JP6166888B2 - ペットフード - Google Patents

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Description

本発明は、体重の増加を防止し、除脂肪量の減少を抑制することができるペットフードに関する。
近時ペットの肥満が問題になっている。肥満は一般的には体脂肪の過剰な蓄積として定義される。ペットの肥満は各種疾病のリスクや歩行障害のリスクを高め、ペットのQOL低下を招く要因となっている。そのため、体脂肪量のコントロールによって肥満を解消又は予防することは、ペットのQOLを高く保つために重要である。一方で、ペットの除脂肪量の減少を防ぐこともペットのQOLを高く保つために重要である。特に高齢のペットは、多くの場合筋肉が減少して足腰が弱くなり、時には寝たきりになってしまう。ペットが寝たきりになると、ペットのQOLが著しく低下するのみならず、飼育者のQOLも脅かされる結果となる。そこで、ペットの体脂肪量又は体重を適正にコントロールすることと、ペットの筋肉量又は除脂肪量を適正にコントロールすることとを両立させることが、ペットのQOLを高く保つために非常に重要である。
従来、高タンパク低脂肪食や、高繊維食によってペットの体重や筋肉量をコントロールする試みが行われてきたが(特許文献1)、これらは必ずしも満足いく結果が得られていなかった。さらに最近では、食餌中のアミノ酸バランスを調整することにより生体の体重や筋肉量をコントロールすることが提案されており、食餌へのアルギニン又はロイシンの添加により筋肉量が増加し体脂肪増加が抑制されたことが報告されている(非特許文献1〜3)。またアミノ酸バランスを調整したペットフードとしては、例えば、特定の比率でリジン、アルギニン、ロイシン、バリン、メチオニン、シスチンを含有する動物用食品組成物(特許文献2)、特定の比率でリジン、アルギニン、ロイシン、イソロイシン、バリンを含有する動物用食品組成物(特許文献3)、特定量の粗タンパク質、食物繊維、マンガンと、さらに特定量のリジン、ロイシン、メチオニンを含む湿潤ペットフード(特許文献4)等が知られている。
セサミンは、ゴマに含有されているリグナン類化合物である。セサミンは、コレステロール降下、肝機能改善、高血圧予防又は改善、アディポネクチン上昇、抗疲労等の種々の生理活性があることで知られている(特許文献5〜9)。セサミンを含有する動物用飼料としては、動物の体臭や毛艶を改善するための動物用飲食物(特許文献10)や体脂肪低減用飼料(特許文献11)が知られている。
特許第4036698号公報 特表2009−513149号公報 特表2009−523174号公報 特表2010−518851号公報 特許第3075358号公報 特許第3075360号公報 特開1996−268887号公報 国際公開公報第2005/095414号パンフレット 国際公開公報第2008/126587号パンフレット 特開2007−274913号公報 特許第3205315号公報
小林久峰, Geriat. Med. 2010, 48(2):211-216 Tan et al., Amino Acids, 2009, 37:169-175 Jobgen et al., J. Nutr., 2009, 139:230-237
ペットの体脂肪量又は体重増加の防止と、筋肉量又は除脂肪量減少の抑制との両方においてより優れた効果を発揮することができるペットフードが求められている。
本発明者らは、上記2つの効果を同時に発揮することができるペットフードについて検討してきたところ、ゴマ由来のリグナン類を含有するとともに、組成中のアミノ酸バランスを制御したペットフードを動物に摂取させることによって、その筋肉量を維持又は増加させながら、体重増加を顕著に抑制或いは体重を減少させることができるという優れた効果が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、(A)動物性タンパク質と(B)ゴマリグナン類とを含有し、且つ(C)(アルギニン+ロイシン)対(アルギニン+ヒスチジン+ロイシン+イソロイシン+バリン+リジン+メチオニン+フェニルアラニン+トレオニン+トリプトファン)比が0.330以上であるペットフードを提供するものである。
本発明のペットフードは、ペットの筋肉量を維持又は増加させながら、体重増加を顕著に抑制若しくは体重を減少させることができるので、ペットの肥満や筋肉減少に伴う疾患やQOLの低下を予防又は改善することができる。
試験例1におけるペットフード給与後の窒素出納を示すグラフ。実施例1は正の値を示した(#:P<0.10)。 試験例1におけるペットフード給与後の体重変化。処方1は有意な正の値を示した(**:P<0.01)。処方1と実施例1の体重変化は有意に異なっていた(#:P<0.10)。 試験例2における実施例2への切り替え1週間での体重変化(a)及び切り替え5日目から9日目にかけての窒素出納(b)。窒素出納は有意な正の値を示した(*:P<0.05)。 試験例2における実施例2給与後の体組成変化。*:P<0.05、#:P<0.10(給与前vs給与4週間後)。 試験例2における実施例2給与前後の空腹時血清総ケトン体量。**:P<0.01(給与前vs給与4週間後)。 試験例3におけるペットフード給与による体重変化。各群n=3、平均±標準誤差。 試験例3におけるペットフード給与による窒素出納変化。n=6、平均±標準誤差。 試験例3におけるペットフード給与後の空腹時ケトン体量。n=6、平均±標準誤差。 試験例4におけるペットフードの過剰給与による体重変化。*:P<0.05、**:P<0.01、***:P<0.001(試験開始時との比較)。 試験例4におけるペットフードの過剰給与後の空腹時ケトン体量。**:P<0.01,****:P<0.0001(処方4給与4週後との比較)。 試験例5におけるペットフード給与後の体重変化。 試験例5におけるペットフード給与後の窒素出納変化。 試験例6における各種ペットフード給与後の体重変化率。 試験例7におけるペットフード給与による体重変化。n=3、平均±標準誤差。 試験例7におけるペットフード給与時の窒素出納。n=3、平均±標準誤差。
