JP2003055049A - 酸化インジウム焼結体、その製造方法及びそれを用いたスパッタリングターゲット - Google Patents
酸化インジウム焼結体、その製造方法及びそれを用いたスパッタリングターゲットInfo
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Abstract
材料として広範に使用でき、長時間電力を投入してスパ
ッタリングした場合でも、アーキングが発生せず膜の特
性が劣化しにくく、かつ最後まで使い切ることのできる
酸化インジウム焼結体、その製造方法及びそれを用いた
スパッタリングターゲットの提供。 【解決手段】 実質的に酸化インジウム及びゲルマニウ
ムからなる焼結体であって、相対密度が97%以上であ
り、かつ表面粗さ(Rmax)が3.0μm以下である
ことを特徴とする酸化インジウム焼結体によって提供。
Description
結体、その製造方法及びそれを用いたスパッタリングタ
ーゲットに関し、更に詳しくは、太陽電池や液晶表示素
子などの透明導電膜の材料として広範に使用でき、長時
間電力を投入してスパッタリングした場合でも、アーキ
ングが発生せず膜の特性が劣化しにくく、かつ最後まで
使い切ることのできる酸化インジウム焼結体、その製造
方法及びそれを用いたスパッタリングターゲットに関す
る。
での高い透過率とを有する薄膜であり、太陽電池や液晶
表示素子、その他各種受光素子の電極などに利用され、
また、自動車や建築用の熱線反射膜、帯電防止膜、冷凍
ショーケースなど各種の防曇用の透明発熱体としても利
用されている。透明導電膜には、アンチモンやフッ素を
ドーパントとして含む酸化錫(SnO 2)や、アルミニ
ウムやガリウムをドーパントとして含む酸化亜鉛(Zn
O)や、錫をドーパントとして含む酸化インジウム(I
n2O3)などが知られている。中でも、錫をドーパン
トとして含む酸化インジウム膜、すなわちIn2O3−
Sn系膜はITO(Indium tin oxid
e)膜と称され、特に低抵抗の膜が容易に得られること
から、これまで良く用いられてきた。
レー法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッ
タリング法などの方法が知られている。スパッタリング
法は、蒸気圧の低い材料の成膜や精密な膜厚制御を必要
とする際に有効な手法であり、操作が非常に簡便である
ため、工業的に広範に利用されている。一般に、約10
Pa以下のガス圧のもとで、基板を陽極、ターゲット
(原料)を陰極として、これらの間にグロー放電を起こ
してアルゴンプラズマを発生させ、プラズマ中のアルゴ
ン陽イオンを陰極のターゲットに衝突させ、これによっ
て弾き飛ばされるターゲット成分の粒子を基板上に堆積
させて膜を形成する。この方法は、アルゴンプラズマの
発生方法により分類され、高周波プラズマを用いる高周
波スパッタリング法、直流プラズマを用いる直流スパッ
タリング法に大別されている。また、ターゲットの裏側
にマグネットを配置してアルゴンプラズマをターゲット
直上に集中させ、アルゴンイオンの衝突効率を上げて低
ガス圧でも成膜可能としたマグネトロンスパッタ法があ
る。ITO焼結体では、密度7.02g/cm3以上
(相対密度で98%相当以上)、ばらつきが±1%程度
であるITO焼結体の製造方法が提案されている(特開
2000−144393号公報)。しかし、これをター
ゲットとしてスパッタリングすると、末期が近づくに従
って、ターゲット表面に黒色の突起物(ノジュールとい
われる)が発生し、異常放電等を惹起し、性能(スパッ
タレート)を低下させていた。
系透明導電膜が検討され、Sn添加In2O3材料には
ない特徴を持つ材料がいくつか見出されている。特開平
9−50711号公報には、ガリウムを含有したIn2
O3からなる透明導電膜が提案され、特開平11−32
2333号公報、特開平11−323531号公報、及
び特開平11−329085号公報には、ゲルマニウム
を添加したIn2O3薄膜が提案されている。さらに特
開平7−235219号公報には、In及びZnを含有
する非晶質酸化物からなり、第3元素として、Al、S
