JP3393171B2 - 捺染用プリンタ - Google Patents

捺染用プリンタ

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JP3393171B2 JP33257996A JP33257996A JP3393171B2 JP 3393171 B2 JP3393171 B2 JP 3393171B2 JP 33257996 A JP33257996 A JP 33257996A JP 33257996 A JP33257996 A JP 33257996A JP 3393171 B2 JP3393171 B2 JP 3393171B2
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裕 恩田
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    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J3/00Typewriters or selective printing or marking mechanisms characterised by the purpose for which they are constructed
    • B41J3/407Typewriters or selective printing or marking mechanisms characterised by the purpose for which they are constructed for marking on special material
    • B41J3/4078Printing on textile
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J11/00Devices or arrangements  of selective printing mechanisms, e.g. ink-jet printers or thermal printers, for supporting or handling copy material in sheet or web form
    • B41J11/0085Using suction for maintaining printing material flat

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Textile Engineering (AREA)
  • Coloring (AREA)
  • Ink Jet (AREA)
  • Treatment Of Fiber Materials (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、布帛を染色するた
めのプリンタ、特に染色用のインクを噴射させて所望の
絵柄による染色を行う捺染用プリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、布帛を染色するための染色法とし
ては、浸染及び捺染法に代表される。特に捺染法におい
ては種々改良が加えられ、かなりの技術水準に達してい
る。しかし、企画、所望の絵柄による彫刻もしくは製
版、捺染糊の作成、生産準備工程等が必要となり、これ
らの工程を経て、初めて所望の絵柄による染色が可能と
なる。そのため、工数及び時間がかかるだけでなく、熟
練等も必要となるため、コスト面での負担が非常に大き
くなる。
【0003】そこで、布帛に染色する手段として、プリ
ント技術を利用する考えが提案され、実施されるように
なってきた。特に、記録紙等に所望の色のインクを選択
的に噴射し、所望の色及び画像を形成できるインクジェ
ット方式のプリンタを用いる方法が提案され、実施に供
されるようになった。このようなプリント方式により布
帛に、所望の絵や模様(絵柄)を簡単に、かつ熟練を要
することなく簡単に染色を行えるようになった。
【0004】また、最近、繊維素材の開発および編織技
術の進歩により、ニーズにあった有毛布帛が生産できる
ようになり、その有毛布帛の用途も格段に広がってきて
いる。このような、有毛布帛を所望の絵柄で捺染する場
合、上述したインクジェット方式のプリントを利用する
と、布帛表面の毛羽にてインク噴射が阻害されたり、イ
ンクの噴射方向が変わり、所望の絵や模様を形成、つま
り捺染できないことがある。
【0005】つまり、インクジェット方式においては、
インクを噴射するインクジェットヘットから、布帛まで
の距離が1〜4mmと非常に狭く、上述した毛羽がイン
