JP2007237689A - 液体吐出装置、画像形成装置、及び液体吐出装置のメンテナンス方法 - Google Patents

液体吐出装置、画像形成装置、及び液体吐出装置のメンテナンス方法 Download PDF

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Abstract

【課題】吸引動作又は加圧動作をノズル毎に選択的に行えるようにし、無駄なインク消費量を大幅に低減可能にする。
【解決手段】 液体を吐出する複数のノズルと、ノズル開口面の各ノズルの開口周辺にそれぞれ形成され、親水状態と撥水状態を相互に遷移可能な親水/撥水遷移領域と、前記親水/撥水遷移領域を親水化又は撥水化させる切替手段と、前記ノズルの内外部の圧力差を制御する圧力制御手段と、を備え、異常ノズルの開口周辺の親水/撥水遷移領域が親水化され、且つ、正常ノズルの開口周辺の親水/撥水遷移領域が撥水化された状態で、前記圧力制御手段は前記正常ノズルの開口でメニスカスが維持されるように前記ノズルの内外部の圧力差を制御することを特徴とする液体吐出装置を提供することにより、前記課題を解決する。
【選択図】 図5

Description

本発明は、液体吐出装置、画像形成装置、及び液体吐出装置のメンテナンス方法に係り、特に、液体を吐出させる複数のノズルを有する液体吐出装置において、各ノズル内の液体の吸引又は加圧をノズル毎に選択的に行うことができる液体吐出装置に関する。
近年、インクジェット方式のヘッドを搭載したインクジェット記録装置が広く普及している。この種のヘッドには多数のノズルが設けられ、例えば、圧電素子(ピエゾ素子)に代表されるアクチュエータの変形を利用して、ノズルに連通する圧力室内のインクを加圧することにより、ノズルからインク滴を吐出する。
ところで、印字中又は待機中において、特定のノズルの使用頻度が低くなり、ノズル近傍のインク粘度が上昇した場合、その劣化インクを排出すべくキャップに向かって予備吐出が行われる。しかし、ノズル近傍のインクの粘度上昇があるレベル以上に上昇した場合、或いはノズルや圧力室に気泡が混入した場合には、吐出駆動用のアクチュエータ(圧電素子)を動作させてもノズルからインク滴を吐出できなくなる。このような場合、ヘッドのノズル面に、圧力室内のインクをポンプ等で吸い込む吸引手段としてキャップを当接させて、気泡が混入したインク又は増粘インクを吸引する動作が行われる。しかしながら、このような吸引動作は全ノズルを対象にして行われるため、インクが無駄に消費されてしまうといった問題がある。
このような問題に対処するため、例えば、特許文献1には、キャップを複数の領域に分け、各領域と吸引ポンプを個別に接続する個別吸引管にそれぞれ開閉弁(バルブ)を設け、吸引動作を複数のノズル毎に選択的に行えるようにしたインクジェットプリンタが開示されている。
特開2000−225715号公報
しかしながら、特許文献1に記載のインクジェットプリンタでは、無駄なインク消費量の低減に限界がある。なぜなら、同インクジェットプリンタにおいて無駄なインク消費量を低減させるためには、各領域に対応するノズル数を減らす必要がある。しかし、このためにはキャップの領域数を増やさなければならず、開閉弁の数が増加してしまう。このようなことは、コストや開閉弁の設置場所から考えると望ましくないことである。理想的には、吸引動作をノズル毎に選択的に行えるようにすることであるが、ノズル数と同数の開閉弁を設けることは現実的でない。
このような問題は吸引を利用してノズルや圧力室内のインクを入れ替える方式に限定されず、ヘッド内部のインク加圧を利用する方式についても同様である。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、吸引動作又は加圧動作をノズル毎に選択的に行えるようにし、無駄なインク消費量を大幅に低減可能な液体吐出装置、画像形成装置及び液体吐出装置のメンテナンス方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、液体を吐出する複数のノズルと、ノズル開口面の各ノズルの開口周辺にそれぞれ形成され、親水状態と撥水状態を相互に遷移可能な親水/撥水遷移領域と、前記親水/撥水遷移領域を親水化又は撥水化させる切替手段と、前記ノズルの内外部の圧力差を制御する圧力制御手段と、を備え、異常ノズルの開口周辺の親水/撥水遷移領域が親水化され、且つ、正常ノズルの開口周辺の親水/撥水遷移領域が撥水化された状態で、前記圧力制御手段は前記正常ノズルの開口でメニスカスが維持されるように前記ノズルの内外部の圧力差を制御することを特徴とする液体吐出装置たことを特徴とする液体吐出装置を提供する。
本発明によれば、複数のノズルのうち異常ノズルのみを対象にした個別吸引又は個別加圧を行うことができる。即ち、吸引動作又は加圧動作をノズル毎に選択的に行うことができるようになり、無駄なインク消費量を大幅に低減することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1の一実施態様であり、前記圧力制御手段は、前記ノズルの内外部の圧力差をΔP、前記親水/撥水遷移領域が親水状態のときに前記正常ノズルの開口でメニスカスが維持できる最低圧力差をΔP′、ノズル径をD、前記液体の表面張力をγとしたとき、次式 ΔP′<|ΔP|<(4γ/D)を満足するように制御することを特徴とする。
