JP3124409B2

JP3124409B2 - 鶏飼料

Info

Publication number: JP3124409B2
Application number: JP05065241A
Authority: JP
Inventors: 康夫勝田; 茂若林
Original assignee: Matsutani Chemical Industries Co Ltd
Current assignee: Matsutani Chemical Industries Co Ltd
Priority date: 1993-03-24
Filing date: 1993-03-24
Publication date: 2001-01-15
Anticipated expiration: 2016-01-15
Also published as: DE69419336T2; US5578584A; EP0616777B1; JPH06276960A; EP0616777A2; DE69419336D1; EP0616777A3

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は鶏飼料に関し、詳しくは
脂質代謝を改善し、脂肪肝の発生を抑制することによっ
て肉質を向上させるとともに、卵中のコレステロールを
低下させ、産卵率および卵殻強度を増加させる鶏飼料に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、鶏用の配合飼料は、飼料効率を高
める目的で、高蛋白質・高カロリーのいわゆる濃厚飼料
化される傾向にある。このため、鶏は必要以上のエネル
ギー摂取により、腹腔内、腸間、皮下等への脂肪の過剰
蓄積や脂肪肝といった脂質代謝異常が多発する傾向にあ
る。その結果、肉用鶏では肝など内臓肉を含めた産肉性
の低下を招くほか、採卵鶏においては産卵率の低下、卵
殻強度の低下に伴う破卵率の増加などの問題を生じてい
る。また食生活が豊かになった昨今、成人病に対する関
心も年々高まっており、特に動脈硬化に対する認識度は
高い。動脈硬化の原因物質として食品性コレステロール
があげられる。最近の研究では食品として摂取されるコ
レステロール量と血清コレステロール量との間に正の相
関があることが認めらている。また、食品として摂取さ
れるコレステロール量と動脈硬化性心疾患による死亡率
との間にも正の相関があることが認められており、食品
として摂取されるコレステロール量が多いほど、動脈硬
化性心疾患による死亡率が高いことがわかっている。そ
のコレステロールの含有量が高い食品の代表としてあげ
られるのが鶏卵である。５５〜５９才の男子を対象にし
た種々の食品の摂取量と心疾患による死亡率との関係を
調査した結果、鶏卵の摂取量と心疾患による死亡率との
関係に有意な正の相関が認められている（ｒ＝０．６６
６）。しかしながら鶏卵は良質のタンパク源として栄養
的に優れており、１日に１個は摂取したい食品であるた
め、鶏卵の低コレステロール化が望まれるところであ
る。この様な状況において、中鎖脂肪酸や不飽和脂肪
酸、アミノ酸類、ビタミン類等を鶏飼料へ添加すること
によって、鶏の体脂肪の蓄積を防止し、脂肪肝を抑制す
る方法が試みられている。しかしながら、これらの物質
は高価なものが多く、鶏飼料添加剤として使用するには
実用上問題が多い。また近年、肉や鶏卵に残留する化学
物質が人体に悪影響を及ぼす可能性が懸念されており、
特に合成化学物質の使用はこのような安全性の面でも好
ましくはなく、より安価で効果的な飼料が切望されてい
る。

