JP5692197B2 - サイドエアバッグ装置を備えた車両用シート及びサイドエアバッグ装置の車両用シートへの組付方法 - Google Patents

Description

本発明は、サイドエアバッグ装置を備えた車両用シート及びサイドエアバッグ装置の車両用シートへの組付方法に関する。

下記特許文献１には、サイドエアバッグ装置を内蔵した車両用シートに関する技術が開示されている。具体的には、シートバックフレームにおいて車体側部と対向する側のサイドフレームにブラケットを介してサイドエアバッグ装置のエアバッグモジュールが取り付けられている。また、エアバッグモジュールとサイドフレームとを囲むように力布（シート状部材）が配設されている。さらに、力布は内側と外側に二分割されている。左右の力布の各前端部は車両用シートの表皮の開裂部（開口部）の両端にそれぞれ縫製されており、又各後端部は相互に縫製されている。

上記車両用シートによる場合、サイドエアバッグ装置を備えた車両用シートの組付手順は、以下の通りとなる。まず、車両用シートの表皮の開裂部の両端部に二分割された力布の各前端部を予め縫製しておく。その後、この状態の表皮を車両用シートのシートバックパッドに被せていく。次に、車両幅方向外側のサイドフレームにエアバッグモジュールが予め取付けられたシートバックフレームに、シートバックパッドが組付けられる。最後に、左右の力布の後端部がエアバッグモジュールの後側で縫製により結合される。

特許第３８０４１４４号公報

しかしながら、上記先行技術による場合、シートバックフレームにおいて車体側部と対向するサイドフレームの車両幅方向外側及び車両後方側にパッド側面部及びパッド後面部が配置されるシートバックパッドが採用された場合に、これらのパッド側面部及びパッド後面部が組付作業を阻害する。すなわち、力布の結合作業及びエアバッグモジュールの組付作業が非常にやり難いという課題がある。

本発明は上記事実を考慮し、車体側部と対向する側のサイドフレームの車両幅方向外側及び車両後方側にシートバックパッドのパッド側面部及びパッド後面部が配置されても、力布及びエアバッグモジュールの組付作業性を向上させることができるサイドエアバッグ装置を備えた車両用シート及びサイドエアバッグ装置の車両用シートへの組付方法を得ることが目的である。

請求項１記載の本発明に係るサイドエアバッグ装置を備えた車両用シートは、シートバックフレームにおいて車体側部と対向する側のサイドフレームの車両幅方向外側に配置されたサイドエアバッグ装置のエアバッグモジュールと、両端部がシートバックの表皮に設けられた開裂部に沿って縫製されると共にループ状に形成され、かつループ内に前記エアバッグモジュールが配置された力布と、前記エアバッグモジュールをシートバックの後面側からサイドフレームに直接又は間接的に締結固定するための固定部と、前記表皮が被せられると共に、前記サイドフレームの車両前方側に配置されるパッド前面部と前記サイドフレームの車両幅方向外側に配置されるパッド側面部と前記サイドフレームの車両後方側に配置されるパッド後面部とを備え、当該パッド前面部と当該パッド側面部との間に前記エアバッグモジュールを挿入可能な開口部が形成され又は当該パッド側面部に当該開口部に相当する扉部が形成されたシートバックパッドと、前記固定部の車両幅方向外側に配置され、前記パッド後面部の車両前方外側への回動を可能とするヒンジ部と、を有している。

請求項２記載の本発明に係るサイドエアバッグ装置を備えた車両用シートは、請求項１記載の発明において、前記ヒンジ部は、前記パッド側面部と前記パッド後面部とを相互に連結する薄肉部である。

請求項３記載の本発明に係るサイドエアバッグ装置を備えた車両用シートは、請求項１又は請求項２記載の発明において、前記力布の中間部には、前記エアバッグモジュールから車両後方側へ突出されたスタッドボルトを挿通させるためのボルト挿通孔が形成されている。

請求項４記載の本発明に係るサイドエアバッグ装置を備えた車両用シートは、請求項１〜請求項３のいずれか１項に記載の発明において、前記エアバッグモジュールはシートバック長手方向に細長く形成されており、さらに、前記開口部は当該エアバッグモジュールをシートバックに正対させた状態で挿入可能な上下方向寸法を有している。

請求項５記載の本発明に係るサイドエアバッグ装置を備えた車両用シートは、請求項１〜請求項４のいずれか１項に記載された発明において、前記扉部は前記ヒンジ部以外の周縁部がパッド側面部から分離され、当該扉部を当該ヒンジ部回りに車両後方外側へ回動させることでパッド側面部に開口部が形成されるように構成されている。

請求項６記載の本発明に係るサイドエアバッグ装置を備えた車両用シートは、請求項１記載の発明において、前記パッド側面部と前記パッド後面部とは一体に形成されると共に両者は同一の厚さで相互に接続されており、かつ、前記サイドフレームには前記エアバッグモジュールの後面に取付座を形成する金属製のブラケットが設けられており、前記ヒンジ部は、前記パッド側面部における前記ブラケットの前記取付座の外側先端部との隣接部位である。

請求項７記載の本発明に係るサイドエアバッグ装置を備えた車両用シートは、請求項１〜請求項６のいずれか１項に記載された発明において、前記表皮は、前記シートバックパッドの側面を覆うサイド表皮と前記シートバックパッドの後面を覆うリヤ表皮とを含んで構成されており、さらに、当該サイド表皮と当該リヤ表皮とがファスナによって分離可能に接合されている。

請求項８記載の本発明に係るサイドエアバッグ装置を備えた車両用シートは、請求項１〜請求項６のいずれか１項に記載された発明において、前記表皮は、前記シートバックパッドの側面を覆うサイド表皮を含んで構成されており、さらに、当該サイド表皮の後端末部がサイドフレーム側に取付けられ、サイド表皮の後端末部を含むシートバックの車両後方側の面がシートバックボードによって覆われている。

