JP2000178725A - 酸化亜鉛系焼結体ターゲット - Google Patents

酸化亜鉛系焼結体ターゲット

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JP2000178725A
JP2000178725A JP10354975A JP35497598A JP2000178725A JP 2000178725 A JP2000178725 A JP 2000178725A JP 10354975 A JP10354975 A JP 10354975A JP 35497598 A JP35497598 A JP 35497598A JP 2000178725 A JP2000178725 A JP 2000178725A
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Takayuki Abe
能之 阿部
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長時間電力を投入してもアーキングが発生し
ない酸化亜鉛系焼結体ターゲットを提供する。 【解決手段】 (1)周期律表の第III族元素を1種以
上含み、(2)相対密度が97%以上であり、かつ
(3)スパッタ面の表面粗さRmaxが3.0μm以下
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明導電膜をスパ
ッタリングで製造する際に用いられる酸化亜鉛系焼結体
ターゲットに関する。
【0002】
【従来の技術】透明導電膜は、可視光領域での高い透過
率と高い導電性を有し、液晶表示素子や太陽電池などの
各種受光素子の電極に利用され、また、自動車用・建築
材用の熱線反射膜・帯電防止膜や、冷凍ショーケースな
どの防曇用透明発熱体に広範に利用されている。
【0003】このような透明導電膜としては、錫をドー
パントとして含む酸化インジウム(I23 )膜や、周
期律表の第III 族元素を1種以上ドーパントとして含む
酸化亜鉛膜が知られている。
【0004】錫をドーパントとして含む酸化インジウム
膜はITO膜と称され、低抵抗膜が容易に得られる。し
かし、ITO膜は原料が希少金属であるインジウムであ
り高価なため、この膜を用いたとき低コスト化には限界
がある。また、インジウムは、資源埋蔵量が少なく、亜
鉛鉱処理などの副産物として得られるにすぎないため、
ITO膜の大幅な生産量増大や安定供給は困難である。
【0005】これに対して、酸化亜鉛を主成分とし周期
律表の第III 族元素を含む酸化亜鉛膜は、主原料である
亜鉛が極めて低価格であり、かつ埋蔵量・生産量ともに
極めて多いため、ITO膜のような資源枯渇や不安定供
給の問題がない。
【0006】酸化亜鉛(ZnO)は酸化物半導体であ
り、化学量論組成からのずれによる酸素空孔などの真性
欠陥がドナー準位を形成しn型特性を示す。この酸化亜
鉛に周期律表の第III 族元素を含有させると、伝導電子
が増加し比抵抗が減少する。酸化亜鉛に含ませる周期律
表の第III 族元素は、アルミニウム(特開平6−213
0号公報)、ガリウム(特開平6−25838号公
報)、硼素(特開昭61−205619号公報)などが
知られている。
【0007】酸化亜鉛系透明導電膜の製造に際しては、
スパッタリング法が工業的に広範に用いられる。それ
は、蒸気圧の低い材料の成膜を必要とする際や精密な膜
厚制御を必要とする際に、スパッタリング法が有効な手
法であり、操作が非常に簡単であるためである。
【0008】一般に、スパッタリング法は約10Pa以
下のガス圧のもとで、陽極となる基板と陰極となるター
ゲットとの間にグロー放電を起こしてアルゴンプラズマ
を発生させ、プラズマ中のアルゴン陽イオンを陰極のタ
ーゲットに衝突させ、これによってはじきとばされるタ
