JP2016117610A - 酸化錫系焼結体タブレットと酸化物透明導電膜 - Google Patents

酸化錫系焼結体タブレットと酸化物透明導電膜 Download PDF

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正和 ▲桑▼原
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Abstract

【課題】高い透過率と比抵抗を有する酸化物透明導電膜と該酸化物透明導電膜を製造するための酸化錫系焼結体タブレットを提供すること。【解決手段】この酸化錫系焼結体タブレットは、酸化錫を主成分とし、ドーパントとして酸化タングステンを1.0質量%以上10.0質量%以下含有し、かつ、密度が4.0g/cm3以上5.0g/cm3以下であることを特徴する。このタブレットによれば、該タブレットを工業的に量産可能な真空蒸着法に適用してもタブレットが破損しあるいはスプラッシュ現象を発生させることがないため、可視光領域における高い透過率(波長500nm〜600nm領域において95%以上)と高い比抵抗(3×103Ω・cm〜5×106Ω・cm)を有する酸化物透明導電膜を安定して製造できる効果を有する。【選択図】なし

Description

本発明は、タッチパネル、電子ペーパー等の表示素子、太陽電池、発光ダイオード、有機エレクトロルミネッセンス等の光デバイス、レンズ、および、光学薄膜用途に用いられる酸化物透明導電膜に係り、特に、レンズ用帯電防止膜等に好適な高抵抗の酸化物透明導電膜と該透明導電膜を製造するための酸化錫系焼結体タブレットに関するものである。
透明導電膜は、一般的に高い導電性と可視光領域での高い透過率を有している。このため、太陽電池、液晶表示素子、その他各種受光素子の電極等に利用されていると共に、自動車窓や建築用の熱線反射膜、帯電防止膜、冷凍ショーケース等の防曇用透明発熱体としても利用されている。
そして、上記透明導電膜として、従来、ドーパントを添加した酸化インジウム系の透明導電膜、酸化亜鉛系の透明導電膜、および、酸化錫系の透明導電膜が広く知られている。最も多く使用されている透明導電膜は酸化インジウム系で、その中でも、酸化錫をドーパントとして含む酸化インジウムはITO(Indium Tin Oxide)膜と称され、低抵抗の透明導電膜が容易に得られることから広く利用されている。
他方、上記酸化インジウム系の透明導電膜と比較して若干透明性に優れていること、および、化学的、熱的に安定であること等の理由から、ドーパントを添加した酸化錫系の透明導電膜も太陽電池を中心に広い用途に使用されている。
ところで、上記酸化錫系の透明導電膜は、工業的にはスプレー方式等の湿式法、CVD方式等の一部の乾式法により成膜されるのが主流とされている。しかし、透明導電膜の膜厚に関し、その膜面積を大きく設定したときの膜厚を均一化するには上述の方式は適しておらず、成膜プロセスの制御も困難で、かつ、成膜時には汚染物質である塩素系ガスを発生する問題を有する。このため、上記方式以外の乾式法での成膜が望まれている。
一方、上記方式以外のスパッタリングの分野において、Nb、Ta、W等をドーピングした酸化錫系のスパッタリングターゲットが知られている(特許文献1、2参照)が、近年、スパッタリング法と比較して透明導電膜の生産性に優れる真空蒸着法による成膜が主流になっており、真空蒸着法に利用可能な酸化錫系焼結体タブレットが要望されている。
しかしながら、酸化錫系焼結体タブレットに関する技術は極めて乏しく、真空蒸着法に利用可能な酸化錫系焼結体タブレットが要望されているにも拘わらず広く普及していないのが現状である。尚、スパッタリングターゲット(焼結体)の製造技術を転用して酸化錫系焼結体タブレットを製造する試みもなされているが、転用技術による酸化錫系焼結体タブレットを真空蒸着法に用いた場合、蒸着時において酸化錫系焼結体タブレットが破損し、あるいは、スプラッシュ現象(蒸着の際の加熱による熱衝撃やタブレット内部から発生するガスの圧力により気化していないタブレットが高温の粒子として飛散する現象)を生じさせる等の問題が存在した。
