JP2006069811A - 単結晶酸化マグネシウム焼結体及びプラズマディスプレイパネル用保護膜 - Google Patents

単結晶酸化マグネシウム焼結体及びプラズマディスプレイパネル用保護膜 Download PDF

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Abstract

【課題】 電子ビーム蒸着法をはじめとする真空蒸着法を使用して基板上にMgO膜を成膜するためにターゲット材として使用する単結晶MgO焼結体であって、得られたMgO膜の密度及び耐スパッタ性を低下させることなく、優れた膜特性、例えば、PDP用保護膜として使用した場合の放電特性などを向上させること。また、その単結晶MgO焼結体をターゲット材として得られたPDP用保護膜を提供することである。
【解決手段】 粒径200μm以上の粒子を含有するとともに、X線回折法により測定した(200)面のX線強度及び(111)面のX線強度を、それぞれaカウント毎秒及びbカウント毎秒としたとき、20<a/b<300であることを特徴とする単結晶MgO焼結体、及び、この単結晶MgO焼結体をターゲット材として使用し、電子ビーム蒸着法、イオン照射蒸着法、又はスパッタリング法により製造したPDP用保護膜である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、例えばプラズマディスプレイパネル(以下、PDPという)用保護膜を真空蒸着法により製造する際に、蒸着源として使用される単結晶酸化マグネシウム(MgO)焼結体及びその製造方法、並びに、この単結晶酸化マグネシウム焼結体をターゲット材として得られるPDP用保護膜に関する。
放電発光現象を利用したPDPは、大型化しやすい平面ディスプレイとしてその開発が進められている。PDPは、その電極構造の違いから、放電空間に金属電極が露出している直流型(DC型)と、金属電極が誘電体で覆われている交流型(AC型)とに大別される。
AC型のPDPでは、イオン衝撃のスパッタリングにより誘電体層表面が変質して放電電圧が上昇することを防止するために、一般的にこの誘電体上に保護膜が形成されている。この保護膜は、低い放電電圧を有し、耐スパッタリング性に優れていることが要求される。
かかる要求を満足する保護膜として、従来から、MgO膜が使用されている。MgO膜は耐スパッタリング性に優れ、かつ、二次電子の放出係数が大きい絶縁物であるため、放電開始電圧を下げることができ,PDPの長寿命化に寄与する。
現在、MgO膜は、MgO単結晶をターゲット材とする電子ビーム蒸着法により誘電体上に形成されることが一般的である。また、多結晶MgO焼結体をターゲット材として使用することが提案されている。一例として、MgO純度が99.0%以上、相対密度が90%以上の多結晶MgOの焼結体ペレットからなり、かつ、この焼結体ペレットの平均結晶粒径が3〜100μmである多結晶MgOターゲット材が提案されている(特許文献1)
しかしながら、この多結晶MgOをターゲット材として電子ビーム蒸着法によりMgOを成膜した場合、以下のような問題がある。
第一に、大面積のガラス誘電体層に対してMgO膜を均一に生成させることが困難であり、膜厚分布が均一とならない。このように均一性が十分でないMgO膜を成膜したガラス誘電体層をPDPに組み込んだ場合は、電気的特性、例えば放電開始電圧や駆動電圧が上昇したり、変動するなどの問題が生じる。一方、膜厚分布を均一にするためには、成膜速度を小さく制御する必要があり、生産性が著しく低下するという問題もある。
第二に、保護膜の原料である多結晶MgOは、微細粒子であるため、それに吸蔵されている気体や水分の量が多く、ターゲット材であるMgOや、PDP用のガラス基板を装置内に設置して減圧を開始してから蒸着可能な真空度に到達するまでに長時間を要するという問題がある。さらに、電子ビーム蒸着等による加熱時に、MgO中に吸蔵された気体の離脱が生じ、蒸着操作条件を不安定にするとともに、減圧下で離脱する気体により基板が汚染され、その結果、清浄なMgO膜を成膜することができないという問題がある。
第三に、MgO膜は炭酸ガスや水との反応性が高く、化学的に活性であるため、水や炭酸ガスを吸着し、経時的に水酸化マグネシウム又は炭酸マグネシウムに変化する。したがって、製造工程で、大気中にさらされる工程時間を厳密に管理する必要があるなど取り扱いが煩雑である。
