JP3365891B2 - エアバッグ装置付き車両用シート - Google Patents

エアバッグ装置付き車両用シート

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    • B60R21/217—Inflation fluid source retainers, e.g. reaction canisters; Connection of bags, covers, diffusers or inflation fluid sources therewith or together
    • B60R21/2171—Inflation fluid source retainers, e.g. reaction canisters; Connection of bags, covers, diffusers or inflation fluid sources therewith or together specially adapted for elongated cylindrical or bottle-like inflators with a symmetry axis perpendicular to the main direction of bag deployment, e.g. extruded reaction canisters

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両の側部に外部
から大きな衝撃が作用した場合に作動して乗員の安全を
確保するためのエアバッグ装置、すなわち側面衝突用の
エアバッグ装置を装備した車両用シートに関する。
【０００２】
【従来の技術】側面衝突用のエアバッグ装置を装備した
車両用シートの一形式として、特開平４−３５６２４６
号公報に示されているように、シートバッグにおける車
両内壁側の側部に設けた収容空間部にエアバッグ装置を
装着してなるエアバッグ装置付き車両用シートがある。
【０００３】当該車両用シートに装着されているエアバ
ッグ装置は、シートバックの側部に設けた収容空間部に
収容されてバックフレームに固定されたケーシングと、
ケーシング内に収容されたインフレータと、ケーシング
内に収容されてインフレータの爆発により展開するエア
バッグと、ケーシングの開口部を覆蓋するエアバッグリ
ッドとにより構成されている。エアバッグリッドは、そ
の基端部にてケーシングの開口部の縁部に外側へ回動可
能に組付けられていて、ケーシングの開口部を覆蓋して
おり、インフレータの爆発によるエアバッグの展開力に
より外側へ所定量回動して、エアバッグの外側への展開
を許容すべく機能する。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】ところで、当該エアバ
ッグ装置においては、エアバッグリッドのケーシングへ
の固定手段は不明であるが、固定手段として仮にエアバ
ッグリッドの回動端部をケーシングの開口部の縁部に掛
止する掛止手段を採用する場合には、エアバッグリッド
の回動荷重を所定の値に設定することが難しく、エアバ
ッグの展開荷重を所定の値に管理することは容易ではな
い。また、当該エアバッグ装置をシートバックの側部に
装着した状態では、エアバッグリッドの外側面が外部に
露出するため、シートの外観意匠を損ない、またエアバ
ッグリッドのケーシングに対する掛止状態を解除してエ
アバッグリッドを手で回動してケーシングを開放すると
いう悪戯をされる可能性がある。
【０００５】従って、エアバッグ装置を装備した車両用
シートにおいては、エアバッグ装置のエアバッグリッド
側をシートバックを構成するシートカバーで被覆する手
段を採用して、エアバッグリッドが外部へ露出するのを
防止するとともに、シートカバーの被覆作用にてエアバ
ッグリッドをケーシングに所定の力で固定しているのが
一般である。
【０００６】しかしながら、後者のごとく、エアバッグ
装置をシートバックを構成するシートカバーにて被覆し
て、エアバッグリッドをケーシングに固定する手段を採
用した場合には、エアバッグリッドはシートカバーのエ
アバッグリッドを被覆する部位に位置するシートカバー
の縫合部の縫目部分を破壊して外側へ回動して、エアバ
ッグを外側へ展開させる構成となる。このため、かかる