特表2010−508443号公報 WO2008/111324号公報
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、高い透過率と比抵抗を有する酸化物透明導電膜を工業的な手法により安定的に製造可能な酸化錫系焼結体タブレットを提供し、合わせて該酸化錫系焼結体タブレットを用いて真空成膜法により製造される酸化物透明導電膜を提供することにある。
すなわち、本発明に係る第1の発明は、
酸化錫系焼結体タブレットにおいて、
酸化錫を主成分とし、ドーパントとして酸化タングステンを1.0質量%以上10.0質量%以下含有し、かつ、密度が4.0g/cm3以上5.0g/cm3以下であることを特徴とし、
第2の発明は、
第1の発明に記載の酸化錫系焼結体タブレットにおいて、
比抵抗が3×103Ω・cm以上5×106Ω・cm以下であることを特徴とするものである。
次に、本発明に係る第3の発明は、
酸化錫を主成分とし、ドーパントとして酸化タングステンを含有する酸化物透明導電膜において、
第2の発明に記載の酸化錫系焼結体タブレットを用い、真空蒸着法により成膜された比抵抗が3×103Ω・cm以上5×106Ω・cm以下であることを特徴とし、
また、第4の発明は、
酸化錫を主成分とし、ドーパントとして酸化タングステンを含有する酸化物透明導電膜において、
第1の発明または第2の発明に記載の酸化錫系焼結体タブレットを用い、真空蒸着法により成膜された膜厚100nmにおける波長500〜600nmの光の透過率が95%以上であることを特徴とするものである。
本発明に係る酸化錫系焼結体タブレットは、酸化錫を主成分とし、ドーパントとして酸化タングステンを1.0質量%以上10.0質量%以下含有し、かつ、密度が4.0g/cm3以上5.0g/cm3以下であることを特徴とする。
そして、本発明に係る酸化錫系焼結体タブレットによれば、該タブレットを工業的に量産可能な真空蒸着法に適用しても酸化錫系焼結体タブレットが破損しあるいはスプラッシュ現象を発生させることがない。
このため、可視光領域における高い透過率と高い比抵抗を有する酸化物透明導電膜を安定して製造できる効果を有する。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(1)酸化錫系焼結体タブレットと酸化物透明導電膜
本発明に係る酸化錫系焼結体タブレットは、ドーパントとして1.0質量%以上10.0質量%以下の酸化タングステンを含有し、かつ、残部が酸化錫である酸化物により構成されることを特徴とする。
酸化タングステンが含まれることにより、酸化錫を主成分とする焼結体タブレット、および、上記焼結体タブレットを用いた成膜により製造される酸化物透明導電膜の透過率を向上させることが可能となる。
更に、酸化タングステンが含まれることにより、焼結体タブレットの密度を安定させることができ、4.0g/cm3以上5.0g/cm3以下という範囲内に容易に密度をコントロールすることが可能となり、安定した量産性も同時に得られる。
上記酸化タングステンの含有量が、1.0質量%以上10.0質量%以下の範囲外になると、まず、焼結体タブレットの密度制御に不具合が生じ、焼結体の密度が低下または上昇すると、焼結体タブレットが破損あるいはスプラッシュ現象を発生して安定した成膜を困難にさせる(以下の比較例2−4参照)。
また、本発明に係る酸化錫系焼結体タブレットは、密度が4.0g/cm3以上5.0g/cm3以下であり、好ましくは、比抵抗が3×103Ω・cm以上5×106Ω・cm以下であることを特徴とする。ここで、上記密度の測定はアルキメデス法による。
そして、酸化錫系焼結体タブレットの密度を4.0g/cm3以上5.0g/cm3以下とすることで、真空蒸着中に発生するスプラッシュ現象あるいはタブレットの破損等、酸化物透明導電膜の特性に影響を与える原因を有効に取り除くことが可能となる。
