JPH07258836A - アルミニウムドープ酸化亜鉛焼結体およびその製造方法並びにその用途 - Google Patents

アルミニウムドープ酸化亜鉛焼結体およびその製造方法並びにその用途

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JPH07258836A JP6050163A JP5016394A JPH07258836A JP H07258836 A JPH07258836 A JP H07258836A JP 6050163 A JP6050163 A JP 6050163A JP 5016394 A JP5016394 A JP 5016394A JP H07258836 A JPH07258836 A JP H07258836A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 【構成】 密度5.6g/cm3〜5.77g/c
3、焼結粒径2μm〜50μm、アルミニウム成分の
最大分散凝集径が5μm以下、アルミニウムの含有量が
酸化アルミニウム換算で0.5重量%以上、抵抗率1×
10-2Ωcm以下のアルミニウムドープ酸化亜鉛焼結体
およびこの焼結体からなるスパッタリングターゲット。 【効果】 ターゲット−基板間距離が長くなった
としても膜の導電性が大きく低下せず、かつ、低抵抗な
膜が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、透明導電膜をスパッタ
リング法で形成するための酸化亜鉛系焼結体およびその
製造方法に関するものである。
【0002】得られる酸化亜鉛透明導電膜は、液晶やE
Lディスプレー等の表示デバイス、太陽電池の透明電
極、窓ガラスの熱線反射、電磁波遮蔽等へ利用される。
【0003】
【従来の技術】従来主に使われている透明導電膜は酸化
インジウムに酸化錫を添加したITOや、酸化スズに酸
化アンチモンやフッ素をドープしたTAO、TFO等で
ある。酸化インジウムに酸化錫を添加したITOは、酸
化インジウムが希少金属で高価であるため、コストが高
いという課題があった。また酸化スズに酸化アンチモン
やフッ素をドープしたTAO、TFOは透明性が低く、
また導電性が不十分であった。さらに太陽電池の透明電
極に用いる場合、ITOやTAOでは透明電極中の錫が
光電変換層へ拡散し、性能劣化するという問題を有して
いた。
【0004】一方、最近になって、低コストで高い透明
性、導電性および化学的安定性を有する酸化亜鉛透明導
電膜が注目されている。酸化亜鉛系の透明導電膜はスパ
ッタリングを始めとし、高蒸気圧を有する有機亜鉛化合
物ガスの熱分解による化学蒸着、酸化亜鉛微粒子を塗布
する塗布法等により得られる。我々もこれまでにアルミ
ニウムをドープした高密度な酸化亜鉛系焼結体をターゲ
ットとして用い、スパッタリングによって高性能な膜が
得られることを報告している(例えば、特開平2−14
9459号公報)。しかしながら、従来の方法ではアル
ミニウムドープ酸化亜鉛焼結体の焼結密度は密度5.6
g/cm3程度のものしか得られていなかった。焼結密
度が5.6g/cm3までしか達成されなかった原因の
一つとしては、焼結体を調製する際用いる原料粉末の最
適条件が十分見出せていなかったためである。従来、高
密度な酸化亜鉛系焼結体を調製する原料粉末として、一
次粒子径として1μm以下であることが好ましいことま
ではわかっていたが、最も重要なドーパントアルミニウ
ム添加物の二次(凝集)径において最適条件が不明であ
った。
【0005】他にも共沈法によるアルミニウムドープ酸
化亜鉛焼結体があったが、共沈プロセス中において混入
する陰イオン種又は得られる塩基性塩に中の陰イオン成
分(例えば硫酸イオン、ハロゲンイオン、硝酸イオン
等)の影響により、十分な焼結体が得られなかった。最
近では特殊な焼結方法(ホットプレス/還元加圧焼結)
による密度4.88g/cm3(相対密度85%)以上
の高密度酸化亜鉛系焼結体が提案されているが、やはり
得られている焼結体の密度は5.46g/cm3(相対
密度95%)までであった。このような従来の焼結体で
は、スパッタリングターゲットとしてその性能は十分と