クジェットヘッドの噴射ノズル(オリフィス)を閉鎖し
たり、噴射したインクに当接する。そのため、有毛布帛
による染色においては、インクジェット方式によるプリ
ントを利用することが困難となる。
【0006】そこで、有毛布帛を上記インクジェット方
式のプリンタを利用して染色するために、例えば特開平
成7−3667号公報に記載された染色方法が提案され
ている。これは、有毛布帛の表面にまず粘着剤を塗布
し、その後に毛羽を粘着剤にて布帛表面に接着された
後、インクジェット方式のプリンタにて染色を行うもの
である。そのため、毛羽によるインク噴射が阻害される
ことなく、所望の絵柄、さらに所望の色による捺染を行
える。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上のように特開平7
−3667号公報に記載の染色方法によれば、有毛布帛
においてもインクジェット方式のプリンタを利用して簡
単に、所望の絵柄による捺染を行える。
【0008】しかし、捺染を行う前に布帛の面の毛羽を
一定に均す処理が必要となる。そのため、染色を行う前
処理が非常に複雑になりコスト高になる。しかも、染色
を行った後、粘着剤を除去し、布帛表面に接着し寝かせ
た有毛を立たせようとすると、粘着剤の除去により染色
後の色落ちや、ボケ等、後処理においても問題が残る。
【0009】本発明は、上述のような問題点に鑑み、簡
単な構成により布帛の毛羽による問題を解消し、染色前
の前処理及び後処理を全く必要としない捺染用のプリン
タを提供することを目的とする。
【0010】特に、本発明の目的は、インクジェット方
式による捺染用プリンタであって、上述したように毛羽
の問題を解消し、インクを所望の位置へと到達させて所
望の色及び絵柄を捺染できるようにすることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明による上述した目
的達成するための捺染用プリンタは、インクを噴射する
インクジェットヘッドに対向する位置に布帛を搬送し、
該搬送される布帛に噴射されるインクにより染色を行う
捺染用プリンタにおいて、上記インクジェットヘッドと
対向する布帛の背面よりエアーを吸引する吸引手段を設
ける。これにより、エアーが布帛を介して吸引されるた
め、インクジェットヘッドと対向する布帛表面の毛羽
が、布帛表面に密着するように倒れる(寝る)。この状
態においてインクジェットヘッドより絵柄等に応じてイ
ンクを噴射させることで、噴射されるインクが阻害され
たりインク噴射を阻害させる毛羽の影響を受けずに所望
の絵柄による捺染を簡単に行える。
【0012】この場合、上記布帛の背面に、開口部を備
え上記吸引手段に連結されたプラテンを備えるようにす
れば、インクが到達する領域における布帛表面の毛羽を
確実に寝かせることが可能となる。つまり、プラテンの
開口部を覆うように布帛を搬送するように構成できるた
め、エアー吸引の効果を高め、毛羽による影響を抑制で
きる。
【0013】また、上記プラテンの開口部にエアー吸引
を行えるメッシュを配置するようにしておけば、エアー
吸引に布帛が開口部内に入り込み大きく湾曲する状態を
解消できる。これより、インクが布帛表面に到達する距
離を一定量に抑えることが可能となり、インクを決めら
れた位置へと確実に噴射することができ、絵柄等の歪み
を解消できる。
【0014】一方、上述した目的を達成するための本発
明による他の構成による捺染用プリンタは、インクを噴
射するインクジェットヘッドに対向する位置に布帛を搬
送し、該搬送される布帛に噴射されるインクにより染色
を行う捺染用プリンタにおいて、上記インクジェットヘ
ッド側より対向する布帛側へとエアーを吐出する手段を
設けたことを特徴とする。
【0015】このような構成においても、布帛表面、つ
まりインクジェットヘッドと対向する表面の毛羽が、そ
の前面より吐出されるエアーにより倒され、この毛羽に
てインク噴射及び噴射されたインクの方向を阻害するこ
とがなくなり、インクを決められた位置へと到達させ、
所望の絵柄を歪みなく捺染できる。
【0016】この場合、上記インクジェットヘッドに、
インク噴射を行うオリフィスの周囲を覆うように複数の
吐出穴を設けておけば、インク噴射を行う領域での毛羽
立ちを抑える作用を助長される。
【0017】さらに、本発明の目的を達成するための他
の構成による捺染用プリンタは、インクを噴射するイン
クジェットヘッドに対向する位置に布帛を搬送し、該搬
送される布帛にインクによる染色を行う捺染用プリンタ
において、上記インクジェットヘッドと対向する布帛の
背面よりエアーを吸引する吸引手段と、インクジェット
ヘッド側より対向する布帛側へエアーを吐出する手段と
を設けたことを特徴とする。