すなわち、本発明に係る酸化錫系焼結体タブレットを用いることにより、可視光領域における高い透過率(波長500nm〜600nm領域において95%以上)と高い比抵抗(3×103Ω・cm〜5×106Ω・cm)を有する本発明に係る酸化物透明導電膜を安定して製造することが可能となる。
(2)酸化錫系焼結体タブレットの製造
本発明に係る酸化錫系焼結体タブレットは、仮焼された第1原料粉末を得る第1工程と、該第1工程で得られた第1原料粉末と未仮焼の第2原料粉末から造粒粉末を得る第2工程と、該第2工程で得られた造粒粉末を成形して成形体を得る第3工程と、該第3工程で得られた成形体を焼結して酸化錫系焼結体を得る第4工程とで構成されている。
(2-1)「第1工程:仮焼された第1原料粉末を得る工程」
酸化タングステン粉末と酸化錫粉末を混合し、酸化物原料粉を所望の組成となるように配合した後、水、分散剤、必要に応じバインダー(バインダーとしては、加熱により消失または気化する公知のバインダーであれば限定されず、例えばポリビニルアルコール等が使用可能である)を加えて混合攪拌を行い、更に、スプレードライヤーを用いて噴霧乾燥し混合粉末を得る。
次に、得られた上記混合粉末を1180℃〜1330℃範囲の仮焼温度で熱処理(焼結)を行なった後、篩がけを行なって仮焼された第1原料粉末を得る。
尚、仮焼温度が1180℃未満の場合、後述の「第4工程」で得られる酸化錫焼結体の密度や寸法のばらつきが大きくなるという不都合がある。他方、仮焼温度が1330℃を超えると、酸化タングステンが蒸発して組成のコントロールが困難となり、所望の焼結体組織を得ることができなくなる不都合がある。従って、仮焼温度は、1180℃以上1330℃以下、より好ましくは1200℃〜1300℃とし、仮焼時間は15〜25時間とするのが好ましい。
(2-2)「第2工程:造粒粉末を得る工程」
次に、酸化タングステン粉末と酸化錫粉末から成る未仮焼の第2原料粉末を、第1工程で調製された第1原料粉末に対して第2原料粉末が所望の組成となるように配合した後、混合攪拌を行い、スプレードライヤー等を用い造粒して造粒粉末を得る。
尚、仮焼された上記第1原料粉末と未仮焼の第2原料粉末を混合攪拌する方法としては、混合時において粉末が粉砕され難い攪拌機による攪拌が好ましい。また、第1原料粉末と第2原料粉末を混合する際、水、バインダー、分散剤、および、後述する「第3工程」の金型プレス時に潤滑材として機能するステアリン酸を0.5〜1質量%添加するとよい。
ここで、仮焼された第1原料粉末と未仮焼の第2原料粉末の配合割合については、仮焼された第1原料粉末が50質量%以上70質量%以下、好ましくは55質量%〜65質量%となるように配合する。仮焼された第1原料粉末の割合が70質量%を超えて多い場合、水、バインダー、分散剤等を用いた混合スラリー作成の際に第1原料粉末の沈降が早く生じて未仮焼の第2原料粉末と分離してしまい、造粒時に組成ズレを引き起こす原因となる。また、後述する「第4工程」における焼結での密度収縮の制御が困難となる。更に、密度が低いため強度が低く、このため、所望の焼結体を作製することが困難となる。また、仮焼された第1原料粉末の割合が50質量%未満と少ない場合、未仮焼の第2原料粉末が多くなることに起因し、後述する焼結工程(第4工程)において粒成長が進み易くなり、粒同士のネック成長が促進されて焼結体自身の強度は増すことになるが、その反面、タブレット使用時に最表面と内部とに温度差が生じ易くなり、熱膨張の違いによりタブレットの破損が起こり易くなってしまう。このことから、仮焼された第1原料粉末を50質量%以上70質量%以下の条件で配合することにより焼結時における収縮のコントロールを容易に行なうことができ、安定した強度が得られ、所望の密度を有する焼結体を得ることが可能となる。
(2-3)「第3工程:造粒粉末を成形して成形体とする成形工程」
