JP6283949B2 - 乗物用シート - Google Patents
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Description
本実施例のシートバック6は、図1及び図2を参照して、基本構成(6F,6P,6S)と、エアバッグ10と、関連構成(第一展開部21,第二展開部22,飛出部24,変形部26,裏面材30)を有する(各部等の詳細は後述)。ここでシートフレーム6Fは、図1を参照して、略アーチ状の枠体であり、剛性に優れる素材(金属や硬質樹脂など)にて形成できる。またシートパッド6P(詳細後述)は、図2を参照して、乗員を弾性的に支持可能な部材であり、例えばポリウレタンフォーム(密度:10kg/m3〜60kg/m3)等の発泡樹脂で形成できる。そしてシートカバー6Sは、袋状の面材であり、布帛(織物,編物,不織布)、皮革(天然皮革,合成皮革)で形成できる。本実施例では、後述するようにシートパッド6Pを、シートフレーム6F上に配置しつつシートカバー6Sで被覆する。またエアバッグ10(詳細後述)を、シート内に配設して、シートパッド6Pの裏面側に配置する。
本実施例のエアバッグ10(未膨張状態)は、図1及び図2を参照して、シート上下方向に長尺な略立方体状の部材であり、シートバック6の側部内に配設される。本実施例では、エアバッグ10を、シートフレーム6Fの側部をなす平板状のサイドフレームに固定してシート側面に配置したのち、後述のシートパッド6P(天板サイド部6b)で被覆する。そしてエアバッグ10が、乗物衝突による信号によってエアが流入されることで膨張しつつシート外に飛び出すことにより、例えば乗員胸部から乗員腰部にかけての身体範囲を保護する。なおエアバッグ10内には、ガス供給装置が配置されている。ガス供給装置(インフレータ)にはガス発生剤又は高圧ガスが封入されている。
本実施例のシートパッド6Pは、図1及び図2を参照して、略矩形状(正面視)をなしており、天板メイン部6aと、天板サイド部6bと、溝部6cと、後述の裏面材30を有する。ここで天板メイン部6aは、シート幅方向におけるシートパッド6P中央の平坦な部位である。また天板サイド部6bは、天板メイン部6aの側方に配置する突出部位であり、例えばコーナリング走行時に乗員の側部を支持できる。本実施例の天板サイド部6bは、図2を参照して、エアバッグ10を含むシートフレーム6Fの側部に被覆可能な略横U字状(断面視)をなしており、後述の構成(第一展開部21,第二展開部22,飛出部24)を有する。そして溝部6cは、シートパッド6Pの着座側に形成された凹部であり、天板メイン部6aと天板サイド部6bの間に形成されて、例えばクリップ等を埋設するなどしてシートカバー6Sの一部を、クリップを介して引込み可能である。
飛出部24は、図1及び図2を参照して、他のシートパッド部分よりも脆弱で且つエアバッグが飛び出す箇所であり、膨張時のエアバッグ10の圧力等で開口(又は拡開)可能である。本実施例の飛出部24は、シートパッド6Pをその厚み方向に貫通する複数の貫通孔と、隣り合う貫通孔の間のシートパッド部分にて構成されており、シートパッド6Pの側面でエアバッグ10に対面可能な位置に設けられる。本実施例の飛出部24では、図1を参照して、シートバック起立時を基準として、複数の貫通孔が適宜の間隔で上下に並列するが、上下に長尺な単数の貫通孔で構成されていてもよい。なお隣り合う貫通孔の間のシートパッド部分に上下方向に延びる切れ目を入れるなどして、飛出部24を破断しやすくすることもできる。そして飛出部24の形成位置の長さ寸法(上端の貫通孔から下端の貫通孔までの長さ寸法)はエアバッグ10が飛び出し可能である限り特に限定しないが、典型的にはエアバッグ10の長さ寸法よりも大きく設定されて、エアバッグ10を確実に展開させる構成が望ましい。
第一展開部21(本発明の展開部)は、図2を参照して、天板サイド部6bの着座側をなす部位であり、後述の変形部26を有して、飛出部24の前部側(一側)に位置する。本実施例の第一展開部21は、断面視で略横L字状をなしており、天板メイン部6aから着座側(図2、F方向)に向けて屈曲する第一部位21aと、第一部位21aからシート幅方向且つ外方(図2、R方向)に向けて延びる第二部位21bが形成される。そして本実施例の第一展開部21は、シート外方に向かうにつれて次第に肉厚とされて着座側に突出することで、サポート性に優れる構成としている。また第一展開部21は、シートバック起立時を基準として、上部から下部に向かうにつれて次第に肉厚とされており、乗員(乗員腰部)からの押圧を強く受ける下部側が比較的肉厚である(図4及び図5を参照)。また第二展開部22は、天板サイド部6bの後部側をなす部位(比較的肉薄)であり、図2の断面視でシート前後方向に長尺な略矩形状をなして飛出部24の後側(他側)に配置する。
ここで裏面材30は、図2を参照して、シートパッド6Pの裏面(シートフレーム6Fやエアバッグ10を臨む面)に取付けられる面材である。裏面材30の材質は特に限定しないが、フェルトや布帛を例示できる。本実施例では、裏面材30として、シートパッド6Pの成形材料が含浸可能な面材(フェルトや布帛など)を使用する。そして本実施例では、シートパッド6Pの成形と同時に、シートパッド6P裏面に裏面材30を取付けることができる。例えば裏面材30を、シートパッド6Pの成形装置内(図示省略)に入れて、シートパッド6Pの裏面に相当する位置に配置する。この状態でシートパッド6Pの成形材料(液状樹脂)を装置内に供給して発泡させることにより、シートパッド6Pを成形しつつその裏面に裏面材30を一体化して取付けることができる。こうして取付けられた裏面材30は、シートパッド6Pの成形材料が含浸固化することで硬化状態(伸び変形しにくい状態)とされる。
