JP2000129431A - インジウム−ゲルマニウム系蒸着ターゲット及びその製造方法 - Google Patents
インジウム−ゲルマニウム系蒸着ターゲット及びその製造方法Info
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Abstract
グ)が発生せず、良好な膜特性を付与する蒸着ターゲッ
トを提供すること及び該蒸着ターゲットを効率的に製造
する方法を提供すること。 【解決手段】 インジウム−ゲルマニウム系蒸着ターゲ
ットにおいて、該ゲルマニウムの含有量をゲルマニウム
量とインジウム量の合計量に対して2〜12原子%の範
囲とし、インジウム−ゲルマニウム複合酸化物相の平均
結晶粒径を30ミクロン以下とする。またインジウム−
ゲルマニウム系蒸着ターゲットの製造方法において、ゲ
ルマニウムとインジウムとをゲルマニウムが両元素の合
計量に対して2〜12原子%の範囲となるよう混合・撹
拌して混合物を製造し、該混合物を900〜1400℃
の温度範囲で焼結する。
Description
マニウム(以下、「IGO」と記すことがある)系蒸着
ターゲットに関し、より詳細には液晶画面などに使用さ
れる透明導電膜の材料などとして用いられ、スパッタリ
ング成膜中の異常放電(アーキング)が発生することが
なく均質な膜を形成することができる蒸着ターゲットに
関するものである。
どの表示デバイスに用いられる透明電極膜は、酸化イン
ジウム(In2 O3 )にスズ(Sn)を添加したもの
(「ITO」と記すことがある)を蒸着基材として、ス
パッタリングや電子ビーム蒸着などの方法により形成さ
れる。しかしITOの焼結性が悪いと、プラズマや電子
ビームなどの外部衝突によりITOの一部が飛散し電極
膜中に混入するという不具合が生じることがあった。
特開昭61−136954号公報では、インジウム、酸
素、ケイ素及び/又はゲルマニウムを必須の構成原子と
して含有する酸化インジウム系焼結体をスパッタリング
ターゲットとしても使用することが提案されている。
ングターゲットとして使用することによりプラズマや電
子ビームによる衝撃破壊はある程度抑制されるものの、
スパッタリング成膜中に異常放電(アーキング)が発生
し、ターゲット材が成膜中に混入し、電気抵抗や可視光
透過性などの膜特性の劣化を引き起こすことがある。
みなされたものであり、スパッタリング成膜中に異常放
電(アーキング)が発生せず、良好な膜特性を付与する
蒸着ターゲットを提供するすることをその目的とする。
に製造する方法を提供することをその目的とする。
ウム−ゲルマニウム系蒸着ターゲットであって、該ゲル
マニウムの含有量が、ゲルマニウム量とインジウム量の
合計量に対して2〜12原子%の範囲であり、インジウ
ム−ゲルマニウム複合酸化物相の平均結晶粒径が30ミ
クロン以下であることを特徴とするインジウム−ゲルマ
ニウム系蒸着ターゲットが提供される。
ジウムとをゲルマニウムが両元素の合計量に対して2〜
12原子%の範囲となるよう混合・撹拌して混合物を製
造し、該混合物を900〜1400℃の温度範囲で焼結
することを特徴とするインジウム−ゲルマニウム系蒸着
ターゲットの製造方法が提供される。
マニウムを主体とする蒸着ターゲットを用いて、スパッ
タリング中に発生するアーキング現象について種々実験
・検討を行った結果、アーキング現象の主原因はIGO
系蒸着ターゲット面内に存在するゲルマニウム固溶酸化
インジウムのマトリックス相とインジウム−ゲルマニウ
ム複合酸化物相との電気抵抗の違いであることを突き止
めた。アルゴンプラズマを用いたスパッタリング法によ
る蒸着処理を例にとれば、図1を参照して、プラス帯電
を帯びたアルゴンイオンがIGO系蒸着ターゲット表面
に照射されると、相対的に電気抵抗の低いゲルマニウム
固溶酸化インジウムのマトリックス相2では、該ターゲ
ット中に電荷3が流れ込むが、相対的に電気抵抗の高い
インジウム−ゲルマニウム複合酸化物相1では、該ター
ゲット中に電荷が流れ込まず当該酸化物相1に電荷3が
蓄積され、あたかも誘電体のごとき作用をする(図1
(a))。アルゴンイオンの照射がなお継続して行われ
ると、当該酸化物相1の蓄積電荷量が増加し電気的に不
安定な状態となり、そして当該酸化物相の蓄積限界をつ
いに超えるとアーキング5が発生し、これにより当該酸
化物相1のフレーク4が辺りに散らばり、形成膜中に混
入する不具合が生じるのである(図1(b))。
明の蒸着ターゲットでは、インジウム−ゲルマニウム複
合酸化物相の平均結晶粒径が30ミクロン以下としてい
る。より好ましい平均結晶粒径は10ミクロン以下であ
る。また平均結晶粒径の好ましい下限値は0.1ミクロ
ンである。すなわち、インジウム−ゲルマニウム複合酸
化物相の上記電荷蓄積は、アルゴン照射によって注入さ
れる電荷量と当該酸化物相表面からゲルマニウム固溶酸
化インジウムのマトリックス相へ流出する電荷量との差
によって生じるものであるから、当該酸化物相の粒径が
小さくなるほど比表面積が大きくなって、当該酸化物相
からゲルマニウム固溶酸化インジウムのマトリックス相