請求項９記載の本発明に係るサイドエアバッグ装置の車両用シートへの組付方法は、表皮に設けられた開裂部に沿ってループ状に縫製された力布のループ内にサイドエアバッグ装置のエアバッグモジュールを配置させる第１工程と、前記力布及び前記エアバッグモジュールを、シートバックパッドの側部におけるパッド前面部とパッド側面部との間に形成された開口部から挿入して、シートバックフレームにおいて車体側部と対向する側のサイドフレームの車両幅方向外側に配置する第２工程と、前記エアバッグモジュールの後部から車両後方側へ突出されたスタッドボルトを、前記サイドフレームに設けられたブラケットのボルト挿通孔に挿入させる第３工程と、前記シートバックパッドの側部においてサイドフレームの車両後方側に配置されたパッド後面部をヒンジ部回りに車両前方外側へ回動させて、前記シートバックの車両後方側から工具を挿入して前記スタッドボルトにナットを締結する第４工程と、を含んでいる。

請求項１０記載の本発明に係るサイドエアバッグ装置の車両用シートへの組付方法は、表皮に設けられた開裂部に沿ってループ状に縫製された力布のループ内にサイドエアバッグ装置のエアバッグモジュールを配置させる第１工程と、シートバックパッドの側部におけるパッド側面部とパッド後面部との間に形成されたヒンジ部回りに当該パッド側面部に設けられた扉部を車両後方外側へ回動させて、前記力布及び前記エアバッグモジュールを、シートバックフレームにおいて車体側部と対向する側のサイドフレームの車両幅方向外側に配置する第２工程と、前記エアバッグモジュールの後部から車両後方側へ突出されたスタッドボルトを、前記サイドフレームに設けられたブラケットのボルト挿通孔に挿入させる第３工程と、前記パッド後面部を前記ヒンジ部回りに車両前方外側へ回動させて、前記シートバックの車両後方側から工具を挿入して前記スタッドボルトにナットを締結する第４工程と、を含んでいる。

請求項１記載の本発明によれば、力布の両端部が表皮の開裂部に沿って縫製されてループ状に形成されるため、二分割構造の力布を採用した場合に必要となる二つの力布の結合作業が不要となる。

また、上記力布のループの内側にサイドエアバッグ装置のエアバッグモジュールを挿入し、この状態で表皮をシートバックパッドに被せながら、エアバッグモジュールをサイドフレームの車両幅方向外側に配置させる。具体的には、パッド側面部とパッド後面部との間に開口部が形成されている場合には、シートバックの車両前方側から力布とエアバッグモジュールとが開口部内へ挿入される。一方、パッド側面部に扉部が形成されている場合には、扉部をヒンジ部回りに車両後方外側へ回動させて開口部を形成した後、シートバックの車両幅方向外側から力布とエアバッグモジュールとが開口部内へ挿入される。その後、ヒンジ部を中心としてパッド後面部を車両前方外側へ回動させ、この状態でシートバックの車両後方側から工具を挿入して、エアバッグモジュールがサイドフレームに直接又は間接的に締結固定される。このように力布及びエアバッグモジュールを車両前方側又は車両幅方向外側からシートバックパッド内へ挿入させてから、パッド後面部をヒンジ部回りに車両前方外側へ回動させることができるので、工具をシートバックの車両後方側から挿入して背面締めすることができる。従って、パッド側面部やパッド後面部が存在していても、エアバッグモジュールをサイドフレームに容易に組付けることが可能となる。

請求項２記載の本発明によれば、パッド側面部とパッド後面部とは薄肉部によって相互に連結されているため、パッド後面部はヒンジ部である薄肉部を中心にして車両前方外側へ円滑に回動させることができる。

請求項３記載の本発明によれば、力布のループ内にエアバッグモジュールを挿入した際に、エアバッグモジュールから車両後方側へ突出されたスタッドボルトを力布に形成されたボルト挿通孔内へ挿入して仮組みしておくことができる。また、エアバッグモジュールをサイドフレームに固定部によって固定する際に力布がエアバッグモジュールに対して位置ずれすることもない。

請求項４記載の本発明によれば、エアバッグモジュールはシートバック長手方向に細長く形成されているが、開口部も当該エアバッグモジュールをシートバックに正対させた状態で挿入可能な上下方向寸法を有している。このため、エアバッグモジュールを開口部に挿入する際にエアバッグモジュールを傾ける必要がない。従って、力布との関係でエアバッグモジュールを大きく傾けることができずにエアバッグモジュールを開口部内へ挿入し難いといったことがなくなる。

請求項５記載の本発明によれば、パッド側面部に設けられた扉部はヒンジ部以外の周縁部がパッド側面部から分離されており、この扉部をヒンジ部を中心として車両後方外側へ回動させることによりパッド側面部に開口部が形成される。これにより、力布及びエアバッグモジュールをパッド側面部に形成された開口部から挿入することができる。

請求項６記載の本発明によれば、パッド側面部とパッド後面部とが一体に形成されていると共に、両者は同一の厚さで接続されている。また、サイドフレームには金属製のブラケットが設けられており、このブラケットの取付座はエアバッグモジュールの後面に配置される。このため、パッド側面部におけるブラケットの取付座の外側先端部との隣接部位はその前後の部位に比べて剛性が高くなる。このため、薄肉部等の明確なヒンジ部を設けなくても、当該隣接部位がヒンジ部として機能し、パッド後面部を車両前方外側へ回動させることが可能となる。

請求項７記載の本発明によれば、表皮のサイド表皮とリヤ表皮とがファスナによって分離可能に接合されているため、エアバッグモジュールの組付時に予めリヤ表皮をサイド表皮から分離しておくことができる。

請求項８記載の本発明によれば、エアバッグモジュールをサイドフレームに組付けた後にサイド表皮の後端末部がサイドフレームに取付けられる。その後、サイド表皮の後端末部を含むシートバックの車両後方側側がシートバックボードによって覆われる。

