JP3350949B2 - 導電性ペースト - Google Patents

導電性ペースト

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JP3350949B2 JP07232092A JP7232092A JP3350949B2 JP 3350949 B2 JP3350949 B2 JP 3350949B2 JP 07232092 A JP07232092 A JP 07232092A JP 7232092 A JP7232092 A JP 7232092A JP 3350949 B2 JP3350949 B2 JP 3350949B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、導電性ペーストに関
し、詳しくは、セラミック層と内部電極である銅層とを
交互に積層してなる銅多層セラミック基板の製造に用い
られる導電性ペーストに関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、図2に示すように、セラミック
層1と銅層(内部電極)2を交互に積層した銅多層セラ
ミック基板を用い、その両端部に外部電極(端面電極)
3を形成してなる銅多層セラミック部品(積層セラミッ
クコンデンサ)を製造する場合、従来は、まず、導電性
ペースト(内部電極)2をセラミックグリーンシート
(セラミック層)1上に印刷し、このセラミックグリー
ンシート1を複数枚積層、圧着し、適当なチップ寸法に
カットした後、側面に外部電極(端面電極)3となる導
電性ペースト(例えば、銅ペースト)を塗布し、還元性
雰囲気または中性雰囲気(例えば、N2雰囲気)中で焼
成(co-fire)することにより、その製造を行ってい
る。
【0003】そして、上記銅多層セラミック基板の内部
電極用の導電性ペースト(銅ペースト)は、銅粉末と有
機ビヒクルや溶剤などの添加成分とを所定の割合で配合
することにより製造されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、積層セラミッ
クコンデンサなどの、銅多層セラミック基板を用いた製
品に対する大容量化や高密度化への要求が強くなり、セ
ラミック層の薄膜化が進み、積層されるセラミック層及
び内部電極の積層数が増大するにつれて、次のような問
題点が発生するに至っている。
【0005】非酸化性雰囲気中で焼成した場合に、内
部電極用の導電性ペースト(銅ペースト)中の有機ビヒ
クルの除去効果、すなわち脱バインダ効果が不十分にな
り、図2に示すように、セラミック層1と内部電極2と
の間や内部電極2中にボイド4が発生してそのまま残存
し、製品の特性を劣化させる。 セラミック層1と内部電極2の収縮率の差により、外
部電極(端面電極)3や内部電極2の反りにともなう電
極切れや銅多層セラミック部品自体の変形などが発生
し、また、外部電極(端面電極)3と内部電極2との接
触不良が発生するなどの構造欠陥を生じる。 ボイドの発生や構造欠陥に起因して、導通抵抗値が増
大し、積層セラミックコンデンサなどの積層部品の電気
的特性の劣化を招く。
【0006】この発明は、上記問題点を解決するもので
あり、内部電極とセラミック層との間や内部電極中にボ
イドが発生することを防止し、かつ、内部電極の反りに
ともなうチップの変形や電極切れなどの構造欠陥を排除
して信頼性を向上させるとともに、導通抵抗の増大を防
止して良好な電気的特性を確保することが可能な銅多層
セラミック基板製造用の導電性ペーストを提供すること
を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明の導電性ペーストは、セラミック層と銅層
とが交互に積層された銅多層セラミック基板の製造に用
いられる導電性ペーストであって、平均粒径が0.3〜
2μm、粒径範囲が0.1〜4μmの銅粉末40〜70重
量%と、主成分が前記セラミック層を構成するセラミッ
ク原料の主成分と共通するとともに、粒径範囲が0.5
〜8μmのセラミック原料粉末1〜15重量%と、有機