本明細書において、「改善」とは、疾患、症状又は状態の好転、疾患、症状又は状態の悪化の防止又は遅延、あるいは疾患、症状又は状態の進行の逆転、防止又は遅延をいう。
本明細書において、「予防」とは、個体における疾患若しくは症状の発症の防止又は遅延、あるいは個体の疾患若しくは症状の発症の危険性を低下させることをいう。
本発明のペットフードに含有される(A)動物性タンパク質としては、カゼイン等の乳タンパク質も挙げられるが、肥満防止効果及び摂取性の点から、動物性肉類タンパク質が好ましい。このような動物性肉類タンパク質としては、牛、豚、羊、うさぎ、カンガルーなどの畜肉及び獣肉、ならびにその副生成物及び加工品;鶏、七面鳥、うずらなどの鳥肉ならびにその副生物及び加工品;魚、白身魚などの魚肉ならびにその副生物及び加工品;ミートミール、ミートボーンミール、チキンミール、フィッシュミール等の上記原料のレンダリング等が挙げられる。このうち肥満防止効果の点で鶏肉、魚肉が特に好ましい。複数の肉類タンパク質を混合して用いる場合には、鶏肉及び/又は魚肉を肉類中に30〜100質量%、さらに50〜100質量%含有させることが好ましい。
本発明のペットフードはまた、(B)ゴマリグナン類を含有する。本明細書において、ゴマリグナン類とは、ゴマから単離され得るリグナン類と同じ構造を有する化合物を指す。従って、上記(B)ゴマリグナン類としては、ゴマから単離されたリグナン類が挙げられるが、構造が同じであればゴマから単離されたものでなくともよい。ゴマから単離され得るリグナン類の例としては、セサミン、セサモリン、セサモール、セサミノールのような脂溶性リグナン類、及びセサミノール配糖体のような水溶性リグナン類が挙げられる。上記脂溶性リグナン類は、主にゴマの脂質分中に含有されており、ゴマ油に多く含まれている。上記水溶性リグナン類であるセサミノール配糖体は、主にゴマの脱脂成分中に含有されており、脱脂ゴマに多く含まれている。セサミノール配糖体は、生体内で分解されてセサミノールとなり、生体に作用する。
従って、本発明のペットフードにおける(B)ゴマリグナン類の供給源としては、ゴマ、ゴマ油、脱脂ゴマが好ましい例として挙げられるが、それらの加工品及び同じ化合物を含有する他のあらゆる食品及び飼料材料もまた供給源となり得る。本発明のペットフードにおける(B)ゴマリグナン類の含有量は、0.001〜0.1質量%であればよいが、0.005〜0.08質量%が好ましく、0.01〜0.06質量%がより好ましい(いずれも乾物あたり含有量として)。あるいは、本発明のペットフードにおける(B)ゴマリグナン類の含有量は、ゴマ油に換算すると0.2〜18.8質量%、好ましくは0.9〜15質量%、より好ましくは1.9〜11.3質量%であり、他方脱脂ゴマに換算すると0.2〜22.2質量%、好ましくは1.1〜17.8質量%、より好ましくは2.2〜13.3質量%である(いずれも乾物あたり含有量として)。なお、本明細書において、セサミノール配糖体の質量は、等モルのセサミノールの質量として換算される。
上記(B)ゴマリグナン類としては、上記に挙げた脂溶性リグナン類及び水溶性リグナン類の少なくとも1種を使用すればよいが、それらを任意に組み合わせて使用してもよい。組み合わせは、脂溶性リグナン類同士であっても、水溶性リグナン類同士であっても、脂溶性リグナン類と水溶性リグナン類との組み合わせであってもよい。あるいは、ゴマ、ゴマ油、脱脂ゴマ及びそれらの加工品を単独又は任意の組み合わせで使用してもよい。
さらに本発明のペットフードでは、そのアミノ酸組成中においてアルギニンとロイシンとが高い比率を占める。すなわち、本発明のペットフードにおいては、(C)(アルギニン+ロイシン)対(アルギニン+ヒスチジン+ロイシン+イソロイシン+バリン+リジン+メチオニン+フェニルアラニン+トレオニン+トリプトファン)比(前者/後者)が、質量比として、0.330以上であり、好ましくは0.330〜0.4であり、より好ましくは0.34〜0.39であり、さらに好ましくは0.35〜0.39である。なお、上記アルギニン、ヒスチジン、ロイシン、イソロイシン、バリン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファンは、イヌとネコの必須アミノ酸である。
望ましくは、本発明のペットフードにおいては、(D)(アルギニン+ロイシン)対(アルギニン+ヒスチジン+ロイシン+イソロイシン+バリン+リジン+トレオニン+トリプトファン)(前者/後者)比が、質量比として、0.380以上であり、好ましくは0.38〜0.50であり、より好ましくは0.40〜0.46である。
本明細書におけるペットフード中のアミノ酸含量は、下記の方法に従って測定された値として表される。メチオニンは過ギ酸酸化の後、塩酸加水分解し、アミノ酸自動分析法(イオン交換クロマトグラフィーで分離後、ニンヒドリン試薬で反応させ、可視吸光検出器で検出)により分析する。トリプトファンは、水酸化バリウムによる加水分解の後、高速液体クロマトグラフ法により分析する。その他の必須アミノ酸は、塩酸加水分解の後、アミノ酸自動分析法(イオン交換クロマトグラフィーで分離後、ニンヒドリン試薬で反応させ、可視吸光検出器で検出)により分析する。
