JP3331584B2 - 多結晶MgO蒸着材 - Google Patents

多結晶MgO蒸着材

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JP3331584B2 JP11083497A JP11083497A JP3331584B2 JP 3331584 B2 JP3331584 B2 JP 3331584B2 JP 11083497 A JP11083497 A JP 11083497A JP 11083497 A JP11083497 A JP 11083497A JP 3331584 B2 JP3331584 B2 JP 3331584B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、AC型のプラズマ
ディスプレイパネルのMgO膜を電子ビーム蒸着法によ
成膜するための多結晶MgO蒸着材に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、液晶(Liquid Crystal Display :
LCD)をはじめとして、各種の平面ディスプレイの
研究開発と実用化はめざましく、その生産も急増してい
る。カラープラズマディスプレイパネル(PDP)につ
いても、その開発と実用化の動きが最近活発になってい
る。PDPは大型化し易く、ハイビジョン用の大画面壁
掛けテレビの最短距離にあり、既に対角40インチクラ
スのPDPの試作が進められている。PDPは、電極構
造の点で金属電極がガラス誘電体材料で覆われるAC型
と、放電空間に金属電極が露出しているDC型とに分類
される。
【0003】このAC型PDPの開発の当初は、ガラス
誘電体層が放電空間に露出していたため、直接放電にさ
らされ、イオン衝撃のスパッタリングにより誘電体層の
表面が変化して放電開始電圧が上昇していた。そのた
め、高い昇華熱を持つ種々の酸化物をこの誘電体層の保
護膜とする試みがなされた。この保護膜は直接放電用の
ガスと接しているために重要な役割を担っている。即
ち、保護膜に求められる特性は、低い放電電圧、放
電時の耐スパッタリング性、速い放電の応答性、及び
絶縁性である。これらの条件を満たす材料として、M
gOが保護膜に用いられる。このMgOからなる保護膜
は、誘電体層の表面を放電時のスパッタリングから守
り、PDPの長寿命化に重要な働きをしている。
【0004】現在、AC型PDPの上記保護膜として、
単結晶MgOの破砕品を蒸着材とする電子ビーム蒸着法
により成膜されたMgO膜が知られている。この電子ビ
ーム蒸着法によるMgO膜は1000オングストローム
/分以上の高速で成膜することができる。また成膜され
たMgO膜の結晶方位は(111)面に配向した膜が最
も低い維持電圧で駆動でき、更に膜中に存在する(11
1)面の量が増えるほど、二次電子の放出比は増大し、
駆動電圧も減少すると言われている。なお上記単結晶M
gOの破砕品は純度が98%以上のMgOクリンカや軽
焼MgO(1000℃以下で焼結されたMgO)を電弧
炉(アーク炉)で溶融することにより、即ち電融により
インゴットとした後、このインゴットから単結晶部を取
出して破砕することにより製造される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の単
結晶MgOの破砕品を蒸着材として用いた電子ビーム蒸
着法では、蒸着材に局所的に高エネルギを与えるため、
蒸着材の飛散(スプラッシュ)が発生し、蒸着効率が低
下する不具合があった。このスプラッシュの発生の防止
には蒸着材の大型化が有効であると考えられているが、
単結晶MgOの粉砕品では現行の粒径1〜5mmより大
きな粒子を、歩留り良く安定して確保することが困難で
あった。また上記従来の単結晶MgOの破砕品を蒸着材
として用いた電子ビーム蒸着法では、大面積のガラス誘
電体層に対してMgO膜を均一に成膜することが難し
く、膜厚分布に問題があった。この結果、MgO膜を成
膜したガラス誘電体層をPDPに組込んだ場合に、電気
的特性、例えば放電開始電圧や駆動電圧が、高くなった
り或いは変化したりする問題点があった。
【0006】一方、MgOクリンカや軽焼MgOは、海
水から得られるMgCl2を原料としていることが多
く、このMgCl2には比較的多くのCa,Si,Fe
等の不純物が含まれるため、これらの不純物が単結晶M
gO中に残留する。また単結晶MgOの製造過程におけ