次に、「第2工程」で得られた上記造粒粉末を成形して成形体とする。造粒粉末の成形は金型プレスにて行う。この際、仮焼された第1原料粉末の配合割合、および、後工程(第4工程)における焼結温度の設定条件により、焼結による収縮がコントロールされているため、タブレットの寸法はこの成形時にほぼ決定される。上述したように仮焼された第1原料粉末の割合が多い場合には寸法制御が困難となり、仮焼された第1原料粉末の割合が少ない場合でも同様である。そして、仮焼された第1原料粉末の混合割合は、上述したように50質量%以上70質量%以下、好ましくは55質量%〜65質量%である。
(2-4)「第4工程:成形体を焼結して酸化錫系焼結体を得る焼結工程」
次に、第3工程で得られた上記成形体を焼結する時の雰囲気は、酸素、大気、真空中のいずれでもよいが、大気中での焼結が安価にでき最も好ましい。
まず、第3工程で得られた成形体を焼結炉内に配置し、かつ、焼結炉内容積1m3当たり100L(リットル)/分の割合で焼結炉内に酸素を導入して、焼結雰囲気の酸素濃度を30%以上(体積比)として大気中(酸素量21%)よりも酸素濃度を高めに設定し、200〜700℃で20時間以上の加熱(脱バインダ処理)を行う。その後、焼結温度は、1200℃以上1350℃以下とし、より好ましくは1250〜1300℃である。
そして、得られる酸化錫系焼結体タブレットの密度については、4.0g/cm3以上5.0g/cm3以下に設定することを要する。
しかし、焼結温度が低い場合あるいは仮焼された第1原料粉末の配合割合が多い場合等においては、密度が4.0g/cm3未満となり、タブレットの焼結性が不足してタブレットが粉っぽくなるため、得られた酸化錫系焼結体タブレットを真空蒸着法に用いた場合にスプラッシュ現象が多発してしまう。反対に焼結温度が高い場合あるいは仮焼された第1原料粉末の配合割合が少ない場合においては、タブレットの密度が5.0g/cm3を越えて高くなり、得られた酸化錫系焼結体タブレットを真空蒸着法に用いた場合にタブレットに割れが発生してしまう。
尚、上記焼結は20〜30時間行われるのが好ましいが、最も好ましい時間は23〜28時間である。この時間範囲内であると、焼結時間の短縮(電力の使用量減)と高い生産性を実現しつつ、高品質な酸化錫系焼結体タブレットを得ることができる。
そして、得られた酸化錫系焼結体タブレットについては、例えば、直径10〜50mmで高さ5〜60mmの円柱タブレット若しくはペレット形状にして使用することが可能である。
本発明に係る酸化錫系焼結体タブレットを用いて真空蒸着法により成膜すると、タブレットの破損あるいはスプラッシュ現象を発生させることなく可視光領域における高い透過率と高い比抵抗を有する酸化物透明導電膜を安定して製造することが可能となる。
すなわち、可視分光光度計により測定される波長500nm〜600nm領域における透過率ピーク値が95%以上の高い透過率を有し、比抵抗値が3×103Ω・cm〜5×106Ω・cmである高い比抵抗を有する酸化物透明導電膜を得ることができる。
以下、本発明の実施例について比較例を挙げて具体的に説明する。
[実施例1]
酸化錫粉末中に、酸化タングステン粉末を、酸化タングステン組成が5質量%となるように配合し、60質量%の水、0.5質量%の分散剤(ポリカルボン酸アンモニウム塩)、および、0.5質量%のバインダー(PVA)を添加した後、攪拌機で混合し、スプレードライヤーを用いて仮焼前粉末を作製した。その後、大気中にて1250℃で20時間の仮焼を行った後、篩がけを行い、仮焼粉(仮焼された第1原料粉末)を得た。
次に、酸化錫粉末中に、酸化タングステン組成が5質量%となるように酸化タングステン粉末を配合した未仮焼粉末(未仮焼の第2原料粉末)を、上記仮焼粉(仮焼された第1原料粉末)に対し、仮焼粉の混合割合が60質量%となるように配合し、0.5質量%の上記バインダーと0.5質量%の上記分散剤、および、0.5質量%のステアリン酸(潤滑材)を添加した後、攪拌機で12時間以上攪拌し、スプレードライヤーを用いて造粒粉末を得た。
更に、得られた造粒粉末を、1軸プレス機を用いて90kNの圧力で成形し、直径20.5mm、高さ7.5mmの成形体を得た後、この成形体を焼結させた。
