JP2008184383A - 高脂血症及び/又は脂肪肝の治療・予防剤 - Google Patents

高脂血症及び/又は脂肪肝の治療・予防剤 Download PDF

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Abstract

【課題】新規な脂肪肝及び/又は高脂血症の治療・予防剤を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の脂肪肝及び/又は高脂血症の治療・予防剤はクルミ由来のポリフェノールを有効成分とすることを特徴とするまた,本発明は、糖尿病及び/又は肥満の治療・予防剤は,医薬品,飲食品,皮膚外用剤として使用することができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は,新規な高脂血症及び/又は脂肪肝の治療・予防剤に関する。本発明は,生活習慣病予防剤,メタボリックシンドローム予防剤等として,医薬品,飲食品,皮膚外用剤,哺乳類動物用飼料等として広く利用することができる。
クルミはアメリカ,中国をはじめ世界各地で栽培されているナッツ類である。焙煎した仁が広く食されているが,仁を搾油した油も食用に供される。近年,クルミに関する科学的な研究が盛んである。特に,油は,不飽和脂肪酸を多く含むことから,高コレステロール血症や,動脈硬化に対する予防効果が注目されている。一方,クルミの仁を覆う種皮には,加水分解型のポリフェノールが多く含まれており,これらが強い抗酸化活性や(Fukuda T, Ito H, Yoshida T, Antioxidative polyphenols from walnut
(Juglans regia L). Phytochemistry, 63, 795-801 (2003).),糖質分解酵素に対する阻害活性を示すことが報告されている(Fukuda T. Polyphenols from walnuts:
Structures and functions. IFT 2006 Annual Meeting, Orland, Florida, June 24-28,
2006)。
また,特許文献では,酸化ストレス抑制作用(特開2006-052184),くすみ改善作用(特開2005-289913),皮膚老化抑制作用(特開2000-229836),ヒスタミン遊離抑制作用(特開2005-179285),糖尿病合併症抑制作用(特開2005-120031),ウレアーゼ阻害作用(特開2003-048844)および膀胱機能改善作用(特開2003-128566)などがあり,これらの特許文献の中には,クルミに含まれるポリフェノールによる効果と考えられるものもある。
本発明者らは,種々評価系を用いてクルミのポリフェノールの機能性を評価検討した結果,マウスの劇症肝炎モデルにおいて優れた肝保護作用を有することを見出し,既に国内において特許を出願した。今回,クルミの肝保護作用を更に詳しく調べる目的で,マウスの脂肪肝モデルを用いて評価を行ったところ,クルミポリフェノールが極めて強い肝トリグリセリド蓄積抑制作用を示すことを見出した。また同時に,血中のトリグリセリドを下げる効果を有することも判明し,クルミのポリフェノールが肝臓の脂質代謝性疾患である高脂血症や脂肪肝に有用であることが判明し,本発明を出願するに至った。また,さらに詳細なメカニズムを調べた結果,従来の薬剤とは異なり,肝臓での脂肪代謝を促進させることが,クルミポリフェノールの高脂血症および脂肪肝抑制作用機序であることが明らかになった。一方,別の観点からコレステロールの吸収に及ぼす作用を調べたところ,クルミポリフェノールは,消化管からのコレステロール吸収抑制作用を有することも判明した。本発明により,食餌性の中性脂質やコレステロール摂取過多による脂肪肝や高脂血症を予防・または治療することができる。
近年,食生活の欧米化が進み,それに起因すると考えられる糖尿病,高脂血症(高コレステロール血症,高トリグリセリド血症),肥満,動脈硬化等の生活習慣病が増加している。これらの発症増加は遺伝的なものではなく,主に環境因子によるものである。例えば,高脂肪食や高カロリー食の摂取による脂質代謝異常が,血中脂質上昇,インスリン抵抗性の発症,脂肪細胞肥大化,インスリン分泌不全等の原因となっている。その結果,糖尿病,肥満,動脈硬化等が高頻度で発症し,病態の進展へとつながっている。
肥満は,脂肪組織が異常に増加した状態と定義されている。肥満の主な原因は,摂取カロリーと消費カロリーのアンバランスにあり,摂取カロリーが消費カロリーを上回ると,余剰カロリーが脂肪となって体内に蓄積され,やがて肥満となる。肥満は,糖尿病,心臓病,動脈硬化等の他の生活習慣病を引き起こす万病の元凶であり,現代人にとって深刻な問題である。脂肪は,脂肪組織だけではなく肝臓においても蓄積される。
脂肪肝は,脂肪やアルコールの摂取過多や肝臓での脂質代謝異常により,肝臓にトリグリセリドが蓄積する疾患で,生活習慣病の一つの病態になっている。また,高脂血症は前述の脂肪摂取過多やその代謝異常が原因で,血中のトリグリセリドが高値を示す疾患で,メタボリックシンドロームの診断基準の一つになっている。脂肪肝や高脂血症の治療には,運動療法や食事制限と平行して,フィブレート系の薬剤であるクロフィブレートやベザフィブレートが処方される。その作用機序は,肝臓でのトリグリセリドの合成を抑制することによる。また,類似した作用機序をもつ薬剤として,ニコチン酸製剤がある。一方,特定保健用食品では,摂取した中性脂肪の吸収を抑制するグロビンタンパク分解物や烏龍茶ポリフェノールを含む食品が上市されている。
一方,中性脂質の蓄積とは別に,肝臓や血液中のコレステロールが上昇する疾患が,高コレステロール型の高脂血症である。治療には,HMG CoAレダクターゼ阻害薬であるスタチン製剤(プラバスタチン,シンバスタチン,フルバスタチン,セリバスタチン)が,よく処方される。
高脂血症や脂肪肝の治療に用いるフィブレート系薬剤やスタチン製剤の副作用として,横紋筋融解症がある。これは骨格筋の一部が変性・壊死することにより,ミオグロビンなどが血液中に流出した病態を示す。流出した筋成分が腎臓の尿細管に負荷をかけるため,急性腎不全を伴う場合も多い。その他,胃部の不快感・皮膚発疹などがあり,特に肝・腎機能障害を持つ患者や糖尿病患者に対しては,特に注意が必要である。また,ニコチン酸製剤は,胃部不快感,下痢,発疹,顔面紅潮,頭痛,熱感,発汗動悸などが起こりやすい。このような背景から,副作用の少ない新規な高脂血症や脂肪肝の予防・治療薬が切望されている。
本発明者らは,クルミ由来のポリフェノールがマウスにおいて,肥満に伴う脂肪肝や高脂血症に対する予防効果を有し,更に,そのメカニズムが,食事性トリグリセリドの消化管からの吸収や,肝細胞への取り込みを阻害するものではなく,肝臓でのトリグリセリドの代謝促進であることを発見し,本発明を完成させた。クルミ由来のポリフェノールは,通常食用に供される種子に密着した薄皮(種皮)に含有されており,食品としての歴史も古く安全性において何ら問題はない。
即ち本発明は,日常的に摂取することによって脂肪肝及び/又は高脂血症を予防することを可能にする物質を有効成分として含有する新規な脂肪肝及び/又は高脂血症の治療・予防剤を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明の脂肪肝及び/又は高脂血症の治療・予防剤はクルミ由来のポリフェノールを有効成分とすることを特徴とする。
また,本発明の脂肪肝及び/又は高脂血症の治療・予防剤は,医薬品,飲食品,皮膚外用剤として使用することができる。
以下,本発明を詳細に説明する。
本発明の脂肪肝及び/又は高脂血症の治療・予防剤は,クルミ由来のポリフェノールを有効成分とすることを特徴とする。
上記「ポリフェノール」は,フェノール系水酸基を有する化合物の総称であり、クルミから得られるものであれば特に限定されないが、主に、ペドゥンクラジン(Pedunculagin),エラージ酸(Ellagic acid)テリマグランジン I(Tellimagrandin
