JP2015021165A - スパッタリングターゲット及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低抵抗な透明導電膜を、直流(DC)スパッタリングでターゲット寿命まで安定して成膜することが可能な酸化亜鉛系スパッタリングターゲット及び製造方法を提供する。
【解決手段】酸化亜鉛系スパッタリングターゲットは、酸化亜鉛を主成分とし、Al、Ga、Inから選ばれる1種以上の金属酸化物を成分組成に含む酸化亜鉛系焼結体であって、ターゲット厚さ方向の全域で、抵抗率が、0.0001〜0.005Ω・cmであることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、直流(DC)スパッタリングで均一で低抵抗なZnO系透明導電膜を安定して成膜可能となるスパッタリングターゲット及びその製造方法に関するものである。
太陽電池や液晶ディスプレイなどの電極材として、透明導電膜であるITO膜が知られている。このITO透明電極膜の代替として、例えば、ZnO−Al系(AZO)膜やZnO−Ga系(GZO)膜が採用されている。このAZO・GZO膜を形成する方法としては、スパッタリング法による成膜が知られ、DC電源を用いてスパッタリング成膜している。
上記AZO・GZO膜を形成するために用いられるAZOスパッタリングターゲット・GZOスパッタリングターゲットが開発されている。このAZO・GZO膜の導電性は、ZnOへのAl・Ga添加に伴うキャリア発生によることのほか、主成分であるZnOが酸素欠損(ZnOからOが抜けた状態)型酸化物であること、つまりZnOの酸素欠損によることが知られている。
特許文献1に開示されたGZOスパッタリングターゲットの作製では、所定の比率で混合された酸化亜鉛(ZnO)粉末と酸化ガリウム(Ga)粉末からなる混合体を、冷間成形機を用いて成形して、成形体を作製し、この成形体を、大気雰囲気で常圧焼結を行って焼結体を得ている。この焼結が終わった焼結体に対して、還元処理を施し、ZnOの酸素欠損を促進し、スパッタリングターゲットとしての体積抵抗率を一層低下させている。
特許第4026194号明細書
上述したように、上記特許文献1で提案されたGZOスパッタリングターゲットでは、酸化亜鉛粉末に、酸化ガリウム粉末を添加した混合体を成形し、大気雰囲気にて常圧焼結しているので、ZnO中に酸化ガリウムのGaを固溶させることができ、緻密化された焼結体が得られる。さらに、この焼結後において、焼結体に対して、非酸化性ガスを導入した還元処理が施されるので、ZnO内酸素欠損の増加が促進されるとしている。
しかしながら、既に焼結されて密度が高くなった焼結体を得た後に還元雰囲気にさらすだけでは、焼結体の表面部分のみを還元できるに止まり、ターゲット表面部分の抵抗率を低下させるだけであり、焼結体内部まで還元反応が進まず、ターゲット内部では還元が促進されない可能性がある。
この様な焼結体を用いて、例えば、直径100mm、厚さ10mmのサイズを超えるような酸化亜鉛系スパッタリングターゲットを製造しようとした場合、ターゲット表面部分は十分還元されるが、ターゲット内部に進むにつれて、還元の効果が不十分な相が残留してしまう。そのため、このスパッタリングターゲットの厚さ方向に亘って、抵抗率のばらつきが発生する。このスパッタリングターゲットでスパッタリングを行うと、表面部分では、抵抗率が低く、DCスパッタリングが可能である。しかし、スパッタリングの進行に伴って、ターゲット内部が掘れていくと、抵抗率の高い部分が表面に露出するため、異常放電が多発し、スパッタリングを安定して行えなくなるという問題がある。
