JP2003342068A - 酸化物焼結体 - Google Patents
酸化物焼結体Info
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Abstract
キングの発生を伴わずに高投入電力を投入した高速成膜
が可能なスパッタリングターゲット用の酸化物焼結体を
提供する。 【解決手段】 インジウムサイトにゲルマニウム元素が
置換固溶されたビックスバイト型酸化インジウム相を主
成分とし、これにトルトバイタイト型構造のゲルマニウ
ム酸インジウム化合物相が混在して含まれている酸化物
焼結体である。酸化物焼結体中のゲルマニウムの含有量
は、Ge/In原子比で0.01以上0.17以下であ
ることが好ましい。
Description
面素子などに用いられる低抵抗透明導電膜をスパッタリ
ング法で製造する際に利用される焼結体スパッタリング
ターゲットに関する。
での高い透過率とを有する。そのため、太陽電池、液晶
表示素子、その他各種の受光素子の電極などに利用され
る以外に、自動車や建築用の熱線反射膜、帯電防止膜、
冷凍ショーケースなどの各種防曇用の透明発熱体として
も利用されている。
ーパントとして含む酸化錫(SnO 2)や、アルミニウ
ムやガリウムをドーパントとして含む酸化亜鉛(Zn
O)や、錫をドーパントとして含む酸化インジウム(I
n2O3)などが広範に利用されている。特に、錫をドー
パントとして含む酸化インジウム膜、すなわちIn2O3
−Sn系膜はITO(Indium tin oxide)膜と称され、
特に低抵抗の膜が容易に得られることから、これまでよ
く用いられてきた。
スパッタリング法がよく用いられている。スパッタリン
グ法は、蒸気圧の低い材料の成膜や精密な膜厚制御を必
要とする際に有効な手法であり、操作も非常に簡便であ
ることから、工業的に広範に利用されている。
として用いられる。一般に、約10Pa以下のガス圧の
下で、基板を陽極とし、ターゲットを陰極として、これ
らの間にグロー放電を起こしてアルゴンプラズマを発生
させ、プラズマ中のアルゴン陽イオンを陰極のターゲッ
トに衝突させ、これによって弾き飛ばされるターゲット
成分の粒子を基板上に堆積させて膜を形成する。これ
は、アルゴンプラズマの発生方法により分類され、高周
波プラズマを用いるものを高周波スパッタリング法、直
流プラズマを用いるものを直流スパッタリング法とい
う。
透明導電膜についても検討されており、Sn添加In2
O3材料にはない特徴を有する材料がいくつか見出され
ている。たとえば、特開平9−50711号、特開平1
1−322333号、特開平11−323531号、特
開平11−329085号各公報には、Ge添加のIn
2O3薄膜が記載されている。Ge添加In2O3膜は、S
n添加In2O3膜と同等の導電性を有し、かつ、酸によ
る膜のエッチング速度がSn添加In2O3膜と比べて速
いという利点を有することから、様々なデバイスに利用
する際に有用である。
タ成膜で表面平滑性に優れたアモルファス膜を安定に作
製しやすいという利点も有し、LCDなどの各種表示デ
バイスへの応用に有利である。この膜をスパッタリング
法で作製するためのターゲットは、酸化ゲルマニウム粉
末と酸化インジウム粉末の混合粉末を焼結させて得られ
ている。
結体は、ビッグスバイト型結晶構造の酸化インジウムの
中に酸化ゲルマニウムが混在する構造となっている。ま
た、酸化インジウムは、ビッグスバイト型の他にコラン
ダム型の結晶構造をとりうる。一方、酸化ゲルマニウム
は、ルチル型の結晶構造をとりうる。
プラスチックLCDなどのようなプラスチック基材を用
いたLCDの開発が急がれているが、これを実現するた
めには、室温においてより低抵抗の透明導電膜をプラス
チック基材上に形成する必要があり、低抵抗の透明導電
膜が要求されている。さらに、スパッタリング法で製造
する際には、投入電力を増加させて高速でスパッタ成膜
を行う必要があるが、投入電力を増加させるとアーキン
グが発生してしまい、スパッタ成膜を安定して行うこと
が困難であった。
抵抗の透明導電膜を形成でき、かつ、高投入電力を投入
した高速スパッタ成膜を安定的に実施することができる
透明導電膜作成用ターゲットに用いる酸化物焼結体を提