るインゴットでは、このインゴットの中心から表面部に
向って連続的に不純物量が増加しており、このため単結
晶部の採取方法によって製品の純度が極めて容易に変動
してしまい、単結晶MgOの純度の安定性や信頼性を欠
く問題点があった。
【0007】これらの点を解消するために単結晶MgO
に代えて多結晶MgOを用いる方法も考えられる。しか
し種々の焼結助剤の添加により緻密化した高密度の多結
晶MgOでは、組織的に結晶粒界に欠陥が存在する問題
点があり、また純度を高くすると、密度が低くくなる問
題点があった。この結果、これらの多結晶MgO蒸着材
を用いて電子ビーム蒸着法にてガラス誘電体層にMgO
膜を成膜すると、結晶方位の(111)面への配向量が
減少し、このガラス誘電体層をPDPに組込んだときの
電気的特性が低下するため、多結晶MgOを蒸着材とし
て使用できなかった。
【0008】本発明の目的は、電子ビーム蒸着法にて蒸
着しても、スプラッシュを発生させずに高速でかつ均一
に成膜できる多結晶MgO蒸着材を提供することにあ
る。本発明の別の目的は、成膜されたMgO膜の電気的
特性、結晶性及び光透過性を向上できる多結晶MgO蒸
材を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
プラズマディスプレイパネル用MgO膜を電子ビーム蒸
着法により成膜するための多結晶MgO蒸着材であっ
て、MgO純度が99.0%以上かつ相対密度が90%
以上の多結晶MgOの焼結体ペレットからなり、多結晶
MgOの焼結体ペレットの平均結晶粒径が3〜100μ
mであるところにある。この請求項1に記載された多結
晶MgO蒸着材では、高純度かつ高密度の多結晶MgO
蒸着材を用いてAC型PDP等のMgO膜を成膜する
と、スプラッシュが極めて少なく高速で成膜できる。ま
た膜厚分布を向上できるので、略均一な膜厚を有するM
gO膜を得ることができる。
【0010】また上記請求項1に記載された多結晶Mg
O蒸着材では、多結晶MgOの焼結体ペレットが比較的
微細な結晶構造を有するため、成膜されたMgO膜が結
晶性及び光透過性に優れた膜となる。
【0011】請求項に係る発明は、請求項に係る発
明であって、更に多結晶MgOの焼結体ペレット中に含
まれる、Al,Si,Ca及びFeの不純物がそれぞれ
元素濃度で200ppm以下であり、Na及びKの不純
物がそれぞれ元素濃度で30ppm以下であり、Cr及
びVの不純物がそれぞれ元素濃度で10ppm以下であ
ることを特徴とする。この請求項に記載された多結晶
MgO蒸着材では、成膜されたMgO膜に含まれる不純
物が極めて少なくなるので、この膜は電気的特性、結晶
性及び光透過性に優れた膜となる。
【0012】
【0013】
【0014】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を詳しく
説明する。本発明のプラズマディスプレイパネル用Mg
O膜を電子ビーム蒸着法により成膜するための多結晶M
gO蒸着材はMgO純度が99.0%以上かつ相対密
度が90%以上の多結晶MgOの焼結体ペレットからな
る。MgO純度は好ましくは99.5%以上であり、相
対密度は好ましくは95%以上である。またこの焼結体
ペレットの平均結晶粒径は3〜100μmである。ここ
で、焼結体ペレットの平均結晶粒径を3〜100μmと
限定したのは、焼結体ペレットの密度むらが少なく、高
密度の焼結体ペレットが得られるためである。
【0015】多結晶MgOの焼結体ペレットに含まれる
不純物(Al,Si,Ca,Fe,Na,K,Cr及び
V)の含有量は合計で930ppm以下であることが好
ましい。上記不純物の含有量が930ppmを越えると
99.5%以上の純度の焼結体ペレットが得られ難くな
るからである。また上記不純物の個別的な含有量は、A
l,Si,Ca及びFeの不純物がそれぞれ元素濃度で
200ppm以下であり、Na及びKの不純物がそれぞ
れ元素濃度で30ppm以下であり、Cr及びVの不純
物がそれぞれ元素濃度で10ppm以下であることが好
ましい。
【0016】このように構成された多結晶MgO蒸着材
の製造方法の一例を説明する。先ず純度が99.0%以
上のMgO粉末とバインダと有機溶媒とを混合して、濃
度が30〜75重量%、好ましくは40〜65重量%の
スラリーを調製する。MgO粉末の平均粒径は0.1〜
5.0μmの範囲内にあることが好ましい。MgO粉末
の平均粒径を0.1〜5.0μmと限定したのは、0.
