JP2538160B2 - ポリエステル系スタンパブルシ―トの製造法 - Google Patents
ポリエステル系スタンパブルシ―トの製造法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱可塑性ポリエステルか
らなる樹脂成分と繊維補強材を必須成分とするポリエス
テル系スタンパブルシートの製造法に関する。詳しく
は、含浸前後の樹脂の還元粘度を制御することにより、
耐熱性、力学物性に優れたポリエステル系スタンパブル
シートを製造する方法に関する。
らなる樹脂成分と繊維補強材を必須成分とするポリエス
テル系スタンパブルシートの製造法に関する。詳しく
は、含浸前後の樹脂の還元粘度を制御することにより、
耐熱性、力学物性に優れたポリエステル系スタンパブル
シートを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】繊維状物質により補強された熱可塑性樹
脂をその軟化点、または融点以上の温度に加熱し、これ
を一対の金型の間に供給し急速に圧力を加えることで材
料を流動させて成形する方法はスタンピング成形法と呼
ばれている。該成形法は鋼板等のプレス成形法と類似の
装置で成形することが可能でありかつ鋼板に比べ軽量で
あること、耐腐食性であること等の優れた材料機能を持
つことに加え、生産性が高いこと、リブ、ボス等の一体
成形が可能であり部品数の低減につながるなどのメリッ
トがあるため自動車部品、電気部品、各種工業部品、雑
貨などに今後大きな需要が期待されている。
脂をその軟化点、または融点以上の温度に加熱し、これ
を一対の金型の間に供給し急速に圧力を加えることで材
料を流動させて成形する方法はスタンピング成形法と呼
ばれている。該成形法は鋼板等のプレス成形法と類似の
装置で成形することが可能でありかつ鋼板に比べ軽量で
あること、耐腐食性であること等の優れた材料機能を持
つことに加え、生産性が高いこと、リブ、ボス等の一体
成形が可能であり部品数の低減につながるなどのメリッ
トがあるため自動車部品、電気部品、各種工業部品、雑
貨などに今後大きな需要が期待されている。
【0003】なかでも、ポリエチレンテレフタレート
(以下、PETと略称する)、ポリブチレンテレフタレ
ート(以下、PBTと略称する)等の熱可塑性ポリエス
テルからなるスタンパブルシートは、その優れた耐熱
性、剛性、耐候性を活かして種々の用途に使用されてい
るものの、所望の性能を付与させる製造方法に関して
は、十分な検討がなされていないのが実状である。
(以下、PETと略称する)、ポリブチレンテレフタレ
ート(以下、PBTと略称する)等の熱可塑性ポリエス
テルからなるスタンパブルシートは、その優れた耐熱
性、剛性、耐候性を活かして種々の用途に使用されてい
るものの、所望の性能を付与させる製造方法に関して
は、十分な検討がなされていないのが実状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】熱可塑性ポリエステル
樹脂を押出成形、射出成形等で加工する際、品質の良好
な製品を得るために樹脂の分解を防止する手段、例えば
原料樹脂の吸湿防止、加工条件の厳格な管理が採られて
いる。かかる樹脂の分解を防止する手段をスタンピング
成形法に適用しても、良好な品質を有する製品が得られ
るとは限らない。
樹脂を押出成形、射出成形等で加工する際、品質の良好
な製品を得るために樹脂の分解を防止する手段、例えば
原料樹脂の吸湿防止、加工条件の厳格な管理が採られて
いる。かかる樹脂の分解を防止する手段をスタンピング
成形法に適用しても、良好な品質を有する製品が得られ
るとは限らない。
【0005】スタンパブルシートの製造工程は、基本的
にシート押出し機による樹脂のシート化、樹脂のシート
状物とマツト状繊維補強材との積層、該積層物の加熱溶
融、繊維補強材への樹脂の含浸および冷却の5つの工程
に分けられる。
にシート押出し機による樹脂のシート化、樹脂のシート
状物とマツト状繊維補強材との積層、該積層物の加熱溶
融、繊維補強材への樹脂の含浸および冷却の5つの工程
に分けられる。
【0006】そこで本発明者らはポリエステル系スタン
パブルシートの製造方法に関し、所望の性能を効率的に
付与させるために、前述した工程の中で特に加熱時の樹
脂の含浸条件について詳細なる検討を加えた結果、含浸
前後の樹脂の還元粘度比を管理することにより、品質の