は言えなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上説明したように、
従来の酸化亜鉛系焼結体では、焼結密度、ドーパントの
分散性が不十分なため、その特性が十分とは言えなかっ
た。例えば、従来の焼結体において、実験室レベルの装
置では低抵抗な膜が得られたが、工業的な大量生産を前
提にした大容量成膜装置においてはターゲット−基板間
距離が長くなって得られる膜の導電性が低下するという
問題を生じていた。本発明の焼結体ターゲットは、上記
の問題が解消され、従来のターゲットに比べ、より低抵
抗な透明導電膜を安定的に形成することが可能である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、原料粉
末、特にドーパントとなるアルミニウム酸化物粉末の二
次(凝集)粒径として2μm以下の粉末を用いることに
より、密度5.6g/cm3以上で焼結粒径が2μm〜
50μm、焼結体内のアルミニウムの最大分散凝集径が
5μm以下の高密度焼結体が得られ、このような焼結体
をスパッタリングターゲットとして用いた場合、特に低
抵抗な膜が得られることを見出し、本発明を完成するに
至ったものである。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】本発明の焼結体は酸化亜鉛焼結体にドーパ
ントとなる酸化アルミニウムを添加することにより導電
性を有する酸化亜鉛焼結体である。
【0010】アルミニウムの含有量としては、焼結体に
おけるアルミニウムの含有量が酸化アルミニウム換算で
0.5重量%以上、好ましくは1〜5重量%、更に好ま
しくは1.5〜2.5重量%の範囲であり、この範囲に
おいて良好な導電性が得られる。
【0011】含有量が5重量%をこえると、得られる焼
結体の密度が本発明の範囲を外れる上に、そのような焼
結体をターゲットとして用いて得られる透明導電膜の導
電性が低下する。一方、0.5重量%未満の添加でも得
られる透明導電膜の導電性が低下する。さらにドーパン
トを含有しない酸化亜鉛焼結体の理論密度は5.78g
/cm3と見積られるが、そのようなドーパントを含有
しない焼結体も本発明には該当しない。
【0012】本発明の焼結体の焼結密度は密度が5.6
〜5.77g/cm3である。相対密度は酸化亜鉛の理
論密度とドーパント元素の酸化物の理論密度に重量比を
乗した値の和で算出される。例えばドーパント元素とし
てアルミニウムを用いた場合、酸化亜鉛の理論密度が
5.78g/cm3、アルミナの理論密度が3.99g
/cm3であるため、アルミニウムドープ酸化亜鉛の相
対密度はアルミナと酸化亜鉛の理論密度にその重量比を
乗した和の値として算出され、2重量%のアルミナ(亜
鉛、酸素、アルミニウム総量に対してアルミニウム3.
5atm%に相当)を添加した酸化亜鉛焼結体の理論密
度は5.745g/cm3と算出される。
【0013】本発明の焼結体の焼結粒径は2〜50μ
m、特に5〜30μmであることが、良好な導電性、熱
衝撃性やターゲットの割れを防止する点で好ましい。焼
結粒径が2μm未満であると、ターゲット表面への酸素
吸着又は酸素結合により得られる透明導電膜の導電性が
上昇する。一方、焼結粒径が50μmをこえるとターゲ
ットの熱衝撃性が低下し、投入電力を上げて高速成膜す
る場合、ターゲットが割れ易くなる。従来の焼結体の中
にも、焼結粒径が5〜20μm程度のものが存在した
が、焼結密度が不十分であったため、本発明の焼結体よ
り熱衝撃性は低かった。
【0014】本発明の焼結体の抵抗率は1×10-2Ωc
m以下であり、特に5×10-3〜3×10-3Ωcmが好
ましく、抵抗率がこの範囲にあることにより、ターゲッ
トの放電安定性向上が期待できる。
【0015】また、本発明の焼結体中のアルミニウム成
分の最大分散凝集径は5μm以下であり、特に3μm以
下であることが好ましい。なぜなら、アルミニウム成分
の凝集した部分は抵抗値が高くなりやすく、スパッタリ
ングターゲットとした際、ターゲット表面で異常放電を
起こしやすくなるからである。焼結体中のアルミニウム
成分の最大分散凝集径はエックス線マイクロ分析、光電
子分光等により評価が可能である。
【0016】次に本発明の焼結体の製造法に関して説明
する。