そこで、本発明は、酸化亜鉛系スパッタリングターゲットの厚さ方向(エロージョン深さ方向)に亘って、均一かつ十分にZnO内酸素欠損の増加を促進するとともに、焼結反応を促進させて、厚さ方向の全域でターゲット抵抗率を一層低くし、常に安定したDCスパッタリングが可能であるZnOを主成分とする酸化亜鉛系スパッタリングターゲット及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記特許文献1で提案された酸化亜鉛系スパッタリングターゲットでは、そのターゲットの抵抗率が、ターゲット表面部においては、低く、ターゲット内部に進むほど高くなっていることに着目し、この抵抗率をターゲット内部でも低くするとともに、その変化が一様にするものとして、原料粉末からなる圧粉成形体の脱脂処理を、酸化性雰囲気の加熱により行い、この脱脂処理された圧粉成形体を、非酸化性雰囲気中で常圧焼結させると、ターゲット内部まで還元が促進されて、その内部まで酸素欠損が生成されることで、ターゲット厚さ方向の全域でターゲット抵抗率が低くなるとともに、焼結時の酸素原子の移動を促進する結果、焼結体の密度を向上することとなって、常に安定したDCスパッタリングが可能な酸化亜鉛系スパッタリングターゲットが得られることが判明した。
そこで、市販の酸化亜鉛粉末(ZnO粉末)と酸化アルミニウム粉末(Al粉末)と混合して得た混合体に分散剤及びバインダーを添加し、得られたスラリーに圧力を加えて圧粉成形体を作製した。この圧粉成形体を大気雰囲気の加熱炉で加熱し、脱脂処理を施し、その後、窒素(N)ガスを加熱炉に導入して高温(1350℃)加熱を5時間保持して焼結をして、酸化亜鉛系(AZO)焼結体を得た。このAZO焼結体を所定形状に機械加工して、AZOスパッタリングターゲットを作製したところ、ターゲット厚さ方向の全域で、ターゲット抵抗率を一層低くできたことが確認された。このAZOスパッタリングターゲットを用いたAZO膜の成膜では、常に安定したDCスパッタリングが可能であることが確認された。なお、酸化アルミニウム(Al)粉末の代わりに、酸化ガリウム(Ga)粉末又は酸化インジウム(In)粉末を用いた酸化亜鉛系焼結体の場合も同様であった。
これは、圧粉成形体を窒素ガス雰囲気で焼結するようにしたので、酸化亜鉛系焼結体の内部まで厚さ方向の全域で、十分な還元をすることができたことがターゲット抵抗率のより一層の低下に寄与しているという知見が得られた。
したがって、本発明は、上記知見から得られたものであり、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。
(1)本発明のスパッタリングターゲットは、酸化亜鉛を主成分とし、Al、Ga、Inから選ばれる1種以上の金属酸化物を成分組成に含む酸化亜鉛系焼結体であって、前記酸化亜鉛系焼結体は、抵抗率が、0.0001〜0.005Ω・cmであることを特徴とする。
(2)前記(1)のスパッタリングターゲットの前記酸化亜鉛系焼結体は、ターゲット厚み方向での抵抗率の最大差が0.003Ω・cm以下、かつ、スパッタ面内での抵抗率の最大差が0.003Ω・cm以下であることを特徴とする。
(3)本発明のスパッタリングターゲットの製造方法は、酸化亜鉛粉末と、Al、Ga、Inから選ばれる1種以上の金属酸化物末との圧粉成形体を大気雰囲気で脱脂処理する脱脂工程と、脱脂処理された圧粉成形体を非酸化性雰囲気で常圧焼結して、酸化亜鉛を還元する焼結工程と、を有することを特徴とする。
