JP2007138198A - 蒸着材用酸化マグネシウム焼結体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 PDP用MgO保護膜を成膜するためのターゲット材として、膜の密度及び耐スパッタ性を低下させることなく、優れた膜特性を付与することが可能なMgO焼結体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 酸化マグネシウム粉末粒子を成形焼成した酸化マグネシウム焼結体であって、前記焼結体が、Ca、Al、Si及びFeを各々5〜1000ppmの範囲で含み、純度が99.50質量%以上99.99質量%未満の範囲であり、かつ、相対密度が97.5〜99.5%の範囲である蒸着材用酸化マグネシウム焼結体である。
【選択図】 なし
【解決手段】 酸化マグネシウム粉末粒子を成形焼成した酸化マグネシウム焼結体であって、前記焼結体が、Ca、Al、Si及びFeを各々5〜1000ppmの範囲で含み、純度が99.50質量%以上99.99質量%未満の範囲であり、かつ、相対密度が97.5〜99.5%の範囲である蒸着材用酸化マグネシウム焼結体である。
【選択図】 なし
Description
本発明は、例えばプラズマディスプレイパネル(以下、「PDP」という場合がある)用保護膜を電子ビーム蒸着法、イオンプレーティング法などの真空蒸着法を使用して製造する際に、蒸着源として使用される酸化マグネシウム焼結体及びその製造方法、並びにこの酸化マグネシウム焼結体をターゲット材として得られるプラズマディスプレイ用保護膜に関する。
放電発光現象を利用したPDPは、大型化しやすい平面ディスプレイとして開発が進められている。PDPは、電極構造の違いから、放電空間に金属電極が露出している直流型(DC型)と、金属電極が誘電体で覆われている交流型(AC型)とに大別される。
AC型のPDPでは、イオン衝撃のスパッタリングにより誘電体層表面が変質して放電電圧が上昇することを防止するために、一般的に、この誘電体上に保護膜が形成されている。この保護膜は、低い放電電圧を有し、耐スパッタリング性に優れていることが要求される。
かかる要求を満足する保護膜として、従来から、酸化マグネシウム(以下、「MgO」という場合がある)膜が使用されている。MgO膜は耐スパッタリング性に優れ、かつ、二次電子の放出係数が大きい絶縁体であるため、放電開始電圧を下げることができ、PDPの長寿命化に寄与する。
現在、MgO保護膜は、MgO焼結体をターゲット材とする電子ビーム蒸着法により誘電体上に形成されることが一般的である。例えば、特許文献1には、MgO純度が99.0質量%以上、相対密度が90%以上の多結晶MgOの焼結体ペレットからなり、かつ、この焼結体ペレットの平均結晶粒径が3〜100μmである多結晶MgOターゲット材が開示されている。
しかしながら、この多結晶MgOをターゲット材として電子ビーム蒸着法によりMgO膜を成膜した場合、以下のような問題がある。
大面積のガラス誘電体層に対してMgO膜を均一に生成させることが困難であり、膜厚分布が均一とならない。膜厚の均一性が十分でないMgO膜を成膜したガラス誘電体層をPDPに組み込んだ場合は、電気的特性、例えば放電開始電圧や駆動電圧が上昇したり、変動するなどの問題が生じる。一方、膜厚分布を均一にするためには、成膜速度を小さく制御する必要があり、その結果、生産性が著しく低下するという問題もある。
また多結晶MgOターゲット材は、出発原料となるMgO粉末に含まれる不純物量により、最終的に得られるMgO保護膜の純度が決定されてしまうため、多結晶MgO粉末原料の純度に依存してMgO保護膜の純度のばらつきが生じるという問題がある。
しかしながら、PDPの開発が進められる中で、さらに消費電力を低減することが求められており、PDPの発光効率を高めることが必要となっている。そのための有効な手段の一つとして、MgO保護膜を生成するターゲット材であるMgO焼結体の特性を改善することが挙げられる。上記の多結晶MgO焼結体では、特性の向上に限界があり、MgO焼結体のさらなる改良が望まれている。
特開平10−297956号公報
