようなものとしては、具体的には、
例えば、スチレン-アクリル酸共重合体、或いはスチレ
ン-メタクリル酸系共重合体などのスチレン系ポリマ
ー、さらにはポリエステル系ポリマー、エポキシ系ポリ
マー、ポリオレフィン系ポリマーおよびポリウレタン系
ポリマー等が挙げられ、好ましく使用できる。
【0232】重合性単量体の具体例としては、例えば、
スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-
メチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-フェニルスチ
レン、p-クロルスチレン、3,4-ジクロルスチレン、p-
エチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-n-ブチル
スチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチ
レン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-
n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレンの如きスチレ
ン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、
イソブチレンの如きエチレン不飽和モノオレフィン類;
ブタジエンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化
ビニリデン、臭化ビニル、弗化ビニルの如きハロゲン化
ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ
酸ビニルの如きビニルエステル酸;メタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタ
クリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリ
ル酸n-オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸
2-エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタク
リル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、
メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα-メチレン
脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、
アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イ
ソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n-オクチ
ル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2-エチルヘキシ
ル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2-クロルエチ
ル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニル
イソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメ
チルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペ
ニルケトンの如きビニルケトン類;N-ビニルピロー
ル、N-ビニルカルバゾール、N-ビニルインドール、N
-ビニルピロリドンの如きN-ビニル化合物;ビニルナフ
タリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ア
クリルアミドの如きアクリル酸若しくはメタクリル酸誘
導体;前述のα,β-不飽和酸のエステル、二塩基酸のジ
エステル類;マレイン酸、マレイン酸メチル、マレイン
酸ブチル、マレイン酸ジメチル、フタル酸、コハク酸、
テレフタル酸などのジカルボン酸類;エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
1、2-プロピレングリコール、1、3-プロピレングリ
コール、1、4-ブタンジオール、1、6-ヘキサンジオ
ール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、
ポリオキシエチレン化ビスフェノールA等のポリオール
化合物;p-フェニレンジイソシアネート、p-キシリレン
ジイソシアネート、1、4-テトラメチレンジイソシア
ネート等のイソシアネート類;エチルアミン、ブチルア
ミン、エチレンジアミン、1、4-ジアミノベンゼン、
1、4-ジアミノブタン、モノエタノールアミン等のア
ミン類;ジグリシジルエーテル、エチレングリコールジ
グリシジルエーテル、ビスフェノールAグリシジルエー
テル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル等のエポキ
シ化合物等が挙げられる。
【0233】(架橋剤)本発明において使用するバインダ
ー樹脂を形成する場合、必要に応じて下記に挙げるよう
な架橋剤を用いることもできる。例えば、2官能の架橋
剤として、ジビニルベンゼン、ビス(4-アクリロキシポ
リエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジ
アクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレー
ト、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,5-ペン
タンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオール
ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレー
ト、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレ
ングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコー
ルジアクリレート、ポリエチレングリコール #200、#40
0、#600 の各ジアクリレート、ジプロピレングリコール
ジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレ
ート、ポリエステル型ジアクリレート(MANDA日本
化薬)、及び以上のアクリレートをメタクリレートに変
えたもの等が挙げられる。
【0234】2官能以上の多官能の架橋剤としては、例
えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメ
チロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロ
パントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラ
アクリレート、オリゴエステルアクリレート及びそのメ
タクリレート、2,2-ビス(4-メタクリロキシ、ポリエ
トキシフェニル)プロパン、ジアリルフタレート、トリ
アリルシアヌレート、トリアリルアソシアヌレート、ト
リアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテー
ト、ジアリールクロレンデート等が挙げられる。
【0235】(重合開始剤)また、本発明において使用す
るバインダー樹脂を形成する場合には、下記に挙げるよ
うな重合開始剤を必要に応じて用いることができる。例
えば、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、
クミンパーピバレート、t-ブチルパーオキシラウレー
ト、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサ
イド、オクタノイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパー
オキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジクミル
パーオキサイド、2,2′-アゾビスイソブチロニトリ
ル、2,2′-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,
2′-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,
2′-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニト
リル)、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)3,3,5-トリ
メチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキ
シ)シクロヘキサン、1,4-ビス(t-ブチルパーオキシカ
ルボニル)シクロヘキサン、2,2-ビス(t-ブチルパーオ
キシ)オクタン、n-ブチル4,4-ビス(t-ブチルパーオキ
シ)バリレート、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタ
ン、1,3-ビス(t-ブチルパーオキシ-イソプロピル)ベ
ンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキ
シ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパー
オキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイ
ルパーオキシ)ヘキサン、ジ-t-ブチルジパーオキシイソ
フタレート、2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルパーオキシ
シクロヘキシル)プロパン、ジ-t-ブチルパーオキシα-
メチルサクシネート、ジ-t-ブチルパーオキシジメチル
グルタレート、ジ-t-ブチルパーオキシヘキサヒドロテ
レフタレート、ジ-t-ブチルパーオキシアゼラート、2,
5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、
ジエチレングリコール-ビス(t-ブチルパーオキシカーボ
ネート)、ジ-t-ブチルパーオキシトリメチルアジペー
ト、トリス(t-ブチルパーオキシ)トリアジン、ビニルト
リス(t-ブチルパーオキシ)シラン等が挙げられる。これ
らが単独或いは併用して使用できる。その使用量はモノ
マー 100 質量部に対し、0.05 質量部以上(好ましくは
0.1〜15 質量部)の濃度で用いられる。
【0236】(他の生分解性プラスチック)さらに本発明
においては、生分解性プラスチックについても好ましく
使用できる。生分解性プラスチックとしては、「エコス
ター」「エコスタープラス」(萩原工業)「バイオポー
ル」(アイ・シー・アイ・ジャパン)「アジコート」(味
の素)「プラクセル」「ポリカプロラクトン」(ダイセル
化学)「ショーレックス」「ビオノーレ」(昭和電工)
「ラクティ」(島津製作所)「レイシア」(三井化学)「ユ
ーペック」(三菱瓦斯化学)等が挙げられる。
【0237】これらのバインダー樹脂と本発明の荷電制
御剤の組合せは、バインダー樹脂の高分子の構造と荷電
制御剤のポリマー鎖の高分子構造とができるだけ類似し
ていることが好ましい。バインダー樹脂の高分子構造と
荷電制御剤のポリマー鎖の高分子構造が大きく異なると
バインダー樹脂中への荷電制御剤の分散が不十分になり
やすい。
【0238】本発明の荷電制御剤をバインダー樹脂に内
添する質量割合は、通常 0.1〜50質量%、好ましくは
0.3〜30 質量%、さらに好ましくは、0.5〜20 質量%で
ある。ここで、内添する荷電制御剤の質量割合が 0.1
質量%未満であると、帯電量が低く、50 質量%を超え
るとトナーの帯電安定性が悪くなる。
【0239】<着色剤>本発明の静電荷像現像用トナー
を構成する着色剤としては、通常、トナーを製造する際
に用いられているものであればいずれも使用でき、特に
限定されるものではない。例えば、カーボンブラック、
チタンホワイト、その他あらゆる顔料及び/または染料
を用いることができる。
【0240】例えば、本発明の静電荷像現像用トナーを
磁性カラートナーとして使用する場合には、着色剤とし
ては、例えば、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレ
クトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシッ
クレッド1、C.I.モーダントレッド 30、C.I.ダイレ
クトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッ
ドブルー9、C.I.アシッドブルー 15、C.I.ベーシッ
クブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダン
トブルー7、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシ
ックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6等があ
る。
【0241】顔料としては、黄鉛、カドミウムイエロ
ー、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナ
フトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネント
イエローNCG、タートラジンレーキ、赤口黄鉛、モリ
ブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾ
ロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッ
ド、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカル
シウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3
B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイ
オレットレーキ、紺青、コバルトブルー、アルカリブル
ーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブ
ルー、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルー
BC、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリー
ンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエロー
グリーンG等を使用することができる。
【0242】また、本発明の静電荷像現像用トナーを二
成分フルカラー用トナーとして使用する場合には、着色
剤として次の様なものを使用することができる。例え
ば、マゼンタ色トナー用の着色顔料としては、C.I.ピ
グメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、
10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、2
3、30、31、32、37、38、39、40、41、48、49、50、5
1、52、53、54、55、57、58、60、63、64、68、81、8
3、87、88、89、90、112、114、122、123、163、202、2
06、207、209、C.I.ピグメントバイオレット 19、C.
I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35 等が