第四に、多結晶MgOターゲット材は、出発原料となるMgO粉末に含まれる不純物量により、最終的に得られるMgO膜の純度が決定されてしまうため、MgO粉末原料により純度のばらつきがあるという問題がある。
第五に、多結晶MgO焼結体は、密度が高いため、蒸着速度が遅く、生産性に欠けるなどの問題もある。
かかる問題を解決するために、粒度分布の異なる2種類以上の粉末を混合して焼結することにより、多結晶MgO焼結体の相対密度を低減し、結果として、蒸着速度を改善したものが提案されている(特許文献2)。
しかしながら、PDPの開発が進められる中で、さらに消費電力を低減することが求められており、そのためには、PDPの発光効率を高めることが必要となっている。その有効な手段の一つとして、MgO膜を生成するターゲット材であるMgO焼結体の特性を改善することがあげられる。上記の多結晶MgO焼結体では、特性の向上に限界があり、MgO焼結体のさらなる改良が望まれている。
特開平10−297956号公報 特開2003−27221号公報
本発明の目的は、上記の課題を解消し、例えば、電子ビーム蒸着法を使用して基板上にMgO膜を成膜するためにターゲット材として使用する単結晶MgO焼結体であって、得られたMgO膜の密度及び耐スパッタ性を低下させることなく、優れた膜特性、例えばPDP用保護膜として使用した場合の放電特性などを向上させることが可能な単結晶MgO焼結体、及び、この単結晶MgO焼結体をターゲット材として使用することにより得られたPDP用保護膜を提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、まず、電子ビーム蒸着法のターゲット材として使用されるMgO焼結体の出発原料として、従来の多結晶MgOに替えて、表面の反応性が低い単結晶MgOの粉砕品を使用することとした。
単結晶MgOは、従来含有される不純物量が多いと考えられていたが、本発明者らは、検討を重ねた結果、不純物成分の全てが最終的に得られるMgO膜の特性を低下させるのではなく、その中にはMgO膜の特性を改善する成分も含まれていることを見出した。
つまり、全ての不純物の含有量を低減して徒にコストを上昇させるよりも、むしろ、MgO膜の特性を向上させる不純物成分と、特性を低下させる不純物成分との含有量のバランスを考慮することが望ましい。単結晶MgOの不純物量は高純度多結晶MgOに比べて幾分多いものの、不純物である各元素の存在比率については理想的な状態にある。言うなれば、特性を低下させる成分の悪影響が、特性を改善する成分により相殺されていると考えられる。
この単結晶MgO焼結体は理想的なバランスで不純物成分を含有するものの、焼結体自体の密度が高いため、これをターゲット材に使用して蒸着により成膜した際、蒸着速度が遅く、生産性が低いという問題がある。本発明者らは、この点を改善すれば、PDP用保護膜として満足すべき特性を有するものが得られるとの結論に達した。
本発明者らは、焼結体中に粒径の大きい粒子を含有させると、焼結体の密度が最適な範囲となり、蒸着速度を向上することができることを見出した。さらに、本発明者らは、単結晶MgO焼結体の物性、特に焼結体中の粒径の大きな粒子の存在並びに含有量を規定する一手段としてX線回折法によるX線回折プロファイルに着目した。そして、単結晶MgO焼結体にX線を照射したとき、粒径が大きく、特定の面の配向性が良好な粒子が存在すると、その面のX線強度が高くなり、かつ、特定の2つの面のX線強度の比が所定範囲のときに、その粒径の大きな粒子が適切な範囲で含有されていることを確認した。
すなわち、本発明によれば、粒径200μm以上の粒子を含有し、X線回折法により測定した(200)面のX線強度及び(111)面のX線強度を、それぞれaカウント毎秒及びbカウント毎秒としたとき、20<a/b<300である、単結晶MgO焼結体が提供される。
また、焼結体の相対密度を適切な範囲に調整するためには、前記粒径200μm以上の粒子の含有量が、単結晶MgO焼結体全体の20〜80質量%であることが好ましい。
さらに、上記の単結晶MgO焼結体において、X線回折法により測定した(200)面のX線ピークの半価幅が0.140以下であることが好ましい。