請求項2の態様によれば、正常ノズルのメニスカスを維持することができ、更に、異常ノズルから吸引することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2の一実施態様であり、前記親水/撥水遷移領域は、第1の光照射によって親水化し、第2の光照射によって撥水化することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1又は請求項2の一実施態様であり、前記親水/撥水遷移領域は、第1の光照射によって親水化し、所定の力が付与されると撥水化することを特徴とする。
親水/撥水遷移領域には、例えば、紫外光照射で親水化し、可視光照射で撥水化する態様や、紫外光照射で親水化し、所定の力を付与することで撥水化する態様等がある。
請求項5に記載の発明は、請求項4の一実施態様であり、前記親水/撥水遷移領域は、ワイピング動作により撥水化することを特徴とする。
請求項5の態様によれば、ノズル開口面(ノズル面)に付着したインク滴等の拭き取りと同時に、親水/撥水遷移領域を撥水化できるので、メンテナンス工数を減らすことができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の液体吐出装置を備えたことを特徴とする画像形成装置を提供する。
また前記目的を達成するために、請求項7に記載の発明は方法発明を提供する。即ち、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の液体吐出装置において、異常ノズルの開口周辺の親水/撥水遷移領域が親水状態となり、且つ、正常ノズルの開口周辺の親水/撥水遷移領域が撥水状態となるように各親水/撥水遷移領域の状態切替を行う切替工程と、前記切替工程の後、メニスカスが前記正常ノズルの開口で維持されるように前記圧力差を制御する圧力制御工程と、前記圧力制御工程の後、全ての親水/撥水遷移領域を撥水化する撥水化工程と、を含むことを特徴とする液体吐出装置のメンテナンス方法を提供する。
本発明によれば、複数のノズルのうち異常ノズルのみを対象にした個別吸引又は個別加圧を行うことができる。即ち、吸引動作又は加圧動作をノズル毎に選択的に行うことができるようになり、無駄なインク消費量を大幅に低減することができる。
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態(第1及び第2の実施形態)について詳説する。
〔第1の実施形態〕
まず、本発明に係る画像形成装置の一実施形態であるインクジェット記録装置について説明する。図1はインクジェット記録装置の概略を示す全体構成図である。同図に示すように、このインクジェット記録装置10は、インクの色毎に設けられた複数のヘッド12K、12C、12M、12Yを有する印字部12と、各ヘッド12K、12C、12M、12Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、記録紙16を供給する給紙部18と、記録紙16のカールを除去するデカール処理部20と、前記印字部12のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙16の平面性を保持しながら記録紙16を搬送する吸着ベルト搬送部22と、印字部12による印字結果を読み取る印字検出部24と、印画済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部26と、を備えている。
図1では、給紙部18の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
ロール紙を使用する装置構成の場合、図1のように、裁断用のカッター28が設けられており、該カッター28によってロール紙は所望のサイズにカットされる。カッター28は、記録紙16の搬送路幅以上の長さを有する固定刃28Aと、該固定刃28Aに沿って移動する丸刃28Bとから構成されており、印字裏面側に固定刃28Aが設けられ、搬送路を挟んで印字面側に丸刃28Bが配置されている。なお、カット紙を使用する場合には、カッター28は不要である。
複数種類の記録紙を利用可能な構成にした場合、紙の種類情報を記録したバーコードあるいは無線タグ等の情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される用紙の種類を自動的に判別し、用紙の種類に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
給紙部18から送り出される記録紙16はマガジンに装填されていたことによる巻き癖が残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部20においてマガジンの巻き癖方向と逆方向に加熱ドラム30で記録紙16に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
デカール処理後、カットされた記録紙16は、吸着ベルト搬送部22へと送られる。吸着ベルト搬送部22は、ローラー31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する部分が平面をなすように構成されている。