挙げられる。
【0243】本発明においては、上記に挙げた顔料を単
独で使用しても構わないが、染料と顔料とを併用して、
その鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点
からより好ましい。その場合に使用し得るマゼンタ用染
料としては、C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、2
4、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121、
C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレ
ット8、13、14、21、27、C.I.ディスパースバイオレ
ット1等の油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、
9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、3
2、34、35、36、37、38、39、40、C.I.ベーシックバイ
オレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28
等の塩基性染料が挙げられる。
【0244】その他の着色顔料としては、シアン用着色
顔料としては、C.I.ピグメントブルー2、3、15、1
6、17、C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー 4
5、または、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル
基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料等が挙げら
れる。
【0245】イエロー用着色顔料としては、C.I.ピグ
メントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、
12、13、14、15、16、17、23、65、73、83、C.I.バッ
トイエロー1、3、20 等が挙げられる。
【0246】上記したような染料及び顔料は、単独で使
用してもよく、さもなければ、所望とするトナーの色調
を得るために任意に混合して使用してもよい。なお、環
境保全や人体に対する安全性などを考慮した場合には、
各種の食用色素を好適に使用できる。上記したような着
色剤のトナー中の含有量は、所望とする着色効果などに
応じて広く変更することが可能である。通常、最も良好
なトナー特性を得るため、すなわち、印字の着色力、ト
ナーの形状安定性、トナーの飛散などを考慮した場合、
これらの着色剤は、通常、バインダー樹脂 100 質量部
に対して、0.1〜60 質量部好ましくは 0.5〜20 質量部
程度の割合で使用される。
【0247】<トナーの他の成分>本発明の静電荷像現
像用トナー中には、上記したバインダー樹脂及び着色剤
成分の他に、本発明の効果に悪影響を与えない範囲で
(バインダー樹脂成分の含有量より少ない割合で)以下の
化合物を含有させてもよい。例えば、シリコーン樹脂、
ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ樹
脂、ポリビニルブチラール、ロジン、変性ロジン、テル
ペン樹脂、フェノール樹脂、低分子量ポリエチレンまた
は低分子量ポリプロピレンの如き脂肪族または脂環族炭
化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、及び、塩素化パラフィ
ン、パラフィンワックス等である。これらの中でも好ま
しく用いられるワックス類としては、具体的には、低分
子量ポリプロピレン及びこの副生成物、低分子量ポリエ
ステル及びエステル系ワックス、脂肪族の誘導体が挙げ
られる。これらのワックスから、種々の方法によりワッ
クスを分子量により分別したワックスも本発明に好まし
く用いられる。また、分別後に酸価やブロック共重合、
グラフト変性を行ってもよい。
【0248】特に、本発明の静電荷像現像用トナーにお
いては、上記したようなワックス成分を含み、しかも透
過型電子顕微鏡(TEM)を用いてトナーの断層観察を行
なった場合に、これらのワックス成分が、バインダー樹
脂中に実質的に球状及び/または紡錘形の島状に分散さ
れている場合に優れた特性のトナーとなる。
【0249】<トナーの作成方法>上記のような構成を
有する本発明の静電荷像現像用トナーを作製する具体的
な方法としては、従来公知の方法をいずれも用いること
ができる。本発明の静電荷像現像用トナーは、例えば、
下記の工程によってトナーを得る、所謂粉砕法によって
作製できる。
【0250】即ち、具体的には、先に説明した本発明の
化合物と、バインダー樹脂等の樹脂類、その他、必要に
応じて添加されるワックスを、ヘンシェルミキサー、ボ
ールミル等の混合器により充分混合してから、加熱ロー
ル、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用い
て溶融混練して樹脂類をお互いに相溶せしめた中に、着
色剤としての顔料、染料、または磁性体、必要に応じて
添加される金属化合物等の添加剤を分散または溶解せし
め、冷却固化後、ジェットミル、ボールミル等の粉砕機
により固化物を粉砕した後、分級を行って所望の粒径を
有する本発明の静電荷像現像用トナーを得ることができ
る。尚、上記分級工程においては、生産効率上、多分割
分級機を用いることが好ましい。
【0251】また、バインダー樹脂と本発明の化合物を
溶剤(トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、クロ
ロホルム、エチレンジクロライドなどのハロゲン化物、
アセトン、メチルエチルケトンなどのケトンおよびジメ
チルホルムアミドなどのアミドなど)を用い、溶液混合
し、攪拌処理後、水中に投じて再沈澱せしめ、濾過、乾
燥後、ジェットミル、ボールミル等の粉砕機により固化
物を粉砕した後、分級を行って所望の粒径を有する本発
明の静電荷像現像用トナーを得ることもできる。尚、上
記分級工程においては、生産効率上、多分割分級機を用
いることが好ましい。
【0252】また、本発明の静電荷像現像用トナーは、
下記のような所謂重合法によって作製することもでき
る。即ち、この場合には、本発明の化合物と、重合性単
量体、着色剤としての顔料、染料、または磁性体、必要
に応じて、架橋剤、重合開始剤、ワックス、その他の添
加剤等の材料を混合分散し、界面活性剤等の存在下、水
系分散媒体中で懸濁重合することにより重合性着色樹脂
粒子を合成し、得られた粒子を固液分離した後、乾燥
し、必要に応じて分級を行って本発明の静電荷像現像用
トナーを得ることができる。
【0253】さらには、荷電制御剤を含まない着色微粒
子を上記方法により調製し、次いで本発明の化合物を単
独もしくはコロイダルシリカ等の外添剤と供にメカノケ
ミカル的な方法等により粒子表面に固着添加することも
出来る。
【0254】(シリカ外添剤)本発明においては、上記の
ような方法によって作製されたトナーに、帯電安定性、
現像性、流動性、耐久性向上のため、シリカ微粉末を外
添することが好ましい。この際に用いられるシリカ微粉
末としては、BET法で測定した窒素吸着による比表面
積が 20m2/g以上(特に 30〜400m2/g)の範囲内のもの
が良好な結果を与える。この場合のシリカ微粉末の量と
しては、トナー粒子 100 質量部に対して、シリカ微粉
体を 0.01〜8質量部、好ましくは 0.1〜5質量部程度
使用することが好ましい。この際に使用するシリカ微粉
末としては、必要に応じて、疎水化及び帯電性コントロ
ールの目的で、シリコーンワニス、各種変性シリコーン
ワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイ
ル、シランカップリング剤、官能基を有するシランカッ
プリング剤、その他の有機ケイ素化合物の如き処理剤で
処理されたものを使用することが好ましい。これらの処
理剤は混合して使用してもよい。
【0255】(無機粉体)また、トナーの現像性及び耐久
性を向上させるために、次に挙げるような無機粉体を添
加することも好ましい。例えば、マグネシウム、亜鉛、
アルミニウム、セリウム、コバルト、鉄、ジルコニウ
ム、クロム、マンガン、ストロンチウム、錫、アンチモ
ンの如き金属の酸化物;チタン酸カルシウム、チタン酸
マグネシウム、チタン酸ストロンチウムの如き複合金属
酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸アル
ミニウムの如き金属塩;カオリンの如き粘土鉱物;アパ
タイトの如きリン酸化合物;炭化ケイ素、窒化ケイ素の
如きケイ素化合物;カーボンブラックやグラファイトの
如き炭素粉末が挙げられる。これらの中でも、酸化亜
鉛、酸化アルミニウム、酸化コバルト、二酸化マンガ
ン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウムの
微粉体を使用することが好ましい。
【0256】(滑剤)更に、下記に挙げるような滑剤粉末
をトナーに添加してもよい。例えば、テフロン(登録商
標)、ポリフッ化ビニリデンの如きフッ素樹脂;フッ化
カーボンの如きフッ素化合物;ステアリン酸亜鉛の如き
脂肪酸金属塩;脂肪酸、脂肪酸エステルの如き脂肪酸誘
導体;硫化モリブデン等が挙げられる。
【0257】<キャリアについて>上記のような構成を
有する本発明の静電荷像現像用トナーは、単独で非磁性
一成分現像剤として使用されたり、磁性キャリアととも
に磁性二成分現像剤を構成したりする非磁性トナーや、
単独で磁性一成分トナーとして使用される磁性トナー等
の、従来公知の種々のトナーに適用することができる。
ここで二成分現像方法に用いる場合のキャリアとして
は、従来知られているものをいずれも使用することがで
きる。具体的には、表面酸化または未酸化の鉄、ニッケ
ル、コバルト、マンガン、クロム、希土類の如き金属及
びそれらの合金または酸化物で形成される平均粒径 20
〜300μmの粒子を、キャリア粒子として使用できる。
また、本発明において用いるキャリアは、上記したキャ
リア粒子の表面が、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、
シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル樹脂の
如き物質によって付着または被覆されているものである
ことが好ましい。
【0258】<磁性トナー>本発明の静電荷像現像用ト
ナーは、磁性材料をトナー粒子中ら含有させ磁性トナー
としてもよい。この場合には、磁性材料に、着色剤の役
割を兼ねさせることもできる。この際に使用される磁性
材料としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト
の如き酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルのような金属或
いはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、
マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、
ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレ
ン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属と
の合金及びその混合物が挙げられる。本発明において用
いることのできるこれらの磁性材料としては、平均粒子
径が2μm以下、好ましくは 0.1〜0.5μm程度のもの
が好ましい。トナー中に含有させる量としては、バイン
ダー樹脂 100 質量部に対し 20〜200 質量部、特に好ま
しくは、バインダー樹脂 100 質量部に対して 40〜150
質量部とすることが好ましい。
【0259】更に、高画質化を達成するためには、より
微小な潜像ドットを忠実に現像することを可能にする必
要があり、そのためには、例えば、本発明の静電荷像現
像用トナー粒子の重量平均径が4μm〜9μmの範囲内
となるように調整することが好ましい。即ち、重量平均
径が4μm未満のトナー粒子では、転写効率の低下が生
じ、感光体上に転写残トナーが多く残り易く、カブリ・
転写不良に基づく画像の不均一ムラの原因となり易く、
好ましくない。また、トナー粒子の重量平均径が9μm
を超える場合には、文字やライン画像の飛び散りが生じ
易い。
【0260】本発明において、トナーの平均粒径及び粒
度分布は、コールターカウンターTA-II型或いはコー
ルターマルチサイザー(コールター社製)等を用い、個数
分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)
及びPC-9801 パーソナルコンピューター(NEC製)を
接続して測定した。その際に使用する電解液として、1
級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製す
る。電解液としては、例えば、市販の ISOTON R-II(コ
ールターサイエンティフィックジャパン社製)を使用す
ることもできる。具体的な測定法としては、上記電解水
溶液 100〜150mL中に、分散剤として界面活性剤(好ま
しくは、アルキルベンゼンスルフォン酸塩を使用する)
を 0.1〜5mL加え、更に、測定試料を2〜20mg加えて
測定用試料とする。測定の際には、この測定試料が懸濁
された電解液を超音波分散器で約1〜3分間分散処理を
行った後、前記コールターカウンターTA-II型により
アパーチャーとして 100μmアパーチャーを用いて、2
μm以上のトナーの体積、個数を測定し、体積分布と個
数分布とを算出した。それから、本発明に係わる体積分
布から求めた体積基準の重量平均粒径(D4)、個数分布
から求めた個数基準の長さ平均粒径(D1)を求めた。
【0261】<帯電量>また、本発明の静電荷像現像用
トナーは、単位質量あたりの帯電量(二成分法)が+10〜
+80μC/g、より好ましくは+15〜+70μC/gであるこ
とが、電圧を印加した転写部材を用いる転写方法におい
て転写効率を向上させる上で好ましい。
【0262】本発明において使用した二成分法による帯
電量(二成分トリボ)の測定法を以下に示す。測定には、
図13 に示した帯電量測定装置を使用した。先ず、一定
環境下、キャリアとしてEFV 200 / 300(パウダーテ
ック社製)を用い、該キャリア9.5g に対して、測定対象
のトナー 0.5g を加えた混合物を、50〜100mL容量のポ
リエチレン製の瓶に入れ、振幅を一定にした振とう機に
設置して、振とう条件を、振幅 100mm、振とう速度1
分間 100回往復に設定し、一定時間振とうする。次い
で、図13 に示した帯電量測定装置の、底に 500 メッシ
ュのスクリーン 43 のある金属製の測定容器 42 に、前
記混合物 1.0〜1.2g を入れて、金属製のフタ 44 をす
る。この時の測定容器 42 全体の質量をはかりW1(g)
とする。次に、不図示の吸引機(測定容器 22 と接する
部分は少なくとも絶縁体)で吸引口 47 から吸引し、風
量調節弁 46 を調節して真空計 45 の圧力が 2450 Pa
(250mmAq)になるようにする。この状態で一分間吸引
を行って、トナーを吸引除去する。この時の電位計 49
の電位をV(ボルト)とする。ここで 48 はコンデンサー
であり容量をC(μF)とする。また、吸引後の測定機全
体の質量を秤かりW2(g)とする。トナーの摩擦帯電量
(μC/g)は、これらの測定値から、下式によって計算さ
れる。 摩擦帯電量(μC/g)=C×V/(W1-W2) <バインダー樹脂の分子量分布>また、本発明の静電荷
像現像用トナーの構成材料に用いられるバインダー樹脂
としては、特に、粉砕法で作製した場合に、GPCによ
る分子量分布において、低分子量領域におけるピークが
3,000〜15,000 の範囲にあるようにすることが好まし