また、本発明によれば、上記の単結晶MgO焼結体を使用したPDP用保護膜を成膜するためのターゲット材、並びに、そのターゲット材を使用し、電子ビーム蒸着法、イオン照射蒸着法、又はスパッタリング法により製造した、PDP用保護膜も提供される。
本発明においては、従来一般に使用されていた多結晶MgOではなく、単結晶MgOを使用する。つまり、単結晶MgOが本来含有する不純物は、最終的に得られるMgO膜の特性を低下させる成分と、改善する成分とが混在し、総体的にMgO膜の特性をそれほど低下させない程度に両者のバランスがとれていると考えられる。
したがって、単結晶MgO中に含有されている不純物量を、むやみに引き下げるのではなく、その不純物バランスを生かしつつ、以下に述べるような他の特性値を規定することにより、従来の多結晶MgO焼結体よりもターゲット材として優れた単結晶MgO焼結体を得ることが可能となる。
成膜後のMgO膜の密度を低下させず、かつ、蒸着速度を向上させるためには、特定のX線プロファイルを有する単結晶MgO焼結体をターゲット材とすることが必要である。具体的には、粒径200μm以上の粒子を含有する。そして、本発明の単結晶MgO焼結体においては、X線回折法により測定した(200)面のX線強度及び(111)面のX線強度をそれぞれa(cps)及びb(cps)としたとき、20<a/b<300となるように調整することにより、粒径200μm以上の粒子の含有量を最適な範囲に調整することができる。a/bの値は、より好ましくは、24〜260であり、さらに好ましくは、28〜240である。
なお、(200)面のX線強度の絶対値は、使用するX線回折装置及び測定条件によっても異なるが、一例として、Rigaku RINT-1400 X-Ray diffractometerを使用し、設定管電圧50kV、設定管電流40mA、CuKα特性X線を使用し、フィルタNi、サンプリング角度0.020°、資料回転速度30rpm、スキャンスピード4,000°/min、積算回数1回、スリット設定:発散スリット1°、散乱スリット1°、受光スリット0.30mm、モノクロ受光スリット0.80mmの各条件下で測定した(200)面のX線強度が、好ましくは、10,000カウント毎秒(cps)以上であり、より好ましくは、15,000cps以上であり、更に好ましくは、20,000〜500,000cpsの範囲である。
また、焼結体の密度を最適な範囲に調整するために、上記の粒径200μm以上の粒子の含有量は、具体的には、全体の20〜80質量%であることが好ましい。この含有量のさらに好ましい範囲は、30〜75質量%であり、より好ましい範囲は、40〜70質量%の範囲である。
さらに、単結晶MgO焼結体における粒子の結晶性を向上させるために、上記X線回折法により測定した(200)面のX線ピークの半価幅が0.140以下であることが好ましい。
単結晶MgO焼結体の(200)面のX線強度が上記の範囲にあるものは、その焼結体中に粒径の大きな、すなわち粒径200μm以上のMgO粒子を最適な含有量で含有しており、その結果、MgO焼結体の相対密度が低下して、蒸着速度が増大するため、生産性を改善することができる。また、単結晶MgO焼結体の相対密度を従来のMgO焼結体の相対密度に比べて小さくすることにより、例えば、電子ビームによる蒸着工程を実施した際、低出力の電子ビームで蒸着することができるという利点もある。
また、蒸着後に得られるMgO膜の特性を低下させないためには、上記の単結晶MgO焼結体中のMgO純度は97質量%以上とすることが好ましく、より好ましくは、98質量%以上であり、さらに好ましくは、99質量%以上である。
一般的に単結晶MgO粉末は非常に微細であり、この単結晶MgO粉末から得られる焼結体の密度は必然的に高くなるため、例えば電子ビーム蒸着工程における蒸着速度は低くなる。上記のX線プロファイルを有する本発明の単結晶MgO焼結体は、ターゲット材として使用してMgO膜を成膜した際に、得られるMgO膜の特性を低下させない粒度の範囲内で、かつ、できる限り粒径の大きい、具体的には、粒径200μm以上のMgO粒子を含んでいるため、得られる焼結体の密度が従来のものより低下し、その結果、蒸着速度を増大させることが可能となる。
