JP2904358B2 - Ito焼結体の製造方法 - Google Patents

Ito焼結体の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、透明導電膜の形成に使用するスパッタリン
グ用ターゲット材あるいは蒸着用ペレットとして用いる
酸化インジウム−酸化スズ焼結体、即ちITO焼結体の製
造方法に関する。
(従来技術) スパッタリング法、蒸着法によって得られる透明導電
膜として、酸化インジウム−酸化スズから成るITOは、
その比抵抗値の低さから有望な膜として注目されてい
る。例えば適当な条件でITO焼結体をターゲットまたは
ペレットとし、これを300℃程度の高温に加熱された基
板上に物理蒸着することにより、透明性が良く且つ比抵
抗値が2.0×10-4Ω・cm以下の良質なITO膜が得られる。
このようなITO焼結体を製造する方法として、In2O3
末とSnO2粉末とを所定の量比で混合して得られた平均粒
径が数μmの混合粉末を、パラフィンワックスあるいは
ポリビニルアルコールなどのバインダーと混合し、乾燥
及び造粒を行い、成形を行った後に、1000℃〜1400℃の
温度で焼結を行う方法が一般に採用されている。また上
記の混合粉末を用いて、ホットプレスにより加圧下で60
0℃〜900℃の温度で焼結を行う方法も採用されている。
さらに特開昭62−21751号公報には、In2O3粉末とSnO2
粉末を適当な量だけ配合し、混合・粉砕を行い、これを
1200℃〜1400℃の温度で仮焼を行い、次いで再度粉砕を
行って平均粒径3〜6μmの粉末とし、これを成形・焼
成することから成るITO焼結体の製造方法が開示されて
いる。
(発明が解決しようとする課題) 近年、カラー液晶ディスプレイ用として、カラーフィ
ルター上へのITO膜のコーティングが行われている。ま
た、ディスプレイの軽量化の面から、プラスチック基板
へのITO膜のコーティングも行われるようになってき
た。然しながら、これらのカラーフィルターやプラスチ
ック基板は耐熱性に劣るため、従来行われてきた高温で
のスパッタリングは行えず、基板加熱温度は200℃以下
という制約を受けている。
前述した先行技術に開示されたITO焼結体において
は、高温での基板加熱(例えば300℃以上)によるスパ
ッタリングによれば比抵抗値の低い膜が得られるが、20
0℃以下の低温の基板加熱によるスパッタリングでは、
得られるITO膜の比抵抗値は5×10-4Ω・cm以上であ
り、比抵抗値の低い膜を得ることが困難となっている。
即ち、これらのITO焼結体は、カラーフィルターやプラ
スチック基板に対しては、良好なITO膜を形成すること
が困難である。
また従来公知のITO焼結体においては、スパッタリン
グ中に異常放電現象が生じることも大きな問題となって
いる。即ち、異常放電現象が生ずると、形成される膜の
構造に異常を来し、物性値のばらつきの原因となる。ま
た異常放電が頻繁に発生する状況下でスパッタリングを
継続して行なうと、ターゲット表面にスパッタされない
で残る黒い痕跡(所謂黒化)が発生し、成膜速度が低下
し、この結果として生産性が低下するという問題も生じ
る。
従って本発明は、基板温度が低い条件においても、比
抵抗値が低いITO膜を成膜でき、また成膜中における異
常放電現象が有効に抑制され、良質なITO膜を安定して
得ることが可能なITO焼結体の製造方法を提供すること
を目的とするものである。
(課題を解決するための手段) 以下に説明する本発明方法によれば、実質的にインジ
ウム、酸素及び3重量%以上のスズから成り、相対密度
が80%以上であるITO焼結体において、 電子線マイクロアナライザーの線分析におけるスズ組
成が平均組成の0.8〜1.2倍の範囲内にあり、 表面抵抗値が1mΩ/cm2以下であり、 SnO2相の(110)面のX線回折ピークの積分強度が、I
n2O3相の(222)面のX線回折ピークの積分強度の0.5%
以下であるITO焼結体が得られる。
即ち本発明方法は、sn成分、In成分及び酸素成分を含
み且つ該Sn成分を3重量%以上含有している平均粒径が
0.1μm以下の粉末を、酸素雰囲気下において1350℃以
上の温度で熱処理し、得られた熱処理物を粉砕して平均
粒径1μm以下とし、次いで該粉砕粉末を用いて、500