請求項９記載の本発明によれば、まず第１工程で、表皮に設けられた開裂部に沿ってループ状に縫製された力布のループ内にサイドエアバッグ装置のエアバッグモジュールが配置される。次に第２工程で、シートバックパッドの側部におけるパッド前面部とパッド側面部との間に形成された開口部から力布及びエアバッグモジュールが挿入される。さらに、シートバックフレームにおいて車体側部と対向する側のサイドフレームの車両幅方向外側に力布及びエアバッグモジュールが配置される。次に第３工程で、エアバッグモジュールの後部から車両後方側へ突出されたスタッドボルトが、サイドフレームに設けられたブラケットのボルト挿通孔に挿入される。その後、第４工程で、シートバックパッドの側部においてサイドフレームの車両後方側に配置されたパッド後面部がヒンジ部回りに車両前方外側へ回動される。そして、この状態で、シートバックの車両後方側から工具を挿入してスタッドボルトにナットが締結される。エアバッグモジュールの締結後、パッド後面部が元の状態に復帰される。これにより、サイドエアバッグ装置がシートバックフレームのサイドフレームにシートバックの車両後方側から締結固定される。このように本発明では、サイドエアバッグの高さがそれほど高くなく、パッド前面部とパッド側面部との間にエアバッグモジュールを挿入するための開口部を形成することが可能な場合に有効な組付方法である。

請求項１０記載の本発明によれば、まず第１工程で、表皮に設けられた開裂部に沿ってループ状に縫製された力布のループ内にサイドエアバッグ装置のエアバッグモジュールが配置される。次に第２工程で、シートバックパッドの側部におけるパッド側面部とパッド前面部との間に形成されたヒンジ部回りに、パッド側面部に設けられた扉部が車両後方外側へ回動される。これにより、パッド側面部に開口部が形成される。そして、この状態で、シートバックフレームにおいて車体側部と対向する側のサイドフレームの車両幅方向外側に力布及びエアバッグモジュールが配置される。次に第３工程で、エアバッグモジュールの後部から車両後方側へ突出されたスタッドボルトが、サイドフレームに設けられたブラケットのボルト挿通孔に挿入される。その後、第４工程で、パッド後面部がヒンジ部回りに車両前方外側へ回動される。そして、この状態で、シートバックの車両後方側から工具を挿入してスタッドボルトにナットが締結される。エアバッグモジュールの締結後、パッド後面部が元の状態に復帰される。これにより、サイドエアバッグ装置がシートバックフレームのサイドフレームにシートバックの車両後方側から締結固定される。このように本発明では、サイドエアバッグの高さが高くそれに見合う開口部をパッド前面部とパッド側面部との間に形成することができない場合に有効な組付方法である。

以上説明したように、請求項１記載のサイドエアバッグ装置を備えた車両用シートは、車体側部と対向する側のサイドフレームの車両幅方向外側及び車両後方側にシートバックパッドのパッド側面部及びパッド後面部が配置されても、力布及びエアバッグモジュールの組付作業性を向上させることができるという優れた効果を有する。

請求項２記載の本発明に係るサイドエアバッグ装置を備えた車両用シートは、エアバッグモジュールの締結作業を円滑に行うことができるという優れた効果を有する。

請求項３記載の本発明に係るサイドエアバッグ装置を備えた車両用シートは、力布との関係においてエアバッグモジュールの組付作業性を向上させることができるという優れた効果を有する。

請求項４記載の本発明に係るサイドエアバッグ装置を備えた車両用シートは、エアバッグモジュールが仮組みされた表皮のシートバックパッドへの組付作業性を向上させることができるという優れた効果を有する。

請求項５記載の本発明に係るサイドエアバッグ装置を備えた車両用シートは、膨張展開状態のサイドエアバッグの高さが高く、それに見合う上下方向寸法を有する開口部をパッド前面部とパッド側面部との間に形成することが困難な場合にも、エアバッグモジュールのサイドフレームへの組付作業の容易性を担保することができるという優れた効果を有する。

請求項６記載の本発明に係るサイドエアバッグ装置を備えた車両用シートは、薄肉部等の明確なヒンジ部を形成しなくても、エアバッグモジュールの締結作業を行うことができるという優れた効果を有する。

請求項７記載の本発明に係るサイドエアバッグ装置を備えた車両用シートは、エアバッグモジュールのサイドフレームへの組付作業性を更に向上させることができるという優れた効果を有する。

請求項８記載の本発明に係るサイドエアバッグ装置を備えた車両用シートは、サイド表皮の後端末部がシートバックボードによって覆われるので車両用シートの意匠性を向上させることができるという優れた効果を有する。

請求項９及び請求項１０記載の本発明に係るサイドエアバッグ装置の車両用シートへの組付方法は、車体側部と対向する側のサイドフレームの車両幅方向外側及び車両後方側にシートバックパッドのパッド側面部及びパッド後面部が配置されても、力布及びエアバッグモジュールの組付作業性を向上させることができるという優れた効果を有する。

第１実施形態に係るサイドエアバッグ装置を備えた車両用シートの分解斜視図である。 サイドエアバッグ装置の車両用シートへの組付手順の第１工程を示しており、（Ａ）は組付前の状態の力布及びエアバッグモジュールを示す斜視図であり、（Ｂ）は組付後の状態の力布及びエアバッグモジュールを示す斜視図である。 サイドエアバッグ装置の車両用シートへの組付手順の第２工程を示しており、表皮に一体化された力布及びエアバッグモジュールをシートバックパッドに挿入する様子を示すシートバックパッドの横断面図である。 サイドエアバッグ装置の車両用シートへの組付手順の第３工程及び第４工程を示しており、スタッドボルトのブラケットへの挿入及びナットの背面締めを行う様子を示すシートバックパッドの横断面図である。 第２実施形態に係るサイドエアバッグ装置を備えた車両用シートにおいて車両後方外側へ開く側面パッドの概略構成を示すシートバックパッドの部分斜視図である。 サイドエアバッグ装置の車両用シートへの組付手順の第２工程〜第４工程までを示す図４に対応するシートバックパッドの横断面図である。

