JP2602390B2 - 高密度ito焼結体及びその製造方法 - Google Patents
高密度ito焼結体及びその製造方法Info
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Description
リングにより形成する際、ターゲットとして使用する高
密度ITO焼結体及びその製造方法に関する。
結体をターゲットとし、これを400℃程度に加熱した
基板上に適当な条件でスパッタリングすることにより、
透明性が良く、比抵抗値が2.0×10-4Ω・cm程度
の良質な透明導電膜が得られる。
ジウム、錫、酸素からなる粉末を成形した後、酸素雰囲
気あるいは大気中で1600℃程度の温度で焼結する
か、ホットプレスによる加圧下で昇温し、1000℃以
下の温度で焼結するかの方法により製造されている。ま
た酸素雰囲気あるいは大気中で1500℃程度の温度で
焼結すると、相対密度が90%以上のITO焼結体を得
ることが出来ず、スパッタリングによる成膜中に異常放
電現象が発生しやすくなるという問題があった。
イの電極用としてのカラーフイルターや、軽量化のため
にプラスチックを用いる場合には、耐熱性に劣るため、
従来のように高温に加熱できず、基板加熱温度は200
℃以下としなければならない。上記の従来のITO焼結
体を用いて基板温度200℃以下でスパッタリングする
と、得られる透明導電膜の比抵抗値は2.0×10-4Ω
・cm以上となり、比抵抗値の低い透明導電膜を得るこ
とは困難である。
スパッタリングを行うと、成膜中に生じる異常放電現象
によってプラズマ状態が不安定となり、安定した成膜が
行われず、スパッタされた膜の構造が悪化し、比抵抗値
等の膜特性が劣化するということが知られている。
200℃以下の低温であっても、比抵抗値が2.0×1
0-4Ω・cm以下の低抵抗な透明導電膜を形成でき、成
膜中における異常放電が少なく、長時間に亙りスパッタ
リングを行った場合にも、安定に良質な透明導電膜を形
成できる高密度ITO焼結体及びその製造方法を提供す
ることを課題とする。
ジウム、錫及び酸素からなり、相対密度が90%以上の
ITO焼結体であって、酸化錫相の(110)面のX線
回折ピークの積分強度が、酸化インジウム相の(22
2)面のX線回折ピークの積分強度の0.5%以下で、
電子線マイクロアナライザーの線分析における錫含有量
の分布が化学分析による錫含有量の0.8〜1.2倍の範
囲にあることを特徴とする高密度ITO焼結体を提供す
ること、
なる粉末を成形した後炉内に入れ、成形体の周囲に、酸
素ガスを焼結炉内の容積に対して1分間当たり1.8×
10-2以上の割合で流入しながら、1300℃から14
50℃まで50分以内で昇温し、1450〜1550℃
の温度範囲で焼結することを特徴とする高密度ITO焼
結体の製造方法を提供することにある。
ウム粉末と、酸化錫粉末との混合粉末、酸化インジウム
−酸化錫複合粉末と、酸化錫粉末との混合粉末、酸化イ
ンジウム粉末−酸化錫複合粉末と、酸化インジウム粉末
との混合粉末を、焼結体中の酸化錫含有量が5〜15重
量%となるように配合するか、酸化錫を5〜15重量%
の割合で含有する酸化インジウム−酸化錫複合粉末を原
料粉末とする。この原料粉末は平均粒径が0.1μm以
下のものを用いる。その理由は、平均粒径が0.1μm
を超えると、粗大粒子が混在し、原料粉末が均一に分散
せず、原料粉末の成形性、焼結性が悪くなり、高密度の
焼結体が得られなくなるためである。
末にパラフインワックス、ポリビニルアルコールなどの
バインダーを1〜4重量%添加し、ボールミル等を用
い、12〜24時間混合粉砕して造粒粉末とし、焼結体
の相対密度を90%以上にするため、1トン/cm2以
上の成形圧力で成形して成形体とする。この成形体を炉
内に入れ、酸素雰囲気中で焼結する。焼結中は酸素ガス
を焼結炉内の容積に対して1分間当たり1.8×10-2
以上の割合で流入しながら行う。16.3×10-2以上
とする場合には、炉内の温度が不均一とならないよう
に、炉内に供給する酸素ガスの温度を炉内温度に予熱し
てやると良い。
度で昇温し、1300℃から1450℃までを50分以
内で昇温する。室温から1000℃までは脱バインダー
過程であるため、昇温時間が短いと焼結体に割れが生じ
てしまう。1300℃から1450℃までの昇温期間
は、焼結挙動が最も活発な温度範囲であるため、昇温時
間は炉内を均等の温度に保てる程度で早くするのがよ
い。
温度への昇温時間は1300℃から1450℃への昇温
時間より遅くてもよく、少なくとも150分以内7〜5
0分程度で炉内を均等の温度に保てる程度で温度上昇さ
せる。1450〜1550℃の焼結温度では10時間以
上、10〜30時間保持すればよい。10時間未満では
焼結体の結晶粒径が十分成長せず高密度の焼結体は得ら
れない。
結体をターゲットとし、これを400℃程度に加熱した
基板上に適当な条件でスパッタリングした場合、基板の