供することにある。
め、本発明による酸化物焼結体では、不純物として含有
するゲルマニウム元素が、その一部がビックスバイト型
結晶構造の酸化インジウムのインジウムサイトに固溶し
ており、残りがゲルマニウム酸インジウム化合物となっ
ている。
有量が、Ge/In原子比で0.01以上0.17以下
であることが好ましい。さらに、スズ元素が、Sn/I
n原子比で0.001以上0.17以下の割合で含まれ
ていること、または、タングステン元素が、W/In原
子比で0.001以上0.15以下の割合で含まれてい
ると好ましい。
作製条件にて作製したゲルマニウム含有酸化インジウム
焼結体ターゲットを用いて、ガス圧、成膜ガスの種類、
ターゲット−基板間の距離、成膜パワー、膜厚を一定に
して、基板を加熱せずにスパッタ成膜を実施した。この
スパッタ成膜で作製された膜の抵抗比は、ターゲット中
のゲルマニウムの含有形態に大きく依存することがわか
った。
ゲルマニウムの形態で含有しているターゲットと比べ
て、酸化ゲルマニウムが存在せずに、ゲルマニウム元素
の一部がビックスバイト型結晶構造の酸化インジウム
(In2O3)のインジウムサイトに置換固溶しており、
残りがトルトバイタイト型構造のゲルマニウム酸インジ
ウム化合物の形態で存在しているターゲットを用いた方
が、膜の比抵抗が明らかに低い。
は、酸化インジウム(In2O3)がとる結晶構造の1つ
であり、希土類酸化物C型とも呼ばれる(オーム社「透
明導電膜の技術」1999年、第82頁)。また、トルトバイ
タイト(thortveitite)型構造のゲルマニウム酸インジ
ウム化合物とは、JCPDSカードの26-767、Journal of So
lid State Chemistry 2, 199-202(1970年)に記載され
ている化合物である。本発明においては、化学量論組成
から組成ずれが多少生じていたり、他の元素が一部で置
換されていても、この結晶構造を維持していれば構わな
い。
ち、スパッタリングにおける成膜メカニズムは、プラズ
マ中のアルゴンイオンがターゲット表面に衝突し、ター
ゲット成分の粒子が弾き飛ばされ、基板上に堆積され
る。この際、弾き飛ばされる粒子のほとんどはターゲッ
ト材料の1原子であるが、原子数個で形成される塊状の
もの(クラスターと呼ばれる)もわずかに含まれる。タ
ーゲット中に酸化ゲルマニウムの粒子が含まれている
と、酸化ゲルマニウム粒子の部分からスパッタリングに
よって酸化ゲルマニウムクラスターが弾き飛ばされる。
基板状に堆積した酸化ゲルマニウムクラスターは、酸化
インジウムに固溶するのに十分な基板温度を有していな
いため、固溶せずに膜の成分となってしまう。このよう
になると、酸化ゲルマニウム自体は比抵抗が高いため
に、膜全体の比抵抗が増加してしまう。
ち、ゲルマニウムがインジウムサイトに固溶し、かつ、
ゲルマニウム酸インジウム化合物が分散している酸化物
をターゲットとして用いたものでは、クラスターとして
弾き飛ばされる粒子は、それ自体が低抵抗であるゲルマ
ニウムが固溶した酸化インジウムもしくはゲルマニウム
酸インジウムであるため、膜の比抵抗を増加させること
はない。
回折測定で酸化ゲルマニウムが検出されたターゲットを
用いた場合には、本発明によるゲルマニウム固溶酸化イ
ンジウム相とゲルマニウム酸インジウム相とで構成され
ている焼結体ターゲットを用いた場合と比較して、同一
条件でスパッタ成膜した膜の比抵抗は明らかに高いこと
がわかった。
子が存在すると、酸化ゲルマニウム粒子の比抵抗が高い
ため、プラズマから照射されるアルゴンイオンで帯電が
起こり、アーキングが生じる。この傾向は、ターゲット
投入電力を上げ、アルゴンイオンの照射量が増加するほ
ど大きくなる。これに対して、本発明に従ったターゲッ
トでは、ゲルマニウムがインジウムサイトに置換固溶し
た酸化インジウム、ゲルマニウム酸インジウム化合物の
いずれも比抵抗が低く、つまり高抵抗の粒子が存在しな
いため、投入パワーを増加させてもアーキングが生じな
い。このため、高投入電力による高速成膜が可能とな
る。
る理由は、このようなターゲットから膜を作製すると、
酸化インジウム膜中の原子価が3価であるインジウム位
置に原子価4価のゲルマニウムが占有し、これによって
キャリア電子を放出して導電率が増加するからである。