い。即ち、低分子量領域におけるGPCピークが 15,00
0 を超えると、転写効率の向上が充分なものが得られ難
くなる場合がある。また、低分子量領域におけるGPC
ピークが 3000 未満のバインダー樹脂を用いると、表面
処理時に融着を生じ易くなるので、好ましくない。
【0263】本発明において、バインダー樹脂の分子量
は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)
により測定した。具体的なGPCの測定方法としては、
予めトナーをTHF(テトラヒドロフラン)溶剤でソック
スレー抽出器を用いて 20時間抽出を行ったサンプルを
測定用に用い、カラム構成は、昭和電工製A-801、80
2、803、804、805、806、807 を連結し標準ポリスチレ
ン樹脂の検量線を用い分子量分布を測定した。また、本
発明においては、上記のようにして測定した重量平均分
子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比率(Mw/Mn)
が、2〜100 の範囲内にあるバインダー樹脂を使用する
ことが好ましい。
【0264】<トナーのガラス転移点>更に、本発明の
トナーは、適宜な材料を用いることによって、定着性、
保存性の観点から、そのガラス転移点Tgが、40℃〜75
℃、更に好ましくは、52℃〜70℃となるように調製され
ることが好ましい。この場合におけるガラス転移点Tg
の測定には、例えば、パーキンエルマー社製のDSC-
7のような高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計
を用いて測定を行えばよい。測定方法としては、AST
M D 3418-82 に準じて行う。本発明においては、ガラ
ス転移点Tgを測定する場合に、測定試料を1回昇温し
て全履歴をとった後、急冷し、再度、温度速度 10℃/m
in、温度0〜200℃の範囲で昇温させたときに測定され
るDSC曲線を用いるとよい。
【0265】<画像形成方法>上記で説明した構成を有
する本発明の静電荷現像用トナーは、少なくとも、外部
より帯電部材に電圧を印加して、静電潜像担持体に帯電
を行う帯電工程と、帯電された静電潜像担持体に静電荷
像を形成する工程と、該静電荷像をトナーにより現像し
てトナー像を静電潜像担持体上に形成する現像工程と、
静電潜像担持体上のトナー像を被記録材へ転写する転写
工程と、被記録材上のトナー像を加熱定着する加熱定着
工程とを有する画像形成方法、或いは、転写工程が、静
電潜像担持体上のトナー像を中間の転写体に転写する第
1の転写工程と、該中間の転写体上のトナー像を被記録
材に転写する第2の転写工程とからなる画像形成方法に
適用することが特に好ましい。
【0266】
【実施例】以下に、実施例を挙げて、本発明をより具体
的に説明する。これら実施例は、本発明の最良の実施形
態の一例ではあるものの、本発明は、これら実施例によ
り限定されうるものではない。
【0267】まず、以下の実施例1〜9には、原料の5
-(フェニルスルファニル)吉草酸を含む培地中でPHA
生産菌を培養し、その後、PHA生産菌が生産したPH
Aに対して、過酸化化合物による酸化処理を施すことに
よって、3-ヒドロキシ-5-(フェニルスルフィニル)吉
草酸ユニットならびに3-ヒドロキシ-5-(フェニルスル
ホニル)吉草酸ユニットのうち、少なくとも1種類をポ
リマー分子中に含むPHA、あるいは、前記の二種のユ
ニットに加えて、3-ヒドロキシ-5-(フェニルスルファ
ニル)吉草酸ユニットをも含むPHAを製造した例を示
す。
【0268】(実施例1)500mL容振とうフラスコに、市
販のポリペプトン(販売元:和光純薬工業)0.5%及び5-
(フェニルスルファニル)吉草酸 0.1%を含むM9培地 2
00mLを入れ、寒天プレート上に種菌を播種し、培養し
て得られたYN2株のコロニーを植菌し、30℃、24時間
培養した。培養後、遠心分離により菌体を収穫した。残
留する培地成分を除去するため、収穫した菌体を 40mL
の脱イオン水に懸濁して、再度遠心分離により、洗浄さ
れた菌体を回収した。
【0269】回収した菌体を、市販の過酸化水素水(三
菱瓦斯化学(株)製、31%過酸化水素含有、JIS K-823
0 規格品)50mLに再懸濁し、200mLのなす形フラスコに
移して、オイルバス上、100℃、1時間反応させた。反
応終了後、室温まで冷却し、固形成分のPHAを遠心分
離した。分離した後、PHAを蒸留水に再懸濁し、再度
遠心分離を行って、残留している過酸化水素水を洗浄し
た。更に、この洗浄操作を2回繰り返した。その後、洗
浄済みのPHAポリマーを減圧乾燥し、乾燥重量(回収
量)を秤量した。
【0270】得られたPHAサンプルの平均分子量は、
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)
により測定した。GPCの条件は、 装置:東ソーHLC-8020 ; カラム:ポリマーラボラトリー PLgel MIXED-C
(5μm)×2本; 移動層溶媒: 0.1質量%LiBr含有DMF; ポリスチ
レン換算分子量 である。
【0271】また、サンプル中に含まれるPHAの構造
は、プロトン-核磁気共鳴装置(1H-NMR)により行っ
た。この1H-NMRの測定条件は、 装置:Bruker DPX 400 FT-NMR;1 H共鳴周波数: 400MHz; 測定核種:1H; 使用溶媒:CDCl3; reference:キャピラリ封入TMS/CDCl3; 測定温度:室温 である。
【0272】(実施例2)実施例1と同様の培養方法で得
られたYN2株の培養菌体に、同様の水洗浄処理を施
し、菌体を回収した。この水洗浄菌体を、25mLの脱イ
オン水に懸濁し、更に、実施例1で用いたと同規格の過
酸化水素水を 25mL加えて、200mLのなす形フラスコに
移し、オイルバス上、100℃、1時間反応させた。反応
終了後、室温まで冷却し、固形成分のPHAを遠心分離
した。分離した後、PHAを蒸留水に再懸濁し、再度遠
心分離を行って、残余する過酸化水素水を洗浄した。更
に、この洗浄操作を2回繰り返した。その後、得られた
PHAポリマーを減圧乾燥し、乾燥重量(回収量)を秤量
した。この過酸化水素水処理条件で得られたPHAサン
プルの平均分子量、ならびにその構造は、実施例1に記
載される条件で、それぞれGPCと1H-NMRにより解
析した。
【0273】(実施例3)実施例1と同様の培養方法で得
られたYN2株の培養菌体に、同様の水洗浄処理を施
し、菌体を回収した。この水洗浄菌体を、30mLの脱イ
オン水に懸濁し、更に、実施例1で用いたと同規格の過
酸化水素水を 10mL加えて、200mLのなす形フラスコに
移し、オイルバス上、100℃、1時間反応させた。反応
終了後、室温まで冷却し、固形成分のPHAを遠心分離
した。分離した後、PHAを蒸留水に再懸濁し、再度遠
心分離を行って、残余する過酸化水素水を洗浄した。更
に、この洗浄操作を2回繰り返した。その後、得られた
PHAポリマーを減圧乾燥し、乾燥重量(回収量)を秤量
した。この過酸化水素水処理条件で得られたPHAサン
プルの平均分子量、ならびにその構造は、実施例1に記
載される条件で、それぞれGPCと1H-NMRにより解
析した。
【0274】(実施例4)実施例1と同様の培養方法で得
られたYN2株の培養菌体に、同様の水洗浄処理を施
し、菌体を回収した。この水洗浄菌体を、45mLの脱イ
オン水に懸濁し、更に、実施例1で用いたと同規格の過
酸化水素水を5mL加えて、200mLのなす形フラスコに
移し、オイルバス上、100℃、1時間反応させた。反応
終了後、室温まで冷却し、固形成分のPHAを遠心分離
した。分離した後、PHAを蒸留水に再懸濁し、再度遠
心分離を行って、残余する過酸化水素水を洗浄した。更
に、この洗浄操作を2回繰り返した。その後、得られた
PHAポリマーを減圧乾燥し、乾燥重量(回収量)を秤量
した。この過酸化水素水処理条件で得られたPHAサン
プルの平均分子量、ならびにその構造は、実施例1に記
載される条件で、それぞれGPCと1H-NMRにより解
析した。
【0275】(実施例5)実施例1と同様の培養方法で得
られたYN2株の培養菌体に、同様の水洗浄処理を施
し、菌体を回収した。この水洗浄菌体を、実施例1で用
いたと同規格の過酸化水素水 50mLに懸濁して、200mL
のなす形フラスコに移し、オイルバス上、100℃、1時
間反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、固形成分
のPHAを遠心分離した。分離した後、PHAを蒸留水
に再懸濁し、再度遠心分離を行って、残余する過酸化水
素水を洗浄した。更に、この洗浄操作を2回繰り返し
た。その後、得られたPHAポリマーを減圧乾燥し、乾
燥重量(回収量)を秤量した。この過酸化水素水処理条件
で得られたPHAサンプルの平均分子量、ならびにその
構造は、実施例1に記載される条件で、それぞれGPC
1H-NMRにより解析した。
【0276】(実施例6)実施例1と同様の培養方法で得
られたYN2株の培養菌体に、同様の水洗浄処理を施
し、菌体を回収した。残留する水分を除くため、この水
洗浄菌体を、40mLのメタノールに再懸濁し、遠心分離
によって菌体を回収した。その後、室温で減圧乾燥し
た。
【0277】菌体中に蓄積されているPHAを抽出分離
するため、得られた乾燥菌体を 30mLのクロロホルムに
懸濁し、50℃で 20時間攪拌した。攪拌終了後、クロロ
ホルム不溶成分をろ過により除去し、抽出されたPHA
を溶解する濾液を回収した。このPHAのクロロホルム
溶液をロータリーエバポレーターにて濃縮した。クロロ
ホルム濃縮溶液を、氷冷したメタノールに滴下し、PH
Aを沈澱物として析出させ、回収した。同様の操作で、
更に培地 400mL分の培養菌体から回収されたPHAと
合わせて、以下のメタクロロ過安息香酸(MCPBA)を
用いる酸化処理を施した。
【0278】抽出分離したPHA 205mgを、クロロホ
ルム 10mLに溶解し、氷冷した。氷冷下、この溶液にク
ロロホルム 20mLに溶解した 242mgのMCPBA(キシ
ダ化学)を滴下し、引き続き氷浴上で 75分攪拌した。反
応終了後、炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和した
後、さらに 50mLクロロホルムを加えて、有機相を分液
した。分液した有機相を、無水硫酸マグネシウムにより
脱水して、溶媒留去後、真空乾燥した。回収されたPH
Aの乾燥重量(回収量)を秤量した。このMCPBA処理
条件で得られたPHAサンプルの平均分子量、ならびに
その構造は、実施例1に記載される条件で、それぞれG
PCと1H-NMRにより解析した。
【0279】(実施例7)500mL容振とうフラスコに、市
販の酵母エキス(DIFCO)0.5%及び5-(フェニルス
ルファニル)吉草酸 0.1%を含むM9培地 200mLを入
れ、寒天プレート上に種菌を播種し、培養して得られた
H45株のコロニーを植菌し、30℃、30時間培養した。培
養後、遠心分離により菌体を収穫した。残留する培地成
分を除去するため、収穫した菌体を 40mLの脱イオン水
に懸濁して、再度遠心分離により、洗浄された菌体を回
収した。
【0280】回収した菌体を、市販の過酸化水素水(三
菱瓦斯化学(株)製、31%過酸化水素含有、JIS K-823
0 規格品)50mLに再懸濁し、200mLのなす形フラスコに
移して、オイルバス上、100℃、1時間反応させた。反
応終了後、室温まで冷却し、固形成分のPHAを遠心分
離した。分離した後、PHAを蒸留水に再懸濁し、再度
遠心分離を行って、残留している過酸化水素水を洗浄し
た。更に、この洗浄操作を2回繰り返した。その後、洗
浄済みのPHAポリマーを減圧乾燥し、乾燥重量(回収
量)を秤量した。この過酸化水素水処理条件で得られた
PHAサンプルの平均分子量、ならびにその構造は、実
施例1に記載される条件で、それぞれGPCと1H-NM
Rにより解析した。
【0281】(実施例8)500mL容振とうフラスコに、市
販のD-グルコース(キシダ化学)0.5%及び5-(フェニル
スルファニル)吉草酸 0.1%を含むM9培地 200mLを入
れ、寒天プレート上に種菌を播種し、培養して得られた
H45株のコロニーを植菌し、30℃、30時間培養した。培
養後、遠心分離により菌体を収穫した。次いで、500mL
容振とうフラスコに、市販のD-グルコース(キシダ化
学)0.5%及び5-(フェニルスルファニル)吉草酸 0.1%
を含み、無機窒素源のNH4Clを全く含まないM9培地
200mLを入れ、この培地に収穫した菌体を再懸濁し、3
0℃、30時間培養した。培養後、再度、遠心分離により
菌体を収穫した。残留する培地成分を除去するため、収
穫した菌体を 40mLの脱イオン水に懸濁して、遠心分離
により、洗浄された菌体を回収した。
【0282】回収した菌体を、市販の過酸化水素水(三
菱瓦斯化学(株)製、31%過酸化水素含有、JIS K-823
0 規格品)50mLに再懸濁し、200mLのなす形フラスコに
移して、オイルバス上、100℃、1時間反応させた。反
応終了後、室温まで冷却し、固形成分のPHAを遠心分
離した。分離した後、PHAを蒸留水に再懸濁し、再度
遠心分離を行って、残留している過酸化水素水を洗浄し
た。更に、この洗浄操作を2回繰り返した。その後、洗
浄済みのPHAポリマーを減圧乾燥し、乾燥重量(回収
量)を秤量した。この過酸化水素水処理条件で得られた
PHAサンプルの平均分子量、ならびにその構造は、実
施例1に記載される条件で、それぞれGPCと1H-NM
Rにより解析した。
【0283】(実施例9)500mL容振とうフラスコに、市
販のグリセロール(キシダ化学)0.5%及び5-(フェニル
スルファニル)吉草酸 0.1%を含むM9培地 200mLを入
れ、寒天プレート上に種菌を播種し、培養して得られた
H45株のコロニーを植菌し、30℃、30時間培養した。培
養後、遠心分離により菌体を収穫した。次いで、500mL
容振とうフラスコに、市販のグリセロール(キシダ化学)
0.5%及び5-(フェニルスルファニル)吉草酸 0.1%を含
み、無機窒素源のNH4Clを全く含まないM9培地 200
mLを入れ、この培地に収穫した菌体を再懸濁し、30
℃、30時間培養した。培養後、再度、遠心分離により菌
体を収穫した。残留する培地成分を除去するため、収穫
した菌体を 40mLの脱イオン水に懸濁して、遠心分離に
より、洗浄された菌体を回収した。
【0284】回収した菌体を、市販の過酸化水素水(三
菱瓦斯化学(株)製、31%過酸化水素含有、JIS K-823
0 規格品)50mLに再懸濁し、200mLのなす形フラスコに
移して、オイルバス上、100℃、1時間反応させた。反
応終了後、室温まで冷却し、固形成分のPHAを遠心分
離した。分離した後、PHAを蒸留水に再懸濁し、再度
遠心分離を行って、残留している過酸化水素水を洗浄し
た。更に、この洗浄操作を2回繰り返した。その後、洗
浄済みのPHAポリマーを減圧乾燥し、乾燥重量(回収
量)を秤量した。この過酸化水素水処理条件で得られた
PHAサンプルの平均分子量、ならびにその構造は、実
施例1に記載される条件で、それぞれGPCと1H-NM
Rにより解析した。
【0285】表1に、上記実施例1〜9において、作製
されたPHAサンプルの回収量(乾燥重量)及び分子量を
併せて示す。
【0286】
【表1】
【0287】表2に、実施例1〜9において作製された
PHAサンプルの、1H-NMRによる解析結果から算出
される、以下に示す化学式(6)、(7)、(8)の各ユニッ
トの含有比を示す。
【0288】
【化80】
【0289】
【化81】
【0290】
【化82】
【0291】
【表2】
【0292】各ユニットの含有比は、側鎖に芳香環を有
するユニットの全体(モル数)を 100モル%とした際の、
各ユニットの含有量(モル数)をパーセント表示したもの
である。
【0293】また、過酸化水素による酸化条件が異な
る、実施例1〜6まで作製される各PHAサンプルの1
H-NMRスペクトルを、それぞれ図1〜図6に示す(実
施例1:図1;実施例2:図2;実施例3:図3;実施例
4:図4;実施例5:図5;実施例6:図6)。特に、上記
