JP3242399B2 - バンパービームおよびその製造法 - Google Patents

バンパービームおよびその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、繊維で強化された熱可塑性樹脂からなるバ
ンパービーム(バックアップビーム、バンパーレインフ
ォースメント等の呼称もある)およびその製造法に関す
る。
〔従来の技術とその課題〕
従来、自動車用のバンパービームとしては、主として
金属製のものが用いられていた。しかしながら、近年
は、自動車の燃費改善、走行性能向上等を目的として、
各種自動車部品の軽量化が求められる傾向にあり、バン
パービームにおいても、金属製のものではこの要求に応
えることは難しい。また、金属製バンパービームは、加
工工程が煩雑であり、しかも錆の発生を防止するための
表面加工が必要である等、生産性の面で劣るという欠点
も有する。また、バンパーの空力抵抗、デザインの観点
から、バンパービームに課せられる種々の制約、例えば
形状の複雑化等に対し、金属製バンパービームでは対応
するのが困難な状況になりつつある。
これに対し、特開昭62−240514号には、スタンパブル
シートを用いスタンピング成形してなる繊維強化樹脂製
バンパービームが提案されている。これは、一方向に引
き揃えた補強用繊維と長繊維マットとの積層体に熱可塑
性樹脂を含浸させてなるスタンパブルシートをバンパー
ビームに必要なサイズに切取って金型に設置し、これを
加熱して溶融または軟化させて圧縮成形するものであ
る。しかしながら、スタンパブルシートを用いたスタン
ピング成形によるバンパービームでは、軽量化、耐腐食
性等の改善は可能となるものの、成形サイクルが長く、
また、バリが生じるため後加工が必要である等、生産
性、製造コストの面でなお不充分である。また、本来シ
ート状のものを用いるため、複雑な形状あるいは取付け
孔等を有するバンパービームに加工するのが困難であ
り、また、補強用のリブあるいはボス等を有するバンパ
ービームにおいては、リブあるいはボスの部分に繊維が
充填しにくいため、リブとしての補強効果あるいはボス
としての機能が充分に発揮されない等の欠点を有する。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者は、上記の如き従来技術の課題に鑑み、軽量
かつ高剛性で耐腐食性等にも優れたバンパービームを提
供すること、及びその量産性に優れた製造法を提供する
ことを目的として鋭意検討を重ねた結果、特定の繊維強
化構造を有するペレット状熱可塑性樹脂組成物を用い、
これを成形してなるバンパービームにより、この目的が
達成される事を見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明はペレットと実質的に同一長さでペレッ
トの長さ方向にほぼ平行に配列した20〜80重量%(組成
物中)の繊維状充填材を含有する長さ3〜100mmのペレ
ット状熱可塑性樹脂組成物を用い、これを成形してなる
バンパービームおよび射出成形、射出溶融圧縮成形また
は押出溶融圧縮成形によるかかるバンパービームの製造
法に関するものである。
まず、本発明においてバンパービームを成形するにあ
たり用いられる、特定の繊維強化構造を有するペレット
状熱可塑性樹脂組成物について説明する。
ここで用いられるペレット状熱可塑性樹脂組成物は、
熱可塑性樹脂と繊維状充填材を含有してなり、繊維状充
填材がペレットと実質上同一長さでペレットの長さ方向
にほぼ平行に配列した構造を有しているところに特徴が
ある。かかる特定構造を有する熱可塑性樹脂組成物は、
例えば引き抜き成形等の方法によって得られる。用いら
れる熱可塑性樹脂としては特に制約はなく、オレフィン
系重合体(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリス
チレン、AS樹脂、ABS樹脂、アクリレート系あるいはメ
タクリレート系重合体(ポリメチルメタクリレート
等)、ポリアミド、ポリエステル(ポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリアセ
タール、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリフェニ
レンサルファイド等の公知の熱可塑性樹脂およびこれら