へ流出する電荷量が増加する結果、当該酸化物相に電荷
が蓄積されずアーキング現象は抑制されるのである。粒
径と比表面積との間には、一般に下記式の関係が成立す
ることが知られている。かかる式からも、酸化物相の粒
径dが小さくなるほど比表面積は大きくなることが解
る。 1/d=比表面積/体積
ゲルマニウム複合酸化物相の平均結晶粒径を30ミクロ
ン以下とすれば、当該酸化物相の比表面積が大きくなる
ため、照射された電荷は当該酸化物相に蓄積されること
なくゲルマニウム固溶酸化インジウムのマトリックス相
へ流出しアーキング現象は起こらない。なお本発明の平
均結晶粒径は、光学顕微鏡を用い200ミクロン×20
0ミクロンの視野10カ所において、画像解析装置(M
EDIA CYBERNETICS社製のソフト「IM
AGE−PRO PLUS」)で処理して算出した円相
当径である。
は、ゲルマニウムの含有量が、ゲルマニウム量とインジ
ウム量の合計量に対して2〜12原子%の範囲とする点
にある。好ましい含有量は、3.0〜8.0原子%の範
囲であり、より好ましくは5.0〜7.0原子%の範囲
である。ゲルマニウムの含有量が2原子%未満の場合、
スパッタリングにより成膜した透明導電膜中のゲルマニ
ウムによるキャリア電子放出に起因する電気抵抗率の低
下が充分でなく高電気抵抗な膜となってしまうという不
具合が生じ、他方含有量が12原子%を超える場合、容
易に非晶質な膜が得られるが、可視光透過率が80%未
満と色ずいた膜になってしまうという不具合が生じる。
ウム、インジウム、酸素が主たる構成元素であるが、本
発明の効果を害しない範囲においてその他にスズ、亜
鉛、ケイ素、アルミニウム、チタン等を含んでいてもよ
い。
特に限定はないが、後述する本願請求項2に係る製造方
法が好ましい。以下本願請求項2の製造方法について説
明する。まずゲルマニウムとインジウムとをゲルマニウ
ムが両元素の合計量に対して2〜12原子%の範囲とな
るように混合・撹拌を行い混合物を製造する。
まで公知の混合機を使用することができ、例えばボール
ミル、アトライタ、ロッドミル、ダブルコーンブレン
ダ、V型混合機、リボン型混合機などを使用することが
できる。混合・撹拌時間は、混合材料の種類や量、混合
・撹拌機の種類などによって異なり、ゲルマニウムとイ
ンジウムが均一混合するよう予備実験結果などから適宜
定めればよい。
後、900〜1,400℃の温度範囲で焼結される。好
ましい焼結温度範囲は1,000〜1,350℃であ
り、より好ましい温度範囲は1,200〜1,350℃
である。焼結温度が900℃未満の場合、酸化インジウ
ムと酸化ゲルマニウムの共晶反応や粉末同士の緻密化反
応が起こらないため、焼結体自体の密度が上がらず、機
械的強度低下による割れや粉末欠落によるパーティクル
発生が生じターゲットとして使用することができない。
他方、焼結温度が1,400℃を超えると、In−Ge
複合酸化物相の結晶粒径が大きくなりすぎ、30ミクロ
ン以上の結晶粒径のものが多数発生してしまう。
ス法、遠心力加圧法、押出し法、冷間静水圧加圧法(C
IP)など公知の成形法を使用することができる。後述
する焼結をホットプレス焼結法、カプセル熱間静水圧処
理(HIP)焼結法で行う場合には加圧成形は必ずしも
行う必要はない。常温加圧の場合、圧力は一般に1to
n/cm2 以上が必要であり、好ましい上限は5ton
/cm2 である。
公知の焼結炉が使用でき、例えば間接加熱式、直接通電
加熱式、炭素管抵抗加熱式、高周波加熱式等の電気加熱
式焼結炉;ガス加熱式焼結炉;ホットプレス;HIPな
どを使用することができる。
えば空気雰囲気;酸素と一酸化炭素、二酸化炭素、窒
素、アルゴン、水素、水蒸気などとの混合気体雰囲気;
真空中やアルゴン、窒素などの酸素を含有しない雰囲気
としてもよく、この中でも空気雰囲気が好ましく、酸素
混合気体雰囲気がより好ましい。使用する雰囲気中の酸
素分圧を調整することにより蒸着ターゲットの導電性を
制御することができる。
る焼結炉や焼結材料などからIn−Ge複合酸化物相の
結晶粒径が30ミクロン未満となる範囲で適宜調整すれ
ばよい。
n、In2 O3 、Inの水酸化物、塩化物、硫酸塩、硝
酸塩などを使用することができる。In2 O3 以外のイ
ンジウムを用いる場合、酸素を含有する雰囲気下での仮
焼あるいは焼結の過程で酸化物に変えて焼結体中に取り
込んでもよい。
Ge、GeO、GeO2 の他、Geの水酸化物、塩化物
などを使用することができる。インジウムの場合と同様
に、酸化物以外のゲルマニウムを用いる場合は、酸素を
含有する雰囲気下での仮焼あるいは焼結の過程で酸化物
に変えて焼結体中に取り込んでもよい。
してIn−GeあるいはIn−Ge複合酸化物を使用し
てもよい。
ターゲットは、いずれのスパッタ成膜法にも使用するこ
とができ、例えば2極スパッタ方式、3極/4極スパッ
タ方式マグネトロンスパッタ方式などのプラズマ方式;
イオンビームスパッタ方式、電子サイクロトロン共鳴ス
パッタ方式などのビーム方式に用いることができる。