本発明のペットフードは、タンパク質として、上記(A)動物性タンパク質以外の他のタンパク質をさらに含有していてもよい。当該他のタンパク質としては、大豆タンパク質、小麦タンパク質、小麦グルテン、コーングルテン等の植物性タンパク質が挙げられる。また、本発明のペットフードは、ペプチドや遊離アミノ酸を含んでいてもよい。ペプチドとしては、各種タンパク質の加水分解物や酵素分解物、発酵による生成物や、それらから精製あるいは単離されたペプチドが挙げられる。遊離アミノ酸としては必須アミノ酸をはじめとする各種アミノ酸やその混合物が挙げられる。本発明のペットフード中の粗タンパク質の含有量(上記(A)動物性タンパク質と他のタンパク質、ペプチド、遊離アミノ酸の合計)は、乾物あたりの粗タンパク質量として、18〜40質量%であればよいが、20〜36質量%が好ましく、22〜32質量%がより好ましい。ここで、本発明のペットフードに含まれる全タンパク質に占める上記(A)動物性タンパク質の割合は、10〜100質量%、好ましくは20〜100質量%である。
本明細書における上記粗タンパク質量とは、飼料分析基準(平成20年4月1日・19消安第14729号農林水産省消費・安全局長通知)第3章2.1に記載のケルダール法に従ってペットフード中の窒素量に基づいて判定された値である。
本発明のペットフードは、上記成分以外に、さらに炭水化物を含有していてもよい。炭水化物源としては、単糖類、オリゴ糖、多糖類、食物繊維、デンプン類等が挙げられる。デンプン類としては、ワキシーコーンデンプン、コーンデンプン、小麦デンプン、米デンプン、糯米デンプン、馬鈴薯デンプン、甘露デンプン、タピオカデンプン、サゴデンプン、又はこれらに化学的処理を施したものや化学修飾した加工デンプン等が挙げられる。また、炭水化物は、穀物類として含有させてもよく、穀物類としては、とうもろこし、大麦、小麦、ライ麦、ソルガム、米、ひえ、あわ、アマラサンサス、キヌア等が挙げられる。本発明のペットフード中の炭水化物の含有量は、経済的、肥満防止効果、摂取性、便の状態、及び外観を健康的に美しくする点から、乾物あたりの含有量として、10〜70質量%であればよいが、20〜60質量%が好ましく、30〜50質量%がより好ましい。
本発明のペットフードは、さらに脂質を含有していてもよい。脂質としては、食用の油脂、例えば、牛脂、豚脂、馬脂、乳脂、魚油等の動物油脂、コムギ、亜麻仁、ライムギ、オオムギ、コメ、モロコシ、トウモロコシ、エンバク、アワ、コムギ胚芽、トウモロコシ胚芽、ダイズ、ラッカセイ、綿実、サフラワー、オリーブ、ナタネ、パーム、ひまわり、ゴマ、ココナツ、ヤシ、米ぬか、紫蘇、エゴマ等からの植物油脂、それらの硬化油等が挙げられる。本発明のペットフード中の脂質の含有量は、乾物あたりの粗脂肪量として、5〜30質量%であればよいが、8〜27質量%が好ましく、10〜24質量%がより好ましい。
本明細書における上記粗脂肪量とは、飼料分析基準第3章3.2に記載の酸分解ジエチルエーテル抽出法に従って判定された値である。
本発明のペットフードは、さらに食物繊維を含有していてもよい。食物繊維は、食物中に含まれる、動物の消化酵素に対して難消化性の成分であり、水溶性繊維及び不溶性繊維に大別される。水溶性繊維としては、ペクチン、グアーガム、アガロース、グルコマンナン、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、ポリデキストロース、難消化性デキストリン等が挙げられ、不溶性繊維としては、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、寒天、キチン、キトサン等が挙げられる。本発明のペットフードにおける乾物あたりの粗繊維量は、20質量%以下であればよいが、0.3〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。また乾物あたりの総食物繊維量は、30質量%以下であればよいが、3〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。
本明細書において、上記粗繊維量とは、飼料分析基準第3章4.2に記載のろ過法に従って判定された値であり、上記総食物繊維量とは、栄養表示基準に記載のプロスキー法(酵素−重量法)に従って判定された値である。
本発明のペットフードには、上記成分以外に、さらにぬか類、粕類、野菜類、ビタミン類、ミネラル成分、植物ステロール等を含むことができる。その他、一般的にペットフードに使用されるゲル化剤、保型剤、pH調整剤、調味料、防腐剤、栄養補強剤等も含有することができる。
ぬか類としては米ぬか、ふすま等が、粕類としては大豆粕等が、野菜類としては野菜エキス等が挙げられる。ビタミン類としては、A、B1、B2、D、E、ナイアシン、パントテン酸、カロチン等が挙げられ、好ましい乾物あたりの含有量は0.05〜10質量%である。
ミネラル成分としては、鉄、銅、マンガン、コバルト、カルシウム、リン、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、好ましい含有量は1〜10質量%である。当該ミネラル成分は、例えば、硫酸鉄、塩化第二鉄、フマル酸第一鉄、炭酸第一鉄、酸化鉄、硫酸銅、塩化銅、酸化銅、炭酸銅、硫化銅、銅クロロフィル、酸化マンガン、炭酸コバルト、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等として配合される。