化学式(6)、(7)、(8)の3ユニットが、ともに含まれ
ている実施例3で得られたPHAサンプルの1H-NMR
スペクトルについて、各スペクトル線に関して、下記す
る式(24)上に付記して示す、炭素位置と対応した帰属を
併せて記す。
【0294】
【化83】
【0295】加えて、上記実施例1〜9において得られ
たPHAポリマーは、上記化学式(6)、(7)、(8)で示
されるユニット以外に、下記一般式(4)で示される直鎖
の3-ヒドロキシアルカノエートユニットならびに一般
式(5)で示される直鎖の3-ヒドロキシアルケノエート
ユニットをも含んでおり、この一般式(4)ならびに一般
式(5)のユニットの総和が、全ユニット中に占める割合
(モル%)は、それぞれ、実施例1:7モル%,実施例2:
10 モル%,実施例3: 12 モル%,実施例4: 13モル%,
実施例5:7モル%,実施例6:9モル%,実施例7:6モ
ル%,実施例8:8モル%,実施例9:7モル%であった。
【0296】
【化84】
【0297】(式中、yは、0〜8から選ばれた整数であ
り、ユニット毎に違う値をとり得る。)
【0298】
【化85】
【0299】(式中、3および5から選ばれた整数であ
り、ユニット毎に違う値をとり得る。)次に、以下の実
施例10〜14 には、原料の4-(フェニルスルファニル)酪
酸を含む培地中でPHA生産菌を培養し、その後、PH
A生産菌が生産したPHAに対して、過酸化化合物によ
る酸化処理を施すことによって、3-ヒドロキシ-4-(フ
ェニルスルフィニル)酪酸ユニットならびに3-ヒドロキ
シ-4-(フェニルスルホニル)酪酸ユニットのうち、少な
くとも1種類をポリマー分子中に含むPHA、あるい
は、前記の二種のユニットに加えて、3-ヒドロキシ-4
-(フェニルスルファニル)酪酸ユニットをも含むPHA
を製造した例を示す。
【0300】(実施例10)500mL容振とうフラスコに、市
販のD-グルコース(キシダ化学)0.5%及び4-(フェニル
スルファニル)酪酸 0.1%を含むM9培地 200mLを入
れ、寒天プレート上に種菌を播種し、培養して得られた
YN2株のコロニーを植菌し、30℃、48時間培養した。
培養後、遠心分離により菌体を収穫した。次いで、500
mL容振とうフラスコに、市販のD-グルコース(キシダ
化学)0.5%及び4-(フェニルスルファニル)酪酸 0.1%
を含み、無機窒素源のNH4Clを全く含まないM9培地
200mLを入れ、この培地に収穫した菌体を再懸濁し、3
0℃、48時間培養した。培養後、再度、遠心分離により
菌体を収穫した。残留する培地成分を除去するため、収
穫した菌体を 40mLの脱イオン水に懸濁して、遠心分離
により、洗浄された菌体を回収した。
【0301】回収した菌体を、市販の過酸化水素水(三
菱瓦斯化学(株)製、31%過酸化水素含有、JIS K-823
0 規格品)50mLに再懸濁し、200mLのなす形フラスコに
移して、オイルバス上、100℃、1時間反応させた。反
応終了後、室温まで冷却し、固形成分のPHAを遠心分
離した。分離した後、PHAを蒸留水に再懸濁し、再度
遠心分離を行って、残留している過酸化水素水を洗浄し
た。更に、この洗浄操作を2回繰り返した。その後、洗
浄済みのPHAポリマーを減圧乾燥し、乾燥重量(回収
量)を秤量した。この過酸化水素水処理条件で得られた
PHAサンプルの平均分子量、ならびにその構造は、実
施例1に記載される条件で、それぞれGPCと1H-NM
Rにより解析した。
【0302】(実施例11)500mL容振とうフラスコに、市
販のポリペプトン(和光純薬工業)0.5%及び4-(フェニ
ルスルファニル)酪酸 0.1%を含むM9培地 200mLを入
れ、寒天プレート上に種菌を播種し、培養して得られた
YN2株のコロニーを植菌し、30℃、48時間培養した。
培養後、遠心分離により菌体を収穫した。次いで、500
mL容振とうフラスコに、市販のピルビン酸ナトリウム
(キシダ化学)0.5%及び4-(フェニルスルファニル)酪酸
0.1%を含み、無機窒素源のNH4Clを全く含まないM
9培地 200mLを入れ、この培地に収穫した菌体を再懸
濁し、30℃、48時間培養した。培養後、再度、遠心分離
により菌体を収穫した。残留する培地成分を除去するた
め、収穫した菌体を 40mLの脱イオン水に懸濁して、遠
心分離により、洗浄された菌体を回収した。
【0303】回収した菌体を、市販の過酸化水素水(三
菱瓦斯化学(株)製、31%過酸化水素含有、JIS K-823
0 規格品)50mLに再懸濁し、200mLのなす形フラスコに
移して、オイルバス上、100℃、1時間反応させた。反
応終了後、室温まで冷却し、固形成分のPHAを遠心分
離した。分離した後、PHAを蒸留水に再懸濁し、再度
遠心分離を行って、残留している過酸化水素水を洗浄し
た。更に、この洗浄操作を2回繰り返した。その後、洗
浄済みのPHAポリマーを減圧乾燥し、乾燥重量(回収
量)を秤量した。この過酸化水素水処理条件で得られた
PHAサンプルの平均分子量、ならびにその構造は、実
施例1に記載される条件で、それぞれGPCと1H-NM
Rにより解析した。
【0304】(実施例12)実施例10 と同様の培養方法で
得られたYN2株の培養菌体に、同様の水洗浄処理を施
し、菌体を回収した。この水洗浄菌体の細胞を、40mL
の脱イオン水に懸濁し、フレンチプレス(大岳製作所社
製:フレンチプレス 5501)により菌体の破砕を行った。
この細胞破砕物を、4℃、29400m/s2(=3000G)で 30分
間遠心分離し、不溶画分の分離を行った。その後、残余
する可溶性成分の洗浄除去のため、不溶画分に蒸留水 4
0mLを加え、4℃、29400m/s2(=3000G)で 30分間再度
遠心分離を行って、洗浄済みPHAを回収した。
【0305】得られたPHA粗製サンプルを脱イオン水
45mLに懸濁し、実施例1に記載する過酸化水素水5m
Lを加えて、100℃で1時間処理を行った。反応終了後、
室温まで冷却し、固形成分のPHAを遠心分離した。分
離した後、PHAを蒸留水に再懸濁し、再度遠心分離を
行って、残留している過酸化水素水を洗浄した。更に、
この洗浄操作を2回繰り返した。その後、洗浄済みのP
HAポリマーを減圧乾燥し、乾燥重量(回収量)を秤量し
た。この過酸化水素水処理条件で得られたPHAサンプ
ルの平均分子量、ならびにその構造は、実施例1に記載
される条件で、それぞれGPCと1H-NMRにより解析
した。
【0306】(実施例13)500mL容振とうフラスコに、市
販のn-ノナン酸(キシダ化学) 0.1%及び4-(フェニルス
ルファニル)酪酸 0.1%を含むM9培地 200mLを入れ、
寒天プレート上に種菌を播種し、培養して得られたYN
2株のコロニーを植菌し、30℃、48時間培養した。培養
後、遠心分離により菌体を収穫した。残留する培地成分
を除去するため、収穫した菌体を 40mLの脱イオン水に
懸濁して、再度遠心分離により、洗浄された菌体を回収
した。
【0307】回収した菌体を、市販の過酸化水素水(三
菱瓦斯化学(株)製、31%過酸化水素含有、JIS K-823
0 規格品)50mLに再懸濁し、200mLのなす形フラスコに
移して、オイルバス上、100℃、1時間反応させた。反
応終了後、室温まで冷却し、固形成分のPHAを遠心分
離した。分離した後、PHAを蒸留水に再懸濁し、再度
遠心分離を行って、残留している過酸化水素水を洗浄し
た。更に、この洗浄操作を2回繰り返した。その後、洗
浄済みのPHAポリマーを減圧乾燥し、乾燥重量(回収
量)を秤量した。この過酸化水素水処理条件で得られた
PHAサンプルの平均分子量、ならびにその構造は、実
施例1に記載される条件で、それぞれGPCと1H-NM
Rにより解析した。
【0308】(実施例14)500mL容振とうフラスコに、市
販のグルタミン酸ナトリウム0.5%及び4-(フェニルス
ルファニル)酪酸 0.1%を含むM9培地 200mLを入れ、
寒天プレート上に種菌を播種し、培養して得られたYN
2株のコロニーを植菌し、30℃、48時間培養した。培養
後、遠心分離により菌体を収穫した。残留する培地成分
を除去するため、収穫した菌体を 40mLの脱イオン水に
懸濁して、再度遠心分離により、洗浄された菌体を回収
した。
【0309】回収した菌体を、市販の過酸化水素水(三
菱瓦斯化学(株)製、31%過酸化水素含有、JIS K-823
0 規格品)50mLに再懸濁し、200mLのなす形フラスコに
移して、オイルバス上、100℃、1時間反応させた。反
応終了後、室温まで冷却し、固形成分のPHAを遠心分
離した。分離した後、PHAを蒸留水に再懸濁し、再度
遠心分離を行って、残留している過酸化水素水を洗浄し
た。更に、この洗浄操作を2回繰り返した。その後、洗
浄済みのPHAポリマーを減圧乾燥し、乾燥重量(回収
量)を秤量した。この過酸化水素水処理条件で得られた
PHAサンプルの平均分子量、ならびにその構造は、実
施例1に記載される条件で、それぞれGPCと1H-NM
Rにより解析した。
【0310】表3に、上記実施例10〜14 において、作
製されたPHAサンプルの回収量(乾燥重量)及び分子量
を併せて示す。
【0311】
【表3】
【0312】表4に、実施例10〜14 において作製され
たPHAサンプルの、1H-NMRによる解析結果から算
出される、以下に示す化学式(9)、(10)、(11)の各ユニ
ットの含有比を示す。
【0313】
【化86】
【0314】
【化87】
【0315】
【化88】
【0316】
【表4】
【0317】各ユニットの含有比は、側鎖に芳香環を有
するユニットの全体(モル数)を 100モル%とした際の、
各ユニットの含有量(モル数)をパーセント表示したもの
である。
【0318】加えて、上記実施例 10〜13 において得ら
れたPHAポリマーは、上記化学式(9)、(10)、(11)で
示されるユニット以外に、下記一般式(4)で示される直
鎖の3-ヒドロキシアルカノエートユニットならびに一
般式(5)で示される直鎖の3-ヒドロキシアルケノエー
トユニットをも含んでおり、この一般式(4)ならびに一
般式(5)のユニットの総和が、全ユニット中に占める割
合(モル%)は、それぞれ、実施例10:14 モル%,実施例
11 :7モル%,実施例12 :8モル%,実施例13:92モル
%,実施例14 :5モル%であった。
【0319】
【化89】
【0320】(式中、yは、0〜8から選ばれた整数であ
り、ユニット毎に違う値をとり得る。)
【0321】
【化90】
【0322】(式中、zは、3および5からから選ばれた
整数であり、ユニット毎に違う値をとり得る。) 更に、以下の実施例15〜18 には、原料の5-[(4-フル
オロフェニル)スルファニル]吉草酸を含む培地中でPH
A生産菌を培養し、その後、PHA生産菌が生産したP
HAに対して、過酸化化合物による酸化処理を施すこと
によって、3-ヒドロキシ-5-[(4-フルオロフェニル)
スルフィニル]吉草酸ユニットならびに3-ヒドロキシ-
5-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]吉草酸ユニット
のうち、少なくとも1種類をポリマー分子中に含むPH
A、あるいは、前記の二種のユニットに加えて、3-ヒ
ドロキシ-5-[(4-フルオロフェニル)スルファニル]吉
草酸ユニットをも含むPHAを製造した例を示す。
【0323】(実施例15)500mL容振とうフラスコに、市
販のポリペプトン(販売元:和光純薬工業)0.5%及び5-
[(4-フルオロフェニル)スルファニル]吉草酸 0.1%を
含むM9培地 200mLを入れ、寒天プレート上に種菌を
播種し、培養して得られたYN2株のコロニーを植菌
し、30℃、24時間培養した。培養後、遠心分離により菌
体を収穫した。残留する培地成分を除去するため、収穫
した菌体を 40mLの脱イオン水に懸濁して、再度遠心分
離により、洗浄された菌体を回収した。
【0324】回収した菌体を、市販の過酸化水素水(三
菱瓦斯化学(株)製、31%過酸化水素含有、JIS K-823
0 規格品)50mLに再懸濁し、200mLのなす形フラスコに
移して、オイルバス上、100℃、1時間反応させた。反
応終了後、室温まで冷却し、固形成分のPHAを遠心分
離した。分離した後、PHAを蒸留水に再懸濁し、再度
遠心分離を行って、残留している過酸化水素水を洗浄し
た。更に、この洗浄操作を2回繰り返した。その後、洗
浄済みのPHAポリマーを減圧乾燥し、乾燥重量(回収
量)を秤量した。この過酸化水素水処理条件で得られた
PHAサンプルの平均分子量、ならびにその構造は、実
施例1に記載される条件で、それぞれGPCと1H-NM
Rにより解析した。
【0325】(実施例16)500mL容振とうフラスコに、市
販のポリペプトン(販売元:和光純薬工業)0.5%及び5-
[(4-フルオロフェニル)スルファニル]吉草酸 0.1%を
含むM9培地 200mLを入れ、寒天プレート上に種菌を
播種し、培養して得られたH45株のコロニーを植菌し、
30℃、24時間培養した。培養後、遠心分離により菌体を
収穫した。残留する培地成分を除去するため、収穫した
菌体を 40mLの脱イオン水に懸濁して、再度遠心分離に
より、洗浄された菌体を回収した。
【0326】回収した菌体を、市販の過酸化水素水(三
菱瓦斯化学(株)製、31%過酸化水素含有、JIS K-823
0 規格品)50mLに再懸濁し、200mLのなす形フラスコに
移して、オイルバス上、100℃、1時間反応させた。反
応終了後、室温まで冷却し、固形成分のPHAを遠心分
離した。分離した後、PHAを蒸留水に再懸濁し、再度
遠心分離を行って、残留している過酸化水素水を洗浄し
た。更に、この洗浄操作を2回繰り返した。その後、洗
浄済みのPHAポリマーを減圧乾燥し、乾燥重量(回収
量)を秤量した。この過酸化水素水処理条件で得られた
PHAサンプルの平均分子量、ならびにその構造は、実
施例1に記載される条件で、それぞれGPCと1H-NM
Rにより解析した。
【0327】(実施例17)500mL容振とうフラスコに、市
販のポリペプトン(販売元:和光純薬工業)0.5%及び5-
[(4-フルオロフェニル)スルファニル]吉草酸 0.1%を
含むM9培地 200mLを入れ、寒天プレート上に種菌を
播種し、培養して得られたP161株のコロニーを植菌
し、30℃、24時間培養した。培養後、遠心分離により菌
体を収穫した。残留する培地成分を除去するため、収穫
した菌体を 40mLの脱イオン水に懸濁して、再度遠心分
離により、洗浄された菌体を回収した。
【0328】回収した菌体を、市販の過酸化水素水(三
菱瓦斯化学(株)製、31%過酸化水素含有、JIS K-823
0 規格品)50mLに再懸濁し、200mLのなす形フラスコに
移して、オイルバス上、100℃、1時間反応させた。反
応終了後、室温まで冷却し、固形成分のPHAを遠心分
離した。分離した後、PHAを蒸留水に再懸濁し、再度
遠心分離を行って、残留している過酸化水素水を洗浄し
た。更に、この洗浄操作を2回繰り返した。その後、洗
浄済みのPHAポリマーを減圧乾燥し、乾燥重量(回収
量)を秤量した。この過酸化水素水処理条件で得られた
PHAサンプルの平均分子量、ならびにその構造は、実
施例1に記載される条件で、それぞれGPCと1H-NM
Rにより解析した。
【0329】(実施例18)実施例15 と同様の培養方法で
得られたYN2株の培養菌体に、同様の水洗浄処理を施
し、菌体を回収した。この水洗浄菌体の細胞を、40mL
の脱イオン水に懸濁し、フレンチプレス(大岳製作所社
製:フレンチプレス 5501)により菌体の破砕を行った。
この細胞破砕物を、4℃、29400m/s2(=3000G)で 30分
間遠心分離し、不溶画分の分離を行った。その後、残余
する可溶性成分の洗浄除去のため、不溶画分に蒸留水 4
0mLを加え、4℃、29400m/s2(=3000G)で 30分間再度
遠心分離を行って、洗浄済みPHAを回収した。
【0330】得られたPHA粗製サンプルを脱イオン水
30mLに懸濁し、実施例1に記載する過酸化水素水 10
mLを加えて、100℃で1時間処理を行った。反応終了
後、室温まで冷却し、固形成分のPHAを遠心分離し
た。分離した後、PHAを蒸留水に再懸濁し、再度遠心
分離を行って、残留している過酸化水素水を洗浄した。