焼結工程は、室温から500℃までを15時間かけて昇温させ、800℃まで11時間かけて温度上昇させた。そして、1300℃にて20時間保持し、実施例1に係る酸化錫系焼結体タブレット(蒸着用TWO焼結体タブレット)を得た。
得られた蒸着用TWO焼結体タブレットの密度は4.5g/cm3であったため、この蒸着用TWO焼結体タブレットに対し、量産を目指して高いパワー(加速電圧15kV、出力24kW)の電子ビームをいきなり照射したが、蒸着中におけるTWO焼結体タブレットの割れは確認されなかった。また、スプラッシュ現象の発生も確認できなかった。
更に、実施例1に係る蒸着用TWO焼結体タブレットを用いて成膜された膜厚が100nmである酸化物透明導電膜(単膜)の透過率について可視分光光度計により測定したところ、波長500nm〜600nm領域における透過率は96%となり、かつ、酸化物透明導電膜(単膜)の比抵抗は3×103Ω・cmであった。
これらの結果を以下の表1に示す。
また、以下に説明する実施例2〜6と比較例1〜4についても、実施例1と同様の工程により「酸化錫系焼結体タブレット(蒸着用TWO焼結体タブレット)」を製造し、これ等実施例と比較例の「WO3量(質量%)」「仮焼温度(℃)」「焼結温度(℃)」「密度(g/cm3)」「透過率(%)」「比抵抗(Ω・cm)」、および、電子ビーム蒸着時における蒸着用TWO焼結体タブレットの「割れ有無」と「スプラッシュ有無」を表1にまとめて示す。
[実施例2]
酸化タングステン組成を「1質量%」にした点を除き、実施例1と同様にして実施例2に係る酸化錫系焼結体タブレット(蒸着用TWO焼結体タブレット)を得た。
得られた蒸着用TWO焼結体タブレットの密度は4.7g/cm3であり、この蒸着用TWO焼結体タブレットに対し、量産を目指して高いパワー(加速電圧15kV、出力24kW)の電子ビームをいきなり照射したが、蒸着中におけるTWO焼結体タブレットの割れは確認されず、また、スプラッシュ現象の発生も確認できなかった。
また、実施例2に係る蒸着用TWO焼結体タブレットを用いて成膜された膜厚が100nmである酸化物透明導電膜(単膜)の透過率について可視分光光度計により測定したところ、波長500nm〜600nm領域における透過率は95%となり、かつ、酸化物透明導電膜(単膜)の比抵抗は2×104Ω・cmであった。
[実施例3]
酸化タングステン組成を「10質量%」にした点を除き、実施例1と同様にして実施例3に係る酸化錫系焼結体タブレット(蒸着用TWO焼結体タブレット)を得た。
得られた蒸着用TWO焼結体タブレットの密度は4.2g/cm3であり、この蒸着用TTO焼結体タブレットに対し、量産を目指して高いパワー(加速電圧15kV、出力24kW)の電子ビームをいきなり照射したが、蒸着中におけるTWO焼結体タブレットの割れは確認されず、また、スプラッシュ現象の発生も確認できなかった。
また、実施例3に係る蒸着用TWO焼結体タブレットを用いて成膜された膜厚が100nmである酸化物透明導電膜(単膜)の透過率について可視分光光度計により測定したところ、波長500nm〜600nm領域における透過率は97%となり、かつ、酸化物透明導電膜(単膜)の比抵抗は5×105Ω・cmであった。
[実施例4]
仮焼温度を「1180℃」にした点を除き、実施例1と同様にして実施例4に係る酸化錫系焼結体タブレット(蒸着用TWO焼結体タブレット)を得た。
得られた蒸着用TWO焼結体タブレットの密度は4.7g/cm3であり、この蒸着用TWO焼結体タブレットに対し、量産を目指して高いパワー(加速電圧15kV、出力24kW)の電子ビームをいきなり照射したが、蒸着中におけるTWO焼結体タブレットの割れは確認されず、また、スプラッシュ現象の発生も確認できなかった。
また、実施例4に係る蒸着用TWO焼結体タブレットを用いて成膜された膜厚が100nmである酸化物透明導電膜(単膜)の透過率について可視分光光度計により測定したところ、波長500nm〜600nm領域における透過率は96%となり、かつ、酸化物透明導電膜(単膜)の比抵抗は5×103Ω・cmであった。