優れたスタンパブルシートが製造できることを見いだ
し、本発明に到達した。
パブルシートの製造方法に関し、所望の性能を効率的に
付与させるために、前述した工程の中で特に加熱時の樹
脂の含浸条件について詳細なる検討を加えた結果、含浸
前後の樹脂の還元粘度比を管理することにより、品質の
優れたスタンパブルシートが製造できることを見いだ
し、本発明に到達した。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は熱可
塑性ポリエステル樹脂(以下、単に樹脂と略称する場合
がある)からなるシート状物トマツト状繊維補強材との
積層物を加熱して樹脂を溶融し、繊維補強材に樹脂を含
浸させるに際し、下記で示される還元粘度比が0.50
以上、0.96未満であることを特徴とするポリエステ
ル系スタンパブルシートの製造方法である。 還元粘度比=η↓b/η↓a (η↓a:含浸前の樹脂還元粘度、η↓b:含浸後の樹脂
還元粘度)
塑性ポリエステル樹脂(以下、単に樹脂と略称する場合
がある)からなるシート状物トマツト状繊維補強材との
積層物を加熱して樹脂を溶融し、繊維補強材に樹脂を含
浸させるに際し、下記で示される還元粘度比が0.50
以上、0.96未満であることを特徴とするポリエステ
ル系スタンパブルシートの製造方法である。 還元粘度比=η↓b/η↓a (η↓a:含浸前の樹脂還元粘度、η↓b:含浸後の樹脂
還元粘度)
【0008】本発明における還元粘度は、材料を適当な
溶媒に溶解させ繊維補強材などをろ別して樹脂を取り出
し、該樹脂をフェノール/テトラクロルエタン=1/1
(重量比)の混合溶媒に0.5g/dlの濃度で溶解さ
せ、30℃でウベローデ粘度測定管により測定した。還
元粘度比が1.0であることは、含浸前後で樹脂の分子
量に変化がないことを表している。
溶媒に溶解させ繊維補強材などをろ別して樹脂を取り出
し、該樹脂をフェノール/テトラクロルエタン=1/1
(重量比)の混合溶媒に0.5g/dlの濃度で溶解さ
せ、30℃でウベローデ粘度測定管により測定した。還
元粘度比が1.0であることは、含浸前後で樹脂の分子
量に変化がないことを表している。
【0009】本発明においては、かかる還元粘度比を
0.50以上、0.96未満、好ましくは0.55以
上、0.94未満に管理することが必要である。還元粘
度比が0.50未満では含浸後のスタンパブルシート中
の樹脂の機械的性能が低下し、スタンパブルシートとし
ての耐熱性等の性能が低下する。一方、還元粘度比0.
96以上ではマツト状繊維補強材への樹脂の含浸が不十
分であり、樹脂とマツト状繊維補強材が効率的に一体化
されず、品質の良好なスタンパブルシートを得ることが
困難である。
0.50以上、0.96未満、好ましくは0.55以
上、0.94未満に管理することが必要である。還元粘
度比が0.50未満では含浸後のスタンパブルシート中
の樹脂の機械的性能が低下し、スタンパブルシートとし
ての耐熱性等の性能が低下する。一方、還元粘度比0.
96以上ではマツト状繊維補強材への樹脂の含浸が不十
分であり、樹脂とマツト状繊維補強材が効率的に一体化
されず、品質の良好なスタンパブルシートを得ることが
困難である。
【0010】熱可塑性ポリエステル樹脂は溶融時、水お
よび熱により分解するため、本発明の還元粘度比は含浸
前の樹脂、繊維補強材等の原材料の水分率、加熱温度、
加熱時間等に大きく左右される。そこで本発明において
は還元粘度が0.5以上、1.5未満である樹脂を含浸
前の樹脂として用いることが好ましい。還元粘度が0.
5未満である樹脂を用いると、スタンパブルシートを製
造する際の樹脂のシート化工程において、樹脂の分子量
が低い、すなわち溶融粘度が低いためにシート押出し機
からの樹脂の吐出が不安定になるばかりでなく、シート
押出し機のダイから吐出した溶融樹脂の形態安定性に劣
り、シート状に成形することが困難となり易い。また、
樹脂の分子量が低いため得られるスタンパブルシートの
性能が劣り、品質に問題が生ずる場合がある。一方、還
元粘度が1.5以上の樹脂は高価であり、原料価格が高
くなり、また樹脂の分子量が高い、すなわち溶融粘度が
高いため含浸しにくい。
よび熱により分解するため、本発明の還元粘度比は含浸
前の樹脂、繊維補強材等の原材料の水分率、加熱温度、
加熱時間等に大きく左右される。そこで本発明において
は還元粘度が0.5以上、1.5未満である樹脂を含浸
前の樹脂として用いることが好ましい。還元粘度が0.