固定手段を採用する場合には、シートカバーの縫合部の
破壊強度の設定が重要な要素となり、当該縫合部を構成
する表皮材および縫合糸の材質が大きく規制されること
になる。すなわち、当該縫合部を構成する表皮材および
縫合糸は、インフレータの爆発でエアバッグリッドに作
用する内側からの押圧力で容易に破壊される程度の低い
強度の材質のものに限定され、一般には塩化ビニール製
レザーとか薄地の織編物が使用される。
【０００７】このため、シートカバーとして本皮製とか
厚地の織編物製の高級な品質のものを採用したい場合に
は、インフレータとして大きな爆発力のある強力なもの
を採用しなけばならず、またインフレータの爆発による
エアバッグリッドの円滑な回動動作が望めない場合があ
る。
【０００８】従って、本発明の目的は、エアバッグ装置
を装備した車両用シートにおいて、高級な品質のシート
カバーを採用し得るようにして高級で外観意匠にも優
れ、かつシートカバーの材質および意匠の選定の自由度
が高いエアバッグ装置付き車両用シートを提供すること
にある。
【０００９】
【課題を解決するための手段】本発明に係る車両用シー
トは、シートバックにおける車両内壁側の側部に設けた
収容空間部にエアバッグ装置を装着して、同エアバッグ
装置を構成するエアバッグを前記収容空間部の開口部に
対向して位置させてなる形式のエアバッグ装置付き車両
用シートである。
【００１０】本発明に係る車両用シートは、上記した形
式のエアバック装置付き車両用シートにおいて、前記シ
ートバックの背部に、同シートバックの背面および側面
を被覆して前記収容空間部の開口部を覆蓋するシートバ
ックボードを組付けてなり、かつ同シートバックボード
の側部における少なくとも前記収容空間部の開口部に対
向する部位を、同収容空間部の内側からの所定の力で外
側へ開放されてエアバッグの外部への展開を許容する扉
部に構成しているものである。
【００１１】しかして、本発明に係る車両用シートにお
いては、前記シートバックボードは、基材の表面を表皮
材にて被覆されているシートバックボードであって、前
記シートバックボードの側部における少なくとも前記収
容空間部の開口部に対向する部位には、同収容空間部の
内側からの所定の力で外側へ開放されてエアバッグの外
部への展開を許容する扉部を備え、かつ、前記シートバ
ックボードの背部と側部の境界部位には、前記扉部の開
放時の回動中心となるヒンジ部を備え、同ヒンジ部は前
記シートバックボードを構成する表皮材にて外側から覆
蓋されていることを特徴とするものである。
【００１２】また、本発明に係る車両用シートにおいて
は、前記シートバックボードが有する扉部の開放時の回
動中心となるヒンジ部を、同シートバックボードを構成
する基材における背部と側部の境界部位に形成された有
底のスリット状縦溝にて形成することができる。
【００１３】また、本発明に係る車両用シートにおいて
は、前記シートバックボードが有する扉部の開放時の回
動中心となるヒンジ部を、同シートバックボードを構成
する基材における背部と側部の境界部位に形成されて同
背部と側部を分離するスリット状縦溝と、これらの背部
と側部を互いに連結する前記シートバックボードを構成
する表皮材にて形成することができる。
【００１４】また、本発明に係る車両用シートにおいて
は、前記シートバックボードが有する扉部を、同シート
バックボードにおけるシートバック側の収容空間部の開
口部の上縁部および下縁部に対向する部位またはこれら
の両縁部に近接する部位に、前方から後方側の前記ヒン
ジ部へ延びる上下一対のスリット状横溝を設けることに
より形成することができる。
【００１５】また、本発明に係る車両用シートにおいて
は、前記シートバックボードが有する扉部を構成する前
記各スリット状横溝を、同シートバックボードを構成す
る基材および表皮材におけるシートバック側の収容空間
部の開口部の上縁部および下縁部に対向する部位または
これらの両縁部に近接する部位に形成されて前方から後
方側の前記ヒンジ部へ延びる切離溝部にて構成すること
ができる。
【００１６】また、本発明に係る車両用シートにおいて
は、前記シートバックボードが有する扉部を構成する前
記各スリット状横溝を、同シートバックボードを構成す
る基材におけるシートバック側の収容空間部の開口部の
上縁部および下縁部に対向する部位またはこれらの両縁