[実施例5]
仮焼温度を「1180℃」、焼結温度を「1350℃」にした点を除き、実施例2と同様にして実施例5に係る酸化錫系焼結体タブレット(蒸着用TWO焼結体タブレット)を得た。
得られた蒸着用TWO焼結体タブレットの密度は5.0g/cm3であり、この蒸着用TWO焼結体タブレットに対し、量産を目指して高いパワー(加速電圧15kV、出力24kW)の電子ビームをいきなり照射したが、蒸着中におけるTWO焼結体タブレットの割れは確認されず、また、スプラッシュ現象の発生も確認できなかった。
また、実施例5に係る蒸着用TWO焼結体タブレットを用いて成膜された膜厚が100nmである酸化物透明導電膜(単膜)の透過率について可視分光光度計により測定したところ、波長500nm〜600nm領域における透過率は95%となり、かつ、酸化物透明導電膜(単膜)の比抵抗は6×104Ω・cmであった。
[実施例6]
仮焼温度を「1330℃」、焼結温度を「1200℃」にした点を除き、実施例3と同様にして実施例6に係る酸化錫系焼結体タブレット(蒸着用TWO焼結体タブレット)を得た。
得られた蒸着用TWO焼結体タブレットの密度は4.0g/cm3であり、この蒸着用TWO焼結体タブレットに対し、量産を目指して高いパワー(加速電圧15kV、出力24kW)の電子ビームをいきなり照射したが、蒸着中におけるTWO焼結体タブレットの割れは確認されず、また、スプラッシュ現象の発生も確認できなかった。
また、実施例6に係る蒸着用TWO焼結体タブレットを用いて成膜された膜厚が100nmである酸化物透明導電膜(単膜)の透過率について可視分光光度計により測定したところ、波長500nm〜600nm領域における透過率は97%となり、かつ、酸化物透明導電膜(単膜)の比抵抗は5×106Ω・cmであった。
[比較例1]
酸化タングステン組成を「11質量%」にした点を除き、実施例1と同様にして比較例1に係る酸化錫系焼結体タブレット(蒸着用TWO焼結体タブレット)を得た。
得られた蒸着用TWO焼結体タブレットの密度は4.0g/cm3であり、この蒸着用TWO焼結体タブレットに対し、量産を目指して高いパワー(加速電圧15kV、出力24kW)の電子ビームをいきなり照射したが、蒸着中におけるTWO焼結体タブレットの割れは確認されず、また、スプラッシュ現象の発生も確認できなかった。
また、比較例1に係る蒸着用TWO焼結体タブレットを用いて成膜された膜厚が100nmである酸化物透明導電膜(単膜)の透過率について可視分光光度計により測定したところ、波長500nm〜600nm領域における透過率は97%となったが、酸化物透明導電膜(単膜)の比抵抗は測定不可の極めて高抵抗な膜になってしまった。
[比較例2]
酸化タングステン組成を「0.1質量%」にした点を除き、実施例1と同様にして比較例2に係る酸化錫系焼結体タブレット(蒸着用TWO焼結体タブレット)を得た。
得られた蒸着用TWO焼結体タブレットの密度は3.9g/cm3であり、この蒸着用TWO焼結体タブレットに対し、量産を目指して高いパワー(加速電圧15kV、出力24kW)の電子ビームをいきなり照射したところ、蒸着中におけるTWO焼結体タブレットの割れは確認されなかったが、スプラッシュ現象の発生が確認された。
また、比較例2に係る蒸着用TWO焼結体タブレットを用いて成膜された膜厚が100nmである酸化物透明導電膜(単膜)の透過率について可視分光光度計により測定したところ、波長500nm〜600nm領域における透過率は94%となり、かつ、酸化物透明導電膜(単膜)の比抵抗は1×107Ω・cmの高抵抗な膜になってしまった。
[比較例3]
仮焼温度を「1150℃」、焼結温度を「1400℃」にした点を除き、実施例1と同様にして比較例3に係る酸化錫系焼結体タブレット(蒸着用TWO焼結体タブレット)を得た。