の樹脂の変性体から選ばれた1種または2種以上がいず
れも使用できる。軽量化、低コスト化、加工性、強度、
剛性、耐腐食性等、バンパービームに要求される諸特性
を総合して考えると、ポリプロピレン、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリアミドを主体としたものが好まし
く、特に好ましいのはポリプロピレンを主体としたもの
である。
また、配合される繊維状充填材も特に限定されるもの
ではないが、連続繊維が容易に入手できる点でガラス繊
維および炭素繊維が好ましく、特に好ましくはコスト的
にも有利なガラス繊維である。本発明においてバンパー
ビームの成形に用いられる樹脂組成物は、かかる繊維状
充填材の配合量が20〜80重量%(組成物中)のものであ
る。繊維状充填材の配合量が20重量%未満では、軽量化
と強度、剛性等の両方を満足するバンパービームを得る
ことはできず、軽量化を図れば強度、剛性等が不足し、
逆に、必要な強度、剛性等を得ようとすると厚肉になり
軽量化が不可能になる。また繊維状充填材の配合量が80
重量%を越えるとバンパービームの成形加工性、外観等
が著しく劣るものとなる。繊維状充填材の配合量として
は30〜70重量%が好ましく、特に好ましくは35〜65重量
%である。かかる繊維状充填材は公知の収束剤または表
面処理剤等で処理されたものが好ましい。
また、本発明において、バンパービームの成形に供さ
れるかかる繊維強化熱可塑性樹脂組成物は、長さが3〜
100mmのペレット状のもの、即ち、配合された繊維の繊
維長がペレット長に合わせ実質上3〜100mmのものであ
る。これは一般的な繊維強化法であるチョップドストラ
ンド等を混合し押し出す方法によって得られる繊維強化
樹脂組成物の平均繊維長が概ね300〜500μmであるのと
比べ、相当に長い繊維長であり、成形によって繊維の折
れが生じるものの、成形後においてもなお充分に長い繊
維長を保持することによって優れた補強効果が生まれ
る。成形に供される熱可塑性樹脂組成物のペレット長、
即ち繊維長が3mmより小さいものを用い成形してもバン
パービームに必要な強度、剛性等を得ることは難しく、
逆にペレット長が100mmを越えると成形加工が困難なも
のとなる。より好ましいペレット長は5〜50mmである。
ペレットの断面形状についても特別な制約はなく、円、
楕円、偏平なものあるいはこれらの類似形状等がいずれ
も可能である。
また、本発明においてバンパービームの成形に供され
る上記の如き組成物には、一般に熱可塑性樹脂に配合さ
れる公知の物質、例えば酸化防止剤や紫外線吸収剤等の
安定剤、難燃剤、可塑剤、結晶化促進剤、結晶核剤、帯
電防止剤、着色剤、板状あるいは粉粒状の充填材等も目
的に応じ適宜添加することも可能である。
次に、上記の如き特定の繊維強化構造を有するペレッ
ト状熱可塑性樹脂組成物を用いて成形してなるバンパー
ビームについて説明する。
第1図はバンパービームの1例を示す斜視略示図、第
2図は第1図のI−I線における断面略示図であり、バ
ンパービームの多くは概ねこれに類似し、必要に応じて
補強用リブ、ボス、支持具、取付用孔等が設けられた構
造を有する。勿論、本発明によって得られるバンパービ
ームはこれらの形状に限定されるものではなく、本発明
の特徴の1つである優れた成形加工性とも相まって、更
に複雑な形状のバンパービームの製造までも可能であ
る。
本発明においてバンパービームを製造するにあたり、
成形法は特に限定されるものではないが、生産性、成形
加工性、得られたバンパービームの表面状態及び物性等
を考慮すると、成形法としては射出成形、射出溶融圧縮
成形、押出溶融圧縮成形が好ましい。ここで、射出成形
については特に説明を要しないであろう。射出溶融圧縮
成形とは、射出成形機内で溶融した樹脂を、成形品(本
発明の場合はバンパービーム)を成形するに必要な量だ
け金型に送り込んだのち圧縮成形するものであり、押出
溶融圧縮成形は、押出機で溶融させた樹脂を、成形品を
成形するに必要な量だけ金型に送り込んだのち圧縮成形
するものである。かかる成形法の内、本発明において用
いられるのが特に好ましいのは射出成形および射出溶融
圧縮成形である。
上記の如く成形して得られた本発明のバンパービーム
において、繊維状充填材は1〜30mmの重量平均繊維長で
分散しているのが好ましい。
また、本発明においては、強度、剛性等を維持しつつ
バンパービームを更に薄肉軽量化するため、バンパービ