植物ステロールとしては、例えばα−シトステロール、β−シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、α−シトスタノール、β−シトスタノール、スチグマスタノール、カンペスタノール、シクロアルテノール等のフリー体、及びこれらの脂肪酸エステル、フェルラ酸エステル、桂皮酸エステル等のエステル体が挙げられる。本発明のペットフード中の植物ステロールの含有量は、コレステロール低下効果の点から、乾物あたりの含有量として、0.1%以上であればよいが、0.5質量%以上含有するのが好ましい。また植物ステロール含有量の上限は、乾物あたりの含有量として0.1〜30質量%の範囲であればよい。
本発明のペットフードは、定法に従って上記成分を混合し、所望の形態に調製することで製造することができる。本発明のペットフードは、ドライタイプ、ウェットタイプ、セミモイストタイプ、ジャーキータイプ、ビスケットタイプ、ガムタイプ、粒状、粉状、スープ状等いずれの形態であってもよいが、ドライタイプであることが保存の簡便性から好ましい。ドライタイプのペットフードとしては、キブル形状、平板形状、骨形状などが挙げられる。ペットの噛み易さや扱いやすい形状を得るなどの観点からは、嵩密度が100〜900kg/m3、特に300〜700kg/m3であることが好ましい。
本発明のペットフードは、任意の動物用の食品又は飼料であり得る。本発明のペットフードを与えられる動物としては、イヌ、ネコ、ウサギ、ハムスター等の愛玩動物、ウシ、ウマ、ブタ等の家畜動物、動物園等の動物飼育施設の動物等が挙げられるが、このうち、イヌ、ネコ、ウサギ、ハムスター等の愛玩動物が好ましく、イヌ、ネコがより好ましく、イヌがさらに好ましい。あるいは、本発明のペットフードを与えられる動物としては、体脂肪や体重の増加、又は筋肉量や除脂肪体重の減少を予防若しくは改善すべき動物が挙げられる。代表的な例としては、肥満又はそのおそれのある動物や、加齢又は病後などで筋力が衰えているか又はそのおそれのある動物が挙げられる。本発明のペットフードを与えられる動物のさらに好ましい例としては、成犬、成猫、老犬、老猫が挙げられ、なお好ましい例は成犬、老犬である。一方で、1歳未満の幼犬に対して本発明のペットフードを与えると、成長過程での肥満化を防ぎながら、筋力を十分に付けることが容易となる。
本発明のペットフードは、総合栄養食であることが好ましい。総合栄養食とは、ペットフードのうち、犬や猫などの動物に毎日の主要な食事として給与することを目的とし、当該ペットフードと水だけで指定された成長段階における健康を維持できるような栄養素的にバランスのとれたものであり、具体的にはAAFCO(Association of American Feed Control Officials)の栄養基準を満たしているものをいう。
上述の動物に本発明のペットフードを摂食させることにより、当該動物の体脂肪や体重の増加を予防又は改善することができるだけでなく、同時に除脂肪量の減少を予防又は改善することができる。従って、本発明のペットフードを摂食した動物は、筋肉量を減少させることなく体脂肪又は体重を減少させたり、あるいは体脂肪又は体重を過剰に増加させることなく筋肉量を増やすことができる。また本発明のペットフードは、過食しても体重が増加しにくいため、肥満を予防又は改善することができる。当該動物は、本発明のペットフードのみを摂取してもよいが、別途又は同時に他の食物や飼料を摂取してもよい。本発明のペットフードの給餌量は、動物の種類、体重、年齢、性別、状態によって異なり得るが、例えば成犬の場合、1日当たり、56〜175kcal/(体重kg)0.75、好ましくは70〜126kcal/(体重kg)0.75である。
動物の体タンパク質量の変化は、ケルダール法(飼料分析基準第3章2.1に記載)に基づいて対象動物の糞尿中の窒素量(窒素排出量)を測定し、他方、上述の方法により食餌中の窒素量(給与窒素量)を測定して、給与窒素量と窒素排出量との差から個体の窒素出納の値を計算することにより評価することができる。これによって、動物の筋肉量の変化を推定することが可能である。
また動物の除脂肪量、体脂肪量は、重水希釈法(重水を用いた希釈法による体組成の測定方法。例えば、[http://www.nutritio.net/kiban2/ronbun/matumura01.htm]、あるいはフランク・B・フー著、小林身哉ら監訳「肥満の疫学」名古屋大学出版会(2010年)、第5章に原理が記載されている)に基づいて測定することができる。すなわち、個体に重水を注入し、注入前後の個体の重水濃度を測定することによって体水分量を求め、求めた体水分量をもとに除脂肪量を算出し、さらに除脂肪量と体重から体脂肪量を算出することができる。
試験例1
表1に示す組成でペットフードを製造した。処方1(対照)と実施例1(本発明)は、AAFCO(Association of American Feed Control Officials)の栄養基準における成犬維持用の要件を満たすように調製され、その後エクストルーダーによるキブル押し出しと、乾燥、後添加(油脂および嗜好剤添加)により作製された。組成物中の栄養組成と必須アミノ酸の含量は、以下の方法で測定した。
粗タンパク質は窒素量を飼料分析基準第3章2.1に記載のケルダール法で定量し、それに換算係数6.25を乗じて求めた。粗脂肪は飼料分析基準第3章3.2に記載の酸分解ジエチルエーテル抽出法で測定した。粗灰分は飼料分析基準3.5に記載の分析法で測定した。粗繊維は飼料分析基準第3章4.2に記載のろ過法で測定した。水分は飼料分析基準第3章1に記載の加熱減量法で測定した。食物繊維は栄養表示基準に記載のプロスキー法(酵素−重量法)で測定した。