ベルト33は、記録紙16の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引孔(不図示)が形成されている。図1に示したとおり、ローラー31、32間に掛け渡されたベルト33の内側において印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する位置には吸着チャンバー34が設けられており、この吸着チャンバー34をファン35で吸引して負圧にすることによってベルト33上の記録紙16が吸着保持される。
ベルト33が巻かれているローラー31、32の少なくとも一方にモータ(不図示)の動力が伝達されることにより、ベルト33は図1において、時計回り方向に駆動され、ベルト33上に保持された記録紙16は、図1の左から右へと搬送される。
縁無しプリント等を印字するとベルト33上にもインクが付着するので、ベルト33の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部36が設けられている。ベルト清掃部36の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、あるいはこれらの組み合わせなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラー線速度を変えると清掃効果が大きい。
なお、吸着ベルト搬送部22に代えて、ローラー・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラー・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面にローラーが接触するので、画像が滲み易いという問題がある。従って、本例のように、印字領域では画像面と接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
吸着ベルト搬送部22により形成される用紙搬送路上において印字部12の上流側には、加熱ファン40が設けられている。加熱ファン40は、印字前の記録紙16に加熱空気を吹きつけ、記録紙16を加熱する。印字直前に記録紙16を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
印字部12は、最大紙幅に対応する長さを有するライン型ヘッドを紙搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に配置した、いわゆるフルライン型のヘッドとなっている。印字部12を構成する各ヘッド12K、12C、12M、12Yは、本インクジェット記録装置10が対象とする最大サイズの記録紙16の少なくとも一辺を超える長さにわたってインク吐出口(ノズル)が複数配列されたライン型ヘッドで構成されている。
記録紙16の搬送方向(紙搬送方向)に沿って上流側(図1の左側)から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の順に各色インクに対応したヘッド12K、12C、12M、12Yが配置されている。記録紙16を搬送しつつ各ヘッド12K、12C、12M、12Yからそれぞれ色インクを吐出することにより記録紙16上にカラー画像を形成し得る。
このように、紙幅の全域をカバーするフルラインヘッドがインク色毎に設けられてなる印字部12によれば、紙搬送方向(副走査方向)について記録紙16と印字部12を相対的に移動させる動作を一回行うだけで(すなわち、一回の副走査で)記録紙16の全面に画像を記録することができる。これにより、ヘッドが紙搬送方向と直交する方向(主走査方向)に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
なお本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態には限定されず、必要に応じて淡インク、濃インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタ等のライト系インクを吐出するヘッドを追加する構成も可能である。
図1に示したように、インク貯蔵/装填部14は、各ヘッド12K、12C、12M、12Yに対応する色のインクを貯蔵するタンクを有し、各タンクは図示を省略した管路を介して各ヘッド12K、12C、12M、12Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部14は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段等)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
印字検出部24は、印字部12の打滴結果を撮像するためのイメージセンサ(ラインセンサ等)を含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりその他の吐出不良をチェックする手段として機能する。
本例の印字検出部24は、少なくとも各ヘッド12K、12C、12M、12Yによるインク吐出幅(画像記録幅)よりも幅の広い受光素子列を有するラインセンサで構成される。このラインセンサは、赤(R)の色フィルタが設けられた光電変換素子(画素)がライン状に配列されたRセンサ列と、緑(G)の色フィルタが設けられたGセンサ列と、青(B)の色フィルタが設けられたBセンサ列とからなる色分解ラインCCDセンサで構成されている。なお、ラインセンサに代えて、受光素子が二次元配列されて成るエリアセンサを用いることも可能である。