ーゲット成分の粒子を基板上に堆積させて膜を形成する
方法である。アルゴンプラズマを発生させる方法によ
り、高周波プラズマを用いる高周波スパッタリング法と
直流プラズマを用いる直流スパッタリング法がある。タ
ーゲットが導電性を有しているときにはいずれのスパッ
タリング法でも適用することができるが、ターゲットが
絶縁体である場合には高周波スパッタリング法に限定さ
れる。
【0009】スパッタリング法で酸化亜鉛系透明導電膜
を製造する場合、アルミニウム、ガリウム、硼素などの
周期律表の第III 族元素を含み酸化亜鉛を主成分とする
酸化亜鉛系焼結体ターゲットが用いられる。しかしなが
ら、このようなターゲットに長時間電力を投入すると、
ターゲット表面に黒色の突起物が発生し始め、投入した
総電力量が増すにつれて突起物発生量も増加する。そう
なると、スパッタ中にアーキングが発生し、成膜速度低
下や膜の比抵抗増加・光透過特性悪化などの問題が生じ
る。そのため、ターゲットが完全に消費されていない時
点で早めにターゲットを交換しなければならなかった
り、ターゲット表面の黒色突起物を機械的に削って除去
しなければならなかったりする。このようなことは、酸
化亜鉛系透明導電膜を大量に、かつ安価に製造する上
で、大きな障害となっていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事情に
鑑み、長時間電力を投入してもアーキングが発生しない
酸化亜鉛系焼結体ターゲットを提供することを目的とす
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の酸化亜鉛系焼結
体ターゲットは、上記目的を達成するために、(1)周
期律表の第III 族元素を1種以上含み、(2)相対密度
が97%以上であり、かつ(3)スパッタ面の表面粗さ
Rmaxが3.0μm以下である。従って、ターゲット
表面の凹凸が極めて小さい。
【0012】周期律表の第III 族元素は、ガリウム、ア
ルミニウム、硼素を例示することができる。
【0013】表面粗さRmaxとは、(1)基準長さだ
け抜き取った断面曲線の平均線に平行で、(2)この断
面曲線に接し、(3)この断面曲線全体を挟む二直線の
間隔の値である。ここで、基準長さとは、JIS規格に
基づいて定められた値であり、Rmaxの値によって6
種類の値が決められている。例えば、Rmaxが0.8
〜6.3μmでは0.8mmであり、Rmaxが6.3
〜25μmでは2.5mmである。また、平均線とは、
抜き取った断面曲線において被測定面の幾何学的形状を
もつ線(直線または曲線)で、かつその線から該断面曲
線までの偏差の二乗和が最小になるように設定した線で
ある。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明者は、種々の相対密度と表
面粗さをもつ酸化亜鉛系焼結体ターゲットを用い、ガス
圧、成膜ガスの種類、ターゲット−基板間距離、成膜パ
ワーを一定にして、連続スパッタ実験および評価試験を
実施した。この実験・試験によると、ターゲット表面の
黒色突起物の発生量や、アーキングの発生・成膜速度の
低下が始まる積算投入電力は、ターゲットの相対密度と
表面粗さに大きく依存する。すなわち、相対密度が高
く、表面粗さが小さいほど、黒色突起物の発生量は少な
く、アーキングの発生・成膜速度の低下が始まる積算投
入電力値は大きかった。
【0015】この理由は次のように説明できる。相対密
度が低い(90〜95%)場合には、スパッタによって
表面が削り取られるとターゲット中に存在していた空孔
が表面に出る。表面に出た空孔が表面の凹部を形成す
る。表面の凹部では、スパッタされた粒子が凹部の壁に
付着して堆積し、成長して突起物が形成される。また、
ターゲット表面が粗い場合は、上記凹部が表面にすでに
できている状態であるので、この場合でも上記と同様の