ビヒクル及び溶剤25〜60重量%とを含有することを
特徴とする。
【0008】
【作用】この発明の導電性ペーストは、所定の平均粒径
及び粒径範囲の銅粉末と、セラミック層を構成するセラ
ミック原料と主成分を共通するセラミック原料と、有機
ビヒクル及び溶剤などの添加成分とを所定の含有率にな
るように配合しているため、セラミックグリーンシート
に内部電極を形成する工程で、セラミックグリーンシー
ト上に均一な導電性ペースト(銅ペースト)層(内部電
極)が形成され、セラミックグリーンシートを積層して
焼成する工程における導電性ペースト層(内部電極)中
の有機ビヒクルの除去効果(脱バインダ効果)が向上し
て、ボイドの発生や電極の反りにともなう構造欠陥の発
生が抑制され、ひいては導通抵抗の増大を防止して良好
な電気的特性を確保することが可能になる。
【0009】
【実施例】以下、この発明の実施例を図に基づいて説明
する。図1は、銅多層セラミック部品(この実施例では
積層セラミックコンデンサ)を示す断面図である。この
銅多層セラミック部品は、誘電体であるセラミック層1
と銅層(内部電極)2を交互に積層するとともに、その
両端部に外部電極(端面電極)3を配設することにより
形成されており、内部電極2は、この発明の一実施例に
かかる導電性ペースト(銅ペースト)から形成されてい
る。
【0010】この積層セラミックコンデンサにおいて
は、セラミック層1として、BaO−Al23−SiO
2−CaO−Cr23−B23系誘電体セラミックが用
いられている。
【0011】また、内部電極2を形成するために用いら
れている導電性ペースト(銅ペースト)は、表1に示す
ように、平均粒径がそれぞれ0.5μm、1μm、3μm
の銅粉末40〜70重量%と、セラミック層1を構成す
るBaO−Al23−SiO 2−CaO−Cr23−B2
3系セラミック原料と同一組成で粒径が0.5〜8μm
の粉末1〜15重量%と、エトセル系樹脂、アクリル系
樹脂及びアルキッド樹脂からなる有機ビヒクル及びα−
テルピネオール系などの溶剤25〜60重量%とを、3
本ロールの混練機を用いて混練することにより調製され
たものが用いられている。
【0012】次に、この導電ペーストを用いて積層セラ
ミックコンデンサ(銅多層セラミック部品)を製造する
方法について説明する。
【0013】まず、BaO−Al23−SiO2−Ca
O−Cr23−B23系のセラミック材料をドクターブ
レード法によりシート状に成形してなるセラミックグリ
ーンシート上に、上記導電性ペースト(銅ペースト)
を、例えば、厚膜スクリーン印刷法により膜厚が1.1
〜5.8μmになるように印刷(塗布)して、所定のパ
ターンの電極あるいは回路を形成する。
【0014】次いで、導電性ペースト(銅ペースト)を
印刷(塗布)したセラミックグリーンシートを複数枚積
層して圧着した後、所定のチップ寸法にカットする。
【0015】その後、カットされたチップ(積層体)の
両端側に外部電極(端面電極)用の導電性ペーストを塗
布する。外部電極用の導電性ペーストとしては、上記銅
ペーストを用いることも可能であるが、これに限らず、
他の導電性ペーストを用いてもよい。
【0016】それから、このチップ(積層体)をN2
囲気中で、900〜1000℃の温度条件下に1〜2時
間焼成して積層セラミックコンデンサ(銅多層セラミッ
ク部品)を得る。
【0017】なお、比較のため、上記導電性ペースト
(銅ペースト)中の銅粉末の含有率や平均粒径あるいは
塗布する導電性ペースト(銅ペースト)の膜厚その他の
条件を変えて、上記実施例と同様の方法で積層セラミッ
クコンデンサ(銅多層セラミック部品)を製造した。
【0018】実施例及び比較例の銅多層セラミック部品
(試料)についてボイドの発生状態及びチップの変形状
態を観察した結果を表1に示す。なお、表1において、
試料番号に*印を付したものは、この発明の範囲外の比
較例を示す。
【0019】
【表1】
【0020】表1に示すように、導電性ペースト(銅ペ
ースト)の膜厚、銅粉末の含有率などがこの発明の範囲
外にある比較例の積層セラミックコンデンサ(銅多層セ