印字検出部24は、各色のヘッド12K、12C、12M、12Yにより印字されたテストパターンを読み取り、各ヘッドの吐出検出を行う。吐出判定は、吐出の有無、ドットサイズの測定、ドット着弾位置の測定等で構成される。
印字検出部24の後段には、後乾燥部42が設けられている。後乾燥部42は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けたほうが好ましいので、熱風を吹きつける方式が好ましい。
多孔質のペーパに染料系インクで印字した場合などでは、加圧によりペーパの孔を塞ぐことでオゾンなど、染料分子を壊す原因となるものと接触することを防ぐことで画像の耐候性がアップする効果がある。
後乾燥部42の後段には、加熱・加圧部44が設けられている。加熱・加圧部44は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラー45で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
このようにして生成されたプリント物は、排紙部26から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置10では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部26A、26Bへと送るために排紙経路を切り換える選別手段(不図示)が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)48によってテスト印字の部分を切り離す。カッター48は、排紙部26の直前に設けられており、画像余白部にテスト印字を行った場合に、本画像とテスト印字部を切断するためのものである。カッター48の構造は前述した第1のカッター28と同様であり、固定刃48Aと丸刃48Bとから構成されている。
また、図示を省略したが、本画像の排出部26Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられている。
次に、ヘッド12K、12C、12M、12Yの構造について説明する。尚、各ヘッド12K、12C、12M、12Yの構造は共通しているので、以下では、これらを代表して符号50によってヘッドを示すものとする。
図2はヘッド50のノズル面(インク吐出面)50Aを示した平面図であり、図3は図2中3−3線に沿う断面図である。図2に示すように、ヘッド50には、ノズル面50Aに開口するインク滴吐出用のノズル51がヘッド長手方向(図3の左右方向)及びヘッド長手方向に対して直交しない斜めの方向に沿って多数配列されている。このような2次元状(マトリクス状)のノズル配列構成により、ヘッド長手方向(即ち、主走査方向)に沿って高密度ピッチでドットを形成することができる。
また、図3に示すように、ヘッド50には、各ノズル51にそれぞれ対応する圧力室52及び圧電素子58が設けられている。圧力室52の一端はノズル51に連通し、他端は供給口54を介して共通流路55に連通している。共通流路55は複数の圧力室52に連通しており、各圧力室52に供給するためのインクが貯留される。尚、共通流路55には、図1に示したインク貯蔵/装填部14からインクが供給される。
圧電素子58は、圧力室52の一壁面(図3の上壁面)を構成する振動板56上の圧力室52に対応する位置に設けられる。圧電素子58は、薄膜状のピエゾ(圧電体)上に個別電極(駆動電極)57を配置した構造となっている。尚、振動板56はSUS等の導電性部材で構成されており、圧電素子58に対する共通電極を兼ねている。
かかる構成により、圧電素子58に対して駆動電圧が印加されると、圧電素子58の変位によって圧力室52内のインクは加圧され、圧力室52に連通するノズル51からインク滴が吐出される。
図4はインクジェット記録装置10におけるインク供給系の構成を示した概要図である。同図において、インクタンク60はヘッド50にインクを供給する基タンクであり、図1で説明したインク貯蔵/装填部14に設置される。インクタンク60の形態には、インク残量が少なくなった場合に、不図示の補充口からインクを補充する方式と、タンクごと交換するカートリッジ方式とがある。使用用途に応じてインク種類を変える場合には、カートリッジ方式が適している。この場合、インクの種類情報をバーコード等で識別して、インク種類に応じた吐出制御を行うことが好ましい。なお、図4のインクタンク60は、先に記載した図1のインク貯蔵/装填部14と等価のものである。
インクタンク60とヘッド50の中間には、異物や気泡を除去するためにフィルタ62が設けられている。フィルタ・メッシュサイズは、ノズル径と同等若しくはノズル径以下(一般的には、20μm程度)とすることが好ましい。図4には示さないが、ヘッド50の近傍又はヘッド50と一体にサブタンクを設ける構成も好ましい。サブタンクは、ヘッド50の内圧変動を防止するダンパー効果及びリフィルを改善する機能を有する。
また、インクジェット記録装置10には、ノズル近傍のインク粘度の上昇、乾燥を防止するための手段としてのキャップ64と、ヘッド50のノズル面50Aの清掃手段としてのクリーニングブレード66とが設けられている。これらキャップ64及びクリーニングブレード66を含むメンテナンスユニットは、不図示の移動機構によってヘッド50に対して相対移動可能であり、必要に応じて所定の退避位置からヘッド50下方のメンテナンス位置に移動される。
キャップ64は、図示せぬ昇降機構によってヘッド50に対して相対的に昇降変位される。電源OFF時や印刷待機時にキャップ64を所定の上昇位置まで上昇させ、ヘッド50に密着させることにより、ノズル面50Aをキャップ64で覆う。