〜1000℃の温度及び100kg/cm2以上の圧力下において、
無酸素雰囲気中で焼結を行なうことから成るITO焼結体
の製造方法である。
また本発明方法は、Sn成分、In成分及び酸素成分を含
み且つ該Sn成分を3重量%以上含有している平均粒径が
0.1μm以下の粉末を、酸素雰囲気下において1350℃以
上の温度で熱処理し、得られた熱処理物を粉砕して平均
粒径1μm以下とし、次いで該粉砕粉末を用いて、加圧
成形し、次いで酸素雰囲気下において1350℃以上の温度
で焼結を行なった後に、得られた焼結体を無酸素雰囲気
中、500〜1300℃の温度での熱処理に供することを特徴
とするITO焼結体の製造方法である。
本発明方法によるITO焼結体 本発明方法で得られるITO焼結体は、実質的にインジ
ウム、スズ及び酸素から成るものであり、In2O3−SnO2
系のものである。この組成自体は公知のITO焼結体と同
様であり、一般に、スズの平均組成が4〜12重量%であ
り、インジウムの平均組成が70〜78重量%の範囲にあ
る。
このITO焼結体においては、SnO2相の(110)面のX線
回折ピークの積分強度が、In2O3相の(222)面のX線回
折ピークの積分強度の0.5%以下、好ましくは0.1%以下
となっていることが重要である。即ち、このようにSnO2
相が殆ど存在していないITOターゲットあるいはペレッ
トを用いてスパッタリングまたは蒸着を行うことによ
り、200℃以下の低温での基板加熱においても、比抵抗
値が2.0×10-4Ω・cm以下の良質なITO膜を得ることが可
能となる。
前述した先行技術に提案されているような従来公知の
方法で製造されたITOターゲットあるいはペレットを用
いて、基板温度が低い条件でスパッタリングを行った場
合には、結晶化されていない膜やIn2O3相単相でない乱
れた相が生成し、低比抵抗の良質な膜が得られないので
ある。この原因は、ターゲット中にSnO2相が存在してい
ることによるものと推定される。即ち、SnO2相が存在し
ているターゲットを用いてスパッタリングを行った場
合、ターゲットから放出される原子のうち10%程度を占
める十数原子から数十原子の原子集団がSnO2相を主体と
するものになる確率が高くなり、その原子集団がそのま
まの状態で基板に到達するために、電気伝導性に寄与し
ないSnO2相や、比抵抗値を悪化させる直接の原因となる
乱れた結晶構造を持つ相が基板に形成されるものと考え
られる。一般に、基板加熱温度が350℃以上の高温であ
る場合には、膜中の原子の拡散が容易に起こるため、成
膜状態では非晶質の膜であっても、スパッタリングが継
続されるうちに結晶質膜に変化するのであるが、基板加
熱温度が低く、また膜厚が薄く、スパッタリング時間が
短い場合には、結晶化が起こらず、良質な膜が得られ
ず、これが抵比抵抗の膜が得られない原因となるのであ
る。
本発明方法で得られるITO焼結体においては、前述し
たSnO2相のX線回折ピーク積分強度から明らかな通り、
SnO2相が殆ど存在しておらず、この結果として、低温で
の基板加熱においても、比抵抗値の低い良質なITO膜を
得ることが可能となるのである。例えば、SnO2相のX線
回折ピーク積分強度が0.5%よりも高い場合には、200℃
以下の低温での基板加熱においては、スパッタリングに
より形成された薄膜にターゲット中のSnO2相の影響が現
れてくるために、比抵抗値の低い良質なITO膜を得るこ
とが困難となるのである。
またこのITO焼結体は、相対密度が80%以上、好まし
くは85%以上であって、電子線マイクロアナライザー
(EPMA)の線分析におけるスズ組成が平均組成の0.8〜
1.2倍の範囲にあるとともに、表面抵抗値が1mΩ/cm2
下の範囲にあることも重合である。
即ちスパッタリング中の異常放電現象は、ターゲット
にアルゴンイオンが衝突した際に、ターゲットから二次
電子が放出され、ターゲット内に正の電荷が蓄積するこ
とに起因するものである。本発明は、ITO焼結体を上記
のように高密度とし、スズを均一に分散させ、且つ焼結
体の電気伝導度を良好なものとすることによって、電荷
の蓄積を防止し、その結果として異常放電現象を有効に
抑制することに成功したものである。
EPMAの線分析によるスズ組成が、前記範囲外である場
合には、局所的にスズ濃度が高い場所が存在し、これは
