JP5772667B2 - 蒸着用タブレットとその製造方法 - Google Patents
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(第二工程)得られた仮焼粉末に、未仮焼の酸化インジウム粉末および/または酸化セリウム粉末を上記仮焼粉末の割合が50質量%以上80質量%以下となるように混合し、かつ、造粒して造粒粉末を得る工程と、
(第三工程)得られた造粒粉末を成形して成形体とし、この成形体を、1100℃以上1350℃以下でかつ上記第一工程における仮焼粉末の熱処理温度より200℃以上低い温度で焼結してセリウムをドーパントとして含む酸化インジウムの焼結体を得る工程。
仮焼された第一原料粉末と未仮焼の第二原料粉末との混合粉を焼成して製造され、錫、タングステン、チタン、セリウム、ガリウム、ニオブ、ガドリニウム、ジルコニウムから選択される少なくとも1種をドーパントとして含有する酸化インジウム焼結体により構成されると共に、相対密度が50%以上80%以下である蒸着用タブレットにおいて、
上記酸化インジウム焼結体を構成しかつ酸化インジウム焼結体破断面のSEM撮像図から求められる第一原料粉末に由来する第一焼結粒の平均粒径をD1とし、上記酸化インジウム焼結体を構成しかつ上記SEM撮像図から求められる第二原料粉末に由来する第二焼結粒の平均粒径をD2としたとき、第一焼結粒の平均粒径D1に対する第二焼結粒の平均粒径D2の粒径比率[すなわち(D2/D1)×100(%)]が3%以上10%以下であることを特徴とし、
請求項2に係る発明は、
請求項1に記載の発明に係る蒸着用タブレットにおいて、
仮焼された第一原料粉末の焼結前における平均粒径が5μm以上30μm以下であることを特徴とし、
請求項3に係る発明は、
請求項1または2に記載の発明に係る蒸着用タブレットにおいて、
上記混合粉内における第一原料粉末の混合割合が60重量%以上85重量%以下であることを特徴とするものである。
請求項1に記載の蒸着用タブレットの製造方法において、
酸化錫、酸化タングステン、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ガリウム、酸化ニオブ、酸化ガドリニウム、酸化ジルコニウムから選択される少なくとも1種のドーパント用酸化物粉末と酸化インジウム粉末とを混合し、1300℃以上1600℃以下の仮焼温度で熱処理した後、粉砕して、平均粒径が5μm以上30μm以下の仮焼された第一原料粉末を得る第一工程と、
酸化錫、酸化タングステン、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ガリウム、酸化ニオブ、酸化ガドリニウム、酸化ジルコニウムから選択される少なくとも1種のドーパント用酸化物粉末および酸化インジウム粉末から成る未仮焼の第二原料粉末を、仮焼された上記第一原料粉末に対して、第一原料粉末の混合割合が60重量%以上85重量%以下となるように混合し、かつ、造粒して造粒粉末を得る第二工程と、
得られた造粒粉末を成形して成形体とし、この成形体を、1100℃を越えかつ第一工程における上記仮焼温度より200℃以上低い温度で焼結して、錫、タングステン、チタン、セリウム、ガリウム、ニオブ、ガドリニウム、ジルコニウムから選択される少なくとも1種をドーパントとして含有する酸化インジウムの焼結体を得る第三工程、
の各工程を具備することを特徴とするものである。
本発明の蒸着用タブレットは、以下の「第一工程」〜「第三工程」を経て製造されたものである。
d=L/n/m (1)
[数式(1)中、dは1本の直線から求めた平均粒径、Lは1本の直線の長さ、nは1本の直線上に存在する粒界の個数、mは電子顕微鏡の倍率を示す]
「第一工程:仮焼された第一原料粉末を得る工程」
酸化錫、酸化タングステン、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ガリウム、酸化ニオブ、酸化ガドリニウム、酸化ジルコニウムから選択される少なくとも1種のドーパント用酸化物粉末と酸化インジウム粉末とを所望の組成となるように混合し、1300℃以上1600℃以下の仮焼温度で熱処理した後、粉砕して、平均粒径が5μm以上30μm以下の仮焼された第一原料粉末を得る。
次に、酸化錫、酸化タングステン、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ガリウム、酸化ニオブ、酸化ガドリニウム、酸化ジルコニウムから選択される少なくとも1種のドーパント用酸化物粉末および酸化インジウム粉末から成る未仮焼の第二原料粉末を、上記「第一工程」で調製した第一原料粉末に対して、第一原料粉末の混合割合が60重量%以上85重量%以下となるように混合し、かつ、スプレードライヤー等を用い造粒して造粒粉末を得る。