クリーニングブレード66は、ゴムなどの弾性部材で構成されており、図示せぬブレード移動機構によりヘッド50のノズル面50Aに摺動可能である。ノズル面50Aにインク滴又は異物が付着した場合、クリーニングブレード66をノズル面50Aに摺動させる、いわゆるワイピング動作を行うことでインク滴等を拭き取る。
印字中又は待機中において、特定のノズルの使用頻度が低くなり、ノズル近傍のインク粘度が上昇した場合、その劣化インクを排出すべくキャップ64に向かって予備吐出が行われる。
また、ヘッド50内(圧力室52内)のインクに気泡が混入した場合、ヘッド50にキャップ64を当て、吸引ポンプ67でヘッド50内のインク(気泡が混入したインク)を吸引により除去し、吸引除去したインクを回収タンク68へ送液する。この吸引動作は、初期のインクのヘッド50への装填時、或いは長時間の停止後の使用開始時にも粘度上昇(固化)した劣化インクの吸い出しが行われる。
ヘッド50は、ある時間以上吐出しない状態が続くと、ノズル近傍のインク溶媒が蒸発してノズル近傍のインクの粘度が高くなってしまい、吐出駆動用のアクチュエータ(圧電素子58)が動作してもノズルからインクが吐出しなくなる。したがって、この様な状態になる手前で(圧電素子58の動作によってインク吐出が可能な粘度の範囲内で)、インク受けに向かって圧電素子58を動作させ、粘度が上昇したノズル近傍のインクを吐出させる「予備吐出」が行われる。また、ノズル面50Aの清掃手段として設けられているクリーニングブレード66等のワイパーによってノズル面50Aの汚れを清掃した後に、このワイパー摺擦動作(ワイピング動作)によってノズル内に異物が混入するのを防止するためにも予備吐出が行われる。なお、予備吐出は、「空吐出」、「パージ」、「唾吐き」などと呼ばれる場合もある。
また、ノズル51や圧力室52に気泡が混入したり、ノズル近傍のインクの粘度上昇があるレベルを超えたりすると、上記予備吐出ではインクを吐出できなくなるため、以下に述べる吸引動作を行う。
すなわち、ノズル51や圧力室52のインク内に気泡が混入した場合、或いはノズル近傍のインク粘度があるレベル以上に上昇した場合には、圧電素子58を動作させてもノズルからインクを吐出できなくなる。このような場合、ヘッド50のノズル面50Aに、圧力室52内のインクをポンプ等で吸い込む吸引手段としてキャップ64を当接させて、気泡が混入したインク又は増粘インクを吸引する動作が行われる。
次に、吸引動作をノズル51毎に選択的に行えるようにするための構成等について詳説する。
図5はヘッド50のノズル面50Aの一部拡大平面図である。同図に示すように、ノズル面50Aの各ノズル51の開口周辺には、親水状態と撥水状態を相互に遷移可能な領域(以下、「親水/撥水遷移領域」という。)70がそれぞれ形成されている。ノズル面50Aの他の領域は撥水状態となっている。親水/撥水遷移領域70は、図6に示すように、ノズル面50A全体に形成されていてもよい。
図7は親水/撥水遷移領域70の状態遷移図である。同図に示すように、親水/撥水遷移領域70に対して所定の光を照射することにより、親水/撥水遷移領域70の状態(親水状態、撥水状態)を相互に切り替えることができる。具体的には、親水/撥水遷移領域70は紫外光(UV光)の照射により親水化し、他方、可視光の照射により撥水化する。
このような親水/撥水遷移領域70は、ノズル面50Aの所定位置(ノズル51の開口周辺、或いは、ノズル面50A全体)に対してアナターゼ型の酸化チタンをCVD法で成膜し、クロムイオンを注入することにより形成可能である。尚、親水/撥水遷移領域70に対する光照射方法については後で説明する。
また、紫外線硬化型インク(UVインク)を用いる態様の場合、紫外線硬化型インクを硬化させるための紫外光の波長と、親水/撥水遷移領域70を親水化させるための紫外光の波長が、互いに影響しないようにずれていることが望ましい。例えば、前者の紫外光の波長を250[nm]とし、後者の紫外光の波長を350[nm]とすればよい。尚、親水/撥水遷移領域70を撥水化させる可視光の波長は500[nm]である。
図8はノズル周辺の拡大断面図であり、(a)は親水/撥水遷移領域70が親水状態の場合、(b)は親水/撥水遷移領域70が撥水状態の場合をそれぞれ表している。尚、ノズル51の内壁面は親水化されている。また、既述したとおり、ノズル面50Aの親水/撥水遷移領域70以外の領域は撥水化されている。
図8の(a)に示すように、親水/撥水遷移領域70が親水化されている場合、気液界面のメニスカスはノズル開口で維持されず、親水/撥水遷移領域70に渡って広がった状態となる。このため、ノズル面50Aにキャップ64を当接した状態で吸引ポンプ67を駆動すると(図4参照)、ノズル内部のインクは外側に向かって流れ出し、ノズル51(圧力室52)内のインクが吸引される。つまり、吸引対象とするノズル(以下、「異常ノズル」という。)51の開口周辺に形成される親水/撥水遷移領域70を親水化しておくことにより、異常ノズル51内のインクを吸引することができる。
これに対して、図8の(b)に示すように、親水/撥水遷移領域70が撥水化されている場合、ノズル内部圧力P1とノズル外部圧力(吸引側圧力)P2の圧力差ΔP(=P1−P2)が所定の値より小さければ、メニスカスをノズル開口で維持することができ、吸引ポンプ67が駆動されても、ノズル51(圧力室52)内のインクは吸引されない。つまり、非吸引対象とするノズル(以下、「正常ノズル」という。)51の開口周辺に形成される親水/撥水遷移領域70を撥水化しておくことにより、正常ノズル51内のインクを吸引しないようにすることができる。