I),カジュアリクチン(Casuarictin),テリマグランジン II(Tellimagrandin II),ルゴシンC(Rugosin C),カジュアリニン(Casuarinin)等が挙げられる。尚、これらは、1種のみ含有しても良いし、2種以上含有しても良いが、上記化合物の全てを含有することが好ましい。
ペドゥンクラジンの含有量は特に限定されないが、クルミ由来のポリフェノール(以下、単に「クルミポリフェノール」という)の全質量を100質量%とした場合、10〜20質量%、好ましくは12〜17質量%であることが好ましい。
また、エラージ酸の含有量は特に限定されないが、クルミポリフェノールの全質量を100質量%とした場合、10〜20質量%、好ましくは12〜17質量%とすることができる。
テリマグランジン Iの含有量は特に限定されないが、クルミポリフェノールの全質量を100質量%とした場合、3〜10質量%、好ましくは5〜7質量%とすることができる。
カジュアリクチンの含有量は特に限定されないが、クルミポリフェノールの全質量を100質量%とした場合、2〜6質量%、好ましくは3〜5質量%とすることができる。
テリマグランジン II、の含有量は特に限定されないが、クルミポリフェノールの全質量を100質量%とした場合、0.5〜2.0質量%、好ましくは1.0〜1.5質量%とすることができる。
ルゴシンCの含有量は特に限定されないが、クルミポリフェノールの全質量を100質量%とした場合、0.5〜4質量%、好ましくは1.0〜2.5質量%とすることができる。
カジュアリニンの含有量は特に限定されないが、0.1〜3質量%、好ましくは0.5〜2.5質量%とすることができる。
また,クルミポリフェノールを得るためのクルミは特に限定されず、例えば、シナノクルミ(Juglans regia),オニグルミ(J. aulantifolia),ヒメグルミ(J. ailantifolia var. cordiformis),テウチグルミ(J. regia var. orientis)等が挙げられる。原料に用いるクルミの部位は,果実全体を用いても良いが,好ましくは外果皮および内果皮を取り除いた種子を用いる。さらに好ましくは,種子から種皮のみを剥離し,仁を取り除いたものを用いる。これは,有効成分であるポリフェノールが,仁には全く含まれておらず,種皮のポリフェノール含量が極めて高いからである。
原料としてクルミを用いる場合,以下の方法にて抽出,精製されたエキスを脂肪肝及び/又は高脂血症の治療・予防剤として使用することができる。
このとき,溶媒としては,アセトン,水,メタノール,エタノール,イソプロピルアルコール,1,3−ブチレングリコール,エチレングリコール,プロピレングリコール,グリセリン等を使用することができる。これらの溶媒を単独で用いても良いし,これらの溶媒を2種以上併用してもよい。
このとき,特にエタノール,及び/又は水を用いて抽出を行うことが好ましい。ポリフェノール含有量が高く,食品に適したエキスを得ることができるからである。水及び/又はエタノールは,有効成分が効率よく抽出できるからである。特に,含水エタノールは,抽出の際に有効成分の活性を低下させにくく,抽出物の食品使用における安全面の上でも好ましい抽出溶媒である。抽出用の水の種類は,特に限定されず,水道水,蒸留水,ミネラル水,アルカリイオン水,深層水等を使用することができる。
このとき,上記抽出を行う回数は特に限定されず,各回に用いる溶媒の種類は,上記したものから適宜,任意に1種又は2種以上選択することができる。即ち,各回の抽出で同じ溶媒を用いても良いし,各回の抽出毎に異なった溶媒を用いても良い。更に,各回の抽出で同じ溶媒を用いた場合,そのときに用いる溶媒の含有比は適宜変えても良いし,同じ含有比のものを用いても良い。
クルミから有効成分を抽出する抽出温度としては,例えば,含水エタノールを使用する場合,抽出温度20〜100℃,好ましくは60〜80℃程度で行うとよい。抽出温度が低すぎると,有効成分が抽出されにくくなり,また,抽出温度が高すぎると,有効成分の活性が低下しやすくなるためである。
抽出溶媒としての含水エタノールは,エタノール濃度20〜90重量%,好ましくはエタノール濃度30〜70重量%であるとよい。エタノール濃度20重量%以上としたのは,エタノール含有量が少なすぎると,有効成分であるポリフェノールの抽出量が不十分になりやすいためである。また,エタノール濃度90重量%以下としたのは,エタノール濃度が高すぎると,水溶性のポリフェノール成分が含水エタノール中に抽出されないからである。なお,含水エタノール抽出は,有効成分の含有率を向上させるため,エタノール濃度を段階的に変えながら繰り返して行うとよい。
有効成分の抽出方法としては,連続抽出,浸漬抽出,向流抽出,超臨界抽出など任意の方法を採用することができ,室温ないし還流加熱下において任意の装置を使用することができる。
具体的な抽出方法を示すと,抽出溶媒を満たした処理槽に抽出原料(クルミ種皮)を投入し,攪拌しながら有効成分を溶出させる。例えば,抽出溶媒として含水エタノールを用いる場合には,抽出原料の5〜100倍量程度(重量比)の抽出溶媒を使用し,30分〜2時間程度,20〜90度で抽出を行う。溶媒中に有効成分を溶出させた後,ろ過して抽出残渣を除くことによって抽出液を得る。その後,常法に従って抽出液を濃縮,乾燥させることで,クルミ由来のポリフェノールを高濃度に含有するクルミエキスを得る。
上記クルミエキスのポリフェノール含量は,必要に応じてカラム処理により,その濃度を高めることができる。精製方法としては,例えば,活性炭処理,シリカゲル処理,樹脂吸着処理,イオン交換樹脂,液−液向流分配等の方法が挙げられる。
本発明の脂肪肝及び/又は高脂血症の治療・予防剤は,各種飲食品の素材として使用することができる。飲食品としては,例えば,食用油(サラダ油),菓子類(ガム,キャンディー,キャラメル,チョコレート,クッキー,スナック,ゼリー,グミ,錠菓等),麺類(そば,うどん,ラーメン等),乳製品(ミルク,アイスクリーム,ヨーグルト等),調味料(味噌,醤油等),スープ類,飲料(ジュース,コーヒー,紅茶,茶,炭酸飲料,スポーツ飲料等)をはじめとする一般食品や,健康食品(錠剤,カプセル等),栄養補助食品(栄養ドリンク等)が挙げられる。これらの飲食品に本発明の脂肪肝及び/又は高脂血症の治療・予防剤を適宜配合するとよい。
これら飲食品には,その種類に応じて種々の成分を配合することができ,例えば,ブドウ糖,果糖,ショ糖,マルトース,ソルビトール,ステビオサイド,コーンシロップ,乳糖,クエン酸,酒石酸,リンゴ酸,コハク酸,乳酸,L−アスコルビン酸,dl−α−トコフェロール,エリソルビン酸ナトリウム,グリセリン,プロピレングリコール,グリセリン脂肪酸エステル,ポリグリセリン脂肪酸エステル,ショ糖脂肪酸エステル,ソルビタン脂肪酸エステル,プロピレングリコール脂肪酸エステル,アラビアガム,カラギーナン,カゼイン,ゼラチン,ペクチン,寒天,ビタミンB類,ニコチン酸アミド,パントテン酸カルシウム,アミノ酸類,カルシウム塩類,色素,香料,保存剤等の食品素材を使用することができる。さらに,健康維持機能をもった本糖尿病及び/又は肥満の治療・予防剤には,他の抗酸化物質や健康食品素材などの配剤,例えば,抗酸化物質(還元型アスコルビン酸(ビタミンC),ビタミンE,還元型グルタチン,トコトリエノール,ビタミンA誘導体,リコピン,ルテイン,アスタキサンチン,ゼアキサンチン,フコキサンチン,尿酸,ユビキノン,コエンザイムQ10,葉酸,ニンニクエキス,アリシン,セサミン,リグナン類,カテキン,イソフラボン,カルコン,タンニン類,フラボノイド類,クマリン,イソクマリン類,ブルーベリーエキス),健康食品素材(V.