ラミック部品)においては、いずれも、ボイドの発生及
びチップの変形が認められ、十分な導通信頼性が得られ
なかった。
【0021】これに対し、この発明の実施例の銅多層セ
ラミック部品においては、銅粉末の含有量が40〜70
重量%、内部電極の膜厚が1.1〜5.8μmの範囲に
あるいずれの試料についてもボイドの発生は認められ
ず、また、内部電極の反りにともなうチップの変形や電
極切れなどの構造欠陥も認められなかった。(図1参
照)そして、その結果として、導通抵抗の増大を防止し
て良好な電気的特性を確保することができた。
【0022】なお、表1には示していないが、セラミッ
ク原料粉末を添加していない導電性ペースト(銅ペース
ト)を用いた場合においても、銅粉末の含有量を所定の
範囲(例えば40〜60重量%)に制御し、かつ、膜厚
を小さく(例えば1〜3μm)押さえた場合には、ボイ
ドの発生やチップの変形を抑制することができるが、銅
粉末含有量を、例えば70重量%に増加させたり、膜厚
を3μm以上に大きくしたりすると、ボイドの発生やチ
ップの変形が認められ、導通信頼性が低下することが確
認されている。
【0023】上記実施例では、この発明の導電性ペース
ト(銅ペースト)を積層セラミックコンデンサの製造に
用いた場合について説明したが、この発明の導電性ペー
ストは積層セラミックコンデンサに限らず、セラミック
層と銅層とを積層した銅多層セラミック基板を製造に広
く利用することができる。
【0024】また、この発明の導電性ペーストにおい
て、セラミック原料粉末の構成成分や組成、さらには、
有機ビヒクルや溶剤の種類などは上記実施例により制約
されるものではなく、発明の効果を損わない範囲におい
て、種々の応用を加えることが可能である。
【0025】
【発明の効果】上述のように、この発明の導電性ペース
トは、平均粒径が0.3〜2μm、粒径範囲が0.1〜
4μmの銅粉末40〜70重量%と、主成分がセラミッ
ク層を構成するセラミック原料の主成分と共通するとと
もに、粒径範囲が0.5〜8μmのセラミック原料粉末
1〜15重量%と、有機ビヒクル及び溶剤を25〜60
重量%とを配合しているので、銅粉末含有量及び内部電
極の膜厚に関して広い範囲において導電性ペースト(内
部電極)中の有機ビヒクルの除去効果(脱バインダ効
果)を向上させることができるとともにボイドの発生を
確実に抑制することが可能になり、導通抵抗の増大を防
止して信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の導電性ペーストを用いて内部電極を
形成した銅多層セラミック部品(積層セラミックコンデ
ンサ)を示す断面図である。
【図2】従来の導電性ペーストを用いて内部電極を形成
した銅多層セラミック部品(積層セラミックコンデン
サ)を示す断面図である。
【符号の説明】
1 セラミック層 2 導電性ペースト(内部電極) 3 外部電極(端面電極) 4 ボイド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−22685(JP,A) 特開 平3−52214(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01B 1/22 C04B 41/90 H01G 4/12 361 H05K 1/09 H05K 3/46

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミック層と銅層とが交互に積層され
    た銅多層セラミック基板の製造に用いられる導電性ペー
    ストであって、平均粒径が0.3〜2μm、粒径範囲が
    0.1〜4μmの銅粉末40〜70重量%と、主成分が
    前記セラミック層を構成するセラミック原料の主成分と
    共通するとともに、粒径範囲が0.5〜8μmのセラミ
    ック原料粉末1〜15重量%と、有機ビヒクル及び溶剤
    25〜60重量%とを含有することを特徴とする導電性
    ペースト。
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