〔第１実施形態〕
以下、図１〜図４を用いて、本発明に係るサイドエアバッグ装置を備えた車両用シート及びサイドエアバッグ装置の車両用シートへの組付方法の第１実施形態について説明する。なお、各図に適宜示される矢印ＦＲは車両前方側を示しており、又矢印ＵＰは車両上方側を示している。さらに、矢印ＩＮは車両幅方向内側を示している。

図１及び図４に示されるように、車両用シート１０は、乗員が着座する図示しないシートクッションと、このシートクッションの後端部に傾倒可能に立設されて乗員の上半身を支持するシートバック１２と、シートバック１２の上端部に設けられて乗員の頭部を支持する図示しないヘッドレストと、を備えている。

シートバック１２は、骨格フレームを構成する金属製のシートバックフレーム１４を備えている。シートバックフレーム１４は、正面視で逆Ｕ字状に形成されたパイプ状のアッパフレーム１６と、このアッパフレーム１６の左右両側部に溶接された左右一対のサイドフレーム１８と、を含んで構成されている。なお、左右のサイドフレーム１８の下端部同士は、パイプ材によって構成されたコネクティングロッド２０によって車両幅方向に連結されている。

各サイドフレーム１８は、プレス成形によって平断面形状が略Ｃ字状となるように形成されている。具体的には、サイドフレーム１８は、平断面視で車両前後方向に沿って延在する縦壁部１８Ａと、この縦壁部１８Ａの前端から車両幅方向内側へ鈍角に屈曲された前壁部１８Ｂと、縦壁部１８Ａの後端から車両幅方向内側へ鈍角に屈曲された後に車両幅方向に延設され更に端末部が車両前方側へ屈曲された後壁部１８Ｃと、によって構成されている。サイドフレーム１８については後述するサイドエアバッグ装置３８との関係で再び説明することにする。

上述したシートバックフレーム１４の車両前方側には、ウレタンフォーム等のクッション材で形成されたシートバックパッド２２が配設されている。シートバックパッド２２は、大きく分けてシートバック１２の正面側に配置されて着座乗員の上半身を支持するフロントメインパッド部２４と、このフロントメインパッド部２４の車両幅方向の両側に配置されて着座乗員の上半身を両サイドからサポートする左右一対のサイドパッド部２６と、を備えている。サイドパッド部２６はフロントメインパッド部２４と一体に形成されている。また、サイドパッド部２６は、フロントメインパッド部２４の前面よりも車両前方側へ隆起した形状に形成されている。さらに、サイドパッド部２６は、サイドフレーム１８の車両前方側に配置されるパッド前面部２６Ａと、サイドフレーム１８の車両幅方向外側に配置されるパッド側面部２６Ｂと、サイドフレーム１８の車両後方側に配置されるパッド後面部２６Ｃと、を備えている。これらのパッド前面部２６Ａとパッド側面部２６Ｂとパッド後面部２６Ｃとで囲まれた範囲には、後述するサイドエアバッグ装置３８のエアバッグモジュール４０を収容するための略直方体形状の収容部２８（図３参照）が形成されている。

上述したシートバックパッド２２は、表皮３０によって覆われている。表皮３０は、フロントメインパッド部２４を車両前方側から覆うフロントメイン表皮３０Ａと、パッド前面部２６Ａを車両前方側から覆うフロントサイド表皮３０Ｂと、パッド側面部２６Ｂ及びパッド後面部２６Ｃを車両幅方向外側及び車両後方側から覆うサイド表皮３０Ｃと、シートバック１２の後面側を車両後方側から覆うリヤ表皮３０Ｄと、を含んで構成されている。フロントサイド表皮３０Ｂの外側端末部とサイド表皮３０Ｃの前側端末部とは、車両上下方向の所定範囲において、所定値以上の引張荷重が作用することにより破断する縫合糸３２によって縫製されており、この部位が開裂部３４とされている。また、サイド表皮３０Ｃの後端末部とリヤ表皮３０Ｄの外側端末部とは、ファスナ３６によって分離可能に接合されている。

上述したシートバックフレーム１４において車両幅方向外側（車体側部と対向する側）のサイドフレーム１８の車両幅方向外側には、側面衝突時に作動するサイドエアバッグ装置３８のエアバッグモジュール４０が配設されている。エアバッグモジュール４０は、シートバックパッド２２の側部における前述した収容部２８に収容されている。エアバッグモジュール４０は、略円柱状に形成されたインフレータ４２と、このインフレータ４２の周囲を覆う金属製のリテーナ４４と、薄型の略直方体形状に折り畳まれたサイドエアバッグ４６と、を主要部として構成されている。

各部の構成について補足すると、インフレータ４２の軸方向の一端部には、図示しないスクイブ（点火装置）が配設されている。また、インフレータ４２の内部には、燃焼することにより大量のガスを発生するガス発生剤が充填されていると共に、発生した高温のガスを冷却するためのクーラント及びガス発生剤が燃焼した際に生じる砕片を除去するためのフィルタ等が収容されている。なお、上記インフレータ４２はガス発生剤を用いるタイプのインフレータであるが、高圧ガスが封入されたタイプのインフレータを用いてもよい。また、インフレータ４２の軸方向の他端部側には、周壁部に複数のガス噴出孔が形成されたガス噴出部が形成されている。上記インフレータ４２は、車体フロアの中央部に配設された図示しないコントローラ（エアバッグＥＣＵ）と接続されている。コントローラは、ロッカやセンタピラー等の車体側部等やサイドドア内に配設された図示しない側面衝突検知センサと接続されている。

また、リテーナ４４は筒状に形成されており、当該リテーナ４４の内方にインフレータ４２が配設されている。なお、リテーナ４４は、カシメによりインフレータ４２の外周部に固定されている。さらに、リテーナ４４の外周部からは上下一対のスタッドボルト４８が立設されている。上記リテーナ４４は、インフレータ４２のガス噴出孔から噴出されたガスを所定の方向（例えば、インフレータ４２の軸方向の両側）に整流するディフューザとして機能している。なお、スタッドボルト４８は、リテーナ４４からではなく、インフレータ４２から立設されていてもよい。