次に、「第二工程」で得られた造粒粉末を成形して成形体とする。造粒粉末の成形は金型プレスにて行う。この際、仮焼された第一原料粉末の配合割合、後工程の焼結温度の設定条件により焼結による収縮がコントロールされているため、タブレットの寸法はこの成形時にほぼ決定される。仮焼された第一原料粉末の割合が多いと寸法制御が困難になり、少ない場合でも同様である。そして、仮焼された第一原料粉末の混合割合は、上述したように60重量%以上85重量%以下好ましくは60重量%以上70重量%以下である。
上記成形体の焼結時における雰囲気は、酸素、大気、真空中のいずれでもよいが、大気中での焼結が安価にできて最も好ましい。
平均粒径が0.1μm〜0.4μmの酸化インジウム粉末中に、平均粒径2.0μm以下の酸化錫粉末を、酸化錫組成が5重量%となるように配合し、60重量%の水、0.5重量%の分散剤(ポリカルボン酸アンモニウム塩)、および、1.0重量%のバインダー(PVA)を添加した後、ボールミル中で混合し、スプレードライヤーを用いて仮焼前粉末を作製した。その後、大気中にて1500℃で20時間の仮焼を行い、かつ、ボールミルにて粉砕して平均粒径が10μmの仮焼粉(仮焼された第一原料粉末)を得た。
仮焼温度(T1)が1600℃である点と、得られた仮焼粉(仮焼された第一原料粉末)の平均粒径が30μmである点を除き、実施例1と同様にして、実施例2に係る蒸着用ITO焼結体タブレットを得た。
仮焼温度(T1)が1300℃である点と、得られた仮焼粉(仮焼された第一原料粉末)の平均粒径が5μmである点、および、焼結温度(T2)が1100℃である点を除き、実施例1と同様にして、参考例3に係る蒸着用ITO焼結体タブレットを得た。
仮焼粉(仮焼された第一原料粉末)に対して未仮焼粉末(未仮焼の第二原料粉末)を仮焼粉の混合割合が60重量%となるように配合した点を除き、実施例1と同様にして、実施例4に係る蒸着用ITO焼結体タブレットを得た。
仮焼粉(仮焼された第一原料粉末)に対して未仮焼粉末(未仮焼の第二原料粉末)を仮焼粉の混合割合が85重量%となるように配合した点を除き、実施例1と同様にして、実施例5に係る蒸着用ITO焼結体タブレットを得た。
平均粒径2.0μm以下の酸化錫粉末に代えて、平均粒径2.0μm以下の酸化タングステン粉末をドーパント用酸化物粉末に適用した点を除き、実施例1と同様にして、実施例6に係る蒸着用IWO焼結体タブレットを得た。
平均粒径2.0μm以下の酸化錫粉末に代えて、平均粒径2.0μm以下の酸化チタン粉末をドーパント用酸化物粉末に適用した点と、得られた仮焼粉(仮焼された第一原料粉末)の平均粒径が11μmである点を除き、実施例1と同様にして、実施例7に係る蒸着用ITiO焼結体タブレットを得た。
平均粒径2.0μm以下の酸化錫粉末に代えて、平均粒径2.0μm以下の酸化セリウム粉末をドーパント用酸化物粉末に適用した点と、得られた仮焼粉(仮焼された第一原料粉末)の平均粒径が9μmである点を除き、実施例1と同様にして、実施例8に係る蒸着用ICO焼結体タブレットを得た。
平均粒径2.0μm以下の酸化錫粉末に代えて、平均粒径2.0μm以下の酸化ガリウム粉末をドーパント用酸化物粉末に適用した点を除き、実施例1と同様にして、実施例9に係る蒸着用IGO焼結体タブレットを得た。
平均粒径2.0μm以下の酸化錫粉末に代えて、平均粒径2.0μm以下の酸化ニオブ粉末をドーパント用酸化物粉末に適用した点と、得られた仮焼粉(仮焼された第一原料粉末)の平均粒径が9μmである点を除き、実施例1と同様にして、実施例10に係る蒸着用INbO焼結体タブレットを得た。
平均粒径2.0μm以下の酸化錫粉末に代えて、平均粒径2.0μm以下の酸化ガドリウム粉末をドーパント用酸化物粉末に適用した点と、得られた仮焼粉(仮焼された第一原料粉末)の平均粒径が9μmである点を除き、実施例1と同様にして、実施例11に係る蒸着用IGdO焼結体タブレットを得た。
平均粒径2.0μm以下の酸化錫粉末に代えて、平均粒径2.0μm以下の酸化ジルコニウム粉末をドーパント用酸化物粉末に適用した点を除き、実施例1と同様にして、実施例12に係る蒸着用IZrO焼結体タブレットを得た。
仮焼粉(仮焼された第一原料粉末)に対して未仮焼粉末(未仮焼の第二原料粉末)を仮焼粉の混合割合が50重量%となるように配合した点と、焼結温度(T2)が1500℃である点を除き、実施例1と同様にして、比較例1に係る蒸着用ITO焼結体タブレットを得た。
仮焼粉(仮焼された第一原料粉末)に対して未仮焼粉末(未仮焼の第二原料粉末)を仮焼粉の混合割合が50重量%となるように配合した点と、焼結温度(T2)が1550℃である点を除き、実施例1と同様にして、比較例2に係る蒸着用ITO焼結体タブレットを得た。
仮焼温度(T1)が1400℃である点と、得られた仮焼粉(仮焼された第一原料粉末)の平均粒径が5μmである点、仮焼粉(仮焼された第一原料粉末)に対して未仮焼粉末(未仮焼の第二原料粉末)を仮焼粉の混合割合が50重量%となるように配合した点、および、焼結温度(T2)が1400℃である点を除き、実施例1と同様にして、比較例3に係る蒸着用ITO焼結体タブレットを得た。