上述したX線プロファイルを有する本発明の単結晶MgO焼結体は、例えば、以下のようにして製造することができる。まず、平均粒径200〜1000μm、好ましくは、平均粒径200〜800μmのMgO粉末に対し、平均粒径10μm以下のMgO粉末を混合する。この時の混合比率は、平均粒径10μm以下のMgO粉末が、全体の5〜60質量%になるようにすることが好ましい。このように異なる平均粒径のMgO粒子粉末を所定割合で混合することにより、平均粒径が100〜500μmのMgO混合粒子粉末を得ることができる。
このような異種粒径のMgO粉末を用意するにあたり、平均粒径200〜1000μmの粉末は、1種でもよいが、2種以上を混合することもできる。例えば、平均粒径300μmのMgO粉末と、平均粒径600μmのMgO粉末とを合計で全MgO粉末の40〜95質量%となるように混合してもよい。この混合粉末を焼結することにより、粒径200μm以上のMgO粒子を上記の範囲、すなわち全体の20〜80質量%の範囲で含むMgO焼結体を得ることができる。
上記のように、平均粒径が異なる、すなわち、異なる粒度分布を有する2種以上のMgO粉末を混合することにより、同じ平均粒径を有していても単一の粒度分布を有する粉末を1種単独で使用した場合に比べて、焼結体の相対密度の制御をより正確に行うことができる。
また、このような粒子径に調整した単結晶MgO粉末は、本来の粒子径が小さなMgO粉末に比べ、表面が不活性で、大気との反応性が低いので、貯蔵時に水分や炭酸ガスの付着を防ぐことができ、高真空下でも離脱ガスの少ないMgOターゲット材を得ることが可能となる。このようなターゲット材は電子ビーム蒸着法により蒸着した際にもガス化成分を低減することができる。
次に、上記のように平均粒径を調整したMgO混合粉末に、バインダーを混合する。この混合工程は、例えば、パワーニーダー、撹拌ミルなどを使用して実施される。バインダーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレングリコール、CMC、PVA、ポリビニルブチラールなどが使用される。バインダーの添加量は、混合粉末の総量に対して、3〜10質量%とすることが好ましい。
次いで、バインダーを添加混合したMgO粉末を成型する。すなわち、まず、平均粒径を調整してバインダーを添加混合したMgO粉末を乾燥させ、例えば、解砕機を用いて粉砕することにより造粒し、顆粒粉末を得る。顆粒粉末は流動性に優れるため、続く成型工程における金型への充填性が向上する。この顆粒粉末の平均粒径は、0.8mm以下とすることが好ましい。
このようにして得られた造粒粉末を所定の金型に投入して成型する。成型には、例えば一軸プレス装置などを使用することができる。成型品の形状は特に限定されるものではないが、例えば、上下に平滑な面を有するペレット状とすることが好ましい。すなわち、上述したように粒径の大きなMgO粒子を含む単結晶MgO粉末を使用して成型を行うと、その粒径の大きなMgO粒子の特定の格子面すなわち(200)面が配向しやすく、この面のX線強度が非常に強くなる。これは、ペレットを成型するための金型への充填、プレス工程において、平滑なプレス面を有する上下一対の金型により圧縮成型される際、成型体中に含まれる粒径の大きなMgO粒子は、単結晶が劈開した面を多く有しており、プレス成型中に、この劈開面が前述の金型のプレス面に沿って配向するためであると考えられる。
成型圧は、得られる成型体の相対密度を適切な範囲に調整するために、例えば、100〜300MPaに設定することが好ましい。さらに好ましい成型圧は、150〜200MPaである。
しかるのち、この成型体を焼成し、本発明の単結晶MgO焼結体を得る。焼成雰囲気は、大気中、ガス炉で、焼成温度は、1500〜1700℃、焼成時間は、3〜5時間にそれぞれ設定することが好ましい。
このようにして得られた単結晶MgO焼結体は、PDP用保護膜を成膜するためのターゲット材として使用することができる。この単結晶MgO焼結体をターゲット材として使用した成膜法としては、電子ビーム蒸着法、イオン照射蒸着法、又はスパッタリング法などの真空蒸着法をあげることができ、特に電子ビーム蒸着法は好適である。
本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
1.焼結体製造用単結晶MgO粉末の調製