部に近接する部位に形成されて前方から後方側の前記ヒ
ンジ部へ延び同シートバックボードを構成する表皮材に
外側から被覆されている上下一対の切離溝部にて構成す
ることができる。
【００１７】また、本発明に係る車両用シートにおいて
は、前記シートバックボードが有する扉部を構成する前
記各スリット状横溝を、同シートバックボードを構成す
る基材におけるシートバック側の収容空間部の開口部の
上縁部および下縁部に対向する部位またはこれらの両縁
部に近接する部位に形成されて前方から後方側の前記ヒ
ンジ部へ延びる上下一対の切離溝部と、同基材の内面側
に貼着する接合板と、前記基材の表面を被覆する表皮材
の前記各切離溝部を通して前記接合板に貼着する部位に
て構成することができる。
【００１８】また、本発明に係る車両用シートにおいて
は、前記シートバックボードが有する扉部を構成する前
記各スリット状横溝を、前記シートバックボードを構成
する基材および表皮材における前記収容空間部の開口部
の上縁部および下縁部に対向する部位またはこれらの両
縁部に近接する部位に前方から後方側の前記ヒンジ部へ
延びる上下一対の切離溝部と、前記表皮材における各切
離溝部間に接合されて所定の力で破壊される樹脂板にて
構成することができる。
【００１９】
【発明の作用・効果】本発明に係る各車両用シートにお
いては、インフレータの爆発によるエアバッグの展開時
には、シートバックボードの側部がエアバッグによる内
側からの押圧力を受けて側部に設けた扉部が外側へ回動
し、扉部からのエアバッグの外側への展開を許容する。
これにより、エアバッグは当該シートの着座者の安全を
確保する。
【００２０】しかして、本発明に係る各車両用シートに
おいては、この種シートの既存部品であるシートバック
ボードの側部をエアバッグの外側への展開を許容する扉
部に構成しているので、シ−トバックボードの背部と側
部の境界部位を適宜の手段で扉部のヒンジ部に構成して
同扉部の回動荷重を任意に設定することができる。この
ため、シートバックを構成するシートカバー、縫合部の
縫合糸の材質、意匠等のエアバッグ装置による規制が無
くてこれらの選定の自由度が増大し、高級で外観意匠の
優れた車両用シートを提供することができる。
【００２１】また、シートに装着されたエアバッグ装置
の保守、点検に当たっては、シートバックボードを取外
すことによりエアバッグ装置を露出させて同装置の保
守、点検が可能であるため、エアバッグ装置をシートカ
バーで被覆している車両用シートに比較してエアバッグ
装置の保守、点検が容易である。
【００２２】また、当該車両用シートにおいて、シート
バックボードの側部における収容空間部の開口部の上縁
部および下縁部に対向する部位またはこれらの両縁部に
近接する部位に前方から後方へ延びる上下一対のスリッ
ト状横溝を設けるとともに、同シートバックボードの側
部と背部との境界部位における両スリット状横溝間を内
側からの所定の力で外側へ回動するヒンジ部に形成し
て、側部における両スリット状溝部間を扉部に構成すれ
ば、同扉部はエアバッグ装置に対して無駄の無い形状と
なって爆発力の低いインフレータによっても円滑に動作
する。
【００２３】当該車両用シートにおいて、シートバック
ボードを構成する基材に一対の切離溝部を形成して切離
溝部間を表皮材で被覆してスリット状溝部を形成する構
成、同基材の内面側に接合板を貼着するとともに、同基
材の表面を被覆する表皮材を切離溝部を通して接合板に
貼着し、接合板と表皮材を切離溝部間で切断してスリッ
ト状横溝を形成する構成、基材と表皮材に切離溝部を形
成して表皮側の切離溝部間を所定の力で破壊される接合
板にて接合してスリット状横溝を形成する構成を採用す
れば、シートバックボードの側部の各スリット状横溝を
閉塞することができて、シートの外観的意匠を一段と向
上させることができる。
【００２４】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に基づいて説
明すると、図１には本発明の一例に係る車両用シートが
示されている。当該車両用シートはエアバッグ装置を装
備したもので、図２および図３に示すように、シートを
構成するシートバック１０ａにおける車両ドア側の収容
空間部にエアバッグ装置２０が装着されている。