局所的に電気抵抗が高い場所が存在することを意味す
る。従って、異常放電を発生しやすくなるのである。
尚、スズ組成の平均組成とは、焼結体全体におけるスズ
の平均組成であり、これは例えば化学分析によって容易
に求められる。
またITO焼結体の表面抵抗値が1mΩ/cm2よりも高い場
合には、焼結体表面に導入された電荷が内部に伝わらな
くなり、この場合にも、異常放電を発生しやすくなる。
さらに、表面抵抗値を1mΩ/cm2以下とするために
は、ITO焼結体の相対密度は80%以上であることが必要
である。
上述した物性を有するITO焼結体の製造方法を以下に
説明する。
原料粉末 本発明の製造方法において、原料粉末としては、酸化
インジウム粉末と酸化スズ粉末との混合粉末、酸化イン
ジウム−酸化スズ複合粉末、酸化インジウム−酸化スズ
複合粉末と酸化スズ粉末との混合粉末、あるいは酸化イ
ンジウム−酸化スズ複合粉末と酸化インジウム粉末との
混合粉末等が使用される。これらの原料粉末中には、目
的とするITO焼結体の組成から言って、スズ成分を3重
量%以上含む。またこれら原料粉末は、以下に述べる熱
処理工程での熱処理を有効に行うために、その平均粒径
が0.1μm以下、好ましくは0.07μm以下であることが
必要である。従って、原料粉末の平均粒径が0.1μmよ
りも大である時には、混合・粉砕により粒度調整を行っ
て使用する。
熱処理工程 本発明においては、上記の平均粒径が0.1μm以下の
原料粉末について、1350℃以上、好ましくは1400℃〜15
50℃の温度で熱処理を行う。この熱処理によって、SnO2
相とIn2O3相とが十分に反応し、SnO2相の量が大幅に減
少する。即ち、この熱処理温度が1350℃よりも低い場合
には、SnO2相が安定に存在するために、In2O3相との反
応が起こり難く、SnO2相の量を減少させることが困難と
なる。
またこの熱処理は、酸素雰囲気下、例えば大気中で行
なうことが必要である。無酸素雰囲気下において熱処理
を行なうと、スズが還元により飛散するという不都合を
生じるからである。
上述した熱処理は、一般に10時間以上、特に24時間以
上行うことが好ましい。
粒度調整 本発明によれば、SnO2相のX線回折ピーク積分強度及
びEPMAの線分析によるスズ組成を前述した範囲内とする
ために、熱処理が行われた粉末について、ボールミル等
により粉砕を行い、その平均粒径が1μm以下となるよ
うに粒度調整が行われる。即ち、熱処理後においてもSn
O2相は完全に消失しているわけではなく、僅かではある
が存在している。上記のように粒度調整を行っておくこ
とにより、次工程における焼結に際して、SnO2相を殆ど
存在しない状態にすることが可能となる。また成形性、
焼結性を著しく劣化させ、焼結体の高密度化を阻害する
粗大粒子や凝集した粒子の生成が、上記の粒度調整によ
り、有効に防止されるのである。
成形・焼結工程 上記の粒度調整後、成形及び焼結を行うことにより目
的とするITO焼結体が得られる。本発明において、この
成形・焼結は、2通りの方法によって行なうことができ
る。
第1の方法; 第1の方法は、無酸素雰囲気中において、加圧下で焼
結を行なう方法である。この方法によれば、一段の処理
で、表面抵抗の低い焼結体が得られる。焼結体中には、
酸素が化学量論組成分含まれており、この無酸素雰囲気
下での焼結により、酸素空孔を導入し、焼結体の表面抵
抗を低下させるのである。尚、無酸素雰囲気とは、例え
ば0.01Torr以下の真空中、アルゴンガス、窒素ガス等の
不活性ガス雰囲気、あるいは水素ガス雰囲気下を意味す
る。
この方法において、焼結温度は500〜1000℃、好まし
くは700〜1000℃であり、加圧圧力は、100kg/cm2以上、
好ましくは200〜500kg/cm2である。焼結温度が500℃未
満あるいは加圧圧力が100kg/cm2未満の何れの場合にお
いても焼結体の密度を80%以上、好ましくは85%以上の
高密度とすることが困難となる。また焼結温度を1000℃
よりも高温とすると、スズ原子の飛散が妨げられなくな
る。さらに、1000〜1350℃ではSnO2相が安定に存在でき
るために、このような温度において焼結を行うと、熱処
理工程においてIn2O3相との反応によって消失したSnO2
相が再び発生するという不都合を生じるのである。本発