【０００３】一方、最近家畜の下痢、軟便改善の為にオ
リゴ糖を飼料に添加する方法が提案されている。例え
ば、特開昭６０−３４１３４号にはフラクトオリゴ糖を
含有する飼料が開示され、特開昭６２−１３８１４７号
にはガラクトシル・ラクトースを含有する飼料が。開示
されている。また、特開平３−２７２５５号にはイソマ
ルトオリゴ糖の有用性も示唆されている。乳糖を原料と
するガラクトシル・ラクトースの製造法として、特開昭
６０−２５１８９６号には、乳糖にクリプトコッカス属
の微生物を作用させて、グルコースとガラクトースの構
成比が１：２ないし１：３のオリゴ糖を製造する方法が
開示されている。また特開昭６３−１０９７８９号に
は、乳糖にβ−ガラクトシダーゼを作用させてグルコー
スとガラクトースの構成比が１：２ないし１：５のオリ
ゴ糖を製造する方法が開示されている。これらの方法に
より得られるオリゴ糖の非還元性末端のグルコース残基
の量は、いずれも２重量％以下である。しかし、これら
のオリゴ糖の製造方法はいずれも共通した欠点を有す
る。即ち、これらの方法はいずれも酵素を使用している
為、その反応系は比較的低濃度の水系であり、有効成分
である糖類の収率も固形分中約５５重量％以下と低い。
しかも単糖類、２糖類などを多く含む他、有効成分であ
るオリゴ糖の分子量も小さくて結晶化し難く、通常はシ
ロップ状で流通している。しかし、シロップ状では飼料
に均一に添加するのが困難で、粉末品が望まれる。とこ
ろが、粉末化に際し全く添加剤を用いないと得られた粉
末の吸湿性が強くて、ブロッキング、潮解を起こしやす
く、取り扱いに難点がある。特開平３−２７２５５号で
はイソマルトオリゴ糖についてケイ酸化合物を粉末化の
基剤に用いた粉末化の改良法が開示されているが、この
場合でも有効なオリゴ糖の含量は約２０−２５重量％と
低い。粉末化に際し添加剤を用いるとその分コストアッ
プとなるため、より安価で製造ができる効果的な飼料が
切望されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、鶏の飼育全期間に有効であり、特に体脂肪の蓄積や
脂肪肝の発生を防止し、肉質を向上させるとともに鶏卵
中のコレステロール量を低下させ、産卵率および卵殻強
度を増加させる鶏飼料を提供することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、乳糖を鉱酸存
在下で加熱処理して得られるガラクトオリゴ糖組成物を
含有することを特徴とする鶏飼料を提供するものであ
る。この明細書において、「ガラクトオリゴ糖組成物」
とは、乳糖を鉱酸の存在下で２０重量％以下の低水分下
で加熱して得られる糖組成物であって、グルコースとガ
ラクトースを基本的構成糖とし、グルコースとガラクト
ースの構成比が約１：１である糖組成物をいう。本発明
の鶏飼料に添加するガラクトオリゴ糖組成物は、乳糖に
塩酸、硫酸、硝酸、燐酸等の鉱酸、好ましくは塩酸を、
２５０〜１５００ｐｐｍ、好ましくは約５００ｐｐｍ程
度添加して、好ましくは、１００〜２００℃で１〜２０
秒加熱処理することによって得られる。ガラクトオリゴ
糖組成物の製造方法の具体例は、例えば特開平３−１９
７４９０号に記載されている。この公開公報には、乳糖
を無機酸の存在下に無水状態で加熱する方法と、乳糖の
水溶液に無機酸を添加してから一旦スプレードライして
乾燥粉末化した後に加熱する方法の２種類が記載されて
いる。しかしこの方法で得られるガラクトオリゴ糖組成
物は、３糖類以上の糖類の含有量が約２０重量％であ
り、本発明の目的とする所期の効果を十分に発現するこ
とは困難である。また加熱前にスプレードライする方法
は、スプレードライヤーが必要な上に工程数が多くて複
雑であり経済性に劣る欠陥がある。