機構で突起物が形成される。ターゲットの相対密度が低
いほど、表面粗さが大きいほど、表面の凹部が多く形成
されるため、突起物が多く形成される。これがターゲッ
ト表面に形成される前述の黒色突起物である。この突起
物が成長すると、放電中にプラズマが集中し、アーキン
グの発生・成膜速度の低下が始まって、膜特性の悪化に
つながる。
【0016】本発明者の実験・試験によると、ターゲッ
ト表面の黒色突起物の発生量が少なくてアーキングの発
生・成膜速度の低下といった問題が生じないターゲット
は、(1)相対密度が97%以上、(2)スパッタ面の
表面粗さRmaxが3.0μm以下である。
【0017】また、本発明の焼結体ターゲットを、消耗
量の多い部分、すなわちエロージョン部分が盛り上がっ
た形状にすると、ターゲット材料の利用効率を上げるこ
とができる。
【0018】なお、本発明の酸化亜鉛系焼結体ターゲッ
トは、周期律表の第III 族元素を1種以上を含む。とい
うのは、周期律表の第III 族元素の1種以上が、ターゲ
ットを製造する焼結においてZnO中に固溶しZnO成
分の蒸発を抑制するとともに、酸素空孔などの真性欠陥
を生じさせるため、高密度・高導電性の焼結体とするの
に大きく寄与するからである。周期律表の第III 族元素
の1種以上は0.2〜14原子%含有させるのが好まし
い。
【0019】従って、本発明の焼結体ターゲットを用い
れば、ターゲットを掘りきるまで安定して酸化亜鉛系透
明導電膜を製造することができる。
【0020】次に本発明の酸化亜鉛系焼結体ターゲット
の製造方法の一例について説明する。なお、この製法、
特に高密度焼結体の製法は、本出願人が提案した特願平
9−111088号〜特願平9−111092号、特願
平9−115764号および特願平10−140192
号の明細書に詳細に開示した。
【0021】(1)原料粉末 すべての原料粉末(酸化物粉末)の平均粒径を1μm以
下とする。ただし、硼素を含む原料粉末は、B23
分が低融点で焼結の際に蒸発してしまうため、他の酸化
物との複合酸化物からなり一次粒子の平均粒径が5μm
以下の粉末が好ましい。
【0022】(2)焼結 相対密度が97%以上の焼結体を得るために、酸素雰囲
気下1300〜1500℃の高温で焼結する。
【0023】(3)焼結体の表面仕上げ 焼結体スパッタ面の表面粗さRmaxを3.0μm以下
にするために、目の細かい(例えば#800程度以上
の)カップ砥石で磨く。通常の表面粗さRmaxは2.
0μm以上である。
【0024】なお、従来は#100程度の平面研削砥石
で加工していたので、スパッタ面の表面粗さRmaxは
7μm程度であった。
【0025】
【実施例】以下、実施例によって本発明をより具体的に
説明する。
【0026】[実施例1]5原子%のガリウムを含み、
直径152mm、厚み5mmの酸化亜鉛系焼結体ターゲ
ットを製造した。
【0027】平均粒径が1μm以下のZnO粉末、およ
び平均粒径が1μm以下のGa23 粉末を原料粉末と
した。ZnO粉末とGa23 粉末を樹脂製ポットに入
れ湿式ボールミル混合した。この際、硬質ZrO2 ボー
ルを用い、混合時間を18時間とした。混合後スラリー
を取り出し、濾過、乾燥、造粒した。
【0028】造粒物を冷間静水圧プレスで3ton/c
2 の圧力を掛けて成形した。
【0029】次に、成形体を次のように焼結した。炉内
容積0.1m3 当たり5リットル/分の割合で焼結炉内
の大気に酸素を導入する雰囲気で、1500℃で5時間
焼結した。この際、1000℃までを1℃/分、100
0〜1500℃を3℃/分で昇温した。その後に酸素導
入を止め、1500℃から1300℃までを10℃/分
で降温した。そして、炉内容積0.1m3 当たり10リ
ットル/分の割合でArを導入する雰囲気で、1300
℃を3時間保持した後、放冷した。