【００２５】当該シートは、シートバック１０ａ、およ
びシートクッション１０ｂを備えているもので、シート
バック１０ａはクッション部１１と、これを支持する図
４に示すバックフレーム１２と、図５に示すシートバッ
クボード１３とにより構成されている。クッション部１
１は、クッションパッド１１ａとこれを被覆するシート
カバー１１ｂにて構成されている。また、バックフレー
ム１２はメインフレーム１２ａと、メインフレーム１２
ａの背部に固定された上下一対の第１ブラケット１２ｂ
と、メインフレーム１２ａの側部に固定された第２ブラ
ケット１２ｃと、メインフレーム１２ａの側部に設けた
固定用ワイヤ１２ｄとにより構成されている。
【００２６】シートバック１０ａにおいては、シートカ
バー１１ｂの端末に固定用フック１１ｃが多数取付けら
ており、シートカバー１１ｂはクッションパッド１１ａ
の表面および側面を被覆した状態で、その端末に設けた
各フック１１ｃをメインフレーム１２ａの側部に設けた
固定用ワイヤ１２ｄに掛止することにより、クッション
パッド１１ａと一体にバックフレーム１２に固定されて
いる。これにより、クッション部１１はバックフレーム
１２に固定されて支持されている。
【００２７】シートバックボード１３は、バックフレー
ム１２の各第１ブラケット１２ｂに固定されていて、ク
ッション部１１の背面との間に所定の間隔を保持してお
り、シートバック１０ａにおける車両ドア側の側部に、
エアバッグ装置２０を収容して装着される収容空間部１
４を形成している。シートバックボード１３としては、
所定形状に形成された基材１３ａと、基材１３ａの表面
を被覆する表皮材１３ｂからなるボードが採用されてい
て、その背部１３ｃにてクッション部１１の背面を被覆
し、かつその側部１３ｄにてクッション部１１の側面を
被覆している。収容空間部１４は外側に開口する縦長の
長方形状の開口部を備え、同開口部はシートバックボー
ド１３の側部１３ｄにて覆蓋されている。
【００２８】エアバッグ装置２０は、インフレータ２１
と、インフレータ２１に接続されたエアバッグ２２を備
え、これら両者２１，２２は図４に示すバックフレーム
１２の側部に設けたブラケット１２ｃに取付けたケース
２３内に、エアバッグ２２を折畳んだ状態で収容されて
いる。これにより、エアバッグ装置２０はシートバック
１０ａの収容空間部１４に収容された状態で、シートバ
ック１０ａの側部に装着されており、ケース２３の開口
部がシートバックボード１３の側部１３ｄにて覆蓋され
ている。
【００２９】当該エアバッグ装置２０は公知のもので、
車両の側部、たとえば車両ドアに配設した衝撃検出セン
サにより側面衝突が検出された場合、衝撃検出センサの
検出信号に基づいて制御装置が作動して起爆信号を出力
し、この起爆信号に基づいてインフレータ２１が起爆
し、エアバッグ２２をケース２３の開口部を通して外側
へ展開すべく機能する。
【００３０】しかして、シートバックボード１３におい
ては、図１、図５、および図５の矢印７−７線方向の縦
断面である図７に示すように、その側部１３ｄに上下一
対のスリット状横溝１３ｄ1が形成されている。各スリ
ット状横溝１３ｄ1は、シートバックボード１３を構成
する基材１３ａおよび表皮材１３ｂを完全に切離した状
態で形成されていて、シートバックボード１３の側部１
３ｄの前方から後方へ同ボード１３の背部１３ｃと側部
１３ｄの境界部位の近傍まで延びている。
【００３１】一方、シートバックボード１３の背部１３
ｃと側部１３ｄの境界部位においては、図５の矢印６−
６線方向の横断面である図６（ａ）に示すように、両ス
リット状横溝１３ｄ1間における基材１３ａの内面側に
縦溝部１３ｅが形成されている。これにより、シートバ
ックボード１３における背部１３ｃと側部１３ｄの境界
部位は、基材１３ａの肉厚の薄い部分と表皮材１３ｂと
からなるヒンジ部に構成されていて、側部１３ｄにおけ
る両スリット状溝１３ｄ1間が内側からの所定の力で外
側へ回動する扉部１３ｄ2に構成されている。
【００３２】このように構成した車両用シートにおいて
は、車両の側面衝突時には衝撃検出センサの検出信号に
基づき、エアバッグ装置２０のインフレータ２１が起爆
してエアバッグ２２を拡張し、拡張されたエアバッグ２
２はケース２３の開口部を通してシートバックボード１
３の側部１３ｄの扉部１３ｄ2を内側から所定の力で押