更に、この洗浄操作を2回繰り返した。その後、洗浄済
みのPHAポリマーを減圧乾燥し、乾燥重量(回収量)を
秤量した。この過酸化水素水処理条件で得られたPHA
サンプルの平均分子量、ならびにその構造は、実施例1
に記載される条件で、それぞれGPCと1H-NMRによ
り解析した。
【0331】表5に、上記実施例15〜18 において、作
製されたPHAサンプルの回収量(乾燥重量)及び分子量
を併せて示す。
【0332】
【表5】
【0333】表6に、実施例 15〜18 において作製され
たPHAサンプルの、1H-NMRによる解析結果から算
出される、以下に示す化学式(12)、(13)、(14)の各ユニ
ットの含有比を示す。
【0334】
【化91】
【0335】
【化92】
【0336】
【化93】
【0337】
【表6】
【0338】各ユニットの含有比は、側鎖に芳香環を有
するユニットの全体(モル数)を 100モル%とした際の、
各ユニットの含有量(モル数)をパーセント表示したもの
である。
【0339】加えて、上記実施例15〜18 において得ら
れたPHAポリマーは、上記化学式(12)、(13)、(14)で
示されるユニット以外に、下記一般式(4)で示される直
鎖の3-ヒドロキシアルカノエートユニットならびに一
般式(5)で示される直鎖の3-ヒドロキシアルケノエー
トユニットをも含んでおり、この一般式(4)ならびに一
般式(5)のユニットの総和が、全ユニット中に占める割
合(モル%)は、それぞれ、実施例15:10 モル%,実施例
16 :6モル%,実施例17 :9モル%,実施例18 :9モル%
であった。
【0340】
【化94】
【0341】(式中、yは、0〜8から選ばれた整数であ
り、ユニット毎に違う値をとり得る。)
【0342】
【化95】
【0343】(式中、zは、3および5から選ばれた整数
であり、ユニット毎に違う値をとり得る。) (実施例19)500mL容振とうフラスコに、市販のポリペプ
トン(販売元:和光純薬工業)0.5%及び5-[(3-フルオロ
フェニル)スルファニル]吉草酸 0.1%を含むM9培地 2
00mLを入れ、寒天プレート上に種菌を播種し、培養し
て得られたYN2株のコロニーを植菌し、30℃、24時間
培養した。培養後、遠心分離により菌体を収穫した。残
留する培地成分を除去するため、収穫した菌体を 40mL
の脱イオン水に懸濁して、再度遠心分離により、洗浄さ
れた菌体を回収した。
【0344】回収した菌体を、市販の過酸化水素水(三
菱瓦斯化学(株)製、31%過酸化水素含有、JIS K-823
0 規格品)50mLに再懸濁し、200mLのなす形フラスコに
移して、オイルバス上、100℃、1時間反応させた。反
応終了後、室温まで冷却し、固形成分のPHAを遠心分
離した。分離した後、PHAを蒸留水に再懸濁し、再度
遠心分離を行って、残留している過酸化水素水を洗浄し
た。更に、この洗浄操作を2回繰り返した。その後、洗
浄済みのPHAポリマーを減圧乾燥し、乾燥重量(回収
量)を秤量した。この過酸化水素水処理条件で得られた
PHAサンプルの平均分子量、ならびにその構造は、実
施例1に記載される条件で、それぞれGPCと1H-NM
Rにより解析した。
【0345】表7に、上記実施例19 において作製され
たPHAサンプルの回収量(乾燥重量)及び分子量を併せ
て示す。
【0346】
【表7】
【0347】表8に、実施例19 において作製されたP
HAサンプルの、1H-NMRによる解析結果から算出さ
れる、以下に示す化学式(15)、(16)、(17)の各ユニット
の含有比を示す。
【0348】
【化96】
【0349】
【化97】
【0350】
【化98】
【0351】
【表8】
【0352】各ユニットの含有比は、側鎖に芳香環を有
するユニットの全体(モル数)を 100モル%とした際の、
各ユニットの含有量(モル数)をパーセント表示したもの
である。
【0353】加えて、上記実施例19 において得られた
PHAポリマーは、上記化学式(15)、(16)、(17)で示さ
れるユニット以外に、下記一般式(4)で示される直鎖の
3-ヒドロキシアルカノエートユニットならびに一般式
(5)で示される直鎖の3-ヒドロキシアルケノエートユ
ニットをも含んでおり、この一般式(4)ならびに一般式
(5)のユニットの総和が、全ユニット中に占める割合
(モル%)は、25 モル%であった。
【0354】
【化99】
【0355】(式中、yは、0〜8から選ばれた整数であ
り、ユニット毎に違う値をとり得る。)
【0356】
【化100】
【0357】(式中、zは、3および5から選ばれた整数
であり、ユニット毎に違う値をとり得る。) (実施例20)酵母エキス(DIFCO)0.5%を含むM9培地
200mLを 500mL容振とうフラスコに加え、シュードモ
ナス・チコリアイ・YN2株(Pseudomonas cichorii
YN2、FERM BP-7375)を植菌し、30℃、8時間
培養した。50L 容ジャーファーメンターに、ポリペプト
ン(和光純薬工業)0.5%及び5-チオフェノキシ吉草酸
(5-(フェニルスルファニル)吉草酸) 0.1%とを含むM
9培地 25L を仕込み、先に培養したYN2株の培養液
を全量加え、70 回転/分、通気量 9.4L/分の条件で通
気攪拌培養した。48時間後、菌体を遠心分離によって回
収した。回収した湿菌体を1Lの脱イオン水に再懸濁
し、200mLずつ、5等分し、更に遠心分離を行った。得
られた5検体の菌体につき、以下の処理を行った。 [1]過酸化水素水(三菱瓦斯化学(株)粕製、31%過酸化
水素含有、JIS K-8230)300mLに再懸濁し、オイルバ
スで 100℃、1時間反応させた。
【0358】[2]菌体を 150mLの脱イオン水に懸濁
し、過酸化水素水 150mLを加えてオイルバスで 100
℃、1時間反応させた。
【0359】[3]菌体を 225mLの脱イオン水に懸濁
し、過酸化水素水 75mLを加えてオイルバスで 100℃、
1時間反応させた。
【0360】[4]菌体を 270mLの脱イオン水に懸濁
し、過酸化水素水 30mLを加えてオイルバスで 100℃、
1時間反応させた。
【0361】[5]菌体を 300mLの脱イオン水に懸濁
し、フレンチプレス(大岳製作所社製:フレンチプレス 5
501)により菌体の破砕を行った後、4℃、29400m/s2(=
3000G)で 30分間遠心分離を行った。その後更に蒸留水
300mLを加え、4℃、29400m/s2(=3000G)で 30分間
遠心分離を行って洗浄した。得られた沈殿物を 300mL
の過酸化水素水に懸濁し、オイルバスで 50℃、1時間
反応させた。
【0362】いずれのサンプルも、反応終了後氷冷し、
4℃、29400m/s2(=3000G)で 30分間遠心分離を行っ
た。その後更に蒸留水 300mLを加え、4℃、29400m/s
2(=3000G)で 30分間遠心分離を行って洗浄した。更に
この洗浄操作を2回繰り返した。これらのサンプルをそ
れぞれ 50mLの脱イオン水に再懸濁し、凍結乾燥した。
以上のようにして得られたサンプルの分子量はゲルパー
ミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し
た。GPCの条件は、装置:東ソーHLC-8020;カラ
ム:ポリマーラボラトリー PLgel MIXED-C(5μ
m)×2本;移動層溶媒: 0.1 重量%LiBr含有DM
F;ポリスチレン換算、である。また、サンプルの構造
はプロトン-核磁気共鳴装置(1H-NMR)により行っ
た。1H-NMR条件は、装置:Bruker DPX 400 FT
-NMR;1H共鳴周波数: 400MHz;測定核種:1H;使
用溶媒:CDCl3;reference:キャピラリ封入TMS/C
DCl3;測定温度:室温である。
【0363】(実施例21)酵母エキス 0.5%を含むM9培
地 200mLを 500mL容振とうフラスコに加えたものを2
本用意し、それぞれ1本ずつにYN2株を植菌し、30
℃、8時間培養した。2L容振とうフラスコに、ポリペ
プトン 0.5%及び5-チオフェノキシ吉草酸(5-(フェニ
ルスルファニル)吉草酸) 0.1%とを含むM9培地1Lを
仕込んだものを5本用意し、先に培養したYN2株の培
養液2mLずつをそれぞれに加え、125 ストローク/分、
30℃で培養した。48時間後、5L分の菌体を遠心分離に
よって回収した。得られたYN2株の水洗浄菌体を1L
のメタノールに再懸濁し、遠心分離によって菌体を回収
した後、室温で減圧乾燥した。得られた菌体を 750mL
のクロロホルムに懸濁し、50℃で 20時間攪拌した。攪
拌終了後、クロロホルム不溶成分をろ過により除去し、
クロロホルム溶液をロータリーエバポレーターにて濃縮
した。クロロホルム濃縮溶液を氷冷したメタノールに滴
下し、沈殿物としてPHA試料を得た。
【0364】得られた試料(1.7g)をクロロホルム 80mL
に溶解し、氷冷した。そこへクロロホルム 160mLに溶
解した 2.0gのMCPBA(キシダ化学)を滴下し、氷浴
上で 75分攪拌した。
【0365】反応終了後、炭酸水素ナトリウム水溶液を
加えて中和した後、400mLクロロホルムを加えて分液
し、有機相を抽出し、無水硫酸マグネシウムにより脱水
して、溶媒留去後、真空乾燥した。得られたサンプルは
サンプル[6]とした。
【0366】(実施例22)酵母エキス 0.5%を含むM9培
地 200mLを 500mL容振とうフラスコに加えたものを2
本用意し、それぞれ1本ずつにシュードモナス・チコリ
アイ・H45株(Pseudomonas cichorii H45、FERM
BP-7374)及びシュードモナス・ジェッセニイ P161
株(Pseudomonas jessenii P161、FERM BP-737
6)を植菌し、30℃、8時間培養した。2L容振とうフラ
スコに、ポリペプトン 0.5%及び5-チオフェノキシ吉
草酸(5-(フェニルスルファニル)吉草酸) 0.1%とを含
むM9培地1Lを仕込んだものを 10本用意し、先に培
養したH45株及びP161株の培養液2mLずつをそれぞれ
5本分に加え、125 ストローク/分、30℃で培養した。4
8時間後、それぞれ5L分のH45株及びP161株の菌体を
遠心分離によって回収した。それぞれの菌体を実施例20
に示す[1]の条件で処理し、サンプルを得た。H45株
由来のサンプルを[7]、P161株由来のサンプルを[8]
とした。サンプル[7]及び[8]は実施例1と同様にGP
C及び1H-NMRの測定を行った。
【0367】実施例20から 22 で示した各サンプルの収
量及び分子量を表9に示す。
【0368】
【表9】
【0369】また、各サンプルの1H-NMRから算出し
た以下に示す化学式(6)、(7)、(8)の各ユニット比を
表10 に示す。
【0370】
【化101】
【0371】
【表10】
【0372】各ユニット比は側鎖に芳香環を有するユニ
ットの全体を 100%とした場合のパーセンテージであ
る。
【0373】サンプル[1]から[8]の、上記化学式
(6)、(7)、(8)で示したユニット以外の直鎖3-ヒド
ロキシアルカノエート及び3-ヒドロキシアルケノエー
トユニットの割合は、[1]:7%,[2]: 10%,[3]: 12
%,[4]: 13%,[5]:7%,[6]:9%,[7]:6%,[8]:
8%であった。
【0374】また、上記サンプルのうち、[1]から[6]
までのサンプルの、1H-NMRスペクトルを図7から 1
2 に示す([1]:図7;[2]:図8;[3]:図9;[4]:図1
0;[5]:図11;[6]:図12)。そのうち、上記(6)、
(7)、(8)の3ユニットとも含まれる実施例20から得ら
れたサンプル[3]のスペクトルに関しては、下図と対応
した帰属についても併せて記す。
【0375】
【化102】
【0376】このようにして得られた化合物([1]から
[8])を例示化合物(1)から(8)とし、実施例25 以降で
各種トナーを製造し、評価を行った。
【0377】(実施例23)酵母エキス 0.5%を含むM9培
地 200mLを 500mL容振とうフラスコに加えたものを3
本用意し、それぞれ1本ずつにYN2株、H45株、P16
1株を植菌し、30℃、8時間培養した。2L容振とうフ
ラスコに、D-グルコース(キシダ化学)0.5%及び4-チ
オフェノキシ酪酸(4-(フェニルスルファニル)酪酸) 0.
1%を含むM9培地1Lを仕込んだものを 15本用意し、
先に培養した3種類の株の培養液2mLずつをそれぞれ
5本分に加え、125 ストローク/分、30℃で培養した。4
8時間の培養後、遠心分離により菌体を収穫し、D-グル
コース 0.5%及び4-チオフェノキシ酪酸(4-(フェニル
スルファニル)酪酸) 0.1%を含み、NH4Clを全く含ま
ないM9培地1L5本分にそれぞれの菌株を再懸濁した
後、30℃、48時間培養した。培養終了後、それぞれ5L
分3株の菌体を遠心分離によって回収した。それぞれの
菌体を実施例20 に示す[1]の条件で処理し、サンプル
を得た。YN2株由来のサンプルを[9]、H45株由来の
サンプルを[10]、P161株由来のサンプルを[11]とし
た。これら3つのサンプルを実施例20 と同様にGPC
及び1H-NMRの測定を行った。各サンプルの収量及び
分子量を表11 に示す。
【0378】
【表11】
【0379】また、各サンプルの1H-NMRから算出し
た以下に示す化学式(9)、(10)、(11)の各ユニット比を
表12 に示す。
【0380】
【化103】
【0381】
【表12】
【0382】各ユニット比は側鎖に芳香環を有するユニ
ットの全体を 100%とした場合のパーセンテージであ
る。
【0383】サンプル[9]から[11]の、上記化学式
(9)、(10)、(11)で示したユニット以外の直鎖3-ヒド
ロキシアルカノエート及び3-ヒドロキシアルケノエー
トユニットの割合は、[9]: 14%,[10]:9%,[11]: 11
%であった。
【0384】このようにして得られた化合物([9]から
[11])を例示化合物(9)から(11)とし、実施例25 以降で
各種トナーを製造し、評価を行った。
【0385】(実施例24)酵母エキス 0.5%を含むM9培
地 200mLを 500mL容振とうフラスコに加えたものを3
本用意し、それぞれ1本ずつにYN2株、H45株、P16
1株を植菌し、30℃、8時間培養した。2L容振とうフ
ラスコに、ポリペプトン 0.5%及び5-(4-フルオロチ
オフェノキシ)吉草酸(5-[(4-フルオロフェニル)スル
ファニル]吉草酸) 0.1%を含むM9培地1Lを仕込んだ
ものを 15本用意し、先に培養した3種類の株の培養液
2mLずつをそれぞれ5本分に加え、125 ストローク/
分、30℃で培養した。48時間の培養後、それぞれ5L分
3株の菌体を遠心分離によって回収した。それぞれの菌
体を実施例20 に示す[1]の条件で処理し、サンプルを
得た。YN2株由来のサンプルを[12]、H45株由来のサ
ンプルを[13]、P161株由来のサンプルを[14]とした。
これら3つのサンプルを実施例20 と同様にGPC及び1
H-NMRの測定を行った。各サンプルの収量及び分子
量を表13 に示す。
【0386】
【表13】
【0387】また、各サンプルの1H-NMRから算出し
た以下に示す化学式(12)、(13)、(14)の各ユニット比を
表14 に示す。
【0388】
【化104】
【0389】
【表14】
【0390】各ユニット比は側鎖に芳香環を有するユニ
ットの全体を 100%とした場合のパーセンテージであ
る。
【0391】サンプル[12]から[14]の、上記化学式(1
2)、(13)、(14)で示したユニット以外の直鎖3-ヒドロ
キシアルカノエート及び3-ヒドロキシアルケノエート
ユニットの割合は、[12]: 10%,[13]:8%,[14]:9%で
あった。
【0392】このようにして得られた化合物([12]から
[14])を例示化合物(12)から(14)とし、実施例25 以降で
各種トナーを製造し、評価を行った。
【0393】次に、本発明の方法から選択される方法で
実施例20から24 のようにして製造された荷電制御剤を
用いて各種トナーを製造し、評価を行った(実施例25〜9
9)。