明に従って、上記温度範囲において焼結を行うことによ
り、このようなSnO2相の再生が有効に回避されるととも
に、熱処理後においても僅かに残存しているSnO2相を消
失させることが可能となるのである。
ここで行なわれる加圧下の焼結は、一般に1〜5時間
程度で行なわれる。焼結時間をあまり長くすると、結晶
粒の粗大化を生じ、好ましくない結果を生じる場合があ
る。
上述した加圧下での焼結は、例えば真空ホットプレス
装置を用いて行なうことができる。
第2の方法; 第2の方法は、前記粒度調整された粉末を用いて、冷
間での加圧成形、焼結及び熱処理を行なう方法である。
この加圧成形は、適当な金型を用いて、一般に1ton/c
m2以上、好ましくは2ton/cm2以上の圧力で行なわれる。
この圧力が1ton/cm2よりも低いと、焼結体の密度を80%
以上、特に85%以上とすることが困難となる。
加圧成形に引き続いて行なわれる焼結は、酸素雰囲気
下あるいは大気中で行なわれる。焼結温度は、1350℃以
上、好ましくは1450℃以上であることが必要である。焼
結温度が1350℃未満であると、高密度の焼結体を得るこ
とができず、前述した熱処理工程においてIn2O3相との
反応によって消失したSnO2相が再び発現するという不都
合を生じる。またこの焼結温度は、1550℃以下とするこ
とが好ましい。1550℃よりも高い場合には、スズの凝集
を生じるおそれがある。
焼結時間は、一般に5〜10時間程度である。
第2の方法において焼結後に行なわれる熱処理は、無
酸素雰囲気下で行なわれる。これにより、第1の方法と
同様に、酸素空孔を導入し、焼結体の表面抵抗を低下さ
せるのである。
またこの熱処理は、500〜1300℃、好ましくは700〜11
00℃の温度で行なわれる。熱処理温度が500℃未満であ
ると、酸素空孔の導入を有効に行なうことができず、焼
結体の表面抵抗を低下させることができない。また1300
℃よりも高温であると、酸素とともにスズ原子も飛散し
てしまい、焼結体の組成制御が困難となる。また消失し
たSnO2相が再び発現するおそれがある。
上述した熱処理は、一般に3〜10時間行なうことが好
適である。
以上の方法によって、前述した物性を有するITO焼結
体が得られる。
(実施例) 実施例1 平均粒径0.07μmのIn2O3粉末と、平均粒径0.5μmの
SnO2粉末とを、SnO2が10重量%となるように配合し、ボ
ールミル中で48時間、混合粉砕を行い、平均粒径0.05μ
mの混合粉末を得た。
この粉末を乾燥した後、1450℃に30時間保持した。こ
の粉末を、再度ボールミルに装入し、24時間粉砕を行っ
た。粉砕後の粉末の平均粒径は、0.8μmであった。
この粉末を、乾燥、造粒した後、真空ホットプレス装
置を用いて、真空度0.01Torr、成形温度800℃、成形圧
力400kg/cm2の条件で、3時間焼結を行ない、焼結体を
得た。
得られた焼結体の断面を研磨した後、X線回折測定
を、2θ=25°〜37°までの角度範囲で行い、10回積算
した結果、SnO2相の(110)面の積分強度は、In2O3相の
(222)面の積分強度の0.03%であり、SnO2相が殆ど存
在しないことが確認された。
またX線回折の結果から、これらの相以外に、(InxS
n1-x2O3[X=0.6〜0.7]の構造を持つと考えられる
中間化合物相が少量ではあるが確認された。
また得られた焼結体の相対密度は94%、四深針法によ
り測定した表面抵抗値は0.7mΩ/cm2、化学分析による
スズ組成(平均組成)は、7.9重量%であった。
さらにこの焼結体のスズ組成の均一性の評価を、X線
回折測定に使用した試料を用いて、ビーム径1μmのEP
MA線分析により行なった。その結果、スズ量の最大値は
8.5重量%であり、最小値は7.0重量%であった。
以上の結果を第1表に示す。
またこの焼結体をスパッタリング用ターゲットとして
用いて、マグネトロンスパッタリング法により、水冷ガ
ラス基板及び200°に加熱したガラス基板上に約1000Å
の厚さに成膜を行った。
スパッタリング条件は、スパッタガス組成を、Ar:O=
99:1とし、スパッタガス圧0.5Pa、スパッタ出力200W、
ターゲット−基板間距離を60mmとした。
得られた膜の比抵抗値を四深針法により測定した。測
定結果を第2表に示す。
