JP3034633B2 - ２サイクルエンジンの潤滑油供給装置 - Google Patents

２サイクルエンジンの潤滑油供給装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は２サイクルエンジンの潤
滑油供給装置に関し、特にエンジンへの潤滑油の供給量
をエンジンの運転状態に応じた適切な量に制御できるよ
うにした制御方法の改善に関する。
【０００２】
【従来の技術】２サイクルエンジンの潤滑油供給装置と
して、従来、エンジン回転数に応じた吐出量を有するエ
ンジン駆動式潤滑油ポンプを採用するとともに、例えば
図３の特性線ａに示すように、エンジン回転数，アクセ
ル開度に応じて上記潤滑油ポンプのプランジャストロー
クを変化させ、これによってポンプ自体の吐出量を、エ
ンジン出力カーブｂに沿った量に制御するようにした装
置が一般的である。しかしこの従来方法では、例えば低
速走行状態からアクセルを大きく開けて加速すると、プ
ランジャストロークが図３の特性線ｃに示すように必要
以上に大きくなり、そのため潤滑油がエンジンに過剰に
供給され、結局エンジンの運転状態に対応した油量制御
は困難である。そこで、上記問題を解消できる装置とし
て、従来、潤滑油の供給通路に戻り通路を接続し、該接
続部に供給通路側，又は戻り通路側の何れか一方を開い
たとき、他方を閉じる三方電磁弁を配設し、該電磁弁を
デューティ制御するようにした潤滑油供給装置が提案さ
れている（例えば特開平2-139307号公報参照）。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】上記三方電磁弁をデュ
ーティ制御するようにした従来装置では、エンジンの運
転状態に応じてデューティ比を制御することにより、余
剰の潤滑油はポンプ吸込側に戻されるので、エンジンの
運転状態に対応した適切な量の潤滑油をエンジンに供給
することが可能である。ところで上記デューティ制御を
行う場合、その制御間隔をどのように設定するかが重要
な問題となる。即ち、例えばエンジンで駆動されるタイ
プの潤滑油ポンプの場合、エンジンの回転速度に応じて
プランジャの往復時間が変化するから、上記制御間隔の
設定如何によっては、例えば上記三方電磁弁が供給通路
側を開いている時期と上記プランジャの前進時期とがず
れてしまい、結局エンジンへの供給油量がデューティ比
に比例しなくなる場合が考えられる。また上記制御間隔
が例えば長過ぎると、急加速時等において潤滑油供給上
の応答性が不十分となる懸念がある。
【０００４】本発明は、上記状況に鑑みてなされたもの
で、エンジンの運転状態に応じた適切な量の潤滑油をエ
ンジンに供給できる２サイクルエンジンの潤滑油供給装
置を提供することを目的ととしている。
【０００５】
【課題を解決するための手段】本発明は、２サイクルエ
ンジンに該エンジンで駆動される間欠吐出型潤滑油ポン
プを供給通路を介して接続し、該供給通路と上記潤滑油
ポンプの吸込側とを連通する戻り通路を設け、該戻り通
路と上記供給通路との接続部に戻り通路側，供給通路側
の何れか一方を閉じたとき他方を開く切換弁を配設し、
該切換弁をデューティ制御する切換制御装置を設けた２
サイクルエンジンの潤滑油供給装置において、上記切換
制御装置を、上記デューティ制御におけるデューティ比
をエンジンの必要潤滑油量に応じた値に制御するととも
に、該デューティ制御における制御間隔をエンジンの運
転状態に応じて変化させるように構成したことを特徴と
している。また請求項２の発明は、請求項１において、
上記制御間隔を、エンジン回転数が高いほど短く、低い
ほど長くすることを、請求項３の発明は、請求項１にお
いて、上記制御間隔をアクセルの開速度が速いほど短く
することを特徴としている。
【０００６】
【作用】本発明に係る潤滑油供給装置によれば、デュー
ティ制御の制御間隔を、エンジンの運転状態に応じて制
御するようにしたので、エンジンの運転状態に応じた適
切な量の潤滑油をエンジンに供給できる。例えば上記制
御間隔をエンジン回転数が低いほど長く、かつ高いほど
短くした場合は、潤滑油ポンプの吐出間隔と制御間隔と
がよく整合し、エンジンへの潤滑油量がデューティ比
に、ひいてはエンジン運転状態に対応した適切な量に制
御される。また上記制御間隔をアクセルの開速度が速い
ほど短くした場合は、エンジンへの潤滑油供給の応答性
が良好となる。
【０００７】
【実施例】以下、本発明の実施例を図について説明す
る。図１ないし図３は本発明の一実施例による２サイク
ルエンジンの潤滑油供給装置を説明するための図であ
る。
【０００８】図において、１は潤滑油供給装置であり、
これはエンジン２に潤滑油ポンプ３を供給通路４を介し
て接続し、該潤滑油ポンプ３の吸込側にオイルタンク５
を導入通路６を介して接続するとともに、上記供給通路
４と導入通路６とを上記潤滑油ポンプ３をバイパスする
ように戻り通路７で接続した構成となっている。
【０００９】そして上記戻り通路７と供給通路４との接
続部には三方電磁弁（切換弁）８が配設されている。こ
の電磁弁８は、上記供給通路４側に連通する供給口９
ａ，及び上記戻り通路７側に連通する戻り口９ｂを有す
るバルブケース９と、該ケース９内に配置され上記供給
口９ａ，戻り口９ｂの何れか一方を開いたとき他方を閉
じる弁体１０と、該弁体１０を供給口９ａを開く位置に