【０００６】本発明の鶏飼料に添加するガラクトオリゴ
糖組成物は上記公知の方法によっても製造できるが、乳
糖に無機酸、好ましくは塩酸を添加し、混合物をエクス
トルーダーで加熱処理して製造することが好ましい。こ
の方法によれば、前記の有効な３糖類以上の糖類の含有
量を約５０重量％程度にまで高めることができる。本発
明に使用するガラクトオリゴ糖組成物の原料である乳糖
としては、市販のα−乳糖、β−乳糖、平衡乳糖の何れ
もが効果的に使用できる。またエクストルーダーとして
は、円筒内に回転する１個のスクリューを挿入した１軸
形式のものや、断面が８の字型の筒内に同方向または異
方向に回転する２個のスクリューを挿入した２軸形式の
ものが使用できる。スクリューは一般に着脱式であり、
またスクリュー自体の形式も逆ピッチを含む各種のピッ
チのものを適宜組み合わせて使用できる。通常は筒を加
熱して、回転するスクリューの一端から原料を供給し、
スクリューと原料との摩擦熱も利用しながら、加圧・加
熱状態で原料を処理する。加熱時の圧力は、特に限定さ
れないが、一般に出口で０〜３０気圧で十分である。本
発明のガラクトオリゴ糖組成物の製造に使用されるエク
ストルーダーの通常のサイズは、スクリューの直径が３
０〜３４０ｍｍ、スクリューの長さと直径の比が１０：
１〜４５：１程度であり、加熱は蒸気、電熱や誘導加熱
などの方式いずれでもよい。

【０００７】またエクストルーダーの運転条件として
は、１００〜２００℃、好ましくは１６０〜１８０℃
で、５〜２０秒、好ましくは１０秒前後が適当である。
さらにこの装置を反応装置として使用するために、原料
と製品がエクストルーダー内を円滑に移動することが必
須の条件であることから、スクリューの回転数は原料乳
糖の性質、加熱温度、反応時間や酸の添加量とも密接な
関係があり、製品中の糖組成を測定して最適の条件を選
択する必要があるが、通常は１２０〜４００回転で十分
である。このエクストルーダーによる加熱処理法の最大
の特徴は、乳糖を無機酸の存在下に溶融状態で反応させ
ることである。従って、加圧されて溶融された状態から
装置外の大気圧中に排出されるために、加熱処理物は粉
砕し易い無定型の状態となっている。そのため必要があ
れば軽度に粉砕することによって、容易に粉末状のガラ
クトオリゴ糖組成物を得ることができる。従来の加熱処
理法では、乳糖が未処理の時のままの粉末または結晶状
態に近いものであったり、溶融してガラス状に固結して
しまったりすることがあるが、エクストルーダーによる
加熱処理法ではこのような欠点がない。

【０００８】鉱酸、例えば塩酸の添加量は１％前後の濃
度の水溶液を用いる場合、水溶液として、乳糖に対して
２〜１０重量％、好ましくは５重量％前後である。乳糖
と鉱酸水溶液を均一に混合するために、ミキサー中で攪
拌、熟成させてから、必要があれば１００〜１２０℃で
０．５〜１時間予備乾燥し、水分を２〜１５重量％程度
としてからエクストルーダー処理を行うことが好まし
い。次にこの混合物を加熱したエクストルーダーに連続
的に送入して加熱処理を行い、エクストルーダーの出口
から排出された生成物を速やかに冷却して加熱処理を終
了させる。一般に反応時の温度は高い方が獲られるガラ
クトオリゴ糖組成物中の３糖類以上の糖類の含有量が高
くなるが、１８０℃付近から着色物質が増加するので余
り高温で処理することは好ましくない。具体的な反応温
度としては１２０〜２００℃、好ましくは１３０〜１８
０℃が適当である。上記の方法で製造されたガラクトオ
リゴ糖組成物は市販されており、例えば、「パインラク
ト」（商品名、松谷化学工業株式会社製）が入手可能で
ある。このガラクトオリゴ糖組成物は３糖類以上の糖類
を４０〜５０重量％含有し、非還元末端グルコースの量
は１５〜３０重量％であり、平均分子量は約６５０であ
る。従来、鶏配合飼料には難消化性糖類として粗繊維が
３〜６重量％程度含まれているが、これは水不溶性であ
る。本発明で使用するガラクトオリゴ糖組成物は水溶性
の難消化性糖類であり、水不溶性の難消化性糖類とは明
確に区別される。本発明の鶏飼料に対するガラクトオリ
ゴ糖組成物の添加量は、０．１〜５重量％が適当であ
る。０．１重量％未満では所期の効果が十分に発現せ
ず、また５重量％を超えてもさらなる効果の改善は顕著
ではないので、経済的でない。