b、Ga、Geからなる群から選択された少なくとも1
種を含有した透明導電膜が記載されている。
Sn添加In2O3と同等の導電性を有するだけでな
く、酸による膜のエッチング速度がSn添加In2O3
膜と比べて速い利点をもつことから、様々なデバイスを
製造する際に有用といえる。また、低温スパッタ成膜で
表面平滑性に優れたアモルファス膜を安定して作製でき
る利点を併せもち、LCDなど各種表示デバイスへの応
用に向けて研究が進められている。これまで、この膜を
スパッタリング法で作製するには、酸化インジウム焼結
体がターゲットとして用いられており、このターゲット
は、粉末焼結法、即ち実質的にインジウム酸化物やゲル
マニウム(酸化物)を所望の組成に配合し、加圧成形し
た後、1400℃以上の温度で焼結する方法により製造
されている。
O3焼結体をターゲットとしてスパッタリングする場
合、長時間電力を投入して成膜を続けると、ターゲット
表面に黒色の突起物が発生し始め、投入した総電力量が
増加するにつれて突起物の発生量を増加させていた。こ
のような状態になると、スパッタリング中にアーキング
が発生して、成膜速度が低下し、膜の比抵抗が増加し
て、光透過率が低下する等の問題を生じることになる。
そのため、ターゲットが完全に消費されない時点で、早
めにターゲットを交換したり、ターゲット表面の黒色突
起物を機械的に削って除去せざるを得なかった。そし
て、これが大量、かつ安価に透明導電膜を製造する上で
大きな障害となっていた。
透明導電膜として、特開平11−322333号公報、
特開平11−323531号公報、及び特開平11−3
29085号公報、特開7−235219号公報を挙げ
たが、これらのいずれにも、当該問題を解決し得る手段
は開示されていない。また、一枚のターゲットから安定
して製造できる透明導電膜の数を増大できれば、電子部
品のコストを低減できる訳であるが、このようなターゲ
ットは現状では市場に見当たらない。
系焼結体ターゲットを用いたスパッタリングにおいて、
ノジュールの発生を抑制し、スパッタリング初期から末
期まで成膜速度を低下させず、最後まで使い切ることの
できる高密度な焼結体の開発が切望されていた。
した従来技術の問題に鑑み、太陽電池や液晶表示素子な
どの透明導電膜の材料として広範に使用でき、長時間電
力を投入してスパッタリングした場合でも、アーキング
が発生せず膜の特性が劣化しにくく、かつ最後まで使い
切ることのできる酸化インジウム焼結体、その製造方法
及びそれを用いたスパッタリングターゲットを提供する
ことにある。
解決するために鋭意研究を重ねた結果、実質的に酸化イ
ンジウム及びゲルマニウムからなる焼結体であって、相
対密度を高密度とし、かつ該焼結体の表面粗さ(Rma
x)を特定値以下にすれば、スパッタリングの際にノジ
ュールが発生しにくく、膜の特性劣化を抑制できる酸化
インジウム焼結体、スパッタリングターゲットが得られ
ることを見出し、本発明を完成させた。
実質的に酸化インジウム及びゲルマニウムからなる焼結
体であって、相対密度が97%以上であり、かつ表面粗
さ(Rmax)が3.0μm以下であることを特徴とす
る酸化インジウム焼結体が提供される。
の発明において、ゲルマニウムの含有量が、インジウム
に対する原子比で0.01〜0.1であることを特徴と
する酸化インジウム焼結体が提供される。
又は第2の発明において、酸化インジウム、酸化ゲルマ
ニウムの粉体を原料とし、これを成形し、この表面に酸
素ガスを流通させながら焼結することを特徴とする酸化
インジウム焼結体の製造方法が提供される。
〜3の発明のいずれかの酸化インジウム焼結体を用い、
このエロージョン部分を盛り上がった形状に整えてなる
スパッタリングターゲットが提供される。
結体、その製造方法及びそれを用いたスパッタリングタ
ーゲットについて詳細に説明する。
を含み、(2)相対密度が97%以上であり、かつ
(3)表面粗さ(Rmax)が3.0μm以下、すなわ
ち表面の凹凸が極めて小さい焼結体である。
トがGe元素を含むのは、かかるターゲットから膜を作
製すると、酸化インジウム膜中の原子価が3価であるイ
ンジウム位置に原子価4価のゲルマニウムが占有し、こ