必須アミノ酸含量については、メチオニンは過ギ酸酸化の後、塩酸加水分解し、アミノ酸自動分析法(イオン交換クロマトグラフィーで分離後、ニンヒドリン試薬で反応させ、可視吸光検出器で検出)により分析した。トリプトファンは、水酸化バリウムによる加水分解の後、高速液体クロマトグラフ法により分析した。その他の必須アミノ酸は、塩酸加水分解の後、アミノ酸自動分析法(イオン交換クロマトグラフィーで分離後、ニンヒドリン試薬で反応させ、可視吸光検出器で検出)により分析した。それぞれの分析値は乾物あたりの値で示した。各アミノ酸含量の測定値に基づいて、[アルギニン+ロイシン]/[必須アミノ酸(アルギニン+ヒスチジン+ロイシン+イソロイシン+バリン+リジン+メチオニン+フェニルアラニン+トレオニン+トリプトファン)]比を計算した。
ゴマリグナン含量は高速液体クロマトグラフィーを用いて定量した(検出限界:0.001%)。
セサミン及びセサモリンは次のように定量した。詳細には、粉砕サンプル2gに対してメタノール25mL、クロロホルム50mLを加えて1分間ホモジナイズした後、遠心分離(3000rpm、10分間)を行った。さらに沈殿物に対してクロロホルム−メタノール(1:1)を50mL加えて1分間ホモジナイズした後、遠心分離(3000rpm、10分間)を行った。さらに沈殿物に対して、クロロホルム−メタノール(1:1)を10mL加えて超音波抽出を5分間行った後、遠心分離(3000rpm、10分間)を行った。ここまでの溶媒層について無水硫酸ナトリウムを加えてろ過した後、溶媒置換のため濃縮し、クロロホルム50mL、無水硫酸ナトリウム10gを加えて振とうし、吸引ろ過を行った。さらに溶媒置換のため濃縮した後、ヘキサンを加えて50mLにメスアップした。そのうち5mLを分取し、アセトニトリルに転溶するためヘキサン飽和アセトニトリル25mLを加えて下層(アセトニトリル)を分取する操作を2回行った。さらに、溶媒置換のため濃縮し、2−プロパノール−アセトニトリル(3:1)混液を加えて2mLにメスアップした。これをHPLCで分析した。カラムはODSカラムを用い、カラム温度は40℃、10%メタノールから80%メタノールまでグラディエントをつけて溶出を行った。検出は285nmで行った。標準品は試薬を用いた。セサミン及びセサモリンの分析は日本食品分析センターに依頼して行った。
セサミノール配糖体含量は、次のように定量した。すなわち、ペットフードを粉砕し、10倍容量のヘキサン中で室温条件下24時間攪拌することで脱脂を行った残渣について、10倍容量の80%メタノール水溶液で室温条件下24時間攪拌した後、上清を分離した。さらにその上清について減圧乾燥を行って粗抽出物を得た。粗抽出物1mgを50%メタノール水溶液1mLに溶解したものをサンプルとして、HPLC分析を行い、セサミノール配糖体のシグナルを計測した。カラムはODSカラムを用い、10%メタノールから90%メタノールの直線グラディエントをつけて溶出を行った。検出は288nmで行った。セサミノール配糖体の標準品は、定法に従ってゴマより抽出精製したものを用いた。標準品からの計測値を基準として、サンプル中のセサミノール配糖体の量を求め、等モルのセサミノールの質量に換算した。したがって、表1中のセサミノール配糖体はセサミノールの質量に換算した値である。
さらに修正Atwater係数を用いて以下の式で代謝エネルギー密度を計算した。

代謝エネルギー密度(kcal/100g)
=3.5×粗タンパク質含有率(%)+8.5×粗脂肪含有率(%)+3.5×可溶 無窒素物含有率(%)
通常体型のビーグル犬(メス、7〜8歳、4頭)を2頭ずつの2群に分け、クロスオーバーで処方1及び実施例1のペットフードを10日間ずつ給与した。
各個体へのペットフード給与量は、下記式

給与カロリー(kcal/日)=1.8×70×(体重(kg))0.75

を用いて試験開始時に設定した。なお、体重は各個体の試験開始前の体重の値を用い、試験開始後は体重の変化に関わらず給与カロリーは一定とした。給与は毎日同じ時間帯(12時〜13時)に1日1回実施した。
設定した給与カロリーでまず全頭に市販のドッグフードであるサイエンス・ダイエット アダルト小粒(ヒルズ・コルゲート株式会社製、以下「サイエンス・ダイエット」と記す)を4日間給与し、続いて群1に処方1のペットフードを、群2に実施例1のペットフードを10日間給与した(期間1)。続いて、全頭にサイエンス・ダイエットを4日間給与した後、群1に実施例1のペットフードを、群2に処方1のペットフードを10日間給与(期間2)した。
期間1と期間2において、期間の開始時と終了時の体重を同じ時間帯(午前9時から10時)に測定し、終了時の体重から開始時の体重を引くことで、期間1と期間2における体重変化を計測した。
また、期間1と期間2の6日目から10日目にかけて、糞便と尿を連続96時間全量採取した。糞便、尿ともに排泄後直ちに凍結させ、保管した。糞便と尿はそれぞれ溶解させた後、各個体分毎に混和して重量を測定し、ケルダール法を用いて窒素量を測定した。また、処方1と実施例1の給与量と粗タンパク質から給与窒素量を計算した。更に便と尿以外からの窒素排出(皮膚・毛等)の量を体重1kgあたり5mg/日とし、各個体の窒素出納の値を計算した。
期間1と期間2における各個体の1日あたりの体重変化(g/日)と1日あたりの窒素出納(g/日)について試験食毎に集計し、解析を行った。