【0018】この構成によれば、布帛の背面よりエアー
吸引され、さらに前面よりエアーが吐出され、インクジ
ェットヘッドと対向する布帛表面の毛羽立ちをより効果
的に抑制できる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に本発明による布帛に所望の
絵柄による捺染を行う各実施形態について、図面を参照
して詳細に説明する。図1は、本発明の一つの実施形態
による捺染用プリンタの構造を示す模式図、図2は図1
による染色を行う時の布帛表面の状態の動作説明に供す
る図、図3は図1における捺染用プリンタ、特にインク
ジェット方式によるプリンタの外観を示す斜視図、図4
は捺染用プリンタを構成するインクを噴射するインクジ
ェットヘッドのインク噴射面側から見た斜視図、図5は
図4によるインク噴射を行うための基本構成を示す断面
図である。
【0020】まず、図3乃至図5に従って捺染用プリン
タを構成するインクジェット方式のプリンタの構造につ
いて説明する。
【0021】図3において、プリンタ本体1の両側のフ
レームに固定された2本のスライド軸2,3上に、スラ
イド可能なキャリッジ4が設けられており、該キャリッ
ジ4上にインクカートリッジ5及びインクジェットヘッ
ド6が搭載されている。
【0022】上記インクジェットヘッド6は、スライド
軸2,3の方向に沿って移動する時に、選択的にインク
が噴射され、そのインク噴射前面に位置する記録媒体、
ここでは布帛に所望の絵柄による記録を行う。その布帛
が位置する側には、インク噴射面に対向するようにプラ
テン7が、スライド軸2,3と平行になるように配置さ
れている。
【0023】上記プラテン7は、図1に示すように、そ
の背面部分よりエアーを吸引する図示しない吸引手段と
エアー通路にて連結されており、前面、つまりインクジ
ェットヘッド6と対向する部分が開口されている。
【0024】また、インクジェットヘッド6は、図4に
示すように各色に対応するインク噴射を行うオリフィス
6aを有したそれぞれの噴射面6−1〜6−8を備え、
該インク噴射面にはそれぞれ多数のインク噴射のための
オリフィス6aが形成されている。また、上記各色のイ
ンク噴射部分に対応して、それぞれの色の染色するため
のインクを貯蔵したインクカートリッジ5−1〜5−8
が設けらている。
【0025】このインクカートリッジ5は、インク噴射
を行う上記オリフィス6a部分まで通じるインク供給通
路と連通するようになっており、インク供給通路の途
中、つまりオリフィス6aの手前に配置されているイン
ク圧力室へとインクを常に供給する。図4においては、
色数を8色としてインクカートリッジ5を8色に対応さ
せるように設けている。これは、何色でもよく、各種色
を重ね合わせにより再現できる場合には、少なくともイ
エロー、マゼンタ、シアンのインクカートリッジと、黒
に対応するインクを含む4色のインクカートリッジを用
意することもできる。また、重ね合わせにより各種色を
再現できない場合には、それぞれの色の染色用インクに
対応するように設けることもできる。
【0026】上記インクカートリッジ5は、それぞれに
おいてインクジェットヘッド6に対して着脱可能に設け
られており、貯蔵したインクがなくなれば交換される。
このインクカートリッジ5に限らず、インクジェットヘ
ッド6以外に設けた大型のインクタンクよりインク供給
通路を構成する可撓性パイプ等を介してインクジェット
ヘッド6の上述したインク供給路を連通するようにして
もよい。
【0027】次に、図5において、インクジェットヘッ
ド6よりインクを噴射させるための構造及び噴射させる
ための原理を説明する。図において、インクジェットヘ
ッド6は、その内部にインクを噴射するインク噴射面6
−1に設けたオリフィス6aに連通するインク供給路の
途中に圧力室6bが設けられており、その圧力室6bに
対応してピエゾ振動子8が設けられている。上記圧力室
6bには上述したインクカートリッジ5内のインクが毛
細管力により、途中に配置されたフィルタ6cを介して
供給される。
【0028】従って、圧力室6bには常にインクが満た
されており、上記ピエゾ振動子8に電圧9を選択的に供
給するためのスイッチ10をON−OFF制御すること
で、圧力室6b内のインクがオリフィス6aより噴射さ
れる。つまり、スイッチ10がONされると、電圧9が
ピエゾ振動子8に供給され、圧力室壁面の板とのユニモ
ルフ動作により圧力室6b側にピエゾ振動子8が撓み
(図5(b)参照)、圧力室6b内の容積が減少する。
この時に生じる圧力波により、圧力室6b内のインク
は、図5(b)に示すようにインク滴Dとして噴出され
る。
【0029】上記噴出されるインク滴Dは、前面に配置