【0394】(実施例25)まず 0.1MのNa3PO4水溶液
と1MのCaCl2水溶液を用意する。TK式ホモミキサ
ー(特殊機化工業製)の 20 リットル反応釜中に 0.1Mの
Na3PO4を 451部とイオン交換水 709 部を投入し 100
00 rpmで撹拌した。1MのCaCl2水溶液 68 部を、60
℃に加温した上記フラスコ中にホモミキサー撹拌下に徐
々に加え、Ca3(PO4)2を含む分散媒を得た。
【0395】 スチレン 180部 2-エチルヘキシルアクリレート 20部 パラフィンワックス(m.p.75℃) 60部 C.I.ピグメントブルー 15 :3 10部 スチレン-ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体 10部 (Mw=4万、Mw/Mn= 3.2、アミン価= 55) 例示化合物(1) 4部 上記処方のうち、C.I.ピグメントブルー 15:3とスチ
レンだけを予備混合を行った。次ぎに上記処方すべてを
60℃に加温し溶解、分散して単量体混合物にした。さ
らに、60℃に保持しながら、開始剤2,2'-アゾビス
(2,4-ジメチルバレロニトリル)10部を加えて溶解し、
単量体組成物を調製した。
【0396】前記ホモミキサーの 20 リットル反応釜中
で調製した分散媒に、上記単量体組成物を投入した。60
℃で窒素雰囲気としたホモミキサーを用いて 10000rpm
で 20分間撹拌し、単量体組成物を造粒した。その後、
パドル撹拌翼で撹拌しつつ 60℃で 10時間重合させた。
【0397】重合反応終了後、反応生成物を冷却し、塩
酸を加えてCa3(PO4)2を溶解して、ろ過、水洗、乾燥
することにより青色重合粒子(1)を得た。
【0398】得られた青色重合粒子(1)の粒径をコール
ターカウンターマルチサイザー(コールター社製)で測定
したところ、重量平均径 8.5μmでシャープな粒度分布
を有していた。また、微粉量(個数分布における 3.17μ
m以下の粒子の存在割合)は 4.9個数%であった。
【0399】得られた青色重合粒子(1)100部に対し
て、BET表面積が 170m2/gであるアミノ基を有する
シランカップリング剤処理シリカ 0.6部を外添し、本実
施例の青色トナー(1)とした。
【0400】このトナー7部に対し、平均粒径が 50μ
mであるフッ素-アクリルコートフェライトキャリア 93
部を混合し磁気ブラシ現像用の2成分系青色現像剤(1)
とした。
【0401】(実施例26〜38)例示化合物(1)の代わり
に、例示化合物(2)〜(14)をそれぞれ 2.0重量部使用す
る以外は実施例25 と同様の方法で、実施例26〜38 の青
色トナー(2)〜(14)を得た。これらのトナーの特性を実
施例25と同様に測定し、その結果を表15に示した。ま
た、これを用いて実施例25と同様にして、2成分系青色
現像剤(2)〜(14)をそれぞれ得た。
【0402】(比較例1)例示化合物を使用しない点以外
は実施例25 と同様の方法により、比較例1の青色トナ
ー 15 を得た。このトナーの特性を実施例25 と同様に
測定し、その結果を表15 に示した。また、これを用い
て実施例25 と同様にして、比較例1の2成分系青色現
像剤 15 を得た。
【0403】<評価>上記実施例25〜38 で得られた2
成分系青色現像剤(1)〜(14)、および比較例1で得られ
た2成分系青色現像剤 15 について、常温常湿(25℃、6
0%RH)、及び高温高湿(30℃、80%RH)のそれぞれの
環境下で、先に述べた帯電量の測定方法を用いて、10
秒、及び 300秒攪拌後のトナーの帯電量を測定した。そ
して、2成分ブローオフ帯電量の測定値から少数以下第
2位を四捨五入し、下記の基準で評価した。その結果を
表15 にまとめて示した。 [帯電性] ◎:非常に良好(+ 30.0〜+ 40.0μC/g) ○:良好(+ 20.0〜+29.9μC/g) △:実用可(+10.0〜+19.9μC/g) ×:実用不可(+9.9μC/g以下)
【0404】
【表15】
【0405】(実施例39〜52)例示化合物(1)〜(14)を4
重量部を用い、シアン着色剤の代わりにイエロー着色剤
(C.I.ピグメントイエロー 17)を7重量部使用する以外
は、実施例25 と同様の方法により、実施例39〜52 のイ
エロートナー(1)〜(14)をそれぞれ得た。
【0406】これらのトナーの特性を実施例25 と同様
に測定し、その結果を表16 に示した。また、これを用
いて実施例25 と同様にして、2成分系イエロー現像剤
(1)〜(14)を得た。
【0407】(比較例2)例示化合物を使用しない点およ
びシアン着色剤の代わりにイエロー着色剤(C.I.ピグメ
ントイエロー 17)を7重量部使用する点以外は実施例25
と同様の方法により、比較例2のイエロートナー 15
を得た。このトナーの特性を実施例25 と同様に測定
し、その結果を表16 に示した。また、これを用いて実
施例25 と同様にして、比較例2の2成分系イエロー現
像剤 15 を得た。
【0408】<評価>上記実施例 20 〜 33 → 39〜52
で得られた2成分系イエロー現像剤(1)〜(14)、および
比較例2で得られた2成分系イエロー現像剤 15 につい
て、常温常湿(25℃、60%RH)、及び高温高湿(30℃、8
0%RH)のそれぞれの環境下で、先に述べた帯電量の測
定方法を用いて、10秒、及び 300秒攪拌後のトナーの帯
電量を測定した。そして、2成分ブローオフ帯電量の測
定値から少数以下第2位を四捨五入し、下記の基準で評
価した。その結果を表16 にまとめて示した。 [帯電性] ◎:非常に良好(+30.0〜+40.0μC/g) ○:良好(+20.0〜+29.9μC/g) △:実用可(+10.0〜+19.9μC/g) ×:実用不可(+9.9μC/g以下)
【0409】
【表16】
【0410】(実施例53〜66)例示化合物(1)〜(14)を4
重量部使用し、シアン着色剤の代わりにカーボンブラッ
クを 10重量部使用する以外は、実施例25 と同様の方法
により、実施例53〜66 の黒色トナー(1)〜(14)をそれ
ぞれ得た。これらのトナーの特性を実施例25と同様に測
定し、その結果を表17 に示した。また、これを用いて
実施例25 と同様にして、2成分系黒色現像剤(1)〜(1
4)を得た。
【0411】(比較例3)例示化合物を使用しない点およ
びシアン着色剤の代わりにカーボンブラックを10重量部
使用する点以外は実施例25 と同様の方法により、比較
例3の黒色トナー 15 を得た。このトナーの特性を実施
例25 と同様に測定し、その結果を表17に示した。ま
た、これを用いて実施例25 と同様にして、比較例3の
2成分系黒色現像剤 15 を得た。
【0412】<評価>上記実施例53〜66 で得られた2
成分系黒色現像剤(1)〜(14)、および比較例3で得られ
た2成分系黒色現像剤 15 について、常温常湿(25℃、6
0%RH)、及び高温高湿(30℃、80%RH)のそれぞれの
環境下で、先に述べた帯電量の測定方法を用いて、10
秒、及び 300秒攪拌後のトナーの帯電量を測定した。そ
して、2成分ブローオフ帯電量の測定値から少数以下第
2位を四捨五入し、下記の基準で評価した。その結果を
表17 にまとめて示した。
【0413】[帯電性] ◎:非常に良好(+30.0〜+40.0μC/g) ○:良好(+20.0〜+29.9μC/g) △:実用可(+10.0〜+19.9μC/g) ×:実用不可(+9.9μC/g以下)
【0414】
【表17】
【0415】(実施例67〜80)例示化合物(1)〜(14)を4
重量部使用し、シアン着色剤の代わりにマゼンダ着色剤
(C.I.ピグメントレッド 122)を 12 重量部使用する以
外は、実施例25 と同様の方法により、実施例67〜80 の
マゼンダトナー(1)〜(14)をそれぞれ得た。これらのト
ナーの特性を実施例25 と同様に測定し、その結果を表1
8 に示した。また、これを用いて実施例25 と同様にし
て、2成分系マゼンダ現像剤(1)〜(14)を得た。
【0416】(比較例4)例示化合物を使用しない点およ
びシアン着色剤の代わりにマゼンダ着色剤(C.I.ピグメ
ントレッド 122)を 12 重量部使用する点以外は実施例2
5 と同様の方法により、比較例4のマゼンダトナー 15
を得た。このトナーの特性を実施例25と同様に測定し、
その結果を表18 に示した。また、これを用いて実施例2
5 と同様にして、比較例4の2成分系マゼンダ現像剤 1
5 を得た。
【0417】<評価>上記実施例67〜80 で得られた2
成分系マゼンダ現像剤(1)〜(14)、および比較例4で得
られた2成分系マゼンダ現像剤 15 について、常温常湿
(25℃、60%RH)、及び高温高湿(30℃、80%RH)のそ
れぞれの環境下で、先に述べた帯電量の測定方法を用い
て、10秒、及び 300秒攪拌後のトナーの帯電量を測定し
た。そして、2成分ブローオフ帯電量の測定値から少数
以下第2位を四捨五入し、下記の基準で評価した。その
結果を表18 にまとめて示した。
【0418】[帯電性] ◎:非常に良好(+30.0〜+40.0μC/g) ○:良好(+20.0〜+29.9μC/g) △:実用可(+10.0〜+19.9μC/g) ×:実用不可(+9.9μC/g以下)
【0419】
【表18】
【0420】(実施例81〜92 および比較例5〜比較例
8)実施例81〜92 および比較例5〜比較例8として、実
施例25、33、36、39、47、50、53、61、64、67、75、78
及び比較例1から4で調製した現像剤を市販のカラー
電子写真複写機CLC-500(キヤノン(株)製)のOPC感
光ドラムを非晶質シリコンドラムに変えた改造機で複写
試験した。試験は 23℃/ 60%の環境下で行い、300 枚
及び 5000 枚複写後の画像濃度、画像カブリ、転写性を
以下のようにして評価した。結果を表19 に示す。
【0421】[プリントアウト画像評価] 1.画像濃度 通常の複写機用普通紙(75g/m2)に、所定枚数のプリン
トアウトをして、初期の画像に対するプリント終了時に
おける画像の画像濃度維持の程度により評価した。尚、
画像濃度はマクベス反射濃度計(マクベス社製)を用い、
原稿濃度が 0.00 の白地部分のプリントアト画像に対す
る相対濃度を測定し、評価に用いた。 ◎:優(終了時の画像濃度が 1.40 以上) ○:良(終了時の画像濃度が 1.35 以上 1.40 未満) △:可(終了時の画像濃度が 1.00 以上 1.35 未満) ×:不可(終了時の画像濃度が 1.00 未満) 2.画像カブリ 通常の複写機用普通紙(75g/m2)に所定枚数のプリント
アウトをし、プリント終了時のベタ白画像により評価し
た。具体的には、下記のような方法で評価した。反射式
濃度計(TOKYO DENSHOKU CO.,LTD社製 REFLECTOMETER OD
EL TC-6DS)を用いて測定したプリント後の白地部
反射濃度の最悪値をDs、プリント前の用紙の反射濃度
平均値をDrとし、これらの値から(Ds-Dr)を求め、こ
れをカブリ量とし、下記の基準で評価した。 ◎:非常に良好(カブリ量が0%以上 1.5%未満) ○:良好(カブリ量が 1.5%以上 3.0%未満) △:実用可(カブリ量が 3.0%以上 5.0%未満) ×:実用不可(カブリ量が 5.0%以上) 3.転写性 通常の複写機用普通紙(75g/m2)に、黒ベタ画像を所定
枚数プリントアウトをし、プリント終了時の画像の画像
抜け量を目視により観察し、下記の基準で評価した。 ◎ : 非常に良好(殆ど発生せず) ○ : 良好(軽微) △ : 実用可 × : 実用不可
【0422】
【表19】
【0423】(実施例93)単量体混合物の処方を以下のよ
うにした以外は、例示化合物(1)を用いて実施例25 と
同様にして重量平均径 8.6μmの重合トナーを得た。ま
た、微粉量は 5.1個数%であった。
【0424】 スチレン 180部 2-エチルヘキシルアクリレート 20部 パラフィンワックス(m.p.75℃) 20部 磁性体(チタンカップリング処理品) 160部 スチレン-ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体 10部 (Mw=3万、Mw/Mn=3.0、アミン価=50) 例示化合物(1) 6部 このトナーについて、実施例6と同じシリカを同比率で
混合し、市販の複写機(商品名NP-4835,キヤノン(株)
製)に適用して 23℃/ 60%の環境条件下、複写試験をし
たところ、画像濃度 1.44、カブリやがさつきがなく、
解像性が 6.2本/mmの鮮明な画像が得られた。さら
に、2万枚連続複写して耐久性能を調べたところ、画像
濃度 1.39、解像性 6.2本/mmと初期の画像と比較して
遜色のない良好な画像が得られた。
【0425】また、現像スリーブ上のトナーの摩擦帯電
量を測定したところ、初期においては+8.0μC/g、2
万枚複写後は+7.6μC/gで、ほとんどスリーブ汚染は
認められなかった。次いで、15℃/ 10%の環境条件下、
複写試験をしたところ、同様に高濃度で良好な画質の画
像が得られた。2万枚の連続複写試験においても同様に
良好な結果であった。35℃/ 85%の環境条件下、同じ複
写試験、連続複写試験を行なったところ、良好な結果で
あった。更にこの環境条件下、このトナーを1か月間放
置した後に同じ複写試験、連続複写試験を行なったが、
問題のない十分な結果であった。
【0426】(比較例9)実施例93 における例示化合物
(1)を処方に加えないこと以外は、実施例93 と同様な
方法により重量平均粒径 8.5μmの微粉体を得、さらに
同じシリカを同比率で混合し、トナーを得た。また、ト
ナー表面を観察したところ乳化微粒子の付着が実施例93
よりも多かった。
【0427】このトナーを実施例93 と同様に市販の電
子写真複写機NP-4835(キヤノン(株)製)に適用して 15
℃/ 10%の環境条件下、複写試験をしたところ、画像濃
度 1.29 の画像が得られた。しかし、連続複写試験を行
なって耐久性能を調べたところ、2000枚で画像濃度 1.1
6 と低下した。
【0428】(実施例94) ・スチレン-ブチルアクリレート樹脂 100重量部 ・磁性酸化鉄 80重量部 ・低分子量ポリプロピレンワックス 4重量部 ・C.I.ピグメントブルー 15 :3 2重量部 ・例示化合物(1) 4重量部 上記材料をヘンシェルミキサーでよく前混合した後、14
0℃に設定した2軸混練押出機にて溶融混練した。得ら
れた混練物を冷却し、カッターミルにて粗粉砕した後、
ジェット気流を用いた微粉砕機を用いて微粉砕し、更に
得られた微粉砕粉を風力分級機で分級して、重量平均粒
径 8.4μmの青色着色粒子(16)を得た。
【0429】得られた青色着色粒子(16)100 重量部にア
ミノ変性シリコンオイルにより疎水化処理したシリカ微
粉末(BET比表面積 130m2/g)0.6重量部を加え、ヘン
シェルミキサーで混合してトナー粒子表面にシリカ微粉
末を有する青色着色トナー(16)を調製した。
【0430】得られた青色着色トナー(16)を鉄粉キャリ
ア(日本鉄粉製、EFV 200-300)と0.5 / 9.5 の比率で
ターブラーミキサーにより混合し、2成分系青色現像剤
(16)とした。
【0431】(実施例95〜96)例示化合物(1)の代わり
に、例示化合物(9)および(12)をそれぞれ4重量部使用
する以外は実施例94 と同様の方法で、実施例95〜96 の
青色トナー(17)〜(18)を得た。重量平均粒径はそれぞれ
8.3μm、8.4μmであった。これらの青色トナー(17)
〜(18)を用いて実施例94 と同様にして、2成分系青色
現像剤(17)〜(18)をそれぞれ得た。
【0432】(比較例10)例示化合物を使用しない点以外
は実施例94 と同様の方法により、比較例 10の青色トナ
ー 19 を得た。重量平均粒径は 8.6μmであった。ま
た、この青色トナー 19 を用いて実施例94 と同様にし
て、比較例 10 の2成分系青色現像剤 19を得た。
【0433】<評価>上記実施例94〜96 で得られた2
成分系青色現像剤(16)〜(18)、および比較例10 で得ら
れた2成分系青色現像剤 19 について、常温常湿(25
℃、60%RH)、及び高温高湿(30℃、80%RH)のそれ