本発明の目的は、上記の課題を解消し、例えば、電子ビーム蒸着法を使用して基板上にMgO膜を成膜するためのターゲット材として使用するMgO焼結体であって、得られたMgO膜の密度及び耐スパッタ性を低下させることなく、優れた膜特性、例えばPDP用保護膜として使用した場合の放電特性などを向上させることが可能なMgO焼結体及びその製造方法、並びにこのMgO焼結体をターゲット材として得られたPDP用保護膜を提供することである。
本発明者らは、上記問題を達成すべく、例えば、電子ビーム蒸着法のターゲット材として使用されるMgO焼結体の出発原料として、様々な純度の酸化マグネシウム粉末粒子を用いて実験を行い、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、MgO粉末粒子を成形焼成した蒸着材用MgO焼結体であって、焼結体が、Ca、Al、Si及びFeを各々5〜1000ppmの範囲で含み、純度が99.50質量%以上99.99質量%未満の範囲であり、かつ相対密度が97.5〜99.5%の範囲である蒸着材用MgO焼結体である。MgO焼結体としては高純度のものが好ましいが、Ca、Al、Si及びFeは電子ビームの二次電子放出係数を高める効果があるので、各々を5〜1000ppmの範囲で含むこととし、一方純度が4ナイン以上の超高純度になるとかえって電子ビームの二次電子放出係数が小さくなることから純度の範囲を規定するとともに、MgO焼結体の相対密度を97.5〜99.5%の範囲に規定することで、相対密度が高すぎることにともなう蒸着速度の遅延とそれに伴う生産性低下の課題を解決した。また、本発明は、MgO焼結体中に、V、Mn、Cr、Niの微量不純物を所定の範囲以内で含有することができる。
本発明の蒸着材用酸化マグネシウム焼結体を製造する際の原料ソースとして、炭酸マグネシウムを焼成して得られる粉末、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウムから化合して得られる水酸化マグネシウムを焼成して得られる粉末、酸化マグネシウムを水和、焼成することにより精製して得られる粉末、電融により得られた単結晶酸化マグネシウムを粉砕して得られる粉末等を使用することができる。
これらの酸化マグネシウム原料粉末に含有される、PDP保護膜の特性に影響を及ぼす成分あるいは不純物を原料粉末の段階でコントロールし、従来の市販の酸化マグネシウム粉末を使用するよりも優れたMgO焼結体を製造するものである。
これらの原料粉末を用いて、蒸着材用MgO焼結体を製造する過程で、特に、MgO保護膜特性を改善しうる成分を積極的に添加することもできる。MgO保護膜特性を改善しうる成分としては、例えば、Ca、Al、Si、Fe、Y等が挙げられる。このように、MgO保護膜特性を改善しうる成分を積極的に調整しつつ酸化マグネシウム粉末粒子の純度を制御することにより、本発明の蒸着材用酸化マグネシウム焼結体を使用するターゲット材は、MgO膜の二次電子放出係数を高くすることができる。高い二次電子放出係数を有するMgO保護膜は、放電開始電圧を低くすることができ、それにより駆動電力も下げることができる。このため発光効率の向上が可能となり、その結果、消費電力が低下するという利点がある。
本発明者らは、以上の知見に基づいて、PDP用MgO保護膜の特性を改善するために、その蒸着源となるMgO焼結体の特性を改善するという課題を解消することにより、PDP用保護膜として満足すべき特性を有するものが得られるとの結論に達した。
酸化マグネシウム粉末粒子中に含まれる、一般的に不純物とみなされる成分は、Ca、Si、Al、Feが挙げられ、これらは他の不純物元素に比べ比較的多く含まれている。そのため、これらの成分については、使用する酸化マグネシウムの原料ソースによりある程度決まってしまうため、成分量のコントロールが重要であることを見出した。すなわち、蒸着材用に使用されるMgO粉末粒子の原料ソースまでに着目し、膜特性に好ましい影響を与える成分については原料粉末の段階で成分量を調整し、膜特性に悪影響を与えると思われる不純物については、原料粉末の段階でさらに精製し、PDPの膜特性を向上させるように努めた。