【０００９】ガラクトオリゴ糖組成物を基本飼料に添加
混合することにより本発明の鶏飼料が得られるが、その
添加方法は特に制限されない。例えば、ガラクトオリゴ
糖組成物を含む液状物を基本飼料に噴霧または散布する
方法、ガラクトオリゴ糖組成物の粉末品を添加して混合
する方法などがある。後者の方法の方が容易であること
から好ましい。また本発明の鶏飼料は、鶏の種類、日
齢、給餌方法、飼育方法等にかかわらず使用することが
でき、通常の養鶏法にそのまま適用できるものである。

【００１０】〔ガラクトオリゴ糖組成物中の糖類の分析
方法〕ガラクトオリゴ糖組成物の１０重量％水溶液を調
製し、イオン交換樹脂（アンバーライトＩＲＡ１２０と
２０００Ｃの１：２（容量比）混合樹脂）にＳ．Ｖ．＝
１で通液して脱塩する。次にＢｘ５゜に調整して０．２
μｍのフィルターで濾過し、高速液体クロマトグラフィ
ーの供試液とする。高速液体クロマトグラフィーの条件
は次の通りである。使用カラムＭＣＩＧＥＬＣＫ０８ＥＣ３０
０ｍｍ×８φ カラム温度８５℃ 溶離液水検出器示差屈折計標準物質として、デキストリン（松谷化学工業株式会社
製「パインデックス♯３」ＤＥ２５のもの）を用い、試
料中の単糖類、２糖類、３糖類以上の糖類のピーク面積
から試料中の各糖類の重量比を求める。

【００１１】〔肝臓中コレステロールの定量法〕肝臓片
を約０．１ｇ精秤し、試験管に入れる。４５重量％水酸
化カリウム水溶液を２ml加える。オートクレーブで１２
０℃、１時間加熱する。放冷後、エタノールを２ml加え
る。ホモミキサーでよく攪拌する。ｎ−ヘキサンを５ml
加えて、さらに２分間攪拌する。ヘキサン層１mlを別の
試験管に分取する。ヘキサンを蒸発させる。イソプロピ
ルアルコールを０．５ml加える。酵素法でコレステロー
ルを定量する。次式により肝臓中コレステロール量を算
出する。肝臓中コレステロール量（mg/g) ＝（測定値(mg/dl) ×０．５×５）／（１００×肝臓試料の重量(g)) 〔肝臓中トリグリセリドの定量法〕カミソリでみじん切
りにした肝臓片を約０．１ｇ精秤し、試験管に入れる。
イソプロピルアルコールを５ml加え、５分間放置する。
ホモミキサーで３分間攪拌し、脂質を抽出する。３００
０ｒｐｍで１０分間遠心分離する。酵素法により上清中
のトリグリセリドを定量する。次式により肝臓中トリグ
リセリド量を算出する。肝臓中トリグリセリド量（mg/g) ＝（測定値(mg/dl) ×５）／（１００×肝臓試料の重量(g))

【００１２】〔鶏卵中コレステロールの定量法〕卵黄を
秤量し、凍結乾燥後粉砕する。この際、乾燥減量を記録
しておく。乾燥試料約０．５ｇと海砂１ｇを５０mlメス
フラスコにとる。０．５モル/l KOHアルコール溶液２０
mlとイソプロパノール１０mlを加える。６０℃、８０分
間温水加熱する。室温にした後、イソプロパノールで全
量を５０mlにする。濾過し、透明な溶液を検体として酵
素法でコレステロールを定量する。次式により肝臓コレ
ステロール量を算出する。鶏卵黄中コレステロール量（mg/g) ＝（測定値(mg/dl) ）×（49.6／Ｅ）×（１００−Ｍ）／１００Ｅ：乾燥試料重量（ｇ）、Ｍ：乾燥減量（％）