得られた蒸着用TWO焼結体タブレットの密度は5.3g/cm3であり、この蒸着用TWO焼結体タブレットに対し、量産を目指して高いパワー(加速電圧15kV、出力24kW)の電子ビームをいきなり照射したところ、蒸着中にTWO焼結体タブレットの割れが確認された。また、蒸着中にタブレットの割れが発生したため、透過率や比抵抗等の酸化物透明導電膜におけるデータは取得できなかった。
[比較例4]
仮焼温度を「1350℃」、焼結温度を「1150℃」にした点を除き、実施例1と同様にして比較例4に係る酸化錫系焼結体タブレット(蒸着用TWO焼結体タブレット)を得た。
得られた蒸着用TWO焼結体タブレットの密度は3.7g/cm3であり、この蒸着用TWO焼結体タブレットに対し、量産を目指して高いパワー(加速電圧15kV、出力24kW)の電子ビームをいきなり照射したところ、蒸着中におけるTWO焼結体タブレットの割れは確認されなかったが、スプラッシュ現象の発生が確認された。
また、比較例4に係る蒸着用TWO焼結体タブレットを用いて成膜された膜厚が100nmである酸化物透明導電膜(単膜)の透過率について可視分光光度計により測定したところ、波長500nm〜600nm領域における透過率は94%となり、かつ、酸化物透明導電膜(単膜)の比抵抗は測定不可の極めて高抵抗な膜になってしまった。
Figure 2016117610
[確 認]
(1)ドーパントの酸化タングステン組成(表1に示すWO3量)が「1.0質量%以上10.0質量%以下」、密度が「4.0g/cm3以上5.0g/cm3以下」である実施例1〜6に係る酸化錫系焼結体タブレット(蒸着用TWO焼結体タブレット)は、高いパワー(加速電圧15kV、出力24kW)の電子ビームを照射する電子ビーム蒸着時においてタブレットの割れやスプラッシュ現象が発生していないことが確認されると共に、これ等蒸着用TWO焼結体タブレットを用いることで「帯電防止膜」等に好適な高い透過率と比抵抗を有する酸化物透明導電膜を安定して製造できることが確認される。
(2)一方、酸化タングステン組成(表1に示すWO3量)が「1.0質量%以上10.0質量%以下」である要件を満たさない比較例1〜2に係る酸化錫系焼結体タブレット(蒸着用TWO焼結体タブレット)、および、密度が「4.0g/cm3以上5.0g/cm3以下」である要件を満たさない比較例2〜4に係る酸化錫系焼結体タブレット(蒸着用TWO焼結体タブレット)においては、「帯電防止膜」等に好適な高い透過率と比抵抗を有する酸化物透明導電膜を安定して製造でできないことが確認される。
本発明の酸化錫系焼結体タブレットによれば、工業的に量産可能な真空蒸着法に適用された場合でも該タブレットが破損し、スプラッシュ現象を発生させることがないため、可視光領域における高い透過率と高い比抵抗を有する酸化物透明導電膜を製造する際の蒸着用タブレットとして利用される産業上の利用可能性を有している。

Claims (4)

  1. 酸化錫を主成分とし、ドーパントとして酸化タングステンを1.0質量%以上10.0質量%以下含有し、かつ、密度が4.0g/cm3以上5.0g/cm3以下であることを特徴とする酸化錫系焼結体タブレット。
  2. 比抵抗が3×103Ω・cm以上5×106Ω・cm以下であることを特徴とする請求項1に記載の酸化錫系焼結体タブレット。
  3. 酸化錫を主成分とし、ドーパントとして酸化タングステンを含有する酸化物透明導電膜において、
    請求項2に記載の酸化錫系焼結体タブレットを用い、真空蒸着法により成膜された比抵抗が3×103Ω・cm以上5×106Ω・cm以下であることを特徴とする酸化物透明導電膜。
  4. 酸化錫を主成分とし、ドーパントとして酸化タングステンを含有する酸化物透明導電膜において、
    請求項1または2に記載の酸化錫系焼結体タブレットを用い、真空蒸着法により成膜された膜厚100nmにおける波長500〜600nmの光の透過率が95%以上であることを特徴とする酸化物透明導電膜。
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