本発明による酸化亜鉛系スパッタリングターゲットは、酸化亜鉛を主成分とし、Al、Ga、Inから選ばれる1種以上の金属酸化物を成分組成に含む酸化亜鉛系焼結体から構成される。この酸化亜鉛系焼結体は、厚さ方向の全域で均一に還元処理を施すことにより、そのバルク抵抗率を0.0001〜0.005Ω・cmと低くしている。さらには、ターゲット厚み方向での抵抗率の最大差が0.003Ω・cm以下、かつ、スパッタ面内での抵抗率の最大差が0.003Ω・cm以下として、抵抗率のばらつきを少なくすることにより、DCスパッタリングを安定化することができる。
また、本発明の製造方法は、上記酸化亜鉛系スパッタリングターゲットを製造するのであって、酸化亜鉛粉末と、Al、Ga、Inから選ばれる1種以上の金属酸化物粉末との圧粉成形体を大気雰囲気で脱脂処理する脱脂工程と、脱脂処理された圧粉成形体を非酸化性雰囲気で常圧焼結して、酸化亜鉛を還元する焼結工程と、を有している。
上記圧粉成形体は、酸化亜鉛(ZnO)粉末と、酸化アルミニウム(Al)粉末、酸化ガリウム(Ga)粉末及び酸化インジウム(In)粉末のいずれか一種と、さらに、純水、分散剤及びポリビニルアルコール系バインダーとをボールミル装置に充填し、このボールミル混合で得られたスラリーをスプレードライヤーで乾燥造粒を行い、この得られた造粒を用いて、冷間静水圧(CIP)機で加圧成形されたものである。
ここで得られた圧粉成形体を、加熱炉に挿入し、加熱を開始して、上記脱脂工程に移行する。この脱脂工程では、この加熱炉を、常圧の酸化性雰囲気、例えば、大気雰囲気とし、500〜700℃まで昇温する。この昇温途中において、圧粉成形体内の分散剤及びバインダーが完全に燃焼して、焼き飛ばされ、圧粉成形体は、十分に脱脂が行われる。
次いで、加熱炉内に、脱脂された圧粉成形体をそのままにして、加熱炉の温度をさらに上昇させて、焼結工程に移行する。この焼結工程への移行するとき、加熱炉内の雰囲気を酸化性雰囲気(大気雰囲気)から、非酸化性(還元性)ガスの導入に切り替えて(ガス投入タイミング)、非酸化性雰囲気にする。この非酸化性雰囲気として、窒素(N)ガス、アルゴン(Ar)ガス、二酸化炭素(CO)ガス、ヘリウム(He)ガスなどを導入するか、或いは、真空雰囲気を採用できる。
この焼結工程では、温度をさらに上昇させて、1200〜1500℃、例えば、1350℃まで昇温し、この温度に到達したならば、それ以降、その温度を維持したまま、3〜10時間、例えば、5時間保持する。この保持時間を経過後、加熱炉を500〜700℃まで徐々に冷却して、焼結工程を終了する。そして、自然冷却して、加熱炉から取り出し、その焼結体を機械加工し、バッキングプレートを接着して、酸化亜鉛系スパッタリングターゲットが作製される。
本発明の製造法における焼結工程では、脱脂が充分に行われた圧粉成形体が、常圧の非酸化性雰囲気中で所定時間の高温保持されることにより焼結されることが重要である。この焼結工程において、圧粉成形体の内部まで、酸化亜鉛が充分に還元されて、酸素欠損量が、焼結体の全域で均一に増加するとともに、還元による酸素欠損の発生が原子の移動を促すことから、焼結反応が促進されて、焼結体の密度が向上し、焼結体の体積抵抗率を一層低下させるとともに、厚さ方向の全域に亘って、かつ、スパッタ面の全面において、抵抗率のばらつきを小さくすることができる。
なお、以上では、同一加熱炉を用いて、脱脂工程と焼結工程とを行う場合について、説明したが、脱脂工程と焼結工程とを別々の加熱炉を用いても、本発明の製造方法を実施できる。
以上の様に、本発明によれば、酸化亜鉛系スパッタリングターゲットの焼結体は、脱脂後の圧粉成形体を非酸化性雰囲気で常圧焼結されたものであって、ターゲット内部の全域において均一な還元処理がなされて、酸素欠損が増加し、また焼結反応が促進されているため、この酸化亜鉛系スパッタリングターゲットは、ターゲット厚さ方向(エロージョン深さ方向)の全域で、抵抗率が一層低くなり、ターゲット厚み方向及びスパッタ面内における抵抗率のばらつきが小さいものとなった。