ぞれの環境下で、先に述べた帯電量の測定方法を用い
て、10秒、及び 300秒攪拌後のトナーの帯電量を測定し
た。そして、2成分ブローオフ帯電量の測定値から少数
以下第2位を四捨五入し、下記の基準で評価した。その
結果を表20 にまとめて示した。
【0434】[帯電性] ◎:非常に良好(+30.0〜+40.0μC/g) ○:良好(+20.0〜+29.9μC/g) △:実用可(+10.0〜+19.9μC/g) ×:実用不可(+9.9μC/g以下)
【0435】
【表20】
【0436】(実施例97〜99、比較例11)実施例97〜99、
比較例11 として、実施例94〜96 及び比較例10 で得ら
れた青色着色トナー(16)〜(19)を、複写機(商品名NP-
4835、キヤノン(株)製)のカラートナー像形成用現像器
に適用して複写試験を行った。試験は 23℃/ 60%の環
境下で行い、300枚及び 5000枚複写後の画像濃度、画像
カブリ、転写性を以下のようにして評価した。結果を表
21 に示す。
【0437】[プリントアウト画像評価] 1.画像濃度 通常の複写機用普通紙(75g/m2)に、所定枚数のプリン
トアウトをして、初期の画像に対するプリント終了時に
おける画像の画像濃度維持の程度により評価した。尚、
画像濃度はマクベス反射濃度計(マクベス社製)を用い、
原稿濃度が 0.00 の白地部分のプリントアウト画像に対
する相対濃度を測定し、評価に用いた。 ◎:優(終了時の画像濃度が 1.40 以上) ○:良(終了時の画像濃度が 1.35 以上 1.40 未満) △:可(終了時の画像濃度が 1.00 以上 1.35 未満) ×:不可(終了時の画像濃度が 1.00 未満) 2.画像カブリ 通常の複写機用普通紙(75g/m2)に所定枚数のプリント
アウトをし、プリント終了時のベタ白画像により評価し
た。具体的には、下記のような方法で評価した。反射式
濃度計(TOKYO DENSHOKU CO.,LTD 社製 REFLECTOMETER O
DEL TC-6DS)を用いて測定したプリント後の白地部
反射濃度の最悪値をDs、プリント前の用紙の反射濃度
平均値をDrとし、これらの値から(Ds-Dr)を求め、こ
れをカブリ量とし、下記の基準で評価した。 ◎:非常に良好(カブリ量が0%以上 1.5%未満) ○:良好(カブリ量が 1.5%以上 3.0%未満) △:実用可(カブリ量が 3.0%以上 5.0%未満) ×:実用不可(カブリ量が 5.0%以上) 3.転写性 通常の複写機用普通紙(75g/m2)に、黒ベタ画像を所定
枚数プリントアウトをし、プリント終了時の画像の画像
抜け量を目視により観察し、下記の基準で評価した。 ◎ : 非常に良好(殆ど発生せず) ○ : 良好(軽微) △ : 実用可 × : 実用不可
【0438】
【表21】
【0439】
【発明の効果】本発明のPHAの製造方法は、原料とし
て、ω-(フェニルスルファニル)アルカン酸またはω-
(置換フェニルスルファニル)アルカン酸を含む培地中で
微生物を培養し、培養した微生物により生産される3-
ヒドロキシ-(フェニルスルファニル)アルカン酸ユニッ
トまたは3-ヒドロキシ-(置換フェニルスルファニル)ア
ルカン酸ユニットを含むPHAを過酸化化合物で処理し
て、そのスルファニル基(-S-)をスルフィニル基(-SO
-)またはスルホニル基(-SO2-)へと変換することによ
り、目的の側鎖上にフェニルスルフィニル基、またはフ
ェニルスルホニル基が存在するユニットを少なくとも一
種含む新規な生分解性ポリヒドロキシアルカノエートの
生産を可能とする。得られるPHAは、過酸化化合物に
よる処理条件を調整することで、中間原料、すなわち、
培養した微生物により生産される3-ヒドロキシ-(フェ
ニルスルファニル)アルカン酸ユニットまたは3-ヒドロ
キシ-(置換フェニルスルファニル)アルカン酸ユニット
を含むPHAに由来する、3-ヒドロキシ-(フェニルス
ルファニル)アルカン酸ユニットまたは3-ヒドロキシ-
(置換フェニルスルファニル)アルカン酸ユニットを部分
的に残すPHAとすることも可能である。加えて、本発
明のPHAの製造方法により作製されるPHAは、前記
フェニルスルフィニル基、フェニルスルホニル基、フェ
ニルスルファニル基をその側鎖上に有する三種のユニッ
トに関して、その含有比率を過酸化化合物による処理条
件を調整することで、高い再現性で制御でき、新たな特
性を有する有用なポリヒドロキシアルカノエートとして
利用できる。
【0440】また本発明によれば、静電荷像現像用トナ
ー組成中へ荷電制御剤として上に示した化合物を一種類
以上添加することにより、帯電特性に優れ、かつトナー
樹脂中への該化合物の分散性、スペント性を向上し、ま
た、画像形成装置での出力時においても、画像カブリを
発生せず、転写性に優れ、かつ、電子写真プロセスに高
度に適用した静電荷像現像用トナーを提供することが可
能となる。また、本発明で使用する荷電制御剤は無色あ
るいは着色が弱いため、カラートナーに要求される色相
に合わせて任意の着色剤を選定することが可能であり、
かつ染料、顔料が有する本来の色相を何ら阻害すること
が無い点も特徴である。加えて本発明の静電荷像現像用
トナーは、生分解性であるために燃焼処理を行う必要も
なく、大気汚染や地球温暖化の防止といった環境保全の
点でも、産業上多大な効果をもたらすものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において作製された化学式(6)で表さ
れるユニットならびに化学式(7)で表されるユニットを
含むPHAの1H-NMRスペクトルを示す。
【図2】実施例2において作製された化学式(6)で表さ
れるユニットならびに化学式(7)で表されるユニットを
含むPHAの1H-NMRスペクトルを示す。
【図3】実施例3において作製された化学式(6)で表さ
れるユニット、化学式(7)で表されるユニットならびに
化学式(8)で表されるユニットを含むPHAの1H-NM
Rスペクトルを示す。
【図4】実施例4において作製された化学式(6)で表さ
れるユニットならびに化学式(8)で表されるユニットを
含むPHAの1H-NMRスペクトルを示す。
【図5】実施例5において作製された化学式(6)で表さ
れるユニットならびに化学式(8)で表されるユニットを
含むPHAの1H-NMRスペクトルを示す。
【図6】実施例6において作製された化学式(6)で表さ
れるユニットを含むPHAの1H-NMRスペクトルを示
す。
【図7】実施例20 および 22 のサンプル[1]のPHA
における1H-NMRスペクトルチャートを示す。
【図8】実施例20 および 22 のサンプル[2]のPHA
における1H-NMRスペクトルチャートを示す。
【図9】実施例20 および 22 のサンプル[3]のPHA
における1H-NMRスペクトルチャートを示す。
【図10】実施例20 および 22 のサンプル[4]のPH
Aにおける1H-NMRスペクトルチャートを示す。
【図11】実施例20 および 22 のサンプル[5]のPH
Aにおける1H-NMRスペクトルチャートを示す。
【図12】実施例21 および 22 のサンプル[6]のPH
Aにおける1H-NMRスペクトルチャートを示す。
【図13】トナーの帯電量を測定するブローオフ帯電量
測定装置を示す模式図である。
【符号の説明】
43 :スクリーン 45 :真空計 47 :吸引口 49 :電位計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 見目 敬 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 須川 悦子 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2H005 AA06 AB02 CA08 CA20 DA02 DA03 EA06 4B064 AE61 CA02 CB24 CC03 CD05 CD06 CD07 CD09 CD10 CD12 CD13 DA20 4J029 AA02 AB01 AC02 AD01 AE04 AE18 EA02 EB01 EF02 (54)【発明の名称】 側鎖にフェニルスルフィニル構造及び/或いはフェニルスルホニル構造を有する新規ポリヒドロ キシアルカノエートおよびその製造方法、該ポリヒドロキシアルカノエートを含有する荷電制御 剤、トナーバインダーならびにトナー、及び該トナーを用いた画像形成方法および画像形成装置

Claims (38)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1): 【化1】 (式中、Rは、H、ハロゲン原子、CN、NO2、COO
    R'、SO2R”(なお、R'は、H、Na、K、CH3、C
    25のいずれかを表し、R”は、OH、ONa、OK、
    ハロゲン原子、OCH3、OC25のいずれかを表す)か
    ら任意に選択される基であり、また、xは、1〜7から
    選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得
    る。)で示される3-ヒドロキシ-(置換フェニルスルフィ
    ニル)アルカン酸ユニット、あるいは、下記一般式(2): 【化2】 (式中、Rは、H、ハロゲン原子、CN、NO2、COO
    R'、SO2R”(なお、R'は、H、Na、K、CH3、C
    25のいずれかを表し、R”は、OH、ONa、OK、
    ハロゲン原子、OCH3、OC25のいずれかを表す)か
    ら任意に選択される基であり、また、xは、1〜7から
    選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得
    る。)で示される3-ヒドロキシ-(置換フェニルスルホニ
    ル)アルカン酸ユニットのうち、少なくとも1種類のユ
    ニットをポリマー分子中に含み、さらに、下記一般式
    (3): 【化3】 (式中、Rは、H、ハロゲン原子、CN、NO2、COO
    R'、SO2R”(なお、R'は、H、Na、K、CH3、C
    25のいずれかを表し、R”は、OH、ONa、OK、
    ハロゲン原子、OCH3、OC25のいずれかを表す)か
    ら任意に選択される基であり、また、xは、1〜7から
    選ばれた整数であり、ユニット毎に違う値をとり得
    る。)で示される3-ヒドロキシ-(置換フェニルスルファ
    ニル)アルカン酸ユニットの少なくとも1種類をポリマ
    ー分子中に含んでもよいポリヒドロキシアルカノエー
    ト。
  2. 【請求項2】 ポリマー分子中に含まれるユニットとし
    て、前記一般式(1)、一般式(2)あるいは一般式(3)で
    示されるユニットに加えて、下記一般式(4): 【化4】 (式中、yは、0〜8から選ばれた整数であり、ユニット
    毎に違う値をとり得る。)で示される3-ヒドロキシ-ア
    ルカン酸ユニット、あるいは、下記一般式(5): 【化5】 (式中、zは、3および5から選ばれた整数であり、ユニ
    ット毎に違う値をとり得る。)で示される3-ヒドロキシ
    -アルカ-5-エン酸ユニットのうち、少なくとも1種類
    をポリマー分子中に含んでもよいことを特徴とする請求
    項1記載のポリヒドロキシアルカノエート。
  3. 【請求項3】 ポリマー分子の数平均分子量は、100
    0〜500000の範囲であることを特徴とする請求項
    1あるいは2のいずれかに記載のポリヒドロキシアルカ
    ノエート。
  4. 【請求項4】 下記化学式(6): 【化6】 で示される3-ヒドロキシ-5-(フェニルスルフィニル)
    吉草酸ユニットまたは、下記化学式(7): 【化7】 で表される3-ヒドロキシ-5-(フェニルスルホニル)吉
    草酸ユニットのうち、少なくとも1種類をポリマー分子
    中に含み、さらに、下記化学式(8): 【化8】 で表される3-ヒドロキシ-5-(フェニルスルファニル)
    吉草酸ユニットをポリマー分子中に含んでもよいことを
    特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリヒドロ
    キシアルカノエート。
  5. 【請求項5】 下記化学式(9): 【化9】 で表される3-ヒドロキシ-4-(フェニルフィニル)酪酸
    ユニットまたは、下記化学式(10): 【化10】 で表される3-ヒドロキシ-4-(フェニルスルホニル)酪
    酸ユニットのうち、少なくとも1種類をポリマー分子中
    に含み、さらに、下記化学式(11): 【化11】 で表される3-ヒドロキシ-4-(フェニルスルファニル)
    酪酸ユニットを含んでもよいことを特徴とする請求項1
    〜3のいずれかに記載のポリヒドロキシアルカノエー
    ト。
  6. 【請求項6】 下記化学式(12): 【化12】 で表される3-ヒドロキシ-5-[(4-フルオロフェニル)
    スルフィニル]吉草酸ユニットまたは、下記化学式(1
    3): 【化13】 で表される3-ヒドロキシ-5-[(4-フルオロフェニル)
    スルホニル]吉草酸ユニットのうち、少なくとも1種類
    をポリマー分子中に含み、さらに、下記化学式(14): 【化14】 で表される3-ヒドロキシ-5-[(4-フルオロフェニル)
    スルファニル]吉草酸ユニットを含んでもよいことを特
    徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリヒドロキ
    シアルカノエート。
  7. 【請求項7】 下記化学式(15): 【化15】 で表される3-ヒドロキシ-5-[(3-フルオロフェニル)
    スルフィニル]吉草酸ユニットまたは、下記化学式(1
    6): 【化16】 で表される3-ヒドロキシ-5-[(3-フルオロフェニル)
    スルホニル]吉草酸ユニットのうち、少なくとも1種類
    をポリマー分子中に含み、さらに、下記化学式(17): 【化17】 で表される3-ヒドロキシ-5-[(3-フルオロフェニル)
    スルファニル]吉草酸ユニットを含んでもよいことを特
    徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリヒドロキ
    シアルカノエート。
  8. 【請求項8】 請求項1あるいは2に記載されるポリヒ
    ドロキシアルカノエートの製造方法であって、(工程1)
    下記一般式(18): 【化18】 (式中、Rは、H、ハロゲン原子、CN、NO2、COO
    R'、SO2R”(なお、R'は、H、Na、K、CH3、C
    25のいずれかを表し、R”は、OH、ONa、OK、
    ハロゲン原子、OCH3、OC25のいずれかを表す)か
    ら任意に選択される基であり、また、xは、1〜7から
    選択される整数である)で示されるω-(置換フェニルス
    ルファニル)アルカン酸の少なくとも一種類以上を含む
    培地中で微生物を培養する工程と、(工程2) 工程1に
    おいて培養した微生物により生産されるポリヒドロキシ
    アルカノエートを、過酸化化合物で処理する工程とを含
    むことを特徴とするポリヒドロキシアルカノエートの製
    造方法。
  9. 【請求項9】 前記工程2に用いる過酸化化合物は、過
    酸化水素、過炭酸ナトリウム、メタクロロ過安息香酸、
    過蟻酸、過酢酸からなる群から選ばれる一種類以上の過
    酸化化合物であることを特徴とする請求項8に記載の製
    造方法。
  10. 【請求項10】 前記工程1で用いる培地は、ポリペプ
    トンを含有していることを特徴とする請求項8あるいは
    9に記載の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記工程1で用いる培地は、酵母エキ
    スを含有していることを特徴とする請求項8あるいは9
    に記載の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記工程1で用いる培地は、糖類を含
