JP3333545B2 - ジリスロマイシンを含有する医薬製剤 - Google Patents

ジリスロマイシンを含有する医薬製剤

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は医薬製剤に関し、より具
体的には、マクロライド抗生物質の新規同質異像体を含
有する錠剤に関する。
【0002】
【従来の技術】ジリスロマイシンはエリスロマイシンか
ら誘導されたマクロライド抗生物質である。この抗生物
質は米国特許第4048306号に記述されており、そ
の化学名は、エリスロマイシン,9-デオキソ-11-デオ
キシ-9,11-[イミノ[2-(2-メトキシエトキシ)エチ
リデン]オキシ-,[9S,16R]である。米国特許第4
048306号に記述されている方法で製造したジリス
ロマイシンは同質異像体の形態で生成し、以降これを
“I型”と呼ぶ。この同質異像体は次に記載するX線粉
末回析様式を有する。表中のDは面間隔を表し、I/I
0は相対強度を表す。
【表1】 D(Å) I/I0 D(Å) I/I0 D(Å) I/I0 11.28 1.00 5.18 0.23 3.50 0.08 9.81 0.35 4.98 0.08 3.43 0.03 8.53 0.76 4.83 0.31 3.35 0.07 7.67 0.23 4.64 0.07 3.04 0.07 7.12 0.02 4.43 0.40 2.95 0.02 6.94 0.02 4.26 0.17 2.88 0.02 6.66 0.10 4.14 0.05 2.84 0.02 6.39 0.09 4.06 0.15 2.71 0.03 5.97 0.21 3.86 0.15 2.66 0.02 5.65 0.69 3.76 0.17 2.58 0.03 5.42 0.67 3.62 0.10
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本出願人等はI型が準
安定であり、それゆえに錠剤などの医薬製剤中で使用す
るには適さないことを新たに発見した。
【0004】
【課題を解決するための手段】しかし本出願人等は、ジ
リスロマイシンの第2の同質異像体(これを“II型”と
呼ぶ)が安定であり、それゆえに錠剤などの医薬製剤中
での使用に十分適しているという予想外の事実を発見
し、本発明を完成するに至った。
【0005】したがって、本発明はその1態様として、
ジリスロマイシンII型を活性成分として含有する錠剤を
提供する。この錠剤は勿論、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、
充填剤など1または複数の医薬的に許容される賦形剤を
含有するであろう。
【0006】この新規同質異像体は本質的に、次に記載
するX線粉末回折様式を有する。表中のDは面間隔を表
し、I/I0は相対強度を表す。
【表2】 D(Å) I/I0 D(Å) I/I0 D(Å) I/I0 14.17 0.02 5.50 0.47 3.87 0.12 11.96 0.27 5.45 0.26 3.83 0.12 10.43 0.11 5.13 0.22 3.73 0.06 9.65 1.00 5.11 0.29 3.55 0.08 8.86 0.84 4.84 0.29 3.49 0.15 8.18 0.54 4.75 0.47 3.46 0.07 7.07 0.33 4.72 0.42 3.42 0.11 6.99 0.10 4.50 0.62 3.33 0.05 6.84 0.21 4.44 0.31 3.17 0.04 6.59 0.03 4.24 0.20 3.11 0.02 6.24 0.05 4.20 0.05 2.96 0.04 6.07 0.29 4.11 0.17 2.83 0.02 5.97 0.19 4.09 0.18 2.74 0.04 5.77 0.06 3.92 0.14 2.57 0.03 5.54 0.36
【0007】上記のX線粉末回折様式は、グラファイト
・モノクロメーターを装着したニコレット(Nicolet)1
2V回折計を用い、l=1.5418/オングストロー
ムの銅放射線で得られたものである。強度値が試料の調
製や装置の変化の影響を受けることは、当業者には理解
されるであろう。したがって、D-間隔がこの回折様式
の本質を構成している。
【0008】錠剤の活性成分(II型)は医薬品として使用
されるべきであるから、この活性成分は医薬的純度でな
ければならない。安定性のためには、II型は実質的な量
のI型を含有しない方がよい。好ましくは、II型に伴う
I型は10%以下であるべきで、5%以下がより好まし