また、本発明の製造方法によれば、酸化亜鉛粉末とAl、Ga、Inから選ばれる1種以上の金属酸化物末との圧粉成形体を酸化性雰囲気で脱脂処理する脱脂工程と、脱脂処理された圧粉成形体を非酸化性雰囲気で常圧焼結して、酸化亜鉛を還元する焼結工程とを有しており、脱脂工程では、圧粉成形体中の有機物を焼き飛ばすことができ、続く焼結工程では、酸化性雰囲気から非酸化性雰囲気に切り替えているので、この焼結工程において、焼結体内部まで十分に還元が進み、酸素欠損量が均一に増加するとともに、還元による酸素欠損の発生が原子の移動を促すことから、焼結反応が促進される。そのため、酸化亜鉛系スパッタリングターゲットは、ターゲット厚さ方向の全域で、抵抗率が一層低く、ターゲット厚み方向及びスパッタ面内における抵抗率のばらつきが小さい酸化亜鉛系スパッタリングターゲットを製造することができる。
従って、本発明の酸化亜鉛系スパッタリングターゲットによれば、厚さ方向の全域でターゲット抵抗率が低く、しかも、ターゲット面内で一様となるため、常に安定したDCスパッタリングが可能となるので、生産性向上に寄与する。
スパッタリングターゲットのスパッタ面内方向の抵抗率測定を説明する図である。
次に、この発明の酸化亜鉛系スパッタリングターゲット及びその製造方法について、以下に、実施例により具体的に説明する。
〔実施例〕
先ず、純度4Nで平均粒径:D50=1.0μmの酸化亜鉛(ZnO)粉末、純度4Nで平均粒径:D50=0.2μmの酸化アルミニウム(Al)粉末、純度4Nで平均粒径:D50=1.7μmの酸化ガリウム(Ga)粉末、純度4Nで平均粒径:D50=1.0μmの酸化インジウム(In)粉末を用意した。これらの各粉末を、表1に示される組成になるように、秤量して、ボールミル装置に入れた。このとき、秤量した粉末:100kgに対して、純水:35kgを、粉末を分散させるための分散剤として、高分子量ポリエステル酸のアマイドアミン塩(楠本化成株式会社製):1.5kgを、ポリビニルアルコール系バインダーとして、変性PVA(日本酢ビ・ポバール株式会社製):10kgを、それぞれボールミル装置に充填した。さらに、直径10mmのジルコニアボール500kgを添加し、上記秤量した粉末を混合した。
このボールミル混合で得られたスラリーを、例えば、大川原化工機株式会社製(FOC−35)のスプレードライヤーを用いて、乾燥造粒を行った。ここで、この乾燥造粒には、熱風温度は、250℃に、排気温度は、100℃程度に設定できるスプレードライヤーを使用すればよい。スプレー吐出条件、熱風温度を調整して、平均粒径:70±30μmの造粒顆粒を得た。
この得られた造粒顆粒を用いて、冷間静水圧(CIP)機で、150MPa、5分間の加圧を行い、圧粉成形体を作製した。この圧粉成形体を、加熱炉に挿入した。ここで、加熱を開始し、脱脂工程に移行した。この脱脂工程では、常圧の大気雰囲気で、600℃まで昇温され、圧粉成形体内の分散剤及びバインダーが燃焼して脱脂が行われる。次いで、加熱炉内の雰囲気を、加熱しながら、加熱炉の温度をさらに上昇させて、焼結工程に移行する。この焼結工程に移行したとき、大気雰囲気から、非酸化性(還元性)ガスに切り替えて(ガス投入タイミング)、非酸化性雰囲気にした。この非酸化性雰囲気として、窒素(N)ガス又はアルゴン(Ar)ガスを導入するか、或いは、真空雰囲気を採用した。ガス導入量を、3L/minとした。この焼結工程では、温度をさらに上昇させて、1350℃まで加熱した。これ以降、1350℃を維持したまま、5時間保持した。この保持時間を経過後、加熱炉を600℃まで冷却して、焼結工程を終了した。そして、加熱炉から取り出し、その焼結体を機械加工して、直径152.4mmを有する実施例1〜7の酸化亜鉛系スパッタリングターゲットを作製した。なお、実施例1〜5の焼結工程では、窒素ガスを、そして、実施例6の焼結工程では、アルゴンガスを、それぞれ導入した。また、実施例7の焼結工程では、真空雰囲気に切り替えた。