また、ターゲット中のゲルマニウム元素を、Ge/In
原子比で0.01以上0.17以下の範囲に規定する理
由は、その範囲を逸脱すると得られる薄膜の抵抗値が増
大してしまうからである。
素もしくはW元素を、Ge元素とともに含むものであ
る。このような酸化物焼結体のターゲットから膜を作製
すると、酸化インジウム膜中の原子価が3価であるイン
ジウム位置に原子価4価のスズもしくは原子価6価のタ
ングステンが占有し、これによってキャリア電子を放出
して導電率が増加するからである。低抵抗の膜を作製す
るためには、ターゲット中のスズ元素を、Sn/In原
子比で0.001以上0.17以下の範囲とすることが
好ましく、一方、タングステン元素も、W/In原子比
で0.001以上0.15以下の量だけ含有させるのが
好ましい。
ーゲットを用いれば、従来技術よりも低抵抗の透明導電
膜を基板上に製造でき、かつ、アーキングを発生するこ
となく安定的に高い投入電力を導入した高速成膜が可能
となる。
In2O3粉末、および平均粒径が1μm以下のGeO2
粉末を原料粉末とした。まず、表1に示すGe/In原
子比の組成の焼結体を得るように、In2O3粉末とGe
O2粉末を所定の割合で調合し、樹脂製ポットに入れ、
湿式ボールミルで混合した。この際、硬質ZrO2ボー
ルを用い、混合時間を24時間とした。混合後、スラリ
ーを取り出し、ろ過、乾燥、造粒した。造粒物を冷間静
水圧プレスで3ton/cm2の圧力をかけて成形し
た。
当たり5リットル/分の割合で焼結炉内の大気に酸素を
導入する雰囲気で、1300℃にて3時間、焼結した。
この際、1℃/分で昇温し、焼結後の冷却の際は、酸素
導入を止め、1000℃までを10℃/分で降温した。
回折測定を実施したところ、ビックスバイト型構造の酸
化インジウム相とトルトバイタイト型構造のIn2Ge2
O7相に起因する回折ピークのみ観察されたことから、
本発明の特徴を有する酸化物焼結体と判断された。ま
た、焼結体の微細組織のEPMA分析から、酸化インジ
ウム相にはゲルマニウムが固溶していることが確認され
た。
いて、CuKα線を用いた粉末X線回折測定を行ったと
きの回折パターンを図1に示す。
mの大きさに加工し、スパッタ面をカップ砥石で磨いて
ターゲットとし、無酸素銅製のバッキングプレートに金
属インジウムを用いてボンディングした。
磁性体ターゲット用カソードに、上記焼結体ターゲット
を取り付けた。そして、ターゲット−基板間距離を70
mmとし、純度99.9999重量%のArガスを導入
し、ガス圧を0.3Paとして、DC300Wで直流プ
ラズマを発生させて、200℃にて、ガラス基板上にス
パッタリングを実施した。約500nmの薄膜を作製
し、四探針法で膜の表面抵抗を測定して、比抵抗を算出
した。各実施例ごとに、ターゲットのGe/In原子比
と膜の測定によって求めた膜の比抵抗値を表1に示す。
時間と短くし、焼結温度(最高到達温度)を1000℃
と低くして、酸化ゲルマニウム相を含む酸化インジウム
焼結体ターゲットを作製した。ターゲット中に酸化ゲル
マニウム相を含んでいることは、粉末X線回折測定で確
認した。実施例1〜4と同様の条件で、スパッタ成膜を
実施し、膜の比抵抗を測定した結果を表2に示す。
化インジウムとゲルマニウム酸インジウム化合物相で構
成された酸化物焼結体から作製したターゲットを用いれ
ば、酸化ゲルマニウム相を含むターゲットを用いたとき
と比較して、明らかに比抵抗の低い膜を作製することが
できる。
ス圧、ガス種、ターゲット基板間距離を実施例1〜4と
同じにして、DC電力を変化させた時のアーキング発生
回数の変化を測定した。アーキング発生回数は、10分
間に発生したアーキングをカウントし、1分あたりの平
均の発生回数を求めた。ターゲットは、実施例2と同様
に作製し、Ge/In原子比を0.04と一定にした。
その結果を表3に示す。
た酸化インジウムとゲルマニウム酸インジウム化合物相
で構成された酸化物焼結体から作製したターゲットで
は、DC投入電力を増加させてもアーキングは発生せ
ず、安定してスパッタ成膜を実施することができた。投
入電力が高いと成膜速度が速くなるため、高速に膜を製
造することが可能となる。
ム相を含むターゲットを用いた場合では、DC投入電力