(ビタミン)A,V.B1,V.B2,V.B6,V.B12,V.C,V.D,V.E,V.P,コリン,ナイアシン,パントテン酸,葉酸カルシウム,EPA,オリゴ糖,食物繊維,スクアレン,大豆レシチン,タウリン,ドナリエラ,プロテイン,オクタコサノール,DHA,卵黄レシチン,リノール酸,ラクトフェリン,マグネシウム,亜鉛,クロム,セレン,カリウム,ヘム鉄,カキ肉エキス,キトサン,キチンオリゴ糖,コラーゲン,コンドロイチン,ウコン,カンゾウ,クコシ,ケイヒ,サンザシ,生姜,霊芝,シジミエキス,スッポン,カンゾウ,クコシ,ケイヒ,サンザシ,霊芝,オオバコ,カミツレ,カモミール,セイヨウタンポポ,ハイビスカス,ハチミツ,ボーレン,ローヤルゼリー,ライム,ラベンダー,ローズヒップ,ローズマリー,セージ,ビフィズス菌,フェーカリス菌,ラクリス,小麦胚芽油,ゴマ油,シソ油,大豆油,中鎖脂肪酸,アガリクス,イチョウ葉エキス,ウコン,コンドロイチン,玄米胚芽エキス,レイシ,タマネギ,DHA, EPA, DPA,甜茶,冬虫夏草,ニンニク,蜂の子,パパイヤ,プーアル,プロポリス,メグスリの木,ヤブシタケ,ロイヤルゼリー,ノコギリヤシ,ヒアルロン酸,コラーゲン,ギャバ,ハープシールオイル,サメ軟骨,グルコサミン,レシチン,ホスファチジルセリン,田七ニンジン,桑葉,大豆抽出物,エキナセア,エゾウコギ,大麦抽出物,オリーブ葉,オリーブ実,ギムネマ,バナバ,サラシア,ガルシニア,キトサン,セントジョーンズワート,ナツメ,ニンジン,パッションフラワー,ブロッコリー,プラセンタ,ハトムギ,ブドウ種子,ピーナッツ種皮,ビルベリー,ブラックコホシュ,マリアアザミ,月桂樹,ラフマ,黒酢,ゴーヤー,マカ,紅花,亜麻,ウーロン茶,花棘,カフェイン,カプサイシン,キシロオリゴ糖,グルコサミン,ソバ,シトラス,食物繊維,プロテイン,プルーン,スピルリナ,大麦若葉,核酸,酵母,椎茸,梅肉,アミノ酸,深海鮫抽出物,ノニ,カキ肉,スッポン,シャンピニオン,オオバコ,アセロラ,パイナップル,バナナ,モモ,アンズ,メロン,イチゴ,ラズベリー,オレンジ,フコイダン,メシマコブ,クランベリー,コンドロイチン硫酸,亜鉛,鉄,セラミド,シルクペプチド,グリシン,ナイアシン,チェストツリー,L-システイン,赤ワイン葉,ミレット,ホーステール,ビオチン,センテラアジアティカ,ハスカップ,ピクノジェノール,フキ,ルバーブ,クローブ,ローズマリー,カテキン,プーアル,クエン酸,ビール酵母,メリロート,ブラックジンガー,ショウガ,ガジュツ,ナットウキナーゼ,ベニコウジ,トコトリエノール,ラクトフェリン,シナモン,韃靼ソバ,ココア,ユズ種子エキス,シソの実エキス,ライチ種子エキス,月見草エキス,黒米エキス,α−リポ酸,ギャバ,生コーヒー豆エキス,フキエキス,キウイ種子エキス,温州みかんエキス,アスタキサンチン,ショウガエキス,ニラ種子エキスなども配合することができる。
具体的な製法としては,脂肪肝及び/又は高脂血症の治療・予防剤を粉末セルロースとともにスプレードライまたは凍結乾燥し,これを粉末,顆粒,打錠または溶液にすることで容易に飲食品(インスタント食品等)に含有させることができる。また,脂肪肝及び/又は高脂血症の治療・予防剤を,例えば,油脂,エタノール,グリセリンあるいはこれらの混合物に溶解して液状にし,飲料に添加するか,固形食品に添加することが可能である。必要に応じてアラビアガム,デキストリン等のバインダーと混合して粉末状あるいは顆粒状にし,飲料に添加するか固形食品に添加することも可能である。
本発明の脂肪肝及び/又は高脂血症の治療・予防剤を飲食品に適用する場合の添加量としては,健康を維持することが主な目的であるので,飲食品に対して有効成分の含量が合計1〜20wt%であるのが好ましい。
本発明の脂肪肝及び/又は高脂血症の治療・予防剤は,薬品(医薬品および医薬部外品を含む。)の素材として用いてもよい。薬品製剤用の原料に,本発明の脂肪肝及び/又は高脂血症の治療・予防剤を適宜配合して製造することができる。本発明の脂肪肝及び/又は高脂血症の治療・予防剤に配合しうる製剤原料としては,例えば,賦形剤(ブドウ糖,乳糖,白糖,塩化ナトリウム,デンプン,炭酸カルシウム,カオリン,結晶セルロース,カカオ脂,硬化植物油,カオリン,タルク等),結合剤(蒸留水,生理食塩水,エタノール水,単シロップ,ブドウ糖液,デンプン液,ゼラチン溶液,カルボキシメチルセルロース,リン酸カリウム,ポリビニルピロリドン等),崩壊剤(アルギン酸ナトリウム,カンテン,炭酸水素ナトリウム,炭酸カルシウム,ラウリル硫酸ナトリウム,ステアリン酸モノグリセリド,デンプン,乳糖,アラビアゴム末,ゼラチン,エタノール等),崩壊抑制剤(白糖,ステアリン,カカオ脂,水素添加油等),吸収促進剤(第四級アンモニウム塩基,ラウリル硫酸ナトリウム等),吸着剤(グリセリン,デンプン,乳糖,カオリン,ベントナイト,硅酸等),滑沢剤(精製タルク,ステアリン酸塩,ポリエチレングリコール等)などが挙げられる。
本発明による脂肪肝及び/又は高脂血症の治療・予防剤の投与方法は,一般的には,錠剤,丸剤,軟・硬カプセル剤,細粒剤,散剤,顆粒剤,液剤等の形態で経口投与することができるが,非経口投与であってもよい。非経口剤として投与する場合は,溶液の状態,または分散剤,懸濁剤,安定剤などを添加した状態で,ハップ剤,ローション剤,軟膏剤,チンキ剤,クリーム剤などの剤形で適用することができる。
投与量は,投与方法,病状,患者の年齢等によって変化し得るが,大人では,通常,1日当たり有効成分として10〜1000mg,子供では通常5〜500mg程度投与することができる。
また,本発明の脂肪肝及び/又は高脂血症の治療・予防剤は,哺乳類の動物用飼料に含有することができる。上記動物用飼料は,上記飲食品と同様の方法にて含有することができる。また,上記動物用飼料は,使用する動物は特に限定されず,例えば,牛,豚等の家畜用動物,犬,猫,ハムスタ等の伴侶動物(ペットとして飼われている動物)等にも使用することができる。
また,例えば,伴侶動物の飼料として,穀粉,食肉等を用いることができる。このとき,穀粉としては,小麦粉,米粉,ライ麦粉,えんばく粉,ひえ粉,あわ粉,トウモロコシ粉,大豆粉などが例示でき,これらの穀粉は2種以上を併用してもよい。穀粉を使用することにより,伴侶動物に炭水化物などの栄養素を供給することができる。上記の穀粉の中で小麦粉を使用するのが最も好ましく,小麦粉としては,強力粉,中力粉,薄力粉を単独又は適宜組み合わせて使用することができ,また係る小麦粉と他の穀粉を併用してもよい。更に,加熱処理後の動物用飼料の弾力を調整するために,小麦粉と小麦グルテン,大豆蛋白質などを組み合わせてもよい。なお,小麦粉に含まれるグルテンに由来する網目構造は,加熱処理されると,膨化した組織構造を構成することができ,食感の改善に寄与する。
本発明で使用される食肉は特に限定されず,鶏肉,豚肉,牛肉,羊肉,山羊肉,兎肉,七面鳥肉,馬肉などを使用するこができるが,風味の点から鶏肉が好適に使用される。上記の食肉は常法により家畜類を屠殺し解体して得られる。なお,中間水分又は低水分状態の製品の品質劣下は主に脂肪の酸化により生じるので,使用する食肉は脂肪含量が少ないか脂肪を取り除いた赤身肉が好適に使用される。また,食肉の共存は,良質の動物性蛋白質の強化と共に伴侶動物に対する嗜好性の改善を図ることができる。
伴侶動物の飼料は種々の方法により調製することができるが,好ましい方法としては,穀粉(好ましくは小麦粉)及び食肉を含有した練りあがり原料混合物(以下,「ドウ」という。)を調製し,成形後,加熱処理する方法が例示できる。ドウ中の穀粉及び食肉の組成は特に限定されないが,通常,穀粉5〜60%程度,好ましくは10〜50%程度,食肉5〜80%程度,好ましくは20〜50%程度,及び必要量の水からなるように調整される。また,Aw調整剤を使用する場合には,当該Aw調整剤は5〜30%程度,好ましくは10〜20%程度となるように添加される。なお,水の使用量は,ドウが混練・成形できる程度に,穀粉,食肉,Aw調整剤などの使用量に応じて適宜調整すればよい。
ドウの調製方法は特に限定されないが,好ましくは,まず食肉をサイレントカッター,チョッパーなどにより細挽する。この際,細挽した食肉に気泡が十分に含まれるように細切しておくのが好ましい。ついで,細挽した食肉に,穀粉,水及び必要に応じてAw調整剤などを添加し,十分に混練して気泡を含有させることにより含泡体ドウを調製することができる。ドウの調製に際して,起泡剤を添加してもよく,特に穀粉として小麦粉以外の穀粉を使用する場合には起泡剤を使用するのが好ましい。起泡剤の添加により,ドウ中に微細な気泡を均一に含有させることができる。起泡剤としては各種起泡剤が使用できるが,気泡の安定性などの点から,大豆蛋白系起泡剤及び/又は酵素分解大豆蛋白系起泡剤を使用するのが好ましい。