以上述べたように、本発明によれば、MgO焼結体中のCa、Al、Si及びFeを各々5〜1000ppmの範囲とし、またその純度を99.50質量%以上99.99質量%未満とするとともに、相対密度を97.5〜99.5%とする。また、MgO焼結体中のCaを30〜400ppm、Alを30〜200ppm、Siを30〜200ppm、Feを5〜150ppmの範囲にコントロールすることが好ましく、これにより、二次電子放出係数がより優れたPDP保護膜を成膜することができる。
本発明の蒸着材用MgO焼結体に含有される微量不純物を、V30ppm以下、Mn30ppm以下、Cr30ppm以下、Ni10ppm以下、B10ppm以下に低減させることが好ましい。
本発明のMgO粉末粒子を成形焼成した蒸着材用MgO焼結体は、MgO焼結体中のCa、Al、Si及びFeを各々5〜1000ppmの範囲で含み、純度が99.50質量%以上99.99質量%未満であり、また相対密度が97.5〜99.5%のものである。より好ましくは、Caが30〜400ppm、Alが30〜200ppm、Siが30〜200ppm及びFeが5〜150ppm、さらに好ましくは、Caが30〜350ppm、Alが30〜180ppm、Siが30〜150ppm及びFeが5〜130ppmである。酸化マグネシウム粉末粒子の原料ソースとして、炭酸マグネシウムを焼成して得られる粉末、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウムから化合して得られる水酸化マグネシウムを焼成して得られる粉末、酸化マグネシウムを水和、焼成することにより精製して得られる粉末、電融により得られた単結晶酸化マグネシウムを粉砕して得られる粉末等が挙げられる。
炭酸マグネシウムを焼成して得られるMgO粉末、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム由来で化合することにより製造される酸化マグネシウム粉末、酸化マグネシウム由来で水和、焼成することにより精製されることにより製造される高純度マグネシウム粉末を、原料粉末として好ましく用いることができる。
より好ましくは、炭酸マグネシウムを焼成して得られる高純度の酸化マグネシウム粉末である。
本発明のMgO焼結体に使用するMgO粉末粒子は、原料ソースを選択して、有害となる微量不純物元素を極力減らす方向で製造している。例えば、ハース構成元素であるNi、Crは電子ビームの二次電子放出係数に悪影響を及ぼすおそれがあるため、含有量の制限を行っている。
その一方、原料粉末の製造工程の途中で、有効な成分を所定量に調整する。有効な成分としては、例えば、Ca、Al、Si、Feである。これらの有効成分は、精製することにより、又は酸化物、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、水酸化物、亜硫酸塩及びハロゲン化物などの化合物の形態で添加することにより、調整することができる。
本発明のMgO焼結体に使用するMgO粉末粒子は、例えば、炭酸マグネシウムを原料ソースとし、有効成分を調整した高純度酸化マグネシウム粉末を、湿式ポットミルでアルコール溶媒中24時間、鉄芯入りナイロンボール(φ15mm)で微粉砕する。次いで、自然乾燥後、熱風乾燥機で120℃強熱乾燥させる。
次に、原料粉末の平均粒径を調整し、場合によりバインダーを混合する。バインダーの混合工程は、例えば、パワーニーダー、攪拌ミルなどを使用して実施する。バインダーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレングリコール、CMC、PVA、ポリビニルブチラールなどが使用できる。バインダーの添加量は、混合粉末の総量に対して、2〜10質量%とすることが好ましい。次いでバインダーを添加混合したMgO粉末粒子を成形する。まず、バインダーを添加混合したMgO粉末を乾燥させ、例えば、解砕機を用いて粉砕することにより造粒し、顆粒粉末を得る。顆粒粉末は流動性に優れるため、続く成形工程における金型への充填性が向上する。この顆粒粉末の平均粒径は、0.8mm以下とすることが好ましい。