【００１３】

【発明の効果】本発明の鶏飼料は、鶏の飼育全期間に有
効であり、特に体脂肪の蓄積や脂肪肝の発生を防止し、
肉質を向上させるとともに、鶏卵中のコレステロール量
を低下させ、産卵率および卵殻強度を増加させるという
効果がある。

【００１４】以下実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。

【実施例１】草地で放飼した１１０日齢の三元交配鶏で
ある白色プリマスロック（薩摩鶏♂×名古屋種♀）を供
試鶏とし、雌１０羽を１群５羽の２群として開放ケージ
単飼で１４日間肥育した。この肥育期間中、表１に示す
配合組成と表２に示す成分組成を有するブロイラー仕上
げ用飼料（商品名スーパーファイナル、昭和産業株式会
社製造）にガラクトオリゴ糖組成物（商品名パインラク
ト、松谷化学工業株式会社製造）を５重量％添加した本
発明の飼料と無添加の飼料をそれぞれ与えて比較肥育を
行った。

【００１５】

【表１】原材料の区分配合割合原材料名穀類７０％とうもろこし、マイロ植物性油かす類１７％大豆油かす、コーングルテンミール、動物質性飼料８％魚粉、肉骨粉その他５％動物性油脂、飼料用レシチン、食塩、炭酸カルシウム飼料添加物ビタミンＡ、ビタミンＤ₃、ビタミンＥ、パントテン酸、葉酸、ビタミンＢ₁₂、ビタミンＫ₃、ビタミンＢ₁、ビタミンＢ₂、ビタミンＢ₆、ニコチン酸、コリン、硫酸マンガン、硫酸鉄、硫酸銅、硫酸亜鉛、硫酸コバルト、ヨウ素酸カルシウム、メチオニン、リジン、エトキシン

【００１６】

【表２】成分成分量粗たん白質１８．０％以上粗脂肪５．０％以上粗繊維４．０％以下粗灰分７．０％以下カルシウム０．７０％以上リン０．５５％以上代謝エネルギー／Ｋｇ３２００Ｋｃａｌ以上

【００１７】肥育期間終了後に増体量、飼料摂取量、肝
臓重量、肝臓重量の体重に対する割合（％）、脂肪肝の
程度（ＦａｔＬｉｖｅｒＳｃｏｒｅ：ＦＬＳ色模
型による５段階評価）、血清トリグリセリド値（Ｔ
Ｇ）、を測定した。結果を表３に示した。

【００１８】

【表３】測定項目本発明の飼料比較飼料増体量（ｇ）４６８４３４飼料摂取量（ｇ）２１４０２０００肝臓重量（ｇ）６１．８７２．４体重に対する割合（％）２．３２．５ＦＬＳ３．８４．２血清ＴＧ（ｍｇ／ｄｌ）６４１６７１

【００１９】表３の結果から、本発明のガラクトオリゴ
糖組成物を含む飼料を与えた群では、これを含まない普
通の飼料を与えた群と比較して増体量、飼料摂取量は変
わらないが、肝臓重量が低く従って、肝臓重量の体重に
対する割合（％）が低いこと、ＦＬＳの値が低く従っ
て、脂肪化の程度が低いこと、及び血清トリグリセリド
値も低いことがわかる。血清トリグリセリド値が低いこ
とは、脂質代謝が改善されていることを示すものであ
り、高脂血症となるのを予防していることを示すもので
ある。