【0030】焼結体のスパッタ面をカップ砥石で磨い
た。
【0031】製造された焼結体ターゲットについて、焼
結密度およびスパッタ面表面粗さRmaxを測定した。
その結果は、焼結密度が99%、Rmaxが1.5μm
であった。これらを表1に示す。
【0032】直流マグネトロンスパッタリング装置の非
磁性体ターゲット用カソードに上記焼結体ターゲットを
取り付けた。そして、直流プラズマを発生させて連続ス
パッタリングを開始してからアーキングが発生し始める
までの積算投入パワー、およびアーキングが発生し始め
た時のエロージョンの最深深さ(スパッタ面の反対面か
らの距離)を測定するため、ターゲット−基板間距離を
70mmとし、純度99.9999重量%のArガスを
導入してガス圧を0.5Paとし、DC500Wでスパ
ッタリングを実施した(アーキング試験)。その結果、
積算投入電力が増加して連続スパッタ終了時点になって
も、アーキングが発生せず黒色突起物が表面に発生して
いなかった。この結果を表1にも示す。そのため、この
ターゲットを最後まで使い切ることができる。
【0033】また、成膜の初期と終了期において、
(1)成膜速度、(2)膜の比抵抗、および(3)膜の
透過率特性(波長:1000nm)を測定した(成膜速
度試験・膜特性試験)。その結果、上記(1)〜(3)
のいずれも、積算投入パワーが増大しても成膜初期の頃
と比べて変化がなく、望ましい低抵抗値および高透過率
を有していた。
【0034】[実施例2、3]実施例1と異なる相対密
度をもつ焼結体を得るために、焼結の際に、導入酸素の
割合および焼結温度(最高到達温度)を変えた。また、
種々のスパッタ面表面粗さRmaxをもつ焼結体を得る
ために、焼結体を磨く際に用いるカップ砥石の種類を変
えた。これら以外は実施例1と同様に試験した。
【0035】焼結密度およびスパッタ面表面粗さRma
xを表1に示す。アーキング試験の結果はいずれも実施
例1と同様であった。これらの結果を表1にも示す。ま
た、成膜速度試験および膜特性試験の結果はいずれも、
積算投入パワーが増大しても成膜初期の頃と比べて変化
がなく、望ましい低抵抗値および高透過率を有してい
た。
【0036】[比較例1〜8]種々の相対密度をもつ焼
結体を得るために、焼結の際に、導入酸素の割合および
焼結温度(最高到達温度)を変えた。また、種々のスパ
ッタ面表面粗さRmaxをもつ焼結体を得るために、焼
結体を磨く際に用いるカップ砥石の種類を変えた。これ
ら以外は実施例1と同様に試験した。
【0037】焼結密度およびスパッタ面表面粗さRma
xを表1に示す。アーキング試験の結果いずれも、積算
投入電力が増加するとアーキングが発生し黒色突起物が
大量に発生していた。そのため、これらのターゲットを
そのまま使うことができなくなった。これらのデータを
表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】[実施例4]2原子%のアルミニウムを含
み、直径152mm、厚み5mmの酸化亜鉛系焼結体タ
ーゲットを製造した。
【0040】平均粒径が0.1μm以下のZnO粉末、
および平均粒径が0.1μm以下のAl23 粉末を原
料粉末とした。ZnO粉末とAl23 粉末を樹脂製ポ
ットに入れ湿式ボールミル混合した。この際、硬質Zr
2 ボールを用い、混合時間を18時間とした。混合後
スラリーを取り出し、濾過、乾燥、造粒した。
【0041】造粒物を冷間静水圧プレスで1ton/c
2 の圧力を掛けて成形した。
【0042】次に、成形体を次のように焼結した。炉内
容積0.1m3 当たり20リットル/分の割合で焼結炉
内の大気に酸素を導入する雰囲気で、1500℃で5時
間焼結した。この際、1000℃までを1℃/分、10
00〜1500℃を3℃/分で昇温した。その後に酸素
導入を止め、放冷した。
【0043】焼結体のスパッタ面をカップ砥石で磨い
た。
