JPH11158607A - ZnO系焼結体およびその製法 - Google Patents

ZnO系焼結体およびその製法

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JPH11158607A
JPH11158607A JP9327613A JP32761397A JPH11158607A JP H11158607 A JPH11158607 A JP H11158607A JP 9327613 A JP9327613 A JP 9327613A JP 32761397 A JP32761397 A JP 32761397A JP H11158607 A JPH11158607 A JP H11158607A
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JP
Japan
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zno
powder
sintered body
boron
sintering
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JP9327613A
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English (en)
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Shoji Takanashi
昌二 高梨
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期的にDCスパッタリング中の異常放電の
発生が少なく、特性の優れた透明導電性膜を効率よく成
膜することが可能であり、かつ、生産性よく安価なスパ
ッタリングターゲット用ZnO系焼結体を提供する。 【解決手段】 本願発明のZnO系焼結体は、1〜9原
子%の硼素を含有し、実質的に亜鉛と硼素の複合酸化物
粒子からなり、焼結密度が4.8g/cm3 以上で、か
つ結晶平均粒径が4〜15μmで、硼素の偏析径が10
μm以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スパッタリング法
によって透明導電性膜を形成する際に用いられるスパッ
タリング用ターゲットに関する。
【0002】
【従来の技術】太陽電池の電極材として用いられる透明
導電性膜には、比抵抗値の低いIn23−SnO2(I
TO)膜やZnO−Al23(AZO)膜が使われるよ
うになってきている。これらの膜は、スパッタリング用
ターゲットを原料としたスパッタリング法によって形成
され、加熱した基板上に成膜することにより、比抵抗値
2×10-4Ω・cm程度を達成させることができる。
【0003】しかし、太陽電池の低コスト化傾向にある
現在では、ITOは、その主成分であるIn23が高価
であるため、コスト面で問題があり、一方、AZOは、
その原料粉末が安価であるのでコスト面では問題ない
が、低抵抗な膜を得るための最適な成膜条件の範囲が狭
いという問題や、800nm〜1500nmの波長域
(近赤外領域)における透過率が低下する問題などを抱
えている。特に、太陽電池の電極として用いる場合、近
赤外領域における透過率の低下は大きな問題であり、エ
ネルギー変換効率の悪化原因になっている。
【0004】この欠点を解決するために、コスト面、生
産性に問題なく低抵抗かつ高透過率を有するZnO−B
23(BZO)膜が、AZOに代わって注目されつつあ
る。BZO膜を得るために用いられるターゲット材に
は、結晶平均粒径を2μm以下とするために850〜1
100℃にてホットプレスを行うBZO焼結体が特開平
6−2130号公報に開示されている。しかし、このよ
うにして得られたBZO焼給体をターゲットとして用い
てDCスパッタリング成膜を行うと、局所的に異常放電
が多発する。異常放電が頻繁に起こると、プラズマ放電
状態が不安定となって、安定した成膜が行われない。こ
のため、膜特性が悪化するという問題が生じている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来の問題点を解決し、DCスパッタリング中の異常放
電の発生が長期的に少なく、特性の優れた膜を効率よく
成膜することが可能であり、かつ、生産性に優れていて