1μm未満であると、粉末が細かすぎて凝集するため、
粉末のハンドリングが悪くなり、高濃度スラリーを調製
することが困難となる問題点があり、5.0μmを越え
ると、微細構造の制御が難しく、緻密な焼結体ペレット
が得られない問題点があるからである。バインダとして
はポリエチレングリコールやポリビニールブチラール等
を、有機溶媒としてはエタノールやプロパノール等を用
いることが好ましい。バインダは0.2〜5.0重量%
添加することが好ましい。
【0017】またMgO粉末とバインダと有機溶媒との
湿式混合、特にMgO粉末と分散媒である有機溶媒との
湿式混合は、湿式ボールミルにより行われる。湿式ボー
ルミルでは、直径5〜30mmの多数の樹脂製ボールを
用いて1〜24時間、好ましくは3〜24時間湿式混合
される。混合時間が最長24時間と長いのは、長時間連
続混合しても不純物の混入が少ないからである。また樹
脂製ボールの直径を5mm以上としたのは、5mm未満
では混合が不十分となることからである。
【0018】次に上記スラリーを噴霧乾燥して平均粒径
が30〜300μm、好ましくは50〜200μmの造
粒粉末を得た後、この造粒粉末を所定の型に入れて所定
の圧力で成形する。上記噴霧乾燥はスプレードライヤを
用いて行われることが好ましく、所定の型は一軸プレス
装置又は冷間静水圧成形装置(CIP(Cold Isostatic
Press)成形装置)が用いられる。一軸プレス装置で
は、造粒粉末を300〜3000kg/cm2、好まし
くは500〜2000kg/cm2の圧力で一軸加圧成
形し、CIP成形装置では、造粒粉末を300〜300
0kg/cm2、好ましくは700〜2000kg/c
2の圧力でCIP成形する。圧力を上記範囲に限定し
たのは、成形体の密度を高めるとともに焼結後の変形を
防止し、後加工を不要にするためである。
【0019】更に成形体を所定の温度で焼結する。成形
体の焼結は大気、不活性ガス、真空又は還元ガス雰囲気
中で1350℃以上、好ましくは1400〜1800℃
の温度で1〜10時間、好ましくは2〜8時間行う。こ
れにより相対密度が90%以上の焼結体ペレットが得ら
れる。上記焼結は大気圧下で行うが、ホットプレス(H
P)焼結や熱間静水圧プレス(HIP)焼結のように加
圧焼結を行う場合には、不活性ガス、真空又は還元ガス
雰囲気中で1350℃以上の温度で1〜5時間行うこと
が好ましい。
【0020】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明を
より具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない
限り、以下の実施例に限定されるものではない。 <実施例1>先ずMgO粉末(純度99.98%、平均
粒径0.2μm)に対し、バインダとしてポリエチレン
グリコールを1.5重量%添加し、エタノールを分散媒
とするスラリーを濃度53重量%(粘度100cps)
に調製した。次いでこのスラリーをボールミル(直径1
0mmの樹脂製ボール使用)にて24時間湿式混合した
後、スプレードライヤにて造粒処理(乾燥塔温度100
℃)し、平均粒径100μmの造粒粉末を得た。次に得
られた造粒粉末をゴム型に充填し、1000kg/cm
2でCIP成形し、外径及び高さがそれぞれ10mm及
び5mmの円柱状成形体を得た。更にこの成形体を大気
中1650℃で2時間焼結した。この焼結体円柱を実施
例1とした。
【0021】<実施例2>焼結温度が1600℃である
ことを除いて、上記実施例1と同様に製造した焼結体円
柱を実施例2とした。 <実施例3>焼結温度が1500℃であることを除い
て、上記実施例1と同様に製造した焼結体円柱を実施例
3とした。 <実施例4>焼結温度が1400℃であることを除い
て、上記実施例1と同様に製造した焼結体円柱を実施例
4とした。 <実施例5>焼結温度が1350℃であることを除い
て、上記実施例1と同様に製造した焼結体円柱を実施例
5とした。
【0022】<実施例6>実施例1と同様にスプレード
ライヤにて造粒処理して得られた平均粒径100μmの
造粒粉末を一軸プレス装置の型に充填し、2000kg
/cm2で一軸プレス成形し、外径及び高さが6×1.