5未満である樹脂を用いると、スタンパブルシートを製
造する際の樹脂のシート化工程において、樹脂の分子量
が低い、すなわち溶融粘度が低いためにシート押出し機
からの樹脂の吐出が不安定になるばかりでなく、シート
押出し機のダイから吐出した溶融樹脂の形態安定性に劣
り、シート状に成形することが困難となり易い。また、
樹脂の分子量が低いため得られるスタンパブルシートの
性能が劣り、品質に問題が生ずる場合がある。一方、還
元粘度が1.5以上の樹脂は高価であり、原料価格が高
くなり、また樹脂の分子量が高い、すなわち溶融粘度が
高いため含浸しにくい。
【0011】樹脂の還元粘度比を特定範囲にするために
は原材料の水分率、加熱温度、加熱時間等を適宜調整す
ればよく、本発明においては特に限定すべきものではな
い。
は原材料の水分率、加熱温度、加熱時間等を適宜調整す
ればよく、本発明においては特に限定すべきものではな
い。
【0012】本発明の樹脂として、ポリエチレンテレフ
タレート(以下、PETと略称する)、ポリブチレンテ
レフタレート(以下、PBTと略称する)、ポリエチレ
ンナフタレート等の熱可塑性ポリエステル樹脂が挙げら
れ、単独または2種以上の混合物であることが好まし
い。また、これらの樹脂はアジピン酸、セバシン酸、フ
タル酸、イソフタル酸、アゼライン酸、シクロヘキサン
ジメタノール、ジエチレングリコール、トリメチレング
リコール、テトラメチレングリコール等を共重合成分と
して含有していてもよい。本発明においては成形性、成
形品の耐熱性、さらにはコスト/パーフォーマンスの点
においてPET、PBTが好適である。また、本発明に
おけるポリエステル系スタンパブルシートの性能に影響
を及ぼさない範囲でポリプロピレン、ポリエチレン、ポ
リスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、アクリル
等の熱可塑性樹脂、ポリエステルエラストマー、アイオ
ノマー等の軟質熱可塑性樹脂を添加することができる。
さらに、特性付与のため、例えば、結晶化核剤、酸化防
止剤、エステル交換防止剤、加水分解防止剤、着色剤、
紫外線吸収剤、内部離型剤、帯電防止剤、離燃剤等を適
宜添加することができる。
タレート(以下、PETと略称する)、ポリブチレンテ
レフタレート(以下、PBTと略称する)、ポリエチレ
ンナフタレート等の熱可塑性ポリエステル樹脂が挙げら
れ、単独または2種以上の混合物であることが好まし
い。また、これらの樹脂はアジピン酸、セバシン酸、フ
タル酸、イソフタル酸、アゼライン酸、シクロヘキサン
ジメタノール、ジエチレングリコール、トリメチレング
リコール、テトラメチレングリコール等を共重合成分と
して含有していてもよい。本発明においては成形性、成
形品の耐熱性、さらにはコスト/パーフォーマンスの点
においてPET、PBTが好適である。また、本発明に
おけるポリエステル系スタンパブルシートの性能に影響
を及ぼさない範囲でポリプロピレン、ポリエチレン、ポ
リスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、アクリル
等の熱可塑性樹脂、ポリエステルエラストマー、アイオ
ノマー等の軟質熱可塑性樹脂を添加することができる。
さらに、特性付与のため、例えば、結晶化核剤、酸化防
止剤、エステル交換防止剤、加水分解防止剤、着色剤、
紫外線吸収剤、内部離型剤、帯電防止剤、離燃剤等を適
宜添加することができる。
【0013】かかる樹脂はスタンパブルシート製造時の
樹脂の溶融工程において系内に水が存在すると容易に加
水分解し、スタンパブルシートとしての性能の低下を引
き起こすので予め乾燥して、水分を除去したうえで用い
るのが好ましい。
樹脂の溶融工程において系内に水が存在すると容易に加
水分解し、スタンパブルシートとしての性能の低下を引
き起こすので予め乾燥して、水分を除去したうえで用い
るのが好ましい。
【0014】本発明のポリエステル系スタンパブルシー
トを構成する繊維補強材としては、ガラス繊維、炭素繊
維、金属繊維、セラミック繊維等の無機繊維が挙げら
れ、スタンパブルシートの性能、コスト/パーフォーマ
ンスの点においてガラス繊維が好適である。これらの繊
維は、フィラメント、ストランド、ロービング等の形状