かくして調製されたドウを成形し,加熱処理することにより,本発明の伴侶動物の飼料が得られる。ドウの成形は,本発明の伴侶動物用飼料を伴侶動物が食する際の食べ易さ,飼い主の取扱い易さなどに応じて適宜な形状に成形すればよく,例えば,板状,スティック状,円板状,ドーナツ状,ハート形状などが例示される。また,同一の配合から調製したドウから,各々異なる色調の色素で染色し,又は野菜又はフルーツなどを配合して異なる外観の複数のドウを調製し,それらを多層状又は同心円状に組み合わせて成形することもできる。
成形されたドウの加熱手段は特に限定されず,例えば,オーブン加熱,マイクロ波加熱などが例示される。これらの加熱方法は公知であり,常法に準じて加熱処理を行えばよい。加熱処理後の飼料の水分含量は,通常20〜40%程度である。上記の加熱処理により,水分の蒸発と気泡の膨張によりドウは膨化し,また短時間に水分が蒸発するのでAwが低下し,保存性が向上する。また,穀粉として小麦粉を使用した場合には,加熱処理により,小麦粉に含まれるグルテンに由来する網目構造が固定化し,食感が改善される。なお,オーブン加熱の場合には,飼料に独特の色調(狐色)や香気を生じさせることができる利点があり,一方,マイクロ波加熱による場合には,ドウの内部から加熱することができるので,均質に膨化させることが可能であり,均一な気泡を有する飼料を得ることができる利点がある。上記の加熱処理に際して,得られた飼料のAwが0.6〜0.9の範囲になるように調整するのが好ましい。前述のように,Awをこの範囲に調整することより,飼料の保存性を著しく高めることができる。
かくして得られた上記伴侶動物の飼料は,パン状の性状を有する飼料であり,ソフトな食感と適度な柔軟性と弾力性を有するので,幼犬,老齢犬や猫などの歯の弱い伴侶動物の飼料,おやつなどとして好適である。勿論,健常な成犬や成猫の飼料,おやつなどとしても利用することができる。上記動物用飼料は,包装容器に適当量を収納し,密封することにより製品化される。包装容器としては,酸素ガス非透過性の包材を使用するのが好ましい。包装の形態としては,真空包装,不活性ガス充填包装などが例示されるが,脱酸素剤(例えば,エージレスTM等)と共に不活性ガス充填包装するのが好ましい。係る包装形態によれば,保存期間中における酸素による品質劣化と微生物の増殖を防止することができる。
また,上記伴侶動物の飼料は,例えば,使用する食肉又はドウには,当業者が慣用的に用いている添加物(例えば,食塩,重合リン酸塩,エリソルビン酸ナトリウム等の酸化防止剤,植物性蛋白質,脱脂粉乳,カゼインナトリウム,卵白,グルテン,貝殻粉,骨粉,ビタミン類,ミネラル類,微量元素,調味料,香料,色素,保存料,pH調整剤等)及び/又は野菜やフルーツを添加することもできる。また,ドウを板状に成形し加熱処理し,その後にスティック状,円板状,ドーナツ状,ハート形状などに切断して飼料を調製してもよい。更に,使用する食肉又はドウに,各種のビタミン類やミネラル類などを配合し,犬又は猫のNRC栄養基準に合致させることもできる。
本発明の本発明の脂肪肝及び/又は高脂血症の治療・予防剤は,皮膚外用剤(化粧品,医薬品および医薬部外品を含む。)として用いても,脂肪肝及び/又は高脂血症の治療・予防作用を期待することができる。
本発明の脂肪肝及び/又は高脂血症の治療・予防剤を配合しうる皮膚外用剤の形態としては,例えば,乳液,石鹸,洗顔料,入浴剤,クリーム,乳液,化粧水,オーデコロン,ひげ剃り用クリーム,ひげ剃り用ローション,化粧油,日焼け・日焼け止めローション,おしろいパウダー,ファンデーション,香水,パック,爪クリーム,エナメル,エナメル除去液,眉墨,ほお紅,アイクリーム,アイシャドー,マスカラ,アイライナー,口紅,リップクリーム,シャンプー,リンス,染毛料,分散液,洗浄料等が挙げられる。
また,本発明の脂肪肝及び/又は高脂血症の治療・予防剤を配合しうる医薬品または医薬部外品の形態としては,軟膏剤,クリーム剤,外用液剤等が挙げられる。
上記形態の皮膚外用剤には,本発明による脂肪肝及び/又は高脂血症の治療・予防剤の他に,その脂肪肝及び/又は高脂血症の治療・予防作用を損なわない範囲で化粧品,医薬部外品などの皮膚外用剤に配合される成分,油分,高級アルコール,脂肪酸,紫外線吸収剤,粉体,顔料,界面活性剤,多価アルコール・糖,高分子,生理活性成分,溶媒,酸化防止剤,香料,防腐剤等を配合することができる。
例を以下に羅列するが,本発明はこれらの例に限定されるものではない。
(1)油分の例
エステル系の油相成分:トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル,2-エチルヘキサン酸セチル,ミリスチン酸イソプロピル,ミリスチン酸ブチル,パルミチン酸イソプロピル,ステアリン酸エチル,パルミチン酸オクチル,イソステアリン酸イソセチル,ステアリン酸ブチル,ミリスチン酸ブチル,リノール酸エチル,リノール酸イソプロピル,オレイン酸エチル,ミリスチン酸イソセチル,ミリスチン酸イソステアリル,パルミチン酸イソステアリル,ミリスチン酸オクチルドデシル,イソステアリン酸イソセチル,セバシン酸ジエチル,アジピン酸ジイソプロピル,ネオペンタン酸イソアラキル,トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル,トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン,トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン,テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール,カプリル酸セチル,ラウリン酸デシル,ラウリン酸ヘキシル,ミリスチン酸デシル,ミリスチン酸ミリスチル,ミリスチン酸セチル,ステアリン酸ステアリル,オレイン酸デシル,リシノレイン酸セチル,ラウリン酸イソステアリル,ミリスチン酸イソトリデシル,ミリスチン酸イソセチル,ミリスチン酸イソステアリル,パルミチン酸イソセチル,パルミチン酸イソステアリル,ステアリン酸オクチル,ステアリン酸イソセチル,オレイン酸イソデシル,オレイン酸オクチルドデシル,リノール酸オクチルドデシル,イソステアリン酸イソプロピル,2-エチルヘキサン酸セトステアリル,2-エチルヘキサン酸ステアリル,イソステアリン酸ヘキシル,ジオクタン酸エチレングリコール,ジオレイン酸エチレングリコール,ジカプリン酸プロピレングリコール,ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール,ジカプリル酸プロピレングリコール,ジカプリン酸ネオペンチルグリコール,ジオクタン酸ネオペンチルグリコール,トリカプリル酸グリセリル,トリウンデシル酸グリセリル,トリイソパルミチン酸グリセリル,トリイソステアリン酸グリセリル,ネオペンタン酸オクチルドデシル,オクタン酸イソステアリル,イソノナン酸オクチル,ネオデカン酸ヘキシルデシル,ネオデカン酸オクチルドデシル,イソステアリン酸イソセチル,イソステアリン酸イソステアリル,イソステアリン酸オクチルデシル,ポリグリセリンオレイン酸エステル,ポリグリセリンイソステアリン酸エステル,炭酸ジプロピル,炭酸ジアルキル(C12-18),クエン酸トリイソセチル,クエン酸トリイソアラキル,クエン酸トリイソオクチル,乳酸ラウリル,乳酸ミリスチル,乳酸セチル,乳酸オクチルデシル,クエン酸トリエチル,クエン酸アセチルトリエチル,クエン酸アセチルトリブチル,クエン酸トリオクチル,リンゴ酸ジイソステアリル,ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル,コハク酸ジ2-エチルヘキシル,アジピン酸ジイソブチル,セバシン酸ジイソプロピル,セバシン酸ジオクチル,ステアリン酸コレステリル,イソステアリン酸コレステリル,ヒドロキシステアリン酸コレステリル,オレイン酸コレステリル,オレイン酸ジヒドロコレステリル,イソステアリン酸フィトステリル,オレイン酸フィトステリル,12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソセチル,12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸ステアリル,12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソステアリル等が挙げられる。