い。
【0009】ジリスロマイシンは極めて有効な抗生物質
であり、1日1回500mgまでの総投与量を投与するだ
けでよいので、他のマクロライド抗生物質よりかなりの
利点を有している。しかし、本化合物は胃中に存在する
ような酸性媒質に対して感受性であるから、経口的に使
用し得る製剤を計画する場合にはいくらか注意が必要で
ある。これについては米国特許第4755385号に言
及されており、本発明の錠剤を胃液に対して耐性の層、
即ち“腸溶性コーティング(enteric coating)”で被包
することが好ましい。このようなコーティングの性質は
当業者にはよく知られている。このコーティングを形成
するためにラッカーが頻繁に使用される。
【0010】
【実施例】次の実施例1〜4にII型の製造を例示す
る。
【0011】実施例1アセトネートからのジリスロマ
イシンII型の単離 非溶媒和ジリスロマイシン20gを、アセトン81mlお
よび水9mlからなる溶媒混合液に加えた。この溶液を
約60℃に加熱した。反応液体積が35mlになるまで、
この溶液を60℃で維持した。水100mlを1時間かけ
てゆっくり追加した。この混合物を室温に冷却した。冷
却した混合物を氷浴中に置き、1時間撹拌した。固体を
濾過によって単離し、冷却した溶媒(67%水および3
3%アセトン)25mlで濯いだ。この固体を周囲温度で
水40mlで濯いだ。ジリスロマイシンのアセトン溶媒和
物の湿ケーキを周囲温度で終夜放置した。
【0012】このアセトン溶媒和物の湿ケーキに水18
0mlを加えた。この混合物を70℃に加熱し、窒素を吹
き込みながら70℃で4時間撹拌した。固体を濾過によ
って直ちに単離し、70℃に温めておいた水30mlで濯
いだ。単離した固体を減圧下40℃で終夜乾燥した。こ
の固体を、X線粉末回折測定によってII型ジリスロマイ
シンと同定した。総収率:90.8%。
【0013】実施例2II型ジリスロマイシンの単離 窒素を吹き込んでいる水100mlに、ジリスロマイシン
のアセトン溶媒和物10.0gを撹拌しながら加えた。
この反応混合物の温度を74℃に上げ、約72〜75℃
で4時間撹拌した。この暖かい混合物を減圧濾過し、6
0℃の水約35mlで洗浄した。その固体を減圧下50℃
で終夜乾燥した。この固体を、X線粉末回折測定によっ
てII型ジリスロマイシンと同定した。この反応の総収量
は8.74g(87.4%)であった。
【0014】実施例3II型ジリスロマイシンの単離 I型ジリスロマイシン15gを水150mlに加えた。こ
の反応混合物を74℃に加熱し、74℃で4時間撹拌し
た。固体を濾過によって単離し、70℃の水各40ml
で2回洗浄した。この試料を真空乾燥器中25℃で約6
8時間乾燥した。この生成物を、X線粉末回折測定によ
ってII型ジリスロマイシンと同定した。収率:97.5
%。
【0015】実施例4II型ジリスロマイシンの単離 I型ジリスロマイシン3.01gを酢酸エチル15mlに加
えた。この反応混合物を約76℃に加熱し、その反応液
体積が約10mlになるまでこの混合物を沸騰させた。n
-オクタン20mlを加えた。この混合物を室温に冷却し
た。固体を濾過によって単離した。この試料を室温で乾
燥した。この生成物を、X線粉末回折測定によってII型
ジリスロマイシンと同定した。総収率:95%。
【0016】ジリスロマイシンを含有する医薬製剤の一
般的製造法は米国特許第4755385号に開示されて
いる。実質上、この製造工程には、医薬的に許容される
必要な担体とII型を混合した後、圧縮して錠剤を調製
し、任意に、胃液に対して耐性の層で被包することが含
まれるが、以下の実施例5には、本発明のコーティング
錠の製造を例示する。
【0017】実施例5 以下のデータは活性成分としてジリスロマイシンII型2
50mgを含有する錠剤に関する。核錠剤 mg/錠剤 ジリスロマイシンII型 250.0 炭酸マグネシウム 250.0 微結晶性セルロース 199.6 グリコレール酸デンプンナトリウム 10.0 ヒドロキシプロピルセルロース 15.0 クロスカルメロースナトリウム 10.0 (Croscarmellose Sodium) ステアリン酸マグネシウム 12.0サブコーティング ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(E-5) 16.21 ポリエチレングリコール(3350) 4.63 プロピレングリコール 6.95 ベンジルアルコール 2.31腸溶性コーティング メタクリル酸共重合体水性分散液(L30D)(固体) 48.65 色素混合物白T3166−WE(固体) 20.31 クエン酸トリエチル 1.65 タルク 微量