さらに詳細に説明する。実施例中で「部」、「%」は、
特に断りのない限り、それぞれ「重量部」、「重量%」
を表すものとする。
4.6部をボールミルに投入し、回転数60rpmで2
4時間混合撹拌し混合物を作製した。つぎに1ton/
cm2の金型プレス成形機を用いて、直径150mm×
厚さ10mmのサンプル成形体を作製した。酸素雰囲気
に置換した抵抗加熱炉に該サンプル成形体を入れ、温度
1,000℃で2時間焼結を行いターゲットを製造し、
下記項目の評価を行った。結果を表1に示す。
製作所製)に蒸着ターゲットを装着し、スパッタガスと
してAr2.0%O2 を使用し、ガス圧2mTorr、
出力500Wで10分間DCマグネトロンスパッタリン
グ処理を行い、アーキングの発生回数をノイズ測定機に
より測定した。また測定終了直前にガラス基板上に厚さ
1,500オングストロームの膜を形成させ、該膜の電
気抵抗を測定した。
及び焼結温度を表1の条件に変えた以外は実施例1と同
様にしてターゲットを作製し、実施例1と同様に評価を
行った。結果を表1に示す。
内であり、インジウム−ゲルマニウム複合酸化物相の平
均結晶粒径が30ミクロン以下である実施例1〜7の蒸
着ターゲットでは、成膜中のアーキングは2以下と実用
上問題のレベルであり、特に実施例1〜5の蒸着ターゲ
ットではアーキングがまったく発生しなかった。また膜
電気抵抗も13.8(10-4Ωcm)以下と良好な結果
が得られた。一方、インジウム−ゲルマニウム複合酸化
物相の平均結晶粒径が30ミクロンより大きい比較例1
〜6の蒸着ターゲットでは15回以上ものアーキングが
発生し、また形成された膜の電気抵抗も実施例のものに
比べ格段に高い値を示し、実用に耐えないものであっ
た。
着ターゲットでは、スパッタリング成膜中に異常放電
(アーキング)が発生せず、良好な膜特性が付与するこ
とができる。また本発明の製造方法によれば、インジウ
ム−ゲルマニウム複合酸化物相の平均結晶粒径を30ミ
クロン以下としたターゲットが効率的に製造することが
できる。
図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 インジウム−ゲルマニウム系蒸着ターゲ
ットであって、 該ゲルマニウムの含有量が、ゲルマニウム量とインジウ
ム量の合計量に対して2〜12原子%の範囲であり、 インジウム−ゲルマニウム複合酸化物相の平均結晶粒径
が30ミクロン以下であることを特徴とするインジウム
−ゲルマニウム系蒸着ターゲット。 - 【請求項2】 ゲルマニウムとインジウムとをゲルマニ
ウムが両元素の合計量に対して2〜12原子%の範囲と
なるよう混合・撹拌して混合物を製造し、該混合物を9
00〜1400℃の温度範囲で焼結することを特徴とす
るインジウム−ゲルマニウム系蒸着ターゲットの製造方
法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP30425198A JP3896218B2 (ja) | 1998-10-26 | 1998-10-26 | インジウム−ゲルマニウム系蒸着ターゲット及びその製造方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003055049A (ja) * | 2001-08-22 | 2003-02-26 | Sumitomo Metal Mining Co Ltd | 酸化インジウム焼結体、その製造方法及びそれを用いたスパッタリングターゲット |
JP2010202930A (ja) * | 2009-03-03 | 2010-09-16 | Nippon Mining & Metals Co Ltd | 酸化物焼結体ターゲット、該ターゲットの製造方法、透明導電膜および該透明導電膜の製造方法 |
US20220307124A1 (en) * | 2019-06-28 | 2022-09-29 | Ulvac, Inc. | Sputtering target and method of producing sputtering target |
-
1998
- 1998-10-26 JP JP30425198A patent/JP3896218B2/ja not_active Expired - Fee Related
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US20220307124A1 (en) * | 2019-06-28 | 2022-09-29 | Ulvac, Inc. | Sputtering target and method of producing sputtering target |
US12012650B2 (en) * | 2019-06-28 | 2024-06-18 | Ulvac, Inc. | Sputtering target and method of producing sputtering target |
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