結果を図1及び2に示す。図1より、実施例1及び処方1でともに窒素出納が正の値となり、特に実施例1の正の値は有意(P<0.10)であったことから、個体の除脂肪量が増加したことが示された。一方で、図2より、処方1摂取群では体重が大きく増加した(P<0.01)のに対して、実施例1給与群では体重が変化しなかった。処方1と実施例1との間では体重増加に有意な差があった(P<0.1)。これらの結果より、本発明のペットフードを動物に摂取させることにより、その体重増加を抑制しながら筋肉量を増加させることできることが明らかとなった。
試験例2
表2に示す組成のペットフードを製造した。実施例2(本発明)はAAFCOの栄養基準における成犬維持用の要件を満たすように調製され、その後エクストルーダーによるキブル押し出しと、乾燥、後添加(油脂および嗜好剤)により作製された。処方2(対照)として、サイエンス・ダイエットを用いた。組成物中の栄養組成と必須アミノ酸組成、代謝エネルギー、(アルギニン+ロイシン)/必須アミノ酸比、及びゴマリグナン含量は、試験例1と同様に測定された。
減量が必要な肥満犬に対する本発明のペットフードの効果を、長期間給与後の体組成変化を測定することによって検証した。
肥満ビーグル犬(去勢済みオス、8〜9歳、n=6)に、まず体重を維持する給与量で処方2を14日間与えて体重を維持させた。その後、給与カロリーは変えずに実施例2に切り替え、28日間給与した。給与は毎日同じ時間帯(12時〜13時)に1日1回実施した。
実施例2への切り替え5日目から9日目にかけて糞便と尿を連続96時間全量採取した。試験例1と同様の手順で糞尿中の窒素量、実施例2からの給与窒素量を計算し、各個体の窒素出納の値を求めた。
週に一度、各個体の体重を測定し、また空腹時の静脈血中のケトン体量を測定して肝臓での脂質代謝のマーカーとした。さらに、実施例2の給与開始前と4週間給与後に重水希釈法(体組成の測定)を実施し、体水分量、除脂肪量、体脂肪量の変化を測定した。重水希釈法は以下のように実施した。
重水希釈法(体組成の測定)
前日から12時間以上絶食(飲水は自由)の後、午前中に体重測定および2cc採血(pre)を行った。続いて等張化した重水を下記量で首の皮下に注入した。

重水の注入量(g)=体重(kg)×0.2

重水注入から2時間後に再度体重測定及び2cc採血(post)を行った。血清用の真空採血管(テルモ製、ベノジェクトII真空採血管VP−AS076、血清分離剤+凝固促進剤)を用いて血清を分離した(3000rpm、10分間)。分離した血清はディープフリーザーにて凍結保存した。後日血清を解凍し、血清中の重水濃度を同位体質量分析装置:ANCA-GSL 20-20システム(PDZ Europa社製)を用いて測定した。
重水注入量、pre重水濃度、post重水濃度、体重の値を用いて以下の式で体水分量、除脂肪量、体脂肪量、体脂肪率を計算した。

体水分量(g)=重水注入量(g)/(post重水濃度−pre重水濃度)(ppm)×106×18.02/20/1.04
除脂肪量(kg)=体水分量(g)/1000/0.732
体脂肪量(kg)=体重(preとpostの平均)(kg)−除脂肪量(kg)
体脂肪率(%)=体脂肪量/体重(preとpostの平均)×100
結果を図3〜5に示す。図3(a)(b)より、実施例2のペットフードへの切り替えから1週間後において、体重は減少したが、窒素出納は正の値(P<0.05)となっており、体重減少にもかかわらず筋肉量が増加したことが示された。さらに図4で、実施例2の給与4週間後の体組成変化を見ると、維持カロリーを摂取していたにも関わらず摂取前と比べて体重は減少しており(P<0.05)、しかも、体脂肪量は減少させながら(P<0.10)、除脂肪量はむしろ増加していた。これらの結果より、肥満動物に本発明のペットフードを摂取させることにより、筋肉を増やしながらも減量させることができることが明らかとなった。
さらに図5より、処方2給与群に比べて実施例2給与群では空腹時の血清ケトン体濃度が高く、肝臓での脂質代謝が亢進していることが示された。
試験例3
表3に示す組成でペットフードを製造した。処方3(対照)と実施例3(本発明)はAAFCOの栄養基準における成犬維持用の要件を満たすように調製され、その後エクストルーダーによるキブル押し出しと、乾燥、後添加(油脂および嗜好剤)により作製された。組成物中の栄養組成と必須アミノ酸組成、代謝エネルギー、(アルギニン+ロイシン)/必須アミノ酸比、及びゴマリグナン含量は、試験例1と同様に測定された。
肥満ビーグル犬(去勢済みオス、9〜10歳、n=6)を2群に分け、クロスオーバーで処方3および実施例3を2週間(14日間)ずつ給与した。
給与カロリーはサイエンス・ダイエットを用いて体重を維持するカロリーを調整して設定した。試験開始後は体重の変化に関わらず給与カロリーは一定とした。給与は毎日同じ時間帯(12時〜13時)に1日1回実施した。
設定した給与カロリーで群1に実施例3を、群2に処方3を14日間給与した(期間1)。続いて、全頭にサイエンス・ダイエットを7日間給与した(期間2)後、群1に処方3を、群2に実施例3を14日間給与(期間3)した。
体重を毎週(7日ごとに)測定した。また、期間1と期間3それぞれについて、1週目(4日目から7日目)と2週目(11日目から14日目)に、糞便と尿を連続72時間全量採取した。試験例1と同様の手順で糞尿中の窒素量、処方3と実施例3からの給与窒素量を計算し、各個体の窒素出納の値を求めた。期間1と期間3における各個体の体重1kgあたりの1日あたり窒素出納(g/kg体重/日)について試験食毎に集計し、解析を行った。
結果を図6〜8に示す。図6より、体重の変化には実施例3と処方3で差は見られなかったが、一方で、図7より、給与2週目の窒素出納は処方3に比べて実施例3で高い値を示した。これらの結果より、肥満動物に本発明のペットフードを摂取させることにより、体重を増加させずに除脂肪量を増加させる、すなわち体組成を改善させることができることが明らかとなった。