れによってキャリア電子を放出して導電率を増加できる
からである。焼結体は、実質的に酸化インジウム及びゲ
ルマニウムからなるが、ゲルマニウムの含有量が、イン
ジウムに対する原子比で0.005〜0.5、好ましく
は0.01〜0.1であるとき、所望の透明導電膜を得
ることができる。特に、低抵抗の膜を作製するために
は、ターゲット中のゲルマニウム含有量を0.02〜
0.09とするのが好ましい。なお、焼結体には、本発
明の目的を損なわない範囲内で、酸化インジウム及びゲ
ルマニウム以外の成分が添加されても良い。
よって測定した焼結密度の数値と、空孔を全く含まない
場合の理論密度を基に、(焼結密度/理論密度)×10
0(%)の式から算出した値であり、97%以上、好ま
しくは98%以上とする。ここで、相対密度を算出する
際に用いた各組成における理論密度は、粉末X線回折で
求めた格子定数と、酸素欠陥がなく、Geが全て正規の
In位置に置換したときの単位胞の重量から算出する。
相対密度は、任意の箇所で測定して98%が好ましく、
この密度は、平面方向にわたって一様であることが望ま
しい。
さだけ抜き取った断面曲線の平均線に平行で、(2)こ
の断面曲線に接し、(3)この断面曲線全体を挟む二直
線の間隔の値である。ここで、基準長さとは、JIS規
格に基づいて定められた値であり、Rmaxの値によっ
て6種類の値が決められている。例えば、Rmaxが
0.8〜6.3μmであれば基準長さは0.8mmであ
り、Rmaxが6.3〜25μmであれば2.5mmと
なる。また、平均線とは、抜き取った断面曲線におい
て、被測定面の幾何学的形状をもつ線(直線または曲
線)で、かつその線から該断面曲線までの偏差の二乗和
が最小になるように設定した線である。
ターゲットは、焼結体密度が低くなってから長時間スパ
ッタリングすると、エロージョン近傍にノジュールが発
生して成膜中にアーキングが起きやすく、このような状
態で成膜すると低抵抗の膜が得られなかった。本発明者
の実験によると、ノジュールの生じやすさは、焼結体の
密度とスパッタ面の表面粗さに関連があり、相対密度を
97%以上にしてスパッタ面の表面粗さ(Rmax)を
3.0μmにすることが、ノジュール、アーキングを抑
制する必須条件であることが究明された。
よって製造できるが、これ以外の方法も採用でき、特に
限定されない。粉末焼結法は、原料粉末から成形体を形
成する工程と、該成形体を炉に入れて焼結させる工程か
らなる製造方法である。原料粉末から成形体を形成する
工程では、酸化インジウム、ゲルマニウムからなる原料
粉末を混合し、これを成形する。焼結工程は、こうして
得られた成形体を、炉内の炉床板、セッター上に載置
し、酸素雰囲気下に焼結する工程である。
マニウムは、所望の重量比で混合する。酸化インジウ
ム、酸化ゲルマニウムは、いずれも平均粒径が3μm以
下、好ましくは1μm以下の粉末を用いる。原料粉末は
公知の装置を用いて混合、撹拌すればよいが、特に、ジ
ルコニア製ボールなどを用いた湿式ボールミルで、10
〜20時間混合するのが好ましい。ろ過、乾燥後、必要
により、バインダーとしてポリビニルアルコール(PV
A)などを添加して造粒した後、10〜100μm、好
ましくは30〜50μmの範囲に整える。こうして得た
顆粒は、例えば1000kg/cm3以上で加圧成形し
て成形体とする。
形体の下面と炉床板との間及び該成形体の上面と天井板
との間に、酸素ガスが流通するに十分な間隔を設けてお
き、次いで、1000℃以上の温度で、該成形体の表面
に酸素ガスを流通させることにより、該炉内の酸素雰囲
気を置換しながら、1400℃以上の焼結温度に保持
し、3〜10時間かけて焼結させる。
されないが、通常、加熱雰囲気を制御し易い電気炉が採
用される。炉の上部、下部には炉床板、天井板が配置さ
れ、該炉床板にはセッター、敷き粉を介して成形体が載
るように構成されている。敷き粉は、特に限定されない
が、成形体がセッターに融着するのを防ぐ材料であっ
て、焼結温度でも溶融しない無機物質が使用される。敷
き粉は微細な粉末状態のままセッター上へ均等に分散さ
せるか、または均一な厚みに成形したシートを用いるの
が好ましい。
形体の下面、また、成形体の上側から天井板を一定間隔