〔比較例〕
上記実施例の酸化亜鉛系スパッタリングターゲットと比較するため、表1に示される比較例1〜3の酸化亜鉛系スパッタリングターゲットを用意した。比較例1〜3のいずれも、実施例2の場合と同様に、酸化亜鉛粉末と酸化アルミニウム粉末との混合による場合であり、酸化アルミニウム粉末の添加量を、いずれも、1.6at%とした。比較例1の場合には、非酸化性ガスの投入タイミングを、1350℃で高温保持後とし、比較例2の場合には、そのタイミングを、脱脂工程のための昇温開始時とし、そして、比較例3の場合には、非酸化性ガスを投入せず、酸化性ガス雰囲気のままとした。
<抵抗率の測定>
得られた実施例1〜7及び比較例1〜3の酸化亜鉛系スパッタリングターゲットについて、その加工面(表面)から焼結体の厚さ方向(エロージョン深さに対応)の全域を、抵抗測定装置により、抵抗率を測定した。ここで、直径152.4mm×厚さ10mmの酸化亜鉛系スパッタリングターゲットを前述の製造方法で作製し、エロージョン深さ方向に、表面(0mm)から、2mm、4mm、6mm、8mmまで削り、そこでの抵抗率を測定した。測定された各深さの抵抗率の最大値と最小値とから、エロージョン深さ方向における抵抗率の最大差を求めた。以上の結果が、表2に示されている。
また、実施例2と同様の条件で外径155mm内径135mm×長さ200mmの円筒型酸化亜鉛系スパッタリングターゲットを作製し実施例8とした。これをエロージョン深さ方向に、表面(0mm)から、2mm、4mm、6mm、8mmまで削り、そこでの抵抗率を測定した。測定された各深さの抵抗率の最大値と最小値とから、エロージョン深さ方向における抵抗率の最大差を求めた。以上の結果が、表3に示されている。
また、実施例1〜7及び比較例1〜3の酸化亜鉛系スパッタリングターゲットの表面(0mm)において、図1に示したようなターゲットスパッタ面内の5箇所(A〜E)の測定点について、抵抗率を測定した。測定された面内の抵抗率の最大値と最小値とから、スパッタ面内における抵抗率の最大差を求めた。その測定結果が、表3に示されている。
なお、この測定においては、抵抗測定装置として、三菱化学株式会社製の低抵抗率計(Loresta−GP)を用い、四探針法で、抵抗率(Ω・cm)測定した。測定時の温度は23±5℃、湿度は50±20%にて測定された。


<異常放電回数の測定>
得られた実施例1〜7及び比較例1〜3の酸化亜鉛系スパッタリングターゲットについて、スパッタリング時の異常放電発生回数を測定した。
実施例1〜7及び比較例1〜3の酸化亜鉛系スパッタリングターゲットを用いて、以下の成膜条件により、成膜試験を行った。
・電源:DC1000W
・全圧:0.4Pa
・スパッタリングガス:Ar=45sccm、O:5sccm
・ターゲット−基板(TS)距離:70mm
上記成膜条件において1時間のスパッタリングを行い、マイクロ・アーク異常放電の発生回数をスパッタ電源装置に付属したアーキングカウンターにて自動的にその回数を計測した。また、ターゲットをスパッタしていき、エロージョン部分の深さが表面から2mm・4mm・6mm・8mmになった時点からもそれぞれ同様に1時間ずつのスパッタリングを行い、異常放電の発生回数を計測した。この測定結果を表5に示した。