サイドエアバッグ４６は、全体としては薄型の直方体形状を成しており、例えば着座乗員の腹部から肩部（腰部から肩部更には頭部まで保護するサイドエアバッグについては後述する第２実施形態で言及）までを保護する大きさに形成されている。このサイドエアバッグ４６の内方にインフレータ４２及びリテーナ４４が挿入され、この状態でサイドエアバッグ４６が薄型の直方体形状に折り畳まれている。そして、エアバッグモジュール４０が構成された状態では、上下一対のスタッドボルト４８がサイドエアバッグ４６を貫通し、エアバッグモジュール４０の外方へ向けて突出されている。

図２にも示されるように、上述したエアバッグモジュール４０は、力布５０によって覆われている。力布５０は伸縮し難い材質の材料が用いられ、例えばサイドエアバッグ４６と同一の素材が用いられている。また、力布５０の展開形状は、一例として略矩形状とされている。そして、力布５０の短辺側の両端部が、フロントサイド表皮３０Ｂの外側端末部及びサイド表皮３０Ｃの前側端末部から成る開裂部３４に沿って縫製されている。これにより、力布５０は平面視でループ状に形成されている。そして、当該力布５０のループ内にエアバッグモジュール４０が挿入された状態で配置されている。

一方、図１、図３及び図４に示されるように、前述したシートバックフレーム１４における車両幅方向外側のサイドフレーム１８の縦壁部１８Ａには、平断面視でＬ字状に屈曲されたブラケット５２が取り付けられている。ブラケット５２は、縦壁部５２Ａと横壁部５２Ｂとを備えている。ブラケット５２の縦壁部５２Ａは、サイドフレーム１８の縦壁部１８Ａに溶接等によって固定されている。また、横壁部５２Ｂは、サイドフレーム１８の縦壁部１８Ａに対して車両幅方向外側に向けて垂直に配置されている。この横壁部５２Ｂの車両幅方向中間部に上下一対のボルト挿通孔５４が形成されている。これらのボルト挿通孔５４にスタッドボルト４８が車両前方側から車両後方側へ向けて挿入されて、ナット５６で締結固定されている。これらのブラケット５２、スタッドボルト４８及びナット５６が本発明における「固定部」に相当する。また、横壁部５２Ｂの車両幅方向外側の端末部５２Ｃはヘミング加工により車両後方側へ折り返され、サイドエアバッグ４６への傷付きを防止している。

上述したエアバッグモジュール４０の外周部を覆うように前述した力布５０が配設されている。力布５０の長手方向の中間部には、エアバッグモジュール４０のスタッドボルト４８を挿通させるためのボルト挿通孔５８が形成されている。力布５０は、このボルト挿通孔５８の形成位置を境にして外側力布５０Ａと内側力布５０Ｂとに分かれている。外側力布５０Ａは、折り畳まれた状態のサイドエアバッグ４６とパッド側面部２６Ｂとの間を通って開裂部３４に至るように配設されている。また、内側力布５０Ｂは、折り畳まれた状態のサイドエアバッグ４６とサイドフレーム１８の縦壁部１８Ａとの間、及びサイドエアバッグ４６とパッド前面部２６Ａとの間を通って開裂部３４に至るように配設されている。

また、図３及び図４に示されるように、シートバックパッド２２の側部におけるパッド側面部２６Ｂとパッド後面部２６Ｃとは、ヒンジ部としての薄肉部６０によって相互に連結されている。薄肉部６０は、ブラケット５２、スタッドボルト４８及びナット５６による固定部の車両幅方向外側に配置されている。これにより、パッド後面部２６Ｃは薄肉部６０を中心として車両前方外側へ回動可能とされている。

さらに、図１に示されるように、上述したシートバックパッド２２の側部におけるパッド前面部２６Ａとパッド側面部２６Ｂとの境界部には、車両上下方向に沿ってスリット状の開口部６２が形成されている。開口部６２は、エアバッグモジュール４０をシートバック１２に正対させた状態で挿入可能な上下方向寸法を有している。

（本実施形態の作用・効果）
次に、本実施形態の作用並びに効果を説明する。

最初に、サイドエアバッグ装置３８の車両用シート１０への組付方法（手順）について説明する。図１に示されるように、表皮３０の裏面側には、開裂部３４に沿って力布５０がループ状に予め縫製されている。

この状態から、図２（Ａ）に示されるように、第１の工程で、力布５０のループ内にサイドエアバッグ装置３８のエアバッグモジュール４０が挿入される。このとき、力布５０の長手方向の中間部に形成された上下一対のボルト挿通孔５８にスタッドボルト４８が挿入される（図２（Ｂ）参照）。次いで、図３に示されるように、第２工程で、シートバックパッド２２のパッド前面部２６Ａとパッド側面部２６Ｂとの間に形成された開口部６２から、力布５０及びエアバッグモジュール４０が挿入される。さらに、第３工程で、エアバッグモジュール４０の上下一対のスタッドボルト４８が、ブラケット５２の横壁部５２Ｂに形成されたボルト挿通孔５４内へそれぞれ挿入される。これにより、エアバッグモジュール４０及び力布５０はサイドフレーム１８の縦壁部１８Ａの車両幅方向外側に配置される。同時に、力布５０がエアバッグモジュール４０とブラケット５２の横壁部５２Ｂとの間に挟持される。

次いで、図４に示されるように、第４工程で、シートバックパッド２２の側部においてサイドフレーム１８の車両後方側に配置されたパッド後面部２６Ｃが、薄肉部６０回りに車両前方外側へ回動される。そして、この状態で、シートバック１２の車両後方側から工具６４を挿入してスタッドボルト４８にナット５６が締結される。エアバッグモジュール４０の締結後、パッド後面部２６Ｃが元の状態に復帰される。これにより、サイドエアバッグ装置３８がシートバックフレーム１４のサイドフレーム１８にシートバック１２の車両後方側から締結固定される。このように本実施形態では、サイドエアバッグ４６の高さがそれほど高くなく、パッド前面部２６Ａとパッド側面部２６Ｂとの間にエアバッグモジュール４０を挿入するための開口部６２を形成することが可能な場合に有効な組付方法である。