あけて、成形体へ十分に酸素の流れを取り込むようにす
るのが好ましい。間隔が狭いと、成形体の表面に酸素ガ
スが均等に流れにくく、密度むらが生じ、また、成形体
が炉床や天井板と接近しすぎても、成形体内の外周部と
中央部で加熱むらが発生しやすい。逆に、成形体の表面
から炉床や天井板までの間隔があきすぎると、炉内に成
形体を設置する空間に無駄ができ、酸素も多量に消費す
るので経済的ではない。
1000℃になったところで、常圧において、成形体の
上部及び下部の表面に酸素ガスの流通を開始し、炉内の
酸素雰囲気を置換させつつ、1400℃を超えたら、焼
結温度で3時間以上、好ましくは5時間以上保持する。
その後、酸素ガスの流通を実質的に止めて、最後に冷却
する。このように本発明の焼結工程は、予備焼結工程、
本焼結工程、及び冷却工程からなり、必要により更に再
焼結工程を付加してもよい。
酸素ガスを成形体の上部及び下部の表面に流通させて、
焼結温度で1時間以上保持する工程であるが、焼結温度
を1450〜1550℃に設定するのであれば、保持時
間は3〜10時間を目安とすればよい。焼結中、成形体
内部は、温度のばらつきを±20℃以下に抑えるため
に、成形体の表面で温度ばらつきが±10℃以下となる
ように注意する。上記のように、成形体上面から天井
板、炉床から成形体下面の間隔を一定に調整したが、こ
れは温度の安定化にも効果がある。
たり1〜10リットル/分、好ましくは3〜8リットル
/分の割合で導入し、流通させるのが好ましい。流通量
が小さすぎると、成形体の密度を上げ難くなるばかり
か、組成ずれを起こし易くなる。また、流通量が多過ぎ
ると、酸素気流によって焼結体の表面が過冷却され、温
度むら、密度むらが生じて、焼結体の反り量が増大して
しまう。
未満でもよいが、近年、特に大型化しているターゲッ
ト、例えば、焼結体サイズが300mm×300mm×
6mm程度、特に400×500mm×10mm程度
と、ターゲットが大型で厚くなるほど、全体の温度分布
が制御しにくくなるので、好ましくは60分以上かけ保
持させる。これにより、平面方向、厚み方向がおおむね
均一に加熱され、焼結密度や表面粗さがばらつくのを大
幅に低減でき、更には焼結収縮時、加熱が不均一になっ
て発生した反りも、焼結体の自重によって軽減される。
素ガスの流通を止めて冷却工程に移る。冷却工程は、3
〜15℃/分の速度で降温する工程である。再焼結工程
は、冷却工程を終えてから、再度、焼結温度にして焼結
体を加熱する工程である。本焼成工程と同様に、30分
以上保持すればよい。焼結温度が1450〜1550℃
であれば、保持時間は30分〜2時間を目安とすればよ
い。この工程を付加することにより、炉内全体の温度が
均一になり、結果的に焼結体の均熱性が向上し、結晶の
平均粒径、焼結体の表面粗さを一定の範囲内に制御でき
る。再焼結工程は冷却工程の後で行ってもよい。
工し、所定の寸法にしてから、バッキングプレートに貼
り付けることにより、本発明のスパッタリングターゲッ
トとすることができる。カップ砥石を用いた平面研削等
により消耗量の多い部分、すなわちエロージョン部分を
盛り上がった形状に整え、仕上げることも有用である。
こうして焼結体ターゲットにおけるエロージョン部分の
材料を予め増加させておくことで、ターゲット材料の利
用効率を上げることができる。また、必要により数枚の
タイルを分割形状にならべても良い。
もつGe添加酸化インジウム系焼結体ターゲットを用
い、ガス圧、成膜ガスの種類、ターゲット−基板間距
離、成膜パワーを一定にして、連続スパッタ実験および
評価試験を実施した。この結果、ターゲット表面の黒色
突起物の発生量や、アーキングの発生・成膜速度の低下
が始まる積算投入電力は、ターゲットの相対密度と表面
粗さに大きく依存することが分かった。すなわち、相対
密度が高く、表面粗さが小さいほど、黒色突起物の発生
量は少なく、アーキングの発生・成膜速度の低下が始ま
る積算投入電力値は大きいことが把握できた。
度が低い(90〜95%)場合には、スパッタによって
表面が削り取られると、ターゲット中に存在していた空
孔が表面に出て、この空孔が表面の凹部を形成する。表