炭化水素系の油相成分:スクワラン,流動パラフィン,α-オレフィンオリゴマー,イソパラフィン,セレシン,パラフィン,流動イソパラフィン,ポリブテン,マイクロクリスタリンワックス,ワセリン等が挙げられる。
動植物油とその硬化油,および天然由来のロウ:牛脂,硬化牛脂,豚脂,硬化豚脂,馬油,硬化馬油,ミンク油,オレンジラフィー油,魚油,硬化魚油,卵黄油等の動物油およびその硬化油,アボカド油,アルモンド油,オリーブ油,カカオ脂,キウイ種子油,杏仁油,ククイナッツ油,ゴマ油,小麦胚芽油,コメ胚芽油,コメヌカ油,サフラワー油,シアバター,大豆油,月見草油,シソ油,茶実油,ツバキ油,トウモロコシ油,ナタネ油,硬化ナタネ油,パーム核油,硬化パーム核油,パーム油,硬化パーム油,ピーナッツ油,硬化ピーナッツ油,ヒマシ油,硬化ヒマシ油,ヒマワリ油,ブドウ種子油,ホホバ油,硬化ホホバ油,マカデミアナッツ油,メドホーム油,綿実油,硬化綿実油,ヤシ油,硬化ヤシ油等の植物油およびその硬化油,ミツロウ,高酸価ミツロウ,ラノリン,還元ラノリン,硬化ラノリン,液状ラノリン,カルナバロウ,モンタンロウ等のロウ等が挙げられる。
シリコーン系の油相成分:ジメチルポリシロキサン,メチルフェニルポリシロキサン,メチルシクロポリシロキサン,オクタメチルポリシロキサン,デカメチルポリシロキサン,ドデカメチルシクロシロキサン,メチルハイドロジェンポリシロキサン,ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン,ジメチルシロキサン・メチルセチルオキシシロキサン共重合体,ジメチルシロキサン・メチルステアロキシシロキサン共重合体,アルキル変性オルガノポリシロキサン,末端変性オルガノポリシロキサン,アミノ変性シリコーン油,アミノ変性オルガノポリシロキサン,ジメチコノール,シリコーンゲル,アクリルシリコーン,トリメチルシロキシケイ酸,シリコーンRTVゴム等が挙げられる。
フッ素系の油相成分:パーフルオロポリエーテル,フッ素変性オルガノポリシロキサン,フッ化ピッチ,フルオロカーボン,フルオロアルコール,フルオロアルキル・ポリオキシアルキレン共変性オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
(2)高級アルコールの例
ラウリルアルコール,ミリスチルアルコール,セチルアルコール,ステアリルアルコール,イソステアリルアルコール,オレイルアルコール,ベヘニルアルコール,2-エチルヘキサノール,ヘキサデシルアルコール,オクチルドデカノール等が挙げられる。
(3)脂肪酸の例
カプリル酸,カプリン酸,ウンデシレン酸,ラウリン酸,ミリスチン酸,パルミチン酸,パルミトレイン酸,ステアリン酸,イソステアリン酸,オレイン酸,リノール酸,リノレン酸,アラキン酸,アラキドン酸,ベヘン酸,エルカ酸,2-エチルヘキサン酸等が挙げられる。
(4)紫外線吸収剤の例
パラアミノ安息香酸,パラアミノ安息香酸アミル,パラアミノ安息香酸エチルジヒドロキシプロピル,パラアミノ安息香酸グリセリル,パラアミノ安息香酸エチル,パラアミノ安息香酸オクチル,パラアミノ安息香酸オクチルジメチル,サリチル酸エチレングリコール,サリチル酸オクチル,サリチル酸トリエタノールアミン,サリチル酸フェニル,サリチル酸ブチルフェニル,サリチル酸ベンジル,サリチル酸ホモメンチル,ケイ皮酸ベンジル,パラメトキシケイ皮酸オクチル,パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル,ジパラメトキシケイ皮酸モノ2-エチルヘキサン酸グリセリル,パラメトキシケイ皮酸イソプロピル,パラメトキシヒドロケイ皮酸ジエタノールアミン塩,ジイソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物,ウロカニン酸,ウロカニン酸エチル,ヒドロキシメトキシベンゾフェノン,ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸及びその塩,ジヒドロキシメトキシベンゾフェノン,ジヒドロキシメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム,ジヒドロキシベンゾフェノン,ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン,ヒドロキシオクトキシベンゾフェノン,テトラヒドロキシベンゾフェノン,ブチルメトキシジベンゾイルメタン,2,4,6-トリアニリノ-p-(カルボ-2-エチルヘキシル-1-オキシ)-1,3,5-トリアジン,2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール,メチル-O-アミノベンゾエート,2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート,フェニルベンゾイミダゾール硫酸,3-(4-メチルベンジリデン)カンフル,イソプロピルジベンゾイルメタン,4-(3,4-ジメトキシフェニルメチレン)-2,5-ジオキソ-1-イミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル等,およびこれらの高分子誘導体やシラン誘導体等が挙げられる。
(5)粉体・顔料の例
赤色104号,赤色201号,黄色4号,青色1号,黒色401号等の色素,黄色4号ALレーキ,黄色203号BAレーキ等のレーキ色素,ナイロンパウダー,シルクパウダー,ウレタンパウダー,テフロン(登録商標)パウダー,シリコーンパウダー,ポリメタクリル酸メチルパウダー,セルロースパウダー,デンプン,シリコーンエラストマー球状粉体,ポリエチレン末等の高分子,黄酸化鉄,赤色酸化鉄,黒酸化鉄,酸化クロム,カーボンブラック,群青,紺青等の有色顔料,酸化亜鉛,酸化チタン,酸化セリウム等の白色顔料,タルク,マイカ,セリサイト,カオリン,板状硫酸バリウム等の体質顔料,雲母チタン等のパール顔料,硫酸バリウム,炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム,珪酸アルミニウム,珪酸マグネシウム等の金属塩,シリカ,アルミナ等の無機粉体,ステアリン酸アルミニウム,ステアリン酸マグネシウム,パルミチン酸亜鉛,ミリスチン酸亜鉛,ミリスチン酸マグネシウム,ラウリン酸亜鉛,ウンデシレン酸亜鉛等の金属セッケン,ベントナイト,スメクタイト,窒化ホウ素等が挙げられる。これらの粉体の形状(球状,棒状,針状,板状,不定形状,燐片状,紡錘状等)および粒子径に特に制限はない。なおこれらの粉体は,従来公知の表面処理,例えばフッ素化合物処理,シリコーン処理,シリコーン樹脂処理,ペンダント処理,シランカップリング剤処理,チタンカップリング剤処理,油剤処理,N-アシル化リジン処理,ポリアクリル酸処理,金属セッケン処理,アミノ酸処理,レシチン処理,無機化合物処理,プラズマ処理,メカノケミカル処理等によって事前に表面処理されていてもいなくても構わない。
(6)界面活性剤の例
アニオン性界面活性剤:脂肪酸セッケン,α-アシルスルホン酸塩,アルキルスルホン酸塩,アルキルアリルスルホン酸塩,アルキルナフタレンスルホン酸塩,アルキル硫酸塩,POEアルキルエーテル硫酸塩,アルキルアミド硫酸塩,アルキルリン酸塩,POEアルキルリン酸塩,アルキルアミドリン酸塩,アルキロイルアルキルタウリン塩,N-アシルアミノ酸塩,POEアルキルエーテルカルボン酸塩,アルキルスルホコハク酸塩,アルキルスルホ酢酸ナトリウム,アシル化加水分解コラーゲンペプチド塩,パーフルオロアルキルリン酸エステル等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤:塩化アルキルトリメチルアンモニウム,塩化ステアリルトリメチルアンモニウム,臭化ステアリルトリメチルアンモニウム,塩化セトステアリルトリメチルアンモニウム,塩化ジステアリルジメチルアンモニウム,塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム,臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム,塩化ベンザルコニウム,塩化ベヘニン酸アミドプロピルジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム,ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド,ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド,ラノリン誘導体第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