上述した車両用シート１０が搭載された車両が側面衝突すると、図示しない側面衝突検知センサによって側面衝突したことが検知され、コントローラに検知信号が出力される。コントローラでは、サイドエアバッグ装置３８のインフレータ４２のスクイブに所定の電流を通電させる。これにより、ガス発生剤が燃焼して大量のガスが発生し、インフレータ４２のガス噴出孔からサイドエアバッグ４６内へ噴出される。その結果、折り畳まれた状態で格納されていたサイドエアバッグ４６が膨張し、シートバック１２の表皮３０が開裂部３４から開裂されてサイドエアバッグ４６は車両前方側へ膨張展開される。膨張展開したサイドエアバッグ４６は、着座乗員の上半身とドアトリムとの間に挟まれて圧縮変形することにより、着座乗員の上半身を衝撃から保護する。

このように本実施形態では、力布５０の両端部が表皮３０の開裂部３４に沿って縫製されてループ状に形成されるため、二分割構造の力布を採用した場合に必要となる二つの力布の結合作業が不要となる。なお、二分割された力布をサイドフレーム１８に固定するための二つのブラケットも不要になる。また、エアバッグモジュール４０を車両前方側からシートバックパッド２２の開口部６２内へ挿入してパッド後面部２６Ｃを薄肉部６０回りに車両前方外側へ回動させることができるので、工具６４をシートバック１２の車両後方側から挿入して背面締めすることができる。従って、パッド側面部２６Ｂやパッド後面部２６Ｃが存在していても、エアバッグモジュール４０をサイドフレーム１８に容易に組付けることが可能となる。

上記より、本実施形態に係るサイドエアバッグ装置３８を備えた車両用シート１０及びサイドエアバッグ装置３８の車両用シート１０への組付方法によれば、車体側部と対向する側のサイドフレーム１８の車両幅方向外側及び車両後方側にシートバックパッド２２のパッド側面部２６Ｂ及びパッド後面部２６Ｃが配置されても、力布５０及びエアバッグモジュール４０の組付作業性を向上させることができる。

また、本実施形態では、パッド側面部２６Ｂとパッド後面部２６Ｃとは薄肉部６０によって相互に連結されているため、パッド後面部２６Ｃは薄肉部６０を中心にして車両前方外側へ円滑に回動させることができる。よって、エアバッグモジュール４０の締結作業を円滑に行うことができる。

さらに、本実施形態では、力布５０のループ内にエアバッグモジュール４０を挿入した際に、エアバッグモジュール４０から車両後方側へ突出されたスタッドボルト４８を力布５０に形成されたボルト挿通孔５８内へ挿入して仮組みしておくことができる。また、エアバッグモジュール４０をサイドフレーム１８にスタッドボルト４８及びナット５６によって固定する際に力布５０がエアバッグモジュール４０に対して位置ずれすることもない。これらの結果、本実施形態によれば、力布５０の関係においてエアバッグモジュール４０の組付作業性を向上させることができる。

また、本実施形態では、エアバッグモジュール４０はシートバック長手方向に細長く形成されているが、開口部６２も当該エアバッグモジュール４０をシートバック１２に正対させた状態で挿入可能な上下方向寸法を有している。このため、エアバッグモジュール４０を開口部６２に挿入する際にエアバッグモジュール４０を傾ける必要がない。従って、力布５０との関係でエアバッグモジュール４０を大きく傾けることができずにエアバッグモジュール４０を開口部６２内へ挿入し難いといったことがなくなる。これにより、エアバッグモジュール４０が仮組みされた表皮３０のシートバックパッド２２への組付作業性を向上させることができる。

さらに、本実施形態では、表皮３０のサイド表皮３０Ｃとリヤ表皮３０Ｄとがファスナ３６によって分離可能に接合されているため、エアバッグモジュール４０の組付時に予めリヤ表皮３０Ｄをサイド表皮３０Ｃから分離しておくことができる。その結果、エアバッグモジュール４０のサイドフレーム１８への組付作業性を更に向上させることができる。

〔第２実施形態〕
以下、図５及び図６を用いて、本発明に係るサイドエアバッグ装置を備えた車両用シート及びサイドエアバッグ装置の車両用シートへの組付方法の第２実施形態について説明する。なお、前述した第１実施形態と同一構成部分については同一番号を付してその説明を省略する。

図５及び図６に示されるように、この第２実施形態では、パッド前面部２６Ａとパッド側面部２６Ｂとの間に開口部６２は設けられておらず、その代わりにパッド側面部２６Ｂにおけるサイドエアバッグ装置３８の配設位置に扉部７０が設けられている点に特徴がある。

扉部７０は、側面視で略矩形状に形成されている。この扉部７０は、前述した薄肉部６０以外の三辺から成る周縁部７０Ａがパッド側面部２６Ｂから分離されており、扉部７０を薄肉部６０回りに車両後方外側へ回動させることでパッド側面部２６Ｂに開口部７２（図６参照）が形成されるように構成されている。また、この開口部７２の上下方向寸法は、第１実施形態の開口部６２の上下方向寸法よりも大きく設定されている。さらに、この第２実施形態のサイドエアバッグ装置３８のサイドエアバッグ７４は、第１実施形態のサイドエアバッグ４６よりも車両上下方向に沿った高さが高く腰部から肩部（更には頭部）まで保護エリアがある大型のサイドエアバッグとされている。