面の凹部では、スパッタされた粒子が凹部の壁に付着し
て堆積し、成長して突起物が形成される。また、ターゲ
ット表面が粗い場合は、既に凹部が表面にできている状
態なので、この場合でも同様の機構で突起物が形成され
る。ターゲットの相対密度が低いほど、また表面粗さが
大きいほど、表面に凹部が多く形成されるため、突起物
が多く形成される。これがターゲット表面に形成される
前述の黒色突起物である。そして、この突起物が成長す
ると、放電中にプラズマが集中し、アーキングの発生・
成膜速度の低下が始まって、膜特性の悪化につながる。
本発明者は、ターゲット表面の黒色突起物の発生量が少
なくて、アーキングの発生・成膜速度の低下といった問
題を生じないターゲットの条件は、(1)相対密度が9
7%以上、(2)スパッタ面の表面粗さ(Rmax)が
3.0μm以下であることを究明した。
なわち相対密度が高く、表面粗さが小さい焼結体を採用
したターゲットであれば、スパッタリングが進み、一定
のエロージョン深さに達しても、異常放電回数を急激に
増加させないので、成膜する際にパワーを上げたり、タ
ーゲットの表面をクリーニングする等の処理が不用にな
る。従って、本発明の焼結体ターゲットを用いれば、ノ
ジュールを効果的に抑制できるので、ターゲットを掘り
きるまで使え、安定的に低抵抗の透明導電膜を製造する
ことができる。焼結体は、表面部よりも内部の方で空孔
数が増加しやすいとされているが、最もエロージョンが
深い厚み付近になっても安定してスパッタリングするに
は、特に相対密度が98%以上で、表面粗さが、2.9
μm以下であるターゲットを採用すればよい。
するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるも
のではない。
2O3粉末、および平均粒径が1μm以下のGeO2粉
末を原料粉末として用い、このIn2O3粉末、GeO
2粉末を樹脂製ポットに入れ、湿式ボールミルで混合し
た。この際、硬質ZrO2ボールを用い、混合時間を1
8時間とした。混合後にスラリーを取り出し、濾過、乾
燥、造粒した。次に、この造粒物に冷間静水圧プレスで
3ton/cm2 の圧力を掛けて成形した。最後に、
成形体を次のようにして焼結した。炉内容積0.1m3
当たり5リットル/分の割合で、焼結炉内の大気に酸素
を導入する雰囲気中、1500℃で5時間焼結した。こ
の際、1℃/分で昇温し、焼結後の冷却の際は酸素導入
を止め、1100℃まで10℃/分で降温した。焼結体
を直径152mm、厚み5mmの大きさの円柱状に加工
し、スパッタ面をカップ砥石で磨いて、エロージョン部
分が盛り上がった形状にした。これを無酸素銅製のバッ
キングプレートに金属インジウムを用いてボンディング
し、Ge/In原子比が0.05であるゲルマニウム含
有酸化インジウム焼結体ターゲットを製造した。
結密度およびスパッタ面表面粗さ(Rmax)を測定し
た。その結果、ターゲットは相対密度が99%、Rma
xが1.6μmであった(表1)。直流マグネトロンス
パッタリング装置の非磁性体ターゲット用カソードに、
この焼結体ターゲットを取り付けた。そして、直流プラ
ズマを発生させて、連続スパッタリングを開始してから
アーキングが発生し始めるまでの積算投入電力、および
アーキングが発生し始めた時のエロージョンの最深深さ
(スパッタ面の反対面からの距離)を測定するため、タ
ーゲット−基板間距離を70mmとし、純度99.99
99重量%のArガスを導入して、ガス圧を0.5Pa
とし、DC500Wでスパッタリングを実施した(アー
キング試験)。その結果、積算投入電力が増加して連続
スパッタ終了時点になっても、アーキングがなく、黒色
突起物が表面に発生せず、そのため、このターゲットを
最後まで使い切ることができた。この結果を表1に示
す。また、成膜の初期と終期において、(1)成膜速
度、(2)膜の比抵抗、(3)膜の透過率特性(波長:
1000nm)を測定した(成膜速度試験・膜特性試
験)。その結果、上記(1)〜(3)のいずれも、積算
投入電力が増大しても成膜初期の頃と比べて変化がな
く、望ましい低抵抗値および高透過率を有していた。
度をもつ焼結体を得るために、焼結の際、炉内容積0.