圧する。これにより、シートバックボード１３の扉部１
３ｄ2は、図６の２点鎖線で示すように外側へ回動して
エアバッグ２２の外側への展開を許容し、展開されたエ
アバッグ２２はシートの着座者を保護すべく機能する。
なお、この回動時におけるシートバックボード１３の各
スリット状横溝１３ｄ1は、図７（ａ）の状態から同図
（ｂ）の状態に移行する。
【００３３】ところで、当該車両用シートにおいては、
この種シートの既存部品であるシートバックボード１３
の背部１３ｃと側部１３ｄの境界部位をヒンジ部に形成
して、同ボード１３の側部１３ｄの一部をエアバッグ２
２の外側への展開を許容する扉部１３ｄ2に構成してい
るので、同ボード１３のヒンジ部における回動力（展開
荷重）を任意の値に容易に設定することができる。この
ため、当該シートにおいては、シートバック１０ａを構
成するシートカバー１１ｂ、シートカバー１１ｂの縫合
部の縫合糸の材質、シートカバー１１ｂの意匠等のエア
バッグ装置２０による制約は無くてこれらの選定の自由
度が増大し、高級で外観意匠の優れたシートを提供する
ことができる。
【００３４】また、当該車両用シートに装着されている
エアバッグ装置２０の保守、点検に当たっては、シート
バックボード１３をバックフレーム１２から取外すこと
によりエアバッグ装置２０を露出させて同装置２０の保
守、点検が可能であるため、エアバッグ装置２０をシー
トカバー１１ｂで被覆しているシートに比較してエアバ
ッグ装置２０の保守、点検が極めて容易である。
【００３５】また、当該車両用シートにおいては、シー
トバックボード１３の側部１３ｄにおける収容空間部１
４の開口部の上縁部および下縁部に対向する部位に近接
する部位に前方から後方へ延びる上下一対のスリット状
横溝１３ｄ1を設けるとともに、同ボード１３の背部１
３ｃと側部１３ｄの境界部位における両スリット状横溝
１３ｄ1間をヒンジ部に形成して、側部１３ｄにおける
両スリット状溝部１３ｄ1間を扉部１３ｄ2に構成してい
るため、同扉部１３ｄ2はエアバッグ装置２０に対して
無駄の無い形状となって爆発力の低いインフレータ２１
によっても円滑に動作させることができる。
【００３６】図６（ｂ），（ｃ）には、シートバックボ
ード１３のヒンジ部の２つの変形例が示されている。同
図（ｂ）に示すヒンジ部においては、シートバックボー
ド１３を構成する基材１３ａの両スリット状横溝１３ｄ
1間にて所定の幅にわたって複数本の縦溝部１３ｆが並
列して形成されていて、これらの縦溝部１３ｆの形成部
位と表皮材１３ｂとにより外側へ回動可能なヒンジ部が
構成されている。また、同図（ｃ）に示すヒンジ部にお
いては、シートバックボード１３を構成する基材１３ａ
の両スリット状横溝１３ｄ1間にて内外に貫通する縦溝
部１３ｇが形成されていて、この縦溝部１３ｇと被覆材
１３ｂの縦溝部１３ｇを被覆する部位がヒンジ部を構成
している。
【００３７】なお、図６（ａ），（ｂ），（ｃ）に示す
各ヒンジ部の構造においては、シートバック１３を構成
する基材１３ａの内側面に裏布等の補強材を取付けて、
ヒンジ部の展開荷重を増大し、または調整することがで
きる。
【００３８】一方、図８〜図１０にはスリット状横溝の
３つの変形例が示されている。これら各スリット状横溝
１３ｄ3〜１３ｄ5はいずれも図７に対応する縦断面構造
を示すもので、図８に示すスリット状横溝１３ｄ3にお
いては、基材１３ａの内側面に裏当板１３ｈを貼着する
とともに、表皮材１３ｂを基材１３ａの切離溝部を通し
て裏当板１３ｈに貼着して、これら両者を基材１３ａの
切離溝部間にて切断して形成されている。これにより、
スリット状横溝１３ｄ3の外観を向上させている。
【００３９】図９に示すスリット状横溝１３ｄ4におい
ては、基材１３ａの切離溝部を表皮材１３ｂにて外側か
ら被覆して接合して形成されているもので、スリット状
横溝１３ｄ4の外観を向上させることができるととも
に、表皮材１３ｂの接合強度の設定によっても扉部１３
ｄ2の展開荷重を調整することができる。また、図１０
に示すスリット状横溝１３ｄ5においては、表皮材１３
ｂの切離溝部を接合板１３ｉにて接合して基材１３ａの
切離溝部を外側から被覆して形成されているもので、接
合板１３ｉの中央部には横溝部が形成されていて破断容
易に構成されている。かかるスリット状横溝１３ｄ5に