8mmの円板状成形体を得た。更にこの成形体を大気中
1650℃で2時間焼結した。この焼結体円板を実施例
6とした。 <実施例7>MgO粉末(純度99.5%、平均粒径
0.2μm)を用いて、実施例1と同様にスプレードラ
イヤにて造粒処理して得られた平均粒径100μmの造
粒粉末を一軸プレス装置の型に充填し、700kg/c
2で一軸プレス成形し、外径及び高さが12×1.8
mmの円板状成形体を得た。更にこの成形体を大気中1
650℃で4時間焼結した。この焼結体円板を実施例7
とした。
【0023】<比較例1>焼結温度が1300℃である
ことを除いて、上記実施例1と同様に製造した焼結体円
柱を比較例1とした。 <比較例2>市販の電融により製造された単結晶MgO
の破砕品を比較例2とした。この破砕品の直径は3〜5
mmであった。 <比較例3>純度が98%のMgO粉末を用いたこと、
及び一軸プレス成形して外径及び高さが6×1.8mm
の円板状成形体を得たことを除いて、実施例1と同様に
製造した。この焼結体円板を比較例3とした。
【0024】<比較試験と評価> (a) MgO焼結体の純度及び相対密度 実施例1〜7及び比較例1〜3で得られた焼結体の円
柱、円板及び破砕品の純度をそれぞれ測定し、実施例1
〜7と比較例1及び3で得られた焼結体の円柱及び円板
の相対密度をそれぞれ測定した。なお、純度は不純物の
分析値より算出し、相対密度はトルエン中、アルキメデ
ス法で測定した。表1には上記純度及び相対密度の他
に、実施例1〜7と比較例1及び3の焼結体の円柱等の
成型方法、成形品寸法及び焼結条件を記載した。
【0025】
【表1】
【0026】表1から明らかなように、実施例1〜7及
び比較例1では、MgO焼結体の純度は出発原料のMg
O粉末に相応した純度レベルを維持しており、本製造工
程における不純物の混入は極めて少なく、純度レベルの
低下は生じていないことが判る。比較例3では出発原料
のMgO粉末に比較的多くの不純物が含まれているた
め、低い純度を示した。また相対密度は焼結温度が低く
なるに従って低下し、焼結温度が1300℃の比較例1
では相対密度が85.9%と低かった。この結果、90
%以上の相対密度の焼結体円柱を得るには焼結温度が1
350℃以上必要なことが判った。
【0027】(b) 不純物の分析 実施例1の焼結体円柱と、比較例2の単結晶MgOの破
砕品とに含まれる不純物を、原子吸光及びICP(誘導
結合形プラズマ分析法、Inductively CoupledPlasma em
ission spectrochemical analysis)によりそれぞれ分
析した。その結果を表2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】表2から明らかなように、実施例1では不
純物の濃度が50ppm未満であり、表2中の8元素を
対象とすれば99.99%以上の純度を有している。こ
れに対し、比較例2では原料中にAl,Ca,Feが比
較的多く含まれており、表2において特にCa量が際立
って多いのは、原料中に多量のCaが含まれているため
である。
【0030】(c) MgO膜の成膜試験及びMgO膜の特
性試験 実施例6及び7の焼結体円板と、比較例2の単結晶Mg
Oの破砕品と、比較例3の焼結体円板とを、電子ビーム
蒸着法によりガラス基板に成膜して4種類の基板を作製
した。先ず成膜速度及び成膜時のスプラッシュの有無を
実施例6及び7と比較例2及び3について測定した。な
お、MgO膜の成膜条件は、加速電圧が15kV、蒸着
圧力が1×10-2Pa、蒸着距離が600mmであっ
た。次にMgO膜の屈折率、吸収係数及び光透過率を測
定した。MgO膜の屈折率と吸収係数は、He−Neレ
ーザ(波長6238オングストローム)により、膜に対
し1波長、2入射角(55°、70°)のエリプソ測定
を行い、解析ソフトを用いて求めた。また光透過率は波
長が200〜900nmまでの光を照射することによ
り、実施例6及び7と比較例2及び3について測定し
た。MgO膜の成膜速度、屈折率、吸収係数、スプラッ
シュの有無及び光透過率を表3に示す。
【0031】
【表3】
【0032】表3から明らかなように、実施例6及び7
では成膜時にスプラッシュが発生しなかったのに対し、
比較例2では比較的多くスプラッシュを発生し、比較例
3では少しスプラッシュが発生した。この結果、実施例