また図8より、空腹時ケトン体は処方3と実施例3でいずれも給与前(すなわちサイエンス・ダイエット給与後)より給与後の方が高い値を示した。しかし、処方3給与後と実施例3給与後との間には差は見られなかった。
試験例4
表4に示す組成でペットフードを製造した。実施例4(本発明)はAAFCOの栄養基準における成犬維持用の要件を満たすように調製され、その後エクストルーダーによるキブル押し出しと、乾燥、後添加(油脂および嗜好剤)により作製された。処方4(対照)として、サイエンス・ダイエットを用いた。組成物中の栄養組成と必須アミノ酸組成、代謝エネルギー、(アルギニン+ロイシン)/必須アミノ酸比、及びゴマリグナン含量は、試験例1と同様に測定された。
通常体型のビーグル犬(去勢済みオス、8〜10歳、n=8)に処方4を体重維持カロリーに対して約5%過食させて4週間給与した。続いて、同じカロリー(すなわち体重維持カロリーに対して約5%過食)で実施例4を4週間給与した。給与は毎日同じ時間帯(12時〜13時)に1日1回実施した。試験開始時と、処方4の4週間給与後と、実施例4の2週間給与後、実施例4の4週間給与後に空腹時採血を行い、血清総ケトン体量を測定した。また、試験開始時と、処方4の4週間給与後と、実施例4の4週間給与後に重水希釈法(体組成の測定)を実施し、体水分量、除脂肪量、体脂肪量の変化を測定した。毎週体重を測定した。
結果を図9、10及び表5に示す。図9より、処方4過食時は有意に体重が増加したが、実施例4に切り替えた後は、体重の増加が有意に抑制された(P<0.05)。さらに表5より、処方4あるいは実施例4を4週間過食した際の体組成変化をみると、処方4過食時は体脂肪量が大きく増加し、除脂肪量はむしろ減少していたのに対して、実施例4の過食時は体脂肪量が減少し、除脂肪量は増加していた。また図10より、空腹時の血中総ケトン体は実施例4の2週間給与後、4週間給与後ともに、処方4の4週間給与後に対して有意に高い値を示した。
以上から、本発明のペットフードを通常体型の動物に摂取させることにより、脂質代謝が亢進されるとともに、過食による体重の増加を抑制でき、さらに体脂肪量を減少させながら除脂肪量を増加させる、体組成の改善作用を期待できることが明らかとなった。
試験例5
表6に示す組成でペットフードを製造した。実施例5(本発明)はAAFCOの栄養基準におけるイヌの成長期用の要件を満たすように調製され、その後エクストルーダーによるキブル押し出しと、乾燥、後添加(油脂および嗜好剤)を行って作製された。処方5(対照)として、サイエンス・ダイエット パピー小粒(ヒルズ・コルゲート社製)を用いた。組成物中の栄養組成と必須アミノ酸組成、代謝エネルギー、(アルギニン+ロイシン)/必須アミノ酸比、及びゴマリグナン含量は、試験例1と同様に測定された。
通常体型のビーグル犬(1歳、8頭)を4頭ずつの2群に分け、クロスオーバーで処方5および実施例5を14日間ずつ過剰給与した。各個体の給与量は、下記式、

給与カロリー(kcal/日)=2.5×70×(体重(kg))0.75

を用いて試験開始時に設定した。なお、体重は各個体の試験開始前の体重の値を用い、試験開始後は体重の変化に関わらず給与カロリーは一定とした。給与は毎日同じ時間帯(12時〜13時)に1日1回実施した。
設定した給与カロリーで群1に実施例5を、群2に処方5を14日間給与した(期間1)。続いて、群1に処方5を、群2に実施例5を14日間給与(期間2)した。
体重を毎週(7日ごとに)測定した。また、期間1と期間2それぞれについて、11日目から14日目に、糞便と尿を連続72時間全量採取し、試験例1と同様の方法により、各個体の窒素出納の値を計算した。期間1と期間2における各個体の体重1kgあたりの1日あたり窒素出納(g/kg体重/日)について試験食毎に集計し、解析を行った。期間1と期間2において、期間の開始時と終了時の体重を同じ時間帯(午前9時から10時)に測定し、終了時の体重から開始時の体重を引くことで、期間1と期間2における体重変化を計測した。解析は、全期間において摂食率(摂餌量/給与量)が99%以上であった7頭について行った。
結果を図11、12に示す。図11より、実施例5は処方5に比べて、過食時の体重増加を抑制した(P=0.07)。一方で、図12より、実施例5は処方5に比べて窒素出納は高い値となった。図11、12より、実施例5は、処方5に比べて、若齢成犬の過食時の体重増加を抑制し、しかも体タンパク質量を増加させることが明らかとなった。
試験例6
表7に示す組成物のペットフードを製造した。実施例6,7,8,9はAAFCOの栄養基準における成犬維持用の要件を満たすように調製されており、エクストルーダーによるキブル押し出しと、乾燥、後添加(油脂および嗜好剤)を行って作成した。処方6として、アイムス成犬用チキン小粒(プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン株式会社)を用いた。組成物中の栄養組成と必須アミノ酸組成、代謝エネルギー、(アルギニン+ロイシン)/必須アミノ酸比、及びゴマリグナン含量は、試験例1と同様に測定された。
ビーグル犬(去勢済みオス、9〜10歳、n=16)を2頭ずつの8群に分け、クロスオーバーで処方6(全ての群)および実施例6(群1、2)、実施例7(群3、4)、実施例8(群5、6)、実施例9(群7、8)のいずれかを、それぞれ14日間ずつ給与した。
各個体の給与量は、予備試験を行い、各個体がおよそ体重を維持できる給与カロリーを設定した。試験開始後は体重の変化に関わらず給与カロリーは一定とした。給与は毎日同じ時間帯(12時〜13時)に1日1回実施した。