を増加させるとアーキング発生してしまい、安定したス
パッタ成膜を実施することができなかった。
0.01、0.09、0.17の各組成の酸化物焼結体
の場合もでも同様であり、酸化ゲルマニウムが含まれる
酸化物焼結体から得たターゲットでは、300W以上の
DC電力の投入でアーキングが多発したのに対して、ゲ
ルマニウムが固溶した酸化インジウムとゲルマニウム酸
インジウム化合物相で構成された本発明の酸化物焼結体
から作製したターゲットでは、200〜700Wまでの
DC電力を投入してもアーキングが発生せず、安定して
スパッタ成膜を実施することができた。
ロージョン表面を目視観察するとアークが走った跡(ア
ーク痕)が見られた。表面を導電化処理せずに酸化物焼
結体を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察すると、酸化
ゲルマニウム相を含む焼結体は、酸化ゲルマニウム相で
の電子線照射によるチャージアップが見られ、観察が困
難であった。よって、酸化ゲルマニウム相が高抵抗物質
であることがわかる。また、表面を導電化処理したター
ゲットについて、SEMで観察すると、アーク痕には必
ず酸化ゲルマニウム粒子が存在していた。このことか
ら、酸化ゲルマニウム相がアークの発生源であるといえ
る。
を、導電化処理をせずに同様の条件でSEM観察して
も、電子線照射によるチャージアップする個所は見られ
ず、トルトバイタイト型構造のゲルマニウム酸インジウ
ム化合物相は低抵抗物質であることがわかった。
用いてアーキングの発生を伴わずに作製した膜の比抵抗
と比べて、比較例5の酸化物焼結体を用いてアーキング
が発生した状況で作製した膜の比抵抗は、極端に高かっ
た。
n2O3粉末、GeO2粉末、SnO2粉末を原料として、
実施例1〜4と同じ条件で、GeとSnをともに含む酸
化インジウム焼結体を得た。この焼結体の粉末X線回折
測定から、焼結体には酸化ゲルマニウムを含まず、ビッ
クスバイト型構造の酸化インジウム相とトルトバイタイ
ト型構造のゲルマニウム酸インジウム化合物相が含まれ
ていることがわかった。また、焼結体のSEM観察およ
びEPMA測定から、酸化インジウム相にはゲルマニウ
ムとスズが固溶されており、ゲルマニウム酸インジウム
化合物相にはスズが固溶されていることがわかり、本発
明の酸化物焼結体であることが確認された。
を用いて、比較例1〜4と同じ条件で、GeとSnをと
もに含む酸化インジウム焼結体を得た。この焼結体の粉
末X線回折測定から、酸化ゲルマニウム相が含まれてい
ることがわかり、本発明の酸化物焼結体に含まれないこ
とがわかった。
タターゲットを同様に作製し、ガス圧、ガス種、ターゲ
ット−基板間距離を実施例1〜4と同じにして、DC電
力を変化させたときのアーキング発生回数の変化を観測
した。アーキング発生回数は、10分間に発生したアー
キングをカウントし、1分あたりの平均発生回数を求め
た。ターゲットは、Ge/In原子比が0.04で、S
n/In原子比が0.05と一定にした。その結果を表
4に示す。
た酸化インジウムとゲルマニウム酸インジウム化合物相
で構成された実施例6の酸化物焼結体から作製したター
ゲットでは、DC投入電力を増加させてもアーキングは
発生せず、安定してスパッタ成膜を実施することができ
た。投入電力が高いと成膜速度が速くなるため、高速に
膜を製造することが可能となるこれに対して、比較例6
の酸化ゲルマニウム相を含むターゲットを用いた場合で
は、DC投入電力を増加させるとアーキングが発生して
しまい、安定してスパッタ成膜を実施することができな
かった。
0.001、0.10、0.17の各組成の酸化物焼結
体(Ge/In原子比は0.04)の場合でも同様であ
り、酸化ゲルマニウムが含まれる酸化物焼結体から得た
ターゲットでは、300W以上のDC電力の投入でアー
キングが多発したのに対して、ゲルマニウムが固溶した
酸化インジウムとゲルマニウム酸インジウム化合物相で
構成された本発明の酸化物焼結体から作製したターゲッ
トでは、いずれのDC投入電力でもアーキングが発生せ
ず、安定してスパッタ成膜を実施することができた。
用いてアーキングの発生を伴わずに作製した膜の比抵抗
と比べて、比較例6の酸化物焼結体を用いてアーキング