次に、得られた造粒粉末を所定の金型に投入して成形する。成形には例えば一軸プレス装置などを使用することができる。金型圧力は、得られる成形体の相対密度を調整するために、例えば、100〜300MPaに設定することが好ましい。さらに好ましい成形圧力は、150〜200MPaである。
次に、得られた成形体を焼成し、本発明のMgO焼結体を得る。焼成は、ガス炉を使用して大気中で行い、焼成温度:1500〜1700℃、焼成時間:3〜5時間にそれぞれ設定することが好ましい。
得られたMgO焼結体は、PDP用保護膜を成膜するためのターゲット材として使用することができる。このMgO焼結体をターゲット材として使用する成膜方法としては、電子ビーム蒸着法、イオン照射蒸着法、又はスパッタリング法などの真空蒸着法をあげることができ、特に電子ビーム蒸着法は好適である。
(物性値測定)
MgO焼結体の物性値を下記のようにして測定した。
・MgO焼結体の純度
MgO焼結体中のCa、Si、Al、Fe、Cr、Ni、V、Mn及びBの含有量を、ICP発光分光分析装置(商品名:SPS−1700VR、セイコーインスツルメンツ(株)製)を使用し、試料を酸溶解したのち測定した。MgO焼結体の純度は、100質量%から差し引いた値として算出した。
・相対密度
焼結体の嵩密度の測定は、アルキメデス法により求めた。焼結体の相対密度は、MgO単結晶の密度を3.58とし、計算により求めた。
・MgO焼結体をターゲット材として作製したPDP用保護膜の特性評価
得られたMgO焼結体をターゲット材とし、ステンレス基板に電子ビーム蒸着装置を使用して100nmの厚さに成膜することにより、PDP用保護膜測定試料を作製した。得られた測定試料を二次電子測定装置のターゲット位置に設置した後、高真空中で活性化処理を行った後、二次電子放出係数を測定した。なお、二次電子放出比測定時の試料温度は300℃、イオン加速電圧は300Vとした。
MgO焼結体の物性値を下記のようにして測定した。
・MgO焼結体の純度
MgO焼結体中のCa、Si、Al、Fe、Cr、Ni、V、Mn及びBの含有量を、ICP発光分光分析装置(商品名:SPS−1700VR、セイコーインスツルメンツ(株)製)を使用し、試料を酸溶解したのち測定した。MgO焼結体の純度は、100質量%から差し引いた値として算出した。
・相対密度
焼結体の嵩密度の測定は、アルキメデス法により求めた。焼結体の相対密度は、MgO単結晶の密度を3.58とし、計算により求めた。
・MgO焼結体をターゲット材として作製したPDP用保護膜の特性評価
得られたMgO焼結体をターゲット材とし、ステンレス基板に電子ビーム蒸着装置を使用して100nmの厚さに成膜することにより、PDP用保護膜測定試料を作製した。得られた測定試料を二次電子測定装置のターゲット位置に設置した後、高真空中で活性化処理を行った後、二次電子放出係数を測定した。なお、二次電子放出比測定時の試料温度は300℃、イオン加速電圧は300Vとした。
実施例1
MgO粉末の原料ソースとして、グリニアール反応副産物である高純度塩化マグネシウム溶液を使用し、そこに純水を加え溶液を調整した。次いで、炭酸ソーダNa2CO3を溶解させた溶液を反応させ、炭酸マグネシウムを生成させた。脱水・水洗し、焼成炉にて焼成した後、粉砕・磁選して目的のMgO原料粉末を得た。
MgO粉末の原料ソースとして、グリニアール反応副産物である高純度塩化マグネシウム溶液を使用し、そこに純水を加え溶液を調整した。次いで、炭酸ソーダNa2CO3を溶解させた溶液を反応させ、炭酸マグネシウムを生成させた。脱水・水洗し、焼成炉にて焼成した後、粉砕・磁選して目的のMgO原料粉末を得た。
この原料粉末を湿式のポットミルでアルコール溶媒中24時間、鉄芯入りナイロンボール(約φ15mm)を入れて粉砕した。自然乾燥後、熱風乾燥機で120℃強熱乾燥し、次いでパワーニーダー(ダルトン社製、PK型)で回転数250rpmで5分間、バインダー(商品名:メトローズ90SH−400、信越化学(株)製)を6質量%添加しながら造粒した。
次いで、造粒粉末をプレス機(商品名:SR100−1P−9H、菅原精機(株)製)で、成形圧力200MPaで成形したのち、ガス炉で、大気中1650℃で4時間焼成し、縦3mm、横5mm、厚さ2mmの蒸着材ペレットを得た。このペレットの化学成分、相対密度、二次電子放出係数の測定を行った。結果を表1に示す。