された布帛に到達し、インクの色による絵柄等の染色を
行える。そして、インクジェットヘッド6がスライド軸
2,3方向に沿って移動する時に、上記スイッチ10を
選択的にON−OFF駆動制御することで所望の絵柄に
よる捺染を行える。
【0030】図5において、ピエゾ振動子8への電圧の
供給が解かれると、ピエゾ振動子8が元の形状に戻る時
の圧力室6b内の体積変化により、インクが圧力室6b
へと供給される。従って、インク圧力室6bには常にイ
ンクにて満たされた状態となっている。
【0031】(第1の実施形態)以下に図1において、
本発明による一実施形態による捺染用プリンタの構成を
説明する。
【0032】インクジェットヘッド6のインク噴出面
(6−1〜6−8)に対向するプラテン7部分は、図に
示すように開口部7aを備え、その背面にはエアー吸引
を行うエアーサクション手段(吸引手段)にエアー通路
を介して連通された吸引口7bが設けられている。この
プラテン7の開口部7aには、本発明にかかる布帛11
が供給ローラ12を介して送り込まれる。また、布帛1
1は、プラテン7の開口部7aを通過後には、送り出し
ローラ13を介して送られる。
【0033】つまり、布帛11は、プラテン7のインク
ジェットヘッド6のインク噴射面と対向する前後におい
て供給ローラ12及び送り出しローラ13間に張架され
るようにして搬送される。従って、供給ローラ12及び
送り出しローラ13との間に、プラテン7の開口部7a
が位置するように、そしてインクジェットヘッド6の噴
射面が対向するように位置する。
【0034】また、前面に開口部7aを背面に吸引口7
bを有したプラテン7は、上述した供給ローラ12及び
送りローラ13により送される布帛11を、布帛背面よ
りエアー吸引を行うことになる。図2(a)には、布帛
11表面に毛羽立ちが生じている状態を示している。こ
の布帛11の背面よりエアー吸引を行うと、布帛11の
インクジェットヘッド6との対向面側の毛羽11aが、
吸引されるエアーにより、図2(b)に示すように布帛
11表面に倒れるように吸着される。この状態で、イン
クジェットヘッド6より選択的にインクを噴射させれ
ば、毛羽11aによるインクの噴射が阻害されることな
く、布帛11の所望の位置へとインクが到達し、絵柄等
に従って順次染色していく。
【0035】つまり、図2(a)の状態において、エア
ー吸引を行わなければ、布帛11の毛羽にてインクジェ
ットヘッド6のインク噴射面6−1等に接触し、インク
噴射を行うオリフィス6aを閉鎖したりする。しかし、
エアー吸引を行うことで、図2(a)の状態から図2
(b)の状態になり、毛羽11aが布帛11面に倒れる
たて吸着されるため、噴射されるインクの方向等が変化
することもなく、正常な位置への記録、つまり染色を行
うことができる。
【0036】ここで、プラテン7の開口部7aは、イン
クジェットヘッド6がスライド軸2,3方向に沿って移
動する範囲の長さに渡って形成されている。そのため、
エアー吸引を行っている時に、布帛11が同時にエアー
吸引方向に変位され、湾曲する。つまり、プラテン7の
開口部7aの中空部にエアー吸引により引っ張られ、一
部が入り込む。
【0037】このような湾曲、つまり凹部が形成される
と、インクジェットヘッド6より噴出されるインク滴D
の到達位置がずれる。そのため、インクジェットヘッド
6と対向する布帛11を常に一定不変の面状態にしてお
くことが重要となる。
【0038】上記布帛11の湾曲状態を軽減し、インク
滴Dの到達位置がずれる現象を小さくするためには、図
1において開口部7aに布帛11が送り込まれる前、及
び後において設けられている供給ローラ12及び送り出
しローラ13にて布帛11をプラテン7の開口部7aの
下縁、上縁に密着するように搬送するようにすると同時
に、上記両ローラ12、13間で作用する力を均等にな
るようにする。例えば、図1において供給ローラ12と
送り出しローラ13との間の中間に、プラテン7の開口
部7aが位置するうようにし、上記両ローラ12,13
にて布帛11の搬送に作用する力が均等になるようにす
ることで、布帛11はプラテン7の開口部7aの上下縁
を挟んで引っ張られ、そのエアー吸引時に、中空部に入
り込むのを阻止できる。この場合、布帛11を図におい
て上下に引っ張り、プラテン7の開口部7aの上下縁に
密着させるため、エアーの吸引を効果的に利用できる。
その結果、布帛11のインクジェットヘッド6と対向す
る面側の毛羽を布帛11面に寝かせる効果が高まる。
【0039】また、供給ローラ12及び送り出しローラ
13の配置位置としては、図1に示す通り、プラテン7
側に少し入り込む状態にしておけば、布帛11は、プラ
テン7の開口部7aの上下縁に適度の圧力でもって接触