おいては、シートの外観を向上させることができるとと
もに、接合板１３ｉの破断強度の設定によっても扉部１
３ｄ2の展開荷重を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一例に係るエアバッグ装置付き車両用
シートの斜視図である。
【図２】同シートのエアバッグ非展開時における図１の
矢印２−２線方向に見た横断平面図である。
【図３】同シートのエアバッグ展開時における図２に対
応する横断平面図である。
【図４】同シートを構成するバックフレームに対するエ
アバッグ装置のケースの取付関係を示す斜視図である。
【図５】同シートを構成するシ−トバックボードの背部
側から見た概略的斜視図である。
【図６】同シ−トバックボードにおける背部と側部の境
界部位に形成したヒンジ部の３つの形状（ａ），
（ｂ），（ｃ）を示す図５の矢印６−６線方向に見た横
断面図である。
【図７】同シ−トバックボードにおけるエアバッグ非展
開時（ａ）、展開時（ｂ）のスリット状横溝の形状の一
例を示す図５の矢印７−７線方向に見た縦断面図であ
る。
【図８】同シ−トバックボードにおけるエアバッグ非展
開時（ａ）、展開時（ｂ）のスリット状横溝の形状の第
１変形例を示す図７に対応する縦断面図である。
【図９】同シ−トバックボードにおけるエアバッグ非展
開時（ａ）、展開時（ｂ）のスリット状横溝の形状の第
２変形例を示す図７に対応する縦断面図である。
【図１０】同シ−トバックボードにおけるエアバッグ非
展開時（ａ）、展開時（ｂ）のスリット状横溝の形状の
第３変形例を示す図７に対応する縦断面図である。
【符号の説明】
１０ａ…シ−トバック、１０ｂ…シ−トクッション、１
１…クッション部、１１ａ…クッションパッド、１１ｂ
…シートカバー、１２…バックフレーム、１２ａ…メイ
ンフレーム、１３…シ−トバックボード、１３ａ…基
材、１３ｂ…表皮材、１３ｃ…背部、１３ｄ…側部、１
３ｄ1…スリット状横溝、１３ｄ2…扉部、１３ｄ3，１
３ｄ4，１３ｄ5…スリット状横溝、１３ｅ，１３ｆ，１
３ｇ…縦溝部、１３ｈ…裏当板、１３ｉ…接合板、１４
…収容空間部、２０…エアバッグ装置、２１…インフレ
ータ、２２…エアバッグ、２３…ケース。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長谷川 康紀 愛知県豊田市トヨタ町１番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 大薮 正則 愛知県豊田市トヨタ町１番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 大野 光由 愛知県豊田市トヨタ町１番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 平８−230603（ＪＰ，Ａ) 特開 平８−324372（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−356246（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−50052（ＪＰ，Ａ) 特開 平６−64491（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) B60R 21/22 B60R 21/16

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】シートバックにおける車両内壁側の側部に
    設けた収容空間部にエアバッグ装置を装着して、同エア
    バッグ装置を構成するエアバッグを前記収容空間部の開
    口部に対向して位置させてなるエアバッグ装置付き車両
    用シートであり、前記シートバックの背部に基材の表面
    を表皮材にて被覆してなるシートバックボードを組付け
    て、同シートバックボードにて前記シートバックの背面
    および側面を被覆して前記収容空間部の開口部を覆蓋し
    てなり、前記シートバックボードの側部における少なく
    とも前記収容空間部の開口部に対向する部位には、同収
    容空間部の内側からの所定の力で外側へ開放されてエア
    バッグの外部への展開を許容する扉部を備え、かつ、前
    記シートバックボードの背部と側部の境界部位には、前
