JP4873340B2 - 酸化マグネシウム単結晶蒸着材及びその製造方法 - Google Patents
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Description
1.MgO単結晶蒸着材の製造
アーク電融法により製造したMgO単結晶を、劈開により略直方体状に加工し、刃状衝撃体、具体的には、衝撃力を与える被解砕物に接触する刃の先端が、被解砕物の長さよりも長い直線状であり、先端部分に幅が5×10−4m以下で、先端のなす角度が13.5degreeである鋼からなる刃を有し、この刃の単位長さ当りの衝撃体の重量が5kg/mであるような衝撃体が劈開面に対し4degreeの角度をなすように配置して、10m/sの速度で衝突させることによりMgO単結晶を解砕した。この解砕工程は、被解砕物を移動させながら、一定間隔で刃状の衝撃体を衝突させることにより行い、得られる解砕物の大きさは、被解砕物の移動速度により制御した。すなわち、被解砕物が単独で衝撃体に衝突するように供給し、3×10−3m(移動量A)移動する毎に衝突させ、3×10−3m厚みの板状直方体を製造した。次いで、この板状直方体を移動台に敷き詰め、3×10−3m(移動量B)移動する毎に衝突させ、3×10−3m角の棒状直方体を製造した。さらに、この棒状直方体を移動台に敷き詰め、4×10−3m(移動量C)移動する毎に衝突させ、略直方体状の解砕物を得た。得られた解砕物を6.5メッシュの金網でふるい分けし、小さい解砕物を除去し、残ったものをMgO単結晶蒸着材とした。得られたMgO単結晶蒸着材の結晶性、体積、及び、表面ステップを下記の方法により評価し、結果を表1に示した。
平行ビームX線回折法により、MgO(200)面のロッキングカーブ測定を行い、その半価幅により結晶性を評価した。装置はSLX−2000(株式会社リガク製)を使用し、X線源はCu−Kα、出力は40kV×450mAとした。入射光は、多層膜ミラーとGe(220)四結晶モノクロメータを通し、発散角が0.0033degreeの平行ビームとし、スリットで縦2×10−3、横0.5×10−3に制限して、シンチレーションカウンターで検出した。測定試料を、常法の半割り操作で設置し、2θを42.900degreeにセットし、ω軸を0.0005degreeステップでスキャンすることによりロッキングカーブを測定し、半価幅を求めた。
略直方体状の蒸着材の外形寸法を測定し、算出した。
蒸着材表面をSEM分析し、ステップの形成状態を5段階評価した。ステップがなく平滑な表面を「1」、極めて多くのステップが存在する表面を「5」とした。
上記により得られたMgO単結晶蒸着材を、電子ビーム蒸着装置を使用して、ステンレス基板に60秒間成膜したのち、下記の方法で膜厚を測定して成膜速度を算出した。次いで、算出した成膜速度から成膜条件を決定し、膜厚が100nmになるように成膜して、評価用の試料を得た。なお、電子ビーム蒸着は、加速電圧15kV、蒸着圧力1×10−2Pa、蒸着距離0.6mの各条件で行った。得られた評価用の試料について、スプラッシュの発生の程度、成膜後の二次電子放出係数をそれぞれ測定し、結果を表1に示した。
単一波長エリプソ装置を用い、He−Neレーザ(波長623.8×10−9m)を異なる2つの入射角(55degree、70degree)で入射させてエリプソ測定を行い、フィッティング解析により膜厚を求めた。
保護膜形成中の状態を、装置の窓から目視観察し、スプラッシュの発生を5段階評価した。スプラッシュが発生しなかった場合を「1」、スプラッシュが頻繁に発生した場合を「5」とした。
得られた成膜試料を、二次電子測定装置のターゲット位置に配置し、高真空中で活性化処理を行った後、二次電子放出係数を測定した。なお、測定時の試料温度は573K、イオン加速電圧は300Vとした。
MgO単結晶の劈開面に対する刃状衝撃体の角度を、2degreeに調節し、被解砕物の移動量A〜Cを各々5×10−3m、5×10−3m、及び3×10−3mとし、4.7メッシュの金網でふるい分けたこと以外は、実施例1と同様にして、MgO単結晶蒸着材、及びそれをターゲットとしたMgO膜を製造し、同様の評価試験を行って結果を表1に示した。
MgO単結晶の解砕時に、被解砕物の移動量A〜Cを各々4×10−3m、4×10−3m、及び3×10−3mとし、ふるい分け後に電気炉を用いて、1473Kで1200秒間熱処理したこと以外は、実施例1と同様にして、MgO単結晶蒸着材、及びそれをターゲットとしたMgO膜を製造し、同様の評価試験を行って結果を表1に示した。
