JP3269272B2 - Ito焼結体およびその製造方法 - Google Patents

Ito焼結体およびその製造方法

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JP3269272B2 JP20291094A JP20291094A JP3269272B2 JP 3269272 B2 JP3269272 B2 JP 3269272B2 JP 20291094 A JP20291094 A JP 20291094A JP 20291094 A JP20291094 A JP 20291094A JP 3269272 B2 JP3269272 B2 JP 3269272B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、透明導電膜をスパッタ
リングにより形成する際に蒸着材として使用するITO
焼結体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ITO焼結体から蒸着、スパッタリン
グ、イオンプレーティング等により得られる透明導電膜
は、その比抵抗値の低さから有望な膜として注目されて
いる。たとえば、電子ビーム加熱(以下、EB蒸着とい
う)により適当な条件のもとでITO焼結体から成膜す
ることにより、透明性が高く、良好な膜のシート抵抗値
が得られている。
【0003】このようなITO焼結体は次のようにして
製造されている。すなわち、所望の組成に配合された、
実質的にインジウム、錫および酸素からなる粉末を成形
した後、大気中もしくは真空中、酸素雰囲気中で150
0〜1600℃程度の温度で焼結する等の方法がとられ
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年のカラー液晶ディ
スプレイを中心とする液晶業界の急速な発展に伴い、デ
ィスプレイの電極に用いられるITO薄膜の需要は拡大
している。それを受けて、ITO薄膜には、高い膜特性
の他に低コスト化が要求されている。また、焼結体の使
用効果を高める方法としては、焼結体に照射する電子線
の走査など成膜装置の改良が行われてきたが、電子線を
移動する距離に限界があったり、装置が高いなどの理由
により改良されるまでには至っていない。
【0005】一方、ITO薄膜の原料となるITO焼結
体への要求も利用効率に優れたものが求められている。
【0006】前述の先行技術に開示されたITO焼結体
においては、基板加熱によるEB蒸着によれば比抵抗値
の低い膜は得られるが、集束させた電子線をITO焼結
体に照射し、ごく一部分を加熱蒸発させるために、IT
O焼結体の表面と内部に温度差が生じ、熱膨張の違いに
よりITO焼結体に割れ(熱衝撃による割れ)が発生す
る。特に、ITO焼結体に割れが発生すると放電状態が
不安定になったり、使用不可能になることが知られてい
る。
【0007】再利用の問題を解決するために、EB蒸着
で使いきった後のITO焼結体を手粉砕にて粉末状にし
て再度EB蒸着に供する方法が提案されている。しか
し、従来公知の焼結体においては、使いきった後のIT
O焼結体自体が固いために粉砕による粉末化ができず、
ITO焼結体の利用効率は上がっていない。
【0008】したがって本発明は、比抵抗値の良好なI
TO膜が成膜できるばかりでなく、耐熱衝撃性に優れ、
かつ手による粉砕が容易であるために、最終的には粉末
としても使用でき、作業性がよく利用効率に優れたIT
O焼結体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明のITO焼結体の製造方法は、主としてイン
ジウム、錫および酸素からなる粉末を成形して焼結を行
うITO焼結体の製造方法において、酸化インジウム粉
末と酸化錫粉末を混合して熱処理することにより粒度調
整粉を得て、酸化インジウム粉末を主とする原料粉中に
前記粒度調整粉を添加して造粒粉末とし、該造粒粉末を
成形、焼結することを特徴とする。
【0010】一面からみれば、錫組成が1〜50重量%
となるように酸化インジウム粉末と酸化錫粉末とを混合
し熱処理して粒度調整粉を生成し、酸化インジウム粉末