ここで、正常ノズルの開口でメニスカスを維持可能な圧力差ΔPの条件について説明する。図8の(b)において、メニスカスを維持可能な最大圧力差ΔPmaxは、ノズル径をD、表面張力をγとするとき、次式のように表現される。
ΔPmax=4γ/D ・・・(1)
また、親水/撥水遷移領域70の直径(親水/撥水遷移領域径)をD′としたとき、メニスカスが維持できる最小圧力差ΔPminは、次式のように表現される。
ΔPmin=4γ/D′ ・・・(2)
正常ノズルの開口でメニスカスを維持可能な圧力差ΔPは、次式
ΔPmin < |ΔP| < ΔPmax ・・・(3)
を満足する必要がある。即ち、次式
(4γ/D′)< |ΔP| <(4γ/D) ・・・(4)
を満足するように吸引ポンプ67を駆動することにより、図8の(b)の場合において正常ノズル51の開口でメニスカスを維持することができる。例えば、表面張力γ=35[mN/m]、ノズル径D=20[μm]、親水/撥水遷移領域径D′=40[μm]を適当な設計値として選択した場合、式(4)より、圧力差ΔPが3.5〜7[kPa]の範囲内となるように吸引ポンプ67を駆動すればよい。
圧力差ΔPが最大圧力差ΔPmaxに等しい場合、図8の(a)において吸引されるインクの流速が最大となり、気泡排出の効果が大きくなる。
このように異常ノズル51に対応する親水/撥水遷移領域70を親水化し、他方、正常ノズル51に対応する親水/撥水遷移領域70を撥水化し、更に、ノズル内部圧力P1とノズル外部圧力(吸引側圧力)P2の圧力差ΔPが式(4)を満足するように吸引ポンプ67を駆動することにより、異常ノズル51のみを対象にした個別吸引を行うことができる。即ち、吸引動作をノズル51毎に選択的に行うことができ、無駄なインク消費量を大幅に低減することができる。
尚、実際には、「インクとフィルタ間の接触角」や「インクとノズル間の接触角」にメニスカス維持圧力は依存するので、式(1)〜(4)は厳密な式ではない。しかし、接触角を考慮してもメニスカス維持圧力は大きく変化するわけではないので、本願では式(1)〜(4)を使った。
次に、親水/撥水遷移領域70に対する光照射方法について説明する。
図9は光照射方法の一例を示した説明図である。同図に示すように、光照射部72は、制御回路74、光源部76、及びポリゴンミラー78から主に構成される。光源部76は、例えば、レーザー、LED等で構成されるUV光源及び可視光光源を備えており、各光源の切り替え利用が可能となっている。制御回路72は各光源の発光量や発光タイミングの制御を行う。ポリゴンミラー78を回転させながら、光源部76から発光される光(紫外光又は可視光)をヘッド50のノズル面50Aに照射することにより、各親水/撥水遷移領域70(図9中不図示)に対して選択的に所定の光(紫外光又は可視光)を照射することができる。各色のヘッド50(12K、12C、12M、12Y)に対応する複数の光照射部72を設ける態様の場合、各親水/撥水遷移領域70の状態切替を早く行うことができる。もちろん、1つの光照射部72を複数のヘッド50で共通して利用するようにしてもよい。この場合、装置の小型化やコストダウンが可能である。
図10は光照射方法の他の例を示した説明図である。同図に示すように、光照射部72′は、制御回路74、光源部76、及び液晶80から主に構成される。光源部76は、例えば、レーザー、LED、無機・有機EL等で構成されるUV光源及び可視光光源を備えており、各光源の切り替え利用が可能となっている。ヘッド50と光源部76の間に液晶80を配置し、液晶80を介して光源部76から発光される光(紫外光又は可視光)をヘッド50のノズル面50Aに照射することにより、各親水/撥水遷移領域70(図10中不図示)に対して選択的に所定の光(紫外光又は可視光)を照射することができる。ヘッド50を水平方向に移動させながら光照射を行ってもよいし、これとは逆に、光照射部72′を移動させながら光照射を行ってもよい。また、図示は省略するが、DMD(Digital Micromirror Device)を用いる方法もある。
図11はヘッド50及び光源部76を覆う筐体82を簡略的に表した模式図である。各親水/撥水遷移領域70に対して選択的に所望の光(紫外光又は可視光)を照射可能にするために、同図に示すように、ヘッド50及び光照射部72(光源部76)は筐体82内部に収納され、筐体82外部から余計な光(特に、可視光)が筐体82内部のヘッド50に照射されないように構成されている。筐体82は、図1のインクジェット記録装置10全体を覆う筐体であってもよいし、これとは別であってもよい。
本実施形態では、光源部76から漏れ出した光が筐体82の内壁面で反射してしまい、本来、光照射が必要でない親水/撥水遷移領域70(図11中不図示)に対して光照射されてしまう可能性がある。このため、筐体82の内壁面82aは、光源部76で用いられる波長の光を吸収する材料(例えば、黒のポリカーボネート樹脂等)で構成されていることが望ましい。これにより、各親水/撥水遷移領域70に対する光照射をより正確に行うことができる。