両性界面活性剤:カルボキシベタイン型,アミドベタイン型,スルホベタイン型,ヒドロキシスルホベタイン型,アミドスルホベタイン型,ホスホベタイン型,アミノカルボン酸塩型,イミダゾリン誘導体型,アミドアミン型等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤:プロピレングリコール脂肪酸エステル,グリセリン脂肪酸エステル,ポリグリセリン脂肪酸エステル,ソルビタン脂肪酸エステル,POEソルビタン脂肪酸エステル,POEソルビット脂肪酸エステル,POEグリセリン脂肪酸エステル,POEアルキルエーテル,POE脂肪酸エステル,POE硬化ヒマシ油,POEヒマシ油,POE・POP共重合体,POE・POPアルキルエーテル,ポリエーテル変性シリコーンラウリン酸アルカノールアミド,アルキルアミンオキシド,水素添加大豆リン脂質等が挙げられる。
天然系界面活性剤:レシチン,サポニン,糖系界面活性剤等が挙げられる。
(7)多価アルコール,糖の例
エチレングリコール,ジエチレングリコール,ポリエチレングリコール,プロピレングリコール,ジプロピレングリコール,ポリプロピレングリコール,グリセリン,ジグリセリン,ポリグリセリン,3-メチル-1,3-ブタンジオール,1,3-ブチレングリコール,ソルビトール,マンニトール,ラフィノース,エリスリトール,グルコース,ショ糖,果糖,キシリトール,ラクトース,マルトース,マルチトール,トレハロース,アルキル化トレハロース,混合異性化糖,硫酸化トレハロース,プルラン等が挙げられる。またこれらの化学修飾体等も使用可能である。
(8)高分子の例
アクリル酸エステル/メタクリル酸エステル共重合体(プラスサイズ,互応化学社製),酢酸ビニル/クロトン酸共重合体(レジン28-1310,NSC社製),酢酸ビニル/クロトン酸/ビニルネオデカネート共重合体(28-2930,NSC社製),メチルビニルエーテルマレイン酸ハーフエステル(ガントレッツES,ISP社製),T-ブチルアクリレート/アクリル酸エチル/メタクリル酸共重合体(ルビマー,BASF社製),ビニルピロリドン/ビニルアセテート/ビニルプロピオネート共重合体(ルビスコールVAP,BASF社製),ビニルアセテート/クロトン酸共重合体(ルビセットCA,BASF社製),ビニルアセテート/クロトン酸/ビニルピロリドン共重合体(ルビセットCAP,BASF社製),ビニルピロリドン/アクリレート共重合体(ルビフレックス,BASF社製),アクリレート/アクリルアミド共重合体(ウルトラホールド,BASF社製),ビニルアセテート/ブチルマレエート/イソボルニルアクリラート共重合体(アドバンテージ,ISP社製),カルボキシビニルポリマー(カーボポール,BFGoodrich社製),アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(ペミュレン,BF Goodrich社製)等のアニオン性高分子化合物や,ジアルキルアミノエチルメタクリレート重合体の酢酸両性化物(ユカフォーマー,三菱化学社製),アクリル酸オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体(AMPHOMER,NSC社製)等の両性高分子化合物,ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートの4級化物(GAFQUAT,ISP社製),メチルビニルイミダゾリウムクロリド/ビニルピロリドン共重合体(ルビコート,BASF社製)等のカチオン性高分子化合物,ポリビニルピロリドン(ルビスコールK,BASF社製),ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体(ルビスコールVA,BASF社製),ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(コポリマー937,ISP社製),ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(コポリマーVC713,ISP社製)等のノニオン性高分子化合物等がある。また,セルロースまたはその誘導体,ケラチン及びコラーゲンまたはその誘導体,アルギン酸カルシウム,プルラン,寒天,ゼラチン,タマリンド種子多糖類,キサンタンガム,カラギーナン,ハイメトキシルペクチン,ローメトキシルペクチン,グアーガム,アラビアゴム,結晶セルロース,アラビノガラクタン,カラヤガム,トラガカントガム,アルギン酸,アルブミン,カゼイン,カードラン,ジェランガム,デキストラン等の天然由来高分子化合物も好適に用いることができる。
(9)生理活性成分の例
生理活性成分としては,皮膚に塗布した場合に皮膚に何らかの生理活性を与える物質が挙げられる。例えば,美白成分,抗疲労用組成物,老化防止剤,紫外線防御剤,スリミング剤,ひきしめ剤,抗酸化剤,発毛剤,育毛剤,保湿剤,血行促進剤,抗菌剤,殺菌剤,乾燥剤,冷感剤,温感剤,ビタミン類,アミノ酸,創傷治癒促進剤,刺激緩和剤,鎮痛剤,細胞賦活剤,酵素成分等が挙げられる。これらの好適な配合成分の例としては,例えばアシタバエキス,アボカドエキス,アマチャエキス,アルテアエキス,アルニカエキス,アロエエキス,アンズエキス,アンズ核エキス,イチョウエキス,ウイキョウエキス,ウコンエキス,ウーロン茶エキス,エイジツエキス,エチナシ葉エキス,オウゴンエキス,オウバクエキス,オウレンエキス,オオムギエキス,オトギリソウエキス,オドリコソウエキス,オランダカラシエキス,オレンジエキス,海水乾燥物,海藻エキス,加水分解エラスチン,加水分解コムギ末,加水分解シルク,カモミラエキス,カロットエキス,カワラヨモギエキス,甘草エキス,カルカデエキス,カキョクエキス,キナエキス,キューカンバ-エキス,グアノシン,クチナシエキス,クマザサエキス,クララエキス,クルミエキス,グレープフルーツエキス,クレマティスエキス,クロレラエキス,クワエキス,ゲンチアナエキス,紅茶エキス,酵母エキス,ゴボウエキス,コメヌカ発酵エキス,コメ胚芽油,コンフリーエキス,コラーゲン,コケモモエキス,サイシンエキス,サイコエキス,サイタイ抽出液,サルビアエキス,サボンソウエキス,ササエキス,サンザシエキス,サンショウエキス,シイタケエキス,ジオウエキス,シコンエキス,シソエキス,シナノキエキス,シモツケソウエキス,シャクヤクエキス,ショウブ根エキス,シラカバエキス,スギナエキス,セイヨウキズタエキス,セイヨウサンザシエキス,セイヨウニワトコエキス,セイヨウノコギリソウエキス,セイヨウハッカエキス,セ-ジエキス,ゼニアオイエキス,センキュウエキス,センブリエキス,ダイズエキス,タイソウエキス,タイムエキス,茶エキス,チョウジエキス,チガヤエキス,チンピエキス,トウキエキス,トウキンセンカエキス,トウニンエキス,トウヒエキス,ドクダミエキス,トマトエキス,納豆エキス,ニンジンエキス,ニンニクエキス,ノバラエキス,ハイビスカスエキス,バクモンドウエキス,パセリエキス,蜂蜜,ハマメリスエキス,パリエタリアエキス,ヒキオコシエキス,ビサボロール,ビワエキス,フキタンポポエキス,フキノトウエキス,ブクリョウエキス,ブッチャーブルームエキス,ブドウエキス,プロポリス,ヘチマエキス,ベニバナエキス,ペパーミントエキス,ボダイジュエキス,ボタンエキス,ホップエキス,マツエキス,マロニエエキス,ミズバショウエキス,ムクロジエキス,メリッサエキス,モモエキス,ヤグルマギクエキス,ユーカリエキス,ユキノシタエキス,ヨクイニンエキス,ヨモギエキス,ラベンダーエキス,リンゴエキス,レタスエキス,レモンエキス,レンゲソウエキス,ローズエキス,ローズマリーエキス,ローマカミツレエキス,ローヤルゼリーエキス等を挙げることができる。