温度が高いため、生成した膜中の原子の拡散が容易に生
じ、乱れた構造の膜が生成しても、スパッタリングを継
続している間に結晶質な膜に変化する。しかし、基板温
度が低く、膜厚が薄く、スパッタリング時間が短い等の
場合には、結晶化されていない膜や、乱れた相が生成
し、良質な膜が得られない。この理由は、焼結体中にS
nO2相が存在することによるものと考えられる。即
ち、SnO2相が存在している焼結体を用いてスパッタ
リングを行うと、焼結体から放出される原子の内10%
程度を占める10数から数10原子の集団が、SnO2
相を主体とするものになる確率が高くなり、その原子の
集団がそのままの状態で基板に到達するため、電気伝導
に寄与しないSnO2相や、比抵抗値を悪化させる直接
の原因となる乱れた結晶構造を持つ相が基板に形成され
るものと考えられる。
10)面のX線回折ピークの積分強度を、酸化インジウ
ム相の(222)面のX線回折ピークの積分強度の0.
5%以下としたことにより、SnO2相が殆ど存在しな
いことから、上記のような現象を生ずることなく、基板
温度が低温でも比抵抗値の低い透明導電膜がえられるよ
うにしたものである。酸化錫相の(110)面のX線回
折ピークの積分強度が、酸化インジウム相の(222)
面のX線回折ピークの積分強度の0.5%を超えると焼
結体中のSnO2相の影響が現れ比抵抗値の低い透明導
電膜を得ることが困難となる。
体にアルゴンが衝突した際に焼結体内に正の電荷が蓄積
することに起因するものである。本発明ITO焼結体で
は、電子線マイクロアナライザーの線分析における錫含
有量の分布を、化学分析による錫含有量の0.8〜1.2
倍の範囲とすることにより、錫の分布を均一化して電荷
の蓄積を防止し、その結果、異常放電現象を抑制するこ
とに成功したものである。これ以上分布の変化が大きい
と、電気伝導性の悪い錫の濃度差が大きくなり、局所的
に電荷が蓄積し易く、異常放電の発生の頻度が大きくな
るのでこの範囲とするものである。
て、成形体の周囲に、酸素ガスを焼結炉内の容積に対し
て1分間当たり1.8×10-2以上の割合で流入しなが
ら焼結を行うのは、炉内の酸素置換率が1.8×10-2
未満では焼結体に酸素欠陥を生じ、高密度で緻密な焼結
体が得られなくなる上、焼結体の表面近傍と内部とで錫
の分布の不均一が大きくなるからである。
50分以内で昇温するのは、より大きな収縮が得られ高
密度の焼結体を得るためである。昇温時間が50分を超
えると相対密度が90%に達しない為である。1450
〜1550℃の温度範囲で焼結するのは、1450℃未
満では高密度の焼結体が得られない上、錫の積分強度の
割合が0.5%を超えてSnO2相が安定に存在し、比抵
抗値の低い透明導電膜を得ることが困難となるからであ
る。又、1550℃を超えると錫の分布の変化が大きく
なり過ぎるからである。
7.8重量%となるように平均粒径1μmの酸化錫粉末
を配合し、3重量%の酢酸ビニル系バインダーを添加し
て湿式ボールミル中で18時間混合し、更に乾燥及び粉
砕して平均粒径を1μm以下とし、これを造粒粉末とし
た。この造粒粉末を3トン/cm2の圧力で成形した。
成形体を炉内に入れ、成形体の周囲に、酸素ガスを焼結
炉内の容積に対して1分間当たり1.8×10-2以上の
割合で流入しながら焼結を行った。昇温は室温から13
00℃までを23時間にて昇温し、1300℃から実施
例1では7分、実施例2では15分、実施例3では50
分の昇温速度で1450℃まで昇温し、1450℃から
1500℃まで50分で昇温させた。1500℃で10
時間保持し直径78mm、厚さ6mmの焼結体を得た。
後、X線回折測定を2θ=25゜〜37゜の角度範囲で
行い、10回積算した結果、酸化インジウム相の(22
2)面のX線回折ピークの積分強度に対する酸化錫相の
(110)面のX線回折ピークの積分強度の比、焼結体
の相対密度、化学分析による錫含有量を測定した。X線
回折測定に使用した資料を用い、ビーム径1μmの電子
線マイクロアナライザー(EPMA)線分析により錫の
分布を測定した。
ット材して使用し、DCマグネトロンスパッタ法によっ
てスパッタリング試験を行った。スパッタリング条件
は、投入電力2W/cm2、圧力0.4Pa、酸素分圧2
容量%、基板加熱温度200℃とし、1時間連続スパッ
タリングした後、各ターゲットについて2000Åづつ
成膜し、四端針法による比抵抗値の測定を行った。又、
同一スパッタリング条件にて30時間連続スパッタリン
グを行い、その間に発生した異常放電回数の測定を行
い、30時間経過後に成膜した膜の比抵抗値の測定を行
った。以上の測定結果を表1、表2に示す。
例5では6.8×10-2、実施例6では16.3×10-2
とした以外は実施例3と同様にして同様の焼結体を得
た。得られた焼結体を実施例1〜3と同様に試験した結
果を表1、表2に示す。
時間、実施例8では20時間、実施例9では30時間と
した以外は実施例3と同様にして同様の焼結体を得た。