を主とする原料粉中に前記粒度調整粉を添加し混合して
造粒粉末とし、該造粒粉末を成形、焼結する。
【0011】 他の一面からみれば、錫組成が1〜50
重量%となるように酸化インジウムと酸化錫を配合し熱
処理した粒度調整粉末を酸化インジウムや酸化錫からな
る原料粉末中に混合し成形した後、大気中、真空中、も
しくは酸素雰囲気中にて焼結する。そして、これによ
り、30〜80kg/c 2 圧縮強度で粉砕可能なI
TO焼結体が得られる。本発明のITO焼結体は、In
23−SnO2 系で、実質的にインジウム、錫および
酸素からなり、ITO焼結体の錫組成は20重量%以下
であることが望ましい。
【0012】 さらに他の一面からみれば、実質的にイ
ンジウム、錫、および酸素からなり、錫成分を所望の組
成および粒度分布に配合された粉末を成形し、大気中、
真空中もしくは酸素雰囲気中にて焼結しITO焼結体を
製造する。これにより、30〜80kg/c 2 圧縮
強度で粉砕可能で、また600℃からの水中急冷におい
て割れの生じることのないITO焼結体が得られる。
【0013】本発明によって得られたITO焼結体は、
耐熱衝撃性が高く、成膜中における割れが有効的に抑制
され、したがって良質なITO膜を安定して得られる。
また、手による粉砕が容易であるために、EB蒸着で使
いきった後のITO焼結体を最終的には粉末として再度
EB蒸着により成膜できる。
【0014】
【作用】前述のように、従来公知の方法で製造されたI
TO焼結体を用いてEB蒸着を行った場合に生じる割れ
は、集束させた電子線を焼結体に当て、ごく一部分を加
熱蒸着させるために、ITO焼結体の表面と内部に生じ
る温度差によって起こる熱膨張の違いが原因である。熱
膨張差が生じて割れる原因は、焼結が進行する際の粒同
士の結合具合の影響が大きく、強いては粒同士の密着度
に起因していると思われる。
【0015】本発明者は、粒同士の密着度を制御するこ
とにより、成膜中の割れを有効的に抑制するばかりでな
く、成膜後の手粉砕作業を容易にすることができること
に注目し、前述した製造条件により、粒同士の密着度を
制御することで、ITO焼結体の成膜中の割れ、成膜後
の粉砕具合を解決することに成功した。
【0016】粒同士の密着度は、圧縮試験機によりIT
O焼結体の圧縮強度を測定することにより求められ、8
0kg/cm2 以下、好ましくは40〜60kg/cm
2 の範囲が手でも粉砕しやすく、また耐熱衝撃性に対し
ても効果が大きい。
【0017】圧縮強度が80kg/cm2 を越える場
合、成膜のためにEB照射する時に局所的な加熱によっ
て起こる熱膨張差により、ITO焼結体は割れてしまう
ばかりでなく、手粉砕が容易でなくなるために粉末化作
業に手間取り、利用効率に優れたITO焼結体を提供す
ることは難しい。
【0018】逆に、圧縮強度が30kg/cm2 以下で
あると、粒同士の密着度が逆に弱くなりすぎるために、
EB照射直後にビームがITO焼結体を貫通してしまっ
たり、膜特性にも問題が生じたりする。
【0019】なお、耐熱衝撃性は、ITO焼結体を60
0℃にて1時間加熱後、水中に投入し割れ具合を調べる
ことにより求められる。
【0020】以下に、本発明に係わる他の各要素に基づ
いて説明する。
【0021】(原料粉末)原料粉末として用いる粉末は
酸化インジウム粉末の他に、酸化インジウム−酸化錫の
複合粉末、酸化インジウム−酸化錫複合粉末と酸化錫粉
末との混合粉末などを用いることもできる。
【0022】(粒度調整粉) 粒度調整粉(A):酸化インジウム粉末中に酸化錫を所
望の組成に配合(好ましくは錫組成が1〜50重量%の
組成となるように酸化錫粉末を配合)し、混合した後、
該粉末をガスフロー型大気炉もしくは真空加熱炉により
大気中、真空中もしくは酸素雰囲気中にて、1300℃
以上(好ましくは1300〜1600℃)の温度で1〜
15時間の熱処理を行い、平均粒径を5〜30μmまで
粒成長させて粒度調整粉とする。
【0023】粒度調整粉(B):酸化インジウム粉末の
みをガスフロー型大気炉もしくは真空加熱炉により大気
中、真空中もしくは酸素雰囲気中にて、1300℃以上