する状態で搬送される。このようにすれば、布帛11を
上下で引っ張るように搬送できるため、開口部11の吸
引方向へと湾曲するのを軽減でき、平面状態に維持でき
る。しかも、布帛11がプラテン7の開口部7aに密着
するため、開口部7aが布帛11にて確実に覆われ、エ
アー吸引効率が高まる。その結果、図2(b)に図示す
る布帛11の毛羽11aを確実に布帛表面に吸着させる
効果が助長される。
【0040】さらに、布帛11を効率よく供給ローラ1
2と送り出しローラ13とで引っ張るようにして搬送す
るには、送り出しローラ13の送り速度を、供給ローラ
12の送り速度より少し速くする。これにより、布帛1
1は、適度のテンションを付加した状態で搬送できるた
め、上述したエアー吸引により湾曲するのを阻止できる
効果がある。
【0041】一方、図6に示すようにプラテン7の開口
部7aの全域にメッシュ(金網)14を張り付ける。つ
まり、布帛11はメッシュ14を介してエアー吸引され
る。そのため、メッシュ14にて布帛11がプラテン7
の中空部内に入り込むのを阻止している。
【0042】メッシュ14は、エアーが通過できるよう
にすると同時に、布帛11の表面の湾曲を阻止するため
に設けられている。このメッシュ14は、布帛11の毛
羽11aを布帛11面に吸着できるエアーの量を通気で
きる大きさの開孔面積を必要とする。つまり、エアーを
吸引を効率よく行うためには、上記面積を大きくした方
が布帛11の毛羽11aを寝かして吸着させる効果が高
まる。しかし、あまり大きくすると、メッシュ14を設
ける意味がなくなる。それは、エアーの吸引により腰の
ない布帛11が開孔部に入り込む量が多くなる。これ
は、メッシュ14による一つの開孔部分の面積を大きく
すると、それに応じて布帛11に凹部が形成され、その
凹部が大きくなる。これを解消するメッシュ14の開孔
の大きさ、特に面積としては25cm2以下にするとよ
い。
【0043】また、メッシュ14は、図7(a)に示す
ように横糸14aと縦糸14bとを交互に編んで構成さ
れており、その時の横及び縦糸の径により図7(b)に
示すように凹凸面の大きさが決まる。そして、メッシュ
14を各縦及び横糸で編み込んだ状態で形成される凹凸
面に沿って布帛11が密着する。そのため、布帛11の
凹凸状態が大きくなれば、当然噴射されたインク滴の到
達位置がずれる。そのため、正常な記録(染色)が行え
なくなる。上記の凹凸としては、0.5mm以下にする
必要がある。この値としては、布帛11の凸面から凹面
までの長さである。
【0044】上述に示した凹凸を0.5mm以下にする
根拠を以下に示す。上述したインクジェットによるプリ
ンタにて、180dpi(1インチに形成できるドット
の数)、5kHzで記録を行う場合、インクジェットヘ
ッド6の移動速度は70.5cm/secとなる。ま
た、インクジェットヘッド6からのインクの吐出速度
は、6m/secにする。
【0045】この時、インク滴の吐出方向は、6m/s
ecと0.705m/secのベクトル方向に飛翔す
る。そのため、インクジェットヘッド6と布帛11間の
距離が凹部が形成されることで離れれば、インク滴の布
帛11への到達位置がずれる。この場合、インクジェッ
トヘッド6と布帛11間の距離が一定、つまり凹凸がな
い状態でずれ量がなくなる。しかし、上述したように凹
凸の差がおおきくなれば、どうしてもずれ量が大きくな
り、インク滴により形成される絵柄等の像が乱れる。
【0046】そのため、そのずれ量としては、1/2ド
ット(0.0705mm)以下の場合には、形成画像と
してはあまり損傷のないものとなる。下記の表1には、
インクジェットヘッド6と布帛11との距離、及びイン
クの吐出速度の変化に応じてインク滴のずれ量を示し
た。
【0047】
【表1】
【0048】表1から理解できるように、インクの吐出
速度を早くすれば、そのずれ量が小さくなる。そのた
め、インクの吐出速度が一定でれば、常にそのずれ量が
一定となり、布帛11面が凹凸のない平面であれば、そ
のズレが無くなる。そして、布帛11に凹凸面が生じ、
その差が1mm以上となれば、インク吐出速度を上げて
も、ずれ量が0.705mm以下にはならない。そのた
め、凹凸面において0.5mm以下に設定すれば、6m
/secのインク吐出速度においても、そのずれ量を
0.0588以下に抑えることができる。
【0049】よって、メッシュ14を設ける場合には、
布帛11の凹凸面での凹凸の差が0.5mm以下になる
ように、縦糸14a及び横糸14bの径やその間隔を設
定して編み込んだものを使用するとよい。この場合、メ
ッシュ14の開孔面積は25cm2以下にする。
【0050】なお、メッシュ14を構成する縦及び横糸
の材質として、金属に限らず樹脂にて構成してもよい。