を有しているのが好ましく、単独、または二種以上の種
類もしくは形状の組合せで用いることができる。また、
これらの繊維はスタンパブルシートの流動性、性能を損
なわない範囲で、例えばポリビニルアルコール系繊維、
ポリアリレート系繊維、アラミド系繊維、ポリアミド系
繊維等の有機繊維を併用することもできる。
トを構成する繊維補強材としては、ガラス繊維、炭素繊
維、金属繊維、セラミック繊維等の無機繊維が挙げら
れ、スタンパブルシートの性能、コスト/パーフォーマ
ンスの点においてガラス繊維が好適である。これらの繊
維は、フィラメント、ストランド、ロービング等の形状
を有しているのが好ましく、単独、または二種以上の種
類もしくは形状の組合せで用いることができる。また、
これらの繊維はスタンパブルシートの流動性、性能を損
なわない範囲で、例えばポリビニルアルコール系繊維、
ポリアリレート系繊維、アラミド系繊維、ポリアミド系
繊維等の有機繊維を併用することもできる。
【0015】これらの繊維補強材の表面は樹脂との接着
性を向上させるために各種の表面処理剤、例えばシラン
カップリング剤等で処理されていてもよい。繊維補強材
の繊維長は5mm以上、特に10mm以上であり、繊維径は
2〜50μ特に5〜30μの範囲内にあり、さらに繊維
補強材がスタンパブルシート中に10〜70重量%、特
に20〜60重量%の範囲内で含有されていることが好
ましい。繊維補強材はチョップドストランドマツト、コ
ンティニュアスストランドマツト、フィラメントマツ
ト、バインダーで繊維間が固定されているマツト、ニー
ドリングによって機械的に絡合させたマツト等の形態に
して用いられる。繊維補強材には、ガラス短繊維等の繊
維状物質、タルク、マイカ、ガラスフレーク等のフレー
ク状フィラー、ガラスビーズ、ガラスマイクロバルー
ン、炭酸カルシウム等の粒状フィラー、ウオラスナイト
等の針状フィラーが一種以上混合されていてもよい。
性を向上させるために各種の表面処理剤、例えばシラン
カップリング剤等で処理されていてもよい。繊維補強材
の繊維長は5mm以上、特に10mm以上であり、繊維径は
2〜50μ特に5〜30μの範囲内にあり、さらに繊維
補強材がスタンパブルシート中に10〜70重量%、特
に20〜60重量%の範囲内で含有されていることが好
ましい。繊維補強材はチョップドストランドマツト、コ
ンティニュアスストランドマツト、フィラメントマツ
ト、バインダーで繊維間が固定されているマツト、ニー
ドリングによって機械的に絡合させたマツト等の形態に
して用いられる。繊維補強材には、ガラス短繊維等の繊
維状物質、タルク、マイカ、ガラスフレーク等のフレー
ク状フィラー、ガラスビーズ、ガラスマイクロバルー
ン、炭酸カルシウム等の粒状フィラー、ウオラスナイト
等の針状フィラーが一種以上混合されていてもよい。
【0016】本発明の熱可塑性ポリエステル系スタンパ
ブルシートは、例えば熱可塑性ポリエステル樹脂よりな
るシートと繊維補強材よりなるマツト状物を交互に複数
層積層して、上下に一対のベルトを有する装置に供給
し、樹脂の融点以上の温度に加熱することにより、また
は同時に加圧することにより、繊維補強材よりなるマツ
ト状物に樹脂を含浸させ一体化せしめ、その後冷却する
ことにより製造することができる。
ブルシートは、例えば熱可塑性ポリエステル樹脂よりな
るシートと繊維補強材よりなるマツト状物を交互に複数
層積層して、上下に一対のベルトを有する装置に供給
し、樹脂の融点以上の温度に加熱することにより、また
は同時に加圧することにより、繊維補強材よりなるマツ
ト状物に樹脂を含浸させ一体化せしめ、その後冷却する
ことにより製造することができる。
【0017】この様にして得られたスタンパブルシート
はそのまま板状物として、また折り曲げ加工、溶着加工
等をして用いることができるが、樹脂の融点以上の温度
に加熱して樹脂を溶融させ、樹脂のガラス転移点以上、
融点以下の温度に保たれた一対の金型の中に供給しスタ
ンピング成形することにより材料を流動させて賦型し、
自動車部品、電気部品、各種工業部品、雑貨等の成形品
に加工することもできる。
はそのまま板状物として、また折り曲げ加工、溶着加工
等をして用いることができるが、樹脂の融点以上の温度
に加熱して樹脂を溶融させ、樹脂のガラス転移点以上、