設定した給与カロリーで群1に実施例6を、群3に実施例7を、群5に実施例8を、群7に実施例9を、群2,群4,群6,群8に処方6を14日間給与した(期間1)。続いて、群1,群3,群5,群7に処方6を、群2に実施例6を、群4に実施例7を、群6に実施例8を、群8に実施例9を14日間給与(期間2)した。
体重を毎週(7日ごとに)測定した。期間1と期間2において、期間の開始時と終了時の体重を同じ時間帯(午前9時から10時)に測定し、終了時の体重から開始時の体重を引き、その値を開始時と終了時の体重の平均値で割ることで、期間1と期間2における体重変化率を計測した。期間1と期間2における各個体の体重変化率について、食事ごとに集計した(群1と2:実施例6と処方6、群3,4:実施例7と処方6、群5と6:実施例8と処方6、群7と8:実施例9と処方6)。各実施例給与の体重変化率から処方6給与の体重変化率を引くことで、各実施例の抗肥満作用を評価した。なお、解析は、摂食率(摂餌量/給与量)が99%以上であった15頭について行った。
結果を図13に示す。図13より、実施例6から9全てで処方6に比べて抗肥満作用を示した(すなわち、Δ週あたり体重変化率が負の値を示した)。また、実施例6から9にかけてゴマリグナン類の給与量が増加するに従って、抗肥満作用が大きくなっていく傾向を示した。
試験例7
表8に示す組成物のペットフードを製造した。処方7として、サイエンス・ダイエット アダルト小粒(ヒルズ・コルゲート社製)を用いた。処方8として、メディコート アレルゲンカット成犬用1歳〜6歳まで(ペットライン社製)を用いた。組成物中の栄養組成と必須アミノ酸組成、代謝エネルギー、(アルギニン+ロイシン)/必須アミノ酸比、及びゴマリグナン含量は、試験例1と同様に測定された。
通常体型のビーグル犬(10〜11歳)3頭に、処方7を14日間給与し、その後処方8を14日間給与した。各個体の給与量は、予備試験を行い、各個体がおよそ体重を維持できる給与カロリーを設定した。試験開始後は体重の変化に関わらず給与カロリーは一定とした。給与は毎日同じ時間帯(12時〜13時)に1日1回実施した。給与の全期間において、いずれの個体も摂食率(摂餌量/給与量)は99%以上であった。
各処方の給与期間において、各個体の給与7日目の体重と14日目の体重を同じ時間帯(午前9時から10時)に測定した。14日目の体重から7日目の体重を引くことで体重変化を計測し、その体重変化の値を体重の値(7日目と14日目の体重の平均値)で除して体重1kgあたりの1日あたり体重変化(g/kg体重/日)を求め、解析を行った。
また、各処方給与11日目から14日目に、糞便と尿を連続72時間全量採取し、試験例1と同様の方法により、各個体の窒素出納の値を計算した。処方毎に各個体の体重1kgあたりの1日あたり窒素出納(g/kg体重/日)を求め、解析を行った。
結果を図14、15に示す。図14より、処方7と処方8は体重変化に差がなかった。また、図15より、処方7と処方8は窒素出納にも差がなかった。以上のことから、ゴマリグナン類を含有していないペットフード(処方7)および(アルギニン+ロイシン)対(アルギニン+ヒスチジン+ロイシン+イソロイシン+バリン+リジン+メチオニン+フェニルアラニン+トレオニン+トリプトファン)比が0.330未満のペットフード(処方8)は、通常体型の動物に摂取させても、本発明のペットフードで示されたような体重増加抑制作用や窒素出納改善作用を示さないことが明らかとなった。

Claims (11)

  1. (A)動物性タンパク質と
    (B)ゴマリグナン類と
    脂質 乾物あたりの粗脂肪量が10〜24質量%と
    食物繊維 乾物あたりの粗繊維量が0.5〜5質量%と
    アルギニンと
    ロイシンと
    を含有し、且つ
    (C)(アルギニン+ロイシン)対(アルギニン+ヒスチジン+ロイシン+イソロイシン+バリン+リジン+メチオニン+フェニルアラニン+トレオニン+トリプトファン)比が0.35〜0.39である、ペットフード。
  2. (D)(アルギニン+ロイシン)対(アルギニン+ヒスチジン+ロイシン+イソロイシン+バリン+リジン+トレオニン+トリプトファン)比が0.380以上である、請求項1記載のペットフード。
  3. ゴマリグナン類が、セサミン、セサモリン、セサモール、セサミノール及びその配糖体から選択されるうちの少なくとも1種を含む、請求項1又は2記載のペットフード。
  4. ゴマリグナン類の含有量が0.001〜0.100質量%である、請求項1〜3のいずれか1項記載のペットフード。
  5. 乾物あたりの粗タンパク質量が18〜40質量%である、請求項1〜4のいずれか1項記載のペットフード。
  6. 乾物あたりの総食物繊維量が20質量%以下である、請求項1〜のいずれか1項記載のペットフード。
  7. イヌ用である、請求項1〜のいずれか1項記載のペットフード。
  8. 成犬又は老犬用である、請求項記載のペットフード。
  9. 動物の体重又は体脂肪の増加を抑制する方法であって、該動物に請求項1〜のいずれか1項記載のペットフードを給与することを含む方法。
  10. 動物の除脂肪量又は筋肉量の減少を抑制する方法であって、該動物に請求項1〜のいずれか1項記載のペットフードを給与することを含む方法。
  11. 動物の肥満を予防又は改善する方法であって、該動物に請求項1〜のいずれか1項記載のペットフードを給与することを含む方法。
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