MgO単結晶の解砕時に、被解砕物の移動量A〜Cを各々7×10−3m、7×10−3m、及び7×10−3mとし、3.5メッシュの金網でふるい分けたこと以外は、実施例1と同様にして、MgO単結晶蒸着材、及びそれをターゲットとしたMgO膜を製造し、同様の評価試験を行って結果を表1に示した。
MgO単結晶の劈開面に対する刃状衝撃体の角度を、5degreeに調節し、被解砕物の移動量A〜Cを各々2×10−3m、2×10−3m、及び3×10−3mとし、7.5メッシュの金網でふるい分けたこと以外は、実施例1と同様にして、MgO単結晶蒸着材、及びそれをターゲットとしたMgO膜を製造し、同様の評価試験を行って結果を表1に示した。
被解砕物の移動量A〜Cを各々12×10−3m、12×10−3m、及び10×10−3mとし、2.5メッシュの金網でふるい分けたこと以外は、実施例5と同様にして、MgO単結晶蒸着材、及びそれをターゲットとしたMgO膜を製造し、同様の評価試験を行って結果を表1に示した。
劈開面に対する刃状衝撃体の角度を10degreeにした以外は、実施例1と同様にして、MgO単結晶蒸着材、及びそれをターゲットとしたMgO膜を製造し、同様の評価試験を行って結果を表1に示した。
アーク電融法で製造したMgO単結晶を、回転する刃状衝撃体により解砕した。劈開面に対する刃状衝撃体の衝突角度を制御することはできなかったため、不明である。解砕物を、金網によりふるい分け、3.5−4.7メッシュの粒度のものを得てMgO単結晶蒸着材とした。この蒸着材、及びそれをターゲットとしたMgO膜を製造し、同様の評価試験を行って結果を表1に示した。
純度99.93質量%の高純度多結晶MgOを造粒した後、直径10×10−3m、厚み2×10−3mの金型を用いて、800×104kg/m2の圧力で成型し、電気炉にて1873Kで10800秒間焼成したものを蒸着材とした。この蒸着材、及びそれをターゲットとしたMgO膜を製造し、同様の評価試験を行って結果を表1に示した。なお、回折線は極めて弱く、ブロードであったため、ロッキングカーブの半価幅を求めることができなかった。
被解砕物に接触する最小幅が線状である刃形状衝撃体に代えて、被解砕物に接触する最小幅が10×10−3mの平面状衝撃体を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、MgO単結晶蒸着材、及び、それをターゲットとしたMgO膜を製造し、同様の評価を行って、結果を表1に示した。
劈開面に対する刃状衝撃体の角度を6degreeにしたこと以外は、実施例1と同様にしてMgO単結晶蒸着材、及び、それをターゲットとしたMgO膜を製造し、同様の評価試験を行って結果を表1に示した。
Claims (5)
- 酸化マグネシウム(200)面の平行ビームX線回折法によるロッキングカーブの半価幅が、0.005〜0.025degreeであることを特徴とする酸化マグネシウム単結晶蒸着材であって、
平行ビームX線回折法によるロッキングカーブの半価幅を、
X線源はCu−Kα、出力は40kV×450mAを用い、
入射光は、多層膜ミラーとGe(220)四結晶モノクロメータを通し、発散角が0.0033degreeの平行ビームとし、スリットで縦2×10 −3 、横0.5×10 −3 に制限して、酸化マグネシウム(200)面に照射し、
測定試料である酸化マグネシウム(200)面は、半割り操作で装置に設置され、
酸化マグネシウム(200)面からの回折X線の2θを42.900degreeにセットし、ω軸を0.0005degreeステップでスキャンし、シンチレーションカウンターで検出することにより測定する、酸化マグネシウム単結晶蒸着材。 - 前記酸化マグネシウム単結晶蒸着材が、15×10−9〜1200×10−9m3の体積を有する略直方体状の単結晶である、請求項1載の酸化マグネシウム単結晶蒸着材。
- 前記酸化マグネシウム単結晶がアーク電融法により製造されたものであり、かつ、酸化マグネシウム単結晶の純度が99.9質量%以上である、請求項1又は2記載の酸化マグネシウム単結晶蒸着材。
- 酸化マグネシウム単結晶を解砕する工程を含む酸化マグネシウム単結晶蒸着材の製造方法であって、前記解砕工程が、酸化マグネシウム(100)面方位に対し、−5〜+5degreeの範囲内の角度で刃形状の衝撃体を衝突させることにより劈開する工程を含む、酸化マグネシウム単結晶蒸着材の製造方法。
- 前記解砕工程の後に、1373K以上の温度で、600秒を超える時間熱処理する工程を含む、請求項4記載の製造方法。
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