【0044】製造された焼結体ターゲットについて、焼
結密度およびスパッタ面表面粗さRmaxを測定した。
その結果は、焼結密度が99%、Rmaxが1.5μm
であった。これらを表2に示す。
【0045】直流マグネトロンスパッタリング装置の非
磁性体ターゲット用カソードに上記焼結体ターゲットを
取り付けた。そして、直流プラズマを発生させて連続ス
パッタリングを開始してからアーキングが発生し始める
までの積算投入パワー、およびアーキングが発生し始め
た時のエロージョンの最深深さ(スパッタ面の反対面か
らの距離)を測定するため、ターゲット−基板間距離を
70mmとし、純度99.9999重量%のArガスを
導入してガス圧を0.5Paとし、DC500Wでスパ
ッタリングを実施した。その結果、積算投入電力が増加
して連続スパッタ終了時点になっても、アーキングが発
生せず黒色突起物が表面に発生していなかった。この結
果を表2にも示す。そのため、このターゲットを最後ま
で使い切ることができる。
【0046】また、成膜の初期と終了期において、
(1)成膜速度、(2)膜の比抵抗、および(3)膜の
透過率特性(波長:1000nm)を測定した。その結
果、上記(1)〜(3)のいずれも、積算投入パワーが
増大しても成膜初期の頃と比べて変化がなく、望ましい
低抵抗値および高透過率を有していた。
【0047】[実施例5、6]実施例4と異なる相対密
度をもつ焼結体を得るために、焼結の際に、導入酸素の
割合および焼結温度(最高到達温度)を変えた。また、
種々のスパッタ面表面粗さRmaxをもつ焼結体を得る
ために、焼結体を磨く際に用いるカップ砥石の種類を変
えた。これら以外は実施例4と同様に試験した。
【0048】焼結密度およびスパッタ面表面粗さRma
xを表2に示す。アーキング試験の結果はいずれも実施
例4と同様であった。これらの結果を表2にも示す。ま
た、成膜速度試験および膜特性試験の結果はいずれも、
積算投入パワーが増大しても成膜初期の頃と比べて変化
がなく、望ましい低抵抗値および高透過率を有してい
た。
【0049】[比較例9〜15]種々の相対密度をもつ
焼結体を得るために、焼結の際に、導入酸素の割合およ
び焼結温度(最高到達温度)を変えた。また、種々のス
パッタ面表面粗さRmaxをもつ焼結体を得るために、
焼結体を磨く際に用いるカップ砥石の種類を変えた。こ
れら以外は実施例4と同様に試験した。
【0050】焼結密度およびスパッタ面表面粗さRma
xを表2に示す。アーキング試験の結果いずれも、積算
投入電力が増加するとアーキングが発生し黒色突起物が
大量に発生していた。そのため、これらのターゲットを
そのまま使うことができなくなった。これらのデータを
表2に示す。
【0051】
【表2】
【0052】[実施例7]5原子%の硼素を含み、直径
152mm、厚み5mmの酸化亜鉛系焼結体ターゲット
を製造した。
【0053】平均粒径が0.1μm以下のZnO粉末に
23 粉末を30重量%添加して混合し、900℃で
3時間仮焼することにより、平均粒径2μmのZn−B
酸化物(複合酸化物)粉末を得た。そして、上記ZnO
粉末および上記Zn−B酸化物粉末を原料粉末とした。
ZnO粉末とZn−B酸化物粉末を樹脂製ポットに入れ
湿式ボールミル混合した。この際、硬質ZrO2 ボール
を用い、混合時間を18時間とした。混合後スラリーを
取り出し、濾過、乾燥、造粒した。
【0054】造粒物を冷間静水圧プレスで3ton/c
2 の圧力を掛けて成形した。
【0055】次に、成形体を次のように焼結した。炉内
容積0.1m3 当たり20リットル/分の割合で焼結炉
内の大気に酸素を導入する雰囲気で、1500℃で5時
間焼結した。この際、800℃までを1℃/分、800
〜1500℃を3℃/分で昇温した。その後に酸素導入
を止め、放冷した。
【0056】焼結体のスパッタ面をカップ砥石で磨い
た。