実施例2
MgO粉末の原料ソースとして、チタン製造副産物である高純度無水塩化マグネシウムを使用し、そこに純水を加え溶液を調整した。次いで、炭酸ソーダNa2CO3を溶解させた溶液を反応させ、炭酸マグネシウムを生成させた。脱水・水洗し、さらに温水で処理して精製した後、焼成炉にて焼成し、粉砕・磁選して目的のMgO原料粉末を得た。
MgO粉末の原料ソースとして、チタン製造副産物である高純度無水塩化マグネシウムを使用し、そこに純水を加え溶液を調整した。次いで、炭酸ソーダNa2CO3を溶解させた溶液を反応させ、炭酸マグネシウムを生成させた。脱水・水洗し、さらに温水で処理して精製した後、焼成炉にて焼成し、粉砕・磁選して目的のMgO原料粉末を得た。
以下、実施例1と同様にして、MgO焼結体を得た。このペレットについて、実施例1と同様にして化学分析と各評価試験を行った。結果を表1に示す。
実施例3
MgO粉末の原料ソースとして、純度99.5質量%以上の単結晶MgO粉末(商品名SSP、タテホ化学工業(株)製)を使用した。この原料粉末をさらに粉砕して得られたMgO粉末にバインダー(商品名:メトローズ90SH−400、信越化学工業(株)製)を6質量%になるように混合した。この混合工程は、パワーニーダー(ダルトン社製、PK型)を使用し、回転数250rpmで5分間運転することにより実施した。
MgO粉末の原料ソースとして、純度99.5質量%以上の単結晶MgO粉末(商品名SSP、タテホ化学工業(株)製)を使用した。この原料粉末をさらに粉砕して得られたMgO粉末にバインダー(商品名:メトローズ90SH−400、信越化学工業(株)製)を6質量%になるように混合した。この混合工程は、パワーニーダー(ダルトン社製、PK型)を使用し、回転数250rpmで5分間運転することにより実施した。
続いて、この粉末を乾燥させ、目開き1.0mmスクリーンを取り付けた解砕機(商品名:P−3、ダルトン社製)を使用し、回転数2000rpmで運転することにより造粒し、平均0.8mm以下の顆粒粉末を得た。この顆粒粉末を金型に入れて成形した。成形には一軸プレス装置(商品名:SR100−1P−9H、菅原精機(株)製)を使用し、成形圧力は200Mpaに設定した。
得られた成形体を大気中で焼成炉(炉床昇降式、丸祥電器(株)製)を使用し、1620℃で4時間焼成することにより、縦3mm、横5mm、厚さ2mmのMgO焼結体を得た。実施例1と同様にして、化学分析と各評価試験を行った。結果を表1に示す。
比較例1
出発原料粉末として、金属Mgを気相で酸化した市販の純度99.99質量%の高純度MgO粉末を使用した。この原料粉末に対し、バインダーとしてPVAを2質量%添加し、さらにエタノールを分散媒としてスラリー濃度50%となるように調整し、24時間ボールミルにて混合攪拌してスラリーを得た。次に、このスラリーをスプレードライヤーにて噴霧し、平均粒径200μmの造粒粉末を得た。
出発原料粉末として、金属Mgを気相で酸化した市販の純度99.99質量%の高純度MgO粉末を使用した。この原料粉末に対し、バインダーとしてPVAを2質量%添加し、さらにエタノールを分散媒としてスラリー濃度50%となるように調整し、24時間ボールミルにて混合攪拌してスラリーを得た。次に、このスラリーをスプレードライヤーにて噴霧し、平均粒径200μmの造粒粉末を得た。
以下、実施例1と同様にして、成形体を作製した後、焼結することによりMgO焼結体を得た。実施例1と同様にして、化学分析と各評価試験を行った。結果を表1に示す。
比較例2
出発原料粉末として、市販の純度99.99質量%の高純度MgO粉末を使用した。この原料粉末に対し、バインダーとしてPVAを2質量%添加し、さらにエタノールを分散媒としてスラリー濃度50%となるように調整し、24時間ボールミルにて混合攪拌してスラリーを得た。次に、このスラリーをスプレードライヤーにて噴霧し、平均粒径200μmの造粒粉末を得た。