図12、図13は光照射方法の更に他の例を示した説明図である。後で説明する吸引動作の制御フロー(図14参照)では、紫外光はノズル面50Aの各親水/撥水遷移領域70に対して選択的に照射されるのに対して、可視光はノズル面50A全体に一度に照射されればよい。従って、図12に示すように、筐体82の一部に開閉可能なシャッター84を設け、筐体82外部の可視光がヘッド50のノズル面50Aに照射されるように構成してもよい。この場合、筐体82内部に可視光光源を設ける必要がなく、コスト的に有利となる。また、図13に示すように、可視光の照射時には、筐体82内部のヘッド50を所定の位置に移動させるようにしてもよい。
次に、本実施形態における吸引動作の制御フローについて、図14に示したフローチャート図に従って説明する。尚、本フロー開始時には、各ノズル51に対応する親水/撥水遷移領域70はいずれも撥水化されているものとする。
まず、ヘッド50の各ノズル51の中から異常ノズル51を選択する(ステップS10)。異常ノズル51の選択方法としては、例えば、レーザーで液滴を観察する方法や、圧力室52内部にPVDF樹脂を入れる方法等がある。また、各ノズル51の不吐出時間をタイマー管理するようにしてもよい。
異常ノズル51の選択後、異常ノズル51の開口周辺の親水/撥水遷移領域70に紫外光を照射する(ステップS12)。紫外光の照射は、図8や図9で示した方法により行われる。紫外光の照射は所定時間が経過するまで継続する(ステップS14)。これにより、異常ノズル51の開口周辺の親水/撥水遷移領域70は親水化される。
所定時間経過後、キャップ64をヘッド50に密着し(ステップS16)、吸引ポンプ67を駆動して吸引を開始する(ステップS18)。吸引ポンプ67は、既述したとおり、式(4)を満足するように駆動する。吸引は所定時間が経過するまで継続する(ステップS20)。このとき、異常ノズル51に対応する親水/撥水遷移領域70は親水化されているため、異常ノズル51内のインクは吸引される。他方、正常ノズル51に対応する親水/撥水遷移領域70は撥水化されているため、正常ノズル51の開口でメニスカスが維持され、正常ノズル51内のインクは吸引されない。所定時間経過後、吸引ポンプ67を停止する(ステップS22)。
吸引終了後、キャップ64をヘッド50から外し(ステップS24)、ヘッド50のノズル面50Aをワイピングする(ステップS26)。ノズル面50Aに形成される親水/撥水遷移領域70が親水化されている場合、その表面で液体が広がりやすく、可視光の照射を妨げる可能性がある。従って、ノズル面50Aに付着した液体の除去を行うため、可視光の照射前にワイピングを行う。
ワイピング後、ヘッド50のノズル面50A全体に可視光を照射する(ステップS28)。可視光の照射は、図9や図10に示した方法により行ってもよいし、図12や図13に示した方法により行ってもよい。
最後に、全ての親水/撥水遷移領域70が撥水状態となっているか否か判断する(ステップS30)。全ての親水/撥水遷移領域70が撥水状態となっていなければ(即ち、親水状態の親水/撥水遷移領域70が存在していれば)、ステップS26に戻って、ヘッド50のノズル面50Aに対してワイピングと可視光の照射を再び行う。全ての親水/撥水遷移領域70が撥水状態となっていれば(即ち、親水状態の親水/撥水遷移領域70が存在しなければ)、全ての処理を終了する。
第1の実施形態によれば、ヘッド50のノズル面50Aの各ノズル51の開口周辺に親水/撥水遷移領域70をそれぞれ形成し、各親水/撥水遷移領域70を所定の光照射により親水化又は撥水化する。具体的には、吸引対象とするノズル(異常ノズル)51に対応する親水/撥水遷移領域70を親水化し、非吸引対象とするノズル(正常ノズル)51に対応する親水/撥水遷移領域70を撥水化する。そして、正常ノズル51の開口でメニスカスが維持されるように(即ち、式(4)を満足するように)、吸引ポンプ67を駆動することにより、異常ノズル51のみを対象とした個別吸引を行うことができる。即ち、吸引動作をノズル51毎に選択的に行うことができ、無駄なインク消費量を大幅に低減することができる。
尚、第1の実施形態では吸引動作の場合についてのみ説明したが、ヘッド内部のインク加圧を利用して行われる加圧動作の場合も同様にして実現することが可能である。
〔第2の実施形態〕
次に、本発明に係る第2の実施形態について説明する。以下、既述した第1の実施形態と共通する部分については説明を省略し、本実施形態の特徴的な部分を中心に説明する。
図15はノズル面50Aの一部拡大図である。同図に示すように、各ノズル51の開口周辺にそれぞれ親水/撥水遷移領域70′が形成される。第1の実施形態と同様に、親水/撥水遷移領域70′がノズル面50A全体に形成されていてもよい(図6参照)。
図16は親水/撥水遷移領域70′の状態遷移図である。第2の実施形態では、親水/撥水遷移領域70′に対して所定の力を付与することによって親水/撥水遷移領域70′を撥水化することができる。尚、紫外光の照射によって親水/撥水遷移領域70′を親水化するという点は第1の実施形態の親水/撥水遷移領域70(図7参照)と同様である。
このような親水/撥水遷移領域70′は酸化チタン膜により構成される。また、ノズルプレートをを酸化チタン膜で構成する態様もある。このような親水/撥水遷移領域(酸化チタン膜)70′に対して所定の力を付与すると、酸化チタン表面の水酸基を除去することができるので、酸化チタンの疎水性を引き出すことができる。従って、図16に示したとおり、親水/撥水遷移領域70′を撥水化することができる。