つまり、エアー吸引されることで変形することのない材
質のものを利用できる。
【0051】(第2の実施形態)第1の実施形態にて説
明したように布帛11の背面よりエアーを吸引すること
で、布帛11のインクジェットヘッド6と対向する面の
毛羽11aを図2(b)に示すように吸引して寝かせる
ようにしている。このように、毛羽11aを寝かせるた
るためには、布帛11の背面を負圧にする他に、その前
面、つまり図2(c)に示すようにインクジェットヘッ
ド6と対向する面側よりエアーを吹き付けて毛羽を寝か
すこともできる。この方法を、第2の実施形態として以
下にその構成及び作用を説明する。
【0052】図8は該実施形態によるインクジェットヘ
ッド6の一例を示す斜視図である。該図において、イン
クジェットヘッド6には、インクを供給するインク供給
路とは別に、エアーをインク噴射面6−1〜6−8と同
一面より吐出するエアー供給路60が形成されている。
この供給路60は、インクジェットヘッド6の背面にエ
アー供給穴61を備え、該エアー供給穴61はブロワー
と通気管を介して連通されている。
【0053】そして、インクジェットヘッド6のインク
噴射面側には、多数のエアーの吐出穴62が形成されて
おり、該吐出穴62は上記供給路60に連通孔63を介
して連通されている。特に吐出穴62は、インク噴射面
6−1〜6−8の周囲を囲むように等間隔に配置され、
それぞれの吐出穴62には連通孔63を介して上記共通
の供給路60に連通されている。
【0054】以上の構成により、インクジェットヘッド
6をスライド軸2,3に沿って移動させるときに、イン
クが選択的に噴射される。この噴射動作に合わせて、ブ
ロワーからおくられてくるエアーは、エアー供給路60
を介して吐出穴62より吐出される。この時、図2
(c)に示すように、布帛11の毛羽11aが吐出され
るエアーにて布帛11面へと倒れ込む。そのため、毛羽
11aによるインク滴の噴射方向や、噴射状態を妨げる
要因を無くし、決められた位置へとインクを到達させ、
布帛11への染色が行われることになる。
【0055】図8に示すように、インク滴はオリフィス
6a・・・より噴射されるため、それらのオリフィス6
aからのインク滴が、布帛11表面の毛羽11aに影響
されずに布帛11に正確に到達させるためにも、吐出穴
62から均等にエアーを吐出させることが重要となる。
そのため、吐出穴62は等間隔に、かつオリフィス6a
を囲むようにエアー吐出を行うようにするとよい。
【0056】しかも、吐出穴62は、オリフィス6aよ
り大きく離れると、インク噴射により記録時に布帛11
の毛羽11aを寝かす効果がなくなる。そのためにも、
オリフィス6aから10mm以内に設けるようにする。
この時、エアーの吐出方向としては、インク滴が布帛1
1に到達する近辺になるようにすると、より正確にイン
ク滴による染色を行える。
【0057】また、吐出穴62からのエアーの吐出量と
しては、常に一定量となるようにする必要がる。また複
数の吐出穴62からの各吐出量も一定になるようにする
ことも重要となる。そのためにも、一つの供給穴61に
て共通の供給路60を介して上記吐出穴62へと向かう
ため、その供給路60が短いと、吐出穴62より吐出す
るエアーの量が部分的に不均衡になり、また長いと吐出
量が弱くなるため、その供給路60の長さとしては10
mm以内にするとよい。
【0058】最後に、吐出穴62からのエアーを吐出さ
せる時の圧力としては、大気圧に対して1.2〜3倍、
特に1.5〜2倍程度の範囲に設定すればよい。
【0059】なお、該実施形態においては、布帛11の
搬送を行うための手段としては、図1に示すように開口
部7aを有するプラテン7に対して、開口部を備えない
平面形状のプラテン7を用いて行うようにすればよい。
これにより、布帛1のインク噴射面側を平面状態に保っ
て搬送することができる。しかし、従来より利用されて
いるロール形状のプラテンを用い、該ロール形状のプラ
テンを布帛11の搬送手段として兼用することもでき
る。
【0060】また、エアーを布帛11の前面より吐出さ
せるようにするため、図6に示すように布帛11の背面
にメッシュ14を配置し、前面よりエアーを吐出さるよ
うにしてもよい。
【0061】そこで、第1の実施形態によるエアーの吸
引と同時に第2の実施形態によるエアー吐出によるもの
を適用してもよい。つまり、布帛11の背面を負圧にな
るように構成し、布帛11の前面、つまりインクジェッ
トヘッド6と対向する面側ではエアーを吐出するように
する。これによりエアーの吐出量を抑えることができる
一方、背面よりエアーを吸引する量をも少なくできる。
このため、布帛11のエアー吸引時の凹凸面の状態を軽
減できる。また、インク滴の飛翔方向をエアーの流れで