【0017】本発明に用いる酸化亜鉛粉末は特に限定は
ないが、BET表面積が2〜10m2/g、二次凝集粒
径が1〜10μm程度の亜鉛華を用いることができる。
純度は4N(99.99%)以上であることが好まし
い。本発明でいう二次凝集粒径とは、遠心沈降型の粒度
分布測定器での測定によって得られる値である。遠心沈
降型の粒度分布測定器での測定は、例えば、粉末を純水
に添加し、必要に応じて超音波分散で均一化した後、該
懸濁液を回転数300rpm程度で沈降させ、懸濁液の
光透過率変化から粒度分布を測定する方法が一般的であ
る。
【0018】本発明に用いる酸化アルミニウム粉末は、
二次凝集粒径が2μm以下でなくてはならず、特に1μ
m以下であることが好ましい。そのような粉末のBET
表面積は5〜20m2/g、一次粒径が0.1〜0.5
μmの範囲であることが好ましい。純度は酸化亜鉛同様
4N以上であることが好ましい。二次凝集粒径は上述し
た方法により得られる値である。粒径が2μmをこえる
粉末を用いると、従来の焼結体同様、焼結密度が低下す
る。酸化アルミニウムの凝集粒径が大きいと、焼結体内
に酸化アルミニウム凝集粉末の位置に、その凝集径とほ
ぼ同程度の大きな空隙が生成し、密度が5.6g/cm
3未満になる。また焼結体内のアルミニウムの凝集度も
用いる酸化アルミニウムの凝集径と相関する。
【0019】本発明では上述の粉末を混合し、成型す
る。粉末の混合方法は特に限定されず、ジルコニア、ウ
レタン樹脂等のボールを用いたボールミル、振動ミル、
或いはV型ブレンダー、らいかい機等の湿式或いは乾式
の混合方法が例示される。成型方法は、目的とした形状
に合った成型方法を選べばよく、金型成型法、鋳込み成
型法等が挙げられるが特に限定されない。焼結体の高密
度化のために、成型体は冷間静水圧プレスにて加圧処理
することが好ましい。その時の圧力は1〜5t/cm2
程度で、必要に応じて処理を2〜5回繰り返してもよ
い。
【0020】次に得られた成型体を焼結するが、焼結温
度は1250〜1600℃、特に1300〜1500℃
以下が焼結中の酸化物蒸発による重量変化がなく容易に
高密度化するため好ましい。焼結温度が1600℃をこ
えると、焼結中に酸化物の蒸発による重量減少が生じる
ことがあり、また、焼結温度が1250℃未満の場合、
高密度な焼結体が得られにくいことがある。焼結時間は
数時間〜数十時間で十分である。
【0021】焼結雰囲気は特に限定されないが、例えば
大気中、酸素中、不活性ガス雰囲気中等が例示できる。
特に焼結中に酸化物の蒸発による重量減少、組成ずれの
低減のためには酸素中等の酸化雰囲気での焼結が効果が
ある。また焼結雰囲気の圧力は限定されず、減圧、常圧
から数気圧の加圧まで任意に適用できる。
【0022】さらに本発明の焼結体は、焼結し、表面研
磨の後、再度加熱処理することによりさらに性能の安定
性が得られる。加熱温度としては1000℃以上、特に
1100℃以上が好ましい。再加熱の効果としては、研
磨時に混入するターゲット表面の不純物低減、およびタ
ーゲット表面の結晶性向上等が指摘できる。
【0023】
【発明の効果】本発明の焼結体は、スパッタリングター
ゲットとして極めて優れた性能を有しており、特に成膜
速度が速く、工業的な大量生産を前提とした大容量成膜
装置において、ターゲット−基板間距離が長くなったと
しても得られる膜の導電性が大きく低下しない低抵抗な
膜が得られ、かつ異常放電が少なく、安定した放電が可
能であり、その工業的価値は高い。
【0024】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、本発明はこれに限定されるものではない。な
お、焼結体の密度はみかけ比重法、抵抗率は、四探針法
にて測定した。焼結粒径はSEM観察像からコード法で
算出し、アルミニウムの最大分散凝集径は、光電分光法
(EPMA)にて計測した。
【0025】実施例1 BET表面積が3m2/g、二次凝集粒径が5μmの酸
化亜鉛粉末(試薬亜鉛華)と、二次凝集径が0.8μ
m、BET表面積が8m2/gの酸化アルミニウムとを
酸化アルミニウム含有量が2重量%となるよう混合し、
プレス成型後、圧力3ton/cm2で再加圧し、大気
中、常圧中1300℃〜1500℃で5時間焼結した。