が発生した状況で作製した膜の比抵抗は、極端に高かっ
た。
n2O3粉末、GeO2粉末、WO3粉末を原料として、実
施例1〜4と同じ条件で、GeとWをともに含む酸化イ
ンジウム焼結体を得た。この焼結体の粉末X線回折測定
から、焼結体には酸化ゲルマニウムを含まず、トルトバ
イタイト型構造のゲルマニウム酸インジウム化合物相が
含まれていることがわかった。また、焼結体のSEM観
察およびEPMA測定から、酸化インジウム相にはゲル
マニウムとタングステンが固溶されていることがわか
り、本発明の酸化物焼結体であることが確認された。
を用いて、比較例1〜4と同じ条件で、GeとWをとも
に含む酸化インジウム焼結体を得た。この焼結体の粉末
X線回折測定から、酸化ゲルマニウム相が含まれている
ことがわかり、本発明の酸化物焼結体に含まれないこと
がわかった。
タターゲットを同様に作製し、ガス圧、ガス種、ターゲ
ット−基板間距離を実施例1〜4と同じにして、DC電
力を変化させたときのアーキング発生回数の変化を観測
した。アーキング発生回数は、10分間に発生したアー
キングをカウントし、1分あたりの平均発生回数を求め
た。ターゲットは、Ge/In原子比が0.04で、W
/In原子比が0.04と一定にした。その結果を表5
に示す。
た酸化インジウムとゲルマニウム酸インジウム化合物相
で構成された実施例7の酸化物焼結体から作製したター
ゲットでは、DC投入電力を増加させてもアーキングは
発生せず、安定してスパッタ成膜を実施することができ
た。投入電力が高いと成膜速度が速くなるため、高速に
膜を製造することが可能となるこれに対して、比較例7
の酸化ゲルマニウム相を含むターゲットを用いた場合で
は、DC投入電力を増加させるとアーキングが発生して
しまい、安定してスパッタ成膜を実施することができな
かった。
001、0.10、0.15の各組成の酸化物焼結体
(Ge/In原子は0.04)の場合でも同様であり、
酸化ゲルマニウムが含まれる酸化物焼結体から得たター
ゲットでは、300W以上のDC電力の投入でアーキン
グが多発したのに対して、ゲルマニウムが固溶した酸化
インジウムとゲルマニウム酸インジウム化合物相で構成
された本発明の酸化物焼結体から作製したターゲットで
は、いずれのDC投入電力でもアーキングが発生せず、
安定してスパッタ成膜を実施することができた。
用いてアーキングの発生を伴わずに作製した膜の比抵抗
と比べて、比較例7の酸化物焼結体を用いてアーキング
が発生した状況で作製した膜の比抵抗は、極端に高かっ
た。
アーキングの発生を伴わずに高投入電力を投入して、低
抵抗透明導電膜作製用ターゲットを作製することができ
る。また、高速かつ安定して透明導電膜を製造できるこ
とから、電子部品のコスト低減をもたらすといえ、本発
明の工業的な価値は極めて高い。
X線回折パターンを示すグラフである。図中、黒丸は、
ビックスバイト型構造のゲルマニウム固溶酸化インジウ
ム相の回折ピークを、矢印は、トルトバイタイト型構造
のゲルマニウム酸インジウム相の回折ピークを、それぞ
れ示す。
Claims (5)
- 【請求項1】 インジウムサイトにゲルマニウム元素が
置換固溶されたビックスバイト型構造の酸化インジウム
相を主成分とし、これにトルトバイタイト型構造のゲル
マニウム酸インジウム化合物相が混在する酸化物焼結
体。 - 【請求項2】 ゲルマニウム元素の含有量がGe/In
原子比で0.01以上0.17以下の割合である請求項
1に記載の酸化物焼結体。 - 【請求項3】 ゲルマニウム元素の含有量がGe/In
原子比で0.04以上0.10以下の割合である請求項
1に記載の酸化物焼結体。 - 【請求項4】 スズ元素がSn/In原子比で0.00
1以上0.17以下の割合でさらに含有され、酸化イン
ジウム相および/またはゲルマニウム酸インジウム化合
物相に固溶している請求項2または3に記載の酸化物焼
結体。 - 【請求項5】 タングステン元素が、W/In原子比で
0.001以上0.15以下の割合でさらに含有され、
酸化インジウム相および/またはゲルマニウム酸インジ
ウム化合物相に固溶している請求項2または3に記載の
酸化物焼結体。
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