(好ましくは1300〜1600℃)の温度で1〜15
時間の熱処理を行い、平均粒径を5〜30μmまで粒成
長させて粒度調整粉とする。
【0024】熱処理温度が1300℃未満の場合、不純
物ガスの抜けが不十分であったり、熱処理粉末中にSn
2 相が存在するなどのために、成膜時に良好な、すな
わちきれいなITO膜を得ることが難しくなる。さらに
熱処理温度が1600℃を越える場合、錫の粗大化によ
り錫分散性が低下し、成膜中の放電状態に支障を来す。
【0025】(造粒粉末)上記のようにして得た粒度調
整粉を原料粉末に配合した後、混合・粉砕を行い造粒粉
末とする。ただし、その配合量は、粒度調整粉(A)の
み、もしくは粒度調整粉(A)と酸化インジウム粉末の
みの粒度調整粉(B)の合計量を原料粉末に対し、40
重量%以上、好ましくは50〜70重量%とする。あら
かじめ熱処理により、平均粒径を5〜30μmにまで粒
成長させた粒度調整粉を原料粉末に対し50〜70重量
%添加することで粒度分布を広げ、成形し易くするばか
りでなく、焼結時に生じる粒同士の密着度を緩和させ、
成膜する際の割れを抑制することができる。
【0026】(混合・粉砕)混合・粉砕を行う方法とし
ては、たとえばボールミル混合がある。ボールミル混合
を行う場合、混合時間は、好ましくは12時間以上、さ
らに好ましくは24時間以上である。パラフィンワック
ス、ポリビニルアルコールなどのバインダーは混合・粉
砕時などに1〜4重量%添加することができる。
【0027】 (成形)造粒粉末の成形は、コールドプ
レスにて行う。この際、焼結による収縮はほとんどなく
ITO焼結体の寸法は成形時に決まってしまうため、I
TO焼結体の仕様を考えて成形しなければならない。た
とえば、ITO焼結体の焼結密度を4.3g/cm3
するためには1ton/cm2 前後の成形圧力が好まし
い。
【0028】(焼結−昇温速度)焼結は、ガスフロー型
大気炉もしくは真空加熱炉により、大気中、真空中もし
くは酸素雰囲気中にて行うが、大気中による方法が安価
にできて最も好ましい。昇温速度は脱バインダーが容易
に行える範囲とし、たとえば室温から脱バインダー終了
温度400℃までの昇温時間を13時間程度とする。
【0029】 (焼結−焼結温度)焼結温度は、500
℃〜1100℃とする。500℃未満では、焼結が進行
しないために非常に脆いITO焼結体となり作業性が低
下してしまう。1100℃を超えると、焼結が強固にな
りすぎて、圧縮強度が80kg/cm2 以上になり、成
膜時にITO焼結体が割れてしまうばかりでなく、手粉
砕が困難となる。
【0030】(焼結−保持時間)焼結温度に達した際に
保持する時間を制御してやることも重要である。焼結温
度に達した際に保持する時間は1〜5時間程度が好まし
い。保持期間が1時間未満であると、焼結炉内の均熱に
不具合が生じて安定した生産ができない。
【0031】
【実施例】以下に、実施例を用いて本発明を説明する。
【0032】(実施例1)平均粒径1μm以下の酸化イ
ンジウム粉末中に平均粒径3μmの酸化錫粉末を錫組成
が10重量%となるように配合し、3重量%の酢酸ビニ
ール系バインダーを添加した後、湿式ボールミル中で1
8時間混合し、乾燥および粉砕した。その後、大気中に
て1500℃で15時間の熱処理を行い、平均粒径30
μmの粒度調整粉(A)とした。
【0033】平均粒径1μm以下の酸化インジウム粉末
を主とする原料粉中に粒度調整粉(A)を50重量%添
加して混合した後、造粒粉末とした。さらに、造粒粉末
を所定の形状に成形した後、大気中で焼結を行った。焼
結工程は室温から400℃までを13時間にて昇温し、
600℃まで3時間にて温度上昇させた。そして600
℃にて3時間保持し25mmφ、厚さ15mmの大きさ
のITO焼結体を得た。粒度調整粉の熱処理条件、配合
率および焼結条件を表1に示す。
【0034】このようにして得られたITO焼結体の相
対密度は4.4g/cm3 、化学分析による錫組成(平
均組成)は、4.8重量%であった。また、焼結体の圧
縮強度をRU型万能材料試験機にて求め、さらに熱衝撃
性は、焼結体を600℃にて1時間加熱後、水中に投入
し割れ具合を調べた。これらの結果を表2に示す。