安価なスパッタリングターゲット用ZnO系焼結体を提
供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願発明のZnO系焼結
体は、1〜9原子%の硼素を含有し、実質的に亜鉛と硼
素の複合酸化物からなる。このZnO系焼結体は、焼結
密度が4.8g/cm3 以上で、結晶平均粒径が5〜1
5μmであることが好ましい。また、硼素の偏析径が1
0μm以下であることが好ましい。更に空孔の最大径が
5μm以下であることが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のZnO系焼結体は、従来
公知の製法によって作製したBZO焼結体を用いて異常
放電発生原因について本発明者が検討を行った結果、得
たものである。すなわち、特開平6−2130号公報に
よれば、850〜1100℃の焼結温度でホットプレス
することより、容易にBZO焼結体を得ることができ
る。しかし、得られたBZO焼結体をターゲット材とし
て用いてDCスパッタリングにて成膜を行うと、局所的
に異常放電が多発し、このような場合には安定な成膜が
できないことがわかった。
【0008】また、本発明者は、BZO焼結体について
解析を行い、その結果、前述の異常放電を抑制するには
以下のことが有効であることが分かった。
【0009】(1)焼結密度が4.8g/cm3 以上で
あって、亜鉛と硼素の複合酸化物の結晶平均粒径が4〜
15μmであること、(2)硼素の偏析径が10μm以
下であること、(3)焼結体内部に存在する空孔の最大
径が5μm以下であること。
【0010】これらを達成することによって、長期的に
異常放電の発生が少ない焼結体を得ることできる。しか
し、このような焼結体を作製するためには、以下のこと
を留意して製造しなければならない。
【0011】なお、本発明において、結晶平均粒径、平
均一次粒子径および空孔径は、焼結体破断面を鏡面研磨
した後、熱腐食によって粒界を析出させ、SEM観察に
て測定する。また、抵抗値は、焼結体破断面を鏡面研磨
した後、焼結体中心付近の表面を四探針法によって測定
する。
【0012】さらに硼素の偏析径は、焼結体の断面を鏡
面研磨した後、EPMA線分析によって一定の長さを測
定し、硼素濃度の分布を見ることで判断される。
【0013】本願発明のZnO系焼結体に影響する各因
子について以下に説明する。
【0014】[焼結密度]ZnO粉末にB23粉末を添
加して焼成を行う場合の問題点として、B23の溶融に
よる欠陥の生成が挙げられる。常圧焼成法の場合、HP
法に比べて高温域で焼成を行うために、B23の溶融に
よる焼結体内の欠陥は増加しやすい。つまり、B23
600℃近傍で溶融を開始し、B23同士による融着、
粗大化が行われ、焼結体内に偏析が生じる。そして10
00℃近傍から偏析は液相となる。液相の生成により急
激な焼結収縮が行われて、体積は収縮する。一方、液相
となったB23相は、焼結途中で蒸発しやすい。また、
23相とZnO相は濡れ性が悪い。そのために、液相
部もしくは液相の周囲には空孔が生成し、焼結の進行と
共に空孔は粗大化を起こす。これが原因で異常放電が多
発するので空孔を消滅させなければならない。また空孔
を制御しなければ4.8g/cm3 以上の焼結密度を達
成することができない。
【0015】一方、HP法の場合、圧力を掛けながら焼
結しているのでB23が液相になっても流動機構によっ
てその周囲に空孔は発生しないが、やはり、硼素の偏析
径は増加する。偏析径が大きいとスパッタリング時に問
題が生じる。つまり、硼素濃度の高い偏析部は抵抗が高
いため、偏析部で異常放電が発生し、その結果、局部的
な加熱によって偏析部は溶融して空洞化する等の問題が
生じる。このためBZO膜の比抵抗値は悪化する。
【0016】よって本発明では、上記問題点を解決する
ためにB23をZnOとを複合化させておく方法を用い
る。その結果B23の焼結挙動は改善され、焼結中に偏
析、空孔が生じないためスパッタリング時の異常放電を
抑制することができる。B23を原料粉末の段階でZn
Oと複合化させておくと、焼結におけるB23の溶融が
防止され、ZnOとの濡れ性が改善されるため、空孔発
生は抑制される。また、複合化以外の焼結密度増大方法
として、焼結中に酸素導入を行う方法が有効である。
【0017】[表面抵抗値]硼素を含有するZnO系焼
結体(BZO焼結体)がスパッタリング成膜に必要な導