得られた焼結体を実施例1〜3と同様に試験した結果を
表1、表2に示す。
様の焼結体を得た。得られた焼結体を実施例1〜3と同
様に試験した結果を表1、表2に示す。
を70分とし、比較例3では1300℃から1450℃
までの昇温時間を150分とした以外は、実施例5と同
様にして同様の焼結体を得た。得られた焼結体を実施例
1〜3と同様に試験した結果を表1、表2に示す。
し、焼結温度を1400℃として10時間保持した以外
は、実施例5と同様にして同様の焼結体を得た。得られ
た焼結体を実施例1〜3と同様に試験した結果を表1、
表2に示す。
450℃から1600℃まで80分かけて昇温し、16
00℃の焼結温度に10時間保持した以外は、実施例5
と同様にして同様の焼結体を得た。得られた焼結体を実
施例1〜3と同様に試験した結果を表1、表2に示す。
下の低温であっても、比抵抗値が2.0×10-4Ω・c
m以下の低抵抗な透明導電膜を形成でき、成膜中におけ
る異常放電が少なく、長時間に亙るスパッタリングを行
った場合にも、安定に良質な透明導電膜を形成できる高
密度ITO焼結体及びその製造方法を提供できる。
Claims (1)
- 【請求項1】 実質的にインジウム、錫、酸素からなる
粉末を成形して焼結炉内に入れた後、成形体の周囲に、
酸素ガスを焼結炉内の容積に対して1分間当たり1.8
×10-2以上の割合で流入しながら、1300℃から1
450℃まで50分以内で昇温し、1450〜1550
℃の温度範囲で焼結することを特徴とする高密度ITO
焼結体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4200251A JP2602390B2 (ja) | 1992-07-03 | 1992-07-03 | 高密度ito焼結体及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4200251A JP2602390B2 (ja) | 1992-07-03 | 1992-07-03 | 高密度ito焼結体及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0624826A JPH0624826A (ja) | 1994-02-01 |
JP2602390B2 true JP2602390B2 (ja) | 1997-04-23 |
Family
ID=16421283
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4200251A Expired - Lifetime JP2602390B2 (ja) | 1992-07-03 | 1992-07-03 | 高密度ito焼結体及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2602390B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2595864B2 (ja) * | 1992-10-23 | 1997-04-02 | 住友金属鉱山株式会社 | Ito焼結体の製造方法 |
JP2002047562A (ja) * | 2000-07-28 | 2002-02-15 | Sumitomo Metal Mining Co Ltd | Itoターゲットの製造方法 |
JP5622601B2 (ja) | 2011-01-31 | 2014-11-12 | 日本電産コパル株式会社 | カメラ用フォーカルプレンシャッタ |
JP5693749B2 (ja) * | 2012-08-06 | 2015-04-01 | 積水ナノコートテクノロジー株式会社 | 光透過性導電性フィルム及び光透過性導電性フィルムを含有するタッチパネル |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH04160047A (ja) * | 1990-10-19 | 1992-06-03 | Sumitomo Metal Mining Co Ltd | Ito焼結体の製造方法 |
-
1992
- 1992-07-03 JP JP4200251A patent/JP2602390B2/ja not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH04160047A (ja) * | 1990-10-19 | 1992-06-03 | Sumitomo Metal Mining Co Ltd | Ito焼結体の製造方法 |
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JPH0624826A (ja) | 1994-02-01 |
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