【0035】(実施例2)平均粒径1μm以下の酸化イ
ンジウム粉末中に平均粒径3μmの酸化錫粉末を錫組成
が10重量%となるように配合し、3重量%の酢酸ビニ
ール系バインダーを添加した後、湿式ボールミル中で1
8時間混合し、乾燥および粉砕した。その後、大気中に
て1500℃で10時間の熱処理を行い、平均粒径24
μmの粒度調整粉(A)とした。さらに、平均粒径1μ
mの酸化インジウム粉末および3重量%の酢酸ビニール
系バインダーを添加した後、湿式ボールミル中で18時
間混合し、乾燥および粉砕にて平均粒径を10μm以下
にして、大気中にて1500℃で3時間の熱処理を行
い、平均粒径15μmの粒度調整粉(B)とした。そし
て、平均粒径1μm以下の酸化インジウム粉末を主とす
る原料粉中に粒度調整粉(A)を50重量%、粒度調整
粉(B)を20重量%添加して混合した後、造粒粉末と
した。さらに、造粒粉末を所定の形状に成形した後、大
気中で焼結を行った。焼結工程は室温から400℃まで
を13時間にて昇温し、600℃まで3時間にて温度上
昇させた。そして600℃にて3時間保持し25mm
φ、厚さ15mmの大きさのITO焼結体を得た。粒度
調整粉の熱処理条件、配合率および焼結条件を表1に示
す。
【0036】得られたITO焼結体を実施例1と同様な
評価を行い、結果を表2に示す。
【0037】(実施例3)平均粒径1μm以下の酸化イ
ンジウム粉末中に平均粒径3μmの酸化錫粉末を錫組成
が50重量%となるように配合し、3重量%の酢酸ビニ
ール系バインダーを添加した後、湿式ボールミル中で1
8時間混合し、乾燥および粉砕した後、流量10リット
ル/分のO2 を流した酸素雰囲気中にて1500℃で1
0時間の熱処理を行い、平均粒径25μmの粒度調整粉
(A)とした。また、平均粒径1μm以下の酸化インジ
ウム粉末に3重量%の酢酸ビニール系バインダーを添加
した後、湿式ボールミル中で18時間混合し、乾燥およ
び粉砕にて平均粒径を10μm以下にして、大気中にて
1300℃で15時間の熱処理を行い、平均粒径15μ
mとした粒度調整粉(B)とした。そして、平均粒径1
μm以下の酸化インジウム粉末を主とする原料粉中に粒
度調整粉(A)を10重量%、粒度調整粉(B)を30
重量%添加して混合した後、造粒粉末とした。さらに、
造粒粉末を用いて成形した後、大気中で焼結を行った。
焼結工程は室温から400℃までを13時間にて昇温
し、600℃まで3時間にて温度上昇させた。そして、
500℃にて5時間保持し25mmφ、厚さ15mmの
大きさのITO焼結体を得た。粒度調整粉の熱処理条
件、配合率および焼結条件を表1に示す。
【0038】得られたITO焼結体を実施例1と同様な
評価を行い、結果を表2に示す。
【0039】(実施例4)平均粒径1μm以下の酸化イ
ンジウム粉末中に平均粒径3μmの酸化錫粉末を錫組成
が20重量%となるように配合し、3重量%の酢酸ビニ
ール系バインダーを添加した後、湿式ボールミル中で1
8時間混合し、乾燥および粉砕した後、大気中にて14
00、1500、1600℃の温度で各1時間の熱処理
を行い、各々の平均粒径を5、8、14μmの粒度調整
粉(A)とした。また、平均粒径1μm以下の酸化イン
ジウム粉末に3重量%の酢酸ビニール系バインダーを添
加した後、湿式ボールミル中で18時間混合し、乾燥お
よび粉砕にて平均粒径を10μm以下にして、大気中に
て1500℃で3時間の熱処理を行い、平均粒径15μ
mとした粒度調整粉(B)とした。そして、平均粒径1
μm以下の酸化インジウム粉末を主とする原料粉中に粒
度調整粉(A)を25重量%、粒度調整粉(B)を20
重量%添加して混合した後、造粒粉末とした。さらに、
造粒粉末を用いて成形した後、大気中で焼結を行った。
焼結工程は室温から400℃までを13時間にて昇温
し、600℃まで3時間にて温度上昇させた。そして6
00℃にて3時間保持し25mmφ、厚さ15mmの大
きさのITO焼結体を得た。粒度調整粉の熱処理条件、
配合率および焼結条件を表1に示す(実施例4−1、4
−2、4−3)。
【0040】得られたITO焼結体を実施例1と同様な
評価を行い、結果を表2に示す(実施例4−1、4−
2、4−3)。