    記扉部の開放時の回動中心となるヒンジ部を備え、同ヒ
    ンジ部は前記シートバックボードを構成する表皮材にて
    外側から覆蓋されていることを特徴とするエアバッグ装
    置付き車両用シート。
  2. 【請求項２】請求項１に記載の車両用シートにおいて、
    前記シートバックボードが有する扉部の開放時の回動中
    心となるヒンジ部は、同シートバックボードを構成する
    基材における背部と側部の境界部位に形成された有底の
    スリット状縦溝にて形成されていることを特徴とするエ
    アバッグ装置付き車両用シート。
  3. 【請求項３】請求項１に記載の車両用シートにおいて、
    前記シートバックボードが有する扉部の開放時の回動中
    心となるヒンジ部は、同シートバックボードを構成する
    基材における背部と側部の境界部位に形成されて同背部
    と側部を分離するスリット状縦溝と、これらの背部と側
    部を互いに連結する前記シートバックボードを構成する
    表皮材にて形成されていることを特徴とするエアバッグ
    装置付き車両用シート。
  4. 【請求項４】請求項１〜３のいずれか一項に記載の車両
    用シートにおいて、前記シートバックボードが有する扉
    部は、同シートバックボードにおけるシートバック側の
    収容空間部の開口部の上縁部および下縁部に対向する部
    位またはこれらの両縁部に近接する部位に、前方から後
    方側の前記ヒンジ部へ延びる上下一対のスリット状横溝
    を設けることにより形成されていることを特徴とするエ
    アバッグ装置付き車両用シート。
  5. 【請求項５】請求項４に記載の車両用シートにおいて、
    前記シートバックボードが有する扉部を構成する前記各
    スリット状横溝は、同シートバックボードを構成する基
    材および表皮材におけるシートバック側の収容空間部の
    開口部の上縁部および下縁部に対向する部位またはこれ
    らの両縁部に近接する部位に、前方から後方側の前記ヒ
    ンジ部へ延びる切離溝部にて構成されていることを特徴
    とするエアバッグ装置付き車両用シート。
  6. 【請求項６】請求項４に記載の車両用シートにおいて、
    前記シートバックボードが有する扉部を構成する前記各
    スリット状横溝は、同シートバックボードを構成する基
    材におけるシートバック側の収容空間部の開口部の上縁
    部および下縁部に対向する部位またはこれらの両縁部に
    近接する部位に形成されて前方から後方側の前記ヒンジ
    部へ延び同シートバックボードを構成する表皮材に外側
    から被覆されている上下一対の切離溝部にて構成されて
    いることを特徴とするエアバッグ装置付き車両用シー
    ト。
  7. 【請求項７】請求項４に記載の車両用シートにおいて、
    前記シートバックボードが有する扉部を構成する前記各
    スリット状横溝は、同シートバックボードを構成する基
    材におけるシートバック側の収容空間部の開口部の上縁
    部および下縁部に対向する部位またはこれらの両縁部に
    近接する部位に形成されて前方から後方側の前記ヒンジ
    部へ延びる上下一対の切離溝部と、同基材の内面側に貼
    着する接合板と、前記基材の表面を被覆する表皮材の前
    記各切離溝部を通して前記接合板に貼着する部位にて構
    成されていることを特徴とするエアバッグ装置付き車両
    用シート。
  8. 【請求項８】請求項４に記載の車両用シートにおいて、
    前記シートバックボードが有する扉部を構成する前記各
    スリット状横溝は、前記シートバックボードを構成する
    基材および表皮材における前記収容空間部の開口部の上
    縁部および下縁部に対向する部位またはこれらの両縁部
    に近接する部位に前方から後方側の前記ヒンジ部へ延び
    る上下一対の切離溝部と、前記表皮材における各切離溝
    部間に接合されて所定の力で破壊される樹脂板にて構成
    されていることを特徴とするエアバッグ装置付き車両用
    シート。
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