以上の各表に示された結果によれば、実施例1〜7の酸化亜鉛系スパッタリングターゲットのいずれについても、ターゲット厚さ方向の全体に亘って、抵抗率が0.0001〜0.005Ω・cmの範囲にあり、その抵抗率の厚さ方向最大差も、0.003Ω・cm以下であり、さらに、スパッタ面内の抵抗率が最大差0.003Ω・cm以下を達成できることが確認され、ターゲット厚さ方向の全体に亘って、ターゲット抵抗率が一層低く、かつ、ばらつきが少ないことが分かった。さらに、この様な実施例1〜7の酸化亜鉛系スパッタリングターゲットを用いたスパッタリングでは、異常放電の発生が皆無に近い結果が得られている。従って、ターゲット厚さ方向の全域、及び、スパッタ面内で、ターゲット抵抗率を一様に低くできたので、常に安定したDCスパッタリングが可能となることが分かった。また、実施例8の円筒型酸化亜鉛系スパッタリングターゲットについても、抵抗率が0.0001〜0.005Ω・cmの範囲にあり、その抵抗率の厚さ方向最大差も、0.003Ω・cm以下を達成できたことが確認され、このスパッタリングターゲットを用いたスパッタリングにおいても、異常放電の発生が皆無である結果が得られた。
一方、比較例1〜3の酸化亜鉛系スパッタリングターゲットに関しては、原料粉の混合体からなる圧粉成形体を酸化性雰囲気で脱脂処理されている脱脂工程までは、実施例1〜7の場合と同様であるが、続く還元工程において、比較例1では、非酸化性ガスの投入タイミングを、1350℃で高温保持後としたので、ターゲット内部において抵抗率が上昇しており、異常放電が若干多発した。比較例2では、そのタイミングを、脱脂工程のための昇温開始時としたので、窒素ガス雰囲気では脱脂が進まず、有機物が残留しているが、還元は内部まで進み、抵抗率の最大差を小さくできたものの、スパッタリング時の異常放電が多発した。そして、比較例3では、焼結時に非酸化性ガスを投入せず、酸化性ガス雰囲気のままとしたため、抵抗率の最大差が大きく、しかも、その抵抗率を低くできず、スパッタリング時の異常放電が多発した。比較例1〜3の酸化亜鉛系スパッタリングターゲットのいずれも、ターゲット厚さ方向の全域、及び、スパッタ面内で、ターゲット抵抗率を一様に低くすることはできないため、DCスパッタリングが安定して行えなかった。
以上の様に、本発明による酸化亜鉛系スパッタリングターゲットでは、圧粉成形体及び酸化亜鉛系焼結体の形状が平板であっても、或いは、その形状が円筒型であっても、その厚さ方向の全域で、低い抵抗率を実現できる。



Claims (3)

  1. 酸化亜鉛を主成分とし、Al、Ga、Inから選ばれる1種以上の金属酸化物を成分組成に含む酸化亜鉛系焼結体であって、
    前記酸化亜鉛系焼結体は、抵抗率が、0.0001〜0.005Ω・cmであることを特徴とするスパッタリングターゲット。
  2. 前記酸化亜鉛系焼結体は、ターゲット厚み方向での抵抗率の最大差が0.003Ω・cm以下、かつ、スパッタ面内での抵抗率の最大差が0.003Ω・cm以下であることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリングターゲット。
  3. 酸化亜鉛粉末と、Al、Ga、Inから選ばれる1種以上の金属酸化物末との圧粉成形体を酸化性雰囲気で脱脂処理する脱脂工程と、
    脱脂処理された圧粉成形体を非酸化性雰囲気で常圧焼結して、酸化亜鉛を還元する焼結工程と、
    を有することを特徴とするスパッタリングターゲットの製造方法。



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