【0041】(実施例5)平均粒径1μm以下の酸化イ
ンジウム粉末中に平均粒径3μmの酸化錫粉末を錫組成
が50重量%となるように配合し、3重量%の酢酸ビニ
ール系バインダーを添加した後、湿式ボールミル中で1
8時間混合し、乾燥および粉砕した後、大気中にて15
00℃の温度で15時間の熱処理を行い、各々の平均粒
径を30μmとした粒度調整粉(A)とした。また、平
均粒径1μm以下の酸化インジウム粉末に3重量%の酢
酸ビニール系バインダーを添加した後、湿式ボールミル
中で18時間混合し、乾燥および粉砕にて平均粒径を1
0μm以下にして、大気中にて1400℃で3時間の熱
処理を行い、平均粒径7μmとした粒度調整粉(B)と
した。そして、平均粒径1μm以下の酸化インジウム粉
末を主とする原料粉中に粒度調整粉(A)を10重量
%、粒度調整粉(B)を40重量%添加して混合した
後、造粒粉末とした。さらに、造粒粉末を用いて成形し
た後、大気中で焼結を行った。焼結工程は室温から40
0℃までを13時間にて昇温し、600℃まで3時間に
て温度上昇させた。そして、600℃にて3時間保持し
25mmφ、厚さ15mmの大きさのITO焼結体を得
た。粒度調整粉の熱処理条件、配合率および焼結条件を
表1に示す。
【0042】得られたITO焼結体を実施例1と同様な
評価を行い、結果を表2に示す。
【0043】(実施例6)平均粒径1μm以下の酸化イ
ンジウム粉末中に平均粒径3μmの酸化錫粉末を錫組成
が20重量%となるように配合し、3重量%の酢酸ビニ
ール系バインダーを添加した後、湿式ボールミル中で1
8時間混合し、乾燥および粉砕した後、大気中にて15
00℃で10時間の熱処理を行い、平均粒径24μmと
した粒度調整粉(A)とした。また、平均粒径1μm以
下の酸化インジウム粉末に3重量%の酢酸ビニール系バ
インダーを添加した後、湿式ボールミル中で18時間混
合し、乾燥および粉砕にて平均粒径を10μm以下にし
て、大気中にて1500℃で3時間の熱処理を行い、平
均粒径15μmとした粒度調整粉(B)とした。そし
て、平均粒径1μm以下の酸化インジウム粉末を主とす
る原料粉中に粒度調整粉(A)を50重量%、粒度調整
粉(B)を30重量%添加して混合した後、造粒粉末と
した。さらに、造粒粉末を用いて成形した後、大気中で
焼結を行った。焼結工程は室温から400℃までを13
時間にて昇温し、1100℃まで11時間にて温度上昇
させた。そして、1100℃にて1時間保持し25mm
φ、厚さ15mmの大きさのITO焼結体を得た。粒度
調整粉の熱処理条件、配合率および焼結条件を表1に示
す。
【0044】得られたITO焼結体を実施例1と同様な
評価を行い、結果を表2に示す。
【0045】(実施例7)平均粒径1μm以下の酸化イ
ンジウム粉末中に平均粒径3μmの酸化錫粉末を錫組成
が20重量%となるように配合し、3重量%の酢酸ビニ
ール系バインダーを添加した後、湿式ボールミル中で1
8時間混合し、乾燥および粉砕した後、大気中にて13
00℃で15時間の熱処理を行い、平均粒径12μmと
した粒度調整粉(A)とした。また、平均粒径1μm以
下の酸化インジウム粉末に3重量%の酢酸ビニール系バ
インダーを添加した後、湿式ボールミル中で18時間混
合し、乾燥および粉砕にて平均粒径を10μm以下にし
て、大気中にて1500℃で3時間の熱処理を行い、平
均粒径15μmとした粒度調整粉(B)とした。そし
て、平均粒径1μm以下の酸化インジウム粉末を主とす
る原料粉中に粒度調整粉(A)を50重量%、粒度調整
粉(B)を20重量%添加して混合した後、造粒粉末と
した。さらに、造粒粉末を用いて成形した後、大気中で
焼結を行った。焼結工程は室温から400℃までを13
時間にて昇温し、600℃まで3時間にて温度上昇させ
た。そして、600℃にて3時間保持し25mmφ、厚
さ15mmの大きさのITO焼結体を得た。粒度調整粉
の熱処理条件、配合率および焼結条件を表1に示す。
【0046】得られたITO焼結体を実施例1と同様な
評価を行い、結果を表1に示す。
【0047】(比較例1)平均粒径1μm以下の酸化イ
ンジウム粉末中に平均粒径3μmの酸化錫粉末を錫組成