付勢する付勢ばね１１と、通電時に上記弁体１０を戻り
口９ｂを開く位置に移動させる電磁コイル１２とから構
成されている。
【００１０】１３は上記三方電磁弁８の電磁コイル１２
への通電を制御するＣＰＵであり、これはエンジン回転
数，アクセル開度，及びその他のエンジン運転状態を表
す信号が入力され、これらの信号に基づいてエンジンが
必要とする潤滑油量を演算し、エンジンへの潤滑油量が
上記必要量になるように上記三方電磁弁８の電磁コイル
１２への通電をデューティ制御する。なお、１４はメイ
ンスイッチ、１５はバッテリである。
【００１１】ここで図２に基づいて上記ＣＰＵ１３の制
御方法を詳述する。図２(a),(c) は上記潤滑油ポンプ3
のプランジャの作動サイクルを示し、図２(b),(d) はデ
ューティ比及び制御間隔を示す。上記ＣＰＵ１３は、エ
ンジンへの潤滑油量が上記演算された必要量になるよう
に、運転状態に応じてデューティ比（ｂ／ａ×100
％），及びその制御間隔ａを制御する。デューティ比の
制御については、例えば、エンジン回転数が高くなって
必要潤滑油量が増大するほどデューティ比が小さくなる
ように、つまり供給口９ａがより長い時間開くように制
御する。また制御間隔については、例えば図２(b) に示
すようにエンジンの低速回転時には長く、図2 (d) に示
すようにエンジンの高速回転時には短くなるように制御
する。
【００１２】次に本実施例における作用効果を説明す
る。本実施例装置１では、三方電磁弁８への通電がオン
の状態（ｂの期間）では、該電磁弁８の供給口９ａが閉
じるとともに戻り口９ｂが開き、そのため潤滑油ポンプ
８から吐出された潤滑油は全量該ポンプの吸込側に戻
り、オフの状態では供給口９ａが開くとともに戻り口９
ｂが閉じ、そのため潤滑油は全量エンジン側に供給され
る。そしてこのデューティ比がエンジンの運転状態から
演算された必要潤滑油量に応じた比に制御されるので、
仮にアクセルを大きく開けたことによってプランジャス
トロークが大きくなってポンプからの吐出量が増大して
も、エンジンへの給油量はエンジンの運転状態に適した
量となる。その結果、エンジンへの潤滑油量を図３の出
力特性カーブｂに対応した量にすることが可能であり、
潤滑油の過剰供給を回避でき、排気煙，オイル飛散の問
題を解消できる。また本実施例では、上記制御間隔ａ
が、エンジンの低速回転時には長くなり、高速回転時に
は短くなるように制御されるので、制御間隔が潤滑油ポ
ンプのプランジャの作動サイクルに合った長さとなり、
上記デューティ比に応じた量の潤滑油を確実に供給でき
る。また急加速時においては、エンジンの回転速度が低
い場合にも制御間隔が短く制御されるので応答性が改善
される。
【００１３】なお、上記実施例では、制御間隔をエンジ
ン回転数が低い場合は長く，高い場合は短くするように
したが、本発明に係る制御間隔は、必ずしも上記実施例
のように設定する必要はなく、エンジンの特性，用途等
によって適宜設定すれば良い。
【００１４】
【発明の効果】以上のように本発明に係る２サイクルエ
ンジンの潤滑油供給装置によれば、デューティ制御の制
御間隔をエンジンの運転状態に応じた長さに制御するよ
うにしたので、潤滑油ポンプの作動サイクル等に応じて
切換弁を制御でき、エンジンの運転状態により対応した
量の潤滑油をエンジンに供給できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施例による２サイクルエンジンの
潤滑油供給装置のブロック構成図である。
【図２】上記実施例装置の制御方法を説明するための図
である。
【図３】従来装置の問題点及び本実施例の効果を説明す
るための図である。
【符号の説明】
１ 潤滑油供給装置 ２ エンジン ３ 潤滑油ポンプ ４ 供給通路 ７ 戻り通路 ８ 三方電磁弁（切換弁） １３ ＣＰＵ（切換制御装置）

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 ２サイクルエンジンに該エンジンで駆動
    される間欠吐出型潤滑油ポンプを供給通路を介して接続
    し、該供給通路と上記潤滑油ポンプの吸込側とを連通す
    る戻り通路を設け、該戻り通路と上記供給通路との接続
    部に戻り通路側，供給通路側の何れか一方を閉じたとき
    他方を開く切換弁を配設し、該切換弁をデューティ制御
    する切換制御装置を設けた２サイクルエンジンの潤滑油
    供給装置において、上記切換制御装置を、上記デューテ
    ィ制御におけるデューティ比をエンジンの必要潤滑油量
    に応じた値に制御するとともに、該デューティ制御にお
    ける制御間隔をエンジンの運転状態に応じて変化させる
    ように構成したことを特徴とする２サイクルエンジンの
    潤滑油供給装置。
  2. 【請求項２】 請求項１において、上記制御間隔を、エ
    ンジン回転数が高いほど短く、低いほど長くすることを
    特徴とする２サイクルエンジンの潤滑油供給装置。
  3. 【請求項３】 請求項１において、上記制御間隔をアク
    セルの開速度が速いほど短くすることを特徴とする２サ
    イクルエンジンの潤滑油供給装置。
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