融点以下の温度に保たれた一対の金型の中に供給しスタ
ンピング成形することにより材料を流動させて賦型し、
自動車部品、電気部品、各種工業部品、雑貨等の成形品
に加工することもできる。
【0018】
【作用】樹脂の含浸前後の還元粘度比を調整することに
より、マツト状繊維補強材への樹脂の含浸度合が把握で
き、より効率的にスタンパブルシートを製造することが
できる。
より、マツト状繊維補強材への樹脂の含浸度合が把握で
き、より効率的にスタンパブルシートを製造することが
できる。
【0019】
【実施例】以下、実施例によって本発明を更に具体的に
説明するが、これらの実施例は何ら本発明を限定するも
のではない。まず、評価方法について説明する。 還元粘度(η↓sp/C) 含浸前後の試料を適当な溶媒に溶解し、繊維補強材をろ
別して樹脂を取り出し、該樹脂をテトラクロロエタン/
フェノール=1/1(重量比)の混合溶媒に樹脂濃度を
0.5g/dlとして溶解し、30℃での還元粘度を求め
た。 含浸状態 ダイヤモンドカッターで切削したスタンパブルシート原
反の断面を目視により次の基準で判定した。 繊維補強材に樹脂が十分含浸している 良好 繊維補強材(繊維束内)への含浸がやや悪い やや不
良 繊維補強材(繊維束内)へ含浸していない 不良 曲げ特性 スタンピング平板成形品より切り出した試験片を用い
て、JIS K7203に準拠して曲げ強さを測定し
た。 耐熱性(ヒートサイクル性) スタンピング平板成形品を次の条件下に3サイクル暴露
した後、該成形品表面にクラック発生の有無を目視で判
定した。 (1) 180℃×4時間 (2) 25℃×0.5時間 (3) −40℃×1.5時間 (4) 25℃×0.5時間
説明するが、これらの実施例は何ら本発明を限定するも
のではない。まず、評価方法について説明する。 還元粘度(η↓sp/C) 含浸前後の試料を適当な溶媒に溶解し、繊維補強材をろ
別して樹脂を取り出し、該樹脂をテトラクロロエタン/
フェノール=1/1(重量比)の混合溶媒に樹脂濃度を
0.5g/dlとして溶解し、30℃での還元粘度を求め
た。 含浸状態 ダイヤモンドカッターで切削したスタンパブルシート原
反の断面を目視により次の基準で判定した。 繊維補強材に樹脂が十分含浸している 良好 繊維補強材(繊維束内)への含浸がやや悪い やや不
良 繊維補強材(繊維束内)へ含浸していない 不良 曲げ特性 スタンピング平板成形品より切り出した試験片を用い
て、JIS K7203に準拠して曲げ強さを測定し
た。 耐熱性(ヒートサイクル性) スタンピング平板成形品を次の条件下に3サイクル暴露
した後、該成形品表面にクラック発生の有無を目視で判
定した。 (1) 180℃×4時間 (2) 25℃×0.5時間 (3) −40℃×1.5時間 (4) 25℃×0.5時間
【0020】実施例1〜3および比較例1,2 PETペレットを押出機を用いて溶融混練した後、ダイ
スよりシート状溶融物を吐出せしめ、冷却ロールにて冷
却することにより還元粘度が0.85の樹脂シートを得
た。次いで、繊維長が50mmであるガラスチョップドス
トランドマットと該シートの複数枚を交互に重ね合わせ
た後、上下に一対のスチールベルトを有する装置に供給
し、加熱して樹脂を溶融させるとともに加圧して含浸一
体化せしめ、繊維補強材の含有率が40重量%であって
約4mm厚さのポリエステル系スタンパブルシートを得
た。該スタンパブルシートの還元粘度を測定し、還元粘
度比を算出するとともに、含浸状態を観察した。結果を
表1に示す。
スよりシート状溶融物を吐出せしめ、冷却ロールにて冷
却することにより還元粘度が0.85の樹脂シートを得
た。次いで、繊維長が50mmであるガラスチョップドス
トランドマットと該シートの複数枚を交互に重ね合わせ
た後、上下に一対のスチールベルトを有する装置に供給
し、加熱して樹脂を溶融させるとともに加圧して含浸一
体化せしめ、繊維補強材の含有率が40重量%であって
約4mm厚さのポリエステル系スタンパブルシートを得
た。該スタンパブルシートの還元粘度を測定し、還元粘
度比を算出するとともに、含浸状態を観察した。結果を
表1に示す。
【0021】得られたスタンパブルシートを85×17
5mmの大きさに切断し、300℃に加熱して樹脂を溶融
せしめた後内寸が100×200mmで160℃に保たれ