が5重量%となるように配合し、3重量%の酢酸ビニー
ル系バインダーを添加した後、湿式ボールミル中で18
時間混合し、乾燥および粉砕して造粒粉末とした。さら
に、造粒粉末を用いて成形した後、大気中で焼結を行っ
た。焼結工程は室温から400℃までを13時間にて昇
温し、600℃まで3時間にて温度上昇させた。そし
て、600、800、1000℃にて3時間保持し25
mmφ、厚さ15mmの大きさのITO焼結体を得た。
焼結条件を表1に示す(比較例1−1、1−2、1−
3)。
【0048】得られたITO焼結体を実施例1と同様な
評価を行い、結果を表2に示す(比較例1−1、1−
2、1−3)。
【0049】(比較例2)平均粒径1μm以下の酸化イ
ンジウム粉末中に平均粒径3μmの酸化錫粉末を錫組成
が10重量%となるように配合し、3重量%の酢酸ビニ
ール系バインダーを添加した後、湿式ボールミル中で1
8時間混合し、乾燥および粉砕した後、大気中にて12
00℃で3時間の熱処理を行い、平均粒径4μmの粒度
調整粉とした。この粒度調整粉を平均粒径1μm以下の
酸化インジウム粉末を主とする原料粉中に30重量%添
加して混合した後、造粒粉末とした。さらに、造粒粉末
を用いて成形した後、大気中で焼結を行った。焼結工程
は室温から400℃までを13時間にて昇温し、600
℃まで3時間にて温度上昇させた。そして、600℃に
て3時間保持し25mmφ、厚さ15mmの大きさのI
TO焼結体を得た。粒度調整粉の熱処理条件、配合率お
よび焼結条件を表1に示す。
【0050】得られたITO焼結体を実施例1と同様な
評価を行い、結果を表2に示す。
【0051】
【表1】 [粒度調整粉(A)] 熱処理温度 時間 平均粒径 配合割合 雰囲気 (℃) (hr) (μm) (%) 実施例1 1500 15 30 50 air 実施例2 1500 10 24 50 air 実施例3 1500 10 25 10 O2 実施例4−1 1400 1 5 25 air 実施例4−2 1500 1 8 25 air 実施例4−3 1600 1 14 25 air 実施例5 1500 15 30 10 air 実施例6 1500 10 24 50 air 実施例7 1300 15 12 50 air 比較例1 − − − − − 比較例1−2 − − − − − 比較例1−3 − − − − − 比較例2 1200 3 4 30 air [粒度調整粉(B)] 熱処理温度 時間 平均粒径 配合割合 雰囲気 (℃) (hr) (μm) (%) 実施例1 − − − − air 実施例2 1500 3 15 20 air 実施例3 1300 15 21 30 air 実施例4−1 1500 3 15 20 air 実施例4−2 1500 3 15 20 air 実施例4−3 1500 3 15 20 air 実施例5 1400 3 7 40 air 実施例6 1500 3 15 30 air 実施例7 1500 3 15 20 air 比較例1−1 − − − − − 比較例1−2 − − − − − 比較例1−3 − − − − − 比較例2 − − − − −
【0052】
【表2】
【0053】表2中、熱衝撃性の○は割れが観察されな
かったことを、また×は割れが観察されたことを示す。
【0054】
【発明の効果】本発明のITO焼結体は以上のように構
成させているので、耐熱衝撃性が高いことで、EB蒸着
中における焼結体の割れが有効的に抑制され、良質なI
TO膜を安定して得られる。また手による粉砕が容易で
あるために、EB蒸着で使いきった後の焼結体を最終的
には粉末として再度EB蒸着により使用できる利用効率
に優れ、安価に製造可能なITO焼結体を提供すること
ができる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−24827(JP,A) 特開 昭62−21752(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 14/00 - 14/58 C04B 35/00 JICSTファイル(JOIS)

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主としてインジウム、錫および酸素から