【００２０】

【実施例２】バタリーで育成した２８日齢の三元交配鶏
である白色プリマスロック（薩摩鶏♂×名古屋種♀）を
供試鶏とし、雛雌雄各２０羽を１群１０羽の２群として
ウインドウレス平飼いで８４日間肥育した。この肥育期
間中、表４に示す配合組成と表２に示す成分組成を有す
るブロイラー後期用飼料（商品名スーパープロＡ、昭和
産業株式会社製造）と実施例１で使用したブロイラー仕
上げ用飼料に、それぞれガラクトオリゴ糖組成物（パイ
ンラクト）を５重量％添加した本発明の飼料と無添加の
飼料をそれぞれ与えて比較肥育を行った。

【００２１】

【表４】原材料の区分配合割合原材料名穀類７０％とうもろこし、マイロ植物性油かす類１７％大豆油かす、コーングルテンミール、動物質性飼料８％魚粉、肉骨粉その他５％動物性油脂、飼料用レシチン、炭酸カルシウム、食塩飼料添加物ノシヘプタイド、サリノマイシンナトリウム、ビタミンＡ、ビタミンＤ₃、ビタミンＥ、パントテン酸、葉酸、ビタミンＢ₁₂、ビタミンＫ₃、ビタミンＢ₁、ビタミンＢ₂、ビタミンＢ₆、ニコチン酸、コリン、炭酸マンガン、硫酸鉄、硫酸銅、炭酸亜鉛、硫酸コバルト、ヨウ素酸カルシウム、メチオニン、リジン、エトキシン

【００２２】肥育期間終了後に増体量、飼料摂取量、肝
臓重量、肝臓重量の体重に対する割合（％）、脂肪肝の
程度（ＦａｔＬｉｖｅｒＳｃｏｒｅ：ＦＬＳ色模
型による５段階評価、色差計によるｂ値）、血清トリグ
リセリド値（ＴＧ）、及び肝臓、胸肉、腿肉の脂肪含有
量（ソックスレー：ＳＬ値、ＥＭスキャン：ＥＭ値）を
測定した。結果を表５に示した。

【００２３】

【表５】測定項目本発明の飼料比較飼料増体量（ｇ）２９９６２８８９飼料摂取量（ｇ）９２８８８６６７肝臓重量（ｇ）４７．０５５．５体重に対する割合（％）１．６１．８ＦＬＳ２．５３．５ｂ値９．４１１．４血清ＴＧ（ｍｇ／ｄｌ）６１８４肝脂肪（％）４．０８．８ソックスレー値皮付胸肉１４．４１６．３（％）皮付腿肉１７．６１７．９ＥＭスキャン値皮付胸肉１３．０１５．５（回帰式による皮付腿肉１７．１１９．９計算値）（％）

【００２４】表５の結果から、本発明のガラクトオリゴ
糖組成物を含む飼料を与えた群では、これを含まない普
通の飼料を与えた群と比較して増体量、飼料摂取量は変
わらないが、肝臓重量が低く従って、肝臓重量の体重に
対する割合（％）が低いこと、ＦＬＳの値及びｂ値が低
く従って、脂肪化の程度が低いこと、及び血清トリグリ
セリド値も低いことがわかる。実施例２で肥育した雄、
雌各５羽について肝臓中のコレステロールとトリグリセ
リドの量を測定した。結果を表６に示す。

【００２５】

【表６】測定項目本発明の飼料比較飼料雄コレステロールｍｇ／ｇ３．０９＊３．５４ｍｇ／肝臓１５５＊２０８トリグリセリドｍｇ／ｇ１９．４１８．７ｇ／肝臓１．０１１．１０雌コレステロールｍｇ／ｇ３．０３２．６３ｍｇ／肝臓１３２１２８トリグリセリドｍｇ／ｇ３４．３＊１００．４ｇ／肝臓１．５１＊５．７４