出発原料粉末として、純度99.0質量%以上の単結晶MgO粉末(商品名SSP、タテホ化学工業株式会社製、B含有量1ppm以下)を使用した。この原料粉末を粉砕して平均粒径10μm以下にしたMgО粉末Aと、平均粒径600μmのMgО粉末B(16−42mesh)の、平均粒径分布の異なる2種類のMgО粉末A,Bを、重量比で6:4で混合し、平均粒径250μmの混合MgО粉末を得た。
2.ターゲット用単結晶MgО焼結体の製造
上記により得られた混合MgО粉末にバインダー(商品名メトローズ90SH−400、信越化学株式会社製)を6質量%になるように混合した。この混合工程は、パワーニーダー(DALTON社製 PK型)を使用し、回転数250rpmで5分間運転することにより実施した。
続いて、この粉末を乾燥させ、目開き0.8mmスクリーンを取り付けた解砕機(商品名P−3、ダルトン社製)を使用し、回転数2000rpmで運転することにより造粒し、平均0.8mm以下の顆粒粉末を得た。この顆粒粉末を直径6.5mm、厚さ2mmの金型に入れて成型した。成型には一軸プレス装置(商品名SR200−1P−9H、菅原精機株式会社製)を使用し、成型圧は100〜300MPaに設定した。
このようにして得られた成型体を大気中、焼成炉(炉床昇降式、丸祥電器株式会社製)を使用し、1620℃で4時間焼成することにより、直径約6.5mm、厚さ2mmの単結晶MgО焼結体を得た。
3.X線プロファイル測定
Rigaku RINT-1400 X-Ray diffractometerを使用し、設定管電圧50kV、設定管電流40mAで、CuKα特性X線を使用し、フィルタNi、サンプリング角度0.020°、資料回転速度30rpm、スキャンスピード4,000°/min、積算回数1回、スリット設定:発散スリット1°、散乱スリット1°、受光スリット0.30mm、モノクロ受光スリット0.80mmの条件で、上記の単結晶MgO焼結体をそのままセットし、(111)面及び(200)面の強度(cps)、これらの2つの面の強度比[(200)/(111)]、並びに、(200)面の半価幅をそれぞれ測定し、得られた結果を表1に示した。なお、表1には、焼結体中の粒径200μm以上の粒子の含有量も併せて示した。
Figure 2006069811
4.単結晶MgO焼結体をターゲット材として用いて、作製したPDP用保護膜の特性評価試験
上記により得た単結晶MgO焼結体をターゲット材として用い、ステンレス基板に電子ビーム蒸着装置を使用して100nmの厚さに成膜することにより測定試料を作製した。
このようにして得られた測定試料を二次電子測定装置のターゲット位置に設置し、高真空中で活性化処理を行った後、二次電子放出係数を測定した。その結果を図1のグラフに示す。なお、二次電子放出係数測定時の試料温度は300℃、イオン加速電圧は300Vとした。
実施例2
出発原料粉末として、純度99.0質量%以上の単結晶MgO粉末(商品名SSP、タテホ化学工業株式会社製、B含有量1ppm以下)を使用した。この原料粉末を粉砕して平均粒径10μm以下にしたMgО粉末Aと、平均粒径600μmのMgO粉末B(16−42mesh)の、平均粒径分布の異なる2種類のMgО粉末A,Bを、重量比で5:5で混合し、平均粒径310μmの混合MgО粉末を得た。この混合MgO粉末を使用し、上記実施例1と同様にしてMgO焼結体を製造し、その焼結体をターゲット材としてMgO膜を成膜し、同様にX線プロファイル及び放電特性を測定して、得られた結果を表1及び図1に示した。
実施例3
出発原料粉末として、純度99.0質量%以上の単結晶MgO粉末(商品名SSP、タテホ化学工業株式会社製、B含有量1ppm以下)を使用した。この原料粉末を粉砕して平均粒径10μm以下にしたMgО粉末Aと、平均粒径600μmのMgO粉末B(16−42mesh)の、平均粒径分布の異なる2種類のMgО粉末A,Bを、重量比で4:6で混合し、平均粒径360μmの混合MgО粉末を得た。この混合MgO粉末を使用し、上記実施例1と同様にしてMgO焼結体を製造し、その焼結体をターゲット材としてMgO膜を成膜し、同様にX線プロファイル及び放電特性を測定して、得られた結果を表1及び図1に示した。
比較例1