    なる粉末を成形して焼結を行うITO焼結体の製造方法
    において、酸化インジウム粉末と酸化錫粉末を混合して
    熱処理することにより粒度調整粉を得て、酸化インジウ
    ム粉末を主とする原料粉中に前記粒度調整粉を添加して
    造粒粉末とし、該造粒粉末を成形後、500〜1100
    ℃の温度で1〜5時間の焼結を行うITO焼結体の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 主としてインジウム、錫および酸素から
    なる粉末を成形して焼結を行うITO焼結体の製造方法
    において、錫組成が1〜50重量%となるように酸化イ
    ンジウム粉末と酸化錫粉末とを混合し熱処理して粒度調
    整粉を生成し、酸化インジウム粉末を主とする原料粉中
    に前記粒度調整粉を添加し混合して造粒粉末とし、該造
    粒粉末を成形後、500〜1100℃の温度で1〜5時
    間の焼結を行うITO焼結体の製造方法。
  3. 【請求項3】 主としてインジウム、錫および酸素から
    なる粉末を成形して焼結を行うITO焼結体の製造方法
    において、錫組成が1〜50重量%となるように酸化イ
    ンジウム粉末と酸化錫粉末とを混合し熱処理して第1の
    粒度調整粉を生成し、さらに酸化インジウム粉のみを熱
    処理して第2の粒度調整粉を生成し、酸化インジウム粉
    末を主とする原料粉中に前記第1の粒度調整粉と第2の
    粒度調整粉とを添加し混合して造粒粉末とし、該造粒粉
    末を成形後、500〜1100℃の温度で1〜5時間の
    焼結を行うITO焼結体の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の粒度調
    整粉の平均一次粒子径が5〜30μmからなるITO焼
    結体の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3のいずれかに記載の原料
    粉中に添加する粒度調整粉の総量が原料粉に対し、40
    重量%以上であるITO焼結体の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜3のいずれかに記載の粒度調
    整粉の平均一次粒子径を5〜30μmとするため、13
    00〜1600℃の温度で1〜15時間の熱処理を行う
    ITO焼結体の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜3のいずれかに記載の粒度調
    整粉の平均一次粒子径を5〜30μmとするため、13
    00〜1600℃の温度で1〜15時間の熱処理を行
    い、かつ原料粉中に添加する粒度調整粉の総量が原料粉
    に対し、40重量%以上であるITO焼結体の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 原料粉が、酸化インジウム粉末、酸化イ
    ンジウム−酸化錫の複合粉末、または酸化インジウム−
    酸化錫の複合粉末と酸化錫粉末との混合粉末からなる請
    求項1〜3のいずれかに記載のITO焼結体の製造方
  9. 【請求項9】 錫組成が20重量%以下で、30〜80
    kg/cm 2 の圧縮強度で粉砕可能な、請求項1〜8の
    いずれかに記載の製造方法で作られた焼結体からなるI
    TO蒸着材。
  10. 【請求項10】 錫組成が20重量%以下で、600℃
    からの水中急冷でも割れの生じることのない、請求項1
    〜8のいずれかに記載の製造方法で作られた焼結体から
    なるITO蒸着材
  11. 【請求項11】 錫組成が20重量%以下で、焼結体密
    度が3.8〜4.6g/cm 3 である、請求項1〜8の
    いずれかに記載の製造方法で作られた焼結体からなるI
    TO蒸着材。
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