また,デオキシリボ核酸,ムコ多糖類,ヒアルロン酸ナトリウム,コンドロイチン硫酸ナトリウム,コラーゲン,エラスチン,キチン,キトサン,加水分解卵殻膜などの生体高分子,アミノ酸,加水分解ペプチド,乳酸ナトリウム,尿素,ピロリドンカルボン酸ナトリウム,ベタイン,ホエイ,トリメチルグリシンなどの保湿成分,スフィンゴ脂質,セラミド,フィトスフィンゴシン,コレステロール,コレステロール誘導体,リン脂質などの油性成分,ε-アミノカプロン酸,グリチルリチン酸,β-グリチルレチン酸,塩化リゾチーム,グアイアズレン,ヒドロコールチゾン等の抗疲労用組成物,ビタミンA,ビタミンB2,ビタミンB6,ビタミンC,ビタミンD,ビタミンE,パントテン酸カルシウム,ビオチン,ニコチン酸アミド,ビタミンCエステル等のビタミン類,アラントイン,ジイソプロピルアミンジクロロアセテート,4-アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸等の活性成分,トコフェロール,カロチノイド,フラボノイド,タンニン,リグナン,サポニン等の抗酸化剤,α-ヒドロキシ酸,β-ヒドロキシ酸などの細胞賦活剤,γ-オリザノール,ビタミンE誘導体などの血行促進剤,レチノール,レチノール誘導体等の創傷治癒剤,アルブチン,コウジ酸,プラセンタエキス,イオウ,エラグ酸,リノール酸,トラネキサム酸,グルタチオン等の美白剤,セファランチン,カンゾウ抽出物,トウガラシチンキ,ヒノキチオール,ヨウ化ニンニクエキス,塩酸ピリドキシン,DL-α-トコフェロール,酢酸DL-α-トコフェロール,ニコチン酸,ニコチン酸誘導体,パントテン酸カルシウム,D-パントテニルアルコール,アセチルパントテニルエチルエーテル,ビオチン,アラントイン,イソプロピルメチルフェノール,エストラジオール,エチニルエストラジオール,塩化カプロニウム,塩化ベンザルコニウム,塩酸ジフェンヒドラミン,タカナール,カンフル,サリチル酸,ノニル酸バニリルアミド,ノナン酸バニリルアミド,ピロクトンオラミン,ペンタデカン酸グリセリル,L-メントール,モノニトログアヤコール,レゾルシン,γ-アミノ酪酸,塩化ベンゼトニウム,塩酸メキシレチン,オーキシン,女性ホルモン,カンタリスチンキ,ジンクピリチオン,ヒドロコルチゾン,ミノキシジル,モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン,ハッカ油,ササニシキエキス等の育毛剤などが挙げられる。
(10)酸化防止剤の例
亜硫酸水素ナトリウム,亜硫酸ナトリウム,エリソルビン酸,エリソルビン酸ナトリウム,チオジプロピオン酸ジラウリル,トコフェロール,トリルビグアナイド,ノルジヒドログアヤレチン酸,パラヒドロキシアニソール,ブチルヒドロキシアニソール,ジブチルヒドロキシトルエン,ステアリン酸アスコルビル,パルミチン酸アスコルビル,没食子酸オクチル,没食子酸プロピル,カロチノイド,フラボノイド,タンニン,リグナン,サポニン,リンゴエキスやチョウジエキスなどの酸化防止効果の認められる植物エキス等が挙げられる。
(11)溶媒の例
精製水,エタノール,低級アルコール,エーテル類,LPG,フルオロカーボン,N-メチルピロリドン,フルオロアルコール,揮発性直鎖状シリコーン,次世代フロン等が挙げられる。
〔実施例〕
クルミエキス(クルミポリフェノール)の調製
原料としてのクルミ種皮は,中国産のものを用いた。まず,乾燥した種皮10kgに,5倍量のエタノール濃度50wt%の含水エタノール80℃で2時間抽出し,含水エタノール抽出液を乾固させてクルミエキス588gを得た。エキスのポリフェノール含量をフォーリン・デニス法で測定した結果,30.7%であった。また主なポリフェノール成分をHPLC分析したところ,ペドゥンクラジンが4.3wt%,テリマグレランジンIが1.6%,エラグ酸が5.5wt%含有されていた。
〔試験例〕
1.高脂肪食飼育によるマウス脂肪肝および高脂血症モデルにおける評価
マウス(ddY, 雄, 10週齡)に,High Fat Diet 32 (日本クレア)を2週間自由摂取させた。この間,クルミエキスを1日1回経口投与した。剖検日(2週間目)の前日から絶食を行い,剖検時に臓器重量を測定するとともに,血清および肝臓中のトリグリセリド含量を,トリグリセリドキットEワコー(和光純薬工業)を用いて測定した。
下記表1に実験結果を示した。クルミエキスはその投与量に依存して,肝臓重量を低下させた。また肝臓中のトリグリセリドは,100および200 mg/kgの投与量で,明らかに低下した。さらに,血清中のトリグリセリドも,50〜200
mg/kgの投与量で有意に低下した。これらの結果から,クルミエキスは肝臓や血中のトリグリセリドを低下させることで,脂肪肝や高脂血症を予防又は治療する作用を有することが分かる。
2.オリーブ油投与マウスにおける消化管からのトリグリセリド吸収抑制作用の評価
前述のクルミエキスの肝臓および血中トリグリセリドに対する低下作用のメカニズムを調べるために,オリーブ油投与マウスの血中トリグリセリド上昇に及ぼす作用を検討した。すなわち,絶食(20時間)したマウス(ddY,雄,5週齡)に,クルミエキスを経口投与し,1時間後にオリーブ油(5mL/kg)を経口投与した,その後,2,4および6時間後に,採血を行って血清を分離し,トリグリセリド濃度を定量した。
表2に示すように,クルミエキスはオリーブ油摂取による血中トリグリセリドの上昇に対し,何ら抑制作用を示さなかった。この結果から,クルミエキスの肝臓および血中トリグリセリド低下作用は,食餌中のトリグリセリドの吸収抑制によるものではないことが判明した。
3.肝細胞の脂肪蓄積に及ぼす作用評価
さらに,吸収されたトリグリセリドの肝細胞への蓄積に及ぼす作用をヒト肝癌由来細胞(HepG2)を用いて調べた。消化管において,トリグリセリドは膵臓リパーゼにより分解され,脂肪酸とモノあるいはジグリセロールの形で,消化管から吸収される。小腸の粘膜内で,これらは再びトリグリセリドに再合成され,リンパ管を経て血中へ放出される。血中のトリグリセリドは,肝細胞に取り込まれる際,肝臓のリポプロテインリパーゼにより再び分解され脂肪酸とグリセロールの形で吸収される。その後,肝細胞内でトリグリセリドを形成し,蓄積される。そこで,HepG2を用いた本実験では,オレイン酸を脂肪酸として用い,細胞内のトリグリセリド蓄積に及ぼす作用を調べた。すなわち,10%ウシ胎児血清を含有するD-MEM培地に懸濁したHepG2細胞(8×104
cells/mL)を,24穴プレートに500 mLずつ播種し,24時間前培養を行った。培地をオレイン酸0.5 mMを含有する培地に交換し,サンプル溶液(50 mL)を添加して48時間培養した。培地を除去後,PBS (200 mL)を加えて細胞を破砕し,トリグリセリド濃度を測定した。
実験の結果,表3に示すように,クルミエキスは肝細胞の脂肪蓄積に対して,何ら抑制作用を示さなかった。この結果より,クルミエキスは吸収されたトリグリセリドの肝臓への蓄積に対して,影響を与えないことが判明した。
4.肝細胞の脂肪酸代謝促進分子に及ぼす作用
肝臓に蓄積されたトリグリセリドは,ホルモン感受性リパーゼの働きにより,脂肪酸とグリセロールに分解される。脂肪酸は,肝細胞のカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼの働きにより,ミトコンドリアの中に取り込まれる。取り込まれた脂肪酸は,種々脂肪酸代謝酵素が関与するベータ酸化によって代謝を受け,エネルギーとして消費される。そこで,クルミエキスの肝臓の脂肪酸代謝における脂肪酸のミトコンドリアへの取り込みや,ベータ酸化に及ぼす影響を調べるため,これら一連の脂肪酸代謝に関与する酵素の発現を制御する核内受容体であるペルオキシソーム増殖性活性化受容体(PPARα)の遺伝子発現に及ぼす影響を調べた。すなわち,10%ウシ胎児血清含有DMEM培地に浮遊させたHepG2細胞(2×105 cells/mL)を12ウェルプレートに播種し,5%CO,37℃で24時間培養した。次いでクルミエキスを含有する培地に交換し,さらに24時間培養した後,培地を取り除き,細胞をPBSで洗浄した。ここに,市販のRNA精製キット(RNAspin Mini RNA Isolation Kit,GE)付属の緩衝液(RA-1, 350 μL)および2-メルカプトエタノール(3.5 μL)を加え,良くピペッティングをして細胞溶解液を回収した。その後,当該キットを用いて総RNAを調製した。