た金型内にすみやかに移し、スタンピング成形をおこな
うことにより約2.8mm厚さの平板成形品を得た。この
平板成形品の曲げ強さ、および耐熱性を表1に示す。還
元粘度比が0.50以上、0.95未満のスタンパブル
シートは含浸状態が良好であり、また、スタンピング成
形後の成形品物性に優れている。
5mmの大きさに切断し、300℃に加熱して樹脂を溶融
せしめた後内寸が100×200mmで160℃に保たれ
た金型内にすみやかに移し、スタンピング成形をおこな
うことにより約2.8mm厚さの平板成形品を得た。この
平板成形品の曲げ強さ、および耐熱性を表1に示す。還
元粘度比が0.50以上、0.95未満のスタンパブル
シートは含浸状態が良好であり、また、スタンピング成
形後の成形品物性に優れている。
【0022】実施例4および比較例3 実施例1において、還元粘度が0.65のPET樹脂シ
ートを用いる以外は同様にして、繊維補強材の含有率が
40重量%であって、約4mm厚さのポリエステル系スタ
ンパブルシートを得た。次いで、得られたスタンパブル
シートを実施例1と同様の方法でスタンピング成形し、
成形品を得た。該スタンパブルシートおよび成形品の各
種物性を表1に示す。
ートを用いる以外は同様にして、繊維補強材の含有率が
40重量%であって、約4mm厚さのポリエステル系スタ
ンパブルシートを得た。次いで、得られたスタンパブル
シートを実施例1と同様の方法でスタンピング成形し、
成形品を得た。該スタンパブルシートおよび成形品の各
種物性を表1に示す。
【0023】実施例5および比較例4 実施例1において、還元粘度が1.15のPET樹脂シ
ートを用いる以外は同様にして繊維補強材の含有率が4
0重量%であって、約4mm厚さのポリエステル系スタン
パブルシートを得た。次いで、得られたスタンパブルシ
ートを実施例1と同一の方法でスタンピング成形し、成
形品を得た。該スタンパブルシートおよび成形品の各種
物性を表1に示す。比較例4より明かなように、高重合
度のPETを用いても、還元粘度比が本発明における範
囲を越えて小さくなると、成形品の耐熱性に劣り、品質
上問題の発生することがわかる。
ートを用いる以外は同様にして繊維補強材の含有率が4
0重量%であって、約4mm厚さのポリエステル系スタン
パブルシートを得た。次いで、得られたスタンパブルシ
ートを実施例1と同一の方法でスタンピング成形し、成
形品を得た。該スタンパブルシートおよび成形品の各種
物性を表1に示す。比較例4より明かなように、高重合
度のPETを用いても、還元粘度比が本発明における範
囲を越えて小さくなると、成形品の耐熱性に劣り、品質
上問題の発生することがわかる。
【0024】実施例6,7および比較例5,6 PETペレットを押出機を用いて溶融混練した後、ダイ
スよりシート状溶融物を吐出せしめ、冷却ロールにて冷
却することにより還元粘度が1.41の樹脂シートを得
た。次いで、繊維長が50mmであるガラスチョップドス
トランドマットと該シートの複数枚を交互に重ね合わせ
た後、上下に一対のスチールベルトを有する装置に供給
し、加熱して樹脂を溶融させるとともに加圧して含浸一
体化せしめ、繊維補強材の含有率が40重量%であって
約4mm厚さのポリエステル系スタンパブルシートを得
た。該スタンパブルシートの還元粘度を測定し、還元粘
度比を算出するとともに、含浸状態を観察した。結果を
表1に示す。
スよりシート状溶融物を吐出せしめ、冷却ロールにて冷
却することにより還元粘度が1.41の樹脂シートを得
た。次いで、繊維長が50mmであるガラスチョップドス
トランドマットと該シートの複数枚を交互に重ね合わせ
た後、上下に一対のスチールベルトを有する装置に供給
し、加熱して樹脂を溶融させるとともに加圧して含浸一
体化せしめ、繊維補強材の含有率が40重量%であって
約4mm厚さのポリエステル系スタンパブルシートを得
た。該スタンパブルシートの還元粘度を測定し、還元粘
度比を算出するとともに、含浸状態を観察した。結果を
表1に示す。
【0025】次いで、得られたスタンパブルシートを、
85×175mmの大きさに切断し、270℃に加熱して
樹脂を溶融せしめた後内寸が100×200mmで120
℃に保たれた金型内にすみやかに移し、スタンピング成