1m3当たりの導入酸素の割合および焼結温度(最高到
達温度)を変え、4〜5リットル/分、1450℃の条
件とした。また、種々のスパッタ面表面粗さ(Rma
x)をもつ焼結体を得るために、焼結体を磨く際に用い
るカップ砥石の種類を変えた。これら以外は実施例1と
同様に試験した。相対密度およびスパッタ面表面粗さ
(Rmax)を表1に示す。アーキング試験の結果は、
いずれも実施例1と同様で、表1に示すとおりであっ
た。また、成膜速度試験および膜特性試験の結果、いず
れも、積算投入電力が増大しても成膜初期の頃と比べて
変化がなく、望ましい低抵抗値および高透過率を有して
いた。
結体を得るために、焼結の際に、導入酸素の割合および
焼結温度(最高到達温度)を変え、3〜4リットル/
分、1200〜1300℃の条件とした。また、種々の
スパッタ面表面粗さ(Rmax)をもつ焼結体を得るた
めに、焼結体を磨く際に用いるカップ砥石の種類を変え
て磨いた。これら以外は実施例1と同様に試験した。相
対密度およびスパッタ面表面粗さ(Rmax)を表1に
示す。アーキング試験の結果、いずれも、積算投入電力
が増加するとアーキングが発生し、黒色突起物が大量に
発生し、これらのターゲットをそのまま使うことができ
なくなり、表1に示すとおりであった。また、このよう
な相対密度及びスパッタ面表面粗さ(Rmax)を有す
るが、エロージョン部を盛り上げた形状に加工したター
ゲットを用いて、同様の試験を実施したが、積算投入電
力の増加とともにアーキングが発生し、黒色の突起物が
大量に発生した。
く、かつ表面粗さ(Rmax)が小さいと、長時間スパ
ッタリングしてもアーキングが発生しにくいことが分か
る。アーキングが多発し始めたときには、ターゲットの
エロージョン近傍にはノジュールが大量に発生してお
り、この膜の比抵抗と可視光透過率は、アーキングを発
生させずに作製した膜と比べて、大幅に悪化していた。
本発明に従った相対密度97%以上、スパッタ面の表面
粗さ(Rmax)3.0μm以下のターゲットを用いれ
ば、アーキングを発生させることなく最後まで使用する
ことができ、また、これを用いて透明導電膜を成膜すれ
ば、膜の比抵抗や可視光領域の光透過率を最後まで良好
に保つことができた。
トによれば、積算投入電力が増加してもアーキングが発
生しないため、ノジュールの発生を抑制でき、最後まで
使い切ることができる。言い換えれば、一枚のターゲッ
トから安定して製造できる透明導電膜の数を増大できる
ため、電子部品のコストを低減でき、その工業的価値は
極めて大きい。
Claims (4)
- 【請求項1】 実質的に酸化インジウム及びゲルマニウ
ムからなる焼結体であって、相対密度が97%以上であ
り、かつ表面粗さ(Rmax)が3.0μm以下である
ことを特徴とする酸化インジウム焼結体。 - 【請求項2】 ゲルマニウムの含有量が、インジウムに
対する原子比で0.01〜0.1であることを特徴とす
る請求項1に記載の酸化インジウム焼結体。 - 【請求項3】 酸化インジウム、酸化ゲルマニウムの粉
体を原料とし、これを成形し、この表面に酸素ガスを流
通させながら焼結することを特徴とする請求項1又は2
に記載の酸化インジウム焼結体の製造方法。 - 【請求項4】請求項1又は2に記載の酸化インジウム焼
結体を用い、このエロージョン部分を盛り上がった形状
に整えてなるスパッタリングターゲット。
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Cited By (4)
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