出発原料として純度99.0質量%以上の高純度多結晶MgO粉末(平均粒径2〜8μm)を用意した。このMgO粉末に対し、バインダーとしてPVAを2質量%添加し、さらにエタノールを分散媒としてスラリー濃度50%となるように調整し、24時間ボールミルにて混合撹拌してスラリーを得た。次に、このスラリーをスプレードライヤーにて噴霧乾燥し、平均粒径200μmの造粒粉末を得た。以下、上記実施例1と同様にして、MgO焼結体を製造し、その焼結体をターゲット材として用いてMgO膜を成膜し、同様にX線プロファイル及び放電特性を測定し、得られた結果を表1及び図1に示した。
比較例2
出発原料粉末として、純度99.0質量%以上の単結晶MgO粉末(商品名SSP、タテホ化学工業株式会社製、B含有量1ppm以下)を使用した。この原料粉末を粉砕して平均粒径10μm以下にしたMgO粉末Aに対し、バインダーとしてPVAを2質量%添加し、さらにエタノールを分散媒として添加してスラリー濃度が50%となるように調整し、24時間ボールミルにて混合撹拌してスラリーを得た。次いで、このスラリーをスプレードライヤーにて噴霧乾燥することにより造粒し、平均粒径200μmの顆粒粉末を得た。この顆粒粉末を使用し、上記実施例1と同様にしてMgO焼結体を製造し、その焼結体をターゲット材としてMgO膜を成膜し、同様にX線プロファイル及び放電特性を測定し、得られた結果を表1及び図1に示した。
図1の結果から明らかなように、本発明により規定されたX線プロファイルを有する単結晶MgO焼結体をターゲット材として得られたMgO膜(実施例1〜3)は、二次電子放出係数が大きく、優れた放電特性を有することが確認された。
PDPの放電維持電極に電圧が印加されるとセル内のガスに含まれるイオン、電子が加速され、加速されたイオンはMgO膜に衝突する。本発明のような高い二次電子放出係数(γi)を持つMgO膜を用いると、放電開始電圧が低下することが確かめられている。放電開始電圧が低下すると、駆動電圧が引き下げられ、その結果、発光効率を向上することができるため、消費電力が低下するという利点がある。
このように、本発明の単結晶MgO焼結体をターゲット材として得られたPDP用保護膜は、単結晶MgOが本来有する含有不純物のバランスを生かしつつ、さらに、単結晶MgO焼結体中に粒径200μm以上の粒子を含有させて、そのX線プロファイルを最適化することにより、従来の単結晶MgO焼結体の有する問題点を解消した。その結果、不純物の微量化のみに焦点を絞った従来の多結晶MgO焼結体から得られた保護膜に比べて、最終的に得られたMgO膜の放電特性を向上させることが可能となった。
以上詳細に説明したように、本発明の単結晶MgO焼結体は、例えば、電子ビーム蒸着法を使用して基板上にMgO膜を成膜するためのターゲット材として用いた際、得られたMgO膜の密度及び耐スパッタ性を低下させることなく、優れた膜特性例えばPDP用保護膜の放電特性などを向上させることが可能である。
また、この単結晶MgO焼結体をターゲット材として使用して製造されたPDP用保護膜は、二次電子放出係数が高く、放電開始電圧が低くなる。その結果、発光効率が高くなるため消費電力を低下させることが可能となり、その工業的価値は極めて大である。
本発明の実施例に係るMgO膜の放電特性を示すグラフである。

Claims (5)

  1. 粒径200μm以上の粒子を含有するとともに、X線回折法により測定した(200)面のX線強度及び(111)面のX線強度を、それぞれaカウント毎秒及びbカウント毎秒としたとき、20<a/b<300であることを特徴とする単結晶酸化マグネシウム焼結体。
  2. 前記粒径200μm以上の粒子の含有量が、全体の20〜80質量%である、請求項1記載の単結晶酸化マグネシウム焼結体。
  3. X線回折法により測定した(200)面のX線ピークの半価幅が0.140以下である、請求項1又は2記載の単結晶酸化マグネシウム焼結体。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載の単結晶酸化マグネシウム焼結体を使用したプラズマディスプレイパネル用保護膜を成膜するためのターゲット材。
  5. 請求項4記載のターゲット材を使用し、電子ビーム蒸着法、イオン照射蒸着法、又はスパッタリング法により製造した、プラズマディスプレイパネル用保護膜。
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