邪魔する危険性を無くすこともできる。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように本発明の捺染用プリ
ンタによれば、布帛の毛羽による影響を効果的に無くし
た状態で、インク噴射による良好なる染色を行える。
【0063】この場合、インク噴射による染色を行う時
に、前処理等が不要になると同時に、染色後に不要な塗
布剤等を除去する後処理等も必要もなくなる。
【0064】また、エアーを利用しているため、染色用
インクが滲んだりボケたりすることはなく、繊細な絵柄
においても対応できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における捺染用プリン
タの構造を示す模式図である。
【図2】本発明の捺染用プリンタにより捺染を行うため
の布帛の表面状態を説明するために供する図である。
【図3】本発明の捺染用プリンタを構成するインクジェ
ット方式によるプリンタ構造を示す斜視図である。
【図4】図3におけるインクジェットヘッドのインク噴
射面から見た斜視図である。
【図5】インクを噴射させるための機構及び原理を説明
するための図である。
【図6】本発明の第1の実施形態による捺染用プリンタ
の他の構造を示す模式図である。
【図7】図6に用いられるメッシュの構造及びメッシュ
を用いた時の布帛の表面状態を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態における捺染用プリン
タを構成するインクジェットヘッドを示すものであっ
て、インク噴射面よりエアーを吐出するエアーの供給路
を透過的に図示した斜視図である。
【符号の説明】
1 プリンタ本体 2 スライド軸 3 スライド軸 4 キャリッジ 5 インクカートリッジ 6 インクジェットヘッド 7 プラテン 7a 開口部 7b エアー吸引口 8 ピエゾ振動子 9 電圧 10 スイッチ 11 布帛 11a 毛羽 12 供給ローラ 13 送り出しローラ 14 メッシュ 60 エアー供給路 61 供給口 62 エアー吐出穴 63 連通孔
フロントページの続き (72)発明者 越智 教博 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (72)発明者 恩田 裕 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (72)発明者 山下 倫弘 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−3667(JP,A) 特開 昭48−98178(JP,A) 特開 平3−180348(JP,A) 特開 平2−286340(JP,A) 特開 平7−25083(JP,A) 特開 平5−31888(JP,A) 特開 昭64−45668(JP,A) 特開 平4−338545(JP,A) 特開 昭64−11869(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06P 5/00 B41J 2/01

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクを噴射するインクジェットヘッド
    に対向する位置に布帛を搬送し、該搬送される布帛にイ
    ンクによる染色を行う捺染用プリンたにおいて、上記布帛の背面に、開口部を備え、該開口部を介してエ
    アーを吸引する吸引手段と連結されるプラテンを備え、 上記開口部にメッシュを配置し、 上記インクジェットヘッドにインク噴射するオリフィス
    の周囲を囲うように等間隔に配置され、上記プラテン方
    向にエアー吐出するための複数のエアー吐出穴からなる
    エアー吐出手段を設け、 上記吸引手段及びエアー吐出手段を同時に行うようにし
    ことを特徴とする捺染用プリンタ。
  2. 【請求項2】上記メッシュは0.5mm以下の凹凸面で
    あることを特徴とする請求項1記載の捺染用プリンタ。
  3. 【請求項3】上記エアー吐出手段は、通気管を介して連
    通されエアーを供給する一つのエアー供給穴と、該エア
    ー供給穴と上記複数のエアー吐出穴にそれぞれの連通孔
    を介して連通させるためのエアー供給路と、を備えたこ
    とを特徴とする請求項1記載の捺染用プリンタ。
  4. 【請求項4】上記エアー供給穴から上記エアー吐出穴に
    連通する連通孔までの上記エアー供給路の長さを10m
    m以内に設定したことを特徴とする請求項3記載の捺染
    用プリンタ。
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