【0057】製造された焼結体ターゲットについて、焼
結密度およびスパッタ面表面粗さRmaxを測定した。
その結果は、焼結密度が98%、Rmaxが2.5μm
であった。これらを表3に示す。
【0058】直流マグネトロンスパッタリング装置の非
磁性体ターゲット用カソードに上記焼結体ターゲットを
取り付けた。そして、直流プラズマを発生させて連続ス
パッタリングを開始してからアーキングが発生し始める
までの積算投入パワー、およびアーキングが発生し始め
た時のエロージョンの最深深さ(スパッタ面の反対面か
らの距離)を測定するため、ターゲット−基板間距離を
70mmとし、純度99.9999重量%のArガスを
導入してガス圧を0.5Paとし、DC500Wでスパ
ッタリングを実施した。その結果、積算投入電力が増加
して連続スパッタ終了時点になっても、アーキングが発
生せず黒色突起物が表面に発生していなかった。この結
果を表3にも示す。そのため、このターゲットを最後ま
で使い切ることができる。
【0059】また、成膜の初期と終了期において、
(1)成膜速度、(2)膜の比抵抗、および(3)膜の
透過率特性(波長:1000nm)を測定した。その結
果、上記(1)〜(3)のいずれも、積算投入パワーが
増大しても成膜初期の頃と比べて変化がなく、望ましい
低抵抗値および高透過率を有していた。
【0060】[実施例8]実施例7と異なる相対密度を
もつ焼結体を得るために、焼結の際に、導入酸素の割合
および焼結温度(最高到達温度)を変えた。また、実施
例7と異なるスパッタ面表面粗さRmaxをもつ焼結体
を得るために、焼結体を磨く際に用いるカップ砥石の種
類を変えた。これら以外は実施例7と同様に試験した。
【0061】焼結密度およびスパッタ面表面粗さRma
xを表3に示す。アーキング試験の結果は実施例7と同
様であった。この結果を表3にも示す。
【0062】また、成膜速度試験および膜特性試験の結
果はいずれも、積算投入パワーが増大しても成膜初期の
頃と比べて変化がなく、望ましい低抵抗値および高透過
率を有していた。
【0063】[比較例16〜21]種々の相対密度をも
つ焼結体を得るために、焼結の際に、導入酸素の割合お
よび焼結温度(最高到達温度)を変えた。また、種々の
スパッタ面表面粗さRmaxをもつ焼結体を得るため
に、焼結体を磨く際に用いるカップ砥石の種類を変え
た。これら以外は実施例7と同様に試験した。
【0064】焼結密度およびスパッタ面表面粗さRma
xを表3に示す。アーキング試験の結果いずれも、積算
投入電力が増加するとアーキングが発生し黒色突起物が
大量に発生していた。そのため、これらのターゲットを
そのまま使うことができなくなった。これらのデータを
表3に示す。
【0065】
【表3】
【0066】
【発明の効果】本発明の酸化亜鉛系焼結体ターゲット
は、積算投入電力が増加してもアーキングが発生しない
ため、最後まで使い切ることができる。言い換えれば、
一枚のターゲットから安定して製造できる透明導電膜の
数が増大するため、電子部品のコスト低減に結びつく。
よって、本発明は工業的な価値が極めて高い。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)周期律表の第III 族元素を1種以
    上含み、(2)相対密度が97%以上であり、かつ
    (3)スパッタ面の表面粗さRmaxが3.0μm以下
    である酸化亜鉛系焼結体ターゲット。
  2. 【請求項2】 周期律表の第III 族元素は、ガリウム、
    アルミニウムおよび硼素である請求項1に記載の酸化亜
    鉛系焼結体ターゲット。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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