さらに、同一のスパッタリング条件で、水冷基板上に
16時間の連続スパッタを行ない、その間に発生した異常
放電の回数を測定した。また16時間経過後の表面状態の
観察を行なった。これらの結果を第2表に示す。
次に、16時間スパッタされたターゲットを用いて、同
一スパッタリング条件で巣入れ基板上にスパッタを行な
い、その時の成膜速度を1時間スパッタ後の成膜速度に
対する変化の割合を求め、併せて第2表に示した。
実施例2 実施例1で1450℃に30時間保持した後、再度ボールミ
ルに装入する際、1.5重量%のパラフィンワックスを添
加し、24時間粉砕を行って得られた平均粒径0.8μmの
粉砕粉末を使用し、これを3ton/cm2の圧力で成形し、毎
分3.5lの酸素気流中、1500℃の温度で5時間、焼結を行
なった。この焼結体を、0.005Torrの真空中、950℃に
て、3時間熱処理を行なった。
得られた焼結体の物性を、実施例1と同様の方法で測
定し、その結果を第1表に示した。また実施例1と同様
にしてスパッタリングによる成膜試験を行ない、その結
果を第2表に示した。
比較例1 平均粒径0.07μmのIn2O3粉末と、平均粒径0.5μmの
SnO2粉末とを、SnO2が10重量%となるように配合し、V
型ブレンダーで30分間混合し、ボールミル中で6時間、
混合粉砕を行い、平均粒径0.2μmの混合粉末を得た。
この混合粉末を、1450℃に30時間保持し、次いで粉砕
を行なわずに、直接真空ホットプレス装置を用いて、実
施例1と同一の条件で焼結を行なった。
得られた焼結体の物性を、実施例1と同様の方法で測
定し、その結果を第1表に示した。また実施例1と同様
にしてスパッタリングによる成膜試験を行ない、その結
果を第2表に示した。
比較例2 平均粒径0.07μmのIn2O3粉末と、平均粒径0.5μmの
SnO2粉末とを、SnO2が10重量%となるように配合し、1
重量%のポリビニルアルコールとともにボールミル中で
48時間、混合粉砕を行い、平均粒径0.05μmの混合粉末
を得た。
この混合粉末を、乾燥及び造粒を行なった後に、3ton
/cm2の圧力で成形を行ない、次いで酸素気流中におい
て、1500℃で5時間、焼結を行なった。
得られた焼結体の物性を、実施例1と同様の方法で測
定し、その結果を第1表に示した。また実施例1と同様
にしてスパッタリングによる成膜試験を行ない、その結
果を第2表に示した。
(発明の効果) 本発明によれば、スパッタリングあるいは蒸着によ
り、基板加熱温度が200℃以下の低温であっても、比抵
抗が2.0×10-4Ω・cm以下の低抵抗の膜を得ることが可
能なITOターゲットまたはペレットを提供できる。
また本発明のITO焼結体は、スパッタリングに際して
の異常放電が有効に抑制され、良質の透明導電膜を形成
することが可能である。
本発明のITO焼結体は、カラーフィルター上へのITO膜
のコーティングやプラスチック基板上へのITO膜のコー
ティングに極めて有用である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Sn成分、In成分及び酸素成分を含み且つ該
    Sn成分を3重量%以上含有している平均粒径が0.1μm
    以下の粉末を、酸素雰囲気下において1350℃以上の温度
    で熱処理し、得られた熱処理物を粉砕して平均粒径1μ
    m以下とし、次いで該粉砕粉末を用いて、500〜1000℃
    の温度及び100kg/cm2以上の圧力下において、無酸素雰
    囲気中で焼結を行なうことから成るITO焼結体の製造方
    法。
  2. 【請求項2】Sn成分、In成分及び酸素成分を含み且つ該
    Sn成分を3重量%以上含有している平均粒径が0.1μm
    以下の粉末を、酸素雰囲気下において1350℃以上の温度
    で熱処理し、得られた熱処理物を粉砕して平均粒径1μ
    m以下とし、次いで該粉砕粉末を用いて、加圧成形し、
    次いで酸素雰囲気下において1350℃以上の温度で焼結を
    行なった後に、得られた焼結体を無酸素雰囲気中、500
    〜1300℃の温度での熱処理に供することを特徴とするIT
    O焼結体の製造方法。
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