では比較例に比べて無駄無く効率的にMgO膜を成膜で
きることが判った。また比較例2及び3では屈折率が
1.67及び1.56であったのに対し、実施例6及び
7では屈折率が1.72及び1.71と若干向上した。
また比較例3では吸収係数が0.010であったのに対
し、実施例6及び7では吸収係数が0.001と比較例
2と同一の値まで向上した。更に実施例6及び7の成膜
速度はスプラッシュの発生しない状況下で比較例2(単
結晶MgOの破砕品)に近い成膜速度が得られた。これ
は電子ビームが当ったときに、単結晶の破砕品(比較例
2)では配向性があるのに対し、多結晶(実施例6及び
7)ではそれがないためと考えられる。
【0033】(d) MgO膜の膜厚分布 実施例7の焼結体円板と、比較例2の単結晶MgOの破
砕品とを、上記と同様に電子ビーム蒸着法によりガラス
基板に成膜した。このMgO膜の膜厚分布をHe−Ne
レーザ(6328A)のエリプソにより測定した。この
結果を表4に示す。なお、表4において各部の膜厚をガ
ラス基板中心の膜厚に対する比で示した。即ち、ガラス
基板中心の膜厚を1.0とし、各部の膜厚はこれに対す
る比で示した。
【0034】
【表4】
【0035】表4から明らかなように、実施例7及び比
較例2のいずれもガラス基板中心から離れるに従って膜
厚が次第に減少するが、実施例7の減少率は比較例2よ
り僅かに小さかった。
【0036】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、
ラズマディスプレイパネル用MgO膜を電子ビーム蒸着
法により成膜するための多結晶MgO蒸着材をMgO
純度が99.0%以上かつ相対密度が90%以上の多結
晶MgOの焼結体ペレットから構成したので、この高純
度かつ高密度の多結晶MgO蒸着材を用いてAC型PD
P等のMgO膜を成膜すると、スプラッシュが少なく効
率的に成膜でき、略均一な膜厚を有するMgO膜を得る
ことができる。この結果、MgO膜の成膜面積が大きく
ても、略均一に成膜することができるので、例えばMg
O膜を成膜したガラス誘電体層をPDPに組込んだ場合
に、放電開始電圧や駆動電圧を低く一定にでき、PDP
の電気的特性を向上できる。
【0037】また多結晶MgOの焼結体ペレットの平均
結晶粒径を3〜100μmとしたので、多結晶MgOの
焼結体ペレットが比較的微細な結晶構造を有するため、
成膜されたMgO膜が結晶性及び光透過性に優れた膜と
なる。更に多結晶MgOの焼結体ペレット中に含まれ
る、Al,Si,Ca及びFeの不純物をそれぞれ元素
濃度で200ppm以下に、Na及びKの不純物をそれ
ぞれ元素濃度で30ppm以下に、Cr及びVの不純物
をそれぞれ元素濃度で10ppm以下にすれば、成膜さ
れたMgO膜に含まれる不純物が極めて少なくなるの
で、この膜は電気的特性、結晶性及び光透過性に優れた
膜となる。
【0038】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−160155(JP,A) 特開 平10−130828(JP,A) 特開 平10−158826(JP,A) 特開 平10−291854(JP,A) 特開 平10−297955(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 14/30 C04B 35/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラズマディスプレイパネル用MgO膜
    を電子ビーム蒸着法により成膜するための多結晶MgO
    蒸着材であって、 MgO純度が99.0%以上かつ相対密度が90%以上
    の多結晶MgOの焼結体ペレットからなり、前記多結晶
    MgOの焼結体ペレットの平均結晶粒径が3〜100μ
    mであことを特徴とする多結晶MgO蒸着材。
  2. 【請求項2】 多結晶MgOの焼結体ペレット中に含ま
    れる、Al,Si,Ca及びFeの不純物がそれぞれ元
    素濃度で200ppm以下であり、Na及びKの不純物
    がそれぞれ元素濃度で30ppm以下であり、Cr及び
    Vの不純物がそれぞれ元素濃度で10ppm以下である
    請求項1記載の多結晶MgO蒸着材。
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