    有していることを特徴とする請求項8あるいは9に記載
    の製造方法。
  13. 【請求項13】 培地中に含有される糖類は、グリセロ
    アルデヒド、エリトロース、アラビノース、キシロー
    ス、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクト
    ース、グリセロール、エリトリトール、キシリトール、
    グルコン酸、グルクロン酸、ガラクツロン酸、マルトー
    ス、スクロース、ラクトースからなる群から選択される
    1種類以上の化合物であることを特徴とする請求項12
    に記載の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記工程1で用いる培地は、有機酸ま
    たはその塩を含有していることを特徴とする請求項8あ
    るいは9に記載の製造方法。
  15. 【請求項15】 培地中に含有される有機酸またはその
    塩は、ピルビン酸、リンゴ酸、乳酸、クエン酸、コハク
    酸、あるいはこれらの塩からなる群から選択される1つ
    以上の化合物であることを特徴とする請求項14に記載
    の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記工程1で用いる培地は、アミノ酸
    またはその塩を含有していることを特徴とする請求項8
    あるいは9に記載の製造方法。
  17. 【請求項17】 培地中に含有されるアミノ酸またはそ
    の塩は、グルタミン酸、アスパラギン酸あるいはこれら
    の塩からなる群から選択される1つ以上の化合物である
    ことを特徴とする請求項16に記載の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記工程1で用いる培地は、炭素数4
    〜12の直鎖アルカン酸あるいはその塩を含有している
    ことを特徴とする請求項8あるいは9に記載の製造方
    法。
  19. 【請求項19】 前記工程1において、微生物の培養
    は、(工程1-1) 前記一般式(18)で示されるω-(置
    換フェニルスルファニル)アルカン酸の少なくとも一種
    類以上ならびにポリペプトンを含有する培地中で微生物
    を培養する工程と、これに続く、(工程1-2) 前記一
    般式(18)で示されるω-(置換フェニルスルファニル)
    アルカン酸の少なくとも一種類以上ならびに有機酸また
    はその塩を含有する培地中で、前記工程1-1で培養さ
    れた微生物を更に培養する工程とを有する、少なくとも
    二段階以上の培養で行うことを特徴とする請求項8ある
    いは9に記載の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記工程1-2で用いる培地中に含有
    される有機酸またはその塩は、ピルビン酸、リンゴ酸、
    乳酸、クエン酸、コハク酸あるいはこれらの塩からなる
    群から選択される1つ以上の化合物であることを特徴と
    する請求項19に記載の製造方法。
  21. 【請求項21】 前記工程1において、微生物の培養
    は、(工程1-3) 前記一般式(18)で示されるω-(置
    換フェニルスルファニル)アルカン酸の少なくとも一種
    類以上ならびに糖類を含有する培地中で微生物を培養す
    る工程と、これに続く、(工程1-4) 前記一般式(1
    8)で示されるω-(置換フェニルスルファニル)アルカン
    酸の少なくとも一種類以上ならびに糖類を含有する培地
    中で、前記工程1-3で培養された微生物を更に培養す
    る工程とを有する、少なくとも二段階以上の培養で行う
    ことを特徴とする請求項8あるいは9に記載の製造方
    法。
  22. 【請求項22】 前記工程1-3ならびに工程1-4で用
    いる培地中に含有される糖類は、グリセロアルデヒド、
    エリトロース、アラビノース、キシロース、グルコー
    ス、ガラクトース、マンノース、フルクトース、グリセ
    ロール、エリトリトール、キシリトール、グルコン酸、
    グルクロン酸、ガラクツロン酸、マルトース、スクロー
    ス、ラクトースからなる群から選択される1つ以上の化
    合物であることを特徴とする請求項21に記載の製造方
    法。
  23. 【請求項23】 下記化学式(19): 【化19】 で表される5-(フェニルスルファニル)吉草酸を含む培
    地中で微生物を培養する工程と、培養された微生物によ
    り生産されたポリヒドロキシアルカノエートを、過酸化
    水素、過炭酸ナトリウム、メタクロロ過安息香酸、過蟻
    酸、過酢酸からなる群から選ばれる一種類以上の過酸化
    化合物で処理する工程とを有し、下記化学式(6): 【化20】 で表される3-ヒドロキシ-5-(フェニルスルフィニル)
    吉草酸ユニットまたは、下記化学式(7): 【化21】 で表される3-ヒドロキシ-5-(フェニルスルホニル)吉
    草酸ユニットのうち、少なくとも1種類以上をポリマー
    分子中に含み、さらに、下記化学式(8): 【化22】 で表される3-ヒドロキシ-5-(フェニルスルファニル)
    吉草酸ユニットをポリマー分子中に含むこともあるポリ
    ヒドロキシアルカノエートを製造することを特徴とする
    請求項8〜22のいずれかに記載のポリヒドロキシアル
    カノエートの製造方法。
  24. 【請求項24】 下記化学式(20): 【化23】 で表される4-(フェニルスルファニル)酪酸を含む培地
    中で微生物を培養する工程と、培養された微生物により
    生産されたポリヒドロキシアルカノエートを、過酸化水
    素、過炭酸ナトリウム、メタクロロ過安息香酸、過蟻
    酸、過酢酸からなる群から選ばれる一種類以上の過酸化
    化合物で処理する工程とを有し、下記化学式(9): 【化24】 で表される3-ヒドロキシ-4-(フェニルフィニル)酪酸
    ユニットまたは、下記化学式(10): 【化25】 で表される3-ヒドロキシ-4-(フェニルスルホニル)酪
    酸ユニットのうち、少なくとも1種類以上をポリマー分
    子中に含み、さらに、下記化学式(11): 【化26】 で表される3-ヒドロキシ-4-(フェニルスルファニル)
    酪酸ユニットを含むこともあるポリヒドロキシアルカノ
    エートを製造することを特徴とする請求項8〜22のい
    ずれかに記載のポリヒドロキシアルカノエートの製造方
    法。
  25. 【請求項25】 下記化学式(21): 【化27】 で表される5-[(4-フルオロフェニル)スルファニル]吉
    草酸を含む培地中で微生物を培養する工程と、培養され
    た微生物により生産されたポリヒドロキシアルカノエー
    トを、過酸化水素、過炭酸ナトリウム、メタクロロ過安
    息香酸、過蟻酸、過酢酸からなる群から選ばれる一種類
    以上の過酸化化合物で処理する工程とを有し、下記化学
    式(12): 【化28】 で表される3-ヒドロキシ-5-[(4-フルオロフェニル)
    スルフィニル)吉草酸ユニットまたは、下記化学式(1
    3): 【化29】 で表される3-ヒドロキシ-5-[(4-フルオロフェニル)
    スルホニル]吉草酸ユニットのうち、少なくとも1種類
    以上をポリマー分子中に含み、さらに、下記化学式(1
    4): 【化30】 で表される3-ヒドロキシ-5-[(4-フルオロフェニル)
    スルファニル]吉草酸ユニットを含むこともあるポリヒ
    ドロキシアルカノエートを製造することを特徴とする請
    求項8〜22のいずれかに記載のポリヒドロキシアルカ
    ノエートの製造方法。
  26. 【請求項26】 下記化学式(22): 【化31】 で表される5-[(3-フルオロフェニル)スルファニル]吉
    草酸を含む培地中で微生物を培養する工程と、培養され
    た微生物により生産されたポリヒドロキシアルカノエー
    トを、過酸化水素、過炭酸ナトリウム、メタクロロ過安
    息香酸、過蟻酸、過酢酸からなる群から選ばれる一種類
    以上の過酸化化合物で処理する工程とを有し、下記化学
    式(15): 【化32】 で表される3-ヒドロキシ-5-[(3-フルオロフェニル)
    スルフィニル]吉草酸ユニットまたは、下記化学式(1
    6): 【化33】 で表される3-ヒドロキシ-5-[(3-フルオロフェニル)
    スルホニル]吉草酸ユニットのうち、少なくとも1種類
    以上をポリマー分子中に含み、さらに、下記化学式(1
    7): 【化34】 で表される3-ヒドロキシ-5-[(3-フルオロフェニル)
    スルファニル]吉草酸ユニットを含むこともあるポリヒ
    ドロキシアルカノエートを製造することを特徴とする請
    求項8〜22のいずれかに記載のポリヒドロキシアルカ
    ノエートの製造方法。
  27. 【請求項27】 工程1においてポリヒドロキシアルカ
    ノエートを生産する微生物が、シュードモナス(Pseudo
    monas)属に属する微生物であることを特徴とする請求
    項8〜26のいずれかに記載の製造方法。
  28. 【請求項28】 前記シュードモナス(Pseudomonas)
    属に属する微生物が、シュードモナス・チコリアイ Y
    N2株(Pseudomonascichorii YN2;FERM BP
    -7375)、シュードモナス・チコリアイ H45株(P
    seudomonas cichorii H45;FERM BP-737
    4)、シュードモナス・ジェッセニイ P161株(Pseu
    domonas jessenii P161;FERM BP-737
    6)のうちから選択される微生物であることを特徴とす
    る請求項27に記載の製造方法。
  29. 【請求項29】 粉粒体の荷電状態を制御する荷電制御
    剤において、化学式(1)、(2)で表されるモノマーユニ
    ットのうち少なくとも1種類のユニットを有するポリヒ
    ドロキシアルカノエートを含有してなり、 【化35】 但し、Rは「H、ハロゲン原子、CN、NO2、COO
    R'、SO2R"(R':H、Na、K、CH3、C25;R":
    OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC
    25)」から任意に選択される。また、xは化学式中に示
    した範囲内から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う
    値をとり得る。さらに、化学式(3)に示されるユニット
    を含むこともある荷電制御剤。 【化36】 但し、Rは「H、ハロゲン原子、CN、NO2、COO
    R'、SO2R"(R':H、Na、K、CH3、C25;R":
    OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、OC
    25)」から任意に選択される。また、xは化学式中に示
    した範囲内から選ばれた整数であり、ユニット毎に違う
    値をとり得る。
  30. 【請求項30】 化学式(1),(2),及び(3)に示される
    ユニット以外に、化学式(4)及び(5)に示されるユニッ
    トの少なくとも一方を含む、請求項29に記載の荷電制
    御剤。 【化37】 y及びzは化学式中に示した範囲内から選ばれた整数であ
    り、(1),(2),(3)で示すユニットと独立してユニット
    毎に違う値をとり得る。
  31. 【請求項31】 前記粉粒体が静電荷像現像トナーであ
    る請求項29あるいは30に記載の荷電制御剤。
  32. 【請求項32】 前記ポリヒドロキシアルカノエートの
    数平均分子量が、1,000〜500,000の範囲であ
    る請求項29〜31の何れかに記載の荷電制御剤。
  33. 【請求項33】 静電荷像現像トナーで用いられるトナ
    ーバインダーにおいて、請求項29〜32の何れかに記
    載の荷電制御剤を含有してなることを特徴とするトナー
    バインダー。
  34. 【請求項34】 静電荷像現像トナーにおいて、少なく
    とも、バインダー樹脂と着色剤と、請求項29〜32の
    何れかに記載の荷電制御剤を含有してなることを特徴と
    する静電荷像現像トナー。
  35. 【請求項35】 外部より帯電部材に電圧を印加して静
    電潜像担持体に帯電を行う工程と、帯電された静電潜像
    担持体に静電荷像を形成する工程と、該静電荷像を静電
    荷像現像トナーにより現像してトナー像を静電潜像担持
    体上に形成する現像工程と、静電潜像担持体上のトナー
    像を被記録材へ転写する転写工程と、被記録材上のトナ
    ー像を加熱定着する定着工程とを少なくとも有する画像
    形成方法において、 少なくとも、バインダー樹脂と、着色剤と、請求項29
    〜32の何れかに記載の荷電制御剤を含有してなる静電
    荷像現像トナーを使用することを特徴とする画像形成方
    法。
  36. 【請求項36】 外部より帯電部材に電圧を印加して静
    電潜像担持体に帯電を行う工程と、帯電された静電潜像
    担持体に静電荷像を形成する工程と、該静電荷像を静電
    荷像現像トナーにより現像してトナー像を静電潜像担持
    体上に形成する現像工程と、静電潜像担持体上のトナー
    像を中間の転写体に転写する第1の転写工程と、該中間
    の転写体上のトナー像を被記録材に転写する第2の転写
    工程と、被記録材上のトナー像を加熱定着する定着工程
    とを少なくとも有する画像形成方法において、 少なくとも、バインダー樹脂と着色剤と、請求項29〜
    32の何れかに記載の荷電制御剤を含有してなる静電荷
    像現像トナーを使用することを特徴とする請求項35に
    記載の画像形成方法。
  37. 【請求項37】 外部より帯電部材に電圧を印加して静
    電潜像担持体に帯電を行う手段と、帯電された静電潜像
    担持体に静電荷像を形成する手段と、該静電荷像を静電
    荷像現像トナーにより現像してトナー像を静電潜像担持
    体上に形成する現像手段と、静電潜像担持体上のトナー
    像を被記録材へ転写する転写手段と、被記録材上のトナ
    ー像を加熱定着する定着手段とを少なくとも有する画像
    形成装置において、 少なくとも、バインダー樹脂と、着色剤と、請求項29
    〜32の何れかに記載の荷電制御剤を含有してなる静電
    荷像現像トナーを使用することを特徴とする画像形成装
    置。
  38. 【請求項38】 外部より帯電部材に電圧を印加して静
    電潜像担持体に帯電を行う手段と、帯電された静電潜像
    担持体に静電荷像を形成する手段と、該静電荷像を静電
    荷像現像トナーにより現像してトナー像を静電潜像担持
    体上に形成する現像手段と、静電潜像担持体上のトナー
    像を中間の転写体に転写する第1の転写手段と、該中間
    の転写体上のトナー像を被記録材に転写する第2の転写
    手段と、被記録材上のトナー像を加熱定着する定着手段
    とを少なくとも有する画像形成装置において、 少なくとも、バインダー樹脂と着色剤と、請求項29〜
    32の何れかに記載の荷電制御剤を含有してなる静電荷
    像現像トナーを使用することを特徴とする請求項37記
    載の画像形成装置。
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JPWO2013022085A1 (ja) * 2011-08-10 2015-03-05 Jsr株式会社 新規重合体、該重合体を含有する表面親水化剤および親水性表面を有する基材の製造方法

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