得られた焼結体の密度、抵抗率、焼結粒径およびアルミ
ニウムの最大分散凝集径を表1にまとめた。
【0026】実施例2 BET表面積が5m2/g、二次凝集粒径が5μmの酸
化亜鉛粉末(試薬亜鉛華)と、二次凝集径が0.5μ
m、BET表面積が10m2/gの酸化アルミニウムと
を酸化アルミニウム含有量が2重量%となるよう混合
し、プレス成型後、圧力3ton/cm2で再加圧し、
アルゴン常圧中1300℃で5時間焼結した。得られた
焼結体の密度、抵抗率、焼結粒径およびアルミニウムの
最大分散凝集径を表1にまとめた。
【0027】実施例3 実施例1と同様の方法で得られた焼結体(焼結温度:1
300℃)を表面研磨後、大気中、1100℃で5時間
再加熱処理を施した。焼結体の表面は緑色から深青色へ
と変化した。
【0028】実施例4 実施例1〜3で得られた焼結体をターゲットとして用
い、直流マグネトロンスパッタ装置で透明導電膜を成膜
した。スパッタリング成膜はターゲットサイズ3インチ
φ、ターゲット−基板間距離は20mmおよび40m
m、純アルゴン雰囲気、圧力0.5Pa、投入電力15
0W、膜厚5000オングストロームとした。得られた
膜の抵抗率、可視光の平均透過率を表2および表3に示
す。
【0029】スパッタ中の異常放電がなく、ターゲット
−基板間距離が長い条件でも低抵抗で高透明の膜が得ら
れた。
【0030】比較例1 BET表面積が5m2/g、二次粒径が5μmの酸化亜
鉛粉末と、二次粒径が10μmの酸化アルミニウムとを
酸化アルミニウム含有量が2重量%となるよう混合し、
プレス成型後、圧力3ton/cm2で再加圧し、大気
雰囲気、常圧中1300℃〜1500℃で5時間焼結し
た。
【0031】得られた焼結体の相対密度、抵抗率、焼結
粒径およびアルミニウムの最大分散凝集径を表1にまと
めた。実施例に比べ密度が低い焼結体しか得られず、特
に高い焼結温度においては焼結体の重量減少により焼結
密度が低下した。焼結体気孔を通じて焼結体内部からの
蒸発が有るためと考えられた。
【0032】比較例2 BET表面積が5m2/g、二次凝集粒径が5μmの酸
化亜鉛粉末(試薬亜鉛華)と、二次凝集径が5μm、B
ET表面積が10m2/gの酸化アルミニウムとを酸化
アルミニウム含有量が2重量%となるよう混合し、プレ
ス成型後、圧力3ton/cm2で再加圧し、アルゴン
常圧中1300℃で5時間焼結した。得られた焼結体の
密度、抵抗率、焼結粒径およびアルミニウムの最大分散
凝集径を表1にまとめた。
【0033】比較例3 比較例1および2で得られた焼結体をターゲットとして
用い、実施例2と同様の条件で直流マグネトロンスパッ
タにより透明導電膜を成膜した。得られた膜の抵抗率、
可視光の平均透過率を表2および表3に示す。実施例に
比べてターゲット−基板間距離が長くなったときに高抵
抗の膜しか得られなかった。また、スパッタリング中、
異常放電が多く発生した。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 31/04 // H01B 13/00 503 B

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 密度5.6g/cm3〜5.77g/c
    3、焼結粒径2μm〜50μm、アルミニウム成分の
    最大分散凝集径が5μm以下、アルミニウムの含有量が
    酸化アルミニウム換算で0.5重量%以上、抵抗率1×
    10-2Ωcm以下のアルミニウムドープ酸化亜鉛焼結
    体。
  2. 【請求項2】 二次凝集粒径が2μm以下の酸化アルミ
    ニウムと、酸化亜鉛粉末とを混合、成型後、焼結するこ
    とを特徴とする請求項1に記載の焼結体の製造方法。
  3. 【請求項3】 二次凝集粒径が2μm以下の酸化アルミ
    ニウムと、酸化亜鉛粉末とを混合、成型後、焼結、表面
    研磨した後、1000℃以上で再加熱処理することを特
    徴とする請求項1に記載の焼結体の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の焼結体からなるスパッ
    タリングターゲット。
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