（作用・効果）
上記構成によれば、以下の手順でサイドエアバッグ装置３８が車両用シート１０に組付けられる。

まず第１工程で、表皮３０に設けられた開裂部３４に沿ってループ状に縫製された力布５０のループ内にサイドエアバッグ装置３８のエアバッグモジュール４０が配置される。次に第２工程で、図６に二点鎖線で示されるように、シートバックパッド２２の側部におけるパッド側面部２６Ｂとパッド前面部２６Ａとの間に形成された薄肉部６０回りに、パッド側面部２６Ｂが車両後方外側へ回動される。これにより、パッド側面部２６Ｂにエアバッグモジュール４０が車両幅方向外側から挿入可能な大きさの開口部７２が形成される。そして、この状態で、エアバッグモジュール４０を開裂部３４を中心としてサイドフレーム１８側へ回動させ、サイドフレーム１８の車両幅方向外側に力布５０及びエアバッグモジュール４０が配置される。

次に第３工程で、エアバッグモジュール４０の後部から車両後方側へ突出されたスタッドボルト４８が、サイドフレーム１８に設けられたブラケット５２の横壁部５２Ｂに形成されたボルト挿通孔５４に挿入される。その後、第４工程で、パッド後面部２６Ｃが薄肉部６０回りに車両前方外側へ回動される。そして、この状態で、シートバック１２の車両後方側から工具６４を挿入してスタッドボルト４８にナット５６が締結される。エアバッグモジュール４０の締結後、パッド後面部２６Ｃが元の状態に復帰される。これにより、サイドエアバッグ装置３８がシートバックフレーム１４のサイドフレーム１８にシートバック１２の車両後方側から締結固定される。

このように本実施形態においても、前述した第１実施形態と同様に、車体側部と対向する側のサイドフレーム１８の車両幅方向外側及び車両後方側にシートバックパッド２２のパッド側面部２６Ｂ及びパッド後面部２６Ｃが配置されても、力布５０及びエアバッグモジュール４０の組付作業性を向上させることができる。特に、本実施形態は、サイドエアバッグ７４の高さが高くそれに見合う開口部をパッド前面部２６Ａとパッド側面部２６Ｂとの間に形成することができない場合に有効な組付方法である。

また、本実施形態では、パッド側面部２６Ｂに薄肉部６０以外の周縁部７０Ａがシートバックパッド２２から分離されており、この扉部７０を薄肉部６０を中心として車両後方外側へ回動させることによりパッド側面部２６Ｂに開口部７２が形成される。これにより、エアバッグモジュール４０をパッド側面部２６Ｂに形成された開口部７２から挿入することができる。その結果、本実施形態によれば、膨張展開状態のサイドエアバッグ７４の高さが高く、それに見合う上下方向寸法を有する開口部をパッド前面部２６Ａとパッド側面部２６Ｂとの間に形成することが困難な場合にも、エアバッグモジュール４０のサイドフレーム１８への組付作業の容易性を担保することができる。

〔実施形態の補足説明〕
上述した実施形態では、サイド表皮３０Ｃの後端末部とリヤ表皮３０Ｄの外側端末部とをファスナ３６で接合する構成を採ったが、これに限らず、例えば図４に二点鎖線で示される構成を採ってもよい。すなわち、この構成では、サイド表皮３０Ｃの後端末部にＪフック７６を縫製等により取付け、このＪフック７６をサイドフレーム１８の後壁部１８Ｃの内端部に係止させるようになっている。さらに、リヤ表皮３０Ｄが廃止され、その代わりに樹脂製のシートバックボード７８が配設されている。シートバックボード７８の車両幅方向外側の端部７８Ａによって、サイド表皮３０Ｃの後端末部のＪフック７６による係止部位が外部から見えないようになっている。この構成によれば、サイド表皮３０Ｃの後端末部がシートバックボード７８によって覆われるので車両用シート１０の意匠性を向上させることができる。

また、上述した実施形態では、パッド側面部２６Ｂとパッド後面部２６Ｃとを薄肉部６０を介して相互に連結したが、これに限らず、図４に二点鎖線Ｐで示されるように、パッド側面部２６Ｂとパッド後面部２６Ｃとを同一の厚さで接続するようにしてもよい。この場合においても、サイドフレーム１８の車両幅方向外側の面にはＬ字形の金属製のブラケット５２が取付けられており、エアバッグモジュール４０は横壁部５２Ｂ（取付座）に締結固定されている。そして、パッド側面部２６Ｂにおいてブラケット５２の横壁部５２Ｂの外側先端部５２Ｃとの隣接部位８０がその前後の部位に比べて剛性が高くなる。すなわち、パッド側面部２６Ｂからパッド後面部２６Ｃを一枚のパッド外周部と観た場合、外側先端部５２Ｃの隣接部位８０にて実質的な剛性が変化する。このため、薄肉部６０等の明確なヒンジ部を設けなくても、当該隣接部位８０がヒンジ部として機能し、パッド後面部２６Ｃを車両前方外側へ回動させることが可能となる。よって、このような構成でも、薄肉部６０等の明確なヒンジ部を形成しなくても、エアバッグモジュール４０の締結作業を行うことができる。なお、請求項６における「同一の厚さ」とは、厳密に同一である必要はなく、薄肉部６０のように明確に厚さが異なる部位がないという意味である。

さらに、上述した各実施形態では、サイドフレーム１８の縦壁部１８Ａに平断面視でＬ字形に形成されたブラケット５２を予め取付ける構成を採ったが、これに限らず、平面視でＵ字状に形成されたブラケットを用いてもよい。また、サイドフレーム１８の縦壁部１８Ａにブラケット５２を取付け、サイドフレーム１８にエアバッグモジュール４０を間接的に固定する構成を採ったが、これに限らず、サイドフレームにエアバッグモジュールを直接固定してもよい。例えば、サイドフレームの前後幅が広い場合にはサイドフレームの縦壁部の一部を切り起こしてエアバッグモジュールの取付座を設定するようにしてもよい。