電性を示すのは、主成分であるZnOの酸素欠損による
ものといわれている。B23を微量添加し、高温中で焼
結することによって、B23はZnO相中に固溶され、
Zn原子とB原子の一部の置換が行われたり、B原子が
Zn原子の格子間に侵入したりする。これにより酸素空
孔が増加する。従って、酸素欠損を生じ、焼結体の体積
抵抗率を低減できる。結果、体積抵抗率が低くなるとス
パッタリング時の投入電力が抑えられるために、BZO
膜へのダメージが少なくなって良好な比抵抗値のBZO
膜を得ることができる。
【0018】一方、後述のように、焼結中もしくは焼結
終了後に無酸素処理を加えることによって、酸素欠損を
促進させ、一層の低抵抗化を図ることも可能である。
【0019】[結晶平均粒径]結晶平均粒径が大きい
と、焼結体の抗折力が弱いために、成膜時に急激なパワ
ーをかけると割れが発生したり、結晶粒の脱落が生じた
りする。この結果、局所的な異常放電が多発する。よっ
て、亜鉛と硼素の複合酸化物の結晶粒子(化合物相、固
溶相などを含む)の結晶平均粒径を4〜15μm以内に
する。
【0020】[原料粉末]本願発明のZnO系焼結体を
得るための原料であるZnO粉末は、単体、もしくは下
記に示す複合化粉末として用いる。単体で用いる際には
平均粒径が1μm以下の粉末を用いる。B23相は、融
点が低く、焼結途中で溶融蒸発してしまうため、あらか
じめB23粉末をZnO粉末と複合化する。
【0021】[複合化方法]ZnOとB23の粉末を所
望の組成となるように配合し、混合を行った後、仮焼を
1100℃以下にて行い、必要であればさらに粉砕を行
えば平均一次粒子径が5μm以下の複合化粉末が得られ
る。あるいは、後述の共沈法等によって作製された水酸
化物粉末を1000℃以下にて仮焼すれば複合化粉末が
容易に得られる。ただし、上記複合化粉末を用いて常圧
焼結法にて焼結体を得る場合には、複合化のための仮焼
温度は500〜800℃の範囲内が好ましい。800℃
以上で行うと複合化粉末は粗大化され、平均一次粒子径
が5μmより大きくなって焼結性が失われて、本発明で
目的とする焼結密度を達成することができなくなる。
【0022】この複合化粉末は、そのまま焼結原料とす
るか、あるいは、さらにZnOの粉末単体と合わせて所
望の組成となるように配合し、混合を行って焼結原料と
することもできる。
【0023】[水酸化物粉末の作製]多く用いられる共
沈法での水酸化物粉末の作製方法を以下に示す。まず、
硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を水に溶かして水溶液化するか、
もしくは硫酸、塩酸にて金属亜鉛を溶かした溶液を水で
希釈して水溶液化する。その後、水溶液中に硼酸塩、硼
酸、硼酸ナトリウム等を添加し、さらにpHを制御する
ためのアンモニア等のアルカリ類からなる沈殿剤を投入
して中和を行う。次に、固液分離を行い、得られた沈殿
物を濾過後、水洗、粉砕した後に乾燥して複合水酸化物
とする。
【0024】[混合]混合は湿式、または乾式によるボ
ールミル、振動ミル等を用いることができるが、均一微
細な結晶粒および空孔を得るには、凝集体の解砕効率が
高く、添加物の分散状態も良好となる湿式ボールミル混
合法が最も好ましい。ただしホットプレスを用いる場合
には、粉末への吸湿を避けるために、乾式ボールミル、
Vブレンダー等が適用される。湿式ボールミル混合時間
は12〜72時間、乾式ボールミル混合時間は8〜24
時間の範囲が好ましい。湿式混合時間が12時間未満で
あると、均一微細な結晶粒および空孔を得ることができ
ない。また、湿式混合時間が72時間を越えるのは、混
合粉末中に不純物が多く混入するため好ましくない。乾
式混合の場合も同様な理由から混合時間が規制される。
【0025】また、混合する際にはバインダーを任意量
だけ添加し、同時に混合を行う。バインダー種には、ポ
リビニルアルコール、酢酸ビニル等が用いられる。
【0026】[成形]上記湿式混合によって得られたス
ラリーは、乾燥造粒後、金型または冷間静水圧プレスに
て1ton/cm2 以上の圧力で成形を行う。乾式混合
によって得られた混合粉末は、そのまま、金型または冷
間静水圧プレスにて1ton/cm2以上の圧力で成形
を行う。
【0027】[焼結方法]本願発明のZnO系焼結体を
得る焼結方法には、ホツトプレス・酸素加圧・熱間静水
圧等の焼結方法を用いることができるが、焼結法には常
圧焼結法を用いることが好ましい。なぜなら、常圧焼結