【0018】核錠剤:このロットを単一物もしくはその
分割物として調製し、すべての単位を乾燥混合薬として
圧縮の前に混合することができる。すべての成分を安全
のためのふるいにかける。ジリスロマイシン(II型)、炭
酸マグネシウム、微結晶性セルロース、グリコール酸デ
ンプンナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、お
よびステアリン酸ナトリウムをリボンミキサーまたは他
の型の適切なミキサー(V-ブレンダー、コニカルミキサ
ーなど)で完全に混合する。得られた粉末混合物をロー
ラー圧縮機または等価な乾燥顆粒化装置を用いて圧縮す
る。必要ならば、オシレ−ティング・グラニュレータ
ー、フィッツ・ミル、もしくは他の適切な粉砕機を用い
てサイズを整える。サイズを整えた顆粒を、追加の微結
晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ステ
アリン酸マグネシウムとリボンミキサーまたは他の型の
適切なミキサー(V-ブレンダー、コニカルミキサーな
ど)で混合する。混合した後、その重量を理論値に対し
て検査する。この顆粒を、マネスティー・ベータプレス
(Manesty Betapress)など従来型の圧縮機で圧縮する。
この圧縮工程の間、常套的に核錠剤の重量検査を行い、
試料を試験のために集めておく。
【0019】サブコーティング:ヒドロキシプロピルメ
チルセルロース2910(E-5)、ポリエチレングリコ
ール、プロピレングリコールおよびベンジルアルコール
を精製水に溶解することによりサブコーティングを調製
する。このコーティング溶液は、グロエン・ケトル(Gro
en kettle)、装置びん、またはその等価物と、ライトニ
ング(Lightening)ミキサーまたはその等価物などの撹拌
手段を用いて調製することができる。
【0020】このコーティング溶液を、アセラ・コタ(A
ccela Cota)コーティングパンまたは等価なフィルムコ
ーティング装置で、上記の核錠剤に適用する。アセラ-
スプレイII(Accela-Spray II)、ノルドソン(Nordson)噴
霧ユニット、グラコ(Graco)噴霧ユニットまたは等価な
噴霧装置などの適切な噴霧システムを使用する。必要な
らば、噴霧と乾燥を交互に行うサイクルを、望ましいコ
ーティング溶液量が適用されるまで用いる。
【0021】腸溶性コーティング:メタクリル酸共重合
体水性懸濁液(L30D)、色素混合物白T3166-W
E、およびクエン酸トリエチルを精製水中で混合するこ
とによって腸溶性コーティング懸濁液を調製する。この
コーティング懸濁液は、グロエン・ケトル、装置びん、
またはその等価物と、ライトニング・ミキサーまたはそ
の等価物などの撹拌手段を用いて調製することができ
る。
【0022】このコーティング懸濁液を、アセラ・コタ
コーティングパンまたは等価なフィルムコーティング装
置で、上記のサブコーティングした錠剤に適用する。ア
セラ-スプレイII、ノルドソン噴霧ユニット、グラコ噴
霧ユニットまたは等価な噴霧装置などの適切な噴霧シス
テムを使用する。必要ならば、噴霧と乾燥を交互に行う
サイクルを、望ましいコーティング懸濁液量が適用され
るまで用いる。コーティング錠の光沢を増すためにタル
クを軽く振りかけることによって錠剤を完成させること
ができる。完成した錠剤にはこの光沢剤が微量のみ付着
する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 グレゴリー・アラン・スティーブンソン アメリカ合衆国47906インディアナ州ウ エスト・ラファイエット、バーク・コー ト190番 アパートメント214 (72)発明者 デイビッド・デイル・ワース アメリカ合衆国47905インディアナ州ラ ファイエット、エール・ドライブ4448番 審査官 瀬下 浩一 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 31/7048 A61K 9/20 A61K 9/24 A61K 9/28 C07H 17/08 CAPLUS(STN) MEDLINE(STN) EMBASE(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジリスロマイシンII型を活性成分とする
    抗菌用錠剤。
  2. 【請求項2】 胃液に対して耐性の1または複数の層で
    被包された請求項1の錠剤。
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