形をおこなうことにより約2.8mm厚さの平板成形品を
得た。これらの平板成形品の曲げ強さ、および耐熱性を
表1に示す。
85×175mmの大きさに切断し、270℃に加熱して
樹脂を溶融せしめた後内寸が100×200mmで120
℃に保たれた金型内にすみやかに移し、スタンピング成
形をおこなうことにより約2.8mm厚さの平板成形品を
得た。これらの平板成形品の曲げ強さ、および耐熱性を
表1に示す。
【0026】比較例7 実施例1において、還元粘度が0.5のPET樹脂を用
いる以外は同様にしてスタンパブルシートを得、次い
で、スタンピング成形し、成形品を得た。スタンパブル
シートおよび成形品の各種物性を表1に示す。低重合度
であるため、繊維補強材への樹脂の含浸性は良好である
が、スタンパブルシートとしての品質に問題が発生して
いることがわかる。
いる以外は同様にしてスタンパブルシートを得、次い
で、スタンピング成形し、成形品を得た。スタンパブル
シートおよび成形品の各種物性を表1に示す。低重合度
であるため、繊維補強材への樹脂の含浸性は良好である
が、スタンパブルシートとしての品質に問題が発生して
いることがわかる。
【0027】
【表1】
【0028】
【発明の効果】樹脂の含浸前後の還元粘度比を調整する
ことで、マツト状繊維補強材への樹脂の含浸度合が把握
でき、品質の優れたスタンパブルシートをより効率的に
製造することができる。
ことで、マツト状繊維補強材への樹脂の含浸度合が把握
でき、品質の優れたスタンパブルシートをより効率的に
製造することができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 熱可塑性ポリエステル樹脂からなるシー
ト状物とマツト状繊維補強材との積層物を加熱して樹脂
を溶融し、繊維補強材に樹脂を含浸させるに際し、下記
で示される還元粘度比が0.50以上、0.96未満で
あることを特徴とするポリエステル系スタンパブルシー
トの製造法。 還元粘度比=η↓b/η↓a (η↓a:含浸前の樹脂還元粘度、η↓b:含浸後の樹脂
還元粘度) - 【請求項2】 η↓aが0.5以上、1.5未満である
ことを特徴とする請求項1記載の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6908392A JP2538160B2 (ja) | 1992-02-17 | 1992-02-17 | ポリエステル系スタンパブルシ―トの製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6908392A JP2538160B2 (ja) | 1992-02-17 | 1992-02-17 | ポリエステル系スタンパブルシ―トの製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05220746A JPH05220746A (ja) | 1993-08-31 |
JP2538160B2 true JP2538160B2 (ja) | 1996-09-25 |
Family
ID=13392344
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6908392A Expired - Lifetime JP2538160B2 (ja) | 1992-02-17 | 1992-02-17 | ポリエステル系スタンパブルシ―トの製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2538160B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5717928B2 (ja) | 2012-09-21 | 2015-05-13 | 帝人株式会社 | 複合材料の製造方法 |
-
1992
- 1992-02-17 JP JP6908392A patent/JP2538160B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05220746A (ja) | 1993-08-31 |
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