法には、製造コストを低減しやすいうえ、容易に大型焼
結体を製造しやすいなどの利点があるからである。
【0028】[焼結雰囲気]常圧焼結法では、通常は、
成形体を大気中にて焼結を行う。
【0029】密度を一層高くしたい場合には、昇温過程
で酸素を導入して焼結を行うことも可能である。しか
し、酸素の導入により酸素欠損が抑制され、抵抗値が増
大する恐れがある。酸素を導入する場合の酸素流量とし
ては、2〜20リットル/分が好ましい。2リットル/
分未満であると、ZnOの蒸発抑制(密度増大)効果は
薄れ、20リットル/分を超えると、その流量によって
焼結炉内が冷却され、均熱性が低下してしまう。
【0030】また、逆に、焼結体内の酸素欠損を促進
し、表面抵抗を一層低下させたい場合には、焼結中に無
酸素処理を施すことも可能である。
【0031】焼結中の無酸素処理は、昇温中において水
素などの還元ガスやアルゴン、ヘリウム、窒素などの不
活性ガスを導入して達成される。しかし、無酸素雰囲気
にすると、ZnOやB23の蒸発が活発化し、これらの
蒸発で焼結密度が低下する。特に、1300℃より高い
温度での焼結中の無酸素処理は行えない。
【0032】[焼結温度]焼結温度は900〜1400
℃、好ましくは1000〜1300℃が良い。この際の
焼結時間は15時間以下とする。900℃未満である
と、4.8g/cm3 以上の焼結密度を得ることができ
ない。一方、1400℃を超えるか、または焼結時間が
15時間を超えると、ZnOやB23の蒸発の活発化に
より焼結密度が低下したり、著しい結晶粒成長により結
晶粒径、空孔の粗大化を来たし、異常放電発生の原因に
なる。
【0033】そして、焼結中の昇温速度においては、6
00〜1300℃の温度範囲の昇温速度を1〜10℃/
分にする必要がある。つまり、600〜1300℃間
は、特にZnOの焼結が最も活発化する温度範囲であ
り、この温度範囲での昇温速度が1℃/分より遅いと、
結晶粒成長が著しくなって、本目的を達成することがで
きない。また、昇温速度が10℃/分より速いと、焼結
炉内の均熱性が低下し、その結果、焼結中の収縮量に分
布が生じて、焼結体は割れてしまう。
【0034】ホットプレスを用いる場合の焼結温度は真
空中またはアルゴン雰囲気中で900〜1300℃の範
囲内、その際のプレス圧は200〜400Kg/cm2
が好ましい。
【0035】[焼結終了後の無酸素処理]表面抵抗を一
層低下させたい場合には、焼結終了後に無酸素処理を施
すことでも目的は達成される。
【0036】焼結終了後に無酸素処理を施す場合、焼結
終了後、冷却した後に、あるいは降温中に真空中にて8
00℃以上の温度に加熱すれば目的を達成できる。具体
的には、以下の方法にて行うことができる。まず、焼結
終了後、そのまま炉内で900〜1300℃の所定温度
まで5〜20℃/分にて降温し、該所定温度に30分〜
5時間保持しつつ、不活性ガスや還元ガスを2〜20リ
ットル/分の割合で導入する。1300℃以上で無酸素
処理を行うと、ZnOやB23の蒸発が活発化して、焼
結密度の低下、または組成ずれを来すばかりか、炉材や
ヒータの寿命を縮めて生産性を悪化させる。900℃以
下であると、無酸素処理効果が薄れ、表面抵抗値を大幅
に低下させることができない。また導入ガス量が2リッ
トル/分未満であると、無酸素処理の効果は薄れ、その
導入量は多いほど該効果が高いが、20リットル/分を
超えると、その流量によって焼結炉内が冷却され、均熱
性が低下する。
【0037】次に本発明に関するBZO系焼結体の製造
方法を以下に説明する。
【0038】
【実施例】[実施例1:酸素雰囲気常圧焼結]ZnO粉
末中にB23粉末を40重量%添加して、乾式ボールミ
ルにて5時間混合し、その後700℃、3時間にて仮焼
して、平均一次粒子径が1.5μmの複合化粉末を得
た。この複合化粉末を平均一次粒子径が0.1μmのZ
nO粉末中に10重量%添加して原料粉末とした。
【0039】次に、この原料粉末を樹脂製ポットに入
れ、硬質ZrO2 ボールを用いて、湿式ボールミル混合
を18時間行った。なお、混合を行う際に、バインダー
としてポリビニルアルコールを1重量%添加した。
【0040】こうして作製したスラリーを取り出して乾
燥造粒し、造粒物を冷間静水圧プレスにて3ton/c
2 の圧力で成形し、直径100mm、厚さ8mmの円
盤状の成形体を得た。
【0041】さらに、この成形体を大気中にて600℃