ームの背面に補強用のリブを設けたり、バンパービーム
重量の大幅な増大をもたらさない範囲で、所望の部位に
金属等の長尺物をインサート成形により埋設することも
有効である。また、バンパービーム取付けのための支持
具を一体的に成形したり、取付用孔を設けることも可能
である。本発明においては、バンパービームの成形に用
いる材料に特徴があり、成形加工性に優れているため、
上記の如き点を含め、かなり自由な形状設計に対応する
ことが可能である。
〔実施例〕
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する
が、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1〜2 引き抜き成形によって得られたガラス繊維40重量%を
含有する長さ12mmのペレット状ポリプロピレン樹脂組成
物(ガラス繊維の繊維長も実質的に12mmで、ペレットの
長さ方向に配列)を用い、射出溶融圧縮成形により、第
3図の如き形状のバンパービームを成形した(実施例
1)。また、引き抜き成形によって得られたガラス繊維
50重量%を含有する12mmのペレット状ポリプロピレン樹
脂組成物を用い、射出成形により、同様のバンパービー
ムを成形した(実施例2)。
尚、実施例1、実施例2のバンパービームにおいて分
散したガラス繊維の平均繊維長は各々3.2mm、2.5mmであ
った。
得られたバンパービームの重量及び、第3図の如く2
点(スパン間距離1000mm)を支持し、静的曲げ試験を行
った時の破壊荷重を測定し、結果を、第1表に示す。
このように、本発明によるバンパービームは軽量であ
り、かつ、充分な強度、剛性、耐腐食性、表面状態等を
有するものであった。また、成形法も簡便で、生産性に
優れたものであった。
〔発明の効果〕
以上の説明並びに実施例により明らかな如く、特定の
繊維強化構造を有する熱可塑性樹脂組成物を成形してな
る本発明のバンパービームは、軽量で、かつ、実用に耐
え得る剛性、耐腐食性等を有するものである。しかも、
成形加工性に優れ、射出成形、射出溶融圧縮成形等の簡
便な成形法により製造可能であるため、形状設計の自由
度が高く、生産性に優れ、コスト的にも有利であり、極
めて実用価値の高いものである。
【図面の簡単な説明】
第1図はバンパービームの一例を示す斜視略示図、第2
図は第1図のI−I線における断面略示図である。ま
た、第3図は実施例において成形したバンパービーム
と、その曲げ試験方法を示す正面略示図、第4図は、第
3図のバンパービームのII−II線における断面略示図で
ある。 1:バンパービーム 2:ペンデュラム 3:支持点
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B60R 19/03 B29K 23:00 B29K 23:00 105:06 105:06 105:12 105:12 B29L 31:30 B29L 31:30 B29C 67/14 Y (56)参考文献 特開 平1−286824(JP,A) 特開 平1−241406(JP,A) 特開 平1−214408(JP,A) 特開 昭50−146651(JP,A) 特開 昭62−115048(JP,A) 特開 昭62−91545(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ペレットと実質的に同一長さでペレットの
    長さ方向にほぼ平行に配列した20〜80重量%(組成物
    中)のガラス繊維を含有する長さ3〜100mmのペレット
    状のポリプロピレンを主体とする熱可塑性樹脂組成物を
    用い、これを成形してなるガラス繊維が重量平均繊維長
    1〜30mmで分散しているバンパービーム。
  2. 【請求項2】ペレットと実質的に同一長さでペレットの
    長さ方向にほぼ平行に配列した20〜80重量%(組成物
    中)のガラス繊維を含有する長さ3〜100mmのペレット
    状のポリプロピレンを主体とする熱可塑性樹脂組成物を
    用い、射出成形、射出溶融圧縮成形または押出溶融圧縮
    成形により成形することを特徴とするガラス繊維が重量
    平均繊維長1〜30mmで分散しているバンパービームの製
    造法。
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