総RNA溶液20μLと,2μLのdNTPおよびランダムヘキサマー混液を混合し、65℃で5分加温した。急速氷冷後,5倍濃度のPrime Script Buffer(6 μL),RNAse inhibitor(0.5 μL)およびReverse Transcriptase(1μL)を加え,25℃で10分間,42℃で50分間,72℃で15分間,及び4℃で5分間反応させ,cDNAを合成した。得られたcDNA溶液1μLを,26.75μLのDEPC処理水,0.25μLのEx Taq,3.2μLのdNTP混合液,4μLの25 mM塩化マグネシウム,0.4μLのヒトPPARαまたはβ-アクチンのプライマー(フォーワードとリバース各0.4μLずつ)およびEXTaq(0.25μL)を加え,PCRを行った。PCR産物を常法に従って、エチジウムブロマイド含有アガロースゲル上で電気泳動を行い、紫外線照射下で蛍光像を撮影した。
結果を図1に示す。すなわちβ-アクチンの発現量が,各バンドで変化がないにもかかわらず,クルミエキスを30および100μg/mL添加した細胞のバンドにおいて,PPARαの遺伝子がコントロールと比較して、強く発現していることが分かる。この結果より,クルミエキスは肝臓における脂肪代謝関連分子の発現を増強することで,脂肪代謝促進作用を示すことが明らかになった。
5.コレステロール飼育マウスにおけるコレステロール吸収抑制作用の評価
マウス(ddY, 雄, 5週齢)に,CE-2(日本クレア)を基本とした高コレステロール食(CE2:
53.5%, 砂糖:
30.0%, ミルクカゼイン:
10.0%, 無塩バター:
5.0%, コレステロール:
1.0%, コール酸ナトリウム: 0.5%)を6日間自由摂取させた。この間,1日1回サンプル(200 mg/kg)を経口投与した。その後,22時間絶食を行い,採血および肝臓摘出を行い,コレステロール含量を酵素法(コレステロールEテストワコー,和光純薬社)を用いて測定した。
実験の結果,表4に示すようにクルミエキスは,コレステロール摂取過多による血中コレステロールの上昇を有意に抑制した。この結果より,クルミエキスにはコレステロールの吸収抑制作用があることが分かる。
以下に本発明の脂肪肝及び/又は高脂血症の治療・予防剤(クルミエキス)の配合例を挙げるが,下記配合例は本発明を限定するものではない。
配合例1:チューインガム
砂糖 52.0wt%
ガムベース 20.0
グルコース 10.0
水飴 16.0
香料 1.0
クルミエキス 1.0
100.0wt%
配合例2:グミ
還元水飴 40.9wt%
グラニュー糖 20.0
ブドウ糖 20.0
ゼラチン 4.7
水 7.78
キウイ果汁 4.0
キウイフレーバー 0.6
色素 0.02
クルミエキス 2.0
100.0wt%
配合例3:キャンディー
砂糖 50.0wt%
水飴 30.0
水 14.5
有機酸 2.0
香料 0.5
クルミエキス 3.0
100.0wt%
配合例4:ヨーグルト(ハード・ソフト)
牛乳 41.9wt%
脱脂粉乳 5.8
砂糖 8.0
寒天 0.15
ゼラチン 0.1
乳酸菌 0.05
クルミエキス 0.1
香料 微量
水 残余
100.0wt%
配合例5:清涼飲料
果糖ブドウ糖液糖 30.0wt%
乳化剤 0.5
クルミエキス 0.5
香料 適量
精製水 残余
100.0wt%
配合例6:錠菓
砂糖 76.44wt%
グルコース 19.0
ショ糖脂肪酸エステル 0.2
クルミエキス 0.01
精製水 4.35
100.0wt%
配合例7:錠剤
乳糖 54.9wt%
結晶セルロース 30.0
澱粉分解物 10.0
グリセリン脂肪酸エステル 5.0
クルミエキス 0.1
100.0wt%
配合例8:ソフトカプセル
アカショウガ油 87.9wt%
乳化剤 12.0
クルミエキス 0.1
100.0wt%
配合例9:顆粒内服剤(医薬品)
クルミエキス 0.1wt%
乳糖 30.00
コーンスターチ 60.9
結晶セルロース 8.00
ポリビニールピロリドン 1.00
100.0wt%
配合例10:化粧クリーム
スクワラン 20.0wt%
ミツロウ 5.0
精製ホホバ油 5.0
グリセリン 5.0
グリセリンモノステアレート 2.0
ポリオキシエチレン(20)ソルビタン-
モノステアレート 2.0
クルミエキス 0.2
防腐剤 適量
香料 適量
精製水 残余
100.0wt%
配合例11:化粧水
エタノール 5.0wt%
グリセリン 2.0
1,3−ブチレングリコール 2.0
ポリエチレンオレイルエーテル 0.5
クエン酸ナトリウム 0.1
クエン酸 0.1
クルミエキス 0.1
精製水 残余
100.0wt%
配合例12:ボディージェル
マカデミアナッツ油 2.0wt%
ミリスチン酸オクチルドデシル 10.0
メチルフェニルポリシロキサン 5.0
ベヘニルアルコール 3.0
ステアリン酸 3.0
バチルアルコール 1.0
モノステアリン酸グリセリル 1.0
テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット 2.0
水素添加大豆リン脂質 1.0
セラミド 0.1
パルミチン酸レチノール 0.1
防腐剤 適量
ツボクサ抽出物 1.0
クルミエキス 0.1
1,3−ブチレングリコール 5.0
精製水 残余
100.0wt%
配合例13:乳液
スクワラン 4.0wt%
ワセリン 2.5
セタノール 2.0
グリセリン 2.0
親油型モノステアリン酸グリセリン 1.0
ステアリン酸 1.0
L−アルギニン 1.0
クルミエキス 0.05
水酸化カリウム 0.1
香料 微量
精製水 残余
100.0wt%
配合例14:浴用剤(液状)
プロピレングリコール 50.45wt%
エタノール 20.0
硫酸ナトリウム 5.0
クルミエキス 0.05
ラノリン 0.5
アボガド油 0.5
色素 1.5
香料 22.0
100.0wt%
配合例14:キャットフード
とうもろこし 34.99wt%
小麦粉 35.0
ミートミール 15.0
牛脂 8.99
食塩 1.0
かつおエキス 4.0
クルミエキス 0.01
タウリン 0.01
ビタミン類 0.5
ミネラル類 0.5
100.0wt%
配合例15:ドッグフード
とうもろこし 34.95wt%
肉類(チキン) 15.0
脱脂大豆 10.0
小麦粉 25.0
糟糠類 5.0
クルミエキス 0.05
動物性油脂 8.9
オリゴ糖 0.1
ビタミン 0.5
ミネラル 0.5
100.0wt%
以上説明したように,本発明は,新規の脂肪肝及び/又は高脂血症の治療・予防剤を提供することができる。
本実施例PPARα及び、β-アクチンの遺伝子発現に及ぼす影響をしめす説明図である。

Claims (5)

  1. クルミ由来のポリフェノールを有効成分とすることを特徴とする高脂血症及び/又は脂肪肝の治療・予防剤。
  2. 請求項1に記載の高脂血症及び/又は脂肪肝の治療・予防剤を含有するヒトを含む哺乳類動物用医薬品。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の高脂血症及び/又は脂肪肝の治療・予防剤を含有するヒトを含む哺乳類動物用皮膚外用剤。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の高脂血症及び/又は脂肪肝の治療・予防剤を含有する飲食品。
  5. 請求項1又は請求項2に記載の高脂血症及び/又は脂肪肝の治療・予防剤を含有する哺乳類動物用飼料。


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