までは0.5℃/分の速度で昇温し、酸素ガスを10リ
ットル/分の流速で導入しながら、600〜800℃ま
では1℃/分の速度で、さらに800〜1100℃の温
度範囲では3℃/分の速度で昇温した。その後、110
0℃にて5時間の保持を行った。
【0042】得られた焼結体の密度を測定した後、焼結
体の一部を切断して、切断面を鏡面研磨し、EPMA線
分析にて硼素の濃度分布を測定し、これから偏析径を測
定した。また、同試料を熱腐食して、SEM観察によっ
て平均結晶粒径および空孔径を測定した。
【0043】得られた結果を表1に示す。また、得られ
た焼結体を直径75mm、厚さ6mmの円盤状に加工し
て、スパッタリング用ターゲットを作製し、このターゲ
ットを用いてDCマグネトロンスパッタリング法によっ
て膜厚5000オングストローム(A)の成膜を行っ
た。スパッタリング条件は、投入電力200W、Arガ
ス圧0.3Paに固定した。そして実験開始から10時
間経過後の10分間当たりに発生する異常放電回数、さ
らに成膜初期において基板温度が室温の時の膜の比抵抗
値と、1000nmおよび1500nmの波長域におけ
る透過率を測定した。得られた結果を表1に示す。
【0044】[実施例2:大気中常圧焼結]共沈法によ
り、すなわち硫酸亜鉛を溶かして得た水溶液中に硼酸を
溶かし込み、アンモニアにて中和させた後に、沈降した
沈殿物を濾過し、水洗、粉砕、乾燥することにより、B
23を30重量%含有するZnO・B23水酸化物粉末
を得た。
【0045】次に、このZnO・B23水酸化物を60
0℃、3時間の条件にて仮焼し、平均一次粒子径が0.
6μmの複合化粉末を得た。この複合化粉末を、平均一
次粒子径が0.1μmのZnO粉末中に2重量%添加し
て原料粉末とした。
【0046】この原料粉末を樹脂製ポットに入れ、硬質
ZrO2 ボールにより湿式ボールミル混合を18時間行
った。なお、混合を行う際に、バインダーとしてポリビ
ニルアルコールを1重量%添加した。こうして得たスラ
リーを取り出して乾燥造粒した後、造粒物を冷間静水圧
プレスにて3ton/cm2 の圧力で成形し、直径10
0mm、厚さ8mmの円盤状の成形体を得た。
【0047】さらに、この成形体を大気中にて600℃
までは0.5℃/分の速度にて昇温し、600〜800
℃の温度範囲では1℃/分の速度にて昇温し、800〜
1300℃の温度範囲では3℃/分の速度にて昇温し
た。その後、1300℃にて5時間の保持を行った。
【0048】得られた焼結体について実施例1と同様の
測定および試験を行った。その結果を表1に示す。
【0049】[実施例3:ホットプレス無酸素焼結]共
沈法によりB23を30重量%含有するZnO・B23
水酸化物粉末を得た。このZnO・B23水酸化物を7
00℃、3時間の条件にて仮焼し、平均一次粒子径が
0.7μmの複合化粉末を得た。この複合化粉末を平均
一次粒子径が0.1μmのZnO粉末中に5重量%添加
して原料粉末とした。
【0050】この原料粉末を樹脂製ポットに入れ、硬質
ZrO2ボールにより乾式ボールミル混合を5時間行っ
た。その後、原料粉末を取り出して、100mm径のホ
ットプレスにて400kg/cm2 の圧力を加えつつ、
1100℃にてアルゴン中で1時間焼結した。
【0051】得られた焼結体について実施例1と同様の
測定および試験を行った。その結果を表1に示す。
【0052】[実施例4:酸素雰囲気常圧焼結]共沈法
によって作製されたZnO−50重量%B23水酸化物
を600℃3時間にて仮焼して得た平均一次粒子径が
0.6μmの複合化粉末を、平均一次粒子径が0.1μ
mのZnO粉末中に、3重量%添加して原料粉末とし
た。
【0053】この原料粉末を樹脂製ポットに入れ、硬質
ZrO2 ボールを用いて湿式ボールミル混合を18時間
行った。なお、混合を行う際、バインダーとしてポリビ
ニルアルコールを1重量%添加し、同時に混合を行っ
た。
【0054】その後、スラリーを取り出して乾燥造粒し
た後、造粒粉を冷間静水圧プレスにて3ton/cm2
の圧力で成形し、直径100mm厚さ8mmの円盤状の
成形体を得た。
【0055】さらに、得られた成形体を大気中にて60
0℃まで0.5℃/分にて昇温した後、酸素ガスを10
リットル/分で導入しながら、600〜800℃まで1
℃/分、800〜1100℃まで3℃/分にて昇温し
た。その後1100℃にて5時間保持を行った。得られ
た焼結体について実施例1と同様の測定および試験を行