【００２６】表６の結果は、実施例２の肥育により本発
明の飼料を与えた群の雄では、肝臓中のコレステロール
量が有意に低下するが、トリグリセリドの量では有意差
が認められないこと、雌では、肝臓中のコレステロール
量に有意差は認められないが、トリグリセリドの量は有
意に低下することを示している。次に鶏肉の肉質につい
て官能検査により評価した。各群の雌２羽を用いて腿肉
を約２ｃｍ角に切り、対重量１％の割合で食塩を添加
し、フライパン上で肉芯が変色するまで加熱し、塩焼き
の試料を作成した。この試料について２３名のパネラー
で５段階評価法で官能検査を行い、評価結果を表７に示
した。

【００２７】

【表７】測定項目本発明の飼料比較飼料香りが良い０％０％うま味がある４．８％１７．４％舌ざわりがなめらか４．８％０％淡泊な味である１４．３％１７．４％よくしまって歯ごたえがある１９．０％８．７％脂がのっている１４．３％１３．０％臭いがある０％１７．４％硬い１９．０％４．３％パサパサする９．５％８．７％やわらかい９．５％８．７％その他４．８％４．４％総得点６９．５６８．５平均３．３±０．８３．３±１．２

【００２８】

【実施例３】採卵鶏の雛（デカルブ・エクセルリンク・
エル）２４羽を２群に分けて、第１群には表８に示す配
合組成と表９に示す成分組成を有する市販配合飼料（幼
雛育成用配合飼料、日本配合飼料株式会社製造）を４週
まで、表１０に示す配合組成と表１１に示す成分組成を
有する市販配合飼料（中雛育成用配合飼料、日本配合飼
料株式会社製造）を５〜１０週、表１２に示す配合組成
と表１３に示す成分組成を有する市販配合飼料（大雛育
成用配合飼料、日本配合飼料株式会社製造）を１１〜２
０週、及び市販配合飼料（成鶏用配合飼料、日本配合飼
料株式会社製造）を２１〜２５週までそれぞれ与えた。
第２群には同様の飼料にそれぞれガラクトオリゴ糖組成
物（パインラクト）を５重量％添加した飼料を与えて、
２５週齢まで飼育した。

【００２９】

【表８】原材料の区分配合割合原材料名穀類５４％とうもろこし、マイロ植物性油かす類２６％大豆油かす、コーンジャームミール動物質性飼料７％魚粉、肉骨粉そうこう類７％コーングルテンフィードその他５％動物性油脂、アルファルファミールコーンスチープリカー、炭酸カルシウム食塩飼料添加物アンプロリウム、エトパベート、バージニアマイシン、ビタミンＡ、ビタミンＤ₃、ビタミンＥ、ビタミンＫ₃、ビタミンＢ₁、ビタミンＢ₂、ビタミンＢ₆、ニコチン酸、パントテン酸、ビオチン、葉酸、ビタミンＢ₁₂、コリン、メチオニン、炭酸亜鉛、ヨウ素酸カルシウム、硫酸コバルト、硫酸鉄、硫酸銅、硫酸マンガン、エトキシン

【００３０】

【表９】成分成分量粗たん白質２０．３％以上粗脂肪２．５％以上粗繊維６．０％以下粗灰分８．０％以下カルシウム０．７０％以上リン０．５５％以上代謝エネルギー／Ｋｇ２９００Ｋｃａｌ以上

【００３１】

【表１０】原材料の区分配合割合原材料名穀類６０％とうもろこし、マイロ植物性油かす類１６％大豆油かす、コーンジャームミールなたね油かす動物質性飼料５％魚粉、肉骨粉そうこう類１４％コーングルテンフィード、米ぬかその他５％動物性油脂、アルファルファミール、コーンスチープリカー、炭酸カルシウム、食塩飼料添加物アンプロリウム、エトパベート、スルファキノサリン、バージニアマイシン、ビタミンＡ、ビタミンＤ₃、ビタミンＥ、ビタミンＫ₃、ビタミンＢ₁、ビタミンＢ₂、ビタミンＢ₆ニコチン酸、パントテン酸、ビオチン、葉酸、ビタミンＢ₁₂、コリン、メチオニン、炭酸亜鉛、ヨウ素酸カルシウム、硫酸コバルト、硫酸鉄、硫酸銅、硫酸マンガン、エトキシン