変形部26は、図2を参照して、第一展開部21の裏面側に設けられた第一展開部21の他の部分に比して変形しやすい部位であり、エアバッグ10にて押し退けられる際の基点BPとなる箇所に設けられる。本実施例の変形部26は、裏面材30が除去された第一展開部部分(裏面材30の非配設箇所)であり、第一展開部21の第二部位21bの根元部分(基点BPとなる箇所)に配置する。変形部26は、他の第一展開部部分(硬化状態の裏面材30が一体化した部位)に比して伸び変形しやすい箇所となり、シート上下方向に長尺で飛出部24を網羅する長さ寸法を有する。そして本実施例では、エアバッグ10の飛び出し時(後述)にて、基点BPとなる箇所の変形部26(第一展開部21の裏面側)がシート幅方向などに伸び変形することとなる。ここで変形部26の形成方法は特に限定しないが、例えばシートパッド6Pの成形と同時に変形部26を形成できる。本実施例では、シートパッド6Pの成形時において、裏面材30の非配設箇所を、形成装置内の所定箇所(変形部26の形成位置に相当する箇所)に設けることで形成できる。また変形部26は、シートパッド6Pの成形後に、第一展開部21の基点BPとなる箇所から裏面材30を除去することでも形成できる。
図2を参照して、乗物衝突時において、エアバッグ10をシート外に飛び出させて乗員側部を保護する。本実施例では、エアバッグ10が、専ら第一展開部21を着座側に押し退けつつ飛出部24から飛び出しながら、シートカバー6Sの縫合箇所Wを破断させてシート外に飛び出す(図2の二点破線状態を参照)。このとき第一展開部21が、第二部位21bの薄肉な根元を基点BPとして着座側に湾曲しつつ押し退けられる。そして本実施例では、乗員のサポート性を考慮して、第一展開部21が比較的肉厚とされる(押し退けられにくい構成とされる)。この種の構成では、乗員のサポート性を極力維持しつつ、エアバッグ10を素早くシートパッド6Pから飛び出させることが好ましい。
ここで変形部の構成は、上述の構成のほか、各種の構成を取り得る。例えば図3〜図5を参照して、変形例1の変形部26Aは、第一展開部21裏面の凹部位であり、第一展開部21の第二部位21bの根元部分で基点BPとなる箇所に配置する。この変形部26Aは、図4の断面視で略円形状の肉盗み箇所として形成されており、シート上下方向に長尺で飛出部24を網羅する長さ寸法を有する。そして本変形例では、エアバッグ10の飛び出し時において、第一展開部21が、第二部位21bの根元部分を基点BPとして着座側に湾曲しつつ押し退けられる。このとき本変形例では、第一展開部21が、変形部26A(裏面側の凹部位)を拡開変形させながら、着座側にスムーズに押し退けられることとなる。なお本変形例では、変形部26Aが、裏面材30の非配設箇所とされているが、別例のように変形部26Aに沿って裏面材30を配設することもできる。このように変形部26Aに裏面材30を配置することで、同箇所の剛性を好適に維持することができる。
また図7を参照して、変形例2の変形部26Bは、裏面材30の非配設箇所(実施例と同一構成)であり、第一展開部21の第二部位21bの根元部分(基点BPとなる箇所)に配置する。そして変形例2では、変形部26B(裏面材30の非配設箇所)に潤滑剤を付与して滑りやすくする(図7では、便宜上、潤滑剤の付与されたシートパッド部分を太線で示す)。潤滑剤を付与された変形部26Bは、シートパッド6P由来の伸び特性が極力維持されて、他の第一展開部部分(裏面材30が一体化された部位)に比して伸びやすくされる。そして変形部26Bを、潤滑剤の付与にて滑りやすくすることにより、シート内の他部材(エアバッグ10等)と接した際に、これらの当接が原因の異音(コスレ音など)を好適に阻止できる。この種の潤滑剤として、変形部26Bの伸び特性を極端に阻害しない薬剤であればよく、シリコン、グリース、シリコンとアクリルの共重合体、シリコンとウレタンの共重合体を例示できる。
4 シートクッション
6 シートバック
8 ヘッドレスト
6F シートフレーム
6P シートパッド
6S シートカバー
6a 天板メイン部
6b 天板サイド部
10 エアバッグ
21 第一展開部(本発明の展開部)
22 第二展開部
24 飛出部
26 変形部
30 裏面材
BP 基点
Claims (1)
- シート外形をなして乗員を弾性的に支持するシートパッドと、シート骨格をなして前記シートパッドを支持するシートフレームと、前記シートパッドの裏面側に配置してエアの流入により膨張可能なエアバッグとを備え、
前記シートパッドが、他のシートパッド部分よりも脆弱で且つ前記エアバッグが飛び出す飛出部と、前記飛出部からシートの一側に延びる展開部を有し、
前記エアバッグが、前記展開部を前記一側に向けて押し退けつつ前記飛出部から飛び出す際に、前記展開部が、前記エアバッグにて押し退けられる際の基点となる箇所から曲がり変形しつつ押し退けられる構成の乗物用シートにおいて、
前記展開部が、前記展開部の他の部分に比して変形しやすい変形部を前記基点となる箇所に有して、前記エアバッグの飛び出し時において、前記変形部が変形して前記曲がり変形が助長されつつ前記一側に向けて押し退けられる構成とされるとともに、
前記変形部は、前記シートパッドの裏側に設けられた凹み部位又は前記シートパッドの裏面に一体化されている面状の裏面材が除去された部位である乗物用シート。
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