仮焼温度(T1)が1400℃である点と、得られた仮焼粉(仮焼された第一原料粉末)に対して未仮焼粉末(未仮焼の第二原料粉末)を仮焼粉の混合割合が50重量%となるように配合した点、および、焼結温度(T2)が1500℃である点を除き、実施例1と同様にして、比較例4に係る蒸着用ITO焼結体タブレットを得た。
仮焼温度(T1)が1400℃である点と、得られた仮焼粉(仮焼された第一原料粉末)の平均粒径が5μmである点、仮焼粉(仮焼された第一原料粉末)に対して未仮焼粉末(未仮焼の第二原料粉末)を仮焼粉の混合割合が90重量%となるように配合した点、および、焼結温度(T2)が1300℃である点を除き、実施例1と同様にして、比較例5に係る蒸着用ITO焼結体タブレットを得た。
焼結温度(T2)が1500℃である点を除き、実施例1と同様にして、比較例6に係る蒸着用ITO焼結体タブレットを得た。
仮焼温度(T1)が1400℃である点と、焼結温度(T2)が1500℃である点を除き、実施例1と同様にして、比較例7に係る蒸着用ITO焼結体タブレットを得た。
仮焼温度(T1)が1400℃である点と、得られた仮焼粉(仮焼された第一原料粉末)の平均粒径が6μmである点、仮焼粉(仮焼された第一原料粉末)に対して未仮焼粉末(未仮焼の第二原料粉末)を仮焼粉の混合割合が60重量%となるように配合した点、および、焼結温度(T2)が1400℃である点を除き、実施例1と同様にして、比較例8に係る蒸着用ITO焼結体タブレットを得た。
仮焼温度(T1)が1300℃である点と、得られた仮焼粉(仮焼された第一原料粉末)の平均粒径が3μmである点を除き、実施例1と同様にして、比較例9に係る蒸着用ITO焼結体タブレットを得た。
仮焼温度(T1)が1550℃である点と、得られた仮焼粉(仮焼された第一原料粉末)の平均粒径が35μmである点を除き、実施例1と同様にして、比較例10に係る蒸着用ITO焼結体タブレットを得た。
Claims (4)
- 仮焼された第一原料粉末と未仮焼の第二原料粉末との混合粉を焼成して製造され、錫、タングステン、チタン、セリウム、ガリウム、ニオブ、ガドリニウム、ジルコニウムから選択される少なくとも1種をドーパントとして含有する酸化インジウム焼結体により構成されると共に、相対密度が50%以上80%以下である蒸着用タブレットにおいて、
上記酸化インジウム焼結体を構成しかつ酸化インジウム焼結体破断面のSEM撮像図から求められる第一原料粉末に由来する第一焼結粒の平均粒径をD1とし、上記酸化インジウム焼結体を構成しかつ上記SEM撮像図から求められる第二原料粉末に由来する第二焼結粒の平均粒径をD2としたとき、第一焼結粒の平均粒径D1に対する第二焼結粒の平均粒径D2の粒径比率[すなわち(D2/D1)×100(%)]が3%以上10%以下であることを特徴とする蒸着用タブレット。 - 仮焼された第一原料粉末の焼結前における平均粒径が5μm以上30μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の蒸着用タブレット。
- 上記混合粉内における第一原料粉末の混合割合が60重量%以上85重量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の蒸着用タブレット。
- 請求項1に記載の蒸着用タブレットの製造方法において、
酸化錫、酸化タングステン、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ガリウム、酸化ニオブ、酸化ガドリニウム、酸化ジルコニウムから選択される少なくとも1種のドーパント用酸化物粉末と酸化インジウム粉末とを混合し、1300℃以上1600℃以下の仮焼温度で熱処理した後、粉砕して、平均粒径が5μm以上30μm以下の仮焼された第一原料粉末を得る第一工程と、
酸化錫、酸化タングステン、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ガリウム、酸化ニオブ、酸化ガドリニウム、酸化ジルコニウムから選択される少なくとも1種のドーパント用酸化物粉末および酸化インジウム粉末から成る未仮焼の第二原料粉末を、仮焼された上記第一原料粉末に対して、第一原料粉末の混合割合が60重量%以上85重量%以下となるように混合し、かつ、造粒して造粒粉末を得る第二工程と、
得られた造粒粉末を成形して成形体とし、この成形体を、1100℃を越えかつ第一工程における上記仮焼温度より200℃以上低い温度で焼結して、錫、タングステン、チタン、セリウム、ガリウム、ニオブ、ガドリニウム、ジルコニウムから選択される少なくとも1種をドーパントとして含有する酸化インジウムの焼結体を得る第三工程、
の各工程を具備することを特徴とする蒸着用タブレットの製造方法。
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