【００３２】

【表１１】成分成分量粗たん白質１７．０％以上粗脂肪２．５％以上粗繊維６．０％以下粗灰分９．０％以下カルシウム０．７０％以上リン０．５５％以上代謝エネルギー／Ｋｇ２７７０Ｋｃａｌ以上

【００３３】

【表１２】原材料の区分配合割合原材料名穀類６２％とうもろこし、マイロ、キャッサバミールそうこう類１５％コーングルテンフィード、米ぬか、ふすま植物性油かす類１１％大豆油かす、なたね油かす、コーンジャームミール動物質性飼料５％魚粉、肉骨粉その他７％アルファルファミール、糖蜜、コーンスチープリカー、炭酸カルシウム、食塩飼料添加物ビタミンＡ、ビタミンＤ₃、ビタミンＥ、ビタミンＫ₃、ビタミンＢ₁、ビタミンＢ₂、ビタミンＢ₆、ニコチン酸、パントテン酸、ビオチン、葉酸、ビタミンＢ₁₂、コリン、メチオニン、炭酸亜鉛、ヨウ素酸カルシウム、硫酸コバルト、硫酸鉄、硫酸銅、硫酸マンガン、エトキシン

【００３４】

【表１３】成分成分量粗たん白質１４．０％以上粗脂肪２．５％以上粗繊維６．０％以下粗灰分９．０％以下カルシウム０．７０％以上リン０．４５％以上代謝エネルギー／Ｋｇ２７３０Ｋｃａｌ以上

【００３５】飼育後、約２０週で産卵が始まった。その
後、産卵がピークに近い２５週目までの産卵率（１日の
産卵数／飼育羽数）、平均卵重量、卵殻強度（圧縮によ
り、卵殻が破壊される際の荷重の大きさ）、コレステロ
ール量（ｍｇ／１００ｇ卵黄）を測定した。結果を表１
４に示した。

【００３６】

【表１４】測定項目本発明の飼料比較飼料産卵率（％）７７．４７３．８平均卵重量（ｇ）５４．６５２．４卵殻強度（Ｋｇ／ｃｍ²) ３．７７３．４０コレステロール量（卵黄）１３５４１４３１

【００３７】表１４の結果は、本発明のガラクトオリゴ
糖組成物を含む飼料を与えた群では、これを含まない普
通の飼料を与えた群と比較して、産卵率が約４％増加
し、卵殻強度が有意に（Ｐ＜０．０５）高くなり、また
コレステロール量が有意に（Ｐ＜０．０５）低下したこ
とを示している。

【００３８】

【発明の効果】本発明のガラクトオリゴ糖組成物を添加
した飼料は、脂肪肝を抑制し、肉質及び産卵率を向上さ
せ、卵殻強度を改善し且つ卵中のコレステロール量を低
下させる効果がある。

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】乳糖を鉱酸存在下で加熱処理して得られる
ガラクトオリゴ糖組成物を含有することを特徴とする鶏
飼料。
【請求項２】ガラクトオリゴ糖組成物の含有量が飼料に
対し０．１〜５重量％であることを特徴とする、請求項
１に記載の鶏飼料。
【請求項３】ガラクトオリゴ糖組成物が３糖類以上の糖
類を２０重量％以上含有するものであることを特徴とす
る、請求項１又は２に記載の鶏飼料。
【請求項４】ガラクトオリゴ糖組成物が３糖類以上の糖
類を４０重量％以上含有するものであることを特徴とす
る、請求項１又は２に記載の鶏飼料。
【請求項５】ガラクトオリゴ糖組成物が非還元末端グル
コースを１０重量％以上含有するものであることを特徴
とする、請求項１〜４のいずれか１項に記載の鶏飼料。