出発原料粉末として、市販の純度99.99質量%の高純度MgO粉末を使用した。この原料粉末に対し、バインダーとしてPVAを2質量%添加し、さらにエタノールを分散媒としてスラリー濃度50%となるように調整し、24時間ボールミルにて混合攪拌してスラリーを得た。次に、このスラリーをスプレードライヤーにて噴霧し、平均粒径200μmの造粒粉末を得た。
以下、実施例1と同様にして、成形体を作製し、焼結することによりMgO焼結体を得た。実施例1と同様にして、化学分析と各評価試験を行った。結果を表1に示す。
比較例3
出発原料粉末として、市販の純度99.99質量%の高純度MgO粉末を使用した。この原料粉末に対し、バインダーとしてPVAを2質量%添加し、さらにエタノールを分散媒としてスラリー濃度50%となるように調整し、24時間ボールミルにて混合攪拌してスラリーを得た。次に、このスラリーをスプレードライヤーにて噴霧し、平均粒径200μmの造粒粉末を得た。
出発原料粉末として、市販の純度99.99質量%の高純度MgO粉末を使用した。この原料粉末に対し、バインダーとしてPVAを2質量%添加し、さらにエタノールを分散媒としてスラリー濃度50%となるように調整し、24時間ボールミルにて混合攪拌してスラリーを得た。次に、このスラリーをスプレードライヤーにて噴霧し、平均粒径200μmの造粒粉末を得た。
以下、実施例1と同様にして、成形体を作製し、焼結することによりMgO焼結体を得た。実施例1と同様にして、化学分析と各評価試験を行った。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜3のMgO焼成体は、二次電子放出係数が高く、比較例1〜3の市販の高純度品を使用したMgO焼成体よりも良い値を示している。これは、市販品は、MgO粉末粒子の純度が高すぎ、電子ビームの二次電子放出係数を高める有効な成分までも減少しているためである。それに対し、本発明品は、高純度ではあるものの、電子ビームの二次電子放出係数を高める有効な成分、例えば、Ca、Al、Si、Feを下げすぎるのではなく、適切な量に調整することにより二次電子放出特性を改善する成分を必要量残留させており、これにより、PDP保護膜の特性を良好にしている。
Claims (7)
- 酸化マグネシウム粉末粒子を成形焼成した蒸着材用酸化マグネシウム焼結体であって、前記焼結体が、Ca、Al、Si及びFeを各々5〜1000ppmの範囲で含み、純度が99.50質量%以上99.99質量%未満の範囲であり、かつ、相対密度が97.5〜99.5%の範囲であることを特徴とする蒸着材用酸化マグネシウム焼結体。
- 前記焼結体が、Caを30〜400ppm、Alを30〜200ppm、Siを30〜200ppm及びFeを5〜150ppmの範囲で含む、請求項1記載の蒸着材用酸化マグネシウム焼結体。
- 前記焼結体が、Vを30ppm以下、Mnを30ppm以下、Crを30ppm以下及びNiを10ppm以下で含む、請求項1又は2記載の蒸着材用酸化マグネシウム焼結体。
- 前記焼結体が、Bを10ppm以下で含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の蒸着材用酸化マグネシウム焼結体。
- 前記焼結体が、炭酸マグネシウムを焼成して得た酸化マグネシウム粉末粒子を出発原料として製造される、請求項1〜4のいずれか1項記載の蒸着材用酸化マグネシウム焼結体。
- 蒸着材用酸化マグネシウム焼結体の製造方法であって、
Ca、Al、Si及びFeを各々5〜1000ppmの範囲で含み、純度が99.50質量%以上99.99質量%未満の範囲にある酸化マグネシウム原料粉末を準備する工程、
前記酸化マグネシウム原料粉末を造粒する工程、
前記造粒した酸化マグネシウムを相対密度が97.5〜99.5%の範囲になるように成形し、焼成して酸化マグネシウム焼結体を得る工程、
を含む方法。 - 請求項1〜5のいずれか1項記載の蒸着材用酸化マグネシウム焼結体又は請求項6記載の方法によって得られた蒸着材用酸化マグネシウム焼結体を使用し、電子ビーム蒸着法、イオン照射蒸着法、又はスパッタリング法により製造した、プラズマディスプレイパネル保護膜。
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