い、その結果を表1に示した。
【0056】[実施例5:酸素雰囲気焼結・焼結後無酸
素処理]共沈法によって作製されたZnO−50重量%
23水酸化物を600℃3時間にて仮焼して得た平均
一次粒子径が0.6μmの複合化粉末を、平均一次粒子
径が0.1μmのZnO粉末中に3重量%添加して原料
粉末とした。
【0057】この原料粉末を樹脂製ポットに入れ、硬質
ZrO2 ボールを用いて湿式ボールミル混合を18時間
行った。なお、混合を行う際、バインダーとしてポリビ
ニルアルコールを1重量%添加し、同時に混合を行っ
た。
【0058】その後、スラリーを取り出して乾燥造粒
後、造粒粉を冷間静水圧プレスにて3ton/cm2
圧力で成形し、直径100mm厚さ8mmの円盤状の成
形体を得た。
【0059】さらに、得られた成形体を大気中にて60
0℃まで0.5℃/分にて昇温した後、酸素ガスを10
リットル/分で導入しながら、600〜800℃まで1
℃/分、800〜1100℃まで3℃/分にて昇温し
た。その後1100℃にて5時間保持を行った。本焼結
終了後、1000℃まで10℃/分にて昇温し、アルゴ
ンガスを10リットル/分導入して無酸素雰囲気とし、
1時間保持した。得られた焼結体について実施例1と同
様の測定方法および試験を行い、その結果を表1に示し
た。
【0060】[比較例1]平均一次粒子径が0.1μm
のZnO粉末中に、平均一次粒子径が2μmのB23
末を4重量%添加して原料粉末とした。
【0061】この原料粉末を樹脂製ポットに入れ、硬質
ZrO2 ボールにより湿式ボールミル混合を18時間行
った。なお、混合を行う際、バインダーとしてポリビニ
ルアルコールを1重量%添加した。こうして得たスラリ
ーを取り出して、乾燥造粒した後、造粒物を冷間静水圧
プレスにて3ton/cm2 の圧力で成形し、直径10
0mm、厚さ8mmの円盤状の成形体を得た。この成形
体を大気中にて600℃までは0.5℃/分の速度にて
昇温し、600〜1100℃の温度範囲では0.5℃/
分の速度にて昇温した。その後、1100℃にて5時間
の保持を行った。得られた焼結体について実施例1と同
様の測定および試験を行った。その結果を表1に示す。
【0062】[比較例2]平均一次粒子径が0.1μm
のZnO粉末中に、平均一次粒子径が2μmのB23
末を4重量%添加して原料粉末とした。
【0063】この原料粉末を樹脂製ポットに入れ、硬質
ZrO2 ボールにより乾式ボールミル混合を5時間行っ
た。その後、原料粉末を取り出して、アルゴン中、11
00℃の温度で、100mm径のホツトプレスにて30
0kg/cm2 の圧力を加えつつ、1時間焼結した。得
られた焼結体について実施例1と同様の測定および試験
を行った。その結果を表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
【発明の効果】本発明のZnO系焼結体は、以上のよう
に構成されているので、DCスパッタリング中の異常放
電の発生が長期にわたって少なく、特性のすぐれた透明
導電性膜を効率よく安価に成膜できる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1〜9原子%の硼素を含有し、実質的に
    亜鉛と硼素の複合酸化物からなることを特徴とするZn
    O系焼結体。
  2. 【請求項2】 焼結密度が4.8g/cm3 以上である
    ことを特徴とする請求項1に記載のZnO系焼結体。
  3. 【請求項3】 結晶平均粒径が4〜15μmであること
    を特徴とする請求項1または2に記載のZnO系焼結
    体。
  4. 【請求項4】 硼素の偏析径が10μm以下であること
    を特徴とする請求項1または2に記載のZnO系焼結
    体。
  5. 【請求項5】 内部に存在する空孔の最大径が5μmで
    あることを特徴とする請求項1または2に記載のZnO
    系焼結体。
  6. 【請求項6】 ZnO粉末とB23粉末を仮焼して得た
    複合化粉末、あるいは共沈法によって作製したZnO−
    23の水酸化物を仮焼して得た複合化粉末から主とし
    てなる原料を成形した成形体を酸素含有雰囲気あるいは
    無酸素雰囲気で焼結することを特徴とするZnO系焼結
    体の製法。
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