１０ 車両用シート
１２ シートバック
１４ シートバックフレーム
１６ サイドフレーム
２２ シートバックパッド
２６Ａ 前面パッド部
２６Ｂ 側面パッド部
２６Ｃ 後面パッド部
３０ 表皮
３０Ｃ サイド表皮
３０Ｄ リヤ表皮
３４ 開裂部
３６ ファスナ
３８ サイドエアバッグ装置
４０ エアバッグモジュール
４８ スタッドボルト（固定部）
５０ 力布
５２ ブラケット（固定部）
５６ ナット（固定部）
６０ 薄肉部（ヒンジ部）
６２ 開口部
６４ 工具
７０ 扉部
７０Ａ 周縁部
７２ 開口部
７８ シートバックボード
７８Ａ 隣接部位

Claims (10)

1. シートバックフレームにおいて車体側部と対向する側のサイドフレームの車両幅方向外側に配置されたサイドエアバッグ装置のエアバッグモジュールと、
   両端部がシートバックの表皮に設けられた開裂部に沿って縫製されると共にループ状に形成され、かつループ内に前記エアバッグモジュールが配置された力布と、
   前記エアバッグモジュールをシートバックの後面側からサイドフレームに直接又は間接的に締結固定するための固定部と、
   前記表皮が被せられると共に、前記サイドフレームの車両前方側に配置されるパッド前面部と前記サイドフレームの車両幅方向外側に配置されるパッド側面部と前記サイドフレームの車両後方側に配置されるパッド後面部とを備え、当該パッド前面部と当該パッド側面部との間に前記エアバッグモジュールを挿入可能な開口部が形成され又は当該パッド側面部に当該開口部に相当する扉部が形成されたシートバックパッドと、
   前記固定部の車両幅方向外側に配置され、前記パッド後面部の車両前方外側への回動を可能とするヒンジ部と、
   を有するサイドエアバッグ装置を備えた車両用シート。
2. 前記ヒンジ部は、前記パッド側面部と前記パッド後面部とを相互に連結する薄肉部である、
   請求項１記載のサイドエアバッグ装置を備えた車両用シート。
3. 前記力布の中間部には、前記エアバッグモジュールから車両後方側へ突出されたスタッドボルトを挿通させるためのボルト挿通孔が形成されている、
   請求項１又は請求項２記載のサイドエアバッグ装置を備えた車両用シート。
4. 前記エアバッグモジュールはシートバック長手方向に細長く形成されており、
   さらに、前記開口部は当該エアバッグモジュールをシートバックに正対させた状態で挿入可能な上下方向寸法を有している、
   請求項１〜請求項３のいずれか１項に記載のサイドエアバッグ装置を備えた車両用シート。
5. 前記扉部は前記ヒンジ部以外の周縁部が前記パッド側面部から分離され、当該扉部を当該ヒンジ部回りに車両後方外側へ回動させることでパッド側面部に開口部が形成されるように構成されている、
   請求項１〜請求項４のいずれか１項に記載のサイドエアバッグ装置を備えた車両用シート。
6. 前記パッド側面部と前記パッド後面部とは一体に形成されると共に両者は同一の厚さで相互に接続されており、
   かつ、前記サイドフレームには前記エアバッグモジュールの後面に取付座を形成する金属製のブラケットが設けられており、
   前記ヒンジ部は、前記パッド側面部における前記ブラケットの前記取付座の外側先端部との隣接部位である、
   請求項１記載のサイドエアバッグ装置を備えた車両用シート。
7. 前記表皮は、前記シートバックパッドの側面を覆うサイド表皮と前記シートバックパッドの後面を覆うリヤ表皮とを含んで構成されており、
   さらに、当該サイド表皮と当該リヤ表皮とがファスナによって分離可能に接合されている、
   請求項１〜請求項６のいずれか１項に記載されたサイドエアバッグ装置を備えた車両用シート。
8. 前記表皮は、前記シートバックパッドの側面を覆うサイド表皮を含んで構成されており、
   さらに、当該サイド表皮の後端末部がサイドフレーム側に取付けられ、サイド表皮の後端末部を含むシートバックの車両後方側の面がシートバックボードによって覆われている、
   請求項１〜請求項６のいずれか１項に記載されたサイドエアバッグ装置を備えた車両用シート。
9. 表皮に設けられた開裂部に沿ってループ状に縫製された力布のループ内にサイドエアバッグ装置のエアバッグモジュールを配置させる第１工程と、
   前記力布及び前記エアバッグモジュールを、シートバックパッドの側部におけるパッド前面部とパッド側面部との間に形成された開口部から挿入して、シートバックフレームにおいて車体側部と対向する側のサイドフレームの車両幅方向外側に配置する第２工程と、
   前記エアバッグモジュールの後部から車両後方側へ突出されたスタッドボルトを、前記サイドフレームに設けられたブラケットのボルト挿通孔に挿入させる第３工程と、
   前記シートバックパッドの側部においてサイドフレームの車両後方側に配置されたパッド後面部をヒンジ部回りに車両前方外側へ回動させて、前記シートバックの車両後方側から工具を挿入して前記スタッドボルトにナットを締結する第４工程と、
   を含むサイドエアバッグ装置の車両用シートへの組付方法。
10. 表皮に設けられた開裂部に沿ってループ状に縫製された力布のループ内にサイドエアバッグ装置のエアバッグモジュールを配置させる第１工程と、
    シートバックパッドの側部におけるパッド側面部とパッド後面部との間に形成されたヒンジ部回りに当該パッド側面部に設けられた扉部を車両後方外側へ回動させて、前記力布及び前記エアバッグモジュールを、シートバックフレームにおいて車体側部と対向する側のサイドフレームの車両幅方向外側に配置する第２工程と、
    前記エアバッグモジュールの後部から車両後方側へ突出されたスタッドボルトを、前記サイドフレームに設けられたブラケットのボルト挿通孔に挿入させる第３工程と、
    前記パッド後面部を前記ヒンジ部回りに車両前方外側へ回動させて、前記シートバックの車両後方側から工具を挿入して前記スタッドボルトにナットを締結する第４工程と、
    を含むサイドエアバッグ装置の車両用シートへの組付方法。

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