図17は親水/撥水遷移領域70′に対する力の付与方法の一例を示した説明図である。同図に示すように、クリーニングブレード66をノズル面50Aに摺動させる、いわゆるワイピング動作を行うことで、親水/撥水遷移領域70′に対して所定の力を付与することができる。例えば、親水/撥水遷移領域70′に対して10[g重/cm]程度の力がかかるようにワイピング動作を行う。これにより、親水/撥水遷移領域70′の力が付与された部分は親水状態から撥水状態に遷移する。
図18は吸引動作の制御フローを示したフローチャート図である。図18中、図14と共通する工程については同一のステップ番号を付与している。
本実施形態では、既述したとおり、ノズル面50Aをワイピングすることによって親水/撥水遷移領域70′に所定の力を付与し、親水/撥水遷移領域70′を撥水状態にすることができる。つまり、ノズル面50Aに付着したインク滴等の拭き取りと同時に、親水/撥水遷移領域70′の撥水化が可能である。従って、第1の実施形態に比べて吸引動作の処理工数を減らすことができる。
以上、本発明の液体吐出装置、画像形成装置及び液体吐出装置のメンテナンス方法について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
インクジェット記録装置の概略を示す全体構成図 ヘッドのノズル面を表した平面図 図2中3−3線に沿う断面図 インク供給系の構成を示した概要図 ヘッドのノズル面の一部拡大平面図 ヘッドのノズル面の一部拡大平面図 親水/撥水遷移領域の状態遷移図 ノズル周辺の拡大断面図 光照射方法の一例を示した説明図 光照射方法の他の例を示した説明図 ヘッド及び光源部を覆う筐体を簡略的に表した模式図 光照射方法の他の例を示した説明図 光照射方法の他の例を示した説明図 吸引動作の制御フローを示したフローチャート図 第2の実施形態に係るヘッドのノズル面の一部拡大平面図 第2の実施形態に係る親水/撥水遷移領域の状態遷移図 第2の実施形態に係るノズル周辺の拡大断面図 第2の実施形態に係る吸引動作の制御フローを示したフローチャート図
符号の説明
10…インクジェット記録装置、50…ヘッド、51…ノズル、52…圧力室、55…共通流路、56…振動板、58…圧電素子、64…キャップ、66…クリーニングブレード、67…吸引ポンプ、70…親水/撥水遷移領域、72…光照射部、76…光源部

Claims (7)

  1. 液体を吐出する複数のノズルと、
    ノズル開口面の各ノズルの開口周辺にそれぞれ形成され、親水状態と撥水状態を相互に遷移可能な親水/撥水遷移領域と、
    前記親水/撥水遷移領域を親水化又は撥水化させる切替手段と、
    前記ノズルの内外部の圧力差を制御する圧力制御手段と、を備え、
    異常ノズルの開口周辺の親水/撥水遷移領域が親水化され、且つ、正常ノズルの開口周辺の親水/撥水遷移領域が撥水化された状態で、前記圧力制御手段は前記正常ノズルの開口でメニスカスが維持されるように前記ノズルの内外部の圧力差を制御することを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記圧力制御手段は、前記ノズルの内外部の圧力差をΔP、前記親水/撥水遷移領域が親水状態のときに前記正常ノズルの開口でメニスカスが維持できる最低圧力差をΔP′、ノズル径をD、前記液体の表面張力をγとしたとき、次式 ΔP′<|ΔP|<(4γ/D) を満足するように制御することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 前記親水/撥水遷移領域は、第1の光照射によって親水化し、第2の光照射によって撥水化することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体吐出装置。
  4. 前記親水/撥水遷移領域は、第1の光照射によって親水化し、所定の力が付与されると撥水化することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体吐出装置。
  5. 前記親水/撥水遷移領域は、ワイピング動作により撥水化することを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の液体吐出装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
  7. 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の液体吐出装置において、
    異常ノズルの開口周辺の親水/撥水遷移領域が親水状態となり、且つ、正常ノズルの開口周辺の親水/撥水遷移領域が撥水状態となるように各親水/撥水遷移領域の状態切替を行う切替工程と、
    前記切替工程の後、メニスカスが前記正常ノズルの開口で維持されるように前記圧力差を制御する圧力制御工程と、
    前記圧力制御工程の後、全ての親水/撥水遷移領域を撥水化する撥水化工程と、
    を含むことを特徴とする液体吐出装置のメンテナンス方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011178059A (ja) * 2010-03-02 2011-09-15 Ricoh Co Ltd 画像形成装置
CN106183420A (zh) * 2016-08-04 2016-12-07 纳晶科技股份有限公司 一种液体喷头、用于液体喷头的喷嘴板及该喷嘴板的制作方法

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